以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。本明細書において、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向は互いに垂直な方向である。X軸方向およびY軸方向は水平方向、Z軸方向は鉛直方向である。
図1は、一実施形態に係る薄化システムを示す平面図である。薄化システム1は、処理基板100を薄化する。また、薄化システム1は、処理基板100を薄化する前に、処理基板100のベベル104を除去する。ベベル104とは、面取り加工が施された部分である。ベベル104は、図2ではR面取り加工が施された部分であるが、C面取り加工が施された部分であってもよい。
図2は、一実施形態に係る処理基板、デバイス層、および支持基板を示す断面図である。処理基板100は、例えばシリコンウェハまたは化合物半導体ウェハなどの半導体基板である。処理基板100の片面には、デバイス層110が予め形成される。デバイス層110は、例えば電子回路である。以下、処理基板100のデバイス層110が形成される主表面を、第1主表面101とも呼ぶ。また、第1主表面101とは反対向きの主表面を、第2主表面102とも呼ぶ。第2主表面102は、処理基板100の薄化によって第1主表面101に近づく。
デバイス層110の、処理基板100とは反対側の表面には、酸化層120が形成される。酸化層120は、処理基板100のベベル104を円滑に除去すべく、処理基板100の直径よりも小さく形成される。酸化層120は、例えば酸化シリコン層である。酸化シリコン層は、例えばオルトケイ酸テトラエチル(TEOS)で形成される。
支持基板130は、処理基板100と同様に、シリコンウェハまたは化合物半導体ウェハなどの半導体基板である。支持基板130は、デバイス層110を介して処理基板100と貼合される。支持基板130の、デバイス層110に対向する表面には、酸化層140が形成される。酸化層140は、酸化層120と同様に形成される。なお、酸化層140と支持基板130との間には、不図示のデバイス層が形成されてもよい。
重合基板150は、処理基板100と、デバイス層110と、2つの酸化層120、140と、支持基板130とを有する。2つの酸化層120、140は、加熱処理によって結合される。なお、重合基板150は、2つの酸化層120、140のうちの1つのみを有してもよい。
薄化システム1は、図1に示すように、搬入出ステーション2と、第1処理ステーション3と、第2処理ステーション6と、制御装置9とを備える。搬入出ステーション2と、第1処理ステーション3と、第2処理ステーション6とは、この順で、X軸方向負側からX軸方向正側に配置される。
搬入出ステーション2は、複数の載置部21を備える。複数の載置部21は、Y軸方向に一列に配置される。複数の載置部21のそれぞれには、カセットCSが載置される。カセットCSは、重合基板150を鉛直方向に間隔をおいて複数収容する。なお、載置部21の数は特に限定されない。同様に、カセットCSの数も特に限定されない。
また、搬入出ステーション2は、搬送部23を備える。搬送部23は、複数の載置部21の隣に配置され、例えばこれらのX軸方向正側に配置される。また、搬送部23は、受渡部26の隣に配置され、例えば受渡部26のX軸方向負側に配置される。搬送部23は、搬送装置24を内部に備える。
搬送装置24は、重合基板150を保持する保持部を備える。保持部は、水平方向(X軸方向およびY軸方向の両方向)および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。搬送装置24は、複数の載置部21に載置された複数のカセットCSと、受渡部26との間で、重合基板150を搬送する。
また、搬入出ステーション2は、受渡部26を備える。受渡部26は、搬送部23の隣に配置され、例えば搬送部23のX軸方向正側に配置される。また、受渡部26は、第1処理ステーション3の隣に配置され、例えば、第1処理ステーション3のX軸方向負側に配置される。受渡部26は、トランジション装置27を有する。トランジション装置27は、重合基板150を一時的に収容する。複数のトランジション装置27が鉛直方向に積み重ねられてもよい。トランジション装置27の配置や個数は、特に限定されない。
第1処理ステーション3は、処理ブロック4を備える。処理ブロック4は、レーザー加工装置41と、洗浄装置42と、エッチング装置43とを有する。レーザー加工装置41は、図4Aに示すように、処理基板100の内部にレーザー光線LBの集光点Pを形成し、その集光点Pに第1改質層M1、第2改質層M2および第3改質層M3を形成する。洗浄装置42は、薄化された処理基板100の第2主表面102を洗浄する。エッチング装置43は、薄化された処理基板100の第2主表面102をエッチングする。なお、処理ブロック4を構成する各種装置の配置や個数は、図1に示す配置や個数に限定されない。
第1処理ステーション3は、搬送部5を備える。搬送部5は、搬入出ステーション2のトランジション装置27の隣に配置され、例えばトランジション装置27のX軸方向正側に配置される。また、搬送部5は、処理ブロック4の隣に配置され、例えば処理ブロック4のY軸方向正側に配置される。さらに、搬送部5は、第2処理ステーション6の隣に配置され、例えば第2処理ステーション6のX軸方向負側に配置される。搬送部5は、第1搬送装置51を内部に備える。
第1搬送装置51は、重合基板150を保持する保持部を備える。保持部は、水平方向(X軸方向およびY軸方向の両方向)および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能である。第1搬送装置51は、重合基板150を、搬入出ステーション2のトランジション装置27、第1処理ステーション3の処理ブロック4、および第2処理ステーション6のベベル除去装置61に対して搬送する。
第2処理ステーション6は、ベベル除去装置61と、薄化装置62とを有する。ベベル除去装置61は、図5に示すように処理基板100に外力を加え、第1改質層M1を起点に形成される第1クラックC1と、第2改質層M2を起点に形成される第2クラックC2とを伸展し、処理基板100のベベル104を除去する。薄化装置62は、図6に示すように処理基板100に外力を加え、第3改質層M3を起点に形成される第3クラックC3を伸展し、処理基板100を薄化する。薄化装置62は、例えば、第2搬送装置63と、研削装置64とを備える。第2搬送装置63は、重合基板150をベベル除去装置61から研削装置64に搬送する。研削装置64は、薄化された処理基板100の第2主表面102を研削し、処理基板100をさらに薄化する。薄化された処理基板100は、第2搬送装置63によって洗浄装置42に搬送される。なお、第2処理ステーション6における各種装置の配置や個数は、図1に示す配置や個数に限定されない。例えば、第2搬送装置63とは別に、薄化装置62が設けられてもよい。
制御装置9は、例えばコンピュータであり、図1に示すように、CPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92とを備える。記憶媒体92には、薄化システム1において実行される各種の処理を制御するプログラムが格納される。制御装置9は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、薄化システム1の動作を制御する。また、制御装置9は、入力インターフェース93と、出力インターフェース94とを備える。制御装置9は、入力インターフェース93で外部からの信号を受信し、出力インターフェース94で外部に信号を送信する。
上記プログラムは、例えばコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶され、その記憶媒体から制御装置9の記憶媒体92にインストールされる。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、例えば、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどが挙げられる。なお、プログラムは、インターネットを介してサーバからダウンロードされ、制御装置9の記憶媒体92にインストールされてもよい。
図3は、一実施形態に係る薄化方法を示すフローチャートである。薄化方法は、例えば、図3に示す処理S101~S107を含む。これらの処理S101~S107は、制御装置9による制御下で実施される。
先ず、搬送装置24が、載置部21に載置されたカセットCSから重合基板150を取り出し、トランジション装置27に搬送する。続いて、第1搬送装置51が、トランジション装置27から重合基板150を受け取り、レーザー加工装置41に搬送する。
