JP3301835B2 - 白血球除去フィルター及び白血球除去システム - Google Patents
白血球除去フィルター及び白血球除去システムInfo
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- JP3301835B2 JP3301835B2 JP27474793A JP27474793A JP3301835B2 JP 3301835 B2 JP3301835 B2 JP 3301835B2 JP 27474793 A JP27474793 A JP 27474793A JP 27474793 A JP27474793 A JP 27474793A JP 3301835 B2 JP3301835 B2 JP 3301835B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血液に代表される白血
球浮遊液から白血球を除去するための白血球除去フィル
ター及び白血球除去システムに関する。
球浮遊液から白血球を除去するための白血球除去フィル
ター及び白血球除去システムに関する。
【0002】
【従来の技術】輸血用血液中の白血球が原因となって誘
発される各種の輸血後副作用が知られている。これらの
副作用を防止するために、輸血用血液から白血球を除去
することが広く行われているが、健康人から全血を採血
した血液を用いて輸血用血液製剤を調整し、これを保存
して患者へ輸血する直前に白血球除去を行うよりも、保
存前に無菌的に白血球除去を行う方が、輸血される血液
製剤の品質が良くなることが知られている。こうした血
液の保存前白血球除去を可能とする白血球除去フィルタ
ーと血液バッグ類を組み込んだ各種の白血球除去システ
ムと方法が考案されている。
発される各種の輸血後副作用が知られている。これらの
副作用を防止するために、輸血用血液から白血球を除去
することが広く行われているが、健康人から全血を採血
した血液を用いて輸血用血液製剤を調整し、これを保存
して患者へ輸血する直前に白血球除去を行うよりも、保
存前に無菌的に白血球除去を行う方が、輸血される血液
製剤の品質が良くなることが知られている。こうした血
液の保存前白血球除去を可能とする白血球除去フィルタ
ーと血液バッグ類を組み込んだ各種の白血球除去システ
ムと方法が考案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】血液の入口と血液の出
口を有する容器内に白血球除去材を充填した従来の白血
球除去フィルターでは、一般に血液の入口と血液の出口
が容器両端に位置している。血液の保存前白血球除去を
可能とする白血球除去システム(以下システムという)
では、一般に、採血用血液バッグ(以下採血バッグとい
う)に少なくとも2つのバッグ(以下バッグという)を
接続し、採血バッグと一方のバッグとの間に白血球除去
フィルターを組み込んでいる(USP4596657、
USP5089146、WO91/04088、DE4
022700A1等)。これらのシステムではいずれ
も、全血の入った採血バッグ及び少なくとも2つのバッ
グと供に白血球除去フィルターを遠心分離機の遠心カッ
プへ収容して全血を遠心分離する。しかしこれら従来の
システムでは、全血の入った採血バッグ及びこれに接続
された少なくとも2つのバッグとともに遠心分離機の遠
心カップ内へ収容する時に、白血球除去フィルターの両
端に血液バッグとの間を接続するチューブが接続されて
いるために、収容操作が大変煩雑であった。更に、白血
球除去フィルターを血液バッグ類の上に載せて遠心カッ
プへ収容した場合は、遠心カップ内での白血球除去フィ
ルターの収まりが悪く、操作中に白血球除去フィルター
が遠心カップ外へ飛び出てしまうこともあった。これを
防ぐために、白血球除去フィルターを血液バッグ類の上
に載せた後に、システム全体の上面を覆うように粘着テ
ープを用いて白血球除去フィルターを遠心カップに固定
することが推奨されているが、これもまた大変煩雑な操
作であった。一方、白血球除去フィルターを血液バッグ
類の上に載せるのではなくて、遠心カップの底または中
央付近に収容しようとすると、システム全体をコンパク
トに収容すること自体がた大変に困難であり、また、無
理に収容して遠心分離を行なうと、白血球除去フィルタ
ーの破損及び血液バッグ類の破れなどの損傷が高い頻度
で発生した。また白血球除去フィルターを血液バッグ類
の間にはさんで遠心カップに収容した場合は装置の遠心
カップ外への飛び出しは防げるようになったが、遠心分
離時の装置及び血液バッグ類の損傷が多く発生した。米
国特許第5100564号には、こうした損傷を防ぐた
めに、遠心カップの上端の外周部で白血球除去フィルタ
ーにかかる遠心力を支える治具を開示している。しかし
ながら、こうした治具を使用すること自体が煩雑であ
り、普及するにはいたっていない。また、USP509
2996には、白血球除去フィルターの周囲に、白血球
除去フィルターにかかる遠心力を遠心カップの上端で支
えるようにしたツバを設けることを開示している。しか
しながら、白血球除去フィルターの形状が複雑で扱い難
く、また、フィルターの遠心カップ外への飛び出しを確
実に防ぐには、やはり粘着テープを用いた固定などが必
要であった。一方、白血球除去フィルターに血液を流す
操作においては、白血球除去フィルター内の空気抜きを
確実に行う必要がある。これは白血球除去材全体に均一
に血液が流れるようにし、有効濾過面積の減少による白
血球除去能の低下や血液の流速の低下を起こさないよう
にするためである。従来の白血球除去フィルターにおい
ては、血液の入口と血液の出口が、各々容器の上端と下
端に位置している(USP4701267、USP49
36998等)。こうした装置での空気抜き操作は、血
液を流し始める時に容器を反転させるか、または白血球
除去フィルターの上流に接続されている血液入りバッグ
を強く握って血液の流速を大きくすることにより行われ
