JP6455403B2 - 電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,箔の表面に,活物質を含む材料である活物質材料を転写することにより,箔と活物質材料の層とが積層された電極を製造する製造方法に関する。
従来から,例えば,リチウムイオン二次電池には,金属箔の表面に活物質層が形成されたシート状の電極が用いられている。シート状の電極を製造する製造方法として,活物質を含む活物質材料をロールにて搬送し,別のロールにて搬送される金属箔の表面に活物質材料の層を接触させて,金属箔の表面に活物質材料を転写することによる製造方法が知られている。
上述の電極の製造方法を開示した文献としては,例えば,特許文献1がある。特許文献1には,逆方向に回転する2つのローラの一方に被塗布物を巻き付け,2つのローラの間に塗膜材料を進入させて,塗膜材料を被塗布物に転写する方法が開示されている。特許文献1では,2つのローラの周速度を互いに異なるものとすることで,塗膜材料を被塗布物に転写できるとされている。具体的には,被塗布物を搬送するローラの周速を,塗膜材料を搬送するローラの周速以上とすることが開示されている。
特開2014−133194号公報
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,例えば粉体と溶媒と空隙とを含む活物質材料を金属箔に転写することによる電極の製造方法では,膜厚100μm以下の薄膜を製造しようとすると,転写不良の発生する可能性が高くなる。例えば,活物質材料を搬送するローラと金属箔を搬送するローラとの2つのローラについて,単にローラ間の間隙を小さくしたり,2つのローラの周速の差を大きくするだけでは,良好な転写結果を得ることが困難であった。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,活物質材料を金属箔に転写して電極を製造する方法において,転写不良を抑制して薄膜の電極を製造する技術を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされた電極の製造方法は,第1ロールと,前記第1ロールに隣接して前記第1ロールと平行に設けられた第2ロールと,前記第2ロールに隣接して前記第2ロールと平行に設けられた第3ロールと,を備え,活物質を含む湿潤材料である活物質材料を,前記第1ロールと前記第2ロールとの間の第1間隙を通過させて前記第2ロール上に圧延する圧延工程と,前記圧延工程にて圧延後,前記第2ロールにて搬送される前記活物質材料と,前記第3ロールにて搬送される金属箔とを,前記第2ロールと前記第3ロールとの間の第2間隙を通過させて,前記活物質材料を前記金属箔に転写する転写工程と,を含む電極の製造方法であって,前記転写工程にて転写後の前記第3ロール上の前記活物質材料の単位面積あたりの重量Wcと,前記圧延工程にて圧延後の,前記第2ロール上の前記活物質材料の単位面積あたりの重量Wbと,前記第3ロールの周速Vcと前記第2ロールの周速Vbとの比である周速比Vrと,が
Vr = Vc / Vb
Wc = Wb / Vr
の関係を満たし,かつ,前記転写工程にて転写後の前記第3ロール上の前記活物質材料の密度ρCが,前記圧延工程にて圧延後の,前記第2ロール上の前記活物質材料の密度ρBより大きく,前記活物質材料の許容最大密度ρMより小さい範囲内となるように,前記第2間隙の大きさと,前記周速比Vrと,を決定する,ことを特徴としている。
上記態様における電極の製造方法では,活物質材料は,第1ロールと第2ロールとの間で圧延され,圧延後,金属箔とともに第2ロールと第3ロールとの間の第2間隙を通過することで,金属箔に転写される。そして,転写後の活物質材料の目付量(単位面積あたりの重量)Wcは,第2ロール上の活物質材料の目付量Wbを周速比Vrで除した値である。つまり,周速比Vrをより大きくすることにより,目付量Wcを小さくできる。さらに,本製造方法では,転写後の活物質材料の密度ρCが,圧延後で転写前の活物質材料の密度ρBより大きく,活物質材料の許容最大密度ρMより小さい範囲内となるように,第2間隙の大きさと周速比Vrとを決定する。密度ρCが,この範囲内でないと,転写不良が発生しがちだからである。そして,第2間隙が小さすぎたり,周速比Vrが小さすぎたりすると,密度ρCが許容最大密度ρMより大きくなる。また,第2間隙が大きすぎたり,周速比Vrが大きすぎたりすると,密度ρCが密度ρBより小さくなる。本製造方法では,密度ρCが密度ρBと許容最大密度ρMとの間の範囲内となるように,第2間隙と周速比Vrとを選択するので,転写不良を抑制して薄膜の電極を製造できる。なお,目付量や密度は,溶媒を乾燥蒸発させた後の固形分のみを想定してもよい。
