以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態による飲料用原料の払出し装置を適用した原料払出し装置を示している。この原料払出し装置1は、カップ式自動販売機や飲料ディスペンサなどに内蔵され、所定の袋容器に封入された飲料用の原料を、飲料の調理時に、その袋容器から払い出すためのものである。
図3(a)は、原料払出し装置1で用いられる袋容器を示している。この袋容器Bは、プラスチックフィルムなどから成り、所定の長さ及び幅を有する細長いスティック状に形成され、両端部(図3の上下端部)の封止部F、Fが圧着によって封止されている。また、この袋容器Bには、1杯分の所定の飲料(例えば、コーヒー、カフェオレ、ココア、抹茶)を調理するのに要する粉状の原料Gが所定量(例えば12g)、封入されている。同図(c)に示すように、袋容器Bを起立させた状態では、原料Gがその自重により、袋容器B内のほぼ下半部に存在する一方、袋容器B内の上部には、原料Gが無いスペース部Sが存在する。また、後述するように、袋容器Bが開封される際には、スペース部Sを横断するよう袋容器Bの所定位置Pが切断される。なお、以下の説明では、原料が封入された上記のスティック状の袋容器Bを「原料スティックB」というものとする。
図1及び図2に示すように、原料払出し装置1は、上ケース2、中ケース3及び下ケース4の3つのケースが上から順に積み重なった状態で外装及び上下方向の仕切りが形成され、台座5上に設置されている。この台座5は、所定形状の金属板を折曲げ加工することなどにより、所定高さを有しかつ下方に開放するコ字状に形成されている。また、台座5には、前後の垂直な側板6、7に、矩形状の開口6a、7aがそれぞれ形成されるとともに、天板8に所定形状の開口8aが形成されている。
上ケース2には、中央に原料スティックBの投入口11が形成されるとともに、その後ろ側に、後述する開封スライダ22を駆動するための駆動ボックス12が設置されている。投入口11は、上ケース2を上下方向に貫通しており、平面形状が原料スティックBの横断面よりも一回り大きくかつ前後方向に縦長に形成されている。
また、駆動ボックス12についての詳細な図示は省略するが、この駆動ボックス12には、モータと、その動力を伝達するための複数のギヤが内蔵され、加えて、鉛直軸線を中心として回転し、開封スライダ22に係合する駆動カム13(図5参照)が設けられている。原料スティックBの開封時に、上記モータが作動することにより、駆動カム13が1回転するようになっている。
中ケース3は底面が開放するボックス状に、下ケース4は上面が開放するボックス状に形成されている。中ケース3の天板21には、その前半部中央に、前記上ケース2の投入口11に合致する開口21aが形成されている。一方、下ケース4の底板には、前記台座5の天板8の開口8aとほぼ同様の形状及びサイズの開口が形成されている。また、中ケース3の天板21上には、開封スライダ22が左右方向にスライド自在に設けられている。
図4及び図5に示すように、開封スライダ22は、スライダ本体23と、このスライダ本体23上でスライド自在に設けられ、原料スティックBの開封時に、その上端部を押さえるための押圧スライダ24と、この押圧スライダ24を所定方向に付勢する2つの圧縮ばね25、25と、スライダ本体23に取り付けられ、原料スティックBの上端部を切断するための切断刃26とを備えている。
スライダ本体23は、平面形状がほぼ正方形に形成され、前記駆動カム13に係合するカム係合部27と、このカム係合部27の前面左半部から前方に延びるように形成され、押圧スライダ24を、載置した状態で左右方向にスライド自在に支持する押圧スライダ支持部28とを有している。カム係合部27には、上方に開放しかつ前後方向に所定長さ延びる係合溝27aが形成されており、この係合溝27aに、前記駆動カム13の係合凸部13aが摺動自在に係合している。
一方、押圧スライダ支持部28には、その左側壁28aに、各圧縮ばね25の一端部が係止され、左側壁28aの下部に、押圧スライダ24の後端部が貫通した状態で係合する開口28bが形成されている。また、押圧スライダ支持部28の右端部には、切断刃26がねじ止めされている。この切断刃26は、スライダ本体23のスライド方向である左右方向に対して、刃26aが所定角度で傾斜するように、具体的には、刃26aの後ろ側ほど右方に突出するように、押圧スライダ支持部28に取り付けられている。
押圧スライダ24は、その右端部に、所定の厚さを有しかつ原料スティックBの横幅よりも若干長く形成された押圧部24aを有している。また、押圧スライダ24の押圧部24aの上側には、各圧縮ばね25の一端部を係止する右側壁24bが設けられている。さらに、押圧スライダ24の左端部には、押圧スライダ支持部28の開口28bを貫通し、その開口28bの下縁部に係合することによって、押圧スライダ24のそれ以上の右方へのスライドを阻止するストッパ24cが設けられている。
