JP6459741B2 - 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法 - Google Patents
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しかしながら、特許文献1〜7等に記載の方法を用いて基板母材全体に二色性色素を含む溶液を塗布する場合、上述した段差構造以外の部分、つまり塗布不要の部分にまで塗布することになる。従って、塗布後、不要部分を削除する作業が必要であった。
また、偏光層を形成後の工程によって、偏光層が剥離しやすくなるという問題もあった。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]以下の工程を有する、基板、偏光層及び保護層を含む偏光素子の製造方法。
(I)基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程。
(II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
(III)前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。
[2]前記(II)工程において、偏光層は保護層の輪郭部より内側まで浸食させることを含む、[1]に記載の偏光素子の製造方法。
[3]前記(III)工程において、偏光層の輪郭部の側面は、保護層により封止されることを含む、[1] 又は[2]に記載の偏光素子の製造方法。
[4] 前記(III)工程の加熱が、90℃以上、200℃以下である、[1]乃至[3]の何れか1に記載の偏光素子の製造方法。
[5] [1] 乃至[4]の何れか1に記載の製造方法を用いて製造した偏光素子。
[6]パターニングされたパターンが、Rが50μm以上のコーナーアールを含むものである、 [5]に記載の偏光素子。
[7] [5]又は[6]に記載の偏光素子を備えた画像表示装置。
本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含み、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」等も同様の意味を表す。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、該モノマー及び該ポリマーを意味する。
(II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
(III)(II)工程でパターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。
本発明の偏光素子は、基板面に連続塗布により得られた偏光層及び偏光層上に設けられた保護層を含むものである。また、偏光素子は偏光層及び保護層だけに限られず、偏光性能を向上させる、機械的強度を向上させる等の目的で他の層を有していてもよい。
また、本発明におけるパターンとは、基板上に面付けされた偏光層の形状パターンを表し、パターニングとはパターンを形成させることを表す。また、輪郭部とは、偏光層のパターンの外周部を指す。なお、本発明におけるパターニングは、1枚の基板母材から複数個の液晶セル用の基板を切り出すにあたっての偏光層の区画を意図したものであるが、これに限定されるものではない。
本発明の基板としては、特に限定されるものではないが、良好な表面性状、接触角特性と吸水特性を有する基板であることが好ましい。そのような基板を形成する基材としては、例えば、ガラス等の無機材料;トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、環状ポレオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂等の高分子材料;等を挙げることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。特に基板は高分子材料を含有する高分子基材を含む基板であることが好ましい。
基板の吸水率としては、通常、5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。吸水率が過度に大きいと、湿式成膜法にて異方性偏光材料の膜を形成する際に基板が吸湿して基板が反り、塗布欠陥が生じやすくなる場合がある。また、塗布法にて偏光層が形成された後に基板が膨潤して光学欠陥が発生する場合がある。なお、本実施の形態における「吸水率」とは、ASTM D570の試験方法を用い、23℃の水に4時間浸漬させたときの重量変化率を測定した値である。
本発明は、(I)工程として、基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程を有する。
偏光層とは、膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に、異方性を有する光学膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折等の光学的性質、抵抗、容量等の電気的性質等が挙げられる。吸収、屈折等の光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光層、円偏光層、位相差膜、導電異方性膜等がある。本実施の形態における異性偏光層は、偏光層以外にも、位相差膜及び導電異方性膜としても好適に用いることが可能である。
本発明の偏光層に用いられる偏光材料は、上記異方性を発現する材料であれば特に限定 されない。また、基板上に湿式塗布で偏光層を作製することから、偏光材料および溶剤を含む組成物(以下、偏光層形成用組成物と表す事がある。)であることが好ましい。
