JP6466288B2 - 空気二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、空気二次電池に関し、一層詳細には、放電時に正極で金属酸化物が生成する空気二次電池に関する。
空気電池は、正極活物質を酸素とする電池であり、負極活物質として亜鉛を採用した一次電池が広汎に用いられるに至っているが、近時、充放電可能な二次電池とすることが種々検討されている。この種の空気二次電池において、エネルギ密度が大きくなる等の利点を有することから、負極活物質にリチウムを採用することが試みられている。しかしながら、非特許文献1に記載されるように、空気二次電池には、充放電の繰り返しに伴って電気容量が低下し易い(サイクル特性が劣化し易い)という不都合や、充電時の過電圧が大きいという不都合がある。
特許文献1及び特許文献2には、この種の不都合が惹起される理由は、充放電を繰り返すことに伴って正極と電解質との界面に滞留した気泡が正極を覆うことに起因する、との記載がある。そして、この不都合を解消するべく、特許文献1では、正極の、負極側を臨む面に、酸素が透過することを防止する透過防止層を形成することが提案されている。
一方、特許文献2記載の技術では、正極と電解質との界面に滞留した気泡を、正極中の導電性多孔体を介して、当該界面から酸素供給口に拡散除去することを試みている。
また、特許文献3には、正極の厚さを大きくしても該正極内で酸素含有ガスを十分に拡散させるべく、触媒がそれぞれ担持される第1層及び第2層の積層物として構成するとともに、第1層の孔と第2層の孔の孔径を相違させた正極を有する空気二次電池が開示されている。
米国特許第8632920号明細書 米国特許出願公開第2011/0200891号明細書 特開2010−257839号公報
Peter G. Bruceら、NATURE MATERIALS vol.11,2012年1月号第19頁〜第29頁
上記のようにしてもなお、空気二次電池のサイクル特性を向上させることは困難である。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、その主たる目的は、電極反応生成物である金属酸化物が正極から脱落することを回避し得る空気二次電池を提供することにある。
本発明の別の目的は、充放電容量が大きく、且つ過電圧が低減した空気二次電池を提供することにある。
空気二次電池の放電時には、放電時に金属酸化物が正極に生成することが知られている。本発明者は、リチウム空気二次電池の充放電時にいわゆるその場観察を行い、放電時に生成したリチウム酸化物が充電時に正極から脱落する、との知見を得た。この知見に基づき、リチウム酸化物の正極からの脱落が生じるために充電時にリチウム(金属活物質)に戻る量が低減し、その結果として、放電・充電を繰り返すと充放電容量が低下することになる、と推察した。以上は、リチウム空気二次電池以外の空気電池についても同様であると考えられる。
本発明者は、さらに、この観点から金属酸化物の正極からの脱落を回避することについて鋭意検討を重ね、本発明をするに至った。
すなわち、本発明は、放電時に酸素含有ガス中の酸素を還元する正極と、金属活物質を含む負極と、前記正極と前記負極の間に介在する電解質とを有する空気二次電池において、
前記正極は、放電時に、該正極に生成する金属酸化物を捕捉する捕捉部と、前記電解質に接触して前記捕捉部となる第1正極層と、前記電解質から離間した第2正極層とを有し、
前記第1正極層及び前記第2正極層が多孔質体からなり、且つ前記第2正極層内の気孔の平均気孔径が前記第1正極層内の気孔の平均気孔径に比して大きく、
前記第2正極層での酸素還元反応の電位が、前記第1正極層での酸素還元反応の電位に比して大きく、
前記第1正極層の平均気孔径が100nm未満であることを特徴とする。
要するに、本発明においては、正極に捕捉部を設けている。放電時に正極に生成した金属酸化物(電極反応生成物)は、この捕捉部で捕捉される。このため、正極から金属酸化物が脱落することが防止される。すなわち、金属酸化物が正極に留まる。
従って、充電時に、金属酸化物と正極との間の接触面積が低減して金属酸化物が脱離しても、金属酸化物が捕捉部に捕捉されるので、該金属酸化物が電解質側に移動することが阻害される。このため、該金属酸化物と正極との電気的接点が再び回復されるので、金属酸化物と正極との電気的接点が維持される。以上のような理由から、十分な充放電容量を確保することができる。
しかも、金属酸化物が正極に捕捉されるため、該正極における金属酸化物と正極との電気的接点が回復し、接触面積も増加する。このため、過電圧が小さくなる。さらに、電気的接点が増加することによって接触部分の抵抗が低減するので、電極反応の速度も向上する。その結果、放電容量・充電容量の双方が大きく且つ過電圧が低減した(換言すれば、性能が向上した)空気二次電池が得られる。
正極は、例えば、前記電解質に接触して前記捕捉部となる第1正極層と、前記電解質から離間した第2正極層とを有する。この場合、前記第1正極層及び前記第2正極層を多孔質体で構成するとともに、前記第2正極層内の気孔の平均気孔径を、前記第1正極層内の気孔の平均気孔径に比して大きく設定する。さらに、前記第2正極層での酸素還元反応の電位を、前記第1正極層での酸素還元反応の電位に比して大きく設定する。
