JP6459638B2 - 溝研削装置、溝の加工方法及び玉軸受の製造方法 - Google Patents
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また、加工機と測定機とを統合し、ワークの着脱を行うことなく寸法を測定する方法が従来からある(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、装置内においてワークの着脱等を行うことなく比較的単純な構成で寸法測定を行うことが可能な溝研削装置を提供することを目的としている。
また、測定精度の向上のため他のセンサと組み合わせる必要も無いため低コスト且つ比較的単純な構成とすることができるという効果が得られる。
ここで、上記目標溝形状データ取得部は、目標溝形状データを取得するようになっていればどのような構成であってもよく、例えば、ネットワーク等を介して外部の装置等から目標溝形状データを獲得または受信してもよいし、記憶装置や記憶媒体等から目標溝形状データを読み出してもよい。したがって、取得には、少なくとも獲得、受信および読出が含まれる。
また、上記目標中心座標に係る情報は、例えば、目標中心座標そのもの、目標中心座標に対するオフセット量等が該当する。
このような構成であれば、測定子を、溝研削部の回転軸の先端部周辺の無回転部分に取り付ける構成としたので、位置情報を測定するための軸を追加する必要がなくなる。これにより、装置構成の複雑化を防ぐことができるという効果が得られる。
ここで、上記無回転部分に取り付けるとは、例えば、溝研削用の砥石を取り外して無回転部分に装着すること、溝研削用の砥石を取り付けたままで、無回転部分にねじ止め等によって固定支持すること、などが該当する。
これによって、ワークに形成された溝に接触するボールの中心座標を推定することが可能となるので、複数箇所のボール中心座標から、楕円量、芯より、傾斜誤差等の寸法誤差を算出することができるという効果が得られる。
これによって、複数の溝表面の2点の位置情報を測定するといった比較的簡易な測定処理で、中心座標のズレ量及び中心座標を算出することができるという効果が得られる。
(Xw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(2)
この構成であれば、ズレ量算出部によって、測定した2点の位置情報(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)と、目標溝形状データと、上式(1)及び(2)に従って、4点接触玉軸受のゴシックアーク形状の溝断面形状に接触する仮想ボールの理想の中心座標からのズレ量δx及びδzを算出することが可能となる。
これによって、簡易な測定処理及び簡易な計算処理で、中心座標のズレ量を算出することができるという効果が得られる。
(Yw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(4)
この構成であれば、ズレ量算出部によって、測定した2点の位置情報(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)と、目標溝形状データと、上式(3)及び(4)に従って、4点接触玉軸受のゴシックアーク形状の溝断面形状に接触する仮想ボールの理想の中心座標からのズレ量δy及びδzを算出することが可能となる。
これによって、簡易な測定処理及び簡易な計算処理で、中心座標のズレ量を算出することができるという効果が得られる。
これによって、算出した直径と設計値との差から直径の寸法誤差を算出することが可能となる。
これにより、寸法誤差算出部によって、一の2つの溝部分のボール中心座標間距離と、他の2つの溝部分のボール中心座標間距離との差分から、寸法誤差の1つである楕円量を算出することが可能となる。
これにより、寸法誤差算出部によって、軌道輪の支持軸方向の端面の支持軸方向の座標値と、軌道輪の対向する2つの溝部分のボール中心座標又は背面対向する2つの溝部分のボール中心座標における支持軸方向の座標値との差分から、寸法誤差の1つである芯よりを算出することが可能となる。
本実施形態の溝研削装置1は、例えば、4点接触玉軸受の軌道輪(外輪及び内輪)等のワークの周面にボールの転動路となる溝を、砥石による研削加工によって形成する装置である。
この溝研削装置1は、図1に示すように、溝研削部2と、ワーク支持部3と、ドレッサー装置4と、制御装置5とを含んで構成される。
砥石ヘッド21は、円盤状の溝研削用砥石21aと、この溝研削用砥石21aを砥石スピンドル22に取り付けるための砥石取付軸21bとから構成されている。
かかる構成によって、溝研削部2は、砥石スピンドル用モータ25によって砥石スピンドル22を回転駆動することで、砥石取付軸21bを介して砥石スピンドル22の先端に取り付けられた溝研削用砥石21aを回転する。すなわち、この回転する溝研削用砥石21aをワークの周面に接触させることで、接触面を研削加工して溝を形成する。
タッチプローブヘッド24は、本実施形態において、砥石ヘッド21を取り外した状態の砥石スピンドルハウジング23に装着され、溝研削部2で研削加工した溝の表面の位置情報を測定する際に用いられる。なお、タッチプローブヘッド24の詳細については後述する。
ワーク支持部3は、支持台31と、支持台31上に設けられたテーブル32と、テーブル32上に設けられたワーク支持用部材33と、テーブル32を回転自在に支持するワーク回転用スピンドル34とを含んで構成される。更に、ワーク支持部3は、ワーク回転用スピンドル34を内部に収容するワーク回転用スピンドルハウジング35と、ワーク回転用スピンドル34を回転駆動するワーク回転用モータ36とを含んで構成される。
