JP6454274B2 - Rsvを検出するためのイムノクロマトグラフィー装置 - Google Patents

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Description

本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)のFタンパク質を特異的に認識する抗体及びNタンパク質を特異的に認識する抗体が固相化されたイムノクロマトグラフィー装置、及びそれを含有してなるRSVの検査用キットに関する。
RSVは、呼吸器感染症の原因ウイルスであり、ウイルスに感染した細胞が多核巨細胞(合胞体)を形成する点に特徴を有する。RSVは年齢を問わず生涯にわたり感染を起こすウイルスであるが、特に乳幼児期において非常に重篤な症状を引き起こす原因となる病原体である。生後1年以内に50〜70%以上の乳児がこのウイルスに感染し、3歳までにほぼ全ての小児が抗体を獲得するが、生後数週から数カ月の期間における感染が最も重篤な症状を引き起こす。低出生体重児又は免疫不全や心肺系に基礎疾患がある小児の場合には重症化のリスクがさらに高まる。RSV感染による致死率は1〜3%と報告されているが、状況によりかなりの差異があり、心臓に基礎疾患を有する小児入院例の研究では、37%もの致死率となることが1980年代に報告されている。
RSV感染症は世界中で報告されており、地理的、気候的な偏りは見られない。特徴的なことは、いずれの地域においても幼弱な乳幼児で重症化すること、及び毎年特に都市部において流行を繰り返すことである。
RSV感染症は乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の50〜90%の原因を占めると報告されている。肺炎、細気管支炎などの下気道疾患による小児の入院数は、インフルエンザよりむしろRSV感染症の流行のピークと一致する。流行期には年長児や成人におけるRSVの再感染も普遍的に見られるが、乳幼児における重症化とは対照的に、年長児や成人では軽度の感冒様症状を呈するのみで軽快することも多い。
RSVは環境中では比較的不安定であるものの、家族内では効率よく感染伝播することが知られている。家族内にウイルスを持ち込むのは、軽症の症状を呈する学童年齢の小児であることが多く、学童年齢の小児と乳幼児のいる家族では、流行期にその44%が家族内でRSVの感染伝播を経験したとの報告もある。感染経路としては、大きな呼吸器飛沫と、呼吸器からの分泌物に汚染された手指や物品を介した接触が主なものであり、特に濃厚接触を介して起こる。したがって、乳幼児への感染を予防するために、その家族は症状の程度に関わらずRSV感染の有無を正確に把握し、感染が認められる場合には、乳幼児との接触を避け、分泌物による汚染を防止することが極めて重要となる。
RSV感染症、特に乳幼児への感染の予防と治療といった観点から、簡便かつより感度の高い迅速診断キットが希求されている。RSVに感染した乳幼児に関しては、可能な限り早期に適切な治療を開始することが望ましく、そのためには短時間で検査結果が得られる一方で、感染初期のウイルス量が少ない時期でも偽陰性となることのない高感度な検査キットが必要とされる。また、乳幼児の家族が感冒様症状を呈しRSV感染が疑われる場合には、身体的及び経済的な負担が少なくRSVの感染の有無が調べられるような簡易な検査方法が求められている。
このような要求を満たす簡便かつ高感度な迅速診断キットとして、イムノクロマトグラフィー法を利用したRSVの検査キットが開発されている。現在、ウイルス抗原を検出しRSV感染症の診断補助に用いることのできるイムノクロマトグラフィー法による検査キットは複数知られているが、それらのキットはいずれもRSVのFタンパク質に対する抗体を利用している(特許文献1〜3)。
RSVのFタンパク質は、RSVの表面に存在する2種の主要な糖タンパク質のうちの1つである。ウイルス表面にはFタンパク質の他にGタンパク質も存在するが、Gタンパク質がRSVサブタイプA及びBの間で53%程度しか相同性がないのに対して、Fタンパク質はサブタイプ間及びサブタイプ内でよく保存されている。Beeler及びCoelingh(1989)による研究では、RSVのFタンパク質に対する抗体は1956〜1985年にかけて米国又はオーストラリアの各地で単離された14種類の臨床分離株の全てに結合できることが示され、Fタンパク質はウイルス株の間で非常に高度に保存されていることが実証されている(特許文献4、非特許文献1)。
エピトープが高度に保存されていることによりあらゆる臨床分離株を漏れなく検出できるであろうとの期待から、RSVを検出するためのキットにはFタンパク質に対する抗体が利用されてきた。しかしながら、従来のRSV検査キットを用いてRSVの検出を行った場合、他の検査方法で陽性とされた検体の30〜40%が陰性と判定されるという大きな問題があった。イムノクロマトグラフィー法による検査キットで偽陰性の判定が多い原因としては、キットで使用されるFタンパク質に対する抗体の結合親和性が十分ではなく、その結果、検体中に含まれるウイルス量が少ない場合には明確な陽性シグナルが得られず偽陰性と判定されてしまうのではないかと考えられていた。そこで、少ないウイルス量でも明瞭なシグナルが検出できる高感度な検査キットを開発するために、RSVのFタンパク質に対して高い親和性を有するモノクローナル抗体の作製が試みられてきた(特許文献5)。しかしながら、Fタンパク質に対する抗体の親和性を高めることのみによっては、臨床分離株を漏れなく検出できるような実用に足る陽性検出率を示すRSV検査キットを開発することは非常に困難であった。
特開2008−14751号公報 特開2008−122372号公報 特開2008−164403号公報 特表2004−534513号公報 特開2010−25745号公報
Journal of Virology, July 1989, Vol.63, No.7, p.2941-2950
本発明は、クロマトグラフィー媒体の判定部位にRSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体を用いた、RSVの簡便かつより感度の高いイムノクロマトグラフィー装置及びイムノクロマトグラフィー法による検査用キット、並びにそれらを用いたRSVの検出方法及びRSV感染症を判定又は診断する方法を提供する。
また、本発明は、検体に含まれるウイルス量が少ない場合でも効率よくRSVを検出することを可能にするイムノクロマトグラフィー装置及びイムノクロマトグラフィー法による検査用キット、並びにそれらを用いたRSVの検出方法及びRSV感染症を判定又は診断する方法を提供する。