このような構成とすることにより、第2正極層において、金属酸化物が生成する電極反応が優先的に生起・進行する。第2正極層での酸素還元反応の電位が、第1正極層での酸素還元反応の電位に比して大きいからである。
一方、第1正極層内の気孔の平均気孔径が第2正極層内の気孔の平均気孔径に比して小さいため、金属酸化物は、第1正極層を通過することが困難となる。
以上のように、この空気二次電池では、放電時に前記第2正極層に生成して該第2正極層から移動した金属酸化物を、前記第1正極層の気孔で捕捉することが可能である。すなわち、第1正極層が捕捉部として機能する。
本発明者らのその場観察によれば、正極に生成する金属酸化物の粒子の平均粒径は100nm以上である。従って、第1正極層の平均気孔径を100nm未満に設定することが好ましい。この場合、金属酸化物の粒子の平均粒径が第1正極層の平均気孔径を上回るので、粒子を第1正極層で捕捉することが容易となるからである。
なお、第1正極層で第2正極層を囲繞するようにしてもよい。
また、第1正極層と第2正極層との間に絶縁層を介在させることが好ましい。この場合、充放電時に第1正極層から第2正極層への、又はその逆方向の電子の授受が阻害される。従って、放電時、第2正極層での電極反応が一層優先的に起こるようになる。このため、第1正極層で金属酸化物の粒子が生成して内部の気孔を閉塞することが回避されるので、上記の作用効果が一層顕著となる。
なお、絶縁層を設ける場合には、充電時に、第1正極層及び第2正極層の双方を充電器に対して個別に電気的に接続すればよい。これにより、第1正極層に捕捉された金属酸化物を還元することが可能となる。
絶縁層の好適な例としては、高分子材が挙げられる。又は、第1正極層と第2正極層を物理的に離間させることで両層間に単なる空隙を介在させ、この空隙を絶縁層とするようにしてもよい。
捕捉部の別の好適な例としては、正極の内部に形成された気孔に連なる凹部が挙げられる。この場合、凹部は、気孔に比して小容積に設定される。
この場合、例えば、金属酸化物の一部が凹部内に進入する。これにより、金属酸化物が凹部に捕捉される。
凹部は、その内部よりも、気孔に連なる開口が狭小であることが好ましい。この場合、金属酸化物の、凹部内に進入した部位が該凹部から離脱することが困難となる。すなわち、顕著なアンカー効果が得られるようになる。
以上の構成において、負極の金属活物質の好適な例としては、リチウムが挙げられる。これにより、エネルギ密度が大きな空気二次電池を構成することができるからである。なお、この場合、放電時にはリチウム酸化物が生成する。従って、前記捕捉部でリチウム酸化物を捕捉するようにすればよい。
本発明によれば、空気二次電池を構成する正極に捕捉部を設けるとともに、放電時に該正極に生成する金属酸化物を前記捕捉部で捕捉するようにしている。このため、正極から金属酸化物が脱落することが防止されて正極に留まるようになり、その結果、該金属酸化物が電解質側に移動することが阻害される。
以上のような理由から、該金属酸化物と正極との電気的接点が回復する。これにより金属酸化物と正極との電気的接点が維持されるので、十分な充放電容量を確保することができる。
本発明の第1実施形態に係る空気二次電池の厚み方向に沿う断面模式図である。 第1実施形態の変形例に係る空気二次電池の厚み方向に沿う断面模式図である。 本発明の第2実施形態に係る空気二次電池の厚み方向に沿う断面模式図である。 第2実施形態の変形例に係る空気二次電池の厚み方向に沿う断面模式図である。 本発明の第3実施形態に係る空気二次電池の厚み方向に沿う断面模式図である。 第3実施形態に係る空気二次電池の正極の厚み方向に沿う断面模式図である。 第3実施形態に係る空気二次電池の正極で金属酸化物を捕捉した状態を示す断面模式図である。 図8A〜図8Cは、第3実施形態に係る空気二次電池の正極を得る過程を模式的に示したフロー図である。 小気孔正極と大気孔正極を積層して形成された積層正極を有する空気電池をガスフロー電気化学セルに組み込んだ状態を示す概略断面図である。 積層正極を用いた空気電池の充放電曲線である。 大気孔正極を用いた空気電池の充放電曲線である。 小気孔正極を用いた空気電池の充放電曲線である。 積層正極、大気孔正極又は小気孔正極のいずれかを用いた空気電池の放電容量保持率を、サイクル回数の関数として示したグラフである。 積層正極、大気孔正極又は小気孔正極のいずれかを用いた空気電池の充電容量保持率を、サイクル回数の関数として示したグラフである。
以下、本発明に係る空気二次電池につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面に示される構成要素の縮尺は、実際の寸法に対応するとは限らない。
図1は、第1実施形態に係る空気二次電池10の厚み方向に沿う断面模式図である。この空気二次電池10は、正極12と、金属リチウムを金属活物質とする負極14と、両電極12、14の間に介在する電解質16とを有する。
