JP6464733B2 - 死角補助装置 - Google Patents
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Description
障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であって、
前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備え、
前記一対のミラーで視認される前記像は、前記半透過ミラーでの光の反射回数が1回以上であり、かつ、前記半透過ミラーでの光の反射回数が互いに異なる短冊状の像が複数並んだものであり、
前記半透過ミラーの反射率は50%以上であり、かつ、80%以下であることを特徴とする。
死角補助装置100は、図1及び図2に示すように、視認者側から見て右側(運転者側)のフロントピラー50に後で詳述するケース体(図示しない)を介して配置され、フロントピラー50及び黒セラ部21によって遮られる死角領域の像を映すものである。なお、死角補助装置100は、視認者から見てフロントピラー50及び黒セラ部21と対向するように配置される。
図2において、視認者(視点2)の前方視界には、フロントピラー50(図示しないが黒セラ部21も含む)によって遮られる死角領域Dが生じる。したがって、視点2からは死角領域Dに存在する物体Mを直接視認することができない。
一方、物体Mからの光Lは、一対の平行平面ミラー110に入射し、一対の平行平面ミラー110の間で反射を繰り返しつつ、一部の光Lは一対の平行平面ミラー110から出射する(半透過平面ミラー111を透過する)。なお、一対の平行平面ミラー110に入射し、一対の平行平面ミラー110の間で反射を繰り返すのは一対の平行平面ミラー110の平行な平面に対して傾きを有する光である。一対の平行平面ミラー110から出射する光Lの一部は、視点2に達する。したがって、視点2からは直接視認できる風景と連続して平面ミラー112に映る物体Mの像を半透過平面ミラー111越しに視認することができる。なお、死角領域Dのうちフロントピラー50の背面側の僅かな領域(ハッチングで示す部分)は、この領域からの光が一対の平行平面ミラー110に入射できず、その像を一対の平行平面ミラー110によって映すことができないが、それ以外の殆どの領域において死角領域Dの像を一対の平行平面ミラー110によって映すことができる。
なお、死角領域Dの像を一対の平行平面ミラー110によって映すに当たって、視認者は、死角補助装置100をフロントピラー50の任意の高さ(視点2に合った高さ)に、一対の平行平面ミラー110に死角領域Dの像が映るように、すなわち、死角領域Dからの光Lが視点2に達するように一対の平行平面ミラー110の角度を調整して配置する。半透過平面ミラー111と平面ミラー112とは互いの位置関係が平行に固定されるため、一度の配置作業で一対の平行平面ミラー110を同時に配置することができ、また、一度の調整作業で一対の平行平面ミラー110の角度を同時に調整することができる。
このように、光Lは一対の平行平面ミラー110の間で反射を繰り返すので、光Lが半透過平面ミラー111にn回入射した場合、物体Mの像を示す光L1〜Lnが1つの平行平面ミラー110から出射される。すなわち、一対の平行平面ミラー110からは視認者の目の左右方向に沿って、n個の物体Mの像を示す光Lが出射することとなる。したがって、視認者は左右方向の広い範囲で物体Mの像を視認することができる。なお、一対の平行平面ミラー110から出射される光Lは半透過平面ミラー111での反射回数が増加するのに伴って輝度が低下する。
ケース体120は、ABSなどの遮光性の樹脂材料からなり、底壁部121と上壁部122と側壁部123とからなる出射側の側方から見て略コの字状(逆Cの字状)の部材である。平面ミラー112は、ケース体120の側壁部123に取り付けられ、また、半透過平面ミラー111は、ケース体120の開口側に平面ミラー112と平行に配置される。ケース体120の底壁部121と上壁部122とは、半透過平面ミラー111と平面ミラー112との間の空間を下側あるいは上側から覆うように設けられ、下側あるいは上側から一対の平行平面ミラー110に入射する外光を遮る遮光壁の役割を有している。