本発明者らは、検体に含まれるRSVを効率よく判定部位に捕捉してイムノクロマトグラフィー装置の感度を高めるために、より高親和性のFタンパク質に対する抗体を判定部位に固相化することに加えて、Fタンパク質に対する抗体をRSVの他のタンパク質に対する抗体と組み合わせて固相化することを検討してきた。そして、本発明者らは、驚くべきことに、Fタンパク質に対する抗体のみならずRSVのNタンパク質(核タンパク質)に対する抗体を組み合わせて固相化することにより、Fタンパク質に対する抗体を単独で固相化した検査キットに比べて、陽性検体の測定時のシグナルが増強できることを見出した。さらに、本発明者らは、判定部位にFタンパク質に結合する抗体とNタンパク質に結合する抗体とを組み合わせて固相化することにより、PCR法等で十分なウイルス量の存在が確認されているにもかかわらず、従来のイムノクロマトグラフィー法では陰性と判定されていた検体であっても正確に陽性と判定でき、他の検査方法との陽性一致率を著しく改善できることを見出した。
即ち、本発明は、イムノクロマトグラフィー装置において、判定部位にFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体が固相化されたクロマトグラフィー媒体を構成要素として含有してなることを特徴とする、イムノクロマトグラフィー装置に関する。
また、本発明は、前記イムノクロマトグラフィー装置を含有してなるRSVの検査用キットに関する。
さらに、本発明は、判定部位にFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体が固相化されたイムノクロマトグラフィー装置を使用する、RSVの検出方法に関する。また、本発明は、判定部位に固相化されたFタンパク質に対する抗体及びNタンパク質に対する抗体と検体液を接触させる工程を含有してなるイムノクロマトグラフィー法によるRSVの検出率を改善する方法に関する。
さらに詳細に本発明の態様を説明すれば次の(1)〜(12)のようになる。
(1)RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を固相化した判定部位を備えたクロマトグラフィー媒体を含有してなる、イムノクロマトグラフィー装置。
(2)試料添加部、クロマトグラフィー媒体及び吸収部から実質的に構成されている、前記(1)に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
(3)さらに、標識試薬保持部を含有する、前記(2)に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
(4)Fタンパク質に特異的に結合する抗体が、サブグループA及びサブグループBのそれぞれのRSV株のFタンパク質のいずれか一つ又はそれらの両方に特異的に結合する抗体である、前記(1)〜(3)に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
(5)RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を固相化した判定部位を備えたクロマトグラフィー媒体を含有してなるイムノクロマトグラフィー装置、及び、
検体希釈液、
を含有するイムノクロマトグラフィー法によるRSVの検査用キット。
(6)イムノクロマトグラフィー装置が、試料添加部、クロマトグラフィー媒体及び吸収部から実質的に構成されている、前記(5)に記載の検査用キット。
(7)イムノクロマトグラフィー装置が、さらに標識試薬保持部を含有する、前記(6)に記載の検査用キット。
(8)検査用キットが、さらに標識試薬溶液を含有する、前記(6)に記載の検査用キット。
(9)RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を固相化した判定部位を備えたイムノクロマトグラフィー装置を用いる、RSVの検出方法。
(10)(a)判定部位に、RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体が固相化されているイムノクロマトグラフィー装置に、検体を含有する検体液を供給する工程、
(b)工程(a)で供給された検体液を、標識試薬とともに前記判定部位を通過させる工程、
(c)判定部位において、標識試薬を含有する検体液と固相化されている抗体とを接触させる工程、及び、
(d)標識試薬に起因する発色が検出された場合に検体を「RSV陽性」と判定する工程、
を含有する、イムノクロマトグラフィー法によるRSVを検出する方法。
(11)イムノクロマトグラフィー装置に供給する前に、検体を検体希釈液で希釈する工程をさらに含有する、前記(10)に記載の方法。
(12)前記(10)又は(11)のいずれかに記載の方法による、RSVの検出率を改善する方法。
本発明のイムノクロマトグラフィー装置は、クロマトグラフィー媒体にFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体を固相化して判定部位が形成される。同一の判定部位にこれら2種の抗体を混合して使用することにより、効率よくRSV抗原を捕捉することができ、それぞれの抗体を単独で固相化した検査キットに比べて陽性検体測定時のシグナルを増強することができ、高感度で、高信頼性で、かつ簡便なRSVの迅速診断キットを提供することができる。陽性シグナルが増強されるので、検体に含まれるウイルス量が少なくても高感度にRSVを検出することができ、感染初期の患者から得られた検体であっても正確にRSVの存在を判定することができる。また、必要に応じて検体を希釈しても感度よくRSVを検出できるので、鼻腔拭い液、咽頭拭い液等の粘性が高い検体をそのまま展開した場合に生じる問題、すなわち、クロマトグラフィー媒体を検体が移動できず判定不能となる、又はクロマトグラフィー媒体に検体中のRSV以外の成分が吸着して非特異的なシグナルを生じるといった問題を防止することができる。
また、本発明の判定部位に固相化されるNタンパク質に特異的に結合する抗体は、検体に含まれるFタンパク質の抗原性が失われた場合でも、RSV抗原を判定部位に捕捉することができるので、本発明はRSVが含まれる検体を正確に陽性と判定することができる。例えFタンパク質の抗原性が失われてもRSVの存在を確実に判定できるので、Fタンパク質の抗原性に影響を与えるようなより厳しい条件で検体を前処理又は保存することも可能となる。これにより、従来では粘性が高すぎる等の理由からイムノクロマトグラフィー法には適さなかったような検体を、前処理や保存条件を適宜設定することによりクロマトグラフィー媒体を所定の時間内に移動できるような状態に変性することが可能となり、検体の状態に関わらず迅速に正確な検査を実現できるようになる。