このように構成された開封スライダ22では、駆動ボックス12内のモータの作動によって、駆動カム13が1回転することにより、スライダ本体23が、図5(a)及び(b)に示す待機位置と、同図(c)及び(d)に示す切断位置との間で、左右方向に1往復するようにスライドする。なお、同図(a)に示すように、スライダ本体23が待機位置に位置するときには、切断刃26の大部分が、押圧スライダ24で覆われた状態になる。
また、スライダ本体23が切断位置に向かって右方に移動すると、その途中で、押圧スライダ24は、押圧部24aを介して、上ケース2の投入口11の右側壁11aの下端部に、原料スティックBの上端部を押し付けた状態で当接し、それ以上の移動が阻止される。(図14(b)参照)その後、スライダ本体23がさらに右方に移動すると、両圧縮ばね25、25によって、押圧スライダ24が投入口11の右側壁11aにさらに強く付勢されることで、押圧スライダ24の押圧部24aと、投入口11の右側壁11aとの間に、原料スティックBの上端部、より具体的には、所定位置Pよりも若干上側の部位が、強固に挟持される。そして、スライダ本体23のさらなる右方への移動に伴い、これに固定された切断刃26が、押圧スライダ24の押圧部24aよりも右方に移動しながら、原料スティックBの上端部の所定位置Pを切断する。これにより、原料スティックBは、開封され、その上端部の切れ端Beが完全に分離される(図14(c)参照)。
次に、図6、7及び8を参照しながら、中ケース3と下ケース4内に収容され、原料スティックBを上下反転するための上下反転装置31について説明する。
この上下反転装置31は、上方に開放し、原料スティックBを収容するボックス状の収容ホルダ32と、この収容ホルダ32を、その上下方向及び左右方向の中央付近を通って前後方向に延びる水平軸線を中心として、回転駆動する収容ホルダ駆動機構33と、収容ホルダ32の後述する右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60の回転を規制するためのトルクリミッタ機構34とを備えている。
図7及び図8(b)に示すように、収容ホルダ32は、上記水平軸線と同心の後述する支軸33a、34aを中心とするように配置され、収容ホルダ32の右下半部及び底部を構成する右下ホルダ部40と、右上半部を構成する右上ホルダ部50と、左下半部を構成する左下ホルダ部60と、左上半部を構成する左上ホルダ部70と、この左上ホルダ部70を駆動するための駆動フラッパ80とを備えている。これらのホルダ部40、50、60、70及び駆動フラッパ80はいずれも、プラスチックの成形品で構成されている。また、図8(b)に示すように、待機状態における収容ホルダ32では、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60が互いに左右方向に所定間隔を隔ててほぼ平行に対向し、それらの上側に配置された右上ホルダ部50と左上ホルダ部70も、互いに左右方向に所定間隔を隔ててほぼ平行に対向する。
図7に示すように、右下ホルダ部40は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁41と、その下端部から直角に屈曲して左方に所定長さ延びる底壁42と、本体壁41の前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して左方に所定長さ延びる前壁43及び後壁44で構成されている。本体壁41の下端部には、対向する左下ホルダ部60側に突出する複数の凸部41a(図8(b)参照)が設けられている。また、底壁42の左端部には、左下ホルダ部60を下方から回り込み、直角に屈曲して上方に突出するストッパ42a(図8(b)参照)が設けられている。さらに、前壁43の上端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが係合しかつその支軸34aに相対的に回転可能な係合凹部43aが形成されている。一方、後壁44の上端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通しかつその支軸33aと一体に回転可能な軸孔44aが形成されている。加えて、後壁44には、軸孔44aの直ぐ下側に、収容ホルダ駆動機構33の後述する駆動軸93に係合する係合凸部44bが設けられている。
