JP2020122773A - デングウイルス検出用免疫クロマト分析装置 - Google Patents

デングウイルス検出用免疫クロマト分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、デングウイルス感染の診断を簡易かつ迅速に行うことができる免疫クロマト分析装置に関し、フラビウイルス科に属する、デングウイルス以外のウイルスに対する交叉反応を軽減し、デングウイルスを特異的に検出することができる免疫クロマト分析装置を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、試料添加部と、標識物質保持部と、検出部を有するクロマトグラフ媒体部と、吸収部とを含む、デングウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置であって、前記標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ前記検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する、免疫クロマト分析装置に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、デングウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置、免疫クロマト分析キットおよび免疫クロマト分析方法に関する。
デングウイルス感染症を引き起こすデングウイルス(Dengue virus)は、ジカウイルス、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルス等とともにフラビウイルス科(Fravi virus)に属するウイルスである。
デングウイルスは、蚊によって媒介され、デング熱やデング出血熱といったデングウイルス感染症を引き起こす。デングウイルス感染症は当初、熱帯地域及び亜熱帯地域で問題視されており、近年は日本国においても、デング熱の感染事例が報告され、さらに在来種の蚊からもデングウイルスが検出されている(非特許文献1)。
デングウイルス感染症に関しては、現在のところ有効な薬剤やワクチンは開発されていない。一方、デングウイルス感染の拡大を防止するため、デングウイルス感染の早期診断が望まれている。
従来、デングウイルス感染の診断は、血液検査、尿検査、唾液検査において、RT−PCR法による血液中のウイルス遺伝子の検出、免疫クロマト試薬による非構造タンパク抗原(NS1抗原)の検出により行われてきた。また、血清学的手法として、デングウイルス感染者が体内に有するデングウイルスに対する抗体(IgMやIgG等)をELISA法や蛍光抗体法で検出することも行われてきた。
Siew Pheng Lim et al., Antiviral Research, 100 (2013), 500-519
しかしながら、上記RT−PCR法によるデングウイルス感染の診断には、特別な設備や試薬等が必要であるためコストがかかり、またこれらの検査には半日から一日程度の時間がかかり、検査結果が得られるまで長時間を要していた。
また、上記のデングウイルスに対する抗体を検出する方法は、デングウイルスを直接検出するものではなく、デングウイルスに感染してから所定期間経過後にヒトの体内で作られるIgMやIgGを検出することにより、間接的にデングウイルス感染の診断を行うものであるため、デングウイルス感染初期の診断としては不適であった。また当該方法は、デングウイルスを直接検出するものではないため、例えば、デングウイルスと同じフラビウイルス科に属するジカウイルス、日本脳炎ウイルス、ウエストナイルウイルスの感染と区別して診断することは難しかった。そのため、デングウイルスを直接検出することにより、感染初期からデングウイルス感染の診断を行う手段が求められている。
さらに、免疫クロマト試薬によるNS1抗原の検出においては、前記したデングウイルスと同じフラビウイルス科に属するウイルスとの交叉反応があること、また交叉反応性の低い試薬は感度が低くなり実使用が難しかった。そのため、流行地域や症状が似ているウイルスと交叉反応性が無く、高感度且つ迅速にデングウイルスを検出することができる手段が求められている。
そこで本発明は、デングウイルス感染の診断を簡易かつ迅速に行うことのできる免疫クロマト分析装置を提供することを目的とする。また、デングウイルス自体を直接検出することにより、デングウイルス感染を早期に発見でき、かつ、デングウイルス以外のフラビウイルス科に属するウイルスに対する交叉反応が軽減され、デングウイルスを特異的に検出することのできる免疫クロマト分析装置を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、免疫クロマト分析装置において、デングウイルスの非構造性タンパク質であるNS1(nonstructural protein NS1、以下単にデングウイルスNS1、又はNS1ともいう)を認識する抗体を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
1.試料添加部と、標識物質保持部と、検出部を有するクロマトグラフ媒体部と、吸収部とを含む、検体中のデングウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置であって、
前記標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ
前記検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する、免疫クロマト分析装置。
2.前記検出部が、さらに配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体を含有する、前記1に記載の免疫クロマト分析装置。
3.前記1または2に記載の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈して展開するための検体希釈液とを含む、免疫クロマト分析キット。
4.前記3に記載の免疫クロマト分析キットを用いて、検体中のデングウイルスを検出する免疫クロマト分析方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含む免疫クロマト分析方法。
(1)検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
(2)標識物質保持部に保持されている配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体により、検体中のデングウイルスを認識させる工程
(3)前記検体及び前記抗体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
(4)展開された前記移動相中のデングウイルスを、検出部に含まれるデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体により検出する工程
本発明は、標識物質保持部と検出部を有する免疫クロマト分析装置において、標識物質保持部にデングウイルスが有する非構造性タンパク質であるNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ検出部にデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有することによって、デングウイルス以外の他のウイルス等との交叉反応を抑え、デングウイルスを迅速かつ特異的に検出することができる。
図1は、本発明の一実施形態の免疫クロマト分析装置の構造を説明するための断面図である。 図2は、親水性プロットの結果を示す。縦軸は親水度のスコアを示し、横軸は配列番号1で示されるアミノ酸配列におけるN末端からのアミノ酸の位置を示す。 図3は、競合阻害ELISA試験の結果を示す。縦軸は吸光度を示す。 図4は、ドットブロット法の結果を示す。 図5(A)及び(B)は、ウエスタンブロット法の結果を示す。 図6(A)〜(D)は、各検体含有液を各免疫クロマト分析装置の試料添加部に滴下し展開させ、検出部における発色強度を測定した結果を示す。 図7は、各免疫クロマト分析キットを用い、交叉反応性を評価した結果を示す。 図8は、ハーフストリップ法によりS/N比を求めた結果を示す。