ている。しかし多忙な使用現場ではこうした容器の反転
操作は煩雑で望ましくない。また、一時的にせよ血液の
流速を強制的に大きくする場合は、溶血や白血球除去能
の低下の恐れがある。本発明の目的は、上記したような
血液バッグ類とともに、遠心カップへ収容する時に収容
操作が煩雑でなく、又遠心分離時のフィルター及び血液
バッグ類の損傷が起こりにくい白血球除去フィルターを
提供すること、及び、上記したような空気抜きのための
反転操作又は血液バッグを手で強く握る操作等が不要で
あり、かつ単純な構造で製造に手間がかからず破損もし
にくい白血球除去フィルターを提供すること、更にこう
した白血球除去フィルターを組み込んだ無菌的に白血球
を除去するための白血球除去システムを提供することに
ある。発明者等は、上記したような問題点を解決するた
めに鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。
口を有する容器内に白血球除去材を充填した従来の白血
球除去フィルターでは、一般に血液の入口と血液の出口
が容器両端に位置している。血液の保存前白血球除去を
可能とする白血球除去システム(以下システムという)
では、一般に、採血用血液バッグ(以下採血バッグとい
う)に少なくとも2つのバッグ(以下バッグという)を
接続し、採血バッグと一方のバッグとの間に白血球除去
フィルターを組み込んでいる(USP4596657、
USP5089146、WO91/04088、DE4
022700A1等)。これらのシステムではいずれ
も、全血の入った採血バッグ及び少なくとも2つのバッ
グと供に白血球除去フィルターを遠心分離機の遠心カッ
プへ収容して全血を遠心分離する。しかしこれら従来の
システムでは、全血の入った採血バッグ及びこれに接続
された少なくとも2つのバッグとともに遠心分離機の遠
心カップ内へ収容する時に、白血球除去フィルターの両
端に血液バッグとの間を接続するチューブが接続されて
いるために、収容操作が大変煩雑であった。更に、白血
球除去フィルターを血液バッグ類の上に載せて遠心カッ
プへ収容した場合は、遠心カップ内での白血球除去フィ
ルターの収まりが悪く、操作中に白血球除去フィルター
が遠心カップ外へ飛び出てしまうこともあった。これを
防ぐために、白血球除去フィルターを血液バッグ類の上
に載せた後に、システム全体の上面を覆うように粘着テ
ープを用いて白血球除去フィルターを遠心カップに固定
することが推奨されているが、これもまた大変煩雑な操
作であった。一方、白血球除去フィルターを血液バッグ
類の上に載せるのではなくて、遠心カップの底または中
央付近に収容しようとすると、システム全体をコンパク
トに収容すること自体がた大変に困難であり、また、無
理に収容して遠心分離を行なうと、白血球除去フィルタ
ーの破損及び血液バッグ類の破れなどの損傷が高い頻度
で発生した。また白血球除去フィルターを血液バッグ類
の間にはさんで遠心カップに収容した場合は装置の遠心
カップ外への飛び出しは防げるようになったが、遠心分
離時の装置及び血液バッグ類の損傷が多く発生した。米
国特許第5100564号には、こうした損傷を防ぐた
めに、遠心カップの上端の外周部で白血球除去フィルタ
ーにかかる遠心力を支える治具を開示している。しかし
ながら、こうした治具を使用すること自体が煩雑であ
り、普及するにはいたっていない。また、USP509
2996には、白血球除去フィルターの周囲に、白血球
除去フィルターにかかる遠心力を遠心カップの上端で支
えるようにしたツバを設けることを開示している。しか
しながら、白血球除去フィルターの形状が複雑で扱い難
く、また、フィルターの遠心カップ外への飛び出しを確
実に防ぐには、やはり粘着テープを用いた固定などが必
要であった。一方、白血球除去フィルターに血液を流す
操作においては、白血球除去フィルター内の空気抜きを
確実に行う必要がある。これは白血球除去材全体に均一
に血液が流れるようにし、有効濾過面積の減少による白
血球除去能の低下や血液の流速の低下を起こさないよう
にするためである。従来の白血球除去フィルターにおい
ては、血液の入口と血液の出口が、各々容器の上端と下
端に位置している(USP4701267、USP49
36998等)。こうした装置での空気抜き操作は、血
液を流し始める時に容器を反転させるか、または白血球
除去フィルターの上流に接続されている血液入りバッグ
を強く握って血液の流速を大きくすることにより行われ
ている。しかし多忙な使用現場ではこうした容器の反転
操作は煩雑で望ましくない。また、一時的にせよ血液の
流速を強制的に大きくする場合は、溶血や白血球除去能
の低下の恐れがある。本発明の目的は、上記したような
血液バッグ類とともに、遠心カップへ収容する時に収容
操作が煩雑でなく、又遠心分離時のフィルター及び血液
バッグ類の損傷が起こりにくい白血球除去フィルターを
提供すること、及び、上記したような空気抜きのための
反転操作又は血液バッグを手で強く握る操作等が不要で
あり、かつ単純な構造で製造に手間がかからず破損もし
にくい白血球除去フィルターを提供すること、更にこう
した白血球除去フィルターを組み込んだ無菌的に白血球
を除去するための白血球除去システムを提供することに
ある。発明者等は、上記したような問題点を解決するた
めに鋭意検討した結果、本発明を完成するに到った。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の白血球除去フィ
ルターは、血液の入口と血液の出口を有する偏平な容器
と、該容器内の空間を血液の入口側の空間と血液の出口
側の空間とに隔てるシート状の白血球除去材よりなり、
該血液の入口と血液の出口がともに、該容器の実質的な
上端に位置していることを特徴とする。図1は本発明の
白血球除去フィルターの断面図である。白血球除去フィ
ルター1は、血液の入口2と血液の出口3を有する偏平
な容器4と、容器4内の空間を血液の入口側の空間7と
血液の出口側の空間7′とに隔てるシート状の白血球除
