JP6515520B2 - 蒸着マスクの製造方法、蒸着マスクを作製するために用いられる金属板および蒸着マスク - Google Patents

蒸着マスクの製造方法、蒸着マスクを作製するために用いられる金属板および蒸着マスク Download PDF

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Description

本発明は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する方法および蒸着マスクに関する。また本発明は、蒸着マスクを作製するために用いられる金属板に関する。
近年、スマートフォンやタブレットPC等の持ち運び可能なデバイスで用いられる表示装置に対して、高精細であること、例えば画素密度が300ppi以上であることが求められている。また、持ち運び可能なデバイスにおいても、フルハイビジョンに対応することへの需要が高まっており、この場合、表示装置の画素密度が例えば450ppi以上であることが求められる。
応答性の良さや消費電力の低さのため、有機EL表示装置が注目されている。有機EL表示装置の画素を形成する方法として、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着マスクを用い、所望のパターンで画素を形成する方法が知られている。具体的には、はじめに、有機EL表示装置用の基板に対して蒸着マスクを密着させ、次に、密着させた蒸着マスクおよび基板を共に蒸着装置に投入し、有機材料などの蒸着を行う。
蒸着マスクは一般に、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成することにより、製造され得る(例えば、特許文献1参照)。例えば、はじめに、金属板の第1面上に第1レジストパターンを形成し、また金属板の第2面上に第2レジストパターンを形成する。次に、金属板の第2面のうち第2レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第2面に第2凹部を形成する。その後、金属板の第1面のうち第1レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、金属板の第1面に第1凹部を形成する。この際、第1凹部と第2凹部とが通じ合うようにエッチングを行うことにより、金属板を貫通する貫通孔を形成することができる。
蒸着マスクを用いた蒸着工程においては、はじめに、蒸着マスクの第2面側が基板に対面するように、蒸着マスクおよび基板を配置する。また、蒸着マスクの第1面側に、有機材料などの蒸着材料を保持したるつぼを配置する。次に、蒸着材料を加熱して蒸着材料を気化または昇華させる。気化または昇華した蒸着材料は、蒸着マスクの貫通孔を介して基板に付着する。この結果、蒸着マスクの貫通孔の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料が基板の表面に成膜される。
特開2014−148740号公報
従来のように金属板の第1面側および第2面側の両方で金属板をエッチングすることによって貫通孔を形成する場合、第1面側の第1凹部と第2面側の第2凹部とが接続される位置において、貫通孔の面積が最小になる。仮に、蒸着マスクの貫通孔を通過して基板に到達する蒸着材料の移動方向の成分が、蒸着マスクを構成する金属板の法線方向に平行な方向の成分のみである場合、基板に付着する蒸着材料の面積は、貫通孔の最小面積と同一になる。しかしながら、蒸着材料の移動方向の成分は通常は、金属板の法線方向に平行な方向の成分だけでなく、金属板の法線方向に対して傾斜した方向の成分も含んでいる。このため、基板に付着する蒸着材料の面積は、貫通孔の最小面積よりも通常は大きくなる。以下の説明において、基板に付着した蒸着材料のうち、金属板の法線方向に沿って見た場合に貫通孔の最小面積に重なる部分を中央部分と称し、中央部分よりも外縁側に位置する部分を周縁部分と称する。
基板に付着した蒸着材料の中央部分は、金属板の法線方向に平行な方向に沿って基板に到達した蒸着材料、および、金属板の法線方向に対して傾斜した方向に沿って基板に到達した蒸着材料の両方を含んでいる。一方、基板に付着した蒸着材料の周縁部分は、金属板の法線方向に対して傾斜した方向に沿って基板に到達した蒸着材料によって構成されている。このため周縁部分の厚みは、中央部分の厚みよりも小さくなる。従って、基板に付着した蒸着材料中の周縁部分の比率が高くなるほど、基板に付着した蒸着材料の厚みのばらつきが大きくなってしまう。また、周縁部分の比率が高くなるほど、基板に付着した蒸着材料の面積が、貫通孔の最小面積からずれてしまう。すなわち、基板に付着した蒸着材料の厚みや面積のばらつきが大きくなってしまう。従って、蒸着材料を高い精度で基板に付着させるためには、周縁部分の発生を抑制することができるように蒸着マスクを作製することが好ましい。
本発明は、このような課題を考慮してなされたものであり、金属板の法線方向に対して傾斜した方向に沿って移動する蒸着材料が蒸着マスクの貫通孔を通過する場合であっても、基板に付着した蒸着材料の厚みや面積がばらついてしまうことを抑制することができる蒸着マスクの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する方法であって、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含む金属板を準備する工程と、前記金属板の前記第1面上に第1レジストパターンを形成し、前記金属板の前記第2面上に第2レジストパターンを形成する工程と、前記金属板の前記第2面のうち前記第2レジストパターンによって覆われていない領域を、第2エッチング液を用いてエッチングし、前記金属板の前記第2面に第2凹部を形成する第2面エッチング工程と、前記金属板の前記第1面のうち前記第1レジストパターンによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングし、前記金属板の前記第1面に第1凹部を形成する第1面エッチング工程と、を備え、前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置する第2層と、を含み、前記第2面エッチング工程は、前記第2凹部が前記金属板の前記第2層を貫通するようになるまで少なくとも実施され、前記第1面エッチング工程は、前記第2凹部と前記第1凹部とが互いに通じ合い、これによって前記貫通孔が形成されるようになるまで実施され、前記第1エッチング液に対する前記金属板の前記第2層の溶解速度は、前記第1エッチング液に対する前記金属板の前記第1層の溶解速度よりも小さくなっている、蒸着マスクの製造方法である。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記第1エッチング液は、塩化第2鉄溶液を含んでいてもよい。この場合、前記金属板の前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、前記金属板の前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有していてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記金属板の前記第2層の厚みが、6μm以下であってもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔が形成された有効領域と、前記有効領域の周囲に位置する周囲領域と、に区画され、前記第1面エッチング工程は、前記金属板の前記第1面が前記有効領域の全域にわたってはエッチングされず、この結果、エッチングされなかった部分がトップ部として残るように実施されてもよい。
