JP6468170B2 - ガス放出キャンロール及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、複数のガス導入路とそれらの各々から延在して外周面で開口する複数のガス放出孔とを備えた金属製の筒状体からなるガス放出キャンロール及びその製造方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等には、耐熱性樹脂フィルム上に金属膜を被覆したフレキシブル配線基板が用いられている。このフレキシブル配線基板は耐熱性樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属膜付耐熱性樹脂フィルムの金属膜に配線パターンをパターニング加工することで得られるが、近年、配線パターンはますます微細化、高密度化しており、これに伴って、金属膜付耐熱性樹脂フィルム自体にはシワ等の不具合のない平滑なものが求められている。
この種の金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムの製造方法として、従来、金属箔を接着剤により耐熱性樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングしてから乾燥させて製造する方法(キャスティング法)、及び耐熱性樹脂フィルムに真空成膜法又は真空成膜法と湿式めっき法により金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法)等が知られている。また、メタライジング法に用いる真空成膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
上記の製造方法のうち、メタライジング法については特許文献1にポリイミド絶縁層上にクロム層をスパッタリングした後、銅をスパッタリングしてポリイミド絶縁層上に導体層を形成する方法が記載されている。また、特許文献2にはポリイミドフィルム上に銅ニッケル合金をターゲットとして第一の金属薄膜をスパッタリングにより成膜し、次に銅をターゲットとして第二の金属薄膜をスパッタリングにより成膜することによりフレキシブル回路基板用材料を作製する技術が開示されている。なお、上記のポリイミドフィルムの様な耐熱性樹脂フィルムに連続的に真空成膜を行う場合は、長尺の樹脂フィルムをロールツーロールで搬送しながらその表面にスパッタリング成膜を行うスパッタリングウェブコータを用いるのが一般的である。
ところで、上記の真空成膜法のうち、一般にスパッタリング法は密着力に優れる反面、真空蒸着法に比べて耐熱性樹脂フィルムに与える熱負荷が大きいといわれている。そして、成膜の際に耐熱性樹脂フィルムに大きな熱負荷がかかると、フィルムにシワが発生し易くなることも知られている。この熱負荷によるシワの発生を防ぐため、上記のスパッタリングウェブコータでは、内部に冷媒が循環する金属製の筒状体からなるいわゆるキャンロールの外周面にロールツーロールで搬送される長尺の耐熱性樹脂フィルムを巻き付けることによって、スパッタリング成膜中の耐熱性樹脂フィルムをその裏面側から冷却する方式が採用されている。
例えば特許文献3には、スパッタリングウェブコータの一例である巻出巻取式(ロールツーロール方式)の真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式の真空スパッタリング装置には、上記したキャンロールの役割を担うクーリングロールが具備されており、更に該クーリングロールでは、その少なくともフィルム送入れ側若しくは送出し側に設けたサブロールによって耐熱性樹脂フィルムをクーリングロールに密着する制御が行われている。
しかしながら、非特許文献1に記載されているように、キャンロールの外周面はミクロ的に見て平坦ではないため、キャンロールとその外周面に接触して搬送される耐熱性樹脂フィルムとの間には真空空間を介して離間する隙間(ギャップ部)が存在している。このため、成膜の際に生じる耐熱性樹脂フィルムの熱はキャンロールに効率よく伝熱されているとはいえず、これがフィルムのシワ発生の原因となっていた。
このような問題を解決するため、上記のキャンロールの外周面と耐熱性樹脂フィルムとの間のギャップ部にキャンロール側からガスを導入して当該ギャップ部の熱伝導率を真空に比べて高くする技術が提案されている。例えば特許文献4には、キャンロール側からガスを導入する方法として、キャンロールの外周面にガスの導入口となる多数の微細な孔を設ける技術が開示されている。この方法は成膜中の耐熱性樹脂フィルムの熱負荷を低減してシワの発生を抑制できるので非常に有効な手段である。なお、非特許文献2によれば、真空チャンバーへの導入ガスがアルゴンガスであってその導入ガス圧力が500Paの場合、キャンロールの外周面とそこに巻き付けられる耐熱性樹脂フィルムとのギャップ部の距離が約40μm以下の分子流領域のとき、このギャップ部の熱コンダクタンスは250(W/m・K)であるとされる。
特開平2−98994号公報 特開平6−97616公報 特開昭62−247073号公報 国際公開第2005/001157号公報