正極12は、第1集電体18の一端面に設けられる。ここで、第1集電体18は、例えば、アルミニウム、銅、又はこれらの合金等、伝導性に優れた金属から構成される。
第1実施形態において、正極12は、電解質16に隣接する第1正極層20と、該第1正極層20に隣接する第2正極層22とを有する。すなわち、正極12は、電解質16に近接する側から第1正極層20と第2正極層22をこの順序で有する積層体からなる。従って、この場合、第2正極層22は、第1正極層20の厚み分だけ電解質16から離間する。
第1正極層20及び第2正極層22はいずれも、多孔質体からなる。すなわち、第1正極層20及び第2正極層22の内部には、それぞれ、3次元網目状に連なった小気孔24、大気孔26が存在する。なお、図1では、理解を容易にするべく、小気孔24、大気孔26を独立した閉気孔として示しているが、実際の小気孔24、大気孔26は、3次元網目状に連なった開気孔である。その他の図面においても同様である。
第2正極層22内の大気孔26の平均気孔径は、第1正極層20内の小気孔24に比して大きい。例えば、小気孔24の平均気孔径は100nm未満に設定され、一方、大気孔26の平均気孔径は100nmを超えるように設定される。なお、小気孔24、大気孔26の各平均気孔径は、例えば、水銀圧入法等の公知の手法によって求めることができる。
後述するように、放電中には、正極12に対して酸素含有ガスが供給される。このため、正極12では、酸素含有ガス中の酸素が還元される酸素還元反応が生じる。具体的には、負極14の活物質である金属と酸素が結合し、その結果、金属酸化物が生成する。なお、第1実施形態では、負極14の活物質としてリチウムが選定されており、従って、正極12で生成する金属酸化物はリチウム酸化物である。
ここで、正極12においては、第2正極層22での酸素還元反応の電位が、第1正極層20での酸素還元反応の電位に比して大きく設定されている。従って、酸素還元反応は、第1正極層20よりも第2正極層22で優先的に生起・進行する。すなわち、金属酸化物(リチウム酸化物)は、主に第2正極層22で生成し、且つ、平均気孔径が小さな第1正極層20で捕捉される。
第2正極層22での酸素還元反応の電位を、第1正極層20での酸素還元反応の電位に比して大きく設定するには、例えば、第1正極層20の構成素材と、第2正極層22の構成素材を別種のものとすればよい。この場合の具体例としては、第1正極層20をガラス状炭素等の炭素材で構成する一方、第2正極層22を金(Au)、白金(Pt)等で構成することが挙げられる。又は、第1正極層20をAuで構成する一方、第2正極層22をPtやパラジウム(Pd)等で構成するようにしてもよい。
なお、上記したような金属の微粒子を、炭素材等の適切な担体に担持したものであっても差し支えない。すなわち、例えば、Auの微粒子を担持した炭素材で第1正極層20を構成する一方、Pt又はPdの微粒子等を担持した炭素材で第2正極層22を構成するようにしてもよい。
さらに、第1正極層20と第2正極層22を同一の素材で形成する場合であっても、双方の表面粗さを相違させたり、双方の面方位を相違させたりすることにより、酸素還元反応の電位を相違させることができる。
第1実施形態において、負極14を構成する金属活物質は、上記したように金属リチウムからなる。負極14(金属リチウム)は、第2集電体30に保持されている。第2集電体30は、第1集電体18と同様に、アルミニウム、銅、又はこれらの合金等、伝導性に優れた金属から構成される。
正極12と負極14の間に介在する電解質16としては、電解液を保持した高分子膜が例示される。又は、電解液それ自体であってもよい。なお、電解液は、電解質塩を溶媒に溶解することで得られる。本実施の形態では、リチウムイオンを伝導させるべく、電解質塩として、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6又はLiTFSI等のリチウム塩を選定すればよい。一方、この種のリチウム塩を溶解するための溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジグライム、トリエチレングリコールジメチルエーテル等が例示される。勿論、これらの中の2種以上を混合した混合溶媒であってもよい。
以上のように構成される正極12、負極14及び電解質16は、図示しないケーシングに収容される。勿論、ケーシングには、正極12に酸素含有ガス(好適には空気)を供給するための供給孔が形成される。
本実施の形態に係る空気二次電池10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき説明する。
空気二次電池10を放電させるためには、導線32a、32bを介して第1集電体18及び第2集電体30に外部回路を電気的に接続する。なお、第1実施形態では、外部回路として充放電試験器34を用いている。
この状態で、ケーシングに形成された供給孔を介して空気等の酸素含有ガスを正極12に供給する。この酸素含有ガスは、先ず、第2正極層22に到達し、大気孔26を介して拡散する。上記したように、第2正極層22は、第1正極層20に比して酸素還元反応の電位が大きな素材からなる。このため、酸素含有ガス中の酸素は、第2正極層22にて優先的に電極反応に携わる。
