JP6459638B2 - 溝研削装置、溝の加工方法及び玉軸受の製造方法 - Google Patents

溝研削装置、溝の加工方法及び玉軸受の製造方法 Download PDF

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本発明は、溝研削装置内にて、研削加工して形成した溝の寸法測定を行う技術に関する。
従来、例えば、玉軸受等のボールの転動路となる溝の加工処理では、加工途中で溝の寸法測定を行い、有効径や芯より、楕円量を測定し、その寸法を元に仕上げ加工を行うことで良品を得ている。例えば、4点接触玉軸受の寸法測定を行う場合、溝を転がるボールの中心座標が測定の基準となる。
また、加工機と測定機とを統合し、ワークの着脱を行うことなく寸法を測定する方法が従来からある(例えば、特許文献1参照)。
特開2011−136390号公報
しかしながら、上記特許文献1の従来技術は、加工機内で測定を行うために、自由曲面や形状寸法を測定できる汎用性の高い測定機構を持たせている。そのため、一般的な研削盤の加工軸の精度と比べて測定軸には高い精度が必要となり、加工機として過剰な精度の軸を有する必要がある。従って、別途測定用軸を用意する必要があり、構造の複雑化及び高コスト化の問題がある。加えて、上記特許文献1の従来技術では、タッチプローブと変位センサとの2種類の測定要素を用いており構造が複雑化する問題がある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、装置内においてワークの着脱等を行うことなく比較的単純な構成で寸法測定を行うことが可能な溝研削装置を提供することを目的としている。
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の溝研削装置は、回転軸と該回転軸の先端部に取付けられた溝研削用の砥石と回転軸を回転駆動する回転駆動源とを有する溝研削部と、ワークを固定支持するワーク支持部と、ワーク支持部で固定支持されたワークに対して溝研削部をワーク周面の溝研削位置へと移動する移動機構部と、溝研削部を用いてワーク周面を研削加工して転動体の転動路となる溝を形成する溝研削処理部と、ワークを固定支持した状態で、ワーク周面に形成された溝の複数の溝部分表面の複数箇所の位置情報を測定する位置情報測定部と、ワーク周面に形成する溝の目標形状データであって、目標溝形状を規定する情報と、該目標溝形状に接触する仮想の転動体の中心座標である目標中心座標に係る情報とを含む目標溝形状データを取得する目標溝形状データ取得部と、位置情報測定部が測定した複数の溝部分表面の複数箇所の位置情報と、目標溝形状データとに基づき、複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標の目標中心座標に対するズレ量を算出するズレ量算出部と、ズレ量算出部が算出したズレ量に基づき、複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標を算出する中心座標算出部と、中心座標算出部が算出した前記中心座標に基づき、ワーク周面に形成した前記溝の目標溝形状に対する寸法誤差を算出する寸法誤差算出部と、寸法誤差算出部が算出した寸法誤差に基づき溝研削部を用いて溝の仕上げ加工を行う仕上加工処理部と、を備える。
このような構成であれば、ワークを固定支持した状態で、位置情報測定部によって、ワークに形成した溝の複数の溝部分表面の複数箇所の位置情報を測定し、ズレ量算出部によって、測定した位置情報と目標溝形状データとに基づき、複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標の目標中心座標に対するズレ量を算出することが可能である。更に、中心座標算出部によって、ずれ量に基づき、複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標を算出することが可能である。なお更に、寸法誤差算出部によって、算出した中心座標に基づき、ワーク周面に形成した溝の目標溝形状に対する寸法誤差を算出し、仕上加工処理部によって、算出した寸法誤差に基づき溝の仕上げ加工を行うことが可能である。
即ち、複数の溝表面の複数箇所の位置情報と目標溝形状データとから、ワークに形成した溝の形状状態(中心座標のズレ)を推定することが可能となる。従って、異なる溝径のワークに対して、目標溝形状データをワークの種類毎に切り替えることで、測定子自体を他の測定子に変更することなく寸法誤差の測定が可能となる。これによって、多種のワークに対して汎用性の高い装置を構成することができるという効果が得られる。
また、溝表面の1軸方向の複数箇所の位置情報を測定すれば良いため、測定軸に過剰な精度が不要となり測定軸にかかるコストを低減することができるという効果が得られる。
また、測定精度の向上のため他のセンサと組み合わせる必要も無いため低コスト且つ比較的単純な構成とすることができるという効果が得られる。
ここで、上記目標溝形状データ取得部は、目標溝形状データを取得するようになっていればどのような構成であってもよく、例えば、ネットワーク等を介して外部の装置等から目標溝形状データを獲得または受信してもよいし、記憶装置や記憶媒体等から目標溝形状データを読み出してもよい。したがって、取得には、少なくとも獲得、受信および読出が含まれる。
また、上記目標溝形状を規定する情報は、例えば、目標溝形状の算出式や、この算出式に用いる形状寸法などの情報が該当する。
また、上記目標中心座標に係る情報は、例えば、目標中心座標そのもの、目標中心座標に対するオフセット量等が該当する。
〔形態2〕 更に、形態2の溝研削装置は、形態1の構成に対して、位置情報測定部は、ワーク周面に形成された溝の表面に接触して該接触位置を検出する接触式の測定子を有する位置検出部を備え、測定子は、前記溝研削部の前記回転軸の先端部周辺の無回転部分に取り付けられる。
このような構成であれば、測定子を、溝研削部の回転軸の先端部周辺の無回転部分に取り付ける構成としたので、位置情報を測定するための軸を追加する必要がなくなる。これにより、装置構成の複雑化を防ぐことができるという効果が得られる。
ここで、上記無回転部分に取り付けるとは、例えば、溝研削用の砥石を取り外して無回転部分に装着すること、溝研削用の砥石を取り付けたままで、無回転部分にねじ止め等によって固定支持すること、などが該当する。
〔形態3〕 更に、形態3の溝研削装置は、形態1又は2の構成に対して、前記ワークは4点接触玉軸受の軌道輪であり、目標溝形状データは、ゴシックアーク形状の溝断面形状を構成する同一形状の二つの円弧の曲率半径と、ゴシックアーク形状の溝表面に2点で接触する仮想の転動体としての仮想ボールの中心座標に対する二つの円弧の円中心の4点接触玉軸受の支持軸方向のズレ量であるオフセット量とを含む。
このような構成であれば、4点接触玉軸受の軌道輪に形成する溝について、複数の溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標を算出することが可能となる。
これによって、ワークに形成された溝に接触するボールの中心座標を推定することが可能となるので、複数箇所のボール中心座標から、楕円量、芯より、傾斜誤差等の寸法誤差を算出することができるという効果が得られる。
〔形態4〕 更に、形態4の溝研削装置は、形態3の構成に対して、位置情報測定部は、軌道輪の周面に形成された溝の複数の溝部分表面における、予め設定した仮想ボールの理想の接触位置の2点の座標の前記支持軸方向の座標間距離と一致する距離関係となる2点の位置情報を測定し、ズレ量算出部は、2点の位置情報と目標溝形状データとに基づき、中心座標のズレ量を算出する。
即ち、仮想ボールの理想の接触位置の2点間距離と一致する距離関係となる溝表面の2点の位置情報を求めることで、この2点の位置情報に基づきズレ量を算出することが可能となる。
これによって、複数の溝表面の2点の位置情報を測定するといった比較的簡易な測定処理で、中心座標のズレ量及び中心座標を算出することができるという効果が得られる。
〔形態5〕 更に、形態5の溝研削装置は、形態3の構成に対して、溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、目標溝断面形状のままX軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、位置情報測定部は、2点の位置情報に対応する座標として、(Xw1,Z1)、(Xw2,Z2)を測定し、ズレ量算出部は、二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、二つの円弧のオフセット量をOfu及びOfdとし、下式(1)及び(2)に基づき、溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δx及びδzを算出する。
(Xw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(1)
(Xw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(2)
この構成であれば、ズレ量算出部によって、測定した2点の位置情報(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)と、目標溝形状データと、上式(1)及び(2)に従って、4点接触玉軸受のゴシックアーク形状の溝断面形状に接触する仮想ボールの理想の中心座標からのズレ量δx及びδzを算出することが可能となる。
これによって、簡易な測定処理及び簡易な計算処理で、中心座標のズレ量を算出することができるという効果が得られる。
〔形態6〕 更に、形態6の溝研削装置は、形態5の構成に対して、溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、目標溝断面形状のままY軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、位置情報測定部は、2点の位置情報に対応する座標として、(Yw1,Z1)、(Yw2,Z2)を測定し、ズレ量算出部は、二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、二つの円弧のオフセット量をOfu及びOfdとし、下式(3)及び(4)に基づき、溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δy及びδzを算出する。
(Yw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(3)
(Yw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(4)
この構成であれば、ズレ量算出部によって、測定した2点の位置情報(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)と、目標溝形状データと、上式(3)及び(4)に従って、4点接触玉軸受のゴシックアーク形状の溝断面形状に接触する仮想ボールの理想の中心座標からのズレ量δy及びδzを算出することが可能となる。
これによって、簡易な測定処理及び簡易な計算処理で、中心座標のズレ量を算出することができるという効果が得られる。
〔形態7〕 更に、形態7の溝研削装置は、形態3乃至6のいずれか1の構成に対して、位置情報測定部は、軌道輪の周面に形成された溝の4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、寸法誤差算出部は、前記2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離をボールが運動する円の直径として算出し、算出した直径に基づき寸法誤差を算出する。
このような構成であれば、位置情報測定部によって、例えば、ワークが4点接触玉軸受の外輪であれば内周面に形成された溝における対向する2つの溝部分表面の位置情報を測定することが可能となる。また、例えば、ワークが4点接触玉軸受の内輪であれば外周面に形成された溝における支持軸方向と直交する直線上の(ワークを挟んで背面対向する)2つの溝部分表面の位置情報を測定することが可能となる。
そして、寸法誤差算出部によって、対向する2つの溝部分のボール中心座標及び背面対向する2つの溝部分のボール中心座標を推定することが可能となるので、これらボール中心座標間の距離から、ボールの運動する円の直径を算出することが可能となる。