右上ホルダ部50は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁51と、その前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して左方に所定長さ延びる前壁52及び後壁53で構成されている。本体壁51の内面上端部には、原料スティックBを挟持する際に滑りを防止するための滑り防止プレート54が取り付けられている。また、本体壁51の前端上部には、後述する前開口アーム111を駆動するためのアーム駆動部55が設けられている。さらに、前壁52の下端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔52aが形成されるとともに、その軸孔52aの上側に、上下方向に所定長さ延びかつ前方に突出し、後述する前トルクリミッタ101に連結部材103を介して係合する係合リブ52bが設けられている。また、後壁53の下端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通する軸孔53a(図8(a)参照)が形成されている。
また、図7に示すように、左下ホルダ部60は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁61と、その前端部及び後端部からそれぞれ直角に屈曲して右方に所定長さ延びる前壁62及び後壁63で構成されている。本体壁61の内面下端部には、前記右上ホルダ部50の滑り防止プレート54と同様の滑り防止プレート64が取り付けられている。前壁62の上端部には、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔62aが形成されている。また、前壁62の前面には、軸孔62aの外側に、トルクリミッタ機構34の後述する後トルクリミッタ102に嵌合した状態で係合するトルクリミッタ係合部62bが設けられている。さらに、後壁63の上端部には、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが係合しかつその支軸33aに相対的に回転可能な係合凹部63a(図8(a)参照)が形成されている。
左上ホルダ部70は、その本体を構成しかつ正面形状が横長矩形状の本体壁71と、その上端部から直角に屈曲して左方に所定長さ延びる上壁72と、本体壁71の上半部及び上壁72に連なる前壁73及び後壁74で構成されている。本体壁71の下端部には、前方及び後方にそれぞれ突出し、駆動フラッパ80に回動自在に係合する前後2つの係合凸部71a、71aが設けられている。また、上壁72には、前端部及び後端部にそれぞれ、上方に突出し、収容ホルダ32が上下反転した際に、下ケース4の底板に形成された後述するストッパ4bにそれぞれ当接する当接凸部72a、72aが設けられている。さらに、前壁73及び後壁74には、駆動フラッパ80の後述する前壁82及び後壁83に係合する係合凸部73a、74aが設けられている。また、前壁73及び後壁74の本体壁71と反対側の端部(図7の左端部)にはそれぞれ、後述する引張りコイルばね86、87の一端部を係止するばね係止部73b、74bが設けられている。
駆動フラッパ80は、左上ホルダ部70の本体壁71の背面側(図7の左方)に斜めに配置され、横長矩形状の本体壁81と、この本体壁81の前端部及び後端部から直角に屈曲して連なる前壁82及び後壁83で構成されている。本体壁81の下端部には、左上ホルダ部70の本体壁71の下端を下回るように突出する下壁81aが設けられている。また、前壁82には、その下端部に、トルクリミッタ機構34の支軸34aが貫通する軸孔82aが形成されるとともに、その軸孔82aの左斜め上方に、左上ホルダ部70の下端前部の係合凸部71aを回動自在に支持する支持孔82bが形成されている。加えて、前壁82の上部には、引張りコイルばね86の一端部を係止するばね係止部82cが設けられている。
一方、後壁83には、その下端部に、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが貫通しかつその支軸33aと一体に回転可能な軸孔83aが形成されるとともに、その軸孔83aの左斜め上方に、左上ホルダ部70の下端後部の係合凸部71aを回動自在に支持する支持孔83bが形成されている。また、後壁83の上部には、引張りコイルばね87の一端部を係止するばね係止部83cが設けられている。さらに、後壁83には、右方に延びかつ右上ホルダ部50の本体壁51の背面(右面)に回り込むように形成されたストッパ83dが設けられている。また、後壁83には、軸孔83aの上方に、収容ホルダ駆動機構33の後述する駆動軸93に係合する係合凸部83eが設けられている。
上記の左上ホルダ部70と駆動フラッパ80では、前側のばね係止部73b、82c間、後側のばね係止部74b、83c間にそれぞれ、2つの引張りコイルばね86、87が設けられている。したがって、これらのばね86、87により、左上ホルダ部70は、下端部の係合凸部71aを中心として、対向する右上ホルダ部50側に付勢されている。