ここで、正極12における電極反応は、酸素含有ガス中の酸素と、負極14で生成したリチウムイオンとが結合することで酸素が還元される反応である。具体的には、負極14において、金属リチウムが電離してリチウムイオン及び電子(e-)が生成する。すなわち、下記の反応式(A)に示す反応が生起される。
Li → Li+ + e- …(A)
生成したリチウムイオンは、電解質16がリチウムイオン伝導体であるため、電解質16内を移動して正極12側に向かう。リチウムイオンは、さらに、第2正極層22において酸素と結合する。すなわち、酸素を還元する。この際の酸素還元反応は、下記の反応式(B)ないし反応式(C)で表される。
2(Li+ + e-)+ O2 → Li22 …(B)
4(Li+ + e-)+ O2 → 2Li2O …(C)
このことから諒解されるように、負極活物質に金属リチウムを用いた空気二次電池10では、放電時に、第2正極層22にてリチウム酸化物の粒子が生成する。本発明者らが透過型電子顕微鏡(TEM)によってその場観察を行ったところ、リチウム酸化物の粒子の平均粒径は、概ね100nm〜500nmの範囲内であることが確認された。
さらに、本発明者らのTEMでのその場観察によれば、一般的なリチウム空気電池では、放電により生成したリチウム酸化物の粒子が充電により正極から脱落し、電解質16側に移動することがあることが認められた。これは、以下の理由によると推察される。
すなわち、後述する反応式(B’)、(C’)に示すように、充電によりリチウム酸化物からリチウムイオンと酸素分子とが生成する。この反応は、電極とリチウム酸化物の接点において、電子が引き抜かれることにより生起する。これにより固体であるリチウム酸化物粒子が縮小し、リチウム酸化物と正極層との間の接触部分(電気的接点)の面積が低減する。さらに充電が進行すると、該接触部分がなくなり、最終的にリチウム酸化物粒子が正極の表面から脱離すると考えられる。
脱離したリチウム酸化物粒子は、電極との間で反応式(B’)、(C’)に示す電気化学反応を起こすことができない。従って、リチウムイオンになることはなく、ひいては、負極に戻って金属リチウムに還元し再析出することもない。このため、その後の充電・放電反応に関与することが阻害される。以上のことによって、充放電容量が低下すると推察される。
また、上述のように接触面積が減少することによって、接触部において充電のための電気抵抗が上昇し、充電の効率が低減する。換言すれば、充電の電極反応の速度が低減する。
そこで、第1実施形態では、第1正極層20と第2正極層22の酸素還元反応の電位を互いに相違させるとともに、第1正極層20と第2正極層22の平均気孔径を互いに相違させるようにしている。すなわち、上記したように、第2正極層22の方が、酸素還元反応の電位が大きく、且つ、第1正極層20内の気孔(小気孔24)の方が、平均気孔径が小さい。しかも、第1正極層20内の小気孔24の平均気孔径は、好ましくは100nm未満に設定されている。
このため、第2正極層22で優先的に生成したリチウム酸化物が粒子として脱落したときには、該粒子は、第1正極層20の小気孔24に捕捉される。すなわち、リチウム酸化物が第2正極層22からたとえ脱落したとしても、第1正極層20で捕捉される。従って、リチウム酸化物を正極12内に留めることができる。
放電を開始して所定の時間が経過したとき、ないし、放電電圧が所定の閾値まで低下したときには、充電を行う。この際、リチウム酸化物が還元され、リチウムイオンと酸素が生成する。すなわち、正極12では、上記の反応式(B)、(C)とは逆の反応、要するに、下記の反応式(B’)、(C’)に示される金属の還元反応が進行し、酸素が生成する。
Li22→ 2(Li+ + e-) + O2 …(B’)
2Li2O → 4(Li+ + e-) + O2 …(C’)
生成した酸素は、第1正極層20ないし第2正極層22を流通し、供給孔からケーシング外に排出される。一方、リチウムイオンは、電解質16を経て負極14に到達し、該負極14において電子と結合することで、金属リチウムに還元されて該負極14に再析出する。
上記したようにリチウム酸化物が正極12内(特には第1正極層20内)に留まっているので、負極14において、リチウム酸化物の還元物である金属リチウムが効率よく再析出する。また、第1正極層20で捕捉されることで、リチウム酸化物が電解質16側に移動することが阻害されるため、第1正極層20(正極12)にて電気的接点が再び回復する。すなわち、電気的接点が維持される。このような理由から、十分な充放電容量を確保することができる。
以上のように、正極12の第2正極層22でリチウム酸化物が優先的に生成するようにし、且つ第1正極層20でリチウム酸化物を捕捉するようにしたことにより、空気二次電池10は、十分な充放電容量を示す。
しかも、リチウム酸化物が正極12に捕捉されることで、該正極12とリチウム酸化物との電気的接点が回復する。すなわち、リチウム酸化物と正極12との接触面積が増加する。このため、過電圧が小さくなる。さらに、増加した電気的接点によって接触部分の抵抗も低減でき、その結果、電極反応の速度も向上する。すなわち、放電容量・充電容量の双方が大きく且つ過電圧が低減した、換言すれば、性能が向上した空気二次電池10を得ることができる。