"Vacuum Heat Transfer Models for Web Substrates: Review of Theory and Experimental Heat Transfer Data," 2000 Society of Vacuum Coaters, 43rd. Annual Technical Conference Proceeding, Denver, April 15-20, 2000, p.335 "Improvement of Web Condition by the Deposition Drum Design," 2000 Society of Vacuum Coaters, 50th. Annual Technical Conference Proceeding(2007), p.749
しかしながら、上述した特許文献4に示すようにキャンロールの外周面に設けた多数のガス放出孔を介してガスを導入するには、キャンロールの外周肉厚部に回転軸方向に延在する複数のガス導入路を周方向に略均等な間隔をあけて全周に亘って加工し、更にそれらガス導入路の各々にキャンロール外周面で開口するガス放出孔を設ける必要がある。そのため、従来はガンドリルを用いてキャンロールの外周肉厚部にガス導入路を1本ずつ穴開け加工することが行われていた。
一般にガンドリルの穴開けではその外径の約100倍の深さ(穴開け加工長さ)までが実用的な範囲であるため、これより深い細穴を開けることは難しかった。例えば、金属膜付耐熱性樹脂フィルムの製造では生産性を考慮して幅700mmを超えるキャンロールが使用されるため、形成するガス導入路の長さ(深さ)を700mmとすれば、ガンドリルの外径を約7mm以上に太くする必要が生じる。このような太いガンドリルを用いて加工したガス導入路は空洞が大きくなりすぎるため、この部分がガス溜まりとなり、ガス導入用のガスの流量制御が難しくなるおそれがある。
さらに、ガンドリルは一般に周囲の肉厚の薄い方向に傾いて進んでいく性質があり、円筒ロールの外周面近くにガス導入路を開けようとすると外周面側に寄っていく傾向があった。そのため円筒ロールの外周面近くではなく厚み方向の略中央部にガス導入路を開けることが必要になり、これに連通する微細なガス放出孔の外周面からの深さが深くなり、その孔開け加工にも長時間を要していた。このように、ガス放出キャンロールの製作には膨大な時間と費用を費やしていた。また、ガス導入路が円筒ロールの外周面付近に設けられないと冷媒循環路を当該外周面から離れた位置に設けることになるため、キャンロールの冷却効率が低下することになる。
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであり、ロールツーロールで搬送される長尺樹脂フィルムに対して成膜などの熱負荷の掛かる処理を連続的に施す際に、筒ロールの外周面に巻き付けて冷却しながら当該外周面とそこに巻き付いている長尺樹脂フィルムとの間のギャップ部にその熱コンダクタンスが均一になるようにガスを導入してシワ発生を防止することが可能なキャンロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のガス放出キャンロールの製造方法は、外周面で開口する複数のガス放出孔と、それらにガスを導入するガス導入路とを有するガス放出キャンロールの製造方法であって、ステンレス製の矩形板状の基材の一方の面に前記複数のガス導入路となる複数の溝を形成する工程と、この基材と同じ平面形状を有するステンレス製の矩形板状の表面材を該基材の溝形成面側に対向させ、爆発させる方向を該溝の延在方向に一致させて爆着させる爆発圧着法により接合する工程と、該接合された基材と表面材とを該表面材が外周面側となるように円筒状にロール成形する工程と、前記ロール成形工程の前又は後に、前記複数の溝の各々に向けて該表面材にその表面から貫通孔をマイクロドリルもしくはレーザーより穿孔する工程とからなることを特徴としている。
また、本発明のガス放出キャンロールは、回転軸方向に延在する複数の溝が周方向に略均等な間隔をあけて外周面に全周に亘って設けられたステンレス製の基部と、該外周面に接合しているステンレス製の表面部とからなる円筒ロールから構成されるガス放出キャンロールであって、該接合の界面が爆発圧着法のため波状になっていることを特徴としている。
本発明によれば、従来のガンドリルによる加工法よりも細いガス導入路を短い時間で形成できるので、ガス導入量の制御が容易になり、さらに、ガス導入路を外周面近くに形成することができるのでガス放出孔の深さが浅くなって、その加工時間を短縮することができるうえ、外周肉厚部全体の厚みも薄くできる。また表面材には基材よりも熱伝導率が高い金属を用いることができるので、成膜中の長尺樹脂フィルムを極めて効率よく冷却することができ、キャンロール外周面と長尺樹脂フィルムとの間のギャップ部全体に亘る高い熱コンダクタンスとの共働により前処理や成膜等の熱負荷の掛かる処理の際の該長尺樹脂フィルムの温度を均一且つ素早く低下させることができるので、該長尺樹脂フィルムのシワの発生を極めて効果的に防ぐことが可能になる。
ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムに連続的に処理可能な真空成膜装置の一具体例を示す正面図である。 図1の真空成膜装置に搭載されるガス放出キャンロールの一具体例を示す概略の断面図である。 従来のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。 従来のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。 矩形板状部材をロール成形して円筒ロールを作製する手順を模式的に示した斜視図である。 本発明のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。 本発明のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。 本発明のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。 本発明のガス放出キャンロールの製作手順を示す部分斜視図である。
先ず、本発明のガス放出キャンロールが好適に搭載される真空成膜装置について図1を参照しながら説明する。この図1に示す真空成膜装置50はスパッタリングウェブコータとも称される装置であり、真空チャンバー51内において巻出ロール52から巻取ロール64までロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムFを内部に冷媒が循環しており且つモータで回転駆動されるキャンロール56の外周面に巻き付けて冷却しながら、その表面に連続的に効率よくスパッタリング成膜処理を施す場合に好適に用いられる。
具体的に説明すると真空チャンバー51内には図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の装置が具備されており、これによりスパッタリング成膜に際して真空チャンバー51内を到達圧力10ー4Pa程度まで減圧した後、スパッタリングガスの導入により0.1〜10Pa程度の圧力調整を行えるようになっている。スパッタリングガスにはアルゴンなど公知のガスが使用され、目的に応じて更に酸素などのガスが添加される。真空チャンバー51の形状や材質については、上記の減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はなく、種々のものを使用することができる。
この真空チャンバー51内の巻出ロール52からキャンロール56までの搬送経路に、長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール53と、長尺樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール54が配置されている。また、キャンロール56の近傍にキャンロール56の周速度に対する調整が行われるモータ駆動のフィードロール55が設けられており、これにより長尺樹脂フィルムFをキャンロール56の外周面に密着状態で巻き付けて搬送することができる。なお、図1に示すように長尺樹脂フィルムFがキャンロール56の外周面に巻き付けられる角度範囲Aのことを、長尺樹脂フィルムの抱き角と称することがある。
キャンロール56から巻取ロール64までの搬送経路にも、上記と同様に、キャンロール56の周速度に対する調整を行うモータ駆動のフィードロール61、長尺樹脂フィルムFの張力測定を行う張力センサロール62、及び長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール63がこの順に配置されている。なお、上記巻出ロール52及び巻取ロール64は、パウダークラッチ等によりトルク制御されており、これにより長尺樹脂フィルムFの張力バランスが保たれている。
キャンロール56の外周面に対向する位置には、長尺樹脂フィルムFがキャンロール56の外周面に巻き付けられる搬送経路に沿って成膜手段としてのマグネトロンスパッタリングカソード57、58、59、60が設けられている。これらスパッタリングカソード57〜60には金属膜のスパッタリング成膜の場合は図1に示すような板状のターゲットを使用することができるが、板状ターゲットはターゲット上にノジュール(異物の成長)が発生することがある。これが問題になる場合は、ノジュールの発生がなく、ターゲットの使用効率も高い円筒形のロータリーターゲットを使用することが好ましい。
上記の構成により巻出ロール52から巻取ロール64までロールツーロールで搬送される長尺樹脂フィルムFをキャンロール56の外周面に巻き付けて冷却しながらその反対面にマグネトロンスパッタリングカソード57〜60でスパッタリング成膜することが可能になる。この耐熱性樹脂フィルムの表面に例えばNi系合金等からなる膜とCu膜を積層することで前述した金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムが得られる。