本発明による蒸着マスクの製造方法において、前記金属板の前記第1層の厚みが、80μm以下であってもよい。
本発明は、上記記載の蒸着マスクの製造方法で使用される金属板であって、前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置する第2層と、を含み、前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有する、金属板である。
本発明による金属板において、前記第2層の厚みが、6μm以下であってもよい。
本発明による金属板において、前記第1層の厚みが、80μm以下であってもよい。
本発明は、第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含む金属板と、前記金属板の前記第1面と前記第2面との間を延びる複数の貫通孔と、を備え、前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置する第2層と、を含み、前記貫通孔は、前記第2層を貫通するように前記金属板の前記第2面に形成された第2凹部と、前記第2凹部に接続されるように前記金属板の前記第1面に形成された第1凹部と、を有し、前記金属板の前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、前記金属板の前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有する、蒸着マスクである。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記金属板の前記第2層の厚みが、6μm以下であってもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔が形成された有効領域と、前記有効領域の周囲に位置する周囲領域と、に区画され、前記第1凹部は、前記金属板の前記第1面の前記有効領域において、隣接する2つの前記第1凹部が互いに接続されないように形成されていてもよい。
本発明による蒸着マスクにおいて、前記金属板の前記第1層の厚みが、80μm以下であってもよい。
本発明によれば、基板に付着した蒸着材料の厚みや面積がばらついてしまうことを抑制することができる蒸着マスクを提供することができる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す概略平面図である。 図2は、図1に示す蒸着マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図である。 図3は、図1に示された蒸着マスクを示す部分平面図である。 図4は、図3のIV−IV線に沿った断面図である。 図5は、図3のV−V線に沿った断面図である。 図6は、図3のVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図4に示す貫通孔およびその近傍の領域を拡大して示す断面図である。 図8Aは、第2凹部の壁面の高さが比較的に小さい場合に、蒸着マスクの貫通孔を通過して基板に付着した蒸着材料を示す断面図である。 図8Bは、第2凹部の壁面の高さが比較的に大きい場合に、蒸着マスクの貫通孔を通過して基板に付着した蒸着材料を示す断面図である。 図9(a)〜(c)は、蒸着マスクの製造方法の概略を示す図である。 図10は、第1面エッチング工程の実施期間を比較的に長く設定した場合に生じる課題を説明するための図である。 図11(a)(b)は、第2面エッチング工程の実施期間を比較的に短く設定した場合に生じる課題を説明するための図である。 図12は、図1に示す蒸着マスクの製造方法の一例を全体的に説明するための模式図である。 図13は、蒸着マスクを作製するために用いられる長尺状の金属板を示す断面図である。 図14は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、金属板上にレジスト膜を形成する工程を示す断面図である。 図15は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、レジスト膜に露光マスクを密着させる工程を示す断面図である。 図16は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図17は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図18は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図19は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図20は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図21は、蒸着マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図22は、蒸着マスクの製造方法の一変形例を説明するための図であって、法線方向に沿った断面において長尺金属板を示す図である。 図23は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の変形例を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図21は、本発明による一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる蒸着マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、例えば「金属板」は、「金属シート」や「金属フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件および物理的特性並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同等」等の用語や長さや角度並びに物理的特性の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
(蒸着マスク装置)
まず、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例について、主に図1〜図6を参照して説明する。ここで、図1は、蒸着マスクを含む蒸着マスク装置の一例を示す平面図であり、図2は、図1に示す蒸着マスク装置の使用方法を説明するための図である。図3は、蒸着マスクを第1面の側から示す平面図であり、図4〜図6は、図3の各位置における断面図である。