この空気二次電池10の正極12は、例えば、次のようにして作製することができる。すなわち、先ず、第1正極層20を得るべく、Au等の金属粉末に公知の発泡材(樹脂等)を混合する。また、第2正極層22を得るには、PtやPd等の金属粉末に発泡材を混合すればよい。
この際、所定の平均粒径を有する発泡材を用いることで、得られる第1正極層20又は第2正極層22の各平均気孔径を制御することができる。従って、第2正極層22となる金属粉末に添加する発泡材として、第1正極層20となる金属粉末に添加する発泡材よりも平均粒径が大きなものを用いて、それぞれの混合粉末を得る。なお、発泡材の混合量を調整することで、第1正極層20又は第2正極層22の各気孔率を制御することができる。
これらの混合粉末を所定の形状に成形した後に積層し、さらに、焼成処理を施す。その結果、第1正極層20、第2正極層22が積層された正極12が焼成体として得られる。なお、第1正極層20、第2正極層22を個別に作製し、両者を接合することで正極12を得るようにしてもよい。
焼成の過程で、成形体中の発泡材が気化して該成形体の外部に排出される。これに伴い、第1正極層20、第2正極層22の内部に、平均気孔径が発泡材の平均粒径に略対応する小気孔24、大気孔26がそれぞれ形成される。
なお、図1に示した例では、第2正極層22上に第1正極層20を積層させるようにしているが、図2に示すように、第2正極層22の大部分を第1正極層20で囲繞するようにしてもよい。この場合、第2正極層22の、第1正極層20から露呈した部位に第1集電体18を電気的に接触させるようにすればよい。
次に、第2実施形態に係る空気二次電池40につき、図3を参照して説明する。なお、図1及び図2に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この空気二次電池40の正極42は、上記第1実施形態における正極12と同様に第1正極層20と第2正極層22を有する。そして、第1正極層20と第2正極層22の間に絶縁層44が介在される。
絶縁層44は、例えば、高分子材からなる。その好適な具体例としては、多孔質ポリメチルメタクリル酸(PMMA)が挙げられる。なお、絶縁層44の平均気孔径は、例えば、100nm〜500nmに設定すればよい。
この場合、絶縁層44は、以下のようにして形成することができる。先ず、テトラオルソシリケートの塩酸(HCl)溶液と、PMMAのテトラヒドロフラン溶液との混合液に対して真空乾燥を行うことにより、PMMAとシリカ(SiO2)の複合材を得る。この時点で、SiO2は、粒体としてPMMA中に分散している。
次に、フッ酸を用いてエッチングを行う。フッ酸はSiO2を攻撃する一方、PMMAを攻撃することはない。このためにSiO2のみが除去され、その除去跡が気孔となる。すなわち、多孔質PMMAが得られる。以上の過程については、J. P. Leeら、Nanoscale Res. Lett. 2012年 vol.7 第440頁に詳述されている。
この多孔質PMMAを、上記のようにして得た第1正極層20と第2正極層22の間に介在させて3層を接合することにより、絶縁層44を有する正極42が得られるに至る。
空気二次電池40を放電させるためには、導線32a、32bを介して第1集電体18及び第2集電体30に充放電試験器34を電気的に接続する。ここで、第2実施形態では、導線32aから支線32cを分岐させるとともに、該支線32cを、第1正極層20に対して電気的に接続する。さらに、支線32cにはスイッチ46を設ける。
スイッチ46を開状態とし、ケーシングに形成された供給孔を介して空気等の酸素含有ガスを、正極42の第2正極層22にのみ供給する。これにより、第2正極層22において、負極14(金属リチウム)を源とするリチウムイオンと酸素との結合反応が生起される。すなわち、上記した反応式(B)ないし反応式(C)で表される酸素還元反応が起こる。
第2実施形態では、第2正極層22と第1正極層20の間に絶縁層44が介在している。このため、第2正極層22と第1正極層20の間で電子が移動することが防止される。加えて、スイッチ46が開状態であるために負極14と第1正極層20が絶縁されているので、負極14と第1正極層20の間で電子が移動することもない。
このことと、第2正極層22の酸素還元反応の電位が第1正極層20に比して大きいこととが相俟って、第1正極層20で酸素還元反応が起こることは困難である。換言すれば、酸素還元反応を第2正極層22にて集中的に生起・進行させることができる。従って、第1正極層20においてリチウム酸化物の粒子が生成することが阻害される。
以上のように、第2実施形態によれば、電極反応が第2正極層22で一層優先的に起こるようになる。すなわち、電極反応の優先度が一層向上する。
放電時に第2正極層22に生成したリチウム酸化物の粒子が該第2正極層22から脱落したときには、該粒子は、絶縁層44の気孔を通過して第1正極層20の気孔に捕捉される。上記したように第1正極層20の小気孔24の平均気孔径が、粒子の平均粒径に比して小さく設定されているからである。
