JP6459741B2 - 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法 - Google Patents

偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6459741B2
JP6459741B2 JP2015084482A JP2015084482A JP6459741B2 JP 6459741 B2 JP6459741 B2 JP 6459741B2 JP 2015084482 A JP2015084482 A JP 2015084482A JP 2015084482 A JP2015084482 A JP 2015084482A JP 6459741 B2 JP6459741 B2 JP 6459741B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polarizing layer
polarizing
protective layer
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015084482A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015212819A (ja
Inventor
利光 恵理子
恵理子 利光
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2015084482A priority Critical patent/JP6459741B2/ja
Publication of JP2015212819A publication Critical patent/JP2015212819A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6459741B2 publication Critical patent/JP6459741B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、液晶表示装置等に用いる偏光素子に関し、詳しくは基板上に形成する偏光層及びその保護層を含む偏光素子の製造方法に存する。
LCD(液晶表示ディスプレイ)では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機EL素子)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。従来、これらの偏光板(偏光素子)には、ヨウ素や二色性を有する有機色素をポリビニルアルコール等の高分子材料に溶解または吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して二色性色素を配向させることにより得られる偏光層が広く使用されてきた。しかしながら、このようにして製造される従来の偏光層では、用いる色素や高分子材料によっては耐熱性や耐光性が十分でない、液晶装置製造時における偏光層の貼り合せの歩留まりが悪い等の問題があった。また、素子構造の簡略化により輝度向上をさせるためセル内に偏光層を形成する試みがなされている。
一方、ガラスや透明フィルム等の基材上に二色性色素を含む溶液を、剪断力を加えつつ塗布することにより、二色性色素を配向させて偏光層を製造する方法が検討されている(特許文献1〜7参照)。
特表平8−511109号公報 特開2002−277636号公報 特開2007−272211号公報 特開2007−186428号公報 特開2008−69300号公報 特表2001−504238号公報 特開2006−48078号公報
1枚の基板母材から複数個の液晶セル用の基板を切り出す場合、偏光層は所定のパターンに形状化したものを基板上に複数形成し、これを各々分割して基板として用いることが多い。また、基板の内面側に偏光層を備えたIn-Cell型の液晶表示装置として用いる場合は、偏光層は、予め電極やカラーフィルター等の液晶セル内に設けられる各層が基板に積層された後、基板に対して凸状となった部分(段差構造部分)に形成することになる。
しかしながら、特許文献1〜7等に記載の方法を用いて基板母材全体に二色性色素を含む溶液を塗布する場合、上述した段差構造以外の部分、つまり塗布不要の部分にまで塗布することになる。従って、塗布後、不要部分を削除する作業が必要であった。
1枚の基板母材から複数個の液晶セル用の基板を切り出す方法として、例えば間欠塗布方法を用いて上記の段差構造のみを選択して、偏光層形成用組成物を塗布することも考えられる。しかし、基板母材上に複数設けられた段差構造の間隔が短いと、偏光層形成用組成物の吐出制御が難しく塗布欠陥が生じる。それにより、光学的に均質な偏光層、ひいては光学的に均質な偏光素子が得られないという問題がある。
一方、偏光層は、水や溶剤からの影響を受けやすく、偏光層の欠損等が発生する傾向にあった。これらを防止するために、偏光層の不溶化や保護層を設けることが従来なされてきたが、十分ではなかった。
また、偏光層を形成後の工程によって、偏光層が剥離しやすくなるという問題もあった。
本発明は、上記のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的 とするところは、塗布欠陥がなく、均質な偏光層を容易にパターニングすることができ、偏光層形成後の製造工程で用いられる水や溶剤の影響を受けない偏光素子の製造方法を提供することにある。また、偏光層の剥離が発生しない偏光素子の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、基板上に偏光層形成用組成物を連続塗布して成膜した偏光層上に、感光性樹脂組成物で保護層を設け部分的に露光現像することで、偏光層及び保護層をパターニングし、未露光の保護層をメルトフローさせ、偏光層の輪郭部側面を封止することによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]以下の工程を有する、基板、偏光層及び保護層を含む偏光素子の製造方法。
(I)基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程。
(II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
(III)前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。
[2]前記(II)工程において、偏光層は保護層の輪郭部より内側まで浸食させることを含む、[1]に記載の偏光素子の製造方法。
[3]前記(III)工程において、偏光層の輪郭部の側面は、保護層により封止されることを含む、[1] 又は[2]に記載の偏光素子の製造方法。
[4] 前記(III)工程の加熱が、90℃以上、200℃以下である、[1]乃至[3]の何れか1に記載の偏光素子の製造方法。
[5] [1] 乃至[4]の何れか1に記載の製造方法を用いて製造した偏光素子。
[6]パターニングされたパターンが、Rが50μm以上のコーナーアールを含むものである、 [5]に記載の偏光素子。
[7] [5]又は[6]に記載の偏光素子を備えた画像表示装置。
本発明の偏光素子の製造方法によれば、基板上に連続塗布した偏光層を保護層の形成と共に区画することができ、しかもその後のプロセスからも保護することが出来る。従って、特に偏光層形成後に、配向膜形成用の溶媒(N―メチルピロリドン等)や洗浄溶媒である水を用いるプロセスを有するIn-Cell型偏光素子を1枚の基板母材から複数個に区画して分割した基板を切り出すにあたり有用である。
本発明の現像工程において、偏光層を浸食させた状態を表す概略図である。 保護層をメルトフローさせた状態を表す概略図である。 パターンのコーナーアールを表す概略図である。 実施例の偏光層の輪郭部の断面SEM図である。 実施例の偏光層を直交及び平行になるように重ね合せた図である。
以下に本発明を実施するための代表的な態様を具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の双方を含み、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」等も同様の意味を表す。また、モノマー名の前に「(ポリ)」をつけたものは、該モノマー及び該ポリマーを意味する。
本発明は、基板、偏光層及び保護層を含む偏光素子の製造方法である。該製造方法は、少なくとも以下の工程を有する(以下、下記(I)の工程を「(I)工程」と表すことがある。また、(I)工程と同様に、「(II)工程」、「(III)工程」と表すことがある)。(I)基板に偏光層形成用組成物を連続塗布して形成した偏光層上に、感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程。
(II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
(III)(II)工程でパターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。
本発明の製造方法は、(I)〜(III)工程を有しており、(I)工程→(II)工程→(III)工程の順で実施されれば特に限定されない。また、それぞれの工程の間に、その他の工程を有していても良く、例えば(I)工程と(II)工程の間に他の工程を有していてもよい。
(偏光素子)
本発明の偏光素子は、基板面に連続塗布により得られた偏光層及び偏光層上に設けられた保護層を含むものである。また、偏光素子は偏光層及び保護層だけに限られず、偏光性能を向上させる、機械的強度を向上させる等の目的で他の層を有していてもよい。
また、本発明におけるパターンとは、基板上に面付けされた偏光層の形状パターンを表し、パターニングとはパターンを形成させることを表す。また、輪郭部とは、偏光層のパターンの外周部を指す。なお、本発明におけるパターニングは、1枚の基板母材から複数個の液晶セル用の基板を切り出すにあたっての偏光層の区画を意図したものであるが、これに限定されるものではない。
(基板)
本発明の基板としては、特に限定されるものではないが、良好な表面性状、接触角特性と吸水特性を有する基板であることが好ましい。そのような基板を形成する基材としては、例えば、ガラス等の無機材料;トリアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、トリアセチルセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、環状ポレオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂等の高分子材料;等を挙げることができる。これらは1種を単独で、または2種以上を併用してもよい。特に基板は高分子材料を含有する高分子基材を含む基板であることが好ましい。
基板の吸水率としては、通常、5%以下、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。吸水率が過度に大きいと、湿式成膜法にて異方性偏光材料の膜を形成する際に基板が吸湿して基板が反り、塗布欠陥が生じやすくなる場合がある。また、塗布法にて偏光層が形成された後に基板が膨潤して光学欠陥が発生する場合がある。なお、本実施の形態における「吸水率」とは、ASTM D570の試験方法を用い、23℃の水に4時間浸漬させたときの重量変化率を測定した値である。
