JP6457126B1 - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のものよりも簡単な構造を有する燃料電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】複数の単セル10を積層させてなる燃料電池1であって、複数の単セル10の各々は、固体電解質層11と、該固体電解質層11を支持する導電性の支持体12とを備える。固体電解質層11の表面の一部が支持体12から露出しており、互いに隣接する単セル同士において、一方の単セル10における固体電解質層11と、他方の単セル10における固体電解質層11と、これら2つの固体電解質層11の間の支持体12との間に、燃料ガスの流路13又は酸化剤ガス14の流路が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池及びその製造方法に関する。
従来、燃料電池として、固体電解質を用いた固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、以下、「SOFC」又は「燃料電池」とも言う。)が知られている。SOFCでは、発電単位である燃料電池セル(以下、「単セル」とも言う。)は、固体電解質層の両面に電極が設けられた構成を有している。また、所望とする電圧や電流を得るために、複数の単セルを積層した燃料電池が使用されている。
上記燃料電池は、1000℃程度の高温で動作するものが一般的であったが、熱による構成部材の劣化を抑制するために、耐久性の高い材料を使用しなければならず、コストがかかる問題があった。そのため、近年では、500℃程度の低温で動作する燃料電池が盛んに開発されている。
例えば、特許文献1には、電解質膜の厚みを、電解質膜を通過する酸素イオンが電解質膜内において粒界を横切らない厚みとすることによって、高いイオン伝導度を有し、低温で動作する固体酸化物電解質膜が記載されている。また、基板としてのシリコンウエハの上面側に、絶縁膜(Si)を介して上記電解質膜及び上側電極(Pt)が順次形成される一方、シリコンウエハの下面側に、エッチングによって窓が形成された後、下面電極(Pt)が形成された燃料電池が記載されている。
特開2008−505453号公報
上記特許文献1に記載された燃料電池は、低温で動作可能であるものの、燃料電池の製造に多くの工程を要する問題がある。そのため、より簡単な構造を有する燃料電池が望まれている。
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、従来のものよりも簡単な構造を有する燃料電池及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、第1の観点に係る燃料電池は、複数の単セルを積層させてなる燃料電池であって、
前記複数の単セルの各々は、固体電解質層と、該固体電解質層を支持する導電性の支持体とを備え、前記固体電解質層の表面の一部が前記支持体から露出しており、
互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける固体電解質層と、他方の単セルにおける固体電解質層と、これら2つの固体電解質層の間の支持体との間に、燃料ガスの流路又は酸化剤ガスの流路が形成されていることを特徴とする燃料電池。
本発明によれば、従来のものよりも簡単な構造を有する燃料電池を得ることができる。
本発明による燃料電池の一例を示す図であり、(a)は単セル、(b)は(a)に示した単セルを積層して構成された燃料電池である。 燃料極材料層及び空気極材料層を有する燃料電池の一例を示す図である。 図1に示した燃料電池における単セルの製造方法のフローである。 陽極接合法によって複数の単セルを接合する方法を説明する図である。 図2に示した燃料電池における単セルの製造方法のフローである。 支持体が表面に酸化膜を有する複数の単セルを接合する方法を説明する図である。 実施例の燃料電池を構成する単セルを示す図である。 隣接する2つの単セルを示す図である。 実施例の燃料電池における燃料ガスの流れを説明する図である。 実施例の燃料電池における酸化剤ガスの流れを説明する図である。 実施例の燃料電池における燃料ガス及び酸化剤ガスの流れの向きを説明する図である。 実施例の燃料電池を示す図である。 実施例の燃料電池における最上段の単セル付近の構造を示す図である。 実施例の燃料電池における外部接続用電極の構造を説明する図である。
(燃料電池)
以下、図面を参照して本発明による接合方法について説明する。本発明による燃料電池は、複数の単セルを積層させてなる燃料電池であって、上記複数の単セルの各々は、固体電解質層と、該固体電解質層を支持する導電性の支持体とを備え、上記固体電解質層の表面の一部が支持体から露出しており、互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける固体電解質層と、他方の単セルにおける固体電解質層と、これら2つの固体電解質層の間の支持体との間に、燃料ガスの流路又は酸化剤ガスの流路が形成されていることを特徴とする。