なお、図1に例示したワーク6は、例えば、4点接触玉軸受の外輪であり、外輪の内周面に溝を形成するため、円筒形状のワーク支持用部材33の内側にワーク6を嵌合して、ワーク6を外側から固定支持するように構成されている。
ワーク回転用モータ36は、図示しないが、モータ回転角度位置を検出するアブソリュート方式のロータリエンコーダ36r(以下、「ワーク回転軸エンコーダ36r」と称す)を備えている。そして、ワーク回転軸エンコーダ36rで検出したモータ回転角度位置θmrを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信するように構成されている。
なお、本実施形態のワーク支持部3は、図示していないが、固定支持するワークを自動で交換するワーク交換機構を備えている。
ドレッサーヘッド41は、溝研削用砥石21aの外周面に、ワークに形成する溝形状に合致した凸状砥石面を成形するドレッサー41aと、このドレッサー41aをドレッサースピンドル42に取り付けるためのドレッサー取付軸41bとから構成されている。
かかる構成によって、ドレッサー装置4は、ドレッサー回転用モータ44によってドレッサースピンドル42を回転駆動することで、ドレッサー取付軸41bを介してドレッサースピンドル42の先端に取り付けられたドレッサー41aを予め設定したドレス用の回転速度で回転する。すなわち、この回転するドレッサー41aのドレス溝に、溝研削用砥石21aを接触させることで、接触面をドレスして凸状砥石面を成形する。または、ドレッサー41aを固定状態としたまま、砥石スピンドル用モータ25によって砥石スピンドル22を回転駆動することで、砥石スピンドル22の先端に取り付けられた砥石ヘッド21を予め設定したドレス用の回転速度で回転する。すなわち、この回転する砥石ヘッド21の溝研削用砥石21aの成形面をドレッサー41aのドレス溝に接触させることで、接触面をドレスして凸状砥石面を成形する。
次に、図2に基づき、本実施形態のタッチプローブヘッド24の構成を説明する。
タッチプローブヘッド24は、図2(a)及び(b)に示すように、プローブ取付部24aと、プローブ取付部24aの一端に突出形成されたプローブ軸24bとを備えている。
プローブ取付部24aは、他端側に砥石スピンドルハウジング23を嵌合するための嵌合穴24kが設けられている。図2(a)に示すように、プローブ軸24bは、プローブ取付部24aの内側のプローブ軸上部24buと、プローブ取付部24aの外側のプローブ軸下部24bdとが一体形成された構成となっている。
かかる構成によって、第1先端球24dが溝の表面に接触して押されることで、図2(d)に示すように、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第1伝達部材24iが押されて第1圧力センサ24gにおいてこの押圧力Pr1が検出される。同様に、第2先端球24fが溝の表面に接触して押されることで、図2(d)に示すように、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第2伝達部材24jが押されて第2圧力センサ24hにおいてこの押圧力Pr2が検出される。
これら検出された押圧力の検出値Pr1、Pr2、Pr3及びPr4は、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信される。
なお、本実施形態においては、後述する位置基準マスターの測定のために、タッチプローブヘッド24は、図示省略するが、先端球24d、24f、24n及び24qのZ軸方向の接触による押圧力も検出可能に構成されている。
これら検出された押圧力の検出値Pr5、Pr6、Pr7及びPr8は、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信される。
次に、図3に基づき、ヘッドの交換について説明する。
本実施形態において、砥石ヘッド21は、図3(a)に示すように、砥石スピンドル22から取り外しが可能となっている。そして、砥石ヘッド21を、砥石スピンドル22から取り外した状態で、図3(b)に示すように、タッチプローブヘッド24のプローブ取付部24aを、嵌合穴24kを介して砥石スピンドルハウジング23に外嵌することで、図3(c)に示すように、タッチプローブヘッド24が溝研削部2に装着される。
また、本実施形態では、図示していないが、ドレッサー装置4についても、ドレッサーヘッドの交換を自動で行うヘッド交換機構を備えている。従って、ドレス処理を実施する際に、ワークの型番等に応じて適切なドレッサーヘッドへの交換(着脱)を自動で行うことが可能である。
次に、図4及び図5に基づき、溝研削部2を、直交座標系であるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動する移動機構の構成について説明する。
溝研削部2の移動機構は、図4及び図5に示すように、X軸移動機構26と、Z軸移動機構27と、Y軸移動機構28とを備えている。
X軸移動機構26は、第1の取付板26aと、直線状の第1の案内レール26bと、第1のボールねじ軸26cと、第1のボールねじナット26dと、第1の支持板26eと、X軸駆動用モータ26mと、X軸エンコーダ26rとを備えている。
第1のボールねじ軸26cは、螺旋状のねじ溝を外周面に有し、第1のボールねじナット26dは、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路内に転動自在に複数のボールが装填されている。
第1のボールねじ軸26cの一端は、X軸駆動用モータ26mの駆動軸に例えばカップリングを介して連結され、他端側は、ボールを介して第1のボールねじナット26dと結合している。
