JP2001293649A - ワイヤ工具の製造方法 - Google Patents

ワイヤ工具の製造方法

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JP2001293649A
JP2001293649A JP2000112445A JP2000112445A JP2001293649A JP 2001293649 A JP2001293649 A JP 2001293649A JP 2000112445 A JP2000112445 A JP 2000112445A JP 2000112445 A JP2000112445 A JP 2000112445A JP 2001293649 A JP2001293649 A JP 2001293649A
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Toshiyuki Enomoto
俊之 榎本
Yasuhiro Tani
泰弘 谷
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Ricoh Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来よりも高寿命であって切断加工の高精度
化・高能率化が可能で、かつ長尺で安価なワイヤ工具の
製造方法を提供する。 【解決手段】 ワイヤ11とその上に形成される混合被
覆(光硬化性樹脂)との密着性を向上させるために、光
硬化性接着剤21a、光硬化性樹脂の混合溶液220の
塗布工程の前に、ワイヤ洗浄処理を施す。ワイヤ洗浄工
程においては、オゾン発生装置27からオゾン供給部2
5にオゾン含有ガスを供給しながら、このオゾン供給部
25内で光照射部24より紫外線をワイヤ11の表面に
所定時間、照射する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばシリコンイ
ンゴット、水晶、石英などの硬脆材料や金属材料を切断
加工するための、樹脂を主な結合材材料としたワイヤ工
具に関し、特に切断加工の高精度化・高能率化に好適な
ワイヤ工具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコンインゴット、水晶、石英
などの硬脆材料や金属材料の切断工具としてワイヤ工具
が用いられているが、特に近年のシリコンウェーハの大
口径化に伴い、シリコンウェーハのインゴットからの切
断手段として注目されている。
【0003】シリコンインゴットの切断加工には、従来
は内周刃による切断方式が適用されてきた。そして近
年、半導体デバイスの生産コストの低減、適正化を図る
ために、シリコンウェーハは大口径化の一途をたどって
いるが、そうしたウェーハの大口径化に対しては、内周
刃の大径化で対応してきた。しかし、特に8インチ以上
のシリコンインゴットに対しては、スループットの向上
に限界がある、カーフロスが大きい、切断ジグへの内周
刃のセッティングが困難である、などの理由により、切
断方法は内周刃切断方式からマルチワイヤ切断方式に置
き換わりつつある。
【0004】ところで、従来行われてきたワイヤによる
シリコンインゴットの切断加工は、ワイヤであるピアノ
線などに高粘度の研磨剤スラリーを供給しながら切断を
行う、「遊離砥粒加工」であった。しかしながら、遊離
砥粒加工法ゆえに、多量の産業廃棄物(廃液)を生じ
る、作業環境が極めて悪い、ランニングコストが高い、
切断後のウェーハ洗浄が難しい、加工能率の向上が望め
ない、さらには切断精度が悪い、などの欠点があった。
【0005】これらの問題を解決するものとして、ワイ
ヤに砥粒を固着させたワイヤ工具、すなわち固定砥粒ワ
イヤ工具があり、すでに電着ワイヤ工具(特開昭63−
22275号公報、特公平4−4105号公報、特開平
7−227767号公報、特開平9−150314号公
報などに記載)や、ピアノ線自体に砥粒を機械的に埋め
込む製造法によるワイヤ工具(商品名ワイヤモンド、住
友電気報 昭和63年3月 第132号、第118−12
2頁に記載)が開発され、いずれも砥粒を固着する結合
材としては金属が用いられている。
【0006】ところが、金属を結合材として用いたワイ
ヤ工具では、結合材層が硬いため、ワイヤ工具の破断ね
じり強度や曲げ強度が低く、加工時に断線しやすい、ま
た電着ワイヤ工具においては、電着に長時間要するため
製造コストが高い、さらにマルチワイヤ切断方式に必要
なワイヤ工具自体の長尺化が困難である、などの品質上
かつ経済上の問題があった。また、ワイヤの製造コスト
が高く、長尺化が困難であるという問題を回避するため
に、短尺ワイヤ工具の両端を接合したエンドレスタイプ
のワイヤ工具も試作されているが、接合部の破断ねじり
強度、曲げ強度が極めて低いという問題がある。
【0007】そこで、これらの問題を解決するために、
最近、樹脂を結合材に用いたワイヤ工具が開発されるに
至っている。こうしたワイヤに砥粒を固着する結合材に
樹脂を用いたワイヤ工具およびその製造方法としては、
大阪ダイヤモンド工業が開発した固定砥粒ダイヤモンド
ワイヤソー(1997年度砥粒加工学会学術講演会講演
論文集、第369−370頁に記載)が知られており、
これに関連するものとしては、特開平8−126953
号公報、特開平9−155631号公報、特開平10−
