JP6450553B2 - 密封装置 - Google Patents

密封装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6450553B2
JP6450553B2 JP2014205058A JP2014205058A JP6450553B2 JP 6450553 B2 JP6450553 B2 JP 6450553B2 JP 2014205058 A JP2014205058 A JP 2014205058A JP 2014205058 A JP2014205058 A JP 2014205058A JP 6450553 B2 JP6450553 B2 JP 6450553B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetized
sealing device
slinger
foreign matter
poles
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014205058A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016075325A (ja
Inventor
正稚 冨岡
正稚 冨岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Uchiyama Manufacturing Corp
Original Assignee
Uchiyama Manufacturing Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Uchiyama Manufacturing Corp filed Critical Uchiyama Manufacturing Corp
Priority to JP2014205058A priority Critical patent/JP6450553B2/ja
Publication of JP2016075325A publication Critical patent/JP2016075325A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6450553B2 publication Critical patent/JP6450553B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Sealing Using Fluids, Sealing Without Contact, And Removal Of Oil (AREA)
  • Sealing Of Bearings (AREA)

Description

本発明は、例えば、自動車等の車輪支持部の軸受装置に用いられる密封装置に関し、さらに詳しくは、外側部材(固定側部材)と内側部材(回転側部材)との間に装着されるパックシールタイプの密封装置に関する。
前記のようなパックシールタイプの密封装置としては、回転側部材に一体に取付けられる第1部材と、第1部材に弾接する弾性体製のシールリップを備えて固定側部材に一体に取付けられる第2部材とを組み合わせて構成されるものが挙げられる(例えば、特許文献1,2参照)。これらの特許文献に開示される密封装置では、第1部材は、回転側部材に嵌合される断面L形のスリンガを含み、また、第2部材は、固定側部材に嵌合される芯金を含み、前記シールリップはこの芯金に固着されて前記スリンガに弾接するよう構成される。さらに、両特許文献では、スリンガの円環部(回転円輪部)に回転検出用の磁性ゴム(エンコーダ)が固着され、この磁性ゴムの一部が円環部の外周縁部を覆いさらに軸受空間側に延びる延出円筒部とされた例が示されている。このような密封装置においては、外部から塵埃等の異物が密封装置内に侵入し、当該密封装置内に滞留すると、回転側部材の回転に伴うシールリップとスリンガとの弾性摺接部分に異物が噛み込み、これによって、シールリップの先端部が経時的に摩耗することがある。シールリップの先端部が摩耗すると、シールリップによるシール機能が低下し、密封装置の寿命が短くなる。特許文献1,2では、前記磁性ゴムの外周部分とシールリップの基部をなし前記芯金の円筒部の内径側部を覆う部分との対向する隙間にラビリンスを構成し、密封装置内への塵埃等を含む泥水(以下、泥水等と言う)の浸入の防止を図っている。また、特許文献3には回転側部材と固定側部材との間に磁気エンコーダ及び磁気センサが組み込まれたセンサユニットを設け、このセンサユニット内への磁性異物の侵入を防止するため、回転側部材を構成する主軸にリング状のゴム磁石を装着した転がり軸受が開示されている。
特開2007−285374号公報 特許第5145958号公報 特開2008−196632号公報