図1は、本発明による燃料電池の一例を示しており、図1(a)は燃料電池を構成する単セル、図1(b)は図1(a)に示した単セルを積層して構成された燃料電池をそれぞれ示している。なお、図1(b)においては、燃料電池全体の一部のみが示されている。図1(a)に示した単セル10は、固体電解質層11と、該固体電解質層11を支持する導電性の支持体12とを備えている。また、支持体12の一部に窓Wが設けられ、固体電解質層11の表面の一部11aが支持体12から露出している。このような単セル10を積層することによって、図1(b)に示した燃料電池1が構成されている。
図1(b)に示した燃料電池1においては、互いに隣接する単セル10同士において、一方の単セル10の固体電解質層11と、他方の単セル10の固体電解質層11と、これら2つの固体電解質層11の間の支持体12との間に空間が形成される。そして、上記空間が燃料ガスの流路13又は酸化剤ガスの流路14として構成されており、図1(b)に示した燃料電池1においては、燃料ガス流路13と酸化剤ガス流路14とが積層方向に交互に配置されている。なお、酸化剤ガスとしては、例えば、空気や酸素ガス等を用いる。また、燃料ガスとしては、エタノール、水素等を用いる。
上述のように、支持体12は導電性を有するため、燃料電池1の燃料極又は空気極として機能させることができる。また、支持体12に設けられた空間が、燃料ガスの流路13又は酸化剤ガスの流路14として使用される。そのため、支持体12は、積層方向に隣接する2つの固体電解質層11を離間するセパレータとしても機能する。
このように、本発明による燃料電池1は、燃料電池1の電極及びセパレータの機能を兼ね備えた支持体12を備えており、固体電解質層11及び支持体12のみで構成された極めて簡単な構造を有する。以下、各構成について説明する。
[固体電解質層]
固体電解質層11としては、ガスを透過させず、酸素イオンを透過させるものを好適に用いることができる。固体電解質層11の材料としては、例えば、イットリア(Y)や酸化ネオジム(Nd)、サマリア(Sm)、ガドリア(Gd)、スカンジア(Sc)などを固溶した安定化ジルコニア(YSZ)を用いることができる。また、サマリアドープセリア(SDC)やイットリアドープセリア(YDC)、ガドリアドープセリア(GDC)のようなセリア固溶体や、酸化ビスマス(Bi)、ランタンストロンチウムマグネシウムガレート(La1−xSrGa1−yMg:LSGM)などを用いることもできる。
なお、固体電解質層11の材料は、上記のものに限定されるものではなく、他の公知の固体電解質材料を用いることができる。また、これらの材料は、1種を単独で用いることも、複数種を組み合わせて用いることもできる。
固体電解質層11の厚みは、大気圧から数気圧程度の供給ガスの圧力差を想定した場合には窓の大きさ(=後述のガス通路幅)に対して1/100~1/10であることが望ましく絶対的な厚みは0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。これにより、膜の強度を維持しつつ、十分な酸素イオン伝導性を確保することができる。
[支持体]
支持体12は、燃料電池1における電極として機能するとともに、積層方向に隣接する2つの固体電解質層11を離間させるセパレータとしても機能する。そのため、支持体12の材料としては、高い導電性を有するとともに、セパレータとして使用するのに十分な機械的強度を有するものが好ましい。
なお、支持体12は、燃料電池1の動作温度において十分高い導電性を有していればよく、動作温度以外の温度、例えば室温においては高抵抗であっても構わない。すなわち、本発明においては、多くの半導体材料のように燃料電池1の動作温度以外の温度において抵抗が高くても、動作温度において低抵抗になる支持体であれば、「導電性を有する支持体」に含まれる。
こうした支持体12の材料としては、シリコンや炭化ケイ素等を用いることができる。中でも、支持体12はシリコンを有することが好ましい。すなわち、シリコンは、室温では高比抵抗の半導体であるが、真性温度(300℃)では金属と同じような高い導電性をするとともに、燃料電池1におけるセパレータとしての十分な機械的強度を有する。
支持体12の厚みは、例えばウエハ径が100mmΦ、固体電解質層11の厚みが10μmの場合、およその目安であるが、ハンドリングの点から、50μm以上であることが望ましい。また、支持体12に設けられる窓Wの形状は特に限定されず、例えば、溝状とすることができる。また、断面形状についても特に限定されず、図1(a)に示したような台形状や半円状、矩形状等とすることができる。
また、燃料電池1において、互いに隣接する単セル10同士は、陽極接合法により接合されていることが好ましい。後述するように、陽極接合法によって、導電体と固体電解質とを、接着剤等を用いることなく強固に接合させることができる。支持体12は導電性を有しているため、陽極接合法によって、互いに隣接する単セル10のうちの一方における固体電解質層11と、他方の単セルにおける支持体12とを強固に接合することができる。
なお、導電性支持体12の表面に酸化膜12aが形成されている場合にも、上記陽極接合法を用いて導電体と固体電解質を接合する場合と同様に、固体電解質層11と支持体12とを、酸化膜12aを介して強固に接合させることができる。後述するように、本明細書においては、この酸化膜を介した接合を「陰極接合法」と呼ぶが、この陰極接合法については後述する。
