JP6424611B2 - 死角補助装置 - Google Patents
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Description
車両のピラーに遮られて死角となる領域の像を視認させる死角補助装置であって、
入射した光のうちの一部を反射させて他の一部を透過させる第1ミラーと、前記第1ミラーと対向し、前記第1ミラーからの光を前記第1ミラーに向けて反射させる第2ミラーと、を有する反射部と、
前記反射部を、前記ピラーが延びる方向に沿ってスライド可能とするスライド部と、
ロック状態で前記反射部を前記ピラーに対して不動とするロック部と、を備え、
前記反射部は、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間に入射した前記像を表す光のうち、前記第1ミラーを透過した光によって前記像を前記車両内で視認させ、
前記ロック部の前記ロック状態を解除して、前記反射部を前記方向に沿ってスライドさせた後に、前記ロック部を前記ロック状態にすることで、前記反射部の前記方向における位置が調節可能となっていて、
前記ピラーは、ピラー本体と、前記ピラー本体を覆うピラーカバーと、を有し、
前記ピラーカバーには、前記反射部がスライド可能な範囲に渡って開口部が設けられ、
前記死角補助装置は、前記反射部に対して不動であり、前記反射部のスライドに伴ってスライドするカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材は、前記開口部を塞ぐと共に前記ピラーカバーと一部が重なり合っており、前記反射部をスライドさせても前記ピラー本体を前記開口部から露出させない、ことを特徴とする。
本発明の第1実施形態に係る死角補助装置100は、図1に示すように、車両1内に設置される。車両1において、ユーザ2(主に、ステアリング3が配置された運転席に着座する運転者)は、フロントガラス4とサイドガラス5R,5L越しに、車両1外部の風景を視認する。一方で、ユーザ2は、ピラー(フロントピラー)6R,6Lによって遮られて死角となる領域(死角領域D。図2参照)の像を視認できない。本実施形態に係る死角補助装置100は、このように死角領域Dの像を視認可能とするものであり、フロントピラーのうち、右側のピラー6Rに設置される。
反射部30は、ピラー6Rに起因する死角領域D(図2参照)にある物体Mの像を、反射によってユーザ2に視認させるものである。反射部30は、一対のミラー10と、これらのミラー10を保持する筐体20と、を有する。
また、一対の対向平面を設けた透光性部材の一方の面に反射率調整層(半透過反射層)を形成し、他方の面に反射層を形成することで、一対のミラー10を構成することもできる。つまり、第1ミラー11と第2ミラー12とは別部材でなくともよい。
前述のように、第1ミラー11における透過光と反射光の光量比は、透過光:反射光=1:9に設定されている。したがって、図3に示すように、光Lが最初に第1ミラー11に入射した場合、一対のミラー10からの最初の出射光である光(最初に第1ミラー11を透過した光)L1は、その光量が、最初に第1ミラー11に入射した光Lの1/10となる。光L1は、光Lと光量が異なるだけであるので、光Lと同様に物体Mの像を表す。また、最初に第1ミラー11に入射した光Lは、第1ミラー11、第2ミラー12の順に反射され、再度(2回目)、第1ミラー11に入射する。光Lが2回目に第1ミラー11に入射した場合、最初の場合と同様に、一対のミラー10から物体Mの像を示す光L2が出射する。さらに、2回目に第1ミラーに入射した光Lは、第1ミラー11、第2ミラー12の順に反射され、再度(3回目)、第1ミラー11に入射する。光Lが3回目に第1ミラー11に入射した場合、2回目までの場合と同様に、一対のミラー10から物体Mの像を示す光L3が出射する。
このように、光Lは一対のミラー10の間で反射を繰り返すので、光Lが第1ミラー11にn回数入射した場合、物体Mの像を示す光L1〜Lnが、一対のミラー11から出射する。すなわち、一対のミラー10からは、ユーザ2の目の左右方向に沿って、n個の物体Mを示す像が出射することになる。したがって、ユーザ2は、左右方向の広い範囲で物体Mの像を視認することができる。
スライド部40は、筐体20の背面側に取り付けられたスライドプレート41と、ピラー6R側に取り付けられたガイドレール42と、を有する。スライドプレート41及びガイドレール42の各々は、例えば金属材料から形成されている。
ロック部50は、反射部30をピラー6R(ピラー本体6a)に対して係止する係止部51と、弾性部材52と、係止部51と係り合う係合部53と、を有する。
一方、ユーザ2が操作部51aを−X方向に押圧している状態では、弾性部材52の復元力に抗う方向に係止部51が移動する。これにより、係止部51による係止が解除された解除状態となる。解除状態の際に、反射部30をピラー6Rに沿ってスライドさせることが可能となる。詳しくは後述する。
このように、第1実施形態に係る死角補助装置100によれば、操作部51aを押圧操作して、反射部30をスライドさせるだけで、反射部30の高さが調節できるため、調節が容易である。この効果は以下の構成を有する死角補助装置100によって実現される。
