次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態では、液体消費装置の一例として、プリンタ複合機(以下、単に「複合機10」ともいう)を例に挙げて説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における、上下・前後・左右方向の概念は、図1の各図に示す複合機10における上下方向7、前後方向8、及び、左右方向9と一致するものとする。
〔複合機10の全体構成〕
図1の各図は本発明の一実施形態に係るインクジェット式プリンタ複合機の一例を示す斜視図であり、図1(A)はカバー70が閉位置にある状態の斜視図、図1(B)はカバー70が開位置にある状態の斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る複合機10は、全体として概ね直方体に形成されており、その上部に設けられたスキャナ部13と、その下部に設けられたプリンタ部11と、複合機10の動作を司る制御部12とを備えている。プリンタ部11は、インクジェット記録方式で用紙P(図2参照)に画像を形成することができる。上記構成の複合機10は、制御部12によってスキャナ部13とプリンタ部11の動作が制御されることによって、複写機、インクジェット式プリンタ、イメージスキャナ、ファクシミリなどの複数の機能を発揮することができる。
複合機10の外形は、直方体状の筐体14と、筐体14の上部を覆うトップカバー28とによって概ね形成されている。筐体14の前壁14aの左右方向9の略中央部には開口14bが設けられており、この開口14b内に排出トレイ21と送給トレイ20が配設されている。また、この開口14bの上方には、チルト可能に筐体14に支持された操作パネル17が設けられている。操作パネル17には制御部12からの出力手段である液晶ディスプレイ17aや、制御部12への入力手段である入力ボタン17bなどが設けられている。
また、筐体14の前壁14aの左右方向9における右部には開口14cが設けられており、この開口14cは前壁14aの一部を形成し得る開閉可能なカバー70で覆われている。カバー70の下部は筐体14と連結されており、カバー70は、カバー70と筐体14の連結部において左右方向9に延びる回動軸線70Aを中心として回動可能である。より具体的には、カバー70は、開口14cを覆う閉位置(図1(A))と、開口14cを露出させる開位置(図1(B))との間で、回動軸線70Aを中心として回動することができる。
〔プリンタ部11〕
続いて、プリンタ部11について詳細に説明する。図2は、プリンタ部11の概略構成を模式的に示す縦断面図である。この図に示すように、プリンタ部11は、送給部15と、送給トレイ20と、排出トレイ21と、搬送ローラ部18と、記録部24と、排出ローラ部19と、プラテン22と、液体回収装置16と、タンクユニット100とを備えている。これらのプリンタ部11の各構成要素は筐体14に内装されている。
送給部15は、自重或いはバネ等による弾性力によって送給トレイ20に収容された用紙Pに向けて付勢された送給ローラ15aを備えている。送給ローラ15aは制御部12によって制御される図示されない搬送モータによって回転駆動される。送給ローラ15aの回転によって、送給トレイ20に収容された用紙Pが一枚ずつ搬送経路65へ送り出される。
搬送経路65は、送給トレイ20の後端部から上方に延びつつ前へ向かってUターンし、記録部24とプラテン22との間の空間を経て排出トレイ21に至る経路である。この搬送経路65に沿って上流から下流に向かって、搬送ローラ部18、記録部24、排出ローラ部19が順に設けられている。
搬送ローラ部18は、搬送経路65を挟んで上下方向7に対向する搬送ローラ18aとピンチローラ18bとを備えている。搬送ローラ18aは、図示されない搬送モータによって駆動される。ピンチローラ18bは、搬送ローラ18aの回転に伴って連れ回る。用紙Pは、搬送ローラ18aとピンチローラ18bとの間に挟まれて、記録部24へ向けて送り出される。
記録部24は、液体消費部の一例である。図3はタンクユニット100と記録部24との関係を示す模式図である。この図では、記録部24の液体吐出ヘッド25に設けられた複数のノズル25aのうち1つと、タンクユニット100に設けられた複数のインク室40のうち1つとが模式的に示されている。図2及び4に示すように、記録部24は、液体吐出ヘッド25と、液体吐出ヘッド25が搭載されたキャリッジ23と、液体回収装置16とを備えている。記録部24は、搬送経路65を挟んでプラテン22と上下方向7に対向配置されている。すなわち、記録部24は、搬送経路65より上下方向7の上方で、且つ搬送経路65に対面するように配置されている。なお、プラテン22は上下方向7において記録部24に対向するようにして配置されており、搬送ローラ部18によって搬送される用紙Pがプラテン22によって下方から支持される。
キャリッジ23は、左右方向9に延設されたガイドレールと、このガイドレールに沿って液体吐出ヘッド25を左右方向9に往復移動させるキャリッジモータとを備えている(いずれも図示略)。また、キャリッジ23からは、制御部12が実装された制御基板と液体吐出ヘッド25を電気的に接続するフレキシブルフラットケーブルが延出されている(図示略)。フレキシブルフラットケーブルは、制御部12から出力される制御信号を液体吐出ヘッド25に伝達する。更に、キャリッジ23からは、タンクユニット100のタンク4と液体吐出ヘッド25を接続するインクチューブ32が延出されている(図4、参照)。インクチューブ32は、タンク4に貯留されたインクを液体吐出ヘッド25に供給する。より詳細には、各色(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)のインクが流通する4本のインクチューブ32がタンク4から延出され、これらが束ねられた状態でキャリッジ23に接続されている。