特許文献1,2に示される密封装置では、第1部材がスリンガと磁気エンコーダの延出円筒部とにより、断面倒U形の2重円筒形とされており、これにより、ラビリンスの経路が長くなって、泥水等の密封装置内への浸入が抑えられる。ところで、ラビリンスを構成する対向面の間隔は、設計公差や、固定側部材に対する回転側部材の不可避の偏心量を考慮して、0.2〜0.5mmを確保しておかないと、軸受に組付けた際に対向面が接触することもある。このように間隔を設定した場合、周方向の平均の間隔は0.3〜0.35mmとなり、この間隔は外部からの泥水等の浸入を防止するには充分とは言えない。また、特許文献3におけるリング状のゴム磁石は、磁性異物を吸着してセンサユニット内への侵入を防止するものであるが、パックシールタイプの密封装置における前記ラビリンスの対向面に設けられるものではない。
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、ラビリンスの設計自由度を確保しながら、ラビリンスによる泥水等の浸入防止機能を適正に持続し得るようにした新規なパックシールタイプの密封装置を提供することを目的としている。
本発明に係る密封装置は、外側部材に対して内側部材が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着される密封装置であって、前記内側部材に一体に取付けられるスリンガを備えた第1部材と、前記外側部材に一体に取付けられる芯金及び該芯金に固着されて前記スリンガに弾接する弾性体製のシールリップを備えた第2部材とを含み、前記第1部材及び第2部材は、対向するラビリンス構造部を形成し、前記第1部材おけるラビリンス構造部を形成する対向面磁石からなる異物吸着手段が設けられており、前記芯金は、前記外側部材に嵌合される円筒部と、該円筒部の端部から内径側に延びる鍔部とを有し、前記スリンガは、前記芯金の円筒部と平行な磁性ゴムからなる円筒状の庇状部を固着一体に備え、前記スリンガは、前記芯金の円筒部に平行に延びる外径側円筒部を有する断面倒U形の形状をなし、前記庇状部は、前記スリンガの外径側円筒部を覆うように固着一体とされ、前記庇状部における前記芯金の円筒部に対向する面には、N極及びS極が着磁された着磁面が形成され、当該着磁面によって、前記異物吸着手段が構成され、前記異物吸着手段と第2部材の対向面との距離が0.2〜0.5mmに設定されていることを特徴とする。
本発明の密封装置によれば、第1部材おけるラビリンス構造部を形成する対向面磁石からなる異物吸着手段が設けられているから、この異物吸着手段によって、泥水等に含まれる金属系の異物や酸化鉄系の異物が吸着される。このように、異物を吸着することによって、前記対向面の間隔が狭められる。したがって、設計公差や、外側部材に対する内側部材の不可避の偏心量を考慮して対向面の間隔を設定しても、この間隔は、稼働と共に吸着した異物によって程なく狭められ、ラビリンス構造部による異物侵入防止機能が適正に発揮される。
また、本発明によれば、スリンガが芯金の円筒部と平行な磁性ゴムからなる円筒状の庇状部を固着一体に備えるから、この庇状部と第2部材との間に経路の長いラビリンス構造部が形成される。したがって、このラビリンス構造部を経た泥水等の密封装置内への浸入が抑えられる。
さらに、本発明によれば、庇状部は、スリンガの外径側円筒部を覆うように固着一体とされるから、庇状部が磁性ゴムからなるにも拘わらず、形状が安定化される。
そして、本発明によれば、設計公差があっても、また外側部材に対して内側部材が偏心していても、組付け時に第1部材及び第2部材が互いに干渉する懸念がない。因みに、前記距離が0.5mmを超えると、ラビリンス構造部の間隔が大きくなり、当該ラビリンス構造部による泥水等の浸入防止機能が低下する傾向となる。また、0.2mm未満では、組付誤差や内側部材の偏心により対向面が接触して内側部材の回転に支障を来すことがある。
この場合、前記庇状部における前記芯金の鍔部に対向する面には、N極及びS極が着磁された着磁面が形成され、当該着磁面によって、前記異物吸着手段の一部が構成されているものとしても良い。
本発明によれば、庇状部における芯金の鍔部に対向する面にも、着磁面が形成されるから、この着磁面と第2部材との軸方向に沿った対向面の間隔もラビリンス構造部の一部を形成するものとした場合、着磁面に前記異物が吸着することによりこの軸方向に沿った間隔が狭められる。したがって、この軸方向に沿った間隔を設計公差等を考慮して設定しても、この間隔は、稼働と共に吸着した異物によって程なく狭められ、このラビリンス構造部による異物侵入防止機能が適正に発揮される。
本発明において、前記スリンガは、内側部材に嵌合される円筒部と、該円筒部の端部から外径側に延びる鍔部とを有し、且つ、当該鍔部の第2部材とは反対側の面に周方向に沿ってN極及びS極が交互に着磁された磁性ゴムからなる環状の磁気エンコーダが設けられ、前記異物吸着手段を構成する着磁面を有する磁石は、当該磁気エンコーダと一体に設けられているものとしても良い。