本発明のイムノクロマトグラフィー装置は、Fタンパク質に対する抗体及びNタンパク質に対する抗体を組合せて使用することにより、低濃度のRSVを感度よく検出することができるのみならず、十分な量のウイルスを含む検体を漏れなく正確に陽性と判定することができる。その結果、従来のイムノクロマトグラフィー法による検査キットに比べて、ウイルスの検出率を格段に上昇させることができ、他の検査方法との陽性一致率を著しく改善することができる。したがって、本発明は、他の検査方法に匹敵するウイルス検出率と、簡便かつ迅速というイムノクロマト法に特有の利点を兼ね備えた有用なRSVの検査方法を提供できる。
図1は、イムノクロマトグラフィー装置の概略を示す断面図である。イムノクロマトグラフィー装置は、通常、試料添加部(1)、判定部位(4)を備えたクロマトグラフィー媒体(3)、吸収部(5)およびバッキングシート(6)から構成されており、任意で標識試薬保持部(2)を設けることもできる。
本発明の態様をさらに詳細に説明する。
本発明は、判定部位にRSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体の両者を用いる点に特徴を有し、イムノクロマトグラフィー法の原理により、検体中のRSVのFタンパク質及び/又はNタンパク質を検出することで、検体中にRSVが存在することを判定する。
本発明におけるRSVの「Fタンパク質に特異的に結合する抗体」とは、ヒトに感染性を有するRSVのFタンパク質を特異的に認識し、結合する抗体である。
RSVは、パラミクソウイルス科に属するRNAウイルスの一種であり、A型及びB型の2つのサブタイプに分類される。RSVの遺伝子配列はすでに決定されている。
RSVのFタンパク質は、RSVの表面に存在する3つの糖タンパク質の1つである。Fタンパク質は融合タンパク質とも呼ばれ、ウイルスのエンベロープ膜と感受性細胞の細胞膜との融合を促進し、ウイルスのリボ核タンパク質が細胞質へ侵入するのを可能にする。Fタンパク質は、さらにウイルス感染細胞とそれに隣接する細胞との細胞膜の融合も促進し、これにより合胞体が形成される。
Fタンパク質は、F0と呼ばれるFタンパク質前駆体の切断により生じる約50kDaのF1ポリペプチド及び約20kDaのF2ポリペプチドが、ジスルフィド結合で結合した約70kDaのヘテロ二量体タンパク質である。
いくつかのRSV株のFタンパク質のアミノ酸配列は公知となっており、例えば、RSV Long株のアミノ酸配列は、NCBIのGenBankデータベースにアクセッション番号P12568として公表されている。
本発明におけるRSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体は、ヒトに感染性を有するRSV株のFタンパク質に特異的に結合する抗体であればいかなるエピトープを認識する抗体でもよく、F1ポリペプチド上のエピトープを認識する抗体、F2ポリペプチド上のエピトープを認識する抗体、又はそれらがジスルフィド結合することによって生じる立体的なエピトープを認識する抗体であってもよい。ただし、サブタイプの相違によるウイルスの検出漏れを防止するため、RSVのサブタイプA及びBに共通するエピトープを認識し、サブタイプA及びBのいずれのウイルス株のFタンパク質とも結合する抗体が好ましい。
本発明におけるRSVの「Nタンパク質に特異的に結合する抗体」とは、ヒトに感染性を有するRSVのNタンパク質を特異的に認識し、結合する抗体である。
RSVのNタンパク質は核タンパク質とも呼ばれ、391のアミノ酸残基からなる。Nタンパク質は、ヌクレオカプシドと呼ばれるリボ核タンパク質複合体の構成成分であり、RSVのゲノムRNAを囲みらせん構造を形成している。いくつかのRSV株のNタンパク質のアミノ酸配列は公知となっており、例えば、RSV Long株のアミノ酸配列は、NCBIのGenBankデータベースにアクセッション番号DD857370として公表されている。Nタンパク質のアミノ酸配列は、サブタイプA及びBのRSV株の間で高度に保存されている。
本発明におけるRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体は、ヒトに感染性を有するRSV株のNタンパク質に特異的に結合する抗体であればNタンパク質上のいかなるエピトープを認識する抗体でもよい。ただし、サブタイプの相違によるウイルスの検出漏れを防止するため、RSVのサブタイプA及びBに共通するエピトープを認識し、サブタイプA及びBのいずれのウイルス株のNタンパク質とも結合する抗体が好ましい。
本発明における抗体とは、モノクローナル抗体であってもよいしポリクローナル抗体であってもよく、さらにそれらの抗原結合性断片でもよい。ただし、高い結合親和性、供給の安定性、製品の品質管理の容易さなどを考慮すると、モノクローナル抗体であることが好ましい。
本発明に用いることのできる抗体は、公知の方法に従って製造することもできるし、商業的に入手することも可能である。
本発明のFタンパク質を認識する抗体又はNタンパク質を認識する抗体の製造は、RSVのFタンパク質又はNタンパク質を免疫原として用い、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウマ及びウシ等の抗体産生動物に投与することで行うことができる。免疫原として用いられるRSVのFタンパク質又はNタンパク質は、免疫原としての作用が発揮できればその投与形態は特に限定されないが、例えば、精製RSV、RSV感染細胞若しくはそれらの抽出物、精製されたタンパク質、又はタンパク質のアミノ酸配列の一部を合成したペプチドの形態で投与される。ペプチドを合成する場合、Fタンパク質及びNタンパク質のアミノ酸配列は、上述のとおり公知である。
本発明で用いられる抗体がポリクローナル抗体である場合には、常法に従って調製することができる。例えば、上記の免疫原が投与された抗体産生動物から血液を採取し、RSVのFタンパク質又はNタンパク質と抗原抗体反応するが、RSVの他の成分とは実質的に抗原抗体反応しないイムノグロブリン画分を、RSVのFタンパク質又はNタンパク質が結合した担体を用いるアフィニティークロマトグラフィー精製などの方法により取得する。
本発明で用いられる抗体がモノクローナル抗体である場合には、例えば、常法にしたがって、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを作製することで抗体を製造できる。抗体産生ハイブリドーマの作製は、例えば、上記の免疫原が投与された動物から脾臓細胞などを採取し、公知の手法(例えば、Nature, 256 : 495-497 (1975)を参照)で、ミエローマ細胞などの腫瘍細胞と細胞融合させることにより行うことができる。
細胞融合により得られたハイブリドーマの中から、目的の抗体を産生するハイブリドーマをスクリーニングする方法としては、例えば、Fタンパク質又はNタンパク質を固相化したマイクロプレートを用いた固相ELISAなどの方法により行うことができる。