液体吐出ヘッド25の下面には、複数のノズル25aが形成されている。液体吐出ヘッド25には、インクチューブ32からインクが供給されたインクを一時的に貯留する共通インク室261、ノズル25aと接続された圧力室263、共通インク室261と圧力室263とを接続する供給チャンネル262などから成るインク流路26(液体流路の一例)と、圧力室263を加圧するアクチュエータ27が設けられている。そして、アクチュエータ27の動作が制御部12によって制御されることによって、複数のノズル25aから選択的にプラテン22に下方から支持されている用紙Pに向けて微小なインク滴が吐出され、これによって、用紙Pに画像が形成される。
液体回収装置16は、プラテン22の下方及び/又はその周囲に設けられた液体回収体16aと、液体回収体16aで回収された液体を収容するタンク16bとを備えている。タンク16bは、タンク4に設けられたインク室40のいずれか一つであってもよい。液体回収装置16では、液体吐出ヘッド25のノズル25aから吐出されたインクなどの液体のうち用紙Pに着弾しなかったもの(例えば、パージされたものなど)を回収することができる。
排出ローラ部19は、搬送経路65を挟んで上下方向7に対向する排出ローラ19aと拍車19bとを備えている。排出ローラ19aは、図示されない搬送モータによって駆動される。拍車19bは、排出ローラ19aの回転に伴って連れ回る。記録部24によって画像が形成された用紙Pは、排出ローラ19aと拍車19bとの間に挟まれて、排出トレイ21へ向けて送り出される。
タンクユニット100は、各色のインクを収容するタンク4と、タンク4に形成された注入口50を閉塞するキャップ6などから成る。タンクユニット100は筐体14の内部に収容されているが、カバー70が開放されることにより、タンクユニット100の前面が筐体14の外部へ露出される。つまり、カバー70が開放されると、筐体14の開口14cを通じてタンクユニット100のキャップ6へアクセスが可能となる。
〔タンクユニット100〕
ここで、タンクユニット100について詳細に説明する。図4は、カバー70が開放されてその一部分が複合機10の外部へ露出した状態のタンクユニット100を示す複合機10の部分縦断面図であり、図5はタンクユニット100のタンク4の注入口50の近傍の部分縦断面図であり、図6はタンクユニット100の正面図である。なお、図6では、タンク4に設けられたアーム連結部48の構成を明らかとするために、4つのキャップ6のうちの一つが省略されている。
図4〜6に示すように、タンク4は、内部に形成されたインク室40へインクを注入するための注入口50と、インク室40からインクチューブ32へインクを送り出すための液体流出路51とが形成された壁を有している。タンク4は、タンク4の前面を形成する視認壁41、タンク4の左右方向9の両側面を形成する2つの側壁45、タンク4の上面を形成する上壁46、タンク4の底面を形成する底壁47、及び、視認壁41と上壁46と接続されており、外面が斜め上方を向く傾斜壁42によって、外形が概ね直方体状に形作られている。左右の側壁45の間には複数の間仕切壁44が設けられており、この間仕切壁44によってタンク4の内部空間がそれぞれ独立した複数のインク室40に区切られている。このタンク4の後面は、間仕切壁44、側壁45、上壁46、及び、底壁47の各壁の後端面に溶着されたフィルム49によって封止されている。
タンク4の内部空間は、左右方向9に4つのインク室40に区画されている。4つのインク室40には、それぞれ、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、及び、イエローインクが貯留される。各色インクは、液体の一例である。インク室40の数及びインクの色は上記の例に限定されない。なお、本実施形態に係るインク室40は樹脂製の壁によって形作られているが、インク室40が樹脂製の袋などによって形作られていてもよい。
タンク4の傾斜壁42には、インク室40へインクを注入するための開口である注入口50が設けられている。この注入口50を通じて、タンク4の外部とインク室40とが連通される。本実施形態に係るタンク4は4つのインク室40を有しており、各インク室40に対応して4つの注入口50が傾斜壁42に左右方向9に一列に並んで設けられている。
タンク4には、傾斜壁42の外面から斜め上方に突出している筒状壁43が設けられている。注入口50は、傾斜壁42及び筒状壁43を貫通して形成されている。換言すれば、注入口50は、タンク4の壁部、すなわち、傾斜壁42の一部及び筒状壁43によって画定されている。本実施形態では、注入口50は円柱形状に形成されている。筒状壁43の突出端において注入口50の一端50aが斜め上方に向かってタンク4の外部に開口している。一方、傾斜壁42の内面において注入口50の他端50bが斜め下方に向かってインク室40に開口している。
筒状壁43のタンク4の外部へ露出しうる端部(即ち、突出端)において、筒状壁43の内壁面と外壁面の両方が面取りされている。これによって、筒状壁43の突出端の壁の厚さは、筒状壁43の他の部分の壁の厚さよりも薄くなっている。この結果、筒状壁43の突出端は尖っている。