放電を開始して所定の時間が経過したとき、ないし、放電電圧が所定の閾値まで低下したときには、充電を行う。この際には、スイッチ46を閉状態とする。これにより、負極14と第1正極層20が充放電試験器34を介して電気的に接続される。
第1正極層20に捕捉されたリチウム酸化物や、第2正極層22内に留まったリチウム酸化物は、充電に伴って還元される。すなわち、上記の反応式(B’)、(C’)に示される金属の還元反応が進行し、酸素が生成する。生成した酸素は、第1正極層20ないし第2正極層22を流通し、供給孔からケーシング外に排出される。一方、リチウムイオンは、電解質16を経て負極14に到達し、該負極14において電子と結合することで、金属リチウムに還元されて該負極14に再析出する。
このように、スイッチ46を設けることにより、放電時と充電時で導通経路を適宜変更することが可能となる。従って、放電時に第2正極層22で優先的に電極反応を生起させる一方で、充電時に第1正極層20及び第2正極層22の双方でリチウム酸化物を還元することができる。
そして、第2実施形態に係る空気二次電池40においても、第1実施形態に係る空気二次電池10と同様に、十分な充放電容量を示すとともに、過電圧が低減する。
図3に示した例では、第2正極層22上に第1正極層20を積層させるようにしているが、図4に示すように、第2正極層22の大部分を第1正極層20で囲繞するようにしてもよい。この場合、第2正極層22の、第1正極層20及び絶縁層44から露呈した部位に第1集電体18を電気的に接触させるようにすればよい。
なお、この構成では、第1集電体18の他、第1正極層20を支持する第3集電体48を設けるとともに、第1集電体18と第3集電体48の間にも絶縁層44を介在させる。そして、この第3集電体48に、スイッチ46を介装した支線32cを介して充放電試験器34を電気的に接続すればよい。
また、絶縁層44は、単なる空隙であってもよい。この場合、第1正極層20と第2正極層22を所定距離で離間させればよい。
次に、第3実施形態に係る空気二次電池50につき、図5〜図8を参照して説明する。なお、図1〜図4に示される構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
この空気二次電池50は、正極52と、負極14と、正極52と負極14の間に介在する電解質16とを有する。この中の正極52は、図6に示すように、その内部に気孔54が形成された多孔質体であり、例えば、金(多孔質金)からなる。なお、図6では、理解を容易にするべく各気孔54を独立した閉気孔として示しているが、実際の気孔54は、3次元網目状に連なった開気孔である。
気孔54には、該気孔54に比して容積が小さい凹部56が1個又は複数個連なる。各凹部56は、気孔54以外には連なっていない。なお、凹部56の中には、気孔54に連なることなく孤立したものも存在する。
凹部56の、気孔54に連なる開口は、内部に比して狭小となっている。なお、全ての凹部56で開口が内部よりも狭小である必要はなく、気孔54に連なった凹部56中の50%以上がそのような形状となっていればよい。
これ以外の構成要素である負極14及び電解質16については、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
第3実施形態に係る空気二次電池50においても、放電時には、ケーシングに形成された供給孔を介して空気等の酸素含有ガスが正極52に供給される。酸素含有ガスは、正極52内の気孔54に沿って流通する。
そして、該正極52において、酸素含有ガス中の酸素と、負極14で生成したリチウムイオンとが結合する、上記反応式(B)ないし反応式(C)に示す酸素還元反応が生起される。酸素含有ガスが正極52内の気孔54を流通するので、反応場は、正極52の、気孔54を形成する内壁である。
酸素還元反応に伴い、正極52の気孔54内(気孔54の内壁)にリチウム酸化物の粒子が生成する。上記したように、気孔54の内壁が反応場であるからである。
ここで、気孔54には凹部56が連なる。この凹部56にも酸素含有ガスが進入するので、凹部56の内壁も反応場となる。従って、リチウム酸化物の粒子58は、図7に示すように、一部が凹部56に進入し、残部が凹部56から露呈して気孔54内に突出するように成長する。
上記したように、凹部56は、気孔54に連なる開口が内部に比して狭小である。このため、リチウム酸化物の粒子58の、凹部56内で成長した部位が該凹部56から離脱することは困難である。すなわち、凹部56には、優れたアンカー効果が発現している。換言すれば、この場合、凹部56内に進入した部位を有する粒子58が該凹部56で捕捉されるので、リチウム酸化物が正極52内に留まることが容易となる。
放電を開始して所定の時間が経過したとき、ないし、放電電圧が所定の閾値まで低下したときには、充電を行う。この際、正極52において、凹部56に捕捉されたリチウム酸化物が還元され、リチウムイオンと酸素が生成する。すなわち、上記の反応式(B’)、(C’)に示される金属の還元反応が進行し、酸素が生成する。生成した酸素は、第1正極層20ないし第2正極層22を流通し、供給孔からケーシング外に排出される。一方、リチウムイオンは、電解質16を経て負極14に到達し、該負極14において電子と結合することで、金属リチウムに還元されて該負極14に再析出する。