また、以上のように構成された収容ホルダ32では、図7及び図8(a)に示すように、左下ホルダ部60、右上ホルダ部50、駆動フラッパ80及び右下ホルダ部40のそれぞれの前壁62、52、82及び43が、前側から後ろ側に向かって順に重なるとともに、互いに合致する各前壁の軸孔62a、52a及び82a、並びに係合凹部43aに、トルクリミッタ機構34の支軸34aが挿通されている。
加えて、右下ホルダ部40、駆動フラッパ80、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60のそれぞれの後壁44、83、53及び63が、後ろ側から前側に向かって順に重なるとともに、互いに合致する各後壁の軸孔44a、83a及び53a、並びに係合凹部63aに、収容ホルダ駆動機構33の支軸33aが挿通されている。
図6〜図8に示すように、収容ホルダ駆動機構33は、モータ91と、その動力を伝達するギヤボックス92と、水平に延び、ギヤボックス92の出力軸(図示せず)に連結された駆動軸93と、この駆動軸93に同心に挿入された状態で取り付けられ、前端部が収容ホルダ32の後ろ側の軸孔44a、83a及び53a、並びに係合凹部63aに挿通された前記支軸33aなどで構成されている。
駆動軸93は、プラスチックの成形品で構成されており、所定の径及び長さを有する軸本体94と、その後端に連なり、軸本体94よりも大きい径を有する拡径部95と、軸本体94の前端部に設けられ、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80にそれぞれ係合する2つの係合凹部96、97を有している。軸本体94には、前方に開放し、断面D字状の挿入穴94aが形成されており、この挿入穴94aに支軸33aが挿入されている。したがって、駆動軸93が回転することにより、これと一体に支軸33aも回転する。
拡径部95には、後方に開放し、ギヤボックス92の出力軸に嵌合する嵌合凹部95aが形成されている。また、拡径部95の外周面の所定位置には、駆動軸93の回転角度位置を検出するための2つの検出凸部95b、95bが設けられている。これらの検出凸部95b、95bが、拡径部95付近の上側及び右側にそれぞれ配置されたマイクロスイッチ98、98をON/OFFすることによって、駆動軸93の回転角度位置が検出される。
また、軸本体94の前端部の係合凹部96及び97は、右下ホルダ部40の係合凸部44b及び駆動フラッパ80の係合凸部83eにそれぞれ、駆動軸93の回転方向に不動な状態で係合している。したがって、駆動軸93が回転すると、それに伴い、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80は、所定の相対角度を維持したまま、駆動軸93と一体に回転する。
図6〜図8に示すように、トルクリミッタ機構34は、前記支軸34aと、これに挿通された状態で取り付けられた前後2つのトルクリミッタ(以下、それぞれを適宜、「前トルクリミッタ101」及び「後トルクリミッタ102」という)と、前トルクリミッタ101に連結された円筒状の連結部材103などで構成されている。支軸34aは、その前端部において、直交する固定ピン104を介して、下ケース4に固定されている(図2参照)。つまり、支軸34aは回転不能になっている。
また、前後のトルクリミッタ101、102についての詳細な図示は省略するが、これらはいずれも、支軸34aと一体に回転する内輪と、その外側のハウジングと、これらの内輪とハウジングの間に介在し、所定の摩擦力を生じさせるための摩擦機構とを有している。このようなトルクリミッタ101、102では、支軸34aに不動に支持された内輪に対し、所定の大きさ未満のトルクがハウジングに作用しても、そのハウジングは内輪と同様に不動である一方、所定の大きさ以上のトルクがハウジングに作用すると、そのハウジングはスリップし、回転可能になる。このように、両トルクリミッタ101、102ではいずれも、所定の大きさ以上のトルクが作用しない限り、ハウジングが不動に保持される。
前トルクリミッタ101は、ハウジングが連結部材103に連結され、その連結部材103が右上ホルダ部50の係合リブ52bに係合している。つまり、前トルクリミッタ101のハウジングは、連結部材103を介して、右上ホルダ部50に連結されている。一方、後トルクリミッタ102は、連結部材103の内側に収容された状態で配置され、ハウジングが、トルクリミッタ係合部62bにおいて左下ホルダ部60に連結されている。
