以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。なお、以下の実施形態で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
図1は、一実施形態に係る無線ネットワークシステムの構成例を示す図である。図1に示す無線ネットワークシステム1は、例示的に、サーバ11と、中継装置12と、複数の観測装置13−1〜13−N(Nは2以上の整数)と、を備える。
図1の例ではN=8、つまり、8台の観測装置13−1〜13−8(#1〜#8)が無線ネットワークシステム1に備えられている。なお、観測装置13−1〜13−Nを区別しない場合には、単に「観測装置13」と表記することがある。
サーバ11は、中継装置12と例えば有線接続され、中継装置12と通信することが可能であり、また、中継装置12を介して、複数の観測装置13のいずれかと通信可能である。
例えば、サーバ11から観測装置13のいずれかに宛てて送信された信号は、中継装置12で受信されて該当の観測装置13宛に転送される。また、観測装置13のいずれかから送信された信号は、中継装置12で受信されてサーバ11宛に転送される。
サーバ11から観測装置13への方向の通信は、下り(ダウンストリーム、又は、ダウンリンク)通信と称してよい。逆に、観測装置13からサーバ11への方向の通信は、上り(アップストリーム、又は、アップリンク)通信と称してよい。
中継装置12は、上述のようにサーバ11と観測装置13との間のダウンリンク(DL)通信及びアップリンク(UL)通信を中継する。中継装置12は、例示的に、無線通信が可能であり、中継装置12が形成する無線通信エリアに位置する観測装置13とは直接の無線通信が可能である。別言すると、中継装置12は、観測装置13とアドホック通信が可能である。
観測装置13は、それぞれ、無線通信が可能であり、例示的に、中継装置12との間又は他の観測装置13との間でアドホック通信が可能である。例えば、アドホック通信が可能な通信エリアに位置する中継装置12と観測装置13との間、又は、観測装置13同士の間は、アドホック通信により互いに信号を直接に送受信することが可能である。
別言すると、中継装置12及び各観測装置13は、アドホック通信(又は無線)ネットワークを形成する。したがって、中継装置12及び各観測装置13は、それぞれ、アドホック無線ネットワークのネットワークエレメント(NE)の一例であると捉えてよい。
アドホック無線ネットワークは、無線通信時に近隣装置を自動検出して通信(「ルーテング」と称してもよい。)が可能なネットワークの一例である。図1には、例示的に、中継装置12を基点に複数の観測装置13がツリー状のアドホック無線ネットワークを形成する様子を模式的に示している。なお、互いにアドホック通信(又は接続)が可能な装置同士は、「隣接(又は接続)関係にある装置」と捉えてよく、「隣接装置」と称してもよい。
観測装置13の非限定的な一例は、物理量を測定(センシング)可能なセンサデバイスである。したがって、センサデバイス13が形成するアドホック通信ネットワークは、センサネットワークと称してもよい。センサデバイス13が測定する物理量の一例としては、質量、長さ、時間、電流、電圧、電力、速さ、加速度、角速度、圧力、磁気、光、変位、回転数、位置、距離、温度、湿度等が挙げられる。センサデバイス13は、これらの物理量のいずれか1つ又は2以上をセンシング可能な1又は複数のセンサを備えてよい。
図1には、非限定的な一例として、水位をセンシング可能なセンサ(S)138を備える複数のセンサデバイス13(#1〜#8)が、河川及びその支流の水位をセンシング可能な位置に配置された様子を例示している。なお、センサデバイス13としての機能(センサ(S))は、中継装置12にも備わっていて構わない。その場合、中継装置12もセンサデバイス13の1つであると捉えてよい。
中継装置12及びセンサデバイス13は、それぞれ、単に「デバイス」あるいは「ノード」と総称してよい。例えば図1において、中継装置12は、デバイス(又はノード)#0と表記されてよく、各センサデバイス13は、デバイス(又はノード)#1〜#Nと表記されてよい。
センサデバイス13のそれぞれは、センシングした水位の情報をULのアドホック通信により中継装置12を介してサーバ11宛に送信することが可能である。センサデバイスとして機能する中継装置12がセンシングした情報は、サーバ11宛に送信されてよい。
別言すると、サーバ11は、センサネットワークにおいてセンシングされた情報(以下「センサ情報」又は「観測データ」と称することがある。)を収集して、監視、管理、利用等することが可能である。センサ情報の収集は、定期でもよいし不定期でもよい。
例えば、サーバ11は、クラウドサーバであってよく、センサ情報をクラウドコンピューティング技術によって監視、管理、利用等することができる。
なお、サーバ11は、中継装置12を介したDL通信によって個々のセンサデバイス13の動作や設定を制御することが可能である。例えば、サーバ11が送信したセンサデバイス13宛の設定情報や制御情報は、中継装置12によってセンサネットワークへ中継され、センサネットワーク内のアドホック通信により宛先デバイス13へ転送される。
上述のようなサーバ11、中継装置12、及び、センサデバイス13を備えた無線ネットワークシステム1は、「センシングシステム」あるいは「高密度センシングシステム」と称してもよい。
センシングシステム1において、各センサデバイス13は、センシングタイミングの到来に応じてセンサ情報のセンシングを実施する。センシングタイミングは、定期的なタイミングでもよいし不定期なタイミングでもよい。本実施形態では、例示的に、各センサデバイス13は、タイマ等の時刻管理機能(時計機能)を具備し、当該時刻管理機能により規定される周期でセンサ情報のセンシングを定期的に行なう。
センシングタイミングが到来するまでの間、各センサデバイス13は、例えば、スリープ状態となって省電力モードで動作してよい。省電力モード(「スリープモード」と称してもよい。)では、例示的に、時計機能に限って動作が許容されることとし、その他の機能(例えば、プロセッサや無線通信機能)の動作は停止してよい。これにより、センサデバイス13に搭載されるバッテリの消費電力を抑えることが可能なり、センサデバイス13の長時間動作が可能になる。
センサデバイス13は、センシングタイミングの到来を検出すると、スリープモードから復帰し、センサ情報のセンシングを実施する。センシング中に、センサデバイス13は、他のセンサデバイス13との間の無線区間(「隣接区間」と称してもよい。)の通信状態(「隣接状態」と称してもよい。)を確認してよい。
通信状態は、無線通信の品質を示す情報によって識別されてよい。隣接区間の無線通信の品質は、「隣接無線品質」と称してよい。隣接無線品質の確認は、隣接無線品質の「監視」又は「検出」と称してよい。
無線品質を示す情報(指標値)の一例は、信号受信レベル(別言すると、受信電波強度)や、受信SNR(Signal to Noise Ratio)、ビットエラーレート(BER)、再送回数等である。検出した隣接無線品質の情報(以下「隣接無線品質情報」と称することがある。)は、ULのアドホック通信により中継装置12へ送信してよい。隣接無線品質情報は、センサ情報と共に送信されてよい。
中継装置12は、各センサデバイス13から受信される隣接無線品質情報を基に、各センサデバイス13間の無線品質を監視することができる。中継装置12は、隣接無線品質情報の示す無線品質が悪化した無線区間を検出すると、より無線品質の良い他の無線区間を経由する通信経路(「迂回経路」あるいは「代替経路」と称してよい。)を検索、検出してよい。なお、無線品質の悪化は、センサデバイス13の設置環境の変化に起因して生じる電波障害等によって発生し得る。
