JP6443095B2 - 赤外線応力測定方法および赤外線応力測定装置 - Google Patents

赤外線応力測定方法および赤外線応力測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、試験体に荷重を繰り返し負荷したときの微小な温度変化を測定して応力分布を測定する、赤外線応力測定方法および赤外線応力測定装置に関する。特に、荷重を負荷したときの試験体の高精度位置補正に関する。
物体に圧縮および引張荷重を繰り返し加えると、発熱および吸熱作用が現れる。この発熱および吸熱を比較的短い周期で繰り返すと、周囲への熱の拡散、あるいは周囲から熱の流入が断たれた断熱状態で表面温度が変化する。温度変化量と応力変化量との間に比例関係があるので、これを利用して応力分布を測定する赤外線応力測定装置が、特許文献1に開示されている。
この赤外線応力測定装置では、一定周期で繰り返す荷重を負荷しながら、赤外線カメラを用いて試験体を撮影している。赤外線カメラは、2次元平面に配置された複数のピクセルで構成される撮像素子上に、試験体を赤外線画像として撮影している。荷重を負荷したときの赤外線画像と荷重を除いたときの赤外線画像とを重ねて、ピクセルごとに温度変化量を測定することによって、試験体の応力分布を測定している。
試験装置の剛性が十分に高くないときには、荷重を負荷することによって試験体自体が動くので、負荷前後の赤外線画像を重ねるために画像処理(位置補正)が行われる。この位置補正の方法としては、たとえば、応力測定をする前にあらかじめ黒体塗装をしたマーカを試験体の表面に張り付けておき、そのマーカを含む赤外線画像を撮影する方法が用いられる。この位置補正の方法では、荷重を負荷する前後でマーカが動かないように画像処理をして、赤外線画像の重ね合わせを行っている。他の位置補正の方法として、特許文献2では、デジタル画像相関法を用いた画像処理方法が開示されている。
特開平10−274570号公報 特開2007−205875号公報
上述したような従来の赤外線応力測定方法における位置補正では、荷重を負荷する前後で試験体の位置を合わせることを目的としていた。これは、従来の赤外線応力測定の測定対象が鉄などの縦弾性係数が大きい材質で作成されていたため、試験体自体の伸びは小さく、負荷前後での位置補正をするだけで負荷前後の赤外線画像をほぼ重ね合わせることが出来るので、応力測定値において大きな誤差を生じていなかったからである。
しかし、本来、試験体は、荷重が負荷されることによって、その位置が変位するだけでなく試験体自体が伸縮している。このため、位置補正をしただけでは、荷重を負荷する前後で撮影した赤外線画像を完全に重ね合わせることが出来ない。特に、試験体が、縦弾性係数の小さい材質で製作されているときには、荷重を負荷することによる伸びが大きいので、従来の位置補正だけでは、荷重を負荷する前後の赤外線画像のずれが大きくなる。この結果、試験体の同一部位において温度変化を測定できないので、応力の測定精度が低下する原因となっていた。さらに、応力集中が生じている領域では、測定位置が少し変わっただけで応力値が大きく変化するので、負荷前後の赤外線画像をさらに正確に重ね合わせることが要求される。
本発明の目的は、荷重が負荷されたときに発生する応力を、赤外線カメラによって撮影した赤外線画像に基づいて測定するときに、試験体が縦弾性係数の小さい材料でできた物であっても、試験体の変形量を考慮して正確な応力を求めることである。
本発明の赤外線応力測定方法の実施形態は、試験体に表面温度を測定するマーカを付与する付与工程と、前記試験体に一定周期で大きさが変動する荷重を負荷する負荷工程と、前記負荷工程で、試験体に荷重が負荷されていない無負荷状態で、2次元平面に配置された複数のピクセルからなる撮像素子を有する赤外線カメラを使用して、前記マーカを無負荷時赤外線画像として撮影する無負荷時撮影工程と、前記負荷工程で、試験体に荷重が負荷されている有負荷状態で、前記赤外線カメラを使用して、前記マーカの位置がピクセルPaからピクセルPbにずれた状態で前記マーカを有負荷時赤外線画像として撮影する有負荷時撮影工程と、前記無負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさ、および前記有負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさから、伸び率γを設定する伸び率設定工程と、下記式1によって、