偏光層形成用組成物の態様としては、溶液状であってもよいし、ゲル状であっても良く、偏光材料が溶剤中に分散している状態であってもよい。また、これら以外にも必要に応じ、バインダー樹脂、モノマー、硬化剤、添加剤等を含んでいてもよい。
本発明の色素としては、二色性色素が用いられる。また、色素は、配向制御のため液晶相を有する色素であることが好ましい。ここで、液晶相を有する色素とは、溶剤中でリオトロピック液晶性を示す色素を意味する。本発明で用いられるリオトロピック液晶性化合物としては、塗布により偏光層を形成するために、水や有機溶媒に可溶であることが好ましく、特に水溶性であることが好ましい。さらに好ましいものは、「有機概念図−基礎と応用」(甲田善生著、三共出版、1984年)で定義される無機性値が有機性値よりも小さな化合物である。また、塩型をとらない遊離の状態で、その分子量が200以上であるのが好ましく、300以上であるのが特に好ましく、又、1500以下であるのが好ましく、1200以下であるのが特に好ましい。なお、水溶性とは、室温で化合物が水に、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上溶解することをいう。
色素は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2)塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
溶媒としては、水、水混和性のある有機溶剤又はこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等の単独又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
偏光層形成用組成物中の偏光材料の濃度としては、成膜条件にもよるが、好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。偏光材料濃度が上記範囲であることで、均一な薄膜塗布ができる偏光層形成用組成物の粘度が得られ、且つ、偏光材料が析出しない傾向にある。また、偏光層において十分な二色比等の異方性を得られる傾向にある。
偏光層形成用組成物には、必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤等の添加剤を配合することができる。添加剤により、濡れ性、塗布性等を向上させ得る場合がある。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれも使用可能である。その添加濃度は、特に限定されるものではないが、添加した効果を得るために十分であって、かつ分子の配向を阻害しない量として、異方性偏光層形成用組成物中の濃度として通常、0.05重量%以上、0.5重量%以下が好ましい。また、偏光層形成用組成物中での異方性偏光材料の造塩や凝集等の不安定性を抑制する等の目的のために、公知の酸/アルカリ等のpH調整剤等を、偏光層形成用組成物の構成成分の混合の前後又は混合中に添加してもよい。なお、上記以外の添加剤として“Additive for Coating”, Edited by J.Bieleman,Willey−VCH(2000)記載の公知の添加剤を用いることもできる。
本発明の偏光層の塗布方法は連続塗布であれば特に限定されない。本発明において連続塗布とは、パターンごとの間欠塗布ではなく、複数のパターン(区画)になるべき領域を連続で塗布することを指す。基板上に複数のパターンを設ける場合でも、1回で連続塗布出き、複数のパターンごとに分けて塗布する必要はない。
偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)253頁〜277頁に記載の方法、市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)118頁〜149頁に記載の方法、段差構造を有する基板(予め配向処理を施してもよい)上にスロットダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、ファウンテン法、ディップ法等で塗布する方法が挙げられる。中でも、スロットダイコート法を採用すると、均一性の高い異方性偏光層が得られるため好適である。
なお、異方性色素膜用組成物の塗布温度としては、通常0℃以上80℃以下、好ましくは40℃以下である。また、異方性色素膜用組成物の塗布時の湿度は、好ましくは10%RH以上、さらに好ましくは30%RH以上であり、好ましくは80RH%以下である。
本発明において、基板上に偏光層を形成した後に、偏光層を不溶化してもよい。本発明の不溶化とは、偏光層中の色素の溶解性を低下させることにより該偏光層からの溶出を抑制し、偏光層の安定性を高める処理工程を意味する。 具体的には、例えば、少ない価数のイオンをそれより大きい価数のイオンに置き換える(例えば、1価のイオンを多価のイオンに置き換える)処理が挙げられる。
本発明の不溶化に用いる不溶化液は、特に限定されない。例えば、特開2007−241267号公報、特開2009−199075号公報、特開2010−44130号公報、特開2010−197760号公報、特開2011−257489号公報、特開2012−058427号公報等に記載の不溶化液等を用いることができる。
不溶化化合物としては、硫酸イオン(SO3−)、カルボン酸及びホスホン酸に対して強いイオン選択性を有することが好ましい。具体的にはMg、Ca等の無機塩やポリアミン系化合物等が挙げられる。この中でもポリアミン系化合物が不溶化後のクラック低減のため好ましい。