中継装置12は、無線品質の悪化を検出した無線区間を含む、宛先センサデバイス13までの通信経路(「現用経路」と称してよい。)を、現用経路が実際に通信不能な状態に陥る前に、迂回経路に切り替えることができる。したがって、中継装置12は、アドホックネットワークの通信経路を制御する制御装置であると捉えてよい。経路切替は、経路制御の一例であり、経路選択と捉えてもよい。
図1及び図2に例示するように、実線矢印で示す通信経路が現用経路として設定(選択)されているとする。すなわち、デバイス#0−#1−#2−#3−#4を経由する第1の経路と、デバイス#0−#1−#2−#5−#6を経由する第2の経路と、デバイス#0−#1−#7−#8を経由する第3の経路と、がそれぞれ現用経路に設定されているとする。なお、図2において、点線矢印は、アドホック通信が可能な区間を例示している。
そして、例えば図2に例示するように、第2の経路の途中区間である、デバイス#2−#5間の無線品質が悪化したとする。この場合、中継装置12は、デバイス#2−#5間よりも無線品質が良い区間を含む、宛先デバイス#6まで到達可能な迂回経路を検索、検出する。
迂回経路の検索、検出は、例示的に、各センサデバイス13間の隣接無線品質情報と、中継装置12が記憶する、アドホック無線ネットワーク1のトポロジ情報と、に基づいて実施してよい。
経路検索の結果、例えば図3に示すように、迂回経路として、デバイス#1−#7−#8−#6(あるいは、デバイス#1−#7−#8−#5−#6)を経由する経路が検出さたとする。すると、中継装置12は、宛先デバイス#6までの通信経路を現用経路から代替経路(#1−#7−#8−#5−#6)に切り替える。
現用経路から迂回経路への経路切替は、当該経路切替に関わるセンサデバイス13(図3の例では、デバイス#1,#2及び#5〜#8)において記憶されている、例えば経路情報(「ルーティングテーブル」と称してよい。)を更新することで実施してよい。ルーティングテーブルの更新は、例えば、中継装置12から更新情報をアドホック通信により該当センサデバイス13に伝搬することで実施してよい。
なお、中継装置12と宛先デバイス13との間の経路設定や経路切替は、DLとULとで独立して実施してよい。したがって、DLとULとで同じ経路が現用経路又は迂回経路に設定されることもあるし、DLとULとで異なる経路が現用経路又は迂回経路に設定されることもある。
以下、上述した動作(あるいは「機能」と称してもよい。)を実現する、中継装置12及びセンサデバイス13の構成例について説明する。
(中継装置12の構成例)
図4は、中継装置12の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、中継装置12は、例示的に、送受信アンテナ121と、無線インタフェース(IF)122と、送信処理部123と、受信処理部124と、有線IF125と、制御部126と、記憶部127と、を備える。中継装置12がセンサデバイスとしても機能するなら、中継装置12は、センサ128を備えてよい。
送受信アンテナ121は、アドホック通信の無線電波をセンサデバイス13との間で送受信する。無線電波が到達可能な範囲を、アドホック通信の通信エリアあるいは無線エリアと称してよい。
無線IF122は、いずれかのセンサデバイス13宛のDLの送信信号を無線電波に変換して送受信アンテナ121へ出力する。また、無線IF122は、送受信アンテナ121で受信された、いずれかのセンサデバイス13が送信した無線電波をULの受信信号に変換する。
送信処理部123は、有線IF125又は制御部126から入力された、DLへの送信信号を処理し、無線IF122へ出力する。送信処理部123による送信処理には、例示的に、DLの送信信号をカプセリングしてパケット化し、経路情報に基づいて次転送先(ネクストホップ)へパケットを転送する処理が含まれてよい。カプセリングの一例は、送信信号にヘッダやフッタを付加すること等である。
受信処理部124は、無線IF122から入力される、ULの受信信号(例えば、パケット)を処理し、有線IF125又は制御部126へ出力する。受信処理部124による受信処理には、例示的に、受信パケットからカプセリングされた信号を抽出し、中継装置12宛の信号を制御部126に転送する処理が含まれてよい。
なお、送信処理部123及び受信処理部124は、「送受信処理部」、「中継処理部」、あるいは「転送処理部」と総称してもよい。送信処理部123及び受信処理部124で処理される信号は、「メッセージ」あるいは「電文」と称されてもよい。
有線IF125は、例えばサーバ11との有線通信を可能にする。有線通信の非限定的な一例としては、イーサネット(登録商標)通信が挙げられる。ただし、中継装置12とサーバ11との間の通信は、無線通信であってもよい。
制御部126は、中継装置12の動作全体を制御する。当該制御には、送信処理部123による送信処理の制御や、受信処理部124による受信処理の制御が含まれてよい。中継装置12にセンサ128が備えられる場合、制御部126による制御には、センサ128に対する設定や制御が含まれてよい。制御部126は、CPUやDSP等の演算能力を備えた演算装置を用いて実現されてよく、また、LSIやFPGA等として構成されてよい。演算能力を備えたプロセッサは、「コンピュータ」と称してもよい。
記憶部127は、例示的に、制御部126による制御を実現するプラグラム(あるいは「ソフトウェア」又は「アプリケーション」と称してもよい。)やデータを記憶する。データには、ルーティングテーブル等の経路情報や、センサ情報が含まれてよい。
記憶部127に記憶されたプログラムやデータを適宜に既述のプロセッサが読み取って動作することで、図5にて後述する制御部126としての機能、ひいては中継装置12としての機能が具現される。当該プログラムは、「通信制御プログラム」と称してよい。記憶部127は、例示的に、RAM等のメモリや、ハードディスク等の記憶デバイスであってよい。
上記のプログラムやデータは、例示的に、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM,CD−R,CD−RW,MO,DVD、ブルーレイディスク、ポータブルハードディスク、USBメモリ等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。この場合、コンピュータは、記録媒体からプログラムやデータを読み取って例えばRAM等の記憶部127に展開して用いる。また、プログラムやデータは、サーバ11等から通信によってコンピュータに提供(ダウンロード)されてもよい。
コンピュータとは、ハードウェアとオペレーティングシステム(OS)とを含む概念であってよく、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味してよい。OSに依存せずにプログラム単独でハードウェアを動作させることが可能な場合には、そのハードウェアがコンピュータに相当すると捉えてよい。なお、制御部126としての機能の一部又は全部は、OSによって実現されてもよい。
センサ128は、例えば制御部126からの制御に応じて、既述の物理量のいずれか(図1〜図3の例でいえば河川の水位)をセンシングする。センシング結果であるセンサ情報は、例えば制御部126の指示に応じて制御部126に出力することが可能である。制御部126は、センサ128から受信したセンサ情報を、例えば受信処理部124及び有線IF125を通じてサーバ11宛に送信する。
次に、図5に、制御部126の機能的な構成例を示す。また、図6に、記憶部127に記憶されるデータあるいは情報の一例を示す。