これによって、算出した直径と設計値との差から直径の寸法誤差を算出することが可能となる。
〔形態8〕 更に、形態8の溝研削装置は、形態3乃至7のいずれか1の構成に対して、位置情報測定部は、軌道輪の周面に形成された溝の4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する第1直線上に位置する一の2つの溝部分と、第1直線と直交する第2直線上に位置する他の2つの溝部分とについて、溝部分表面の位置情報を測定し、寸法誤差算出部は、一の2つの溝部分に対応する仮想ボールの中心座標間の距離と、他の2つの溝部分に対応する仮想ボールの中心座標間の距離との差分を寸法誤差の1つである楕円量として算出する。
このような構成であれば、位置情報測定部によって、例えば、ワークが4点接触玉軸受の外輪(又は内輪)であれば内周面(又は外周面)に形成された溝における対向する(又は背面対向する)一の2つの溝部分表面の位置情報と、一の2つの溝部分の対向方向(又は背面対向方向)と直交する方向に対向(又は背面対向)する他の2つの溝部分表面の位置情報を測定することが可能となる。
これにより、寸法誤差算出部によって、一の2つの溝部分のボール中心座標間距離と、他の2つの溝部分のボール中心座標間距離との差分から、寸法誤差の1つである楕円量を算出することが可能となる。
〔形態9〕 更に、形態9の溝研削装置は、形態3乃至8のいずれか1の構成に対して、位置情報測定部は、軌道輪の周面に形成された溝の4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、寸法誤差算出部は、軌道輪の支持軸方向の端面の支持軸方向の座標値と、2つの溝部分の一方に対応する仮想ボールの中心座標のうちの支持軸方向の座標値との差分と、端面の前記支持軸方向の座標値と、2つの溝部分の他方に対応する仮想ボールの中心座標のうちの支持軸方向の座標値との差分とを、寸法誤差の1つである芯よりとして算出する。
このような構成であれば、位置情報測定部によって、例えば、ワークが4点接触玉軸受の外輪であれば内周面に形成された溝における対向する2つの溝部分表面の位置情報を測定することが可能となる。また、例えば、ワークが4点接触玉軸受の内輪であれば外周面に形成された溝における支持軸方向と直交する直線上の(ワークを挟んで背面対向する)2つの溝部分表面の位置情報を測定することが可能となる。
これにより、寸法誤差算出部によって、軌道輪の支持軸方向の端面の支持軸方向の座標値と、軌道輪の対向する2つの溝部分のボール中心座標又は背面対向する2つの溝部分のボール中心座標における支持軸方向の座標値との差分から、寸法誤差の1つである芯よりを算出することが可能となる。
〔形態10〕 更に、形態10の溝研削装置は、形態3乃至9のいずれか1の構成に対して、位置情報測定部は、軌道輪の周面に形成された溝の4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、2つの溝部分の一方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの支持軸方向の座標値と、2つの溝部分の他方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの支持軸方向の座標値との差分を、寸法誤差の1つである2つの溝部分の前記ワークに対する傾斜誤差として算出する。
このような構成であれば、位置情報測定部によって、例えば、ワークが4点接触玉軸受の外輪であれば内周面に形成された溝における対向する2つの溝部分表面の複数箇所の位置情報を測定することが可能となる。また、例えば、ワークが4点接触玉軸受の内輪であれば外周面に形成された溝における支持軸方向と直交する直線上の(ワークを挟んで背面対向する)2つの溝部分表面の複数箇所の位置情報を測定することが可能となる。
これにより、寸法誤差算出部によって、軌道輪の対向する2つの溝部分又は背面対向する2つの溝部分の一方のボール中心座標と他方のボール中心座標における支持軸方向の座標値との差分から、寸法誤差の1つである溝の軌道輪に対する傾斜誤差を算出することが可能となる。
溝研削装置1の全体構成の一例を示す図である。 (a)は、タッチプローブヘッド24を側面から見た模式図であり、(b)は、タッチプローブヘッド24を装着側(上面側)から見た模式図であり、(c)は、圧力センサの配置構成を示す模式図であり、(d)は、プローブ軸24bの可動の様子を示す模式図である。 図3(a)〜(c)は、溝研削部2のヘッド交換方法の一例の説明図である。 溝研削部2のX軸移動機構及びZ軸移動機構の一例を示す模式図である。 (a)は、溝研削部2のX軸移動機構、Y軸移動機構及びZ軸移動機構の一例を示す図であり、(b)はY軸移動機構の一例を示す図である。 制御装置5のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 制御装置5の機能構成の一例を示すブロック図である。 目標溝形状データの一例を示す図である。 溝加工処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 位置情報測定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 タッチプローブヘッド24による溝表面位置の測定の一例を示す図である。 中心座標算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)は、ワークの理想位置に溝が形成された場合のボール中心座標の一例を示す図であり、(b)は、理想位置から外れた位置に溝が形成された場合のボール中心座標の一例を示す図である。 寸法誤差算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 軸受外輪をZ軸方向から見た軸に直角な断面図であり、(a)は、直交且つ対向する溝部分の位置測定例を示す図であり、(b)は、(a)の溝部分における直径Rの測定例を示す図である。 4点接触玉軸受に対する直径R及び芯よりLaの測定例を示す図である。 (a)〜(c)は、マスターワーク6mに対する目標溝位置及び補正値の測定動作例を示す図である。 (a)〜(d)は、最初に加工するワーク6に対する溝研削装置1の動作例を示す図である。 溝研削対象である4点接触玉軸受の内輪をZ軸方向から見た図である。 (a)〜(d)は、2個目以降のワーク6に対する溝研削装置1の動作例を示す図である。
(構成)
本実施形態の溝研削装置1は、例えば、4点接触玉軸受の軌道輪(外輪及び内輪)等のワークの周面にボールの転動路となる溝を、砥石による研削加工によって形成する装置である。
この溝研削装置1は、図1に示すように、溝研削部2と、ワーク支持部3と、ドレッサー装置4と、制御装置5とを含んで構成される。
溝研削部2は、砥石ヘッド21と、回転軸としての砥石スピンドル22と、該砥石スピンドル22を内部に収容する砥石スピンドルハウジング23と、タッチプローブヘッド24と、砥石スピンドル22の回転駆動源である砥石スピンドル用モータ25と、を含んで構成される。
砥石ヘッド21は、円盤状の溝研削用砥石21aと、この溝研削用砥石21aを砥石スピンドル22に取り付けるための砥石取付軸21bとから構成されている。
溝研削用砥石21aは、ドレッサー装置4によるドレスによって、ワークに形成する溝形状に合致した凸状砥石面が外周面に成形されるようになっている。
かかる構成によって、溝研削部2は、砥石スピンドル用モータ25によって砥石スピンドル22を回転駆動することで、砥石取付軸21bを介して砥石スピンドル22の先端に取り付けられた溝研削用砥石21aを回転する。すなわち、この回転する溝研削用砥石21aをワークの周面に接触させることで、接触面を研削加工して溝を形成する。
また、砥石ヘッド21は、砥石取付軸21bによって、砥石スピンドル22に対して着脱自在に構成されている。
タッチプローブヘッド24は、本実施形態において、砥石ヘッド21を取り外した状態の砥石スピンドルハウジング23に装着され、溝研削部2で研削加工した溝の表面の位置情報を測定する際に用いられる。なお、タッチプローブヘッド24の詳細については後述する。
また、溝研削部2は、後述する移動機構によって、図1中のX軸方向とZ軸方向とに移動可能に構成されている。移動機構の詳細については後述する。
ワーク支持部3は、支持台31と、支持台31上に設けられたテーブル32と、テーブル32上に設けられたワーク支持用部材33と、テーブル32を回転自在に支持するワーク回転用スピンドル34とを含んで構成される。更に、ワーク支持部3は、ワーク回転用スピンドル34を内部に収容するワーク回転用スピンドルハウジング35と、ワーク回転用スピンドル34を回転駆動するワーク回転用モータ36とを含んで構成される。
ワーク支持用部材33は、ワーク6の種類に対応して、様々な形状のものが用意されており、例えば、磁力によってワーク6を固定支持するマグネットチャック等から構成されている。即ち、本実施形態のワーク支持用部材33は、研削加工するワーク6の種類に応じて、対応する形状のものを付け替え可能に構成されている。
なお、図1に例示したワーク6は、例えば、4点接触玉軸受の外輪であり、外輪の内周面に溝を形成するため、円筒形状のワーク支持用部材33の内側にワーク6を嵌合して、ワーク6を外側から固定支持するように構成されている。
また、例えば、ワーク6が、4点接触玉軸受の内輪である場合は、ワーク6の外周面に溝を形成する。そのため、ワーク支持用部材33は、ワーク6の内周面側に嵌合されてワーク6を内側から固定支持する形状に構成される。
ワーク回転用モータ36は、図示しないが、モータ回転角度位置を検出するアブソリュート方式のロータリエンコーダ36r(以下、「ワーク回転軸エンコーダ36r」と称す)を備えている。そして、ワーク回転軸エンコーダ36rで検出したモータ回転角度位置θmrを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信するように構成されている。
かかる構成によって、ワーク支持部3は、ワーク回転用モータ36によってワーク回転用スピンドル34を回転駆動することで、テーブル32を回転すると共に、テーブル32上にワーク支持用部材33を介して固定支持されたワーク6を回転する。
なお、本実施形態のワーク支持部3は、図示していないが、固定支持するワークを自動で交換するワーク交換機構を備えている。
ドレッサー装置4は、ドレッサーヘッド41と、ドレッサースピンドル42と、ドレッサースピンドルハウジング43と、ドレッサー回転用モータ44とを含んで構成される。
ドレッサーヘッド41は、溝研削用砥石21aの外周面に、ワークに形成する溝形状に合致した凸状砥石面を成形するドレッサー41aと、このドレッサー41aをドレッサースピンドル42に取り付けるためのドレッサー取付軸41bとから構成されている。
ドレッサー41aは、周面に沿って、凸状砥石面に合致する断面略円弧状のドレス溝が設けられている。
かかる構成によって、ドレッサー装置4は、ドレッサー回転用モータ44によってドレッサースピンドル42を回転駆動することで、ドレッサー取付軸41bを介してドレッサースピンドル42の先端に取り付けられたドレッサー41aを予め設定したドレス用の回転速度で回転する。すなわち、この回転するドレッサー41aのドレス溝に、溝研削用砥石21aを接触させることで、接触面をドレスして凸状砥石面を成形する。または、ドレッサー41aを固定状態としたまま、砥石スピンドル用モータ25によって砥石スピンドル22を回転駆動することで、砥石スピンドル22の先端に取り付けられた砥石ヘッド21を予め設定したドレス用の回転速度で回転する。すなわち、この回転する砥石ヘッド21の溝研削用砥石21aの成形面をドレッサー41aのドレス溝に接触させることで、接触面をドレスして凸状砥石面を成形する。
制御装置5は、砥石スピンドル用モータ25、ワーク回転用モータ36、ドレッサー回転用モータ44及び後述する移動機構の備えるモータを駆動制御して、ドレッサー装置4によるドレス処理、溝研削部2による溝粗研削処理、溝研削部2による寸法測定処理、測定寸法に基づく寸法誤差及び補正値の算出処理、寸法誤差及び補正値に基づく仕上加工処理等を実行する。なお、制御装置5の詳細な構成については後述する。
(タッチプローブヘッドの構成)
次に、図2に基づき、本実施形態のタッチプローブヘッド24の構成を説明する。
