JP6357777B2 - 積層マスクの製造方法 - Google Patents

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本発明は、所望のパターンに設けられた複数の貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法に係り、とりわけ、蒸着のパターニング精度を向上できる積層マスクの製造方法に関する。また、本発明は、所望のパターンに設けられた複数の貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクを含む保護フィルム付き積層マスクに係り、とりわけ、蒸着のパターニング精度を向上できる保護フィルム付き積層マスクに関する。
従来、所望のパターンで配列された貫通孔を含む蒸着用のマスクを用い、所望のパターンで薄膜を形成する方法が知られている。そして、昨今においては、例えば有機EL表示装置の製造時において有機材料を基板上に蒸着する場合等、極めて高価な材料を成膜する際に蒸着が用いられることがある。なお、蒸着用のマスクは、一般的に、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチングによって金属板に貫通孔を形成することにより、製造され得る(例えば、特許文献1)。
蒸着用のマスクを用いて蒸着材料を基板に成膜する場合、蒸着材料は、貫通孔の形状に沿って基板上に蒸着され、基板上に画素が形成される。
特開2004−39319号公報
ところで、蒸着用のマスクの金属板に貫通孔をエッチングにより形成する場合、貫通孔を形成する位置にゴミなどの障害物が存在していると、金属板の材料が残存して欠陥部が形成され、貫通孔に不具合が生じ得る。すなわち、形成される貫通孔が、所望の形状より小さくなるという不具合や、所望の位置に貫通孔が形成されないという不具合が生じる場合がある。この場合、金属板の欠陥部にレーザ光を照射して欠陥部の金属材料を昇華させて除去し、貫通孔の平面形状を所望の形状に修正するという対策が考えられ得る。
しかしながら、レーザ光を金属板の欠陥部に照射する場合、欠陥部を精度良く除去することは困難である。このため、貫通孔の形状の精度が低下し、蒸着のパターニングの精度の向上が困難になっているという問題がある。
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、蒸着のパターニング精度を向上できる積層マスクの製造方法および保護フィルム付き積層マスクを提供することを目的とする。
本発明は、
複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法において、
第1面と、前記第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には前記基板側に配置される第2面とを有する金属基材と、前記金属基材の前記第2面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に設けられた金属レジスト層と、を有する積層体を準備する工程と、
前記積層体の前記金属基材の前記第1面に第1レジスト層を設けると共に、前記金属レジスト層の前記樹脂層側とは反対側の面に第2レジスト層を設ける工程と、
前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を露光して現像することにより、前記第1レジスト層に第1レジスト層開口部を形成すると共に、前記第2レジスト層に第2レジスト層開口部を形成する工程と、
前記第2レジスト層開口部を介して前記金属レジスト層をエッチングし、当該金属レジスト層に金属レジスト層開口部を形成する工程と、
前記金属レジスト層開口部を介して前記樹脂層をエッチングし、当該樹脂層に樹脂層開口部を形成する工程と、
前記第1レジスト層開口部を介して前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程であって、当該金属基材に、前記樹脂層開口部に連通して当該樹脂層開口部とともに前記貫通孔を画成する基材穴を形成する工程と、を備え、
前記樹脂層開口部の壁面は、前記基材穴の壁面よりも前記貫通孔の内側に配置されることを特徴とする積層マスクの製造方法、
を提供する。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程において、前記第2レジスト層が除去される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記第1レジスト層開口部および前記第2レジスト層開口部を形成する工程の後、前記金属レジスト層をエッチングする工程の前に、前記金属基材の前記第1面に、当該第1面および前記第1レジスト層を覆う第1面側保護フィルムが設けられる、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記第1面側保護フィルムが除去される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に、第2面側保護フィルムが設けられ、前記第2面側保護フィルムが設けられた後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記第1面側保護フィルムが除去される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に、第2面側保護フィルムが設けられる、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記第2面側保護フィルムは、UV光を照射することにより前記樹脂層から剥離可能である、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記金属レジスト層は、前記樹脂層上にスパッタリングにより設けられたシード層と、前記シード層上にめっきにより設けられためっき層と、を含む、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の欠陥部にレーザ光を照射して当該欠陥部を除去することにより前記樹脂層開口部の輪郭を修正する、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層は、ポリイミドにより形成される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層開口部を介して前記金属基材を前記第2面側からエッチングし、当該金属基材の当該第2面側に基材凹部を形成する工程を更に備え、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程において、前記基材穴は、前記基材凹部を包含するように形成される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする際、前記貫通孔が形成される領域における前記第1レジスト層が除去される、ようにしてもよい。
本発明による積層マスクの製造方法において、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程において、前記基材穴の壁面の先端縁は、当該基材穴に隣り合う他の前記基材穴の壁面の先端縁と合流する、ようにしてもよい。
本発明は、
複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクを含む保護フィルム付き積層マスクにおいて、
前記積層マスクと、
前記積層マスクに設けられた第2面側保護フィルムと、を備え、
前記積層マスクは、
第1面と、前記第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には前記基板側に配置される第2面とを有する金属基材と、
前記金属基材の前記第2面に設けられた樹脂層と、を有し、
前記金属基材は、基材穴を有し、
前記樹脂層は、前記基材穴に連通して当該基材穴とともに前記貫通孔を画成する樹脂層開口部を有し、
前記樹脂層開口部の壁面は、前記基材穴の壁面よりも前記貫通孔の内側に配置され、
前記第2面側保護フィルムは、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に、設けられていることを特徴とする保護フィルム付き積層マスク、
を提供する。