次いで、レーザー加工装置41が、処理基板100をレーザー加工する(図3のS101)。レーザー加工装置41は、図4Aに示すように処理基板100を基準としてデバイス層110とは反対側(例えば上側)から、処理基板100の内部にレーザー光線LBの集光点Pを形成し、その集光点Pに改質層を形成する。レーザー光線LBはパルス発振され、改質層は間隔をおいて複数形成される。
処理基板100が単結晶シリコンである場合、レーザー光線LBとして赤外線が用いられる。赤外線は単結晶シリコンに対して高い透過性を有し、赤外線の集光点Pに、改質層としてアモルファスシリコン層が形成される。改質層は、処理基板100の分割の起点になる。処理基板100の分割は、応力の印加によって行われる。
図4Aは、図3に示すレーザー加工の一例を示す断面図である。図4Bは、図4Aに示す第1分割面および第2分割面の位置を示す平面図である。
レーザー加工装置41は、処理基板100を径方向に分割する第1分割面D1に、第1改質層M1を形成する。第1分割面D1は、図4Bに示すように処理基板100の外周103と同心円状の円周面である。第1改質層M1は、図4Aに示すように処理基板100の周方向と処理基板100の厚さ方向に間隔をおいて複数形成される。第1改質層M1の形成時に、第1改質層M1同士をつなぐ第1クラックC1が生じる。第1クラックC1は、第1主表面101に達し、且つ第2主表面102に達しないように形成されてよい。
第1分割面D1は、処理基板100のベベル104よりも径方向内方に配置される。第1分割面D1よりも径方向外方の部分105を除去することにより、ベベル104を除去できる。ベベル104を除去したうえで処理基板100の薄化を行うことができ、いわゆるナイフエッジ106の発生を防止できる。
また、レーザー加工装置41は、図4Bに示すように第1分割面D1から処理基板100の外周103まで放射状に延びる複数の第2分割面D2に、第2改質層M2を形成する。第2改質層M2は、図4Aに示すように処理基板100の径方向および厚さ方向に間隔をおいて複数形成される。第2改質層M2の形成時に、第2改質層M2同士をつなぐ第2クラックC2が生じる。第2分割面D2の数は、図4Bでは4つであるが、2つ以上であればよい。第2分割面D2の数が2つ以上であれば、リング形状の周縁部105を、円弧形状の複数の端材107に分割して除去できる。
さらに、レーザー加工装置41は、図4Aに示すように処理基板100を厚さ方向に分割する第3分割面D3に、第3改質層M3を形成する。第3分割面D3は、処理基板100の第1主表面101および第2主表面102に対して平行な平坦面である。第3改質層M3は、処理基板100の周方向および径方向に間隔をおいて複数形成され、同心円状に配置される。なお、複数の第3改質層M3は、螺旋状に配置されてもよい。第3改質層M3の形成時に、第3改質層M3同士をつなぐ第3クラックC3が生じる。
なお、第1改質層M1と第2改質層M2と第3改質層M3の形成順序は、特に限定されない。第1改質層M1と第2改質層M2と第3改質層M3の形成の後、第1搬送装置51が、レーザー加工装置41から重合基板150を受け取り、ベベル除去装置61に搬送する。
図5は、図3に示すベベル除去の一例を示す断面図である。図5に示すように、ベベル除去装置61が、加工具であるブレード160で処理基板100に外力を加える。ブレード160は、処理基板100と支持基板130との間に挿入されるものであり、処理基板100を切削加工するものではない。ブレード160の挿入によって、第1改質層M1を起点に形成される第1クラックC1と、第2改質層M2を起点に形成される第2クラックC2とを伸展し、処理基板100のベベル104を除去する(図3のS102)。ベベル104の除去によって、処理基板100は径方向に縮小する。径方向に縮小した処理基板100の外周103は、第1分割面D1と一致する。なお、加工具として、本実施形態ではブレード160が用いられるが、ブレードの代わりにローラが用いられてもよい。加工具は、本実施形態では処理基板100の側方から処理基板100の外周に押し当てられるが、処理基板100の上方から処理基板100の外周に押し当てられてもよい。
次いで、ベベル除去装置61が、処理基板100の外周103を撮像し(図3のS103)、撮像した画像を画像処理する(図3のS104)。画像処理によって、ベベル104の除去の完了を確認できる。また、画像処理によって、処理基板100の外周103まで第1クラックC1が達しているか否を確認できる。その後、第2搬送装置63が、ベベル除去装置61から重合基板150を受け取り、研削装置64に搬送する。
研削装置64は、例えば、図1に示すように、回転テーブル641と、2つのチャック642と、加工ユニット643とを有する。なお、チャック642の数や配置は、特に限定されない。また、加工ユニット643の数や配置も、特に限定されない。
回転テーブル641は、鉛直な回転中心線Z1を中心に回転させられる。2つのチャック642は、回転テーブル641の回転中心線Z1を挟んで配置される。2つのチャック642は、回転テーブル641と共に回転し、搬入出位置A0と、研削位置A1とに交互に移動する。
搬入出位置A0は、第2搬送装置63によって重合基板150の搬入が行われる搬入位置と、第2搬送装置63によって重合基板150の搬出が行われる搬出位置とを兼ねる。一方、研削位置A1は、加工ユニット643によって処理基板100の研削が行われる位置である。
図6は、図3に示す薄化の一例を示す断面図である。研削装置64と第2搬送装置63とは、搬入出位置A0において、図6に示すように第3分割面D3で処理基板100を分割し、処理基板100を薄化する(図3のS105)。薄化装置62は、上記の通り、第2搬送装置63と研削装置64とを含む。
第2搬送装置63が処理基板100を上方から保持し、且つ研削装置64が処理基板100を下方から保持した状態で、第2搬送装置63の保持部631が研削装置64のチャック642に対して上昇する。その結果、第3クラックC3が面状に広がり、隣り合う第3クラックC3同士がつながるので、第3分割面D3で処理基板100が分割される。
第2搬送装置63の保持部631は、第3分割面D3で処理基板100をねじ切るべく、鉛直な回転軸を中心に回転しながら、上昇してもよい。第2搬送装置63の保持部631の代わりに、研削装置64のチャック642が回転してもよい。また、第2搬送装置63の保持部631と、研削装置64のチャック642とが互いに反対向きに回転してもよい。
第3分割面D3で分割された処理基板100の第1主表面101には、デバイス層110が形成されている。また、第3分割面D3で分割された処理基板100の第2主表面102には、第1クラックC1同士をつなげる時に生じた凹凸が形成されている。
次いで、研削装置64が、処理基板100の第2主表面102を研削する。研削は、薄化の一部である。処理基板100の第2主表面102は、研削によって平坦化される。研削後の処理基板100の板厚は、処理基板100の用途などに応じて、所望の値に設定される。研削前後の処理基板100の板厚の変化量、つまり、研削代は、研削によって第3改質層M3が除去されるように設定される。その後、第2搬送装置63が、研削装置64から重合基板150を受け取り、洗浄装置42に搬送する。
次いで、洗浄装置42が、薄化された処理基板100の第2主表面102を洗浄する(図3のS106)。洗浄方法は、例えばスクラブ洗浄である。第2主表面102を洗浄することにより、薄化で生じたパーティクルなどを除去できる。その後、第1搬送装置51が、洗浄装置42から重合基板150を受け取り、エッチング装置43に搬送する。
次いで、エッチング装置43が、薄化された処理基板100の第2主表面102をエッチングする(図3のS107)。エッチング方法は、例えばウェットエッチングである。第2主表面102をエッチングすることにより、薄化で生じたダメージ層を除去できる。
その後、第1搬送装置51が、エッチング装置43から重合基板150を受け取り、トランジション装置27に搬送する。続いて、搬送装置24が、トランジション装置27から重合基板150を受け取り、載置部21に載置されたカセットCSに搬送する。その後、今回の処理が終了する。
なお、上記処理S101~S107の順番は、図3に示す順番には限定されない。例えば、第1改質層M1および第2改質層M2の形成と、第1分割面D1および第2分割面D2での分割と、第3改質層M3の形成と、第3分割面D3での分割とが、この順番で行われてもよい。また、第3改質層M3の形成と第3分割面D3での分割とが行われることなく、研削が行われてもよい。つまり、研削のみによって薄化を実施してもよい。また、薄化は、研削を含まずに、第3分割面D3での分割のみを含んでもよい。