図5に示す制御部126は、例示的に、受信電文解析部201、観測データ収集管理部202、時刻管理部203、観測データ送信部204、現用経路品質評価部205、及び、迂回経路検索・品質評価部206を備える。
また、観測データ収集管理部202は、例示的に、隣接状態確認部221、観測データ収集部222、スリープ指示部223、DL経路情報収集部224、迂回経路切替指示部225、及び、無線プロトコル処理部226を備える。
受信電文解析部201は、受信処理部124で受信処理された信号を解析し、解析結果に応じて、受信電文を観測データ収集管理部202の各部221〜226のいずれかに転送する(振り分ける)。
観測データ収集管理部202は、時刻管理部203で管理される時刻情報に基づいて、例えば、ハローパケットの送信や観測データの収集要求、スリープ指示、DLの経路情報の収集要求等のタイミングを管理する。
隣接状態確認部221は、スリープモードからの復帰に応じてセンサ128によるセンシングが実施される時間を利用して、センサデバイス13との間で定期的にハローパケットを送受信して、現状のセンサデバイス13との間の無線品質を評価する。したがって、隣接状態確認部221は、ハローパケット送受信部221と称してもよい。
評価した無線品質の情報(「隣接評価情報」と称してよい。)は、例えば図6に示すように、自装置隣接状態確認結果271として記憶部127に記憶されてよい。自装置隣接状態確認結果271は、ハローパケットの送受信に応じて適宜に更新されてよく、最新の自装置隣接状態確認結果271が記憶部127に記憶されるようにしてよい。
観測データ収集部222は、センサデバイス13から受信した電文から、センサ情報(例えば、水位データ)や、隣接評価情報、UL経路情報等を抽出して収集する。
隣接評価情報の一例は、隣接するセンサデバイス13間でハローパケットを相互に送受信することにより、センサデバイス13のそれぞれにおいて評価された、隣接デバイス13間の無線品質の情報である。隣接評価情報は、例えば図6に示すように、全装置隣接状態確認結果273として記憶部127に記憶されてよい。
UL経路情報の一例は、各センサデバイス13から中継装置12に至る経路を示す情報である。UL経路情報は、センサデバイス13でセンシングされたセンサ情報と共に収集されてよい。
例えば、センサ情報には、当該センサ情報を宛先である中継装置12へ伝達するために、次に転送すべき宛先(ネクストホップ)を示す情報(以下「ネクストホップ情報」と称することがある。)が付与されてよい。
したがって、観測データ収集部222は、センサ情報の収集と併せて、ネクストホップ情報を基に、当該センサ情報を送信した送信元センサデバイス13から中継装置12に至るULの経路情報を構築することが可能である。構築されたUL経路情報は、例えば図6に示すように、中継装置宛経路情報274として記憶部127に記憶されてよい。収集されたセンサ情報は、例えば図6に示すように、全観測装置センサ情報272として記憶部127に記憶されてよい。
スリープ指示部223は、上述したセンサ情報の収集及びUL経路情報の構築に関わる処理が完了すると、センサデバイス13のバッテリ消費を抑えるために、センサデバイス13をスリープモードにするスリープ指示を送信する。スリープ指示を受信したセンサデバイス13は、例えば図8により後述する時刻管理部303を除く機能(例えば、CPU、無線通信機能、センサ機能)の電源をオフにしてスリープモードに移行する。
DL経路情報収集部224は、中継装置12から各センサデバイス13に至るDLの経路情報を収集する。例示的に、DL経路情報収集部224は、中継装置12から宛先センサデバイス13に至る経路において経由するセンサデバイス13から、宛先センサデバイス13のネクストホップ情報を収集し、収集したネクストホップ情報を基にDL経路情報を構築してよい。構築されたDL経路情報は、例えば図6に示すように、観測装置宛経路情報275として記憶部127に記憶されてよい。
迂回経路切替指示部225は、現用経路を成す無線区間のいずれかについて無線品質の低下が検出され迂回経路が確保可能な場合、実際に通信障害(例えばリンクダウン)が発生する前に、現用経路から迂回経路への経路切替を実施する。経路切替は、「アドホックルート変更」と称してもよい。現用経路のいずれかの無線区間の無線品質低下は、例えば現用経路品質評価部205にて検出される。現用経路に対する迂回経路は、例えば迂回経路検索・品質評価部206にて検出される。
迂回経路切替指示部225は、経路切替に関わるセンサデバイス13宛に、順次、経路切替指示を送信し、記憶部127の経路情報277(図6参照)を経路切替に応じて更新する。経路情報277は、「ルーティングテーブル277」と称してもよい。ルーティングテーブル277の更新によって、経路切替に応じた経路再構築が実施される。経路再構築対象のセンサデバイス13が複数存在する場合は、観測データ収集部222によるセンサ情報収集後の空き時間で、順次、経路再構築を実施してよい。
経路切替指示を受信したセンサデバイス13では、受信した経路切替指示に応じて図8により後述する経路情報(ルーティングテーブル)377を更新することで、経路切替に応じたルーティングテーブル377の更新(経路再構築)を実施する。
無線プロトコル処理部226は、中継装置12の起動に応じてアドホック通信に用いる無線プロトコルの処理を実行する。無線プロトコル処理は、例示的に、記憶部127に記憶された、宛先情報とネクストホップ情報とを含む経路情報277(図6参照)を基に実施されてよい。経路情報277は、「ルーティングテーブル277」と称してもよい。
経路情報277は、無線プロトコル処理の実行に応じて生成、更新されてよく、また、迂回経路切替指示部225による迂回経路への切替指示に応じて更新されてよい。なお、無線プロトコル処理は、隣接装置との間の電波障害により通信断絶が発生した後のリカバリ処理においても実行されてよい。
時刻管理部203は、中継装置12の時刻情報を管理する。時刻情報の管理は、例示的に、リアルタイムクロック(RTC)と称される「時計」機能によって管理されてよい。時刻情報は、中継装置12及び各センサデバイス13間で同期がとられていてよい。時刻情報の同期方法は、不問である。非限定的な一例として、時刻情報の同期には、特開2012−054887号公報に記載された同期方法を適用してよい。
観測データ送信部204は、各センサデバイス13でセンシングされたセンサ情報の収集が完了すると、例えば記憶部127に記憶された全観測装置センサ情報272を読み出して、当該センサ情報272をサーバ11宛に送信する。
現用経路品質評価部205は、記憶部127(図6参照)に記憶された全装置隣接状態確認結果273と、経路情報274及び275と、に基づいて、現用経路の無線品質を評価する。経路情報274及び275は、アドホックネットワークのトポロジ情報と捉えてよい。
迂回経路検索・品質評価部206は、現用経路品質評価部205による評価において無線品質が所定の閾値未満に変化(悪化)した区間を検出すると、記憶部127に記憶された情報に基づいて、現用経路よりも無線品質の良い迂回経路を検索する。
例えば、迂回経路検索・品質評価部206は、悪化した無線区間を経由する現用経路に対して、当該無線区間を経由しない、無線品質が閾値以上の無線区間で形成可能な迂回経路を検索する。迂回経路の検索は、例示的に、全装置隣接状態確認結果273と、経路情報274及び275(別言すると、トポロジ情報)と、に基づいて実施される。
迂回経路の情報は、例えば、迂回経路検索・品質評価部206が、各情報273〜275を基に評価、作成してよい。作成した迂回経路の情報は、例えば図6に示すように、迂回経路情報276として記憶部127に記憶されてよい。迂回経路情報276は、例示的に、中継装置12から宛先のセンサデバイス13までのトータルの経路を識別可能な情報である。
