JP6445224B2 - ピストン - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1の前提部に係る、ガジョンピンを受けるための2つのピンボスを備えた内燃エンジン用ピストンに関する。
独国特許出願公開第1650206号明細書には、ガジョンピンを受けるためのピンボアを備えた一般的な内燃エンジン用ピストンが開示されている。ここで、ピンボスは、荷重最適化のために、ピストンの縦軸に対して横向きの楕円形状になっている。
独国特許出願公開第102012022913号明細書には、ガジョンピンを受けるためのピンボスを備えた一般的な内燃エンジン用ピストンが開示されている。ここで、ピンボスは、180°に配置された底ポケットを有する。
内燃エンジンのピストンが上死点(TDC)にある場合、ピンボスに、特に下側領域において、すなわち底領域において大きな慣性力が作用する。ここで、ピンボスの初期破壊は、内燃エンジンの全体的な故障に比較的速やかに進展するおそれがある。
これまで、当該問題は、ピンボス周りの壁厚を大きくすることで抑制されてきたが、そのことは同時に、望ましくない重量化、ひいてはより大きな慣性力をもたらす。ボス内の形状を非対称に構成することも別に考えられるが、シンプルなドリル加工と比較して複雑な製造のために、製造コストの増大につながる。
したがって、本発明は、一般的なピストンのための改善されたまたは少なくとも従来のものに代わる実施形態を提示するという問題に関する。当該実施形態は、特に、廉価な製造と併せて向上した耐荷重性能とによって特徴付けられる。
本発明によると、上記問題は、独立請求項1の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明は、ピンボスの底領域に底ポケットを設けるという基本思想に基づく。当該底ポケットは、底部におけるボス長さの一部にわたってのみ延びていて、その結果として、力の導入部をピンボス縁部からピンボスの中心の方に遠ざけることができる。ここで、内燃エンジン用の本発明に係るピストンは、ガジョンピンを受けるための2つのピンボスを備え、各ピンボスは、α=180°の位置に、すなわち底部に底ポケットを有し、当該底ポケットは、ピストン軸から、すなわち中心から外方へ延びていて、ここでは底部において(冒頭で述べたように)ピンボスの長さの一部にわたってのみ延びている。ここで、力導入点の移動の結果としてのストレス調和が生じ、当該調和によってストレスが著しく低減される。その結果、ピンボスの耐用年数が大幅に延びる。耐用年数を一定とするならば、底ポケットによってボスの壁厚を小さくすることができ、それにより大幅な軽量化を実現でき、その結果、動作中のピストンの慣性力が小さくなる。ピンボスの断面積を変えないならば、本発明に係る底ポケットによって、より大きなストレスおよびしたがってより長い耐用年数を実現できる。ピンは慣性力が作用することによって「バナナ状」に変形し、ガジョンピンの外側縁部はピン中心よりもピストンクラウンにより近く位置する。その結果、ピンボスの内側縁部において大きなストレスが生じる。底ポケットによって、当該縁部のガジョンピンとの接触が低減され、(ピンボスの長手方向から見て)力導入点が縁部からボス中心の方向に移動する。本発明によると、ピンボス軸は、ピストン軸から0.1〜1.0mmだけずれている。
本発明に係る解決策のある有利な態様では、底ポケットは、ピンボスの長さの10〜75%にわたってのみ延びている。ここで、何より重要なことは、底ポケットがピンボスの長さの全体にわたって延びておらず、特定の部分にわたってのみ延びていることであり、それにより、底ポケットが設けられた領域においてガジョンピンによる力の導入がなされなくなり得る。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、底ポケットは、0.1〜1.0mmの深さを有する。1mm以下の深さの場合、ピストンおよびこれを備えた内燃エンジンの動作中の慣性力に対して特に好ましい影響を与える軽量化を実現することができる。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、底ポケットの深さは、ピストン軸からボス外側部の方へ外方に向かうにつれて小さくなっている。結果として、特に、ストレス集中を軽減することができる。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、底ポケットは、底部の領域において30〜130°の周方向角度にわたって延びている。所望の周方向角度に応じて、これと関連した態様で次の効果を得ることができる。すなわち、周方向角度が比較的大きい場合、例えば、底ポケットを囲むボス面のフラットな立上りおよび立下りを実現でき、その結果、特に、ボス面と底ポケットとの間の移行部においてより鋭くない角度を実現できる。このタイプの鋭くない角度は、ストレス集中に対して特に有利である。