タッチプローブヘッド24は、図2(a)及び(b)に示すように、プローブ取付部24aと、プローブ取付部24aの一端に突出形成されたプローブ軸24bとを備えている。
プローブ取付部24aは、他端側に砥石スピンドルハウジング23を嵌合するための嵌合穴24kが設けられている。図2(a)に示すように、プローブ軸24bは、プローブ取付部24aの内側のプローブ軸上部24buと、プローブ取付部24aの外側のプローブ軸下部24bdとが一体形成された構成となっている。
更に、タッチプローブヘッド24は、図2(a)及び(b)に示すように、プローブ軸24bの先端部の外周面から該先端部を介して背中合せに外側に突出する第1アーム部24c及び第2アーム部24eと、第1アーム部24c及び第2アーム部24eと直交する方向に背中合わせに外側に突出する第3アーム部24m及び第4アーム部24pとを備えている。なお更に、タッチプローブヘッド24は、第1アーム部24c及び第2アーム部24eの先端に形成された第1先端球24d及び第2先端球24fと、第3アーム部24m及び第4アーム部24pの先端に形成された第3先端球24n及び第4先端球24qとを備えている。更に、タッチプローブヘッド24は、図2(c)に示すように、プローブ取付部24aの内部に設けられた第1圧力センサ24gと、第2圧力センサ24hと、第3圧力センサ24rと、第4圧力センサ24sとを備えている。更に、タッチプローブヘッド24は、プローブ軸24bの傾きに応じた力を第1圧力センサ24gに伝達する第1伝達部材24iと、プローブ軸24bの傾きに応じた力を第2圧力センサ24hに伝達する第2伝達部材24jとを備えている。なお更に、タッチプローブヘッド24は、プローブ軸24bの傾きに応じた力を第3圧力センサ24rに伝達する第3伝達部材24tと、プローブ軸24bの傾きに応じた力を第4圧力センサ24sに伝達する第4伝達部材24uとを備えている。
なお、上記圧力センサ及び伝達部材の配置されている箇所は、図2(b)に示すように、円形板状のカバー24CVによって覆われている。
かかる構成によって、第1先端球24dが溝の表面に接触して押されることで、図2(d)に示すように、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第1伝達部材24iが押されて第1圧力センサ24gにおいてこの押圧力Pr1が検出される。同様に、第2先端球24fが溝の表面に接触して押されることで、図2(d)に示すように、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第2伝達部材24jが押されて第2圧力センサ24hにおいてこの押圧力Pr2が検出される。
同様に、図示省略するが、第3先端球24nが溝の表面に接触して押されることで、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第3伝達部材24tが押されて第3圧力センサ24rにおいてこの押圧力Pr3が検出される。また、第4先端球24qが溝の表面に接触して押されることで、押された方向とは逆方向にプローブ軸24bが傾く。これにより、プローブ軸上部24buによって第4伝達部材24uが押されて第4圧力センサ24sにおいてこの押圧力Pr4が検出される。
以下、第1先端球24d、第2先端球24f、第3先端球24n及び第4先端球24qを、単に「先端球24d、24f、24n及び24q」と称する場合がある。
これら検出された押圧力の検出値Pr1、Pr2、Pr3及びPr4は、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信される。
なお、本実施形態においては、後述する位置基準マスターの測定のために、タッチプローブヘッド24は、図示省略するが、先端球24d、24f、24n及び24qのZ軸方向の接触による押圧力も検出可能に構成されている。
これら検出された押圧力の検出値Pr5、Pr6、Pr7及びPr8は、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信される。
(ヘッドの交換について)
次に、図3に基づき、ヘッドの交換について説明する。
本実施形態において、砥石ヘッド21は、図3(a)に示すように、砥石スピンドル22から取り外しが可能となっている。そして、砥石ヘッド21を、砥石スピンドル22から取り外した状態で、図3(b)に示すように、タッチプローブヘッド24のプローブ取付部24aを、嵌合穴24kを介して砥石スピンドルハウジング23に外嵌することで、図3(c)に示すように、タッチプローブヘッド24が溝研削部2に装着される。
なお、本実施形態では、図示していないが、ヘッドの交換を自動で行うヘッド交換機構を備えている。従って、溝粗研削処理、位置情報測定処理及び仕上加工処理において、溝研削部2に対して、それぞれ適切な砥石ヘッド21又はタッチプローブヘッド24への交換(着脱)を自動で行うことが可能である。
また、本実施形態では、図示していないが、ドレッサー装置4についても、ドレッサーヘッドの交換を自動で行うヘッド交換機構を備えている。従って、ドレス処理を実施する際に、ワークの型番等に応じて適切なドレッサーヘッドへの交換(着脱)を自動で行うことが可能である。
(溝研削部2の移動機構の構成)
次に、図4及び図5に基づき、溝研削部2を、直交座標系であるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動する移動機構の構成について説明する。
溝研削部2の移動機構は、図4及び図5に示すように、X軸移動機構26と、Z軸移動機構27と、Y軸移動機構28とを備えている。
X軸移動機構26は、第1の取付板26aと、直線状の第1の案内レール26bと、第1のボールねじ軸26cと、第1のボールねじナット26dと、第1の支持板26eと、X軸駆動用モータ26mと、X軸エンコーダ26rとを備えている。
図4に示すように、第1の取付板26aには、溝研削部2が例えばねじ止めによって固定支持されており、第1の取付板26aは、第1のボールねじナット26dの矩形状の上面に例えばねじ止めによって固定支持されている。
第1のボールねじ軸26cは、螺旋状のねじ溝を外周面に有し、第1のボールねじナット26dは、ねじ軸のねじ溝に対向するねじ溝を内周面に有し、両ねじ溝により形成される螺旋状のボール転動路内に転動自在に複数のボールが装填されている。
第1の案内レール26bは、第1の支持板26e上に、例えばねじ止めによって固定支持されている。第1の案内レール26bは、X軸方向に延びる案内溝を有し、案内溝内に第1のボールねじ軸26cが配設され、第1のボールねじナット26dが、案内溝に沿って移動可能に取り付けられている。
第1のボールねじ軸26cの一端は、X軸駆動用モータ26mの駆動軸に例えばカップリングを介して連結され、他端側は、ボールを介して第1のボールねじナット26dと結合している。
X軸駆動用モータ26mは、第1のボールねじ軸26cに回転力を付与するサーボモータであって、不図示の電気ケーブルを介した制御装置5からのモータ制御信号によって駆動制御される。
X軸エンコーダ26rは、X軸駆動用モータ26mのモータ回転角度位置θmxを検出するインクリメンタル方式のロータリエンコーダである。X軸エンコーダ26rは、検出したモータ回転角度位置θmxを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信する。
かかる構成によって、X軸移動機構26は、X軸駆動用モータ26mの回転駆動力によって、第1のボールねじ軸26cを回転駆動することで、ボールの転動を介して第1のボールねじナット26dが第1の案内レール26bの案内溝に沿って第1のボールねじ軸26cに対して軸方向に相対移動する。即ち、第1のボールねじナット26dに固定支持された第1の取付板26aがX軸方向に移動し、第1の取付板26aに固定支持された溝研削部2がX軸方向に移動する。
次に、Z軸移動機構27は、図4に示すように、第2の取付板27aと、直線状の第2の案内レール27bと、第2のボールねじ軸27cと、第2のボールねじナット27dと、矩形平板状の第2の支持板27eと、Z軸駆動用モータ27mと、Z軸エンコーダ27rとを備えている。
図4に示すように、第2の取付板27aには、X軸移動機構26が第1の支持板26eを介して例えばねじ止めによって固定支持されており、第2の取付板27aは、第2のボールねじナット27dの矩形状の上面に例えばねじ止めによって固定支持されている。
第2のボールねじ軸27c及び第2のボールねじナット27dは、第1のボールねじ軸26c及び第1のボールねじナット26dと同様の構成を有している。
第2の案内レール27bは、第2の支持板27e上に、例えばねじ止めによって固定支持されている。第2の案内レール27bは、Z軸方向に延びる案内溝を有し、案内溝内に第2のボールねじ軸27cが配設され、第2のボールねじナット27dが、案内溝に沿って移動可能に取り付けられている。
第2のボールねじ軸27cの一端は、Z軸駆動用モータ27mの駆動軸に例えばカップリングを介して連結され、他端側は、ボールを介して第2のボールねじナット27dと結合している。
Z軸駆動用モータ27mは、第2のボールねじ軸27cに回転力を付与するサーボモータであって、不図示の電気ケーブルを介した制御装置5からのモータ制御信号によって駆動制御される。
Z軸エンコーダ27rは、Z軸駆動用モータ27mの回転角度位置θmzを検出するインクリメンタル方式のロータリエンコーダである。Z軸エンコーダ27rは、検出した回転角度位置θmzを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信する。
かかる構成によって、Z軸移動機構27は、Z軸駆動用モータ27mの回転駆動力によって、第2のボールねじ軸27cを回転駆動すると、ボールの転動を介して第2のボールねじナット27dが第2の案内レール27bの案内溝に沿って第2のボールねじ軸27cに対して軸方向に相対移動する。即ち、第2のボールねじナット27dに固定支持された第2の取付板27aがX軸方向に移動し、第2の取付板27aに固定支持されたX軸移動機構26がX軸に移動する。これによって、溝研削部2がZ軸方向に移動する。
次に、Y軸移動機構28は、図5(a)及び(b)に示すように、第3の取付板28aと、直線状の第3の案内レール28bと、第3のボールねじ軸28cと、第3のボールねじナット28dと、第2の支持板28eと、Y軸駆動用モータ28mと、Y軸エンコーダ28rとを備えている。
図5(a)及び(b)に示すように、第3の取付板28aには、Z軸移動機構27が側面視略T字状の第2の支持板27eのY軸方向に延びる突出部を介して例えばボルト締結によって強固に固定支持されている。更に、第3の取付板28aは、第3のボールねじナット28dの矩形状の上面に例えばねじ止めによって固定支持されている。
第3のボールねじ軸28c及び第3のボールねじナット28dは、第1のボールねじ軸26c及び第1のボールねじナット26dと同様の構成を有している。
第3の案内レール28bは、基台29上に、例えばボルト締結によって強固に固定支持されている。第3の案内レール28bは、Y軸方向に延びる案内溝を有し、案内溝内に第3のボールねじ軸28cが配設され、第3のボールねじナット28dが、案内溝に沿って移動可能に取り付けられている。
第3のボールねじ軸28cの一端は、Y軸駆動用モータ28mの駆動軸に例えばカップリングを介して連結され、他端側は、ボールを介して第3のボールねじナット28dと結合している。
Y軸駆動用モータ28mは、第3のボールねじ軸28cに回転力を付与するサーボモータであって、不図示の電気ケーブルを介した制御装置5からのモータ制御信号によって駆動制御される。
Y軸エンコーダ28rは、Y軸駆動用モータ28mのモータ回転角度位置θmyを検出するインクリメンタル方式のロータリエンコーダである。Y軸エンコーダ28rは、検出したモータ回転角度位置θmyを、不図示の電気ケーブルを介して制御装置5に送信する。
かかる構成によって、Y軸移動機構28は、Y軸駆動用モータ28mの回転駆動力によって、第3のボールねじ軸28cを回転駆動すると、ボールの転動を介して第3のボールねじナット28dが第3の案内レール28bの案内溝に沿って第3のボールねじ軸28cに対して軸方向に相対移動する。即ち、第3のボールねじナット28dに固定支持された第3の取付板28aがY軸方向に移動し、第3の取付板28aに固定支持されたZ軸移動機構27がY軸方向に移動する。これに伴い、第2のボールねじナット27dを介してZ軸移動機構に固定支持されたX軸移動機構26がY軸方向に移動する。これによって、溝研削部2がY軸方向に移動する。