138114号公報、特開平10−151560号公
報、特開平10−315049号公報、特開平10−3
28932号公報、特開平10−337612号公報が
知られている。これらのワイヤ工具では、樹脂の種類に
ついては特に限定はしていないが、発表内容、実施例な
どからわかるように、実際には研削砥石において従来使
用されてきたフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が用い
られている。
【0008】また、砥粒保持強度を高めるために、セラ
ミックを結合材に用いたワイヤ工具(特開平11−48
035号公報に記載)が提案されている。
【0009】しかし、このように改善されたワイヤ工具
においても、熱硬化性樹脂を結合材に用いることから、
溶媒を除去するための乾燥工程と硬化させるための焼成
工程を必要とし、また焼成に要する時間も全てのワイヤ
工具箇所において数分ずつ要してしまう。また、セラミ
ックを結合材に用いると、焼成温度がさらに高くなるの
みならず、焼成に要する時間も数十分以上も要してしま
う。従って、ワイヤ工具の高速な製造、例えば毎分数百
メートル〜数キロメートルの速度での製造は難しく、マ
ルチ切断方式に必要な10キロメートル以上の長尺なワ
イヤ工具を安価に製造することは極めて困難である。さ
らに、熱硬化性樹脂を結合材としたワイヤ工具は、金属
を結合材として用いたワイヤ工具に比較して、結合材の
耐摩耗性、機械的強度、耐熱性が低く、切断能率が劣
る、という問題がある。
【0010】そこで、製造スピードの向上という観点か
ら、光ファイバの被覆などに用いられる光硬化性樹脂
や、エナメル線の被覆などに用いられる電子線硬化性樹
脂を、前記熱硬化性樹脂に替えて結合材とし、さらに結
合材の耐摩耗性、機械的強度、耐熱性を向上させるため
に、樹脂中に金属粒子や金属ファイバなどを添加する技
術が提案されている(同一出願人による特願平11−2
02225号、特願平11−203222号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の技術では、砥粒や添加物を樹脂中に混入した混合溶
液を、ワイヤ上に塗布する工程、およびそれを硬化して
結合材層となす工程については、十分に高速な処理速度
を実現できるものの、ワイヤと結合材との密着強度を向
上させるためのワイヤ表面洗浄処理、すなわちワイヤの
塗布前処理については、その処理スピードの向上に関す
る検討が十分になされていない。前記従来の技術におい
て、例えば、溶剤蒸気脱脂処理の速度を単に増加させた
だけでは、ワイヤ表面の洗浄性が不十分となり、その結
果、ワイヤ表面に油脂等が存在すると、混合溶液塗布、
硬化後の、結合材層とワイヤとの密着強度が不十分とな
り、切断加工時に、剥離しやすく、工具の低寿命化を引
き起こすという不具合が生じる。
【0012】本発明は、これらの問題点に着目してなさ
れたものであり、従来よりも高寿命であって切断加工の
高精度化・高能率化が可能で、かつ長尺で安価なワイヤ
工具の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【問題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、ワイヤ上に樹脂を主成分とする結合材で砥粒を固定
したワイヤ工具の製造方法において、ワイヤ上に、樹脂
と砥粒および、必要に応じて添加する添加物との混合溶
液および/またはプライマ液を塗布する塗布工程の前
に、ワイヤに光を照射して洗浄するワイヤ洗浄処理を施
すことに特徴がある。
【0014】ワイヤ上に樹脂(接着剤を含む)を主成分
とした結合材層を設ける場合において、切断工具として
使用できうるように、結合材とワイヤとの十分な密着強
度を得るためには、ワイヤ上の有機物を主とした油脂類
等の汚染物質を予め除去し、その後、前記樹脂を含む混
合溶液を塗布することが重要かつ不可欠であり、従来、
様々な方法が行われている。例えば、発明者らにより、
ワイヤ工具の製造工程で、溶剤蒸気脱脂槽を用いたワイ
ヤの脱脂処理を施すことが提案されている(特願平11
−207598号、特願平11−347911号、特願
平11−027857号)。
【0015】しかしながら、こうした一般的な脱脂等の
前処理は、毎分数十m程度の処理速度しかなく、結合材
硬化処理速度が、毎分数百〜数千mであるのに比べる
と、著しく遅い。さらに、硬化処理装置とは別に、専用
の装置を必要としてしまい、装置コストや装置専有面積
が増大する、という問題もある。
【0016】ところで、結合材硬化のエネルギー源に用
いている、紫外線や電子線は、金属等の表面の洗浄作用
を有していることが知られている。発明者らは、この洗
浄作用に着目し、結合材混合溶液をワイヤ上に塗布する
前に、ワイヤに紫外線を照射することにより、その表面
を脱脂することができ、ワイヤと結合材層との十分に高
い密着強度が得られるを見出した。同時に、この洗浄方
法によると、毎分数百m以上の処理速度を実現でき、ワ
イヤ工具の製造速度(全工程を含む)を毎分数百〜数千
m、とでき、従来の方法よりも低い製造コストを実現で
きた。さらには、このワイヤ洗浄処理と結合材硬化処理
を、同一の光照射装置で行うことにより、装置コストや
装置専有面積の増大を抑制する効果を得ることも判明し