(センサデバイス13の構成例)
図7は、観測装置13の一例であるセンサデバイス13の構成例を示すブロック図である。図7に示すセンサデバイス13は、例示的に、送受信アンテナ131、無線IF132、送信処理部133、受信処理部134、制御部136、記憶部137、及び、センサ138を備える。
送受信アンテナ131は、アドホック通信の無線エリアを形成し、アドホック通信の無線電波を中継装置12又は他のセンサデバイス13との間で送受信する。
無線IF132は、中継装置12宛又は他のセンサデバイス13宛の送信信号を無線電波に変換して送受信アンテナ131へ出力する。また、無線IF132は、送受信アンテナ131で受信された、中継装置12又は他のセンサデバイス13が送信した無線電波を受信信号に変換する。
送信処理部133は、制御部136から入力された、DL又はULへの送信信号を処理し、無線IF132へ出力する。送信処理部133による送信処理には、例示的に、送信信号をカプセリングしてパケット化し、経路情報に基づいてネクストホップへパケットを転送する処理が含まれてよい。
受信処理部134は、無線IF132から入力される、受信信号(例えば、パケット)を処理し、制御部136へ出力する。受信処理部134による受信処理には、例示的に、受信パケットからカプセリングされた信号を抽出し、中継装置12宛又は他のセンサデバイス13宛の信号を制御部136に転送する処理が含まれてよい。
なお、送信処理部133及び受信処理部134は、「送受信処理部」又は「転送処理部」と総称してもよい。送信処理部133及び受信処理部134で処理される信号は、「メッセージ」あるいは「電文」と称されてもよい。
制御部136は、センサデバイス13の動作全体を制御する。当該制御には、送信処理部133による送信処理の制御や、受信処理部134による受信処理の制御が含まれてよい。制御部136は、中継装置12の制御部126と同様に、CPUやDSP等の演算能力を備えた演算装置を用いて実現されてよく、また、LSIやFPGA等として構成されてよい。
記憶部137は、例示的に、制御部136による制御を実現するプラグラム(あるいは「ソフトウェア」又は「アプリケーション」と称してもよい。)やデータを記憶する。データには、ルーティングテーブル等の経路情報や、センサ情報が含まれてよい。
記憶部137に記憶されたプログラムやデータを適宜に上述のプロセッサが読み取って動作することで、図8にて後述する制御部136としての機能、ひいてはセンサデバイス13としての機能が具現される。当該プログラムは、「通信制御プログラム」と称してよい。記憶部137は、例示的に、RAM等のメモリや、ハードディスク等の記憶デバイスであってよい。
センサデバイス13のための上記プログラムやデータは、中継装置12のためのプログラムやデータと同様に、コンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供されてよい。「コンピュータ」と称してよいプロセッサは、記録媒体からプログラムやデータを読み取って例えばRAM等の記憶部137に展開して用いる。また、プログラムやデータは、サーバ11又は中継装置12等から通信によってコンピュータに提供(ダウンロード)されてもよい。
「コンピュータ」の概念は、既述のとおりである。制御部136としての機能の一部又は全部は、OSによって実現されてもよい。
センサ138は、例えば制御部136からの制御に応じて、既述の物理量のいずれか(図1〜図3の例でいえば河川の水位)をセンシングする。センシング結果であるセンサ情報は、例えば制御部136の指示に応じて制御部136に出力することが可能である。制御部136は、センサ138から受信したセンサ情報を、例えば送信処理部133及び無線IF132を通じて中継装置12又は他のセンサデバイス13宛に送信する。
次に、図8に、制御部136の機能的な構成例を示す。図8に示す制御部136は、例示的に、受信電文解析部301、観測データ収集管理部302、及び、時刻管理部303を備える。また、観測データ収集管理部302は、例示的に、隣接状態確認部321、観測データ測定部322、観測データ応答部323、スリープ実行部324、DL経路情報応答部325、経路切替部326、及び、無線プロトコル処理部327を備える。
受信電文解析部301は、受信処理部134で受信処理された信号を解析し、解析結果に応じて、受信電文を観測データ収集管理部302の各部321〜327のいずれかに転送する(振り分ける)。
観測データ収集管理部302は、時刻管理部303で管理される時刻情報に基づいて、例えば、ハローパケットの送信や観測データの収集、スリープモードの実行、DL経路情報の送信等のタイミングを管理する。
隣接状態確認部321は、スリープモードからの復帰に応じてセンサ138によるセンシングが実施される時間を利用して、他のセンサデバイス13との間で定期的にハローパケットを送受信して、現状のセンサデバイス13との間の無線品質を評価する。したがって、隣接状態確認部321は、ハローパケット送受信部321と称してもよい。隣接状態確認部321は、接続関係にある他のセンサデバイス13との間の無線品質情報を測定する測定部の一例である。
評価した無線品質の情報(「隣接評価情報」と称してよい。)は、例えば、自装置隣接状態確認結果371として記憶部137に記憶されてよい。自装置隣接状態確認結果371は、ハローパケットの送受信に応じて適宜に更新されてよく、最新の自装置隣接状態確認結果371が記憶部137に記憶されるようにしてよい。
観測データ測定部322は、例えばスリープモードからの復帰に応じてセンサ138にセンシング指示を与えてセンサ138にセンシングを実行させ、センシング結果であるセンサ情報(例えば、水位データ)を受信する。センサ情報は、図8中に符号372で示すように記憶部137に記憶されてよい。
観測データ応答部323は、中継装置12からの指示あるいは要求に応じて、記憶部137に記憶された、センサ情報372やUL経路情報、隣接評価情報371を、中継装置12宛に送信する処理を実施する。UL経路情報の一例は、自デバイス13から中継装置12に至る経路を示す情報である。観測データ応答部323は、隣接評価情報371を中継装置12宛に送信するから、測定部の一例である隣接状態確認部321で測定された無線品質情報を中継装置12宛に送信する送信部の一例である。
センサ情報372と共に隣接評価情報371やUL経路情報を中継装置12宛に送信することで、種別の異なる情報毎に個別に送信を行なう場合に比して、センサデバイス13での送信処理に要する時間を短縮できる。したがって、センサデバイス13の起動時間が短い場合でも、その起動時間において送信処理を完了できる。また、中継装置12にとってみれば、必要な情報をまとめて受信できるので、情報処理に要する時間を短縮することができる。
UL経路情報は、例えば記憶部372に記憶された、宛先情報とネクストホップ情報とを含む経路情報377を基に作成されてよい。経路情報377は、「ルーティングテーブル377」と称してもよい。
UL経路情報は、自デバイス13でセンシングしたセンサ情報と共に送信されてよい。例えば、センサ情報には、当該センサ情報を宛先である中継装置12へ伝達するために、次に転送すべき宛先(ネクストホップ)を示すネクストホップ情報が付与されてよい。
これにより、中継装置12は、既述のとおり、センサ情報の収集と併せて、ネクストホップ情報を基に、当該センサ情報を送信した送信元センサデバイス13から中継装置12に至るULの経路情報を構築することが可能となる。
スリープ実行部324は、起動中に、例えば中継装置12のスリープ指示部223(図5参照)から送信されたスリープ指示を受信すると、自デバイス13をスリープモードに制御し、自デバイス13のバッテリ消費を抑える。