本発明によれば、磁性ゴムからなる磁気エンコーダをスリンガに成型により一体とする際、異物吸着手段を構成する磁石も同時に成型することができ、工数が左程増大することなく、異物吸着手段を備える当該密封装置を製造することができる。
本発明において、前記異物吸着手段を構成する磁石におけるN極及びS極の着磁パターンは、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し且つ軸方向又は径方向に沿った着磁パターン、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し且つ軸方向又は径方向に対して傾斜した着磁パターン、N極及びS極の少なくとも一方が周方向に波形をなす着磁パターン、N極及びS極が同軸の環状に形成された着磁パターン、のいずれかからなるものとしても良い。
本発明によれば、異物吸着手段を構成する磁石におけるN極及びS極の着磁パターンとして種々採用可能であり、着磁のし易さ等を勘案して適切な着磁パターンを適宜選択することができる。特に、スリンガに環状の磁気エンコーダが設けられ、異物吸着手段を構成する磁石が磁気エンコーダに一体に設けられ場合には、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し且つ軸方向又は径方向に沿った着磁パターンを採用すれば、磁気エンコーダの着磁と当該磁石の着磁とを同時に行うことができる。
本発明の密封装置によれば、ラビリンスの設計自由度を確保しながら、ラビリンスによる泥水等の浸入防止機能を適正に持続することができる。
本発明に係る密封装置が適用される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。 図1のX部の拡大図であって、本発明に係る密封装置の第一の実施形態を示す図である。 同実施形態の密封装置を構成する第1部材の斜視図である。 (a)は、図3の矢視Y方向から見た図であり、(b)は図3の矢視Z方向から見た図である。 同第1部材の第1の変形例を示す図3と同様図である。 同第1部材の第2の変形例を示す図3と同様図である。 同第1部材の第3の変形例を示す図3と同様図である。 本発明に係る密封装置の第二の実施形態を示す図2と同様図である。 本発明に係る密封装置の第三の実施形態を示す図2と同様図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、大略的に、外側部材としての外輪2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内側部材としての内輪5を構成する。外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに同軸回転可能とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、該2部材間に環状空間Sが形成される。環状空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
環状空間Sは、軸受空間を形成し、この環状空間(以下、軸受空間と言う)Sの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2とハブ輪3との間、及び外輪2と内輪部材4との間には、ベアリングシール10,11が装着され、軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部が密封される。これによって、軸受空間S内への汚泥等の浸入や軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。
ベアリングシール10,11に本発明に係る密封装置が適用されるが、以下では、車体側のベアリングシール11に適用される例について述べる。このベアリングシール(密封装置)11の実施の形態について、図2〜図9をも参照して説明する。図2〜図7は本発明に係る密封装置の第一の実施形態を示し、ベアリングシール11は、外輪2とハブフランジ付の内輪5とを有する軸受装置1に装着される。当該ベアリングシール11は、内輪(内側部材)5に一体に取付けられるスリンガ51を備えた第1部材50と、外輪(外側部材)2に一体に取付けられる芯金61及び芯金61に固着されてスリンガ51に弾接する弾性体製のシールリップ621,622,623を備えた第2部材60とが組み合わさって構成される。第1部材50は、内輪5(車輪)の回転(回転速度、回転角度等)を検出するための磁気エンコーダ40を備える。