視認者が死角領域Dの像を死角補助装置100によって視認する場合に実際に像を視認できる範囲は、視点2の位置、死角補助装置100の設置位置、及び一対の平行平面ミラー110の平面形状によって定められる。そして、視認者が実際に死角領域Dの像を死角補助装置100によって視認する場合、図2に示すように、死角補助装置100は奥行き側(図2中の上側)のフロントピラー50等の障害物と手前側(図2中の下側)の視認者との間に、一対の平行平面ミラー110の平面が視認者に対して奥行き方向に傾いて入射側が視認者から遠く、出射側に向かって(一対の平行平面ミラー110における光Lの進行方向に向かって)徐々に視認者に近づくように設置される。死角領域Dからの光Lを入射し、視認者に向けて出射するためには、一対の平行平面ミラー110にある程度奥行き方向の角度が必要なためである。図5(a)は、手前側の視認者から見た半透過平面ミラー111及び平面ミラー112を示すものである。なお、図5(a)において、2Rは視認者の右眼を示し、2Lは視認者の左眼を示す。このとき、視認者の視野は図5(a)中の点線で示すように奥行き方向に向かって放射状に広がる。そのため、フロントピラー50に死角補助装置100が配置されるような視認者と一対の平行平面ミラー110との距離が比較的近い場合、一対の平行平面ミラー110において視認者が死角領域Dの像を視認できる範囲(以下、視認可能範囲Aという)は、奥行き側に位置する入射側においては上下方向(一対の平行平面ミラー110における光Lの進行方向に対して垂直方向)の幅W3が大きく、手前側に位置する出射側に向かって(一対の平行平面ミラー110における光Lの進行方向に向かって)徐々に上下方向の幅W3が小さくなる。なお、視認可能範囲Aのうち、平面ミラー112と重ならない部分は、視認者が半透過平面ミラー111を介して背景を直接視認する部分である。図5(b)は、視認者と一対の平行平面ミラー110との位置関係を示す正面図である。前述のように、視認者の視認可能範囲Aは、奥行き側に位置する入射側においては上下方向の幅が大きく、手前側に位置する出射側に向かって徐々に上下方向の幅が小さくなるため、図5(b)のハッチングで示す部分に一対の平行平面ミラー110の平面が存在しても視点2からは死角領域Dの像を視認することはできない。したがって、半透過平面ミラー111と平面ミラー112とを、それぞれの平面が光Lの進行方向に向かって上下方向の幅W1,W2が徐々に小さくなる略楔状となるように形成すれば、不要個所を除いて小型かつ軽量の死角補助装置100を得ることができる。なお、幅W1,W2をどの程度とするかは製品上想定される視点2の位置と死角補助装置100の位置、一対の平行平面ミラー110のケース体120への配置方法などに基づいて適宜設定される。
前述したように、死角補助装置100は、死角領域Dの像を表す光Lが一対の平行平面ミラー110に入射し、一対の平行平面ミラー110の間で反射を繰り返しつつ、一部の光Lが一対の平行平面ミラー110から出射することで死角領域Dの像を映すものである。そのため、所定の視点2から死角補助装置100に映る死角領域Dの像を視認すると、一対の平行平面ミラー110で視認される像は、反射回数が異なる短冊状の像が複数並んだものとなる。図6は、死角補助装置100で視認される像Fの一例を示すものである。像Fは、反射回数が異なる短冊状の像F0〜F3からなる。短冊状の像F0〜F3は、図6の左側から順に半透過平面ミラー111での反射回数が増加し、左端の像F0は半透過平面ミラー111での反射回数が0回の像(半透過平面ミラー111越しに見る風景)であり、像F1は半透過平面ミラー111での反射回数が1回の像であり、像F2は半透過平面ミラー111での反射回数が2回の像であり、右端の像F3は半透過平面ミラー111での反射回数が3回の像である。前述したように、像F0〜F3は、半透過平面ミラー111での反射回数が多いほど一対の平行平面ミラー110から出射する光量が小さくなり、暗くなる。このような視認される像Fの不連続な明るさの変化が大きいと、特に暗い方の像が相対的に視認しにくくなり、視認性が低下する。
図7で示すように、半透過平面ミラー111の反射率が40%である場合では、前記出射光の強度は、反射回数が0回で「60」であるのに対して反射回数が1回で「24」に低下し、さらに反射回数が2回で「9.6」に低下し、反射回数に伴って急激に強度が低下して視認性が損なわれる。これに対し、反射率が50%である場合では、前記出射光の強度は、反射回数が0回で「50」であるのに対して反射回数が1回で「25」に低下し、さらに反射回数が2回で「12.5」に低下するため、反射回数0回での強度が低下するものの反射回数に伴う強度の変化量が抑制され、像全体での視認性が向上する。