JP6466660B2 - 塗料組成物、塗膜、及び、塗膜の製造方法 - Google Patents

塗料組成物、塗膜、及び、塗膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、塗料組成物、塗膜、及び、塗膜の製造方法に関する。
塗料組成物は、基材上に塗膜形成して基材を保護するために、自動車、鉄道車両、船舶、航空機、電気機器、建築構造物、建設機器等の様々な分野において幅広く用いられている。このような工業的に使用される塗料組成物においては、塗料組成物の取扱い性や作業性が高いことや、塗料組成物を用いて得られる塗膜の外観や接着性を良好なものとすることも重要である。塗料組成物は、一般にポリマー、顔料、溶剤等が配合されたものであり、更に塗膜用改質剤も配合される。塗膜用改質剤は、塗料組成物に求められる各種機能を適切に向上するために用いられるものである。
制振性等の各種機能を向上するための塗料組成物(例えば、特許文献1〜3参照。)や、塗膜を平滑化するレベリング剤が開示されている(例えば、非特許文献1、2参照。)。
特昭57−57757号公報 特開平10−316888号公報 特開2011−57829号公報
「色材協会誌」、色材協会、第68巻、第4号、p.234-244(1995) "表面調整剤の役割とその作用"、[online]、楠本化成株式会社、[平成26年3月31日検索]、インターネット〈URL:http://www.kusumoto.co.jp/pdf/tecnews/hyomen-yakuwari.pdf〉
上記のように、塗料用途に用いられる樹脂組成物について、上記各種機能が向上された塗膜を得るための種々の試みがなされている。しかしながら、上記のいずれのものについても、加熱乾燥する等の塗膜化工程で、塗膜の端(エッジ)部が盛り上がることを抑制し、充分に塗膜表面の平滑性が向上できているとは言い難いのが現状である。工業的に使用される塗料組成物において表面の平滑性が向上されたムラの無い塗膜を形成できることは重要な要素であり、平滑性がより向上され、各種工業用途においてより好適に用いることができる塗膜を形成できる塗料組成物が求められている。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、平滑かつ接着性に優れる塗膜を基材上に形成でき、加熱乾燥性にも優れる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、塗料用途に使用でき、平滑な塗膜を得ることができる塗料組成物の配合について種々検討し、塗料組成物中に配合するポリマーについて種々検討した。そして、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000である(メタ)アクリル系ポリマー(A)を塗膜用改質剤として塗料組成物の主剤成分に添加することで、基材上に塗工した塗料組成物を加熱乾燥する等の塗膜化工程で、塗膜の端(エッジ)部が盛り上がらずに形状が保持された平滑な塗膜が得られるという効果を確認した。このようにして得られた塗膜の外観は、際立って優れるものとなり、鋼板等の基材との接着性も改善する。また、上記塗膜用改質剤が添加された塗料組成物は、加熱乾燥性も向上する。更に本発明者は鋭意検討を行い、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と共に、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きい重量平均分子量をもつ主剤成分としての(メタ)アクリル系ポリマー(B)及び無機充填材を含む塗料組成物を用いることにより、上記の(メタ)アクリル系ポリマー(A)の作用効果がより顕著に発揮されることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含む塗膜用改質剤であって、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000である塗膜用改質剤である。
また本発明は、本発明の塗膜用改質剤を含む塗料組成物であって、上記塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)及び無機充填材を更に含み、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きい塗料組成物でもある。
更に本発明は、本発明の塗料組成物を用いて得られる塗膜でもある。
そして本発明は、塗膜を製造する方法であって、上記製造方法は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きい重量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを塗膜化する工程を含み、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000である塗膜の製造方法でもある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
<1.塗膜用改質剤>
本発明の塗膜用改質剤は、水系溶媒中のエマルションである(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含み、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、重量平均分子量が5000〜50000である。該重量平均分子量は、7000以上が好ましく、9000以上がより好ましく、11000以上が更に好ましい。また、該重量平均分子量は、塗膜形成時に塗膜のエッジ部変形をより充分に抑制し、より平滑な塗膜が得られることから、40000以下が好ましく、30000以下がより好ましく、20000以下が更に好ましく、17000以下が特に好ましい。
上記重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により後述する条件で測定することができる。
本発明の塗膜用改質剤は、主剤成分(後述する(メタ)アクリル系ポリマー(B))に添加し、これにより塗膜における平滑性等の各種性能を改善するために用いるものであり、本発明の塗膜用改質剤のみから構成される塗膜を形成するために用いるものではない。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。また、本発明の塗膜用改質剤は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含む限り、(メタ)アクリル系ポリマー(A)に該当しないエマルション、後述する無機充填材等の成分を含んでいてもよい。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分から得られる重合体によって形成されるものである。
なお、本明細書中、(メタ)アクリル系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有する単量体、又は、そのような単量体の誘導体を意味する。(メタ)アクリル系単量体は、酸基(−COOH基)、又は、−COOH基がエステルとなったもの若しくは塩となったものを有する。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、SP値が9.5以上であることが好ましい。これにより、塗膜の接着強度を優れたものとすることができる。また、塗膜形成時に塗膜のエッジ部変形をより充分に抑制し、より平滑な塗膜を得ることができる。これは、従来では基材上に塗布した樹脂組成物(ウェット塗膜とも言う。)に対して加熱乾燥時等を行って塗膜化する場合、ウェット塗膜の端(エッジ)部は樹脂組成物量に対する表面積が大きいことから、乾燥し易く、エッジ部にて水分が先に抜けるとウェット塗膜中央部からエッジ部に向けて樹脂が移動し、エッジ部が盛り上がっていたところ、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のSP値が高く、したがって親水性が高いことにより、ウェット塗膜内で、(メタ)アクリル系ポリマー(A)が比重の軽い水分と共にウェット塗膜の上側(該塗料組成物から見て基材の反対側部分)に移動・偏在化し、その後の塗膜化時に親水性が高い(メタ)アクリル系ポリマー(A)がウェット塗膜表面の乾燥をより適切に調整するためであると推察される。該SP値は、9.8以上がより好ましく、上記塗膜のエッジ部変形を更に抑制する観点からは、10以上が更に好ましく、10.1以上が特に好ましい。また、該SP値は、14以下がより好ましく、13以下が更に好ましく、12以下が一層好ましく、11以下が特に好ましい。
該SP値は、Fedors(Polymer Eng.Sci.,14,NO.2,147,1974)及びTortorelloら(J.Coat.Technol.,55,696,99,1983)が以下の式(Smallの式)を用いて算出したのと同様に求めることが好ましい。
Figure 0006466660
式中、δは、ポリマーのSP値である。Δeは、ポリマーを構成する単量体各成分の蒸発エネルギーの計算値(kcal/mol)であり、ΣΔeは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計値である。ΔVは、ポリマーを構成する単量体各成分の分子容の計算値(ml/mol)であり、ΣΔVは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計である。xは、ポリマーを構成する単量体各成分のモル分布である。
なお、単量体成分の蒸発エネルギー、及び、単量体成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いることができる。
このように、構成する単量体の種類及びその構成比を調整することによって、ポリマーのSP値を調整することができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ガラス転移温度が−50〜10℃であることが好ましい。該ガラス転移温度は、より好ましくは、−40℃以上であり、更に好ましくは、−30℃以上である。また、該ガラス転移温度は、より好ましくは、5℃以下であり、更に好ましくは、0℃以下である。
なお、ポリマーのガラス転移温度(Tg)測定方法は、レオメーター(RSAIII、TAinstruments社製、又は、ARES、TAinstruments社製)を使用した動的粘弾性測定により、−50℃〜100℃のtanδ曲線を求める方法を用いて行うことができる。
上記測定は、表面が平滑なテフロン(登録商標)板上に乾燥後膜厚が0.2mmとなるようにエマルションを塗布し、25℃で12時間乾燥後、150℃で30分間乾燥し、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルから引っ張りモードで行うことができる。又は、上記測定は、表面が平滑なテフロン板上に乾燥後膜厚が0.5mmとなるようにエマルションを塗布し、25℃で12時間乾燥後、150℃で30分間乾燥し、直径25mmのサイズに切り出したサンプルからずりモードで行うことができる。