反射部30は、第1ミラー11と第2ミラー12との間に入射した前記像を表す光のうち、第1ミラー11を透過した光によって前記像を車両1内で視認させる。
ロック部50のロック状態を解除して、反射部30を前記方向(Y方向)に沿ってスライドさせた後に、ロック部50をロック状態にすることで、反射部30の前記方向における位置が調節可能となっている。
操作部51aに対して解除操作がなされると、反射部30がピラー6Rに対して係止される状態が解除され、反射部30を前記方向に沿ってスライドさせることが可能となる。
操作部51aに対する解除操作を止めると、弾性部材52の付勢力により、反射部30がピラー6Rに対して係止されるロック状態となる。
これにより、反射部30を高さ調整のためにスライドさせても、ピラー本体6aが露出して車両1内の見栄えが悪くなることを防止できる。また、さらに見栄えを良くするために、カバー部材25は、ピラーカバー6bと同様の材質で表面仕上げが施され、同様の色で形成されることが好ましい。
図8(a)、(b)に示す変形例に係る死角補助装置110のように、反射部30をピラーカバー6b上(ピラーカバー6bよりも+Z方向)でスライド可能に構成することもできる。なお、図8(a)(b)においては、説明の理解を容易にするため、上記実施形態と同様な機能を有する部材については、上記実施形態と同一の符号を付した。死角補助装置110では、反射部30の筐体20と一体で形成されたカバー部材125が、ピラーカバー6bを覆うように形成されている。そして、ピラーカバー6bのうち、カバー部材125に覆われた領域の一部に開口部6d(図8(b)参照)を設けている。この開口部6dを介して、反射部30は、前述と同様のスライド部(スライドプレート41及びガイドレール42)により、ピラー本体6aに対してスライド可能に構成されている。なお、反射部30の高さ調節の操作は、前述と同様であるため、容易である。
第2実施形態に係る死角補助装置200の要部斜視図を図9に示す。同図に示すように、スライド部40を構成するスライドプレート41及びガイドレール42については、第1実施形態と同様である。
一方で、第2実施形態に係るロック部250は、反射部30をピラー6Rに対して係止する係止部251と、弾性部材252と、係止部251とZ軸方向で対向して係り合う係合部253と、を有する。
櫛歯部251bは、Y方向に沿って延びて形成されている。第2実施形態では、櫛歯部251bは2つあり、X方向に互いに間隔を開けて配置されている。軸部251cは、2つの櫛歯部251bの間に位置すると共に、スライドプレート41を貫通して設けられている。
一方、ユーザ2が反射部30を+Z方向に持ち上げている状態(第2実施形態における解除操作状態)では、弾性部材252の復元力に抗う方向に係止部251が移動する。これにより、係止部251による係止が解除された解除状態となる。
軸部251cの先端は、スライドプレート41とガイドレール42との間に位置する。弾性部材252は、軸部251cの先端とスライドプレート41の裏面(−Z側に向く面)とを連結するように設けられている。
第3実施形態に係る死角補助装置300の要部斜視図を図10、図11に示す。
第3実施形態に係るロック部350は、弾性部材352(主に図12(b)参照)がヒンジ部60に設けられている点が主に、第2実施形態とは異なる。
このヒンジ部60は、Y方向と略平行なヒンジ軸60aを有し、このヒンジ軸60aを中心として、スライドプレート41に対して反射部30を、図10、図12(b)での時計回りに回転可能とするものである。なお、ヒンジ部60と反射部30の筐体20とは、固定部材61を介して連結されている。固定部材61は、筐体20と一体であっても別体であってもよい。
一方、ユーザ2が反射部30の押圧操作している状態(第3実施形態における解除操作状態)では、弾性部材352の復元力に抗う方向に係止部351が移動する。これにより、係止部351による係止が解除された解除状態となる。
このように設けられた弾性部材352は、その復元力により、係止部351を概ね−Z方向に向けて付勢する。具体的には、弾性部材352は、ヒンジ部60を介して、ヒンジ軸60aを中心として、図10、図12(b)における時計回りに、反射部30を付勢している。これにより、反射部30に固定された係止部351もヒンジ軸60aを中心として当該時計回りに付勢され、結果として、概ね+Z方向に付勢される。
この変形例に係るヒンジ部60は、前記の図12(b)に示したヒンジ部60とは逆周り(反時計回り)に開くように設けられている。そして、弾性部材352は、図12(c)に示すように、ヒンジ部60を閉じる方向に付勢している。
このように構成した変形例に係る弾性部材352によっても、その復元力により、係止部351を時計回りに付勢することができる。これにより、反射部30に固定された係止部351もヒンジ軸60aを中心として当該時計回りに付勢され、結果として、概ね+Z方向に付勢される。
