JP6456734B2 - 吊下げ治具及び添加液移送方法 - Google Patents

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Description

本発明は、血液バッグシステム用の吊下げ治具及び添加液移送方法に関する。
近年、輸血においては、献血等により得られた血液(全血)の成分を分離して患者が必要とする成分だけを提供する成分輸血が行われている。成分輸血によれば、患者にとって循環器系への負担や副作用を軽減することができるとともに、献血された血液の有効利用が図られる。
献血により得られた血液(全血)又は全血から調製された血液成分は、遠心分離することにより、血液バッグ内で複数の層に分離される。例えば、全血から白血球と血小板を除去した残余の成分(乏白血球乏血小板血液)を血漿と赤血球(濃厚赤血球)とに分けて異なるバッグに採取する場合、まず、遠心分離によって、上清成分である血漿層と沈降成分である赤血球(濃厚赤血球)層とに分ける(遠心工程)。その後、血液バッグに連結されたチューブを介して血漿バッグに血漿を移送し、血液バッグ内に濃厚赤血球を残す(分離移送工程)。次に、薬液バッグ内に収容された赤血球保存液を、チューブを介して血液バッグ内に移送することにより、濃厚赤血球に赤血球保存液を添加する(添加工程)。
乏白血球乏血小板血液を遠心分離するとともに、遠心分離によって得られた血漿と濃厚赤血球とを別々のバッグに採取する処理(上述した遠心工程と分離移送工程)は、例えば、下記特許文献1、2に開示されているような遠心分離移送装置によって自動で行うことができる。遠心分離移送装置を用いる場合、上述した添加工程は、遠心分離移送装置から血液バッグシステムを取り出し、手作業により行う。具体的には、薬液バッグを上方にして、血液バッグを下方にすることにより、赤血球保存液を落差で血液バッグへ移送する。
米国特許第6910998号明細書 特表2012−510298号公報
上述した添加工程では、赤血球保存液を落差で血液バッグへ移送する際、赤血球保存液だけでなく薬液バッグ内に存在していたエアも血液バッグ内に流入してしまう。血液バッグ内に所定量以上のエアが存在すると赤血球に悪影響を与えるため、エア量が所定未満となるよう品質基準で定められている場合がある。このため、添加工程の後に手作業でエア抜き作業を実施する必要があり、作業負担が大きい。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、血液製剤の製造工程において、添加液の添加後の手作業によるエア抜き作業を不要とすることにより、効率的に血液製剤を製造することができる吊下げ治具及び添加液移送方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明は、血液成分が収容された第1バッグと、添加液が収容された第2バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとの間の流路を形成する移送ラインとを有する血液バッグシステムを吊り下げるための吊下げ治具であって、前記添加液が重力で前記移送ラインを流下する姿勢にして前記第2バッグを吊り下げる吊下げ部と、前記吊下げ部によって吊り下げられる前記第2バッグよりも低い位置で前記第1バッグを支持する支持部を有する載置台と、を備え、前記第1バッグは、前記第1バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸及び短軸を有する形状に形成されており、前記第1バッグの前記長軸の方向の一端部に前記移送ラインと接続する口部を有し、前記支持部は、前記長軸の高さが前記第1バッグの前記口部側に向かうに従って低くなるように前記第1バッグを水平面に対して斜めに支持するとともに、前記短軸が前記長軸に直交する水平線に対して交差するように前記第1バッグを立てた状態で支持する、ことを特徴とする。
上記のように構成された血液バッグシステムによれば、口部を下側にして第1バッグを斜めに置くことにより、第1バッグ内の液面が第1バッグの口部よりも高い位置になる。このため、第2バッグから第1バッグへ添加液を移送する際、第2バッグからのエアは、移送ライン内を第1バッグ内の液面の位置まで移動したところで停止する。これにより、第2バッグからのエアが第1バッグに混入することを防止することができる。従って、第1バッグ内の血液成分への添加液の添加後において、第1バッグ内にはエア抜き作業が必要な程度の量のエアは存在しないことから、添加液の添加後のエア抜き作業をなくすことができる。また、支持部に支持される第1バッグの姿勢は、その短軸が長軸に直交する水平線に平行ではなく、短軸が当該水平線に対して交差する(傾斜又は直交する)ので、第1バッグの口部周辺が載置面から浮く状態となる。これにより、第1バッグの膨らみによる添加液の流路の閉塞を防止することができる。
上記の吊下げ治具において、前記吊下げ治具は、複数の前記血液バッグシステムを吊り下げるよう構成されており、前記載置台は、水平方向に並んで配置された複数の前記支持部を有していてもよい。
この構成により、複数の血液バッグシステムに対して並行して添加液の移送を実施することができる。また、第1バッグを立てることで、支持部1つ当たりの水平方向の大きさを小さくできる。これにより、複数の血液バッグシステムを吊下げ可能な吊下げ治具の水平方向寸法を抑制し、吊下げ治具の設置スペースを低減できる。
上記の吊下げ治具において、前記支持部は、水平に対して垂直であり且つ互いに平行に対向する支持面を有していてもよい。
この構成により、長軸に直交する水平線に対して第1バッグの短軸が垂直となるように第1バッグを立てることができるので、吊下げ治具の水平方向寸法を効果的に抑制し、吊下げ治具の設置スペースを低減できる。
上記の吊下げ治具において、前記血液バッグシステムは、前記第1バッグに接続されたチューブを含み、前記チューブはその延在方向に間隔をおいた複数部分で封止されることにより互いに独立した内腔を有する複数のセグメントチューブが形成されるようになっており、前記第1バッグは、前記複数のセグメントチューブを保持可能な保持部を有し、前記載置台は、遠心処理後の前記セグメントチューブ内の血球層の長さが所定長さ以上であるか否かを判定するためのリファレンス部を有していてもよい。