ポリアミン系化合物としては、脂肪族ポリアミン系化合物、芳香族ポリアミン系化合物等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリアミン系化合物が好ましい。
芳香族ポリアミン系化合物の具体例としては、ジアミノベンゼン、キシリレンジアミン等が挙げられる。中でも、ジアミノベンゼンが好ましい。
不溶化液中の不溶化化合物の量はイオン交換能を持つ限り特に制限されないが、不溶化化合物及び溶媒の種類、25℃における不溶化液の粘度等に合わせ適宜調整することができる。好ましくは飽和濃度の10%以上であり、さらに好ましくは飽和濃度の20%以上である。また、好ましくは飽和濃度(=100%)以下であり、さらに好ましくは飽和濃度の90%以下である。この範囲にすることで不必要な不溶化化合物の析出を抑制し、かつ不溶化反応を速やかに行うことができる傾向がある。
本発明の不溶化液は、増粘剤、保湿剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、不溶化液中の添加剤の量は、添加剤、不溶化化合物及び溶媒の種類等に合わせ適宜調整することができる。
偏光層を不溶化する方法は特に限定されず、浸漬;偏光層の上方から不溶化液を供給する方法;スプレー;カーテンコート、ロールコート、ディッピングコート、フローティングコート、吹き出しコート等の塗布;等が挙げられる。本発明の偏光層は、非常に薄く、物体との接触によりはがれ等が発生しやすい傾向にある。そのため、異方性色素膜の偏光性能の低下及び膜の剥離等の欠損を抑制できる方法を用いることが好ましい。
不溶化後の偏光層は洗浄することが好ましい。洗浄する方法は特に限定されず、ディッピング、異方性色素膜の上方から洗浄液を供給する流水洗浄、超音波洗浄等を用いることができる。また、洗浄中に特定周波数で搖動する等の洗浄を促進する効果を加えてもよい。あるいは、これらの方法を複数組み合わせて洗浄することも可能である。
上記の中でも、ディッピングが異方性色素膜の剥離や欠陥の原因となる不要な力を加えない点において好ましい。
洗浄液は特に限定されず、具体的には、純水、純水にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールを添加した液体等を使用してもよい。これらは洗浄性を高めるために洗浄助剤や界面活性剤等の洗浄性を制御する添加物を含んでいてもよい。
洗浄液のpHは洗浄性を考慮の上、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いて酸性に調整してもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸塩、リン酸塩、その他のアルカリ性化合物等を用いてアルカリ性に調整してもよい。
本発明の保護層は、偏光層をその後のプロセスや素子作成後の刺激や衝撃等から保護する目的で形成されるものであるが、同時に偏光層の不要部分を除去してパターニングするためのレジストとしての役割も果たす。
本発明の保護層は、偏光層上に感光性樹脂組成物を連続塗布することで形成されたものであれば特に限定さないが、光学異方性を有さないものが、偏光層の性能を阻害しないため好ましい。本発明における光学異方性とは、保護層の厚み方向及び任意の直行する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有することである。
本発明の保護層は、偏光層の光学特性を損なわないことから、保護層の厚さが500nmの時の、550nmの光線透過率が80%以上であること好ましく、さらに好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。上限は特になく、高い方が好ましい。
本発明の保護層を形成するために用いる感光性樹脂組成物は、光の照射によって現像液への溶解性が変化するものであれば特に限定されない。特に、光の照射によって架橋反応や重合反応を起こして硬化するネガ型感光性樹脂組成物が好ましい。
例えば、光ラジカル重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和基含有化合物の組み合わせや、光カチオン重合開始剤とエポキシ基、オキセタニル基、ビニル基等のカチオン重合性基含有化合物との組み合わせ、さらにこれらの併用した系等も好ましく用いられる。
この他、本発明の感光性樹脂組成物には、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、増感色素、加速剤、熱重合開始剤、各種硬化剤、熱硬化性樹脂、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、有機溶剤等を含んでいてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられる光ラジカル重合開始剤は、特に限定されない。例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報等に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載のオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、オキシムエステル誘導体類又はα−アミノアルキルフェノン誘導体類が好ましい。これらは1種でも、複数組み合せて用いてもよい。
α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、例えば、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられる光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線等の照射にカチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン硬化性成分の重合反応を開始するものである。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。これらの中でも硬化性の点で、芳香族ヨードニウム塩又は芳香族スルホニウム塩が好ましい。