図7は、一実施形態に係るベベル除去装置を示す平面図である。図7において、白抜き矢印は、重合基板150の搬入方向と搬出方向とを表す。搬入方向と搬出方向とは例えば垂直な方向である。図8は、図7に示すベベル除去装置をY軸方向正側から見た図である。図8において、第1保管台250および第2保管台260を図示すべく、図7に示す内部搬送機構270の図示を省略する。図9Aは、図7のIX-IX線に沿った断面図であって、上カバーの開放位置を示す断面図である。図9Bは、図7のIX-IX線に沿った断面図であって、上カバーの閉塞位置を示す断面図である。
ベベル除去装置61は、基板加工装置であって、図5に示すように重合基板150の外周に水平なブレード160を押し当て、処理基板100のベベル104を除去する。ブレード160は、処理基板100と支持基板130との間に挿入される。以下、ブレード160による加工を、単に「加工」とも呼ぶ。ベベル除去装置61は、図7、図8、図9Aおよび図9Bに示すように基台210と、チャック220と、回転機構230と、保護カップ240と、第1保管台250と、第2保管台260と、内部搬送機構270とを備える。
基台210は、図9Aおよび図9Bに示すように例えば水平な板であり、少なくとも1本の支柱211を介して保護カップ240を支持する。保護カップ240は、鉛直な円筒状の筒部241と、筒部241の下端の開口部を塞ぐ蓋部242とを有し、筒部241の内部に回転機構230を収容し、回転機構230を加工屑から保護する。回転機構230は、鉛直な回転軸231を中心に、チャック220を回転させる。
チャック220は、図11に示すように処理基板100の第2主表面102を上に向けて、処理基板100を下方から水平に保持する。チャック220は、支持基板130を介して処理基板100を保持する。チャック220は、例えば真空チャックであるが、静電チャックまたはメカニカルチャックなどであってもよい。処理基板100は、チャック220に保持された状態で加工される。
第1保管台250は、図8に示すように第1搬送装置51によって外部から搬入される加工前の重合基板150を受け取り、保管する。第1保管台250は、基台210に固定される複数本の第1支柱251と、複数本の第1支柱251によって水平に支持される第1水平板252とを有する。第1支柱251によって、第1保管台250で重合基板150を保管する位置と、チャック220で重合基板150を保持する位置との高低差を低減できる。その結果、内部搬送機構270で重合基板150を搬送するときの昇降動作を低減できる。
第1保管台250は、重合基板150の芯出しを行う3本以上の第1ガイドピン253を有する。3本以上の第1ガイドピン253は、重合基板150の周方向に間隔をおいて配置され、それぞれ、上に向うほど細くなるテーパ面を有し、テーパ面によって重合基板150の芯出しを行う。
第1保管台250は、重合基板150を支持する3本以上の第1支持ピン254を有する。3本以上の第1支持ピン254は、3本以上の第1ガイドピン253によって芯出しされた重合基板150を、第1水平板252に接触しない様に、第1水平板252から浮かして支持する。第1水平板252と重合基板150との間には、隙間が形成される。なお、第1保管台250は、3本以上の第1支持ピン254の代わりに、重合基板150の中央部を支持する1つの第1支持台を有してもよい。
第1搬送装置51は、重合基板150を保持する保持部52を有する。保持部52は、例えば二股に分かれたフォーク状に形成され、処理基板100の第2主表面102を上に向けて、重合基板150を下方から水平に保持する。保持部52は、重合基板150を第1保管台250に載せた後、重合基板150の吸着を解除し、僅かに下降し、重合基板150と第1水平板252との間に形成される隙間から引き抜かれる。
なお、第1支持ピン254は、本実施形態では重合基板150を吸着しないが、重合基板150を吸着してもよい。つまり、第1支持ピン254が重合基板150を吸着する吸着部であってもよい。第1搬送装置51が重合基板150の吸着を解除する前に、第1支持ピン254が重合基板150の吸着を開始できるので、受渡時の重合基板150の位置ずれを防止できる。第1ガイドピン253を用いる場合よりも、重合基板150の芯出しの精度を向上できる。第1支持ピン254の代わりに、第1支持台が吸着部であってもよい。
第2保管台260は、加工後の重合基板150を、第2搬送装置63によって外部に搬出されるまで保管する。第2保管台260は、図8に示すように、第1保管台250の第1水平板252に固定される複数本の第2支柱261と、複数本の第2支柱261によって水平に支持される第2水平板262とを有する。第1保管台250と第2保管台260とが鉛直方向に積層されるので、鉛直方向視でベベル除去装置61を小型化できる。なお、第1保管台250と第2保管台260との配置は逆でもよく、第2保管台260の上に第1保管台250が配置されてもよい。
第2保管台260は、重合基板150の芯出しを行う3本以上の第2ガイドピン263を有する。3本以上の第2ガイドピン263は、重合基板150の周方向に間隔をおいて配置され、それぞれ、上に向うほど細くなるテーパ面を有し、テーパ面によって重合基板150の芯出しを行う。
第2保管台260は、重合基板150を支持する3本以上の第2支持ピン264を有する。3本以上の第2支持ピン264は、3本以上の第2ガイドピン263によって芯出しされた重合基板150を、第2水平板262に接触しない様に、第2水平板262から浮かして支持する。第2水平板262と重合基板150との間には、隙間が形成される。なお、第2保管台260は、3本以上の第2支持ピン264の代わりに、重合基板150の中央部を支持する1つの第2支持台を有してもよい。
第2搬送装置63は、図6に示すように重合基板150を水平に保持する保持部631を有する。その保持部631は例えば円盤状に形成され重合基板150の上面全体を上方から吸着する。保持部631は、第2保管台260から重合基板150を受け取り、重合基板150を吸着した状態で上昇し、ベベル除去装置61の外部に移動する。
なお、上記の通り、第2搬送装置63とは別に薄化装置62が設けられる場合、第2搬送装置63の保持部631は、第1搬送装置51の保持部52と同様に、二股に分かれたフォーク状に形成され、処理基板100の第2主表面102を上に向けて、重合基板150を下方から水平に保持してもよい。この場合、保持部631は、重合基板150と第2水平板262との間に形成される隙間に差し込まれた後、上昇し、第2保管台260から重合基板150を受け取る。
なお、第2支持ピン264は、本実施形態では重合基板150を吸着しないが、重合基板150を吸着してもよい。つまり、第2支持ピン264が重合基板150を吸着する吸着部であってもよい。第2搬送装置63が重合基板150の吸着を解除する前に、第2支持ピン264が重合基板150の吸着を開始できるので、受渡時の重合基板150の位置ずれを防止できる。第2ガイドピン263を用いる場合よりも、重合基板150の芯出しの精度を向上できる。第2支持ピン264の代わりに、第2支持台が吸着部であってもよい。
内部搬送機構270は、加工前の重合基板150を第1保管台250からチャック220に搬送し、加工後の重合基板150をチャック220から第2保管台260に搬送する。内部搬送機構270がチャック220に対し重合基板150を搬入出するので、第1搬送装置51および第2搬送装置63の届く範囲にチャック220を設置する制約が無くなり、チャック220の設置位置の自由度が高い。
内部搬送機構270は、図7に示すように、例えば鉛直な旋回軸Z2を中心に旋回する旋回アーム271と、旋回アーム271の先端に取付けられる保持部272とを有する。旋回アーム271および保持部272は、旋回可能であって、且つ、昇降可能である。
保持部272は、処理基板100の第2主表面102を上に向けて、重合基板150を上方から水平に保持する。保持部272とチャック220とは、互いに反対側から重合基板150を保持するので、いずれか一方が重合基板150を吸着した状態でいずれか他方が重合基板150を吸着でき、受渡時の位置ずれを低減できる。
保持部272は、旋回時に第2保管台260の第2支柱261等に当たらない様に小型化すべく、重合基板150の上面全体を吸着しなくてよく、例えば重合基板150の中心を吸着してよい。保持部272は例えば円盤状に形成され、その直径は例えば重合基板150の直径よりも小さい。なお、第1支柱251および第2支柱261は、旋回アーム271および保持部272の旋回を妨げない位置に配置される。