本発明によれば,活物質材料を金属箔に転写して電極を製造する方法において,転写不良を抑制して薄膜の電極を製造する電極の製造方法が実現される。
本形態の製造装置による製造方法を示す説明図である。 製造装置による製造方法を示す工程図である。 転写不良によるスケの発生例を示す説明図である。 転写不良によるスケの発生例を示す説明図である。 BC周速比とBC設定ギャップと電極密度との関係を示すグラフである。 固形分率と電極密度との関係を示すグラフである。 BC周速比とBC設定ギャップとの関係を示すグラフである。 Aロールの別の配置の例を示す説明図である。 Aロールの別の配置の例を示す説明図である。
以下,本発明を具体化した形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,リチウムイオン二次電池用の電極の製造に用いる製造装置に,本発明を適用したものである。
本形態の製造装置100の概略構成を,図1に示す。本形態の製造装置100は,金属箔の表面に電極活物質を含む活物質層を形成したシート状の電極を製造する装置である。例えば,リチウムイオン二次電池として,捲回型の電極体と電解液とがケースに封入されて構成されているものがある。捲回型の電極体は,例えば,アルミ箔に正極活物質層を形成したシート状の正極電極と,銅箔に負極活物質層を形成したシート状の負極電極とを,間にセパレータを挟んで捲回することにより製造される。本形態の製造装置100は,このような二次電池用の電極を製造するものである。
本形態の製造装置100は,図1に示すように,Aロール1と,Bロール2と,Cロール3と,を備え,それぞれ回転可能に取り付けられている。Aロール1は,第1ロールの一例であり,Bロール2は,第2ロールの一例であり,Cロール3は,第3ロールの一例である。各ロール1,2,3には,それぞれ回転駆動させるためのモータ(不図示)が連結されている。また,製造装置100は,各モータを制御するための制御部(不図示)を備えている。
Aロール1とBロール2とCロール3とは,互いに平行であって,この順に並べて配置されている。各ロールの径は,ほぼ等しい。また,Aロール1とBロール2とは,隙間を空けて隣接している。また,Bロール2とCロール3とは,隙間を空けて隣接している。Aロール1とCロール3とは,隣接していない。Aロール1とBロール2との隙間は,第1間隙の一例であり,Bロール2とCロール3との隙間は,第2間隙の一例である。
以下では,Aロール1とBロール2との最近接箇所での隙間の大きさの設定値を,AB設定ギャップ,Bロール2とCロール3との最近接箇所での隙間の大きさの設定値を,BC設定ギャップとする。AB設定ギャップは,BC設定ギャップより大きい。AB設定ギャップは,例えば,BC設定ギャップの3倍以上である。
また,Aロール1とBロール2との間で,各ローラの軸方向の両端部には,それぞれ仕切り板5が設けられている。そして,電極の製造時には,両側の仕切り板5の間に,電極活物質を含む材料である活物質材料6が供給される。活物質材料6は,電極活物質を含む粉体に少量の溶媒を加え,湿り気を帯びた状態とした湿潤粉体である。本形態の製造方法にて用いる活物質材料6は,電極活物質の粉体と,導電性を確保するための助剤粉体と,塗膜を結着させるためのバインダ(結着材)と,溶媒とを含む。活物質材料6は,各粉体の粒子間に溶媒が完全には行き渡らないために,ある程度の空隙を含んだ状態となっている。
なお,各ロールの軸方向の長さは,それぞれが搬送する部材の幅より大きければよい。例えば,Aロール1の軸方向の長さ,Bロール2の軸方向の長さは,いずれも,仕切り板5の間隔よりも長い。また,Cロール3の軸方向の長さは,Cロール3にて搬送される金属箔9の幅以上である。そして,金属箔9の幅は,仕切り板5の間隔以上である。