去材5よりなり、血液の入口2と血液の出口3が共に容
器4の実質的な上端に位置している。容器4の内面にあ
る突起6及び6′は、容器4内の白血球除去材5を支持
しており、白血球除去材5及び偏平な空間7、7′が一
定な厚みとなるようにしている。血液の入口と血液の出
口が共に、偏平な容器の実質的な上端に位置しているこ
と、というのは、偏平な容器を垂直に立てた時に、血液
の入口と血液の出口が共に容器の実質的な鉛直上方の端
に位置していることを言う。実質的な鉛直上方の端と
は、ノズルの突起等を除く白血球除去材を内蔵する容器
の外形の鉛直方向に対して少なくとも上方から3分の1
以内の部分、好ましくは5分の1以内の部分、更に好ま
しくは10分の1以内、より好ましくはできる限りの上
端のことをいう。鉛直上方の端とは、一般的には、偏平
な容器の角や円周の頂点となるが、多角形の容器のある
一辺が上端になった時の辺をいう場合もある。なお、偏
平な容器とは、幅又は高さのうちの短い方が、厚みの2
倍以上、好ましくは4倍以上の容器のことを言う。血液
の入口と血液の出口がともに容器の実質的な上端に位置
していることにより、まず、白血球除去フィルターを血
液バッグ類と共に遠心カップへ収容する場合において、
回路が両端に接続された従来の装置でみられたような遠
心カップへの収容操作での煩雑さは大幅に改善される。
ルターは、血液の入口と血液の出口を有する偏平な容器
と、該容器内の空間を血液の入口側の空間と血液の出口
側の空間とに隔てるシート状の白血球除去材よりなり、
該血液の入口と血液の出口がともに、該容器の実質的な
上端に位置していることを特徴とする。図1は本発明の
白血球除去フィルターの断面図である。白血球除去フィ
ルター1は、血液の入口2と血液の出口3を有する偏平
な容器4と、容器4内の空間を血液の入口側の空間7と
血液の出口側の空間7′とに隔てるシート状の白血球除
去材5よりなり、血液の入口2と血液の出口3が共に容
器4の実質的な上端に位置している。容器4の内面にあ
る突起6及び6′は、容器4内の白血球除去材5を支持
しており、白血球除去材5及び偏平な空間7、7′が一
定な厚みとなるようにしている。血液の入口と血液の出
口が共に、偏平な容器の実質的な上端に位置しているこ
と、というのは、偏平な容器を垂直に立てた時に、血液
の入口と血液の出口が共に容器の実質的な鉛直上方の端
に位置していることを言う。実質的な鉛直上方の端と
は、ノズルの突起等を除く白血球除去材を内蔵する容器
の外形の鉛直方向に対して少なくとも上方から3分の1
以内の部分、好ましくは5分の1以内の部分、更に好ま
しくは10分の1以内、より好ましくはできる限りの上
端のことをいう。鉛直上方の端とは、一般的には、偏平
な容器の角や円周の頂点となるが、多角形の容器のある
一辺が上端になった時の辺をいう場合もある。なお、偏
平な容器とは、幅又は高さのうちの短い方が、厚みの2
倍以上、好ましくは4倍以上の容器のことを言う。血液
の入口と血液の出口がともに容器の実質的な上端に位置
していることにより、まず、白血球除去フィルターを血
液バッグ類と共に遠心カップへ収容する場合において、
回路が両端に接続された従来の装置でみられたような遠
心カップへの収容操作での煩雑さは大幅に改善される。
【0005】特に図3のように、偏平な白血球除去フィ
ルター1を血液バッグ類の間に挟んで遠心カップに収容
する場合においては、血液の入口と血液の出口を共に上
方に位置させて収容することにより従来のフィルターを
同様に収容した場合に比べて、遠心分離時のフィルター
及び血液バッグ類の損傷の発生が大幅に減少する。これ
は血液の入口と血液の出口がフィルターの両端にある従
来のフィルターの場合には、遠心カップに収容した時に
下方にくる側の血液の入口又は血液の出口が遠心時に遠
心カップ内の底面に強く押しつけられるために破損しや
すく、たとえ遠心カップ内の底面に到らなかった場合で
も、血液バッグに突きささって血液バッグの破れを生じ
やすいのに対して、本発明のフィルターにおいては、血
液の入口と血液の出口が偏って位置しているために、と
もに上方に位置させて遠心カップ内にセットすることが
可能となり、フィルター及び血液バッグ類の上記したよ
うな理由による損傷が非常に起こりにくくなるためであ
る。
ルター1を血液バッグ類の間に挟んで遠心カップに収容
する場合においては、血液の入口と血液の出口を共に上
方に位置させて収容することにより従来のフィルターを
同様に収容した場合に比べて、遠心分離時のフィルター
及び血液バッグ類の損傷の発生が大幅に減少する。これ
は血液の入口と血液の出口がフィルターの両端にある従
来のフィルターの場合には、遠心カップに収容した時に
下方にくる側の血液の入口又は血液の出口が遠心時に遠
心カップ内の底面に強く押しつけられるために破損しや
すく、たとえ遠心カップ内の底面に到らなかった場合で
も、血液バッグに突きささって血液バッグの破れを生じ
やすいのに対して、本発明のフィルターにおいては、血
液の入口と血液の出口が偏って位置しているために、と
もに上方に位置させて遠心カップ内にセットすることが
可能となり、フィルター及び血液バッグ類の上記したよ
うな理由による損傷が非常に起こりにくくなるためであ
る。
【0006】また、白血球除去フィルターの空気抜きに
関して、血液の入口と血液の出口が共に容器の実質的な
上端に位置していることによって、容器の反転操作や血
液バッグを強く握る操作をしなくても容易に空気抜きが
できるようになる。これは、血液の出口が容器の下端に
あった従来のフィルターで抜けにくかった、白血球除去
機5の血液の出口側の上部付近及び空間7′の上部付近
の空気が、容器の上端にある血液の出口3を通じて速や
かに抜けていくからである。本発明の白血球除去フィル
ターにおいて、血液の入口及び血液の出口の位置は、お
互いに離れているよりは近くにある方が好ましく、更に
白血球除去材がなす平面に対してほぼ線対称の位置にあ
ることが好ましい。本発明の白血球除去フィルターにお
いて、血液の入口及び血液の出口の構造は、偏平な容器