また、互いに隣接する単セル10同士において、燃料ガス流路13と酸化剤ガス流路14とは交差していることが好ましい。これにより、外部からのそれぞれのガス導入孔(図示せず)を一か所に固めずに別々の場所に配置することができるため、ガス配管を含めたスタック全体のレイアウトの自由度を向上させることができる。
ここで、燃料電池1の動作について説明する。まず、燃料ガス流路13に燃料ガス(例えば、水素ガス)を流通させるとともに、酸化剤ガス流路14に酸化剤ガス(例えば、空気)を流通させる。そして、図示しないバーナー等により燃料電池1を加熱する。すると、酸化剤ガスに含まれる酸素(O)が、酸化剤ガス流路14のフリンジ部Fにて、図示しない外部回路から支持体12を介して電子を受け取り、酸素イオン(O イオン)となる。生成されたO イオンは、酸化剤ガス流路14に隣接する固体電解質層11を通過して燃料ガス流路13のフリンジ部Fに移動し、燃料ガス(例えば、水素ガス)と反応する。その際、電子が放出されて、支持体12を介して外部回路に供給される。こうして発電が行われる。
このように、図1(b)に示した燃料電池1においては、燃料ガスとO イオンとの反応は、燃料ガス流路13のフリンジ部Fのみで起こる。そのため、図2に示す燃料電池2のように、燃料ガス流路13を挟んで対向する2つの固体電解質層11のうち、一方の露出した表面11a及び他方の表面に、燃料極として機能する燃料極材料層15が設けられていることが好ましい。また、酸化剤ガス流路14を挟んで対向する2つの固体電解質層11のうち、一方の露出した表面11a及び他方の表面に、空気極として機能する空気極材料層16が設けられていることが好ましい。
なお、図2に示した燃料電池2においては、固体電解質層11の露出した表面11aに燃料極材料層15が設けられている単セルには符号20が、固体電解質層11の露出した表面11aに空気極材料層16が設けられている単セルには符号30がそれぞれ付されている。
上記空気極材料層16によって、酸化剤ガス流路14のフリンジ部Fのみならず、空気極材料層16の全面において、O イオンの生成させることができる。また、燃料極材料層15を設けることによって、燃料ガス流路13のフリンジ部Fのみならず、燃料極材料層15の全面において、燃料ガスとO イオンとを反応させることができ、発電効率を向上させることができる。
上記燃料電極層15を構成する燃料極材料は、多孔質材料であることが好ましく、還元反応により分解して不導体化しない燃料極用の公知の材料を用いることができる。このような材料としては、Ni/YSZサーメットやRu/YSZサーメットなどを挙げることができる。
また、空気極材料層16を構成する空気極材料としては、多孔質材料であることが好ましく、酸化反応により不導体化しない空気極用の公知の材料を用いることができる。このような材料としては、(La,Sr)MnO(LSM)や、(La,Sr)CoO(LSC)、(La,Sr)(Co,Fe)O(LSCF)等を挙げることができる。
(燃料電池の製造方法)
本発明による燃料電池の製造方法は、複数の単セルを積層してなる燃料電池の製造方法であって、複数の単セルを形成するセル形成工程と、形成された複数の単セルを積層するセル積層工程と、積層された複数の単セルを接合するセル接合工程とを備える。また、上記セル形成工程は、複数の支持体の各々の一方の表面に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、各支持体の一部を除去して、固体電解質層の表面の一部を支持体から露出させる露出工程とを有する。以下、各工程について説明する。
図3は、本発明による燃料電池における単セルの製造方法のフローを示している。まず、図3(a)に示すように、複数の支持体12を用意する。なお、図3(a)においては、1つの支持体12のみが示されている。
次に、図3(b)に示すように、複数の支持体12の各々の一方の表面に、固体電解質層11を形成する固体電解質層形成工程を行う。この固体電解質層11の形成方法は特に限定されず、例えば固体電解質材料のペーストの乾燥工程及び焼成工程を行って形成する湿式法で形成することができる。また、固体電解質材料の粉末を有機バインダーと混ぜた後、圧力をかけて薄く延ばして高温の炉の中で加圧焼結するホットプレス法よっても形成することができる。さらに、ゾルゲル法を用いることによって、より薄膜化された固体電解質層1を形成することができる。
また、支持体12として半導体基板を用いる場合には、半導体基板上に固体電解質層11をエピタキシャル成長させることもでき、例えば、Si基板上にYSZ薄膜をエピタキシャル成長させることができることが報告されている(例えば、西澤信典他、「圧電MEMSのためのスパッタ堆積による大口径Si基板上へのYSZバッファ層のエピタキシャル成長」(13p−A21−6)、第62回応用物理学会春季学術講演会講演予稿集、05−272、2015参照)。
上記文献においては、自然酸化膜を除去していない6インチn型Si(100)基板をスパッタ装置に導入し、(1)Arガスを用いて厚み0.1〜0.2nmのY−Zr合金層をスパッタ堆積させる工程、及び(2)圧力0.1PaのO雰囲気下でY−Zr合金を基板温度800℃、酸化時間60秒で酸化させる工程、を繰り返すことによって、YSZ薄膜をSi基板上にエピタキシャル成長させている。このようなエピタキシャル成長によって、支持体12の上に薄く高品質な単結晶の固体電解質層11を形成することができ、発電特性を向上させることができる。
