JP6451006B2 - 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6451006B2
JP6451006B2 JP2014157647A JP2014157647A JP6451006B2 JP 6451006 B2 JP6451006 B2 JP 6451006B2 JP 2014157647 A JP2014157647 A JP 2014157647A JP 2014157647 A JP2014157647 A JP 2014157647A JP 6451006 B2 JP6451006 B2 JP 6451006B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel wire
abrasive
fixed
metal
saw wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014157647A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015057303A (ja
JP2015057303A5 (ja
Inventor
俊次 蜂須賀
俊次 蜂須賀
弘起 木根
弘起 木根
聡 玉田
聡 玉田
精琢 呂
精琢 呂
理士 平勢
理士 平勢
村田 和広
和広 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Sijtechnology Inc
Original Assignee
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Sijtechnology Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd, Sijtechnology Inc filed Critical Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Priority to JP2014157647A priority Critical patent/JP6451006B2/ja
Publication of JP2015057303A publication Critical patent/JP2015057303A/ja
Publication of JP2015057303A5 publication Critical patent/JP2015057303A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6451006B2 publication Critical patent/JP6451006B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Mechanical Treatment Of Semiconductor (AREA)
  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)
  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Description

この発明は固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法に関する。
シリコン,サファイヤなどの高硬度の脆性材料のインゴットを薄く切断してウエハを製作するために,固定砥粒ソーワイヤが用いられている。固定砥粒ソーワイヤは,上記インゴットよりも高い硬度を持つダイヤモンドなどの細かい粉砕物を鋼線の表面に固定したものである。走行する固定砥粒ソーワイヤにシリコンなどのインゴットを押しつけることによって,インゴットが薄く切出されてウエハが製作される。
特許文献1は,圧縮空気によってスプレーノズルから芯線の外周面に向けて接着剤を噴射して塗布し,これにより多数の点状接着剤を芯線の外周面上に付着させる方法を記載する。芯線の外周面上に付着した点状接着部に砥粒が固着される。しかしながら,特許文献1の方法では,芯線の外周面上の全体にわたって接着剤が付着しないとしても,過不足なく点状接着剤を付着させるのは容易ではない。スプレーノズルから噴射させる接着剤の時間当たりの量や噴射時間に多大な配慮を払わなければ,芯線に付着する点状接着剤が不足したり,逆に過剰に点状接着剤を付着させてしまう可能性が高い。点状接着部に砥粒が固着されるので,点状接着剤が不足する場合には芯線に付着する砥粒が少なすぎることになり,逆に点状接着剤が過剰であれば芯線に付着する砥粒が多すぎることになる。芯線に付着する砥粒が少なすぎるとインゴットのスライシングに長い時間がかかってしまう。芯線に付着する砥粒が多すぎるとインゴットをスライシングするときに生じる切子の排出性が悪化し,スライシング製品(ウエハなど)の品質に悪影響を及ぼしかねない。