以上のように、前後のトルクリミッタ101及び102がそれぞれ連結された右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、所定の大きさ以上のトルクが作用したときには、そのトルクが作用する方向に回動する一方、それ以外のときには、そのときの位置に維持される。
なお、前記開封スライダ22を駆動する駆動ボックス12内のモータ、及び上下反転装置31における収容ホルダ駆動機構33のモータ91は、図示しないマイクロコンピュータを有する制御装置によって制御される。
図9は、開封された原料スティックBを上下反転させた際に、その開封された部分である開封部を強制的に開口させる開口装置110を示している。この開口装置110は、下ケース4の底板上にかつ収容ホルダ32の下方に配置されており(図6参照)、開閉自在に設けられた前後2つの開口アーム(以下、それぞれ適宜「前開口アーム111」及び「後開口アーム112」という)と、両開口アーム111、112を閉鎖する方向に付勢するねじりばね113で構成されている。両開口アーム111、112はいずれも、平面形状がほぼ横長矩形状に形成され、その左端部に、下ケース4の底板に立設された支軸4a、4aが下方から挿通されている。これにより、両開口アーム111、112は、対応する支軸4aを支点として、回動可能に支持されている。また、前後の開口アーム111、112には、両支軸4a、4aの間に、互いに左右方向に重なった状態で当接する当接部111a、112aが設けられている。
さらに、前開口アーム111の右前端部には、収容ホルダ32が上下反転した際に右上ホルダ部50のアーム駆動部55が当接することにで、両開口アーム111、112を開放させる開放用凸部111bが設けられている。また、前記ねじりばね113は、後開口アーム112の支軸4aに取り付けられており、この後開口アーム112を時計方向に付勢している。
以上のように構成された開口装置110は、待機状態では、図10(a)に示すように、両開口アーム111、112の右側部分が、互いに所定間隔を隔てて、左右方向に平行に延びる閉鎖状態になる。一方、収容ホルダ32の上下反転の際には、図10(b)に示すように、右上ホルダ部50のアーム駆動部55が、前開口アーム111の開放用凸部111bに当接することにより、前開口アーム111を図10の時計方向に回動させる。これに伴い、前開口アーム111の当接部111aが、後開口アーム112の当接部112aを、ねじりばね113の付勢力に抗して右方に押圧することにより、後開口アーム112が反時計方向に回動する。その結果、両開口アーム111、112の右側部分は、右方に向かって間隔が次第に大きくなる開放状態になる。
また、図2及び図6に示すように、下ケース4内には、収容ホルダ32の右方の所定位置に、上端部が開封された原料スティックBを上下反転させる際に、その原料スティックBの開封部を案内するためのガイド部材120(折曲げガイド部)が設けられている。このガイド部材120は、収容ホルダ32を上下反転する際の回転軸線から所定距離、離れた円弧状のガイド面120aを有している。また、上記の所定距離は、開封された原料スティックBが上下反転される際に、その開封側の端部が折れ曲がるような所定長さに設定されている。
次に、図11〜図15を参照しながら、原料払出し装置1による原料スティックBからの原料Gの払出し動作について説明する。なお、原料払出し装置1の待機状態では、前述した図6及び図8に示すように、上下反転装置31の収容ホルダ32は、上ケース2の投入口11の真下において、上方に開放した状態に保持されている。また、以下の説明では、原料払出し装置の1の各部品の回転方向については、原料払出し装置1をその前方から見たときの状態で説明するものとする。
まず、原料払出し装置1の上方から投入口11に原料スティックBが投入されると、その原料スティックBは、原料払出し装置1内に落下し、図11(a)に示すように、上下方向に沿って延びる起立姿勢に保持された状態で収容ホルダ32に収容される。
次いで、駆動ボックス12内のモータが作動し、待機位置に位置する駆動カム13が半回転する。これにより、開封スライダ22が右方に移動し、以下のようにして、原料スティックBの上端部の所定位置Pを切断し、開封する。
図14は、開封スライダ22による原料スティックBの開封動作を順に示している。開封スライダ22が、同図(a)に示す待機位置から右方に移動すると、まず、同図(b)に示すように、押圧スライダ24の押圧部24aが、原料スティックBの上側の封止部付近を、投入口11の右側壁11aの下端部に押し付けた状態で、これに当接する。この場合、開封スライダ22のうち、スライダ本体23のみがさらに右方への移動が可能である一方、押圧スライダ24は、それ以上の移動が阻止される。