この構成により、添加液を第1バッグに移送する処理(添加液移送工程)を行うために第1バッグを吊下げ治具の載置台に置く際に、第1バッグの保持部にセグメントチューブを保持させることと、セグメントチューブ内の血液の目視判定による品質確認とを同時並行的に実施することができる。よって、セグメントチューブ内の分離面が消失する前に、目視判定による品質確認を確実に実施することができる。
上記の吊下げ治具において、前記載置台は、前記第1バッグが載置される載置面と、前記載置面から上方に突出するとともに水平方向に互いに間隔をおいて配置された複数の壁部を有し、前記載置面と、隣接する前記壁部の互いに対向する面によって、前記支持部が構成され、前記リファレンス部は、前記壁部の少なくとも上部に設けられていてもよい。
この構成により、目視判定による品質確認の実施を可能としつつ、吊下げ治具の設置スペースを低減できる。
上記の吊下げ治具において、前記支持部は、前記第1バッグの少なくとも一方面に対向し又は少なくとも前記一方面に接触する傾斜面を有し、前記リファレンス部は、前記傾斜面に設けられていてもよい。
この構成により、上方から載置台を見たときに、リファレンス部を視認しやすい。よって、目視判定による品質確認を一層容易に行うことができる。
上記の吊下げ治具において、前記支持部によって支持される前記第1バッグの前記長軸の方向に沿って間隔をおいて、前記リファレンス部が複数設けられていてもよい。
この構成により、第1バッグが支持部に支持され、セグメントチューブが第1バッグの保持部に保持された状態で、第1バッグの長さ方向に沿って並ぶ複数のセグメントチューブに対して同時に判定を行うことができる。
また、本発明は、血液成分が収容された第1バッグと、添加液が収容された第2バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとの間の流路を形成する移送ラインとを有する血液バッグシステムを対象とし、前記添加液を前記第2バッグから前記第1バッグへ移送する添加液移送方法であって、前記第1バッグと前記第2バッグの高低差を利用して前記第2バッグから前記第1バッグへ前記添加液を移送する際に、前記第1バッグを支持する支持ステップと、前記添加液が重力で前記移送ラインを流下する姿勢にして前記第2バッグを吊り下げる吊下げステップと、を含み、前記第1バッグは、前記第1バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸及び短軸を有する形状に形成されており、前記第1バッグの前記長軸の方向の一端部に前記移送ラインと接続する口部を有し、前記支持ステップでは、前記長軸の高さが前記第1バッグの前記口部側に向かうに従って低くなるように前記第1バッグを水平面に対して斜めに支持するとともに、前記短軸が前記長軸に直交する水平線に対して交差するように前記第1バッグを立てた状態で支持する、ことを特徴とする。
本発明の吊下げ治具及び添加液移送方法によれば、血液製剤の製造工程において、添加液の添加後の手作業によるエア抜き作業を不要とすることにより、効率的に血液製剤を製造することができる。
血液バッグシステムの概略構成図である。 セグメントチューブの説明図である。 セグメントチューブを並列に並べた状態の説明図である。 本発明の実施形態に係る吊下げ治具の斜視図である。 図5Aは載置台の斜視図であり、図5Bは親バッグの載置状態の説明図である。 吊下げ治具における血液バッグシステムの吊下げ状態を説明する図である。 支持部及び親バッグを上方から見た図である。 図8Aは線状の基準マーカの形態を有するリファレンス部の説明図であり、図8Bは目盛部の形態を有するリファレンス部の説明図である。 図9Aは第1変形例に係る支持部の斜視図であり、図9Bは第1変形例に係る支持部における親バッグの載置状態の説明図である。 図10Aは第2変形例に係る支持部の斜視図であり、図10Bは第2変形例に係る支持部における親バッグの載置状態の説明図である。
本発明の実施形態に係る吊下げ治具70(図4)の構成を説明する前に、図1に示す血液バッグシステム10について説明する。この血液バッグシステム10は、複数の成分を含有する血液を比重の異なる複数の成分(例えば、軽比重成分及び重比重成分の2つの成分)に遠心分離し、各成分を異なるバッグに分けて収容、保存するためのものである。
より具体的には、血液バッグシステム10は、全血から白血球及び血小板を除去した後の血液(乏白血球乏血小板血液)を血漿及び濃厚赤血球の2つの成分に遠心分離し、血漿及び濃厚赤血球を異なるバッグに分けて収容、保存するように構成されている。図4に示す吊下げ治具70は、血液バッグシステム10の一部(後述する血液バッグシステム10a)を吊り下げるために使用される。
血液バッグシステム10は、ドナーから血液(全血)を採取する血液採取部12と、全血から所定の血液成分を除去する前処理部14と、所定成分が除去された残余の血液成分を遠心分離して複数の血液成分に分けるとともに各成分を異なるバッグに収容(貯留)する分離処理部16とを有する。
血液採取部12は、採血バッグ18と、採血チューブ20、22と、採血針24と、分岐コネクタ26と、初流血バッグ28とを有する。
採血バッグ18は、ドナーから採取した血液(全血)を収容(貯留)するための軟質のバッグである。採血バッグ18内には、予め抗凝固剤が入れられていることが好ましい。
一端が採血バッグ18に接続された採血チューブ20には、採血チューブ20の流路を閉塞及び開放するクランプ30が設けられている。採血チューブ20の他端には、封止部材32を介して分岐コネクタ26が接続されている。封止部材32は、初期状態では流路が閉塞しているが、破断操作を行うことで流路が開通するように構成されたものである。
