JP6466260B2 - 印刷用紙 - Google Patents
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1)各凸部3の突出高さh(図3参照)が20〜50μm。
2)各凸部3の水平投影面積が10000〜110000μm2。
3)被印刷面(印刷用紙1の片面)の全面積に占める各凸部3の水平投影面積の合計の割合(以下、凸部面積占有率ともいう)が35%以下。
4)被印刷面(印刷用紙1の片面)における凸部3の単位面積(1cm2)当たりの数が300〜1200個/cm2。
印刷用紙の被印刷面の凸部の突出高さは、超深度形状測定顕微鏡を用いて測定対象の凸部を含む画像を取得し、その取得画像を画像解析ソフトによって解析することで求められる。超深度形状測定顕微鏡としては、例えば株式会社キーエンス製のVK−8500及びVK−8510を用いることができ、画像解析ソフトとしては、例えば株式会社キーエンス製のVK ANALYZERを用いることができる。また、超深度形状測定顕微鏡による画像取得の条件は、対物レンズ10倍、画素数78万画素とすることができる。具体的な測定手順としては、まず、画像取得時には、超深度形状測定顕微鏡における高さ測定レンジを、対象物(凸部)の最下部(凸部の周辺部)から最上部(凸部の頂部)の全体が収まるように手動にて調整を行う。次に、画像解析時には、印刷用紙の被印刷面の平面視において対象物(凸部)とその周辺部が収まるように測定ラインを決定し、自動計算によって測定ラインの高さプロファイルを求める。例えば測定対象物が図1〜図3に示す印刷用紙1の場合、平面視楕円形状の凸部3の長軸L1と短軸L2との交点及び任意の周辺部4が収まるように、測定ラインを決定すれば良い。求められた高さプロファイルはノイズが大きいため、高さスムージング処理/傾き補正の補正処理を行う方が好ましい。本発明では高さスムージング処理を単純平均±12、傾き補正を自動処理で解析した。次に、高さプロファイル上の凸部の頂部と該凸部の周辺部それぞれの任意の点を指定し、その高度差を算出して、その算出値を目的とする「凸部の突出高さ」(図3の符号hに相当)とする。
印刷用紙の被印刷面の凸部の水平投影面積は、光学顕微鏡を用いて測定対象の凸部を含む画像を取得し、その取得画像を解析することで求められる。光学顕微鏡としては、例えば株式会社キーエンス製のVHX−1000を用いることができる。また、光学顕微鏡による画像取得の条件は、対物レンズ25倍、画素数78万画素以上とすることができる。取得画像の具体的な解析手順としては、まず、取得画像をコントラスト/エッジ強調の調整を行い、凸部とその周辺部の境界部が明瞭な最適画像へ調整する。次に、輝度抽出/小粒除去/穴埋め等の自動処理、もしくは、任意の凸部に対して手動操作により多角形に境界部を抽出し、自動計算にて凸部の水平投影面積を求める。手動操作の場合、12角形以上で境界部を抽出することが好ましい。被印刷面上の複数の凸部うちの任意の20個について前記手順に従って水平投影面積を測定し、それらの平均値を目的とする「凸部の水平投影面積」とする。
まず、前記<印刷用紙の被印刷面の凸部の突出高さの測定方法>に従って、測定ラインの高さプロファイルを求める。より具体的には、まず、超深度形状測定顕微鏡(VK−8500及びVK−8510、製造元;株式会社キーエンス)によって、対物レンズ10倍の条件で取得した78万画素の画像を、画像解析ソフト(VK ANALYZER、販売元;株式会社キーエンス)を用いて解析する。画像取得時、まず、高さ測定レンジを対象物の最下部から最上部の全体が収まるように手動にて調整を行う。解析時、凸部3の長辺L1と短辺L2の交差点と任意の周辺部4が収まるように測定ラインを定め、自動計算によって測定ラインの高さプロファイルを求める。求められた高さプロファイルはノイズが大きいため、高さスムージング処理/傾き補正の補正処理を行う方が好ましい。本発明では高さスムージング処理を単純平均±12、傾き補正を自動処理で解析した。次に、求めた高さプロファイル上における、凸部/周辺部の境界点と該凸部の立ち上がり点との任意の2点間の傾斜角度を算出し、その算出値を目的とする「凸部の立ち上がり角度」(図3の符号θに相当)とする。
前記の凸部3の長さL1及びL2並びにピッチP1〜P4は、それぞれ、前述した被印刷面の水平投影画像(超深度形状測定顕微鏡写真)を用いて測定する。