X軸エンコーダ26rは、X軸駆動用モータ26mのモータ回転角度位置θmxを検出するインクリメンタル方式のロータリエンコーダである。X軸エンコーダ26rは、検出したモータ回転角度位置θmxを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信する。
図4に示すように、第2の取付板27aには、X軸移動機構26が第1の支持板26eを介して例えばねじ止めによって固定支持されており、第2の取付板27aは、第2のボールねじナット27dの矩形状の上面に例えばねじ止めによって固定支持されている。
第2の案内レール27bは、第2の支持板27e上に、例えばねじ止めによって固定支持されている。第2の案内レール27bは、Z軸方向に延びる案内溝を有し、案内溝内に第2のボールねじ軸27cが配設され、第2のボールねじナット27dが、案内溝に沿って移動可能に取り付けられている。
Z軸駆動用モータ27mは、第2のボールねじ軸27cに回転力を付与するサーボモータであって、不図示の電気ケーブルを介した制御装置5からのモータ制御信号によって駆動制御される。
かかる構成によって、Z軸移動機構27は、Z軸駆動用モータ27mの回転駆動力によって、第2のボールねじ軸27cを回転駆動すると、ボールの転動を介して第2のボールねじナット27dが第2の案内レール27bの案内溝に沿って第2のボールねじ軸27cに対して軸方向に相対移動する。即ち、第2のボールねじナット27dに固定支持された第2の取付板27aがX軸方向に移動し、第2の取付板27aに固定支持されたX軸移動機構26がX軸に移動する。これによって、溝研削部2がZ軸方向に移動する。
図5(a)及び(b)に示すように、第3の取付板28aには、Z軸移動機構27が側面視略T字状の第2の支持板27eのY軸方向に延びる突出部を介して例えばボルト締結によって強固に固定支持されている。更に、第3の取付板28aは、第3のボールねじナット28dの矩形状の上面に例えばねじ止めによって固定支持されている。
第3の案内レール28bは、基台29上に、例えばボルト締結によって強固に固定支持されている。第3の案内レール28bは、Y軸方向に延びる案内溝を有し、案内溝内に第3のボールねじ軸28cが配設され、第3のボールねじナット28dが、案内溝に沿って移動可能に取り付けられている。
Y軸駆動用モータ28mは、第3のボールねじ軸28cに回転力を付与するサーボモータであって、不図示の電気ケーブルを介した制御装置5からのモータ制御信号によって駆動制御される。
かかる構成によって、Y軸移動機構28は、Y軸駆動用モータ28mの回転駆動力によって、第3のボールねじ軸28cを回転駆動すると、ボールの転動を介して第3のボールねじナット28dが第3の案内レール28bの案内溝に沿って第3のボールねじ軸28cに対して軸方向に相対移動する。即ち、第3のボールねじナット28dに固定支持された第3の取付板28aがY軸方向に移動し、第3の取付板28aに固定支持されたZ軸移動機構27がY軸方向に移動する。これに伴い、第2のボールねじナット27dを介してZ軸移動機構に固定支持されたX軸移動機構26がY軸方向に移動する。これによって、溝研削部2がY軸方向に移動する。
次に、図6に基づき、制御装置5のハードウェア構成を説明する。
制御装置5は、図6に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64とを備える。加えて、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等からなる各種内外バス68と、入出力インターフェース(I/F)66とを備える。
次に、図7に基づき、制御装置5の機能構成を説明する。
制御装置5の機能構成部50は、図7に示すように、溝研削処理部51と、位置情報測定部52と、中心座標算出部53と、寸法誤差算出部54と、仕上加工処理部55とを含んで構成される。
ここで、目標溝形状データは、研削加工対象のワーク(4点接触玉軸受等)の型番毎に1つのデータが用意されている。具体的に、図8に示すように、目標溝断面形状(ゴシックアーク形状)100を構成する上側円弧Aru及び下側円弧Ardの曲率半径Ru及びRdと、溝表面に接触する仮想ボールの中心位置O(これを基準位置とする)に対する、上側円弧Aru及び下側円弧Ardの円中心位置Ou及びOdの軸方向のオフセット量Ofu及びOfdとを含むデータである。更に、本実施形態では、後述する式(5)〜(8)の情報と、各測定対象位置に対応する仮想ボールの中心座標の情報と、仮想ボールが接触する2点のZ軸座標(Z1,Z2)のデータとを含むものである。
また、加工条件データは、ワーク6の形状、材質等、溝研削用砥石21aの種類等によって予め決められた加工条件のデータである。例えば、商品又はワークの型番毎に設定されるデータである。
(X−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(5)
(X−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(6)
(Y−δy)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(7)
(Y−δy)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(8)
溝研削処理部51は、補正値Cx及びCz並びに補正値Cy及びCzの測定後に、まず、最初に加工する加工前のワーク6に対して、位置基準マスターの測定処理を行い、この測定結果を、位置基準マスター初期値としてRAM62又は記憶装置70に記憶する。次に、このワーク6の周面への溝の粗研削加工処理を実行する。そして、加工後に、位置情報測定部52に対して位置情報測定指令を出力する。