た。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のワイヤ工具の製造方法において、前記ワイヤ洗浄処理
では、波長が150nmから300nmの間に出力ピー
クを有する紫外線光源を用いることに特徴がある。
【0018】紫外線による、有機物の洗浄作用の原理と
して、紫外線エネルギーによる、油脂等の有機物間の結
合および有機物と被照射物間の結合の切断が挙げられ
る。すなわち、洗浄するためには、有機物間や有機物と
被照射物間の結合エネルギー以上のエネルギーを与える
ことが必要となるが、波長が300nm以上の紫外線で
は、そのエネルギーが不十分となる。したがって、例え
ば、波長365nmに強度ピークを有する高圧水銀ラン
プでは、エネルギーは320kJ/molであり、有機
物間の結合エネルギーである、350kJ/molに対
して、不十分である。そのため、波長185nmや25
4nmに強度ピーク(エネルギーは472kJ/mo
l)を有する、低圧水銀ランプが、洗浄用の照射装置と
して好適である。
【0019】請求項3に記載の発明は、請求項1又は2
に記載のワイヤ工具の製造方法において、ワイヤの紫外
線照射部にオゾンを導入することに特徴がある。
【0020】前述の紫外線照射処理においては、被照射
物であるワイヤ上にある油脂等の有機物が、紫外線によ
り分解した後、紫外線照射により同時に発生するオゾン
が、その分解有機物を酸化し、気体となり、揮発除去す
る。このように、オゾンは、洗浄メカニズムにおいて、
極めて重要であり、また、外部から特別にオゾンを導入
することなく、紫外線照射のみで発生している。しかし
ながら、例えば、外部より無声放電等により発生させた
オゾンを導入することにより、紫外線のみにより発生す
るオゾンに比べ、10〜200倍程度の、高濃度オゾン
を得ることができ、有機物の除去速度を1桁以上、上げ
られる、すなわち、洗浄処理速度を1桁以上、向上させ
ることが可能となる。
【0021】請求項4に記載の発明は、ワイヤ上に樹脂
を主成分とする結合材で砥粒を固定したワイヤ工具の製
造方法において、ワイヤ上に、樹脂と砥粒および、必要
に応じて添加する添加物との混合溶液および/またはプ
ライマ液を塗布する塗布工程の前に、ワイヤに電子線を
照射して洗浄するワイヤ洗浄処理を施すことに特徴があ
る。
【0022】電子線も、前述の紫外線と同様、被照射物
の表面洗浄作用があり、紫外線照射処理と同等以上の、
高速処理を実現できた。
【0023】請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の
いずれかに記載のワイヤ工具の製造方法において、前記
結合材は、光硬化性樹脂または/および電子線硬化性樹
脂を主成分とすることに特徴がある。
【0024】光硬化性樹脂(光硬化性接着剤を含む)ま
たは/および電子線硬化性樹脂(電子線硬化性接着剤を
含む)を主成分とする結合材を用い、ワイヤ洗浄処理と
結合材硬化処理を同一の光照射装置又は電子線照射装置
で行うことにより、前述のように装置コストや装置専有
面積の増大を抑制することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図
面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではなく、光硬化性樹脂または電子線硬化性樹脂に種々
の添加材を含む結合剤を用いて砥粒をワイヤに固着する
ワイヤ工具の製造方法の広範囲な応用を含むものであ
る。
【0026】[第1の実施形態]図1に、本発明の第1
の実施の形態におけるワイヤ工具の製造装置の概略構成
を示し、図2には製造されたワイヤ工具の横断面を示
す。
【0027】図1において、送り出しロール10に巻か
れたワイヤ11は、複数の送りローラ12、13、14
およびダンサローラ15により搬送され、巻き取りロー
ル20に引張られて巻き取られる構成になっている。ワ
イヤ11の素材は特に限定されるものではなく、ピアノ
線、黄銅被覆ピアノ線、ステンレス鋼線といった金属線
やガラス繊維といった無機化合物による線、ナイロンと
いった有機化合物による線、またはそれらの撚線、等が
挙げられる。
【0028】このワイヤ11を巻き取る際、張力変動に
よる断線等を防止するために、張力制御機構としてダン
サローラ15を設けているが、他にはシーソー方式やキ
ャプスタンプ方式による張力制御法が挙げられる。図
1、図2に示す構成においては、制御系16によって送
り出しロール10の送り出しの速度と巻き取りロール2
0の巻き取り速度が制御されるとともに、ダンサローラ
15の位置が制御され、ワイヤ11の張力が所定値に制
御される。
【0029】送り出しロール10から引き出され、ロー
ラ12を通過したワイヤ11に対し、ワイヤ本体11a
とその上に形成される混合被覆(光硬化性樹脂)との密
着性を向上させるために、所定の速度で光照射処理(ワ
イヤ洗浄処理)が施される。ワイヤ洗浄工程において
は、オゾン発生装置27からオゾン供給部25によって
オゾン含有ガスを供給しながら、このオゾン供給部25
内で光照射部24より所定の光(紫外線)をワイヤ本体
11aの表面に所定時間、照射する。例えば、光照射部
24には、波長が150nmから300nmの間に出力
ピークを有する紫外線光源(低圧水銀ランプ)を備え
る。