図1及び図2に示された蒸着マスク装置10は、略矩形状の金属板21からなる複数の蒸着マスク20と、複数の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられたフレーム15と、を備えている。各蒸着マスク20には、第1面21aおよび第1面21aの反対側に位置する第2面21bを含む金属板21を、第1面21a側および第2面21b側の両方でエッチングすることにより形成された貫通孔25が、多数設けられている。この蒸着マスク装置10は、図2に示すように、蒸着マスク20が蒸着対象物である基板92、例えばガラス基板の下面に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、基板への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、不図示の磁石からの磁力によって、蒸着マスク20と基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、蒸着マスク装置10の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華して基板92の表面に付着するようになる。上述したように、蒸着マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を介して基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が基板92の表面に成膜される。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。なお、カラー表示を行いたい場合には、貫通孔25の配列方向(前述の一方向)に沿って蒸着マスク20(蒸着マスク装置10)と基板92とを少しずつ相対移動させ、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に蒸着させていってもよい。
なお、蒸着マスク装置10のフレーム15は、矩形状の蒸着マスク20の周縁部に取り付けられている。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように蒸着マスクを張った状態に保持する。蒸着マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。
蒸着処理は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部で実施される。従って、蒸着処理の間、蒸着装置90の内部に保持される蒸着マスク20、フレーム15および基板92も加熱される。この際、蒸着マスク、フレーム15および基板92は、各々の熱膨張係数に基づいた寸法変化の挙動を示すことになる。この場合、蒸着マスク20やフレーム15と基板92の熱膨張係数が大きく異なっていると、それらの寸法変化の差異に起因した位置ずれが生じ、この結果、基板92上に付着する蒸着材料の寸法精度や位置精度が低下してしまう。このような課題を解決するため、蒸着マスク20およびフレーム15の熱膨張係数が、基板92の熱膨張係数と同等の値であることが好ましい。例えば、基板92としてガラス基板が用いられる場合、蒸着マスク20およびフレーム15の主要な材料として、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。具体的には、34〜38質量%のニッケルを含むインバー材や、ニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材などの鉄合金を、蒸着マスク20を構成する金属板の後述する第1層の材料として用いることができる。なお本明細書において、「〜」という記号によって表現される数値範囲は、「〜」という符号の前後に置かれた数値を含んでいる。例えば、「34〜38質量%」という表現によって画定される数値範囲は、「34質量%以上かつ38質量%以下」という表現によって画定される数値範囲と同一である。
(蒸着マスク)
次に、蒸着マスク20について詳細に説明する。図1に示すように、本実施の形態において、蒸着マスク20は、金属板21からなり、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。蒸着マスク20の金属板21は、規則的な配列で貫通孔25が形成された有効領域22と、有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。周囲領域23は、有効領域22を支持するための領域であり、基板へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機EL表示装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる蒸着マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる基板92上の区域、すなわち、作製された有機EL表示装置用基板の表示面をなすようになる基板上の区域に対面する、蒸着マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
図示された例において、蒸着マスク20の複数の有効領域22は、蒸着マスク20の長手方向と平行な一方向に沿って所定の間隔を空けて一列に配列されている。図示された例では、一つの有効領域22が一つの有機EL表示装置に対応するようになっている。すなわち、図1に示された蒸着マスク装置10(蒸着マスク20)によれば、多面付蒸着が可能となっている。
図3に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。この金属板21に形成された貫通孔25の一例について、図3〜図6を主に参照して更に詳述する。
図4〜図6に示すように、複数の貫通孔25は、蒸着マスク20の法線方向に沿った一方の側となる第1面20aと、蒸着マスク20の法線方向に沿った他方の側となる第2面20bと、の間を延びて、蒸着マスク20を貫通している。図示された例では、後に詳述するように、蒸着マスクの法線方向における一方の側となる金属板21の第1面21aに第1凹部30がエッチングによって形成され、金属板21の法線方向における他方の側となる第2面21bに第2凹部35が形成される。第1凹部30は、第2凹部35に接続され、これによって第2凹部35と第1凹部30とが互いに通じ合うように形成される。貫通孔25は、第2凹部35と、第2凹部35に接続された第1凹部30とによって構成されている。
図3〜図6に示すように、蒸着マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第1凹部30の断面積は、しだいに小さくなっていく。同様に、蒸着マスク20の法線方向に沿った各位置における蒸着マスク20の板面に沿った断面での各第2凹部35の断面積は、蒸着マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。
図4〜図6に示すように、第1凹部30の壁面31と、第2凹部35の壁面36とは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第1凹部30の壁面31と、蒸着マスクの法線方向に対して傾斜した第2凹部35の壁面36とが合流する張り出し部の稜線によって、画成されている。そして、接続部41は、蒸着マスク20の平面視において貫通孔25の面積が最小になる貫通部42を画成する。
図4〜図6に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った他方の側の面、すなわち、蒸着マスク20の第2面20b上において、隣り合う二つの貫通孔25は、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、蒸着マスク20の第2面20bに対応するようになる金属板21の第2面21b側から当該金属板21をエッチングして第2凹部35を作製する場合、隣り合う二つの第2凹部35の間に金属板21の第2面21bが残存するようになる。