以降は、新たなワーク6を加工する毎に、加工後のワークの位置基準マスターを測定し、この測定値と先に測定した位置基準マスター初期値との差を演算し、この演算結果が予め設定した規定値以下であれば位置情報測定部52に対して位置情報測定指令を出力する。一方、規定値を超えている場合は、異常と見なして動作を中断し、操作者に警報等で知らせる。
具体的に、位置情報測定部52は、予め設定した位置に形成されている各溝部分(本実施形態では4箇所)に対して予め設定されたZ軸座標(Z1、Z2)の2箇所の表面位置情報を測定する。
なお、本実施形態では、互いに対向する2組の溝部分(4つの溝部分)を測定対象とするため(詳細は後述)、Xw1及びXw2の他にXw3及びXw4を測定し、Yw1及びYw2の他にYw3及びYw4を測定する。このとき、Xw1及びXw2並びにXw3及びXw4を測定時のY軸座標値は予め設定された固定値(Ywm)となり、Yw1及びYw2並びにYw3及びYw4を測定時のX軸座標値は予め設定された固定値(Xwm)となる。
また、本実施形態では、目標溝形状データの座標系とワーク座標系とは一致していることとする。
位置情報測定部52は、全ての測定位置に対する溝表面位置の測定を終了すると、中心座標算出指令を、中心座標算出部53に出力する。
ここで、目標溝位置のズレ量(補正値)がCx及びCzであることから、形成した溝が補正値を考慮した理想的なX軸座標位置にある場合、上式(5)及び(6)より算出したδxは、「δx=Cx」となる。一方、理想的なX軸座標位置からずれている場合は、「δx≠Cx」となる。また、形成した溝が補正値を考慮した理想的なX軸座標位置にある場合、上式(5)及び(6)より算出したδzは、「δz=Cz」となる。一方、理想的なZ軸座標位置からずれている場合は、「δz≠Cz」となる。このことは、補正値Cy及びCzについても同様に、形成した溝が補正値を考慮した理想的なY軸座標位置にある場合、上式(7)及び(8)より算出したδyは、「δy=Cy」となる。一方、理想的なY軸座標位置からずれている場合は、「δy≠Cy」となる。
即ち、中心座標算出部53は、測定した位置情報(X1,Z1)及び(X2,Z2)(又は(X3,Z1)及び(X4,Z2))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Ru及びRdと、オフセット量Ofu及びOfdとを、上式(5)及び(6)に代入して、連立方程式を解き、ズレ量δx1及びδz1(又はδx2及びδz2)を算出する。更に、算出したズレ量δx1及びδz1(又はδx2及びδz2)から、予めマスターワーク6mに対して測定した補正値Cx1及びCz1(又はCx2及びCz2)を減算して、最終的なズレ量δXc1及びδZc1(又はδXc2及びδZc2)を算出する。ワークに形成した溝は、理想的な溝形状のまま平行移動する方向にズレることから、ズレ量δXc1及びδZc1(又はδXc2及びδZc2)は、ワーク6に形成した溝に対する仮想ボールの中心座標のズレ量となる。
寸法誤差算出部54は、位置情報を測定した複数の溝部分に対して算出された、各々のボール中心座標(Xc1,Zc1)、(Xc2,Zc2)、(Yc1,Zc1)及び(Yc2,Zc2)に基づき、ボールの運動する円の直径、楕円量、芯より、傾斜誤差等の各種寸法及び寸法誤差を算出する。加えて、算出した寸法誤差に基づき、各種設計値との差分値を算出し、算出した差分値に基づき機械(例えば溝研削部2)の姿勢等の補正値及び取り残し代を算出する。
ここで、本実施形態では、楕円量を測定するため、例えば、ワーク6が4点接触玉軸受の外輪の場合、少なくとも、内周面に形成された溝における、一の対向する2つの溝部分と、この2つの溝部分の対向方向と直交する方向に対向する他の2つの溝部分とについて、Z軸座標(高さ位置)Z1、Z2の溝表面の位置情報を測定する。
なお、溝部分については、内周面に形成された溝を予め設定した分割数(例えば、360)に等分割して設定し、これらのうち予め設定した溝部分に対して表面の位置情報を測定する。
なお、各種寸法値、寸法誤差、補正値及び取り残し代の算出処理の詳細については後述する。
次に、図9に基づき、溝加工処理の処理手順を説明する。
制御装置5のCPU60によってプログラムが実行され、溝加工処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、溝研削処理部51において、記憶装置70から、研削加工対象のワークの型番に対応する目標溝形状データ及び加工条件データをRAM62に読み込んで、ステップS102に移行する。
ここで、溝形状管理処理は、ドレッサー装置4を用いて、溝研削用砥石21aを、これから形成する溝形状を形成可能な形状にドレスする処理と、ドレスした溝研削用砥石21aを用いてマスターワーク6mの周面に溝を粗研削加工する処理とを含む。更に、溝形状管理処理は、マスターワーク6mを粗研削加工して形成された溝の測定対象の溝部分の表面位置(目標溝位置)を測定する処理と、目標溝形状データと上式(5)〜(8)に基づき、目標溝位置のズレ量δx及びδz並びにδy及びδzである補正値Cx及びCz並びにCy及びCzを測定し、この測定値を、RAM62又は記憶装置70に記憶する処理とを含む。なお更に、最初に加工するワーク6に対して、位置基準マスターを測定し、この測定値を位置基準マスター初期値として、RAM62又は記憶装置70に記憶する処理を含む。
ここで、溝の粗研削加工処理は、砥石スピンドル用モータ25、ワーク回転用モータ36、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、ワーク6の周面に溝研削用砥石21aを用いて溝を粗研削加工する処理となる。本実施形態では、更に、2個目以降の溝形成後のワーク6に対して位置基準マスターを測定し、この測定結果と位置基準マスター初期値との差を演算する。そして、演算結果が予め設定した規定値以下である場合に、位置情報測定指令を位置情報測定部52に出力する。一方、規定値を超えている場合に、異常であると判断し動作を中断して、操作者に対して警報等によって報知する。