本実施形態の第2部材60を構成する芯金61は、外輪2の内径面2bに嵌合される円筒部(以下、芯金円筒部と言う)611と、芯金円筒部611の車輪側(軸受空間S側)端部611aから内径側に延びる鍔部(以下、芯金鍔部と言う)612とを有する。また、第2部材60を構成するシールリップ621,622,623は、芯金61に固着一体とされるゴム材からなるシールリップ部材62に形成される。即ち、シールリップ部材62は、芯金61に加硫成型により固着一体とされるシールリップ基部620と、シールリップ基部620から延出されたサイドリップ(シールリップ)621及びラジアルリップ(シールリップ)622,623とを備える。シールリップ基部620は、芯金61における芯金鍔部612の車輪側面(軸受空間S側の面)612aの一部から内周縁部612bを回り込み、芯金鍔部612の車体側面(軸受空間Sとは反対側の面)612cの全面を覆うように芯金61に固着一体とされている。さらに、シールリップ基部620は、芯金円筒部611の内径面611bの全面を覆い、車体側の端部611cを回り込んで芯金円筒部611の外径面611dに至るように芯金61に固着一体とされている。シールリップ基部620の芯金円筒部611の外径面611dに至る部分は、外径側に隆起する環状突部624とされ、この環状突部624は、芯金61が外輪2に内嵌された際、外輪2の内径面2bと芯金円筒部611の外径面611dとの間に圧縮状態で介在するように形成されている。環状突部624の、外輪2と芯金円筒部611との間での圧縮状態の介在によって、外輪2及び芯金円筒部611の嵌合部への泥水等の浸入が防止される。これによって、外輪2及び芯金円筒部611の嵌合部の発錆を防止すると共に、この嵌合部からの軸受空間S内への泥水等の浸入が防止される。環状突部624の2点鎖線部は圧縮前の原形状を示している。
第1部材50を構成するスリンガ51は、内輪5(内輪部材4)に嵌合される円筒部(以下、内径側円筒部と言う)511と、内径側円筒部511の車体側(軸受空間Sとは反対側)端部511aから外径側に延びる鍔部(以下、スリンガ鍔部と言う)512と、スリンガ鍔部512の外径側周縁部512aから車輪側に芯金円筒部611に平行に延びる外径側円筒部513とを有する。スリンガ51は、内径側円筒部511、スリンガ鍔部512及び外径側円筒部513により、断面倒U形の2重円筒形状をなす。シールリップ部材62のサイドリップ621は、スリンガ鍔部512の車輪側面512bに弾接し、ラジアルリップ622,623は内径側円筒部511の外径面511bに弾接する。スリンガ鍔部512の車体側面(第2部材60とは反対側の面)512cには磁性ゴム製の磁気エンコーダ40が固着一体とされている。この磁気エンコーダ40は、磁性粉を含むゴム材をスリンガ51に加硫成型し、その外面(車体側面)に多数のN極及びS極を周方向に交互に着磁して形成される。車体側には、この磁気エンコーダ40の着磁面に対峙するよう磁気センサ400が設置され、磁気エンコーダ40と磁気センサ400とによって、ドライブシャフト7(車輪)の回転検出機構が構成される。
スリンガ51は、磁気エンコーダ40から外径側円筒部513の外径面513aを覆って芯金鍔部611側(車輪側)に延び、さらに外径側円筒部513の車輪側端面513bをも覆うように固着一体とされた円筒状の庇状部41を備えている。この庇状部41は、芯金円筒部611と平行に形成され、磁気エンコーダ40を構成する磁性ゴムと一体の磁性ゴムからなる。庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bの各表面は、後記するような着磁パターンに着磁された着磁面42a,42bを有する磁石からなる。この着磁面42a,42bによって異物吸着手段42が構成される。そして、庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bは、シールリップ基部620におけるこれらに対向する部分620a,620bとの間にラビリンス構造部r,r1を形成する。即ち、第1部材50及び第2部材60は、対向するラビリンス構造部r,r1を形成する。ラビリンス構造部rは軸L方向に沿い、ラビリンス構造部r1は、ラビリンス構造部rに連続して径方向に沿うように形成される。本実施形態のベアリングシール11においては、スリンガ51の外径側円筒部513及びこれに固着一体とされた庇状部41と、シールリップ基部620と、サイドリップ621と、スリンガ鍔部512とによりポケット形状の空間部110が形成される。このポケット形状の空間部110は、ラビリンス構造部r,r1を介して外部に連通している。