(制御装置5のハードウェア構成)
次に、図6に基づき、制御装置5のハードウェア構成を説明する。
制御装置5は、図6に示すように、各種制御や演算処理を担う中央演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)60と、主記憶装置(Main Storage)を構成するRAM(Random Access Memory)62と、読み出し専用の記憶装置であるROM(Read Only Memory)64とを備える。加えて、PCI(Peripheral Component Interconnect)バス等からなる各種内外バス68と、入出力インターフェース(I/F)66とを備える。
そして、CPU60、RAM62及びROM64との間を各種内外バス68で接続すると共に、このバス68にI/F66を介して、第1圧力センサ24g、第2圧力センサ24hなどのセンサ、X軸エンコーダ26r、Z軸エンコーダ27r、Y軸エンコーダ28rなどのモータ回転角度位置検出装置、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置(Secondary Storage)70や、LCDモニタ等の出力装置72、操作パネル、キーボード、マウスなどの入力装置74などを接続したものである。
そして、電源を投入すると、ROM64等に記憶されたBIOS等のシステムプログラムが、ROM64に予め記憶された各種専用のコンピュータプログラム、あるいは、CD−ROMやDVD−ROMなどの記憶媒体を介して記憶装置70にインストールされた各種専用のコンピュータプログラムをRAM62にロードし、RAM62にロードされたプログラムに記述された命令に従ってCPU60が各種リソースを駆使して所定の制御及び演算処理を行うことで後述する各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。
(制御装置5の機能構成)
次に、図7に基づき、制御装置5の機能構成を説明する。
制御装置5の機能構成部50は、図7に示すように、溝研削処理部51と、位置情報測定部52と、中心座標算出部53と、寸法誤差算出部54と、仕上加工処理部55とを含んで構成される。
溝研削処理部51は、入力装置74を介して入力される研削開始指令に応じて、記憶装置70に予め記憶された、形成する溝の種類(例えば商品又はワークの型番等)に対応した、目標溝形状データ、加工条件データ等の溝研削加工に必要なデータを記憶装置70から読み出す。そして、読み出したデータに基づき、まず、溝研削用砥石21aのドレス処理、マスターワーク6m(後述)の周面への溝の粗研削加工処理、マスターワーク6mに対する目標溝位置及び補正値の測定処理を実行する。
本実施形態では、例えば、4点接触玉軸受等のボールが転動する転動路を構成する溝を形成するワークを加工対象とする。即ち、溝表面に対してボールが必ず2点で接触する構成の溝(断面形状がゴシックアーク形状の溝)を加工対象とする。
ここで、目標溝形状データは、研削加工対象のワーク(4点接触玉軸受等)の型番毎に1つのデータが用意されている。具体的に、図8に示すように、目標溝断面形状(ゴシックアーク形状)100を構成する上側円弧Aru及び下側円弧Ardの曲率半径Ru及びRdと、溝表面に接触する仮想ボールの中心位置O(これを基準位置とする)に対する、上側円弧Aru及び下側円弧Ardの円中心位置Ou及びOdの軸方向のオフセット量Ofu及びOfdとを含むデータである。更に、本実施形態では、後述する式(5)〜(8)の情報と、各測定対象位置に対応する仮想ボールの中心座標の情報と、仮想ボールが接触する2点のZ軸座標(Z1,Z2)のデータとを含むものである。
ここで、仮想ボールの中心座標の情報は、各測定対象位置に対応する中心座標そのものでもよいし、各測定対象位置に対応する中心座標を算出可能な情報でもよい。
また、加工条件データは、ワーク6の形状、材質等、溝研削用砥石21aの種類等によって予め決められた加工条件のデータである。例えば、商品又はワークの型番毎に設定されるデータである。
目標溝位置及び補正値の測定処理は、具体的に、タッチプローブヘッド24を用いて、粗溝研削後のマスターワーク6mに形成された溝の、予め設定した測定対象の溝部分の溝表面位置(Xm1,Z1)及び(Xm2,Z2)と、(Xm3,Z1)及び(Xm4,Z2)とを測定する。そして、この測定値と目標溝形状データとに基づき、下式(5)及び(6)に従って、溝位置のズレ量δx1及びδz1と、δx2及びδz2とを測定する処理となる。加えて、溝表面位置(Ym1,Z1)及び(Ym2,Z2)と、(Ym3,Z1)及び(Ym4,Z2)とを測定し、この測定値と目標溝形状データとに基づき、下式(7)及び(8)に従って、溝位置のズレ量δy1及びδz3と、δy2及びδz4とを測定する処理となる。
即ち、溝研削用砥石21aの座標と、ドレッサー41aの座標とが正確に一致しないため、マスターワーク6mを加工して、予め設定した測定対象の溝部分の溝表面位置を目標溝位置として求める。そして、この目標溝位置の理想的な溝位置に対するズレ量δx1及びδz1、δx2及びδz2、δy1及びδz3、並びにδy2及びδz4を補正値Cx1及びCz1、Cx2及びCz2、Cy1及びCz3、並びにCy2及びCz4として求める処理となる。これら補正値は、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
以下、補正値Cx1及びCz1と補正値Cx2及びCz2とを、単に「補正値Cx及びCz」と称す場合があり、補正値Cy1及びCz3と補正値Cy2及びCz4とを、単に「補正値Cy及びCz」と称す場合がある。
(X−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(5)
(X−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(6)
(Y−δy)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(7)
(Y−δy)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(8)
溝研削処理部51は、補正値Cx及びCz並びに補正値Cy及びCzの測定後に、まず、最初に加工する加工前のワーク6に対して、位置基準マスターの測定処理を行い、この測定結果を、位置基準マスター初期値としてRAM62又は記憶装置70に記憶する。次に、このワーク6の周面への溝の粗研削加工処理を実行する。そして、加工後に、位置情報測定部52に対して位置情報測定指令を出力する。
これらの処理は、砥石スピンドル用モータ25、ワーク回転用モータ36、ドレッサー回転用モータ44、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御することで実行する。
以降は、新たなワーク6を加工する毎に、加工後のワークの位置基準マスターを測定し、この測定値と先に測定した位置基準マスター初期値との差を演算し、この演算結果が予め設定した規定値以下であれば位置情報測定部52に対して位置情報測定指令を出力する。一方、規定値を超えている場合は、異常と見なして動作を中断し、操作者に警報等で知らせる。
位置情報測定部52は、溝研削処理部51から入力される位置情報測定指令に応じて、まず、タッチプローブヘッド24を用いて、粗研削加工によって形成した溝の表面位置の情報を測定する。この処理は、ワーク回転用モータ36、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御することで実行する。
具体的に、位置情報測定部52は、予め設定した位置に形成されている各溝部分(本実施形態では4箇所)に対して予め設定されたZ軸座標(Z1、Z2)の2箇所の表面位置情報を測定する。
即ち、位置情報測定部52は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、ワークを測定開始基準位置へと回転移動する。ここで、測定開始基準位置は、例えば、「θmr=0°」の位置とする。次に、測定対象の溝部分の位置に応じて、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24を測定位置への位置合わせに必要な各軸方向に移動して測定対象の溝部分正面の予め設定されたZ1座標位置で停止する。このとき、各溝部分の測定に用いる先端球を予め決定しておき、各溝位置に対応する先端球が正面に来るように移動を行う。引き続き、X軸駆動用モータ26m又はY軸駆動用モータ28mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24をX軸方向又はY軸方向に移動し、先端球24d、24f、24n又は24qを溝表面に接触させ、接触時のモータ回転角度位置θmx又はθmyを測定する。更に、モータ回転角度位置θmx又はθmyから、接触位置のX軸座標値(Xw1)又はY軸座標値(Yw1)を算出し、Xw1及びZ1又はYw1及びZ1を組にして、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
続いて、位置情報測定部52は、X軸駆動用モータ26m又はY軸駆動用モータ28mを駆動制御して、先端球24d、24f、24n及び24qのうち接触している先端球が接触位置から離れる方向にタッチプローブヘッド24を移動する。引き続き、Z軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24をZ軸方向に移動し、先端球24d、24f、24n又は24qを予め設定されたZ2座標位置で停止する。そして、X軸駆動用モータ26m又はY軸駆動用モータ28mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24をX軸方向又はY軸方向に移動し、先端球24d、24f、24n又は24qを溝表面に接触させ、接触時のモータ回転角度位置θmx又はθmyを測定する。更に、モータ回転角度位置θmx又はθmyから、接触位置のX軸座標値(Xw2)又はY軸座標値(Yw2)を算出し、Xw2及びZ2又はYw2及びZw2を組にして、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
以下、上記位置情報の測定に用いる座標系を、「ワーク座標系」と称する場合がある。
なお、本実施形態では、互いに対向する2組の溝部分(4つの溝部分)を測定対象とするため(詳細は後述)、Xw1及びXw2の他にXw3及びXw4を測定し、Yw1及びYw2の他にYw3及びYw4を測定する。このとき、Xw1及びXw2並びにXw3及びXw4を測定時のY軸座標値は予め設定された固定値(Ywm)となり、Yw1及びYw2並びにYw3及びYw4を測定時のX軸座標値は予め設定された固定値(Xwm)となる。
また、溝研削処理部51で実行される、上述したマスターワーク6mに対する目標溝位置の測定処理も同様の処理となる。
また、本実施形態では、目標溝形状データの座標系とワーク座標系とは一致していることとする。
位置情報測定部52は、全ての測定位置に対する溝表面位置の測定を終了すると、中心座標算出指令を、中心座標算出部53に出力する。
中心座標算出部53は、位置情報測定部52からの中心座標算出指令に応じて、RAM62又は記憶装置70に記憶された位置情報(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)と、(Xw3,Z1)及び(Xw4,Z2)と、目標溝形状データと、上式(5)〜(6)と、補正値Cx及びCzとに基づき、ワーク6に形成した各溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標を算出する。
加えて、中心座標算出部53は、RAM62又は記憶装置70に記憶された位置情報(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)と、(Yw3,Z1)及び(Yw4,Z2)と、目標溝形状データと、上式(7)〜(8)と、補正値Cy及びCzとに基づき、ワーク6に形成した各溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標を算出する。