基板面の、偏光層が形成される面には、偏光層に含まれる色素等の異方性偏光材料をよりよく一定方向に配向させる観点から、予め配向処理層等を設けることができる。配向処理層の形成方法については「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)226頁〜239頁等に記載の公知の方法によることができる。また、基板の形状としては、一定寸法のフィルム状(枚葉状)であってもよいし、連続フィルム状(帯状)であってもよい。また、基板の膜厚としては、通常、0.01mm〜3mm、好ましくは0.02mm〜2mmである。
基板の全光線透過率としては、通常、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。なお、本実施の形態における「全光線透過率」とは、積分球色測定装置を使用して測定されるもので、拡散透過光と平行光線透過光とをあわせた値である。
((I)工程)
本発明は、(I)工程として、基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程を有する。
(偏光層)
偏光層とは、膜の厚み方向及び任意の直交する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に、異方性を有する光学膜である。電磁気学的性質としては、吸収、屈折等の光学的性質、抵抗、容量等の電気的性質等が挙げられる。吸収、屈折等の光学的異方性を有する膜としては、例えば、直線偏光層、円偏光層、位相差膜、導電異方性膜等がある。本実施の形態における異性偏光層は、偏光層以外にも、位相差膜及び導電異方性膜としても好適に用いることが可能である。
(偏光材料及び偏光層形成用組成物)
本発明の偏光層に用いられる偏光材料は、上記異方性を発現する材料であれば特に限定 されない。また、基板上に湿式塗布で偏光層を作製することから、偏光材料および溶剤を含む組成物(以下、偏光層形成用組成物と表す事がある。)であることが好ましい。
偏光層形成用組成物の態様としては、溶液状であってもよいし、ゲル状であっても良く、偏光材料が溶剤中に分散している状態であってもよい。また、これら以外にも必要に応じ、バインダー樹脂、モノマー、硬化剤、添加剤等を含んでいてもよい。
偏光層形成用組成物は、組成物として液晶相の状態であることが、溶剤が蒸発した後に形成される偏光層を高配向度に形成する観点から好ましい。なお、本実施の形態において、液晶相の状態であるとは、『液晶の基礎と応用』(松本正一・角田市良著、1991)の1〜16ページに記載されている状態のことをいう。特に3ページに記載されているネマティック相が好ましい。偏光材料としては、異方性を有する偏光層を形成できるものであればよく、色素、透明材料等が挙げられる。
(色素)
本発明の色素としては、二色性色素が用いられる。また、色素は、配向制御のため液晶相を有する色素であることが好ましい。ここで、液晶相を有する色素とは、溶剤中でリオトロピック液晶性を示す色素を意味する。本発明で用いられるリオトロピック液晶性化合物としては、塗布により偏光層を形成するために、水や有機溶媒に可溶であることが好ましく、特に水溶性であることが好ましい。さらに好ましいものは、「有機概念図−基礎と応用」(甲田善生著、三共出版、1984年)で定義される無機性値が有機性値よりも小さな化合物である。また、塩型をとらない遊離の状態で、その分子量が200以上であるのが好ましく、300以上であるのが特に好ましく、又、1500以下であるのが好ましく、1200以下であるのが特に好ましい。なお、水溶性とは、室温で化合物が水に、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上溶解することをいう。
色素は1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
色素として、具体的には、アゾ系色素、スチルベン系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、縮合多環系色素(ペリレン系、オキサジン系)等が挙げられる。これら色素の中でも、異方性偏光層中で高い分子配列を取り得るアゾ系色素が好ましい。アゾ系色素とは、アゾ基を少なくとも1個以上持つ色素をいう。その一分子中のアゾ基の数は、色調および製造面の観点から、2以上が好ましく、6以下が好ましく、さらに好ましくは4以下である。本発明に用いられる色素は特に限定されず、公知の色素を用いることができる。
色素としては、例えば、特開2007−272211号公報、特開2007−186428号公報、特開2008−69300号公報、特表2001−504238号公報、特開2006−48078号公報等に記載の色素が挙げられる。
本実施の形態における色素は、遊離酸の形のまま使用してもよく、酸基の一部が塩型を取っているものであってもよい。また、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していてもよい。また、製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用してもよいし、所望の塩型に変換してもよい。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)塩型で得られた色素の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
2)塩型で得られた色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性陽イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
また、本実施の形態における色素が有する酸性基が遊離酸型となるか、塩型となるかは、色素のpKaと色素水溶液のpHに依存する。上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、アルキル基又はヒドロキシアルキル基で置換されていてもよいアンモニウムの塩、有機アミンの塩等が挙げられる。有機アミンの例として、炭素数1〜6の低級アルキルアミン、ヒドロキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン、カルボキシ置換された炭素数1〜6の低級アルキルアミン等が挙げられる。これらの塩型の場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していてもよい。また、本発明において、色素は単独で使用することができるが、これらの2種以上を併用してもよく、また、配向を低下させない程度に上記例示色素以外の色素を配合して用いることもできる。これにより各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
他の色素を配合する場合の配合用色素の例としては、C.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.DirectYellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.DirectYellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.DirectRed 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
(偏光層形成用組成物の溶媒)
溶媒としては、水、水混和性のある有機溶剤又はこれらの混合物が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等の単独又は2種以上の混合溶剤が挙げられる。
(偏光層形成用組成物中の偏光材料の濃度)
偏光層形成用組成物中の偏光材料の濃度としては、成膜条件にもよるが、好ましくは0.01重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは50重量%以下、さらに好ましくは30重量%以下である。偏光材料濃度が上記範囲であることで、均一な薄膜塗布ができる偏光層形成用組成物の粘度が得られ、且つ、偏光材料が析出しない傾向にある。また、偏光層において十分な二色比等の異方性を得られる傾向にある。
(偏光層形成用組成物の添加剤)
偏光層形成用組成物には、必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、カップリング剤、pH調整剤等の添加剤を配合することができる。添加剤により、濡れ性、塗布性等を向上させ得る場合がある。界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性及びノニオン性のいずれも使用可能である。その添加濃度は、特に限定されるものではないが、添加した効果を得るために十分であって、かつ分子の配向を阻害しない量として、異方性偏光層形成用組成物中の濃度として通常、0.05重量%以上、0.5重量%以下が好ましい。また、偏光層形成用組成物中での異方性偏光材料の造塩や凝集等の不安定性を抑制する等の目的のために、公知の酸/アルカリ等のpH調整剤等を、偏光層形成用組成物の構成成分の混合の前後又は混合中に添加してもよい。なお、上記以外の添加剤として“Additive for Coating”, Edited by J.Bieleman,Willey−VCH(2000)記載の公知の添加剤を用いることもできる。
(偏光層の塗布方法)
本発明の偏光層の塗布方法は連続塗布であれば特に限定されない。本発明において連続塗布とは、パターンごとの間欠塗布ではなく、複数のパターン(区画)になるべき領域を連続で塗布することを指す。基板上に複数のパターンを設ける場合でも、1回で連続塗布出き、複数のパターンごとに分けて塗布する必要はない。
偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成する方法としては、特に限定されるものではない。例えば、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)253頁〜277頁に記載の方法、市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)118頁〜149頁に記載の方法、段差構造を有する基板(予め配向処理を施してもよい)上にスロットダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法、カーテンコート法、ファウンテン法、ディップ法等で塗布する方法が挙げられる。中でも、スロットダイコート法を採用すると、均一性の高い異方性偏光層が得られるため好適である。
異方性色素膜用組成物を塗布する際の、異方性色素膜用組成物の供給方法、供給間隔等は特に限定されない。塗布液の供給操作が繁雑になったり、塗布液の開始時と停止時に塗布膜厚の変動を生じてしまったりする場合があるため、異方性色素膜の膜厚が薄い時には、特に連続的に異方性色素膜用組成物を供給しながら塗布することが望ましい。
異方性色素膜用組成物を塗布する速度としては、通常1mm/秒以上であり、好ましくは5mm/秒以上である。また、通常1000mm/秒以下であり、好ましくは800mm/秒以下である。塗布速度が上記範囲であることで、異方性色素膜の異方性を得ながら、均一に塗布できる傾向にある。