幾何学的条件(10〜75%の長さ、0.1〜1.0mmの深さ、30〜130°の周方向角度)は、底ポケットのサイズを共に規定する。上限に達する場合(大きな底ポケットの場合)、ガジョンピンの支持(Lagerung)がもはや与えられず、その結果、ノイズ問題が生じるおそれがある一方、下限に達する場合(小さな底ポケットの場合)、当該支持の有効性が失われる。最適な底ポケットは、上限と下限との間にある。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、ピンボスは、重なり合った横向き楕円形状を有する。このタイプの横向き楕円形状は、例えば、ピンボスが、頂点では円筒構成を有しかつαが約90°または270°の位置、すなわち赤道上ではオイル保持容量を伴う楕円構成を有するという事実によって特徴付けられる。ここで、赤道と頂点との間の移行部は、好ましくはエッジがなく延びているべきである。ピンボスの特別な実施形態により、力の導入部がボス頂点に移動し、その結果、ボスにおける周部ストレスが低減され、それによりボスの耐荷重性能が高まる。このタイプの横向き楕円構成により、例えば、真円ピンボスの場合に可能であるものよりも大幅に改善されたピンの潤滑をも実現できる。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、ピンボスは、周部潤滑溝を有する。このタイプの潤滑溝によると、ボスおよびピンの特に十分な潤滑が可能となり、その結果、滑らかな摺動と、それによる長い耐用年数とを実現できる。
本発明の別の重要な特徴および利点は、従属請求項から、図面から、および図面を参照した関連する図の説明から明らかになるだろう。
上述したまたは後述する特徴は、それぞれに示す組合せにおいてのみでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せにおいてまたは単独でも利用可能であることは言うまでもない。
図1は、本発明に係るピストンの断面図である。 図2は、底ポケットの領域における図1の細部図である。 図3は、ピンボスの領域における本発明に係るピストンの別の断面図であって、本発明に係る底ポケットの平面図を伴う。 図4は、本発明に係るピストンの別の断面図である。 図5は、本発明に係るピストンの断面図である。
以下、本発明の好ましい例示的な実施形態について、図示すると共により詳しく説明する。同一の参照符号は、同一のもしくは類似のまたは機能的に同一の構成要素を示す。
図1〜図5によると、内燃エンジン(図示せず)用の本発明に係るピストン1は、2つのピンボス2を備えており、そのうちの1つだけが図1〜図3および図5に示されている。内燃エンジンを組み立てる場合には、ピストン1にコネクティングロッドを固定するためのガジョンピンを当該ピンボス2が受ける。本発明によると、各ピンボス2は、α=180°(底部)に底ポケット3を有しており、当該底ポケット3は、ピストン軸4(図4および図5を参照)から外方へ延び、かつピンボス2の底部における全軸方向長さLの一部にわたって、すなわち長さL1にわたってのみ延びている。
例えば、図1〜図4について検討すると、底ポケット3は、ピンボス3の長さLの約60%の長さL1にわたって延びていることがわかる。ここで、底部において、すなわちα=180°において測定される底ポケット3の深さTは、0〜1.0mmである。深さTは、周囲のボス面5に向かって、またピストン軸4から外方に向かって減少している。ここで、底ポケット3とそれを囲むボス面5との間の移行部は、放物線状の縁部6(図1〜図4を参照)によって記述される。底部における底ポケット3の深さTが浅くなるほど、縁部6における移行角度が鋭くなくなる。
図5について検討すると、ピンボス軸7は、ピストン軸4から水平方向に、正確には好ましくは0.1〜1mmだけ、ずれていることがわかる。これにより、シリンダ内でのピストンの接触挙動が明確に規定され、その結果、音響効果に好ましい影響を与えられるという大きな利点がもたらされる。ピストン軸4に対するピンボス軸7のオフセット(軸オフセット)は、切替え時におけるピストン1の接触挙動に変化を与え、かつ横力および衝撃インパルスに明らかに影響する。ピストン軸4に対するオフセットの向きおよび大きさは、ピストン動作の計算によって最適化されてもよく、ピストン摺動ノイズやシリンダライナでのキャビテーションのリスクが、よって著しく低減され得る。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、底ポケット3は、30〜130°の周方向角度W(図5を参照)にわたって延びている。ボス面5へのピンの力導入点は、周方向角度Wの大きさによって間接的に影響され得る。なぜなら、例えば、周方向角度Wがより大きくて底ポケット3の深さTがより深くなると、当該力導入点がスナップリングの方向へ動くためである。フローティングピン取付けの場合、ガジョンピンは、スナップリングによって軸方向にのみピンボス内で保持される一方、焼嵌めの場合、ガジョンピンは、コネクティングロッドに焼嵌めされ、すなわち固定され、ピンボス内でのみ動き得る。焼嵌めの場合、したがってスナップリングは不要である。