この状態において、開封スライダ22のスライダ本体23がさらに右方へ移動すると、押圧スライダ24は、両圧縮ばね25、25によって、右方により強く付勢され、それにより、投入口11の右側壁11aとの間で、原料スティックBの上端部を強固に挟持する。そして、図14(c)に示すように、開封スライダ22のスライダ本体23が右方の切断位置へさらに移動することにより、これと一体の切断刃26が原料スティックBの所定位置Pを切断する。これにより、原料スティックBの上端部が開封される。なお、原料スティックBから切り離された切れ端Beは、開封スライダ22が左方の待機位置に戻るまでは、投入口11の右側壁11aと開封スライダ22の押圧スライダ24とで挟まれた状態のまま、投入口11内に保持される。
以上のようにして原料スティックBを開封した後、収容ホルダ駆動機構33のモータ91が作動し、駆動軸93が時計方向に約200度回転する。これに伴い、収容ホルダ32も、駆動軸93(支軸33a、34a)を中心として、これと一体に同じ角度、回転し、それにより、上端部が開封された原料スティックBを上下反転することにより、その原料スティックBから原料Gを下方に払い出す(図12(b)参照)。
ここで、収容ホルダ32が回転する際の各ホルダ部40、50、60及び70、並びに駆動フラッパ80の動作について、具体的に説明する。まず、図11(a)に示す待機位置から、駆動軸93が約20度、時計方向に回転すると、同図(b)に示すように、駆動軸93と一体に右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も、時計方向に約20度回転する。またこの場合、駆動フラッパ80の回転に伴い、この駆動フラッパ80に両張りコイルばね86、87を介して連結されている左上ホルダ部70も、時計方向に約20度回転する。
ただしこの場合、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、待機位置のまま保持される。これは、前述したように、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60が、トルクリミッタ機構34の前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102にそれぞれ連結されており、駆動軸93が待機位置から約20度回転するまでに右上ホルダ部50及び左上ホルダ部60に作用するトルクがそれ程大きくないからである。
したがって、駆動軸93が待機位置から時計方向に約20度回転すると、左上ホルダ部70の本体壁71の上端部が右上ホルダ部50の本体壁51の上端部に当接し、これにより、原料スティックBの上端部が左上ホルダ部70と右上ホルダ部50とで挟持される。加えて、右下ホルダ部40の本体壁41の凸部41aが左下ホルダ部60の本体壁61の下端部に当接し、これにより、原料スティックBの下端部、具体的には、原料スティックBの下側の封止部Fが右下ホルダ部40と左下ホルダ部60とで挟持される。
上記の状態から、駆動軸93が時計方向にさらに回転すると、収容ホルダ32は、原料スティックBの上下端部を挟持した状態のまま、駆動軸93と一体に時計方向に回転する。この場合、前後のトルクリミッタ101、102にそれぞれ連結された右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、駆動軸93と一体に回転する左上ホルダ部70及び右下ホルダ部40によってそれぞれ、所定の大きさ以上のトルクで押圧される。このため、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、左上ホルダ部70、駆動フラッパ80及び右下ホルダ部40とともに、時計方向に回転する。
また、収容ホルダ32が上記のように回転する途中において、その収容ホルダ32に収容・挟持された原料スティックBは、図11(c)に示すように、上端部が下ケース4内のガイド部材120によって案内される。より具体的には、収容ホルダ32が待機位置から時計方向に約90〜150度回転する角度範囲(所定の角度範囲)において案内される。そしてこの場合、同図に示すように、原料スティックBの上端部、すなわち開封側の端部は、ガイド部材120のガイド面120aに摺接することによって折れ曲がった状態で案内される。これにより、原料スティックBの上下反転の際に、その原料スティックBの開封部から原料Gが飛び散るのを防止することができる。
図12(a)は、駆動軸93が待機位置から時計方向に約180度回転し、それに伴い、収容ホルダ32も待機位置から時計方向に約180度回転した状態を示している。この場合、同図に示すように、左上ホルダ部70の前後の当接凸部72a、72aが、下ケース4の前後のストッパ4b、4b(同図では1つのみ図示)にそれぞれ当接する。これにより、左上ホルダ部70は、駆動軸93が上記の状態から時計方向にさらに回転しても、それ以上の回転が阻止される。
