JP3023853U - 紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のエンボス加工を応用し、斬新な風合い
の紙を提供する。 【解決手段】 用紙の表面に比較的艶の無い着色を施
し、その全面に細かい凹凸部が密集するエンボス加工部
を施してなる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、手提げ紙袋、包装箱、その他包装紙等に使用する紙に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

従来、合成樹脂フィルムや金属泊には、マット加工と称して、表面を削り取っ て細かな凹凸を施すことが行なわれている。マット加工を施すと光の乱反射が生 じ、表面が光らない奥深い落ち着いた意匠表現（主に、色彩表現）が可能となり 、用途によっては、このマット加工が汎用されている。

【０００３】 そこで、このマット加工を、紙に試みる提案がなされているが、紙の表面を削 り取ると紙力が極端に低下したり、紙を構成しているパルプが毛ば立つので、通 常は印刷手段で表面に細かな凹凸を形成している。

【０００４】 また、従来、紙に凹凸を付ける技術としてエンボス加工が知られている。この エンボス加工は、凹凸模様の付いたロールまたはプレートと弾力を有したロール またはプレートとの間に用紙を通して凹凸模様を付けている。

【０００５】 さらに紙の表面に模様を付ける方法として、抄紙する際に抄紙用の網に模様を 付しておく、すき入れという方法も知られている。

【０００６】 しかし、上記印刷法は梨地状に非常に細かな凹凸が可能で、従来の一般的なマ ット加工に相当する非常に細かで不規則な表面粗面（凹凸面）を得ることは可能 であるが、それ以上大きい凹凸面は形成できず、まして凹凸の形状、配列を自由 に設定することはできない。

【０００７】 また、エンボス加工法は、通常その模様を積極的に見せることを目的としてお り、前記マット加工のような細かな模様の設定は行なわれないでいる。

【０００８】 さらに、従来のすき入れ法は、製紙行程での加工が必要で大量生産しかできな いという欠点を有している。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、従来のエンボス加工を応用し、斬新な風合いの紙を提供する ことを課題としたものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を達成するため、本考案は、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を 施し、その全面に細かい凹凸部が密集するエンボス加工部２を施してなる技術的 手段を講じたもので、着色で凹凸の陰は見えず、さらには、凹凸部が細かく密集 するので、エンボス加工部２は一見何ら加工のあとを目視することはできないが 、光を乱反射してマット加工と同じ表面の光沢を低減させる作用を呈する。

【００１１】 そして、上記エンボス加工部２は凹凸部が密集するようになしてあるので、そ れを見る角度、すなわち用紙１を水平においてこの用紙１に対する視線の角度に よっては色調が微妙に変化する作用を呈するものである。

【００１２】 また、「請求項２」の考案は、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、そ の全面に表面側への突出高さが０．３ｍｍ以下の細かい凹凸部が密集する幾何学 的模様のエンボス加工部２を施してなる技術的手段を講じたものである。

【００１３】 エンボス加工部２の凹凸部を幾何学的模様となすと、前記した、見る角度の他 に見る方向によっても色調が変化する作用を呈する。

【００１４】 また、「請求項３」の考案は、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、そ の全面に表面側への突出高さおよび幅が共に０．３ｍｍ以下の凸条２１，２１， ２１・・・で、相隣り合う各凸条２１，２１の間隔が３ｍｍ以下の細かな格子模 様のエンボス加工部２を施してなる技術的手段を講じたものである。

【００１５】 特に、エンボス加工部２を細かな格子模様とすると、見る角度によって色調が 大きく変化する作用を呈するものである。

【００１６】

【考案の実施の態様】

以下本考案の実施の態様を説明する。図中、１が用紙で、この用紙は通常の紙 、または合成紙と称されているもので、特に、材質・厚み・大きさ・形状は問わ ないが、枚葉物より長尺物をロール状に巻いたものを使用するのが、製造の便宜 上有利である。

【００１７】 そして、上記用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施すが、この着色は製紙行 程で抄紙の前に着色してもよいが、多品種を製造するには紙に、印刷手段や着色 材を噴霧する手段で行なうことが望ましい。また、ここで、艶の無い着色として は表面の反射効率が低く光沢がないものを選択する。

【００１８】 本考案は、後記するように、用紙１にエンボス加工部２を設ける。しかし、こ のエンボス加工部２は、従来のように積極的にその模様を見せるためではなく、 肉眼では一見して識別できない程度となすもので、用紙１の表面に、艶・光沢が あると、光の反射率が高く、エンボス加工部２のわずかな行程差でも光の反射角 度が相違してはっきりと識別可能となるが、比較的艶のない着色を行なうと反射 角度が相違しても反射量が少ないのでエンボス加工部２は見ずらくなるためであ る。なお、エンボス加工部を見ずらくするには、着色は明るい色調より、暗い色 調が適しており、本考案ではこの着色に、濃いグレーやブルーやバイオレットや レッド等の、どちらかというと暗い色調のものを主に使用している。

【００１９】 そして、上記用紙１の全面に細かい凹凸部が密集するエンボス加工部２を施し てなる。用紙１の全面とは使用する面全面のことで、後に切り落としてしまう場 所、使用時折り込んで見えなくなえる場所等は含まないものである。

【００２０】 上記エンボス加工部２は、細かい凹凸部が密集すると、凹凸部は肉眼で見た目 には平均化されて目立たないことになるが、前記した用に着色の色調に影響を与 え、着色に奥深い落ち着いた感じ、すなわち深み・豪華さが附加され、従来にな い斬新な色調を表現でき、商品を引き立てる包装資材には特に好適なものであっ た。