【0030】ここで、オゾン発生装置27は、交流高電
圧を供給するための電源27c、硬質ガラス管などから
なる誘電体の内外表面に電極を密着させたオゾン発生部
27a、このオゾン発生部27aに供給される交流高電
圧をスイッチングするためのスイッチング回路27b、
などで構成されており、前記誘電体を挟んで対向する電
極間に酸素を含む原料ガスを通過させながら、前記電極
に交流高電圧を断続的に印加し、無声放電によって酸素
を解離させて高濃度オゾン(紫外線のみで発生するオゾ
ンの10〜200倍程度)を生成する。なお、原料ガス
としては、脱湿空気または高濃度酸素(酸素濃度95%
以上)を用い、前述のオゾン濃度を達成するために、ス
イッチング回数は制御系16によって予め設定され、所
定の負荷率の交流電圧を印加する。なお、原料ガスは、
図示しないコンプレッサにより所定の圧力で供給され
る。また、オゾン発生装置27の構成およびオゾン発生
方法は本実施形態に限らず、所定濃度のオゾンを安定し
て発生可能であればよい。
【0031】前述のワイヤ洗浄処理の後、ワイヤ11
は、金属との密着性に優れる光硬化性樹脂(接着剤)2
1aを収容した接着剤塗布槽21に導かれ、塗布処理が
施される。
【0032】ここで、カルボキシル基等の金属との密着
性を高める官能基を導入した光硬化性樹脂(接着剤)2
1aは、ワイヤ11との密着性および光硬化性樹脂22
0を主成分とする混合被膜との密着性に優れるため、そ
の光硬化性接着剤21aを塗布処理することにより、結
果として、ワイヤ11と前記混合被膜との密着性を高め
ることができる。なお、必要に応じて光硬化性接着剤に
砥粒および添加物を混入させた混合接着剤液を用いても
よい。この光硬化性接着剤(あるいは混合接着剤液)の
塗布処理の後、塗布膜厚み制御および硬化処理を行う。
【0033】この塗布膜厚み制御は、接着剤塗布槽21
の出口に移動可能に設けられた線径ジグ23により、ワ
イヤ11に付着している余分な光硬化性接着剤等を掻き
落として未硬化の光硬化性接着剤被覆を所定の厚みに整
えるか、あるいは、光硬化性接着剤被覆が形成されたワ
イヤ外径を所定の直径に整えることによって行われる。
【0034】また、前記硬化処理は、線径ジグ23を通
過したワイヤ11に対して光照射部26より所定の光を
照射することによって行われる。これにより、光硬化性
接着剤被覆が硬化した硬化層(光硬化性接着剤層)が形
成される。
【0035】前述の光硬化性接着剤21aの塗布処理に
より、ワイヤ本体11aの表面に光硬化性接着剤層が形
成されたワイヤ11は、次いで、ロート状の樹脂塗布槽
22に収容された混合溶液220中を通過する。このと
き、ワイヤ11の光硬化性接着剤層上に混合液220が
層状に付着して未硬化の混合被覆が形成される。
【0036】ここで、樹脂塗布槽22に収容された混合
溶液220は、光硬化性樹脂220aに所定の添加物2
20bを添加、混合した液状樹脂に、所定の砥粒220
cを混合した流動性混合物である。具体的には、混合溶
液220は、液状樹脂すなわち光硬化性樹脂220a
に、平均粒径が0.1〜15μmの金属粒子および/ま
たは平均粒径が0.1〜15μmの無機粉末を、あるい
は短径が0.1〜15μm、長径が1〜200μmの金
属ファイバおよび/または無機ファイバ5〜90wt%
を、添加物220bとして添加、混合した添加物混合液
状樹脂を作製し、その添加物混合液状樹脂と所定粒径の
砥粒220cとを均一に混和した混合溶液である。砥粒
220cは、特に限定されるものではなく、ダイヤモン
ド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、アルミナ、炭化珪
素、等の硬質砥粒等でもよい。但し、その中でも加工能
力に優れるダイヤモンド砥粒が通常望ましい。なお、結
合材がワイヤ11の半径方向に形成された複数層からな
る場合、その結合材への砥粒および添加物については、
所望の切断特性を得ることができれば、いずれの層に添
加してもよい。
【0037】樹脂塗布槽22の出口には、線径ジグ29
が移動可能に設けられており、ワイヤ11に付着してい
る余分な混合容液220をこの線径ジグ29により掻き
落として、未硬化の混合被覆を所定の厚みに整え、ある
いは、その混合被覆が形成されたワイヤ外径を所定の直
径に整える。
【0038】線径ジグ29を通過したワイヤ11は、次
いで、光照射部28によって所定の光を照射される。こ
れにより、前記混合溶液220の混合被覆が硬化した硬
化層(混合被膜)が形成される。
【0039】こうして、所望の複数層(光硬化性接着剤
層、光硬化性樹脂層)からなる結合材で砥粒220cを
固定したワイヤ工具11Tが順次できあがる。
【0040】線径測定器17は、光照射部28より下流
側でワイヤ工具11Tの外径寸法を測定するもので、そ
の測定情報を制御系16にフィードバックすることがで
きる。この線径測定器17は、例えばワイヤ搬送方向の
所定位置で、ワイヤ工具11Tを取り囲んで等角度間隔
に離間する3個の非接触の変位センサを有しており、ワ
イヤ11の線径測定のみならず、ワイヤ本体11aに対
する混合被膜の芯ずれ(周方向三位置での混合被膜の膜
厚のばらつき)をも検出可能に構成されている。制御系
16は、その測定情報を基にワイヤ11と線径ジグ2
3、29との芯ずれを検出し、常にワイヤ11が線径ジ
グ23、29の中心を走行し、混合被膜がワイヤ11の