特許第4073328号公報
この発明は,適切な密度でかつ適切なパターンで砥粒が付着した固定砥粒ソーワイヤを提供することを目的とする。
この発明はまた,切削性の優れた固定砥粒ソーワイヤを提供することを目的とする。
この発明による固定砥粒ソーワイヤは,鋼線の表面に所定パターンで複数の点状接着液滴を接着させ,上記点状接着液滴に砥粒を付着させ,上記所定パターンで上記砥粒が付着した鋼線の表面に固着材を被覆させたものであることを特徴とする。上記砥粒には,たとえばダイヤモンド粉砕物を用いることができる。ダイヤモンド粉砕物を金属(たとえばニッケル)で被膜したもの(金属被膜ダイヤモンド粉砕物)を砥粒として用いてもよい。ダイヤモンド粉砕物と金属被膜ダイヤモンド粉砕物の両方を混在させることもできる。
この発明は固定砥粒ソーワイヤの製造方法も提供する。この発明による固定砥粒ソーワイヤの製造方法は,鋼線の表面に所定パターンで複数の点状接着液滴を接着し,上記点状接着液滴に砥粒を付着し,上記所定パターンで上記砥粒が付着した鋼線の表面に固着材を被覆することを特徴とする。
この発明によると,鋼線の表面に所定パターンで複数の点状接着液滴が接着しており,この点状接着液滴に砥粒が付着しているので,鋼線の表面には上記所定パターンで砥粒が付着している。鋼線の表面に多数の砥粒が比較的広い範囲にわたって凝集して付着した箇所や逆に砥粒が付着していない箇所が無い。適切な密度でかつ適切なパターンで砥粒が付着した,シリコン等のインゴットのスライシングに適する固定砥粒ソーワイヤが提供される。一実施態様では点状接着液滴の大きさ(広がり範囲)が砥粒の大きさ(平均径)以下であり,1つの点状接着液滴に1粒ないし数粒の砥粒が付着する。
所定パターンとはあらかじめ定められている規則的な配列であり,複数の点状接着液滴(砥粒)のそれぞれが隣り合う点状接着液滴(砥粒)と所定の間隔をあけて鋼線の表面に接着(付着)され,かつ点状接着液滴(砥粒)同士が所定の配置位置関係を保持していることを意味する。たとえば鋼線の表面において周方向にほぼ一列に複数の点状接着液滴(砥粒)が互いに間隔をあけて並んでいるパターン,鋼線の表面にらせん状に複数の点状接着液滴(砥粒)が互いに間隔をあけて並んでいるパターン,その他のパターンが含まれる。好ましくは上記点状接着液滴(砥粒)の所定パターンは上記鋼線の長手方向に繰返し現れる。
点状接着液滴(砥粒)の所定パターンは鋼線の表面に向けて点状接着液滴を噴出する液滴塗布装置によって制御され,点状接着液滴の鋼線の表面への噴出にはたとえば特許第3975272号公報に記載の超微細流体ジェット装置を用いることができる。たとえば複数のノズルを備える液滴塗布装置を用いて複数のノズルのそれぞれから点状接着液滴を一の鋼線の表面に向けて噴出させることで,点状接着液滴を所定パターンで鋼線の表面に向けて噴出することができる。複数のノズルのそれぞれからの点状接着液滴の噴出タイミングは同一とすることもできるし,互いに異ならせることもできる。鋼線に対するノズルの配置(配列)も任意に変更することができる。いずれにしても,液滴塗布装置は噴出する液滴を1粒単位で正確に制御することができ,鋼線の表面においてムラを生じさせることがないようにして点状接着液滴の接着位置(砥粒の付着位置)が制御され,これによって様々な所定パターンで点状接着液滴(砥粒)が鋼線の表面に接着される。
上記固着材は,点状接着液滴によって鋼線の表面に付着している複数の砥粒を,鋼線の表面に固定(固着)するためのものである。固着材としては,好ましくはニッケル等の金属が用いられ,この場合固着材はめっき層を構成する。たとえばニッケルめっき液が溜められためっき浴槽に砥粒が付着した鋼線を浸し,上記めっき浴槽に電流を通電することによって,電着によってニッケルめっきが鋼線の表面に被覆される。ニッケルめっきによって砥粒は鋼線の表面に強固に固定される。
金属被膜ダイヤモンド粉砕物を用いる場合,金属被膜ダイヤモンド粉砕物を被膜する金属と上記めっき層に用いられる金属とを同一のものとするのが好ましい。めっきが良好に析出されるので,ダイヤモンド粉砕物をより強固に鋼線の表面に固定することができる。