本実施形態によれば、第1保管台250と第2保管台260とが別々に設けられるので、ベベル除去装置61の内部に複数の重合基板150を収容でき、加工後の重合基板150の搬出が完了する前に加工前の重合基板150の搬入を実施できる。ベベル除去装置61の内部に加工前の重合基板150を常に準備できるので、単位時間当たりの処理枚数を向上できる。
また、本実施形態によれば、第1保管台250と第2保管台260とが別々に設けられるので、外部から第1保管台250に加工前の重合基板150を搬入することと、第2保管台260から外部に加工後の重合基板150を搬出することとを、同時に実施できる。この時、第1保管台250は第1搬送装置51から加工前の重合基板150を受け取り、第2保管台260は第2搬送装置63に加工後の重合基板150を渡す。複数の処理を同時に実施できるので、単位時間当たりの処理枚数を向上できる。
さらに、本実施形態によれば、チャック220と第1保管台250と第2保管台260とが別々に設けられるので、下記(1)および(2)の処理も可能である。(1)外部から第1保管台250に加工前の重合基板150を搬入することと、チャック220から第2保管台260に加工後の重合基板150を搬送することとを、同時に実施する。(2)第1保管台250からチャック220に加工前の重合基板150を搬送することと、第2保管台260から外部に加工後の重合基板150を搬出することとを、同時に実施する。
図9Aおよび図9Bに示すようにベベル除去装置61は下カップ280を備え、下カップ280は重合基板150の外周全周に亘って重合基板150から落下する加工屑を回収する。加工屑は、ブレード160を用いた加工によって生じ、例えば端材107と粉塵との少なくとも1つを含む。加工時に重合基板150はチャック220と共に回転するので、様々な回転角度で加工屑が落下し得る。下カップ280は、上記の通り重合基板150の外周全周に亘って重合基板150から落下する加工屑を回収するので、加工屑を確実に回収でき、ベベル除去装置61および重合基板150を清浄な状態に維持できる。
下カップ280は、上方視で重合基板150よりも大きい下筒部281を有する。下筒部281は、チャック220で保持した状態の重合基板150を上方視で取り囲むように円筒状に形成される。下筒部281は、下筒部281と加工ユニット330との干渉を避ける切欠き282を有してよい。下筒部281の直径を小さくでき、下カップ280を小型化できる。下筒部281は、旋回アーム271および保持部272との干渉を防止すべく、重合基板150よりも下方に配置されてよい。
下カップ280は、下筒部281の下端の開口部を塞ぐ下蓋部283を有する。下蓋部283には、加工屑を排出する排出口284が形成される。排出口284が形成されるので、下カップ280の内部に加工屑が堆積するのを抑制できる。下蓋部283は、排出口284を中央に有し、下筒部281の周方向全体に亘って、下筒部281から排出口284に向かうほど、下方に傾斜する傾斜面285を有する。傾斜面285は、例えば円錐状に形成される。排出口284が下蓋部283の一端に設けられる場合と比較して、高低差が同じで傾斜が急な傾斜面285を形成でき、加工屑を落下させやすい。あるいは、排出口284が下蓋部283の一端に設けられる場合と比較して、傾斜が同じで高低差が小さい傾斜面285を形成でき、下蓋部283の鉛直方向寸法を小さくできる。
図10は、下カップおよび排出管の一例を示す側面図である。下カップ280は、金属等の導電性材料で形成されるか、絶縁性材料で形成され帯電防止剤でコーティングされるか、絶縁材料と帯電防止剤との混合材料で形成される。帯電防止剤は、静電気の蓄積を防止する薬剤であり、例えば界面活性剤の作用により絶縁材料の表面に空気中の水分を吸着し、電気抵抗を下げる。下カップ280の帯電を防止でき、静電気によって加工屑が下カップ280に付着するのを抑制でき、下カップ280の内部に加工屑が堆積するのを抑制できる。下カップ280は、帯電を確実に防止すべく、例えば図10に示すように接地されてよい。
ベベル除去装置61は排出管290を備え、排出管290は下カップ280の排出口284から落下する加工屑を下方に導く。排出管290によって加工屑を所望の位置まで導くことができる。排出管290は、下カップ280と同様に、導電性材料で形成されるか、絶縁性材料で形成され帯電防止剤でコーティングされるか、絶縁材料と帯電防止剤の混合材料で形成される。排出管290の帯電を防止でき、静電気によって加工屑が排出管290に付着するのを抑制でき、排出管290の内部に加工屑が詰まるのを抑制できる。排出管290は、帯電を確実に防止すべく、例えば図10に示すように接地されてよい。
ベベル除去装置61は吸引器291を備え、吸引器291は排出管290の内部のガスを吸引する。吸引器291は、例えば真空ポンプである。真空ポンプの代わりに、エジェクタが用いられてもよい。吸引器291が排出管290の内部のガスを吸引するので、ガスの流れに乗せて加工屑を落下でき、加工屑の詰まりを抑制できる。吸引器291は、ベベル除去装置61に接続されていればよく、ベベル除去装置61に備えられなくてもよい。
ベベル除去装置61は吸引ボックス292を備え、吸引ボックス292は排出管290から吸引器291に向うガスの吸引経路の途中に設けられる。吸引器291は、吸引ボックス292の内部を上方から吸引する。吸引ボックス292の内部は密閉されており、吸引ボックス292の天井には排気管293が取り付けられ、排気管293および吸引ボックス292を介して吸引器291が排出管290の内部のガスを吸引する。吸引ボックス292の内部において、ガスは軽いので重力に逆らって上方に吸引されるのに対し、加工屑は重いので重力によってそのまま落下する。ガスと加工屑とを分離できるので、吸引器291の故障を抑制できる。
ベベル除去装置61は回収ボックス294を備え、回収ボックス294は排出管290から落下する加工屑を回収する。回収ボックス294は、例えば、吸引ボックス292の下方に配置される。延長管295は、排出管290から落下する加工屑を、回収ボックス294に導く。回収ボックス294の内部に堆積した加工屑は、定期的に廃棄される。
ベベル除去装置61は、加工屑の落下不良を検出するのに用いる検出器296を備える。検出器296は例えば重量センサ297を含み、重量センサ297は例えば回収ボックス294の重量変化を検出する。加工屑が落下の途中で詰まってしまうと、加工量に比べて回収ボックス294の重量増加量が小さくなる。なお、重量センサ297の設置位置は特に限定されない。例えば、重量センサ297は、下カップ280の重量変化を検出してもよい。この場合、加工屑が下カップ280に堆積するにつれ、下カップ280の重量が重くなる。
検出器296として、不図示の撮像センサが用いられてもよい。撮像センサは、下カップ280、排出管290、吸引ボックス292、回収ボックス294および延長管295のうちの少なくとも1つの内部に設けられ、内部を撮像する。加工屑が落下の途中で詰まってしまうと、撮像センサの撮像した画像に加工屑が写る。
検出器296はその検出結果をベベル除去装置61の制御部に送信し、制御部が加工屑の落下不良を検出するので、ベベル除去装置61のメンテナンスをユーザに促すことができる。例えば、制御部は、加工屑の落下不良を検出すると、アラームを報知する。アラームの報知は、画像または音で行われる。なお、重量センサ297の検出結果は、回収ボックス294の内部に堆積した加工屑の廃棄をユーザに促すのに用いられてもよい。
図8に示すように、ベベル除去装置61は、上カバー300と、上カバー移動機構310とを備える。上カバー300は、下カップ280の上端の開口部の少なくとも一部を塞ぐ閉塞位置(図9B参照)と、下カップ280の上端の開口部を開放する開放位置(図9A参照)との間で昇降する。上カバー移動機構310は、例えばシリンダであり、上カバー300を閉塞位置と開放位置との間で昇降させる。上カバー300が閉塞位置と開放位置との間で昇降するので、チャック220に対する重合基板150の搬入出と、重合基板150からの加工屑の飛散防止とを両立できる。なお、上カバー移動機構310は、上カバー300を鉛直方向だけではなく、水平方向にも移動させてもよい。
内部搬送機構270が加工前の重合基板150を第1保管台250からチャック220に搬送する時、上カバー300は開放位置で待機する。内部搬送機構270は、図8に示すように上カバー300と下カップ280との間を通り、重合基板150をチャック220に渡す。その後、内部搬送機構270が上カバー300と下カップ280との間から退出すると、上カバー300が開放位置から閉塞位置に下降する。次いで、加工ユニット330がブレード160で重合基板150を加工する間、上カバー300は閉塞位置にて加工屑の飛散を抑制する。重合基板150の加工が終わると、上カバー300が閉塞位置から開放位置に上昇する。その後、内部搬送機構270は、上カバー300と下カップ280との間を通り、加工後の重合基板150をチャック220から受け取り、第2保管台260に搬送する。