この状態から、駆動軸93が時計方向にさらに約20度回転すると、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も時計方向に約20度回転する。左下ホルダ部60は、右下ホルダ部40に押圧されながら、これと一体に回転するので、原料スティックBの封止部Fは、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60で挟持された状態に保たれる。一方、右下ホルダ50は、駆動フラッパ80に、その前壁82や後壁83を介して押圧されながら、これと一体に回転する。
これにより、図12(b)に示すように、右上ホルダ部50が左上ホルダ部70から離れ、これらのホルダ部50及び70による、原料スティックBの開封側の端部の挟持が解除される。その結果、原料スティックB内の原料Gが自重で下方に払い出され、下方のカップCなどに供給される。なお、このカップCは、図示しないカップ搬送装置などによって、台座5の内側の所定位置にあらかじめ搬送され、原料Gの供給終了後、湯が供給される湯供給位置に搬送される。
また、収容ホルダ32が、上述した図12(a)及び(b)に示すように回転する際には、収容ホルダ32の下方に配置された開口装置110によって、原料スティックBの開封側の端部が強制的に開口される。
図15は、開口装置110による原料スティックBの開口動作を順に示している。同図(a)は、収容ホルダ32が待機位置から約180度回転し、右上ホルダ部50が開口装置110に接近した状態を示している。この場合、原料スティックBの開封側の端部は、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70とで挟持されるとともに、前記ガイド部材120による折り曲げられた状態の案内によって、内面が密着し、閉口した状態になることがある。なおこの場合、図15(a)に示すように、開口装置110の前開口アーム111と後開口アーム112の右端部間の距離Wは、原料スティックBの閉口した状態における開封側の端部の横幅(同図の上下方向の長さ)Bwよりも小さくなっている。
上記の状態から、収容ホルダ32の時計方向へのさらなる回転に伴い、右上ホルダ部50が左方に移動すると、図15(b)に示すように、右上ホルダ部50のアーム駆動部55が前開口アーム111の開放用凸部111bに当接し、これを前方(図15の下方)に押圧する。これにより、前開口アーム111は、左方の対応する支軸4aを支点として時計方向に回動する。またこの場合、前開口アーム111の当接部111aが、後開口アーム112の当接部112aを、ねじりばね113の付勢力に抗して、右方に押圧する。これにより、後開口アーム112は、対応する支軸4aを支点として反時計方向に回動する。その結果、前開口アーム111及び後開口アーム112は、右端部間の距離Wが原料スティックBの上記横幅Bwよりも大きくなるように開放する。これにより、原料スティックBの開封側の端部が閉口することで、その横幅が広がっていても、原料スティックBの開封側の端部は、前開口アーム111と後開口アーム112の右端部間に、そのままの状態で移動する。
そして、上記の状態から、収容ホルダ32の時計方向へのさらなる回転に伴い、右上ホルダ部50がさらに左方に移動すると、図15(c)に示すように、アーム駆動部55が前開口アーム11の開放用凸部111bから外れる。これにより、開放していた前開口アーム111及び後開口アーム112は、ねじりばね113の付勢力により、開放時と逆方向に回動し、元の待機位置に戻る。この場合、原料スティックBの開封側の端部が、その横幅方向の両側から、両開口アーム111、112で押圧される。これにより、原料スティックBの開封側の端部は、閉口していたとしても、強制的に開口される。その結果、原料スティックB内の原料は、開口した開封部から円滑に払い出される。
以上のようにして、原料スティックBから全ての原料Gが払い出されるとともに、その原料Gが供給されたカップCが、台座5の内側から他の場所(例えば湯供給位置)に搬送された後、以下のようにして、収容ホルダ32から空の原料スティックBを廃棄するとともに、その収容ホルダ32を元の待機位置に戻す。
具体的にはまず、図12(b)に示す状態において、収容ホルダ駆動機構33のモータ91が、上述した収容ホルダ32の上下反転時と逆方向に回転することにより、収容ホルダ32を反時計方向に回転させる。