続いて、図3(c)に示すように、各支持体の一部を除去して窓Wを形成し、固体電解質層11の表面の一部11aを支持体12から露出させる露出工程を行う。上記支持体12の除去方法は特に限定されないが、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工により行うことが好ましい。
こうして、燃料電池を構成する複数の単セル10を形成することができる。
次に、形成された複数の単セルを積層するセル積層工程を行う。これは、各単セル10における支持体12が、隣接する単セル10の固体電解質層11上に直接接触するように行う。
上記セル積層工程は、互いに隣接する単セル10同士において、燃料ガス流路13と酸化剤ガス流路14とが交差するように行うことが好ましい。これにより、外部からのそれぞれのガス導入孔(図示せず)を一か所に固めずに別々の場所に配置することができるため、ガス配管を含めたスタック全体のレイアウトの自由度を向上させることができる。
続いて、積層された複数の単セル10を接合するセル接合工程を行う。これは、低融点ガラス接合法や合金接合法、陽極接合法等により行うことができる。中でも、接着剤を用いることなく強固に接合を形成できることから、陽極接合法を用いることが好ましい。
陽極接合法では、加熱しながら固体電解質と導電性材料とを接触させ、導電性材料がプラス(陽極)、他方がマイナス(陰極)になるように直流電圧を印加する。これにより、固体電解質中をO イオンが陽極に向かって伝導するとともに、陽極側の導電性材料との界面には静電引力による強い密着力が発生する。この界面に移動してきたO イオンを界面の両物質と共有結合させることにより、形成材料を強固に接合することができる。本発明による燃料電池1において、支持体12は導電性を有しているため、陽極接合法によって、固体電解質層11と支持体12とを接合して、積層された複数の単セル10同士を接合することができる。以下、陽極接合法によって、積層した単セル10を接合する方法について説明する。
まず、固体電解質層11を挟んで対向する2つの支持体12との間に、第1極性の電圧を印加する第1電圧印加工程を行う。具体的には、図4(a)に示すように、互いに隣接する単セル10のうち、一方の支持体12を電圧印加装置Vの正極側に、他方の支持体12を陰極側にそれぞれ接続し、固体電解質層11及び支持体12を加熱しつつ、2つの支持体12間に直流電圧を印加する。これにより、正極側の支持体12と固体電解質層11との間に接合(図4(a)における接合1)が形成される。
2つの支持体12間に印加する電圧は、作業温度によって最適な範囲があるため、固体電解質の材料によって最適になるように選択する。温度や電圧が低すぎる場合には、固体電解質の酸素イオン伝導電流が少なくなり、接合時間が長くなる。一方、温度が高い場合には、接合時間は短くなるが、接合後の残留ストレスが大きくなり、耐久性の観点から不適である。電圧についても、高すぎる場合には、接合部以外への放電が発生して接合でが困難になる。典型的には、温度条件300℃以上500℃以下の下で、電圧50V以上500V以下の範囲で最適値を選ぶのが好ましい。これにより、正極側の支持体12と固体電解質層11とを強固に接合することができる。
次に、2つの支持体12間に電圧を印加する時間について説明する。陰極となる単セル10における支持体12と固体電解質層11との接触面では、空気中のOが陰極から電子を受け取って電離し、O イオンとなる。生成されたO イオンは固体電解質層11内を移動し、正極側の支持体12との界面で電子を正極に渡して、固体電解質層11及び正極側の支持体12の構成原子と強固な共有結合を形成する。こうして正極側の支持体12と固体電解質層11とが化学的に接合される。その際、O イオンが供給されて支持体12と固体電解質層11との接合形成面積が拡大している間、電流は増加傾向を示す。そして接合がほぼ完了すると、電流は減少に転じる。この電流値が減少に転じる点をもって、電圧の印加を停止する目安にすることが好ましい。これにより、正極側の支持体12と固体電解質層11とを接合面全面に亘って強固に接合することができる。
続いて、固体電解質層11を挟んで対向する2つの支持体12間に、第1極性とは逆の第2極性の電圧を印加する第2電圧印加工程を行う。例えば、図4(a)に示したように支持体12を電圧印加装置Vに接続した場合には、それらの接続を維持した状態で、電圧印加装置Vの電圧の極性を反転させて直流電圧を印加するか、支持体12を図4(a)とは正極と陰極とを逆にして電圧印加装置Vに接続し、直流電圧を印加する。これにより、第1電圧印加工程では接合されなかった固体電解質層11と支持体12との間に接合(図4(b)における接合2)を形成することができる。
第2電圧印加工程における電圧、電圧印加時間、加熱温度等の条件は、印加する電圧の極性以外は、第1電圧印加工程と同じとすることができる。
こうして、2回の電圧印加工程によって、固体電解質層11と支持体12とを陽極接合して、複数の単セル10を積層した燃料電池1を得ることができる。
上記陽極接合法は低温工法(300〜600℃)であるため、得られた燃料電池1を常温に戻したときに、固体電解質層11や支持体12が受ける残留応力を著しく低減することができる。例えば1000℃〜1500℃といった高温の焼成温度に晒される湿式法に比べて、残留応力の大きさを20〜60%に抑えることができる。これによって電極材料のクリープや結晶粒界破壊といった寿命を劣化させるメカニズムの進行を抑制できる。したがって、自動車用の燃料電池のように起動及び停止を繰り返す過酷な条件下であっても、耐久性を著しく改善できる。