図8に示すように、第2保管台260で重合基板150を保管する位置は、上カバー300の開放位置よりも低くてよい。その位置関係が逆である場合に比べて、ベベル除去装置61を小型化できる。その位置関係が逆である場合、重合基板150は上カバー300と第2保管台260との間を通り、上カバー300および第2保管台260よりもさらに上昇する。その上昇が可能となるように、上カバー300と第2保管台260との間の水平方向距離が重合基板150の直径よりも大きくなる。本実施形態によれば、上カバー300と第2保管台260との間の水平方向距離を短縮でき、ベベル除去装置61を小型化できる。
上カバー300は、図9Bに示すようにチャック220で保持した状態の重合基板150の外周を取り囲む上筒部301を有する。下カップ280の下筒部281が重合基板150よりも下方に配置される場合であっても、上カバー300の上筒部301が重合基板150から横方向への加工屑の飛散を抑制できる。上筒部301は、例えば円筒状に形成され、その直径は重合基板150の直径よりも大きい。上筒部301は、上筒部301と加工ユニット330との干渉を避ける切欠き302を有してよい。上筒部301の直径を小さくでき、上カバー300を小型化できる。切欠き302には、例えばブレード160およびブレード取付部331が配置される。
上カバー300は、チャック220で保持した状態の重合基板150の少なくとも外周を上方から覆う天井部303を有する。天井部303は、例えばリング状に形成される。天井部303の外径は重合基板150の直径よりも大きく、天井部303の内径は重合基板150の直径よりも小さい。なお、天井部303は、円盤状に形成され、重合基板150の全体を上方から覆ってもよい。天井部303は、重合基板150の少なくとも外周を上方から覆うので、重合基板150から上方向への加工屑の飛散を抑制できる。
図11は、加工時に重合基板の外周周辺に形成されるガスの流れの一例を示す断面図である。吸引器291は、上記の通り、排出管290の内部のガスを吸引するので、下カップ280の内部のガスをも吸引する。その結果、下カップ280の内部が負圧になるので、リング状の天井部303の開口部から下カップ280の内部にガスが流れ込む。ガスは、天井部303と重合基板150との間に形成される隙間を通り、下カップ280の内部に流れ込む。ガスは、重合基板150の上面にて径方向外方に向う流れを形成するので、その流れによって加工屑を重合基板150から下カップ280に落とすことができ、重合基板150の上面への加工屑の付着を抑制できる。
なお、重合基板150の付近では、重合基板150の回転によってもガスの流れが形成される。ガスは、重合基板150に引きずられて回転しながら、遠心力によって径方向外方に向けて流れる。
天井部303は、重合基板150との間に隙間を形成するリング状の第1水平部304と、第1水平部304よりも内方にて第1水平部304よりも小さな隙間を形成するリング状の第2水平部305とを有する。第2水平部305によってガスの流れを絞ることにより、ベンチュリ管と同じ原理でガスの流速を増加でき、ガスの流れを強めることができる。
天井部303は、第1水平部304と第2水平部305とつなぐリング状の第1傾斜部306を有してよい。第1傾斜部306は、径方向外方に向うほど、上方に傾斜する。重合基板150の外周の真上には、第1水平部304が配置されてよい。また、天井部303は、第2水平部305と上筒部301とをつなぐリング状の第2傾斜部307を有してよい。第2傾斜部307は、径方向外方に向うほど、下方に傾斜する。
ベベル除去装置61は上ノズル308を有してよく、上ノズル308はチャック220で保持した状態の重合基板150の外周から径方向外方に向かうガスの流れを形成すべく、重合基板150に対し上方からガスを吐出する。ガスは、重合基板150の上面にて径方向外方に向う流れを形成するので、その流れによって加工屑を重合基板150から下カップ280に落とすことができ、重合基板150の上面への加工屑の付着を抑制できる。上ノズル308は、例えばリング状に形成され、重合基板150の外周全体に亘ってガスの流れを形成する。上ノズル308は、上ノズル308と内部搬送機構270との干渉を防止すべく、上カバー300と共に移動してよい。
ベベル除去装置61は下ノズル309を有してよく、下ノズル309はチャック220で保持した状態の重合基板150の外周から径方向外方に向うガスの流れを形成すべく、重合基板150に対して下方からガスを吐出する。チャック220の基板保持面221は重合基板150の直径よりも小さく、重合基板150の下面はその周方向全周に亘ってチャック220から径方向外方にはみ出す。はみ出す部分に向けて、斜め下方から下ノズル309がガスを吐出する。ガスは、重合基板150の下面にて径方向外方に向う流れを形成するので、重合基板150の下面への加工屑の付着を抑制できる。下ノズル309は、例えばリング状に形成され、重合基板150の外周全体に亘ってガスの流れを形成する。
下ノズル309は、例えば、保護カップ240の筒部241に設置され、チャック220の傾斜面222との間に、径方向外方に向うほど上方に向うガスの流路を形成する。筒部241の内部にはガス供給器311からガスが供給され、筒部241の内部が陽圧になる。筒部241の内部のガスが、下ノズル309によって吐出される。従って、筒部241の内部に加工屑が入り込むのを抑制でき、筒部241の内部に配置される回転機構230の故障を抑制できる。なお、保護カップ240は、図9Aおよび図9Bに示すように、下カップ280の内部に配置される。下カップ280と保護カップ240とは、同じ支柱211で支持されてよい。
ベベル除去装置61は、図8に示すように、チャック220に保持された状態の重合基板150(より詳細には処理基板100)の外周を撮像する撮像センサ320を備える。また、ベベル除去装置61は、図7に示すように、撮像センサ320を撮像位置と待機位置との間で移動させる撮像センサ移動機構321を備える。撮像位置は、撮像センサ320が上カバー300と下カップ280との間にて重合基板150の外周を撮像する位置である。待機位置は、撮像センサ320が上カバー300の昇降範囲の外で待機する位置である。本実施形態によれば、同一のチャック220で重合基板150を保持した状態で、重合基板150の加工と、重合基板150の撮像とを実施できる。加工用のチャックと撮像用のチャックとが別々に設けられる場合に比べて、重合基板150の受渡の回数を低減でき、受渡による位置ずれを抑制できる。
加工ユニット330がブレード160で重合基板150を加工する間、上カバー300は閉塞位置にて加工屑の飛散を抑制する。重合基板150の加工時に、撮像センサ320は待機位置で待機するので、撮像センサ320への加工屑の飛散を抑制でき、撮像センサ320の故障を抑制できる。重合基板150の加工が終わると、上カバー300が閉塞位置から開放位置に上昇する。その後、撮像センサ移動機構321が撮像センサ320を待機位置から撮像位置に移動させ、撮像センサ320が処理基板100の外周103を撮像する。その間、回転機構230が処理基板100を回転させ、撮像センサ320は処理基板100の外周103全体を撮像する。撮像が終わると、撮像センサ移動機構321が撮像センサ320を撮像位置から待機位置に移動させる。次いで、内部搬送機構270が、上カバー300と下カップ280との間を通り、加工後の重合基板150をチャック220から受け取り、第2保管台260に搬送する。
図12は、一実施形態に係る制御部の構成要素を機能ブロックで示す図である。図12に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部または一部を、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUにて実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。制御部500は、ベベル除去装置61の一部であって、制御装置9と同様にコンピュータで構成される。なお、制御部500の機能を制御装置9が有してもよい。
制御部500は、撮像センサ320で撮像された画像を画像処理し、チャック220の回転中心と重合基板150の中心とのズレを求め、ズレが次回以降小さくなるように、内部搬送機構270の重合基板150を搬送する経路を補正する補正部501を有する。重合基板150の中心は、例えば、画像処理によって処理基板100の外周103の少なくとも3点の位置を計測し、計測した3点を通る円の中心として求める。補正部501で補正する経路は、重合基板150を第1保管台250からチャック220まで搬送する経路である。