本発明による保護フィルム付き積層マスクにおいて、前記第2面側保護フィルムは、UV光を照射することにより前記樹脂層から剥離可能である、ようにしてもよい。
本発明による保護フィルム付き積層マスクにおいて、前記樹脂層は、ポリイミドにより形成されている、ようにしてもよい。
本発明による保護フィルム付き積層マスクにおいて、前記基材穴の壁面の先端縁は、当該基材穴に隣り合う他の前記基材穴の壁面の先端縁と合流している、ようにしてもよい。
本発明によれば、蒸着のパターニング精度を向上できる。
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、積層マスクを含む積層マスク装置の一例を示す概略平面図である。 図2は、図1に示す積層マスク装置を用いて蒸着する方法を説明するための図である。 図3は、図1に示す積層マスクを示す平面図である。 図4は、図3に示す積層マスクの部分拡大平面図である。 図5は、図4のI−I線に沿った断面に相当する図であって、保護フィルム付き積層マスクを示す断面図である。 図6は、図5に示す保護フィルム付き積層マスクを積層マスク装置のフレームに溶接する状態を示す断面図である。 図7は、第2面側保護フィルムを積層マスクから剥離する状態を示す断面図である。 図8は、図1に示す積層マスクの製造方法の一例を全体的に説明するための模式図である。 図9は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、積層体を示す図である。 図10は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、積層体に第1レジスト層および第2レジスト層が形成される工程を説明するための図である。 図11は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、レジスト層が露光される工程を説明するための図である。 図12は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、レジスト層が現像される工程を説明するための図である。 図13は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、第1面側保護フィルムが設けられる工程を説明するための図である。 図14は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、金属レジスト層がエッチングされる工程を説明するための図である。 図15は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、樹脂層がエッチングされる工程を説明するための図である。 図16は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、金属板が第2面側からエッチングされる工程を説明するための図である。 図17は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、第2面側保護フィルムが設けられる工程を説明するための図である。 図18は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、第1面側保護フィルムが除去される工程を説明するための図である。 図19は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、金属板が第1面側からエッチングされる工程を説明するための図である。 図20は、積層マスクの製造方法の一例を説明するための図であって、第1レジスト層が除去される工程を説明するための図である。 図21は、図5に示す保護フィルム付き積層マスクの変形例を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図20は本発明による一実施の形態を説明するための図である。以下の実施の形態およびその変形例では、有機ELディスプレイ装置を製造する際に有機発光材料などの蒸着材料を、後述する複数の貫通孔を介して所望のパターンでガラス基板上に蒸着するために使用される積層マスク、保護フィルム付き積層マスクおよび積層マスクの製造方法を例にあげて説明する。ただし、このような適用に限定されることなく、種々の用途に用いられる積層マスク、保護フィルム付き積層マスクおよび積層マスクの製造方法に対し、本発明を適用することができる。
なお、本明細書において、「板」、「シート」、「フィルム」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念であり、したがって、例えば「金属板」は、「金属シート」や「金属フィルム」と呼ばれる部材と呼称の違いのみにおいて区別され得ない。
また、「板面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の板面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」、「同心」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
まず、製造方法対象となる積層マスクを含む積層マスク装置の一例について、主に図1〜図5を参照して説明する。ここで、図1は、積層マスクを含む積層マスク装置の一例を示す概略平面図であり、図2は、図1に示す積層マスク装置の使用方法を説明するための図であり、図3は、図1に示す積層マスクを示す平面図である。図4は、積層マスクの部分拡大平面図であり、図5は、図4のI−I線に沿った断面に相当する図である。
図1および図2に示された積層マスク装置10は、開口部15aを有し、枠状に形成された金属製のフレーム(金属枠体)15と、フレーム15の開口部15a上に積層マスク20の幅方向(長手方向に直交する方向、横方向)に並列配置された帯状の複数の積層マスク20と、を備えている。このうち積層マスク20は、概略的にはシート状に形成されており、金属板21と、金属板21のフレーム15の側とは反対側の面に設けられた樹脂層26と、を有している(図5、図6参照)。このような積層マスク20には、多数の貫通孔25が設けられている。この積層マスク装置10は、図2に示すように、積層マスク20が蒸着対象物である基板、例えばガラス基板92に対面するようにして蒸着装置90内に支持され、ガラス基板92への蒸着材料の蒸着に使用される。
蒸着装置90内では、フレーム15の開口部15a内にガラス基板92が配置され、不図示の磁石からの磁力によって、積層マスク20と、ガラス基板92とが密着するようになる。蒸着装置90内には、この積層マスク装置10を挟んだガラス基板92の下方に、蒸着材料(一例として、有機発光材料)98を収容するるつぼ94と、るつぼ94を加熱するヒータ96とが配置されている。るつぼ94内の蒸着材料98は、ヒータ96からの加熱により、気化または昇華してガラス基板92の表面に付着するようになる。上述したように、積層マスク20には多数の貫通孔25が形成されており、蒸着材料98はこの貫通孔25を介してガラス基板92に付着する。この結果、積層マスク20の貫通孔25の位置に対応した所望のパターンで、蒸着材料98がガラス基板92の表面に成膜される。
図1および図3に示すように、本実施の形態において、積層マスク20は、平面視において帯状の略四角形形状、さらに正確には平面視において帯状の略矩形状の輪郭を有している。積層マスク20は、積層マスク20の長手方向に配列され、規則的な配列で複数の貫通孔25が形成された複数の有効領域22と、各有効領域22を取り囲む周囲領域23と、を含んでいる。このうち周囲領域23は、基板へ蒸着されることを意図された蒸着材料が通過する領域ではない。例えば、有機ELディスプレイ装置用の有機発光材料の蒸着に用いられる積層マスク20においては、有効領域22は、有機発光材料が蒸着して画素を形成するようになる基板(ガラス基板92)上の区域、すなわち、作製された有機ELディスプレイ装置用基板の表示面をなすようになる基板上の区域に対面する、積層マスク20内の領域のことである。ただし、種々の目的から、周囲領域23に貫通孔や凹部が形成されていてもよい。図1に示された例において、各有効領域22は、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している。