ポリマーのTgの測定は、上記のtanδ曲線のピーク温度を計測することにより行うことができる。なお、tanδ曲線のピークトップにおけるtanδの数値(tanδピークトップ値)は、本発明の塗料組成物を制振材用途に用いる場合、その制振性能の尺度を示すものであるから、数値が高いほど制振性能が優れていることを示す。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)を形成する単量体成分は、全単量体成分100質量%中、酸基を有する単量体を0.1〜5質量%、その他の共重合可能な単量体を95〜99.9質量%含むことが好ましい。酸基を有する単量体を含むことで、酸基どうしのイオン反発によりエマルション粒子の凝集が抑制され、エマルション粒子の安定化効果が得られることになるが、酸基を有する単量体の含有量が全単量体成分100質量%中0.1質量%未満であると、このようなエマルション粒子の安定化効果を充分に得ることができないおそれがある。また、酸基を有する単量体の含有量が全単量体成分100質量%中5質量%を超えると、塗膜の耐水性が低下するおそれがある。上記単量体成分は、より好ましくは、酸基を有する単量体を0.3〜4質量%、その他の共重合可能な単量体を96〜99.7質量%含むことであり、更に好ましくは、酸基を有する単量体を0.5〜2質量%、その他の共重合可能な単量体を98〜99.5質量%含むことである。
なお、酸基を有する単量体は、酸無水物であってもよく、言い換えれば、酸基は2つのカルボキシル基が脱水縮合したものであってもよい。
上記酸基を有する単量体は、不飽和カルボン酸系単量体であることが好ましい。不飽和カルボン酸系単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であればよいが、エチレン系不飽和カルボン酸系単量体を含むことが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸系単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマレイエート、モノエチルマレイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸系単量体が好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系単量体とは、アクリロイル基若しくはメタクリロイル基、又は、これらの基における水素原子が他の原子若しくは原子団に置き換わった基を有し、かつ、酸基を有し、該酸基がエステル若しくは塩とはなっていない単量体を意味する。また、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
すなわち、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、(メタ)アクリル酸系単量体を含む単量体成分から得られたアクリル酸系重合体によって形成されるアクリル酸系エマルションであることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上使用することができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の原料となる単量体成分は、(メタ)アクリル酸系単量体を、酸基を有する単量体100質量%に対して、50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、100質量%含有することが更に好ましい。
また(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等の他、上述した(メタ)アクリル酸系単量体の塩等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の極性(SP値)を好適に向上でき、塗膜形成時に塗膜のエッジ部変形をより充分に抑制し、より平滑な塗膜を得ることができることから、例えばエチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体は1種又は2種以上使用することができる。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等であることが好ましい。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適であり、また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)を形成する単量体成分が含む(メタ)アクリル系単量体以外のその他の共重合可能な単量体としては、共重合可能なエチレン系不飽和単量体が好ましく、窒素原子を有する不飽和単量体、芳香環を有する不飽和化合物、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能なその他の単量体が含まれる。中でも窒素原子を有する不飽和化合物が好ましい。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の極性(SP値)を好適に向上でき、塗膜形成時に塗膜のエッジ部変形をより充分に抑制し、より平滑な塗膜を得ることができることから、例えばアクリロニトリル、アクリルアミドが好ましい。これらは1種又は2種以上使用することができる。
上記芳香環を有する不飽和化合物としては、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。好ましくはスチレンである。
すなわち、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)が、スチレンを含む単量体成分から得られたスチレン(メタ)アクリル系ポリマーであることもまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
以上を纏めると、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、その極性(SP値)を好適に向上でき、塗膜形成時に塗膜のエッジ部変形をより充分に抑制し、より平滑な塗膜を得ることができる観点からは、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、エチルアクリレート、及び、アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の単量体由来の構造単位を含むことが好ましい。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の原料となる単量体成分は、エチルアクリレートと、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、及び、アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の単量体とを併用することがより好ましい。この場合、該単量体成分は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、及び、アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を全単量体成分100質量%に対して、1質量%以上含有することが好ましく、2質量%以上含有することがより好ましく、3質量%以上含有することが更に好ましい。また、該単量体成分は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、及び、アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の単量体を全単量体成分100質量%に対して、20質量%以下含有することが好ましく、19質量%以下含有することがより好ましく、18質量%以下含有することが更に好ましい。上記単量体の含有量が上記の範囲内となることにより、本発明の効果を好適に得ることができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、平均粒子径が50〜500nmであるものが好ましい。
平均粒子径がこの範囲にある(メタ)アクリル系ポリマー(A)の粒子(エマルション粒子)を用いると、塗料組成物を加熱乾燥性、塗工性等の基本性能に優れたものとすることができる。上記下限は、100nmであることがより好ましく、150nmであることが更に好ましい。また、上記上限は、450nmであることがより好ましく、400nmであることが更に好ましい。エマルション粒子の平均粒子径がこのような範囲であると、これらの作用効果がより効果的に発揮されることになる。
平均粒子径(体積平均粒子径)は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し充分に撹拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めることができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の固形分の含有量は、本発明の塗膜用改質剤100質量%に対して、35〜80質量%であることが好ましい。該含有量は、より好ましくは、40〜75質量%であり、更に好ましくは、45〜70質量%である。なお、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の固形分(不揮発分)とは、エマルションのうち、溶媒以外の部分を意味する。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の固形分は、得られた水系溶媒中のエマルション約1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃×1時間乾燥後、乾燥残量を不揮発分として秤量し、乾燥前質量に対する比率として求めることができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のpHは、例えば2〜10であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、7〜8であることが更に好ましい。
本明細書中、pHは、pHメーターにより測定することができる。pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)を用いて25℃での値を測定することが好ましい。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の粘度は、例えば1〜10000mPa・sであることが好ましく、5〜2000mPa・sであることがより好ましく、5〜1000mPa・sであることが更に好ましい。
なお、粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