長さ方向においても周方向においても一定の厚さとなる
ように、ワイヤ11と線径ジグ23、29の相対位置の
制御を行う。その位置制御は、線径ジグ23、29を変
位させることにより、あるいは、図示しないワイヤ位置
調整用のローラを変位させることにより、可能である。
【0041】こうして、その外周面に混合被膜が形成さ
れたワイヤ工具11は、ローラ14、15を通過した
後、巻き取りロール20に巻き取られる。
【0042】本実施形態のワイヤ工具は、前述のよう
に、ワイヤ本体11a上に光硬化性樹脂(接着剤を含
む)を主成分とする結合材で砥粒220cを固定したも
のである。この光硬化性樹脂は、紫外線や可視光線等の
光が照射されると光化学反応を起こし、数秒単位あるい
はそれ以下で重合硬化するため、十分な製造スピードを
保ちながら安価で長尺なワイヤ工具を提供することがで
きる。
【0043】また、本実施形態のワイヤ工具の製造方法
は、ワイヤ本体11a上に光硬化性接着剤などの光硬化
性樹脂を主成分とする混合溶液をワイヤ11上に塗布す
る塗布工程に先立ち、前処理としての紫外線などの光照
射によるワイヤ洗浄工程を含むので、前処理として例え
ば溶剤蒸気脱脂槽による脱脂処理を行う方法より短時間
で、その光硬化性樹脂とワイヤとの密着強度を向上させ
ることができる。
【0044】また、本実施形態のワイヤ工具の製造方法
は、ワイヤをその軸線方向に走行させながら、前述の添
加物を5〜90wt%含有する光硬化性樹脂220aと
砥粒220cとの混合溶液220を所定の径、あるいは
ワイヤ11上に塗布された混合溶液の被覆を所定の膜厚
に整形して光硬化する工程を含むので、均一な被覆層を
複数形成して、高品質のワイヤ工具を連続的に製造する
ことができる。
【0045】さらに、本実施形態のワイヤ工具の製造方
法では、光硬化後に混合被膜が形成されたワイヤ工具1
1Tの外径寸法を計測し、その計測結果を基にその混合
被膜の形成されたワイヤ工具11Tの外径寸法を所定の
値にするように、線径ジグ23、29や前記調整用ロー
ラを制御することにより、線径のばらつきを最小限に抑
えることができる。その結果、切断時の切断ロスや切断
品の反りが小さく、安定した切断面品質を有するシリコ
ンウェーハを得ることができる。
【0046】また、本実施形態のワイヤ工具の製造方法
では、添加物混合樹脂の塗布工程の前工程で、金属との
密着性に優れる光硬化性樹脂(接着剤)21aを塗布処
理することによって、結合材被膜とワイヤ面との密着力
を高めることができ、結合材被膜の剥離による工具寿命
の低下を抑えることができる。
【0047】なお、本実施形態では、洗浄用と硬化用の
光照射装置(光照射部24と光照射部26、28)を別
個に設けているが、装置設置面積に限りがある場合、い
ずれか1個を共用化し、例えば、ワイヤ本体11aの表
面に対して光照射洗浄を行った後、ワイヤ11を一旦巻
き戻し、次いで接着剤塗布槽21を光照射部24の前段
に配置して前述の塗布処理を行った後、光照射部24に
て光照射硬化を行い、次いでワイヤ11を一旦巻き戻す
とともに、接着剤塗布槽21に替えて樹脂塗布槽22を
設置して前述の塗布処理を行った後、さらに光照射部2
4にて光照射硬化を行うように構成してもよい。
【0048】また、本実施形態に限らず、前述のワイヤ
洗浄処理後、光硬化性接着剤の塗布処理に替えて、ある
いは光硬化性接着剤の塗布処理に先立って、光重合促進
剤やカップリング剤(例えば、シランカップリング剤)
をワイヤ表面に塗布してもよい(化学的プライマ処
理)。この化学的プライマ処理によって、ワイヤ表面で
の混合被覆の硬化を促進し、ワイヤ11と混合被膜との
密着性を高めることができる。
【0049】[第2の実施形態]図3に、本発明の第2
の実施の形態におけるワイヤ工具の製造装置の概略構成
を示し、図4には製造されたワイヤ工具の横断面を示
す。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一符号を
付与して説明を省略する。
【0050】前述のように送り出しロール10から引き
出され、ローラ12を通過したワイヤ11に対し、ワイ
ヤ本体11aとその上に形成される後述の混合被覆(電
子線硬化性樹脂)との密着性を向上させるために、所定
の速度で電子線照射処理(ワイヤ洗浄処理)が施され
る。ワイヤ洗浄工程においては、電子線照射部31より
電子線をワイヤ本体11aの表面に所定時間、照射す
る。
【0051】前述のワイヤ洗浄処理の後、ワイヤ11
は、プライマ処理槽32に導かれ、化学的プライマ処理
(重合促進剤やカップリング剤(例えば、シランカップ
リング剤)の表面塗布処理)が施される。
【0052】化学的プライマ処理によって、ワイヤ本体
11aの表面にプライマ層32aが形成されたワイヤ1
1は、次いで、ロート状の樹脂塗布槽33に収容された
混合溶液330中を通過する。このとき、ワイヤ11の
プライマ層上に混合液330が層状に付着して未硬化の
混合被覆が形成される。
【0053】ここで、樹脂塗布槽33に収容された混合
溶液330は、電子線硬化性樹脂330aに所定の添加
物330bを添加、混合した液状樹脂に、所定の砥粒3
30cを混合した流動性混合物である。具体的には、混
合溶液330は、液状樹脂すなわち電子線硬化性樹脂3
30aに、平均粒径が0.1〜15μmの金属粒子およ