図示された例において、複数の有効領域22は、積層マスク20の長手方向に沿って所定の間隔を空けて配置されている。このような複数の有効領域22を含む積層マスク20が、その幅方向に配列されて、図1に示す積層マスク装置10が構成されている。一つの有効領域22が一つの有機ELディスプレイ装置に対応するようになっており、図1に示す積層マスク装置10においては、多面付蒸着が可能となっている。
図4に示すように、図示された例において、各有効領域22に形成された複数の貫通孔25は、当該有効領域22において、互いに直交する二方向に沿ってそれぞれ所定のピッチで配列されている。図4には、各貫通孔25が、平面視で、略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有している例を示している。より具体的には、後述する基材穴30および樹脂層26の樹脂層開口部27が、それぞれ、平面視で、略四角形形状あるいは略矩形形状の輪郭を有し、各貫通孔25に、互いに連通した基材穴30および樹脂層開口部27が一つずつ形成されている。
積層マスク20に形成された貫通孔25の一例について、図4および図5を主に参照して更に詳述する。
図4は、積層マスク20を第1面20a側から示す部分平面図である。また、図5は、図4のI−I線に沿った断面に相当する図である。
図4および図5に示すように、積層マスク20は、第1面21aと、第1面21aとは反対側に設けられた第2面21bと、を有する金属板(金属基材)21と、金属板21の第2面21bに設けられた樹脂層26と、を有している。金属板21の第2面21bは、蒸着時(すなわち、蒸着装置90内に取り付けられた際)には、ガラス基板92の側に配置される。
金属板21は、36%Niインバー材により形成することができ、金属板21の厚さは、例えば、10μm〜100μmとすることが好適である。
樹脂層26は、後述する湿式エッチング(Wetエッチング)に好適な材料であれば任意の材料を用いることができ、例えば、ポリイミドにより形成することが好適である。樹脂層26の厚さは、例えば、1μm〜10μm、特に3μmとすることが好適である。この場合、ガラス基板92上の貫通孔25に対面する領域内に、蒸着材料98をムラ無く蒸着することができ、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善しながら所望のパターンでの蒸着を安定して高精度に実施することができる。また、本実施の形態による積層マスク20の熱膨張率を、積層マスク装置10のフレームと略同一とすることができる。すなわち、樹脂層26が厚く形成される場合には、樹脂層26の熱膨張率の影響が大きくなり得るが、樹脂層26が薄く形成される場合には、樹脂層26の熱膨張率の影響を小さくすることができる。このため、積層マスク20の熱膨張率を、積層マスク装置10のフレーム15の熱膨張率と略同一にすることができる。なお、樹脂層26は、後述するYAGレーザ光L1に対して透過性を有していることが好ましいが、上述したポリイミドは、レーザ光透過性を有している。
複数の貫通孔25は、積層マスク20の法線方向に沿った一方の側となる第1面20aと、積層マスク20の法線方向に沿った他方の側となる第2面20bと、の間を延びるとともに、樹脂層26を貫通している。すなわち、貫通孔25は積層マスク20を貫通している。
図示された例では、後に詳述するように、金属板21に基材穴30が設けられている。すなわち、積層マスク20の法線方向における一方の側となる金属板21の第1面21aの側から金属板21にエッチングによって基材穴30が形成されている。この基材穴30は貫通孔25を形成している。
図5に示すように、積層マスク20の法線方向における一方の側から他方の側へ向けて、すなわち、積層マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側へ向けて、積層マスク20の法線方向に沿った各位置における積層マスク20の板面に沿った断面での各基材穴30の断面積は、しだいに小さくなっていく。言い換えると、積層マスク20の法線方向に沿った断面において、積層マスク20の法線方向に沿った各位置における積層マスク20の板面に沿った各基材穴30の幅は、積層マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側に向けて、しだいに小さくなっていく。とりわけ図示された例では、積層マスク20の第1面20aの側から第2面20bの側に向け、各基材穴30の断面積は、小さくなるように変化し続けている。
樹脂層26は、貫通孔25を画成する樹脂層開口部27を有している。樹脂層開口部27は、基材穴30に略同心状に接続されており、樹脂層開口部27の壁面28は、積層マスク20の法線方向に沿って延びるように形成されている。また、樹脂層開口部27の壁面28は、基材穴30の壁面31よりも貫通孔25の内側に配置されている。言い換えると、図5に示す断面図においては、樹脂層26が貫通孔25内に突出するように形成されている。このようにして、樹脂層開口部27が、貫通孔25の最小断面積を持つ部分となっており、後述する金属板21の貫通部42における断面積よりも小さい断面積を有している。
図5に示すように、貫通孔25は、積層マスク20の第1面20aの側から形成された先細りする基材穴30と、樹脂層開口部27とが接続することによって、画成されている。図4および図5に示すように、図示された例では、一つの貫通孔25に対して、基材穴30および樹脂層開口部27がそれぞれ一つずつ形成されている。したがって、一つの基材穴30と、当該基材穴30に対応して設けられた樹脂層開口部27とが接続することにより、各貫通孔25が形成されている。
なお、図5に示すように、基材穴30の壁面31と、金属板21の第2面21bとは、周状の接続部41を介して接続されている。接続部41は、積層マスクの法線方向に対して傾斜した基材穴30の壁面31と、第2面21bとが合流する合流線によって、画成されている。そして、接続部41は、金属板21の領域内において、積層マスク20の平面視における貫通孔25の面積が最も小さくなる貫通部42を画成する。
図5に示すように、積層マスク20の第1面20a上において、隣り合う二つの貫通孔25は、積層マスク20の板面に沿って互いから離間している。すなわち、後述する製造方法のように、積層マスク20の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして基材穴30を形成する場合、隣り合う二つの基材穴30の間に金属板21の第1面21aが残存するようになる。
隣り合う二つの貫通孔25が積層マスク20の板面に沿って互いから離間しているため、積層マスクの強度を向上させることができる。このことにより、積層マスク20をフレーム15に張設した場合における積層マスク20の有効領域22内での変形を効果的に抑制することができ、これにより、所望のパターンでの蒸着を効果的に実施することができる。また、この場合、後述する長尺金属板71の搬送や切断、後述する第2面側保護フィルム84の除去、フレーム15への取付といった取り扱い処理中に、多数の貫通孔25が形成された有効領域22の変形を効果的に抑制することができる。
図2に示すようにして積層マスク装置10が蒸着装置90に収容された場合、図5に二点鎖線で示すように、積層マスク20の金属板21(より正確には金属板21の第1面20a)が蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置し、積層マスク20の樹脂層26がガラス基板92に対面する。したがって、蒸着材料98は、まず、次第に断面積が小さくなっていく基材穴30を通過し、その後、樹脂層開口部27を通過してガラス基板92に付着する。
基材穴30は、後に詳述するように、金属板21の第1面21aをエッチングすることにより形成される。エッチングによって形成される穴(または凹部)の壁面は、一般的に、浸食方向に向けて凸となる曲面状となる。したがって、エッチングによって形成された穴の壁面は、エッチングの開始側となる領域において切り立ち、エッチングの開始側とは反対側となる領域、すなわち穴の最も深い側においては、金属板21の法線方向に対して比較的に大きく傾斜するようになる。