ここでNi合金等からなる膜はシード層と呼ばれ、Ni−Cr合金又はインコネル、コンスタンタンやモネル等の各種公知の合金を用いることができるが、その組成は金属膜付耐熱性樹脂フィルムの電気絶縁性や耐マイグレーション性等の所望の特性に応じて選択される。また、シード層の上に成膜する例えば上記Cu膜からなる金属膜を更に厚くしたい場合は、湿式めっきにより金属膜を形成することがある。
この場合の湿式めっきは電気めっき処理のみでもよいし、一次めっきとしての無電解めっき処理と、二次めっきとしての電解めっき処理等との組み合わせでもよい。いずれの場合においても湿式めっき処理には、一般的な湿式めっき処理の諸条件を採用することができる。上記の金属膜付耐熱性樹脂フィルムの金属膜部分に対して例えばサブトラクティブ法によりパターニング加工することでフレキシブル配線基板が得られる。ここで、サブトラクティブ法とは、レジストで覆われていない金属膜(例えば、上記Cu膜)をエッチングにより除去してフレキシブル配線基板を製造する方法である。
なお、上記の長尺耐熱性樹脂フィルムの表面には、Ni−Cr合金やCu等の金属膜以外に目的に応じて酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等を成膜することも可能である。これら酸化物膜、窒化物膜、炭化物膜等を成膜する場合にも上記したガス放出キャンロールを搭載した真空成膜装置による成膜方法を用いることができる。図1の真空成膜装置50は、熱負荷の掛かる処理としてスパッタリング処理を想定したものであるため、マグネトロンスパッタリングカソード57〜60が図示されているが、熱負荷の掛かる処理がCVD(化学蒸着)や蒸着処理などの他のものである場合は、上記スパッタリングカソードに代えて他の真空成膜手段が設けられる。
次に、上記した真空成膜装置50のキャンロール56に使用される本発明のガス放出キャンロールの一具体例について図2を参照しながら説明する。この図2に示すガス放出キャンロールは金属製の円筒ロールで主に構成されており、その内側には内筒部2が設けられている。このようなジャケットロール構造とも称される2重構造部分の内側に冷却水などの冷媒が流通する冷媒循環路2aが形成されている。なお冷媒循環路は円筒ロールの内側にパイプを螺旋状に巻いて形成してもよい。この冷媒循環路2a内の冷媒は円筒ロール1の回転中心軸O部分に設けられた2重管3を介して冷媒冷却装置(図示せず)との間で循環できるようになっており、これにより円筒ロール1の温度調節が行われる。
この円筒ロール1の外周肉厚部には回転中心軸Oの方向に延在する複数のガス導入路4が周方向に略均等な間隔をあけて全周に亘って設けられており、これら複数のガス導入路4の各々には回転中心軸Oの方向に沿って略均等な間隔をあけて外周面で開口する複数のガス放出孔5が設けられている。円筒ロール1の一端部にはこれら複数のガス導入路4にガスを分配して供給するガスロータリージョイント6が設けられており、ガス供給ライン7から導入されたガスは複数のガス導入路4及びそれらの各々が有する複数のガス放出孔5を経て円筒ロール1の外周面から放出される。これによりガス放出キャンロール56の外周面とそこに巻き付いている長尺樹脂フィルムFとの間のギャップ間にガスが導入される
これらガス導入路4の本数や各ガス導入路4が有するガス放出孔5の個数は、前述した長尺樹脂フィルムFの抱き角A、長尺樹脂フィルムFの張力、ガスの必要放出量等に応じて適宜定めることができる。各ガス導入路4に設けるガス放出孔5の個数や内径は、ガス放出キャンロール56と長尺樹脂フィルムFとの間のギャップ間に良好にガスを導入できる大きさであれば特に限定されない。一般的には、小さな直径を有するガス放出孔5を狭ピッチにして多数配置することが円筒ロール1の外周面全面に亘って熱伝導性を均一化できるという点において好ましい。しかしながら、小さな直径のガス放出孔5を狭ピッチで多数設ける加工技術は困難を伴うので、現実的には内径30〜1000μmより好ましくは内径100〜500μm程度のガス放出孔5を5〜10mmのピッチで配置することがより好ましい。なお、ガス放出孔5の内径が1000μmを超えると付近の冷却効率が低下する原因となるおそれがある。
ガスロータリージョイント6には上記した抱き角A以外の角度範囲に位置するガス導入路4に対してはガスの供給を遮断できるようなガス供給制御手段(図示せず)を備えることが好ましい。このようなガス供給制御手段としては、例えばガスロータリージョイント6を構成する回転部内に設けた各ガス導入路に対応する流路を、該回転部の回転を利用して機械的に開閉させたり、該回転部の流路にバルブ等を設けて、これを電気的又は電磁気的な方法で開閉させたりする方法がある。
これによりキャンロール56の外周面のうち長尺樹脂フィルムFが巻き付けられる抱き角Aの角度範囲内ではガスが放出され、長尺樹脂フィルムFが巻き付けられない抱き角A以外の角度範囲ではガスが放出されないように制御することができる。この場合、導入したガスのほとんどをキャンロール56の外周面とそこに巻き付く長尺樹脂フィルムFとの間のギャップ部に導入できるため、当該ギャップ部の間隔を抱き角Aの角度範囲の全体に亘ってほぼ一定に維持することができ、該ギャップ部の全体に亘って熱コンダクタンスをほぼ均一にすることが可能となる。