び/または平均粒径が0.1〜15μmの無機粉末を、
あるいは短径が0.1〜15μm、長径が1〜200μ
mの金属ファイバおよび/または無機ファイバ5〜90
wt%を、添加物330bとして添加、混合した添加物
混合液状樹脂を作製し、その添加物混合液状樹脂と所定
粒径の砥粒330cとを均一に混和した混合溶液となっ
ている。砥粒330cは、特に限定されるものではな
く、ダイヤモンド、CBN(立方晶窒化ホウ素)、アル
ミナ、炭化珪素、等の硬質砥粒等でもよい。但し、その
中でも加工能力に優れるダイヤモンド砥粒が通常望まし
い。なお、結合材がワイヤ11の半径方向に形成された
複数層からなる場合、所望の切断特性を得ることができ
れば、その結合材のいずれの層に対しても砥粒および添
加物を添加してもよい。
【0054】樹脂塗布槽22の出口には、線径ジグ29
が移動可能に設けられており、ワイヤ11に付着してい
る余分な混合容液330をこの線径ジグ29により掻き
落として、未硬化の混合被覆を所定の厚みに整え、ある
いは、その混合被覆が形成されたワイヤ外径を所定の直
径に整えるように構成されている。
【0055】線径ジグ29を通過したワイヤ11は、次
いで、電子線加速器(電子線照射部)34によって所定
の電子線を照射される。これにより、前記混合容液33
0の混合被覆が硬化した硬化層(混合被膜)が形成され
る。
【0056】こうして、所望の複数層(プライマ層、電
子線硬化性樹脂層)からなる結合材で砥粒330cを固
定したワイヤ工具11Tが順次できあがる。
【0057】次いで、線径測定器17により、前述のよ
うにワイヤ工具11Tの外径寸法を測定し、その測定情
報を制御系16にフィードバックする。制御系16は、
その測定情報を基にワイヤ11と線径ジグ29との芯ず
れを検出し、常にワイヤ11が線径ジグ29の中心を走
行し、混合被膜がワイヤ11の長さ方向においても周方
向においても一定の厚さとなるように、ワイヤ11と線
径ジグ29の相対位置の制御を行う。
【0058】こうして、その外周面に混合被膜が形成さ
れたワイヤ工具11は、ローラ14、15を通過した
後、巻き取りロール20に巻き取られる。
【0059】本実施形態におけるワイヤ工具は、前述の
ように、ワイヤ本体11a上に電子線硬化性樹脂330
aを主成分とする結合材で砥粒330cを固定したもの
である。この電子線硬化性樹脂330aは、電子線が照
射されると化学反応を起こし、数秒単位あるいはそれ以
下で重合硬化するため、十分な製造スピードを保ちなが
ら安価で長尺なワイヤ工具を提供することができる。
【0060】また、本実施形態のワイヤ工具の製造方法
は、ワイヤ本体11a上にプライマ処理を施すプライマ
処理工程に先立ち、前処理としての電子線照射によるワ
イヤ洗浄工程を含むので、前処理として例えば溶剤蒸気
脱脂槽による脱脂処理を行う方法より短時間で、その電
子線硬化性樹脂とワイヤとの密着強度を向上させること
ができる。
【0061】また、その電子線硬化性樹脂中に、平均粒
径0.1〜15μmを有する、金属粒子と無機粉末のう
ち少なくとも一方、あるいは、短径が0.1〜15μm
で、長径が1〜200μmである、金属ファイバと無機
ファイバのうち少なくとも一方を添加物330bとし
て、その添加物330bを5〜90wt%添加している
ので、ワイヤ工具の機械的強度および耐熱性を高めるこ
とができる。
【0062】さらに、本実施形態におけるワイヤ工具の
製造方法は、ワイヤ11をその軸線方向に走行させなが
ら、前述の添加物330bを5〜90wt%含有する電
子線硬化性樹脂330aと砥粒330cとの混合溶液3
30を所定の径、あるいはワイヤ11上に塗布された混
合溶液330の被覆を所定の膜厚に整形して電子線硬化
する工程を含むので、均一な被覆層を複数形成して、高
品質のワイヤ工具を連続的に製造することができる。
【0063】また、本実施形態におけるワイヤ工具の製
造方法では、電子線硬化後に混合被膜が形成されたワイ
ヤ工具11Tの外径寸法を計測し、その計測結果を基に
混合被膜の形成されたワイヤ工具11Tの外径寸法を所
定の値にするように、線径ジグ29や前記調整用ローラ
を制御することにより、線径のばらつきを最小限に抑え
ることができる。その結果、切断時の切断ロスや切断品
の反りが小さく、安定した切断面品質を有するシリコン
ウェーハを得ることができる。
【0064】また、本実施形態のワイヤ工具の製造方法
では、添加物混合電子線硬化性樹脂の塗布工程の前工程
で、化学的プライマ処理を施すことによって、結合材被
膜とワイヤ面との密着力を高めることができ、結合材被
膜の剥離による工具寿命の低下を抑えることができる。
【0065】なお、本実施形態では、洗浄用と硬化用の
電子線加速装置(電子線照射部31と電子線照射部3
4)を別個に設けているが、装置設置面積に限りがある
場合、いずれか1個を共用化し、例えば、ワイヤ本体1
1aの表面に対して電子線照射洗浄を行い、化学的プラ
イマ処理を施した後、ワイヤ11を一旦巻き戻し、次い
でプライマ処理槽32を取り外し、さらに樹脂塗布槽3
3を電子線照射部31の前段に配置して、前述の塗布処
理を行った後、電子線照射部31にて電子線照射硬化を
行うように構成してもよい。
【0066】また、本実施形態に限らず、前述のワイヤ
洗浄処理後、化学的プライマ処理に替えて、あるいは化
学的プライマ処理の後に、電子線硬化性樹脂(接着剤)