例えば、スリープ実行部324は、時刻管理部303を除く機能の電源をオフにして自デバイス13をスリープモードに移行させる。その際、スリープ実行部324は、スリープモードから復帰するタイミング(例えば、時刻情報)を時刻管理部303に設定してよい。時刻管理部303は、設定された復帰タイミングの到来に応じてスリープ状態の解除処理を実施する。
DL経路情報応答部325は、中継装置12(DL経路情報収集部224:図5参照)が送信したDL経路情報要求を受信すると、指定デバイス13へのネクストホップ情報を経路情報377から取得して中継装置12宛に送信する。
経路切替部326は、中継装置12(迂回経路切替指示部225:図5参照)が送信した経路切替指示を受信すると、当該経路切替指示に応じて経路情報377を更新して、現用経路から迂回経路への経路切替を実施する。経路切替部326は、経路切替の実施結果を例えば経路切替応答として中継装置12宛に送信してよい。
無線プロトコル処理部327は、自デバイス13の起動に応じてアドホック通信に用いる無線プロトコルの処理を実行する。無線プロトコル処理は、例示的に、記憶部137に記憶された経路情報377を基に実施されてよい。
経路情報377は、無線プロトコル処理の実行に応じて生成、更新されてよい。なお、無線プロトコル処理は、隣接装置との間の電波障害により通信断絶が発生した後のリカバリ処理においても実行されてよい。
時刻管理部303は、自デバイス13の時刻情報を管理する。時刻情報の管理は、例示的に、RTCと称される「時計」機能によって管理されてよい。
(動作説明)
以下、上述のごとく構成された中継装置12及びセンサデバイス13を含む無線ネットワークシステム1の動作例について説明する。
(スリープモード動作イメージ)
中継装置12及び各センサデバイス13のそれぞれは、例えば図9に示すように、起動されると、スリープモードと、スリープモードからの復帰と、を繰り返す。例えば、起動時及びスリープモードからの復帰時には、プロセッサ及び無線通信機能が起動する。起動中に、ハローパケットの送受信、センサ情報のセンシング、及び、無線品質の評価が実施される。ハローパケットの送受信は、センサ情報のセンシングが実施される時間(「センシング時間(又は期間)」と称してよい。)において実施されてよい。
これらの処理(以下「起動中処理」と総称することがある。)が完了すると、中継装置12及び各センサデバイス13のそれぞれは、スリープモードに移行する。起動(又は復帰)からスリープモードへ移行するまでの時間、別言すると、デバイス12及び13の起動時間は、上述した起動中処理が完了する時間に依存する。起動中処理の完了する時間は、例えば、センサデバイス13の数に依存する。起動時間の非限定的な一例は、1分〜数分等である。
スリープモードに移行したデバイス12及び13は、例えば、プロセッサ及び無線通信機能の動作を停止し、既述の時刻管理部203及び303に相当する時計機能の動作は許容する。スリープモードの継続時間、別言すると、スリープモードからの復帰タイミングは、適宜に、設定してよい。ただし、あまりに短い時間を設定すると、デバイス12及び13のバッテリ消費の抑制効果が薄れる。そのため、スリープモードの継続時間は、例えばサーバ11において求められる、センサ情報の収集周期(「収集頻度」と称してもよい)に応じて可能な限り長く設定されてよい。
(中継装置12の動作例)
次に、図10〜図12に例示するフローチャートを参照して、中継装置12の動作例について説明する。図10〜図12に例示するフローチャートは、例えば既述の制御部126によって実行される。
図10に例示するように、中継装置12は、起動されると(処理P11)、無線プロトコル処理部226によって、隣接するセンサデバイス13との間のアドホック通信のための無線接続を確立する(処理P12)。無線接続(「アドホック接続」と称してもよい。)の確立は、「リンクアップ」と称してもよい。確立したアドホック接続が切断されることを「リンクダウン」と称してよい。
中継装置12は、センサデバイス13とリンクアップすると、隣接状態確認部221によって、リンクアップしたセンサデバイス13との間でハローパケットを送受信して、センサデバイス13との間の無線品質を確認(監視)する(処理P13)。ハローパケットの送受信は、既述のとおり、センサ情報のセンシング期間において実施してよい。確認結果は、自装置隣接状態確認結果271(図6参照)として記憶部127に記憶される。
その後、中継装置12は、観測データ収集部222によって、各センサデバイス13から、センサ情報、各センサデバイス13間の無線品質の確認結果、及び、UL経路情報(例えば、中継装置12までのネクストホップ情報)を収集する(処理P14)。
図6に例示したように、収集したセンサ情報は、全観測装置センサ情報272として記憶部127に記憶される。また、収集した各センサデバイス13間の無線品質の確認結果は、全装置隣接状態確認結果273(図6参照)として記憶部127に記憶される。更に、収集したUL経路情報は、中継装置宛経路情報274(図6参照)として記憶部127に記憶される。
次いで、中継装置12は、DL経路情報が収集済みであるか否かを確認する(処理P15)。DL経路情報が未収集であれば(処理P15でNOの場合)、DL経路の無線品質を監視できるよう、DL経路情報収集部224によってDL経路情報を収集する(処理P16)。
例えば図1に例示した、センサデバイス#1−#2−#5−#6のDL経路に着目する。DL経路情報収集部224は、記憶部127のルーティングテーブル277(図6参照)から、センサデバイス#6宛のネクストホップであるセンサデバイス#1に対し、センサデバイス#6へのネクストホップ情報を問い合わせる。
図1において、センサデバイス#1のセンサデバイス#6宛のネクストホップは、センサデバイス#2である。したがって、センサデバイス#1は、DL経路情報応答部325によって、ネクストホップ情報としてセンサデバイス#2の識別情報を中継装置12に応答する。なお、識別情報は、例示的に、IPアドレス等のアドレス情報であってよい。
DL経路情報収集部224は、受信したネクストホップ情報が示すセンサデバイス#2に対して、センサデバイス#6宛のネクストホップを問い合わせる。図1において、センサデバイス#2のセンサデバイス#6宛のネクストホップは、センサデバイス#5である。したがって、センサデバイス#2は、DL経路情報応答部325によって、ネクストホップ情報としてセンサデバイス#5のアドレス情報を中継装置12に応答する。
DL経路情報収集部224は、受信したネクストホップ情報が示すセンサデバイス#5に対して、センサデバイス#6宛のネクストホップを問い合わせる。図1において、センサデバイス#5のセンサデバイス#6宛のネクストホップは、センサデバイス#6である。したがって、センサデバイス#5は、目的のセンサデバイス#6の最終ホップであり、DL経路情報応答部325によって、ネクストホップ情報としてセンサデバイス#6のアドレス情報を中継装置12に応答する。
DL経路情報収集部224は、センサデバイス#6のアドレス情報を受信することで、センサデバイス#1−#2−#5−#6についてのDL経路情報の収集が完了したことを認識し、処理を終える。このようにして、中継装置12は、DL経路情報を収集することができる。なお、中継装置12(DL経路情報収集部224)は、アドホック無線ネットワークにおいて設定されている現用経路のすべてについてDL経路情報を収集することが可能である。収集したDL経路情報は、図6に例示したように、観測装置宛経路情報275として記憶部127に記憶される。