分岐コネクタ26に一端が接続された採血チューブ22の他端には、採血針24が接続される。採血針24には、使用前まではキャップ24aが装着されている。採血針24の使用後は、採血チューブ22に沿ってニードルガード24bを移動させることで、採血針24がニードルガード24bに覆われる。
分岐コネクタ26に一端が接続された分岐チューブ34には、分岐チューブ34の流路を閉塞及び開放するクランプ36が設けられる。分岐チューブ34の他端には、初流血バッグ28が接続される。初流血バッグ28にはサンプリングポート38が接続される。なお、分岐コネクタ26の向きや配置は、図1の構成に限られず、適宜変更可能である。
前処理部14は、所定細胞を除去するフィルタ40と、一端が採血バッグ18に接続され他端がフィルタ40の入口に接続された入口側チューブ42と、一端がフィルタ40の出口に接続され他端が分離処理部16に接続された出口側チューブ44とを有する。
本実施形態では、フィルタ40は、白血球除去フィルタとして構成されている。このような白血球除去フィルタとしては、軟質樹脂シートから形成された袋状のハウジング内に、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な孔を有した通液性のある多孔質体を収容した構造のものを用いることができる。本実施形態では、フィルタ40は、血小板も補足できるように構成されている。
入口側チューブ42の、採血バッグ18側の端部には、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有する封止部材46が設けられている。出口側チューブ44には、出口側チューブ44の流路を閉塞及び開放するクランプ48が設けられている。
分離処理部16は、フィルタ40で所定細胞が除去された後の血液を収容(貯留)する親バッグ50(第1バッグ)と、親バッグ50内の血液を遠心分離して得られた上清成分を収容及び保存する子バッグ52(第3バッグ)と、添加液である赤血球保存液M(以下、単に「保存液M」という)を収容する薬液バッグ54(第2バッグ)と、親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54に接続された移送ライン55とを有する。
血液バッグは、全体として扁平形状に形成されているとともに、血液バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸a(長さ方向の軸)及び短軸b(幅方向の軸)を有する縦長形状に形成されている。親バッグ50の幅方向の縁部(辺部)は、長軸aに略平行であるとともに、長軸a方向に沿って延在するスリット69が設けられている。スリット69は、遠心処理後において後述する複数のセグメントチューブ44aを保持する保持部として機能する。なお、保持部としてのスリット69は親バッグ50の左右の縁部のうち一方にだけ設けられてもよい。
親バッグ50は、フィルタ40で所定細胞が除去された後の血液を収容(貯留)するためのバッグと、当該血液成分を遠心分離して得られた沈降成分(濃厚赤血球)を保存するためのバッグとを兼ねている。
親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54は、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。なお、採血バッグ18も、親バッグ50等と同様に構成されている。
親バッグ50、子バッグ52及び薬液バッグ54の各下部には、各バッグの上部を下側にした状態で吊下げ可能なようにスリット63〜65が設けられる。
移送ライン55は、親バッグ50に接続された第1チューブ56(第1バッグ側チューブ)と、子バッグ52に接続された第2チューブ58と、薬液バッグ54に接続された第3チューブ60(第2バッグ側チューブ)と、第1〜第3チューブ56、58、60に接続された分岐コネクタ62(分岐部)とを有する。
第1チューブ56の一端部(親バッグ50の口部50a)には、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有する封止部材66が設けられており、破断操作が行われるまで、親バッグ50内の血液成分が他のバッグに移行することを防止する。口部50aは、親バッグ50の幅方向の両端部から離間した位置に設けられている。
第1チューブ56の他端部は、分岐コネクタ62の第1ポート62aと接続している。分岐コネクタ62の第2ポート62bには、第2チューブ58の一端が接続されている。分岐コネクタ62の第3ポート62cには、第3チューブ60の一端が接続されている。
薬液バッグ54に収容される保存液Mとしては、例えば、MAP液、SAGM液、OPTISOL等が使用される。第3チューブ60の薬液バッグ54側の端部には、上述した封止部材32と同様の構成及び機能を有する封止部材68が設けられており、薬液バッグ54内の保存液Mが他のバッグに移行することを防止している。
血液バッグシステム10における各チューブは、透明で可撓性を有する樹脂製のチューブである。
図1に示す血液バッグシステム10を使用してドナーから血液(全血)を採取し、採取した血液から白血球及び血小板を除去し、残余の成分(乏白血球乏血小板血液)を血漿及び濃厚赤血球の2層に分離し、さらに、分離した成分ごとにバッグに分けて貯留する処理は、例えば、以下の手順によって行うことができる。
まず、採血針24をドナーの皮膚に穿刺して、ドナーから血液を採取する採血工程を行う。採血工程では、採血バッグ18への血液の採取に先行して、ドナーからの血液の初流(採血初流)を所定量だけ初流血バッグ28に収容する。この場合、封止部材32を閉塞状態(初期状態)としたまま、クランプ36を開放状態とする。こうすることで、採血チューブ20側、すなわち採血バッグ18側への採血初流の流入が阻止される一方、採血チューブ22、分岐コネクタ26及び分岐チューブ34を経由して採血初流を初流血バッグ28に導入することができる。
次に、サンプリングポート38に図示しない採血管を装着することにより、当該採血管に採血初流を採取する。採取した採血初流は、検査用血液として使用される。なお、用途によっては、分岐コネクタ26からサンプリングポート38までの部分は省略されてもよい。