本発明の抗体は、それを産生するハイブリドーマを、通常の細胞培養に用いられる培地において培養し、培養上清から回収することによって調製できる。また、ハイブリドーマが由来する動物の腹腔内に投与することによって、腹水を貯留させ、この腹水から回収することによって調製することもできる。
本発明のFタンパク質を認識する抗体又はNタンパク質を認識する抗体は、上述のとおり製造することができる他、例えば、特表2004−511807号公報に記載されているように、複数の製造者から商業的に入手することも可能である。本発明の抗体として、このように商業的に入手可能な抗体を用いることもできる。
本発明の「イムノクロマトグラフィー装置」は、実質的に試料添加部、クロマトグラフィー媒体及び吸収部から構成されており、任意で標識試薬保持部を設けることもできる。
本発明で用いられる「クロマトグラフィー媒体」は、多孔性の膜からなり、毛管現象により検体を含有する検体液がその中を移動することができるものであれば、特に限定されないが、孔径が平均0.3〜15μmの多孔性膜が好んで用いられる。好適なクロマトグラフィー媒体は、検体に溶解している成分と反応しない不活性な材質であり、かつ抗体を固相化できる材質からなり、例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ガラス繊維、ポリオレフィン、セルロース、これらの混合繊維からなる人工ポリマー等で構成される。
本発明の「判定部位」は、クロマトグラフィー媒体の一部に、RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体を固相化することにより形成される。
Fタンパク質に対する抗体又はNタンパク質に対する抗体は、混合された状態で判定部位の領域全体に固相化されていてもよいし、判定部位の領域をさらに区分けしてそれぞれの部分に分けて固相化されていてもよい。好ましい態様としては、陽性シグナルの増強効果が得られるとの理由から、2つの抗体が混合された状態で判定部位の同一の領域に固相化される。
本発明の判定部位には、RSVのFタンパク質に対する抗体及びNタンパク質に対する抗体の両者が存在すれば、それらの割合は特に限定されるものではないが、Fタンパク質に特異的な抗体に対してNタンパク質に特異的な抗体の割合が大きい方が好ましい。好ましい存在比率としては、抗Fタンパク質抗体/抗Nタンパク質抗体が、1/1〜1/5であり、より好ましくは、1/3〜1/4である。
クロマトグラフィー媒体に抗体を固相化させる方法は、物理的な吸着であってもよく、化学的な結合であってもよい。抗体を物理的吸着によって固相化させる場合には、抗体を緩衝液等に希釈した溶液をクロマトグラフィー媒体に塗布し、乾燥させることにより行うことができる。Fタンパク質に対する抗体及びNタンパク質に対する抗体の固相化は、いずれか一方の抗体をクロマトグラフィー媒体に塗布、乾燥させた後、もう一方の抗体を別の領域に又は同じ領域に重ねて塗布することにより行うことができる。あるいは、Fタンパク質に対する抗体及びNタンパク質に対する抗体を予め所望の比率で混合した後、クロマトグラフィー媒体の所定の位置に塗布し、乾燥させることにより、固相化することもできる。
クロマトグラフィー媒体に抗体を固相化させ判定部位を形成した後、必要に応じて、非特異的な反応を防止するためにクロマトグラフィー媒体にブロッキング処理を行うこともできる。ブロッキング処理は、例えば、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼイン、ゼラチン等の蛋白質の他、Blocking Peptide Fragment(TOYOBO社製)や親水性高分子ポリマー等の市販のブロッキング剤を用いて実施することができる。
本発明における「試料添加部」は、本発明のイムノクロマトグラフィー装置において検体を含有する検体液が供給される部位であり、クロマトグラフィー媒体と毛管で繋がるように配置される。試料添加部は、毛管現象により検体液が移動できればその材質は特に限定されないが、一般に、レーヨン、キュプラ、ろ紙、ガラス繊維ろ紙等の多孔性物質からその目的に応じたものが選択される。
本発明における「吸収部」は、本発明のイムノクロマトグラフィー装置において、検体及び標識試薬が吸収される部位である。試料添加部に供給された検体液はクロマトグラフィー媒体の判定部位を通過し吸収部で吸収される。吸収部は、過剰の検体及び標識試薬を迅速に吸収できればその材質は特に限定されず、セルロース、ろ紙、ガラス繊維ろ紙等の多孔性物質からその目的に応じたものが選択して用いられ、クロマトグラフィー媒体と毛管で繋がるように配置される。
本発明のクロマトグラフィー装置は、実質的にクロマトグラフィー媒体、試料添加部及び吸収部からなるが、操作性を向上させるためにさらにバッキングシートを設けてもよい。バッキングシートは、クロマトグラフィー媒体を裏打ちし、試料添加部及び吸収部が接着されたクロマトグラフィー媒体の取扱いを容易にする。バッキングシートは、その目的を達するものであればその材質は特に限定されないが、一般に無色又は白色のプラスチックが好んで用いられる。
本発明のクロマトグラフィー装置は、判定部位に固相化された抗Fタンパク質抗体及び抗Nタンパク質抗体によって、検体に含まれるFタンパク質抗原及び/又はNタンパク質抗原を判定部位に捕捉する。判定部位に捕捉されたこれらの抗原に、さらに標識試薬が結合することにより、それらの存在が可視化される。
本発明における「標識試薬」は、Fタンパク質に特異的に結合する抗体及び/又はNタンパク質に特異的に結合する抗体と標識物質からなる。本発明の標識試薬は、検体に含まれるFタンパク質抗原及びNタンパク質抗原と標識物質とを抗体を介して間接的に結合させる。
本発明の標識試薬に用いることのできる抗体は、判定部位に固相化された抗Fタンパク質抗体及び抗Nタンパク質抗体によって捕捉された状態のFタンパク質抗原又はNタンパク質抗原に結合できる抗体であれば、いかなる抗体であってもよい。例えば、RSVに特異的なポリクローナル抗体、Fタンパク質又はNタンパク質に特異的なポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体を用いることができるが、Fタンパク質又はNタンパク質に特異的なモノクローナル抗体を用いるのが好ましく、さらには判定部位に固相化されたモノクローナル抗体とは異なるエピトープを認識するFタンパク質又はNタンパク質に特異的なモノクローナル抗体を用いるのがより好ましい。