T=(Tb+(γ−1)Tc)/γ・・・式1
ただし、Tb:有負荷時の前記ピクセルPbの表面温度
Tc:有負荷時の前記ピクセルPbと隣接するピクセルPcの表面温度
補正表面温度Tを算出する補正温度算出工程と、前記無負荷時撮影工程で撮影された前記ピクセルPaの表面温度Tiと、前記補正温度算出工程で算出された前記補正表面温度Tとの差である温度差ΔTを測定する温度差測定工程と、前記温度差ΔTに基づいて前記試験体の応力を演算する応力演算工程と、を有している。
本発明の赤外線応力測定装置の実施形態は、2次元平面に配置された複数のピクセルからなる撮像素子を有し、試験体の表面温度を赤外線画像として撮影する赤外線カメラと、前記赤外線画像に基づいて前記試験体の応力を演算する画像信号処理部と、前記画像信号処理部で演算した応力を表示する画像表示部と、を有する赤外線応力測定装置であって、前記赤外線カメラは、前記試験体に荷重が負荷されていない無負荷状態で前記試験体の表面に付与したマーカを無負荷時赤外線画像として撮影するとともに、前記試験体に荷重が負荷されている有負荷状態で前記マーカの位置がピクセルPaからピクセルPbにずれた状態で前記マーカを有負荷時赤外線画像として撮影し、前記画像信号処理部は、前記無負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさ、および前記有負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさから、伸び率γを設定する伸び率設定工程と、下記式1によって、
T=(Tb+(γ−1)Tc)/γ・・・式1
ただし、Tb:有負荷時のピクセルPbの表面温度
Tc:有負荷時のピクセルPbと隣接するピクセルPcの表面温度
補正表面温度Tを算出する補正温度算出工程と、前記無負荷時赤外線画像の前記ピクセルPaの表面温度Tiと、前記補正温度算出工程で算出された前記補正表面温度Tとの差である温度差ΔTを測定する温度差測定工程と、前記温度差ΔTに基づいて前記試験体の応力を演算する応力演算工程と、を順に行う演算機能を有している。
本発明によると、荷重が負荷されたときに発生する応力を、赤外線カメラによって撮影した赤外線画像に基づいて測定するときに、試験体が縦弾性係数の小さい材料でできた物であっても、試験体の変形量を考慮して正確な応力を求めることができる。
本発明の実施形態の赤外線応力測定装置を使用して応力を測定する方法を説明する模式図である。 試験体の正面図である。 本実施形態の赤外線応力測定方法を示すフローチャートである。 本実施形態の画像信号処理部のブロック図である。 図5(a)は、無負荷時の赤外線画像とピクセルの位置との関係を説明する図で、図5(b)は、有負荷時の赤外線画像とピクセルの位置との関係を説明する図である。
本発明にかかる赤外線応力測定方法、および、赤外線応力測定装置11の実施形態(以下「本実施形態」という)を説明する。図1は、引張試験装置10に組み付けた試験体20の応力を、本実施形態の赤外線応力測定装置11によって測定している状態を示す模式図である。
試験体20の応力測定は、引張試験装置10によって、試験体20に一定の周期で大きさが変化する荷重を負荷しながら行う。このとき試験体20の表面には、発生する応力の変動量に応じた温度変化が生じている。このため、荷重を負荷したときと除荷したときの温度差を測定することによって、応力の大きさを測定することが出来る。そして、試験体20の各点で温度差を測定することによって、試験体20の表面の応力分布を測定することが出来る。