一実施態様では,上記点状接着液滴が紫外線硬化性樹脂である。点状接着液滴として紫外線硬化性樹脂を用いることで,紫外線を用いて点状接着液滴を硬化させることができる。固着材を鋼線に表面に被覆することによって鋼線の表面に砥粒を強固に固定する前段階において,鋼線の表面に砥粒を仮固定することができる。砥粒の脱落が抑制される。
一実施態様では,上記点状接着液滴の平均径(液滴の大きさ)が10μm以下である。特許第3975272号公報に記載の超微細流体ジェット装置が備えるノズル等を用いることで,鋼線の表面に平均径が10μm以下の点状接着液滴を接着することができる。シリコン等のインゴットをスライシングするための固定砥粒ソーワイヤは,その基材である鋼線に直径の太いものを用いると,カーフロスが大きくなってしまう。カーフロスを小さくとどめるにはできるだけ直径の小さい鋼線を用いるのが理想である。超微細流体ジェット装置は微少体積の流体を精度良く噴出することができるので,0.08mm〜0.25mm程度の直径の小さい鋼線を用いても,その表面に平均径が10μm以下の点状接着液滴を所定パターンで接着することができる。すなわち,この発明による固定砥粒ソーワイヤを構成する鋼線は一実施態様において0.08mm〜0.25mmの直径を持つ。
好ましくは,長手方向に隣り合う他の砥粒までの間隔が,上記砥粒の平均径の0.8倍以上,好ましくは1倍以上,より好ましくは1.5倍以上,特に好ましくは2.5倍以上とされる。シリコン等のインゴットをスライシングするときに発生する切子の良好な排出性を確保することができ,切削性が向上する。
固定砥粒ソーワイヤの製造装置を概略的に示す。 固定砥粒ソーワイヤの製造装置を概略的に示す。 液滴塗布装置と鋼線との位置関係を示す。 固定砥粒ソーワイヤの横断面図である。 固定砥粒ソーワイヤの片側縦断面図である。 (A),(B)および(C)は液滴の接着パターンを示すもので,鋼線の表面の展開図である。 (A)および(B)は液滴の接着パターンを示すもので,鋼線の表面の展開図である。 鋼線と鋼線に向けて液滴を噴出する液滴塗布装置のノズルとの位置関係を示している。 鋼線と鋼線に向けて液滴を噴出する液滴塗布装置のノズルとの位置関係を示している。 液滴の接着パターンを示すもので,液滴が接着している鋼線の斜視図である。 砥粒が付着している鋼線の拡大写真である。 ダイヤモンド粉砕物を砥粒として用いた固定砥粒ソーワイヤの一部拡大断面写真である。 ニッケルによってプレコーティングしたダイヤモンド粉砕物を砥粒として用いた固定砥粒ソーワイヤの一部拡大断面写真である。
図1および図2は固定砥粒ソーワイヤの製造装置(システム)を示している。
ワイヤ繰出装置10の繰出ボビン11に断面円形の鋼線1が巻き回されている。鋼線1はスチール製のもので,0.08mm以上0.25mm以下の直径を持つ。繰出ボビン11から繰出された鋼線1はダンサー機構12に進む。ダンサー機構12は,固定ロール12A,ダンサーロール12Bおよび固定ロール12Cを含み,鋼線1はこれらのロール12A,12B,12Cにかけられている。ダンサーロール12Bは上下方向に移動可能に支持されており,張力付与装置の一部を形成する。ダンサーロール12Bに負荷される回転トルクにより,鋼線1に加わる張力が制御される。
ダンサー機構12を経た鋼線1はキャプスタン機構13に進む。キャプスタン機構13は回転自在の2つのキャプスタンロール13A,13Bを含み,鋼線1はこれらのロール13A,13Bに複数回にわたってかけられている。キャプスタンロール13A,13Bの少なくとも一方の回転がサーボ・モータ(図示略)によって制御される。キャプスタン機構13において鋼線1の繰出し速度が制御される。
キャプスタン機構13を経た鋼線1は,案内ロール14,15を経て洗浄装置20に進む。
洗浄装置20は,鋼線1の進行方向に間隔あけて並べられた2つの浸漬ロール24,25を備える浸漬槽22を含む。浸漬槽22には希塩酸水溶液23が溜められており,上記浸漬ロール24,25は希塩酸水溶液23中に浸かっている。洗浄装置20において,案内ロール21を経た鋼線1は浸漬槽22内の浸漬ロール24,25にかけられ,ここで希塩酸水溶液23に浸漬される。希塩酸水溶液23によって鋼線1の表面の酸化物が除去される。表面の酸化物が除去された鋼線1は案内ロール26を経て液滴塗布装置30に進む。
図3は,鋼線1の進行方向側から見た液滴塗布装置30のノズル31と鋼線1との配置関係を示している。