上記したようにリチウム酸化物が正極52内に留まっているので、負極14において、リチウム酸化物の還元物である金属リチウムが効率よく再析出する。また、正極52で捕捉されることで、リチウム酸化物が電解質16側に移動することが阻害されるため、電解質16と正極52との電気的接点が維持される。このような理由から、第3実施形態においても、十分な充放電容量を確保することができる。
しかも、リチウム酸化物が正極52に捕捉されることで、該正極52におけるリチウム酸化物と正極52との電気的接点が再び回復する。すなわち、リチウム酸化物と正極52との接触面積が増加する。このため、過電圧が小さくなる。さらに、電気的接点が増加することで接触部分の抵抗も低減でき、電極反応の速度も向上する。結局、第3実施形態でも、放電容量・充電容量の双方が大きく且つ過電圧が低減した、換言すれば、性能が向上した空気二次電池50を得ることができる。
空気二次電池50の正極52は、例えば、次のようにして作製することができる。すなわち、Al23又はSiO2等のセラミックス微粒子60を混合することを除いては、J. Bienerら、J. Appl. Phys. 2004年 vol.97 第024301−1〜024301−4頁の記載に準拠し、図8Aに示すように、セラミックス微粒子60が分散した金−銀合金を作製する。なお、金及び銀は金属間化合物を形成しておらず、金相62、銀相64として相分離している。
次に、電気化学的エッチングにより、金−銀合金中の銀相64を除去する。この除去跡が、気孔54となる。この時点では、セラミックス微粒子60は除去されておらず、金相62中に残留する。すなわち、金−銀合金は、電気化学的エッチングにより、図8Bに示すように、セラミックス微粒子60が分散した多孔質金(金相62)に変化する。
次に、セラミックス微粒子60を除去する。このためには、多孔質金を所定の溶媒、例えば、硝酸(HNO3)に浸漬すればよい。これによりセラミックス微粒子60が溶解し、図8Cに示す多孔質金(金相62)が得られる。この多孔質金を、正極52として用いればよい。
本発明は、上記した第1〜第3実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、第1〜第3実施形態では、負極活物質として金属リチウムを用いているが、金属リチウムに代替してリチウム合金を用いるようにしてもよい。また、負極活物質は、金属リチウムやリチウム合金等のリチウムイオンが生じるものに特に限定されるものではなく、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、ナトリウム、鉄、カルシウム、カリウム又はこれらの合金等、別の金属であってもよい。
さらに、充放電試験器34に代替し、所定の外部負荷を電気的に接続した状態で空気二次電池10、40、50の放電を行うようにしてもよい。
図9に示すように、空気電池70を、金属リチウムからなる負極72と、濃度が1mol/リットルのLiTFSI/トリエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDME)からなる電解質を含ませたセパレータ74と、平均気孔径が互いに相違する2種の多孔質酸化黒鉛ペーパー(小気孔正極76及び大気孔正極78)が積層されてなる積層正極80とで構成した。この空気電池70を、マイクロマシュ(Mikromasch)社のガスフロー電気化学セル82に組み込むとともに、該空気電池70に充放電試験器84を電気的に接続した。
ガスフロー電気化学セル82は、負極72に電気的に接続される負極側集電体86と、積層正極80に電気的に接続される正極側集電体88と、空気電池70を収容する筐体90とを有する。充放電試験器84は、導線92a、92bを介して負極側集電体86及び正極側集電体88に電気的に接続した。また、放電を行う際には、正極側集電体88に設けられた供給管94から酸素を導入するとともに、筐体90に設けられた排気管96から酸素を排出した。
積層正極80の製造過程につき説明すると、先ず、ピロール(PY)−ホルムアルデヒド(FA)溶液を調製し、さらに、該PY−FA溶液に、酸化グラフェン(GO)分散水を混合した。この混合液に30分間超音波を付与しながら、ピロールとホルムアルデヒドをその場重合させてゲルとした。このゲルを室温で24時間放置することで、ハイドロゲルを得た。
次に、直径6cmのペトリ皿にハイドロゲルをドロップキャストし、−80℃で2時間静置して凍らせ、さらに真空下で24時間凍結乾燥を行った。以上により形成された多孔質酸化黒鉛ペーパーを5%H2/Ar雰囲気で還元し、多孔質正極を得た。GO:PY=1:3(質量比。以下同じ)であり800℃で4時間還元したものでは、気孔径は100nmよりも小さく、比表面積は238m2/g、粒径は25.2nmであった。
また、GO:PY=1:5であり1000℃で4時間還元したものでは、気孔径は1μmよりも大きかった。そして、比表面積は69.1m2/g、粒径は86.8nmであった。