補正部501は、経路の始点および終点のうちの少なくとも1つを補正する。経路の始点は、内部搬送機構270の保持部272が第1保管台250から重合基板150を受け取る位置、つまり、保持部272が重合基板150をつかむ位置である。経路の終点は、内部搬送機構270の保持部272が重合基板150をチャック220に渡す位置、つまり、保持部272が重合基板150を離す位置である。
補正部501は、経路の始点および終点のうちの少なくとも1つを補正するので、チャック220の回転中心と重合基板150の中心とのズレを小さくできる。チャック220の回転時に重合基板150がぶれるのを抑制できる。仮に重合基板150がぶれると、ブレード160の挿入深さが重合基板150の周方向位置に応じて変わる。ブレード160の挿入深さとは、処理基板100と支持基板130との隙間への挿入深さのことである。ブレード160の挿入深さが大き過ぎると、ブレード160にかかる荷重が大き過ぎるので、ブレード160の変形等の故障が生じるという問題がある。また、ブレード160の挿入深さが小さ過ぎると、重合基板150にかかる荷重が小さ過ぎるので、ベベル104の除去が失敗するという問題がある。本実施形態によれば、補正部501が重合基板150のぶれを抑制できるので、これらの問題を解決できる。
また、制御部500は、撮像センサ320で撮像された画像を画像処理し、チャック220の回転中心と重合基板150の中心とのズレを求め、第1搬送装置51および第2搬送装置63のうちの少なくとも1つに指令を送信する指令送信部504を有してよい。指令送信部504は、上記ズレが次回以降小さくなるように、第1搬送装置51が第1保管台250に加工前の重合基板150を渡す位置を補正する指令を、第1搬送装置51に送信する。また、指令送信部504は、上記ズレから第2保管台260における重合基板150の位置ずれをさらに求め、その位置ずれが吸収されるように、第2搬送装置63が第2保管台260から加工後の重合基板150を受け取る位置を補正する指令を、第2搬送装置63に送信する。第2搬送装置63が、加工後の重合基板150の所望の位置を保持できる。
また、制御部500は、撮像センサ320で撮像された画像を画像処理し、重合基板150の加工結果の良否を判定する判定部502を有する。判定部502は、画像処理によって加工後の処理基板100の外周103の位置を求め、処理基板100の外周103全体が第1分割面D1まで縮径したか否かを判定する。処理基板100の外周103全体が第1分割面D1まで縮径した場合、加工結果が良好であると判定される。一方、処理基板100の外周103の少なくとも一部が第1分割面D1まで縮径しなかった場合、加工結果が不良であると判定される。加工結果が不良の重合基板150は、薄化装置62に供される前にベベル除去装置61にて加工条件(例えば加工時のブレード160の荷重)を変えて再度加工されるか、薄化装置62に供されることなく載置部21上のカセットCSに戻される。
図13は、図9Bに示す加工ユニットの拡大図である。ベベル除去装置61は、重合基板150の外周に水平なブレード160を押し当て、重合基板150(より詳細には処理基板100)を加工する加工ユニット330を備える。ブレード160は、重合基板150の外周に押し当てられ、重合基板150の回転に伴って受動的に回転する。ブレード160の回転方向は重合基板150の回転方向とは逆方向であり、ブレード160の外周の回転速さと重合基板150の外周の回転速さとが一致するので、重合基板150およびブレード160の破損を抑制できる。なお、ブレード160は、重合基板150とは独立に回転させられてもよい。
ブレード160は、例えば、図5に示すように、下側から上方に向けて、水平な下円盤部161と、くさび形状の刃部162と、水平な上円盤部163とを、この順番で有する。刃部162は、下円盤部161および上円盤部163の両方から径方向外方にはみ出しており、その先端に水平面164と傾斜面165とを含む。傾斜面165は径方向外方に向うほど下方に傾斜する。刃部162は、水平面164にて支持基板130の上面と接触し、傾斜面165にて処理基板100の除去する部分(例えば端材107)を上方に押し上げる。ブレード160は、消耗品であるので、適宜交換される。
加工ユニット330は、図13に示すようにブレード160が取り付けられるブレード取付部331を有する。ブレード取付部331は水平な取付面332を有し、その取付面332には複数のボルト穴が間隔をおいて形成される。複数のボルト穴のそれぞれにはボルト333がねじ込まれ、ボルト333によってブレード160が交換可能にブレード取付部331に取り付けられる。ボルト333の代わりに不図示の磁石が用いられてもよい。磁石は、永久磁石および電磁石のいずれでもよい。
ブレード160は、加工ユニット330の取付面332に面接触する平坦面166を有する。平坦面166は、例えばブレード160の下面の凹部167に形成される。平坦面166と水平面164(図5参照)とは、平行であって且つ所望の高低差を有するか、または同一面に配置される。いずれにしろ、ブレード160の交換の前後で、水平面164の高さと、水平面164の水平度とを維持できる。
加工ユニット330は、チャック220に対して接離する方向にブレード取付部331を進退させる駆動部340を有する。チャック220を進退させる代わりに、チャック220よりも軽いブレード160を進退させるので、ブレード160と重合基板150との接離に要する駆動力を低減できる。
駆動部340は、例えば、回転モータ341と、回転モータ341の回転運動を直線運動に変換するボールねじ342とを有する。ボールねじ342は、ねじ軸343とねじナット344とを含む。ねじ軸343は、例えば軸継手345を介して回転モータ341の出力軸と連結され、その出力軸と共に回転する。一方、ねじナット344はねじ軸343の回転によって進退し、その結果、ブレード取付部331が進退される。
加工ユニット330は、駆動部340によって進退させられる第1スライダ351と、第1スライダ351に追従して進退させられる第2スライダ352と、第1スライダ351と第2スライダ352とを連結する弾性体353とを有する。弾性体353として、例えばコイルバネが用いられる。第1スライダ351にはねじナット344が設置され、第2スライダ352にはブレード取付部331が設置される。ブレード取付部331は第2スライダ352と共に進退する。第2スライダ352は、第1スライダ351の前方に配置される。
加工前の重合基板150がチャック220に保持されると、第1スライダ351が待機位置から加工位置まで前進し、弾性体353を介して第2スライダ352を前方に移動させ、ブレード160を重合基板150に押し付ける。第1スライダ351の加工位置が前方であるほど、第1スライダ351と第2スライダ352との間隔が短く、弾性体353の弾性復元力が強いので、ブレード160の荷重が強くなる。加工時に第1スライダ351は加工位置に停止される。加工終了後、第1スライダ351が加工位置から待機位置に戻され、弾性体353を介して第2スライダ352を後退させ、ブレード160を重合基板150から引き離す。
ところで、チャック220の回転中心と重合基板150の中心とがずれ、偏芯が生じると、チャック220の回転時に重合基板150がぶれる。弾性体353は、重合基板150のぶれを吸収するようにブレード160を進退させるべく、ブレード160の進退方向に弾性変形する。本実施形態によれば、弾性体353が重合基板150のぶれを吸収するので、ぶれに起因する上記の問題を解決できる。
なお、弾性体353が存在しない場合、第1スライダ351にはねじナット344だけではなく、ブレード取付部331も設置される。この場合、図12に示す加工制御部503は、偏芯による重合基板150のぶれを吸収するようにブレード160を進退させるべく、第1スライダ351の加工位置を進退させてもよい。但し、弾性体353が存在する場合には、第1スライダ351の加工位置を停止させた状態で重合基板150のぶれを吸収でき、加工制御部503の制御を易化できる。
加工ユニット330は、ブレード取付部331を回転自在に支持する回転支持機構360を有する。回転支持機構360は、回転軸361と、ベアリングボックス362と、ベアリングBrとを有する。ブレード取付部331は、鉛直な回転軸361を介してベアリングボックス362に対して固定される。ベアリングボックス362は、ベアリングBrの外輪を保持する円筒部363と、円筒部363の上端の開口部を塞ぐ蓋部364とを有する。蓋部364には回転軸361が固定される。回転軸361の延長線上に高さ調整軸371が鉛直に配置され、高さ調整軸371がベアリングBrの内輪を保持する。ベアリングBrによって、ブレード取付部331が回転自在に支持される。