液滴塗布装置30は,走行する鋼線1の外側周囲において,先端を上記鋼線1に向けて,所定角度間隔をあけて配列された複数のノズル31と,上記複数のノズル31のそれぞれに独立に電圧を印加する制御装置32とを備え,上記制御装置32によって上記複数のノズル31のそれぞれに印加される電圧によって上記複数のノズル31内の流体を帯電させ,帯電した流体と上記鋼線1との間に働く静電力によって,上記流体の一部である液滴3を上記ノズル31の先端から上記鋼線1に向けて飛翔させるものである。上記ノズル31内には供給される流体が通る通路が形成されており,この流体通路がノズル31の先端開口につながっているのは言うまでもない。また,上記制御装置32によって加えられる電圧が与えられる電極(図示略)が上記ノズル31には設けられている。この実施例の液滴塗布装置30は微少体積の液滴3を噴出することが可能な6つのノズル31を備えており,6つのノズル31のいずれもが制御装置32に接続されている。各ノズル31に電圧が印加されることで,流体が帯電し,帯電した流体と導体である鋼線1との間に働く静電力によって,液滴3が液滴塗布装置30のノズル31の先端から鋼線1に向けて飛翔する。ノズル31の構造,ノズル31から鋼線1に向けて液滴3を飛翔させるための電圧値等については,たとえば特許第3975272号公報に記載のものを用いることができる。
図3においては,6つの先細のノズル31が,鋼線1の外周面の外方において隣り合うノズル31との間に等角度間隔をあけて設けられている。ノズル31は鋼線1に垂直に設けてもよいし,鋼線1に対して斜めに(たとえば鋼線1の走行方向に沿う方向にノズル31の先端が向くように,またはその逆を向くように)設けてもよい。いずれにしてもノズル31の先端は鋼線1の表面を向いている。走行する鋼線1に向けてノズル31のそれぞれから微少体積の液滴3が噴出し,噴出した液滴3は鋼線1の表面に着弾する。液滴塗布装置30から噴出される液滴3としては紫外線硬化特性を有する接着樹脂が用いられる。液滴塗布装置30から噴出された液滴3が鋼線1の表面に着弾すると,液滴3は鋼線1の表面においてわずかに広がり(飛び散り),その位置に接着(定着)する。鋼線1の表面に着弾した液滴3が鋼線1の表面から流れ落ちてしまうまたは鋼線1の表面に際限なく広がってしまうことはない。ノズル31の数は,4つ,5つ,8つその他の数としてもよい。
図1に戻って,液滴塗布装置30を経た鋼線1は砥粒付着装置40に進む。
砥粒付着装置40は砥粒堆積槽42を備えている。砥粒堆積槽42の内部に,平均径が8μm〜16μm程度のダイヤモンド粉砕物4が多数堆積されている。ダイヤモンド粉砕物4は,後述する工程を経て鋼線1の表面に固着されて,シリコンなどのインゴットから薄いウエハを切り出すための砥粒として用いられる。以下の説明では,ダイヤモンド粉砕物4を「砥粒4」と呼ぶ。
砥粒堆積槽42の内部にはさらに歯付き車41が回転自在に設けられている。歯付き車41が回転することで,砥粒堆積槽42に堆積されている砥粒4が掻き揚げられ,砥粒堆積槽42の内部に多数の砥粒4が浮遊する。多数の砥粒4が浮遊している砥粒堆積槽42内を表面に液滴3が接着した鋼線1が通過すると,鋼線1の表面の液滴3に砥粒4が付着する。着弾した液滴3の大きさと砥粒4の大きさとの関係は,液滴3の直径(仮想円相当直径)(平均径)が砥粒4の直径(仮想円相当直径)(平均径)の0.8倍以上であることが好ましく,2倍以下であることが好ましい。砥粒4に対してはみだす部分の少ない量の液滴3を用いることで,後述するめっきの析出を良好なものとすることができる。1つの液滴3に対して1粒ないし数粒の砥粒4が付着する。
液滴3によって表面に多数の砥粒4が付着した鋼線1は,次に紫外線照射装置50に進む。
紫外線照射装置50は,紫外線(UV)を出射するランプ51および反射ミラー52を含む。紫外線ランプ51から出射された紫外線および反射ミラー52によって反射された紫外線が鋼線1のほぼ全体に照射される。紫外線硬化性接着樹脂の液滴3はここで硬化する。鋼線1の表面に多数の砥粒4が仮固定される。
電気めっき装置60に進む。電気めっき装置60は,スルファミン酸ニッケル水溶液63が溜められた電気めっき槽62を備える。電気めっき槽62内には浸漬ロール64,65およびNi(ニッケル)アノード66が設けられている。鋼線1は案内ロール61,浸漬ロール64,65,および案内ロール67にかけられ,電気めっき槽62に溜められたスルファミン酸ニッケル水溶液63に浸漬される。
案内ロール61,67をマイナス,Niアノード66をプラスとして,水溶液63に直流電流を通電する。たとえば8μmの層厚のニッケルめっき層(固着材)が鋼線1の表面に積層(析出)されて被覆される。ニッケルめっき層によって,液滴3によって付着(仮固定)している多数の砥粒4が鋼線1の表面に強固に固定される。