ここで、目標溝位置のズレ量(補正値)がCx及びCzであることから、形成した溝が補正値を考慮した理想的なX軸座標位置にある場合、上式(5)及び(6)より算出したδxは、「δx=Cx」となる。一方、理想的なX軸座標位置からずれている場合は、「δx≠Cx」となる。また、形成した溝が補正値を考慮した理想的なX軸座標位置にある場合、上式(5)及び(6)より算出したδzは、「δz=Cz」となる。一方、理想的なZ軸座標位置からずれている場合は、「δz≠Cz」となる。このことは、補正値Cy及びCzについても同様に、形成した溝が補正値を考慮した理想的なY軸座標位置にある場合、上式(7)及び(8)より算出したδyは、「δy=Cy」となる。一方、理想的なY軸座標位置からずれている場合は、「δy≠Cy」となる。
なお、本実施形態では、ワークに形成した溝の断面形状は、目標溝断面形状と一致するとして、目標溝断面形状がX軸方向及びZ軸方向又はY軸方向及びZ軸方向へと平行移動する形で形成位置がズレる場合を前提としている。
即ち、中心座標算出部53は、測定した位置情報(X1,Z1)及び(X2,Z2)(又は(X3,Z1)及び(X4,Z2))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Ru及びRdと、オフセット量Ofu及びOfdとを、上式(5)及び(6)に代入して、連立方程式を解き、ズレ量δx1及びδz1(又はδx2及びδz2)を算出する。更に、算出したズレ量δx1及びδz1(又はδx2及びδz2)から、予めマスターワーク6mに対して測定した補正値Cx1及びCz1(又はCx2及びCz2)を減算して、最終的なズレ量δXc1及びδZc1(又はδXc2及びδZc2)を算出する。ワークに形成した溝は、理想的な溝形状のまま平行移動する方向にズレることから、ズレ量δXc1及びδZc1(又はδXc2及びδZc2)は、ワーク6に形成した溝に対する仮想ボールの中心座標のズレ量となる。
また、中心座標算出部53は、測定した位置情報(Y1,Z1)及び(Y2,Z2)(又は(Y3,Z1)及び(Y4,Z2))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Ru及びRdと、オフセット量Ofu及びOfdとを、上式(7)及び(8)に代入して、連立方程式を解き、ズレ量δy1及びδz3(又はδy2及びδz4)を算出する。更に、算出したズレ量δy1及びδz3(又はδy2及びδz4)から、予めマスターワーク6mに対して測定した補正値Cy1及びCz3(又はCy2及びCz4)を減算して、最終的なズレ量δYc1及びδZc3(又はδYc2及びδZc4)を算出する。ワークに形成した溝は、理想的な溝形状のまま平行移動する方向にズレることから、ズレ量δYc1及びδZc3(又はδYc2及びδZc4)は、ワーク6に形成した溝に対する仮想ボールの中心座標のズレ量となる。
中心座標算出部53は、算出したズレ量(δXc1,δZc1)、(δXc2,δZc2)、(δYc1,δZc3)及び(δYc2,δZc4)から、各測定位置に対応するボール中心座標(Xc1,Zc1)、(Xc2,Zc2)、(Yc1,Zc1)及び(Yc2,Zc2)を算出する。この算出処理は、ワークの型番毎に予め用意した変換テーブルを用いて行ってもよいし、仮想ボールの中心座標位置、ワークの寸法等から計算によって算出してもよい。
中心座標算出部53は、全ての測定位置に対するボール中心座標の算出処理が終了すると、寸法誤差算出指令を、寸法誤差算出部54に出力する。
寸法誤差算出部54は、位置情報を測定した複数の溝部分に対して算出された、各々のボール中心座標(Xc1,Zc1)、(Xc2,Zc2)、(Yc1,Zc1)及び(Yc2,Zc2)に基づき、ボールの運動する円の直径、楕円量、芯より、傾斜誤差等の各種寸法及び寸法誤差を算出する。加えて、算出した寸法誤差に基づき、各種設計値との差分値を算出し、算出した差分値に基づき機械(例えば溝研削部2)の姿勢等の補正値及び取り残し代を算出する。
そして、寸法誤差算出部54は、補正値及び取り残し代の算出処理が終了すると、仕上加工指令と、算出した補正値及び取り残し代の情報とを、仕上加工処理部55に出力する。
ここで、本実施形態では、楕円量を測定するため、例えば、ワーク6が4点接触玉軸受の外輪の場合、少なくとも、内周面に形成された溝における、一の対向する2つの溝部分と、この2つの溝部分の対向方向と直交する方向に対向する他の2つの溝部分とについて、Z軸座標(高さ位置)Z1、Z2の溝表面の位置情報を測定する。
具体的に、一の対向する2つの溝部分(Y座標値Ywm)について、(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)と、(Xw3,Z1)及び(Xw4,Z2)とを測定する。また、他の2つの溝部分(X座標値Xwm)について、(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)と、(Yw3,Z1)及び(Yw4,Z2)とを測定する。
なお、溝部分については、内周面に形成された溝を予め設定した分割数(例えば、360)に等分割して設定し、これらのうち予め設定した溝部分に対して表面の位置情報を測定する。
例えば、円環状の外輪の内周面を360分割した場合、1[°]刻みの分解能となり、例えば、0[°]と180[°]の溝部分を対向する溝部分とし、この対向方向に対して90[°]と270[°]の溝部分を直交方向に対向する溝部分として設定することが可能となる。
なお、各種寸法値、寸法誤差、補正値及び取り残し代の算出処理の詳細については後述する。
仕上加工処理部55は、寸法誤差算出部54から入力される仕上加工指令に応じて、寸法誤差算出部54からの補正値及び取り残し代の情報に基づき、粗加工して形成された溝の仕上加工処理を実行する。この処理は、砥石スピンドル用モータ25、ワーク回転用モータ36、ドレッサー回転用モータ44、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御することで実行する。
(溝加工処理)
次に、図9に基づき、溝加工処理の処理手順を説明する。
制御装置5のCPU60によってプログラムが実行され、溝加工処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、溝研削処理部51において、記憶装置70から、研削加工対象のワークの型番に対応する目標溝形状データ及び加工条件データをRAM62に読み込んで、ステップS102に移行する。
ステップS102では、溝研削処理部51において、RAM62に読み込んだ加工条件データに基づき溝形状管理処理を行う。その後、ステップS104に移行する。
ここで、溝形状管理処理は、ドレッサー装置4を用いて、溝研削用砥石21aを、これから形成する溝形状を形成可能な形状にドレスする処理と、ドレスした溝研削用砥石21aを用いてマスターワーク6mの周面に溝を粗研削加工する処理とを含む。更に、溝形状管理処理は、マスターワーク6mを粗研削加工して形成された溝の測定対象の溝部分の表面位置(目標溝位置)を測定する処理と、目標溝形状データと上式(5)〜(8)に基づき、目標溝位置のズレ量δx及びδz並びにδy及びδzである補正値Cx及びCz並びにCy及びCzを測定し、この測定値を、RAM62又は記憶装置70に記憶する処理とを含む。なお更に、最初に加工するワーク6に対して、位置基準マスターを測定し、この測定値を位置基準マスター初期値として、RAM62又は記憶装置70に記憶する処理を含む。
ステップS104では、溝研削処理部51において、溝の粗研削加工処理を実行する。その後、位置情報測定指令を位置情報測定部52に出力して、ステップS106に移行する。
ここで、溝の粗研削加工処理は、砥石スピンドル用モータ25、ワーク回転用モータ36、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、ワーク6の周面に溝研削用砥石21aを用いて溝を粗研削加工する処理となる。本実施形態では、更に、2個目以降の溝形成後のワーク6に対して位置基準マスターを測定し、この測定結果と位置基準マスター初期値との差を演算する。そして、演算結果が予め設定した規定値以下である場合に、位置情報測定指令を位置情報測定部52に出力する。一方、規定値を超えている場合に、異常であると判断し動作を中断して、操作者に対して警報等によって報知する。
ステップS106では、位置情報測定部52において、ワーク6に形成された溝に対して、予め設定した測定位置の溝部分の複数箇所の表面の位置情報を測定する位置情報測定処理を実行する。その後、ステップS108に移行する。
ステップS108では、中心座標算出部53において、ステップS106で測定した位置情報と、RAM62に読み込んだ目標溝形状データと、補正値Cx及びCzと、補正値Cy及びCzとに基づき、各位置情報に対応する溝部分に対するボール中心座標を算出する中心座標算出処理を実行する。その後、ステップS110に移行する。
ステップS110では、寸法誤差算出部54において、各測定位置の溝部分に対応するボール中心座標に基づき、各種溝寸法、各種溝寸法誤差、補正値及び取り残し代を算出する寸法誤差算出処理を実行する。その後、仕上加工指令と、算出した補正値及び取り残し代とを、仕上加工処理部55に出力して、ステップS112に移行する。
ステップS112では、仕上加工処理部55において、寸法誤差算出部54から入力された補正値及び取り残し代に基づき、溝の仕上加工処理を実行する。その後、一連の処理を終了する。
(位置情報測定処理)
次に、図10及び図11に基づき、ステップS106で実行される位置情報測定処理の処理手順を説明する。
ステップS106において、位置情報測定処理が実行されると、図10に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、位置情報測定部52において、ワーク6を、予め設定された測定開始基準位置へと回転移動する。その後、ステップS202に移行する。
具体的に、位置情報測定部52は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、ワーク6を回転移動させて、測定開始基準位置に移動する。
ステップS202では、位置情報測定部52において、タッチプローブヘッド24の先端球24d、24f、24n又は24qを、測定対象の溝部分正面の測定高さ位置(Z1又はZ2)に移動させる。その後、ステップS204に移行する。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24が装着された溝研削部2の4つの先端球24d、24f、24n又は24qのうち測定に用いる先端球を測定対象の溝部分正面の未測定のZ軸座標位置(Z1又はZ2)へと移動する。
本実施形態では、ワーク6が、例えば、4点接触玉軸受の外輪である場合に、測定対象の溝部分は、対向位置にある一対の溝部分の単位で設定される。この場合、同時に、一対の測定対象の溝部分の一方が第1先端球24d及び第2先端球24fの一方と対向し、一対の測定対象の溝部分の他方が第1先端球24d及び第2先端球24fの他方と対向する。このことは、第3先端球24n及び第4先端球24qについても同様に、一対の測定対象の溝部分の一方が第3先端球24n及び第4先端球24qの一方と対向し、一対の測定対象の溝部分の他方が第3先端球24n及び第4先端球24qの他方と対向する。
また、本実施形態では、ワーク6が、例えば、4点接触玉軸受の内輪である場合に、測定対象の溝部分は、4点接触玉軸受の支持軸と直交する直線上の一対の溝部分の単位で設定される。この場合、一対の測定対象の溝部分の一方のみが、第1先端球24d及び第2先端球24fの一方と対向する。同様に、一対の測定対象の溝部分の一方のみが、第3先端球24n及び第4先端球24qの一方と対向する。
本実施形態では、第1先端球24d及び第2先端球24fを、(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)並びに(Xw3,Z1)及び(Xw4,Z2)の測定に用い、第3先端球24n及び第4先端球24qを、(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)並びに(Yw3,Z1)及び(Yw4,Z2)の測定に用いることとする。
例えば、図11(a)に示すように、第2先端球24fを、ワーク6に形成された溝61の測定対象の2箇所のZ軸座標位置(Z1、Z2)の一方に移動させる。