以下に、本発明を実施するための形態を説明する。
なお、本明細書において、「固定」とは、抗体が移動しないように膜等の担体に配置されていることを意味し、「保持」とは、膜等の担体の中または表面を移動可能に配置されることを意味する。
また、本明細書において、抗体が特定のタンパク質を「認識する」とは、抗原抗体反応により抗体が当該タンパク質の有するアミノ酸配列の一部と結合することを示す。また、抗体が特定のアミノ酸配列を「認識する」とは、抗体が、特定のアミノ酸配列の全体又はその一部と抗原抗体反応により結合することを示す。
抗体が、特定のアミノ酸配列の全体又はその一部と抗原抗体反応により結合するか否かは、周知の免疫測定方法により行うことができる。免疫測定方法としては、免疫測定方式で分類すれば、例えば、サンドイッチ法、競合法、凝集法などが挙げられる。また、用いる標識で分類すれば、例えば、蛍光法、酵素法、放射法などが挙げられる。これらのいずれの免疫測定方法によっても抗原抗体反応の確認を行うことができる。
本発明に用いることのできる検体は、デングウイルスを含む可能性のあるものであれば特に制限されない。検体としては、例えば、デングウイルス感染者の血清、血漿、全血、精液、髄液等が挙げられる。好ましくは、迅速診断の観点から、全血、血清又は血漿である。
<免疫クロマト分析装置>
本発明の免疫クロマト分析装置は、検体を含有する試料(以下、単に試料ともいう)を添加する試料添加部と、標識物質を保持する標識物質保持部と、デングウイルスを検出する検出部を有するクロマトグラフ媒体部と、検出部を通過した液体を吸収する吸収部とを備える。
本発明の免疫クロマト分析装置は、標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスの非構造性タンパク質であるNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ前記検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有することを特徴とする。
デングウイルスは、血清型で4つのウイルス型、DENV−1、DENV−2、DENV−3、DENV−4に分類され、他のフラビウイルスと同様にウイルスの複製等に関わるタンパク質であることが示唆されている。DENV−1のNS1は配列番号1で示される全長352アミノ酸のアミノ酸配列からなり、他の血清型のNS1と高い相同性を示す。
他の血清型のNS1のアミノ酸配列として、DENV−2のNS1のアミノ酸配列を配列番号9、DENV−3のNS1のアミノ酸配列を配列番号10、DENV−4のNS1のアミノ酸配列を配列番号11にそれぞれ示す。
配列番号1で示されるNS1の全アミノ酸配列のうち、配列番号3で示されるアミノ酸配列は12〜35番目のアミノ酸、配列番号2で示されるアミノ酸配列は100番目から122番目のアミノ酸、配列番号4で示されるアミノ酸配列は135〜151番目のアミノ酸、配列番号5で示されるアミノ酸配列は193〜222番目のアミノ酸、配列番号6で示されるアミノ酸配列は248〜271番目のアミノ酸、配列番号7で示されるアミノ酸配列は282〜306番目のアミノ酸、配列番号8で示されるアミノ酸配列は325〜352番目のアミノ酸からなる。
第1抗体及び第2抗体が認識するNS1は、ウイルスから分離された天然のタンパク質でもよく、公知となっているNS1をコードする遺伝子の塩基配列に基づいて作製された組換えタンパク質でもよい。また、第1抗体及び第2抗体が認識するNS1は、ウイルスの構成成分から分離・精製されたものでも未精製のものでもよいが、分離されていない場合はNS1と抗体との接触が容易となるように界面活性剤で処理されたウイルスに由来するNS1であってもよい。
本発明においては、比較的アミノ酸変異が起こりづらく特異性及び検出感度を高める観点から、デングウイルスが有する種々のタンパク質の中でも特にNS1を認識する抗体を用いることによって、デングウイルス以外の他のウイルス等との交叉反応を抑え、デングウイルスを特異的に検出することができるものである。
本発明の免疫クロマト分析装置における標識物質保持部に含有する第1抗体は、NS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有する。このことにより、デングウイルス以外の他のウイルス等との交叉反応を抑え、デングウイルスを迅速かつ特異的に検出することができる。配列番号2のアミノ酸配列は、配列番号1で示されるNS1の全アミノ酸配列のうち100番目から122番目までのアミノ酸配列に該当する。
第1抗体が「配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する」とは、具体的には例えば、全長のデングウイルスNS1と、配列番号2で示されるアミノ酸配列から成るペプチドとの実施例にて後述するELISA法による競合阻害試験(競合阻害ELISA試験)を行ったときに、デングウイルスNS1に対する抗体の反応が配列番号2で示されるアミノ酸配列から成るペプチドの存在により競合阻害されることをいう。検出感度及び特異性を高める観点から、実施例にて後述する競合阻害ELISA試験における吸光度が、配列番号2で示されるアミノ酸配列からなるペプチドを添加しない場合(コントロール)の吸光度を100%としたときに、50%以下であることが好ましく、より好ましくは25%以下であり、さらに好ましくは12.5%以下、特に好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
第1抗体は、NS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号3〜8でそれぞれ示されるアミノ酸配列を実質的に認識しないことが好ましい。このことにより、特異性及び検出感度をより向上できる。本発明において抗体が「アミノ酸配列を実質的に認識しない」とは、具体的には例えば、参考例1において後述する競合阻害ELISA試験において、吸光度がコントロールに対し−25%以内の範囲であることをいう。
本発明の免疫クロマト分析装置における検出部は、NS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する。第2抗体が認識するNS1は、天然に存在するデングウイルスのNS1の立体構造の少なくとも特定の抗体との抗原抗体反応を維持するのに十分な立体構造が残されているものであればよく、SDS−PAGE(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)などによって天然に存在するNS1の立体構造が破壊されて、当該抗体に対するNS1との実質的な抗原抗体反応を維持することができなくなったものは除かれる。
第2抗体としては、天然に存在するNS1における抗原抗体反応を行う部位の立体構造が破壊された当該タンパク質とは実質的に抗原抗体反応しない抗体であればよい。このような抗体としては、例えば、SDS−PAGEによって分離された全長のデングウイルスNS1とはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しない抗体が挙げられる。
本発明において「ウエスタンブロット法で抗原抗体反応しない」とは、標準的なウエスタンブロット法における抗体濃度、抗原濃度、基質濃度、又は反応時間などの条件下で、検出可能なレベルで抗原抗体反応をしないことをいう。
第2抗体が、SDS−PAGEによって分離された全長のデングウイルスNS1とはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しないことの確認は、例えば、ウエスタンブロット法でデングウイルスNS1と抗原抗体反応することが確認されている市販の抗体を陽性コントロールの抗体として用い、陽性コントロールの抗体がポリビニリデンジフルオリド(PVDF)膜上のデングウイルスNS1と抗原抗体反応し、NS1を検出できる条件下で、デングウイルスNS1を検出できないことを1つの基準として行うことができる。
本発明における「SDS−PAGE」とは、本発明が属する技術分野で慣用されているタンパク質の分離・分析法であり、代表的にはLaemmli, U.K.の方法(Nature, 227 : 680-685 (1970))に従って行うことができるが、この方法に限定されるものではない。