ステップS108では、中心座標算出部53において、ステップS106で測定した位置情報と、RAM62に読み込んだ目標溝形状データと、補正値Cx及びCzと、補正値Cy及びCzとに基づき、各位置情報に対応する溝部分に対するボール中心座標を算出する中心座標算出処理を実行する。その後、ステップS110に移行する。
ステップS112では、仕上加工処理部55において、寸法誤差算出部54から入力された補正値及び取り残し代に基づき、溝の仕上加工処理を実行する。その後、一連の処理を終了する。
次に、図10及び図11に基づき、ステップS106で実行される位置情報測定処理の処理手順を説明する。
ステップS106において、位置情報測定処理が実行されると、図10に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、位置情報測定部52において、ワーク6を、予め設定された測定開始基準位置へと回転移動する。その後、ステップS202に移行する。
具体的に、位置情報測定部52は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、ワーク6を回転移動させて、測定開始基準位置に移動する。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24が装着された溝研削部2の4つの先端球24d、24f、24n又は24qのうち測定に用いる先端球を測定対象の溝部分正面の未測定のZ軸座標位置(Z1又はZ2)へと移動する。
例えば、図11(a)に示すように、第2先端球24fを、ワーク6に形成された溝61の測定対象の2箇所のZ軸座標位置(Z1、Z2)の一方に移動させる。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸駆動用モータ26m又はY軸駆動用モータ28mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24が装着された溝研削部2をX軸方向又はY軸方向に移動する。そして、先端球24d、24f、24n又は24qを測定対象の溝部分のZ1又はZ2座標位置の表面に接触させる。
ここで、図11(a)に示す例は、目標溝形状データの示す溝位置と同じ位置に溝が形成された場合を示すものである。図11(b)に示すように、目標溝形状データの示す溝位置(図中点線)に対してズレた位置(図中実線)に溝が形成されている場合、第2先端球24fの接触位置が、図11(a)に示す位置に対してズレる。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸エンコーダ26rからの接触位置におけるモータ回転角度位置θmx、又は、Y軸エンコーダ28rからの接触位置におけるモータ回転角度位置θmyを取得する。そして、取得したモータ回転角度位置θmx又はθmyを、例えば、記憶装置70に予め記憶された変換テーブルを参照して、ワーク座標系のX軸座標値又はY軸座標値に変換し、Xw及びZの組又はYw及びZの組を、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
即ち、例えば図11に示すように、ワーク6に形成された溝61の表面に、タッチプローブヘッド24の先端球24fを接触させ、接触位置の座標P1(Xw1,Z1)及びP2(Xw2,Z2)を測定し、測定した接触位置の座標をRAM62又は記憶装置70に記憶する。
ステップS210に移行した場合は、位置情報測定部52において、全ての測定対象の溝部分に対して、位置情報の測定が終了したか否かを判定する。そして、終了したと判定した場合(Yes)は、寸法誤差測定指令を寸法誤差算出部54に出力し、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。一方、終了していないと判定した場合(No)は、ステップS200に移行する。
次に、図12〜図14に基づき、ステップS108で実行される中心座標算出処理の処理手順について説明する。
ステップS108において、中心座標算出処理が実行されると、図12に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS302では、中心座標算出部53において、ステップS300で読み出した各2点の位置情報と、目標溝形状データと、上式(5)〜(8)とに基づき、目標溝形状データの溝位置(ボール中心位置)に対するズレ量δx及びδz並びにδy及びδzを算出する。その後、ステップS304に移行する。このズレ量δx及びδz並びにδy及びδzの算出処理は、測定位置に対応する各溝部分に対してそれぞれ行う。
次に、図14〜図16に基づき、ステップS110で実行される寸法誤差算出処理の処理手順について説明する。
ステップS110において、寸法誤差算出処理が実行されると、図14に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、寸法誤差算出部54において、測定対象の各溝部分のボール中心Brcの座標値(Xc,Zc)又は(Yc,Zc)に基づき、ボールの運動する円の直径Rを測定する。その後、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS402に移行する。