に穴があいているだけのものでも、ノズル形状のもので
あってもよい。穴があいているだけのものは構造が単純
であり、製造しやすいなどの点で好ましいが、フレキシ
ブルな血液回路を接続しにくく、また抜けやすい欠点が
ある。これに対してノズル形状のものは、上記欠点がな
く好ましい。
関して、血液の入口と血液の出口が共に容器の実質的な
上端に位置していることによって、容器の反転操作や血
液バッグを強く握る操作をしなくても容易に空気抜きが
できるようになる。これは、血液の出口が容器の下端に
あった従来のフィルターで抜けにくかった、白血球除去
機5の血液の出口側の上部付近及び空間7′の上部付近
の空気が、容器の上端にある血液の出口3を通じて速や
かに抜けていくからである。本発明の白血球除去フィル
ターにおいて、血液の入口及び血液の出口の位置は、お
互いに離れているよりは近くにある方が好ましく、更に
白血球除去材がなす平面に対してほぼ線対称の位置にあ
ることが好ましい。本発明の白血球除去フィルターにお
いて、血液の入口及び血液の出口の構造は、偏平な容器
に穴があいているだけのものでも、ノズル形状のもので
あってもよい。穴があいているだけのものは構造が単純
であり、製造しやすいなどの点で好ましいが、フレキシ
ブルな血液回路を接続しにくく、また抜けやすい欠点が
ある。これに対してノズル形状のものは、上記欠点がな
く好ましい。
【0007】本発明の白血球除去フィルターにおいて、
血液の入口または血液の出口の長さ即ち容器外での開口
端から容器内空間での開口端までの距離は、短い方がフ
ィルター装置の構造が単純になり、血液の入口又は血液
の出口の損傷も起こりにくく、好ましい。より具体的に
は、50mm以下であることが好ましく、より好ましく
は30mm以下、更に好ましくは15mm以下である。
但し、血液の入口又は血液の出口の形状がノズル形状で
ある場合は、血液回路との接続の強度を保つために10
mm以上であることも好ましい。また、血液の入口又は
血液の出口が鉛直方向となす角度は共に90°以内であ
ることが好ましく、より好ましくは共に60°以内、更
に好ましくは共に30°以内、最も好ましくは共に鉛直
上向きである。本発明の白血球除去フィルターにおい
て、フィルターの全体的な形状は、遠心カップへ血液バ
ッグ類と共に収容する時、フィルターを血液バッグ類の
間にはさんで遠心カップへ収容する場合は、血液バッグ
類の間にはさみやすく、また遠心カップ内に収容しやす
い形状であることが好ましく、具体的には、正方形状ま
たは長方形状が好ましい。また、その外形寸法は、一般
の血液バッグ類の外形寸法以内であることが好ましく、
具体的には幅15cm以内、高さ25cm以内、厚み2
cm以内であることが好ましく、更に、遠心カップの内
寸を考えると幅10cm以内、高さ15cm以内である
ことがより好ましく、また遠心カップ内に全血が入った
血液バッグ(容積が200〜600ml)と共に収容す
ることを考えるとその容積は150ml以内であること
が好ましく、一方一定レベル以上の白血球除去能を持た
せるためにはその容積は1ml以上であることが好まし
い。より好ましいフィルターの容積は2ml以上、50
ml以内、更に好ましくは5ml以上、25ml以内で
ある。また、同様の理由でフィルターの外形厚みは、
0.1cm以上、1.5cm以内であることがより好ま
しく、0.2cm以上、1.0cm以内が更に好まし
く、0.3cm以上、0.6cm以内であることがより
一層好ましい。また、遠心カップに収容した状態におい
て、フィルターの上端付近に、遠心分離後にフィルター
を持ち上げるのをやりやすくするような手掛かりを有す
ることも好ましい。また、フィルターを血液バッグ類の
上にのせる場合は、その全体的形状は円板状または5角
形以上の正多角形状であることが好ましく、その外形の
大きさは一般に遠心カップの内接円よりも小さいことが
好ましく、具体的には直径10cm以内の円板状または
これに内接する正多角形状であることが好ましく、この
直径は更に8cm以下であることが好ましい。本発明の
白血球除去フィルターにおいて、その外周面にでこぼこ
や鋭利な突起物がなく滑らかであることが好ましい。本
発明の白血球除去フィルターの内部構造については、容
器内の血液の入口側及び血液の出口側の空間(図1の7
及び7′)の厚みは、血液がスムーズに拡がりかつスム
ーズに血液の出口へ収束する範囲でできるだけ薄い方
が、装置全体の内容積を小さくできるので好ましい。具
体的には、入口側、出口側ともに5mm以内であること
が好ましく、より好ましくは2.5mm以内、特に出口
側では1mm以内であることが好ましい。
血液の入口または血液の出口の長さ即ち容器外での開口
端から容器内空間での開口端までの距離は、短い方がフ
ィルター装置の構造が単純になり、血液の入口又は血液
の出口の損傷も起こりにくく、好ましい。より具体的に
は、50mm以下であることが好ましく、より好ましく
は30mm以下、更に好ましくは15mm以下である。
但し、血液の入口又は血液の出口の形状がノズル形状で
ある場合は、血液回路との接続の強度を保つために10
mm以上であることも好ましい。また、血液の入口又は
血液の出口が鉛直方向となす角度は共に90°以内であ
ることが好ましく、より好ましくは共に60°以内、更
に好ましくは共に30°以内、最も好ましくは共に鉛直
上向きである。本発明の白血球除去フィルターにおい
て、フィルターの全体的な形状は、遠心カップへ血液バ
ッグ類と共に収容する時、フィルターを血液バッグ類の
間にはさんで遠心カップへ収容する場合は、血液バッグ
類の間にはさみやすく、また遠心カップ内に収容しやす
い形状であることが好ましく、具体的には、正方形状ま
たは長方形状が好ましい。また、その外形寸法は、一般
の血液バッグ類の外形寸法以内であることが好ましく、
具体的には幅15cm以内、高さ25cm以内、厚み2
cm以内であることが好ましく、更に、遠心カップの内
寸を考えると幅10cm以内、高さ15cm以内である