続いて,製造装置100によって電極を製造する方法について,図2の工程図を参照して説明する。電極の製造時には,図1中に矢印で示す回転方向に,各ロール1,2,3を回転させる。各ロールの回転方向は,2つのロールの対向位置では互いに順方向の回転となるように定められている。つまり,Aロール1とCロール3とは同じ回転方向に回転され,Bロール2は,Aロール1やCロール3とは逆方向に回転される。製造時の各ロール1,2,3の周速は,Aロール1,Bロール2,Cロール3の順により速くなる。
また,Cロール3には,図1に示すように,金属箔9が巻き掛けられる。金属箔9は,供給ロール等の供給元から引き出され,Cロール3の搬送方向について,Bロール2との対向箇所よりも上流側の位置から,Bロール2との対向箇所を含む範囲で,Cロール3に巻きつけられる。そして,金属箔9は,Cロール3の回転によって搬送される。なお,金属箔9は,正極の電極を製造する際にはアルミ箔であり,負極の電極を製造する際には銅箔である。
そして,各ロール1,2,3の周速が安定したら,Aロール1とBロール2との間で両側の仕切り板5の間に,湿潤粉体状の活物質材料6を供給する(供給工程)。供給された活物質材料6は,Aロール1とBロール2との回転により,Aロール1とBロール2との間から,図1中で下向きに押し出される。
押し出された活物質材料6は,ロールの軸方向について仕切り板5同士の間隔によって規定される幅と,AB設定ギャップによって規定される厚さとを有する連続した膜状となる。つまり,活物質材料6は,Aロール1とBロール2との間で圧延され,活物質膜7となる(圧延工程)。なお,圧延後の活物質膜7の厚さは,AB設定ギャップよりも大きいことが多い。
前述したように,Bロール2の周速は,Aロール1の周速よりも速い。そのため,活物質膜7は,Bロール2上に乗って,Cロール3側へ向かって搬送される。つまり,圧延後の活物質膜7は,Bロール2によって搬送される(搬送工程)。
一方,Cロール3にて搬送される金属箔9は,Cロール3とBロール2との対向箇所にて,Bロール2にて搬送されている活物質膜7と接触する。そして,金属箔9と活物質膜7とは,ともにBロール2とCロール3との間に押し込まれる。前述したように,BC設定ギャップは,AB設定ギャップよりも小さい。そのため,活物質膜7は,BC設定ギャップにて厚さ方向にさらに圧縮されて活物質膜8となる。
また,前述したように,Cロール3の周速は,Bロール2の周速よりも速い。そのため,Bロール2にて搬送されていた活物質膜7であって,当該活物質膜7が圧縮された活物質膜8と,Cロール3にて搬送されていた金属箔9とが重なって,Cロール3にて搬送される。つまり,活物質膜8が金属箔9に転写される(転写工程)。これにより,活物質膜8と金属箔9とが積層された電極10が製造される。なお,製造された電極10は,Cロール3にて,図1中で右方へ向かってさらに搬送される。
続いて,製造装置100によって電極10を製造する際の転写不良の例について説明する。前述した製造方法にて製造される電極10の厚さ,より具体的には,電極10中の活物質膜8の厚さは,転写工程にて通過するBC設定ギャップに依存する。つまり,電極10を薄膜化するためには,BC設定ギャップを小さくすることが考えられる。
しかし,前述したように,活物質膜8を形成するための材料として,粉体と溶媒と空隙とを含む活物質材料6を用いた場合,単にBC設定ギャップを小さくすると,図3に示すように,スケ部21が含まれる転写不良となる場合があった。スケ部21は,金属箔9に付着した活物質膜8が薄い箇所が縦方向(金属箔9の搬送方向)に連続し,縦縞状に金属箔9が透けて見える箇所である。これは,活物質材料6が過度に圧縮されることにより,溶媒が染み出して固液分離が発生し,液体の多い箇所がスケ部21となったと推定される。
また,転写工程では,Cロール3の周速のBロール2の周速に対する比である周速比Vrを大きくすれば,電極10中の活物質膜8の厚さを小さくできる可能性が高い。つまり,電極10を薄膜化するためには,周速比Vrを大きくすることが考えられる。なお,周速比Vrは,Cロール3の周速をVcとし,Bロール2の周速をVbとすると,以下の式1で表される。
Vr = Vc / Vb …式1
しかし,前述した活物質材料6は,溶媒の含有量が少なく,特に薄く均等に引き延ばすことが難しい。そのため,単に周速比Vrを大きくすると,図4に示すように,スケ部22が含まれる転写不良となる場合があった。スケ部22は,金属箔9に付着した活物質膜8が薄い箇所が横方向(金属箔9の搬送方向に直交する方向)に連続し,横縞状に金属箔9が透けて見える箇所である。これは,活物質膜7を圧縮して活物質膜8とする際に材料の供給不足が発生し,材料の不足した箇所がスケ部22となったと推定される。