本発明の塗膜用改質剤が、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と共にその他のエマルションとを含む場合、その他のエマルションとしては、ウレタン樹脂、SBR樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−エチレン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン系樹脂等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用できる。
本発明の塗膜用改質剤が、その他のエマルションを含む場合、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)とその他のエマルションとの質量比(上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)/その他のエマルション)は、100〜50/0〜50であることが好ましい。
本発明の塗膜用改質剤が含むエマルションの製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いることが好ましい。
上記乳化剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性のいずれであってもよく、これらの1種又は2種以上を用いることができるが、中でもアニオン性又はノニオン性であることが好ましい。なお、上記乳化剤は、低分子界面活性剤であってもよく、高分子界面活性剤であってもよい。また、上記乳化剤は、反応性乳化剤であってもよい。反応性乳化剤は、エマルションを形成する重合体に結合するので、いずれも高い反発安定性を発揮することができる。
このような乳化剤を用いて、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)を好適に製造することができる。
また上記乳化剤は、ノニオン系界面活性剤及び/又は硫酸エステル型アニオン系界面活性剤であることが好ましい。
すなわち、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、単量体成分を乳化重合する際にノニオン系界面活性剤及び/又は硫酸エステル型アニオン系界面活性剤を乳化剤として用いて得られたものであることが好ましい。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体等のノニオン系界面活性剤;アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
上記硫酸エステル型アニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩(例えば、花王社製「レベノールWZ」等)、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩等が挙げられる。上記塩は、例えばナトリウム塩が好適である。
上記乳化剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記乳化剤の使用量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の原料となる単量体成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、1〜6質量部であることがより好ましい。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であればよいが、水溶性開始剤が好適に使用される。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、中でも例えば過硫酸カリウムが好ましい。上記重合開始剤としては、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、全単量体成分100質量部に対して、0.05〜2質量部であることが好ましく、より好ましくは、0.1〜1.0質量部である。
上記重合開始剤にはまた、乳化重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤を使用する場合、該還元剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。
上記重合連鎖移動剤としては、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられ、これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、全単量体成分100質量部に対して、通常2.0質量部以下、好ましくは1.0質量部以下である。重合連鎖移動剤の使用量の下限は、好ましくは0.1質量部である。
上記乳化重合においては、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法における乳化重合条件に関し、重合温度としては、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは、40〜95℃、更に好ましくは、60〜90℃である。また、重合時間は、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは、2〜8時間である。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
本発明の塗膜用改質剤に含有される上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)等のエマルションの製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、中和剤によりエマルションを中和することが好ましい。これにより、エマルションが安定化されることになる。中和剤としては、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジグリコールアミン、モノエタノールアミン、2−ヒドロキシエチルピペリジン、ベンジルアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)イソプロパノール、1、6−ヘキサメチレンジアミン;アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<2.塗料組成物>
本発明は、本発明の塗膜用改質剤を含む塗料組成物であって、上記塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)及び無機充填材を更に含み、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きい塗料組成物でもある。本発明の塗料組成物は、エマルションに添加する塗膜改質剤の選択による作用効果と、組成物の主剤となるポリマーの選択により上記作用効果をより顕著に発揮するという相乗的な作用により、極めて優れた効果を発現することができる。なお、本発明の塗料組成物に含まれる塗膜用改質剤の好ましい形態は、上述した本発明の塗膜用改質剤の好ましい形態と同様である。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きく、好ましくは、10000以上大きく、より好ましくは50000以上大きく、更に好ましくは80000以上大きく、特に好ましくは100000以上大きい。また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも、好ましくは500000以下大きく、より好ましくは400000以下大きく、更に好ましくは300000以下大きい。
塗料組成物における上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系ポリマー(B)それぞれの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により後述する条件で測定することができる。
なお、塗料組成物中の2種のポリマーは、例えば、ガラス転移温度、SP値(溶解度係数)、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいて異なることにより区別することができる。また、これらの各種物性が同じであっても、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により分子量分布を測定したときに、2種のピークが観測された場合、それぞれのピークに相当する2種のポリマーがあると認めることができる。また、Z−平均分子量と重量平均分子量の比(Mz/Mw)が2.4以上確認された場合にも、それぞれのピークに相当する2種のポリマーがあると認めることができる。
Z−平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定できる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のSP値は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のSP値よりも、好ましくは小さく、(メタ)アクリル系ポリマー(A)にもとづく作用効果を顕著なものとする観点からは、より好ましくは0.1以上小さく、更に好ましくは0.2以上小さく、一層好ましくは0.3以上小さく、特に好ましくは0.32以上小さい。また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のSP値は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のSP値よりも、より好ましくは3以下小さく、更に好ましくは2以下小さく、特に好ましくは1以下小さい。
上記SP値は、上述したFedors(Polymer Eng.Sci.,14,NO.2,147,1974)及びTortorelloら(J.Coat.Technol.,55,696,99,1983)が用いた式により求めることができる。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のガラス転移温度は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)のガラス転移温度よりも大きいことが好ましく、10℃以上大きいことがより好ましく、20℃以上大きいことが更に好ましく、30℃以上大きいことが一層好ましく、35℃以上大きいことが特に好ましく、塗料組成物の加熱乾燥性及び塗膜の接着強度を際立って優れたものとする観点からは、46℃以上大きいことが最も好ましい。