の塗布処理を施してもよい。ここで、カルボキシル基、
ヒドロキシル基、アミノ基、等の金属との密着性を高め
る官能基を導入した電子線硬化性樹脂(接着剤)は、ワ
イヤ11との密着性および電子線硬化性樹脂330aを
主成分とする混合被膜との密着性に優れるため、電子線
硬化性接着剤を塗布処理することにより、結果として、
ワイヤ11と混合被膜との密着性を高め、結合材被膜の
剥離による工具寿命の低下を抑えることができる。な
お、必要に応じてその電子線硬化性接着剤に砥粒および
添加物を混入させてもよい。この電子線硬化性接着剤の
塗布処理の後、前述の塗布膜厚み制御および硬化処理を
行う。
【0067】さらに、第1、第2の実施形態に限らず、
光照射または電子線照射によるワイヤ洗浄処理と、他の
溶剤による洗浄処理(例えば、溶剤蒸気処理など)とを
組み合わせて行ってもよい。
【0068】また、第1、第2の実施形態に限らず、光
硬化性樹脂を主成分とする光硬化性樹脂層と電子線硬化
性樹脂を主成分とする電子線硬化性樹脂層とを含み、複
数層からなる結合材によって、砥粒をワイヤ11に固定
してもよい。この場合も、光硬化性樹脂および電子線硬
化性樹脂の塗布工程の前に、光照射または電子線照射に
よるワイヤ洗浄処理を施すことにより、洗浄処理速度を
向上させることができる。あるいは、熱硬化性樹脂を主
成分とする結合材で砥粒を固定する際、熱硬化性樹脂の
塗布工程の前に、光照射または電子線照射によるワイヤ
洗浄処理を施してもよい。
【0069】
【実施例】本実施例では、直径0.2mmのピアノ線
(ワイヤ本体11aに相当)に対する光硬化性接着剤の
塗布処理に先立ち、オゾン供給部25でワイヤ洗浄部位
にオゾンを供給しながら、254nmに強度ピークを有
する低圧水銀ランプ(光照射部24に相当)を使用して
ワイヤ洗浄処理(毎分1000m)を施した。一方、従
来の溶剤(トリクレン)超音波洗浄処理を同様のワイヤ
に対して施し、前述の低圧水銀ランプ照射による紫外線
洗浄処理後のワイヤ表面と比較して洗浄性を評価した。
それぞれの処理によって洗浄した後のワイヤ表面を電子
分光法(ESCA)により分析・比較した結果、本実施
例の低圧水銀ランプ照射によるワイヤ洗浄処理の方が、
炭素原子に関して、約3割程度も清浄になっていること
が確認された。
【0070】次いで、前述の紫外線洗浄処理を施された
直径0.2mmのピアノ線を接着剤塗布層21に導き、
アクリレート系光硬化性接着剤21aを塗布した後、前
述の線径ジグ23などによる塗布膜厚み制御、および、
254nmに強度ピークを有する低圧水銀ランプ(光照
射部26に相当)による光硬化処理を行う。
【0071】一方、アクリレート系プレポリマ(オリゴ
マあるいはモノマ)およびアセトフェノン誘導体系の光
重合開始剤1wt%からなるラジカル重合型光硬化樹脂
溶液中に、平均粒径2マイクロメートルのアルミナ微粒
子を30wt%添加し、ホモジェナイザにて約10分間
混和する。次に、集中度20に該当する30/40マイ
クロメートルのダイヤモンド砥粒を微量のエチルアルコ
ールで湿潤し、前記液状樹脂に入れ、ホモジェナイザに
て10分間混ぜ合わせる。
【0072】次いで、樹脂塗布槽22に前述のアルミナ
微粒子を添加した液状樹脂とダイヤモンド砥粒との混合
溶液220を入れ、前述のようにワイヤ11を樹脂塗布
槽22内に導き、直径が約0.27mmの線径ジグ29
を通過させ、波長254nm付近に大きなピークを有す
る低圧水銀ランプ(光照射部28に相当)を用いて紫外
線硬化させることにより、直径0.25〜0.26mm
のワイヤ工具を得た。
【0073】このワイヤ工具を用いて、3インチのシリ
コンインゴットの切断加工(ワイヤ線速度は300m/
min)を行った結果、30分間の切断加工で、顕著な
結合材層摩耗は観察されず、また平均切断能率も35m
2/min程度以上と、良好な結果となった。
【0074】なお、本実施例で用いた光硬化性樹脂は、
紫外線照射により光重合開始剤がフリーラジカルを発生
し、これがオリゴマ、モノマのラジカル重合を誘発する
ラジカル重合型の樹脂であったが、樹脂成分である、オ
リゴマ、モノマ、重合開始剤は本実施例記載の成分に限
定されるものではない。ラジカル重合型の樹脂成分とし
て、不飽和ポリエステル樹脂をオリゴマとし、スチレン
をモノマとすることもできる。
【0075】この他に、オリゴマとしては、ポリエステ
ルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アクリル
オリゴマ系アクリレート、エポキシアクリレート、ポリ
ブタジエンアクリレート、シリコンアクリレートを用い
てもよい。モノマとしては、N−ビニルピロリドン、酢
酸ビニル、および一官能アクリレート、二官能アクリレ
ート、三官能アクリレート類を用いてもよい。重合開始
剤としては、アセトフェノン、トリクロロアセトフェノ
ン、等のアセトフェノン誘電体以外にベンゾインエーテ
ル類、ベンゾフェノン類、キサントン類、等を用いても
よい。また、ラジカル重合型以外に、光不可重合型、光
カチオン重合型、酸硬化型の光硬化性樹脂を用いてもよ
い。
【0076】また、本実施例では、樹脂中への添加物と
してアルミナ微粒子を用いたが、添加物はこれに限定さ
れるものではない。添加物としては、所定の時間内に樹
脂硬化を完了し、光硬化後の結合材の機械的強度を向上
でき、工具の耐摩耗性等の特性を向上できるものであれ