つまり,本形態の製造装置100にて,単にBC設定ギャップを小さくしたり,周速比Vrを大きくしたりすることにより,厚さが100μm以下の電極10を製造しようとすると,前述したようなスケ部21,22が多量に発生してしまう。スケ部21,22を多く含む電極10は,二次電池の性能低下の原因となる可能性が高い。そのため,スケ部21,22の原因となる転写不良を抑制し,薄膜であってもスケ部21,22の少ない電極10を製造したいという要望があった。
続いて,前述した転写不良を抑制して薄膜の電極10を製造する方法について説明する。本発明者は,まず,BC設定ギャップと周速比Vrとを変更して種々の電極10を製造し,そのうち,前述した2種類のスケ部21,22のいずれの発生も所定の許容範囲内となった電極10について,電極密度の範囲を求めた。電極密度は,電極10のうちの活物質膜8の単位体積あたりの重量である。なお,単位体積あたりの重量には,溶媒の重量を含んでもよいし,含まなくてもよい。
この実験では,活物質材料6として,正極材料であって,PvdF1.5%の標準材料系に溶媒を加え,活物質材料6の全重量のうち,粉体による固形分の重量の割合である固形分率を,77重量%としたものを用いた。また,Aロール1とBロール2との周速比を4.5,AB設定ギャップを40μmとした。圧延工程の後のBロール2上の活物質膜7は,膜厚が75μm,密度が1.6g/ccであった。なお,ここでの密度は,溶媒を含まない固形分のみの密度である。
上述の実験の結果を,図5に示す。製造した電極10における電極密度ρCは,周速比Vrが小さいほど大きく,BC設定ギャップが小さいほど大きい。そして,本発明者は,電極密度ρCが,以下の式2の範囲内であれば,転写不良がかなり抑制されていることを見いだした。
ρB < ρC < ρM …式2
ここで,
電極密度ρC : 転写工程の後の金属箔9上の活物質膜8の密度
B密度ρB : 圧延工程の後のBロール2上の活物質膜7の密度
許容最大密度ρM : 転写性が許容範囲内となる活物質膜8の密度の最大値
である。
つまり,図5中で,電極密度ρCがB密度ρBと同程度となる境界を示す線L1(ρC=ρB)と,電極密度ρCが許容最大密度ρMと同程度となる境界を示す線L2(ρC=ρM)との間の範囲が,電極密度ρCの良好範囲31であることが分かった。そして,電極密度ρCが良好範囲31内であれば,スケ部21,22の発生は抑制され,転写不良の発生の程度は許容範囲内となった。なお,許容最大密度ρMは,後述するように,活物質材料6の固形分率によって決まる固定値であり,実験にて求められる。
一方,電極密度ρCが線L1以下(図5中で左下側の範囲32)であると,供給不足による横縞のスケ部22が多く発生する可能性が高く,好ましくない。また,電極密度ρCが線L2以上(図5中で右上側の範囲33)であると,過圧縮による縦縞のスケ部21が多く発生する可能性が高く,好ましくない。
本発明者は,さらなる実験により,図6に示すように,前述したB密度ρBと許容最大密度ρMとが,活物質材料6の固形分率に依存して,固形分率が大きいほど大きい値となる固定値であることを見いだした。なお,本実験は,固形分率が76重量%〜81重量%の範囲内の活物質材料6について行った。固形分としては,正極活物質90.5%,導電助剤8%,バインダ1.5%の比率で混合したものを用い,この固形分に対して溶媒の量を変動させることで,固形分率を変更した。
実験の結果から得られた許容最大密度ρMを,図6中に黒い四角にて示す。図6に示すように,例えば,固形分率77重量%の正極材料では,許容最大密度ρMは,約1.95g/ccであった。また,同じ正極材料を用いて,固形分率78重量%とした場合には,許容最大密度ρMは,約2.15g/ccであった。さらに,固形分率79重量%とした場合の許容最大密度ρMは,約2.25g/ccであり,固形分率80重量%とした場合の許容最大密度ρMは,約2.30g/ccであった。なお,転写性が許容範囲内であるか否かの判断は,例えば,目視または画像処理にてスケ部21,22の面積率を取得し,取得した面積率が所定の閾値以下であるか否かに基づいて行った。