本実施形態に係る筒状壁43は、上下方向7に対し非直交、且つ、水平方向よりも上方向となる前上方向に向かって、傾斜壁42から突出している。また、筒状壁43は、傾斜壁42の外面と直交する方向に傾斜壁42から突出している。この筒状壁43及び傾斜壁42により形成された注入口50は、斜め上方、すなわち、前方且つ上方を向いて開口している。すなわち、注入口50の開口中心線Lは、上下方向7及び前後方向8に対して傾斜している。なお、注入口50の開口中心線Lとは、注入口50の一端50aの中心及び注入口50の他端50bの中心を繋いだ線、並びに、その延長線である。本実施形態では、開口中心線Lは、筒状壁43が傾斜壁42から突出する方向と平行である。また、開口中心線Lは、注入口50が筒状壁43及び傾斜壁42を貫通する方向と平行であるともいえる。
上記のようにタンク4の前面に設けられた注入口50は、カバー70が開位置にあるときに(図1(B)参照)、筐体14の開口14cを通じて複合機10の外部に露出される。各注入口50には、他のキャップ6から独立したキャップ6が取り付けられている。キャップ6は、注入口50に着脱可能に装着されて、注入口50を閉塞することができる。キャップ6が注入口50から取り外されると、注入口50が開放される。開放された注入口50を通じてインク室40へインクを注入することができる。
〔キャップ6〕
続いて、キャップ6について詳細に説明する。本実施形態に係るタンクユニット100が備える4つのキャップ6は同一形状である。図7はキャップ6の側面図であり、図8はキャップ6の図7におけるVIII矢視図である。これらの図に示されたキャップ6は弾性変形していない(つまり、自然状態にある)。図7及び8に示すように、キャップ6は、注入口50を閉塞するキャップ本体部6Aと、キャップ本体部6Aをタンク4の外壁と連結するアーム部6Bとを有している。キャップ6のキャップ本体部6Aとアーム部6Bは、ゴムやエラストマーのように弾性変形可能な素材によって一体成形されている。
キャップ6のキャップ本体部6Aは、ボディ61(第1部分)と、フランジ62(第3部分)と、掛かり部63(第2部分)とを有し、これらが一体的に形成されている。ボディ61は、円柱形状を有している。ボディ61の外径は、注入口50の径とほぼ同じであるか若干大きい。フランジ62は、ボディ61の基端と連続している。フランジ62は、ボディ61よりも大径の円柱形状を有している。掛かり部63は、ボディ61の先端と連続している。掛かり部63は、ボディ61よりも外径の大きな円柱形の基端部63aと、外径が注入口50の内径よりも小さくなるまで基端部63aから先端に向かって縮小する円錐台形の先端部63bとを有している。掛かり部63の先端部63bは、キャップ6を注入口50へ取り付けるときに、キャップ本体部6Aのうち最初に注入口50へ挿入される部分である。このようなキャップ本体部6Aは、ボディ61で括れた回転体形状を呈している。
フランジ62と掛かり部63は、ボディ61を間に介して対向する面を各々有している。つまり、掛かり部63のニップ面63c(第1ニップ面)とフランジ62のニップ面62a(第2ニップ面)とは、ボディ61を間に介して対峙している。掛かり部63のニップ面63cは、ボディ61の先端と連続している。また、フランジ62のニップ面62aは、ボディ61の基端と連続している。キャップ6が自然状態にあるとき、即ち、弾性変形していないときに、フランジ62のニップ面62aと掛かり部63のニップ面63cとの間は、注入口50の開口中心線Lの延伸方向の長さH2(図5、参照)よりも若干小さい距離だけ離間している。換言すれば、キャップ6が自然状態にあるとき、即ち、弾性変形していないときに、円柱形のボディ61の延伸方向の長さH1(図7、参照)は、注入口50の開口中心線Lの延伸方向の長さH2よりも若干小さい。
フランジ62のニップ面62aと表裏を成すフランジ62の外面62bには、タブ66が設けられている。タブ66は、タンク4の注入口50からキャップ6(キャップ本体部6A)を取り外すときに、ユーザが指などで摘まんでキャップ6を操作するための操作突起である。
タブ66は、フランジ62の外面62bの中央ではなく、外面62bの中央から外れた位置から突出している。本実施形態に係るタブ66は、フランジ62の外面62bにおける外面62bの外縁を含む部分から突出している。また、本実施形態に係るタブ66の基端は、ボディ61の外周面をボディ61の延伸方向と平行に延長させたところに位置している。
タブ66は、フランジ62の外面62bからタブ66が突出している方向と平行な第1方向D1に第1寸法S1を有し、第1方向D1と直交する第2方向D2に第2寸法S2を有し、第1方向D1及び第2方向D2に直交する第3方向D3に第3寸法S3を有している。第2方向D2は、キャップ6が注入口50に装着されているときに水平方向と実質的に一致する。また、第2寸法S2は第3寸法S3よりも大きく、ユーザがタブ66を摘まむときに、ユーザの2本の指によってタブ66が第3方向D3から挟まれる。
タブ66は、第3方向D3の一方を向いている第1面66aと、この第1面66aとは表裏をなす第2面66bとを有している。そして、タブ66の第1面66aには、引っ掛かり部67が設けられている。引っ掛かり部67は、タブ66の第1面66aから第3方向D3へ突出した少なくとも1つの突部、又は、タブ66の第1面66aから第3方向D3へ窪んだ少なくとも1つの窪みとして形成されている。
キャップ6のアーム部6Bは、アーム本体68とアーム根部69とを有し、これらが一体的に形成されている。アーム本体68の先端部68bはキャップ本体部6Aのフランジ62の周縁部と連結されている。図7に示すように、自然状態のアーム部6Bにおいて、アーム本体68はキャップ本体部6Aのフランジ62の周縁部から第3方向D3に延伸する板状に形成されている。そして、第3方向D3に連続しているフランジ62とアーム本体68に跨ってタブ66が設けられている。すなわち、タブ66は、フランジ62の外面62bの中央よりもアーム部6Bの方向にずれた位置から突出している。