また、陽極接合法を用いることによって、湿式法を用いて形成した場合に比べて、固体電解質層11と支持体12との間の密着性を向上させることができ、電池の出力を安定させることができる。
さらに、陽極接合法においては、湿式法において行われていた固体電解質材料のペーストの乾燥工程及び焼成工程を省略することができ、また2回の電圧印加工程により、全ての固体電解質層11と全ての支持体12とを接合することができるため、製造時間を大幅に短縮することができる。
さらにまた、陽極接合法を用いることによって、単セル10の薄板化を容易に行うことができ、燃料電池1の出力密度を向上させることができる。
以上、図1(b)に示した燃料電池1を製造する方法について説明したが、図2に示した、燃料極材料層15及び空気極材料層16を有する燃料電池2も同様に製造することができる。具体的には、まず、図5(a)に示すように、複数の支持体12を用意し、図5(b)に示すように、複数の支持体12の各々の一方の表面に、固体電解質層11を形成する固体電解質層形成工程を行う。これらは、図1に示した燃料電池1を製造する場合と同様に行うことができる。
続いて、図5(c)に示すように、固体電解質層11を形成した支持体12のうちの半数について、固体電解質層11の表面に空気極材料組成のターゲットを用いてスパッタリング法により空気極材料層16を形成し、残りの半数の表面に燃料極材料組成のターゲットを用いて同様の方法で燃料極材料層15を形成する。上記燃料極材料層15の形成は、例えば燃料極材料の原料粉を固体電解質層11の表面に塗布した後、焼成処理を施すことによっても行うことができる。また、空気極材料層16の形成は、例えば空気極材料のペーストを固体電解質層11の表面に塗布して乾燥させた後、焼成処理を施すことにより行うこともできる。
その後、図5(d)に示すように、支持体12の一部を除去して窓Wを形成し、固体電解質層11の表面の一部11aを露出する露出工程を行う。この工程も、図1に示した燃料電池1を製造する場合と同様に行うことができる。
最後に、図5(e)に示すように、固体電解質層11の表面に空気極材料層16を形成したものの固体電解質層11の露出した表面11aに燃料極材料層15を形成する。これにより、単セル20が得られる。また、固体電解質層11の表面に燃料極材料層15を形成したものの固体電解質層11の露出した表面11aに空気極材料層16を形成する。これにより、単セル30が得られる。
なお、図5(c)に示した燃料極材料層15及び空気極材料層16の形成は、図5(d)に示した露出工程の後に行ってもよい。こうして、燃料極材料層15及び空気極材料層16を有する単セル20、30を形成することができる。
上述のように得られた単セル20と単セル30とを交互に積層し、例えば陽極接合法により単セル20と単セル30とを接合することにより、図2に示した燃料電池2を製造することができる。
なお、図1に示した燃料電池1において、支持体12の表面に酸化膜が形成されている場合にも、陽極接合法と同様の電圧印加工程によって、隣接する単セル同士を接合することができる。
すなわち、本発明者らは、図6(a)に示すように、支持体12の表面に酸化膜12aを有する単セルを積層し、隣接する単セルのうちの一方における支持体12をマイナス(陰極)、他方における支持体12をプラス(陽極)になるように直流電圧を印加したところ、上記一方の単セルにおける支持体12と他方における固体電解質層11とが、上記一方の単セルにおける支持体12上の酸化膜12aを介して強固に接合されることを発見した。そして、図6(b)に示すように、極性を反転して電圧を印加することによって、上記他方の単セルにおける支持体12と上記一方の単セルにおける固体酸化物層11とが、上記他方の単セルにおける支持体12上の酸化膜12aを介して強固に接合されることを発見した。
上記の強固な接合が形成される理由は、上記電圧の印加によって、固体酸化物層11と陰極側の支持体12における酸化膜12aとの間において、下記の式(1)に示すような還元反応が起きるためと考えられる。
X−O+R−O+2e → X−O−R+O2− (1)
上記還元反応によれば、支持体12の酸化膜(R−O)12aを構成する酸化物が還元され、還元された酸化物の材料(R)と固体電解質層(X−O)11との間に結合(X−O−R)が形成され、固体電解質層11と支持体12とが当接面にて強固に接合される。一方、上記還元反応において生じたO2−イオンは、固体電解質層11中を移動して陽極側に移動して排出される。このように、陰極側の支持体12において還元反応が起きた結果、固体電解質層11と支持体12との間で強固な接合が形成されたものと考えられる。
上記式(1)で表される還元反応は、従来の陽極接合法において起こる電気化学反応とは対照的な反応と考えられる。すなわち、陽極接合法により、例えばガラス(X−O−Na)と金属(M)とを接合する場合、ガラス(X−O−Na)と金属(M)との間において、下記の式(2)〜(4)に示すような酸化反応が起こると考えられる。
X−O−Na → X−O+Na (2)
X−O+M → X−O−M+e (3)
Na+e → Na (4)