上記ガラス転移温度は、上述した動的粘弾性測定装置によって測定したtanδカーブのピーク温度である。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と同様の単量体成分から形成することができるが、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の極性(SP値)を小さくしたり、ガラス転移温度を大きくしたりする観点から、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の極性(SP値)を大きくするために好適に用いる上述したヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、エチルアクリレート、アクリルアミドを単量体成分として用いないことが好ましい。また、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の極性を小さくしたり、ガラス転移温度を大きくしたりする観点から、メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート等の官能基を有さない単量体を主成分として用いることが好ましい。官能基を有さない単量体を主成分として用いるとは、単量体成分100質量%中、官能基を有さない単量体を50質量%以上用いることを言い、好ましくは60質量%以上用いることであり、より好ましくは70質量%以上用いることであり、更に好ましくは80質量%以上用いることであり、一層好ましくは90質量%以上用いることであり、特に好ましくは95質量%以上用いることである。上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のその他の構成は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と構成と同様である。
なお、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、1種類の重合体によって形成されるものであってもよく、2種類以上の重合体によって形成されるものであってもよい。また、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)は、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と同様の方法により調製することができ、その好ましい方法も同様である。
本発明の塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の含有量100質量部に対して、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量が5質量部以上であることが好ましく、7質量部以上であることがより好ましく、9質量部以上であることが更に好ましく、10質量部以上であることが特に好ましい。該(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量が5質量部未満であると、本発明の効果が充分に発揮できないおそれがある。また、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量は、50質量部以下であることが好ましく、40質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが更に好ましく、20質量部以下であることが特に好ましい。該(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量が50質量部を超えると、含有量に見合った効果が得られないおそれがある。
本発明の塗料組成物において、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)とは、(1)別々に重合して合成した後、得られたエマルションを混合(ブレンド)して得られる混合物である形態、(2)一連の製造工程の中で2種類の重合体を含むものを製造(例えば、多段重合等)して得られる混合物である形態が挙げられる。本発明の効果をより好適に得る観点からは、上記(1)の形態が好ましい。なお、一連の製造工程の中で2種類の重合体を含むものを得るためには、単量体滴下条件等の製造条件を適宜設定することにより得ることが可能である。
上記(1)の形態においては、別々に重合して得られたエマルションの少なくとも一方が、2種類の重合体を含むものを製造(例えば、多段重合等)して得られるものであってもよい。例えば、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の一方又はそれぞれが、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子を構成してもよい。この場合、コア部とシェル部とを有するエマルション粒子のガラス転移温度やSP値(溶解度係数)、重量平均分子量等は、当該エマルション粒子全体のものを言う。
上記(2)の形態のものも本発明の効果を発揮することができる。上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)が一体となってコア部とシェル部とを有するエマルション粒子を構成する場合、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよい。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び(メタ)アクリル系ポリマー(B)が一体となってコア部とシェル部とを有するエマルションであるとは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び(メタ)アクリル系ポリマー(B)のいずれか一方がエマルションのコア部を構成し、他方がシェル部を構成するものであればよい。
上述したコア部とシェル部とを有するエマルションの中でも、粒子の形態であることが好ましく、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造が好ましい。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
また、コア・シェル複合構造を有する重合体は、例えば、ガラス転移温度やSP値(溶解度係数)、使用される単量体の種類、単量体の使用割合等の各種物性のうちいずれかにおいてコア部−シェル部間で異なるものであればよい。
上記コア部とシェル部とを有するエマルションは、通常の乳化重合法を用いて得ることが好ましい。具体的には、乳化剤の存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。
上記水性媒体としては、例えば、水、水と混じり合うことができる溶媒の1種又は2種以上の混合溶媒、このような溶媒に水が主成分となるように混合した混合溶媒等が挙げられる。これらの中でも、水を用いることが好ましい。
本発明の塗料組成物は、本発明の塗膜用改質剤に加え、無機充填材を含む。該無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質の充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられ、中でも炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。これらの1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の含有量100質量部に対して、無機充填材の含有量が50質量部以上であることが好ましく、100質量部以上であることがより好ましく、150質量部以上であることが更に好ましく、180質量部以上であることが特に好ましい。また、該無機充填材の含有量が300質量部以下であることが好ましく、270質量部以下であることがより好ましく、250質量部以下であることが更に好ましく、230質量部以下であることが特に好ましい。
本発明の塗料組成物は、更にその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、顔料;増粘剤;発泡剤;溶媒;充填材;ゲル化剤;分散剤;消泡剤;架橋剤;可塑剤;安定剤;湿潤剤;防腐剤;発泡防止剤;老化防止剤;防黴剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記顔料としては、例えば、カーボンブラック、弁柄、ハンザイエロー、ベンジンイエロー、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド等の有機又は無機の着色剤や、リン酸金属塩、モリブデン酸金属塩、硼酸金属塩等の防錆顔料が挙げられる。これらの中でも、無機顔料が好ましい。
上記顔料としては、粒径が1〜150μmであるものが好ましい。このような粒径の小さいものは、安定性が悪く、凝集しやすい傾向にあるが、本発明の塗料組成物と組み合わせて用いることで、凝集が抑制され、機械安定性に優れた塗料組成物とすることができる。したがって、顔料としてこのような粒径のものを用いる形態も本発明の塗料組成物の好適な形態の1つであるといえる。
上記増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。増粘剤の配合量としては、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜2質量部とすることが好ましく、0.1〜1.5質量部とすることがより好ましく、0.5〜1.2質量部とすることが更に好ましい。
なお、本明細書中、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分とは、(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系ポリマー(B)、及び、その他のポリマーエマルションの固形分の合計量を意味する。
上記発泡剤としては、例えば、低沸点炭化水素内包の加熱膨張カプセル、有機発泡剤、無機発泡剤等が好適であり、これらの1種又は2種以上を使用することができる。加熱膨張カプセルとしては、例えば、マツモトマイクロスフィアーF−30、F−50(松本油脂社製);エクスパンセルWU642、WU551、WU461、DU551、DU401(日本エクスパンセル社製)等が挙げられ、有機発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p−トルエンスルホニルヒドラジン、p−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)等が挙げられ、無機発泡剤としては、例えば、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、シリコンハイドライド等が挙げられる。発泡剤の配合量としては、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対し、0.5〜5質量部とすることが好ましく、1〜3質量部とすることがより好ましい。
上記溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート等が挙げられる。溶剤の配合量としては、塗料組成物の固形分濃度が上述した範囲となるように適宜設定すればよい。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤及びポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。該分散剤の含有量としては、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対し、固形分で0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.5〜3質量部とすることがより好ましい。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。該消泡剤の含有量としては、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対し、固形分で0.1〜5質量部とすることが好ましく、0.3〜2質量部とすることがより好ましい。