ことがより好ましく、また遠心カップ内に全血が入った
血液バッグ(容積が200〜600ml)と共に収容す
ることを考えるとその容積は150ml以内であること
が好ましく、一方一定レベル以上の白血球除去能を持た
せるためにはその容積は1ml以上であることが好まし
い。より好ましいフィルターの容積は2ml以上、50
ml以内、更に好ましくは5ml以上、25ml以内で
ある。また、同様の理由でフィルターの外形厚みは、
0.1cm以上、1.5cm以内であることがより好ま
しく、0.2cm以上、1.0cm以内が更に好まし
く、0.3cm以上、0.6cm以内であることがより
一層好ましい。また、遠心カップに収容した状態におい
て、フィルターの上端付近に、遠心分離後にフィルター
を持ち上げるのをやりやすくするような手掛かりを有す
ることも好ましい。また、フィルターを血液バッグ類の
上にのせる場合は、その全体的形状は円板状または5角
形以上の正多角形状であることが好ましく、その外形の
大きさは一般に遠心カップの内接円よりも小さいことが
好ましく、具体的には直径10cm以内の円板状または
これに内接する正多角形状であることが好ましく、この
直径は更に8cm以下であることが好ましい。本発明の
白血球除去フィルターにおいて、その外周面にでこぼこ
や鋭利な突起物がなく滑らかであることが好ましい。本
発明の白血球除去フィルターの内部構造については、容
器内の血液の入口側及び血液の出口側の空間(図1の7
及び7′)の厚みは、血液がスムーズに拡がりかつスム
ーズに血液の出口へ収束する範囲でできるだけ薄い方
が、装置全体の内容積を小さくできるので好ましい。具
体的には、入口側、出口側ともに5mm以内であること
が好ましく、より好ましくは2.5mm以内、特に出口
側では1mm以内であることが好ましい。
【0008】容器内の血液の出口側の空間の構造は、フ
ィルターの空気抜きのし易さに影響する。その水平方向
の断面積は、鉛直方向下端から上端に向かって不連続に
変化することなく、かつ、上端で血液の出口の断面積に
収束していくことが、スムーズな空気抜きのために好ま
しい。また、血液の入口側の空間の構造は、フィルター
の製造しやすさ、白血球除去材の効率的な利用の点など
から、血液の出口側の空間とほぼ同じ外周形状であるこ
とが好ましい。
ィルターの空気抜きのし易さに影響する。その水平方向
の断面積は、鉛直方向下端から上端に向かって不連続に
変化することなく、かつ、上端で血液の出口の断面積に
収束していくことが、スムーズな空気抜きのために好ま
しい。また、血液の入口側の空間の構造は、フィルター
の製造しやすさ、白血球除去材の効率的な利用の点など
から、血液の出口側の空間とほぼ同じ外周形状であるこ
とが好ましい。
【0009】図2は、本発明の白血球除去フィルターの
各種の実施態様の外観図である。特にa及びd〜fは上
端において血液の出口の断面積に収束しておりより好ま
しい実施態様である。特にfのように野球のホームベー
スの上下を逆転させたような形状は、遠心カップ内への
収まりが良く、極めて好ましい。本発明の白血球除去フ
ィルターにおいて、容器の材質は血液に悪影響を与えな
い公知の各種の材料を用いることができる。本発明の白
血球除去フィルターにおいて、シート状の白血球除去材
としては、不織布などの繊維状多孔性媒体や、三次元網
目状連続細孔を有する多孔質体などの様々な公知の多孔
質素子からなる白血球除去材を用いることができる。ま
た、白血球除去材は乾燥した状態であってもよいが、飽
和含水率以上の生理的液体で湿潤した状態であるのが好
ましい。フィルター装置内の血液を充填しうる容積は、
白血球除去を行なう血液量(一般的に50ml以上、6
00ml以下)に対して、20%以下、好ましくは10
%以下である。また、上記の充填しうる血液量のうち、
容器内の血液の入口及び出口側の空間のしめる割合は入
口側と出口側を合わせて30%以下、好ましくは10%
以下である。
各種の実施態様の外観図である。特にa及びd〜fは上
端において血液の出口の断面積に収束しておりより好ま
しい実施態様である。特にfのように野球のホームベー
スの上下を逆転させたような形状は、遠心カップ内への
収まりが良く、極めて好ましい。本発明の白血球除去フ
ィルターにおいて、容器の材質は血液に悪影響を与えな
い公知の各種の材料を用いることができる。本発明の白
血球除去フィルターにおいて、シート状の白血球除去材
としては、不織布などの繊維状多孔性媒体や、三次元網
目状連続細孔を有する多孔質体などの様々な公知の多孔
質素子からなる白血球除去材を用いることができる。ま
た、白血球除去材は乾燥した状態であってもよいが、飽
和含水率以上の生理的液体で湿潤した状態であるのが好
ましい。フィルター装置内の血液を充填しうる容積は、
白血球除去を行なう血液量(一般的に50ml以上、6
00ml以下)に対して、20%以下、好ましくは10
%以下である。また、上記の充填しうる血液量のうち、
容器内の血液の入口及び出口側の空間のしめる割合は入
口側と出口側を合わせて30%以下、好ましくは10%
以下である。
【0010】本発明の白血球除去フィルターの使用方法
は、特に限定されず、従来の使用方法が可能であること
は言うまでもない。例えば、輸血用血液からの白血球除
去に限らず、血液体外循環による白血球除去療法にも用
いることができる。従来にない、特徴ある使用方法とし
ては、例えば、米国特許第4596657号のシステム
に本発明の白血球除去フィルターを組み込んだものなど
において、フィルターを血液バッグの間に挟んだ状態
で、遠心カップへ収容することが挙げられる。収容操作
は容易になり、フィルターが遠心カップ外へ飛び出たり
することはなく、フィルターや血液バッグ類の損傷も起
こりにくく、大変好ましい。本発明の白血球除去フィル
ターは、血液の保存前の白血球除去を可能とする公知の
各種白血球除去システムの中に組み込むことができる。
本発明の白血球除去システムは、少なくとも2つの血液
バッグと少なくとも1つの白血球除去フィルターがチュ