図4に示す印刷用紙、即ち、図1〜図3に示す印刷用紙1と同一構成の印刷用紙を製造し、実施例1とした。より具体的には、木材パルプとして、LBKP100質量%を使用し、ダブルディスクリファイナーでカナディアンスタンダードフリーネスによる叩解度が400mlの原料パルプスラリーを調製した。この原料パルプスラリーに、ロジンサイズ剤を対パルプ質量当たり固形分濃度で0.5質量%、硫酸アルミニウムを4質量%それぞれ添加して原料スラリーを調製し、この原料スラリーを常法に従って湿式抄紙して坪量116.3g/m2の紙を得、これをシート状基材とした。この基材の両面に同時に圧搾圧力100kgf/cmでエンボス加工を施し、目的とする印刷用紙を得た。実施例1のエンボス加工で用いた押圧部材(エンボスロール)の押圧面は、図2おいて凸部3をこれに対応する凹部に変更したものと同じである。
印刷用紙の坪量を151.2g/m2に変更した以外は実施例1と同様にして印刷用紙を得た。
基材の片面にのみ凹凸を形成し、且つその凹凸を図5に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして印刷用紙を得た。比較例1のエンボス加工で用いた押圧部材(エンボスロール)の押圧面は、図5において平面視菱形形状の凸部30をこれに対応する凹部に変更したものと同じである。図5に示すように、比較例1の印刷用紙の被印刷面には、平面視菱形形状の複数の凸部30が散点状に規則的なパターンで形成されている。より具体的には、比較例1の印刷用紙の被印刷面には、複数の凸部30が一方向に所定間隔を置いて等ピッチ(ピッチP1)で配されてなる複数の凸部列30Pが、該一方向と交差する方向に所定間隔を置いて等ピッチ(ピッチP2)で配されている。複数の凸部列30Pは、それぞれ、その平面視菱形形状の凸部30の長軸L1及び短軸L2それぞれに交差する方向に延びている。複数の凸部30の内部には基材の構成繊維が充填されており、凸部30は中空ではなく中実である。複数の凸部30それぞれの周辺部4は、実質的に凹凸の無い平坦部である。
印刷用紙の坪量を151.2g/m2に変更した以外は比較例1と同様にして印刷用紙を得た。
基材の両面に凹凸を形成し、且つ印刷用紙の坪量を127.9g/m2に変更した以外は比較例1と同様にして印刷用紙を得た。
印刷用紙の坪量を157.0g/m2に変更した以外は比較例3と同様にして印刷用紙を得た。
各実施例及び比較例の印刷用紙の被印刷面の触感(ザラザラ感)を、10名のパネラーに下記評価基準に基づいて評価してもらった。より具体的には、評価対象の印刷用紙の被印刷面をパネラーに手指で触ってもらい、ザラザラと凹凸を感じた場合を10点(最高評価)、ツルツルと平滑な場合を1点(最低評価)として、被印刷面のザラザラした触感の程度を10点満点で評価してもらった(合格点は7点以上)。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1に示す。印刷適性の評価点が7点以上であれば、実用上問題無いと言える。
各実施例及び比較例の印刷用紙の被印刷面に、一般的なオフセット印刷により画像(風景写真が好ましい)を印刷した後、その被印刷面を10名のパネラーに目視観察してもらい、主として、被印刷面の凹凸が印刷図柄を視覚的に邪魔していないか(印刷親和性を有しているか)の観点から、印刷用紙の印刷適性を下記評価基準に基づいて評価してもらった。より具体的には、画像印刷後の被印刷面をパネラーに目視観察してもらい、被印刷面と印刷画像とが親和している場合を10点(最高評価)、被印刷面に対して凹凸の視覚的効果がない場合を1点(最低評価)として、印刷適性を10点満点で評価してもらった。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表1に示す。印刷適性の評価点が7点以上であれば、実用上問題無いと言える。
前記「被印刷面の触感(ザラザラ感)」は、被印刷面の凹凸に起因する印刷用紙の風合いを評価するものであり、また、ここで評価している「印刷適性」は、その凹凸による印刷図柄の視覚的な阻害度を評価するものであることから、両者が共に高評価(評価点が7点以上)である印刷用紙は、被印刷面の凹凸を活かしたユニークな風合いと印刷適性とが両立した高品質のものであると言える。
特に、実施例1と比較例1又は実施例2と比較例2との構成上の大きな違いは、実施例1及び2は凸部面積占有率が35%以下であり且つ凸部の単位面積当たりの数が300〜1200個/cm2の範囲にあるのに対し、比較例1及び2は凸部面積占有率が35%を超え且つ凸部の単位面積当たりの数が1200個/cm2を超えている点であるところ、この両者の構成上の違いに起因して、比較例1及び2は実施例1及び2に比して被印刷面のザラザラ感に劣る結果となった。