本発明の標識試薬に用いることのできる標識物質は、判定部位に抗原及び抗体を介して間接的に結合した状態で目視可能なシグナルを発生できるものであれば、特に限定されないが、一般には酵素又は不溶性担体が好んで用いられる。標識物質として用いることのできる酵素は、例えばアルカリフホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシターゼ、β−ガラクトシダーゼ、ウレアーゼ、グルコースオキシダーゼ等が挙げられ、有色の生成物を生じる基質と組み合わせて用いられる。標識物質として用いることのできる不溶性担体は、多孔性のクロマトグラフィー媒体を毛管現象により移動できる粒径であり有色のものであれば特に限定されない。例えば、コロイド状金属粒子、コロイド状金属酸化物粒子、コロイド状非金属粒子及びラテックス粒子等が用いられ、好ましくは平均粒径1nm〜500nmのコロイド状金属粒子が用いられ、さらに好ましくは平均粒径40nm〜100nmのコロイド状金粒子が用いられる。
本発明の標識試薬は、Fタンパク質又はNタンパク質に特異的に結合する抗体と標識物質とを物理吸着や化学結合などの公知の方法により結合させることで製造できる。例えば、抗体とコロイド状金粒子からなる標識試薬は、金粒子がコロイド状に分散した溶液に抗体を加えて物理吸着させた後、牛血清アルブミン溶液や前述のブロッキング剤などを添加して抗体が結合しなかった粒子表面をブロッキングすることにより調製できる。
抗体として、Fタンパク質に対するモノクローナル抗体及びNタンパク質に対するモノクローナル抗体を用いる場合、それらの抗体を予め所望の比率で混合してからコロイド状金粒子に結合させることで、判定部位に捕捉されたFタンパク質及びNタンパク質の両者に結合できる標識試薬を製造できる。あるいは、2種以上の抗体をそれぞれ金粒子に結合させた後、抗体が結合した金粒子を所望の比率で混合することにより、Fタンパク質及びNタンパク質に結合できる標識試薬を製造することもできる。標識試薬に含まれる抗Fタンパク質抗体と抗Nタンパク質抗体の比率を厳密に制御できることから、後者の製造方法が好ましい。標識試薬に含まれる抗Fタンパク質抗体と抗Nタンパク質抗体の比率は特に限定されるものではないが、判定部位におけるそれらの抗体の存在比率と同じが好ましい。
本発明の一つの態様では、標識試薬は、イムノクロマトグラフィー装置に任意で設けられた標識試薬保持部に乾燥状態で保持される。本発明の標識試薬保持部はイムノクロマトグラフィー装置の試料添加部と判定部位の間に設けられる。標識試薬保持部に保持された標識試薬は、クロマトグラフィー装置に供給された検体液に溶解し、検体中のRSV抗原とともに判定部位を通過する。
本発明の標識試薬保持部は、標識試薬を乾燥保持でき、クロマトグラフィー媒体と毛管で繋がるように配置することができれば、その材質は特に限定されず、例えばセルロースろ紙、ガラス繊維ろ紙、ナイロン不織布等を用いることができる。標識試薬保持部は、標識試薬の再溶解性を良好にするために、サッカロース、スクロース、トレハロース、マルトース、ラクトース等の糖類、マンニトール等の糖アルコール等を含んでいてもよい。
本発明の別の態様では、標識試薬は、溶液の状態で、イムノクロマトグラフィー装置とは別の構成要素として、検査キットに包含される。標識試薬溶液は、標識試薬が検体中のRSV抗原とともに判定部位を通過することができ、判定部位に固相化された抗体にRSV抗原が捕捉されるのを妨げることなく標識試薬がRSV抗原に結合できれば、どのような様式でクロマトグラフィー装置に供給されてもよい。例えば、標識試薬溶液と検体液を混合した後、混合物をイムノクロマトグラフィー装置の試料添加部に供給することもできるし、検体液を供給した後、続けて標識試薬溶液を試料添加部に供給することもできる。
本発明によってRSVの存在が判定される「検体」としては、RSVの存在が疑われる生体試料であって液性のものであればいずれも本発明に適用できるが、好ましくは鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、鼻汁又は鼻腔洗浄液等が挙げられる。
本発明によって、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、鼻汁又は鼻腔洗浄液中のRSVの存在を判定する場合には、これらの液体試料をそのままイムノクロマトグラフィー装置に供給し展開することもできる。しかしながら、クロマトグラフィー媒体での移動を容易にするためにこれらの粘性の高い試料を検体希釈液によって希釈し供給することもできる。本発明において、「検体液」とは液性の検体それ自体又は検体希釈液で希釈された検体を意味する。
本発明で用いられる「検体希釈液」は、溶媒として水を用い、これに塩及びpHを調整するための緩衝剤を加えて調製することができる。さらに、検体希釈液には、検体の流動性を高める目的、及び検体に含まれるRSV以外の成分に起因する非特異反応を低減する目的で、界面活性剤及びビニル系水溶性ポリマーを添加してもよい。
本発明の検体希釈液に用いられる塩としては、酸と塩基の反応により得られた塩であれば特に限定されないが、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属無機塩が挙げられる。好ましくは、塩化ナトリウムである。
本発明の検体希釈液に用いられる緩衝剤としては、検体を添加しても溶液のpHを一定に保つことができれば特に限定されないが、pHを7〜11の範囲に保つことができる緩衝剤が好ましく、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、ホウ酸塩、トリス緩衝剤又はグッド緩衝剤等が用いられる。
本発明の希釈液に用いられる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が好ましく、親水親油バランス値(HLB値)が13〜18の非イオン性界面活性剤がより好ましく、HLB値が13〜18のポリオキシエチレン系界面活性剤がさらに好ましい。好ましい界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(商品名「Tween」シリーズ)、ポリオキシエチレンp−t−オクチルフェニルエーテル(商品名「Triton」シリーズ)、ポリオキシエチレンp−t−ノニルフェニルエーテル(商品名「TritonN」シリーズ)等が挙げられる。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。非イオン性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、検体希釈液全体の重量に対して0.01〜10.0重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.1〜5.0重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%、さらに好ましくは0.3〜1.0重量%の範囲で用いられる。