前記のとおり、庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bは、磁石(着磁面42a,42b)からなる異物吸着手段42を構成する。本実施形態の異物吸着手段42を構成する着磁面42a,42bは、図3及び図4に示すように、磁気エンコーダ40と同じ着磁パターンで、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列する。加えて、各N極及びS極は、着磁面42aでは軸L方向に沿い、また着磁面42bでは径方向に沿うように形成されている。したがって、磁気エンコーダ40の着磁の際、これら着磁面42a,42bの着磁も同時に行うことができる。そして、異物吸着手段42(外周部41a、車輪側端部41bの表面、即ち、着磁面42a,42b)とシールリップ基部620におけるこれらに対向する部分620a,620b(対向面)との設計上の距離(ラビリンス構造部r,r1の間隔)d,d1が0.2〜0.5mmに設定される。この設計上の距離は、設計公差や、外輪2に対する内輪5の不可避の偏心量を考慮して設定されるため、庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bとその対向面620a,620bとの距離d,d1を設計上このように設定すると、実際には、周方向の平均のラビリンス構造部r,r1の間隔は0.3〜0.35mmとなる。
前記のように構成されるベアリングシール11が組み込まれた軸受装置1において、ドライブシャフト7が軸Lの回りに回転すると、内輪5は外輪2に対してドライブシャフト7と一体で同軸回転する。この時、サイドリップ621及びラジアルリップ622,623は、それぞれ、スリンガの鍔部512及び内径側円筒部511に弾接した状態で相対摺接する。したがって、軸受装置1の稼働中、外部からベアリングシール11を経て軸受空間S内への泥水等の浸入が防止される。また、軸受空間S内に充填されている潤滑剤(グリース等)の軸受装置1外への漏出が防止される。そして、軸L方向に沿ったラビリンス構造部r及び径方向に沿ったラビリンス構造部r1と、内輪5の軸回転に伴う遠心作用とが相俟って、ベアリングシール11の外部からベアリングシール11内の空間部110への塵埃を含む泥水等の浸入が抑制される。特に、ラビリンス構造部r,r1は、浸入しようとする泥水等に対する浸入経路が長く構成されるから、空間部110への泥水等の浸入防止に効果的である。ところが、設計上の距離d,d1を前記のように設定しているため、ラビリンス構造部r,r1の間隔は、実質的に周方向に平均して0.3〜0.35mmとなる。そのため、稼働当初においては、空間部110への泥水等の浸入抑制作用は充分に発揮されるとは言えない。しかし、泥水等には、金属系の異物や酸化鉄系の異物が含まれている場合が多く、稼働と共に異物吸着手段42によってこれら異物が吸着され、吸着された異物によって距離d,d1が程なく狭められ、ラビリンス構造部r,r1による所期の異物侵入防止機能が適正に発揮される。前述のとおり、設計上の距離d,d1が0.5mmを超えると、ラビリンス構造部r,r1の間隔が大きくなり、当該ラビリンス構造部r,r1による泥水等の浸入防止機能が低下する傾向となる。また、0.2mm未満では、組付誤差や内輪5の偏心により第1部材50及び第2部材60の対向面が接触して内輪5の回転に支障を来すことがある。
図5〜図7は第一の実施形態における第1部材50の変形例を示す。図5に示す第1の変形例では、異物吸着手段42を構成する着磁面42a,42bの複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し、加えて、各N極及びS極は、着磁面42aでは軸L方向に対して傾斜するように、また着磁面42bでは径方向に傾斜するように、それぞれ形成されている。図6に示す第2の変形例では、庇状部41の外周部41aにのみ異物吸着手段42が形成されている。この異物吸着手段42を構成する着磁面42aの複数のN極及びS極におけるN極が周方向に沿った位相の異なる2つの波形形状をなし、この2つの波形の交差によって囲まれた部分がN極とされ、N極以外の部分がS極とされている。図7に示す第3の変形例では、異物吸着手段42を構成する着磁面42a,42bのN極及びS極がそれぞれ一対とされ、着磁面42aでは軸L方向に並列する同軸の環状に、着磁面42bでは径方向に配列する同軸の環状に、それぞれ形成されている。これらの例の異物吸着手段42も、前記例の異物吸着手段と同様に機能する。そして、図3〜図7に示す異物吸着手段42は、着磁面42a,42bの着磁のし易さ、異物の吸着度合、使用される環境(金属系異物の多少)等を勘案して適切な着磁パターンを適宜選択することができる。
なお、図5〜図7では、磁気エンコーダ40が図示されていないが、スリンガ鍔部512の背面(車体側面)には磁気エンコーダ40が同様に設けられている。また、図5〜図7に示すその他の構成は、図3に示す例と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、ここではその説明を割愛する。