なお,密度が許容最大密度ρMを超える電極は,スケ部21,22が多数発生するため,密度の実測が困難である。そこで,本実験では,周速比Vrと,電極の膜厚,成膜できている箇所の電極目付等に基づいて,密度を導出した。
また,B密度ρBは,前述したAロール1とBロール2との周速やAB設定ギャップの条件において,Aロール1とBロール2とで圧延された後の活物質膜7の密度である。実験の結果から得られたB密度ρBを,図6中に黒い菱形にて示す。図6に示すように,例えば,固形分率77重量%の正極材料では,B密度ρBは,約1.65g/ccであった。また,同じ正極材料を用いて,固形分率78重量%とした場合には,B密度ρBは,約1.85g/ccであった。さらに,固形分率79重量%とした場合のB密度ρBは,約1.95g/ccであり,固形分率80重量%とした場合のB密度ρBは,約2.00g/ccであった。
つまり,電極10の製造に用いる活物質材料6とその固形分率に基づいて,固有のB密度ρBと許容最大密度ρMとを取得することができる。例えば,固形分率77重量%の正極材料を使用して電極10を製造する場合には,前述した式2を満たす電極密度ρCの範囲は,図6中に矢印Sにて示すように,約1.65g/ccから約1.95g/ccまでの範囲である。そして,本形態の製造方法では,電極密度ρCが上述の範囲内となるように,周速比VrとBC設定ギャップとを決定する。
さらに,図5中の線L1,L2は,図7に示すように,周速比VrをX軸とし,BC設定ギャップをY軸としたX−Y平面上にて,直線で近似できる。つまり,活物質材料6とその固形分率に応じて,図7に示した線L1,L2のX−Y平面上での関係式を得ることができる。なお,図7では,X軸上の右方ほど周速比Vrが大,Y軸上の上方ほどBC設定ギャップが大,となるように,図5とは軸の向きを変更している。
つまり,線L1,L2のX−Y平面上での関係式に基づいて,電極密度ρCが許容範囲内となる周速比VrとBC設定ギャップとの組合せを決定できる。具体的には,図7中に斜線で示したように,線L1と線L2との間の範囲内となるように,周速比VrとBC設定ギャップとの組合せを決定する。これにより,前述した式2を満たす電極密度ρCとすることができ,転写不良を抑制して電極10を製造できる。
本形態の製造方法では,前述した電極密度ρCの範囲内であって,さらに,より薄膜の電極10を製造できるように,周速比VrとBC設定ギャップとを決定する。特に,活物質膜8の単位面積あたりの重量(目付量)が小さい電極10を製造できることが望ましい。電極10の目付量Wcは,電極密度ρCを活物質膜8の膜厚で除算することにより求められる。ただし,膜厚が大きいことは好ましくないので,電極密度ρCが小さくなる製造条件を選択するとよい。
また,転写工程の前後では,転写前の活物質膜7の目付量Wbと転写後の電極10の活物質膜8の目付量Wcとの間に,以下の式3の関係がある。なお,周速比Vrは,前述した式1にて求められる。
Wc = Wb / Vr …式3
従って,目付量Wcを小さくするためには,周速比Vrを大きくすることが望ましい。
ただし,本形態の製造装置100では,活物質材料6の性質上,周速比Vrには選択可能な限界がある。具体的には,周速比Vrは,1.2から6.0までの範囲内で選択可能である。本形態で使用する活物質材料6では,周速比Vrを1.2以下または6.0以上とすると,BC設定ギャップの選択にかかわらず適切に転写できない可能性が高い。本製造方法では,選択可能な範囲内で周速比Vrを最大とすることで,目付量Wcの小さい電極10を製造できる。
これらのことから,本形態の製造方法では,図7中の良好範囲31内であって,電極密度ρCが小さく,周速比Vrが大きい製造条件を選択して,電極10を製造する。具体的には,図7中に丸で示したように,線L1より下方で線L1に近い位置であり,周速比Vrの最大値より左方で,BC設定ギャップの最小値より上方の点Pの条件で製造する。これにより,転写不良を抑制して目付量Wcの小さい電極10を製造できる。例えば,固形分率77重量%の正極材料を用いて正極の電極10を製造する場合,周速比Vrを約6.0とし,BC設定ギャップを約5μmとすることにより,目付量が約2.5mg/cm2で,膜厚が約21μmの薄膜の電極10の製造が可能となる。