同様に、図4および図6に示すように、蒸着マスクの法線方向に沿った一方の側、すなわち、蒸着マスク20の第1面20aの側においても、隣り合う二つの第1凹部30が、蒸着マスクの板面に沿って互いから離間していてもよい。すなわち、隣り合う二つの第1凹部30の間に金属板21の第1面21aが残存していてもよい。以下の説明において、金属板21の第1面21aの有効領域22のうちエッチングされずに残っている部分のことを、トップ部43とも称する。このようなトップ部43が残るように蒸着マスク20を作製することにより、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。このことにより、例えば搬送中などに蒸着マスク20が破損してしまうことを抑制することができる。なおトップ部43の幅βが大きすぎると、蒸着工程においてシャドーが発生し、これによって蒸着材料98の利用効率が低下することがある。従って、トップ部43の幅βが過剰に大きくならないように蒸着マスク20が作製されることが好ましい。例えば、トップ部43の幅βが2μm以下であることが好ましい。なおトップ部43の幅βは一般に、蒸着マスク20を切断する方向に応じて変化する。例えば、図4および図6に示すトップ部43の幅βは互いに異なることがある。この場合、いずれの方向で蒸着マスク20を切断した場合にもトップ部43の幅βが2μm以下になるよう、蒸着マスク20が構成されていてもよい。
なお図5に示すように、場所によっては隣り合う二つの第1凹部30が接続されるようにエッチングが実施されてもよい。すなわち、隣り合う二つの第1凹部30の間に、金属板21の第1面21aが残存していない場所が存在していてもよい。
図2に示すようにして蒸着マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、図4に二点鎖線で示すように、蒸着マスク20の第1面20aが蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置し、蒸着マスク20の第2面20bが基板92に対面する。したがって、蒸着材料98は、次第に断面積が小さくなっていく第1凹部30を通過して基板92に付着する。図4において第1面20a側から第2面20bへ向かう矢印で示すように、蒸着材料98は、るつぼ94から基板92に向けて基板92の法線方向に沿って移動するだけでなく、基板92の法線方向に対して大きく傾斜した方向に移動することもある。このとき、蒸着マスク20の厚みが大きいと、斜めに移動する蒸着材料98の多くは、貫通孔25を通って基板92に到達するよりも前に、第1凹部30の壁面31に到達して付着する。従って、蒸着材料98の利用効率を高めるためには、蒸着マスク20の厚みtを小さくし、これによって、第1凹部30の壁面31や第2凹部35の壁面36の高さを小さくすることが好ましいと考えられる。すなわち、蒸着マスク20を構成するための金属板21として、蒸着マスク20の強度を確保できる範囲内で可能な限り厚みtの小さな金属板21を用いることが好ましいと言える。この点を考慮し、本実施の形態において、好ましくは蒸着マスク20の厚みtは、80μm以下に、例えば5〜80μmの範囲内や7〜80μmの範囲内に設定される。蒸着の精度をさらに向上させるため、蒸着マスク20の厚みtを、40μm以下に、例えば5〜40μmの範囲内や7〜40μmの範囲内に設定してもよい。なお厚みtは、周囲領域23の厚み、すなわち蒸着マスク20のうち第1凹部30および第2凹部35が形成されていない部分の厚みである。従って厚みtは、金属板21の厚みであると言うこともできる。
限定はされないが、本実施の形態による蒸着マスク20は、450ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合に特に有効なものである。以下、図7を参照して、そのような高い画素密度の有機EL表示装置を作製するために求められる蒸着マスク20の寸法の一例について説明する。図7は、図4に示す蒸着マスク20の貫通孔25およびその近傍の領域を拡大して示す断面図である。
図7においては、貫通孔25の形状に関連するパラメータとして、蒸着マスク20の第2面20bから接続部41までの、蒸着マスク20の法線方向に沿った方向における距離、すなわち第2凹部35の壁面36の高さが符号rで表されている。さらに、第2凹部35が第1凹部30に接続する部分における第2凹部35の寸法、すなわち貫通部42の寸法が符号rで表されている。また図7において、接続部41と、金属板21の第2面21b上における第2凹部35の先端縁と、を結ぶ直線Lが、金属板21の法線Nに対して成す角度が、符号θで表されている。
450ppi以上の画素密度の有機EL表示装置を作製する場合、貫通部42の寸法rは、例えば10〜60μmの範囲内に設定される。このように本実施の形態においては、高い画素密度の有機EL表示装置に対応すべく、貫通部42の寸法rが、従来の蒸着マスクの場合に比べて小さく設定されている。
このように、本実施の形態における貫通部42の寸法rは従来よりも小さい。このため、第2凹部35の壁面36の高さrが貫通部42の寸法rに比べて比較的に大きいものであると、貫通孔25を通過して基板に付着する蒸着材料98の厚みやばらつきが大きくなってしまうと考えられる。以下、蒸着材料98の厚みやばらつきが大きくなるという弊害について、図8Aおよび図8Bを参照して説明する。
図8Aは、第2凹部35の壁面36の高さrが比較的に小さい場合に、蒸着マスク20の貫通孔25を通過して基板92に付着した蒸着材料98を示す断面図である。一方、図8Bは、第2凹部35の壁面36の高さrが比較的に大きい場合に、蒸着マスク20の貫通孔25を通過して基板92に付着した蒸着材料98を示す断面図である。図8Aおよび後述する図8Bにおいて、符号98eは、金属板21の法線方向に沿って基板92に付着した蒸着材料98を見た場合の、蒸着材料98の外縁を表している。また符号98aは、基板92に付着した蒸着材料98のうち、金属板21の法線方向に沿って見た場合に貫通孔25の最小面積部分すなわち貫通部42に重なる部分(以下、中央部分とも称する)を表している。また符号98bは、基板92に付着した蒸着材料98のうち、中央部分98aよりも外縁98e側に位置する部分を表している。
図8Bに示す例においては、第2凹部35の壁面36の高さrが大きいので、蒸着材料98が貫通孔25の貫通部42を通過してから蒸着材料98が基板92に到達するまでの間に、基板92の面方向に沿った方向において蒸着材料98が大きく移動する。このため、図8Bに示すように、周縁部分98bの面積が大きくなる。また、基板92に付着する蒸着材料98の側面98cが基板92に対して成す角度が小さくなる。このため、基板92に付着する蒸着材料98の面積、形状および厚みが、所望の値からずれることや、位置によってばらつくことが考えられる。