図8は、本発明に係る密封装置の第二の実施形態を示す。本実施形態のベアリングシール(密封装置)11では、スリンガ51が前記実施形態のような外径側円筒部513を有さず、庇状部41のみが、スリンガ鍔部512の外径側周縁部512aから車輪側に延びるよう円筒状に形成されている。この庇状部41も磁気エンコーダ40を構成する磁性ゴムからなり、磁気エンコーダ40と一体に形成されている。そして、庇状部41の外周部41aには前記と同様のN極及びS極の着磁パターンで着磁された着磁面42aを有する磁石からなる異物吸着手段42が形成されている。また、庇状部41の車輪側端部41bにも、前記と同様のN極及びS極の着磁面42bを有する着磁パターンで着磁された磁石からなる異物吸着手段42が形成されている。さらに、庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bは、第2部材60のシールリップ基部620におけるこれらに対向する部分620a,620bとの間に、前記と同様にラビリンス構造部r,r1を形成する。また、本実施形態では、スリンガ51に弾接するシールリップが、スリンガ鍔部512に弾接する2個のサイドリップ621,624と、内径側円筒部511に弾接する1個のラジアルリップ623とにより構成されている点で第一の実施例と異なっている。これらシールリップ621,624,623も、第一の実施形態と同様に、内輪の回転に伴い、スリンガ51に弾性的に摺接し、前記と同様に軸受空間Sの密封機能を発揮する。そして、本実施形態では、庇状部41が、前記のようにスリンガ51の外径側円筒部513と一体とされていないので、形状的には安定性が少し劣るが、ラビリンス構造部r,r1及び異物吸着手段42の機能は、前記例と同様に発揮される。また、異物吸着手段42を構成する着磁面42a,42bの着磁パターンも、図3〜図7に示される着磁パターンが選択採用される。
その他の構成は、第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果等の説明を割愛する。
図9は、本発明に係る密封装置の第三の実施形態を示す。本実施形態のベアリングシール(密封装置)11では、前記各実施形態のように、磁気エンコーダ40が設けられていない。そして、スリンガ51は、第一の実施形態と同様に内径側円筒部511と、スリンガ鍔部512と、外径側円筒部513とにより断面倒U形の2重円筒形状をなす。庇状部41は、前記と同様に磁性ゴムからなり、スリンガ鍔部512の外径側周縁部512aから外径側円筒部513の外径面513aを覆い、第2部材60側(車輪側)端面513bをも覆うようにスリンガ51に一体に固着されている。庇状部41の外周部41aには前記と同様のN極及びS極の着磁パターンで着磁された着磁面42aを有する磁石からなる異物吸着手段42が形成されている。また、庇状部41の車輪側端部41bにも、前記と同様のN極及びS極の着磁面42bを有する着磁パターンで着磁された磁石からなる異物吸着手段42が形成されている。また、本実施形態では、第二の実施形態と同様に、スリンガ51に弾接するシールリップが、スリンガ鍔部512に弾接する2個のサイドリップ621,624と、内径側円筒部511に弾接する1個のラジアルリップ623とにより構成されている。さらに、庇状部41の外周部41a及び車輪側端部41bは、第2部材60のシールリップ基部620におけるこれらに対向する部分620a,620bとの間に、前記と同様にラビリンス構造部r,r1を形成する。したがって、ラビリンス構造部r,r1及び異物吸着手段42の機能は、前記例と同様に発揮される。また、異物吸着手段42を構成する着磁面42a,42bの着磁パターンも、図3〜図7に示される着磁パターンが選択採用される。
その他の構成は、第一の実施形態及び第二の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、ここでも、その作用・効果等の説明を割愛する。また、本実施形態のベアリングシール11は、前記各例に示される磁気エンコーダ40が設けられていないので、図1に示す軸受装置1における車輪側のベアリングシール10にも適用可能である。
なお、前記実施形態では、本発明に係る密封装置が、自動車用の軸受装置に適用される例について述べたが、これに限らず、外側部材に対して内側部材が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着されるパックシールタイプの密封装置であれば、他の産業分野の軸受装置にも好ましく適用される。また、自動車用の軸受装置であっても、図1に示す軸受装置に限らず他の形態の軸受装置であっても良い。さらに、実施形態では、軸L方向に沿ったラビリンス構造部rとこれに連続する径方向に沿ったラビリンス構造部r1とが形成される例について述べたが、前者のラビリンス構造部rのみでラビリンスが構成されるものであっても良い。また、実施形態では異物吸着手段を第1部材50に設けた例について述べたが、第2部材60に設けても良い。この場合、シールリップ基部の一部であって、ラビリンスを構成する部分を磁性ゴムからなるものとし、例示の着磁パターンに着磁した磁石によって異物吸着手段を構成することが望ましい。また、芯金及びこれに固着されるシールリップ部材の形状も図例のものに限定されず、芯金と外輪との嵌合形態等も図例に限定されるものではない。さらに、サイドリップ及びラジアルリップ(シールリップ)の形状等も要求される仕様等に応じて適宜変更が可能である。