本発明の希釈液に用いられるビニル系水溶性ポリマーとしては、酸素原子及び窒素原子含有極性基を有するビニル系水溶性ポリマーが好ましく、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ジメチルメタクリルアミド、ビニルピロリドンなどのビニル系モノマーの二重結合が開裂した構造単位を有するポリマーを挙げることができる。本発明のビニル系水溶性ポリマーは、ビニルアルコール、酢酸ビニル、アルキルアクリレートなどの酸素原子含有極性基を有するビニル系モノマーが、例えば、50モル%以下、好ましくは30モル%以下、特に好ましくは15モル%以下の割合で共重合されたものであってもよい。本発明のビニル系水溶性ポリマーの好ましい具体例としては、ポリビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド/ビニルピロリドン共重合体(ジメチルアクリルアミドの共重合割合が50モル%以下のもの)、ビニルアルコール/ビニルピロリドン共重合体(ビニルアルコールの共重合割合が50モル%以下のもの)、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体(酢酸ビニルの共重合割合が20モル%以下のもの)などの非イオン性のポリマーを挙げることができる。これらのビニル系水溶性ポリマーの分子量は、1万〜100万、より好ましくは10万〜100万、さらに好ましくは20万〜50万である。ビニル系水溶性ポリマーの含有量は、特に限定されないが、検体希釈液全体の重量に対して0.01〜5.0重量%の範囲で用いられ、好ましくは0.1〜2.0重量%の範囲で用いられる。
好ましい検体希釈液の組成としては、0.1〜1重量%の非イオン界面活性剤、0.05〜0.2Mのアルカリ金属無機塩、pHが7〜11の緩衝剤、および、0.1〜1重量%のビニル系水溶性ポリマーを含む水溶液である。より好ましくは、0.1〜1重量%のHLB値が13〜18である非イオン界面活性剤、0.05〜0.2Mのアルカリ金属無機塩、pHが7〜11のトリス緩衝剤またはグッド緩衝剤、窒素原子および酸素原子含有極性基を有する0.1〜1重量%のビニル系水溶性ポリマーを含む水溶液である。
本発明の検体希釈液は、鼻腔拭い液等の粘性が高く固形物を含む検体を希釈するために使用することができる。検体を検体希釈液で希釈することにより、クロマトグラフィー媒体への検体の詰まりを防止し検体の移動を容易にする。また、検体に溶解している成分のクロマトグラフィー媒体への非特異的吸着も防止できる。
本発明の検体希釈液は、液量の少ない検体を展開させるための展開液として使用することもできる。検体の液量が少なく、試料添加部に供給した検体が吸収部まで達しないような場合には、本発明の検体希釈液を追加で供給することで、検体が判定部位を通過し吸収部まで到達することを確実にする。
検体希釈液は、イムノクロマトグラフィー装置とともに、本発明の検査キットに包含される。
本発明のRSVの検査用キットは、少なくともイムノクロマトグラフィー装置及び検体希釈液を含み、任意で標識試薬溶液を含む。
さらに、本発明の検査用キットは、必要に応じて、検体採取器具、検体ろ過フィルター、陽性コントロール及び陰性コントロールを含んでいてもよい。検体採取器具は、検体の性質に応じて適宜選択することができ、例えば滅菌綿棒等が挙げられる。検体ろ過フィルターは、例えば、採取した検体それ自体、あるいは検体を検体希釈液で希釈してろ過することにより、固形物を除去するために用いられる。
以下に、本発明によるRSVの検出の原理を説明する。
RSV抗原を含む検体液がイムノクロマトグラフィー装置の試料添加部に供給されると、検体液は毛管現象によりクロマトグラフィー媒体に到達し、クロマトグラフィー媒体を移動する。
供給前に検体液が標識試薬溶液と混合されるか、標識試薬保持部に保持される標識試薬を検体液が溶解するか、又は検体液が供給された後に標識試薬溶液が供給されることにより、検体液に含まれるRSV抗原は標識試薬と結合する。
RSV抗原は、標識試薬を伴って、クロマトグラフィー媒体の判定部位を通過する。検体液と抗体の接触により、固相化された抗Fタンパク質抗体又は抗Nタンパク質抗体がRSV抗原を判定部位に捕捉する。
余剰の検体及び標識試薬は、クロマトグラフィー媒体をさらに移動して吸収部に吸収される。
検体がRSV抗原を含んでいる場合、判定部位に標識試薬と結合したFタンパク質抗原及び/又はNタンパク質抗原が捕捉されるので、判定部位に目視可能なシグナルが出現する。すなわち、判定部位に現れた明瞭なシグナルは、検体がRSVを含んでいることを意味し、検体は陽性と判定される。
一方、判定部位に標識試薬と結合したRSV抗原が十分な量で捕捉されなかった場合には、判定部位にシグナルが出現しない。これは、一般に、検体がRSVを含んでいないか、含んでいてもその量が検出限界以下であることを意味し、検体は陰性と判定される。
本発明によるRSV検出方法の具体的手順を以下に例示する。
(1)判定部位に、RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体が固相化されているイムノクロマトグラフィー装置に、検体液を供給する、
(2)検体液と同時に又は続けて標識試薬溶液をイムノクロマトグラフィー装置に供給する、
(3)標識試薬をともなった検体を前記判定部位を通過させ、判定部位に固相化された抗体と検体を接触させる、
(4)判定部位において、標識試薬に起因する発色を検出する、
(5)発色が検出された場合に検体を「RSV陽性」と判定し、発色が検出されなかった場合に検体を「RSV陰性」と判定する。
なお、(1)の工程において、検体液は検体希釈液で希釈された検体であってもよい。また、(2)の工程は任意であり、例えばイムノクロマトグラフィー装置に標識試薬保持部が設けられている場合には省略することができる。
上記の手順により検体に含まれるRSVの検出を行うことができる。特に、前記の手順によりRSVの検出を行うことで、従来のイムノクロマトグラフィー法による検査方法に比べて、ウイルスの検出率を格段に上昇させることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
(1)抗RSVモノクローナル抗体の作製
精製RSV株又はRSV感染細胞をBALB/cマウスに免疫し、採血によりRSVのFタンパク質又はNタンパク質に対する抗体価の上昇を確認した。抗体価の上昇が認められたマウスから脾臓を摘出し、ケラーらの方法(Kohler et al., Nature, vol, 256, p495-497(1975))によりマウスミエローマ細胞と融合させた。
得られた融合細胞(ハイブリドーマ)を、37℃インキュベーター中で培養し、RSVのFタンパク質抗原又はNタンパク質抗原を固相化したプレートを用いたELISAにより培養上清の抗体価を確認した。RSVのサブタイプA及びBのそれぞれに由来するFタンパク質又はNタンパク質に対して、培養上清中の抗体価の上昇が認められたハイブリドーマを選択した。さらにクローニングを行ってハイブリドーマを純化(単クローン化)した。