アーム本体68には、アーム本体68の延伸方向に沿って延びる少なくとも1つの薄肉部68c(図6、参照)が設けられている。本実施形態に係るアーム本体68には、2本の薄肉部68cが設けられている。この薄肉部68cによって、アーム本体68の捻れが防止されている。また、薄肉部68cの大きさが調整されることによって、アーム本体68が変形した状態から弾性回復によって立ち上がるときの速さが調整されている。
アーム根部69は、アーム部6Bの基部に設けられており、アーム本体68の基端部68aから第1方向D1へ突出している。自然状態のアーム部6Bにおいて、アーム本体68の延伸方向である第3方向D3と、アーム根部69の延伸方向である第1方向D1とは直交している。アーム根部69には、第2方向D2に突出する係止片69aが設けられている。
アーム根部69は、タンク4に設けられたアーム連結部48と連結される。アーム連結部48は、注入口50よりも上方且つ後方において、タンク4の上壁46から上方へ突出している壁である。タンク4のアーム連結部48には、上下方向7に延びる溝48a(図6、参照)が形成されている。図3及び図5に示すように、アーム根部69は、係止片69aがアーム連結部48よりも後方に位置するように、アーム連結部48の溝48aに上方から挿入される。アーム根部69は、アーム連結部48の溝48aから前方へ落脱しないように、係止片69aによってアーム連結部48に係止されている。また、アーム根部69の上方には、筐体14(又は、複合機10のフレーム)の一部分を形成している垂直壁14fが存在し、この垂直壁14fによってアーム根部69がタンク4のアーム連結部48の溝48aからの上方へ抜け出すことが阻止されている。
続いて、タンク4の注入口50に対して着脱されるときのキャップ6の様子について説明する。複合機10の筐体14の前壁14aに設けられている開口14cを介してタンク4の前面が複合機10の外部に露出されるため、本実施形態においては、原則として、ユーザは複合機10の前方からキャップ6を注入口50に対して着脱操作する。なお、キャップ6の着脱は、タンク4を注入姿勢にさせた状態で行われる。注入姿勢とは、注入口50を通じてインク室40へインクが注入されるときのタンク4の姿勢である。本実施形態に係る複合機10では、タンク4の注入姿勢は、プリンタ部11によってプリントが行われてタンク4から液体吐出ヘッド25へインクが供給されるときのタンク4の定常姿勢と同じであって、本実施形態において上記で既に説明されたタンク4の姿勢及び下記で説明するタンク4の姿勢である。すなわち、注入姿勢のタンク4の注入口50は斜め上方、すなわち、前方且つ上方に向けて開口している。なお、タンク4の注入姿勢が定常姿勢と異なる場合は、注入口50を通じてインク室40へインクが注入される際に、タンク4が定常姿勢から本実施形態で説明されるタンク4の注入姿勢に姿勢変化される。
キャップ6がタンク4の注入口50に装着される際には、キャップ本体部6Aの掛かり部63が注入口50の一端50aへ位置合わせされた状態で、フランジ62が筒状壁43の突出端と当接するまで、キャップ本体部6Aが掛かり部63から注入口50内に押し込まれる。例えば、ユーザは、キャップ6の掛かり部63をタンク4の注入口50の一端50aと位置合わせし、フランジ62の外面62bを指の腹で注入口50へ向けて押すことによって、掛かり部63及びボディ61を注入口50の一端50aを通過させて注入口50へ押し込む。
ボディ61及び掛かり部63が注入口50に進入すると、注入口50の内径よりも大きな外径を有する掛かり部63は注入口50を通過できるように弾性変形する。筒状壁43の突端部とフランジ62とが当接するまで、フランジ62の外面62bが注入口50へ向けて押圧される。筒状壁43の突端部とフランジ62とが当接し更に押圧されると、筒状壁43のやや尖った突端部がフランジ62に減り込むことによって、掛かり部63がインク室40へ到達することができる。このようにして、注入口50内で縮径された掛かり部63が注入口50を通過してインク室40に至ると、掛かり部63は弾性回復して元の形状に戻る。掛かり部63は弾性回復するときに、キャップ6を操作しているユーザはクリック感を感じ、キャップ6が注入口50に正しく装着されたことを知ることができる。
図5に示すように、キャップ6が注入口50に装着されているときに、キャップ本体部6Aのボディ61は注入口50内に位置しており、フランジ62はタンク4の外部に位置しており、掛かり部63はインク室40内に位置している。
上記のようにキャップ6が注入口50に装着された状態において、フランジ62のニップ面62aと掛かり部63のニップ面63cとの注入口50の開口中心線Lと平行な方向の距離が、注入口50の一端50aから他端50bまでの開口中心線Lと平行な方向の長さH2(即ち、筒状壁43の注入口50の開口中心線Lと平行な長さ)と等しくなるように、キャップ本体部6Aが弾性変形している。これにより、フランジ62のニップ面62aは注入口50の一端50aを画定している筒状壁43の突出端に押し付けられており、掛かり部63のニップ面63cは注入口50の他端50bを画定している傾斜壁42の内面に押し付けられている。換言すれば、キャップ本体部6Aの弾性変形によって、筒状壁43及び傾斜壁42がフランジ62と掛かり部63によって両側から挟み込まれて加圧されている。このようにして、キャップ6のフランジ62により注入口50の一端50aが封止されるとともに、キャップ6の掛かり部63により注入口50の他端50bが封止される。つまり、キャップ6が注入口50に装着された状態において、キャップ6とタンク4は2箇所で封止されている。また、ボディ61の外径が注入口50の径とほぼ同じであるか若干大きいので、ボディ61が、注入口50を画定しているタンク4の壁部、すなわち、筒状壁43及び傾斜壁42における注入口50を画定している面に密着する。これにより、キャップ6とタンク4は、ボディ61の外周面においても封止されている。