図12(c)は、同図(b)に示す状態において、駆動軸93が反時計方向に約20度回転した状態を示している。この場合、駆動軸93の回転に伴い、これと一体に右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80も、反時計方向に約20度回転する一方、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60は、前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102の作用により、不動の状態に維持される。これにより、右下ホルダ部40と左下ホルダ部60の本体壁41、61による原料スティックBの挟持が解除される。その結果、原料Gが払い出された後の空の原料スティックBは、自重で落下し、収容ホルダ32の下方に廃棄される。
その後、駆動軸93が、反時計方向にさらに約200度回転することにより、収容ホルダ32も、図12(c)に示す状態から図13(a)に示す状態に、反時計方向に約200度回転する。この場合、収容ホルダ32の右下ホルダ部40、左上ホルダ部70及び駆動フラッパ80は、駆動軸93と一体に回転する。一方、左下ホルダ部60は、右下ホルダ部40のストッパ42aによる係合により、また、右上ホルダ部50は、駆動フラッパ80のストッパ83dによる係合により、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80と一体に回転する。
この状態において、原料スティックBを開封するための開封スライダ22を駆動する駆動ボックス12のモータが再度作動し、待機位置から半回転していた駆動カム13が再度半回転して、待機位置に戻る。これに伴い、開封スライダ22は、図14(c)に示す状態から、同図(a)に示す待機位置に戻る。またこの場合、投入口11内に保持されていた、原料スティックBの切れ端Beは、図13(a)に示す収容ホルダ32の右側面(右上ホルダ部50及び右下ホルダ部40の本体壁51、41の外側の側面)上に自重で落下し、それに案内されながら、すでに廃棄された空の原料スティックBと同様、下方に廃棄される。
このようにして、切れ端Beを廃棄した後、駆動軸93を時計方向に約40度回転させる。これにより、図13(b)に示すように、収容ホルダ32の右下ホルダ部40、左上ホルダ部70及び駆動フラッパ80は、駆動軸93と一体に、時計方向に約40度回転する。
一方、左下ホルダ部60及び右上ホルダ部50は、右下ホルダ部40及び駆動フラッパ80が時計方向に20度回転するまでは、前トルクリミッタ101及び後トルクリミッタ102の作用により、不動の状態に維持される。そして、右下ホルダ部40及び左上ホルダ部70が時計方向にさらに20度回転することにより、これらのホルダ部40及び70で、左下ホルダ部60及び右上ホルダ部50が押圧され、図13(a)に示す状態から同図(b)に示す状態、すなわち、右上ホルダ部50及び左下ホルダ部60の本体壁51及び61がほぼ鉛直な姿勢になる。
その後、駆動軸93を反時計方向に約20度回転させる。これにより、図13(c)に示すように、右下ホルダ部40及び左上ホルダ部70は、駆動軸93と一体に、反時計方向に約20回転し、待機位置に戻る。
以上詳述したように、本実施形態の原料払出し装置1によれば、投入口11から投入された原料スティックBは、収容ホルダ32に収容されることによって起立姿勢に保持され、開封の際に、上部のスペース部Sが開封スライダ22の切断刃26で切断されるので、その切断刃26に原料Gが付着するのを防止することができる。これにより、原料の付着によるカッターの切れ具合の低下が生じる従来と異なり、長期間にわたって、切断刃26の良好な切れ具合を確保することができ、それにより、原料スティックBから原料Gを安定して払い出すことができる。
また、上端部が開封された原料スティックBを上下反転する際に、そのスペース部Sを、右上ホルダ部50と左上ホルダ部70で挟持しているので、その反転中に、原料Gが原料スティックBから漏れ出るのを抑制することができる。加えて、開封された原料スティックBの上下反転の際に、開封側の端部がガイド部材120によって、折れ曲がった状態で案内されるので、反転中における原料スティックBの開封部からの原料Gの飛び散りを防止することができる。
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、原料スティックBの上下反転中に、その開封部を案内するガイド部材120を下ケース4内に設置し、開封部が原料スティックBの真横から下側に移動するときの角度範囲において、開封部を案内するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ガイド部材120と同様のガイド部材を中ケース2内に設置し、原料スティックBの上下反転の開始直後から、開封部を案内することも可能である。
また、実施形態で示した原料払出し装置1やガイド部材120の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。