さらに、反射率を60%、70%、80%、90%と高くしていくと、反射回数0回での強度が低下していく一方で、反射回数に伴う強度の変化量は抑制されることとなる。反射率が60%である場合では、前記出射光の強度は、反射回数が0回で「40」であるのに対して反射回数が1回で「24」に低下し、さらに反射回数が2回で「14.4」に低下する。反射率が70%である場合では、前記出射光の強度は、反射回数が0回で「30」であるのに対して反射回数が1回で「21」に低下し、さらに反射回数が2回で「14.7」に低下する。反射率が90%である場合では、前記出射光の強度は、反射回数が0回で「10」であるのに対して反射回数が1回で「9」に低下し、さらに反射回数が2回で「8.1」に低下する。以上のような観点から、本願発明者は、半透過平面ミラー111の反射率を50%以上とすることで反射回数に伴う強度の変化量を抑制して視認性を向上させることができることを見いだした。さらに、反射率が90%である場合では、像全体で前記出射光の強度が「10」以下となり、反射回数に伴う強度の変化量は抑制されるものの像全体が暗くなる。そのため、半透過ミラーの反射率を50%以上かつ80%以下とすることで、反射回数に伴う前記出射光の強度の変化量抑制と像全体での明るさの確保とを両立して、さらに視認性を向上することができ好適である。
前記像を表す光Lを入射し、視認者側に設けられ光Lの一部を反射し一部を透過する半透過平面ミラー111と、光Lを半透過平面ミラー111へ反射する平面ミラー112とが互いに対向するように配置される一対の平行平面ミラー110を備え、半透過平面ミラー111の反射率が50%以上である。
これにより、一対の平行平面ミラー110の一方に半透過平面ミラー111を用いたため、視認者は半透過平面ミラー111越しに平面ミラー112に映る物体Mの像及び風景を視認することができ、一対の平行平面ミラー110の配置位置の自由度が増し、より容易に視認者が直接視認する像(風景)と連続して死角領域Dの像を映すことが可能となる。また、死角領域を撮像するカメラ及び撮像画像を表示する表示器が不要であるためこれらを使用する場合と比較して安価である。さらに、半透過平面ミラー111の反射率を50%以上とすることで、反射回数に伴う出射光の強度の変化量を抑制して視認性を向上することができる。
また、例えば観光施設等の高層建築物で、高層階の床下に大面積の死角補助装置を埋め込み、光入射部分のみを屋外に出すことで、床下の死角補助装置で眼下の風景を直接足下に感じることが可能となり、建築物の高さを強調することができる。同様の効果を得るために、従来は床下に空間を設ける必要があったが、本発明の死角補助装置によれば既存の建築物にも容易に配置することができ好適である。
このほか、壁面に用いる例としては、道路に近接して塀が立っている見通しの悪い交差点などにおいて、塀の角に本発明の死角補助装置を配置することで、死角領域の歩行者や車両の存在をいち早く認識することができ、出会い頭の事故の防止に貢献することができる。
以上のように、本発明の死角補助装置は、電力などのエネルギーを必要とすることなく、これまで視認することができなかった障害物に遮られた死角領域を、光入射部分のスペースを確保するのみで広範囲に亘って障害物を透けたように視認させることができるものであり、その用途は室内外を問わず広く適用でき、健康、安全あるいは感動など多岐に亘る効果を得ることができる。
2 視点
100 死角補助装置
110 一対の平行平面ミラー(一対のミラー)
111 半透過平面ミラー(半透過ミラー)
111a 基部
111b 延設部
112 平面ミラー(ミラー)
120 ケース体
121 底壁部
122 上壁部
123 側壁部
Claims (2)
- 障害物によって遮られる死角領域の像を映す死角補助装置であって、
前記像を表す光を入射し、視認者側に設けられ光の一部を反射し一部を透過する半透過ミラーと、光を前記半透過ミラーへ反射するミラーとが互いに対向するように配置される一対のミラーを備え、
前記一対のミラーで視認される前記像は、前記半透過ミラーでの光の反射回数が1回以上であり、かつ、前記半透過ミラーでの光の反射回数が互いに異なる短冊状の像が複数並んだものであり、
前記半透過ミラーの反射率は50%以上であり、かつ、80%以下であることを特徴とする死角補助装置。 - 前記一対のミラーで視認される前記像は、前記半透過ミラーでの光の反射回数が異なる短冊状の像が3個以上並んだものであることを特徴とする請求項1に記載の死角補助装置。
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