光カチオン重合開始剤を構成するアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF6 -、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンSbF6 -、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネートアニオンSbF5(OH)-、ヘキサフルオロアーセネートアニオンAsF6 -、テトラフルオロボレートアニオンBF4 -、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C6F5)4 -等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられるラジカル重合性不飽和基含有化合物は、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物である。エチレン性不飽和基は、反応性の点より、アリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
カチオン重合性基含有化合物としては、エポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、ビニル基含有化合物等が挙げられる。中でもエポキシ樹脂が好ましく、例えば、三菱化学社のJERシリーズ、ダイセル社のセロキサイドシリーズ、新日鉄住金化学社のエポトートシリーズ、日本化薬社のNC−、XD−、EPPN−、EOCN−等のシリーズ、DIC社のEPICLON等が挙げられる。
また、エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体も特に好ましく用いることができる。エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体を含有することで、フォトリソグラフィー法によりパターンを形成する際の光硬化性や現像パターン形成性、光・熱硬化時の収縮の低減、柔軟性や浸透性を抑えた優れた膜質等を達成しやすい傾向がある。
オキセタニル基含有化合物としては、東亜合成社のOXTシリーズ、大阪有機社のOXE−10、OXE−30、それらを用いた共重合樹脂等が挙げられる。
Xは、直接結合又は2価の連結基を表す。ただし、式(1)中のエポキシ基のXと結合していない炭素原子が、Xと結合して環を形成していてもよい。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基又はハロゲン原子である。合成のし易さの観点からは、アルキレン基が無置換であることがより好ましい。
Yは、直接結合又は2価の連結基を表す。
R3は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基を表す。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
また、環状脂肪族基は単環であっても、多環であってもよいが、膜の強度の観点からは多環であることが好ましい。
環状脂肪族基の具体例としては、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基等が挙げられ、これらの中でも膜の強度の観点から、ジシクロペンタニル基又はアダマンチル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
これらの中でも、製膜した膜の強度の観点からは多環式の環状脂肪族基含有ビニル化合物を用いることが好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート又は2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを用いることがさらに好ましい。
Zは、直接結合又は2価の連結基を表す。
R5は、カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する基を表す。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、ハロゲン原子である。合成のし易さの観点からは、アルキレン基が無置換であることが好ましい。
カルボキシ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。
芳香族性水酸基含有ビニル化合物としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらの中でも、充分なアルカリ現像性の観点からはカルボキシ基含有ビニル化合物を用いることが好ましく、一方でより高い電気信頼性を達成するためには芳香族性水酸基含有ビニル化合物を用いることが好ましい。カルボキシ基含有ビニル化合物としては(メタ)アクリル酸を、芳香族性水酸基含有ビニル化合物としてはp−ドロキシスチレンやp−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、株式会社島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、株式会社島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定したポリスチレン換算の値とする。