また、比較例3及び4は、凸部面積占有率及び凸部の単位面積当たりの数が比較例1及び2と同じであることに加えてさらに、凸部の突出高さが20μmを下回っているところ、比較例1及び2よりもさらに被印刷面のザラザラ感に劣る結果となった。
以上のことから、印刷用紙の被印刷面にザラザラとした独特の触感を付与するためには、少なくとも、凸部の突出高さ、凸部面積占有率及び凸部の単位面積当たりの数をそれぞれ前記特定範囲に調整することが有効であることがわかる。
また、実施例1及び2は、凸部の周辺部からの立ち上がり角度が20°を大きく上回っているのに対し、比較例1〜4は、いずれも該立ち上がり角度が20°を下回っており、このことも各比較例の評価の悪さに繋がっているものと推察される。
エンボスロールを変更して凸部の寸法等を適宜変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用紙を得た。こうして得られた印刷用紙について、前記と同様の方法で且つ実施例1を対照品として、被印刷面の触感(ザラザラ感)及び印刷適性をそれぞれ評価した。その評価結果(パネラー10名の平均点)を下記表2及び3に示す。下記表2及び3では、それぞれ、実施例1を再掲し、且つ他の例について、実施例1の各評価項目の評価点を10点とした場合の相対的な評価点を記載している。
表2の各実施例は何れも評価点が7点以上であり、表3の各比較例よりも性能的に優れているものの、実施例1と比較した場合にはやや劣る結果となった。
凸部の突出高さについては、比較例5及び6の評価結果を考慮すると、斯かる比較例が外れる範囲である20〜50μm程度が適切であることが明らかであるが、さらに実施例1と実施例3及び4との対比結果を考慮すると、25〜45μm、さらには30〜40μm程度が特に好ましいと言える。
凸部の水平投影面積については、比較例7及び8の評価結果を考慮すると、斯かる比較例が外れる範囲である10000〜110000μm2程度が適切であることが明らかであるが、さらに実施例1と実施例5及び6との対比結果を考慮すると、21000〜83000μm2、さらには30000〜58000μm2程度が特に好ましいと言える。
凸部面積占有率については、比較例9の評価結果を考慮すると、斯かる比較例が外れる範囲である35%以下程度が適切であることが明らかであるが、さらに実施例1と実施例7との対比結果を考慮すると、18〜32%、さらには21〜28%程度が特に好ましいと言える。
凸部の単位面積当たりの数については、比較例10及び11の評価結果を考慮すると、斯かる比較例が外れる範囲である300〜1200個/cm2程度が適切であることが明らかであるが、さらに実施例1と実施例8及び9との対比結果を考慮すると、400〜900個/cm2、さらには500〜700個/cm2程度が特に好ましいと言える。
凸部の周辺部からの立ち上がり角度については、比較例5及び6の評価結果を考慮すると、斯かる比較例が外れる範囲である20〜40°程度が適切であることが明らかであるが、さらに実施例1と実施例10及び11との対比結果を考慮すると、23〜37°、さらには28〜35°程度が特に好ましいと言える。
2 基材
3,30 凸部
3P,30P 凸部列
3T 凸部の頂部
4 凸部の周辺部(平坦部)
Claims (5)
- 被印刷面に、周辺部よりも厚み方向外方に突出した凸部が複数形成されており、各該凸部の突出高さが20〜50μm、各該凸部の水平投影面積が10000〜110000μm2、該被印刷面の全面積に占める各該凸部の水平投影面積の合計の割合が35%以下、該被印刷面における該凸部の単位面積当たりの数が300〜1200個/cm2である印刷用紙。
- 前記凸部の周辺部からの立ち上がり角度が20〜40°である請求項1に記載の印刷用紙。
- 前記凸部は周辺部に比して密度が低い請求項1又は2に記載の印刷用紙。
- 複数の前記凸部は、前記被印刷面において散点状に形成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の印刷用紙。
- 前記被印刷面は、広葉樹パルプを主体とする紙の表面である請求項1〜4の何れか一項に記載の印刷用紙。
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