JP6465009B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車体前部構造に関する。
下記特許文献1には、フロントサイドフレーム(フロントサイドメンバ)から車幅方向外側に突出する第1突設部(ガセット)を設けた車体前部構造が開示されている。この構造について簡単に説明すると、第1突設部はフロントサイドフレームの前端部側の車両幅方向外側の側面に取り付けられている。また、フロントサイドフレームの前端部とバンパービーム(バンパリインフォースメント)の車両幅方向の外側部分との間にはクラッシュカン(クラッシュボックス)が介在されている。そして、クラッシュカンの後端部の車両幅方向位置とフロントサイドフレームの前端部の車両幅方向位置とは同等の位置に設定されている。
特開2013−212757号公報
しかしながら、上記先行技術による場合、フロントサイドフレームよりも車両幅方向外側に衝突荷重が入力される形態の前面衝突(以下、「微小ラップ衝突」という)があった場合、クラッシュカンを圧縮変形させることができない。したがって、上記先行技術は微小ラップ衝突時のエネルギー吸収性能を更に向上させる点において改善の余地がある。
ところで、微小ラップ衝突時にクラッシュボックスを圧縮変形させる観点から、クラッシュボックスを車両幅方向外側に拡幅してクラッシュボックスの車両幅方向外側の位置をガセットの車両幅方向外側の側壁部の前端位置に揃えることも考えられる。すなわち、微小ラップ衝突時にバリアとクラッシュボックスとのラップ量を多くしつつ、クラッシュボックスの車両幅方向外側の稜線に伝達される荷重をガセットの車両幅方向外側の稜線に伝達させるための構成が考えられる。
しかしながら、この構造ではバンパリインフォースメント(以下、適宜「バンパRF」と略す)の車両幅方向の外側部分が車両後方側に湾曲されているとクラッシュボックスの車両幅方向外側の部位の車両前後方向の長さが拡幅前の長さよりも短くなってしまう。よって、この構造を採用した場合、軽衝突時にクラッシュボックスを所定量以上圧縮変形させて衝突時のエネルギーを所定量以上吸収するためには、クラッシュボックスの車両幅方向外側の部位の車両前後方向の長さを確保する対策が必要となる。具体的には、クラッシュボックスを拡幅しない場合よりもバンパRFを車両前方側に設定する、或いは、バンパRFの車両幅方向の外側部分を車両後方側に湾曲させない等の対応が必要となる。つまり、バンパRFの位置や形状が大きな制約を受けることになり、意匠の自由度が大きく低下する。
本発明は、上記事実を考慮して、意匠上の制約を抑えつつ、軽衝突時及び微小ラップ衝突時のいずれの場合においても、クラッシュボックスによって所望のエネルギー吸収をさせることができる車体前部構造を得ることが目的である。
請求項1に記載する本発明の車体前部構造は、車体前部の車両幅方向外側に配置されると共に車両前後方向を長手方向として延在しているフロントサイドメンバと、前記フロントサイドメンバの前端部側の車両幅方向外側の側面から車両幅方向外側へ張り出され、車両幅方向外側の部位に車両平面視で車両前方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した傾斜側壁部を備えたガセットと、前記車体前部の前端側に車両幅方向を長手方向として配置されたバンパリインフォースメントと、前記フロントサイドメンバ及び前記ガセットの双方の前端部と前記バンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分との間に介在されると共に、車両幅方向外側の部位を構成する外側側壁部が前記ガセットの前記傾斜側壁部の前端位置よりも車両幅方向内側に設定され、車両後方側への衝突荷重の入力により車両前後方向に圧縮変形する筒状のクラッシュボックスと、を有し、前記フロントサイドメンバ及び前記ガセットの双方の前端部と前記クラッシュボックスの後端部とを連結する連結部には、前記クラッシュボックスの後端部を覆うと共に車両幅方向を長手方向として配置された第一壁部と、前記第一壁部において前記フロントサイドメンバの前端の車両幅方向外側の部位に隣接する部位から延出されて車両後方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した第二壁部と、前記第一壁部において前記クラッシュボックスの前記外側側壁部の後端が突き当てられた部位から車両後方側に延出されて前記第二壁部に繋がれた第三壁部と、によって車両平面視で三角形状の閉断面部が設けられている。