なお、異方性色素膜用組成物の塗布温度としては、通常0℃以上80℃以下、好ましくは40℃以下である。また、異方性色素膜用組成物の塗布時の湿度は、好ましくは10%RH以上、さらに好ましくは30%RH以上であり、好ましくは80RH%以下である。
(不溶化)
本発明において、基板上に偏光層を形成した後に、偏光層を不溶化してもよい。本発明の不溶化とは、偏光層中の色素の溶解性を低下させることにより該偏光層からの溶出を抑制し、偏光層の安定性を高める処理工程を意味する。 具体的には、例えば、少ない価数のイオンをそれより大きい価数のイオンに置き換える(例えば、1価のイオンを多価のイオンに置き換える)処理が挙げられる。
(不溶化液)
本発明の不溶化に用いる不溶化液は、特に限定されない。例えば、特開2007−241267号公報、特開2009−199075号公報、特開2010−44130号公報、特開2010−197760号公報、特開2011−257489号公報、特開2012−058427号公報等に記載の不溶化液等を用いることができる。
本発明に用いられる不溶化液のpHは特に限定されないが、陽イオン交換の原理からイオン交換に寄与するカチオン濃度がある一定濃度以上でなくてはならない。このため材料に依存する、ある特定のpHより酸性側である必要がある場合がある。また、不溶化液の色調も特に制限されるものではないが、基本的には偏光度に影響を与えない無色、淡色である方が好ましい。
本発明に用いられる不溶化液は特に限定されず、不溶化化合物と溶媒を含むことが好ましい。不溶化化合物及び溶媒は1種でも良く、複数用いてもよい。
不溶化化合物としては、硫酸イオン(SO3−)、カルボン酸及びホスホン酸に対して強いイオン選択性を有することが好ましい。具体的にはMg、Ca等の無機塩やポリアミン系化合物等が挙げられる。この中でもポリアミン系化合物が不溶化後のクラック低減のため好ましい。
ポリアミン系化合物とは、その分子内に2以上のアミノ基を有する化合物をいう。また ポリアミン系化合物一分子が有するアミノ基の数としては、通常2以上、また、その上限は、通常20以下、好ましくは10以下である。アミノ基の数適当な範囲であることで、ポリアミン系化合物が偏光層内に拡散し、偏光層を不溶化できる傾向にある。
ポリアミン系化合物としては、脂肪族ポリアミン系化合物、芳香族ポリアミン系化合物等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリアミン系化合物が好ましい。
脂肪族ポリアミン系化合物の具体例としては、ジアミノヘキサン、ジアミノデカン等のジアミノアルカン化合物;1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミノシクロヘキサン;4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン等のジアミノシクロアルカン化合物;ジエチレントリアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン等のポリエチレンポリアミン化合物;等が挙げられる。中でも、ポリエチレンポリアミン化合物が好ましく、ビス(ヘキサメチレン)トリアミンが特に好ましい。
芳香族ポリアミン系化合物の具体例としては、ジアミノベンゼン、キシリレンジアミン等が挙げられる。中でも、ジアミノベンゼンが好ましい。
不溶化液の溶媒としては、イオンを溶解する極性溶媒であることが好ましい。具体的には水、イオン液体等が挙げられる。この中でも水が経済性、安全性の観点で好ましい。
不溶化液中の不溶化化合物の量はイオン交換能を持つ限り特に制限されないが、不溶化化合物及び溶媒の種類、25℃における不溶化液の粘度等に合わせ適宜調整することができる。好ましくは飽和濃度の10%以上であり、さらに好ましくは飽和濃度の20%以上である。また、好ましくは飽和濃度(=100%)以下であり、さらに好ましくは飽和濃度の90%以下である。この範囲にすることで不必要な不溶化化合物の析出を抑制し、かつ不溶化反応を速やかに行うことができる傾向がある。
(不溶化液の添加剤)
本発明の不溶化液は、増粘剤、保湿剤、界面活性剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、不溶化液中の添加剤の量は、添加剤、不溶化化合物及び溶媒の種類等に合わせ適宜調整することができる。
本発明の不溶化液の調整方法は特に限定されない。例えば、上記不溶化化合物を上記濃度範囲となるように溶媒と混合し、必要に応じて撹拌等を行って溶媒に溶解させればよい。また、必要に応じて用いられる上記の添加剤をそれぞれ上記濃度範囲となるように、溶媒に混合してもよい。なお、混合の時期、順番等も任意である。
(不溶化方法)
偏光層を不溶化する方法は特に限定されず、浸漬;偏光層の上方から不溶化液を供給する方法;スプレー;カーテンコート、ロールコート、ディッピングコート、フローティングコート、吹き出しコート等の塗布;等が挙げられる。本発明の偏光層は、非常に薄く、物体との接触によりはがれ等が発生しやすい傾向にある。そのため、異方性色素膜の偏光性能の低下及び膜の剥離等の欠損を抑制できる方法を用いることが好ましい。
(不溶化後の洗浄)
不溶化後の偏光層は洗浄することが好ましい。洗浄する方法は特に限定されず、ディッピング、異方性色素膜の上方から洗浄液を供給する流水洗浄、超音波洗浄等を用いることができる。また、洗浄中に特定周波数で搖動する等の洗浄を促進する効果を加えてもよい。あるいは、これらの方法を複数組み合わせて洗浄することも可能である。
上記の中でも、ディッピングが異方性色素膜の剥離や欠陥の原因となる不要な力を加えない点において好ましい。
洗浄液は特に限定されず、具体的には、純水、純水にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコールを添加した液体等を使用してもよい。これらは洗浄性を高めるために洗浄助剤や界面活性剤等の洗浄性を制御する添加物を含んでいてもよい。
洗浄液の温度は特に限定されないが、偏光層のひび割れ抑制の観点から低い方が好ましく、好ましくは30℃以下、さらに好ましくは20℃以下が好ましい。
洗浄液のpHは洗浄性を考慮の上、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸等の有機酸を用いて酸性に調整してもよい。また、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸塩、リン酸塩、その他のアルカリ性化合物等を用いてアルカリ性に調整してもよい。
洗浄後の偏光層の乾燥方法は特に限定されず、風乾、エアーブロー乾燥、真空乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。これらの中でも、偏光層のひび割れ抑制の観点から、風乾エアーブローを用いることが好ましい。また、これらの乾燥を組み合わせてもよい。
(保護層)
本発明の保護層は、偏光層をその後のプロセスや素子作成後の刺激や衝撃等から保護する目的で形成されるものであるが、同時に偏光層の不要部分を除去してパターニングするためのレジストとしての役割も果たす。
本発明の保護層は、偏光層上に感光性樹脂組成物を連続塗布することで形成されたものであれば特に限定さないが、光学異方性を有さないものが、偏光層の性能を阻害しないため好ましい。本発明における光学異方性とは、保護層の厚み方向及び任意の直行する面内2方向の立体座標系における合計3方向から選ばれる任意の2方向における電磁気学的性質に異方性を有することである。
本発明の保護層は、偏光層の光学特性を損なわないことから、保護層の厚さが500nmの時の、550nmの光線透過率が80%以上であること好ましく、さらに好ましくは85%以上であり、特に好ましくは90%以上である。上限は特になく、高い方が好ましい。
(感光性樹脂組成物)
本発明の保護層を形成するために用いる感光性樹脂組成物は、光の照射によって現像液への溶解性が変化するものであれば特に限定されない。特に、光の照射によって架橋反応や重合反応を起こして硬化するネガ型感光性樹脂組成物が好ましい。
例えば、光ラジカル重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和基含有化合物の組み合わせや、光カチオン重合開始剤とエポキシ基、オキセタニル基、ビニル基等のカチオン重合性基含有化合物との組み合わせ、さらにこれらの併用した系等も好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(III)工程において、メルトフローをさせて偏光層の輪郭部の側面を封止するため、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可塑性樹脂としてはアクリル樹脂、ノボラック樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル、ナイロン、ポリイミド、ポリカーボネート、それらの誘導体等が挙げられる。なお、これら樹脂には、重合性基又は架橋性基が付与されていてもよい。また、アルカリ現像液で現像する場合は、カルボキシル基、ヒドロキシフェニル基等の酸性基を付与することが好ましい。
この他、本発明の感光性樹脂組成物には、熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤、増感色素、加速剤、熱重合開始剤、各種硬化剤、熱硬化性樹脂、レベリング剤等の界面活性剤、密着性向上剤、有機溶剤等を含んでいてもよい。
(光ラジカル重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられる光ラジカル重合開始剤は、特に限定されない。例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報等に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報等に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10−39503号公報等に記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載のオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
これらの中でも、オキシムエステル誘導体類又はα−アミノアルキルフェノン誘導体類が好ましい。これらは1種でも、複数組み合せて用いてもよい。
オキシムエステル誘導体類としては例えば、特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシム及び/又はケトオキシムエステル系化合物が挙げられる。
α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、例えば、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
(光カチオン重合開始剤)
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられる光カチオン重合開始剤は、可視光線、紫外線等の照射にカチオン種又はルイス酸を発生し、カチオン硬化性成分の重合反応を開始するものである。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩等のオニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、鉄−アレーン錯体等を挙げることができる。これらの中でも硬化性の点で、芳香族ヨードニウム塩又は芳香族スルホニウム塩が好ましい。