2 外輪(外側部材)
5 内輪(内側部材)
11 ベアリングシール(密封装置)
40 磁気エンコーダ
41 庇状部
41a 外周部
41b 車輪側端部
42 異物吸着手段
42a 着磁面(芯金の円筒部に対向する面)
42b 着磁面(芯金の鍔部に対向する面)
50 第1部材
51 スリンガ
511 内径側円筒部(円筒部)
511a 端部
512 スリンガ鍔部(鍔部)
512a 外径側周縁部
512c 車体側面(第2部材とは反対側の面)
513 外径側円筒部
60 第2部材
61 芯金
611 芯金円筒部(円筒部)
611a 端部
612 芯金鍔部(鍔部)
621,624 サイドリップ(シールリップ)
622,623 ラジアルリップ(シールリップ)
r,r1 ラビリンス構造部
d,d1 距離
L 軸

Claims (4)

  1. 外側部材に対して内側部材が軸回転可能に支持される当該2部材間に装着される密封装置であって、
    前記内側部材に一体に取付けられるスリンガを備えた第1部材と、前記外側部材に一体に取付けられる芯金及び該芯金に固着されて前記スリンガに弾接する弾性体製のシールリップを備えた第2部材とを含み、
    前記第1部材及び第2部材は、対向するラビリンス構造部を形成し、
    前記第1部材おけるラビリンス構造部を形成する対向面磁石からなる異物吸着手段が設けられており、
    前記芯金は、前記外側部材に嵌合される円筒部と、該円筒部の端部から内径側に延びる鍔部とを有し、
    前記スリンガは、前記芯金の円筒部と平行な磁性ゴムからなる円筒状の庇状部を固着一体に備え、
    前記スリンガは、前記芯金の円筒部に平行に延びる外径側円筒部を有する断面倒U形の形状をなし、前記庇状部は、前記スリンガの外径側円筒部を覆うように固着一体とされ、
    前記庇状部における前記芯金の円筒部に対向する面には、N極及びS極が着磁された着磁面が形成され、当該着磁面によって、前記異物吸着手段が構成され、
    前記異物吸着手段と第2部材の対向面との距離が0.2〜0.5mmに設定されていることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1に記載の密封装置において、
    前記庇状部における前記芯金の鍔部に対向する面には、N極及びS極が着磁された着磁面が形成され、当該着磁面によって、前記異物吸着手段の一部が構成されていることを特徴とする密封装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の密封装置において、
    前記スリンガは、内側部材に嵌合される円筒部と、該円筒部の端部から外径側に延びる鍔部とを有し、且つ、当該鍔部の第2部材とは反対側の面に周方向に沿ってN極及びS極が交互に着磁された磁性ゴムからなる環状の磁気エンコーダが設けられ、
    前記異物吸着手段を構成する着磁面を有する磁石は、当該磁気エンコーダと一体に設けられていることを特徴とする密封装置。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の密封装置において、
    前記異物吸着手段を構成する磁石におけるN極及びS極の着磁パターンは、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し且つ軸方向又は径方向に沿った着磁パターン、複数のN極及びS極が周方向に交互に配列し且つ軸方向又は径方向に対して傾斜した着磁パターン、N極及びS極の少なくとも一方が周方向に波形をなす着磁パターン、N極及びS極が同軸の環状に形成された着磁パターン、のいずれかからなることを特徴とする密封装置。
JP2014205058A 2014-10-03 2014-10-03 密封装置 Active JP6450553B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014205058A JP6450553B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 密封装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014205058A JP6450553B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 密封装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016075325A JP2016075325A (ja) 2016-05-12