上述したように、本実施の形態では、貫通孔25が各有効領域22において所定のパターンで配置されている。一例として、積層マスク20(積層マスク装置10)が携帯電話やデジタルカメラ等のディスプレイ(2〜5インチ程度)を作製するために用いられる場合、貫通孔25の配列ピッチPは、58μm(440ppi)以上254μm(100ppi)以下程度とすることができる。なお、カラー表示を行いたい場合には、貫通孔25が配列されている方向に沿って積層マスク20(積層マスク装置10)とガラス基板92とを少しずつ相対移動させ、赤色用の有機発光材料、緑色用の有機発光材料および青色用の有機発光材料を順に蒸着させていってもよい。また、積層マスク20(積層マスク装置10)が携帯電話のディスプレイを作製するために用いられる場合、各貫通孔25が配列されている方向に沿った幅(スリット幅)Wは、28μm以上84μm以下程度とすることができる。
次に、保護フィルム付き積層マスク50について説明する。
図6に示すように、保護フィルム付き積層マスク50は、上述した積層マスク20と、積層マスク20の樹脂層26の金属板21の側とは反対側の面に貼り付けられた第2面側保護フィルム84と、を有している。このように、積層マスク20に第2面側保護フィルム84を貼り付けることにより、積層マスク20の変形、とりわけ多数の貫通孔25が形成されている有効領域22の変形を効果的に抑制することができる。
この第2面側保護フィルム84は、後述するように、金属板21を第2面21bの側からエッチングして基材凹部35(図16参照)を形成した後に樹脂層26に貼り付けられて、その後に、第2面側保護フィルム84が貼り付けられた状態で金属板21を第1面21aの側からエッチングして基材穴30を形成することが好適である。すなわち、基材穴30が形成されると、貫通孔25の形状または大きさによっては、上述のような取り扱い処理中に、有効領域22が変形する可能性が生じる。しかしながら、基材穴30を形成する前に第2面側保護フィルム84が貼り付けられることにより、有効領域22の変形を効果的に抑制することができる。
第2面側保護フィルム84は、後述する長尺金属板71をエッチングするエッチング液(例えば、塩化第二鉄水溶液)に対する耐エッチング性を有していることが好適である。このことにより、後述する積層マスク20の製造時に、基材穴30を形成する際に、既に形成された基材凹部35を第2面側保護フィルム84によって封止して基材凹部35がエッチングされることを防止でき、基材凹部35の形状が損なわれることを防止できる。
第2面側保護フィルム84は、図6に示すように、保護フィルム基材84aと、保護フィルム基材84aの一方の面に設けられた粘着層84bと、を有している。このうち粘着層84bが樹脂層26に粘着されて、第2面側保護フィルム84が積層マスク20に貼り付けられる。第2面側保護フィルム84は、UV光L4(図7参照)を照射することにより樹脂層26から剥離可能であることが好ましい。すなわち、UV光を照射するまでは、エッチング工程などの間に第2面側保護フィルム84は樹脂層26から剥離し得ないが、UV光を照射した後では、樹脂層26から容易に剥離可能になることが好ましい。具体的には、粘着層84bが、UV光を照射することにより粘着力が低下する材料により形成されていることが好ましい。この場合、積層マスク20に貼り付けられた第2面側保護フィルム84にUV光を照射することにより、第2面側保護フィルム84を積層マスク20から容易に剥離することができる。なお、保護フィルム基材84aの材料としては、取り扱い処理時に積層マスク20の有効領域22が変形することを抑制できる程度の強度を有する材料であればよく、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)を挙げることができる。また、粘着層84bの材料としては、上述したように、UV光を照射することにより粘着力が低下する材料であればよく、例えば、アクリル系材料を挙げることができる。
さらに、第2面側保護フィルム84は、YAGレーザ光L1(図6参照)に対して透過性を有していることが好適である。この場合、後述するように、第2面側保護フィルム84が貼り付けられた積層マスク20(保護フィルム付き積層マスク50)を、積層マスク装置10のフレーム15に、レーザ光照射部85からYAGレーザ光L1を照射してスポット溶接することができる。
上述したような第2面側保護フィルム84が貼り付けられた積層マスク20は、積層マスク装置10のフレーム15の開口部15a上に並列配置されて、フレーム15に取り付けられている。フレーム15は、積層マスク20が撓むことを防止するように積層マスク20を張った状態に保持する。この場合、図2および図6に示すように、積層マスク20の金属板21が蒸着材料98を保持したるつぼ94側に位置する。
積層マスク20とフレーム15とは、例えばスポット溶接により互いに対して固定されている。すなわち、図6に示すように、第2面側保護フィルム84の側に設けられたレーザ光照射部85からフレーム15に向けてYAGレーザ光L1が照射され、照射されたYAGレーザ光L1が第2面側保護フィルム84および樹脂層26を透過し、YAGレーザ光L1のエネルギによって金属板21とフレーム15に溶接部86が形成されている。
第2面側保護フィルム84は、溶接が行われた後にUV光が照射されることにより、図7に示すように、第2面側保護フィルム84が金属板21から剥離される。これにより、フレーム15には、第2面側保護フィルム84が貼り付けられていない積層マスク20が取り付けられた状態となる。その後、積層マスク装置10は、図2に示す蒸着装置90に取り付けられる。
なお、積層マスク装置10は、高温雰囲気となる蒸着装置90の内部に保持される。したがって、積層マスク20およびフレーム15は、積層マスク20やフレーム15に撓みや熱応力が発生することを防止するため、熱膨張率が低い同一の材料によって形成されていることが好ましい。このような材料として、例えば、36%Niインバー材を用いることができる。
以上のような積層マスク20によれば、貫通孔25の一部を画成する樹脂層開口部27の壁面28が、基材穴30の壁面31よりも貫通孔25の内側に配置される。この場合、貫通孔25の最小断面積の部分を、形状精度の良い樹脂層開口部27によって画成することができる。すなわち、樹脂層開口部27は、後述するように、露光および現像によって形成された第2レジスト層開口部82を介して形成することができるため、貫通孔25の最小断面積の部分を精度良く形成することができる。このため、貫通孔25の形状の精度を向上させることができ、蒸着のパターニング精度を向上させることができる。とりわけ、有機ELディスプレイ装置では、高価な蒸着材料98を高精細なパターンで基板92上にパターニングすることが所望されている。このため、本実施の形態の積層マスク20は、有機ELディスプレイ装置を製造するために用いられる積層マスクに特に適している。
また、以上のような積層マスク20によれば、金属板21の第2面21bに、樹脂層26が形成されている。このことにより、樹脂層26によって、金属板21を支持することができ、金属板21の反りを防止し、金属板21の形状を安定させることができる。
また、以上のような保護フィルム付き積層マスク50によれば、多数の貫通孔25が形成された有効領域22が、第2面側保護フィルム84によって支持される。このことにより、有効領域22の変形を効果的に抑制することができ、ガラス基板92上に蒸着材料98を精度良くパターニングすることができる。
次に、このような積層マスク20の製造方法について、主に図8〜図20を用いて説明する。
図8には、積層マスク20を作製するための製造装置60が示されている。図8に示すように、まず、長尺金属板71を供給コア61に巻き取った巻き体62が準備される。そして、この供給コア61が回転して巻き体62が巻き戻されることにより、図8に示すように帯状に延びる長尺金属板71が供給される。長尺金属板71に樹脂層26および金属レジスト層72が積層されて長尺状の積層体70が形成される。この積層体70に貫通孔25が形成されるとともに第2面側保護フィルム84が貼り付けられて、その後切断されることにより枚葉状の保護フィルム付き積層マスク50が得られる。したがって、上述したように、長尺金属板71は、例えば36%Niインバー材からなる。ただし、これに限られず、ステンレス、銅、鉄、アルミニウムからなるシートを長尺金属板71として用いることも可能である。
供給された長尺金属板71は、搬送ローラ65によって、ラミネート装置(ラミネート手段)63に搬送される。ラミネート手段63によって、図9に示された積層体70が準備される。
ラミネート手段63においては、まず、巻き戻された長尺金属板71が表面処理されて、当該長尺金属板71の第1面71aおよび第2面71bが脱脂される。
