JP6413630B2 - 赤外線応力測定方法および赤外線応力測定装置 - Google Patents
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Description
赤外線応力測定装置では、赤外線カメラを用いて試験体から放射される赤外線を検出して、2次元平面に配置された複数のピクセルで構成される撮像素子によって熱分布画像を作成している。荷重を負荷したときの熱分布画像と、荷重を除いたときの熱分布画像とを重ねて、各ピクセルごとに温度変化量を測定することによって、試験体の応力分布を計測している。
このように、赤外線応力測定装置においては、大きな測定値が計測された場合に、その計測値が異常であるか否かを判断して、異常な計測値を出力するピクセルだけを的確に検出して対処する必要がある。しかし、一般的に、赤外線カメラの撮像素子を構成するピクセルの数が膨大であるため、異常な値を示すピクセルを手作業で検出するのは極めて効率が悪い。異常なピクセルの検出を自動化されたデータ処理によって行う必要がある。
試験体25の応力測定は、捩じり変位負荷装置30によって、試験体25に一定の周期で大きさが変化する荷重を負荷しながら行う。試験体25には、荷重の変動に伴って変動する応力が生じる。このとき、試験体25では、この応力の変動に応じて表面温度が変動している。表面温度は試験体25に生じる応力の大きさに比例する。したがって、試験体25の部位ごとに、荷重を負荷したときと除荷したときの表面温度の変動量(以下、単に「温度変動量ΔT」という)を計測することによって、試験体25の各部に生じる応力を測定することが出来る。
図3は、撮像素子13のピクセルの配置図である。撮像素子13は、2次元の平面上に配列された複数のピクセル14で構成されている。以下の説明では、撮像素子13に配置されたピクセル14の配列を、縦方向に、X1列、X2列、・・・Xn−1列、Xn列とし、横方向にY1列、Y2列、・・・Ym−1列、Ym列とする。
A部では、実際には大きい応力は生じていないにもかかわらず、大きい温度変動量ΔTが計測されている。A部は、大径外周面27の軸方向の端(エッジ)であって側面28とつながる部分と一致している。一般的に、試験体25の外形形状におけるエッジ部分に大きい温度変動量ΔTが計測される事象を「エッジ効果」という。応力測定においては、このように異常な計測値を出力するピクセル(以下、「異常ピクセル」という)だけを的確に検出して対処する必要がある。第1実施形態では、以下に説明する処理手順で、異常ピクセルを検出している。
具体的には、たとえば、X1列からXn列のうちのXi列について、Y1からYmまでの各ピクセル14に1、2、3の順に1ずつ増加する数字によって位置を表す番号(以下「位置番号」という)を付与する。温度変動量記憶部42に記憶されているデータを元にして、各ピクセル14について位置番号と温度変動量ΔTを組み合わせたデータ群を作成する。その後、このデータ群をスプライン近似する第1近似関数を求める。なお、データの近似方法としては、ラグランジュ近似を用いてもよい。ここで求めた第1近似関数は、ピクセル14の位置に対する温度変動量ΔTの関数として、第1近似関数記憶部43に記憶される。
図5において、各プロットをつなぐ曲線は、各ピクセルの温度変動量ΔTをスプライン近似したときの第1近似関数を表している。
図5では、温度変動量ΔTはZ1の領域で大きく増大していて、その後、再び増大する前の温度変動量ΔTと同等の値に戻っている。このため、図6では、微分係数は、温度変動量ΔTが増大し始めたZ2の領域で、絶対値が大きい正の値を示している。その後、温度変動量ΔTが最大であるZ1の領域(図5参照)を過ぎて、微分係数は、温度変動量ΔTが減少しているZ3の領域で、絶対値が大きい負の値を示している。その後、微分係数は、温度変動量ΔTが増大する前における値と概ね等しい値を示している。
この結果、ピクセルXaを含み、ピクセルXaとピクセルXbとの間にあるすべてのピクセル14を異常ピクセルとして検出することが出来る。ここで検出した、異常ピクセルの位置番号(XaからXb−1までである)が、異常ピクセル記憶部45に記憶される。
まず、微分係数の値が最初に負の閾値より小さい値を持つピクセルXaを特定する。次に、位置番号を順次増加させて、正の閾値より大きい値を持つピクセル14を検出する。その後、最初に正の閾値より小さい値を持つピクセルXbを特定する。ピクセルXaを含み、ピクセルXaとピクセルXbとの間にあるすべてのピクセル14の温度変動量ΔTが、異常な温度変動量ΔTであると判断できる。
平均化処理について、Xi列とYj列が交差する点にあるピクセルMを例に説明する。平均化処理では、Xi−1列からXi+1列までの各列において、Yj−1列からYj+1列までの各ピクセル14(合計9個のピクセルである)について、応力の平均値σmを求めている。この平均値σmを、ピクセルMの応力値としている。同様の処理を繰り返して、全ピクセル14について行う。なお、S15の処理によって削除されたピクセル14は除外して平均化処理を行う。
第2近似関数演算部55では、まず、S11で選択したXi列の温度変動量記憶部42に記憶されている温度変動量ΔTのうち、異常ピクセル記憶部45に記憶された位置番号のピクセル14の温度変動量ΔTを削除している。異常ピクセルのデータを削除した後のデータ群についてスプライン近似することによって、第2近似関数を作成している。ここで作成した第2近似関数は、ピクセル14の位置に対する温度変動量ΔTの近似値として、第2近似関数記憶部46に記憶される。