図2を参照して,ニッケルめっきされた鋼線1は洗浄装置70に進む。洗浄装置70は水73が溜められた,浸漬ロール74,75を備える洗浄槽72を含む。ニッケルめっきされた鋼線1は,案内ロール71,浸漬ロール74,75,および案内ロール76にかけられており,洗浄層72に溜められた水73によって水洗いされる。
水洗いされた鋼線1は次に乾燥装置80に進む。乾燥装置80は,案内ロール81,82および電気ヒータ83を備える。乾燥装置80を通過するときに,電気ヒータ83からの熱によって水洗いされた鋼線1が乾かされる。
最後に,乾かされた鋼線1はワイヤ巻取り装置90に進む。ワイヤ繰出装置10と同様に,ワイヤ巻取り装置90も,案内ロール91,92,キャプスタンロール93A,93Bを含むキャプスタン機構93,固定ロール94A,94Cおよびダンサーロール94Bを含むダンサー機構94を備える。上述した工程を経た鋼線1が巻取ボビン95によって巻取られる。以下,巻取ボビン95によって巻取られる最終状態の鋼線1を,固定砥粒ソーワイヤ2と呼ぶ。
図4は固定砥粒ソーワイヤ2の横断面を模式的に示している。図5は固定砥粒ソーワイヤ2の片側縦断面を模式的に示している。
固定砥粒ソーワイヤ2は,鋼線(スチール単線)1と,鋼線1の表面に接着した液滴3と,液滴3に付着した砥粒4と,ニッケルめっき層6を含む。上述したように,鋼線1は0.08mm〜0.25mmの直径を持つ。液滴3は10μmないしそれ以下の直径(広がり)を持つ。砥粒4は8μm〜16μmの平均径を持つ。ニッケルめっき層6は砥粒4の平均径の70%程度の厚さを持つ。ニッケルめっき層6の層厚は砥粒4の全体が覆われてしまわない程度とするのが好ましい。6μm程度の層厚があれば砥粒4を鋼線1の表面に強固に固着することができる。ニッケルめっき層6を厚く積層しすぎないことで,固定砥粒ソーワイヤ2の使用初期段階の切削性がニッケルめっき層6によって低められてしまうことがなく,カーフロスも小さくすることができる。
液滴3(砥粒4)は,鋼線1の長手方向に隣り合う液滴3(他の砥粒4)との間の間隔を,砥粒4の直径に対して特定の倍率で離して鋼線1の表面に接着(付着)させることが好ましい。この離間間隔は,砥粒4の直径(仮想円相当直径)に対して0.8倍以上であることが好ましく,1倍以上であることがより好ましく,1.5倍以上であることがさらに好ましく,2倍以上であることがさらに好ましく,2.5倍以上であることが特に好ましい。上限は特にないが,5倍以下であることが実際的である。上述した離間距離を具体的な数値で示すと,おおよそ10μm以上であることが好ましく,20μm以上であることがより好ましく,30μm以上であることがさらに好ましく,50μm以上であることが特に好ましい。上限としては200μm以下であることが実際的である。このように砥粒4を適当な距離で離間させて過剰に鋼線1の表面に接着しないようにすることで,固定砥粒ソーワイヤ2を用いてシリコン等のインゴットをスライシングするときに生じる切子を良好に外部に排出することができる。
図6(A)〜図7(B)は鋼線1の表面の展開図を示すもので,鋼線1の表面に付着している液滴3の接着パターン(繰返しパターン)を示している。液滴3はそれぞれ鋼線1の長手方向に間隔をあけて並んで接着されている。上述した液滴塗布装置30の6つのノズル31のそれぞれからの液滴3の噴出タイミングを制御すること,または6つのノズル31の配置位置を調整することで,液滴3の鋼線1の表面における接着パターンを制御することができる。鋼線1の周方向にほぼ一列に液滴3を並べたパターン(図6(A)),鋼線1にらせん状に液滴3を並べたパターン(図6(B)〜図7(B)),6つのノズル31のうちの3つのノズル31と残りの3つのノズル31の噴出タイミングを異ならせたパターン(図6(C)),6つのノズル31を2本ずつ組にして,3組のノズル31の噴出タイミングを異ならせたパターン(図7(B))など,様々なパターンで液滴3を鋼線1の表面に接着させることができる。液滴3には砥粒4が1粒ないし数粒ずつ付着するので,図6(A)〜図7(B)に示す液滴3の接着パターンは,そのまま固定砥粒ソーワイヤ2における砥粒4の配置パターンを示す。
図8および図9は,鋼線1と,鋼線1に接着している液滴3と,鋼線1に向けて液滴3を噴出する6つのノズル31との位置関係を示している。
図8および図9に示す鋼線1の表面に接着されている液滴3の位置(接着パターン)はいずれも同じらせん状のパターンであるが,6つのノズル31の配置位置が,図8と図9とでは異なっている。