上記式(2)及び(3)の反応は、陽極側(接触界面)で起きる反応であり、Naがイオン化され離脱してX−Oが生成され、Mと結合して接合が形成される。一方、式(4)の反応は、陰極側で起きる還元反応であり、ガラス中を陰極側に向かって移動してきたNaが電子を受け取ってNaに還元される。
このように、陰極における還元反応に基づく接合方法は、陽極における酸化反応に基づく従来の陽極接合法とは対照的かつ新規な接合方法であり、従来の陽極接合法に対して「陰極接合法」と呼ぶものとする。この陰極接合法によれば、支持体12の表面に酸化膜12aがある場合にも、固体電解質層11と、表面に酸化膜12aを有する支持体12とを、酸化膜12aを介して強固に接合することができる。
以下、燃料電池の構成について具体例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図7は、図12に示す燃料電池3を構成する単セル40を示しており、この単セル40は、固体電解質層41と支持体42とを備える。なお、図7は、支持体42側から見た単セル40を示している。この単セル40においては、支持体42がシリコンウエハ(直径:100mm、厚み:5μm、導電型:N型)で構成されており、MEMS加工によって、窓Wとしての線状の溝42aが多数設けられている。
また、支持体42(シリコンウエハ)の外周部には、上記線状溝42aを接続する環状の溝42bが形成されており、この環状溝42b上に2つの貫通孔43a、43bが設けられている。さらに、線状溝42a及び環状溝42bのない部分に、1つの貫通孔44が設けられている。線状溝42a及び環状溝42bは、最終的に得られる燃料電池3の燃料ガス流路45又は酸化剤ガス流路46を構成する。上記線状溝42a及び環状溝42bにおいては、固体電解質層41の表面の一部が露出している。
図8は、燃料電池3において互いに隣接する2つの単セル40を示しており、図8(a)に示す単セル40においては、線状溝42a及び環状溝42bは、燃料ガス流路45を構成し、図8(b)に示す単セル50においては、線状溝42a及び環状溝42bは、酸化剤ガス流路46を構成している。なお、図8(b)の単セル50は、説明の都合上、符号50を付しているが、構成自体は、図8(a)の単セル40と同じである。
単セル40においては、貫通孔43a、43bのうちの一方(例えば、43a)が燃料ガス導入孔、他方(例えば、43b)が燃料ガス排気孔として機能する。また、貫通孔44は、隣接する単セル50に酸化剤ガスを送るための酸化剤ガス通過孔として機能する。
これに対して、単セル50においては、貫通孔43a、43bのうちの一方(例えば、43a)が酸化剤ガス導入孔、他方(例えば、43b)が酸化剤ガス排気孔として機能する。また、貫通孔44は、隣接する単セル40に燃料ガスを送るための燃料ガス通過孔として機能する。
図8(a)および図8(b)に示すように、互いに隣接する単セル40と単セル50とは、互いに90°回転した状態で積層されている。これによって、単セル40における貫通孔44と、単セル50における貫通孔43aとが重なる。また、単セル40における貫通孔43bと、単セル50における貫通孔44とが重なる。
このように単セル40と単セル50とを積層することによって、単セル40内を流通する燃料ガスFは、隣接する単セル50内を流通せず、2つ離れた単セル40内を流通するようになる。すなわち、図9(a)に示すように、単セル50の貫通孔44を通過した燃料ガスFは、一方の貫通孔43aを経て単セル40における燃料ガス流路45に導入される。導入された燃料ガスFは、単セル40内を流通した後、他方の貫通孔43bから排出される。排出された燃料ガスFは、隣接する単セル50の貫通孔44を通過し、貫通孔43aから2つ離れた単セル40内に導入される。導入された燃料ガスFは、単セル40内を流通した後、貫通孔43bから排出される。
同様に、図10(a)に示すように、単セル40の貫通孔44を通過した酸化剤ガスAは、一方の貫通孔43aを経て単セル50における酸化剤ガス流路46に導入される。導入された酸化剤ガスAは、単セル50内を流通した後、他方の貫通孔43bから排出される。排出された酸化剤ガスAは、隣接する単セル40の貫通孔44を通過し、貫通孔43aから2つ離れた単セル50内に導入される。導入された酸化剤ガスAは、単セル50内を流通した後、貫通孔43bから排出される。
図11は、燃料電池3におけるガスの流れの向きを説明する図である。図11(a)に示すように、燃料電池3における上からN番目の単セル(例えば、単セル40)の貫通孔43aから燃料ガスFが導入されて単セル40内を流通した後、反対側の貫通孔43bから排出される。排出された燃料ガスFは、N+1番目の単セル(例えば、単セル50)における貫通孔44を通過し、図11(c)に示すように、貫通孔43aを経て、N+2番目の単セル40内に導入されて、単セル40内を流通する。N番目の単セル40とN+2番目の単セル40とでは、燃料ガスFの流れる向きは逆である。
同様に、図11(b)に示すように、燃料電池3における上からN+1番目の単セル、(例えば、単セル50)の貫通孔43aから酸化剤ガスAが導入されて単セル50内を流通した後、反対側の貫通孔43bから排出される。排出された酸化剤ガスAは、N+2番目の単セル(例えば、単セル40)における貫通孔44を通過し、図11(d)に示すように、貫通孔43aを経て、N+3番目の単セル50内に導入されて、単セル50内を流通する。N+1番目の単セル50とN+3番目の単セル50とでは、酸化剤ガスAの流れる向きは逆である。