具体的に、楕円量ELを測定するにあたっては、位置情報測定処理において、一対の溝部分Gr1及びGr2に加えて、図15(a)に示すように、溝部分Gr1及びGr2と直交する方向に対向する他の一対の溝部分Gr3及びGr4の位置情報を測定する。
ステップS404では、寸法誤差算出部54において、測定位置に対応する各溝部分に対する芯よりLaを測定し、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS406に移行する。
ステップS406では、寸法誤差算出部54において、対向する一対の溝部分及び同一直線上の一対の溝部分について、傾斜誤差SEを測定する。その後、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS408に移行する。
ステップS408では、寸法誤差算出部54において、ステップS400〜S406で測定した各測定値に基づき、補正値及び取り残し代を算出する。その後、算出結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
具体的に、寸法誤差算出部54は、直径R、楕円量LE、芯よりLa及び傾斜誤差SEと予め記憶装置70に記憶されている設計値(例えば、加工条件データに含まれている)との差分値を算出する。そして、算出した差分値に基づき、機械の姿勢補正をするための補正値と、溝の取り残し代とを算出する。
次に、図1〜図16を参照しつつ、図17〜図20に基づき、本実施形態の溝研削装置1の動作例を説明する。ここで、図17〜図20に例示するワーク6は、4点接触玉軸受の内輪である。
制御装置5に対して入力装置74を介して研削開始指令が入力されると、制御装置5は、まず、記憶装置70に記憶された、目標溝形状データ及び加工条件データをRAM62に読み込む。そして、読み込んだデータに基づき、まず、砥石スピンドル用モータ25を駆動制御して、砥石ヘッド21の溝研削用砥石21aを予め設定したドレス用の回転速度で回転する。引き続き、制御装置5は、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して溝研削部2を移動し、図17(a)に示すように、溝研削用砥石21aの被ドレス面をドレッサー41aの刃先に対して予め設定した圧力で押しつける。これにより、溝研削用砥石21aの砥石面を所望の形状へと成形する。
引き続き、制御装置5は、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して溝研削部2を移動し、図17(b)に示すように、回転する溝研削用砥石21aの成形した砥石面を、ワーク支持部3に固定支持されたマスターワーク6mの外周面の溝形成位置へと移動すると共に予め設定した圧力で押しつける。これによって、マスターワーク6mの溝研削用砥石21aを押しつけた位置に溝が形成される。制御装置5は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、マスターワーク6mを予め設定した回転角度ずつ回転させて、マスターワーク6mの溝研削用砥石21aを押しつけて溝を形成する処理を繰り返し行う。
具体的に、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、マスターワーク6mを測定基準位置へと回転移動する。次に、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、まず、タッチプローブヘッド24の第2先端球24fを、予め設定した測定位置の第1溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xm1,Z1)及び(Xm2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第1先端球24dを、予め設定した測定位置の第1溝部分とX軸方向に背面対向する第2溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xm3,Z1)及び(Xm4,Z2)を測定する。
具体的に、制御装置5は、Z軸駆動用モータ27mを駆動制御して、図18(a)に示すように、タッチプローブヘッド24の先端球24fを、Z軸方向に移動して、ワーク6のZ軸方向の上端位置及び下端位置を測定する。次に、制御装置5は、X軸駆動用モータ26mを駆動制御して、図18(b)に示すように、タッチプローブヘッド24の先端球24fを、X軸方向に移動して、ワーク支持用部材33との接触位置を測定する。そして、これら測定した位置情報を位置基準マスター初期値として、RAM62に記憶する。
そして、ワーク6の外周面に対して溝の粗研削加工が完了すると、制御装置5は、ヘッド交換機構によって、砥石ヘッド21をタッチプローブヘッド24に交換する。そして、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m、Z軸駆動用モータ27m及びワーク回転用モータ36を駆動制御して、交換したタッチプローブヘッド24を用いて、図18(d)に示すように、予め設定した溝部分に対する位置情報測定処理を行う。
具体的に、制御装置5は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、ワーク6を測定基準位置へと回転移動する。次に、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、まず、タッチプローブヘッド24の第2先端球24fを、第1溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第1先端球24dを、第2溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xw3,Z1)及び(Xw4,Z2)を測定する。