具体的には、例えば、以下の手順により実施することができる。先ず、ゲル板に10〜15%濃度のポリアクリルアミドからなる分離ゲル、その上に3〜5%ポリアクリルアミドからなる濃縮ゲルを重層し、作製したゲルをスラブ型電気泳動装置に取り付ける。デングウイルスNS1を含有する溶液に等量の2倍濃縮サンプルバッファー(125mM Tris−HCl、20% グリセロール、2% SDS、2% 2−メルカプトエタノール、0.001% ブロモフェノールブルー、pH6.8)を添加し、100℃で5〜10分間加熱処理し、泳動用試料とする。泳動用試料及び市販の分子量マーカーを濃縮ゲルに作製されたレーンにそれぞれ添加し、泳動用バッファー(192mM グリシン、0.1% SDS、24mM Tris、pH8.3)を用いて、20mAの定電流で30〜90分間泳動を行う。SDS−PAGEによって分離される全長のデングウイルスNS1は、分離ゲル中の分子量約42kDaに相当するバンドとして得ることができる。
SDS−PAGEに用いられるデングウイルスNS1を含有する溶液は、最終的に行うウエスタンブロット法において、抗体と抗原抗体反応をするのに十分な量、例えば1〜2mg、のデングウイルスNS1を含有していればいかなるものにも限定されず、NS1に関して精製されていても精製されていなくてもよい。デングウイルスNS1を含有する溶液としては、例えば、デングウイルス懸濁液、市販のデングワクチン及び組換えデングウイルスNS1溶液などが挙げられる。
SDS−PAGEに用いられる2倍濃縮サンプルバッファー中のSDSは、SDSの結合量がタンパク質1に対して1.2〜1.5程度であることを考慮して、デングウイルスNS1の量に応じて0.5〜5重量%の濃度範囲で適宜変更して用いることができる。また、2倍濃縮サンプルバッファー中の2−メルカプトエタノールは、デングウイルスNS1に存在するジスルフィド結合を切断する還元剤として作用し、1〜10重量%の濃度範囲で適宜変更して用いてもよく、ジチオスライトール(DTT)などの他の物質からなる還元剤を用いることもできる。
本発明における「ウエスタンブロット法」とは、SDS−PAGEによって分離された全長のデングウイルスNS1を、例えばTowbin H.らの方法[Proc.Natl.Acad.Sci. U.S.A., 76 : 4350-4354 (1979)]に従ってPVDF膜に転写することによって行うことができるが、この方法に限定されるものではない。
具体的には、例えば、PVDF膜を100%メタノールに10秒間、さらに転写用電極バッファー(192mM グリシン、5% メタノール、25mM Tris−HCl、pH8.3)に30分間浸潤し、転写に用いる。転写装置の組み立ては、陽極電極板上に下から順にろ紙、PVDF膜、SDS−PAGEが終了したゲル、ろ紙を重層し、その上に陰極電極板を固定することにより行う。なお、ろ紙は予め転写用電極バッファーに2〜3分間浸しておく。
転写は1.9mA/cmの定電流で60〜90分間で行う。転写終了後のPVDF膜は、ブロッキング溶液[0.5% 牛血清アルブミン(BSA)、10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5]中、室温で60分間インキュベートし、ブロッキング操作を行う。ブロッキング終了後、洗浄バッファー(10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5)で5分間、2回インキュベートして洗浄し、一次抗体として前記の第2抗体(デングウイルスNS1抗体)を用いて、室温で90分間インキュベートして反応させる。
一次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄し、二次抗体として、例えば酵素、蛍光物質又は放射性同位元素などの標識物質で標識された、一次抗体に特異的に反応する抗体を用いて、室温で60分間インキュベートして反応させる。二次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄した後、標識物質の性質を利用してPVDF膜に転写されたデングウイルスNS1に結合した一次抗体を可視化することにより、ウエスタンブロット法における検出を行う。
第2抗体として、検出感度及び特異性を高める観点から、ウエスタンブロット法において、陽性コントロールの抗体がデングウイルスNS1を検出できる抗体濃度と同じ抗体濃度でデングウイルスNS1と抗原抗体反応しない抗体が好ましく、より好ましくは2倍の抗体濃度でデングウイルスNS1と反応しない抗体、さらに好ましくは5倍又は10倍の抗体濃度でデングウイルスNS1と抗原抗体反応しない抗体である。
第2抗体として、検出感度及び特異性を高める観点から、ウエスタンブロット法において、陽性コントロールの抗体が検出できるデングウイルスNS1の抗原濃度と同じ濃度のデングウイルスNS1と抗原抗体反応しない抗体が好ましく、より好ましくは2倍の抗原濃度で反応しない抗体、さらに好ましくは5倍又は10倍の濃度のデングウイルスNS1と抗原抗体反応しない抗体である。
第2抗体は、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列を含むポリペプチドを認識し、且つデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2〜8でそれぞれ示されるアミノ酸配列を実質的に認識しないことが好ましい。このことにより、デングウイルスに対する検出感度をより向上できる。
標識物質保持部及び検出部が前記抗体をそれぞれ含有することにより、本発明の免疫クロマト分析装置は、例えば、デングウイルスと同じフラビウイルス科に属する、ジカウイルス、日本脳炎ウイルス等に対する交叉反応を軽減できる。
本発明の免疫クロマト分析装置は、検出部が、第2抗体に加えて、さらにNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体(第1抗体)を含有することが好ましい。このことにより、デングウイルス以外の他の抗原との交叉反応をより低減しつつ、デングウイルスに対する感度を向上できる。検出部において第2抗体に加えて第1抗体を含有する場合、検出感度を高める観点から、第1抗体と第2抗体との比率(質量比)は、通常1:9〜9:1とすることが好ましい。
第1抗体及び第2抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体やモノクローナル抗体等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、ヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体、ファージディスプレイによって作製された抗体およびこれらの結合性断片が含まれる。感度を向上する観点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。
本発明で用いられる第1抗体及び第2抗体は、デングウイルスNS1ペプチドを免疫原として用い、前記抗体産生動物種に投与することで作製できる。デングウイルスNS1を認識する抗体の作製方法について、以下例示的に説明をする。
抗体産生動物種としては、例えばヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等を使用できる。免疫グロブリンとしては、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDのいずれでもよい。
第1抗体の作製方法の一実施態様において、免疫原としてのデングウイルスNS1ペプチドは、既知の一般的な製造方法によって製造することができる。すなわち、デングウイルスから抽出精製したデングウイルスNS1ペプチド、またはクローニングされたデングウイルスNS1の遺伝子を大腸菌などの宿主で遺伝子工学的に発現させて抽出精製したデングウイルスNS1ペプチド、さらにはデングウイルスNS1ペプチドの一部を構成するポリペプチドを免疫原として用いることができる。