上記図11(a)〜(d)に示したように、単セルの番号が1つ増える毎に(すなわち、単セルの位置が1つ下がる毎に)ガス流れの向きが90°回転し、4つ離れた単セルにおいてガス流れの向きが同じになる。こうしたガス流れの向きの変化が繰り返される。
図12は、図7に示した単セル40を90°回転させながら順次積層して得られた燃料電池3を示しており、積層された単セル40の一方の表面にはガラス層60が積層されている。このガラス層60は、図12におけるX−X断面図を図13に示すように、単セル40における支持体42と略同一の径を有する第1ガラス層61と、第1ガラス層61よりも径の小さな第2ガラス層62とで構成されている。
上記第1ガラス層61と第2ガラス層62との間には、Naイオンブロック層63が配置されており、第1ガラス層61と第2ガラス層62とは、陽極接合法によって強固に接合されている。すなわち、通常、2つのガラス層間に電圧を印加しても、一方のガラス層中のNaイオンが他方のガラス層内に移動してしまうため、陽極接合法によりガラス層同士を接合することはできない。しかし、ガラス層間にNaイオンブロック層63を配置することによって、これらを陽極接合させることができる(例えば、A. Berthod他, “Glass-to-glass anodic bonding with standard IC technology thin films as intermediate layer”, Sensors and Actuators 82 (2000), 224-228参照)。
こうして、第1ガラス層61と第2ガラス層62とが陽極接合されて構成されたガラス層60上に、燃料ガス導入孔64及び酸化剤ガス導入孔65が設けられており、それぞれに金属製のアタッチメント66、67が取り付けられている。これらのアタッチメント66、67には、図示されない燃料ガス供給管及び酸化性ガス供給管がそれぞれ接続される。また、図12におけるY−Y断面図を図14に示すように、ガラス層61の一部が除去し、露出した支持体42の上に、外部接続用電極68が設けられている。
同様に、積層された単セル40の他方の表面には、図示されない第1ガラス層71と第2ガラス層72とが陽極接合されて構成された図示されないガラス層70上に、図示されない燃料ガス排気孔74及び酸化剤ガス排気孔75が設けられており、それぞれに金属製のアタッチメント76、77が取り付けられている。これらのアタッチメント76、77には、図示されない燃料ガス排気管及び酸化性ガス排気管がそれぞれ接続される。また、ガラス層71の一部が除去し、露出した支持体42の上に、図示されない外部接続用電極78が設けられている。
ここで、燃料電池3の動作について説明する。まず、アタッチメント66に接続された図示しない燃料ガス供給管から燃料ガス(例えば、水素)Fを、アタッチメント67に接続された図示しない酸化剤ガス供給管から酸化性ガス(例えば、空気)Aをそれぞれ導入する。同時に、図示しないバーナー等により燃料電池3を加熱する。すると、単セル40の支持体42において、酸化剤ガスAに含まれるOが、線状溝42a(酸化剤ガス流路46)のフリンジ部Fにて、図示しない外部回路からの電子を、支持体42を介して受け取り、O イオンとなる。生成されたO イオンは、単セル40における固体電解質層41を通過して線状溝42a(燃料ガス流路)のフリンジ部Fに移動し、燃料ガスFと反応する。その際、電子が放出されて、支持体42を介して外部回路に供給される。こうして発電が行われる。
1,2,3 燃料電池
10,20,30,40,50 単セル
11,41 固体電解質層
11a 固体電解質層の露出した表面
12,42 支持体
12a 酸化膜
13,45 燃料ガス流路
14,46 酸化剤ガス流路
15 燃料極材料層
16 空気極材料層
60,70 ガラス層
61,71 第1ガラス層
62,72 第2ガラス層
63,73 Naイオンブロック層
64 燃料ガス供給孔
65 酸化剤ガス供給孔
66,67,76,77 アタッチメント
68,78 外部接続用電極
74 燃料ガス排気孔
75 酸化剤ガス排気孔
A 酸化剤ガス
F 燃料ガス
,F フリンジ部
V 電圧印加装置

Claims (14)

  1. 複数の単セルを積層させてなる燃料電池であって、
    前記複数の単セルの各々は、固体電解質層と、該固体電解質層を支持する導電性の支持体とを備え、前記固体電解質層の表面の一部が前記支持体から露出しており、
    互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける固体電解質層と、他方の単セルにおける固体電解質層と、これら2つの固体電解質層の間の支持体との間に、燃料ガスの流路又は酸化剤ガスの流路が形成されており、互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける支持体と、他方の単セルにおける固体電解質層とが陽極接合又は陰極接合されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 互いに隣接する単セル同士において、前記燃料ガスの流路と酸化剤ガスの流路とが交差している、請求項に記載の燃料電池。