上記構成によれば、ガセットがフロントサイドメンバの前端部側の車両幅方向外側の側面から車両幅方向外側へ張り出されている。また、クラッシュボックスがフロントサイドメンバ及びガセットの双方の前端部とバンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分との間に介在されている。このため、微小ラップ衝突時には、衝突荷重がバンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分からクラッシュボックスに伝達される。すなわち、クラッシュボックスを車両前後方向に圧縮変形させる荷重が作用する。
また、ガセットの車両幅方向外側の部位を構成する傾斜側壁部は、車両平面視で車両前方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜しており、クラッシュボックスの外側側壁部は、ガセットの傾斜側壁部の前端位置よりも車両幅方向内側に設定されている。このため、バンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分が車両後方側に湾曲されていても、クラッシュボックスの外側側壁部がガセットの傾斜側壁部の前端位置に揃えられるような対比構造に比べれば、クラッシュボックスの外側側壁部の車両前後方向の長さを確保しやすい。すなわち、前記対比構造に比べれば、クラッシュボックスの外側側壁部の車両前後方向の長さを確保するために生じる意匠上の制約を少なくすることができる。
一方、フロントサイドメンバ及びガセットの双方の前端部とクラッシュボックスの後端部とを連結する連結部には、フロントサイドメンバよりも車両幅方向外側でクラッシュボックスの車両後方側に車両平面視で三角形状の閉断面部が設けられている。これにより、フロントサイドメンバよりも車両幅方向外側でクラッシュボックスの車両後方側の部位では、車両前方側からの荷重に対する剛性が高められる。また、閉断面部を構成する第三壁部は、クラッシュボックスの外側側壁部の後端が突き当てられた部位から車両後方側に延出されている。よって、車両前方側からクラッシュボックスの外側側壁部に入力される荷重は、クラッシュボックスの外側側壁部から閉断面部の第三壁部に効率的に伝達される。
以上により、軽衝突時及び微小ラップ衝突時に、衝突荷重がクラッシュボックスに入力された場合、クラッシュボックスから連結部を介してガセット及びフロントサイドメンバに荷重を効率的に伝達することができる。このとき、クラッシュボックスにおける車両幅方向外側の部位は、閉断面部を備えた連結部によって車両後方側から強固に支持されているので、クラッシュボックスを車両前後方向に安定的に圧縮変形させることができる。
以上説明したように、本発明の車体前部構造によれば、意匠上の制約を抑えつつ、軽衝突時及び微小ラップ衝突時のいずれの場合においても、クラッシュボックスによって所望のエネルギー吸収をさせることができるという優れた効果を有する。
本発明の一実施形態に係る車体前部構造の要部を示す平面図である。 対比構造の要部を本発明の一実施形態に係る車体前部構造の要部と比較して示す平面図である。
本発明の一実施形態に係る車体前部構造について図1及び図2を用いて説明する。なお、これらの図において示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。以下、単に前後、上下、左右の方向を用いて説明する場合は、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両上下方向の上下、進行方向を向いた場合の左右を示すものとする。
(実施形態の構成)
図1には、本実施形態に係る車体前部構造が適用された車両の車体前部の一部が平面図で示されている。なお、図1は車体の左側前部を図示したものであり、車体の右側前部の図示を省略するが、本実施形態に係る車体前部構造は基本的には左右対称に構成されている。