第2抗体の作製方法の一実施態様において、免疫原としては、還元剤を含むSDS−PAGE用のサンプルバッファーで処理されていないデングウイルスNS1が好ましく、より好ましくは陰イオン性界面活性剤であるSDSで処理されていないデングウイルスNS1である。第2抗体の免疫原として好ましいものとしては、例えば、陰イオン性界面活性剤を含まないバッファーにデングウイルスを懸濁したもの、又は全長のデングウイルスNS1などである。
モノクローナル抗体は、常法に従って、上記免疫原で免疫したマウスの脾臓細胞と骨髄腫細胞をハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する[例えば、ケーラーとミルスタインの技法(Nature 256(1975)495−497)を参照]。ポリクローナル抗体は、常法により、上記免疫原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンのスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェルの培養上清の上記免疫原に対する反応性を、例えばELISA法等の酵素免疫測定法によって測定することにより行うことができる。
このハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎児血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液の遠心上清をモノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔に注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。モノクローナル抗体は、単離および/または精製されることが好ましい。このようにして、デングウイルスNS1を認識する抗体を作製することができる。
デングウイルスNS1を認識する抗体のうち、配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体である第1抗体は、例えば、配列番号2で示されるアミノ酸配列に相当するペプチド断片を用いたELISA試験やウエスタンブロッティング等に供することにより、上記デングウイルスNS1を認識する抗体を産生するハイブリドーマの中から、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対してより強い反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより、入手し、使用できる。
デングウイルスNS1を認識する抗体のうち、デングウイルスNS1の立体構造を認識する抗体である第2抗体は、例えば、上記デングウイルスNS1を認識する抗体を産生するハイブリドーマの中から、SDS−PAGEによって分離された全長のデングウイルスNS1とはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しない抗体を産生するハイブリドーマを選択することにより、入手し、使用できる。
第1抗体及び第2抗体は、上記の各ハイブリドーマを、通常、細胞培養に用いられる培地において培養し、培養上清から回収することによって調製できる。また、ハイブリドーマが由来する動物の腹腔内に投与することによって、腹水を貯留させ、該腹水から回収することによって調製できる。
次に、図面を参照しながら本発明の免疫クロマト分析装置の一実施形態について説明する。
本発明の免疫クロマト分析装置の一実施形態としては、図1に示すように、試料添加部(1)、標識物質保持部(2)、クロマトグラフ媒体部(3)、検出部(4)、吸収部(5)、バッキングシート(6)から構成されている。
試料添加部(1)は、免疫クロマト分析装置において、検体を含有する試料を添加する部位である。試料添加部(1)では試料が迅速に吸収されるが、速やかに試料が移動していくような性質の多孔質シートで構成することができる。多孔質シートとしては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、綿布等が挙げられる。
標識物質保持部(2)には、後述する標識物質で標識化された標識抗体(以下、単に、標識抗体ともいう)が保持されており、上記標識抗体が検体中の被検出物質と結合する部位である。この標識抗体はデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体であり、標識物質保持部(2)内を試料が移動する際に、第1抗体と検体中の上記デングウイルスNS1とが結合する。
標識物質保持部(2)には、グラスファイバー、セルロース等の膜が通常使用される。
標識物質保持部(2)の標識抗体の含有量は、通常0.05μg/装置〜0.5μg/装置であり、好ましくは0.05μg/装置〜0.25μg/装置であり、より好ましくは0.07μg/装置〜0.1μg/装置である。標識物質保持部(2)の標識抗体の含有量を前記範囲内とすることにより、優れた検出感度を達成できる。
また、標識物質保持部(2)の単位面積当たりの標識抗体の含有量は、通常0.05μg/cm〜1.0μg/cmであり、好ましくは0.1μg/cm〜0.8μg/cmであり、より好ましくは0.17μg/cm〜0.6μg/cmである。標識物質保持部(2)の単位面積当たりの標識抗体の含有量を前記範囲内とすることにより、優れた検出感度を達成できる。
免疫クロマト分析において抗体を標識する標識物質としては、一般的に酵素等も使用されるが、被検出物質の存在を目視で判定するのに適していることから、標識物質としては、不溶性担体を用いることが好ましい。すなわち本発明において、標識物質保持部(2)が含有する抗体としては、第1抗体を不溶性担体に感作することにより標識化した標識抗体を使用することが好ましい。なお、第1抗体を不溶性担体に感作する手段は、公知の方法に従えばよい。
標識物質としての不溶性担体には、金、銀もしくは白金等の金属粒子、酸化鉄等の金属酸化物粒子、硫黄等の非金属粒子及び合成高分子よりなるラテックス粒子、またはその他の不溶性担体を用いることができる。上述のように不溶性担体は、被検出物質の存在を視覚的に判定するのに適した標識物質であり、目視による判定を容易にするためには有色であることが好ましい。金属粒子及び金属酸化物粒子は、それ自体が粒径に応じた特定の自然色を呈するものであり、その色彩を標識として利用することができる。
標識物質としての不溶性担体は、特に金粒子が、検出が簡便であり、かつ凝集しづらく非特異的な発色が起こりにくい点で好ましい。検出感度を高める観点から、金粒子の平均粒径は、例えば10nm〜250nm、好ましくは35nm〜120nmである。平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM:日本電子(株)製、JEM−2010)により、撮影した投影写真を用いて無作為に100個の粒子の投影面積円相当径を計測し、その平均値から算出することができる。
標識物質保持部における金粒子の含有量は、標識物質保持部の単位面積あたり、通常0.006μg/cm〜0.42μg/cmであり、好ましくは0.01μg/cm〜0.3μg/cmであり、より好ましくは0.01μg/cm〜0.2μg/cmである。上記範囲に設定することによって、標識された粒子が分散したまま展開し、抗体の認識部位が阻害されず高感度化できるからである。
クロマトグラフ媒体部(3)は、クロマトグラフの展開部位である。クロマトグラフ媒体部(3)は、毛管現象を示す微細多孔性物質からなる不活性の膜である。クロマトグラフで使用される検出試薬、固定化試薬または被検出物質などと反応性を有しないという観点から、また、本発明の効果が向上するという観点から、例えば、ニトロセルロース製のメンブレン(以下、ニトロセルロースメンブレンともいう)や、酢酸セルロース製のメンブレン(以下、酢酸セルロースメンブレンともいう)が好ましく、ニトロセルロースメンブレンがさらに好ましい。なお、セルロース類メンブレン、ナイロンメンブレン及び多孔質プラスチック布類(例えばポリエチレン、ポリプロピレン等)も使用可能である。
ニトロセルロースメンブレンとしては、ニトロセルロースが主体で含まれていればよく、純品またはニトロセルロース混合品などニトロセルロースを主材とするメンブレンを使用することができる。