芳香族ヨードニウム塩は、ジアリールヨードニウムカチオンを有する化合物であり、芳香族スルホニウム塩は、トリアリールスルホニウムカチオンを有する化合物である。これらカチオンは、アニオン(陰イオン)と対になって光カチオン重合開始剤を構成する。
光カチオン重合開始剤を構成するアニオンとしては、ヘキサフルオロホスフェートアニオンPF6 -、ヘキサフルオロアンチモネートアニオンSbF6 -、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネートアニオンSbF5(OH)-、ヘキサフルオロアーセネートアニオンAsF6 -、テトラフルオロボレートアニオンBF4 -、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンB(C65)4 -等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えばサンアプロ社のCPI−100P、CPI−101A、CPI−200K、CPI−210S、ADEKA社のアデカオプトマーSP−150、SP−170、SP−171等が具体例として挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、ソルベイジャパン社のPHOTOINITIATOR2074、BASFジャパン社のIRGACURE250、日本曹達社のCI−5102、和光純薬社のWPI−113、WPI−116等が具体例として挙げられる。
(ラジカル重合性不飽和基含有化合物)
本発明の感光性樹脂組成物に好適に用いられるラジカル重合性不飽和基含有化合物は、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物である。エチレン性不飽和基は、反応性の点より、アリル基及び/又は(メタ)アクリロイル基であることが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基含有化合物として、例えば、不飽和カルボン酸とポリヒドロキシ化合物とのエステル類;ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリイソシアネート化合物とのウレタン(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸又はヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物とポリエポキシ化合物とのエポキシ(メタ)アクリレート類;等が挙げられる。具体的には、東亜合成社のアロニックスシリーズ、新中村化学社のNKシリーズ、日本油脂社のブレンマーシリーズ、共栄社化学社のライトアクリレートシリーズ、大阪有機社のビスコートシリーズ等が挙げられる。
(カチオン重合性基含有化合物)
カチオン重合性基含有化合物としては、エポキシ基含有化合物、オキセタニル基含有化合物、ビニル基含有化合物等が挙げられる。中でもエポキシ樹脂が好ましく、例えば、三菱化学社のJERシリーズ、ダイセル社のセロキサイドシリーズ、新日鉄住金化学社のエポトートシリーズ、日本化薬社のNC−、XD−、EPPN−、EOCN−等のシリーズ、DIC社のEPICLON等が挙げられる。
また、エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体も特に好ましく用いることができる。エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体を含有することで、フォトリソグラフィー法によりパターンを形成する際の光硬化性や現像パターン形成性、光・熱硬化時の収縮の低減、柔軟性や浸透性を抑えた優れた膜質等を達成しやすい傾向がある。
オキセタニル基含有化合物としては、東亜合成社のOXTシリーズ、大阪有機社のOXE−10、OXE−30、それらを用いた共重合樹脂等が挙げられる。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の化学構造は特に限定されないが、例えば、エポキシ基を有する側鎖αを含む、下記一般式(1)で表される繰り返し単位構造を含むものを挙げることができる。
Figure 0006459741
上記一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。
Xは、直接結合又は2価の連結基を表す。ただし、式(1)中のエポキシ基のXと結合していない炭素原子が、Xと結合して環を形成していてもよい。
Xにおける2価の連結基としては、例えば置換基を有していてもよいアルキレン基が挙げられる。アルキレン基におけるメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合により置換されていてもよい。例えば、エステル結合やアミド結合を含む連結基が挙げられる。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、5以下であることがさらに好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基又はハロゲン原子である。合成のし易さの観点からは、アルキレン基が無置換であることがより好ましい。
Xの中でも、合成のし易さの観点からは、直接結合、エーテル結合で中断されたアルキレン基又はエステル結合で中断されたアルキレン基が好ましい。これらの中でも、エステル結合で中断されたアルキレン基がより好ましく、−(C=O)−O−CH2−基であることがさらに好ましい。なお、エーテル結合で中断されたアルキレン基とは、アルキレン基を構成するC−C結合の間にエーテル結合(−O−結合)を有するアルキレン基を意味する。同様に、エステル結合で中断されたアルキレン基とは、アルキレン基を構成するC−C結合の間にエーテル結合(−(C=O)−O−結合)を有するアルキレン基を意味する。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体を得るには、重合成分としてエポキシ基含有ビニル化合物を用いる方法が挙げられる。エポキシ基含有ビニル化合物としては、例えば次の様な化合物が挙げられる。
エポキシ基含有ビニル化合物としては、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−プロピルグリシジル(メタ)アクリレート、α−n−ブチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7−エポキシヘプチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、グリシジルエーテルグリシジルクロトネート、グリシジルイソクロトネート、クロトニルグリシジルエーテル、イタコン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、フマル酸モノアルキルモノグリシジルエステル、マレイン酸モノアルキルモノグリシジルエステル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ基含有、エポキシ基含有ビニル化合物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシシクロペンチルメチル(メタ)アクリレート、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕オキシメチル(メタ)アクリレート等の脂環式エポキシ基含有ビニル化合物等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。これらの中でも、基板との接着性との観点から、脂肪族エポキシ基含有ビニル化合物を用いることが好ましい。さらに、(メタ)アクリレート化合物を用いることがより好ましく、グリシジル(メタ)アクリレート又は4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテルを用いることが特に好ましい。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体におけるエポキシ基含有ビニル化合物由来の繰り返し単位構造(前記一般式(1)で表される繰り返し単位構造)の含有割合は、30mol%以上であることが好ましく、40mol%以上であることがより好ましく、50mol%以上であることがさらに好ましく、60mol%以上であることが特に好ましい。また、通常100mol%以下であり、99mol%以下であることが好ましく、90mol%以下であることがより好ましく、80mol%以下であることがさらに好ましく、70mol%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで露光感度、電気信頼性及び耐薬品性を確保できる傾向があり、前記上限値以下とすることで優れた膜質及び現像時のパターニング性を確保することができる傾向がある。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体はさらに、環状脂肪族基を有していてもよい。側鎖βを含むことで、均一な優れた膜質となる傾向がある。
環状脂肪族基を有する側鎖βを含むビニル重合体の化学構造は特に限定されないが、例えば、環状脂肪族基を有する側鎖βを含む、下記一般式(2)で表される繰り返し単位構造を含むものを挙げることができる。
Figure 0006459741
上記一般式(2)中、R2は水素原子又はメチル基を表す。
Yは、直接結合又は2価の連結基を表す。
3は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基を表す。
Yにおける2価の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、置換基を有していてもよいアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基の一部のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合により置換されていてもよい。例えばエステル結合やアミド結合を含む連結基が挙げられる。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、ハロゲン原子である。合成のし易さの観点からは、アルキレン基が無置換であることが好ましい。
Yの中でも、合成のし易さの観点からは、直接結合、エーテル結合、エステル結合、エーテル結合で中断されたアルキレン基又はエステル結合で中断されたアルキレン基が好ましく、エステル結合がより好ましい。なお、エーテル結合で中断されたアルキレン基及びエステル結合で中断されたアルキレン基は、一般式(1)Xで示したものとそれぞれ同義である。
3における環状脂肪族基の炭素数は特に限定されないが、膜の強度の観点からは5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、8以上であることがさらに好ましい。また、ビニル重合体の反応性の観点からは20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、12以下であることがさらに好ましい。