加工ユニット330は、チャック220の基板保持面221に対するブレード取付部331の取付面332の高さを調整する高さ調整機構370を有する。高さ調整機構370は、例えば高さ調整軸371と高さ調整ベース372とを含む。高さ調整軸371はねじ軸373を有しねじ軸373はねじ穴にねじ込まれ、そのねじ穴は高さ調整ベース372に形成される。高さ調整軸371を回転させることによって、高さ調整軸371を昇降でき、ブレード取付部331の取付面332の高さを調整できる。高さ調整ベース372は第2スライダ352に対して固定され、第2スライダ352には高さ調整機構370および回転支持機構360を介してブレード取付部331が設置される。
なお、高さ調整機構370の構成は特に限定されない。例えば、高さ調整機構370は、高さ調整軸371を昇降するアクチュエータを有してもよい。アクチュエータとして、例えばピエゾ素子などが用いられる。アクチュエータによって自動で高さ調整軸371を昇降できる。アクチュエータは高さ調整ベース372に取り付けられる。
加工ユニット330は、ブレード取付部331の回転を制限する回転制限機構380を有する。回転制限機構380は、ストッパピン381と、ストッパピン381の篏合するピン穴382とを有する。ピン穴382は、ベアリングボックス362の円筒部363の外周面に形成され、ベアリングボックス362と共に進退する。駆動部340がベアリングボックス362を後退させ、ピン穴382にストッパピン381が篏合されると、ベアリングボックス362の回転が制限され、その結果、ブレード取付部331の回転が制限される。その状態でブレード160を交換できるので、ブレード160の交換が容易である。
ピン穴382は、ベアリングボックス362と共に回転するので、ベアリングボックス362の回転停止時にストッパピン381の延長線上から外れることがある。その状態で、駆動部340がベアリングボックス362を後退させると、ベアリングボックス362がストッパピン381の前端に当たる。ストッパピン381は、ベアリングボックス362の進退方向に移動可能であり、前進限位置に向けてコイルバネなどの弾性体383によって付勢される。ストッパピン381がベアリングボックス362によって後方に押されると、弾性体383は弾性変形しストッパピン381の後退を許容する。その後、ベアリングボックス362を回転させ、ピン穴382がストッパピン381の延長線上に配置されると、ストッパピン381が弾性体383の弾性復元力によって前進限位置まで押し戻され、ピン穴382と篏合する。
加工ユニット330は、図9Aおよび図9Bに示すようにチャック220の基板保持面221に対するブレード取付部331の取付面332の平行度を調整する平行度調整機構390を有する。平行度調整機構390は、図7に示すようにベースプレート391の異なる場所の高さを調整する複数(例えば3つ)の高さ調整部392とを有する。
ベースプレート391にはガイドレールGdが固定され、ガイドレールGdが第1スライダ351と第2スライダ352を案内する。ベースプレート391には、ガイドレールGdおよび第2スライダ352等を介してブレード取付部331が設置される。
高さ調整部392は、複数本(例えば3本)の支柱212のそれぞれの上端に取り付けられ、支柱212の下端は基台210に取り付けられる。ベースプレート391の3点の高さを調整でき、ブレード取付部331の取付面332の平行度を調整できる。
高さ調整部392は、いわゆるレベリングボルトであって、例えば、ねじナット393と、ねじ軸394と、固定ボルト395とを有する。ねじナット393は、ベースプレート391に対して固定される。ねじ軸394は、ねじナット393のねじ穴にねじ込まれ、ベースプレート391の貫通穴に差し込まれ、支柱212の上端面に回転自在に接触する。支柱212の上端面にはねじ穴が形成され、そのねじ穴に固定ボルト395がねじ込まれる。固定ボルト395は、筒状のねじ軸394の内部を貫通して、支柱212のねじ穴にねじ込まれる。支柱212のねじ穴の外径は筒状のねじ軸394の内径よりも小さく、ねじ軸394は支柱212の上端面に回転自在に接触する。
ベースプレート391の各点の高さを調整するときには、先ず固定ボルト395を緩め、次いでねじ軸394を回転させ、ねじナット393を昇降させる。その後、固定ボルト395を締めると、高さを固定できる。
なお、高さ調整部392は、レベリングボルトの代わりに、アクチュエータを有してもよい。アクチュエータとして、例えばピエゾ素子などが用いられる。アクチュエータによって自動でベースプレート391の各点の高さを調整できる。
また、平行度調整機構390は、高さ調整部392を有するので、高さ調整機構370を兼ねることも可能であるが、高さ調整機構370とは別に設けられてよい。高さ調整機構370は、平行度調整機構390によって調整された平行度を維持しつつ、チャック220の基板保持面221に対するブレード取付部331の取付面332の高さを調整する。従って、高さ調整機構370と平行度調整機構390とが別々に設けられれば、難易度の高い平行度の調整の回数を減らすことができる。
加工ユニット330は、図13に示すように、第2スライダ352と共に進退する加工カバー354を有してよい。加工カバー354は、例えば前面板355と、上面板356と、左右一対の側面板357とを有する。前面板355は、鉛直に配置され、保護カップ240の筒部241に対向する。上面板356は、回転軸361が配置される貫通穴を有する。加工カバー354は、上面板356の貫通穴の縁から上方に延びる円筒部358を有する。円筒部358は、ブレード取付部331のスカート部334の内部に配置され、スカート部334との間にラビリンス構造を形成する。加工カバー354は、その内部に、回転支持機構360と、高さ調整機構370の少なくとも一部とを収容し、これらへの加工屑の飛散を抑制する。
加工ユニット330は、図13に示すように、ベースプレート391の前端から上方に延び、加工カバー354の内部を仕切る衝立396を有してよい。衝立396は、加工カバー354の前面板355よりも後方、且つガイドレールGdよりも前方にて、鉛直に配置され、前面板355との間にラビリンス構造を形成する。衝立396は、加工カバー354の前面板355と共に、回転支持機構360、高さ調整機構370、およびガイドレールGdへの加工屑の飛散を抑制する。
図14Aは、一実施形態に係る押さえ部を示す平面図である。図14Bは、図14AのXIVB-XIVB線に沿った断面図である。図14Aおよび図14Bに示すようにベベル除去装置61は押さえ部400を備えてよい。押さえ部400は、ブレード160によって処理基板100から押し上げる端材107を、ブレード160とは処理基板100の周方向に間隔をおいて上方から押さえる。端材107は、第1分割面D1と第2分割面D2とで分割された上面視円弧状のものであり、ベベル104を含むものである。押さえ部400は、図14Bに示すように、ブレード160よりも処理基板100の回転方向後方を押さえる。押さえ部400によって端材107を急角度で押し上げることができ、第2分割面D2における分割を促進できる。
押さえ部400は、例えば端材107に押し当てられるボール401と、ボール401を回転自在に支持する支持具402とを有する。ボール401は、球面にて端材107と接触するので、端材107との摩擦抵抗を低減できる。また、支持具402は、ボール401を回転自在に支持するので、ボール401と端材107との摩擦抵抗をさらに低減できる。
押さえ部400は、上カバー300に対して固定されてよく、上カバー300と共に昇降してよい。上カバー300が閉塞位置まで下降すると、押さえ部400が端材107に押し当てられる。押さえ部400は、コイルばねなどの弾性体を介して上カバー300に対して固定されてもよい。弾性体は、その弾性復元力によって、押さえ部400を端材107に押し当てる。
図15は、重合基板の外周のうち、ブレードと接触する範囲の一例を示す平面図である。制御部500は、図12に示すように、チャック220の回転機構230と、加工ユニット330とを制御する加工制御部503を有する。加工制御部503は、図15に示すように、チャック220と共に重合基板150を回転させる間に、重合基板150の外周の周方向一部(例えば第2分割面D2)がブレード160に当たらないようにブレード160を進退させる。図15において、SPはブレード160が重合基板150の外周に当たり始める当接開始点であり、EPはブレード160が重合基板150の外周から離れ始める当接終了点である。当接開始点SPと当接終了点EPとの間に第2分割面D2が配置される。