ニトロセルロースメンブレンは、さらに、毛細管現象を促進させる物質を含有させることもできる。当該物質としては、膜面の表面張力を低下させ、親水性をもたらす物質が好ましい。例えば、糖類、アミノ酸の誘導体、脂肪酸エステル、各種合成界面活性剤またはアルコール等の両親媒性の作用を有する物質であって、被検出物質の移動に影響がなく、標識物質の発色に影響を及ぼさない物質が好ましい。
ニトロセルロースメンブレンは、多孔性であって、毛細管現象を示す。この毛細管現象の指標は、吸水速度(吸水時間:capillary flow time)を測ることで確認できる。吸水速度は、検出感度と検査時間に影響する。
上記のようなニトロセルロースメンブレンや酢酸セルロースメンブレンに代表されるクロマトグラフ媒体部(3)の形態及び大きさは特に制限されるものではなく、実際の操作の点及び反応結果の観察の点において適切であればよい。
さらに操作をより簡便にするためには、クロマトグラフ媒体部(3)の裏面に、プラスチックなどよりなる支持体を設けることが好ましい。この支持体の性状は特に制限されるものではないが、目視判定によって測定結果の観察を行う場合には、支持体は、標識物質によりもたらされる色彩と類似しない色彩を有するものであることが好ましく、通常、無色又は白色であることが好ましい。
また、クロマトグラフ媒体部(3)上には、非特異的な吸着により分析の精度が低下することを防止するため、必要に応じて、クロマトグラフ媒体部(3)に、公知の方法でブロッキング処理を行うことができる。一般にブロッキング処理は、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼインまたはゼラチン等のタンパク質が好適に用いられる。かかるブロッキング処理後に、必要に応じて、例えば、Tween20、TritonX−100またはSDS等の界面活性剤を1つ又は2つ以上組み合わせて洗浄してもよい。
検出部(4)は、上記クロマトグラフ媒体部(3)上の任意の位置に形成されており、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する。検出部(4)への第2抗体の固定化は、常法に従って行うことができる。
検出部(4)では、クロマトグラフ媒体部上を移動相として通過した検体中のデングウイルスが、検出部(4)に固定されている第2抗体と、標識物質が結合した第1抗体とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に反応結合する。
検出部(4)に含有される第2抗体の含有量は、通常0.1μg〜3.0μgであり、好ましくは0.3μg〜2.0μgであり、より好ましくは0.3μg〜1.0μgである。検出部(4)に含有される第2抗体の含有量を前記範囲とすることにより、優れた検出感度を達成できる。
また、検出部(4)の単位面積当たりの第2抗体の含有量は、通常0.04μg/cm〜1.0μg/cmであり、好ましくは0.125μg/cm〜0.8μg/cmであり、より好ましくは0.125μg/cm〜0.42μg/cmである。検出部(4)の単位面積当たりの第2抗体の含有量を前記範囲とすることにより、優れた検出感度を達成できる。
吸収部(5)は、クロマトグラフ媒体部(3)の末端に、検出部(4)を通過した検体や展開液等の液体を吸収させるために設置される。本発明において、吸収部(5)は、例えばグラスファイバー、パルプ、セルロースファイバー等、またはそれら不織布にアクリル酸重合体等の高分子、エチレンオキサイド基等を持つ親水性薬剤を含有させたものが用いられ、特に好ましくはグラスファイバーである。
バッキングシート(6)は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けたりすることにより、片面が粘着性を有し、該粘着面上に試料添加部(1)、標識物質保持部(2)、クロマトグラフ媒体部(3)、検出部(4)、および吸収部(5)の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート(6)は、粘着剤によって試料液に対して不透過性、非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。
本発明の免疫クロマト分析装置は、製品化する前に、通常乾燥処理に施される。乾燥温度は例えば20℃〜50℃、乾燥時間は0.5時間〜1時間である。
本発明の免疫クロマト分析装置は、標識物質保持部は、デングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ検出部にデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する。このことにより、他の抗原との交叉反応をより低減でき、デングウイルスをより特異的に検出することができる。
<免疫クロマト分析キット>
本発明の免疫クロマト分析キットは、上記の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈して展開するための検体希釈液とを含む。
本発明の免疫クロマト分析キットにおいて、検体希釈液は、展開液としても使用することができるものである。検体希釈液は通常溶媒として水を用い、これに緩衝液、塩、および非イオン性界面活性剤を含有する。さらに、例えば抗原抗体反応の促進または非特異的反応を抑制するためのタンパク質、高分子化合物(PVP等)、イオン性界面活性剤もしくはポリアニオン、または、抗菌剤、キレート剤等の1種もしくは2種以上を加えてもよい。
検体希釈液を展開液として用いる場合には、検体と展開液を予め混合したものを試料として、試料添加部に供給・滴下して展開させることもできるし、先に検体を含有する試料を試料添加部に供給・滴下した後、展開液を試料添加部に供給・滴下して展開させてもよい。
<免疫クロマト分析方法>
本発明の免疫クロマト分析方法は以下の工程(1)〜(4)を含み、上記の免疫クロマト分析キットを用いて検体に含まれるデングウイルスを検出する。
(1)検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
(2)標識物質保持部に保持されているデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体により、検体中のデングウイルスを認識させる工程
(3)前記検体及び前記抗体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
(4)展開された前記移動相中のデングウイルスを、検出部に含まれるデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体により検出する工程
各工程について以下に説明する。
(1)検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
工程(1)では、第1に、検体を、測定精度を低下させることなく、免疫クロマトグラフ媒体中をスムーズに移動する程度の濃度に、検体希釈液で調整または希釈して検体含有液とするのが好ましい。検体希釈液は上述したものを使用できる。第2に、検体含有液を試料として、試料添加部(1)上に、所定量(通常、0.1ml〜2ml)滴下する。試料が試料添加部(1)に滴下されると、試料添加部(1)中で移動を開始する。
本発明において使用する検体は、上述したように、被検出物質であるデングウイルスを含む可能性のあるものであり、具体的には、デングウイルスに感染した患者の、血清、血漿、全血、精液、髄液等が挙げられるが、これらに限定されない。
(2)標識物質保持部に保持されているデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体により、検体中のデングウイルスを認識させる工程
工程(2)は、工程(1)において試料添加部に添加された試料を、標識物質保持部(2)へと移動させ、標識物質保持部に保持されている、標識物質が結合した第1抗体により、検体中の被検出物質であるデングウイルスを認識させる工程である。標識物質は上述したものを使用できる。
(3)前記検体及び前記抗体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
工程(3)は、工程(2)において被検出物質であるデングウイルスが標識物質保持部において標識物質が結合した第1抗体に認識された後、検体および前記抗体を、クロマトグラフ媒体部上を移動相として通過させる工程である。