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、ピンボス2は、対称または非対称に構成されていて、例えば、重なり合った横向き楕円形状および/または重なり合った縦向き楕円形状を有する。縦向き楕円形状の場合、力の導入部が頂点の左右外側に位置し、それによりクラウンでのストレスが低減される。
ピンボス2は、好適にはオイルポケット、特に幅狭直線状のオイルポケット(スロット)、幅広直線状のオイルポケット、または斜め幅広のオイルポケット(側部レリーフ)を有する。オイル保持容量は、このタイプのオイルポケットによって提供されてもよく、その結果、ピンボス2とガジョンピンとの間の潤滑を改善することができ、したがってピストン1の耐用年数を延ばすことができる。潤滑の改善のために、周部潤滑溝8(図4を参照)が追加的にピンボス2に設けられていてもよい。
本発明に係るピストン1および特に本発明にしたがって底領域に設けられた底ポケット3によると、特にピンボス2に大きな慣性力が作用するピストン1の上死点(TDC)において、力導入点をシフトさせることができ、それによりストレスの調和が実現され得、当該調和によってストレスが著しく低減される。そして、このタイプの大幅なストレス低減によって、本発明に係るピストン1の耐用年数が大幅に延びる。
本発明に係る底ポケット3は、通常、内側にのみ、すなわちピストン内部に向かってのみ設けられるが、底ポケット3を外側にも、特に外側に形成されたボアとして設けることも可能であるのは言うまでもない。
概して、本発明に係る底ポケット3によって、次の利点も実現され得る。
・オイル供給の改善
・小さな接触領域および改善されたオイル供給の結果としての摩擦挙動の最適化
・コスト低減および軽量化(改善された力導入の結果として壁厚をより薄くできるため)

Claims (9)

  1. ガジョンピンを受けるための2つのピンボス(2)を備えた内燃エンジン用のピストン(1)であって、
    各上記ピンボス(2)は、底部に底ポケット(3)を有し、
    上記底ポケット(3)は、上記ピストン(1)のピストン軸(4)の軸方向であって上記ピストン(1)の外方へ延び、
    上記底ポケット(3)の長さ(L1)は、上記ピンボス(2)の長さ(L)の一部のみであり、
    ピンボス軸(7)は、上記ピストン軸(4)から0.1〜1.0mmだけずれている
    ことを特徴とするピストン。
  2. 請求項1において、
    上記底ポケット(3)は、上記ピンボス(2)の長さ(L)の10〜75%にわたって延びている
    ことを特徴とするピストン。
  3. 請求項1または2において、
    上記底ポケット(3)は、0.1mm<T<1.0mmの深さを有する
    ことを特徴とするピストン。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において、
    上記底ポケット(3)の深さ(T)は、上記ピストン軸(4)の軸方向であって上記ピストン(1)の外方へ向かうにつれて浅くなっている
    ことを特徴とするピストン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において、
    上記ピンボス(2)は、対称または非対称に形成されたピンボアとして構成されている
    ことを特徴とするピストン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において、
    上記ピンボス(2)は、円形状を有し、
    上記底ポケット(3)は、上記ピンボス(2)の、上記ピストン(1)の内側からの側面視において、上記ピンボス(2)の外周のうち上記底ポケット(3)の両端を結ぶ円弧の中心角をWとして、30°<W<130°の周方向角度にわたって延びている
    ことを特徴とするピストン。
  7. 請求項1〜のいずれか1項において、
    上記ピンボス(2)は、重なり合った横向き楕円形状または縦向き楕円形状を有する
    ことを特徴とするピストン。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において、
    上記ピンボス(2)は、オイルポケットを有する
    ことを特徴とするピストン。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項において、
    上記ピンボス(2)は、周部潤滑溝(8)を有する
    ことを特徴とするピストン。
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