また、制御装置5は、図16に例示した方法と同様の測定方法で、ワーク6の底面のZ軸座標値と、第1〜第4ボール中心Brc7〜Brc10のそれぞれのZ軸座標値との差分値を、第1〜第4の芯よりLa7〜10として算出する。
そして、制御装置5は、算出した第1及び第2直径R78及びR910、楕円量EL、第1〜第4の芯よりLa7〜La10及び第1及び第2傾斜誤差SE78及びSE910を、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
そして、制御装置5は、各種補正値に基づき各種モータを制御して機械の姿勢を補正し、ワーク6に形成した溝の取り残し代分を加工する。
位置情報測定処理が実施されると、図20(d)に示すように、タッチプローブヘッド24によって、溝研削加工後のワーク6に対して、予め設定した第1〜第4溝部分に対する溝表面位置の測定処理を実施する。以降の処理は、1個目のワーク6と同様となる。
以上、本実施形態の溝研削装置1は、ワーク情報として各種ワークに対応する目標溝形状データを利用し、装置内に設置されたタッチプローブヘッド24によって、ワーク6に形成された溝の予め設定した溝部分におけるZ軸座標Z1及びZ2の溝表面位置の座標を測定し、この測定結果に基づき、各溝部分に対する仮想ボールの中心座標のズレ量を求めることが可能である。
これにより、異なる溝径のワークに対して、測定子を変更することなく、各種寸法、寸法誤差、補正値及び残り取り代等を算出することが可能となる。
ここで、現物マスターは電気マイクロ等の精密測定機を用いて精密測定を行う必要があり、また、ワークと現物マスターはできるだけ同じ温度で測定する必要があることから手間がかかるといった問題がある。また、電気マイクロで溝形状を測定する場合、ワークとの衝突を防止するためワーク近傍では低速でワークに接近する必要があり、サイクルタイムが延びるといった問題がある。
これに対して、タッチプローブは、防水性が高く、測定子がワークとの衝突に強い設計となっており、また、電気マイクロ等の精密測定機と比較して安価である。
ここで、X軸移動機構26及びZ軸移動機構27は移動機構部に対応し、溝研削処理部51の記憶装置70から目標溝形状データを読み出す処理は目標溝形状データ取得部に対応し、中心座標算出部53はズレ量算出部及び中心座標算出部に対応する。
(1)上記実施形態では、タッチプローブヘッド24を、砥石ヘッド21を取り外してから、砥石スピンドルハウジング23に装着する構成としたが、この構成に限らない。例えば、砥石ヘッド21を取り外さずに砥石スピンドルハウジング23に装着する構成など他の構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、タッチプローブヘッド24を用いて、位置測定処理を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、レーザセンサ等の非接触式のセンサを用いる構成としてもよい。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
Claims (11)
- 回転軸と該回転軸の先端部に取付けられた溝研削用の砥石と前記回転軸を回転駆動する回転駆動源とを有する溝研削部と、
ワークを固定支持するワーク支持部と、
前記ワーク支持部で固定支持されたワークに対して前記溝研削部を前記ワーク周面の溝研削位置へと移動する移動機構部と、
前記溝研削部を用いて前記ワーク周面を研削加工して転動体の転動路となる溝を形成する溝研削処理部と、
前記ワークを固定支持した状態で、前記ワーク周面に形成された前記溝の複数の溝部分表面の予め設定した1軸方向の複数箇所の位置情報を測定する位置情報測定部と、
前記ワーク周面に形成する前記溝の目標形状データであって、目標溝形状を規定する情報と、該目標溝形状に接触する仮想の転動体の中心座標である目標中心座標に係る情報とを含む目標溝形状データを取得する目標溝形状データ取得部と、
前記位置情報測定部が測定した前記複数の溝部分表面の前記複数箇所の位置情報と、前記目標溝形状データとに基づき、前記複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標の前記目標中心座標に対するズレ量を算出するズレ量算出部と、
前記ズレ量算出部が算出したズレ量に基づき、前記複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標を算出する中心座標算出部と、
前記中心座標算出部が算出した前記中心座標に基づき、前記ワーク周面に形成した前記溝の目標溝形状に対する寸法誤差を算出する寸法誤差算出部と、
前記寸法誤差算出部が算出した前記寸法誤差に基づき前記溝研削部を用いて前記溝の仕上げ加工を行う仕上加工処理部と、を備え、
前記ワークは4点接触玉軸受の軌道輪であり、
前記目標溝形状データは、ゴシックアーク形状の目標溝断面形状を構成する同一形状の二つの円弧の曲率半径と、前記ゴシックアーク形状の溝表面に2点で接触する前記仮想の転動体としての仮想ボールの中心座標に対する前記二つの円弧の円中心の前記4点接触玉軸受の支持軸方向のズレ量であるオフセット量とを含む溝研削装置。 - 前記位置情報測定部は、前記ワーク周面に形成された前記溝の表面に接触して該接触位置を検出する接触式の測定子を有する位置検出部を備え、
前記測定子は、前記溝研削部の前記回転軸の先端部周辺の無回転部分に取り付けられる請求項1に記載の溝研削装置。 - 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の複数の溝部分表面における、予め設定した前記仮想ボールの理想の接触位置の2点の座標の前記支持軸方向の座標間距離と一致する距離関係となる2点の位置情報を測定し、