熱可塑性樹脂は、(III)工程で実施する加熱時の温度で軟化する樹脂であれば特に制限されないが、他の成分との親和性や塗布溶剤への溶解性の点でアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ノボラック樹脂等が好ましい例として挙げられる。なお、これらの樹脂にはラジカル重合性不飽和基やカチオン重合性基、その他の架橋基が導入されていても良く、その場合、上で説明したラジカル重合性不飽和基含有化合物や、カチオン重合性基含有化合物の役割も兼ね備えることが出来る。
カチオン重合性基含有化合物と熱可塑性樹脂を兼ね備える樹脂としては、上述のエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の他、例えば、日本化薬社のNC、EOCN、XD、EPPN等のノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、偏光層の上に塗布するため、偏光層に対して悪影響を与えないものであれば特に限定されない。
本発明の感光性樹脂組成物の溶媒は、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤は単独でも、2種以上を併用してもよい。
エーテル結合及びエステル結合を含む有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、上述の各成分を有機溶剤と共に混合し撹拌や超音波印加を行うことで、溶解又は分散させ調製することができる。なお、組成物を調製する時に、ラジカル重合性不飽和基含有化合物及び/又はカチオン重合性基含有化合物が液体状である場合は、それらを有機溶剤の代わりとしてもよい。
用いるフィルターとしては、例えば、インテグリスオプチマイザー、CUNOナノシールド、ゼータプラスEC等を使用することが出来る。なお、不溶物、ゲル成分、ゴミ、微量金属等は、保護層を成膜する際のハジキの原因となる場合がある。保護層を貫通する異物やハジキ等の欠陥がある場合、現像液がそこから下層の偏光層に侵入し偏光層を溶かしてしまうため、フィルターの目のサイズはなるべく小さいことが好ましい。具体的には、少なくとも保護層の膜厚より小さいことが好ましい。
本発明の保護層は、感光性樹脂組成物を偏光層上に偏光層の塗布方法に示した方法等で連続塗布することができる。この後、感光性樹脂組成物が有機溶剤を含む場合はこれを乾燥させてもよい。乾燥は、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射等の加熱機器を用いて加熱することにより行うことができる。中でも、膜全体を均等に加熱しやすいことから、クリーンオーブン又はホットプレートが好ましい。
乾燥条件は、有機溶剤の種類や偏光層の耐熱性等に応じて、適宜選択すればよい。十分に乾燥させた方が安定した硬化性を得やすい点では、高温で長時間乾燥させることが好ましいが、一方で、乾燥に要する時間が短い方が生産性に優れ、偏光層や基板に加熱の影響を及ぼし難い点では、低温で短時間乾燥させることが好ましい。そこで、乾燥温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、また、一方、通常150℃以下、好ましくは130℃以下である。
乾燥時間は、15秒以上が好ましく、30秒以上がさらに好ましい。また、5分以下が好ましく、3分以下がさらに好ましい。乾燥は、減圧乾燥法により行ってもよく、加熱法と減圧乾燥法を併用してもよい。
本発明の製造方法は(II)工程として、露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程を有する。
露光及び現像によりパターニングする方法は、 (I)で形成した保護層に露光マスクを介して露光又はレーザーで直接描画し保護層の一部分を重合反応させる。さらに、露光による光照射を受けずに重合反応しなかった部分の保護層と、その下に位置する偏光層を取り除く現像処理を行って、偏光層と保護層をパターニングするものである。
露光に使用される光源は、保護層を重合できれば特に限定されない。具体的には、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ、LED等のランプ光源及びアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。ここで、特定波長の光を使用する場合には、光学フィルターを用いてもよい。
露光量は、通常0.01mJ/cm2以上、好ましくは0.1mJ/cm2以上、より好ましくは1mJ/cm2以上である。また、通常1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下、より好ましくは500mJ/cm2以下である。
本発明の現像液は、保護層の非露光部と偏光層の両方を溶解させると共に、露光部の保護層や、その下部に位置する偏光層にダメージ等の悪影響を与えないものであれば、特に限定はされない。
本発明の現像液は、用いる偏光層の特徴に応じて適宜選ばれる。偏光層が水溶性である場合は有機溶剤を含有する現像液を用いることが好ましい。一方、偏光層を不溶化処理する等を行い偏光層が非水溶性若しくは難溶性の場合は、アルカリ現像液を使用することが好ましい。
また、この現像液は、有機溶剤以外に、水やノニオン系の界面活性剤等を含有してもよい。
現像液が含有する水は20容量%以下であることが好ましく、10容量%以下であることが好ましい。水が多すぎないことで、偏光層に与える影響を抑制しながら、保護層の現像を行うことができる傾向にある。
本発明の現像液に用いる有機溶剤は、単品でもいくつかを混合して用いてもよい。