引張試験装置10について説明する。引張試験装置10は、試験体20に応力を発生させるための負荷装置である。図1に示したように、引張試験装置10は、固定側保持部12と可動側保持部13とを有している。固定側保持部12と可動側保持部13は、図1の上下方向に所定の間隔で配置されていて、それぞれ試験体20を保持している。固定側保持部12はロードセル14を介して固定ベース15に固定されている。固定ベース15は、支柱16,16を介して試験機本体17に強固に固定されている。可動側保持部13は、可動シャフト18の上端部に固定されている。可動シャフト18は、図示しない電動モータによって、図の上下方向に動くことが出来る。電動モータが外部信号によって正逆回転することによって、可動シャフト18が一定周期で上下に動くことが出来る。
応力を測定対象である試験体20について説明する。図2は、試験体20の正面図である。試験体20は板状で、正面の形状は略長方形である。両側面21,21は緩やかな円弧状で、長手方向の中央部では幅寸法が両端部よりやや小さくなっている。また中央部には、厚さ方向に貫通する円形の孔22が設けられている。以下の説明では、試験体20の長手方向をy方向とし、これに直交する方向をx方向として説明する。
試験体20の表面には、既知の放射率を持つ塗料によってマーカ23が複数個所に付与されている。マーカ23は、所定の形状の孔をあけたマスキングシートの上から塗料を吹き付けることによって付与することができる。本実施形態では、複数のマーカ23は互いに形状が異なっており、試験体20の表面に不規則に配置されている。本実施形態の赤外線応力測定方法を具体的に説明するために、試験体20の表面に付与された複数のマーカ23から任意に一つのマーカを選択し、図2において、破線で示した円内に拡大して図示している。このマーカ23を、以下、マーカMとする。
試験体20は、長手方向の一方の端部が固定側保持部12に結合される(図1参照)とともに他方の端部が可動側保持部13に結合されることにより、引張試験装置10に取り付けられている。可動シャフト18を図1の上下方向に所定の振幅で繰り返し駆動することによって、試験体20には引張荷重と圧縮荷重を繰り返し負荷することが出来る。試験体20に負荷される荷重の大きさは、ロードセル14によって測定されていて、荷重の大きさを表す信号(荷重信号E)がロードセル14から出力されている。
図1によって、赤外線応力測定装置11について説明する。赤外線応力測定装置11は、赤外線カメラ30と、画像信号処理部40と、画像表示部60とで構成されている。
赤外線カメラ30は、集光部31と撮像素子32を有している。集光部31はレンズを備えていて、試験体20の表面から放射される赤外線が撮像素子32のうえで結像している。撮像素子32には、複数のピクセル33が2次元の平面上に配列されていて(図5参照)、各ピクセル33は、受光した赤外線の強度に応じた信号(温度信号)を、そのピクセル33の位置データとともに出力している。各ピクセル33の位置データは、撮像素子32における座標である。以下の説明では、x方向のi列にあって、y方向のj列にあるピクセル33をピクセル(i、j)で表す。
こうして、赤外線カメラ30は、試験体20を赤外線画像として撮影することによって、表面温度の分布を測定している。撮影した赤外線画像は、赤外線カメラ30から温度信号Vとして出力されていて、画像信号処理部40に送信されている。
画像信号処理部40では、温度信号Vを処理して試験体20に発生する応力を演算している。図3は、画像信号処理部40において応力を演算する処理手順をフローチャートで示している。図4は、画像信号処理部40のブロック図である。画像信号処理部40は、データ処理部41と、データ記憶部51とを有していて、データ処理部41には、図3のフローチャートに示すようなプログラムが記憶されている。
データ処理部41は、赤外線カメラ30から送信される温度信号Vとロードセル14から送信される荷重信号Eを受信する入力部42と、赤外線画像に撮影された試験体20の位置ずれを補正する位置補正部43と、荷重が負荷されたときの試験体20の伸び率を設定する伸び率設定部44と、有負荷時の表面温度を補正して補正表面温度を算出する温度補正部45と、測定した表面温度から試験体20の応力を演算する応力演算部46と、を有している。