また、環状脂肪族基は単環であっても、多環であってもよいが、膜の強度の観点からは多環であることが好ましい。
環状脂肪族基の具体例としては、シクロヘキシル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基等が挙げられ、これらの中でも膜の強度の観点から、ジシクロペンタニル基又はアダマンチル基が好ましく、ジシクロペンタニル基がより好ましい。
環状脂肪族基を有する側鎖βを含むビニル重合体を得るには、重合成分として環状脂肪族基含有ビニル化合物を用いることが好ましい。環状脂肪族基含有ビニル化合物としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、1−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
これらの中でも、製膜した膜の強度の観点からは多環式の環状脂肪族基含有ビニル化合物を用いることが好ましく、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート又は2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレートを用いることがさらに好ましい。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体におけるこれら環状脂肪族基含有ビニル化合物由来の繰り返し単位構造(前記一般式(2)で表される繰り返し単位構造)の含有割合は、1mol%以上であることが好ましく、10mol%以上であることがより好ましく、20mol%以上であることがさらに好ましい。また、40mol%以下であることが好ましく、35mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで塗布形成した膜の強度や電気信頼性を確保出来る傾向があり、前記上限値以下とすることで露光感度を確保できる傾向がある。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体は、アルカリ現像性を付与させる目的で、カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する側鎖γを含んでいてもよい。
カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する側鎖γを含むビニル重合体の化学構造は特に限定されないが、例えば、カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する側鎖γを含む、下記一般式(3)で表される繰り返し単位構造を含むものを挙げることができる。
Figure 0006459741
上記一般式(3)中、R4は水素原子又はメチル基を表す。
Zは、直接結合又は2価の連結基を表す。
5は、カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する基を表す。
Zにおける2価の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、置換基を有していてもよいアルキレン基等が挙げられる。アルキレン基の一部のメチレン基は、不飽和結合、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオエステル結合、アミド結合及びウレタン結合からなる群から選ばれる少なくとも1種の結合により置換されていてもよい。例えばエステル結合やアミド結合を含む連結基が挙げられる。
アルキレン基の炭素数は特に限定されないが、合成のし易さの観点からは1以上であることが好ましく、また、製膜性の観点からは9以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましい。
アルキレン基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシル基、フェニル基、メシチル基、トリル基、ナフチル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜9のアルキルカルボニルオキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルカルボニル基、フェネチル基、ヒドロキシエチル基、アセチルアミド基、炭素数1〜4のアルキル基が結合してなるジアルキルアミノエチル基、トリフルオロメチル基、炭素数1〜8のトリアルキルシリル基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキルチオ基等が挙げられる。好ましくは、炭素数1〜8のアルコキシル基、シアノ基、アセチルオキシ基、炭素数2〜8のアルキルカルボキシ基、スルファモイル基、炭素数2〜9のアルキルスルファモイル基、ハロゲン原子である。合成のし易さの観点からは、アルキレン基が無置換であることが好ましい。
Zの中でも、合成のし易さの観点からは、直接結合、エーテル結合、エステル結合、エーテル結合で中断されたアルキレン基又はエステル結合で中断されたアルキレン基が好ましく、直接結合又はエステル結合がより好ましく、エステル結合がさらに好ましい。なお、エーテル結合で中断されたアルキレン基及びエステル結合で中断されたアルキレン基は、一般式(1)のXで示したものとそれぞれ同義である。
5における芳香族性水酸基を含む基としては、例えばヒドロキシフェニル基、ヒドロキシカルボキシルフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、ブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、ヒドロキシナフチル基、ヒドロキシニトロフェニル基、ヒドロキシベンジル基等が挙げられる。R5の中でも、コストや製膜性の観点からは、ヒドロキシフェニル基が好ましく、p−ヒドロキシフェニル基がより好ましい。
カルボキシ基又は芳香族性水酸基を有する側鎖γを含むビニル重合体を得るには、重合成分としてカルボキシ基含有ビニル化合物又は芳香族性水酸基含有ビニル化合物を用いることが好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組合せと比率で用いてもよい。
カルボキシ基含有ビニル化合物としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和カルボン酸等が挙げられる。
芳香族性水酸基含有ビニル化合物としては、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、m−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、p−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらの中でも、充分なアルカリ現像性の観点からはカルボキシ基含有ビニル化合物を用いることが好ましく、一方でより高い電気信頼性を達成するためには芳香族性水酸基含有ビニル化合物を用いることが好ましい。カルボキシ基含有ビニル化合物としては(メタ)アクリル酸を、芳香族性水酸基含有ビニル化合物としてはp−ドロキシスチレンやp−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレートを用いることがより好ましい。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体にカルボキシ基や芳香族性水酸基を導入してアルカリ現像性を付与する場合において、これらカルボキシ基含有ビニル化合物や芳香族性水酸基含有ビニル化合物由来の繰り返し単位構造(前記一般式(1)で表される繰り返し単位構造)の含有割合は、5mol%以上であることが好ましく、10mol%以上であることがより好ましく、15mol%であることがさらに好ましい。また40mol%以下であることが好ましく、35mol%以下であることが特に好ましく、30mol%以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることでアルカリ現像性を確保し易くなる傾向があり、前記上限値以下とすることでエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の製造安定性が確保され易くなる傾向がある。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体を得る際には、前記3種類の重合成分の他にその他の共重合成分として、その他のビニル化合物を用いてもよい。その他のビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチリル化合物、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリレート系化合物、酢酸ビニル等のビニル化合物等が挙げられる。これらはエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体中に、それに由来する繰り返し単位構造として50mol%より少ない量で、任意の組み合わせと比率で用いることができる。これらの中でも反応性の観点からは(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましい。
エポキシ基含有ビニル化合物、環状脂肪族基含有ビニル化合物、カルボキシ基含有ビニル化合物、芳香族性水酸基含有ビニル化合物、その他のビニル化合物等を重合させる方法については何ら限定されないが、例えば、有機溶剤中でラジカル重合開始剤を用いて、必要に応じて連鎖移動剤を添加し、ラジカル重合開始剤の活性温度で加熱する等の周知の方法で合成することが出来る。
エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体は、各種重合成分を重合して重合体を得た後、その側鎖に他の官能基を付加させてもよい。例えば、側鎖のエポキシ基の一部に、芳香族性水酸基を有するカルボキシ基含有化合物を付加させて芳香族性水酸基を側鎖に導入したり、カルボキシ基や水酸基を含有するビニル化合物を共重合させておいて、そのカルボキシ基や水酸基に、ビニル基を有するイソシアネート基含有化合物を付加させて側鎖に二重結合を導入したりする等が挙げられる。
本発明のエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は、3000以上であることが好ましく、5000以上であることがより好ましく、7000以上であることがさらに好ましい。また、エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の重量平均分子量(Mw)は100000以下であることが好ましく、70000以下であることがより好ましく、50000以下であることがさらに好ましい。前記下限値以上とすることで耐薬品性等の膜強度を確保することができる傾向があり、前記上限値以下とすることで優れたパターニング特性を確保することができる傾向がある。
なお、本発明における重量平均分子量(Mw)は、株式会社島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、株式会社島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定したポリスチレン換算の値とする。