これに対して図8Aに示す例においては、第2凹部35の壁面36の高さrが小さいので、蒸着材料98が貫通孔25の貫通部42を通過してから蒸着材料98が基板92に到達するまでの間の、基板92の面方向に沿った方向における蒸着材料98の移動量を低減することができる。このため、周縁部分98bが形成されることを抑制することができる。従って、基板92に付着する蒸着材料98の面積を、目標の面積例えば貫通部42の面積に近づけることができる。また、基板92に付着した蒸着材料98の面積がばらつくのを抑制することもできる。また周縁部分98bの形成を抑制することにより、図8Aに示すように、基板92に付着する蒸着材料98の側面98cが基板92に対して成す角度を90度に近づけることができる。すなわち、側面98cをより急峻なものとすることができる。これによって、基板92に付着する蒸着材料98の面積や形状がばらつくのを抑制することができる。また、周縁部分98bの形成を抑制することにより、基板92に付着する蒸着材料98の厚みがばらつくのを抑制することもできる。すなわち、第2凹部35の壁面36の高さrを小さくすることにより、所望の面積、形状および厚みを有する蒸着材料98をより正確に基板92上に設けることができる。
好ましくは、第2凹部35の壁面36の高さrは、6μm以下に設定される。
次に、図7に示す上述の角度θについて説明する。角度θは、金属板21の法線方向に対して傾斜するとともに接続部41近傍で貫通部42を通過するように飛来した蒸着材料98のうち、基板92に到達することができる蒸着材料98の傾斜角度の最大値に相当する。なぜなら、角度θよりも大きな傾斜角度で飛来した蒸着材料98は、基板92に到達するよりも前に第2凹部35の壁面36に付着するからである。従って、角度θを小さくすることにより、大きな傾斜角度で飛来して貫通部42を通過した蒸着材料98が基板92に付着することを抑制することができ、これによって、周縁部分98bの形成を抑制することができる。すなわち、角度θを小さくすることは、基板92に付着する蒸着材料98の面積や厚みのばらつきの抑制を導く。このような観点から、例えば貫通孔25は、角度θが45度以下になるように形成される。なお図7においては、第2面21bにおける第2凹部35の寸法、すなわち、第2面21bにおける貫通孔25の開口寸法が、接続部41における第2凹部35の寸法r2よりも大きくなっている例を示した。すなわち、角度θの値が正の値である例を示した。しかしながら、図示はしないが、接続部41における第2凹部35の寸法r2が、第2面21bにおける第2凹部35の寸法よりも大きくなっていてもよい。すなわち、角度θの値は負の値であってもよい。
次に、第2凹部35の壁面36の高さrが小さくなるように蒸着マスク20を作製する場合に生じ得る課題について説明する。はじめに図9(a)〜(c)を参照して、蒸着マスク20の製造方法の概略を説明する。
蒸着マスク20の製造工程においては、はじめに図9(a)に示すように、第1面21aおよび第2面21bを含む金属板21を準備する。次に、図示はしないが、金属板21の第1面21a上に第1レジストパターンを形成し、また第2面21b上に第2レジストパターンを形成する。その後、図9(b)に示すように、金属板21の第2面21bのうち第2レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、第2凹部35を形成する第2面エッチング工程を実施する。次に、図9(c)に示すように、金属板21の第1面21aのうち第1レジストパターンによって覆われていない領域をエッチングして、第1凹部30を形成する第1面エッチング工程を実施する。
このような方法で蒸着マスク20を作製する場合に、第2凹部35の壁面36の高さrを低減する方法としては、例えば以下の2つの方法が考えられる。
1つは、第1面エッチング工程の実施期間を比較的に長く設定し、これによって図10に示すように、第1凹部30と第2凹部35とが接続する接続部41をより第2面21b側に位置付ける、という方法である。しかしながら、この場合、第1面21a側からのエッチングが過剰に進行し、この結果、第1面21aが有効領域22の全域にわたってエッチングされてしまうことが考えられる。この場合、有効領域22における蒸着マスク20の厚みTaが小さくなり、これによって、蒸着マスク20の強度を十分に確保できない恐れがある。
もう1つは、第2面エッチング工程の実施期間を比較的に短く設定し、これによって図11(a)に示すように、第2面21bに形成される第2凹部35の深さを小さくする、という方法である。この場合も、図11(b)に示すように、第1凹部30と第2凹部35とが接続する接続部41をより第2面21b側に位置付けることが可能になる。一方、第2面21bに形成される第2凹部35の深さが小さいので、第2凹部35の壁面36が第2面21bに対して成す角度が小さくなってしまう。このため、第1凹部30を形成する第1面エッチング工程の実施時間が、所望の時間から若干ずれた場合、例えば若干短くなった場合、図11(b)において一点鎖線で示すように、第1凹部30と第2凹部35とが接続する接続部41の位置が、貫通孔25の中心側へ大きくずれることになる。すなわち、第1面エッチング工程のばらつきに起因して、貫通孔25の貫通部42の寸法rにばらつきが生じやすくなる。
このような課題を考慮し、本実施の形態においては、蒸着マスク20を作製するための金属板21として、後述する第1層および第2層を含む金属板21を用いることを提案する。以下、金属板21を用いて蒸着マスクを製造する方法について、主に図12〜図21を参照して説明する。以下に説明する蒸着マスク20の製造方法では、図12に示すように、長尺金属板64が供給され、この長尺金属板64に貫通孔25が形成され、さらに長尺金属板64を断裁することによって枚葉状の金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。
より具体的には、蒸着マスク20の製造方法、帯状に延びる長尺の金属板64を供給する工程と、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングを長尺の金属板64に施して、長尺金属板64に第2面64bの側から第2凹部35を形成する第2面エッチング工程と、長尺金属板64に第1面64aの側から第1凹部30を形成する第1面エッチング工程と、を含んでいる。そして、長尺金属板64に形成された第1凹部30と第2凹部35とが互いに通じ合うことによって、長尺金属板64に貫通孔25が作製される。
(蒸着マスクの製造方法)
図12には、蒸着マスク20を作製するための製造装置60が示されている。図12に示すように、まず、長尺金属板64をコア61に巻き取った巻き体62が準備される。そして、このコア61が回転して巻き体62が巻き出されることにより、図12に示すように帯状に延びる長尺金属板64が供給される。なお、長尺金属板64は、貫通孔25を形成されて枚葉状の金属板21、さらには蒸着マスク20をなすようになる。
図13は、長尺金属板64を示す断面図である。図13に示すように、長尺金属板64は、第1層81と、第1層81よりも長尺金属板64の第2面64b側に位置する第2層と、を含んでいる。ここでは、第1層81が長尺金属板64の第1面64aを構成し、第2層82が長尺金属板64の第2面64bを構成し、かつ第1層81と第2層82とが接している例が示されている。
第1層81および第2層82は、長尺金属板64の第1面64aをエッチングして第1凹部30を形成するために用いられる後述する第1エッチング液が、第1層81に対する選択性を有するように構成されている。より具体的には、第1エッチング液に対する第2層82の溶解速度は、第1エッチング液に対する第1層81の溶解速度よりも小さくなっている。例えば、第1エッチング液に対する第2層82の溶解速度は、第1エッチング液に対する第1層81の溶解速度の1/2以下になっており、より好ましくは1/10以下になっている。