(4)展開された前記移動相中のデングウイルスを、検出部に含まれるデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体により検出する工程
工程(4)は、クロマトグラフ媒体部上を移動相として通過した検体中のデングウイルスが、抗原・抗体の特異的結合反応により、検出部に固定されている第2抗体と、前記工程(2)において標識物質が結合した第2抗体とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に反応結合して、検出部が着色する工程である。
被検出物質であるデングウイルスが存在しない場合には、試料の水分に溶解した標識試薬は、クロマトグラフ媒体部上の検出部を通過しても特異的結合反応が起こらないので、検出部が着色しない。
最後に、検体含有液の水分は、吸収部(5)へと移動する。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
製造例1
(抗体の作製)
デングウイルスNS1を認識する抗体を以下のように作製した。まず、配列番号1で示されるデングウイルスNS1のアミノ酸配列からなるペプチドを合成した。His−tag発現用ベクターであるpET302/NT−Hisを制限酵素EcoRIで切断した後、脱リン酸化処理としてアルカリフォスファターゼにより処理し、前記ペプチドと混合し、DNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ)を用いてライゲーション反応をおこなった。
目的遺伝子を組み込んだ組換えNS1プラスミドを組換え蛋白発現用宿主E.coli BL(DE3)pLysS(Novagen)に導入した。導入菌をLB寒天平板培地で培養し、得られたコロニーをLB液体培地で培養した。さらに1mM IPTG(タカラバイオ)を添加して組換えNS1の発現を誘導した後、E.coliを回収した。回収した菌を可溶化バッファー[0.5%Triron X−100(sigma)、10mM Imidazole、20mM Phosphateおよび0.5M NaCl(pH7.4)(Amersham)]に再浮遊し、超音波処理により可溶化した後、組換えNS1をHis trap Kit(Amersham)を用いて精製した。この精製タンパク質をリン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと称する)に対して透析し、目的の組換えNS1とした。
得られた組換えNS1を免疫用抗原として、組換えNS1に対するモノクローナル抗体を作製した。モノクローナル抗体の作製は次のように、常法に従っておこなった。100μgの組換えNS1と等量のAduvant Complete Freund(Difco)を混合して、マウス(BALB/c、5週齢、日本SLC)に3回免疫し、その脾臓細胞を細胞融合に用いた。細胞融合には、マウスの骨髄腫細胞であるSp2/0−Ag14細胞(Shulmanら、1978)を用いた。細胞の培養には、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(Gibco)にL−グルタミン 0.3mg/ml、ペニシリンGカリウム 100単位/ml、硫酸ストレプトマイシン 100μg/ml、Gentacin 40μg/mlを添加し(DMEM)、これに牛胎児血清(JRH)を10%となるように加えた培養液を用いた。細胞融合は、免疫マウスの脾臓細胞とSp2/0−Ag14細胞を混合し、そこにPolyethylene glycol solution(Sigma)を添加することにより行った。融合細胞はHAT−DMEM[0.1mM Sodium Hypoxantine、0.4μM Aminopterinおよび0.016mM Thymidine(Gibco)を含む血清加DMEM]で培養し、酵素結合抗体法(ELISA法)により培養上清中の抗体産生を確認した。抗体産生陽性の細胞をHT−DMEM[0.1mM Sodium Hypoxantineおよび0.16mM Thymidineを含む血清加DMEM]で培養し、さらに血清加DMEMで培養を続けた。
クローニングした細胞は、2,6,10,14−Tetramethylpentadecane(Sigma)を接種しておいたマウス(BALB/c、リタイア、日本SLC)に腹腔内接種し、腹水を採取した。この腹水をプロテインGカラムに供し、モノクローナル抗体を精製した。
このようにして得られたモノクローナル抗体に対して、組換えNS1を96穴プレートに固定化した直接ELISA法にて抗体をスクリーニングした。その結果、デングウイルスNS1を認識する4種類の抗体が得られた。以下この4種類の抗体を、No.1〜No.4の抗体として説明する。
参考例1(競合阻害ELISA試験)
DENV−1〜DENV−4のNS1について、親水性プロット及びアライメントを行い、親水度及び相同性の高い、配列番号2〜8で示されるアミノ酸配列を特定した。親水性プロットについては、デングウイルスのNS1をHopp&Woodsの規則に従い、ExPASyを用いて計算することにより作成した。親水性プロット の結果を図2示す。
配列番号2〜8で示されるアミノ酸配列については、米国国立生物工学情報センター(NCBI)に登録されている配列情報[DENV−1 NCBI Accession No.AAA42940(777..1130)、DENV−2 NCBI Accession No.ACW82881(777..1130)、DENV−3 NCBI Accession No.YP_001621843(774..1125)、DENV−4 NCBI Accession No.NP_073286〈775..1126〉]等から得られたNS1領域のアミノ酸配列情報に基づき上記のようにして得た。相同性の解析にはMolecular evolutionary genetics analysis を用いた。
製造例1で作製したデングウイルスNS1を認識する各抗体(No.1〜No.4の抗体)が、配列番号2〜8で示されるアミノ酸配列を認識するか否かについて、競合阻害ELISA試験を行うことで調べた。競合阻害ELISA試験で使用したペプチドは、配列番号2〜8 で示されるアミノ酸配列それぞれからなるペプチド7種類(下記に示すペプチド1〜7)であり、ペプチドの化学合成法の常法であるペプチド固相合成法により作製した。
ペプチド1:ELKCGSGIFVTNEVHTWTEQYKFQ(配列番号3)
ペプチド2:GKKMIRPQPMEHKYSWKSWGKA(配列番号2)
ペプチド3:IDGPNTPECPDNQRAWN(配列番号4)
ペプチド4:AVHADMGYWIESEKNETWKLARASFIEVKT(配列番号5)
ペプチド5:GGPISQHNYRPGYFTQTAGPWHLG(配列番号6)
ペプチド6:GTTVVVDEHCGNRGPSLRTTTVTGK(配列番号7)
ペプチド7:GEDGCWYGMEIRPVKEKEENLVKSMVSA(配列番号8)
製造例1で作製した組換えNS1をPBSで5μg/mLの濃度に希釈した後、ELISA用96穴プレート(Nunc Immuno modules、Thermo Fisher Scientific社製、コード469949)に100μL/wellずつ分注し、4℃で一夜静置した。各ウェルを0.05%Tween20含有PBS(以下、「PBST」という)で3回洗浄後(400μL/ウェル)、1%BSA含有PBST(以下、「BSA−PBST」という)を100μL/ウェルずつ分注し、室温で1時間静置してブロッキングを行った。
PBSTで3回洗浄後、各ウェルNo.1〜No.4の各一次抗体溶液20μg/mLと各ペプチド(ペプチド1〜7)5mg/mLとを含む50%ブロッキング溶液100μLをウェルに加え、37℃にて1時間インキュベートした。
一次抗体溶液を取り除き、ウェルを300μL PBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュした。ウェルに残った液は、ペーパータオルに叩き付けて取り除いた。
二次抗体として、Anti Mouse IgG(H+L),Rabbit,IgG Whole,Peroxidase Cojugated(和光純薬社製、コード014−17611)1μg/mLを100μL、ウェルに加え、37℃で1.5時間インキュベートした。その後二次抗体溶液を取り除き、ウェルを300μL PBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュし、ウェルに残った液は、ペーパータオルに叩き付けて取り除いた。