図1に示されるように、車体前部10の車両幅方向外側には、フロントサイドメンバ12が配置されている。フロントサイドメンバ12は、車体前部10に左右一対で設けられ、車両前後方向を長手方向として延在している。フロントサイドメンバ12は、車両幅方向外側に配置されたフロントサイドメンバアウタ16と、車両幅方向内側に配置されたフロントサイドメンバインナ14と、を備え、これらによって構成された中空矩形の閉断面構造を備えている。
フロントサイドメンバアウタ16の前端部16A側の車両幅方向外側の側面16Xには、ガセット20が取り付けられており、このガセット20は、フロントサイドメンバ12から車両幅方向外側へ張り出されている。ガセット20は、車両平面視でフロントサイドメンバアウタ16に沿う部位を底辺とする略三角形状から車両前側の部分を略V字状に切り欠いた形状とされている。そして、ガセット20は、車両上下方向に対向配置された上壁部20A及び下壁部(図示省略)と、これらの上壁部20A及び前記下壁部の車両幅方向外側の端部同士を車両上下方向に繋ぐ傾斜側壁部20Bと、を備えている。上壁部20Aと前記下壁部とは、車両平面視で同様の形状に形成されている。また、傾斜側壁部20Bは、ガセット20の車両幅方向外側の部位とされ、車両平面視で車両前方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜している。
上壁部20Aの車両幅方向内側の端部からは車両上方側に屈曲されて延出された第一フランジ部20Cが形成されている。また、上壁部20Aに対向配置された前記下壁部の車両幅方向内側の端部からは車両下方側に屈曲されて延出された第二フランジ部(図示省略)が形成されている。さらに、傾斜側壁部20Bの車両幅方向内側の端部からは車両後方側に屈曲されて延出された第三フランジ部20Dが形成されている。これらの第一フランジ部20C、第二フランジ部(図示省略)及び第三フランジ部20Dは、フロントサイドメンバアウタ16の前端部16A側の車両幅方向外側の側面16Xにスポット溶接等で接合されている。
上壁部20Aの車両前方側の端部のうち車両幅方向外側の部位からは車両上方側に屈曲されて延出された第四フランジ部20Eが形成されており、この第四フランジ部20Eは車両平面視で車両幅方向に延在している。また、上壁部20Aの車両前方側の端部のうち車両幅方向内側の部位からは車両上方側に屈曲されて延出された第五フランジ部20Fが形成されており、この第五フランジ部20Fは車両平面視で車両幅方向内側へ向けて車両前方側に傾斜している。また、上壁部20Aに対向配置された前記下壁部の車両前方側の端部からは車両下方側に屈曲されて延出された第六フランジ部(図示省略)及び第七フランジ部(図示省略)が形成されている。前記第六フランジ部は車両平面視で第四フランジ部20Eと重なる位置に設定され、前記第七フランジ部は車両平面視で第五フランジ部20Fと重なる位置に設定されている。さらに、傾斜側壁部20Bの車両前方側の端部からは車両幅方向外側に屈曲されて延出された第八フランジ部20Gが形成されている。これらの第四フランジ部20E、第五フランジ部20F、前記第六フランジ部、前記第七フランジ部及び第八フランジ部20Gの接合相手については後述する。
一方、車体前部10の前端側には、車両幅方向を長手方向としてバンパリインフォースメント24(以下、「バンパRF24」と略す)が配置されている。バンパRF24は、車両幅方向に沿って直線状に延在する中間部26と、この中間部26の車両幅方向両側に連続して形成されて車両後方側へ湾曲された車両幅方向の外側部分28と、によって構成されている。
フロントサイドメンバ12の前端部12A及びガセット20の前端部20PとバンパRF24の車両幅方向の外側部分28との間には、角筒状のクラッシュボックス30が介在されている。クラッシュボックス30の前端部30Aは、バンパRF24の車両幅方向の外側部分28の後面側に結合されている。クラッシュボックス30において車両幅方向内側の部位を構成する内側側壁部32は、フロントサイドメンバ12の車両幅方向内側の部位を構成する内側側壁部12Bの車両前方側の延長位置に設定されている。また、クラッシュボックス30において車両幅方向外側の部位を構成する外側側壁部34は、ガセット20の傾斜側壁部20Bの前端位置20Hよりも車両幅方向内側に設定されている。