以下、第1層81、第2層82および第1エッチング液の組み合わせの例を挙げる。第1層81が、ニッケルを含む鉄合金を有する場合、第1エッチング液としては、塩化第2鉄溶液を含むものを用いることができる。この場合、第2層82を構成する材料としては、塩化第2鉄溶液に溶解し難いものが用いられ、例えば、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを含む、単体の金属または合金が用いられる。
図13に示すように、第2層82が長尺金属板64の第2面64bを構成し、かつ第1層81と第2層82とが接している場合、第2面64bに形成される第2凹部35の壁面36の高さrは、第2層82の厚みに等しくなる。この場合、第2層82の厚みは、6μm以下に設定されることが好ましい。
第1層81の厚みは、蒸着マスク20の厚みtが上述の好ましい範囲内になるように設定される。すなわち、蒸着マスク20の厚みtが、80μm以下に、例えば10〜80μmの範囲内や20〜80μmの範囲内に設定される場合、第1層81の厚みも同様に、80μm以下に、例えば10〜80μmの範囲内や20〜80μmの範囲内に設定される。
第1層81および第2層82を含む長尺金属板64を作製する方法が特に限られることはなく、公知の方法が適宜用いられ得る。例えば、はじめに、インバー材から構成された母材を準備する。次に、母材の圧延およびアニールを繰り返すことにより、所定の厚みを有する長尺状の、インバー材からなる第1層81を得ることができる。その後、第1層81上に第2層82を形成することにより、図13に示す長尺金属板64を得ることができる。第1層81上に第2層82を形成する方法としては、スパッタリングなどの物理製膜法や、化学成膜法などを適宜用いることができる。
ところで、第1層81の表面には一般に、所定の表面粗さが存在している。例えば、第1層81の面のうち第2層82側の面における算術平均粗さSaは、0.1〜0.3μmの範囲内になっている。この場合、スパッタリングなどによって第1層81の面上に形成される第2層82の厚みが小さすぎると、第2層82が第1層81の表面の凹凸に追従できなくなり、第1層81の面上で第2層82が部分的に不連続になってしまうことが考えられる。すなわち、他の第2層82の部分から分離された、島状の第2層82が、第1層81の面上に形成されることがある。この場合、後述する第1面エッチング工程において、島状の第2層82が接している第1層81がエッチングされてしまうと、島状の第2層82も同時に除去されてしまう。このような事態を防ぐため、好ましくは、第2層82の厚みは、第1層81の表面の凹凸に追従することができるように設定される。例えば、第2層82の厚みは、第1層81の面のうち第2層82側の面における算術平均粗さSa以上になっている。より具体的には、第2層82の厚みは0.3μm以上になっており、より好ましくは0.5μm以上になっている。
供給された長尺金属板64は、搬送ローラー72によって、エッチング装置(エッチング手段)70に搬送される。エッチング手段70によって、図14〜図21に示された各処理が施される。なお本実施の形態においては、長尺金属板64の幅方向に複数の蒸着マスク20が割り付けられるものとする。すなわち、複数の蒸着マスク20が、長手方向において長尺金属板64の所定の位置を占める領域から作製される。この場合、好ましくは、蒸着マスク20の長手方向が長尺金属板64の圧延方向に一致するよう、複数の蒸着マスク20が長尺金属板64に割り付けられる。
まず、図14に示すように、長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上にネガ型の感光性レジスト材料を含むレジスト膜65c、65dを形成する。レジスト膜65c、65dを形成する方法としては、感光性レジスト材料を含む層が形成されたフィルム、いわゆるドライフィルムを長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上に貼り付ける方法や、感光性レジスト材料を含む塗布液を長尺金属板64の第1面64a上および第2面64b上に塗布する方法など、様々な方法が適宜採用され得る。
次に、レジスト膜65c、65dのうちの除去したい領域に光を透過させないようにした露光マスク85a、85bを準備し、露光マスク85a、85bをそれぞれ図15に示すようにレジスト膜65c、65d上に配置する。露光マスク85a、85bとしては、例えば、レジスト膜65c、65dのうちの除去したい領域に光を透過させないようにしたガラス乾板が用いられる。その後、真空密着によって露光マスク85a、85bをレジスト膜65c、65dに十分に密着させる。
なお感光性レジスト材料として、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合、露光マスクとして、レジスト膜のうちの除去したい領域に光を透過させるようにした露光マスクが用いられる。
その後、レジスト膜65c、65dを露光マスク85a、85b越しに露光する。さらに、露光されたレジスト膜65c、65dに像を形成するためにレジスト膜65c、65dを現像する(現像工程)。以上のようにして、図16に示すように、長尺金属板64の第1面64a上に第1レジストパターン65aを形成し、長尺金属板64の第2面64b上に第2レジストパターン65bを形成することができる。なお現像工程は、レジスト膜65c、65dの硬度を高めるためのレジスト熱処理工程を含んでいてもよい。
次に、図17に示すように、長尺金属板64の第2面64bのうち第2レジストパターン65bによって覆われていない領域を、第2エッチング液を用いてエッチングする第2面エッチング工程を実施する。例えば、第2エッチング液が、搬送される長尺金属板64の第2面64bに対面する側に配置されたノズルから、第2レジストパターン65b越しに長尺金属板64の第2面64bに向けて噴射される。この結果、図17に示すように、長尺金属板64のうちの第2レジストパターン65bによって覆われていない領域で、第2エッチング液による浸食が進む。これによって、長尺金属板64の第2面64bに多数の第2凹部35が形成される。この第2面エッチング工程は、第2凹部35が長尺金属板64の第2層82を貫通するようになるまで少なくとも実施される。
第2エッチング液としては、第2層82を溶解することができるものが用いられる。例えば、第2層82がチタンやチタン合金(TiW、TiN等)を含む場合、第2エッチング液として、過酸化水素を含むものを用いることができる。より具体的には、三菱ガス化学株式会社製のチタン膜エッチング剤であるWLC−Tを用いることができる。
第2面エッチング工程の実施期間やエッチング条件は、第2層82の厚みに応じて適宜設定される。例えば第2層82の厚みが0.5μmである場合、50度に加熱された第2エッチング液を用いて2分間にわたって第2面エッチング工程を実施することができる。
なお図17には、第2エッチング液によっては第1層81がエッチングされない例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、第2層82に加えて第1層81をも溶解させるエッチング液が、第2面エッチング工程において第2エッチング液として使用されてもよい。