データ記憶部51は、有負荷時の試験体20の表面温度を記憶する有負荷時温度記憶部52と、無負荷時の表面温度を記憶する無負荷時温度記憶部53と、赤外線画像に撮影された試験体20の位置ずれ量を記憶する位置ずれ量記憶部54と、荷重が負荷されたときの試験体20の伸び率を記憶する伸び率記憶部55と、有負荷時の補正表面温度を記憶する補正温度記憶部56と、応力演算部46で演算した応力値を記憶する応力値記憶部57と、を有している。
試験体20に発生する応力を演算する処理手順を、図3のフローチャートに沿って、図4のブロック図を参照しつつ説明する。
S11では、荷重が負荷されている試験体20の表面温度を、赤外線カメラ30によって測定している。本実施形態では、試験体20に引張荷重のみが繰り返し作用する、いわゆる片振りの引張試験を行っている場合について説明する。試験体20には、引張荷重が負荷されている有負荷状態と、荷重が負荷されていない無負荷状態とが周期的に繰り返して作用している。赤外線カメラ30で撮影した試験体20の赤外線画像は、試験体20の表面温度を表す温度信号Vとして、画像信号処理部40の入力部42に送信されている。
同時に、負荷されている荷重の大きさはロードセル14で計測されていて、荷重の大きさを表す荷重信号Eが、ロードセル14から画像信号処理部40の入力部42に送信されている。荷重信号Eの増減を監視することによって、入力部42では、試験体20が負荷を受けているときと無負荷のときとを認識することが出来る。
試験体20に荷重が負荷されている有負荷状態における赤外線画像(有負荷時赤外線画像)が温度信号Viとして有負荷時温度記憶部52に記憶され(有負荷時撮影工程)、試験体20に荷重が負荷されていない無負荷状態における赤外線画像(無負荷時赤外線画像)が温度信号Vaとして無負荷時温度記憶部53に記憶される(無負荷時撮影工程)。
S12では、位置補正部43において、有負荷時赤外線画像と無負荷時赤外線画像との「ずれ」を補正するための位置ずれ量を測定している。「ずれ」とは、荷重を負荷されたときに試験体20が負荷方向に変位するため、有負荷時赤外線画像と無負荷時赤外線画像とで撮影されている試験体20の位置が異なることをいう。
本実施形態では、マーカ23が付与されていない試験体20の部位と、マーカ23が付与された部位とでは赤外線の放射率が異なるので、マーカ23が付与された部位と付与されていない部位との境界で赤外線強度が大きく変化する。このため、赤外線画像において温度分布が大きく変化する部位を検出することによってマーカ23の形状を認識することができる。本実施形態では、試験体20の表面に複数付与されたマーカ23は互いに形状が異なっている。このため、無負荷時赤外線画像および有負荷時赤外線画像において、互いに対応するマーカ23を容易に識別することが出来る。
こうして、無負荷時赤外線画像および有負荷時赤外線画像において、互いに対応するマーカ23を認定して、位置ずれ量を測定することが出来る。
具体的には、試験体20の特定の部位が、無負荷時赤外線画像ではピクセル(xa、ya)で撮影されており、有負荷時赤外線画像ではその位置がずれてピクセル(xb、yb)で撮影されている場合には、x方向の位置ずれ量Δxは、Δx=xb−xa、y方向の位置ずれ量Δyは、Δy=yb−yaとして測定している。この位置ずれ量を用いて、有負荷時赤外線画像をx方向に―Δx移動させるとともにy方向に―Δy移動させて、有負荷時赤外線画像のエッジEの位置と無負荷時赤外線画像におけるエッジEの位置とを合わせることが出来る。
なお、試験体20の表面に付与するマーカは、本実施形態の不規則な形状のマーカに限定されない。試験体20の表面に付与されるマーカは、無負荷時赤外線画像と有負荷時赤外線画像とを比較して、互いに対応するマーカを識別することが出来ればよい。したがって、試験体20の変形量が小さく、無負荷時と有負荷時の赤外線画像の撮影範囲が近似する場合などでは、本実施形態で例示したマーカ23の代わりに、千鳥格子状のマーカを付与してもよい。
また、マーカ23を付与した部位で測定された表面温度を、マーカ23を付与した塗料の放射率を用いて補正することにより、マーカ23の影響を消して試験体20の正しい温度を測定することが出来る。