単クローン化した抗体産生ハイブリドーマをプリスタン処理したBALB/cマウスに腹腔内投与し、約2週間後、抗体含有腹水を採取した。得られた腹水からProteinAカラムクロマトグラフィー(アマシャム社製)を用いたアフィニティ精製によってIgGを精製し、抗Fタンパク質モノクローナル抗体又は抗Nタンパク質モノクローナル抗体を得た。
(2)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
前記(1)で作製された抗Fタンパク質モノクローナル抗体又は抗Nタンパク質モノクローナル抗体を重量比1:1で混合し、5重量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.4)で0.5mg/mLの濃度になるように希釈し抗体溶液を作製した。
25×2.5cmのニトロセルロース膜(ミリポア社製:HF120)に、抗体塗布機(BioDot社製)を用いて、前記抗体溶液を塗布し、50℃で30分間乾燥させた後、室温で一晩乾燥させ、クロマトグラフィー媒体に判定部位を作製した。
(3)標識試薬溶液の作製
判定部位の作製に用いられた抗Fタンパク質抗体又は抗Nタンパク質抗体とは異なるクローンから得られた抗Fタンパク質抗体又は抗Nタンパク質抗体を用いて、標識試薬の作製を行った。
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:平均粒子径40nm)0.5mLに、HEPES緩衝液(pH7.5)で0.1mg/mLの濃度になるように希釈した抗Fタンパク質モノクローナル抗体又は抗Nタンパク質モノクローナル抗体を0.1mL加え、室温で10分間静置した。次いで、10重量%の牛血清アルブミンを含むHEPES緩衝液(pH7.5)を0.1ml加え、室温で10分間静置した。その後、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1重量%の牛血清アルブミンを含むリン酸緩衝液(pH7.4)0.1mLを加え、抗Fタンパク質抗体含有標識試薬溶液又は抗Nタンパク質抗体含有標識試薬溶液を作製した。
(4)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記で作製した抗Fタンパク質抗体含有標識試薬溶液及び抗Nタンパク質抗体含有標識試薬溶液を体積比1:1で混合した。混合後の標識試薬溶液200μlに100μlの25重量%トレハロース水溶液を加えたものを16mm×100mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識試薬保持部を作製した。次に、プラスチック製のバッキングシートに、判定部位を有するクロマトグラフィー媒体、標識試薬保持部、試料添加部であるグラスファイバー製のサンプルパッド、余剰の検体や標識物質を吸収するための吸収パッドを貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、イムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(5)検体希釈液の作製
0.5%Tween20、0.6%ポリビニルピロリドン(PVP)K−90(分子量 36万)、1.0%牛血清アルブミンと150mM塩化ナトリウムを含むトリス緩衝溶液(pH8.0)からなる溶液を作製し、鼻腔拭い液、咽頭拭い液、鼻腔吸引液、鼻汁又は鼻腔洗浄液等の検体を希釈処理するための検体希釈液とした。
(6)測定
上記で作製したイムノクロマトグラフィー装置及び検体希釈液を用いて、以下の方法で検体中のRSウイルスの存在の有無を判定した。
RSVに感染している人から採取した鼻汁を上記検体希釈液で10倍、50倍、100倍に希釈した。これらの試料120μLをイムノクロマトグラフィー装置のサンプルパッド上に供給し展開させ、10分後に目視にて判定を行った。判定部位に赤い線を鮮明に確認できるものを「+++」、確認できるものを「++」、赤い線は確認できるが、色が薄いものを「+」、赤い線を確認できないものを「−」とした。結果を表1に示す。
(比較例1)
(1)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
抗Fタンパク質モノクローナル抗体のみを用いて、上記実施例1の(2)と同様にクロマトグラフィー媒体の判定部位を作製した。使用された抗Fタンパク質モノクローナル抗体は、実施例1の判定部位に用いられた抗体と同じクローンに由来する抗体であった。
(2)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記実施例1の(3)と同様の方法で、抗Fタンパク質抗体のみを含有する標識試薬溶液を作製し、上記実施例1の(4)と同様にしてイムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(3)測定
上記実施例1の(5)に記載の検体希釈液を用いて、実施例1の(6)と同様にして、検体の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
(1)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
抗Fタンパク質モノクローナル抗体のみを用いて、上記実施例1の(2)と同様にクロマトグラフィー媒体の判定部位を作製した。使用された抗Fタンパク質モノクローナル抗体は、実施例1の判定部位に用いられた抗体とは異なるクローンに由来する抗体であった。
(2)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記実施例1の(3)と同様の方法で、抗Fタンパク質抗体のみを含有する標識試薬溶液を作製し、上記実施例1の(4)と同様にしてイムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(3)測定
上記実施例1の(5)に記載の検体希釈液を用いて、実施例1の(6)と同様にして、検体の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例3)
(1)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
抗Nタンパク質モノクローナル抗体のみを用いて、上記実施例1の(2)と同様にクロマトグラフィー媒体の判定部位を作製した。使用された抗Nタンパク質モノクローナル抗体は、実施例1の判定部位に用いられた抗体と同じクローンに由来する抗体であった。
(2)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記実施例1の(3)と同様の方法で、抗Nタンパク質抗体のみを含有する標識試薬溶液を作製し、上記実施例1の(4)と同様にしてイムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(3)測定