その後、図18に示すように、後の第1面エッチング工程において用いられる第1エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第2凹部35が被覆される。すなわち、第1エッチング液に対する耐性を有した樹脂69によって、第2凹部35が封止される。図18に示す例において、樹脂69の膜が、形成された第2凹部35だけでなく、第2面64b(第2レジストパターン65b)も覆うように形成されている。なお、第2層82が第1エッチング液に対して極めて高い耐性を有する場合、このような樹脂69が設けられなくてもよい。
次に、図19に示すように、長尺金属板64の第1面64aのうち第1レジストパターン65aによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングし、第1面64aに第1凹部30を形成する第1面エッチング工程を実施する。第1面エッチング工程は、第2凹部35と第1凹部30とが互いに通じ合い、これによって貫通孔25が形成されるようになるまで実施される。第1エッチング液としては、上述のように、第1層81に対する選択性を有するものが用いられ、例えば塩化第2鉄溶液(ボーメ50度、42°)および塩酸を含むものが用いられる。
なお第1エッチング液による浸食は、長尺金属板64のうちの第1エッチング液に触れている部分において行われていく。従って、浸食は、長尺金属板64の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、長尺金属板64の板面に沿った方向にも進んでいく。ここで好ましくは、第1面エッチング工程は、第1レジストパターン65aの隣り合う二つの孔66aに対面する位置にそれぞれ形成された二つの第1凹部30が、二つの孔66aの間に位置するブリッジ部67aの裏側において合流するよりも前に終了される。これによって、図20に示すように、長尺金属板64の第1面64aに上述のトップ部43を残すことができる。
その後、図21に示すように、長尺金属板64から樹脂69が除去される。樹脂69は、例えばアルカリ系剥離液を用いることによって、除去することができる。アルカリ系剥離液が用いられる場合、図21に示すように、樹脂69と同時にレジストパターン65a,65bも除去される。なお、樹脂69を除去した後、樹脂69とは別途にレジストパターン65a,65bを除去してもよい。
このようにして多数の貫通孔25が形成された長尺金属板64は、当該長尺金属板64を狭持した状態で回転する搬送ローラー72,72により、切断装置(切断手段)73へ搬送される。なお、この搬送ローラー72,72の回転によって長尺金属板64に作用するテンション(引っ張り応力)を介し、上述した供給コア61が回転させられ、巻き体62から長尺金属板64が供給されるようになっている。
その後、多数の貫通孔25が形成された長尺金属板64を切断装置(切断手段)73によって所定の長さおよび幅に切断することにより、多数の貫通孔25が形成された枚葉状の金属板21が得られる。
以上のようにして、多数の貫通孔25を形成された金属板21からなる蒸着マスク20が得られる。ここで本実施の形態によれば、金属板21の元となる長尺金属板64は、第1層81と、第1層81よりも長尺金属板64の第2面64b側に位置する第2層82と、を含んでいる。これら第1層81および第2層82は、第1面エッチング工程において用いられる第1エッチング液に対する第2層82の溶解速度が、第1エッチング液に対する第1層81の溶解速度よりも小さくなるよう、構成されている。このため、長尺金属板64の第1面64aに第1凹部30を形成する第1面エッチング工程の際に、第2層82がエッチングされることを抑制することができる。
ここで、第1凹部30の断面積の最小値が第2凹部35の断面積の最小値以上になるまで第1面エッチング工程を実施する場合、貫通孔25の断面積の最小値は、第2凹部35の断面積の最小値に等しくなる。すなわち、第2層82の面のうち第1層81側の面上における第2凹部35が、貫通孔25の貫通部42を画成するようになる。従って、貫通部42の寸法rは、第2層82に形成された第2凹部35によって定められる。また、第2凹部35の壁面36の高さrは、第2層82の厚みに等しくなる。このように、基板92に付着する蒸着材料98の厚みや面積を決定する上で重要なパラメータとなる、第2凹部35の壁面36の高さrおよび貫通部42の寸法rはいずれも、第2層82に基づいて定められる。また第2層82は、第1面エッチング工程において用いられる第1エッチング液に対して溶解し難いように構成されている。このため、第1面エッチング工程の実施期間などに応じて第2凹部35の壁面36の高さrおよび貫通部42の寸法rが変動することを抑制することができる。従って、第1面エッチング工程の条件を、壁面36の高さrおよび貫通部42の寸法r以外のパラメータに焦点を当てて決定することができる。例えば、適切な幅βを有するトップ部43を残すということに焦点を当てて、第1面エッチング工程の条件を決定することができる。このため本実施の形態によれば、所望の画素密度に応じて適切に設定された、貫通部42の寸法rと、比較的に小さく設定された、第2凹部35の壁面36の高さrと、所望の幅βを有するトップ部43と、を備えた蒸着マスク20を作製することができる。
(蒸着方法)
次に、得られた蒸着マスク20を用いて基板92上に蒸着材料を蒸着させる方法について説明する。はじめに図2に示すように、蒸着マスク20の第2面20bを基板92の面に密着させる。この際、図示しない磁石などを用いて、蒸着マスク20の第2面20bを基板92の面に密着させてもよい。また図1に示すように、複数の蒸着マスク20をフレーム15に張設することによって、蒸着マスク20の面が基板92の面に平行になるようにする。その後、るつぼ94内の蒸着材料98を加熱することにより、蒸着材料98を気化または昇華させる。気化または昇華した蒸着材料98は、蒸着マスク20の貫通孔25を通って基板92に付着する。この結果、蒸着マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98が基板92の表面に成膜される。
ここで本実施の形態によれば、上述のように、蒸着マスク20の第2凹部35の壁面36の高さrを比較的小さくすることができる。このため、基板92に付着した蒸着材料98の厚みや面積がばらついてしまうことを抑制することができる。また、第1面エッチング工程の実施期間などに応じて貫通部42の寸法rが変動することが抑制されているので、所望の画素密度で蒸着材料98を基板92に製膜することができる。また、所望の幅βを有するトップ部43を第1面20a側に残すことができるので、蒸着マスク20に十分な強度を持たせることができる。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、必要に応じて図面を参照しながら、変形例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。また、上述した実施の形態において得られる作用効果が変形例においても得られることが明らかである場合、その説明を省略することもある。