以上の処理をすべてのマーカ23について順次実施し、各マーカ23についての位置ずれ量を測定する。位置ずれ量Δx、Δyは、マーカ23ごとに位置ずれ量記憶部54に記憶される。
S13では、伸び率設定部44において、無負荷時のマーカ23に対する有負荷時のマーカ23の変形量から伸び率γを設定している。伸び率γとは、荷重を負荷されることによって、試験体20が負荷方向に変形したときの寸法変化率を表している。
図2によって、寸法変化率について具体的に説明する。マーカMの、エッジEの反対側(図の下方である)のエッジをFとする。無負荷時赤外線画像におけるエッジEとエッジFのy方向の寸法が、dyであるとする。試験体20が荷重を受けることによってy方向に伸びるので、有負荷時赤外線画像ではマーカMのy方向の寸法がdy´に変化したとすると、dy´/dyの値を「伸び率γ」という。なお、dy、dy´はいずれもピクセル数である。
各赤外線画像において、マーカMのy方向の寸法dyを下記のようにして求めることが出来る。無負荷時温度記憶部53に記憶されている赤外線画像からエッジEおよびエッジFをそれぞれ特定する。エッジEを撮影しているピクセル33をピクセル(x1,y1)、エッジFを撮影しているピクセル33をピクセル(x2,y2)とすると、dy=y2−y1 によって寸法dyを求めることが出来る。荷重が負荷されたときの当該y方向の寸法dy´は、有負荷時温度記憶部52に記憶されている赤外線画像から同様にして求めることが出来る。
以上の処理をすべてのマーカ23について実施し、各マーカ23について伸び率γを設定する。伸び率γは、マーカ23ごとに伸び率記憶部55に記憶される。
S14では、S13で設定した伸び率γを用いて、温度補正部45で、有負荷時温度記憶部52に記憶されている温度信号Viを補正して補正表面温度Tjを求めている。
図5によって補正する方法を説明する。図5(a)は、無負荷時に図2に示したマーカMのエッジEを撮影した無負荷時赤外線画像の概念図であって、ピクセル33と赤外線画像との位置関係を示している。図5(b)は、有負荷時において、図5(a)と同様に撮影した有負荷時赤外線画像とピクセル33との位置関係を示している。図5では、ピクセル33の配置を、縦方向にa列、b列・・・とし、横方向に1列、2列・・・とし、例えば、第a列の第1列にあるピクセル33を「ピクセル(a,1)」と表現する。
図5(a)では、無負荷時に、エッジEを含む試験体20の領域Riがピクセル(b,2)で撮影されている。図5(a)では、領域Riに斜線を付して示している。
有負荷時には、試験体20が荷重を負荷されている方向(図5において−y方向である)に伸びる。このため、無負荷時にピクセル(b,2)で撮影されていた領域Riが−y方向に伸びて、有負荷時には、図5(b)に示すように、P(b,2)とP(c,2)とにまたがった領域Rjとして撮影されている。図5(b)では、領域Rjに斜線を付して示している。
なお、図5ではS12で説明した処理がされることによって位置ずれが修正されていて、図5(a)と図5(b)のそれぞれの赤外線画像においてエッジEを撮影しているピクセル33が、同一のピクセル(b,2)となっている。
領域Rjの温度は、領域Rjを構成するピクセル(b、2)とピクセル(c,2)の構成比率によって決定される。図5(b)において、領域Rjは、ピクセル(b,2)の全域と、ピクセル(c,2)の一部の領域とで構成されている。マーカMの伸び率γをγmとすると、領域Rjのy方向の寸法は、領域Riのy方向の寸法に対してγm倍に伸びている。したがって、領域Rjのうちピクセル(c,2)で撮影されている領域の、ピクセル(c,2)の面積に対する比率は、(γm―1)で表される。なお、マーカMの伸び率γは、伸び率記憶部55に記憶されている。
したがって、有負荷時においてピクセル(b,2)とピクセル(c,2)で測定した試験体20の表面温度をそれぞれTb、Tcとすると、有負荷時の領域Rjの補正表面温度Tjを、式1によって求めることが出来る。
Tj=(Tb+(γm−1)Tc)/γ・・・式1
ただし、Tb:有負荷時のピクセル(b,2)の表面温度
Tc:有負荷時のピクセル(b,2)と隣接するピクセル(c,2)の表面温度