ステップS204では、位置情報測定部52において、タッチプローブヘッド24の先端球24d、24f、24n又は24qを、測定対象の溝部分の測定高さ位置の表面に接触させる。その後、ステップS206に移行する。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸駆動用モータ26m又はY軸駆動用モータ28mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24が装着された溝研削部2をX軸方向又はY軸方向に移動する。そして、先端球24d、24f、24n又は24qを測定対象の溝部分のZ1又はZ2座標位置の表面に接触させる。
例えば、図11(a)に示すように、第2先端球24fを、ワーク6に形成された溝61の測定対象の2箇所のZ軸座標位置(Z1、Z2)の表面位置における未測定の表面位置(Xw1,Z1)又は(Xw2,Z2)に接触させる。
ここで、図11(a)に示す例は、目標溝形状データの示す溝位置と同じ位置に溝が形成された場合を示すものである。図11(b)に示すように、目標溝形状データの示す溝位置(図中点線)に対してズレた位置(図中実線)に溝が形成されている場合、第2先端球24fの接触位置が、図11(a)に示す位置に対してズレる。
ステップS206では、位置情報測定部52において、接触位置の座標値をRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS208に移行する。
具体的に、位置情報測定部52は、X軸エンコーダ26rからの接触位置におけるモータ回転角度位置θmx、又は、Y軸エンコーダ28rからの接触位置におけるモータ回転角度位置θmyを取得する。そして、取得したモータ回転角度位置θmx又はθmyを、例えば、記憶装置70に予め記憶された変換テーブルを参照して、ワーク座標系のX軸座標値又はY軸座標値に変換し、Xw及びZの組又はYw及びZの組を、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
ステップS208では、位置情報測定部52において、測定対象の溝部分における全ての測定対象の表面位置の測定が終了したか否かを判定する。そして、終了したと判定した場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでないと判定した場合(No)は、ステップS202に移行する。
即ち、例えば図11に示すように、ワーク6に形成された溝61の表面に、タッチプローブヘッド24の先端球24fを接触させ、接触位置の座標P1(Xw1,Z1)及びP2(Xw2,Z2)を測定し、測定した接触位置の座標をRAM62又は記憶装置70に記憶する。
ここで、位置情報測定部52は、ワーク6の底面からタッチプローブヘッド24のZ軸方向の位置(図11(a)中の高さ位置Ph)を管理している。従って、形成した溝61に対して、予め設定した高さ位置(Z軸座標Z1及びZ2)の溝表面の位置情報を測定することが可能となっている。
ステップS210に移行した場合は、位置情報測定部52において、全ての測定対象の溝部分に対して、位置情報の測定が終了したか否かを判定する。そして、終了したと判定した場合(Yes)は、寸法誤差測定指令を寸法誤差算出部54に出力し、一連の処理を終了して、元の処理に復帰する。一方、終了していないと判定した場合(No)は、ステップS200に移行する。
(中心座標算出処理)
次に、図12〜図14に基づき、ステップS108で実行される中心座標算出処理の処理手順について説明する。
ステップS108において、中心座標算出処理が実行されると、図12に示すように、まず、ステップS300に移行する。
ステップS300では、中心座標算出部53において、位置情報を測定した各溝部分について、測定した各2点の位置情報を、例えば、記憶装置70からRAM62に読み込んで、ステップS302に移行する。なお、最初から位置情報がRAM62に記憶してある場合は、このステップを不要とすることが可能である。
ステップS302では、中心座標算出部53において、ステップS300で読み出した各2点の位置情報と、目標溝形状データと、上式(5)〜(8)とに基づき、目標溝形状データの溝位置(ボール中心位置)に対するズレ量δx及びδz並びにδy及びδzを算出する。その後、ステップS304に移行する。このズレ量δx及びδz並びにδy及びδzの算出処理は、測定位置に対応する各溝部分に対してそれぞれ行う。
具体的に、中心座標算出部53は、各溝部分に対して測定した位置情報(Xw1,Z1)(又は(Xw3,Z1))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Ruと、オフセット量Ofuとを、上式(5)に代入する。加えて、位置情報(Xw2,Z2)(又は(Xw4,Z2))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Rdと、オフセット量Ofdとを、上式(6)に代入する。そして、これら連立方程式を解くことで、ズレ量δx及びδzを算出する。
また、中心座標算出部53は、各溝部分に対して測定した位置情報(Yw1,Z1)(又は(Yw3,Z1))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Ruと、オフセット量Ofuとを、上式(7)に代入する。加えて、位置情報(Yw2,Z2)(又は(Yw4,Z2))と、目標溝形状データに含まれる曲率半径Rdと、オフセット量Ofdとを、上式(8)に代入する。そして、これら連立方程式を解くことで、ズレ量δy及びδzを算出する。
ステップS304では、中心座標算出部53において、ステップS302で算出した各溝部分に対するズレ量δx及びδzから、予め測定した補正値Cx及びCzを減算して、各溝部分に対する仮想ボールの中心座標のズレ量(δXc,δZc)を算出する。更に、ステップS302で算出した各溝部分に対するズレ量δy及びδzから、予め測定した補正値Cy及びCzを減算して、各溝部分に対する仮想ボールの中心座標のズレ量(δYc,δZc)を算出する。そして、これらズレ量に基づき、変換テーブル等を用いて各溝部分に対するボール中心座標(Xc,Zc)及び(Yc,Zc)を算出する。このボール中心座標の算出処理は、測定位置に対応する各溝部分に対してそれぞれ行う。その後、各溝部分に対するボール中心座標(Xc,Zc)及び(Yc,Zc)のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
具体的に、中心座標算出部53は、図13(a)に示すように、ワーク6に形成した溝部分に対する仮想ボールBvのボール中心Brcの座標値を算出する。図13(a)中の実線200は、補正値Cx及びCz又はCy及びCzを考慮した理想的な位置に形成された溝断面形状である。図13(a)の例では、理想的な溝形成位置に溝が形成されており、ボール中心座標のズレ量が「δXc=δZc=0」又は「δYc=δZc=0」となる。一方、図13(b)に示す例では、実線200で示す理想的な溝断面形状に対して、溝の形成位置がX軸方向及びZ軸方向、又はY軸方向及びZ軸方向にズレており、この場合のボール中心座標のズレ量は(δXc=δx−Cx,δZc=δz−Cz)又は(δYc=δy−Cy,δZc=δz−Cz)となる。
(寸法誤差算出処理)
次に、図14〜図16に基づき、ステップS110で実行される寸法誤差算出処理の処理手順について説明する。
ステップS110において、寸法誤差算出処理が実行されると、図14に示すように、まず、ステップS400に移行する。
ステップS400では、寸法誤差算出部54において、測定対象の各溝部分のボール中心Brcの座標値(Xc,Zc)又は(Yc,Zc)に基づき、ボールの運動する円の直径Rを測定する。その後、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS402に移行する。
具体的に、寸法誤差算出部54は、RAM62又は記憶装置70に記憶された測定位置に対応する各溝部分におけるボール中心Brcの座標値に基づき、ワーク6が、例えば、軸受の外輪の場合は、これらの内周面において対向する一対の溝部分のボール中心間距離を直径Rとして算出する。また、例えば、ワーク6が、軸受の内輪の場合は、軸受の支持軸に直交する直線上にある一対の溝部分のボール中心間距離を直径Rとして算出する。
例えば、図15(a)に示すように、タッチプローブヘッド24によって、軸受外輪の内周面において対向する一対の溝部分Gr1及びGr2の位置情報と、これら一対の対向方向と直交する方向に対向する一対の溝部分Gr3及びGr4の位置情報とを測定したとする。そして、一対の溝部分Gr1及びGr2と、他の一対の溝部分Gr3及びGr4との位置情報から、ボール中心Brc1及びBrc2と、ボール中心Brc3及びBrc4との座標値が得られたとする。この場合、ボールの運動する円の直径R12は、図15(b)に示すように、ボール中心Brc1及びBrc2の間の距離(Y軸座標間距離)から算出することができる。また、ボールの運動する円の直径R34は、図15(b)に示すように、ボール中心Brc3及びBrc4の間の距離(X軸座標間距離)から算出することができる。
ステップS402では、寸法誤差算出部54において、ステップS400で測定した直径Rに基づき楕円量ELを測定する。その後、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS404に移行する。
具体的に、楕円量ELを測定するにあたっては、位置情報測定処理において、一対の溝部分Gr1及びGr2に加えて、図15(a)に示すように、溝部分Gr1及びGr2と直交する方向に対向する他の一対の溝部分Gr3及びGr4の位置情報を測定する。
そして、寸法誤差算出部54は、一対の溝部分Gr1及びGr2の直径R12と、他の一対の溝部分Gr3及びGr4の直径R34とのうち長径側(値の大きい方)から短径側(値の小さい方)を減算することで、楕円量ELを算出する。この楕円量ELについては、加工条件データ等において許容値が設定されている。
ステップS404では、寸法誤差算出部54において、測定位置に対応する各溝部分に対する芯よりLaを測定し、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS406に移行する。
具体的に、寸法誤差算出部54は、例えば、図16に示すように、溝部分Gr5について、芯よりLa5として、ボール中心Brc5のZ軸座標値と、ワーク6の底面のZ軸座標値との差分値を算出する。一方、溝部分Gr5について、芯よりLa6として、ボール中心Brc6のZ軸座標値と、ワーク6の底面のZ軸座標値との差分値を算出する。
ステップS406では、寸法誤差算出部54において、対向する一対の溝部分及び同一直線上の一対の溝部分について、傾斜誤差SEを測定する。その後、測定結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶して、ステップS408に移行する。
具体的に、寸法誤差算出部54は、例えば、図16に示す対向する溝部分Gr5及びGr6について、傾斜誤差SE56として、溝部分Gr5及びGr6のボール中心Brc5及びBrc6のZ軸座標値の差分値を算出する。
ステップS408では、寸法誤差算出部54において、ステップS400〜S406で測定した各測定値に基づき、補正値及び取り残し代を算出する。その後、算出結果のデータをRAM62又は記憶装置70に記憶し、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
具体的に、寸法誤差算出部54は、直径R、楕円量LE、芯よりLa及び傾斜誤差SEと予め記憶装置70に記憶されている設計値(例えば、加工条件データに含まれている)との差分値を算出する。そして、算出した差分値に基づき、機械の姿勢補正をするための補正値と、溝の取り残し代とを算出する。
(動作)
次に、図1〜図16を参照しつつ、図17〜図20に基づき、本実施形態の溝研削装置1の動作例を説明する。ここで、図17〜図20に例示するワーク6は、4点接触玉軸受の内輪である。
制御装置5に対して入力装置74を介して研削開始指令が入力されると、制御装置5は、まず、記憶装置70に記憶された、目標溝形状データ及び加工条件データをRAM62に読み込む。そして、読み込んだデータに基づき、まず、砥石スピンドル用モータ25を駆動制御して、砥石ヘッド21の溝研削用砥石21aを予め設定したドレス用の回転速度で回転する。引き続き、制御装置5は、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して溝研削部2を移動し、図17(a)に示すように、溝研削用砥石21aの被ドレス面をドレッサー41aの刃先に対して予め設定した圧力で押しつける。これにより、溝研削用砥石21aの砥石面を所望の形状へと成形する。