ウェルに発色基質としてSure Blue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(1−Component)(KPL社製、コード53−00−01)を100μL加え、15分反応させ、2N硫酸を100μL加えて反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(BIORAD社製)で450nmの吸光度を測定した。結果を表1及び図3に示す。
表1及び図3に示すように、No.1の抗体は、配列番号2〜8で示されるアミノ酸配列をいずれも認識しないことがわかった。また、No.2〜No.4の抗体は、配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識することがわかった。
参考例2(ドットブロット法)
0ng/ウェル、150ng/ウェル、300ng/ウェル又は600ng/ウェルの組換えNS1(DENV−4)をニトロセルロース膜にブロットし、その後1%BSA含有PBSを30μL/ウェルで室温にて20分ブロッキング反応を行った。
それぞれ20μg/mlに調製したNo.1〜No.4の抗体と室温にて1時間反応させ、メンブレンをシャーレに移動後3mLのPBS−Tで3回洗浄した。洗浄液を完全に抜き取り、二次抗体として、Anti Mouse IgG(H+L),Rabbit,IgG Whole,Peroxidase Cojugated(和光純薬社製、コード014−17611)1μg/mLを2mL、シャーレに加え、室温で1.5時間インキュベートした。
その後、基質としてTMB Solution for Western Blotting(ナカライテスク社)を1mL加え、緩やかに2分間湿潤し発色させた。結果を図4に示す。
図4に示すようにNo.1〜No.4の抗体はいずれも組換えNS1と抗原抗体反応を示すことがわかった。
参考例3(ウエスタンブロット法)
ゲル板に10%濃度のポリアクリルアミドからなる分離ゲル、その上に35%ポリアクリルアミドからなる濃縮ゲルを重層し、作製したゲルをスラブ型電気泳動装置に取り付けた。デングウイルスNS1を含有する溶液(1レーン当たり0.25μgのDENV1 NS1又はDENV2 NS1)に等量の2倍濃縮サンプルバッファー(125mM Tris−HCl、20% グリセロール、2% SDS、2% 2−メルカプトエタノール、0.001% ブロモフェノールブルー、pH6.8)を添加し、100℃で5分間加熱処理し、泳動用試料とした。泳動用試料及び市販の分子量マーカーを濃縮ゲルに作製されたレーンにそれぞれ添加し、泳動用バッファー(192mM グリシン、0.1% SDS、24mM Tris、pH8.3)を用いて、20mAの定電流で30分間泳動を行った。
PVDF膜を100%メタノールに10秒間、さらに転写用電極バッファー(192mM グリシン、5% メタノール、25mM Tris−HCl、pH8.3)に30分間浸潤し、転写に用いた。転写装置の組み立ては、陽極電極板上に下から順にろ紙、PVDF膜、SDS−PAGEが終了したゲル、ろ紙を重層し、その上に陰極電極板を固定することにより行った。
泳動後のゲルからPVDF膜への転写は1.9mA/cmの定電流にて60分間で行った。転写終了後のPVDF膜は、ブロッキング溶液(0.5% BSA、10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5)中、室温で60分間インキュベートし、ブロッキング操作を行った。ブロッキング終了後、洗浄バッファー(10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5)で5分間、2回インキュベートして洗浄し、一次抗体として抗体濃度をそれぞれ50μg/mlに調製して、室温で90分間インキュベートして反応させた。
一次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄し、二次抗体として、酵素で標識された抗マウスIgGを用いて、室温で60分間インキュベートして反応させた。二次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄した後、発色基質とともに室温にて30分間インキュベートし、PVDF膜に転写されたデングウイルスNS1に結合した一次抗体を可視化した。
結果をそれぞれ図5(A)及び(B)に示す。図5(A)及び(B)に示すように、No.2〜No.4の抗体により、デングウイルスNS1に相当する約42kDaのバンドが検出されたが、No.1の抗体を用いるとバンドは検出されなかった。
〈実施例1〉
検体希釈液、及び、試料添加部(1)と、標識物質保持部(2)と、検出部(4)を有するクロマトグラフ媒体(3)と、吸収部(5)とを含む免疫クロマト分析装置からなる免疫クロマト分析キットを作製した。
なお、標識物質保持部が含有する第1抗体には、上記で作製したNo.4の抗体を使用し、検出部が含有する第2抗体には、上記で作製したNo.1の抗体を使用した。以下詳細に説明する。
(1)試料添加部の作製
試料添加部としてグラスファイバーからなる不織布(ミリポア社製:300mm×30mm)を用いた。
(2)標識物質保持部の作製
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:LC40nm)0.5mlに、リン酸緩衝液(pH7.4)で0.05mg/mlの濃度になるように希釈した上記No.4抗体を0.1ml加え、室温で10分間静置した。
次いで、1質量%のBSAを含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加え、更に室温で10分間静置した。その後、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1質量%のBSAを含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加えた。以上の手順で標識物質溶液を作製した。
上記作製した標識物質溶液300μLに、300μLの10質量%トレハロース水溶液と1.8mLの蒸留水を加えたものを12mm×300mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識物質保持部を作製した。
(3)クロマトグラフ媒体部および検出部の作製
メンブレンとしてニトロセルロースからなるシート(ミリポア社製、商品名:HF120、300mm×25mm)を用いた。次に、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.4)で1.0mg/mlの濃度になるように、上記No.1抗体を希釈した溶液150μLを、乾燥されたメンブレン上の検出部に1mmの幅でイムノクロマト用ディスペンサー「XYZ3050」(BIODOT社製)を用いて1μL/mmの量(1シートあたり25μL)でライン状に塗布した。
また、金ナノ粒子標識試薬の展開の有無や展開速度を確認するために検出部位の下流に、金ナノ粒子標識物質と広く親和性を有するヤギ由来抗血清をリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈した液をコントロール部位(コントロールライン)に塗布した。その後、50℃にて30分間乾燥させ、室温にて一晩乾燥させ、クロマトグラフ媒体部および検出部を作製した。
(4)免疫クロマト分析装置の作製
次に、バッキングシートからなる基材に、試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体部、展開した試料や標識物質を吸収するための吸収部としてグラスファイバー製の不織布を順次貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、免疫クロマト分析装置とした。なお、標識物質保持部の試料展開方向の長さを12mmとした。
(5)検体希釈液の調製