加工前の重合基板150がチャック220に保持されると、第1スライダ351が待機位置から加工位置まで前進する前に、撮像センサ移動機構321が撮像センサ320を待機位置から撮像位置まで移動させ、撮像センサ320が処理基板100のノッチ108を撮像する。ノッチ108は、処理基板100の結晶方位を表すものであり、処理基板100の外周103に形成される。ノッチ108の代わりに、オリエンテーションフラットが処理基板100の外周103に形成されてもよい。ノッチ108の撮像が終わると、撮像センサ移動機構321が撮像センサ320を撮像位置から待機位置に移動させる。
加工制御部503は、撮像センサ320によって撮像したノッチ108の画像を画像処理し、ノッチ108の位置を計測する。ノッチ108の位置と、第2分割面D2の位置との関係は、予め記憶媒体に記憶しておく。加工制御部503は、予め記憶媒体に記憶した上記関係を参照し、計測したノッチ108の位置から第2分割面D2の位置を検知する。
加工制御部503は、処理基板100を回転させながら処理基板100の外周にブレード160を押し当てる時、第2分割面D2の位置を避けるようにブレード160を進退させる。仮に第2分割面D2にブレード160が当たると、第2分割面D2には第2改質層M2が形成されているので、そのタイミングで衝撃が生じる。その衝撃が大きいと、下記の問題が生じうる。意図しない亀裂が生じ、想定外の位置で端材107が落下してしまう。隣り合う複数の端材107が、第2分割面D2で分割されずに、連結されたまま落下し、詰まってしまう。ブレード160の寿命が縮んでしまう。本実施形態によれば、加工制御部503が第2分割面D2の位置を避けるようにブレード160を進退させるので、これらの問題を解決できる。
図16は、一実施形態に係る測定器によって水平度を測定する状態を示す断面図である。図17は、一実施形態に係る測定器によって高さを測定する状態を示す断面図である。図16および図17に示すように、加工ユニット330は測定器410が取り付けられる測定器取付部を含む。測定器取付部としてブレード取付部331が用いられ、測定器410とブレード160とはブレード取付部331の同じ取付面332にボルト333などで交換可能に取り付けられる。ボルト333の代わりに、上記の通り磁石が用いられてもよい。測定器取付部とブレード取付部331とが別々に設けられる場合に比べて、加工ユニット330を小型化できる。
測定器410は、チャック220の基板保持面221に対するブレード160の取付面332の、平行度および高さのうちの少なくとも1つ(本実施形態では両方)を測定するものである。測定器410を使用することなく目視で平行度または高さを測定する場合に比べて、作業者の熟練度に関係なく平行度または高さを精度良く調整でき、ブレード160を適切に且つ容易に取り付けできる。
測定器410は、例えば、ブレード取付部331の取付面332に取り付けられる旋回アーム411と、旋回アーム411の一端に取り付けられるハイトセンサ412とを有する。ハイトセンサ412は、チャック220の基板保持面221の高さを計測する。ハイトセンサ412は、本実施形態では接触式であるが、非接触式であってもよい。
回転支持機構360は、上記の通り、ブレード取付部331を回転自在に支持する。ブレード取付部331を回転させると、旋回アーム411を旋回でき、ブレード取付部331の取付面332に対するチャック220の基板保持面221の高さ分布を計測でき、その高さ分布から平行度が分かる。基板保持面221に対して取付面332が完全に平行になると、ブレード取付部331の回転角が変化してもハイトセンサ412の測定値が変化しない。
駆動部340は、上記の通り、チャック220に対して接離する方向にブレード取付部331を進退させる。ブレード取付部331を進退させると、旋回アーム411を進退でき、ブレード取付部331の取付面332に対するチャック220の基板保持面221の高さ分布を計測でき、その高さ分布から平行度が分かる。基板保持面221に対して取付面332が完全に平行になると、ブレード取付部331が進退してもハイトセンサ412の測定値が変化しない。
作業者は、測定器410の測定結果に基づき、チャック220の基板保持面221に対するブレード取付部331の平行度が予め定めた許容範囲内に収まるように、平行度調整機構390を用いて平行度を調整する。平行度の調整は、測定器410をブレード取付部331に取り付けた状態で実施されてよい。平行度が予め定めた許容範囲内に収まるまで、平行度の調整と平行度の測定とが繰り返し行われてよい。
平行度の調整の後、高さの測定が行われてよい。高さの測定には、ハイトセンサ412が用いられてもよいが、本実施形態ではブロックゲージ413が用いられる。ブロックゲージ413は、旋回アーム411の他端に取り付けられる。ブロックゲージ413は段差414を有する。
ハイトセンサ412とブロックゲージ413とは同一の旋回アーム411に取り付けられるので、作業者は平行度の調整の後、ブレード取付部331を図16に示す状態から図17に示す状態に反転し、ブロックゲージ413をチャック220に向ける。チャック220の基板保持面221の高さがブロックゲージ413の段差414の範囲内であるか否かで、ブレード取付部331の取付面332の高さが予め定めた許容範囲内であるか否かが分かる。その確認は目視で行われてよい。基板保持面221の高さが段差414の範囲内ではない場合、範囲内になるまで、作業者は高さ調整機構370を用いて高さを調整する。高さの調整は、測定器410をブレード取付部331に取り付けた状態で実施される。
高さの調整の後、回転制限機構380がブレード取付部331の回転を制限する。その後、測定器410が取り外され、代わりに、ブレード160が取り付けられる。これらの作業はブレード取付部331の回転を制限した状態で実施されるので、測定器410とブレード160との交換が容易である。
なお、ハイトセンサ412とブロックゲージ413とが、交換可能にブレード取付部331に取り付けられてもよい。また、ブロックゲージ413はブレード取付部331に取り付けられることなく、チャック220の基板保持面221に設置されてもよく、ブレード取付部331の取付面332の高さがブロックゲージ413の段差414の範囲内であるか否かを目視で確認してもよい。
以上、本開示に係る基板加工装置、および基板加工方法について説明したが、本開示は上記実施形態などに限定されない。特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更、修正、置換、付加、削除、および組み合わせが可能である。それらについても当然に本開示の技術的範囲に属する。
上記実施形態では基板加工装置としてベベル除去装置61が用いられるが、基板加工装置は基板の外周に水平なブレード160を押し当て基板を加工するものであればよく、基板加工装置の用途はベベル104の除去には限定されない。
例えば、基板加工装置は、図18に示すベベル除去および薄化の前に、処理基板100と支持基板130との間にブレード160を挿入し、第1クラックC1、または第1クラックC1と第3クラックC3の両方を伸展させるものであってもよい。薄化の前に、ベベル除去、またはベベル除去および薄化の起点となるクラックを形成できる。つまり、基板加工装置は、処理基板100のベベル除去および薄化を同時に行う前に、起点となるクラックを形成するものであってもよい。この場合も、クラックの成形時に発生する粉塵を下カップ280によって確実に回収でき、ベベル除去装置61および重合基板150を清浄な状態に維持できる。
図18は、図6に示すベベル除去および薄化の変形例を示す断面図である。図18に示す変形例では、処理基板100に外力を加え、第1クラックC1および第3クラックC3を伸展させる。第1改質層M1は、第1クラックC1が第1主表面101に達し且つ図18に破線で示す薄化前の第2主表面102に達しないように形成される。第3改質層M3は、第3クラックC3が第1分割面D1と交差し且つ外周103に達しないように形成される。第1改質層M1および第3改質層M3の形成はレーザー加工装置41によって実施される。但し、第2改質層M2は形成されない。その後、図6に示すような薄化装置62で、図18に示すようにベベル除去と薄化とを同時に行う。
また、基板加工装置は、重合基板150を処理基板100と支持基板130とに剥離する起点となるクラックを形成するものであってもよい。この場合、処理基板100と重合基板150とは接着剤などで貼り合わされてもよい。
処理基板100は、シリコンウェハには限定されない。処理基板100は、例えば、炭化珪素ウェハ、窒化ガリウムウェハ、酸化ガリウムウェハなどであってもよい。また、処理基板100は、ガラス基板であってもよい。支持基板130について同様である。