上記架橋剤としては、例えば、水系架橋剤が挙げられる。該水系架橋剤としては、例えば、エポクロスWS−500、WS−700、K−2010、2020、2030(いずれも商品名、日本触媒社製)等のオキサゾリン化合物;アデカレジンEMN−26−60、EM−101−50(いずれも商品名、ADEKA社製)等のエポキシ化合物;サイメルC−325(商品名、三井サイテック社製)等のメラミン化合物;ブロックイソシアネート化合物;AZO−50(商品名、50質量%酸化亜鉛水分散体、日本触媒社製)等の酸化亜鉛化合物等が好適である。水系架橋剤の配合量としては、例えば、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対し、固形分で0.01〜20質量部とすることが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量部、更に好ましくは0.2〜10質量部である。水系架橋剤は、樹脂に添加してよいし、本発明の塗料組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。
上記水系架橋剤の他成分としては更に、多価金属化合物を用いてもよい。
多価金属化合物の形態としては、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、塗料組成物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。また、多価金属化合物の使用量は、本発明の塗料組成物中のポリマーエマルションの固形分100質量部に対して、0.05〜5.0質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜3.5質量部である。
上記可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸エステル類等が挙げられ、中でもジイソノニルフタレートが好ましい。
本発明の塗料組成物が可塑剤を含む場合は、本発明の塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の含有量100質量部に対して、可塑剤を1〜30質量部含むことが好ましく、3〜25質量%含むことがより好ましく、5〜20質量部含むことが更に好ましい。可塑剤は、樹脂に添加してよいし、本発明の塗料組成物として他の成分を配合するときに同時に添加してもよい。
なお、上記無機充填材、及び、他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を用いて、本発明における主剤成分や改質剤等と混合され得る。
本発明の塗料組成物の固形分は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。該固形分は、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましい。
なお、ここで固形分濃度とは、塗料組成物が含む溶媒以外の成分を意味する。該固形分濃度は、上述した(メタ)アクリル系ポリマー(A)の固形分の測定方法と同様の方法により測定することができる。
上記塗料組成物は、例えば、基材に塗布して乾燥することにより塗膜を形成することになる。基材としては特に限定されるものではないが、例えば鋼板が挙げられる。また、塗料組成物を基材に塗布する方法としては、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて塗布することができる。
<3.塗膜>
本発明は更に、本発明の塗料組成物を用いて得られる塗膜でもある。本発明の塗膜は、本発明に係る(メタ)アクリル系ポリマー(A)、(メタ)アクリル系ポリマー(B)、及び、無機充填材を含んでなる塗料組成物から得られるものであればよい。本発明の塗膜を得るのに用いる塗料組成物の好ましい形態は、上述した本発明の塗料組成物の好ましい形態と同様である。
本発明の塗膜は、乾燥後の膜厚が1.5mm以上であることが好ましく、2mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが特に好ましい。従来では塗膜がこのように厚膜であるほど、塗膜の厚みが不均一になる課題が大きくなっていたが、本発明により当該課題を解消することができる。該塗膜の厚みは、10mm以下であることが好ましく、8mm以下であることがより好ましく、5mmであることが更に好ましい。より充分な制振性を発揮することと、良好な塗膜を形成する点とを考慮すると、上記厚みの範囲が好ましい。
塗膜の膜厚は、ノギスにより測定することができる。
本発明の塗膜を形成する基材は、塗膜を形成することができる限り特に制限されず、鋼板等の金属材料、プラスチック材料等いずれのものであってもよい。中でも、鋼板の表面に塗膜を形成することは、本発明の塗膜の好ましい使用形態の1つである。
本発明の塗膜は、例えば、刷毛、へら、エアスプレー、エアレススプレー、モルタルガン、リシンガン等を用いて本発明の塗料組成物を塗布することより得ることができる。
本発明の塗膜は、本発明の塗料組成物を加熱乾燥して得られるものであることが好ましい。本発明によれば、塗料組成物の加熱乾燥工程においてエッジ部の膨れが生じやすくなるという課題を充分に解消することができる。
加熱乾燥においては、本発明の塗料組成物を基材上に塗布して形成した塗膜を40℃以上にすることが好ましく、60℃以上にすることがより好ましく、90℃以上にすることが更に好ましく、100℃以上にすることが更に好ましい。このような加熱乾燥温度にすることで、塗膜の乾燥と塗膜中の中和剤の揮発とを同時に行うことが好ましい。また、該加熱乾燥の上限値は、好ましくは200℃であり、より好ましくは150℃であり、更に好ましくは130℃である。
また、塗膜を上記温度にする時間は、1〜300分であることが好ましい。より好ましくは、2〜250分であり、特に好ましくは、10〜150分である。
本発明の塗膜は、容易に形成できるとともに、その表面が平滑で外観に優れる。また、塗膜の表面が平滑であるため、本発明の塗膜は、制振性・耐衝撃性にも優れると考えられる。
<4.塗膜の製造方法>
本発明は、塗膜を製造する方法であって、上記製造方法は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該ポリマー(A)の重量平均分子量よりも大きい重量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを塗膜化する工程を含み、上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000である塗膜の製造方法でもある。
本発明の塗膜の製造方法における塗膜の好ましい形態は、上述した本発明の塗膜の好ましい形態と同様である。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを塗膜化する工程は、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを混合して混合物を得、次いで、該混合物を塗膜化するものであってもよく、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び該(メタ)アクリル系ポリマー(B)をそれぞれ別個に塗布するものであってもよい。
上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを混合して混合物を得、次いで、該混合物を塗膜化することにより、簡便な塗膜化工程にて本発明の効果を好適に得ることができる。ここで、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該(メタ)アクリル系ポリマー(B)とを混合するとは、(1)別々に重合して合成した後、得られたエマルションを混合(ブレンド)すること、(2)一連の製造工程の中で(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該(メタ)アクリル系ポリマー(B)とを含むものを製造(例えば、多段重合等)することが挙げられる。本発明の効果をより好適に得る観点からは、上記(1)の形態が好ましい。
また上記(メタ)アクリル系ポリマー(A)及び上記(メタ)アクリル系ポリマー(B)をそれぞれ別個に塗布するとは、通常は該(メタ)アクリル系ポリマー(B)を含む組成物を基材上に塗布し、次いで該(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含む組成物を塗布するものであればよい。ここで、該(メタ)アクリル系ポリマー(B)及び該(メタ)アクリル系ポリマー(A)を塗布した後に塗膜化工程を行ってもよいし、該(メタ)アクリル系ポリマー(B)を塗布した後と、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)を塗布した後の両方でそれぞれ塗膜化工程を行ってもよい。このように2度の塗布を行うことにより、塗膜の乾燥を塗膜表面に偏在する(メタ)アクリル系ポリマー(A)により非常に適切に調整することができ、塗膜表面の平滑性を際立って優れたものとすることができると考えられる。
また上記塗膜化工程は、例えば塗料組成物を加熱乾燥して行うことが好ましい。加熱乾燥の好ましい条件は、本発明の塗膜において上述したものと同様である。
本発明の塗膜用改質剤は、上述の構成よりなり、平滑かつ接着性に優れる塗膜を基材上に形成でき、加熱乾燥性にも優れる塗料組成物を得ることができるものである。
基材及び基材上に塗布した塗料の断面図である。 基材及び基材上に塗布した塗料の上面図である。 加熱炉内に試験板を配置した様子を示す図である。 塗膜の中央部及び周囲部(額縁部)を示す図である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下の製造例、実施例において、各種物性等は以下のように評価した。
<重量平均分子量>
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)PStQuick Kit−M
流量 1.0ml/min
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルター(0.45μm)にてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
<溶解度パラメーター(SP値)>
各エマルションを形成する各ポリマーのSP値は、Fedors(Polymer Eng.Sci.,14,NO.2,147,1974)及びTortorelloら(J.Coat.Technol.,55,696,99,1983)が以下の式(Smallの式)を用いて算出したのと同様に求めた。