採血初流を採取し終えたら、クランプ36により分岐チューブ34を閉塞し、封止部材32に対して破断操作を行って、採血チューブ20の流路を開通させる。このとき、クランプ30を開放状態としておくと、ドナーからの血液は、採血チューブ22と採血チューブ20とを順に経由して採血バッグ18に流入する。
所定量の血液を採血バッグ18に採取及び貯留したら、採血バッグ18内の血液が流出しないように、クランプ30により採血チューブ20を閉塞する。そして、チューブシーラー等によって採血チューブ20を溶着及び封止した後に採血チューブ20を封止した部分で切断する。
次に、採血バッグ18を相対的に上方位置とし、親バッグ50を相対的に下方位置とし、その中間位置にフィルタ40を配置してから、封止部材46に対して破断操作を行って、入口側チューブ42の流路を開通させる。これにより、採血バッグ18内の全血は、入口側チューブ42を介してフィルタ40に流入し、フィルタ40を通る過程で白血球及び血小板が除去される。白血球及び血小板が除去された血液は、出口側チューブ44を介して親バッグ50に流入する。このとき、親バッグ50には、白血球及び血小板を除去された後の血液だけでなく、フィルタ40内に存在していたエアも流入する。
その後、チューブシーラー等によって、出口側チューブ44をクランプ48より下流側の位置で溶着及び封止したうえで、出口側チューブ44を封止した部分で切断する。また、遠心処理後に品質確認を行うために、図2のように、親バッグ50に接続された出口側チューブ44において、その延在方向に間隔をおいた複数部分をチューブシーラー等により溶着及び封止することにより、複数(図示例では7個)のセグメントチューブ44aを形成する。
複数のセグメントチューブ44aは、互いに独立した内腔(液室)を有しており、各内腔内にはフィルタ40による濾過後の血液が封入された状態となっている。各セグメントチューブ44aは、同一長さであり、例えば、60〜80mmの長さに形成される。
次に、親バッグ50に採取した血液を血漿及び濃厚赤血球に分離し、それぞれ所定のバッグに貯留するために、分離処理部16及び出口側チューブ44(セグメントチューブ44aを構成する出口側チューブ44)を図示しない遠心分離移送装置の遠心ロータに装着する。以下、説明の便宜上、血液バッグシステム10のうち遠心処理の対象となる部分、すなわち親バッグ50を含む分離処理部16及び複数のセグメントチューブ44aが形成された出口側チューブ44を「血液バッグシステム10a」という。
遠心ロータへの血液バッグシステム10aの装着の際、図3のように、出口側チューブ44を封止部分44bで折り曲げて、複数のセグメントチューブ44aを並列状態に束ねる。そしてこの状態の複数のセグメントチューブ44aを、親バッグ50を含む分離処理部16とともに遠心ロータに装着(収納)する。またこのとき、各セグメントチューブ44aの長手方向が遠心処理時の遠心力方向と平行又は傾斜するように、複数のセグメントチューブ44aを配置する。遠心処理によって各セグメントチューブ44a内の血液を血漿と赤血球とにきれいに分離させるためである。
なお、セグメントチューブ44a内で血漿と赤血球とがきれいに分離した状態とは、セグメントチューブ44aの長さ方向に沿って血漿と赤血球とが直列に並ぶことによって、赤血球と血漿との境界である分離面がきれいに形成されている状態のことをいう。
遠心分離移送装置の自動動作では、まず、血液バッグシステム10が装着された遠心ロータを回転させることにより、親バッグ50に貯留された血液を血漿と濃厚赤血球とに分ける遠心工程を行う。遠心工程では、血液バッグ内の血液及び各セグメントチューブ44a内の血液は遠心力を受ける。これにより血液は、比重の差によって、軽比重成分の血漿と重比重成分の赤血球(濃厚赤血球)とに遠心分離される。具体的には、遠心ロータの回転軸線を中心とする半径外方向に重比重成分の濃厚赤血球が移り、半径内方向に軽比重成分の血漿が移り、2つの層に分離する。
遠心分離移送装置は、遠心工程の後にエア移送工程を実施する。エア移送工程では、親バッグ50が押圧されることで親バッグ50内からエアが吐出され、第1チューブ56、分岐コネクタ62、第3チューブ60を介して、エアが薬液バッグ54に流入する。
遠心分離移送装置は、エア移送工程の後に血漿の分離移送工程を実施する。分離移送工程では、親バッグ50が押圧されることで親バッグ50から血漿が流出する。親バッグ50から流出した血漿は、第1チューブ56、分岐コネクタ62及び第2チューブ58を介して子バッグ52に流入する。分離移送工程により、血漿が親バッグ50から子バッグ52へと移行し、親バッグ50には赤血球が残る。
分離移送工程が終了したら、血液バッグシステム10aを遠心分離移送装置から取り出す。ここで、チューブシーラー等により第2チューブ58を溶着及び封止した後に切断することによって子バッグ52を切り離してもよいし、あるいは、後述する添加工程の後に子バッグ52を切り離してもよい。
次に、保存液Mを親バッグ50内の赤血球(濃厚赤血球)に添加する添加工程を実施する。添加工程では、薬液バッグ54を相対的に上方に位置させ、親バッグ50を相対的に下方に位置させることにより、保存液Mを移送ライン55を介して落差で薬液バッグ54から親バッグ50へと移送する。
添加工程は、例えば、図4に示す吊下げ治具70を用いて実施することができる。この吊下げ治具70は、フレーム72と、フレーム72の上部に設けられた吊下げ部74と、吊下げ部74の下方に設けられた載置台75とを備える。
フレーム72は、吊下げ治具70の本体を構成する部分である。フレーム72の下部には水平方向に突出する複数(図示例では4つ)の脚部76が設けられており、各脚部76には回転自在なキャスター78が設けられている。
吊下げ部74は、添加液が重力で移送ライン55を流下する姿勢にして薬液バッグ54を吊り下げ可能に構成されている。具体的には、吊下げ部74は、薬液バッグ54の口部が下方を向く状態で(すなわち、逆さにして)薬液バッグ54を吊下げ可能に構成されている。