次に、制御装置5は、ワーク交換機構によって、ワーク支持部3にマスターワーク6mを固定支持する。そして、制御装置5は、砥石スピンドル用モータ25を駆動制御して、砥石ヘッド21の溝研削用砥石21aを予め設定した溝研削用の回転速度で回転する。
引き続き、制御装置5は、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して溝研削部2を移動し、図17(b)に示すように、回転する溝研削用砥石21aの成形した砥石面を、ワーク支持部3に固定支持されたマスターワーク6mの外周面の溝形成位置へと移動すると共に予め設定した圧力で押しつける。これによって、マスターワーク6mの溝研削用砥石21aを押しつけた位置に溝が形成される。制御装置5は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、マスターワーク6mを予め設定した回転角度ずつ回転させて、マスターワーク6mの溝研削用砥石21aを押しつけて溝を形成する処理を繰り返し行う。
引き続き、制御装置5は、ヘッド交換機構によって、砥石ヘッド21をタッチプローブヘッド24に交換し、図17(c)に示すように、交換したタッチプローブヘッド24によって、目標溝位置の測定処理を行う。
具体的に、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、マスターワーク6mを測定基準位置へと回転移動する。次に、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、まず、タッチプローブヘッド24の第2先端球24fを、予め設定した測定位置の第1溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xm1,Z1)及び(Xm2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第1先端球24dを、予め設定した測定位置の第1溝部分とX軸方向に背面対向する第2溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xm3,Z1)及び(Xm4,Z2)を測定する。
次に、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24の第3先端球24nを、予め設定した測定位置の第3溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Ym1,Z1)及び(Ym2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第4先端球24qを、予め設定した測定位置の第3溝部分とY軸方向に背面対向する第4溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Ym3,Z1)及び(Ym4,Z2)を測定する。
これによって、マスターワーク6mに形成した目標溝表面位置の情報を得ると、次に、制御装置5は、測定した目標溝表面位置(Xm1,Z1)及び(Xm2,Z2)と、目標溝表面位置(Xm3,Z1)及び(Xm4,Z2)と、RAM62に読み込んだ目標溝形状データと、上式(5)及び(6)とに基づき、目標溝表面位置のズレ量を算出する。そして、算出したズレ量を補正値Cx及びCzとしてRAM62又は記憶装置70に記憶する。
更に、制御装置5は、測定した目標溝表面位置(Ym1,Z1)及び(Ym2,Z2)と、目標溝表面位置(Ym3,Z1)及び(Ym4,Z2)と、RAM62に読み込んだ目標溝形状データと、上式(7)及び(8)とに基づき、目標溝表面位置のズレ量を算出する。そして、算出したズレ量を補正値Cy及びCzとしてRAM62又は記憶装置70に記憶する。
補正値Cx及びCz並びにCy及びCzの測定処理が終了すると、制御装置5は、不図示のワーク交換機構によって、最初に加工するワーク6をワーク支持部3に固定支持する。そして、制御装置5は、この最初に加工するワーク6に対して、タッチプローブヘッド24によって、位置基準マスターを測定する。
具体的に、制御装置5は、Z軸駆動用モータ27mを駆動制御して、図18(a)に示すように、タッチプローブヘッド24の先端球24fを、Z軸方向に移動して、ワーク6のZ軸方向の上端位置及び下端位置を測定する。次に、制御装置5は、X軸駆動用モータ26mを駆動制御して、図18(b)に示すように、タッチプローブヘッド24の先端球24fを、X軸方向に移動して、ワーク支持用部材33との接触位置を測定する。そして、これら測定した位置情報を位置基準マスター初期値として、RAM62に記憶する。
次に、制御装置5は、ヘッド交換機構によって、タッチプローブヘッド24を砥石ヘッド21に交換し、図18(c)に示すように、交換した砥石ヘッド21によって、ワーク6の外周面を粗研削加工して溝を形成する。
そして、ワーク6の外周面に対して溝の粗研削加工が完了すると、制御装置5は、ヘッド交換機構によって、砥石ヘッド21をタッチプローブヘッド24に交換する。そして、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m、Z軸駆動用モータ27m及びワーク回転用モータ36を駆動制御して、交換したタッチプローブヘッド24を用いて、図18(d)に示すように、予め設定した溝部分に対する位置情報測定処理を行う。
ここでは、ワーク6が、4点接触玉軸受の内輪であることから、制御装置5は、図19に示すように、予め設定した背面対向且つ直交する2対の溝部分Gr5及びGr6とGr7及びGr8との4箇所について、位置情報の測定を行う。
具体的に、制御装置5は、ワーク回転用モータ36を駆動制御して、ワーク6を測定基準位置へと回転移動する。次に、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、まず、タッチプローブヘッド24の第2先端球24fを、第1溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xw1,Z1)及び(Xw2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第1先端球24dを、第2溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Xw3,Z1)及び(Xw4,Z2)を測定する。
次に、X軸駆動用モータ26m、Y軸駆動用モータ28m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、タッチプローブヘッド24の第3先端球24nを、第3溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)を測定する。次に、タッチプローブヘッド24の第4先端球24qを、第4溝部分のZ軸座標Z1及びZ2の2箇所の溝表面に接触させて、目標溝表面位置(Yw3,Z1)及び(Yw4,Z2)を測定する。
引き続き、制御装置5は、測定した位置情報と、目標溝形状データと、補正値Cx及びCzと、補正値Cy及びCzと、上式(5)〜(8)とに基づき、各溝部分に対して、仮想ボールの中心座標を算出する。これによって、図19に示すように、第1〜第4溝部分Gr7〜Gr10に対する第1〜第4ボール中心Brc7〜Brc10の座標値が得られる。
第1〜第4溝部分に対する第1〜第4ボール中心Brc7〜Brc10の座標値が得られると、制御装置5は、図19に示すように、背面対向する第1及び第2溝部分Gr7及びGr8のX軸座標値間の距離(差分)を第1直径R78として算出し、対向する第3及び第4溝部分Gr9及びGr10のY軸座標値間の距離(差分)を第2直径R910として算出する。
引き続き、制御装置5は、算出した第1直径R78及び第2直径R910のうち値の大きい方から小さい方を減算して、楕円量ELを算出する。
また、制御装置5は、図16に例示した方法と同様の測定方法で、ワーク6の底面のZ軸座標値と、第1〜第4ボール中心Brc7〜Brc10のそれぞれのZ軸座標値との差分値を、第1〜第4の芯よりLa7〜10として算出する。
引き続き、制御装置5は、第1及び第2ボール中心Brc7及びBrc8のZ軸座標値の差分値を、第1傾斜誤差SE78として算出し、第3及び第4ボール中心Brc9及びBrc10のZ軸座標値の差分値を、第2傾斜誤差SE910として算出する。
そして、制御装置5は、算出した第1及び第2直径R78及びR910、楕円量EL、第1〜第4の芯よりLa7〜La10及び第1及び第2傾斜誤差SE78及びSE910を、RAM62又は記憶装置70に記憶する。
その後、制御装置5は、第1及び第2直径R78及びR910、楕円量EL、第1〜第4の芯よりLa7〜La10並びに第1及び第2傾斜誤差SE78及びSE910と各設計値との差分値を算出し、算出した各差分値に基づき、溝研削部2の姿勢補正のための補正値等の各種補正値及び溝の取り残し代を算出する。
そして、制御装置5は、各種補正値に基づき各種モータを制御して機械の姿勢を補正し、ワーク6に形成した溝の取り残し代分を加工する。
引き続き、2個目以降のワーク6について、制御装置5は、まず、砥石スピンドル用モータ25、X軸駆動用モータ26m及びZ軸駆動用モータ27mを駆動制御して、図20(a)に示すように、砥石ヘッド21によって、ワーク6の外周面を粗研削加工して溝を形成する。次に、ヘッド交換機構によって、砥石ヘッド21をタッチプローブヘッド24に交換し、図20(b)及び(c)に示すように、交換したタッチプローブヘッド24によって、溝研削加工後のワーク6に対して位置基準マスターを測定する。
更に、位置基準マスター測定値と、先に測定した位置基準マスター初期値との差分値を算出し、算出した差分値と規定値とを比較する。そして、差分値が規定値以下であると判定した場合、引き続き、位置情報測定処理を実施する。
位置情報測定処理が実施されると、図20(d)に示すように、タッチプローブヘッド24によって、溝研削加工後のワーク6に対して、予め設定した第1〜第4溝部分に対する溝表面位置の測定処理を実施する。以降の処理は、1個目のワーク6と同様となる。
一方、位置基準マスター測定値と位置基準マスター初期値との差分値が規定値を超えると判定した場合、異常があったと見なして以降の動作を中止し、不図示の警報装置によって、操作者に異常があったことを報知する。
以上、本実施形態の溝研削装置1は、ワーク情報として各種ワークに対応する目標溝形状データを利用し、装置内に設置されたタッチプローブヘッド24によって、ワーク6に形成された溝の予め設定した溝部分におけるZ軸座標Z1及びZ2の溝表面位置の座標を測定し、この測定結果に基づき、各溝部分に対する仮想ボールの中心座標のズレ量を求めることが可能である。
これにより、溝表面に接触するボールの中心座標を求めることが可能となる。また、複数箇所の溝部分に対する中心座標から、ボールの運動する円の直径R、楕円量EL、芯よりLa及び傾斜誤差SEを求めて、機械の姿勢補正用の補正値及び形成した溝の残り取り代を算出することが可能となる。即ち、ワーク6上の溝形状を推定することが可能となる。
また、異なる溝径のワークに対しても、その都度、各ワークに対応する目標溝形状データへと変更するだけで、同様にタッチプローブヘッド24による位置情報の測定処理を行って、ワーク6上の溝形状を推定することが可能となる。
これにより、異なる溝径のワークに対して、測定子を変更することなく、各種寸法、寸法誤差、補正値及び残り取り代等を算出することが可能となる。
また、装置内にタッチプローブヘッド24を設けるだけで、各種の測定を行うことが可能となるので、従来のように、別途位置センサを設ける等することがない。加えて、加工軸である溝研削部2にタッチプローブヘッド24を装着する構成としたので、位置情報を測定するための軸を追加する必要もない。これにより、装置構成の複雑化を防ぐことが可能となる。
また、従来の現物マスターを用いて、ワークを装置内に固定支持した状態で位置測定を行う技術では、事前に現物マスターに対して位置測定を行っておき、加工中のワークについては、現物マスターと同じ位置を測定して、その差を得ている。