上述の図21においては、第1層81の面のうち第2層82側の面上における第1凹部30の寸法と、第2層82の面のうち第1層81側の面上における第2凹部35の寸法とが一致している例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図22に示すように、第1層81の面のうち第2層82側の面上における第1凹部30の寸法が、第2層82の面のうち第1層81側の面上における第2凹部35の寸法よりも大きくなっていてもよい。図22に示す第1凹部30は、図21に示す場合よりも第1面エッチング工程の実施期間を長くすることによって形成され得る。この場合であっても、基板92に付着する蒸着材料98の厚みや面積を決定する上で重要なパラメータとなる、第2凹部35の壁面36の高さrおよび貫通部42の寸法rはいずれも、第2層82に基づいて定められるので、蒸着工程の精度を十分に確保することができる。
また上述の本実施の形態においては、長尺金属板64の幅方向に複数の蒸着マスク20が割り付けられる例を示した。また、蒸着工程において、複数の蒸着マスク20がフレーム15に取り付けられる例を示した。しかしながら、これに限られることはなく、図23に示すように、金属板21の幅方向および長手方向の両方に沿って格子状に配置された複数の有効領域22を有する蒸着マスク20が用いられてもよい。
20 蒸着マスク
21 金属板
21a 金属板の第1面
21b 金属板の第2面
22 有効領域
23 周囲領域
25 貫通孔
30 第1凹部
31 壁面
35 第2凹部
36 壁面
43 トップ部
64 長尺金属板
64a 長尺金属板の第1面
64b 長尺金属板の第2面
65a 第1レジストパターン
65b 第2レジストパターン
65c 第1レジスト膜
65d 第2レジスト膜
81 第1層
82 第2層
98 蒸着材料

Claims (13)

  1. 複数の貫通孔が形成された蒸着マスクを製造する方法であって、
    第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含む金属板を準備する工程と、
    前記金属板の前記第1面上に第1レジストパターンを形成し、前記金属板の前記第2面上に第2レジストパターンを形成する工程と、
    前記金属板の前記第2面のうち前記第2レジストパターンによって覆われていない領域を、第2エッチング液を用いてエッチングし、前記金属板の前記第2面に第2凹部を形成する第2面エッチング工程と、
    前記金属板の前記第1面のうち前記第1レジストパターンによって覆われていない領域を、第1エッチング液を用いてエッチングし、前記金属板の前記第1面に第1凹部を形成する第1面エッチング工程と、を備え、
    前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置し、0.5μm以上6μm以下の厚みを有する第2層と、を含み、
    前記第2層の厚みは、前記第1層の面のうち前記第2層側の面における算術平均粗さSa以上であり、
    前記第2面エッチング工程は、前記第2凹部が前記金属板の前記第2層を貫通するようになるまで少なくとも実施され、
    前記第1面エッチング工程は、前記第2凹部と前記第1凹部とが互いに通じ合い、これによって前記貫通孔が形成されるようになるまで実施され、
    前記第1エッチング液に対する前記金属板の前記第2層の溶解速度は、前記第1エッチング液に対する前記金属板の前記第1層の溶解速度よりも小さくなっている、蒸着マスクの製造方法。
  2. 前記第1エッチング液は、塩化第2鉄溶液を含み、
    前記金属板の前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、
    前記金属板の前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有する、請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法。
  3. 前記第1エッチング液に対する前記第2層の溶解速度は、前記第1エッチング液に対する前記第1層の溶解速度の1/2以下である、請求項1又は2に記載の蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔が形成された有効領域と、前記有効領域の周囲に位置する周囲領域と、に区画され、
    前記第1面エッチング工程は、前記金属板の前記第1面が前記有効領域の全域にわたってはエッチングされず、この結果、エッチングされなかった部分がトップ部として残るように実施される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 前記金属板の前記第1層の厚みが、80μm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  6. 請求項1に記載の蒸着マスクの製造方法で使用される金属板であって、
    前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置し、0.5μm以上6μm以下の厚みを有する第2層と、を含み、
    前記第2層の厚みは、前記第1層の面のうち前記第2層側の面における算術平均粗さSa以上であり、
    前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、
    前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有する、金属板。
  7. 前記第1層の厚みが、80μm以下である、請求項6に記載の金属板。
  8. 前記第1層の面のうち前記第2層側の面における算術平均粗さSaが0.1〜0.3μmの範囲内である、請求項6又は7に記載の金属板。
  9. 第1面および前記第1面の反対側に位置する第2面を含む金属板と、
    前記金属板の前記第1面と前記第2面との間を延びる複数の貫通孔と、を備え、
    前記金属板は、第1層と、前記第1層よりも前記金属板の前記第2面側に位置する第2層と、を含み、
    前記第2層の厚みは、前記第1層の面のうち前記第2層側の面における算術平均粗さSa以上であり、
    前記貫通孔は、前記第2層を貫通するように前記金属板の前記第2面に形成された第2凹部と、前記第2凹部に接続されるように前記金属板の前記第1面に形成された第1凹部と、を有し、
    前記第2面における前記第2凹部の寸法が、前記第2凹部が前記第1凹部に接続される接続部における前記第2凹部の寸法よりも大きく、
    前記金属板の前記第1層は、ニッケルを含む鉄合金を有し、
    前記金属板の前記第2層は、チタン、タンタル、ニオブ、金または白金の少なくともいずれか1つを有する、蒸着マスク。
  10. 前記金属板の前記第2層の厚みが、6μm以下である、請求項9に記載の蒸着マスク。
  11. 前記金属板の前記第2層の厚みが、0.5μm以上である、請求項9又は10に記載の蒸着マスク。
  12. 前記蒸着マスクは、複数の前記貫通孔が形成された有効領域と、前記有効領域の周囲に位置する周囲領域と、に区画され、
    前記第1凹部は、前記金属板の前記第1面の前記有効領域において、隣接する2つの前記第1凹部が互いに接続されないように形成されている、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
  13. 前記金属板の前記第1層の厚みが、80μm以下である、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の蒸着マスク。
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