続いて、長尺金属板71の第2面71b上に樹脂層26が形成される。具体的には、長尺金属板71の第2面71b上に、液状のポリイミドが塗布されて、硬化(キュア)され、これにより樹脂層26が形成される。
次に、樹脂層26の長尺金属板71の側とは反対側の面に、金属レジスト層72が形成される。ここでは、金属レジスト層72は、樹脂層26上にスパッタリングにより設けられたシード層73と、シード層73上にめっきにより設けられためっき層74と、を含んでいる例について説明する。
まず、樹脂層26上にシード層73が形成される。このシード層73は、後述するめっき層74を樹脂層26に密着させるためのものである。例えば、樹脂層26に、ニッケルおよびクロムがこの順にスパッタリングされて、シード層73が形成される。なお、シード層73に用いる材料としては、ニッケル、クロムに限られることはなく、後述するめっき層74を樹脂層26に密着させることができれば、任意の材料を用いることができる。また、シード層73の厚さは、シード層73を形成するための時間が長くなることを防止するために、例えば、10nm〜100nmとすることが好適である。
シード層73が形成された後、シード層73の樹脂層26の側とは反対側の面に、めっき層74が形成される。このめっき層74は、樹脂層26をエッチングする際にレジストとして機能するものである。また、めっき層74は、後述する第2レジスト層82の形状の精度を向上させるために用いられるものでもある。すなわち、樹脂層26が液状のポリイミドを塗布して形成されることから、樹脂層26の表面(シード層73の側の面)には、微小な凹凸が形成される傾向があり、第2レジスト層82が形成される面に、このような微小な凹凸が存在すると、第2レジスト層82のパターン形状の精度が低下する可能性がある。しかしながら、樹脂層26の表面に微小な凹凸が形成された場合であっても、所望の厚さを有するめっき層74を設けることにより、第2レジスト層82が形成される面を平坦化することができる。このようなことから、めっき層74の厚さは、例えば、0.5μm程度とすることが好適である。なお、めっき層74は、例えば、銅を用いて電気めっきによって形成することが好適である。
このようにして、シード層73とめっき層74とを含む金属レジスト層72が形成される。すなわち、長尺金属板71に、樹脂層26および金属レジスト層72が積層された長尺状の積層体70が得られる(図9参照)。
上述のようにして得られた長尺状の積層体70は、ラミネート手段63からエッチング装置(エッチング手段)64に搬送される。エッチング手段64によって、図10〜図20に示された各処理が施される。
まず、図10に示すように、長尺金属板71の第1面71a上に第1レジスト層81が形成されるとともに、金属レジスト層72の樹脂層26の側とは反対側の面(レジスト面、下面)上に第2レジスト層82が形成される。具体的には、長尺金属板71の第1面71a上および金属レジスト層72のレジスト面76上に、感光性レジスト材料としてドライフィルムレジスト(例えば、旭化成製のAQ−185)がラミネートされる。このようにして、長尺金属板71上に第1レジスト層81が形成され、金属レジスト層72上に第2レジスト層82が形成される。なお、これらのレジスト層81、82は、液状の感光性レジストを塗布して硬化させることにより形成することもできる。
次に、図11および図12に示すように、第1レジスト層81および第2レジスト層82が露光されて現像される。この場合、まず、レジスト層81、82のうちの除去したい領域に光を透過させないようにした第1ガラス乾板(第1露光マスク)67および第2ガラス乾板(第2露光マスク)68を準備する。続いて、第1ガラス乾板67が第1レジスト層81の上方に配置され、第2ガラス乾板68が第2レジスト層82の下方に配置される。この際、第1ガラス乾板67および第2ガラス乾板68は、互いに位置合わせされる。次に、露光光L2を照射して、第1レジスト層81を、第1ガラス乾板67を介して露光し、第2レジスト層82を、第2ガラス乾板68を介して露光する(図11参照)。この際、第1レジスト層81と第2レジスト層82とは、同時に露光することが好適である。その後、第1レジスト層81および第2レジスト層82を炭酸ナトリウム溶液を用いて現像する(図12参照)。このことにより、レジスト層81、82のうち露光されていない領域が除去されて、第1レジスト層81に所望のパターンで第1レジスト層開口部81aが形成されるとともに、第2レジスト層82に所望のパターンで第2レジスト層開口部82aが形成される。この際、第1レジスト層開口部81aは、積層マスク20の金属板21に形成される基材穴30の平面形状に対応する平面形状を有し、第2レジスト層開口部82aは、積層マスク20の樹脂層26の樹脂層開口部27の平面形状に対応する平面形状を有する。その後、第1レジスト層81および第2レジスト層82がベーク(硬化)される。
なお、ここでは、第1レジスト層81および第2レジスト層82が、ネガ型レジストである例について説明している。しかしながら、このことに限られることはなく、これらのレジスト層81、82には、ポジ型レジストを用いてもよい。
続いて、図13に示すように、長尺金属板71の第1面71a上に、当該第1面71aおよび第1レジスト層81を覆う第1面側保護フィルム83が貼り付けられる。この第1面側保護フィルム83は、以下の工程で使用されるエッチング液に対する耐性を有していることが好適であり、長尺金属板71の第1面71aに以下の工程で使用されるエッチング液が入り込まないように貼り付けられることが好ましい。このことにより、長尺金属板71の第1面71aおよび第1レジスト層81がエッチングされることを防止できる。なお、第1面側保護フィルム83は、第2面側保護フィルム84と同様に、保護フィルム基材と、保護フィルム基材の一方の面に設けられた粘着層(いずれも図示せず)と、を有し、第2面側保護フィルム84と同様な材料を使用することができる。
次に、図14に示すように、シード層73とめっき層74とを有する金属レジスト層72がエッチングされる。この場合、金属レジスト層72は、第2レジスト層82をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば、塩化第二鉄水溶液)によって金属レジスト層72のレジスト面76側からエッチングされる。この結果、図14に示すように、第2レジスト層開口部82aを介して金属レジスト層72のシード層73およびめっき層74がエッチングされ、金属レジスト層72に金属レジスト層開口部75が形成される。
次に、図15に示すように、樹脂層26がエッチングされる。この場合、樹脂層26は、上述のようにエッチングされた金属レジスト層72をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば、アルカリ水溶液)によって金属レジスト層72のレジスト面76側からエッチングされる。この結果、図15に示すように、金属レジスト層開口部75を介して樹脂層26がエッチングされ、樹脂層26に樹脂層開口部27が形成される。その後、純水が噴射されて樹脂層26が洗浄される。すなわち、樹脂層26のエッチング工程とは、樹脂層26にエッチング液が噴射される第1工程と、その後に樹脂層26に純水が噴射される第2工程とを含んでいる。
樹脂層26のエッチング工程において、図15に示すように、第2レジスト層82が除去されることが好適である。このことにより、工程の煩雑化を抑制することができる。すなわち、エッチング液が噴射される第1工程において、樹脂層26をエッチングするエッチング液によって、第2レジスト層82が浸食されて除去されるようにしてもよい。あるいは、樹脂層26が洗浄される第2工程において、樹脂層26を洗浄しながら第2レジスト層82が浸食されて除去されるようにしてもよい。これは、エッチング液に、第2レジスト層82が浸食され得ない強アルカリ水溶液を用いる場合に好適である。すなわち、樹脂層26が洗浄される第2工程において、強アルカリ水溶液が純水と混合されることにより弱アルカリ水溶液が生成され、この弱アルカリ水溶液が第2レジスト層82に噴射される。この弱アルカリ水溶液によって第2レジスト層82を浸食して除去することができる。なお、第2レジスト層82は、樹脂層26のエッチング工程において除去されることに限られず、別の工程で除去されるようにしてもよい。