1質量%の非イオン性界面活性剤(ナカライテスク社製NP−40と日油社製ノニデットMN−811の1:1混合物)を含む50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を調製し、検体を希釈処理するための検体希釈液とした。
〈実施例2〉
実施例1において、標識物質保持部が含有する第1抗体をNo.3の抗体及びNo.4の抗体とし、検出部が含有する第2抗体をNo.1の抗体及びNo.2の抗体とした点を除いては、実施例1と同様にして、実施例2の免疫クロマト分析キットを作製した。
〈比較例1〉
実施例1において、標識物質保持部が含有する第1抗体をNo.1の抗体とし、検出部が含有する第2抗体をNo.4の抗体とした点を除いては、実施例1と同様にして、実施例3の免疫クロマト分析キットを作製した。
表2に実施例1及び2、比較例1の免疫クロマト分析キットに用いた抗体の組み合わせを示す。
試験例1(デングウイルスNS1組換え抗原を用いた測定)
本試験では、上記作製した実施例1及び2の免疫クロマト分析キットを用い、デングウイルスNS1組換え抗原を検体として測定を行った。検体としては、DENV−1〜DENV−4(Meridian Lifescience社製)を用い、濃度が各々60ng/mLとなるように検体希釈液で希釈し、検体含有液を調製した。
上記調製した各検体含有液90μLを免疫クロマト分析装置の試料添加部に滴下し展開させ、検出部における発色強度を測定した。また、比較例2としてSD BIOLINE Dengue NS1 Ag(Abbott社製)を用い、同様の試験を行った。結果を図6(A)〜(D)に示す。
図6(A)〜(D)に示すように、標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する実施例1及び2の免疫クロマト分析装置によれば、標識物質保持部がデングウイルスNS1の立体構造を認識する抗体を含有し、且つ検出部が配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体を含有する比較例1と比較して、高い感度で検体中のデングウイルスを検出できることがわかった。また、検出部に、配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体を含有させた実施例2の免疫クロマト分析装置では、デングウイルスに対する感度がより向上することがわかった。
試験例2(交叉反応性評価)
本試験では、上記作製した実施例1及び2の免疫クロマト分析キットを用い、組換えジカウイルスNS1(Meridian Life Science社製、Cat#R01636)又は組換え日本脳炎ウイルスNS1(Fitzgerald社)を検体として測定を行った。組換えジカウイルスNS1の濃度が2mg/mL、組換え日本脳炎ウイルスNS1の濃度が2mg/mLとなるように検体希釈液で希釈し、各検体含有液を調製した。調製した各検体含有液を試料として、試験例1と同様に測定を行った。また、比較例2としてSD BIOLINE Dengue NS1 Ag(Abbott社製)、比較例3としてPanbio(登録商標) Dengue early rapid(Abbott社製)を用い、同様の試験を行った。結果を図7に示す。
図7に示すように、本発明の免疫クロマト分析キットは、デングウイルスと相同性の高いジカウイルス及び日本脳炎ウイルスに対して交叉反応を起こさず、デングウイルスを特異的に検出できることが分かった。
試験例3(ハーフストリップ法)
抗体結合金コロイドをPad化せずに液体のままニトロセルロース膜に展開させるハーフストリップ法により、表3に示す抗体を用いて、次に示す手順で実施例3及び比較例4のテストストリップを作製し、S/N比を求めた。
表3に示す抗体を実施例1と同様の方法にて、金コロイド標識抗体及び抗体固定メンブレンを作製した。抗体固定メンブレンをバッキングシートに貼り付け、貼り付けた抗体固定メンブレンの上部にセルロースファイバー製吸収パッドを貼り付けた後に裁断し、3層構造のハーフストリップを作製した。
組換えNS1を陽性検体、PBSを陰性検体として、各試料40μLを96ウェルプレートまたはエッペンチューブなどに加えた後、金コロイド標識抗体を3μL加える。検体と金コロイド標識抗体の混合液に上記ハーフストリップを挿入し15分後にイムノクロマトリーダー(浜松ホトニクス社製)を用いて判定部位の発色強度を数値化した。陰性検体及び陽性検体の発色値よりS/N比を求めた結果を図8に示す。
図8に示すように、標識物質保持部にNo.4の抗体(配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体)を使用し、且つ検出部にNo.1の抗体(デングウイルスNS1の立体構造を認識する抗体)を使用した実施例3は、標識物質保持部にNo.1の抗体使用し、且つ検出部にNo.4の抗体を使用した比較例4と比較して、顕著に高い感度を示した。
参考例1〜3及び試験例3の結果から、No.1の抗体は、デングウイルスNS1の立体構造を認識していると考えられる。また、標識物質保持部に配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有させ、且つ検出部に第2抗体を含有させることにより、該配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識して該第1抗体が抗原抗体反応したNS1の立体構造を第2抗体が認識して抗原抗体反応すると考えられる。第1抗体が先にデングウイルスNS1に結合することにより、第2抗体が認識する部位の立体構造が展開中においても保持され、第2抗体が抗原に結合しやすい状態を維持することにより、顕著に高い感度を示すことが可能となると考えられる。
また、以上の結果より、標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する本発明の免疫クロマト分析装置によれば、検体中のデングウイルスを優れた感度で検出できることがわかった。
さらに、本発明の免疫クロマト分析装置によれば、デングウイルスと相同性の高い他のウイルスに対して交叉反応を起こさず、デングウイルスを特異的に検出できることが分かった。
1 試料添加部
2 標識物質保持部
3 クロマトグラフ媒体部
4 検出部
5 吸収部
6 バッキングシート

Claims (4)

  1. 試料添加部と、標識物質保持部と、検出部を有するクロマトグラフ媒体部と、吸収部とを含む、検体中のデングウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置であって、
    前記標識物質保持部が、配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体を含有し、且つ
    前記検出部が、デングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体を含有する、免疫クロマト分析装置。
  2. 前記検出部が、さらに配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する抗体を含有する、請求項1に記載の免疫クロマト分析装置。
  3. 請求項1または2に記載の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈して展開するための検体希釈液とを含む、免疫クロマト分析キット。
  4. 請求項3に記載の免疫クロマト分析キットを用いて、検体中のデングウイルスを検出する免疫クロマト分析方法であって、以下の工程(1)〜(4)を含む免疫クロマト分析方法。
    (1)検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
    (2)標識物質保持部に保持されている配列番号1で示されるデングウイルスNS1の全アミノ酸配列中に存在する配列番号2で示されるアミノ酸配列を認識する第1抗体により、検体中のデングウイルスを認識させる工程
    (3)前記検体及び前記抗体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
    (4)展開された前記移動相中のデングウイルスを、検出部に含まれるデングウイルスNS1の立体構造を認識する第2抗体により検出する工程
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