ここで、現物マスターは電気マイクロ等の精密測定機を用いて精密測定を行う必要があり、また、ワークと現物マスターはできるだけ同じ温度で測定する必要があることから手間がかかるといった問題がある。また、電気マイクロで溝形状を測定する場合、ワークとの衝突を防止するためワーク近傍では低速でワークに接近する必要があり、サイクルタイムが延びるといった問題がある。
また、一般に、装置内部は、多量のクーラント(及びその蒸気)が存在するため、位置情報を測定する機器には高い防水性が要求される。電気マイクロ等の精密測定機器は防水性の低いものが多く、装置内での測定には向いていない。
これに対して、タッチプローブは、防水性が高く、測定子がワークとの衝突に強い設計となっており、また、電気マイクロ等の精密測定機と比較して安価である。
従って、タッチプローブヘッド24による位置測定を行うことで、現物マスターを用いた場合の上記問題点を解消することが可能となる。
ここで、X軸移動機構26及びZ軸移動機構27は移動機構部に対応し、溝研削処理部51の記憶装置70から目標溝形状データを読み出す処理は目標溝形状データ取得部に対応し、中心座標算出部53はズレ量算出部及び中心座標算出部に対応する。
(変形例)
(1)上記実施形態では、タッチプローブヘッド24を、砥石ヘッド21を取り外してから、砥石スピンドルハウジング23に装着する構成としたが、この構成に限らない。例えば、砥石ヘッド21を取り外さずに砥石スピンドルハウジング23に装着する構成など他の構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、砥石ヘッド21、タッチプローブヘッド24、ドレッサーヘッド41の交換を自動で行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、手動で交換する構成としてもよい。
(3)上記実施形態では、タッチプローブヘッド24を用いて、位置測定処理を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、レーザセンサ等の非接触式のセンサを用いる構成としてもよい。
(4)上記実施形態では、X軸移動機構26、Z軸移動機構27及びY軸移動機構28によって、溝研削部2をX軸方向、Z軸方向及びY軸方向の3軸方向に移動可能な構成としたが、この構成に限らない。例えば、X軸方向及びZ軸方向の2軸方向のみに移動できる構成とし、タッチプローブヘッド24はX軸方向及びZ軸方向のみに移動し、ワーク6を回転させることで位置測定する溝位置を変更する構成としてもよい。また、2軸方向のみの移動とした場合に、タッチプローブの測定部を例えば4つから1つに減らした構成としてもよい。
(5)上記実施形態では、タッチプローブの測定部を十字状に4つ配置し、かつ溝部分の表面位置を測定部のプローブ軸回り方向の回転位置を変えずに測定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、測定部を背面対向する2つに減らした場合に、測定部の位置を回転駆動機構等によってプローブ軸回りに回転させることで、各対向する溝部分に対応させる構成としてもよい。また、測定部を1つにして、溝部分毎に測定部を回転させて対応させる構成としてもよい。
(6)上記実施形態では、測定箇所を十字に対向又は背面対向する4つの溝部分の表面位置情報を測定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、別の角度で十字に対向又は背面対向する4つの溝部分を含む8つの溝部分を測定するなど他の測定数としてもよい。
また、上記実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
1 溝研削装置、2 溝研削部、3 ワーク支持部、4 ドレッサー装置、5 制御装置、6 ワーク、21 砥石ヘッド、21a 溝研削用砥石、22 砥石スピンドル、23 砥石スピンドルハウジング、24 タッチプローブヘッド、25 砥石スピンドル用モータ、26 X軸移動機構、27 Z軸移動機構、28 Y軸移動機構、51 溝研削処理部、52 位置情報測定部、53 中心座標算出部、54 寸法誤差算出部、55 仕上加工処理部、70 記憶装置

Claims (11)

  1. 回転軸と該回転軸の先端部に取付けられた溝研削用の砥石と前記回転軸を回転駆動する回転駆動源とを有する溝研削部と、
    ワークを固定支持するワーク支持部と、
    前記ワーク支持部で固定支持されたワークに対して前記溝研削部を前記ワーク周面の溝研削位置へと移動する移動機構部と、
    前記溝研削部を用いて前記ワーク周面を研削加工して転動体の転動路となる溝を形成する溝研削処理部と、
    前記ワークを固定支持した状態で、前記ワーク周面に形成された前記溝の複数の溝部分表面の予め設定した1軸方向の複数箇所の位置情報を測定する位置情報測定部と、
    前記ワーク周面に形成する前記溝の目標形状データであって、目標溝形状を規定する情報と、該目標溝形状に接触する仮想の転動体の中心座標である目標中心座標に係る情報とを含む目標溝形状データを取得する目標溝形状データ取得部と、
    前記位置情報測定部が測定した前記複数の溝部分表面の前記複数箇所の位置情報と、前記目標溝形状データとに基づき、前記複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標の前記目標中心座標に対するズレ量を算出するズレ量算出部と、
    前記ズレ量算出部が算出したズレ量に基づき、前記複数の溝部分表面に接触する仮想の転動体の中心座標を算出する中心座標算出部と、
    前記中心座標算出部が算出した前記中心座標に基づき、前記ワーク周面に形成した前記溝の目標溝形状に対する寸法誤差を算出する寸法誤差算出部と、
    前記寸法誤差算出部が算出した前記寸法誤差に基づき前記溝研削部を用いて前記溝の仕上げ加工を行う仕上加工処理部と、を備え
    前記ワークは4点接触玉軸受の軌道輪であり、
    前記目標溝形状データは、ゴシックアーク形状の目標溝断面形状を構成する同一形状の二つの円弧の曲率半径と、前記ゴシックアーク形状の溝表面に2点で接触する前記仮想の転動体としての仮想ボールの中心座標に対する前記二つの円弧の円中心の前記4点接触玉軸受の支持軸方向のズレ量であるオフセット量とを含む溝研削装置。
  2. 前記位置情報測定部は、前記ワーク周面に形成された前記溝の表面に接触して該接触位置を検出する接触式の測定子を有する位置検出部を備え、
    前記測定子は、前記溝研削部の前記回転軸の先端部周辺の無回転部分に取り付けられる請求項1に記載の溝研削装置。
  3. 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の複数の溝部分表面における、予め設定した前記仮想ボールの理想の接触位置の2点の座標の前記支持軸方向の座標間距離と一致する距離関係となる2点の位置情報を測定し、
    前記ズレ量算出部は、前記2点の位置情報と前記目標溝形状データとに基づき、前記中心座標のズレ量を算出する請求項1又は2に記載の溝研削装置。
  4. 前記溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、前記目標溝断面形状のままX軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、
    前記位置情報測定部は、前記2点の位置情報に対応する座標として、(Xw1,Z1)、(Xw2,Z2)を測定し、
    前記ズレ量算出部は、前記二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、前記二つの円弧の前記オフセット量をOfu及びOfdとし、下式(1)及び(2)に基づき、前記溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δx及びδzを算出する請求項に記載の溝研削装置。
    (Xw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(1)
    (Xw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(2)
  5. 前記溝部分の断面形状は、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸からなる直交座標系において、前記目標溝断面形状のままY軸方向及びZ軸方向に平行移動して形成位置が理想の形成位置からズレるものとし、
    前記位置情報測定部は、前記2点の位置情報に対応する座標として、(Yw1,Z1)及び(Yw2,Z2)を測定し、
    前記ズレ量算出部は、前記二つの円弧の曲率半径をRu及びRdとし、前記二つの円弧の前記オフセット量をOfu及びOfdとし、下式(3)及び(4)に基づき、前記溝部分表面に接触する仮想ボールの中心座標のズレ量δy及びδzを算出する請求項又はに記載の溝研削装置。
    (Yw1−δx)2+(Z1+Ofu−δz)2=Ru2 ・・・(3)
    (Yw2−δx)2+(Z2+Ofd−δz)2=Rd2 ・・・(4)
  6. 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、前記寸法誤差算出部は、前記2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離をボールが運動する円の直径として算出し、算出した前記直径に基づき前記寸法誤差を算出す請求項乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置。
  7. 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する第1直線上に位置する一の2つの溝部分と、前記第1直線と直交する第2直線上に位置する他の2つの溝部分とについて、溝部分表面の位置情報を測定し、
    前記寸法誤差算出部は、前記一の2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離と、前記他の2つの溝部分に対応する前記仮想ボールの中心座標間の距離との差分を前記寸法誤差の1つである楕円量として算出する請求項乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置。
  8. 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、
    前記寸法誤差算出部は、前記軌道輪の前記支持軸方向の端面の前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の一方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分と、前記端面の前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の他方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分とを、前記寸法誤差の1つである芯よりとして算出する請求項乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置。
  9. 前記位置情報測定部は、前記軌道輪の周面に形成された溝の前記4点接触玉軸受の支持軸方向と直交する直線上に位置する2つの溝部分について、溝部分表面の位置情報を測定し、
    前記2つの溝部分の一方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値と、前記2つの溝部分の他方に対応する前記仮想ボールの中心座標のうちの前記支持軸方向の座標値との差分を、前記寸法誤差の1つである前記2つの溝部分の前記ワークに対する傾斜誤差として算出する請求項乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置。
  10. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置を用いてワークに溝を形成する加工を行う溝の加工方法。
  11. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の溝研削装置を用いて玉軸受を製造する玉軸受の製造方法。
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