次に、図16に示すように、長尺金属板71が第2面71bの側からエッチングされる。この場合、長尺金属板71は、樹脂層26をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば塩化第二鉄溶液)によって長尺金属板71の第2面71b側からエッチングされる。この結果、図16に示すように、樹脂層開口部27を介して長尺金属板71がエッチングされ、長尺金属板71の第2面71bの側に基材凹部35が形成される。すなわち、長尺金属板71のうち樹脂層開口部27の領域で、エッチング液による浸食が進む。以上のようにして、第2面71bの側から長尺金属板71に多数の基材凹部35が形成される。エッチング液による浸食は、長尺金属板71の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、樹脂層開口部27から長尺金属板71の板面に沿った方向にも進む。このため、長尺金属板71の第2面71b上における基材凹部35の平面視の輪郭は、樹脂層開口部27の輪郭より大きくなる。
なお、積層マスク20の法線方向に沿った各位置における積層マスク20の板面に沿った断面での各基材凹部35の断面積は、積層マスク20の法線方向における他方の側から一方の側へ向けて、すなわち、積層マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側へ向けて、しだいに小さくなっていく。言い換えると、積層マスク20の法線方向に沿った断面において、積層マスク20の法線方向に沿った各位置における積層マスク20の板面に沿った各基材凹部35の幅は、積層マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側に向けて、しだいに小さくなっていく。とりわけ図示された例では、積層マスク20の第2面20bの側から第1面20aの側に向け、各基材凹部35の断面積は、小さくなるように変化し続けている。なお、基材凹部35は、平面視で、対応する基材穴30および樹脂層開口部27と同様な形状(本実施の形態では、略四角形形状あるいは略矩形形状の輪郭)を有していることが好適である。
長尺金属板71を第2面71bの側からエッチングする際、噴射されるエッチング液によって金属レジスト層72も浸食される。このことにより、金属レジスト層72が除去される(図16参照)。なお、長尺金属板71の第1面71aの側には第1面側保護フィルム83が貼り付けられているため、長尺金属板71の第1面71aの側からはエッチングは行われない。
ここで、樹脂層26に形成された樹脂層開口部27の輪郭に不具合が生じている場合には、樹脂層開口部27の輪郭を修正することができる。すなわち、樹脂層開口部27の輪郭を検査し、樹脂層開口部27が形成されるべき領域に樹脂層26の材料が残存して欠陥部49が形成されている場合、当該欠陥部49にYAGレーザ光L3を照射して当該欠陥部49の材料を昇華させて欠陥部49を除去することができる。このことにより、樹脂層開口部27の輪郭を修正することができ、樹脂層開口部27の輪郭の精度を向上させるとともに歩留まりを向上させることができる。このようなレーザ光照射による修正は、樹脂層開口部27が形成されるべき領域の一部に樹脂層26の材料が残存している場合(すなわち、樹脂層開口部27の輪郭が所望の輪郭より小さい場合)に行うことができると共に、樹脂層開口部27が形成されるべき領域の全てに樹脂層26の材料が残存している場合(すなわち、形成されるべき樹脂層開口部27が形成されていない場合)にも行うことができる。
その後、図17に示すように、樹脂層26の長尺金属板71の側とは反対側の面上に、第2面側保護フィルム84が貼り付けられる。このことにより、第2面側保護フィルム84によって、上記のように形成された基材凹部35が被覆される。すなわち、エッチング液に対する耐エッチング性を有した第2面側保護フィルム84によって、基材凹部35が封止される。この第2面側保護フィルム84は、長尺金属板71をエッチングするエッチング液に対する耐性を有していることが好適であり、長尺金属板71の第2面71bに以下の工程で使用されるエッチング液が入り込まないように貼り付けられることが好ましい。
続いて、図18に示すように、長尺金属板71の第1面71aに貼り付けられていた第1面側保護フィルム83が剥離(除去)される。このように、第2面側保護フィルム84が貼り付けられた後に第1面側保護フィルム83が剥離されるため、長尺金属板71を、第1面側保護フィルム83または第2面側保護フィルム84によって支持することができ、有効領域22の変形を抑制することができる。
次に、図19に示すように、長尺金属板71に対して第2回目のエッチングが行われ、長尺金属板71が第1面71aの側からエッチングされる。この場合、長尺金属板71は、第1レジスト層81をマスクとして、噴射されるエッチング液(例えば、塩化第二鉄水溶液)によって長尺金属板71の第1面71aの側からエッチングされる。この結果、図19に示すように、第1レジスト層開口部81aを介して長尺金属板71の第1面71aがエッチングされ、長尺金属板71に基材穴30が形成される。すなわち、第1レジスト層開口部81aの領域で、エッチング液による浸食が進む。このようにして、第1面71aの側から長尺金属板71に多数の基材穴30が形成される。エッチング液による浸食は、長尺金属板71の法線方向(厚み方向)のみに進むのではなく、第1レジスト層開口部81aから長尺金属板71の板面に沿った方向にも進む。このため、長尺金属板71の第1面71a上における基材穴30の平面視の輪郭は、第1レジスト層開口部81aの輪郭よりも大きくなる。
この第1面71aの側からのエッチングは、エッチングにより形成される基材穴30が、樹脂層26に達するまで行われる。このことにより、互いに連通した基材穴30と絶縁樹脂層開口部27とによって画成される貫通孔25が形成される。この際、基材穴30は基材凹部35を包含するように形成され、基材凹部35は残存しなくなる。
また、上述したように基材凹部35を形成した後に第1面71aの側から第2回目のエッチングを行うことにより、基材穴30の形状の精度を向上させることができる。すなわち、基材凹部35を形成することなく、第1面71aの側からエッチングをして基材穴30を形成する場合、基材穴30が樹脂層26に達すると、基材穴30が、積層マスク20の板面に沿った方向に急速に拡大し、基材穴30の形状精度が損なわれる可能性がある。しかしながら、本実施の形態のように、第2面71bの側に予め基材凹部35を形成しておくことにより、エッチングにより第1面71aの側から形成される基材穴30は、まず基材凹部35に達し、その後樹脂層26に達する。このことにより、基材穴30が、積層マスク20の板面に沿った方向に急速に拡大することを抑制できる。このため、基材穴30の形状の精度を向上させることができる。
なお、長尺金属板71の第2面71bの側には第2面側保護フィルム84が貼り付けられているため、長尺金属板71の第2面71bの側からはエッチングが行われない。また、第1面71aの側からのエッチングが進むことにより基材穴30が基材凹部35に接続した場合においても、基材凹部35が第2面側保護フィルム84によって封止されているため、エッチング液が基材穴30から基材凹部35を通って流れることが防止される。このため、基材穴30が過度にエッチングされることを防止し、各基材穴30の形状を均一化させることができる。
このようにして、長尺金属板71の第1面71aの側からのエッチングが予め設定した量だけ進んで、長尺金属板71に対する第2回目のエッチングが終了する。これにより、長尺金属板71および樹脂層26に、互いに通じ合っている基材穴30および樹脂層開口部27によって画成される貫通孔25が形成される。
その後、図20に示すように、長尺金属板71から第1レジスト層81が除去される。第1レジスト層81は、例えばアルカリ系剥離剤により、除去することができる。
以上のようにして多数の貫通孔25が形成された長尺状の保護フィルム付き積層体70は、図8に示すように、当該積層体70を狭持した状態で回転する搬送ローラ65、65により、切断装置(切断手段)66へ搬送される。切断装置66において、長尺状の積層体70が所定の長さに切断される。このようにして、枚葉状の保護フィルム付き積層マスク50が得られる。なお、この搬送ローラ65、65の回転によって長尺金属板71に作用するテンション(張力)を介し、上述した供給コア61が回転させられ、巻き体62から長尺金属板71が供給されるようになっている。