DL経路情報の収集が完了すると、あるいは、DL経路情報が既に収集済みであった場合(処理P15でYESの場合)、中継装置12は、現用経路品質評価部205によって、例えば図11に示すように、現用経路の無線品質評価を実施する(処理P17)。例えば、現用経路品質評価部205は、全装置隣接状態確認結果273と、経路情報274及び275と、に基づいて、現用経路のエンドツーエンドの無線品質をUL及びDLの別に評価する。
評価の結果、現用経路品質評価部205において、現用経路の無線品質が良好であれば(処理P17でYESの場合)、中継装置12は、別のセンサデバイス13宛の現用経路についての無線品質評価を実施し(処理P24)、処理P17に戻る。
これに対し、現用経路の無線品質の低下が検出されると(処理P17でNOの場合)、中継装置12は、迂回経路検索・品質評価部206によって、迂回経路の検索及び評価を行なう。例えば、迂回経路検索・品質評価部206は、UL経路又はDL経路で無線品質の低下を検出した場合、全装置隣接状態確認結果273と迂回経路情報276とを基に、品質低下を検出した区間を経由しない迂回経路を検索する(処理P18)。
適当な迂回経路が存在すれば(処理P18でYESの場合)、迂回経路検索・品質評価部206は、全装置隣接状態確認結果273に基づいて、当該迂回経路の無線品質が現用経路の無線品質よりも良いか否かを評価する(処理P19)。なお、「適当な迂回経路」とは、例えば宛先デバイス13までの経路コストが現用経路と同じか小さい経路であってよい。
評価の結果、当該迂回経路の無線品質が現用経路の無線品質よりも良ければ(処理P19でYESの場合)、中継装置12は、現用経路を通じた通信が断絶する前に、現用経路を迂回経路に切り替える処理(経路再構築)を実施する(処理P20)。
例えば、中継装置12は、迂回経路切替指示部225によって、当該経路切替に関わるセンサデバイス13に対して経路切替指示を発行し、当該経路切替に応じたルーティングテーブル377の更新を指示する。
なお、経路切替はUL及びDLの別に実施してよく、したがって、ルーティングテーブル377の更新も、UL及びDLの別に実施されてよい。例えば、UL経路については、中継装置12に近いセンサデバイス13から順番に中継装置12から経路切替指示を発行することで、経路切替を実施してよい。
DL経路についても、中継装置12に近いセンサデバイス13から順番に中継装置12から経路切替指示を発行することで、経路切替を実施してよい。なお、DL経路の設定順については、中継装置12側からではなく宛先センサデバイス13側からでも構わないが、中継装置12側から設定した方が、UL経路の設定と併せて設定可能なので、効率が良い。UL経路及びDL経路のいずれについても、経路切替指示は、ルーティングテーブル377の更新が必要なセンサデバイス13宛に限って発行してよい。
なお、適当な迂回経路が見つからず、処理P18又はP19においてNOと判定された場合、中継装置12は、経路切替は実施せず、別のセンサデバイス13宛の現用経路についての無線品質評価を実施し(処理P24)、処理P17に戻る。
迂回経路への経路切替が完了すると、中継装置12は、例えば図12に示すように、ハローパケットの送信タイミングが到来するか否かを観測データ収集管理部202において監視する(処理P21)。ハローパケットの送信タイミングが到来すると(処理P21でYESの場合)、中継装置12は、図10の処理P13へ戻る。
ハローパケットの送信タイミングが到来していなければ(処理P21でNOの場合)、中継装置12は、アドホック無線ネットワークを成す全てのセンサデバイス13について現用経路品質評価部205による無線品質の評価が完了したか否かを確認する(処理P22)。
評価が完了していれば(処理P22でYESの場合)、中継装置12は、スリープ指示部223によって、各センサデバイス13宛にスリープ指示を発行する(処理P23)。当該スリープ指示を受信したセンサデバイス13は、スリープ実行部3244によってスリープモードに移行する。中継装置12は、スリープ指示を発行すると、図10の処理P13に戻る。
なお、処理P22において無線品質が未評価の宛先センサデバイス13が存在すれば(処理P22でNOの場合)、中継装置12は、例えば図11に示すように、当該センサデバイス13宛の現用経路の評価を実施し(処理P24)、処理P17に戻る。
(センサデバイス13の動作例)
次に、図13及び図14に例示するフローチャートを参照して、センサデバイス13の動作例について説明する。図13及び図14に例示するフローチャートは、例えば既述の制御部136によって実行される。
図13に例示するように、センサデバイス13は、起動されると(処理P31)、無線プロトコル処理部327によって、中継装置12、あるいは、1又は複数の他のセンサデバイス13との間のアドホック接続を確立(リンクアップ)する(処理P32)。
センサデバイス13は、中継装置12又は他のセンサデバイス13とリンクアップすると、隣接状態確認部321によって、リンクアップした中継装置12又は他のセンサデバイス13との間でハローパケットを送受信して、隣接区間の無線品質を確認(監視)する(処理P33)。ハローパケットの送受信は、センサ情報のセンシング期間において実施してよい。確認結果は、隣接評価情報(自装置隣接状態確認結果)371(図8参照)として記憶部137に記憶される。
センサデバイス13は、観測データ測定部322によって、センサ138にセンシングの指示を与えることで、センサ138によるセンサ情報(例示的に、水位データ)のセンシングを実施する(処理P34)。
その後、センサデバイス13は、観測データ収集管理部302において、中継装置12を送信元とする要求や指示が受信されるか否かを監視する(図13の処理P35、図14の処理P37、P39及びP41)。例えば、観測データ収集管理部302は、観測データ収集要求、DL経路情報要求、迂回経路切替指示、及び、スリープ指示のいずれかが中継装置12から受信されるか否かを監視する。
なお、観測データ収集要求には、例示的に、センサ138によってセンシングしたセンサ情報、隣接評価情報371、及び、UL経路情報(例えば、UL経路のネクストホップ情報)の送信依頼が含まれてよい。別言すると、中継装置12は、1つの観測データ収集要求の送信によって、センサ情報、隣接評価情報371、及び、UL経路情報を一度に収集可能である。ただし、中継装置12からセンサデバイス13に対する収集要求は、情報の種類に応じて個別に実施しても構わない。
観測データ収集管理部302は、中継装置12を送信元とする観測データ収集要求の受信を検出すると(処理P35でYESの場合)、観測データ応答部323によって、当該要求(依頼)に応じた情報の送信(応答)を行なう(処理P36)。
例えば、観測データ応答部323は、センサ138によってセンシングしたセンサ情報、隣接評価情報371、及び、UL経路情報(例えば、UL経路のネクストホップ情報)を中継装置12宛に送信する。UL経路情報は、記憶部137に記憶された経路情報(ルーティングテーブル)377の情報を基に作成されてよい。
ここで、中継装置12を送信元とするDL経路情報要求の受信が観測データ収集管理部302において検出されたとする(処理P35でNO、図14の処理P37でYESの場合)。すると、観測データ収集管理部302は、要求に応じたDL経路情報をDL経路情報応答部325によって中継装置12宛に送信する(処理P38)。例えば、DL経路情報応答部325は、経路情報377から、指定されたセンサデバイス13へのネクストホップ情報を抽出してDL経路情報として中継装置12宛に送信する。
また、中継装置12を送信元とする迂回経路切替指示の受信が観測データ収集管理部302において検出されたとする(処理P37でNO、処理P39でYESの場合)。すると、観測データ収集管理部302は、当該指示に応じた経路切替処理を経路切替部326によって実施する(処理P40)。例えば、経路切替部326は、迂回経路切替指示で指定された迂回経路への経路切替を実施し、また、指定された宛先のセンサデバイス13の経路情報377を更新する。