ーブにより液密に接続されてなり、かつ全体があらかじ
め滅菌されており、該白血球除去フィルターが、血液の
入口と血液の出口を有する偏平な容器と、該容器内の空
間を血液の入口側の空間と血液の出口側の空間とに隔て
るシート状の白血球除去材よりなり、該血液の入口と血
液の出口がともに該容器の実質的な上端に位置している
ことを特徴とする。本システムによって、血液の保存前
の無菌的白血球除去が可能となり、かつ、その操作にお
いて、白血球除去フィルターの空気抜きは容易であり、
白血球除去フィルターを血液バッグ類とともに遠心カッ
プに収容して血液の遠心分離を行なう場合は、遠心カッ
プへの収容が煩雑でなく、遠心分離時のフィルター及び
血液バッグ類の損傷が起こりにくくなる。
は、特に限定されず、従来の使用方法が可能であること
は言うまでもない。例えば、輸血用血液からの白血球除
去に限らず、血液体外循環による白血球除去療法にも用
いることができる。従来にない、特徴ある使用方法とし
ては、例えば、米国特許第4596657号のシステム
に本発明の白血球除去フィルターを組み込んだものなど
において、フィルターを血液バッグの間に挟んだ状態
で、遠心カップへ収容することが挙げられる。収容操作
は容易になり、フィルターが遠心カップ外へ飛び出たり
することはなく、フィルターや血液バッグ類の損傷も起
こりにくく、大変好ましい。本発明の白血球除去フィル
ターは、血液の保存前の白血球除去を可能とする公知の
各種白血球除去システムの中に組み込むことができる。
本発明の白血球除去システムは、少なくとも2つの血液
バッグと少なくとも1つの白血球除去フィルターがチュ
ーブにより液密に接続されてなり、かつ全体があらかじ
め滅菌されており、該白血球除去フィルターが、血液の
入口と血液の出口を有する偏平な容器と、該容器内の空
間を血液の入口側の空間と血液の出口側の空間とに隔て
るシート状の白血球除去材よりなり、該血液の入口と血
液の出口がともに該容器の実質的な上端に位置している
ことを特徴とする。本システムによって、血液の保存前
の無菌的白血球除去が可能となり、かつ、その操作にお
いて、白血球除去フィルターの空気抜きは容易であり、
白血球除去フィルターを血液バッグ類とともに遠心カッ
プに収容して血液の遠心分離を行なう場合は、遠心カッ
プへの収容が煩雑でなく、遠心分離時のフィルター及び
血液バッグ類の損傷が起こりにくくなる。
【0011】図4に、全血を採血して遠心分離し、得ら
れた濃厚赤血球から無菌的に白血球除去をするのに好ま
しい白血球除去システムの各種実施態様の模式図を示
す。a〜dは、いずれも抗凝固剤入りの採血用血液バッ
グと少なくとも2つのサテライト血液バッグと少なくと
も1つの白血球除去フィルターよりなり、1つの該サテ
ライト血液バッグは1つの該白血球除去フィルターを介
して該採血用血液バッグに接続され、上記以外のサテラ
イト血液バッグは上記の白血球除去フィルターを介さず
に、該採血用血液バッグに接続されていることを特徴と
し、上記目的を達成するのに好ましいシステムである。
その使用方法の具体例は、まず、採血針10を介して新
鮮全血を抗凝固剤入りの採血用血液バッグ8内に導入
し、血液と抗凝固剤をよく混和する。採血針10は、バ
ッグ8との間をヒートシーラーなどでシール後切り離
す。その後、システム全体を図3に示すように遠心カッ
プ内に収容し、血液の遠心分離を行う。システムを遠心
カップから静かに取り出し、バッグ8内の血液の上層の
血漿成分を衛星血液バッグ9′へ移す。続いて、バッグ
8内の血液の下層の濃厚赤血球をフィルター1を介して
白血球除去をして衛星血液バッグ9内へ移す。b〜dの
システムの場合は、バッグ9′内の多血小板血漿をさら
に遠心分離し、バッグ9′内に濃厚血小板を、バッグ
9″内に乏血小板血漿を得る。
れた濃厚赤血球から無菌的に白血球除去をするのに好ま
しい白血球除去システムの各種実施態様の模式図を示
す。a〜dは、いずれも抗凝固剤入りの採血用血液バッ
グと少なくとも2つのサテライト血液バッグと少なくと
も1つの白血球除去フィルターよりなり、1つの該サテ
ライト血液バッグは1つの該白血球除去フィルターを介
して該採血用血液バッグに接続され、上記以外のサテラ
イト血液バッグは上記の白血球除去フィルターを介さず
に、該採血用血液バッグに接続されていることを特徴と
し、上記目的を達成するのに好ましいシステムである。
その使用方法の具体例は、まず、採血針10を介して新
鮮全血を抗凝固剤入りの採血用血液バッグ8内に導入
し、血液と抗凝固剤をよく混和する。採血針10は、バ
ッグ8との間をヒートシーラーなどでシール後切り離
す。その後、システム全体を図3に示すように遠心カッ
プ内に収容し、血液の遠心分離を行う。システムを遠心
カップから静かに取り出し、バッグ8内の血液の上層の
血漿成分を衛星血液バッグ9′へ移す。続いて、バッグ
8内の血液の下層の濃厚赤血球をフィルター1を介して
白血球除去をして衛星血液バッグ9内へ移す。b〜dの
システムの場合は、バッグ9′内の多血小板血漿をさら
に遠心分離し、バッグ9′内に濃厚血小板を、バッグ
9″内に乏血小板血漿を得る。
【0012】図5は、全血を採血してただちに白血球を
除去し、得られた白血球除去血を遠心分離して成分分離
するのに好ましい白血球除去システムの各種実施態様の
模式図を示す。
除去し、得られた白血球除去血を遠心分離して成分分離
するのに好ましい白血球除去システムの各種実施態様の
模式図を示す。
【0013】図6には、図5においてバッグ8の代わり
に無菌的接続手段12を有するシステムの実施態様の模
式図を示す。以下に本発明の白血球除去フィルター及び
白血球除去システムを、実施例により、より具体的に説
明する。
に無菌的接続手段12を有するシステムの実施態様の模
式図を示す。以下に本発明の白血球除去フィルター及び
白血球除去システムを、実施例により、より具体的に説
明する。
【0014】
【実施例】白血球除去材として、ポリエチレンテレフタ