上記の2種の多孔質酸化黒鉛ペーパー(GO−PYシート)を直径1cmのディスク形状に切り出し、正極として用いた。以下、GO:PY=1:3であり気孔径が小さい正極を「小気孔正極76」と表記し、GO:PY=1:5であり気孔径が大きい正極を「大気孔正極78」と表記する。積層正極80は、小気孔正極76を、電解質を含ませたセパレータ74に近接する側とし、且つ大気孔正極78をセパレータ74から離間する側として積層することで構成した。
そして、電流密度を0.1mA/cm2、放電時のカットオフ電圧を2.0V(対Li/Li+。以下同じ)、充電時のカットオフ電圧を4.5Vとして電気化学的試験を行った。比較のため、大気孔正極78のみを用いた空気電池70と、小気孔正極76のみを用いた空気電池70についても、同一条件下で電気化学的試験を実施した。
積層正極80、大気孔正極78、小気孔正極76を用いて構成した各空気電池70の充放電曲線を、図10〜図12に個別に示す。また、図13及び図14は、それぞれ、放電容量保持率をサイクル回数の関数として示したグラフ、充電容量保持率をサイクル回数の関数として示したグラフである。図10〜図14における「大気孔+小気孔」、「大気孔」、「小気孔」の表示は、それぞれ、積層正極80、大気孔正極78、小気孔正極76を用いたことを意味する。
図10〜図13から、積層正極80が、5サイクル後に初期放電容量の20%を維持しているのに対し、大気孔電極では10%、小気孔電極では5%と小さいことが分かる。また、図10〜図12及び図14を参照して諒解されるように、積層正極80は、5サイクル後も充電容量の64%を保っている。この値は、大気孔電極の28%、小気孔電極の17%に比して著しく大きい。
積層正極80を用いたときに充電容量保持率が向上する理由は、積層正極80を構成する小気孔正極76が、容量低下を引き起こす一因である離脱粒子(例えば、Li22)を捕捉するためであると推察される。そして、これによりサイクル特性も向上する。
10、40、50…空気二次電池 12、42、52…正極
14、72…負極 16…電解質
20…第1正極層 22…第2正極層
24…小気孔 26…大気孔
32a、32b、92a、92b…導線 32c…支線
34、84…充放電試験器 44…絶縁層
46…スイッチ 54…気孔
56…凹部 60…セラミックス微粒子
62…金相 64…銀相
70…空気電池 74…セパレータ
76…小気孔正極 78…大気孔正極
80…積層正極 82…ガスフロー電気化学セル

Claims (11)

  1. 放電時に酸素含有ガス中の酸素を還元する正極と、金属活物質を含む負極と、前記正極と前記負極の間に介在する電解質とを有する空気二次電池において、
    前記正極は、放電時に、該正極に生成する金属酸化物を捕捉する捕捉部と、前記電解質に接触して前記捕捉部となる第1正極層と、前記電解質から離間した第2正極層とを有し、
    前記第1正極層及び前記第2正極層が多孔質体からなり、且つ前記第2正極層内の気孔の平均気孔径が前記第1正極層内の気孔の平均気孔径に比して大きく、
    前記第2正極層での酸素還元反応の電位が、前記第1正極層での酸素還元反応の電位に比して大きく、
    前記第1正極層の平均気孔径が100nm未満であることを特徴とする空気二次電池。
  2. 請求項記載の空気二次電池において、放電時に前記第2正極層に生成して該第2正極層から移動した金属酸化物を、前記第1正極層の気孔で捕捉することを特徴とする空気二次電池。
  3. 請求項1又は2記載の空気二次電池において、前記第1正極層が前記第2正極層を囲繞していることを特徴とする空気二次電池。
  4. 請求項のいずれか1項に記載の空気二次電池において、前記第1正極層と前記第2正極層との間に絶縁層が介在することを特徴とする空気二次電池。
  5. 請求項記載の空気二次電池において、充電時に、前記第1正極層及び前記第2正極層の双方が充電器に対して個別に電気的に接続されることを特徴とする空気二次電池。
  6. 請求項又は記載の空気二次電池において、前記絶縁層が高分子材からなることを特徴とする空気二次電池。
  7. 請求項又は記載の空気二次電池において、前記絶縁層が空隙からなることを特徴とする空気二次電池。
  8. 請求項1記載の空気二次電池において、前記正極の内部に気孔が形成され、前記捕捉部は、前記気孔に連なり且つ該気孔よりも容積が小さい凹部であることを特徴とする空気二次電池。
  9. 請求項記載の空気二次電池において、前記金属酸化物の一部が前記凹部内に進入することで、前記凹部で前記金属酸化物を捕捉することを特徴とする空気二次電池。
  10. 請求項又は記載の空気二次電池において、前記凹部は、その内部よりも、前記気孔に連なる開口が狭小であることを特徴とする空気二次電池。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の空気二次電池において、前記負極の前記金属活物質がリチウムであることを特徴とする空気二次電池。
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