以上のようにして、多数の貫通孔25が形成された積層マスク20であって、第2面側保護フィルム84が貼り付けられた積層マスク20(保護フィルム付き積層マスク50)が得られる。そして、得られた保護フィルム付き積層マスク50は、フレーム15に取り付けられる。なお、フレーム15は、保護フィルム付き積層マスク50の金属板21に取り付けられる。
保護フィルム付き積層マスク50をフレーム15に取り付ける際、保護フィルム付き積層マスク50が撓むことを防止するために、保護フィルム付き積層マスク50に張力を負荷して保護フィルム付き積層マスク50を張った状態に保持して、例えばスポット溶接によりフレーム15に対して固定される。スポット溶接は、上述したように、第2面側保護フィルム84の側に設けられたレーザ光照射部85からフレーム15に向けてYAGレーザ光L1を照射することにより行われる(図6参照)。
スポット溶接の後、第2面側保護フィルム84にUV光が照射されて、第2面側保護フィルム84が樹脂層26から剥離(除去)される。このことにより、保護フィルム付き積層マスク50から第2面側保護フィルム84が除去された積層マスク20が得られ、当該積層マスク20がフレーム15に取り付けられた積層マスク装置10が得られる。積層マスク装置10を蒸着装置90(図2参照)に取り付けることにより、ガラス基板92への蒸着材料98の蒸着を行うことが可能となる。
以上のような本実施の形態による積層マスクの製造方法によれば、貫通孔25の一部を画成する樹脂層開口部27の壁面28を、基材穴30の壁面31よりも貫通孔25の内側に配置することができる。この場合、貫通孔25の最小断面積の部分を、形状精度の良い樹脂層開口部27によって画成することができる。また、樹脂層開口部27の輪郭に不具合が生じている場合には、樹脂層開口部27の輪郭を容易にかつ精度良く修正することもできる。このため、貫通孔25の形状の精度を向上させることができ、蒸着のパターニング精度を向上させることができる。
また、本実施の形態による積層マスクの製造方法によれば、長尺状の積層体70の両面(長尺金属板71の第1面71aおよび金属レジスト層72のレジスト面76)に、第1レジスト層81および第2レジスト層82がそれぞれ形成されて、このうち第1レジスト層81が第1ガラス乾板67によって露光されるとともに、第2レジスト層82が、第1ガラス乾板67に位置合わせされた第2ガラス乾板68によって露光され、その後、これらのレジスト層81、82が現像され、第1レジスト層開口部81aおよび第2レジスト層開口部82aが形成される。すなわち、第1ガラス乾板67と第2ガラス乾板68とが互いに位置合わせされて第1レジスト層81および第2レジスト層82が露光されることにより、貫通孔25を画成する基材穴30を形成するための第1レジスト層開口部81aと、貫通孔25を画成する樹脂層開口部27を形成するための第2レジスト層開口部82aとの位置関係の精度を向上させることができる。このため、貫通孔25の形状の精度を向上させて、蒸着のパターニング精度を向上させることができる。
また、本実施の形態による積層マスクの製造方法によれば、長尺金属板71の第2面71bの側に基材凹部35が形成された後、長尺金属板71の第1面71aの側に基材穴30を形成する前に、樹脂層26に第2面側保護フィルム84が貼り付けられて、保護フィルム付き積層マスク50を得ることができる。このことにより、基材穴30が形成された長尺金属板71を第2面側保護フィルム84によって支持することができ、貫通孔25が多数形成された有効領域22の変形を抑制できる。とりわけ、第2面側保護フィルム84は、積層マスク装置10のフレーム15に溶接された後に取り外す場合には、張力が負荷された積層マスク20の有効領域22の変形を効果的に抑制することができる。このため、蒸着のパターニング精度を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明してきたが、本発明による積層マスクの製造方法および保護フィルム付き積層マスクは、上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上述した本実施の形態においては、金属レジスト層72が樹脂層26上にスパッタリングにより設けられたシード層73と、シード層73上にめっきにより設けられためっき層74と、を含んでいる例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、シード層73上には、めっきにより、銅以外の金属材料によって層が形成されていてもよい。さらには、スパッタリングにより形成されるシード層73の厚さを確保することが可能であれば、金属レジスト層72は、めっき層74を含むことなく、シード層73のみによって構成されていてもよい。この場合には、めっき工程を省略することができる。また、この場合のシード層73の厚さとしては、第2レジスト層82が形成される面を平坦化するために、0.1μm〜1.0μmとすることが好適である。
また、積層マスク20に形成される貫通孔25のパターンは、図4に示される形態に限られることはない。図4に示した貫通孔25の配列パターンは例示に過ぎず、種々のパターンにて貫通孔25が配列されていてもよい。
また、貫通孔25の形状は、図4に示す平面形状に限られることはない。例えば、各貫通孔25は、平面視で、帯状の略四角形形状、さらに正確には平面視において帯状の略矩形状の輪郭、あるいはスリット状に細長い輪郭を有していてもよい。この場合、基材穴30および樹脂層開口部27が、それぞれ、平面視で、帯状の略四角形形状、さらに正確には帯状の略矩形形状の輪郭、あるいはスリット状に細長い輪郭を有し、細長状の貫通孔25に、基材穴30および樹脂層開口部27が一つずつ形成される。なお、この場合、各貫通孔25は、積層マスク20の長手方向、言い換えると張力が負荷される方向に延びるように形成されることが好適である。
さらに、上述した本実施の形態においては、積層マスク20の第1面20a上において、隣り合う二つの貫通孔25が、積層マスク20の板面に沿って互いから離間している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、図21に示すように、隣り合う二つの貫通孔25が、互いに接続されていてもよい。
図21に示された例では、有効領域22のすべての基材穴30の壁面31の先端縁(上縁、積層マスクの法線方向に沿って一方の側に位置する端縁)32が、好適にはその全周にわたって、当該基材穴30に隣り合う他の基材穴30の壁面31の先端縁32と合流している。
ここでは、積層マスク20の有効領域22内の全領域において、積層マスク20の第1面20aが、積層マスクの法線方向における一方の側に向いた基材穴30の壁面31によって形成されている。この結果、積層マスク20の有効領域22内の全領域において、積層マスク20の第1面20aが凹凸面をなしている。
このような積層マスク20によれば、有効領域22の全域において基材穴30の壁面31が積層マスクの法線方向に対してなす傾斜角度θを効果的に増大させることができる。すなわち、積層マスク20のシート面に直交する図21の断面において、貫通孔25の最小断面積を持つ部分となる樹脂層開口部27と、基材穴30の壁面31の他の任意の位置と、を通過する直線Xが、積層マスク20の法線方向に対してなす最小角度θを、十分に大きくすることができ、これにより、蒸着材料98の利用効率を効果的に改善しながら、所望のパターンでの蒸着を高精度に安定して実施することができる。
また、積層マスク20の第1面20aに対応するようになる金属板21の第1面21a側から当該金属板21をエッチングして基材穴30を作製する場合、積層マスク20の有効領域22をなすようになる金属板21の全領域において、当該金属板21の第1面21aがエッチングにより浸食される。すなわち、積層マスクの法線方向に沿った有効領域22内の最大厚みTaは、積層マスクの法線方向に沿った周囲領域23内の最大厚みTbの100%未満となる。このように有効領域22内での厚みが全体的に薄くなることは、蒸着材料の利用効率を向上させる観点から好ましい。その一方で、積層マスクの強度の観点から、積層マスクの法線方向に沿った有効領域22内の最大厚みTaは、積層マスクの法線方向に沿った周囲領域23内の最大厚みTbの50%以上となることが好ましい。有効領域22内の最大厚みTaが周囲領域23内の最大厚みTbの50%以上となっている場合には、積層マスク20をフレーム15に張設した場合における積層マスク20の有効領域22内での変形を効果的に抑制することができ、これにより、所望のパターンでの蒸着を効果的に実施することができる。また、この場合、長尺金属板71の搬送や切断、第2面側保護フィルム84の除去、フレーム15への取付といった取り扱い処理中に、多数の貫通孔25を形成された有効領域22の変形を効果的に防止することができる。