以上詳細に説明したように本形態の電極の製造方法によれば,Aロール1とBロール2との間で活物質材料6を圧延して活物質膜7とする。そして,Bロール2にて搬送される活物質膜7とCロール3にて搬送される金属箔9とを,Bロール2とCロール3との間を通過させて,活物質膜8が金属箔9に転写された電極10を製造する。ここで,電極10の目付量Wcは,Bロール2上の目付量Wbを,Cロール3の周速とBロール2の周速との比である周速比Vrで除した値である。つまり,周速比Vrを大きくすることで,目付量Wcを小さくできる。さらに,電極10の電極密度ρCは,BC設定ギャップと周速比Vrとの組合せによって変化する。そして,電極密度ρCが,Bロール2上の活物質膜7の密度であるB密度ρBより大きく,活物質材料6に固有の許容最大密度ρMより小さい良好範囲31内となるように,BC設定ギャップと周速比Vrとを決定する。電極密度ρCが,良好範囲31内であれば,転写不良となる可能性は低い。すなわち,電極密度ρCが良好範囲31内となる範囲内で周速比Vrが大きくなるように,BC設定ギャップと周速比Vrとを決定することにより,転写不良を抑制した薄膜の電極10の製造が期待できる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。
例えば,本発明は,金属板に活物質を含む材料による層を形成してシート状の電極を製造する製造方法であれば,リチウムイオン二次電池用の電極に限らず,各種の電池の電極の製造方法に適用可能である。
また,例えば,活物質材料6は,活物質を含む材料であれば良く,正極材料に限らない。固形分率も,実施の形態に記載した範囲に限らない。製造する電極10や使用する金属箔9等に応じて,適宜選択すればよい。
また,製造装置100の構成は,実施の形態にて図示した例に限らない。例えば,各ロール1,2,3のロール径,ロール間の隙間の大きさは,図示の例に限らない。例えば,径の異なるロールを用いてもよい。
また,各ロール1,2,3の配置は,図1に示したような横並びの例に限らない。例えば,図8に示すように,Aロール1とBロール2とを横並びとし,Bロール2の下方にCロール3を配置してもよい。また,図9に示すように,Bロール2とCロール3とを横並びとし,Aロール1をBロール2の下方に配置してもよい。これらの配置とした場合,Aロール1とBロール2との間へ向かって,Cロール3とは反対の側から活物質材料6を供給する。このような配置でも,Aロール1とBロール2との間に供給された活物質材料6は,AB設定ギャップにて圧延された後,Bロール2にて搬送され,BC設定ギャップにて金属箔9に転写される。
1 Aロール
2 Bロール
3 Cロール
6 活物質材料
7 活物質膜
8 活物質膜
9 金属箔
10 電極

Claims (1)

  1. 第1ロールと,
    前記第1ロールに隣接して前記第1ロールと平行に設けられた第2ロールと,
    前記第2ロールに隣接して前記第2ロールと平行に設けられた第3ロールと,
    を備え,
    活物質を含む湿潤材料である活物質材料を,前記第1ロールと前記第2ロールとの間の第1間隙を通過させて前記第2ロール上に圧延する圧延工程と,
    前記圧延工程にて圧延後,前記第2ロールにて搬送される前記活物質材料と,前記第3ロールにて搬送される金属箔とを,前記第2ロールと前記第3ロールとの間の第2間隙を通過させて,前記活物質材料を前記金属箔に転写する転写工程と,
    を含む電極の製造方法であって,
    前記転写工程にて転写後の前記第3ロール上の前記活物質材料の単位面積あたりの重量Wcと,前記圧延工程にて圧延後の,前記第2ロール上の前記活物質材料の単位面積あたりの重量Wbと,前記第3ロールの周速Vcと前記第2ロールの周速Vbとの比である周速比Vrと,が
    Vr = Vc / Vb
    Wc = Wb / Vr
    の関係を満たし,かつ,
    前記転写工程にて転写後の前記第3ロール上の前記活物質材料の密度ρCが,前記圧延工程にて圧延後の,前記第2ロール上の前記活物質材料の密度ρBより大きく,前記活物質材料の許容最大密度ρMより小さい範囲内となるように,前記第2間隙の大きさと,前記周速比Vrと,を決定する,
    ことを特徴とする電極の製造方法。
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