本実施形態では、領域Riが荷重の負荷方向に伸びて領域Rjに変形しており、領域Riと領域Rjは試験体20の表面における同一の領域である。したがって、試験体20が荷重を負荷されることによって伸縮している場合であっても、上記の補正表面温度Tjを求めることによって、無負荷時の領域Riと完全に同一の領域について有負荷時の表面温度を求めることが出来る。
以上の処理をすべてのマーカ23について実施し、補正表面温度Tjは、マーカ23ごとに補正温度記憶部56に記憶される。
S15では、応力演算部46において、有負荷時の表面温度と無負荷時の表面温度とから温度差ΔTを算出している。有負荷時の表面温度は、補正温度記憶部56に記憶されている領域Rjの補正表面温度Tjである。無負荷時の表面温度は、無負荷時温度記憶部53に記憶されている領域Riの温度Tiである。領域Rjと領域Riとは、それぞれ荷重を負荷される前後において同一の領域である。したがって、領域Rjの温度Tjと領域Riの温度Tiとを用いることによって、完全に同一の部位において荷重を負荷する前後の温度差ΔT(ΔT=Tj−Ti)を求めることが出来る。
S16では、応力演算部46において、S15で算出した温度差ΔTから応力値を演算している。応力値は、温度差に比例するので、温度差ΔTに所定の係数をかけることによって求めることが出来る。
こうして、本実施形態では、試験体20が縦弾性係数の小さい材質で製作されているために、荷重を負荷されたときにその負荷方向に大きく伸びることによって無負荷時と有負荷時の赤外線画像を正確に重ね合わせることが出来ない場合でも、その伸びを考慮して試験体20の表面温度を補正することによって、実質的に無負荷時と有負荷時の赤外線画像を正確に重ね合わせることが出来る。この結果、荷重を負荷する前後で完全に同一の領域について温度差を求めることが出来るので、正確な応力値を演算することが出来る。
本実施形態の赤外線応力測定方法は、応力集中が生じている箇所のように測定位置が変わると応力も大きく変化する箇所での測定において特に有効である。図5(b)を参照しつつ、たとえば、有負荷時にピクセル(c,2)で測定した表面温度Tcがピクセル(b,2)で測定した表面温度Tbに対して極端に大きい場合(Tb<<Tc)を例にして説明する。
有負荷時の表面温度と無負荷時の表面温度との差を測定するにあたって、仮に、試験体20の伸びを考慮せずに、単に無負荷時と有負荷時とで対応するピクセル33の温度差を測定する場合(この場合を、以下「比較例」という)には、ピクセル(b,2)における有負荷時の温度Tbと無負荷時のピクセル(b,2)における温度Tiとの差から温度差が測定される。これに対して、本実施形態では、有負荷時の表面温度と無負荷時の表面温度との差は、領域Rjの補正表面温度Tj(ピクセル(b,2)とピクセル(c,2)の温度である)と領域Riの温度Ti(無負荷時のピクセル(b,2)における温度である)との差で温度差が測定される。補正表面温度Tjは、ピクセル(c,2)の温度を含むので、比較例においてピクセル(b,2)だけで測定した温度Tbより高い値となる。
したがって、この温度差に基づいて応力値を演算すると、比較例では、実際に生じている応力値より低い応力が測定されるという不具合を生じてしまう。
このように、本実施形態では、測定位置が変わると応力も大きく変化する箇所での測定においても応力値を正確に測定することが出来る。
以上の処理をすべてのマーカ23について実施し、測定された応力値は、各マーカ23ごとに応力値記憶部57に記憶される。
画像表示部60では、応力値記憶部57のデータに基づいて、各ピクセル33の応力値をディスプレイに表示している。応力値の大きさによって数段階に区分し、その区分ごとに色別することによって、試験体20の応力分布を視覚的に認識することができる。また、マーカ23を多数配置することによって、試験体20の多くの点で応力を測定することが出来る。
以上の説明から明らかなように、本実施形態では、荷重を負荷したときの試験体20の弾性変形を考慮して、温度補正をすることが出来る。したがって、荷重が負荷されたときに発生する応力を、赤外線カメラ30によって撮影した赤外線画像に基づいて測定するときに、試験体20が縦弾性係数の小さい材料でできた物であっても、試験体20の変形量を考慮して正確な応力を求めることができる。