図示例の吊下げ部74は、水平方向に突出した棒形状のフック部材80の形態を有しており、フック部材80の先端部(自由端部)は薬液バッグが引っ掛かった状態を維持しやすいように上向きに僅かに湾曲している。なお、フック部材80の先端部は、L字状あるいはC字状に湾曲していてもよい。
フック部材80は、水平方向に間隔をおいて複数配置されている。図示例ではフック部材80の配置高さはすべて同じであるが、例えば、互いに隣接するフック部材80の高さが異なるように配置されてもよい。フック部材80は、フレーム72の上部に固定された支持プレート82から突出している。フック部材80は、その先端(自由端)がフレーム72の支柱73の前面から突出しない長さに設定されているとよい(図6参照)。これにより、意図しない物がフック部材80に接触したり引っ掛かったりすることを抑制できる。
なお、薬液バッグ54を逆さに吊り下げる吊下げ部74としては、上述したフック部材80に代えて、例えば、バネの弾性力によって挟持力を発揮する一対の把持部を有するクリップが採用されてもよい。このようなクリップで薬液バッグ54の下部を挟んで保持することにより、薬液バッグ54を逆さに吊り下げることができる。また、薬液バッグ54を逆さにし、あるいは傾斜させて、載置あるいは収容する等して、第3チューブ60が薬液バッグ54の下方から延出するようにした台や容器を吊下げ部74としてもよい。
載置台75は、親バッグ50を載置するための部分であり、吊下げ部74によって吊り下げられる薬液バッグ54よりも低い位置で親バッグ50を支持する支持部84を有する。本実施形態の場合、載置台75は、複数の親バッグ50を載置できるように、支持部84を複数有する。これらの支持部84は、水平方向に並んで配置されている。このように、この吊下げ治具70は、吊下げ部74及び支持部84を複数ずつ有するので、複数の血液バッグシステム10aを吊り下げることができる。なお、図4では、簡略のため、血液バッグシステム10aを1つだけ吊り下げた状態を示している。
支持部84は、長軸aの高さが親バッグ50の口部50a側に向かうに従って低くなるように親バッグ50を水平面に対して斜めに支持可能である(図6参照)。また、支持部84は、長軸aに直交する水平線cに対して短軸bが交差するように親バッグ50を立てた状態で支持可能である(図5B参照)。
本実施形態の場合、載置台75は、親バッグが載置される載置面87が形成された傾斜板86と、載置面87から上方に突出するとともに水平方向に互いに間隔をおいて配置された複数の壁部88を有する。載置面87と、互いに隣接する壁部88の互いに対向する面によって、支持部84が構成されている。すなわち、傾斜板86の上面(載置面87)が複数の壁部88によって区画されることで、水平方向に並ぶ複数の支持部84が形成されている。支持部84は、水平に対して垂直であり且つ互いに平行に対向する支持面91を有する。
傾斜板86の上面を形成する斜めの載置面87に、口部50aを下側にして親バッグ50を載置することにより、長軸aの高さが親バッグ50の口部50a側に向かうに従って低くなるように親バッグ50を水平面に対して斜めに支持することができる。水平面に対する載置面87の角度θは、例えば、5〜45°に設定され、より好ましくは、15〜30°に設定される。
図5Bのように、支持部84は、載置面87に垂直な壁部88を有することにより、親バッグ50の短軸bが水平線cに対して略垂直になるように親バッグ50を支持することができる。
また、本実施形態の場合、支持部84は、親バッグ50と子バッグ52とをバッグ厚さ方向に重ねつつ立てた状態で、両バッグを一緒に支持できるように構成されている。このように1つの支持部84において親バッグ50と子バッグ52を立てた状態で支持する場合、互いに隣接する壁部88の離間距離Lは、例えば、50〜90mmに設定され、より好ましくは70〜80mmに設定される。なお、1つの支持部84において親バッグ50のみを立てた状態で支持する場合、互いに隣接する壁部88の離間距離Lは、例えば、30〜60mmに設定され、より好ましくは40〜50mmに設定される。
載置台75は、支柱73に対する高さを調整可能に構成されてもよい。
図5Aに示すように、載置台75は、さらに、遠心処理後のセグメントチューブ44a内の血球層(赤血球層)の長さが所定長さ以上であるか否かを判定するためのリファレンス部90を有する。リファレンス部90は、壁部88の少なくとも上部に設けられている。図示例のリファレンス部90は、壁部88の長さ方向に沿って所定長さ(例えば、15mm)をもつ基準マーカ90Aの形態を有しており、壁部88の上部における上面と側面とに設けられている。さらに、リファレンス部90は、壁部88の上部に間隔をおいて2つ設けられている。
上記のように構成された吊下げ治具70を用いて添加工程を行う場合、血液バッグシステム10aを図6のように吊下げ治具70にセットする。具体的には、傾斜した載置面87に口部50aを下側にして親バッグ50を載せることにより、親バッグ50内の液面Lv1が相対的に高く、口部50aが相対的に低くなるように親バッグ50を水平に対して斜めに支持する。すなわち、親バッグ50の上部が斜め下方を向くように親バッグ50を支持部84に置く。この際、図5A〜図6に示すように、壁部88に親バッグ50を立て掛けることで、親バッグ50を立てた状態にする。
また、図6のように、親バッグ50を支持部84に置く際、親バッグ50に設けられたスリット69(支持部84に置かれた状態で上側にあるスリット69)に複数のセグメントチューブ44aを保持させる。そして、採取した血液の品質確認のため、各セグメントチューブ44a内の赤血球層の長さが所定長さ以上あるか否かを目視判定する。