(熱可塑性樹脂)
熱可塑性樹脂は、(III)工程で実施する加熱時の温度で軟化する樹脂であれば特に制限されないが、他の成分との親和性や塗布溶剤への溶解性の点でアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ノボラック樹脂等が好ましい例として挙げられる。なお、これらの樹脂にはラジカル重合性不飽和基やカチオン重合性基、その他の架橋基が導入されていても良く、その場合、上で説明したラジカル重合性不飽和基含有化合物や、カチオン重合性基含有化合物の役割も兼ね備えることが出来る。
ラジカル重合性不飽和基含有化合物と熱可塑性樹脂を兼ね備えた樹脂としては、例えば、日本化薬社のZAR、ZCR、CCR等のエポアク樹脂、グリシジル(メタ)アクリレート等を共重合成分として重合させた樹脂を(メタ)アクリル酸等で開環させた樹脂等が挙げられる。
カチオン重合性基含有化合物と熱可塑性樹脂を兼ね備える樹脂としては、上述のエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の他、例えば、日本化薬社のNC、EOCN、XD、EPPN等のノボラックエポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、特に限定されないが、上述の光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、ラジカル重合性不飽和基含有化合物及びエポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体の少なくとも4成分を含有してなるものが特に好ましい。それぞれの含有割合として好ましい範囲は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、光ラジカル重合開始剤は0.2質量%以上、15質量%以下である。光カチオン重合開始剤は0.2質量%以上、10質量%以下である。ラジカル重合性不飽和基含有化合物は5質量%以上、70質量%以下である。エポキシ基を有する側鎖αを含むビニル重合体は5質量%以上80質量%以下である。
(感光性樹脂組成物の溶媒)
本発明の感光性樹脂組成物は、偏光層の上に塗布するため、偏光層に対して悪影響を与えないものであれば特に限定されない。
本発明の感光性樹脂組成物の溶媒は、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤は単独でも、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、例えばグリコールモノアルキルエーテル類;グリコールジアルキルエーテル類;グリコールジアセテート類;アルキルアセテート類;エーテル類;ケトン類;1価又は多価アルコール類;脂肪族炭化水素類;脂環式炭化水素類;芳香族炭化水素類;鎖状又は環状エステル類;アルコキシカルボン酸類;ハロゲン化炭化水素類;エーテルケトン類;ニトリル類等が挙げられる。これらの中でも、エーテル結合及びエステル結合を含む有機溶剤、ケトン等が好ましい。
エーテル結合及びエステル結合を含む有機溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトンとしては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物に有機溶剤を用いる場合には、全固形分の含有率を3重量%以上とすることが好ましく、5重量%以上とすることがより好ましい。また、30重量%以下にすることが好ましく、20重量%以下にすることがより好ましい。前記下限値以上とすることで膜厚の制御を容易にすることが出来る傾向にあり、前記上限値以下とすることで、感光性樹脂組成物のポットライフを維持し易くなる傾向にある。
(感光性樹脂組成物の調製)
本発明の感光性樹脂組成物の調製方法は特に限定されない。例えば、上述の各成分を有機溶剤と共に混合し撹拌や超音波印加を行うことで、溶解又は分散させ調製することができる。なお、組成物を調製する時に、ラジカル重合性不飽和基含有化合物及び/又はカチオン重合性基含有化合物が液体状である場合は、それらを有機溶剤の代わりとしてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物は、上述の各成分を有機溶剤と共に混合した後に、フィルターを用いて濾過することにより、不溶物、樹脂等の合成時に生じる可能性のあるゲル成分、ゴミ、微量金属等を除去することが好ましい。
用いるフィルターとしては、例えば、インテグリスオプチマイザー、CUNOナノシールド、ゼータプラスEC等を使用することが出来る。なお、不溶物、ゲル成分、ゴミ、微量金属等は、保護層を成膜する際のハジキの原因となる場合がある。保護層を貫通する異物やハジキ等の欠陥がある場合、現像液がそこから下層の偏光層に侵入し偏光層を溶かしてしまうため、フィルターの目のサイズはなるべく小さいことが好ましい。具体的には、少なくとも保護層の膜厚より小さいことが好ましい。
(保護層の塗布方法)
本発明の保護層は、感光性樹脂組成物を偏光層上に偏光層の塗布方法に示した方法等で連続塗布することができる。この後、感光性樹脂組成物が有機溶剤を含む場合はこれを乾燥させてもよい。乾燥は、クリーンオーブン、ホットプレート、赤外線、ハロゲンヒーター、マイクロ波照射等の加熱機器を用いて加熱することにより行うことができる。中でも、膜全体を均等に加熱しやすいことから、クリーンオーブン又はホットプレートが好ましい。
乾燥条件は、有機溶剤の種類や偏光層の耐熱性等に応じて、適宜選択すればよい。十分に乾燥させた方が安定した硬化性を得やすい点では、高温で長時間乾燥させることが好ましいが、一方で、乾燥に要する時間が短い方が生産性に優れ、偏光層や基板に加熱の影響を及ぼし難い点では、低温で短時間乾燥させることが好ましい。そこで、乾燥温度は、通常40℃以上、好ましくは50℃以上であり、また、一方、通常150℃以下、好ましくは130℃以下である。
乾燥時間は、15秒以上が好ましく、30秒以上がさらに好ましい。また、5分以下が好ましく、3分以下がさらに好ましい。乾燥は、減圧乾燥法により行ってもよく、加熱法と減圧乾燥法を併用してもよい。
((II)工程)
本発明の製造方法は(II)工程として、露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程を有する。
露光及び現像によりパターニングする方法は、 (I)で形成した保護層に露光マスクを介して露光又はレーザーで直接描画し保護層の一部分を重合反応させる。さらに、露光による光照射を受けずに重合反応しなかった部分の保護層と、その下に位置する偏光層を取り除く現像処理を行って、偏光層と保護層をパターニングするものである。
露光に使用される光源は、保護層を重合できれば特に限定されない。具体的には、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ、LED等のランプ光源及びアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、青紫色半導体レーザー、近赤外半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。ここで、特定波長の光を使用する場合には、光学フィルターを用いてもよい。
露光量は、通常0.01mJ/cm2以上、好ましくは0.1mJ/cm2以上、より好ましくは1mJ/cm2以上である。また、通常1000mJ/cm2以下、好ましくは800mJ/cm2以下、より好ましくは500mJ/cm2以下である。
本発明のパターニングの主な目的は、大きな基板母材に連続塗布された偏光層を必要な基板サイズに分割するにあたり、塗布不要な部分の偏光層を除去することにある。パターニングの形状やサイズは特に限定されない。パターニングされたパターンが、図3の様にRが50μm以上のコーナーアールを含むものであることも好ましい。さらに好ましくは、Rが55μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上である。また、Rの上限は無く、パターンの形状に応じて適宜調整することができるが、基板母材からの分割における塗布不要部の除去という目的において、可能な限り大きく確保したいディスプレイの表示領域を無駄なくカバーする必要がある。この点から、表示領域のサイズにもよるが、好ましくは5cm以下であり、さらに好ましくは2cm以下であり、特に好ましくは5mm以下である。偏光層や保護層によっては、現像する際に角の部分の偏光層や保護層が下地から剥離し易い場合があるからで、Rを上記範囲のコーナーアールにすることで、欠陥が大幅に改善出来る傾向にある。
(現像液)
本発明の現像液は、保護層の非露光部と偏光層の両方を溶解させると共に、露光部の保護層や、その下部に位置する偏光層にダメージ等の悪影響を与えないものであれば、特に限定はされない。
本発明の現像液は、用いる偏光層の特徴に応じて適宜選ばれる。偏光層が水溶性である場合は有機溶剤を含有する現像液を用いることが好ましい。一方、偏光層を不溶化処理する等を行い偏光層が非水溶性若しくは難溶性の場合は、アルカリ現像液を使用することが好ましい。
有機溶剤を含有する現像液を用いる場合は、特に偏光層への影響や溶解速度の点で、有機溶剤を80容量%以上含有することが好ましく、90容量%以上含有することがさらに好ましい。また、上限はなく100容量%でもよい。
また、この現像液は、有機溶剤以外に、水やノニオン系の界面活性剤等を含有してもよい。
現像液が含有する水は20容量%以下であることが好ましく、10容量%以下であることが好ましい。水が多すぎないことで、偏光層に与える影響を抑制しながら、保護層の現像を行うことができる傾向にある。
本発明の現像液に用いられる有機溶剤としては、例えば、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、ラクタム、アミド、アミン、スリホキシド、カルボン酸等の極性溶媒が好適に用いることが出来る。具体的には、偏光層を緩やかに溶解し、保護層を白化させない程度の極性である必要があることから、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、メチルグリコールアセテート、エチルジグリコールアセテート、3−メトキシブタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーチル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、グリセリン等が挙げられる。
本発明の現像液に用いる有機溶剤は、単品でもいくつかを混合して用いてもよい。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム等の無機アルカリ類;エチルアミン、nープロピルアミン等の脂肪族2級アミン類;トリメチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族3級アミン類;ピリジン、コリジン、ルチジン、キノリン等の芳香族3級アミン類;エタノールジメチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩等のアルカリ性化合物の水溶液を挙げることができる。これらは、単独又は混合して調整して用いても良く、また、アルカリ現像液と水溶性有機溶剤を混合して用いてもよい。