上記実施例1の(5)に記載の検体希釈液を用いて、実施例1の(6)と同様にして、検体の測定を行った。結果を表1に示す。
(比較例4)
(1)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
抗Nタンパク質モノクローナル抗体のみを用いて、上記実施例1の(2)と同様にクロマトグラフィー媒体の判定部位を作製した。使用された抗Nタンパク質モノクローナル抗体は、実施例1の判定部位に用いられた抗体とは異なるクローンに由来する抗体であった。
(2)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記実施例1の(3)と同様の方法で、抗Nタンパク質抗体のみを含有する標識試薬溶液を作製し、上記実施例1の(4)と同様にしてイムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(3)測定
上記実施例1の(5)に記載の検体希釈液を用いて、実施例1の(6)と同様にして、検体の測定を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006454274
(実施例2)判定部位における抗体比率の検討
(1)クロマトグラフィー媒体の判定部位の作製
上記実施例1の(2)と同じ抗Fタンパク質モノクローナル抗体及び抗Nタンパク質モノクローナル抗体を用いて判定部位の作製を行った。抗Fタンパク質抗体(抗FP抗体)と抗Nタンパク質抗体(抗NP抗体)の混合比を、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5と変化させ、上記実施例1の(2)と同じ手順で判定部位を作製した。
(2)イムノクロマトグラフィー装置の作製
上記実施例1の(3)と同様の方法で、抗Fタンパク質抗体含有標識試薬及び抗Nタンパク質抗体含有標識試薬を作製した。それらの混合比を、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5と変化させ、それぞれの混合溶液を用いて、実施例1の(4)と同様にしてイムノクロマトグラフィー装置を作製した。
(3)測定
上記実施例1の(5)に記載の検体希釈液を用いて、実施例1の(6)と同様にして、検体の測定を行った。結果を表2に示す。
検体1の測定 (検体は50倍希釈)
Figure 0006454274
検体2の測定 (検体は50倍希釈)
Figure 0006454274
表1の比較例3及び4の結果によれば、検体1又は検体2のいずれにもRSV抗原は存在する。しかしながら、検体2に含まれるFタンパク質抗原は抗Fタンパク質抗体によって捕捉され易いのに対して、検体1に含まれるFタンパク質抗原は抗Fタンパク質抗体によって捕捉されにくい。検体中のFタンパク質の捕捉され易さには多様性があるにもかかわらず、表2及び3の結果は、判定部位に抗Fタンパク質抗体及び抗Nタンパク質抗体を固相化する場合には常に抗Nタンパク質抗体の比率を高めた方が強い陽性シグナルを得られることを示している。すなわち、判定部位に抗Nタンパク質抗体をより多く固相化することで、検体中のRSV抗原の状態によらず高感度な検出を可能にするイムノクロマトグラフィー装置を提供できる。
本発明は、判定部位にFタンパク質に特異的に結合する抗体及びNタンパク質に特異的に結合する抗体を組合せて使用することにより、従来のイムノクロマトグラフィー法による検査キットに比べて、高感度でありRSVの検出率が著しく上昇したイムノクロマトグラフィー装置を提供するものである。
したがって、本発明は、RSV感染症の臨床検査の産業分野において有用であり、産業上の利用可能性を有している。

Claims (11)

  1. RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を混合された状態で固相化した判定部位を備えたクロマトグラフィー媒体を含有してなる、イムノクロマトグラフィー装置。
  2. さらに、試料添加部及び吸収部を含有する、請求項1に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
  3. さらに、標識試薬保持部を含有する、請求項2に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
  4. Fタンパク質に特異的に結合する抗体が、サブグループA及びサブグループBのそれぞれのRSV株のFタンパク質のいずれか一つ又はそれらの両方に特異的に結合する抗体である、請求項1〜3に記載のイムノクロマトグラフィー装置。
  5. RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を混合された状態で固相化した判定部位を備えたクロマトグラフィー媒体を含有してなるイムノクロマトグラフィー装置、及び、
    検体希釈液、
    を含有するイムノクロマトグラフィー法によるRSVの検査用キット。
  6. イムノクロマトグラフィー装置が、さらに試料添加部及び吸収部を含有する、請求項5に記載の検査用キット。
  7. イムノクロマトグラフィー装置が、さらに標識試薬保持部を含有する、請求項6に記載の検査用キット。
  8. 検査用キットが、さらに標識試薬溶液を含有する、請求項6に記載の検査用キット。
  9. RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体を混合された状態で固相化した判定部位を備えたイムノクロマトグラフィー装置を用いる、RSVの検出方法。
  10. (a)判定部位に、RSVのFタンパク質に特異的に結合する抗体及びRSVのNタンパク質に特異的に結合する抗体が混合された状態で固相化されているイムノクロマトグラフィー装置に、検体を含有する検体液を供給する工程、
    (b)工程(a)で供給された検体液を、標識試薬とともに前記判定部位を通過させる工程、
    (c)判定部位において、標識試薬を含有する検体液と固相化されている抗体とを接触させる工程、及び、
    (d)標識試薬に起因する発色が検出された場合に検体を「RSV陽性」と判定する工程、
    を含有する、イムノクロマトグラフィー法によるRSVを検出する方法。
  11. イムノクロマトグラフィー装置に供給する前に、検体を検体希釈液で希釈する工程をさらに含有する、請求項10に記載の方法。
JP2015522987A 2013-06-21 2014-06-20 Rsvを検出するためのイムノクロマトグラフィー装置 Active JP6454274B2 (ja)

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