図8では,6つのノズル31が,鋼線1の一の横断面に沿って互いに等角度間隔をあけて配置されている。6つのノズル31のそれぞれから噴出される液滴3の噴出タイミングをずらすことで,走行する鋼線1の表面に液滴3がらせん状に接着される。
図9では,6つのノズル31が,鋼線1の外側周囲において互いに等角度間隔をあけて配置され,かつ鋼線1の長手方向にも位置を異ならせて(等間隔をあけて)設けられている。図9に示す態様では6つのノズル31から同時に液滴3を噴出することができる。ノズル31自体の配置によって,らせん状に並ぶ液滴3の鋼線1の表面への接着が実現される。
ノズル31の数,各ノズル31からの液滴3の噴出タイミング,および各ノズル31の配置位置を制御することで,鋼線1の表面に様々な密度かつパターンで液滴3を接着することができ,たとえば図10に示すように,異なるらせん方向に並ぶ複数の液滴3の接着パターンを鋼線1の表面に実現することもできる。
図11に複数の砥粒4が液滴3によって表面に付着している鋼線1の拡大写真を示す。
上述した実施例では,電気めっきによってニッケルめっき層6を鋼線1に積層する例を説明したが,電気めっきに代えて無電解めっきや溶融めっきを用いてもよい。また,上述した実施例ではダイヤモンド粉砕物を砥粒4として用いる例を説明したが,ニッケルによってプレコーティングしたダイヤモンド粉砕物(金属被膜ダイヤモンド粉砕物)を砥粒4として用いてもよい。特にめっき層(固着材)の金属と同じ金属によってダイヤモンド粉砕物をプレコーティングしておくことでダイヤモンド粉砕物の周囲にめっきが良好に析出されることになるので,ダイヤモンド粉砕物をより強固に鋼線1の表面に固定することができる。
図12はダイヤモンド粉砕物を砥粒4として用いた固定砥粒ソーワイヤの一部拡大断面写真である。図13はニッケルによってプレコーティングしたダイヤモンド粉砕物を砥粒4として用いた固定砥粒ソーワイヤの一部拡大断面写真である。なお,図12および図13に示す断面写真では,固定砥粒ソーワイヤの外縁を分かりやすくするための画像補正(エッジを明るくする補正)を行っている。
ダイヤモンド粉砕物とニッケルによってプレコーティングしたダイヤモンド粉砕物の両方を,鋼線1の表面に固定してもよい。上述した砥粒付着装置40の砥粒堆積層42(図1参照)に,ダイヤモンド粉砕物とニッケルによってプレコーティングしたダイヤモンド粉砕物を混在させておくことで,これらの両方を鋼線1の表面に固定することができる。
1 鋼線
2 固定砥粒ソーワイヤ
3 液滴
4 ダイヤモンド粉砕物(砥粒)
6 ニッケルめっき層

Claims (14)

  1. 鋼線の表面に任意の所定パターンで紫外線硬化特性を有しかつ帯電特性を有する樹脂の複数の接着液滴が点状に接着されており,上記点状接着液滴に金属被膜付き砥粒が固定されており,上記所定パターンで上記金属被膜付き砥粒が固定した鋼線の表面が金属系固着材により被覆されている,
    固定砥粒ソーワイヤ。
  2. 上記所定パターンが上記鋼線の長手方向に繰返し現れている,
    請求項1に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  3. 上記点状接着液滴の平均径が10μm以下である,
    請求項1または2に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  4. 長手方向に隣り合う他の砥粒までの間隔が,上記砥粒の平均径の0.8倍以上である,
    請求項1から3のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  5. 上記金属被膜付き砥粒が金属被膜ダイヤモンドである,請求項1から4のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  6. 上記金属系固着材がめっき層である,
    請求項1から5のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  7. 上記金属被膜付き砥粒の被膜に用いられる金属と上記めっき層に用いられる金属とが同一である,請求項6に記載の固定砥粒ソーワイヤ。
  8. 鋼線の表面に任意の所定パターンで紫外線硬化特性を有しかつ帯電特性を有する樹脂の複数の接着液滴を点状に接着し,
    上記点状接着液滴に金属被膜付き砥粒を固定し,
    上記所定パターンで上記金属被膜付き砥粒が固定した鋼線の表面に金属系固着材を被覆する,