上記のガス放出キャンロール56は成膜装置以外のプラズマ処理やイオンビーム処理としても好適に使用することができる。これらプラズマ処理やイオンビーム処理は、長尺樹脂フィルムの表面改質を目的として真空チャンバー内の減圧雰囲気下で行われるが、この場合の処理も長尺樹脂フィルムに熱負荷が掛かるため長尺樹脂フィルムにシワが発生しやすい。従って、上記ガス放出キャンロール56の外周面に長尺樹脂フィルムを巻き付けながらプラズマ処理やイオンビーム処理を行えば、該キャンロール56の外周面と長尺樹脂フィルムとの間に形成されるギャップ部の間隔をほぼ一定に維持して、熱コンダクタンスを略均一にできるので、シワの発生を抑えることが可能になる。
ここでプラズマ処理とは、例えばアルゴンと酸素の混合ガス又はアルゴンと窒素の混合ガスからなる減圧雰囲気下において放電を行うことにより、酸素プラズマ又は窒素プラズマを発生させて長尺樹脂フィルムを表面処理する方法である。また、イオンビーム処理とは、強い磁場を印加した磁場ギャップでプラズマ放電を発生させ、プラズマ中の陽イオンを陽極による電解でイオンビームとして照射することにより、長尺樹脂フィルムを表面処理する方法である。
なお、上記したキャンロール56の外周面と長尺樹脂フィルムFとの間のギャップ部の間隔が40μm程度であれば、上記のガス放出キャンロール56の外周面から該ギャップ部に導入されるガスは真空成膜装置50が備える前述した真空装置で排気可能である。また、このギャップ部に導入する導入ガスを真空チャンバー51内のスパッタリング雰囲気のガスと同じにすれば、スパッタリング雰囲気が導入ガスで汚染されることはない。
上記の長尺樹脂フィルムとしては、例えば、ポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等を挙げることができる。これらの耐熱性樹脂フィルムは、金属膜付フレキシブル基板としての柔軟性、実用上必要な強度、配線材料として好適な電気絶縁性を有する点から好ましい。
ところで、上記した円筒ロール1の作製においては、従来、図3に示すように、ガス放出キャンロールの円筒ロールとなる矩形板状部材100を用意し、その肉厚部に一端面から他端面に向かって複数の互いに平行なガス導入路104をガンドリルにより加工し、次に、図4に示すように、これら複数のガス導入路104の各々に向かって一方の面からマイクロドリルあるいはレーザーにより複数のガス放出孔105を加工することが行われていた。
そして、図5に示すようにガス導入路104とガス放出孔105が加工された板状部材100をガス放出孔105の開口部が外側となるようにロール成形し、突き合わせ溶接もしくは摩擦攪拌接合によって板状部材100の端面同士接合をすることで円筒ロールを形成し、その内側に冷媒が循環する内筒部と二重管等を設け、両側部やガスロータリコネクタを組み込むことで図2に示すようなガス放出キャンロールを作製することが行われていた。なお、ガンドリルによるガス導入路の加工とマイクロドリルあるいはレーザーによるガス放出孔の加工を、板状基材をロール成形した後に行うことも行われていた。
しかし、上記したガンドリルによる加工法は、前述したように穿孔可能な穴径の制約や容易でない加工等の種々の問題をかかえていた。そこで、本発明では、金属製の矩形板状の基材の一方の面に前記複数のガス導入路となる複数の溝を形成する工程と、この基材と同じ平面形状を有する金属製の矩形板状の表面材を該基材の溝形成面側に対向させて爆発圧着法により接合する工程と、該接合された基材と表面材とを該表面材が外周面側となるように円筒状にロール成形する工程と、このロール成形工程の前又は後に、該複数の溝の各々に向けて該表面材にその表面から貫通孔をマイクロドリルもしくはレーザーより穿孔する工程とによってガス放出キャンロールを作製している。
図6〜図9を参照しながら具体的に説明すると、先ず図6に示すように金属製の矩形板状の基材10を用意し、その一方の表面にガス導入路となる互いに平行に延在する複数の溝14を切削加工する。前述したガンドリルによる穿孔のように板状部材の肉厚部に孔を開ける加工法は切粉の排出が難しく加工速度を上げることはできないが、板状部材の片面にバイトなどの工具を用いて行う溝切削加工は加工速度を格段に速めることができる。溝の延在方向に垂直な断面形状は矩形のほか、半円形、半だ円形、逆三角形、逆富士山型など種々な形状を採用することができる。基材10の材質は、このような切削加工が行われるため熱伝導と加工性に優れたアルミ、銅、ステンレスが好ましく、伝熱性能に優れた銅がより好ましい。
切削加工で形成する溝14の長さは、当該溝14の延在方向における基材10の幅の50%以上とするのが好ましい。その理由は、ガス放出キャンロール56の幅の50%未満の領域にしかガス導入路が設けられていないのであれば、当該ガス放出キャンロール56の外周面と耐熱性樹脂フィルムとの間にガスを充分に供給できないおそれがあるからである。