上記のように、注入口50に装着されているときのキャップ6が、記録部24の液体吐出ヘッド25のノズル25aからの液体の吐出圧を上回る耐圧力を有するように、キャップ6の材料やフランジ62及び掛かり部63の肉厚などが設計されている。つまり、インク室40の耐圧性能は、液体吐出ヘッド25のインク流路26及びノズル25aの耐圧性能より高い。これにより、タンク4のインク室40が過圧状態となれば、タンク4のインク室40のインクが液体吐出ヘッド25のインク流路26へ流入し、ノズル25aからインクが吐出されることによって、インク室40の過圧状態が解消される。ノズル25aから吐出されたインクは液体回収装置16により回収される。このように、キャップ6を注入口50から取り外すことなく、タンク4のインク室40が過圧状態を解消することができるので、この作業においてユーザにインクが付着しない。また、タンク4からインクが漏れることを防止できる。
また、上記のように注入口50に装着されているときのキャップ6には、運搬時の振動や気圧変動、更に、屈曲から弾性回復しようとするアーム部6Bから加わる力などにより、キャップ6に注入口50から引き抜く方向への力が作用することがある。これに対し、キャップ6の2つのニップ面63c,62aが注入口50を画成する筒状壁43を挟み込んでおり、また、掛かり部63のニップ面63cが注入口50の壁部に引っ掛かるので、キャップ6は注入口50から外れにくい。これにより、キャップ6がユーザの操作なく自動的に注入口50から外れることを防止し、ひいては、インク漏れを防止することができる。
注入口50に装着されたキャップ6が注入口50から取り外される際には、図9に示すように、注入口50の注入口50及びインク室40に挿入されているキャップ6のボディ61と掛かり部63が、注入口50の一端50aを通じてタンク4の外部へ抜き出される。ここで、ユーザは、1本の指でタブ66の第1面66aを触り、もう1本の指でタブ66の第2面66bを触ることにより、2本の指でキャップ6のタブ66を摘まんで、タブ66を斜め上方、すなわち前方且つ上方、もしくは前方(即ち、ユーザの手前側)へ引っ張ることによって、キャップ6のボディ61と掛かり部63をタンク4の注入口50からタンク4の外部へ引き出すことができる。
注入口50に装着されたキャップ6のフランジ62の外面62bは、タンク4の外部を向いており、この外面62bは注入口50の開口中心線Lと交わっている。そして、キャップ6のタブ66は、フランジ62の外面62bにおいて注入口50の開口中心線Lと重複しない位置から突出している。望ましくは、タブ66の基端は開口中心線Lよりも外面62bの外縁の近くに位置している。更に望ましくは、タブ66は外面62bにおける外面62bの外縁を含む部分から突出している。更に望ましくは、タブ66の基端は注入口50の外縁から開口中心線Lと平行に延長した延長線上に位置している。
更に、本実施形態においては、注入口50に装着されたキャップ6のフランジ62の外面62bを、ユーザから見て手前側半分(前方半分)A1と奥側半分(後方半分)A2に分けた場合に、タブ66はフランジ62の外面62bの奥側半分A2から突出している。また、注入口50に装着されたキャップ6において、タブ66は開口中心線Lよりも上方に位置している。
このように、タブ66が開口中心線Lと重複しない位置から突出していることにより、次のような効果が得られる。すなわち、図9に示すように、ユーザが注入口50に装着されたキャップ6のタブ66を斜め上方、すなわち前方且つ上方、もしくは前方へ引っ張ると、弾性体であるキャップ6は、引っ張られた方向へ伸びるように弾性変形する。キャップ6のキャップ本体部6Aのうちタブ66及びその近傍の部分は、キャップ本体部6Aの他の部分と比較して大きく伸びる。すると、キャップ6のフランジ62は、先ず、タブ66の近傍の部分において注入口50を形成している筒状壁43から離れ、タブ66の近傍の部分から開口中心線Lを挟んだ反対側の部分へ向かって順に筒状壁43から離れる。フランジ62が筒状壁43から離れると、フランジ62と繋がっているボディ61が筒状壁43及び傾斜壁42における注入口50を画定している面から離れ、ボディ61と当該注入口50を画定している面との間の密着が解除される。ボディ61は、タブ66の近傍の部分から開口中心線Lを挟んだ反対側の部分へ向かって順に当該注入口50を画定している面から離れる。すなわち、ボディ61と当該注入口50を画定している面との間の密着は、タブ66の近傍の部分から開口中心線Lを挟んで反対側の部分へ向かって順に解除される。
特許文献1のように、注入口に挿入されたキャップの中央にタブ(摘み)が設けられている場合に、このタブを引っ張ると、キャップと注入口を画定する壁面との間に全周に亘ってほぼ均一な摺動抵抗が生じる。これに対し、本実施形態に係るタンクユニット100では、タブ66を引っ張ると、キャップ6と注入口50を画定している壁面(筒状壁43及び傾斜壁42における注入口50を画定している面)との間の摺動抵抗は全周に亘って均一ではなく、キャップ6と注入口50を画定している壁面との間の接触部において摺動抵抗が他と比べて小さい部分が生じる、即ち、キャップ6に注入口50から抜けやすい箇所が生じる。そして、キャップ6は、この注入口50から抜けやすい箇所から順に注入口50より抜ける。よって、キャップ6を注入口50から抜き出すときの操作荷重を、特許文献1の場合と比較して軽減することができる。これにより、キャップ6が注入口50から抜けるときの勢いを減らすことができるので、キャップ本体部6Aから飛散するインクの量を低減することができる。