レート製の繊維径1.7μmの不織布(旭化成工業
(株)製マイクロウェブA066A)を一辺65mmの
正方形に切断したものを積層してポリカーボネート製の
容器に充填し、血液の入口と血液の出口が共に容器の上
端に位置している図1及び図2aに示すような白血球除
去フィルターを作製した。外形寸法は、一辺7.1cm
の正方形、厚みは1.1cmであり、血液の入口及び血
液の出口の寸法は、共に外径6.5mm、内径3.5m
m、長さ22mm(容器外形におけるノズル長は12m
m)であった。容器の内部構造については、不織布の外
周部の容器による押え幅が3.5mm、有効濾過部の形
状は一辺5.7cmの正方形状、血液の入口側の突起6
の高さは0.5〜1.5mmと血液の入口側ほど高く、
血液の出口側の突起6′の高さは0.6mmと一定であ
った。不織布の充填状態の厚みは4.7mmで、充填密
度は0.20g/cm2 であり、フィルター内の血液を
充填し得る容積は20mlであった。上記のフィルター
と米国Baxter社製の血液バッグ類とを用いて、図
5のbに示すような白血球除去システムを作製した。バ
ッグ9内には赤血球保存液ADSOL を100ml予
め入れておいた。CPD加牛全血500mlを採血バッ
グ8に入れ、図3に示すようにフィルターをバッグ8と
バッグ9の間に挟み、フィルターの血液の入口と血液の
出口が、遠心カップ(内径10cm、深さ15cm)内
の上方に位置するように収容した。日立工業(株)製の
遠心分子機CR783にて、4400Gの遠心力で10
分間遠心した後、採血バッグ内の上層の血漿は、フィル
ターを組み込んでいない方のバッグ9′に移し、次いで
採血バッグを1.5mの高さに吊るし、自然落差で下層
の濃厚赤血球を白血球除去フィルターへ流して、バッグ
9内に回収した。以上の操作を10個のフィルター及び
システムについて行なったところ、システムの遠心カッ
プへのセットは容易であり、遠心時のフィルター及び血
液バッグ類の損傷は全くみられず、また、フィルターの
空気抜きは容易に行なえ、血液の流れも良かった。
レート製の繊維径1.7μmの不織布(旭化成工業
(株)製マイクロウェブA066A)を一辺65mmの
正方形に切断したものを積層してポリカーボネート製の
容器に充填し、血液の入口と血液の出口が共に容器の上
端に位置している図1及び図2aに示すような白血球除
去フィルターを作製した。外形寸法は、一辺7.1cm
の正方形、厚みは1.1cmであり、血液の入口及び血
液の出口の寸法は、共に外径6.5mm、内径3.5m
m、長さ22mm(容器外形におけるノズル長は12m
m)であった。容器の内部構造については、不織布の外
周部の容器による押え幅が3.5mm、有効濾過部の形
状は一辺5.7cmの正方形状、血液の入口側の突起6
の高さは0.5〜1.5mmと血液の入口側ほど高く、
血液の出口側の突起6′の高さは0.6mmと一定であ
った。不織布の充填状態の厚みは4.7mmで、充填密
度は0.20g/cm2 であり、フィルター内の血液を
充填し得る容積は20mlであった。上記のフィルター
と米国Baxter社製の血液バッグ類とを用いて、図
5のbに示すような白血球除去システムを作製した。バ
ッグ9内には赤血球保存液ADSOL を100ml予
め入れておいた。CPD加牛全血500mlを採血バッ
グ8に入れ、図3に示すようにフィルターをバッグ8と
バッグ9の間に挟み、フィルターの血液の入口と血液の
出口が、遠心カップ(内径10cm、深さ15cm)内
の上方に位置するように収容した。日立工業(株)製の
遠心分子機CR783にて、4400Gの遠心力で10
分間遠心した後、採血バッグ内の上層の血漿は、フィル
ターを組み込んでいない方のバッグ9′に移し、次いで
採血バッグを1.5mの高さに吊るし、自然落差で下層
の濃厚赤血球を白血球除去フィルターへ流して、バッグ
9内に回収した。以上の操作を10個のフィルター及び
システムについて行なったところ、システムの遠心カッ
プへのセットは容易であり、遠心時のフィルター及び血
液バッグ類の損傷は全くみられず、また、フィルターの
空気抜きは容易に行なえ、血液の流れも良かった。
【0015】
【比較例】血液の出口が容器の下端に位置しており、遠
心カップ内への収容において、血液の出口側を下部に位
置させて収容した以外は、実施例と同じ実験を10個の
フィルター及びシステムについて行った。システムの遠
心カップへの収容には手間がかかり、また、6つのシス
テムで、フィルター又は血液バッグの損傷が見られた。
また、損傷が見られなかった場合でも、自然落差だけで
あるとフィルターの空気抜きが不十分となり、血液の流
速もやや低下することが認められた。
心カップ内への収容において、血液の出口側を下部に位
置させて収容した以外は、実施例と同じ実験を10個の
フィルター及びシステムについて行った。システムの遠
心カップへの収容には手間がかかり、また、6つのシス
テムで、フィルター又は血液バッグの損傷が見られた。
また、損傷が見られなかった場合でも、自然落差だけで
あるとフィルターの空気抜きが不十分となり、血液の流
速もやや低下することが認められた。
【0016】
【発明の効果】本発明の白血球除去フィルターは、血液
の入口と血液の出口がともに容器の実質的に上端に位置
していることを特徴とし、これにより血液バッグ類とと
もに遠心カップへ収容する時の操作が煩雑でなく、又遠
心分離の時も、フィルター及び血液バッグ類の損傷が起
こりにくく、又空気抜きが容易となる。又、本発明の白
血球除去システムは上記のフィルターと少なくとも2つ
の血液バッグからなり、血液の保存前の無菌的白血球除
去操作を容易に行える。
の入口と血液の出口がともに容器の実質的に上端に位置
していることを特徴とし、これにより血液バッグ類とと
もに遠心カップへ収容する時の操作が煩雑でなく、又遠
心分離の時も、フィルター及び血液バッグ類の損傷が起
こりにくく、又空気抜きが容易となる。又、本発明の白
血球除去システムは上記のフィルターと少なくとも2つ
の血液バッグからなり、血液の保存前の無菌的白血球除