クラッシュボックス30の外周部には、複数の凹ビード36が形成されている。複数の凹ビード36は、車両前後方向に所定の間隔で形成されている。そして、クラッシュボックス30は、車両後方側への衝突荷重の入力により車両前後方向に圧縮変形するようになっている。
フロントサイドメンバ12の前端部12A及びガセット20の前端部20Pとクラッシュボックス30の後端部30Bとを連結する連結部40には、連結部材42が設けられている。連結部材42は、一例として金属製とされるが、繊維強化樹脂製等のような他の材料で構成されていてもよい。連結部材42は、クラッシュボックス30の後端側に設けられて車両幅方向を長手方向として配置された第一壁部44を備える。第一壁部44は、クラッシュボックス30の後端部30Bを覆うと共に、フロントサイドメンバ12の前端部12Aを覆っている。そして、第一壁部44の前面側にクラッシュボックス30の後端部30Bが接合され、第一壁部44の後面側にフロントサイドメンバ12の前端部12Aが接合されている。
また、連結部材42は、第一壁部44においてフロントサイドメンバ12の前端の車両幅方向外側の部位に隣接する部位から延出されて車両後方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した第二壁部46を備える。この第二壁部46の後面には、ガセット20の第五フランジ部20F、及びガセット20において第五フランジ部20Fと車両平面視で重なる位置に配置された前述の第七フランジ部(図示省略)がスポット溶接等で接合されている。
また、連結部材42は、第一壁部44においてクラッシュボックス30の外側側壁部34の後端が突き当てられた部位から車両後方側に延出されている第三壁部48を備える。第三壁部48の後端部は第二壁部46の車両幅方向外側の端部に繋がれている。そして、連結部40には第一壁部44と第二壁部46と第三壁部48とによって車両平面視で三角形状の閉断面部50が設けられている。
さらに連結部材42は、第二壁部46と第三壁部48との接続部から車両幅方向外側に延出された第四壁部52を備える。第四壁部52の車両幅方向内側の部位の後面には、ガセット20の第四フランジ部20E、及びガセット20において第四フランジ部20Eと車両平面視で重なる位置に配置された前述の第六フランジ部(図示省略)が、スポット溶接等で接合されている。また、第四壁部52の車両幅方向外側の部位の後面には、ガセット20の第八フランジ部20Gがスポット溶接等で接合されている。なお、本実施形態では、第四壁部52の車両幅方向外側の端末位置と第八フランジ部20Gの車両幅方向外側の端末位置とは揃えられている。
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、ガセット20がフロントサイドメンバ12の前端部12A側の車両幅方向外側の側面16Xから車両幅方向外側へ張り出されている。また、クラッシュボックス30がフロントサイドメンバ12の前端部12A及びガセット20の前端部20PとバンパRF24の車両幅方向の外側部分28との間に介在されている。このため、微小ラップ衝突時には、バリア60からの衝突荷重FがバンパRF24の車両幅方向の外側部分28からクラッシュボックス30に伝達される。すなわち、クラッシュボックス30を車両前後方向に圧縮変形させる荷重が作用する。
また、ガセット20の車両幅方向外側の部位を構成する傾斜側壁部20Bは、車両平面視で車両前方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜しており、クラッシュボックス30の外側側壁部34は、ガセット20の傾斜側壁部20Bの前端位置20Hよりも車両幅方向内側に設定されている。このため、バンパRF24の車両幅方向の外側部分28が車両後方側に湾曲されていても、例えば図2に示されるようにクラッシュボックス74(図中では簡略化して図示)の外側側壁部76の車両幅方向位置がガセット72の傾斜側壁部72Aの前端位置72Hに揃えられるような対比構造に比べれば、図1に示される本実施形態の構造はクラッシュボックス30の外側側壁部34の車両前後方向の長さを確保しやすい。すなわち、本実施形態の構造では、前記対比構造に比べれば、クラッシュボックス30の外側側壁部34の車両前後方向の長さを確保するために生じる意匠上の制約を少なくすることができる。
