JP6450319B2 - 耐スケール部材及びその製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1は、地熱熱水等のモノケイ酸を含むシリカ水溶液中のモノケイ酸を重合してポリケイ酸として回収する方法を提案している。しかしながら、この方法は、実施するために設備が大型化することから現実的ではない上、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果を部材自体に与える方法を教示するものではない。
特許文献2は、生産井から取り出した地熱流体から分離した熱水を磁場に導き、熱水中のシリカコロイド粒子をイオン結合させ、高温熱水を還元井に間欠的に注入することにより、還元井内に付着したシリカスケールを除去する方法を提案している。しかしながら、磁場を用いると、パイプ等の部材に損傷を与えることがあるため、部材の寿命が短くなるという問題がある。また、この方法も、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果を部材自体に与える方法を教示するものではない。
特許文献3及び4は、用水に添加されるスケール防止剤を提案しているが、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果を部材自体に与える方法を教示するものではない。
(1)繊維強化材を含むフェノール樹脂組成物をマンドレルにワインディングした後、硬化させてライニング層を形成する工程と、
前記ライニング層上にFRP成形材料をワインディングした後、硬化させてFRP層を形成する工程と
を含むことを特徴とする耐スケール部材の製造方法。
(2)FRP成形材料を遠心成形用金型に導入した後、遠心成形して硬化させてFRP層を形成する工程と、
前記FRP層上に、フェノール樹脂組成物を導入した後、遠心成形して硬化させてライニング層を形成する工程と
を含むことを特徴とする耐スケール部材の製造方法。
(3)前記フェノール樹脂組成物が、酸硬化剤を含む酸硬化型フェノール樹脂組成物である第(1)項又は第(2)項に記載の耐スケール部材の製造方法。
(4)前記フェノール樹脂組成物が、繊維強化材及び/又は充填剤を含む第(1)項〜第(3)項のいずれか一項に記載の耐スケール部材の製造方法。
前記ライニング層が、フェノール樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする耐スケール部材。
(6)前記ライニング層が基材上に形成されている第(5)項に記載の耐スケール部材。
(7)前記フェノール樹脂組成物が、酸硬化剤を含む酸硬化型フェノール樹脂組成物である第(5)項又は第(6)項に記載の耐スケール部材。
(8)前記フェノール樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂である第(5)項〜第(7)項のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
(10)前記ライニング層と前記基材との間にプライマー層が形成されている第(6)項〜第(9)項のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
(11)前記基材が、金属基材及び/又はFRP基材である第(6)項〜第(10)項のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
(12)パイプ又は容器の形態である第(5)項〜第(11)項のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
本実施の形態の耐スケール部材は、ライニング層が形成されており、ライニング層が、フェノール樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする。一般に、ライニング層は基材上に形成されるが、ライニング層のみで耐スケール部材を形成できる場合には、基材を設ける必要はない。すなわち、基材及びライニング層がフェノール樹脂組成物の硬化物であってもよい。
レゾール型フェノール樹脂は、一般に、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン等に代表されるフェノール類又はその誘導体と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等に代表されるアルデヒド類とを用い、それらを、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等に代表されるアルカリ触媒、又はトリメチルアミンやトリエチルアミン等の脂肪族アミンの存在下で反応させた後、必要に応じて、中和処理及び/又は減圧脱水処理を施すことによって調製することができる。なお、このレゾール型フェノール樹脂の調製方法は一例であり、それ以外の方法によって調製されるレゾール型フェノール樹脂も使用可能である。
クレゾール型フェノール樹脂は、上述のレゾール型フェノール樹脂の調整方法において、アルカリ触媒の代わりに、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸等の有機酸に代表される酸性触媒を用いることによって調製することができる。
熱硬化の場合は、繊維強化材等にフェノール樹脂を含浸させて予備加熱し、揮発分を除去しながらBステージ状態(半硬化状態)としたプリプレグを作製した後、これを成形し、さらに加熱して硬化する方法が一般的である。一方、酸硬化型フェノール樹脂組成物を用いる場合は、より低温での硬化が可能なため、ライニング層を形成する基材表面に直接塗布して使用することが可能である。
繊維強化材としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。繊維強化材の例としては、無機繊維及び有機繊維等が挙げられる。より具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、高密度ポリエチレン繊維、ナイロン(登録商標)繊維、ビニロン繊維等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、繊維材料の形状も特に限定されず、ロービング、テープ状、マット状等のものを用いることができる。