現像方法及びその条件ついては、特に制限は無い。現像方法としては、浸漬現像、パドル式現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等が挙げられる。中でも、浸漬現像及びスプレー現像は、汚れが付き難く、保護層及び偏光層へのダメージが生じ難く、均一に現像しやすいことから好ましい。また、パドル式現像は現像液の使用量が抑えられる点で好ましい。
現像温度は、通常10℃以上、好ましくは15℃以上であり、また、一方、通常50℃以下、好ましくは45℃以下である。現像後はそのまま、又は他の溶剤で洗浄した上で、圧空等によって乾燥させることが好ましい。ここで他の溶媒とは、露光後の保護層や偏光層を溶かさずに、現像液とは混合する様な溶剤を選択することが好ましい。
偏光層の輪郭部が保護層の輪郭部より内側まで入り込む距離としては、偏光層の膜厚以上が好ましく、5mm以下が好ましい。上記下限以上であることで、偏光層の輪郭部側面をその後工程から充分に保護出来る傾向にあり、一方、上記上限以下であることで、現像に要する時間を抑制することができる傾向にある。本発明の保護層は、偏光層よりも現像液への溶解速度が小さいため、この浸食距離の調整は、適宜現像時間で調整が可能である。
本発明の製造方法は、(III)工程として、前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程を有する。図2に示すように、保護層をメルトフローさせることで、現像後露出した偏光層輪郭部の側面を封止する。
メルトフローの方法は、現像後の保護層が軟化して、偏光層の輪郭部側面を封止することが出来れば特に条件は限定されない。偏光層の耐熱性の点から、加熱温度が200℃以下であることが好ましく、180℃以下が特に好ましい。また、保護層の硬化を加熱によってさらに促進する目的で、90℃以上が好ましく、110℃以上が特に好ましい。
加熱時間は偏光層の劣化を回避する点でなるべく短い方が好ましいが、保護層の硬化をさらに促進する目的では長い方が好ましいため、通常1分以上、好ましくは10分以上であり、通常120分以下、好ましくは60分以下である。
加熱方法は、公知の方法を自由に選択することが出来るが、例えばホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等が挙げられる。
本発明の偏光素子を得るために、上記の(I)〜(III)工程以外にも工程を有していてもよい。例えば、基板上に配向膜を設ける工程、基板の濡れ性を付与する工程等が挙げられる。
偏光層の配向性を向上させるため、上記(I)工程の前に、基板上に配向膜を設けてもよい。具体的には、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行、226頁から239頁)等に記載の公知の方法を用いることができる。
塗布による偏光層の形成に際して、偏光層形成用組成物のはじきを抑制するため、基板に濡れ性を付与してもよい。濡れ性を付与し親液部分を形成する処理としては、特に限定されるものではないが、物理的又は化学的改質処理手段であるコロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射(UVオゾン)処理等の表面処理を施す。この際、ガス組成や処理時間を調整するとこにより親液状態を調整してもよい。
還流冷却器、攪拌機及び窒素吹込み管を備えたフラスコに、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)47質量部、グリシジルメタクリレート61質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8.0質量部を仕込んだ。仕込み後のフラスコを窒素置換した後、攪拌しながら液温を80℃に上昇させ、80℃で6時間反応させた。さらに、100℃で1時間ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の分解処理を行った。その後、80℃の減圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを蒸留して、固形分濃度50質量%程度まで濃縮し、カチオン重合性基含有化合物−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約11,000であった。
なお、重量平均分子量は、島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定した。
還流冷却器、攪拌機及び窒素吹込み管を備えたフラスコに、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)44質量部、グリシジルメタクリレート46質量部、メタクリル酸11質量部、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル300質量部、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)9質量部を仕込んだ。仕込み後のフラスコを窒素置換した後、攪拌しながら液温を80℃に上昇させ、80℃で6時間反応して、カチオン重合性基含有樹脂−2を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約9,000であった。
カチオン重合性基含有樹脂−2におけるグリシジルメタクリレート由来の繰り返し単位構造の含有割合は50モル%であり、ジシクロペンタニルメタクリレート由来の繰り返し単位構造の含有割合は30モル%であり、メタクリル酸由来の繰り返し単位の含有割合は20モル%であった。