この場合、載置台75(具体的には、壁部88の上部)にはリファレンス部90が設けられているので、図7のように、上方から各セグメントチューブ44a内の赤血球層を見つつリファレンス部90を参照することにより、赤血球層の長さが所定長さ以上あるか否かを判定することができる。具体的には、リファレンス部90が帯状の基準マーカ90Aの形態を有する場合、赤血球層の長さが基準マーカ90Aよりも長いか否かにより上記判定を行うことができる。なお、基準マーカ90Aは壁部88の上面だけでなく側面にも設けられているため(図5A参照)、斜め上方から見ても赤血球層と基準マーカ90Aとの対比が容易であり、上記判定を支障なく行うことができる。
複数のセグメントチューブ44aは、例えば、図7のように、直列状に並ぶ2本のセグメントチューブ44aで1つの列(以下、「セグメント列」という)が構成され、複数のセグメント列が親バッグ50のスリット69に保持される。複数のセグメントチューブ44aは、上記各セグメント列の中央側に赤血球が存在するように親バッグ50に保持される。
本実施形態では、複数のセグメントチューブ44aがこのような状態で保持されることを想定し、効率的に判定を行うことができるように基準マーカ90Aの配置が工夫されている。すなわち、基準マーカ90Aは、親バッグ50に保持される複数のセグメントチューブ44aにおける赤血球の位置に対応するように、壁部88の長さ方向に離間した2箇所に配置されている。これにより、各セグメント列を構成する2本分のセグメントチューブ44aに対して同時に判定を行うことができる。
次に、図6のように、フック部材80にスリット65の箇所で薬液バッグ54を引っ掛けることにより、薬液バッグ54の口部が下方を向くように薬液バッグ54を吊り下げる。この結果、親バッグ50内の液面Lv1が分岐コネクタ62よりも低い位置となる。
このように、保存液Mが収容された薬液バッグ54が逆さ状態で相対的に高い位置に配置され、濃厚赤血球が収容された親バッグ50が相対的に低い位置に配置されると、薬液バッグ54内の保存液Mは、薬液バッグ54と親バッグ50の落差によって自重で下方へと移動を始める。この場合、薬液バッグ54内の上部、すなわち保存液Mの上方にエアが存在する。
このため、薬液バッグ54からの保存液Mの流出が終わると、次に、薬液バッグ54内に存在していたエアが第3チューブ60へと流出し始めるが、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55内を親バッグ50内の液面Lv1(あるいはその付近)まで移動したところで停止する。よって、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することはない。
なお、添加工程の開始前の時点で、第3チューブ60内にはエアが存在しており、当該エアは添加工程の初期に親バッグ50内に流入する。しかし、第3チューブ60内のエア量は薬液バッグ54内のエア量と比べてかなり少量であるため、添加工程時に親バッグ50内に流入するエア量も少量である。従って、添加工程の終了時において、エア抜き作業が必要な程度の量のエアは親バッグ50内に存在しない。
また、添加工程では、短軸bが長軸aに直交する水平線cに対して交差するように親バッグ50を立てた状態で保存液Mを移送することで、保存液Mの流路の閉塞は起きない。すなわち、本実施形態と異なり、親バッグ50の上部を斜め下方に向け且つ親バッグ50を寝かせた状態(親バッグ50の短軸bを水平線cと平行にした状態)で保存液Mを移送した場合、親バッグ50の膨らみによって、親バッグ50の口部50a周辺において流路の閉塞が起きる可能性がある。これに対し、本実施形態のように、親バッグ50を立てた状態にすると、親バッグ50の膨らみの影響をなくし、保存液Mの流路の閉塞を防止することができる。よって、薬液バッグ54から親バッグ50への保存液Mの移送を支障なく遂行することができる。
保存液M及びエアの移動が停止したら、次に、親バッグ50側に向かって移送ライン55をしごくことによって、移送ライン55の流路内に残った保存液Mを親バッグ50に移動させる作業(しごき作業)を実施する。
以上の処理を行うことにより、全血から白血球及び血小板を除去し、残余の血液成分を血漿及び濃厚赤血球の2つの成分に分離し、血漿及び濃厚赤血球を異なるバッグ(親バッグ50と子バッグ52)に分けて収容、保存することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る吊下げ治具70によれば、親バッグ50内の濃厚赤血球に保存液Mを添加するために、親バッグ50と薬液バッグ54の高低差を利用して薬液バッグ54から親バッグ50へ保存液Mを移送する際、薬液バッグ54からのエアは、移送ライン55の途中で停止する。これにより、薬液バッグ54からのエアが親バッグ50に混入することを防止することができる。従って、濃厚赤血球への保存液Mの添加後において、親バッグ50内にはエア抜き作業が必要な程度の量のエアは存在しない。よって、保存液Mの添加後のエア抜き作業をなくすことができる。
また、支持部84に支持される親バッグ50の姿勢は、その短軸bが長軸aに直交する水平線cに平行ではなく、短軸bが当該水平線cに対して交差する(傾斜又は直交する)。口部50aは、親バッグ50の幅方向の両端部から離間した位置に設けられているので、親バッグ50の口部50a周辺が載置面87から浮く状態となる。これにより、親バッグ50の膨らみによる保存液Mの流路の閉塞を防止することができる。
本実施形態の場合、載置台75は、水平方向に並んで配置された複数の支持部84を有するので、複数の血液バッグシステム10aに対して並行して保存液Mの移送を実施することができる。また、これらの支持部84は親バッグ50を立てた状態で支持するので、支持部84ひとつひとつの大きさを小さくできる。これにより、複数の血液バッグシステム10aを吊下げ可能な吊下げ治具70の水平方向寸法を抑制し、吊下げ治具70の設置スペースを低減できる。