上記の基材10の溝に蓋をしてガス導入路を形成するため、基材10と同じ平面形状を有する金属製の表面材20を用意し、隙間をあけて対向させる。表面材20の材質は熱伝導と加工性に優れているのであれば基材10と同種金属でも異種金属でも構わないが、ステンレスかアルミニウムが好ましい。そして、表面材20の基材10に対向しない側に火薬を配し、これを図7に示すように表面材20の一端部側から他端部側に向けて爆発させる爆発圧着法(爆着とも称する)により表面材20を基材10に圧接させる。これにより複数の溝14を有する基材10の該溝14形成面に表面材20が圧接により一体化し、肉厚部に互いに平行な複数のガス導入路4を有する矩形板状の接合材30が得られる。
上記の爆発圧着法では爆薬が爆発する際に発生する瞬間的なエネルギーにより隙間を持たせて重ね合わせた同種又は異種の金属材同士を冷間圧着するものであり、圧延のようなプレスを必要としないので、ガス導入路になる溝がつぶれにくいという特徴がある。また、ガンドリルによるガス導入路の形成では、円筒ロールの外周面からガス導入路までの距離をガンドリルの外径より短くすることは難しいが爆着法であれば薄い表面材を用いることにより、例えば円筒ロールの外周面からガス導入路までの距離を1〜5mmの範囲内から選択することができる。なお、爆発圧着法により表面材20の表面に凹凸が生じることがあるが、必要に応じてこの爆着工程後に平面研削加工を行ったり、後段のロール形状への加工後に円筒研削を行ったりすることで平坦にすることができる。また、爆発圧着法によって溝14の形状が多少変形しても構わない。
爆発圧着法によって2枚以上の金属製の板状部材を接合させるには、爆薬が配された板状部材(合せ材とも称する)が該爆薬の爆発エネルギーにより加速されながら、固定されている板状部材(母材とも称する)に対して所定の速度と角度で衝突する必要がある。このため、爆発圧着法では母材に対して合せ材を離間させた状態で好ましくはわずかに傾斜させて対向させ、その合せ材の対向していない面上に直接又は薄い表面保護材を介して爆薬を配置し、その一端部から起爆することで接合に適した衝突点移動速度(爆速)と衝突速度・衝突角度(衝突エネルギー)を確保している(荒木、「爆発接合法の原理と新しい適用例」、ジョイテック、1990年11月、第6巻、第11号、p.97−103)。なお、爆発圧着法による接合の界面は波状になるという特徴がある。また、基材10にあらかじめ形成した溝14の形状が爆着により不均一にならないようにするため、爆発させる方向を溝14の延在方向に一致させるのが好ましい。
次に、図8に示すように、基材10と表面材20とが圧接されてなる内部に複数のガス導入路4を有する接合材30の表面材20側の表面から、複数のガス導入路4の各々に向けて、マイクロドリルあるいはレーザーにより複数のガス放出孔5を穿孔する。なお、この穿孔加工前に平面研削加工により接合材におけるガス導入路4から表面材20側の表面までの厚みを薄く研削加工しておくのが好ましい。これにより、ガス放出孔の穿孔工程を短時間で済ますことができる。また、このマイクロドリルあるいはレーザーによるガス放出孔5の穿孔工程は、後段の接合材のロール形状への加工後に行ってもよい。
なお、マイクロドリルによる穿孔の場合は、一般的に孔径の10〜20倍の深さまでの穿孔が限界とされている。また、レーザーにより銅製の表面材20に穿孔する場合は、銅に吸収がある発振波長が可視域から近赤外域のレーザーを用いたパルスYAGレーザーやファイバーレーザーが適している。あるいは、銅の吸収がほとんど無い赤外線波長の炭酸ガスレーザーでも加工表面に吸収塗料等を塗布すれば穿孔することができる。
次に、図9に示すように、ロール成形により表面材20側が外側となるように接合材30をロール成形した後、対向する端部同士を突き合わせ溶接もしくは摩擦攪拌接合により融合して、円筒ロールを作製する。なお、摩擦攪拌接合は英国のTWI(The Welding Institute)で開発された溶接法であり、突起のある回転工具を接合させる部分に押し当てて高速回転させながら移動することにより、その摩擦熱や加工熱により接合部を溶融させて接合する方法であり、一般的なアーク溶接などの溶接法に比べて接合部に加工歪みや変形が少ないことが知られている。
このようにして作製した円筒ロールに対して、その内側に内筒部を設けてジャケットロール構造にすると共に回転中心軸部分に2重管を設けて冷媒が流れる冷媒循環部を形成する。そして両側面に管状の側部を設け、それらの一方にガスロータリージョイントを取り付けてキャンロールを完成させる。円筒ロールの外周面には、そこに巻き付く長尺樹脂フィルムに擦り傷が付かないように、クロムめっき、ニッケルめっき、ダイヤモンドライクカーボンコーティング、タングステンカーバイトコーティング、窒化チタンコーティング等で被覆することが望ましい。
上記のガス放出キャンロールをスパッタリングウェブコータに設置することで、ロールツーロール方式で搬送される長尺樹脂フィルムへのスパッタリング成膜時の熱的ダメージを著しく抑えることが可能になる。これは、上記のガス放出キャンロールを用いることでギャップ部での熱コンダクタンスを顕著に低減させることができる上、円筒ロールの伝熱性能を高くできるので、長尺樹脂フィルムに成膜等の熱負荷がかかっても直ちに除熱することができるからである。