Figure 0006466660
式中、δは、ポリマーのSP値である。Δeは、ポリマーを構成する単量体各成分の蒸発エネルギーの計算値(kcal/mol)であり、ΣΔeは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計値である。ΔVは、ポリマーを構成する単量体各成分の分子容の計算値(ml/mol)であり、ΣΔVは、ポリマーを構成する全単量体成分の当該計算値の合計である。xは、ポリマーを構成する単量体各成分のモル分布である。
なお、単量体成分の蒸発エネルギー、及び、単量体成分の分子容は、通常用いられる計算値を用いた。
<ガラス転移温度(Tg)>
ポリマーのガラス転移温度(Tg)測定方法は、レオメーター(RSAIII、TAinstruments社製、又は、ARES、TAinstruments社製)を使用した動的粘弾性測定により、−50℃〜100℃のtanδ曲線を求める方法を用いて行った。
上記測定は、後述する製造例1〜3、18、19で得られたエマルションの場合、表面が平滑なテフロン板上に乾燥後膜厚が0.2mmとなるようにエマルションを塗布し、25℃で12時間乾燥後、150℃で30分間乾燥し、長さ25mm×幅5mmのサイズに切り出したサンプルから引っ張りモードで行った(測定条件:3℃/分、周波数1Hz、歪0.1%)。また上記測定は、後述する製造例4〜17、20で得られたエマルションの場合、表面が平滑なテフロン板上に乾燥後膜厚が0.5mmとなるようにエマルションを塗布し、25℃で12時間乾燥後、150℃で30分間乾燥し、直径25mmのサイズに切り出したサンプルからずりモードで行った(測定条件:3℃/分、周波数1Hz、歪0.1%)。
なお、Tgが低いエマルションは、粘着性があるために、フィルムとして試験体が作製できず、引っ張りモードでの測定が難しい。よって、Tgが低いエマルションは上記のようにずりモードで測定した。
ポリマーのTgの測定は、上記のtanδ曲線のピーク温度を計測することにより行った。また、tanδ曲線のピークトップにおけるtanδの数値(tanδピークトップ値)を計測した。
<不揮発分(N.V.)>
得られた水性樹脂分散体約1gを秤量、熱風乾燥機で110℃×1時間後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<pH>
pHは、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により25℃での値を測定した。
<粘度>
粘度は、B型回転粘度計を用いて、25℃、20rpmの条件下で測定した。
<平均粒子径>
平均粒子径(体積平均粒子径)は、エマルションを蒸留水で希釈し充分に撹拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散乱法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOMP Model 380」)で測定することにより求めた。
<ポリマーのエマルションの製造例>
(製造例1)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)67.1部、ブチルアクリレート(BA)19.9部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)12.0部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王製、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、以下同様。)10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部、及び、ジイソノニルフタレート(DINP)13部(不揮発分に対する含有量13%)を添加し、重量平均分子量(Mw)150000、不揮発分55.0%、不揮発分に対するDINP含有量13%、ガラス転移温度31℃、tanδピークトップ値2.1、SP値9.85、pH7.8、粘度350mPa・s、平均粒子径330nmのエマルションB1を得た。
(製造例2)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)55.7部、ブチルアクリレート(BA)33.2部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)12.0部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)120000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度31℃、tanδピークトップ値1.9、SP値9.85、pH7.9、粘度180mPa・s、平均粒子径320nmのエマルションB2を得た。
(製造例3)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)67.1部、ブチルアクリレート(BA)19.9部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)12.0部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部、及び、DINP13部(不揮発分に対する含有量13%)を添加し、重量平均分子量(Mw)17000、不揮発分54.8%、不揮発分に対するDINP含有量13%、ガラス転移温度31℃、tanδピークトップ値2.1、SP値9.85、pH7.7、粘度100mPa・s、平均粒子径330nmのエマルションB3を得た。
(製造例4)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)39.4部、ブチルアクリレート(BA)59.6部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.53、SP値9.88、pH7.6、粘度110mPa・s、平均粒子径350nmのエマルションA1を得た。
(製造例5)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)7.1部、エチルアクリレート(EA)91.9部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分54.9%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.67、SP値10.22、pH7.8、粘度150mPa・s、平均粒子径280nmのエマルションA2を得た。
(製造例6)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)7.1部、エチルアクリレート(EA)91.9部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)1.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)45000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.57、SP値10.22、pH7.9、粘度210mPa・s、平均粒子径280nmのエマルションA3を得た。
(製造例7)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)0.1部、エチルアクリレート(EA)88.9部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分54.8%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.77、SP値10.55、pH7.8、粘度400mPa・s、平均粒子径270nmのエマルションA4を得た。
(製造例8)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)24.4部、ブチルアクリレート(BA)59.6部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)15.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分54.8%、ガラス転移温度−12℃、tanδピークトップ値2.89、SP値10.37、pH7.8、粘度800mPa・s、平均粒子径270nmのエマルションA5を得た。
(製造例9)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)9.0部、エチルアクリレート(EA)75.0部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)15.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)9000、不揮発分54.7%、ガラス転移温度−12℃、tanδピークトップ値2.98、SP値10.82、pH7.7、粘度500mPa・s、平均粒子径250nmのエマルションA6を得た。
(製造例10)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)2.4部、エチルアクリレート(EA)91.6部、アクリル酸(AA)1.0部、アクリロニトリル(AN)5.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)13000、不揮発分54.9%、ガラス転移温度−10℃、tanδピークトップ値2.7、SP値10.2、pH7.6、粘度140mPa・s、平均粒子径310nmのエマルションA7を得た。
(製造例11)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)0.8部、エチルアクリレート(EA)93.2部、アクリル酸(AA)1.0部、アクリルアミド5.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)7000、不揮発分54.8%、ガラス転移温度−12℃、tanδピークトップ値2.72、SP値10.2、pH7.9、粘度750mPa・s、平均粒子径260nmのエマルションA8を得た。
(製造例12)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)12.6部、エチルアクリレート(EA)86.4部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分54.9%、ガラス転移温度−6℃、tanδピークトップ値2.63、SP値10.22、pH7.5、粘度180mPa・s、平均粒子径280nmのエマルションA9を得た。
(製造例13)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)3.7部、エチルアクリレート(EA)95.3部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)15000、不揮発分54.9%、ガラス転移温度−14℃、tanδピークトップ値2.73、SP値10.22、pH7.7、粘度140mPa・s、平均粒子径280nmのエマルションA10を得た。