ここで、図2を参照しながら補足説明する。図2には、前記対比構造に係る車体前部構造の要部が平面図で示されている。なお、この対比構造において本実施形態と実質的に同様の構成部については同一符号を付して説明を省略する。この対比構造に係る車体前部構造では、本実施形態の連結部材42(図1参照)に代えて、車両平面視で車両幅方向に延在する平板状の連結部材70が配置されている。そして、この連結部材70によってフロントサイドメンバ12の前端部12A及びガセット72の前端部72Pとクラッシュボックス74の後端部74Bとが連結されている。また、クラッシュボックス74の車両幅方向外側の外側側壁部76の車両幅方向位置がガセット72の車両幅方向外側の傾斜側壁部72Aの前端位置72Hに揃えられている。すなわち、微小ラップ衝突時にバリア60とクラッシュボックス74とのラップ量を多くしつつ、クラッシュボックス74の車両幅方向外側の稜線に伝達される荷重をガセット72の車両幅方向外側の稜線に伝達させるための構成が採られている。
なお、図2において、二点鎖線で示される符号34は、本実施形態のクラッシュボックス30(図1参照)の外側側壁部34の位置であり、二点鎖線で示される符号24は、本実施形態のバンパRF24の位置である。
図2に示される対比構造のようにクラッシュボックスを拡幅した場合、仮にバンパRF24の位置を本実施形態と同じ位置に設定すると(二点鎖線のバンパRF24)、クラッシュボックスの外側側壁部の車両前後方向の長さbが本実施形態の外側側壁部34の車両前後方向の長さaよりも短くなってしまう。よって、図2に示される対比構造のようにクラッシュボックスを拡幅した場合には、軽衝突時(ダメージャー試験時)にクラッシュボックスを所定量以上圧縮変形させて衝突時のエネルギーを所定量以上吸収するために、クラッシュボックスの外側側壁部の車両前後方向の長さを確保する対策が別途必要となる。そして、この対比構造では、一例として、本実施形態の場合よりもバンパRF24を車両前方側に設定している。なお、他の対策としては、例えば、バンパRFの車両幅方向の外側部分を車両後方側に湾曲させない(或いは殆ど湾曲させない)といった対応も考えられる。つまり、この対比構造のようにクラッシュボックスを拡幅した場合には、バンパRFの位置や形状が大きな制約を受けることになり、意匠の自由度が大きく低下する。
これに対して、本実施形態では、図1に示されるように、クラッシュボックス30の外側側壁部34は、ガセット20の傾斜側壁部20Bの前端位置20Hよりも車両幅方向内側に設定されているので、対比構造のようにクラッシュボックスを拡幅した場合に比べれば、クラッシュボックス30の外側側壁部34の車両前後方向の長さを確保するために生じる意匠上の制約を少なくすることができる。なお、本実施形態の構造では、図2に示される対比構造に比べて、フロントオーバーハングが短く抑えられている。
一方、図1に示されるフロントサイドメンバ12の前端部12A及びガセット20の前端部20Pとクラッシュボックス30の後端部30Bとを連結する連結部40には、フロントサイドメンバ12よりも車両幅方向外側でクラッシュボックス30の車両後方側に車両平面視で三角形状の閉断面部50が設けられている。これにより、フロントサイドメンバ12よりも車両幅方向外側でクラッシュボックス30の車両後方側の部位では、車両前方側からの荷重に対する剛性が高められる。また、閉断面部50を構成する第三壁部48は、クラッシュボックス30の外側側壁部34の後端が突き当てられた部位から車両後方側に延出されている。よって、車両前方側からクラッシュボックス30の外側側壁部34に入力される衝突荷重Fは、クラッシュボックス30の外側側壁部34から閉断面部50の第三壁部48に効率的に伝達される。