また、注入口50は斜め上方、すなわち、前方且つ上方に向かってタンク4の外部に開口しており、キャップ6が注入口50に装着されているときに、タブ66が開口中心線Lよりも上方に位置している、すなわち、タブ66がユーザから見て開口中心線Lよりも奥側(後方)に設けられているので、ユーザにはタブ66を手前側、すなわち前方に引っ張ろうとする心理が働く。従って、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾く。よって、キャップ6におけるタブ66に近い部分が注入口50を画定している面から離れるようにキャップ6が変形し、キャップ6におけるタブ66に近い部分が更に注入口50から抜けやすくなる。また、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾くので、ユーザがキャップ6を注入口50から引き抜いたとき、インクが付着している可能性の高い掛かり部63が後方を向く、すなわち、ユーザとは反対の方向を向くので、ユーザへ向けてインクが飛散することが抑制される。
また、キャップ6が注入口50に装着されているときに、第2方向D2は、水平方向、すなわち左右方向9に実質的に一致し、タブ66の第1面66aは、第2面66bよりも上方に位置する。ユーザは、1本の指でタブ66の第1面66aを上方から触り、もう1本の指でタブ66の第2面66bを下方から触ることにより、2本の指でキャップ6のタブ66を摘まむ。ユーザが指でキャップ6のタブ66を摘まんだときに、引っ掛かり部67が指に引っ掛かり、引っ掛かり部67が設けられている面(即ち、第1面66a)の方が他方の面(即ち、第2面66b)と比較して滑りにくい。従って、ユーザには、引っ掛かり部67を指に引っ掛けてタブ66を手前側、すなわち前方に引っ張ろうとする心理が働く。従って、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾く。よって、キャップ6におけるタブ66に近い部分が注入口50を画定している面から離れるようにキャップ6が変形し、キャップ6におけるタブ66に近い部分が更に注入口50から抜けやすくなる。また、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾くので、ユーザがキャップ6を注入口50から引き抜いたとき、インクが付着している可能性の高い掛かり部63が後方を向く、すなわち、ユーザとは反対の方向を向くので、ユーザへ向けてインクが飛散することが抑制される。
また、キャップ6が注入口50に装着された状態において、アーム部6Bのアーム本体68は、基端部68aから上方へ向かって延び、屈曲した後、下方へ向かって延びて、その先端部68bがフランジ62の周縁部と連結されている。このように注入口50に装着されたキャップ6において、アーム本体68の屈曲部分と、注入口50の開口中心線Lとの間に、タブ66が位置している。
上記のように、注入口50に装着されたキャップ6のタブ66をユーザが指で摘まんだときに、注入口50よりも上方にはアーム本体68(特に、アーム本体68の屈曲部分)が存在している。ユーザには、このアーム本体68の屈曲部分を回避してタブ66を引っ張ろうとする心理が働く。すなわち、ユーザには、タブ66を前方に引っ張ろうとする心理が働く。従って、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾く。よって、キャップ6におけるタブ66に近い部分が注入口50を画定している面から離れるようにキャップ6が変形し、キャップ6におけるタブ66に近い部分が更に注入口50から抜けやすくなる。また、ユーザがタブ66を引っ張る方向が開口中心線Lよりも前方に傾くので、ユーザがキャップ6を注入口50から引き抜いたとき、インクが付着している可能性の高い掛かり部63が後方を向く、すなわち、ユーザとは反対の方向を向くので、ユーザへ向けてインクが飛散することが抑制される。
上記のように、キャップ6を注入口50から取り外す際に、キャップ6が注入口50から抜けやすくなっているが、それでも、キャップ6のボディ61の外周面と注入口50を画定している筒状壁43の内面とが密着してキャップ6が抜けにくくなっていることがある。このような場合には、タブ66を引っ張る前又は引っ張り開始時に、ユーザがフランジ62を注入口50へ押し込むようにしてフランジ62の外面62bを指の腹で押す操作を行ってもよい。このようにフランジ62の外面62bが押圧されることによって、キャップ本体部6Aの中空部64を押しのけてフランジ62が注入口50内へ入り込むようにキャップ6が変形する。この変形によって、ボディ61の外周面と注入口50を画定している筒状壁43の内面との密着が解除されたり、掛かり部63が注入口50の他端50bを通過しやすくなるように変形したりすることが期待できる。
上記のようにキャップ6が注入口50から取り外されると、アーム本体68の屈曲の程度が緩和されるようにアーム本体68が弾性回復する。この結果、図10に示すように、キャップ6のキャップ本体部6Aはアーム本体68の基端部68aを中心として上方へ回動し、アーム本体68が起き上がる。アーム部6Bの基部は、アーム部6Bのうち少なくとも基部が自然状態において起立するようにタンク4に連結されている。具体的には、アーム根部69はその延伸方向がほぼ水平となるようにタンク4と連結されており、キャップ6のアーム根部69の延伸方向とアーム本体68の基端部68aの延伸方向がほぼ直交している。これにより、アーム本体68の基端部68aがほぼ垂直となるまでアーム本体68が起き上がる。