    固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  9. 上記所定パターンが上記鋼線の長手方向に繰返し現れている,
    請求項8に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  10. 上記点状接着液滴の平均径が10μm以下である,
    請求項8または9に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  11. 長手方向に隣り合う他の砥粒までの間隔が,上記砥粒の平均径の0.8倍以上である,
    請求項8から10のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  12. 上記金属被膜付き砥粒が金属被膜ダイヤモンドである,請求項8から11のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  13. 上記金属系固着材がめっき層である,
    請求項8から12のいずれか一項に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
  14. 上記金属被膜付き砥粒の被膜に用いられる金属と上記めっき層に用いられる金属とが同一である,
    請求項13に記載の固定砥粒ソーワイヤの製造方法。
JP2014157647A 2013-08-09 2014-08-01 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法 Active JP6451006B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014157647A JP6451006B2 (ja) 2013-08-09 2014-08-01 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013165918 2013-08-09
JP2013165918 2013-08-09
JP2014157647A JP6451006B2 (ja) 2013-08-09 2014-08-01 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2015057303A JP2015057303A (ja) 2015-03-26
JP2015057303A5 JP2015057303A5 (ja) 2017-07-06
JP6451006B2 true JP6451006B2 (ja) 2019-01-16

Family

ID=52815604

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014157647A Active JP6451006B2 (ja) 2013-08-09 2014-08-01 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6451006B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104908501B (zh) * 2015-05-18 2017-09-19 南通江海港建设工程有限公司 一种钢丝纹理加工装置
KR102164681B1 (ko) * 2018-08-10 2020-10-12 서명배 와이어 쏘우 코팅을 위한 교반 장치 및 와이어 쏘우 제조 장치
CN114540901B (zh) * 2022-01-27 2023-09-26 隆基绿能科技股份有限公司 一种金刚线及其制备方法

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001030178A (ja) * 1999-07-16 2001-02-06 Kawai Tekko Kk ワイヤ式切削工具及びその製造方法
JP2001293649A (ja) * 2000-04-13 2001-10-23 Ricoh Co Ltd ワイヤ工具の製造方法
JP2003200353A (ja) * 2001-12-27 2003-07-15 Riken Diamond Industry Co Ltd 固定砥粒式の切断用工具及びその製造方法
JP4073328B2 (ja) * 2003-02-04 2008-04-09 株式会社リード 単層固定砥粒ワイヤーソー及びその製造方法並びに切断方法
US20090032006A1 (en) * 2007-07-31 2009-02-05 Chul Woo Nam Wire saw process