  3. 前記燃料ガスの流路を挟んで互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける固体電解質層の露出した表面の上、及び他方の単セルにおける固体電解質層の前記燃料ガスの流路側の表面の上のそれぞれに燃料電極層を更に備え、前記一方の単セルにおける支持体と前記他方の単セルにおける燃料極材料層とが接合されており、
    前記酸化剤ガスの流路を挟んで互いに隣接する単セル同士において、一方の単セルにおける固体電解質層の露出した表面の上、及び他方の単セルにおける固体電解質層の前記酸化剤ガスの流路側の表面の上に空気極材料層を更に備え、前記一方の単セルにおける支持体と前記他方の単セルにおける空気極材料層とが接合されている、請求項1又は2に記載の燃料電池。
  4. 前記支持体はシリコンを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の燃料電池。
  5. 積層された複数の単セルにおける最上段の単セル及び最下段の単セルに対して、ガラス層がそれぞれ外側から積層されており、前記最上段の単セル及び最下段の単セルの一方の表面には燃料ガスを導入するアタッチメント、他方の単セルには燃料ガスを排出するアタッチメントが前記ガラスを介してそれぞれ取り付けられており、また前記最上段の単セル及び最下段の単セルの一方の表面には酸化剤ガスを導入するアタッチメント、他方の単セルには酸化剤ガスを排出するアタッチメントが前記ガラスを介してそれぞれ取り付けられている、請求項1〜のいずれか一項に記載の燃料電池。
  6. 前記アタッチメントの外表面が金属で構成されているとともに、前記ガラス層の表面にナトリウムイオンブロック層が更に設けられており、前記アタッチメントの外表面と前記ナトリウムイオンブロック層とが陽極接合されている、請求項に記載の燃料電池。
  7. 複数の単セルを積層してなる燃料電池の製造方法であって、
    前記複数の単セルを形成するセル形成工程であって、該セル形成工程は、
    複数の支持体の各々の一方の表面に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程と、
    各支持体の一部を除去して、前記固体電解質層の表面の一部を前記支持体から露出させる露出工程と、
    を有する、セル形成工程と、
    形成された前記複数の単セルを積層するセル積層工程と、
    積層された前記複数の単セルを接合するセル接合工程と、
    を備え
    前記セル接合工程において、互いに隣接する単セルの一方の単セルにおける支持体と、他方の単セルにおける固体電解質層とを陽極接合又は陰極接合することを特徴とする燃料電池の製造方法。
  8. 前記セル接合工程は、前記固体電解質層を挟んで対向する支持体間に、第1極性の電圧を印加する第1電圧印加工程と、
    前記固体電解質層を挟んで対向する支持体間に、前記第1の極性とは逆の第2極性の電圧を印加する第2電圧印加工程と、
    を含む、請求項に記載の燃料電池の製造方法。
  9. 前記セル積層工程は、互いに隣接する単セルの一方の単セルの固体電解質層と、他方の単セルの固体電解質層と、これら2つの固体電解質層の間の支持体との間に形成される燃料又は空気の流路が積層方向に交差するように行う、請求項7又は8に記載の燃料電池の製造方法。
  10. 前記露出工程において、前記支持体の一部の除去はMEMS加工により行う、請求項のいずれか一項に記載の燃料電池の製造方法。
  11. 前記セル形成工程は電極層形成工程を更に有し、該電極層形成工程は、
    前記複数の単セルの一部において、前記固体電解質層の露出した表面に燃料極材料層を形成する第1工程と、前記固体電解質層の前記支持体とは反対側の表面に空気極材料層を形成する第2工程と、
    前記複数の単セルの残りにおいて、前記固体電解質層の露出した表面に空気極材料層を形成する第3工程と、前記固体電解質層の前記支持体とは反対側の表面に燃料極材料層を形成する第4工程と、
    を有し、
    前記セル積層工程において、第1工程及び第2工程を経て形成された単セルと、第3工程及び第4工程を経て形成された単セルとを交互に積層する、請求項10のいずれか一項に記載の燃料電池の製造方法。
  12. 前記支持体はシリコンを有する、請求項11のいずれか一項に記載の燃料電池の製造方法。
  13. 積層された複数の単セルの最上段の単セル及び最下段の単セルに対して、ガラス層をそれぞれ外側から積層するとともに、前記最上段の単セル及び最下段の単セルの一方の表面に燃料ガスを導入するアタッチメントを、他方の単セルには燃料ガスを排出するアタッチメントを前記ガラスを介してそれぞれ取り付ける工程と、前記最上段の単セル及び最下段の単セルの一方の表面に酸化剤ガスを導入するアタッチメント、他方の単セルには酸化剤ガスを排出するアタッチメントを前記ガラス層を介してぞれぞれ取り付ける工程を更に備える、請求項12のいずれか一項に記載の燃料電池の製造方法。
  14. 前記アタッチメントの外表面を金属で構成し、
    前記ガラス層の表面にナトリウムイオンブロック層を設ける工程と、
    前記ナトリウムイオンブロック層と前記金属とを陽極接合する工程とを更に備える、請求項13に記載の燃料電池の製造方法。
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