ばよい。このような添加物として、金属微粒子、金属酸
化物、金属炭化物、半導体材料に代表される非金属材料
の酸化物、炭化物等、あるいは粒子以外にファイバ状の
ものを用いてもよい。
【0077】なお、電子線を用いたワイヤ洗浄処理につ
いても、第2の実施形態を適用してワイヤ洗浄処理を施
し、容量100keVの電子線加速装置(電子線照射部
31に相当)により、毎分2000mの速度で、工具と
して使用可能なワイヤ表面に洗浄することができた。
【0078】前述の実施例では、光又は電子線によって
ワイヤ洗浄処理を施したが、これに限らず、光や電子線
による洗浄処理と、溶剤による脱脂処理とを組合わせる
ことも可能である。
【0079】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来よりも高寿命であって切断加工の高精度化・高能率
化が可能で、かつ長尺で安価なワイヤ工具の製造方法を
提供することができる。
【0080】すなわち、ワイヤ上に光硬化性樹脂や電子
線硬化性樹脂などの樹脂を主成分とする結合材で砥粒を
固定したワイヤ工具の製造方法において、結合材混合溶
液の塗布工程の前に、ワイヤに紫外線あるいは電子線を
照射することにより、従来よりも極めて高速にワイヤ表
面の洗浄処理を行い、その結果、結合材とワイヤとの密
着強度を向上させることができ、長尺で安価かつ高寿命
なワイヤ工具を提供することができる。さらには、洗浄
処理に溶剤等の液体を使用しないため、廃液処理問題も
生じることがなく、環境への負荷を小さくすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるワイヤ工具
の製造装置の概略構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるワイヤ工具
の製造方法によって製造されたワイヤ工具の横断面図で
ある。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるワイヤ工具
の製造装置の概略構成図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態におけるワイヤ工具
の製造方法によって製造されたワイヤ工具の横断面図で
ある。
【符号の説明】 10 送り出しローラ 11 ワイヤ 11a ワイヤ本体 11T ワイヤ工具 12〜14 送りローラ 15 ダンサローラ 16 制御系 17 線径測定器 20 巻き取りロール 21 接着剤塗布槽 21a 光硬化性接着剤 22、33 樹脂塗布槽 23、29 線径ジグ 24、26、28 光照射部(光照射装置) 25 オゾン供給部 27 オゾン発生装置 27a オゾン発生部 27b スイッチング回路 27c 電源 31、34 電子線照射部(電子線加速装置) 32 プライマ処理槽 32a プライマ層 220、330 混合溶液 220a 光硬化性樹脂 220b、330b 添加物 220c、330c 砥粒 330a 電子線硬化性樹脂
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C058 AA05 AA09 CB03 CB05 DA03 3C063 AA08 AB09 BA16 BC03 CC23 CC30 EE10 FF23 3C069 AA01 BA06 BB01 BB02 CA04 EA03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤ上に樹脂を主成分とする結合材で砥
    粒を固定したワイヤ工具の製造方法において、 ワイヤ上に、樹脂と砥粒および、必要に応じて添加する
    添加物との混合溶液および/またはプライマ液を塗布す
    る塗布工程の前に、ワイヤに光を照射して洗浄するワイ
    ヤ洗浄処理を施すことを特徴とするワイヤ工具の製造方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のワイヤ工具の製造方法に
    おいて、 前記ワイヤ洗浄処理では、波長が150nmから300
    nmの間に出力ピークを有する紫外線光源を用いること
    を特徴とするワイヤ工具の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1又は2に記載のワイヤ工具の製造
    方法において、 ワイヤの紫外線照射部にオゾンを導入することを特徴と
    するワイヤ工具の製造方法。
  4. 【請求項4】ワイヤ上に樹脂を主成分とする結合材で砥
    粒を固定したワイヤ工具の製造方法において、 ワイヤ上に、樹脂と砥粒および、必要に応じて添加する
    添加物との混合溶液および/またはプライマ液を塗布す
    る塗布工程の前に、ワイヤに電子線を照射して洗浄する
    ワイヤ洗浄処理を施すことを特徴とするワイヤ工具の製
    造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のワイヤ工
    具の製造方法において、 前記結合材は、光硬化性樹脂または/および電子線硬化
    性樹脂を主成分とすることを特徴とするワイヤ工具の製
    造方法。
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