上記のように、キャップ6が注入口50から取り外されているときにアーム本体68が起き上がっているので、アーム本体68の先端部68bと連結されたキャップ本体部6Aも上方へ回動している。このように、キャップ本体部6Aが注入口50から離れた位置で保持されるので、注入口50を通じてインク室40へインクを注入する際に、その作業がキャップ6に阻害されない。また、キャップ本体部6Aのうち、インク室40に位置していてインクが付着している可能性の高い掛かり部63がユーザから見えるようになるので、注入口50を通じてインク室40へインクを注入する際に、インク室40へ注入されるインク色の間違いを防ぐことができる。
上記のようにアーム本体68が弾性回復によって起き上がるときに、キャップ6のタブ66はフランジ62の外面62b及びアーム部6Bよりも先に筐体14の垂直壁14fと当接する。これによって、アーム本体68のそれ以上上方への回動が規制される。そして、アーム本体68が起き上がっているときに、筐体14の垂直壁14fとキャップ6のフランジ62の外面62bとの間には、タブ66の介在によって、ユーザの指が挿入できる程度の間隙が存在している。よって、次にキャップ6を注入口50へ取り付けるときには、ユーザは、筐体14の垂直壁14fとキャップ6のフランジ62の外面62bとの間に指を挿入して、その指でフランジ62の外面62bを押圧すれば、指にインクを付着させることなくキャップ6を注入口50へ装着することができる。
なお、図10に示すように、キャップ6が注入口50に装着されていないときには、上方へ回動したキャップ本体部6A及び起立したアーム部6Bによって、カバー70の開位置から閉位置までの回動が阻害される。つまり、キャップ6が注入口50に装着されていないときには、カバー70を閉じることができない。これにより、キャップ6が注入口50から取り外されたままカバー70が閉じられること、即ち、注入口50が開放されたまま複合機10が使用されることを、抑制することができる。
以上に説明したように、本実施形態に係る液体消費装置である複合機10は、液体消費部である記録部24と、記録部24によって消費されるインク(液体)が貯留されるインク室40(液体貯留室)、及び、インク室40と外部とを仕切る傾斜壁42(壁部)を貫通して形成されたインク室40に液体を注入するための注入口50を有するタンク4と、注入口50に挿脱可能に装着されて当該注入口50を閉塞可能なキャップ6と、記録部24とタンク4の少なくとも一部分が収容された筐体14とを備えている。タンク4の注入口50を画定する筒状壁43(壁部)及びキャップ6のうち一方は弾性素材から成る。
キャップ6は、キャップ6が注入口50に装着されているときに、当該注入口50内に位置する柱状のボディ61(第1部分)と、キャップ6が注入口50に装着されているときにタンク4の内部に位置する部分であって、ボディ61の先端部と連続するニップ面63c(第1ニップ面)が設けられた掛かり部63(第2部分)と、キャップ6が注入口50に装着されているときにタンク4の外部に位置する部分であって、タンク4の外部を向く外面62b、及び、ボディ61の基端部と連続し且つニップ面63cと対峙するニップ面62a(第2ニップ面)が設けられたフランジ62(第3部分)とを有ししている。そして、ニップ面63cとニップ面62aの外径は注入口50の内径よりも大きく、且つ、ボディ61の延伸方向の長さは注入口50を画定する壁部の注入口50の開口中心線Lの長さよりも短い。更に、キャップ6が注入口50に装着されているときに、ニップ面63cからニップ面62aまでの注入口50の開口中心線Lの延伸方向の長さが注入口50を画定する壁部の注入口50の開口中心線Lの長さと実質的に等しくなるように、キャップ6が弾性変形する。ここで、キャップ6に代えて、タンク4の注入口50を画定する壁部が弾性変形してもよい。
これにより、キャップ6が注入口50に装着されているときに、ニップ面63cが注入口50を画定する壁部の一方の端部に圧接され、且つ、ニップ面62aが注入口50を画定する壁部の他方の端部に圧接される。これによって、注入口50を画定する壁部の一方の端部の開口縁とキャップ6の間、注入口50を画定する壁部の他方の端部の開口縁とキャップ6の間の2か所において、キャップ6とタンク4の壁部との間が封止される。このようにして、タンク4に形成された注入口50をキャップ6で適切に閉塞することができる。そして、注入口50を画定する壁部の内面とキャップ6のボディ61の外周面との密着に頼らず、タンク4に形成された注入口50を閉塞することができるので、注入口50を画定する壁部の注入口50の開口中心線Lと平行な長さを短縮化することができる。以上の通り、タンク4に形成された注入口50の適切な閉塞と、注入口50を画成するタンク4の壁部の注入口50の開口中心線Lの延伸方向の長さの短縮化とを両立しうるキャップ6を備えた複合機10を提供することができる。
また、本実施形態に係る複合機10において、キャップ6の掛かり部63は、ボディ61よりも外径の大きな基端部63aと、キャップ6のうち最初に注入口50に挿入される部分であって、注入口50の内径よりも小さくなるまで外径が基端部63aから先端に向かって縮小する先端部63bとを有している。
これにより、キャップ6を注入口50へ装着するときに、掛かり部63の先端部63bをスムースに注入口50へ挿入することができる。