去操作を容易に行える。
【図1】本発明の白血球除去フィルターの1例の断面模
式図。
式図。
【図2】本発明の白血球除去フィルターの各種の実施態
様の外観図。
様の外観図。
【図3】本発明の白血球除去フィルターの1実施態様を
円筒形の遠心カップに収容した使用状態の透視図。
円筒形の遠心カップに収容した使用状態の透視図。
【図4】本発明の白血球除去システムの各種の実施態様
の模式図。
の模式図。
【図5】本発明の白血球除去システムの別の各種実施態
様の模式図。
様の模式図。
【図6】本発明の白血球除去システムの更に別の各種実
施態様の模式図。
施態様の模式図。
1、1′ 白血球除去フィルター 2 血液の入口 3 血液の出口 4 容器 5 白血球除去材 6、6′ 突起 7、7′ 空間 8 採血用血液バッグ 9、9′、9″ 衛星血液バッグ 10 採血針 11 遠心カップ 12 無菌的接続手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−128979(JP,A) 特開 昭60−193468(JP,A) 特開 昭48−46187(JP,A) 特開 平1−224016(JP,A) 特開 平4−236959(JP,A) 特開 平1−320064(JP,A) 特開 昭63−226364(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61M 5/165 A61M 1/02
Claims (3)
- 【請求項1】 血液の入口と血液の出口を有する偏平な
容器と、該容器内の空間を血液の入口側の空間と血液の
出口側の空間とに隔てるシート状の白血球除去材よりな
る白血球除去フィルターであって、該血液の入口と血液
の出口がともに、該容器の実質的な上端に位置している
ことを特徴とする白血球除去フィルター。 - 【請求項2】 該容器の外周面にでこぼこや鋭利な突起
物がなく滑らかであり、該血液の入口及び血液の出口の
方向がともに鉛直上方90°以内であり、かつ該容器の
外形寸法が幅15cm以内、高さ25cm以内、厚み2
cm以内、容積が1ml以上150ml以内である請求
項1に記載の白血球除去フィルター。 - 【請求項3】 少なくとも2つの血液バッグと少なくと
も1つの白血球除去フィルターがチューブにより液密に
接続されてなり、かつ全体があらかじめ滅菌されている
白血球除去システムであって、該白血球除去フィルター
が、血液の入口と血液の出口を有する偏平な容器と、該
容器内の空間を血液の入口側の空間と血液の出口側の空
間とに隔てるシート状の白血球除去材よりなり、該血液
の入口と血液の出口がともに該容器の実質的な上端に位
置していることを特徴とする白血球除去システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP27474793A JP3301835B2 (ja) | 1992-10-07 | 1993-10-07 | 白血球除去フィルター及び白血球除去システム |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP29195092 | 1992-10-07 | ||
JP4-291950 | 1992-10-07 | ||
JP27474793A JP3301835B2 (ja) | 1992-10-07 | 1993-10-07 | 白血球除去フィルター及び白血球除去システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06197962A JPH06197962A (ja) | 1994-07-19 |
JP3301835B2 true JP3301835B2 (ja) | 2002-07-15 |
Family
ID=26551174
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP27474793A Expired - Fee Related JP3301835B2 (ja) | 1992-10-07 | 1993-10-07 | 白血球除去フィルター及び白血球除去システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3301835B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ITTO20020820A1 (it) * | 2002-09-20 | 2004-03-21 | Fresenius Hemocare Italia S R L | Dispositivo e procedimento per separare il sangue in componenti del sangue impoveriti di leucociti. |
JP2007061329A (ja) * | 2005-08-31 | 2007-03-15 | Asahi Kasei Medical Co Ltd | 高圧蒸気滅菌耐性の白血球除去フィルター |
JP5873269B2 (ja) * | 2010-10-06 | 2016-03-01 | 旭化成メディカル株式会社 | 血液処理システムおよび血液製剤の製造方法 |
KR101247145B1 (ko) * | 2012-10-08 | 2013-04-02 | 천진호 | 주사기용 안전 필터 및 이를 이용한 주사기 |
-
1993
- 1993-10-07 JP JP27474793A patent/JP3301835B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06197962A (ja) | 1994-07-19 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
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