本発明に用いる現像液には、他に、界面活性剤、消泡剤、緩衝剤、錯化剤等が含まれていてもよい。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等が挙げられる。
(現像方法)
現像方法及びその条件ついては、特に制限は無い。現像方法としては、浸漬現像、パドル式現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等が挙げられる。中でも、浸漬現像及びスプレー現像は、汚れが付き難く、保護層及び偏光層へのダメージが生じ難く、均一に現像しやすいことから好ましい。また、パドル式現像は現像液の使用量が抑えられる点で好ましい。
現像温度は、通常10℃以上、好ましくは15℃以上であり、また、一方、通常50℃以下、好ましくは45℃以下である。現像後はそのまま、又は他の溶剤で洗浄した上で、圧空等によって乾燥させることが好ましい。ここで他の溶媒とは、露光後の保護層や偏光層を溶かさずに、現像液とは混合する様な溶剤を選択することが好ましい。
本発明の現像工程において、図1に示す様に、偏光層は、保護層の輪郭部より内側まで浸食させることが好ましい。浸食された偏光層の輪郭より外側の保護層部分が、(III)工程におけるメルトフローの充分な糊代となることで、保護層が偏光層輪郭部の側面を封止することができる。
偏光層の輪郭部が保護層の輪郭部より内側まで入り込む距離としては、偏光層の膜厚以上が好ましく、5mm以下が好ましい。上記下限以上であることで、偏光層の輪郭部側面をその後工程から充分に保護出来る傾向にあり、一方、上記上限以下であることで、現像に要する時間を抑制することができる傾向にある。本発明の保護層は、偏光層よりも現像液への溶解速度が小さいため、この浸食距離の調整は、適宜現像時間で調整が可能である。
((III)工程)
本発明の製造方法は、(III)工程として、前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程を有する。図2に示すように、保護層をメルトフローさせることで、現像後露出した偏光層輪郭部の側面を封止する。
メルトフローの方法は、現像後の保護層が軟化して、偏光層の輪郭部側面を封止することが出来れば特に条件は限定されない。偏光層の耐熱性の点から、加熱温度が200℃以下であることが好ましく、180℃以下が特に好ましい。また、保護層の硬化を加熱によってさらに促進する目的で、90℃以上が好ましく、110℃以上が特に好ましい。
加熱時間は偏光層の劣化を回避する点でなるべく短い方が好ましいが、保護層の硬化をさらに促進する目的では長い方が好ましいため、通常1分以上、好ましくは10分以上であり、通常120分以下、好ましくは60分以下である。
加熱方法は、公知の方法を自由に選択することが出来るが、例えばホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等が挙げられる。
(その他の工程)
本発明の偏光素子を得るために、上記の(I)〜(III)工程以外にも工程を有していてもよい。例えば、基板上に配向膜を設ける工程、基板の濡れ性を付与する工程等が挙げられる。
(基板上に配向膜を設ける工程)
偏光層の配向性を向上させるため、上記(I)工程の前に、基板上に配向膜を設けてもよい。具体的には、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行、226頁から239頁)等に記載の公知の方法を用いることができる。
(基板の濡れ性を付与する工程)
塗布による偏光層の形成に際して、偏光層形成用組成物のはじきを抑制するため、基板に濡れ性を付与してもよい。濡れ性を付与し親液部分を形成する処理としては、特に限定されるものではないが、物理的又は化学的改質処理手段であるコロナ処理、プラズマ処理、紫外線照射(UVオゾン)処理等の表面処理を施す。この際、ガス組成や処理時間を調整するとこにより親液状態を調整してもよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施できる。
<カチオン重合性基含有樹脂−1の製造方法>
還流冷却器、攪拌機及び窒素吹込み管を備えたフラスコに、トリシクロデカン骨格を有するモノメタクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)47質量部、グリシジルメタクリレート61質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート400質量部、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)8.0質量部を仕込んだ。仕込み後のフラスコを窒素置換した後、攪拌しながら液温を80℃に上昇させ、80℃で6時間反応させた。さらに、100℃で1時間ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)の分解処理を行った。その後、80℃の減圧下でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを蒸留して、固形分濃度50質量%程度まで濃縮し、カチオン重合性基含有化合物−1を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約11,000であった。
なお、重量平均分子量は、島津製作所製「ゲル浸透クロマトグラフシステムLS Solution」で、島津製作所製「カラムGPC−804」を用いて測定した。
Figure 0006459741
<カチオン重合性基含有樹脂−2の製造方法>
還流冷却器、攪拌機及び窒素吹込み管を備えたフラスコに、ジシクロペンタニルメタクリレート(日立化成(株)製「FA−513M」)44質量部、グリシジルメタクリレート46質量部、メタクリル酸11質量部、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル300質量部、ジメチル2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)9質量部を仕込んだ。仕込み後のフラスコを窒素置換した後、攪拌しながら液温を80℃に上昇させ、80℃で6時間反応して、カチオン重合性基含有樹脂−2を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は、約9,000であった。
カチオン重合性基含有樹脂−2に含まれる繰り返し単位の構造は以下のとおりである。
カチオン重合性基含有樹脂−2におけるグリシジルメタクリレート由来の繰り返し単位構造の含有割合は50モル%であり、ジシクロペンタニルメタクリレート由来の繰り返し単位構造の含有割合は30モル%であり、メタクリル酸由来の繰り返し単位の含有割合は20モル%であった。
Figure 0006459741
<感光性樹脂組成物−1の調整>
表1の成分の内、まず光カチオン重合開始剤(Irg250)、光ラジカル重合開始剤(Irg907)及び熱ラジカル重合開始剤(VAm−110)をそれぞれ量り取り、そこに有機溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて、マグネチックスターラーを用いて撹拌し完全に溶解させた。
次に、上記以外の表1の成分を加え、さらに10分間撹拌を続けた。次にインテグリス社のオプチマイザーV47 0.02μm FD5A XFRを用いて濾過して、感光性樹脂組成物−1を得た。
Figure 0006459741
<感光性樹脂組成物−2の調整>
表2の成分の内、まず光カチオン重合開始剤(Irg250)、光ラジカル重合開始剤(Irg907)、増感剤(UVS−1331)及び加速剤(ET−2201)をそれぞれ量り取り、そこに有機溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)を加えて、マグネチックスターラーを用いて撹拌し完全に溶解させた。
次に、上記以外の表2の成分を加え、さらに10分間撹拌を続けた。次にインテグリス社のオプチマイザーV47 0.02μm FD5A XFRを用いて濾過して、感光性樹脂組成物−2を得た。
Figure 0006459741
<不溶化液1の調整>
ビス(ヘキサメチレン)トリアミン(東京化成社製)24.4質量部に、6規定の硫酸75.6質量部を加えて撹拌溶解させ、不溶化液1を調製した。不溶化液1の粘度は50cPであった。
[実施例1]
水79部に、下記式(a)で表される色素のリチウム塩20部と、下記式(b)で表される色素1部とを撹拌溶解させることにより、偏光層形成用組成物1を調製した。
Figure 0006459741
ガラス製基板(10x10cm、厚さ0.7mm)上に配向膜(ポリイミド膜厚約60nm)を形成し、端面に水平な方向にラビング処理を施したものを基板として用意した。この配向膜の上に、偏光層形成用組成物1をダイコーター(ウェット膜厚2um、ヘッド速度15mm/s)で塗布し、自然乾燥させることにより、膜厚約0.4μmの偏光層を形成した。なお、塗布時の環境条件は23℃、50RH%であった。
得られた偏光層の上に、感光性樹脂組成物−1を約0.5cc滴下し、(III)工程のメルトフロー後の膜厚が500nmとなるようにスピンコーターの回転数を調整し、50秒間回転させて塗布した。その後、ホットプレート上で90℃、90秒間加熱乾燥して、保護層を形成させた。 このサンプルを、3kW高圧水銀灯を用いて、500mJ/cm2の露光量でネガパターンのあるマスクを介して露光させた。
次にこのサンプルを、プロピレングリコールモノメチルエーテルを95容量%、水を5容量%の比率で混合させた現像液に30秒間揺らしながら浸漬し、現像した。現像後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートでかけ流した後、圧空で乾かした。
現像後のサンプルを顕微鏡で観察したところ、保護層の輪郭部から、偏光層の輪郭部までの距離は3μm程度であった。
次に、このサンプルを180℃のオーブンで30分加熱し、偏光素子を得た。
得られた偏光素子の、偏光層の輪郭部に該当する部分の断面SEMを観察したところ、図4の通り、保護層がメルトフローして偏光層の輪郭部側面を封止していることを確認した(倍率5万倍)。なお、図4では倍率(倍率5万倍)の関係で保護層の輪郭部が見られないが、偏光層の輪郭部から3μm程度外側で途切れていた。
<偏光特性の評価>
得られた偏光素子を半分に分割し、それぞれの偏光層が直交になる様に、又は平行になる様に重ね合せた時の様子を観察した。結果を図5に示した。なお、黒い線で囲った部分が2枚の板のベタパターンが重なっている部分である。
<耐溶剤性の評価>
得られた偏光素子にN−メチルピロリドンを滴下し、滴下後5分間保持した後滴下したN−メチルピロリドンを吸い取り、乾燥後、保護層や偏光層の様子を観察したところ特に異常は見られなかった。
[実施例2]
実施例1と同様にして基板に偏光層を形成した基板を、不溶化液1中に5秒間含浸させた。基板を取り出した後に脱塩水を用いて洗浄し、その後、基板の風乾を行ない、不溶化させた偏光層を得た。