また、充填材は、フェノール樹脂との馴染みを向上させる観点から、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、アクリルシラン等のシラン処理剤を用いて表面処理を予め行ってもよい。
充填材の使用量は、特に限定されないが、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは200質量部以下、より好ましくは5〜180質量部、最も好ましくは10〜160質量部である。充填材の使用量が200質量部を超えると、耐衝撃性が低下してしまうことがある。
硬化条件は、特に限定されず、使用するフェノール樹脂組成物に応じて加熱時間及び加熱温度を適宜設定すればよい。例えば、50℃〜150℃の加熱温度では、1〜12時間の加熱時間で硬化させるのが好ましい。
形成されるライニング層の厚さは、部材の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
FRP基材を与えるFRP成形材料としては、特に限定されないが、繊維強化材を含む、ラジカル重合性樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物等を用いることができる。また、本発明において、ライニング層が基材も兼ねる場合には、FRP成形材料として上記のフェノール樹脂組成物を用いることもでき、その場合には繊維強化材を必須成分とする必要がある。
重合性モノマーとしては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。重合性モノマーの例としては、スチレン;ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。また、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート及び1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の、分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル化合物も使用することも可能である。これらの中でも、作業性、コスト及び硬化性の観点から、スチレンが好ましい。また、これらの重合性モノマーは、単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
常温硬化に使用される硬化剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。常温硬化に使用される硬化剤の例としては、ケトンパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド又はジアシルパーオキサイドと還元剤との組み合わせ等が挙げられる。還元剤の例としては、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト等のコバルト塩、五酸化バナジウム等のバナジウム化合物、ジメチルアニリン等のアミン類等が挙げられる。これらの中でも、ポットライフ等の観点から、パーオキシエステルとコバルト塩との組み合わせが特に有効である。或いは、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、アゾ化合物等の公知のラジカル重合開始剤を用いてもよい。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
紫外線重合開始剤の例としては、アセトフェノン系、ベンジルケタール系、(ビス)アシルホスフィンオキサイド系等の紫外線重合開始剤が挙げられる。これらの紫外線重合開始剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、短波長の紫外線は、繊維強化材を含むラジカル重合性樹脂組成物(FRP)に対する光透過性が低いことから、比較的長波長、好ましくは380nm以上の可視光領域にまで感光性を有する(ビス)アシルホスフィンオキサイド系等の紫外線重合開始剤を使用することが好ましい。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。エポキシ樹脂の硬化剤の例としては、アミン系化合物、アミド系化合物、酸無水物系化合物、フェノ−ル系化合物等が挙げられる。より具体的には、アミン系化合物として、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、イミダゾ−ル等が挙げられる。また、アミド系化合物として、ジシアンジアミド、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンとから合成されるポリアミド樹脂等が挙げられる。また、酸無水物系化合物として、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。また、フェノール系化合物として、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、レゾルシンノボラック樹脂に代表される多価ヒドロキシ化合物とホルムアルデヒドとから合成される多価フェノールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリメチロールメタン樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、ビフェニル変性ナフトール樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂やアルコキシ基含有芳香環変性ノボラック樹脂等の多価フェノール化合物が挙げられる。これらの硬化剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化条件は、特に限定されず、使用するFRP成形材料に応じて硬化時間等を適宜設定すればよい。
形成されるFRP基材の厚さは、部材の種類に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
プライマー層としては、基材及びライニング層との接着性に優れるものであれば特に限定されない。プライマー層を与えるプライマーとしては、特に限定されないが、ラジカル重合性樹脂組成物やエポキシ樹脂組成物等を用いることができる。