以上により、軽衝突時及び微小ラップ衝突時に、衝突荷重Fがクラッシュボックス30に入力された場合、クラッシュボックス30から連結部40を介してガセット20及びフロントサイドメンバ12(特にそれらの稜線)に荷重を効率的に伝達することができる(矢印f1、f2、f3、f4参照)。このとき、クラッシュボックス30における車両幅方向外側の部位は、閉断面部50を備えた連結部40によって車両後方側から強固に支持されているので、クラッシュボックス30を車両前後方向に安定的に圧縮変形させることができ(ロバスト性の向上)、クラッシュボックス30の所謂潰れ残りを効果的に低減することができる。
さらに、本実施形態では、ガセット20をより車両後方側に配置することができる。この点からも車両前端側のサイド部における意匠上の制約を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態の車体前部構造によれば、意匠上の制約を抑えつつ、軽衝突時及び微小ラップ衝突時のいずれの場合においても、クラッシュボックス30によって所望のエネルギー吸収をさせることができる。
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、連結部40が連結部材42で構成されているが、連結部は、例えば、クラッシュボックス、フロントサイドメンバ、及びガセットのいずれかと一体に設けられてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、上記実施形態の構成に加えて、連結部40において、第一壁部44と第三壁部48との接続部から車両後方斜め車両幅方向外側に延出されて第四壁部52に繋げられるような第五壁部ないしは連結用部材が設定されてもよい。
また、上記実施形態の変形例として、ガセット20の第四フランジ部20E、第五フランジ部20F及びそれらと車両平面視で重なる第六フランジ部(図示省略)及び第七フランジ部(図示省略)が存在しないような構成も採り得る。
なお、上記実施形態及び上述の複数の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
10 車体前部
12 フロントサイドメンバ
12A フロントサイドメンバの前端部
20 ガセット
20B 傾斜側壁部
20H 傾斜側壁部の前端位置
20P ガセットの前端部
24 バンパリインフォースメント
28 バンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分
30 クラッシュボックス
30B クラッシュボックスの後端部
34 外側側壁部
40 連結部
44 第一壁部
46 第二壁部
48 第三壁部
50 閉断面部

Claims (1)

  1. 車体前部の車両幅方向外側に配置されると共に車両前後方向を長手方向として延在しているフロントサイドメンバと、
    前記フロントサイドメンバの前端部側の車両幅方向外側の側面から車両幅方向外側へ張り出され、車両幅方向外側の部位に車両平面視で車両前方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した傾斜側壁部を備えたガセットと、
    前記車体前部の前端側に車両幅方向を長手方向として配置されたバンパリインフォースメントと、
    前記フロントサイドメンバ及び前記ガセットの双方の前端部と前記バンパリインフォースメントの車両幅方向の外側部分との間に介在されると共に、車両幅方向外側の部位を構成する外側側壁部が前記ガセットの前記傾斜側壁部の前端位置よりも車両幅方向内側に設定され、車両後方側への衝突荷重の入力により車両前後方向に圧縮変形する筒状のクラッシュボックスと、
    を有し、
    前記フロントサイドメンバ及び前記ガセットの双方の前端部と前記クラッシュボックスの後端部とを連結する連結部には、
    前記クラッシュボックスの後端部を覆うと共に車両幅方向を長手方向として配置された第一壁部と、
    前記第一壁部において前記フロントサイドメンバの前端の車両幅方向外側の部位に隣接する部位から延出されて車両後方側へ向けて車両幅方向外側に傾斜した第二壁部と、
    前記第一壁部において前記クラッシュボックスの前記外側側壁部の後端が突き当てられた部位から車両後方側に延出されて前記第二壁部に繋がれた第三壁部と、
    によって車両平面視で三角形状の閉断面部が設けられている、車体前部構造。
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