なお、上記の説明ではキャンロール56の回転中心軸Oに平行な複数の直線状の溝14を形成する場合について説明したが、これ以外にS字状等の溝でもよい。あるいはガスロータリージョイントに導入ガスの供給・停止を行う開閉平手段を設けない場合は、キャンロール56の回転中心軸O方向に旋回するらせん形状の1又は複数本の溝でもよい。
[実施例]
以下、図2に示すような本発明に係るガス放出キャンロール56を作製し、これを図1に示すような真空成膜装置(スパッタリングウェブコータ)50に搭載して長尺樹脂フィルムFの片面にシード層としてのNi−Cr膜とその上のCu膜とをスパッタリング成膜により積層して金属膜付長尺耐熱性樹脂フィルムを作製した。長尺樹脂フィルムFには、幅500mm、長さ800m、厚さ25μmの宇部興産株式会社製の耐熱性ポリイミドフィルム「ユーピレックス(登録商標)」を使用した。なお本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない
具体的に説明すると、先ず矩形板状の基材10として長さ2850mm×幅760mm×厚さ8mmのステンレス板材を用意し、その幅方向に延在する幅2mm×深さ2mmの複数の溝を6mmピッチで切削加工した。この基材10の溝形成面に表面材20として長さ2850mm×幅760mm×厚さ4mmのステンレス板材を爆発圧着法により接合し、肉厚部に複数のガス導入路を有する接合材30を作製した。この接合材30の表面材20側の表面を全面に亘って約2mm切削加工して、合計厚さ10mmとした。そして、この接合材30をロール加工したときに突合せ部となる両端面を切削加工した後、ロール成形により表面材20側が外側となるように丸めてロール状に形成し、上記突き合せ部を摩擦攪拌接合により融合させて円筒形状とした。
次に複数のガス導入路各々に向けて発振波長1.064μm、出力400WのYAGレーザーを表面材20側の表面から照射して内径0.2mmのガス放出孔を6mm間隔で78個設けた。このようにしてガス導入路とガス放出孔とが加工された円筒ロールの内側にジャケット構造となる内筒部を設け、更に回転中心軸部分に二重管を設けて冷媒循環路とし環状両端部を設けてからそれらの一方にガスロータリージョイントを取り付けた。その後、円筒ロールの外周面に鏡面研磨を施し、更にハードクロムめっき処理を行った。
このようにして外径900mm、幅750mmであって、爆発圧着によって形成され、且つ外周面にハードクロムめっきが施された厚さ10mmのステンレス製の外周肉厚部に回転中心軸方向に延在しそれに垂直な断面での断面形状が2mm×2mmの四角形のガス導入路4が周方向に等間隔に474本形成された56を作製した。なお、この場合、外周面に長尺樹脂フィルムが巻き付いたときにその両縁部からそれぞれ20mm付近にはガス放出孔5が存在しないことになる。
そして、このガス放出キャンロール56を真空成膜装置50に搭載した。このガス放出キャンロール56にロールツーロールで搬送される長尺樹脂フィルムFを巻き付けたときに該長尺樹脂フィルムFが接触しない角度(抱き角A以外の角度)は約30°となり、この角度範囲内に存在するガス導入路4は40本になる。従って、ガスロータリージョイント内に形成したガス導入路に連通する流路のうち上記約30°の角度範囲内の流路ではガスが流れないように、当該ガスロータリージョイントの内部の流路は機械的に開閉する機構にしておいた。
長尺樹脂フィルムFにシード層としてのNi−Cr膜及びCu膜を積層するため、マグネトロンスパッタターゲット57にはNi−Crターゲットを用い、マグネトロンスパッタターゲット58〜60にはCuターゲットを使用した。更に、巻出ロール52と巻取ロール64の張力は80Nとし、ガス放出キャンロール56の冷媒循環路3には冷媒として20℃に温度制御された水を循環した。
巻出ロール52に長尺樹脂フィルムFをセットし、ガス放出キャンロール56を経由してその先端部を巻取ロール64に取り付けた。そして、真空チャンバー51を複数台のドライポンプにより5Paまで排気した後、更に複数台のターボ分子ポンプとクライオコイルを用いて3×10−3Paまで排気した。この状態で長尺樹脂フィルムFの搬送速度を4m/分にした後、各マグネトロンスパッタカソードにアルゴンガスを300sccm導入すると共に電力を5Kw印加し、ガス放出キャンロール56にはアルゴンガスを1000sccm導入して、Ni−Cr膜及びその上のCu膜の成膜を開始した。
この成膜の際に、マグネトロンスパッタカソードの間に設置したレーザー変位計により、長尺樹脂フィルムFの表面形状を測定したところ、ガス放出キャンロール56の外周面から約40μm離れていることが確認された。なお、長尺樹脂フィルムFと外周面とのギャップの距離は、長尺樹脂フィルムの種類や厚さ、フィルム搬送時の張力、ガス導入量等により異なる。
次に、成膜中におけるガス放出キャンロール56の外周面上の長尺樹脂フィルムFの表面の観察が可能な観察窓から観察しながら各カソードへの印加電力を徐々に増加していき、スパッタリングの熱負荷によるシワが発生しない最大スパッタリング電力(4台の合計)を求めたところ、80kWであった。