経路切替に応じた経路情報377の更新は、UL経路とDL経路とで独立して実施されてよい。例えば、UL経路については、中継装置12宛のネクストホップ情報を更新する。DL経路については、指定の宛先センサデバイス13のネクストホップ情報が未登録であれば新規登録し、登録済みであればネクストホップ情報の更新を行なう。
また、中継装置12を送信元とするスリープ指示の受信が観測データ収集管理部302において検出されたとする(処理P39でNO、処理P41でYESの場合)、スリープ実行部324によってスリープモードを実行する。例えば、スリープ実行部324は、センサデバイス13のCPUや無線通信機能、センサ138の電源をオフに制御し、時刻管理部303(RCT)に限って動作を許容する(処理P42)。
なお、中継装置12からの要求や指示に応じた処理(図13の処理P36、図14の処理P38及びP40)が完了すると、センサデバイス13(観測データ収集管理部302)は、新たな要求や指示の受信待機(監視)状態となる(図13の処理P44)。また、図14の処理P41においてスリープ指示の受信が検出されない場合(処理P41でNOの場合)も、センサデバイス13(観測データ収集管理部302)は、新たな要求や指示の受信待機(監視)状態となる(図13の処理P44)。
その後、観測データ収集管理部302は、時刻管理部303の時刻情報を基に、ハローパケットの送信タイミングが到来したか否かを判定する(図14の処理P43のNOルート)。ハローパケットの送信タイミングの到来を検出すると(処理P43でYESの場合)、観測データ収集管理部302は、図13の処理P33に戻って無線品質の確認を行なう。
(無線品質評価例)
次に、中継装置12の現用経路品質評価部205及び迂回経路検索・品質評価部206による無線品質の評価例について説明する。
中継装置12の観測データ収集部222は、各センサデバイス13から収集した、各センサデバイス13間の無線品質を示す情報(隣接評価情報)を基に、例えば図15に例示するようなテーブル形式のデータを作成し、記憶部127に記憶する。当該データは、図6に例示した全装置隣接状態確認結果273に相当すると捉えてよく、以下、無線品質評価結果テーブル273と表記する。なお、図15は、図1〜図3に例示したネットワークトポロジにおいて作成される無線品質評価結果テーブル273の一例を示している。#0は、中継装置12を表す。
無線品質評価結果テーブル273には、例示的に、各センサデバイス13間の無線品質を「優」、「良」、「可」及び「不可」の4段階で表した評価値が登録されてよい。例えば、無線品質の評価を信号受信レベルで行なうのであれば、非限定的な一例として、信号受信レベル(x)が、−98dBm≦の時に「優」、−99dBm≦x<−98dBmの時に「良」、と評価してよい。また、−102dBm≦x<−99dBmの時に「可」、x<−102dBmの時に「不可」、と評価してよい。
無線品質の評価を受信SNRで行なうのであれば、非限定的な一例として、受信SNR(y)が、15dBm≦yの時に「優」、14dBm≦y<15dBmの時に「良」、11dBm≦y<14dBmの時に「可」、y<11dBmの時に「不可」と評価してよい。
なお、上記の例は4段階評価であるが、例えば、「良」、「可」、「不可」の3段階評価を用いてもよいし、「可」、「不可」の2段階評価を用いてもよい。「不可」は、センサデバイス13間の通信(アドホック接続)ができないこと(Not Connected)を表してよい。
別言すると、評価値は、デバイス間のアドホック通信の通信性能を表す情報の一例である。アドホック通信の通信性能を表す情報は、「コスト」と称される値に数値化されてもよい。例えば通信性能が高いほど「コスト」は小さくなるように設定されてよい。コストには、閾値を設定してよい。例えば、4段階評価又は3段階評価において、「良」以上と判定されるコストを規定する第1の閾値と、「不可」と判定されるコストを規定する第2の閾値と、を設定してよい。
また、評価値は、UL経路及びDL経路の別に無線品質評価結果テーブル273に登録されてよい。あるいは、UL経路及びDL経路の別に無線品質評価結果テーブル273が作成されてもよい。
中継装置12の現用経路品質評価部205及び迂回経路検索・品質評価部206は、上記のような回線品質評価結果テーブル273を参照して、現用経路の無線品質の低下や、迂回経路の検索及び品質評価をUL経路及びDL経路の別に実施する。
例えば、図2に例示したようにセンサデバイス#2−#5間の無線品質の評価値が「良」から「可」に低下したことが、現用経路品質評価部205において検出されたとする。すると、迂回経路検索・品質評価部206が、図15中に矢印で例示するように、評価値が例えば「良」以上である区間を辿って宛先センサデバイス#6へ到達可能な迂回経路を検索する。
例えば、図15において、装置#7から見た装置#5の評価は「良」で選択可能であるが、逆方向の装置#5から見た装置#7の評価は「可」になっている。これに対して、装置#7と装置#8とは、双方向の評価がともに「良」のため、装置#7から装置#8の評価を優先し、装置#7は、より近い装置#5を選択せず、装置#8を選択する。
その結果、本例では、迂回経路として、中継装置#0からデバイス#1−#7−#8−#6を経由する経路と、中継装置#0からデバイス#1−#7−#8−#5−#6を経由する経路と、の2つの経路が迂回経路として得られる。
このように複数の迂回経路が得られる場合、迂回経路検索・品質評価部206は、迂回経路それぞれのトータル経路コストに基づいて、いずれの迂回経路に切り替えるかを決定してよい。「トータル経路コスト」は、或る経路が経由するアドホック通信区間の「コスト」の合算値として表されてよい。
したがって、迂回経路検索・品質評価部206は、例えば、トータル経路コストのより小さい迂回経路を現用経路の切替先経路に決定してよい。なお、現用経路と迂回経路とでトータルコストが変わらない場合や、現用経路よりも迂回経路のトータル経路コストが大きい場合、迂回経路検索・品質評価部206は、当該迂回経路を現用経路の切替先経路に選択しなくてよい。この場合、経路切替指示部225から経路切替指示は送信しなくてよく、したがって、経路切替(別言すると、経路再構築)は実施されなくてよい。
(実施例1)
次に、図16を参照して、中継装置12(#0)とセンサデバイス#4との間の現用経路#0−#1−#2−#3−#4がULとDLとで同じ場合に、デバイス#1−#2間のコストが1から7に増加(悪化)した場合の経路切替例について説明する。なお、図16において、デバイス#0−#1間、デバイス#2−#3間、及び、デバイス#3−#4間のコストはいずれも1であり、デバイス#0−#2間、及び、デバイス#1−#3間のコストはいずれも6であると仮定する。
本例の場合、デバイス#1−#2間のコスト増加の検出に応じて、第1の経路#0−#2−#3−#4と、第2の経路#0−#1−#3−#4と、の2つの経路が、中継装置12からデバイス#4までの迂回経路として得られる。いずれの迂回経路もトータル経路コストは8となり、現用経路#0−#1−#2−#3−#4のトータル経路コスト=10よりも小さい。
したがって、いずれの迂回経路も有効であり、中継装置12は、いずれかの迂回経路を現用経路の切替先経路に選ぶ。第1の経路#0−#2−#3−#4を選ぶ場合、中継装置12は、デバイス#0及び#2が記憶するルーティングテーブルの更新が必要になるので、デバイス#0及び#2宛に経路切替指示を送信する。デバイス#3及び#4については経路切替不要なので、デバイス#3及び#4宛に経路切替指示は送信されない。