得られた不溶化させた偏光層の上に、感光性樹脂組成物−2を約0.5cc滴下し、(III)工程のメルトフロー後の膜厚が1.2μmとなるようにスピンコーターの回転数を調整し、10秒間回転させて塗布した。その後1分間真空乾燥し、次にホットプレート上で120℃、90秒間加熱乾燥して、保護層を形成させた。 このサンプルを、3kW高圧水銀灯を用いて、200mJ/cm2の露光量でネガパターンのあるマスクを介して露光させた。なお、マスクのパターンは、1cm×1cmの□パターンを18個と、そのパターンの角をRが70μmのコーナーアールにしたネガパターンである。
次にこのサンプルを、シャワー式現像機にて、0.04重量%の水酸化カリウム水溶液で60秒間現像し、20秒間水洗した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートでかけ流した後、圧空で乾かした。
現像後のサンプルを顕微鏡で観察したところ、保護層の輪郭部から、偏光層の輪郭部までの距離は2.5μm程度であった。また、得られたパターンの全四隅(4×18=72個)を顕微鏡(5倍)で観察したところ、コーナーアールにした方には剥離は無かったが、72個の90°角の内の15個に偏光層や保護層の剥がれが見られた。
次に、このサンプルを180℃のオーブンで30分加熱し、偏光素子を得た。
得られた偏光素子の、偏光層の輪郭部に該当する部分の断面SEMを観察したところ、保護層がメルトフローして偏光層の輪郭部側面を封止していることを確認した。
<偏光特性の評価>
得られた偏光素子を半分に分割し、それぞれの偏光層が直交になる様に、又は平行になる様に重ね合せた時の様子を観察したところ、偏光層にダメージ等は認められず、良好な偏光特性が認められた。
<耐溶剤性の評価>
得られた偏光素子にN−メチルピロリドンを滴下し、滴下後5分間保持した後滴下したN−メチルピロリドンを吸い取り、乾燥後、保護層や偏光層の様子を観察したところ特に異常は見られなかった。
以上の結果から、偏光層の上に、感光性樹脂組成物から形成させた保護層を施し、上下の層を同時に現像することで、偏光層にダメージを与えずにパターニングすることが可能であることが示された。また、現像後露出した偏光層の輪郭部側面は、保護層のメルトフローによって封止され、その後の工程で用いられる溶剤(液晶用配向膜の塗布溶剤(N−メチルピロリドン))から偏光層を保護出来ることが確認された。
また、コーナーアールのパターンであると、シャワー現像の様な負荷がかかりやすい条件でも、欠陥が無く良好なパターニングが可能であることが確認された。
本発明の偏光素子の製造方法によれば、基板上に連続塗布した偏光層を保護層の形成と共にパターニング出来、しかもその後のプロセスからも保護することが出来るため、特に偏光層形成後に、配向膜形成用の溶剤(N−メチルピロリドン等)との接触や洗浄工程を有するIn−Cell型偏光素子を、1枚の基板母材から複数個に区画して、分割基板を切り出すにあたり有用である。

Claims (6)

  1. 以下の工程を有する、基板、偏光層及び保護層を含む偏光素子の製造方法。
    (I)基板に偏光層形成用組成物を連続塗布し、偏光層を形成し、次いで前記偏光層上に、
    感光性樹脂組成物を連続塗布して保護層を形成する工程。
    (II)露光及び現像液による現像により、偏光層及び保護層をパターニングする工程。
    (III)前記パターニングされた保護層を、加熱によりメルトフローさせる工程。
  2. 前記(II)工程において、偏光層は保護層の輪郭部より内側まで浸食させることを含む
    、請求項1に記載の偏光素子の製造方法。
  3. 前記(III)工程において、偏光層の輪郭部の側面は、保護層により封止されることを
    含む、請求項1又は2に記載の偏光素子の製造方法。
  4. 前記(III)工程の加熱が、90℃以上、200℃以下である、請求項1乃至3の何れ
    か1項に記載の偏光素子の製造方法。
  5. 前記(II)工程においてパターニングされたパターンが、Rが50μm以上のコーナー
    アールを含むものである、請求項1乃至4の何れか1項に記載の偏光素子の製造方法
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の製造方法により偏光素子を製造する工程を含む、
    画像表示装置の製造方法
JP2015084482A 2014-04-17 2015-04-16 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法 Active JP6459741B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015084482A JP6459741B2 (ja) 2014-04-17 2015-04-16 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014085758 2014-04-17
JP2014085758 2014-04-17
JP2015084482A JP6459741B2 (ja) 2014-04-17 2015-04-16 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015212819A JP2015212819A (ja) 2015-11-26
JP6459741B2 true JP6459741B2 (ja) 2019-01-30

Family

ID=54697070

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015084482A Active JP6459741B2 (ja) 2014-04-17 2015-04-16 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6459741B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7287896B2 (ja) * 2017-10-27 2023-06-06 住友化学株式会社 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルム

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3059049B2 (ja) * 1994-05-19 2000-07-04 シャープ株式会社 液晶電気光学装置及びその製造方法
JP2002072190A (ja) * 2000-08-31 2002-03-12 Optrex Corp 液晶表示素子
JP2004246092A (ja) * 2003-02-14 2004-09-02 Nakan Corp 液晶セルとその製造方法
JP5320660B2 (ja) * 2005-03-29 2013-10-23 三菱化学株式会社 In−Cell型偏光子用組成物、In−Cell型偏光子及びIn−Cell型積層偏光子、並びにそれらを用いた液晶素子
JP5558026B2 (ja) * 2008-05-07 2014-07-23 日東電工株式会社 偏光板、およびその製造方法
JP2010224337A (ja) * 2009-03-25 2010-10-07 Toppan Printing Co Ltd カラーフィルタ基板、その製造方法及び液晶表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015212819A (ja) 2015-11-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN101681110B (zh) 正型感光性树脂组合物、以及使用该组合物形成固化膜的方法
KR102550872B1 (ko) 액정 경화막, 액정 경화막을 포함하는 광학 필름, 및 표시 장치
CN106371164B (zh) 层叠体、包含层叠体的圆偏振板及具备层叠体的显示装置
CN110869827A (zh) 椭圆偏光板
TW200811205A (en) Curing resin composition and forming method of curing coating film
TW201921001A (zh) 附光學補償功能之相位差板
JP6314983B2 (ja) 偏光素子、及び偏光素子の製造方法
JP6661909B2 (ja) 光学素子の製造方法
JP2017072832A (ja) 感光性樹脂組成物、それを用いて得られる光学素子、スペーサー、絶縁膜及び表示装置
JP6459741B2 (ja) 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子を備えた表示装置の製造方法
JP5811296B1 (ja) 偏光素子の製造方法、その方法を用いて得られる偏光素子及びその偏光素子を備えた表示装置
WO2016017782A1 (ja) 光学素子の製造方法、その方法を用いて得られる光学素子及びその光学素子を備えた画像表示装置
TW200305617A (en) Curable resin composition for die coating, color filter, process for producing color filter, and liquid crystal display device
TW201921000A (zh) 可撓性顯示器用附光學補償功能之相位差板
CN112585513B (zh) 包含水平取向液晶固化膜的层叠体
KR20190033799A (ko) 접착제 조성물, 이를 이용하여 형성된 접착제층을 포함하는 편광판
KR20170040207A (ko) 광학 소자의 제조 방법, 그 방법을 이용해 얻어지는 광학 소자 및 그 광학 소자를 구비한 화상 표시 장치
JP2015206842A (ja) 塗布型偏光膜保護層用感光性樹脂組成物、それを用いて形成した保護層、保護層付き塗布型偏光膜、及びその塗布型偏光膜を備えた表示装置
TWI534539B (zh) 負型感光性樹脂組成物
JP4491954B2 (ja) フォトスペーサの製造方法
KR102658083B1 (ko) 액정 경화막, 액정 경화막을 포함하는 광학 필름, 및 표시 장치
WO2024038667A1 (ja) 光学積層体及びその製造方法
KR20110125858A (ko) 패턴화 리타더의 제조방법과 이의 제조장치
KR20240051906A (ko) 액정 경화막, 액정 경화막을 포함하는 광학 필름, 및 표시 장치
JP2009109725A (ja) 横電界駆動液晶表示装置用カラーフィルタの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20170424

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180925

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181002

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181116

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181217

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6459741

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151