(製造例14)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン(St)8.6部、エチルアクリレート(EA)80.4部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)10.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)13000、不揮発分54.8%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.59、SP値10.47、pH7.2、粘度130mPa・s、平均粒子径250nmのエマルションA11を得た。
(製造例15)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)0.1部、エチルアクリレート(EA)88.9部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)75000、不揮発分55.1%、ガラス転移温度−11℃、tanδピークトップ値2.2、SP値10.55、pH7.9、粘度600mPa・s、平均粒子径280nmのエマルションA12を得た。
(製造例16)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)0.1部、エチルアクリレート(EA)88.9部、アクリル酸(AA)1.0部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)10.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)50.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加しエマルションA13を得る予定であったが、ポリマーエマルションを得ることができなかった。
(製造例17)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)50.7部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)48.3部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)320000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度10℃、tanδピークトップ値2.3、SP値9.58、pH7.7、粘度150mPa・s、平均粒子径290nmのエマルションB4を得た。
(製造例18)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)70.3部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)28.7部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.2部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)250000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度50℃、tanδピークトップ値1.8、SP値9.74、pH8.1、粘度80mPa・s、平均粒子径330nmのエマルションB5を得た。
(製造例19)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにメチルメタクリレート(MMA)49.5部、アクリル酸(AA)0.5部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.1部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ5.0部及び脱イオン水16.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を90分にわたって均一に滴下した(1段目分滴下)。滴下終了後60分同温度を維持した。その間、上記ロートにメチルメタクリレート(MMA)20.3部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)28.7部、アクリル酸(AA)0.5部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)0.1部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ5.0部及び脱イオン水16.0部からなる単量体乳化物を仕込み2段目滴下分とした。そして1段目滴下分を反応した系内を80℃に維持したまま、引き続き2段目滴下分の単量体乳化物を90分にわたって均一に滴下した。2段目分を滴下終了後、60分同温度に維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)280000、不揮発分55.0%、ガラス転移温度35℃、tanδピークトップ値1.5、SP値9.74、pH7.9、粘度120mPa・s、平均粒子径250nmのコア・シェル複合型エマルションB6を得た。
(製造例20)
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水37.4部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で撹拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン(St)40.1部、ブチルアクリレート(BA)58.9部、アクリル酸(AA)1.0部、n−ドデシルメルカプタン(n−DM)5.0部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ10.0部及び脱イオン水32.0部からなる単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの1部、5%過硫酸カリウム水溶液4部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を180分にわたって均一に滴下した。滴下終了後60分同温度を維持した。得られた反応液を室温まで冷却後、25%アンモニア水0.7部を添加し、重量平均分子量(Mw)11000、不揮発分54.7%、ガラス転移温度−10℃、tanδピークトップ値2.64、SP値9.4、pH7.4、粘度90mPa・s、平均粒子径300nmのエマルションA14を得た。
<実施例1〜18、比較例1〜4>
(実施例1)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例4で得られたエマルションA1とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Aを得た。
(実施例2)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例5で得られたエマルションA2とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Bを得た。
(実施例3)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例5で得られたエマルションA2とを、7/3の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Cを得た。
(実施例4)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例6で得られたエマルションA3とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Dを得た。
(実施例5)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例7で得られたエマルションA4とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Eを得た。
(実施例6)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例8で得られたエマルションA5とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Fを得た。
(実施例7)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例9で得られたエマルションA6とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Gを得た。
(実施例8)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例10で得られたエマルションA7とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Hを得た。
(実施例9)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例11で得られたエマルションA8とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Iを得た。
(実施例10)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例12で得られたエマルションA9とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Jを得た。
(実施例11)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例13で得られたエマルションA10とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Kを得た。
(実施例12)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例14で得られたエマルションA11とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Lを得た。
(実施例13)
製造例2で得られたエマルションB2と、製造例4で得られたエマルションA1とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Mを得た。
(実施例14)
製造例2で得られたエマルションB2と、製造例5で得られたエマルションA2とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Nを得た。
(実施例15)
製造例17で得られたエマルションB4と、製造例7で得られたエマルションA4とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Oを得た。