JP6450553B2 true JP6450553B2 (ja) 2019-01-09

Family

ID=55950988

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014205058A Active JP6450553B2 (ja) 2014-10-03 2014-10-03 密封装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6450553B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3453928B1 (en) * 2016-05-18 2023-06-07 Nok Corporation Sealing structure in which annular pocket and sealing device are used
JP2018021567A (ja) * 2016-08-01 2018-02-08 内山工業株式会社 密封装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007285374A (ja) * 2006-04-14 2007-11-01 Ntn Corp 車輪用軸受装置
JP2008107177A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Nsk Ltd 状態量測定装置付駆動輪用ハブユニット
JP4893648B2 (ja) * 2008-02-08 2012-03-07 日本精工株式会社 組み合わせシールリング付転がり軸受ユニット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016075325A (ja) 2016-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6556488B2 (ja) 密封装置
JP4925397B2 (ja) 密封装置
JP5334287B2 (ja) ベアリングシール
US10527101B2 (en) Bearing sealing device
JP4925398B2 (ja) 密封装置
JP2015052350A (ja) 軸受密封装置
CN113939663B (zh) 密封装置
JP2007107674A (ja) 密封装置
JP2014240676A (ja) シール付車輪支持用軸受ユニット
JP2008151174A (ja) 密封装置
JP6381120B2 (ja) 密封装置
JP6450553B2 (ja) 密封装置
JP2013092206A (ja) シール付車輪支持用軸受ユニット
JP6765186B2 (ja) 密封装置
WO2017159804A1 (ja) 車輪用軸受装置
JP4952035B2 (ja) エンコーダ付シールリングの製造方法とエンコーダ付転がり軸受ユニット
JP2005054994A (ja) 車輪用転がり軸受およびそれを備えた半浮動式車輪用軸受装置
JP6978754B2 (ja) 軸受密封装置
JP2016061392A (ja) 密封装置
JP2013072463A (ja) 車輪用軸受装置
JP2008267423A (ja) ベアリングシール
JP2009287651A (ja) 車輪用軸受装置
JP2021011938A (ja) 密封装置
JP2018021567A (ja) 密封装置
JP5327305B2 (ja) エンコーダ付組み合わせシールリング

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170914

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20171011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180710

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180903

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181210

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6450553

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250