表1の成分の内、まず光カチオン重合開始剤(Irg250)、光ラジカル重合開始剤(Irg907)及び熱ラジカル重合開始剤(VAm−110)をそれぞれ量り取り、そこに有機溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて、マグネチックスターラーを用いて撹拌し完全に溶解させた。
次に、上記以外の表1の成分を加え、さらに10分間撹拌を続けた。次にインテグリス社のオプチマイザーV47 0.02μm FD5A XFRを用いて濾過して、感光性樹脂組成物−1を得た。
表2の成分の内、まず光カチオン重合開始剤(Irg250)、光ラジカル重合開始剤(Irg907)、増感剤(UVS−1331)及び加速剤(ET−2201)をそれぞれ量り取り、そこに有機溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて、マグネチックスターラーを用いて撹拌し完全に溶解させた。
次に、上記以外の表2の成分を加え、さらに10分間撹拌を続けた。次にインテグリス社のオプチマイザーV47 0.02μm FD5A XFRを用いて濾過して、感光性樹脂組成物−2を得た。
ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(東京化成社製)24.4質量部に、6規定の硫酸75.6質量部を加えて撹拌溶解させ、不溶化液1を調製した。不溶化液1の粘度は50cPであった。
水79部に、下記式(a)で表される色素のリチウム塩20部と、下記式(b)で表される色素1部とを撹拌溶解させることにより、偏光層形成用組成物1を調製した。
次にこのサンプルを、プロピレングリコールモノメチルエーテルを95容量%、水を5容量%の比率で混合させた現像液に30秒間揺らしながら浸漬し、現像した。現像後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートでかけ流した後、圧空で乾かした。
現像後のサンプルを顕微鏡で観察したところ、保護層の輪郭部から、偏光層の輪郭部までの距離は3μm程度であった。
得られた偏光素子の、偏光層の輪郭部に該当する部分の断面SEMを観察したところ、図4の通り、保護層がメルトフローして偏光層の輪郭部側面を封止していることを確認した(倍率5万倍)。なお、図4では倍率(倍率5万倍)の関係で保護層の輪郭部が見られないが、偏光層の輪郭部から3μm程度外側で途切れていた。
得られた偏光素子を半分に分割し、それぞれの偏光層が直交になる様に、又は平行になる様に重ね合せた時の様子を観察した。結果を図5に示した。なお、黒い線で囲った部分が2枚の板のベタパターンが重なっている部分である。
<耐溶剤性の評価>
得られた偏光素子にN−メチルピロリドンを滴下し、滴下後5分間保持した後滴下したN−メチルピロリドンを吸い取り、乾燥後、保護層や偏光層の様子を観察したところ特に異常は見られなかった。
実施例1と同様にして基板に偏光層を形成した基板を、不溶化液1中に5秒間含浸させた。基板を取り出した後に脱塩水を用いて洗浄し、その後、基板の風乾を行ない、不溶化させた偏光層を得た。
次にこのサンプルを、シャワー式現像機にて、0.04重量%の水酸化カリウム水溶液で60秒間現像し、20秒間水洗した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートでかけ流した後、圧空で乾かした。
得られた偏光素子の、偏光層の輪郭部に該当する部分の断面SEMを観察したところ、保護層がメルトフローして偏光層の輪郭部側面を封止していることを確認した。
得られた偏光素子を半分に分割し、それぞれの偏光層が直交になる様に、又は平行になる様に重ね合せた時の様子を観察したところ、偏光層にダメージ等は認められず、良好な偏光特性が認められた。
得られた偏光素子にN−メチルピロリドンを滴下し、滴下後5分間保持した後滴下したN−メチルピロリドンを吸い取り、乾燥後、保護層や偏光層の様子を観察したところ特に異常は見られなかった。
また、コーナーアールのパターンであると、シャワー現像の様な負荷がかかりやすい条件でも、欠陥が無く良好なパターニングが可能であることが確認された。
Claims (6)
- 以下の工程を有する、基板、偏光層及び保護層を含む偏光素子の製造方法。
(I)基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、
感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程。
(II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
(III)前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。 - 前記(II)工程において、偏光層は保護層の輪郭部より内側まで浸食させることを含む
、請求項1に記載の偏光素子の製造方法。 - 前記(III)工程において、偏光層の輪郭部の側面は、保護層により封止されることを
含む、請求項1又は2に記載の偏光素子の製造方法。 - 前記(III)工程の加熱が、90℃以上、200℃以下である、請求項1乃至3の何れ
か1項に記載の偏光素子の製造方法。 - 前記(II)工程においてパターニングされたパターンが、Rが50μm以上のコーナー
アールを含むものである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の偏光素子の製造方法。 - 請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法により偏光素子を製造する工程を含む、
画像表示装置の製造方法。
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