JP2009066689A (ja) * 2007-09-12 2009-04-02 Read Co Ltd 固定砥粒ワイヤーソー
KR20120036906A (ko) * 2009-06-05 2012-04-18 어플라이드 머티어리얼스, 인코포레이티드 연마용 와이어 제조 방법 및 장치
JP5576177B2 (ja) * 2010-04-28 2014-08-20 株式会社リード 固定砥粒ワイヤーソー及びその製造方法
SG11201400630WA (en) * 2011-09-16 2014-04-28 Saint Gobain Abrasives Inc Abrasive article and method of forming

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015057303A (ja) 2015-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6451006B2 (ja) 固定砥粒ソーワイヤおよびその製造方法
JP5286968B2 (ja) ワイヤーソーの製造方法
JP5710067B2 (ja) 非伝導性物質のパターニング処理方式を用いた電着ダイヤモンドワイヤーソー及びその製造方法
JP6352176B2 (ja) 固定砥粒ワイヤーソーとその製造方法、及びそれを用いたワークの切断方法
US20110009039A1 (en) Method and apparatus for manufacturing an abrasive wire
US20130032129A1 (en) Super-abrasive grain fixed type wire saw, and method of manufacturing super-abrasive grain fixed type wire saw
JP5256878B2 (ja) ワイヤーソーの製造方法
JP2018182236A (ja) 半導体パッケージの製造方法
WO2012148173A3 (ko) 방전가공용 전극선 및 그 제조방법
JP2004050301A (ja) ワイヤーソーおよびその製造方法
CN107866724A (zh) 半导体装置的制造方法和半导体制造装置
JP2018533841A (ja) パターン形成された塗膜体を成形品上に作製する方法およびこの方法を実施する装置
JP4073328B2 (ja) 単層固定砥粒ワイヤーソー及びその製造方法並びに切断方法
TW201438833A (zh) 線鋸及線鋸之製造方法
JP5207444B2 (ja) 研磨シート及び研磨シートの製造方法
TWI389674B (zh) Dental grinding rods and methods for their manufacture
JP5566922B2 (ja) 固定砥粒ワイヤおよびその製造方法
JPH10257727A (ja) 粉体塗装方法、および電機子コアの製造方法
JP4871543B2 (ja) 電着砥石の製造方法
JP2010253631A (ja) Cmpコンディショナおよびその製造方法
JP2015057303A5 (ja)
JP2001334473A (ja) 研磨シート及びその製造方法
JP2004009238A (ja) ソーワイヤ製造方法及びソーワイヤ
CN203613287U (zh) 表面固结磨粒成群螺旋排布的电镀锯丝生产装置
JP2001315060A (ja) ドレッシング砥石及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170529

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170529

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180223

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180525

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181121

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6451006

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250