プライマーに用いられるラジカル重合性樹脂組成物及びエポキシ樹脂組成物としては、特に限定されず、FRP成形材料に用いられるものと同じものを用いることができる。
形成されるプライマー層の厚さは、基材とライニング層との間の接着性を損なわない範囲であれば特に限定されない。
本実施の形態の耐スケール部材の製造方法は、フェノール樹脂組成物を基材上に塗布して硬化させることでライニング層を形成することを特徴とする。
フェノール樹脂組成物の塗布方法及び硬化方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。
また、ライニング層を形成する前に、アセトン等の溶媒を用いて基材の表面を洗浄しておくことが好ましい。
この実施の形態の耐スケール部材の製造方法によれば、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果に優れる耐スケール部材を製造することができる。
本実施の形態の耐スケール部材の製造方法は、フェノール樹脂、繊維強化材及び必要に応じて酸硬化剤を含むフェノール樹脂組成物をマンドレルにワインディングした後、硬化させてライニング層を形成する工程と、前記ライニング層上にFRP成形材料をワインディングした後、硬化させてFRP層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
フェノール樹脂組成物及びFRP成形材料の硬化方法としては、特に限定されず、使用するフェノール樹脂組成物及びFRP成形材料の種類に応じて適宜設定すればよい。
この実施の形態の耐スケール部材の製造方法によれば、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果に優れる耐スケール部材を製造することができる。
本実施の形態の耐スケール部材の製造方法は、FRP成形材料を遠心成形用金型に導入した後、遠心成形して硬化させてFRP層を形成する工程と、前記FRP層上に、フェノール樹脂組成物を導入した後、遠心成形して硬化させてライニング層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
遠心成形の際の条件としては、特に限定されず、使用するFRP成形材料及びフェノール樹脂組成物の種類に応じて適宜設定すればよい。
フェノール樹脂組成物及びFRP成形材料の硬化方法としては、特に限定されず、使用するフェノール樹脂組成物及びFRP成形材料の種類に応じて適宜設定すればよい。
この実施の形態の耐スケール部材の製造方法によれば、スケールの付着防止効果及びスケールの除去効果に優れる耐スケール部材を製造することができる。
(実施例1)
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240、固形分70%)100質量部に酸硬化剤(昭和電工株式会社製FRH−50、(パラトルエンスルホン酸/リン酸エステル=4/1(質量比)、70%希釈品))50質量部を加えて混合し、酸硬化型フェノール樹脂組成物を作製した。プライマーとして、可視光硬化型ビニルエステル樹脂組成物(昭和電工株式会社製リポキシ(登録商標)LC−760)を準備した。また、基材として、アセトン洗浄で油分を予め除去した鉄板を基材として準備した。
可視光硬化型ビニルエステル樹脂を鉄板の表面に、15μmの厚さとなるように塗布した後、600Wメタルハライドランプを用い、380〜450nmの光強度が20mW/cm2となる条件下で10分間光照射して硬化させてプライマー層を形成した。
次に、プライマー層の表面に、調製した酸硬化型フェノール樹脂組成物を250μmの厚さとなるように塗布した後、60℃で2時間加熱し、さらに80℃で3時間加熱することで硬化させてライニング層を形成した。
プライマーとして、エピコート(登録商標)828(油化シェルエポキシ株式会社製)100質量部に2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成株式会社製)2質量部を加えて混合して得られたエポキシ樹脂組成物を用いた。また、レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)100質量部に酸硬化剤(昭和電工株式会社製FRH−50)50質量部及びガラスフレーク30質量部を加えて混合し、酸硬化型フェノール樹脂組成物を作製した。さらに、基材として、アセトン洗浄で油分を予め除去したアルミニウム板を基材として準備した。
エポキシ樹脂組成物をアルミニウム材の表面に、20μmの厚さとなるように塗布した後、80℃で1時間加熱し、さらに120℃で2時間加熱することで硬化させてプライマー層を形成した。
次に、プライマー層の表面に、酸硬化型フェノール樹脂組成物を250μmの厚さとなるように塗布した後、60℃で2時間加熱し、さらに80℃で3時間加熱することで硬化させてライニング層を形成した。
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)100質量部に酸硬化剤(昭和電工株式会社製FRH−50)50質量部を加えて混合した後、混合物をガラスクロス(3プライ)に含浸させることで酸硬化型フェノール樹脂組成物を作製した。なお、酸硬化型フェノール樹脂組成物中のガラスクロスの含有量は40質量%とした。また、基材として、アセトン洗浄で油分を予め除去した銅板を基材として準備した。
実施例2で調製したエポキシ樹脂組成物を銅板の表面に、20μmの厚さとなるように塗布した後、80℃で1時間加熱し、さらに120℃で2時間加熱することで硬化させてプライマー層を形成した。
次に、プライマー層の表面に、酸硬化型フェノール樹脂組成物を250μmの厚さとなるように塗布した後、60℃で2時間加熱し、さらに80℃で3時間加熱することで硬化させてライニング層を形成した。
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)をガラスクロスに含浸させ(ガラス含有量40質量%)、100℃で30分予備加熱することによりプリプレグを得た。
次に、このプリプレグを10プライ重ね、ガラス板に挟んだ状態にて150℃で2時間加熱して硬化させることにより、ライニング層からなるFRPを得た。