(実施例16)
製造例18で得られたエマルションB5と、製造例7で得られたエマルションA4とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Pを得た。
(実施例17)
製造例19で得られたエマルションB6と、製造例7で得られたエマルションA4とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Qを得た。
(実施例18)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例20で得られたエマルションA14とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Rを得た。
(比較例1)
製造例1で得られたエマルションB1を樹脂組成物Sとした。
(比較例2)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例15で得られたエマルションA12とを、9/1の混合比(質量比)で混合し、樹脂組成物Tを得た。
(比較例3)
製造例1で得られたエマルションB1と、製造例16で得られたエマルションA13とを9/1の混合比(質量比)で混合し樹脂組成物Uを得る予定であったが、A13の合成が不可となった為に得ることができなかった。
(比較例4)
製造例3で得られたエマルションB3を樹脂組成物Vとした。
<塗料組成物の調製>
実施例1〜18の樹脂組成物A〜R、比較例1、2、4の樹脂組成物S、T、Vをそれぞれ下記の通り配合し、制振材配合物として制振材塗膜を作製し、塗膜内容、加熱乾燥性、塗膜表面の平滑性、接着強度を評価し、総合的な評価を行った。結果を表1に示す。
・樹脂組成物A〜T、V(不揮発分55%) 100部
・炭酸カルシウム(NN#200*1) 100部
・分散剤(アクアリックDL−40S*2) 1部
・増粘剤(アクリセットWR−650*3) 0.5部
・消泡剤(ノプコ8034L*4) 0.5部
・発泡剤(F−30*5) 1部
*1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
*2:株式会社日本触媒製 ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
*3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
*4:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
*5:松本油脂製薬株式会社製 発泡剤
なお、表1中、「ΔSP」はエマルションA(表面改質剤)のSP値からエマルションB(主剤)のSP値を差し引いた差を表し、「δTg」はエマルションB(主剤)のTgからエマルションA(表面改質剤)のTgを差し引いた差を表す。
各種特性の評価方法を以下に示す。
(塗膜内容、加熱乾燥性、塗膜表面の平滑性評価)
以下の条件で、図1、図2に示した基材及び基材上に塗布した塗料からなる試験板を図3に示すように加熱炉内で加熱乾燥し、得られた塗膜の中央部/エッジ部の膜厚と重量測定を行い、以下の評価基準で評価した。
(1)テフロン基材の上にウェット塗膜(厚み5mm×幅30cm×長さ30cm)を塗布後、150℃で30分間加熱乾燥した。
(2)加熱後、塗膜を室温に冷却し、テフロン基材から剥がした。
(3)その剥した塗膜(幅30cm×長さ30cm)の重量(単位:g)を測定した(その重量を乾燥重量とした。)。
(4)その後に、その塗膜を150℃で2時間加熱乾燥後、室温に戻して重量(単位:g)を測定した(その重量を絶乾燥重量とした。)。
(5)残存揮発分率(%)={((3)で測定した重量−(4)で測定した重量)/(3)で測定した重量}×100で評価した。
(6)その塗膜(幅30cm×長さ30cm)から中央部20cm×1cmをくり抜いた(図4)。
(7)そのくり抜いた部分の厚み(最も薄い部分)及び重量を測定した。その測定値を中央部の膜厚として、塗膜内容の膜厚項(mm)と塗膜重量項(g)に記入した。更に単位面積当たり重量を以下の式で計算し項目に記入した。
*)単位面積当たり重量(g/cm)=塗膜重量(g)/(20cm×1cm)
(8)エッジ部の膜厚は、(3)の塗膜の周囲部(額縁部)の最も高い膜厚とした。
(塗膜表面の平滑性の評価基準)
◎:膜厚比{(中央部の膜厚/エッジ部の膜厚)×100(%)}が93%以上、100%以下
○:上記膜厚比が87%以上、93%未満
△:上記膜厚比が79%以上、87%未満
▲:上記膜厚比が70%以上、79%未満
×:上記膜厚比が0%以上、70%未満
膜厚比が100%に近い方が、塗膜における中央部の膜厚とエッジ部の膜厚との差が小さく、エッジ部変形抑制効果がある。
(塗膜の接着強度測定方法)
JIS A 6909(建築仕上げ塗材)の「付着強さ」の品質規定に準じて評価した。
(試験体作製方法)
上記の得られた塗料配合物を、鋼板(商品名「SPCC−SD」日本テストパネル(株)製)上に、その塗膜が厚み5mm×30cm×30cmとなるように塗布した。その塗布したウェット塗膜を150℃×30分加熱乾燥し、室温に戻した。このシート物を試験体とした。
(接着強度測定)
鋼性アタッチメント(4cm×4cm)をエポキシ樹脂(2液硬化型)系接着剤を用いて上記のシート表面に接着した。そのアタッチメントの周囲をカッターで鋼板まで切り込みを入れた。約1時間後に建研式単軸油圧引っ張り試験機LPT−1500を用いて塗膜が剥がれる時の荷重力を計測した。その計測した数値を以下の式により算出し、接着強度とした。
式:接着強度(N/mm)=荷重力(N)/1600(mm
(総合評価)
上記の評価結果より、塗料用途に用いる場合の塗料組成物の加熱乾燥性、塗膜の平滑性や接着性を総合的に評価した。
◎:非常に優れる。
○:優れる。
△:普通である。
▲:やや劣る。
×:劣る。
Figure 0006466660
上記実施例、比較例の結果から、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000である塗膜用改質剤を用いて得られた塗料組成物は、平滑かつ接着性に優れる塗膜を基材上に形成でき、加熱乾燥性にも優れる塗料組成物を得ることができることが確認された。

Claims (13)

  1. (メタ)アクリル系ポリマー(A)を含む塗膜用改質剤を含む塗料組成物であって、
    該(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000であり、SP値が9.4以上であり、
    該塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)を更に含み、
    該(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、該(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも100000以上、400000以下大きく、
    該塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の含有量100質量部に対して、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量が5〜50質量部であり、乾燥後の膜厚が1.5mm以上である塗膜を形成するために用いられる
    ことを特徴とする塗料組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、SP値が9.5以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、SP値が10〜14である
    ことを特徴とする請求項2に記載の塗料組成物。
  4. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ガラス転移温度が−50〜10℃である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、エチルアクリレート、及び、アクリルアミドからなる群より選択される少なくとも1種の単量体由来の構造単位を含む
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
  6. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量よりも300000以下大きい
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の塗料組成物。
  7. 前記塗料組成物は、無機充填材を更に含む
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の塗料組成物。
  8. 前記塗料組成物は、無機充填材の含有量が50〜300質量部である
    ことを特徴とする請求項7に記載の塗料組成物。
  9. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(B)のSP値は、前記ポリマー(A)のSP値よりも小さい
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の塗料組成物。
  10. 前記ポリマー(B)のガラス転移温度は、前記ポリマー(A)のガラス転移温度よりも大きい
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の塗料組成物。
  11. 前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、20000以下である
    ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の塗料組成物。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の塗料組成物を加熱乾燥して得られる、膜厚が1.5mm以上である塗膜。
  13. 塗膜を製造する方法であって、
    該製造方法は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)と、該ポリマー(A)の重量平均分子量よりも100000以上、400000以下大きい重量平均分子量を有する(メタ)アクリル系ポリマー(B)と、無機充填材とを含む塗料組成物を加熱乾燥して塗膜化することにより膜厚が1.5mm以上である塗膜を形成する工程を含み、
    該(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、水系溶媒中のエマルションであり、重量平均分子量が5000〜50000であり、SP値が9.4以上であり、
    該塗料組成物は、(メタ)アクリル系ポリマー(B)の含有量100質量部に対して、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の含有量が5〜50質量部である
    ことを特徴とする塗膜の製造方法。
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