さらに、図示された例においては、上述した製造方法に起因して、積層マスクの法線方向に沿った断面において、二つの基材穴30の壁面31の先端縁32が合流する部分33の外輪郭が、面取された形状となっている。上述したように、一般的に、エッチングで形成される穴の壁面は、エッチングによる主たる進行方向に向けて凸となる曲面状となる。したがって、エッチングで形成された二つの基材穴30を単純に部分的に重ね合わせると、図21に二点鎖線で示すように、合流部分33は、エッチングの開始側となる積層マスクの法線方向に沿った一方の側へ向けて、尖った形状となる。これに対して図示された積層マスク20では、合流部分33における尖った部分が面取されている。図21から理解されるように、この面取によって、積層マスク20の法線方向に対して壁面31がなす上述の角度θを、効果的に増大することができる。これにより、より効果的に蒸着材料98の利用効率を改善し且つ所望のパターンでの蒸着を高精度且つ安定して実施することができる。
なお結果として、積層マスクの法線方向に沿った断面において、二つの基材穴30の壁面31の先端縁32が合流する部分33の外輪郭は、積層マスクの法線方向に沿った一方の側へ向けて膨出した曲線状となる。
図21に示す基材穴30を形成する工程において、エッチングを進めていくと、隣り合う二つの基材穴30が合流してなる合流部分33が第1レジスト層81から離間して、第1レジスト層81下となる当該合流部分33において、エッチングによる浸食が長尺金属板71の法線方向(厚さ方向)にも進む。これにより、積層マスクの法線方向に沿った一方の側へ向けて尖っていた合流部分33が、積層マスクの法線方向に沿った一方の側からエッチングされ、面取される。この際、合流部分33が第1レジスト層81から離間することにより、有効領域22における第1レジスト層81は除去され得る。すなわち、図21に示す形態では、金属板21を第1面21aの側からエッチングする工程の際に、第1レジスト層81が除去される。
20 積層マスク
20a 第1面
20b 第2面
21 金属板
21a 第1面
21b 第2面
25 貫通孔
26 樹脂層
27 樹脂層開口部
28 壁面
30 基材穴
31 壁面
35 基材凹部
36 壁面
50 保護フィルム付き積層マスク
70 積層体
71 長尺金属板
71a 第1面
71b 第2面
72 金属レジスト層
73 シード層
74 めっき層
75 金属レジスト層開口部
81 第1レジスト層
81a 第1レジスト層開口部
82 第2レジスト層
82a 第2レジスト層開口部
83 第1面側保護フィルム
84 第2面側保護フィルム

Claims (13)

  1. 複数の貫通孔を有し、前記貫通孔を介して基板に蒸着材料を蒸着するために使用される積層マスクの製造方法において、
    第1面と、前記第1面とは反対側に設けられるとともに蒸着時には前記基板側に配置される第2面とを有する金属基材と、前記金属基材の前記第2面に設けられた樹脂層と、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に設けられた金属レジスト層と、を有する積層体を準備する工程と、
    前記積層体の前記金属基材の前記第1面に第1レジスト層を設けると共に、前記金属レジスト層の前記樹脂層側とは反対側の面に第2レジスト層を設ける工程と、
    前記第1レジスト層および前記第2レジスト層を露光して現像することにより、前記第1レジスト層に第1レジスト層開口部を形成すると共に、前記第2レジスト層に第2レジスト層開口部を形成する工程と、
    前記第2レジスト層開口部を介して前記金属レジスト層をエッチングし、当該金属レジスト層に金属レジスト層開口部を形成する工程と、
    前記金属レジスト層開口部を介して前記樹脂層をエッチングし、当該樹脂層に樹脂層開口部を形成する工程と、
    前記第1レジスト層開口部を介して前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程であって、当該金属基材に、前記樹脂層開口部に連通して当該樹脂層開口部とともに前記貫通孔を画成する基材穴を形成する工程と、を備え、
    前記樹脂層開口部の壁面は、前記基材穴の壁面よりも前記貫通孔の内側に配置されることを特徴とする積層マスクの製造方法。
  2. 前記樹脂層をエッチングする工程において、前記第2レジスト層が除去されることを特徴とする請求項1に記載の積層マスクの製造方法。
  3. 前記第1レジスト層開口部および前記第2レジスト層開口部を形成する工程の後、前記金属レジスト層をエッチングする工程の前に、前記金属基材の前記第1面に、当該第1面および前記第1レジスト層を覆う第1面側保護フィルムが設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の積層マスクの製造方法。
  4. 前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記第1面側保護フィルムが除去されることを特徴とする請求項3に記載の積層マスクの製造方法。
  5. 前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に、第2面側保護フィルムが設けられ、
    前記第2面側保護フィルムが設けられた後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記第1面側保護フィルムが除去されることを特徴とする請求項3または4に記載の積層マスクの製造方法。
  6. 前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の前記金属基材側とは反対側の面に、第2面側保護フィルムが設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の積層マスクの製造方法。
  7. 前記第2面側保護フィルムは、UV光を照射することにより前記樹脂層から剥離可能であることを特徴とする請求項5または6に記載の積層マスクの製造方法。
  8. 前記金属レジスト層は、前記樹脂層上にスパッタリングにより設けられたシード層と、前記シード層上にめっきにより設けられためっき層と、を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の積層マスクの製造方法。
  9. 前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層の欠陥部にレーザ光を照射して当該欠陥部を除去することにより前記樹脂層開口部の輪郭を修正することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の積層マスクの製造方法。
  10. 前記樹脂層は、ポリイミドにより形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の積層マスクの製造方法。
  11. 前記樹脂層をエッチングする工程の後、前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程の前に、前記樹脂層開口部を介して前記金属基材を前記第2面側からエッチングし、当該金属基材の当該第2面側に基材凹部を形成する工程を更に備え、
    前記金属基材を前記第1面側からエッチングする工程において、前記基材穴は、前記基材凹部を包含するように形成されることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の積層マスクの製造方法。
  12. 前記金属基材を前記第1面側からエッチングする際、前記貫通孔が形成される領域における前記第1レジスト層が除去されることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の積層マスクの製造方法。
  13. 前記金属基材を前記第1面側からエッチングする際、前記基材穴の壁面の先端縁は、当該基材穴に隣り合う他の前記基材穴の壁面の先端縁と合流することを特徴とする請求項12に記載の積層マスクの製造方法。
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