10:引張試験装置、11:赤外線応力測定装置、14:ロードセル、17:試験機本体、20:試験体、22:孔、23:マーカ、30:赤外線カメラ、31:集光部、32:撮像素子、33:ピクセル、40:画像信号処理部、41:データ処理部、42:入力部、43:位置補正部、44:伸び率設定部、45:温度補正部、46:応力演算部、51:データ記憶部、52:有負荷時温度記憶部、53:無負荷時温度記憶部、54:位置ずれ量記憶部、55:伸び率記憶部、56:補正温度記憶部、57:応力値記憶部、60:画像表示部

Claims (2)

  1. 試験体に表面温度を測定するマーカを付与する付与工程と、
    前記試験体に一定周期で大きさが変動する荷重を負荷する負荷工程と、
    前記負荷工程で、試験体に荷重が負荷されていない無負荷状態で、2次元平面に配置された複数のピクセルからなる撮像素子を有する赤外線カメラを使用して、前記マーカを無負荷時赤外線画像として撮影する無負荷時撮影工程と、
    前記負荷工程で、試験体に荷重が負荷されている有負荷状態で、前記赤外線カメラを使用して、前記マーカの位置がピクセルPaからピクセルPbにずれた状態で前記マーカを有負荷時赤外線画像として撮影する有負荷時撮影工程と、
    前記無負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさ、および前記有負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさから、伸び率γを設定する伸び率設定工程と、
    下記式1によって、
    T=(Tb+(γ−1)Tc)/γ・・・式1
    ただし、Tb:有負荷時の前記ピクセルPbの表面温度
    Tc:有負荷時の前記ピクセルPbと隣接するピクセルPcの表面温度
    補正表面温度Tを算出する補正温度算出工程と、
    前記無負荷時撮影工程で撮影された前記ピクセルPaの表面温度Tiと、前記補正温度算出工程で算出された前記補正表面温度Tとの差である温度差ΔTを測定する温度差測定工程と、
    前記温度差ΔTに基づいて前記試験体の応力を演算する応力演算工程と、
    を有する赤外線応力測定方法。
  2. 2次元平面に配置された複数のピクセルからなる撮像素子を有し、試験体の表面温度を赤外線画像として撮影する赤外線カメラと、
    前記赤外線画像に基づいて前記試験体の応力を演算する画像信号処理部と、
    前記画像信号処理部で演算した応力を表示する画像表示部と、
    を有する赤外線応力測定装置であって、
    前記赤外線カメラは、
    前記試験体に荷重が負荷されていない無負荷状態で前記試験体の表面に付与したマーカを無負荷時赤外線画像として撮影するとともに、前記試験体に荷重が負荷されている有負荷状態で前記マーカの位置がピクセルPaからピクセルPbにずれた状態で前記マーカを有負荷時赤外線画像として撮影し、
    前記画像信号処理部は、
    前記無負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさ、および前記有負荷時赤外線画像の前記マーカの大きさから、伸び率γを設定する伸び率設定工程と、
    下記式1によって、
    T=(Tb+(γ−1)Tc)/γ・・・式1
    ただし、Tb:有負荷時のピクセルPbの表面温度
    Tc:有負荷時のピクセルPbと隣接するピクセルPcの表面温度
    補正表面温度Tを算出する補正温度算出工程と、
    前記無負荷時赤外線画像の前記ピクセルPaの表面温度Tiと、前記補正温度算出工程で算出された前記補正表面温度Tとの差である温度差ΔTを測定する温度差測定工程と、
    前記温度差ΔTに基づいて前記試験体の応力を演算する応力演算工程と、
    を順に行う演算機能を有する赤外線応力測定装置。
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