本実施形態の場合、載置台75がリファレンス部90を有するので、保存液Mを親バッグ50に移送する処理(添加液移送工程)を行うために親バッグ50を吊下げ治具70の載置台75に置く際に、親バッグ50の保持部にセグメントチューブ44aを保持させることと、セグメントチューブ44a内の血液の目視判定による品質確認とを同時並行的に実施することができる。リファレンス部90が設けられていない場合、親バッグ50のスリット69にセグメントチューブ44aを保持しても、目視判定をすることなくそのまま放置され、放置されている間にセグメントチューブ44a内の血漿と赤血球とが混ざり合い分離面が消失する可能性がある。これに対し、親バッグ50を載置する載置台75にリファレンス部90を設けておくことで、親バッグ50内の赤血球に保存液Mを添加する工程を行う作業者に対して目視判定を促すことができるため、セグメントチューブ44a内の分離面が消失する前に、目視判定による品質確認を確実に実施することができる。
特に、リファレンス部90は、壁部88の少なくとも上部に設けられているので、目視判定による品質確認の実施を可能としつつ、吊下げ治具70の設置スペースを低減できる。
また、壁部88の長さ方向(支持部84によって支持される親バッグ50の長軸aの方向)に沿って間隔をおいて、2つのリファレンス部90(基準マーカ90A)が設けられているので、セグメント列を構成する2つのセグメントチューブ44aに対して同時に判定を行うことができる。よって、目視判定による品質確認を効率的に行うことができる。
なお、図8Aのように、リファレンス部90は、互いにずれて配置された複数の棒状(線状)の基準マーカ90Bの形態を有してもよい。この構成により、支持部84に載置される親バッグ50の位置がずれても、セグメントチューブ44aの赤血球の位置をいずれかの基準マーカ90Bに容易に合わせて判定を行うことができる。
あるいは、図8Bのように、リファレンス部90は、複数の目盛線を有する目盛部90Cの形態を有してもよい。この場合、目盛部90Cを参照して測った赤血球層の長さが所定長さ以上であるか否かにより上記判定を行うことができる。
上述した吊下げ治具70において、垂直な壁部88を有する支持部84に代えて、図9A及び図9Bに示すように、V字状の支持部94が採用されてもよい。具体的に、支持部94は、下方に向かって互いの間隔が狭くなる傾斜面95を有する。図示例では、上方に突出する二等辺三角形状の構造部が水平方向に連続して複数並ぶことによって、水平方向に並ぶ複数のV字状の支持部94が構成されている。
支持部94は、親バッグ50の幅方向の一端縁を相対的に下方に位置させるとともにV字状の谷部に配置し、幅方向の他端縁を相対的に上方に位置させることにより、親バッグ50を立てた状態(短軸bが長軸aに直交する水平線cに対して略直交する状態)で支持することができる。なお、親バッグ50は、傾斜面95に沿って載置されてもよく、この場合、親バッグ50の短軸bは、長軸aに直交する水平線cに対して傾斜する状態となる。
このように構成された支持部94によっても、支持される親バッグ50の姿勢は、その短軸bが長軸aに直交する水平線cに平行ではなく、短軸bが当該水平線cに対して交差する(傾斜又は直交する)ので、親バッグ50の口部周辺が載置面から浮く状態となる。これにより、親バッグ50の膨らみによる保存液Mの流路の閉塞を防止することができる。
図9Aにおいて、傾斜面95には、帯状の基準マーカ98Aの形態を有するリファレンス部98が設けられている。なお、傾斜面95に設けられるリファレンス部98は、図8Aと同様の棒状(線状)の基準マーカの形態を有してもよく、あるいは、図8Bと同様の目盛部の形態を有してもよい。
このように、支持部94の傾斜面95にリファレンス部98が設けられているので、上方から支持部94を見たときに、リファレンス部98を視認しやすい。よって、セグメントチューブ44a内の血液に対して目視判定による品質確認を一層容易に行うことができる。
あるいは、上述した吊下げ治具70において、垂直な壁部88を有する支持部84に代えて、図10A及び図10Bに示すように、台形状の支持部100が採用されてもよい。具体的に、支持部100を構成する一方の側壁は傾斜面102となっている。図示例では、上方に突出する直角三角形状の構造部104が水平方向に間隔をおいて並ぶことによって、水平方向に並ぶ複数の台形状の支持部100が構成されている。
支持部100は、親バッグ50の幅方向の一端縁(側縁シール部)を相対的に下方に位置させて台形状の短辺部分に載せ、幅方向の他端縁を相対的に上方に位置させることにより、親バッグ50を立てた状態(この場合、長軸aに直交する水平線cに対して短軸bが斜めに交差する状態)で支持することができる。なお、添加工程を行う際、子バッグ52が切り離されていない場合には、支持部100において親バッグ50の隣に子バッグ52を一緒に載置してもよい。
このように構成された支持部100によっても、支持される親バッグ50の姿勢は、長軸aに直交する水平線cに対して短軸bが平行ではなく、当該水平線cに対して短軸bが斜めに交差するので、親バッグ50の口部50a周辺が載置面から浮く状態となる。これにより、親バッグ50の膨らみによる保存液Mの流路の閉塞を防止することができる。
図10Aにおいて、傾斜面102には、基準マーカ106Aの形態を有するリファレンス部106が設けられている。なお、傾斜面102に設けられるリファレンス部106は、図8Aと同様の棒状(線状)の基準マーカの形態を有してもよく、あるいは、図8Bと同様の目盛部の形態を有してもよい。
このように、支持部100の傾斜面102にリファレンス部106が設けられているので、上方から支持部100を見たときに、リファレンス部106を視認しやすい。よって、セグメントチューブ44a内の血液に対して目視判定による品質確認を一層容易に行うことができる。
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10、10a…血液バッグシステム 50…親バッグ
54…薬液バッグ 70…吊下げ治具
74…吊下げ部 75…載置台
84、94、100…支持部 90、98、106…リファレンス部

Claims (8)

  1. 血液成分が収容された第1バッグと、添加液が収容された第2バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとの間の流路を形成する移送ラインとを有する血液バッグシステムを吊り下げるための吊下げ治具であって、