第2の経路#0−#1−#3−#4を選ぶ場合、中継装置12は、デバイス#1〜#3が記憶するルーティングテーブルの更新が必要になるので、デバイス#1〜#3のそれぞれ宛に経路切替指示を送信する。デバイス#4については経路切替不要なので、デバイス#4宛に経路切替指示は送信されない。以上説明したように、経路全体のトータル経路コストが最小となる経路が選択される。
(実施例2)
次に、図17を参照して、中継装置12(#0)とセンサデバイス#4との間の現用経路がULとDLとで異なる場合に、デバイス#2−#4間のコストが1から6に悪化した場合の経路切替例について説明する。なお、図17において、経路#0−#2−#1−#3−#4が中継装置12からデバイス#4へのDLの現用経路を表し、経路#4−#2−#1−#0がデバイス#4から中継装置12へのULの現用経路を表す。また、デバイス#0−#1間、デバイス#0−#2間、デバイス#1−#2間、デバイス#1−#3間、及び、デバイス#3−#4間のコストはいずれも1と仮定する。
したがって、本例の場合、DL経路のトータルコストは、コスト1×4(区間)=4である。デバイス#2−#4間の無線品質が悪化する前のUL経路のトータルコストは、コスト1×3(区間)=3である。
そして、デバイス#2−#4間の無線品質が1から6に悪化すると、UL経路のトータルコストは、6+1+1=8となる。本例の場合、UL経路のデバイス#4−#2間のコスト増加の検出に応じて、第1の経路#4−#3−#1−#0と、第2の経路#4−#3−#1−#2−#0と、の2つのUL経路が、デバイス#4から中継装置#12までの迂回経路として得られる。
第1の経路#4−#3−#1−#0のトータル経路コストは、コスト1×3(区間)=3である。第2の経路#4−#3−#1−#2−#0のトータル経路コストは、コスト1×4(区間)=4である。したがって、いずれの迂回経路もトータル経路コストは現用経路のトータル経路コスト=8よりも小さい。
したがって、いずれの迂回経路も有効であり、中継装置12は、例えば、トータル経路コストの小さい方の第1の経路#4−#3−#1−#0を現用経路の切替先経路に選ぶ。この場合、デバイス#3及び#4が記憶するルーティングテーブルの更新がそれぞれ必要になるので、中継装置12は、デバイス#3及び#4のそれぞれ宛に経路切替指示を送信する。ここで、ULやDLの必要な片側経路の迂回経路切替だけでよく、必ずしもULやDL両系同時に迂回経路を検索する必要はない。
迂回経路は、無線品質の評価値がすべて同じである区間で形成されていなくても構わない(つまり、異なる評価値の区間が混在して構わない)。例えば、迂回経路には、評価値が「良」以上の区間と、「可」の区間と、が混在しても構わない。
また、上述した例では、現用経路を成すいずれかの区間についての評価値の低下が検出されたことを契機に、迂回経路の検索、無線品質評価、及び、経路切替を実施する態様について説明した。しかし、評価値の低下が検出されなくても、例えば、現用経路よりも評価値の良い迂回経路が検出されれば、当該迂回経路への経路切替を実施して構わない。
非限定的な一例を挙げると、現用経路が「可」(又は「良」)の評価値の区間を含む場合に、すべて「良」以上(又は、すべて「優」)の評価値の区間で形成可能な迂回経路が存在すれば、当該迂回経路へ現用経路を切り替えて(経路再構築して)構わない。
(パケットフォーマット)
次に、図18〜図22を参照して、上述した無線ネットワークシステム1において送受信される信号の一例であるパケットのフォーマット例について説明する。図18は、中継装置12とセンサデバイス13との間、及び、センサデバイス13間で送受信されるハローパケットのフォーマット例を示す図である。
図19は、中継装置12がいずれかのセンサデバイス13宛に送信する観測データ収集要求(パケット)のフォーマット例を示す図である。図20は、図19に例示する観測データ収集要求を受信したセンサデバイス13が中継装置12宛に送信(応答)する観測データ収集応答(パケット)のフォーマット例を示す図である。図21は、中継装置12がいずれかのセンサデバイス13宛に送信する経路切替指示(パケット)のフォーマット例を示す図である。
(ハローパケット)
図18に例示するように、ハローパケットは、例示的に、ヘッダとペイロードとを有し、ヘッダには、当該パケットの種別(タイプ)を示す情報やペイロードのサイズ(データ長)を示す情報等が設定されてよい。ヘッダのフォーマットは、図18〜図22に例示する各種パケットに共通であってよい。パケット種別を示す情報によって、「ハローパケット」や、後述する「観測データ収集要求パケット」、「観測データ収集応答パケット」、「経路切替指示パケット」等が識別される。
ハローパケットのペイロードには、例示的に、隣接認識装置情報が設定されてよい。隣接認識装置情報には、例えば、自装置13とアドホック接続が確立(リンクアップ)している他装置(「隣接認識装置」と称してよい。)13(又は12)の識別情報が設定されてよい。識別情報には、IPアドレス等のアドレス情報を用いてよい。
また、隣接認識装置情報には、隣接認識装置13(又は12)との間の無線品質を示す情報(既述の隣接評価情報)が含まれてよい。例えば、既述の段階的評価毎に隣接認識装置13(又は12)の識別情報が隣接認識装置情報に設定されてよい。
非限定的な一例を挙げると、無線品質の評価値が「可」以上である隣接認識装置13(又は12)の識別情報と、当該表価値が「良」以上である隣接認識装置13(又は12)の識別情報と、が隣接認識装置情報に含まれてよい。
中継装置12は、隣接認識装置情報を各センサデバイス13から受信することで、図15に例示したような無線品質評価結果テーブル273を作成することが可能である。
(観測データ収集要求)
図19に例示するように、観測データ収集要求は、非限定的な一例として、ペイロードに、現在時刻(例えば、年、月、日、時、分、秒)を示す情報(別言すると、タイムスタンプ)が設定されてよい。また、観測データ収集要求のペイロードには、中継装置12での送信処理開始からの遅延時間を示す情報(例えば、積算値)が設定されてよい。
(観測データ収集応答)
図20に例示するように、観測データ収集応答は、非限定的な一例として、ペイロードに、センシング結果(センサ情報)や、UL経路情報(UL経路のネクストホップ情報)が設定されてよい。また、観測データ収集応答のペイロードには、センサデバイス13の起動間隔を示す情報や、センサデバイス13の種類(あるいは用途)や状態(正常又は異常等)を示す情報、隣接認識装置情報(隣接評価情報)が含まれてよい。
(経路切替指示)
経路切替指示は、ハローパケットの1つとして設定されてよい。例えば図21に示すように、経路切替指示は、ペイロードに、当該経路切替指示の宛先であるセンサデバイス13の識別情報、宛先観測装置13へのDL変更指定情報、宛先観測装置13(DL経路)へのネクストホップ情報、中継装置12へのUL変更指定情報及び中継装置12(UL経路)へのネクストホップ情報が設定されてよい。DL及びULの変更指定情報は、フラグであってよい。フラグで指定された経路について経路切替が実施される。別言すると、フラグを基に、DL経路及びUL経路を個別又は一斉に経路切替することができる。
以上のように、上述した例によれば、無線ネットワークシステム1において通信経路全体の通信品質に基づいた通信経路決定を図ることができる。例えば、現用経路を成すいずれかの無線区間の無線品質の低下が検出されると、無線品質のより良い無線区間で形成可能な迂回経路が検出され、当該迂回経路に現用経路を切り替えることができる。したがって、現用経路が通信不能になる前に、代替の通信経路を確保でき、無線ネットワークシステム1の信頼性向上を図ることができる。