【００２１】 上記エンボス加工部２は、細かい凹凸部を密集させると、高低差をあまり大き く設定することが事実上困難となり、通常のエンボス加工部は０．５〜１ｍｍ以 上の凹凸を形成しているが、本考案で凹凸が目立たないようなすため、そのよう な大きな高低差を設ける必要性はなく、「請求項２」で特定したように表面側へ の突出高さが０．３ｍｍ以下で充分であり、望ましくは０．１ｍｍ（「図２」符 号Ｌ１で示す距離）前後であった。

【００２２】 そして、本考案では上記エンボス加工部２は、細かい凹凸部を密集させること で見る角度によって色調が変化するようになしている。すなわち。凹凸面を上面 から見るか斜めから見るかによって光の反射量に変化があって、色調が変化する ことになる。

【００２３】 上記色調の変化は、無論異なる色に変化したりする大きな変化はないが、濃度 や光沢や深み等が微妙に変化して見えるもので、一部用紙の角度が変化している 部位は別途着色したようにも見えないので、全体としての統一性は失われず微妙 な色調の変化で、結果として味わい深い色調を表現できるものである。

【００２４】 また、「請求項２」の考案は、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、そ の全面に表面側への突出高さが０．３ｍｍ以下の細かい凹凸部が密集する幾何学 的模様のエンボス加工部２を施してなる技術的手段を講じたものである。

【００２５】 すなわち、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、その全面に表面側への 突出高さが０．３ｍｍ以下の細かい凹凸部が密集するエンボス加工部２を施して なるのは「請求項１」と同じであるが、本考案ではエンボス加工部２を幾何学的 模様となしてある。

【００２６】 幾何学的模様のエンボス加工部２を施すと、前記したように見る角度によって 色調が変化すると共に、見る方向によっても色調が変化する。すなわち、エンボ ス加工部２が図示はしていないが多数の平行条で構成されている場合、この平行 条を平行条と直交方向から見るか、平行条と同方法から見るかによってエンボス 加工部２の凹凸部の影響力が大きく変化するものである。

【００２７】 また、「請求項３」の考案は、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、そ の全面に表面側への突出高さおよび幅（「図２」符号Ｌ２の距離）が共に０．３ ｍｍ以下の凸条２１，２１，２１・・・で、相隣り合う各凸条２１，２１の間隔 が３ｍｍ以下（「図２」符号Ｌ３の距離）の細かな格子模様のエンボス加工部２ を施してなる。

【００２８】 すなわち、用紙１の表面に比較的艶の無い着色を施し、その全面に表面側への 突出高さが０．３ｍｍ以下の細かい凹凸部が密集するエンボス加工部２を施して なるのは「請求項１」と同じであり、エンボス加工部２を幾何学的模様となした のは「請求項２」と同じであるが、本考案ではこの幾何学的模様を特に、表面側 への突出高さおよび幅が共に０．３ｍｍ以下の凸条２１，２１，２１・・・で、 相隣り合う各凸条２１，２１の間隔が２ｍｍ以下の細かな格子模様を選定した。

【００２９】 格子模様として、図示例では格子で囲まれた各網目部が菱型となる所謂「ダイ ヤ柄格子模様」で、このように格子模様を使用すると、見る方向によって色調が 変化する割合がもっとも効果的に得られるものである。

【００３０】 なお、「図３」のエンボス加工部２は畳みの織り目状模様で、図で線で示され た部位が最も凹んでいる凹部２ａで、線で囲まれた空白部は中央が最も高い凸部 ２ｂとなるようになっており、凹凸はその高低差が極端でなく緩い曲面となるよ うになしてある。この畳みの織り目状模様は見る方向によって色調が変化する割 合はさほど大きく無かったが、風合いは非常に落ち付いた表現ができ、特に、汚 れや傷が付きにくいという特長を有するものであった。

【００３１】

【考案の効果】

本考案は、上記のごときであるので従来にない、斬新で味わいの深い色調の紙 を提供できるものである。

【００３２】 そして、本考案は紙に着色とエンボス加工を施すのみであるので、従来技術の 組み合わせて確実に実施できる紙を提供できるものである。

【００３３】 特に、エンボス加工による細かな凹凸は従来のマット加工と同様に、色調に深 みを与え、豪華さ、高級感のある色調の紙を提供できるものである。

【００３４】 なお、表面にエンボス加工部２を施すことで、指紋、汚れが付きずらく、傷も つきずらいものであった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案紙の一実施態様を示す部分拡大平面図で
ある。

【図２】縦拡大断面図である。

【図３】別の実施例部分拡大平面図である。

【符号の説明】

１ 用紙 ２ エンボス加工部 ２１ 凸条

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 用紙（１）の表面に比較的艶の無い着色
   を施し、その全面に細かい凹凸部が密集するエンボス加
   工部（２）を施してなる紙。
2. 【請求項２】 用紙（１）の表面に比較的艶の無い着色
   を施し、その全面に表面側への突出高さが０．３ｍｍ以
   下の細かい凹凸部が密集する幾何学的模様のエンボス加
   工部（２）を施してなる紙。
3. 【請求項３】 用紙（１）の表面に比較的艶の無い着色
   を施し、その全面に表面側への突出高さおよび幅が共に
   ０．３ｍｍ以下の凸条（２１，２１，２１・・・）で、
   相隣り合う各凸条（２１，２１）の間隔が３ｍｍ以下の
   細かな格子模様のエンボス加工部（２）を施してなる
   紙。