この変形例においても、ユーザ2が反射部30のうち、ヒンジ軸60aよりも図12(c)における右側を持ち上げるか、左側を押し下げることにより、係止部351による係止が解除された状態となる。そして、反射部30の高さ調節の方法は、前記の第3実施形態の説明と同様である。
また、車両1のピラーは、車両1の前方から後方に向かって順に、Aピラー(フロントピラー)、Bピラー、Cピラー、Dピラー・・・・と呼称されるが、当然ながらAピラー以外のピラーによっても死角が生じる。したがって、死角補助装置100をBピラーやCピラーなど、Aピラー以外のピラーに設けることも可能である。
2 ユーザ
6R,6L ピラー
6a ピラー本体
6b ピラーカバー(ピラーガーニッシュ)
6c 開口部
D 死角領域
M 物体
100,200,300 死角補助装置
10 一対のミラー
11 第1ミラー
12 第2ミラー
20 筐体
25 カバー部材
26 軸受部
30 反射部
40 スライド部
41 スライドプレート
42 ガイドレール
42a ガイド溝
50,250,350 ロック部
51,251,351 係止部
51a 操作部
51b,251b,351b 櫛歯部
51c,251c 軸部
60 ヒンジ部
60a ヒンジ軸
52,252,352 弾性部材
53,253,353 係合部
53a,253a,353a 櫛歯部
Claims (6)
- 車両のピラーに遮られて死角となる領域の像を視認させる死角補助装置であって、
入射した光のうちの一部を反射させて他の一部を透過させる第1ミラーと、前記第1ミラーと対向し、前記第1ミラーからの光を前記第1ミラーに向けて反射させる第2ミラーと、を有する反射部と、
前記反射部を、前記ピラーが延びる方向に沿ってスライド可能とするスライド部と、
ロック状態で前記反射部を前記ピラーに対して不動とするロック部と、を備え、
前記反射部は、前記第1ミラーと前記第2ミラーとの間に入射した前記像を表す光のうち、前記第1ミラーを透過した光によって前記像を前記車両内で視認させ、
前記ロック部の前記ロック状態を解除して、前記反射部を前記方向に沿ってスライドさせた後に、前記ロック部を前記ロック状態にすることで、前記反射部の前記方向における位置が調節可能となっていて、
前記ピラーは、ピラー本体と、前記ピラー本体を覆うピラーカバーと、を有し、
前記ピラーカバーには、前記反射部がスライド可能な範囲に渡って開口部が設けられ、
前記死角補助装置は、前記反射部に対して不動であり、前記反射部のスライドに伴ってスライドするカバー部材をさらに備え、
前記カバー部材は、前記開口部を塞ぐと共に前記ピラーカバーと一部が重なり合っており、前記反射部をスライドさせても前記ピラー本体を前記開口部から露出させない、
ことを特徴とする死角補助装置。 - 前記ロック部は、
互いに噛み合う第1の部材及び第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材の一方を他方に向けて付勢する弾性部材と、
前記ロック状態を解除する解除操作がなされると、前記第1の部材と前記第2の部材とを離間させる操作部と、を有し、
前記操作部に対して前記解除操作がなされると、前記第1の部材と前記第2の部材とが離間して、前記反射部が前記ピラーに対して係止される状態が解除され、前記反射部を前記方向に沿ってスライドさせることが可能となり、
前記操作部に対する前記解除操作を止めると、前記弾性部材の付勢力により前記第1の部材と前記第2の部材とが噛み合い、前記反射部が前記ピラーに対して係止される前記ロック状態となる、
ことを特徴とする請求項1に記載の死角補助装置。 - 前記反射部は、前記第1ミラーと前記第2ミラーを保持する筐体を有し、
前記第1の部材は、前記筐体に設けられ、前記操作部を押圧操作すると、前記操作部と共に移動し、
前記第2の部材は、前記ピラーに対して不動であり、
前記弾性部材は、前記第1の部材を前記第2の部材に向けて付勢し、
前記操作部を前記弾性部材の付勢力に抗う方向に押圧することで、前記第1の部材が前記第2の部材から離間する前記解除操作がなされる、
ことを特徴とする請求項2に記載の死角補助装置。 - 前記第1の部材と前記第2の部材とは、前記ピラーの前記車両内に向く面の法線方向において互いに対向し、互いに噛み合う、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の死角補助装置。 - 前記反射部は、前記第1ミラーと前記第2ミラーを保持する筐体を有し、
前記筐体が前記操作部として用いられる、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の死角補助装置。 - 前記スライド部は、前記反射部に固定されるスライドプレートと、前記方向に沿って延びるガイド溝を有し前記ピラー本体に対して不動であるガイドレールと、を備え、
前記スライドプレートが前記ガイド溝に嵌め合わされ、前記スライドプレートが前記ガイド溝内を摺動可能となっていることで、前記反射部を、前記方向に沿ってスライド可能とする、
ことを特徴とする請求項1及至5のいずれか1項に記載の死角補助装置。
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