また、本実施形態に係る複合機10において、キャップ6は、タンク4の外部とフランジ62とを繋ぐアーム部6B(アーム)を更に備え、キャップ6が注入口50に装着されているときに、アーム部6Bは弾性変形により屈曲している。
これにより、注入口50から取り外されたキャップ6は注入口50の回りで保持されるので、注入口50から取り外されたキャップ6の置き場所が不要ある。また、このようにキャップ6のフランジ62がアームと連結されているので、キャップ6が注入口50に装着されているときにはアーム部6Bの弾性回復によってキャップ6に注入口50から引き抜く方向への力が作用する。しかし、キャップ6の2つのニップ面63c,62aによって注入口50を画成する壁部が把持されており、また、掛かり部63のニップ面63cが注入口50の壁部に引っ掛かるので、キャップ6はアーム部6Bの力に抗して注入口50から外れない。
また、本実施形態に係る複合機10において、キャップ6は、掛かり部63にて開口すると共に、掛かり部63からボディ61を通じてフランジ62に亘って、ボディ61の延伸方向に延びる中空部64している。
このように、キャップ本体部6Aは中空状であるので、弾性変形しやすい。
また、本実施形態に係る複合機10において、注入口50を画定する壁部は、フランジ62の外径よりも小さい外径を有し、且つ、ボディ61の外径と実質的に等しい内径を有し、タンク4のインク室40と外部とを仕切る壁部を貫いてタンク4の内部と外部とを連通する円筒形状に形成されている。
これにより、フランジ62の外面62bを注入口50へ押し込むようにユーザの指で押圧すると、フランジ62が注入口50側へ撓み、ボディ61と筒状壁43の密着が解除され、掛かり部63が注入口50の他端50bを通過するように、キャップ6を変形させることができる。
また、本実施形態に係る複合機10において、注入口50を画定する筒状壁43のタンク4の外部へ露出しうる端部において、内周面及び外周面の両方が面取りされている。但し、これらの内周面及び外周面のうち少なくとも一方が面取りされていればよい。
これにより、筒状壁43の面取りされた端部はやや尖っている。キャップ6を注入口50へ取り付ける際に、キャップ6のフランジ62を注入口50へ向けて押圧すると、筒状壁43のやや尖った端部がフランジ62に減り込み、掛かり部63をインク室40まで押し込むことができる。
また、本実施形態に係る複合機10において、キャップ6のフランジ62に、フランジ62の外面62bにおいて注入口50の開口中心線Lと重複しない位置から突出するタブ66(操作突起)が設けられている。
これにより、ユーザが注入口50に装着されているキャップ6のタブ66を引っ張り操作したときに、キャップ6が引っ張られて弾性変形し、キャップ6のボディ61と筒状壁43及び傾斜壁42における注入口50を画定している面との間の密着が、キャップ6のタブ66に近いところから離れたところへ向かって徐々に解除される。
また、本実施形態に係る複合機10において、記録部24は、タンク4の液体流出路51とチューブを介して接続されたインク流路26(液体流路)、及び、インク流路26内の液体を吐出するノズル25aを有する液体吐出ヘッド25と、ノズル25aから吐出された液体を回収する液体回収装置16とを有している。そして、注入口50に装着されているときのキャップ6が、ノズル25aからの液体の吐出圧を上回る耐圧力を有している。
これにより、インク室40の耐圧性能は、液体吐出ヘッド25の液体流路の耐圧性能より高くなる。よって、タンク4のインク室40が過圧状態となったときに、タンク4のインク室40のインクが液体吐出ヘッド25の液体流路へ流入し、ノズル25aからインクが吐出されることによって、インク室40の過圧状態が解消される。ノズル25aから吐出されたインクは液体回収装置16により回収される。このように、キャップ6を注入口50から取り外すことなく、タンク4のインク室40が過圧状態を解消することができるので、この作業においてユーザにインクが付着しない。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は以下のように変更することができる。
例えば、上記実施形態に係る複合機10では、タンク4が注入姿勢にあるときに、注入口50は斜め上方、即ち、前方且つ上方を向いて開口しているが、注入口50の開口方向は本実施例に限定されない。例えば、図11に示すように、タンク4が注入姿勢にあるときに、注入口50が上方を向いて開口していてもよい。この場合、キャップ6が注入口50に装着されているときに、キャップ6のフランジ62の外面62bに形成されたタブ66が、フランジ62の外面62bから斜め上方、即ち、前方且つ上方に突出していることが望ましい。これにより、ユーザがタブ66を前方から摘まみやすくなる。
また、例えば、上記実施形態に係る複合機10では、キャップ6が弾性変形可能な弾性素材で構成されており、キャップ6が弾性変形することによってキャップ6が注入口50に対し着脱される。但し、キャップ6のキャップ本体部6Aが変形しにくい素材(例えば、硬質樹脂など)で構成され、注入口50を画定している壁部(即ち、注入口50を画定している筒状壁43及び傾斜壁42の一部)が弾性変形可能な弾性素材で構成され、注入口50を形成している壁部が弾性変形することによってキャップ6が注入口50に対し着脱されてもよい。
また、例えば、上記実施形態に係る複合機10では、キャップ6のキャップ本体部6Aとアーム部6Bとが一体的に成形されているが、キャップ本体部6Aとアーム部6Bとが別体として成形されてそれらが結合されたものであってもよい。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。