前記ズレ量算出部は、前記2点の位置情報と前記目標溝形状データとに基づき、前記中心座標のズレ量を算出する請求項1又は2に記載の溝研削装置。 - 前記溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、前記目標溝断面形状のままX軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、
前記位置情報測定部は、前記2点の位置情報に対応する座標として、(Xw1,Z1)、(Xw2,Z2)を測定し、
前記ズレ量算出部は、前記二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、前記二つの円弧の前記オフセット量をOfu及びOfdとし、下式(1)及び(2)に基づき、前記溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δx及びδzを算出する請求項3に記載の溝研削装置。
(Xw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(1)
(Xw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(2) - 前記溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、前記目標溝断面形状のままY軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、
前記位置情報測定部は、前記2点の位置情報に対応する座標として、(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)を測定し、
前記ズレ量算出部は、前記二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、前記二つの円弧の前記オフセット量をOfu及びOfdとし、下式(3)及び(4)に基づき、前記溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δy及びδzを算出する請求項3又は4に記載の溝研削装置。
(Yw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(3)
(Yw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(4) - 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、前記寸法誤差算出部は、前記2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離をボールが運動する円の直径として算出し、算出した前記直径に基づき前記寸法誤差を算出する請求項1乃至5のいずれか1項に記載の溝研削装置。
- 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する第1直線上に位置する一の2つの溝部分と、前記第1直線と直交する第2直線上に位置する他の2つの溝部分とについて、溝部分表面の位置情報を測定し、
前記寸法誤差算出部は、前記一の2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離と、前記他の2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離との差分を前記寸法誤差の1つである楕円量として算出する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の溝研削装置。 - 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、
前記寸法誤差算出部は、前記軌道輪の前記支持軸方向の端面の前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の一方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分と、前記端面の前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の他方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分とを、前記寸法誤差の1つである芯よりとして算出する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の溝研削装置。 - 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、
前記2つの溝部分の一方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の他方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分を、前記寸法誤差の1つである前記2つの溝部分の前記ワークに対する傾斜誤差として算出する請求項1乃至8のいずれか1項に記載の溝研削装置。 - 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の溝研削装置を用いてワークに溝を形成する加工を行う溝の加工方法。
- 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の溝研削装置を用いて玉軸受を製造する玉軸受の製造方法。
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