ライニング層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、プライマー層を表面に有する鉄基材を準備した。
(比較例2)
ライニング層を形成しないこと以外は実施例2と同様にして、プライマー層を表面に有するアルミニウム基材を準備した。
実施例1〜4のライニング層、比較例1〜2のプライマー層の表面に、酸性の草津温泉水(PH:1.95、群馬県草津町)、アルカリ性の小野上温泉水(PH:8.9、群馬県渋川市)、水道水(群馬県伊勢崎市)を0.2mL滴下し、23℃/湿度50%の環境下で24時間放置して乾燥させた。この操作を同一箇所で7回繰り返して行い、最後に40℃の乾燥機中で12時間放置し、表面にスケールを形成させた。
次に、水を含んだスポンジに25g/cm2の荷重を負荷してスケールの拭き取り操作を行い、拭き取りによってスケールが完全に除去される回数を測定した。
実施例1〜4のライニング層、比較例1〜2のプライマー層の表面に純水(pH=7)を垂らし、そのpHをpH試験紙で測定した。
上記の各評価結果を表1に示す。
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)100質量部に酸硬化剤(昭和電工株式会社製FRH−50)10質量部を加えて混合した後、ガラスサーフェースマットに含浸させることにより、酸硬化型フェノール樹脂組成物を作製した。ここで、酸硬化型フェノール樹脂組成物におけるガラスサーフェースマットの含有量は15質量%とした。
次に、PETフィルムを貼り付けたマンドレルに、酸硬化型フェノール樹脂組成物を巻き付け、60℃で2時間加熱した後、80℃で3時間加熱して硬化させることによりライニング層を形成した。
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)100質量部に酸硬化剤(昭和電工株式会社製FRH−50)10質量部を加えて混合した後、フェノール樹脂及び酸硬化剤の合計100質量部に対して250質量部の砂(粒径5〜10mmm)を加えてさらに混合し、酸硬化型フェノール樹脂組成物を作製した。
FRP成形材料として、ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製R−806)100質量部、t−ブチルパーベンゾエート1.0質量部、炭酸カルシウム(CaCO3)150質量部、砂(粒径2mm以下)150質量部、砂(粒径5〜10mm)250質量部、ガラス繊維(1/4インチ)40質量部を混合して得られたビニルエステル樹脂組成物を用いた。
レゾール型フェノール樹脂(昭和電工株式会社製ショウノール(登録商標)BRL−240)をガラスサーフェースマットに含浸させ(ガラス含有量15質量%)、100℃で30分予備加熱することにより、揮発物を除去したBステージ状態のガラスサーフェースマットのプリプレグを得た。
次に、PETフィルムを貼り付けたマンドレルに、このプリプレグを巻き付け、150℃で2時間加熱硬化させることにより、ライニング層を形成した。
酸硬化型フェノール樹脂組成物を用いる代わりに可視光硬化型ビニルエステル樹脂(昭和電工株式会社製リポキシ(登録商標)LC−760)を用い、実施例5と同様の条件で光硬化させることでパイプを得た。
FRP成形材料として、不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社リゴラック(登録商標)1557)100質量部、t−ブチルパーベンゾエート1.0質量部、炭酸カルシウム(CaCO3)150質量部、砂(粒径2mm以下)150質量部、砂(粒径5〜10mm)250質量部、ガラス繊維(1/4インチ)40質量部を混合して得られた不飽和ポリエステル樹脂を用いた。
遠心成形用金型にFRP成形材料を投入し、回転させながら100℃で1時間放置することで遠心成形及び硬化を行い、FRP層(FRP基材)を形成した。次に、不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社リゴラック(登録商標)1557)100質量部に砂(粒径5〜10mmm)を添加した混合物を、FRP層上に投入し、回転させながら100℃で1時間加熱した後、120℃で2時間加熱することで遠心成形及び硬化を行い、ライニング層を形成した。その後、脱型してパイプを得た。
Claims (10)
- 繊維強化材を含むフェノール樹脂組成物をマンドレルにワインディングした後、硬化させてライニング層を形成する工程と、
前記ライニング層上にFRP成形材料をワインディングした後、硬化させてFRP層を形成する工程と
を含むことを特徴とする耐スケール部材の製造方法。 - FRP成形材料を遠心成形用金型に導入した後、遠心成形して硬化させてFRP層を形成する工程と、
前記FRP層上に、フェノール樹脂組成物を導入した後、遠心成形して硬化させてライニング層を形成する工程と
を含むことを特徴とする耐スケール部材の製造方法。 - 前記フェノール樹脂組成物が、酸硬化剤を含む酸硬化型フェノール樹脂組成物である請求項1又は2に記載の耐スケール部材の製造方法。
- 前記フェノール樹脂組成物が、繊維強化材及び/又は充填剤を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐スケール部材の製造方法。
- ライニング層がFRP基材上に形成された耐スケール部材であって、
前記ライニング層が、フェノール樹脂組成物の硬化物であることを特徴とする耐スケール部材。 - 前記フェノール樹脂組成物が、酸硬化剤を含む酸硬化型フェノール樹脂組成物である請求項5に記載の耐スケール部材。
- 前記フェノール樹脂組成物に含まれるフェノール樹脂が、レゾール型フェノール樹脂である請求項5又は6に記載の耐スケール部材。
- 前記フェノール樹脂組成物が、繊維強化材及び/又は充填材をさらに含む請求項5〜7のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
- 前記ライニング層と前記FRP基材との間にプライマー層が形成されている請求項5〜8のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
- パイプ又は容器の形態である請求項5〜9のいずれか一項に記載の耐スケール部材。
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