    前記添加液が重力で前記移送ラインを流下する姿勢にして前記第2バッグを吊り下げる吊下げ部と、
    前記吊下げ部によって吊り下げられる前記第2バッグよりも低い位置で前記第1バッグを支持する支持部を有する載置台と、を備え、
    前記第1バッグは、前記第1バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸及び短軸を有する形状に形成されており、前記第1バッグの前記長軸の方向の一端部に前記移送ラインと接続する口部を有し、
    前記支持部は、前記長軸の高さが前記第1バッグの前記口部側に向かうに従って低くなるように前記第1バッグを水平面に対して斜めに支持するとともに、前記短軸が前記長軸に直交する水平線に対して交差し、前記短軸に沿ったバッグ幅方向の一方側の辺縁部を上方に向け、前記バッグ幅方向の他方側の辺縁部を下方に向けるように前記第1バッグを立てた状態で支持する、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  2. 請求項1記載の吊下げ治具において、
    前記吊下げ治具は、複数の前記血液バッグシステムを吊り下げるよう構成されており、
    前記載置台は、水平方向に並んで配置された複数の前記支持部を有する、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  3. 請求項1又は2記載の吊下げ治具において、
    前記支持部は、水平に対して垂直であり且つ互いに平行に対向する支持面を有する、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  4. 血液成分が収容された第1バッグと、添加液が収容された第2バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとの間の流路を形成する移送ラインとを有する血液バッグシステムを吊り下げるための吊下げ治具であって、
    前記添加液が重力で前記移送ラインを流下する姿勢にして前記第2バッグを吊り下げる吊下げ部と、
    前記吊下げ部によって吊り下げられる前記第2バッグよりも低い位置で前記第1バッグを支持する支持部を有する載置台と、を備え、
    前記第1バッグは、前記第1バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸及び短軸を有する形状に形成されており、前記第1バッグの前記長軸の方向の一端部に前記移送ラインと接続する口部を有し、
    前記支持部は、前記長軸の高さが前記第1バッグの前記口部側に向かうに従って低くなるように前記第1バッグを水平面に対して斜めに支持するとともに、前記短軸が前記長軸に直交する水平線に対して交差するように前記第1バッグを立てた状態で支持し、
    前記血液バッグシステムは、前記第1バッグに接続されたチューブを含み、前記チューブはその延在方向に間隔をおいた複数部分で封止されることにより互いに独立した内腔を有する複数のセグメントチューブが形成されるようになっており、前記第1バッグは、前記複数のセグメントチューブを保持可能な保持部を有し、
    前記載置台は、遠心処理後の前記セグメントチューブ内の血球層の長さが所定長さ以上であるか否かを判定するためのリファレンス部を有する、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  5. 請求項4記載の吊下げ治具において、
    前記載置台は、前記第1バッグが載置される載置面と、前記載置面から上方に突出するとともに水平方向に互いに間隔をおいて配置された複数の壁部を有し、
    前記載置面と、隣接する前記壁部の互いに対向する面によって、前記支持部が構成され、
    前記リファレンス部は、前記壁部の少なくとも上部に設けられている、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  6. 請求項4記載の吊下げ治具において、
    前記支持部は、前記第1バッグの少なくとも一方面に対向し又は少なくとも前記一方面に接触する傾斜面を有し、
    前記リファレンス部は、前記傾斜面に設けられている、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の吊下げ治具において、
    前記支持部によって支持される前記第1バッグの前記長軸の方向に沿って間隔をおいて、前記リファレンス部が複数設けられている、
    ことを特徴とする吊下げ治具。
  8. 血液成分が収容された第1バッグと、添加液が収容された第2バッグと、前記第1バッグと前記第2バッグとの間の流路を形成する移送ラインとを有する血液バッグシステムを対象とし、前記添加液を前記第2バッグから前記第1バッグへ移送する添加液移送方法であって、
    前記第1バッグと前記第2バッグの高低差を利用して前記第2バッグから前記第1バッグへ前記添加液を移送する際に、前記第1バッグを支持する支持ステップと、
    前記添加液が重力で前記移送ラインを流下する姿勢にして前記第2バッグを吊り下げる吊下げステップと、を含み、
    前記第1バッグは、前記第1バッグの厚さ方向に垂直であって互いに直交する長軸及び短軸を有する形状に形成されており、前記第1バッグの前記長軸の方向の一端部に前記移送ラインと接続する口部を有し、
    前記支持ステップでは、前記長軸の高さが前記第1バッグの前記口部側に向かうに従って低くなるように前記第1バッグを水平面に対して斜めに支持するとともに、前記短軸が前記長軸に直交する水平線に対して交差し、前記短軸に沿ったバッグ幅方向の一方側の辺縁部を上方に向け、前記バッグ幅方向の他方側の辺縁部を下方に向けるように前記第1バッグを立てた状態で支持する、
    ことを特徴とする添加液移送方法。
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