比較のため、各カソードへの印加電力を元に戻してからガス放出キャンロール56へのアルゴンガス導入を停止し、成膜中におけるガス放出キャンロール56の外周面上の長尺樹脂フィルムFの表面の観察が可能な観察窓から観察しながら、各カソードへの印加電力を徐々に増加していきスパッタリングの熱負荷によるシワが発生しない最大スパッタリング電力(4台の合計)を求めたところ、40kWであった。
[比較例]
比較例として、従来のガンドリルによるガス導入路の形成方法を用いて、長さ2850mm×幅760mm×厚さ8mmのステンレス製の矩形板状部材の肉厚部にその幅方向に延在する複数のガス導入路を開けた。その際、作業性を考慮して両側から加工を行ったが、この場合でも外径4mmのガンドリルが必要であった。そのため8mmピッチとなった。このガンドリルによるガス導入路の形成方法は、実施例の爆発圧着法に比べて約10倍の作業時間がかかった。
次に、実施例と同様にロール状に形成した後、複数のガス導入路の各々に向けて発振波長1.064μm、出力400WのYAGレーザーを表面材側の表面から照射して内径0.2mmのガス放出孔を6mm間隔で78個設けた。しかし、ガンドリルの曲がりに起因して、ガス導入路に達するガス放出孔の深さが異なり、ガス放出孔がガス導入路に達しなかった孔が約1%、ガス放出孔のガス導入路付近の孔径が細くなってしまいガスの放出が少ない孔も約1%発生した。
以降は上記実施例と同様にしてガス導入路とガス放出孔とが加工された円筒ロールの内側にジャケット構造となる内筒部を設け、更に回転中心軸部分に二重管を設けて冷媒循環路とし環状両端部を設けてからそれらの一方にガスロータリージョイントを取り付けた。その後、円筒ロールの外周面に鏡面研磨を施し、更にハードクロムめっき処理を行った。
このガス放出キャンロールを真空成膜装置50に搭載して実施例と同様にして金属膜付き長尺耐熱性樹脂フィルムを作製した。その結果、キャンロールから均一にガス放出を行うことが難しくなるばかりか、ガス導入路の容積が大きいためにガスロータリージョイントでガス導入を停止しても、残留ガスが放出される量が多くなるという問題が生じた。また、ガス放出孔からのガス放出量のバラツキに起因して熱負荷によるシワが発生しない最大スパッタリング電力(4台の合計)は50kWまでであった。
上記の通り、本発明のガス放出キャンロールは製作時間が短く、製作コストも安価であった。また、本発明のガス放出キャンロールを用いて長尺樹脂フィルムにスパッタリング成膜する場合はスパッタリングの熱負荷によるシワが発生しない最大スパッタリング電力を高くすることが可能なため、同じ膜厚を得るためのフィルム搬送速度を速くすることができるので、生産性を向上させることができた。
O 回転中心軸
F 長尺樹脂フィルム
1 円筒ロール
2 内筒部
2a 冷媒循環路
3 二重管
4 ガス導入路
5 ガス放出孔
6 ガスロータリージョイント
7 ガス供給ライン
10 基材
14 溝
20 表面材
30 接合材
50 真空成膜装置
51 真空チャンバー
52 巻出ロール
53、63 フリーロール
54、62 張力センサロール
55、61 フィードロール
56 ガス放出キャンロール
57、58、59、60 マグネトロンスパッタリングカソード
64 巻取ロール

Claims (4)

  1. 外周面で開口する複数のガス放出孔と、それらにガスを導入するガス導入路とを有するガス放出キャンロールの製造方法であって、
    ステンレス製の矩形板状の基材の一方の面に前記複数のガス導入路となる複数の溝を形成する工程と、この基材と同じ平面形状を有するステンレス製の矩形板状の表面材を該基材の溝形成面側に対向させ、爆発させる方向を該溝の延在方向に一致させて爆着させる爆発圧着法により接合する工程と、該接合された基材と表面材とを該表面材が外周面側となるように円筒状にロール成形する工程と、前記ロール成形工程の前又は後に、前記複数の溝の各々に向けて該表面材にその表面から貫通孔をマイクロドリルもしくはレーザーより穿孔する工程とからなることを特徴とするガス放出キャンロールの製造方法。
  2. 前記ガス導入路が複数本からなりそれらが周方向に略均等な間隔をあけて全周に亘って回転軸方向に延在する構造のガス放出キャンロールであって、前記複数の溝の長さが、該溝の延在方向における前記の基材の長さの50%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のガス放出キャンロールの製造方法。
  3. 前記表面材の厚みが1mm以上5mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス放出キャンロールの製造方法。
  4. 回転軸方向に延在する複数の溝が周方向に略均等な間隔をあけて外周面に全周に亘って設けられたステンレス製の基部と、該外周面に接合しているステンレス製の表面部とからなる円筒ロールから構成されるガス放出キャンロールであって、該接合の界面が爆発圧着法のため波状になっていることを特徴とするガス放出キャンロール。
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