こうして、正しい値のみで構成されたXi列の温度変動量ΔTの値が、修正温度変動量記憶部47に記憶される。その後、第1実施形態と同様にして、応力演算部58で応力が計算される。
また、その双方を行うことによって、異常値の検出精度をより高くすることが出来る。双方を行った場合には、いずれかの方向で検出された異常ピクセルをすべて除外する。
Claims (5)
- 2次元平面に配置した複数のピクセルからなる撮像素子を有する赤外線カメラを使用して、負荷装置によって試験体に荷重を負荷したときの前記試験体の表面温度と除荷したときの前記試験体の表面温度を計測する表面温度計測工程と、前記各ピクセルに対応して前記負荷時の表面温度と前記除荷時の表面温度の差である表面温度変動量を計測して、前記表面温度変動量を処理することによって前記試験体の応力を求める応力演算工程とを有している赤外線応力測定方法であって、
前記応力演算工程は、前記撮像素子の複数のピクセルを、一の方向に一列に並んだピクセルからなる複数の第1ピクセル群に分割し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する近似関数を求める第1ステップと、
前記第1ピクセル群ごとに前記近似関数を前記位置で微分して、前記各ピクセルの位置における微分係数を求める第2ステップと、
絶対値が等しい正、負の閾値を設定し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置の順に配列した前記微分係数の値が最初に前記正、負の閾値を超える値を持つピクセルXaを特定し、その後、前記ピクセルの位置を順次変えて、前記負、正の閾値を超える値を持つピクセルを検出した後において最初に前記負、正の閾値を超えない値を持つピクセルXbを特定することによって、前記ピクセルXaと、前記ピクセルXaと前記ピクセルXbとの間にあるすべてのピクセルとを異常ピクセルとして検出する第3ステップと、
前記撮像素子の複数のピクセルのうち前記異常ピクセルを除くピクセルについて前記表面温度変動量から前記試験体の応力を計測する第7ステップと、
を有する赤外線応力測定方法。 - 前記第3ステップと前記第7ステップとの間に、
前記撮像素子の複数のピクセルを、前記一の方向と異なる他の方向に一列に並んだピクセルからなる複数の第2ピクセル群に分割し、前記第2ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する近似関数を求める第4ステップと、
前記第2ピクセル群ごとに前記近似関数を前記位置で微分して、前記各ピクセルの位置における微分係数を求める第5ステップと、
絶対値が等しい正、負の閾値を設定し、前記第2ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置の順に配列した前記微分係数の値が最初に前記正、負の閾値を超える値を持つピクセルYaを特定し、その後、前記ピクセルの位置を順次変えて、前記負、正の閾値を超える値を持つピクセルを検出した後において最初に前記負、正の閾値を超えない値を持つピクセルYbを特定することによって、前記ピクセルYaと、前記ピクセルYaと前記ピクセルYbとの間にあるすべてのピクセルとを異常ピクセルとして検出する第6ステップと、
を有する請求項1の赤外線応力測定方法。 - 2次元平面に配置した複数のピクセルからなる撮像素子を有する赤外線カメラを使用して、負荷装置によって試験体に荷重を負荷したときの前記試験体の表面温度と除荷したときの前記試験体の表面温度を計測する表面温度計測工程と、前記各ピクセルに対応して前記負荷時の表面温度と前記除荷時の表面温度の差である表面温度変動量を計測して、前記表面温度変動量を処理することによって前記試験体の応力を求める応力演算工程とを有している赤外線応力測定方法であって、
前記応力演算工程は、前記撮像素子の複数のピクセルを、一の方向に一列に並んだピクセルからなる複数の第1ピクセル群に分割し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する第1近似関数を求める第1ステップと、
前記第1ピクセル群ごとに前記第1近似関数を前記位置で微分して、前記各ピクセルの位置における微分係数を求める第2ステップと、
絶対値が等しい正、負の閾値を設定し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置の順に配列した前記微分係数の値が最初に前記正、負の閾値を超える値を持つピクセルXaを特定し、その後、前記ピクセルの位置を順次変えて、前記負、正の閾値を超える値を持つピクセルを検出した後において最初に前記負、正の閾値を超えない値を持つピクセルXbを特定することによって、前記ピクセルXaと、前記ピクセルXaと前記ピクセルXbとの間にあるすべてのピクセルとを異常ピクセルとして検出する第3ステップと、
前記異常ピクセルを除いた前記各第1ピクセル群について、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する第2近似関数を求める第8ステップと、
前記異常ピクセルの前記表面温度変動量を、前記第2近似関数を用いて求めた近似値で置き換える第9ステップと、
を有する赤外線応力測定方法。 - 2次元平面に配置した複数のピクセルからなる撮像素子を有し、試験体の表面温度を計測する赤外線カメラと、
前記撮像素子によって計測した前記表面温度を記憶し、前記試験体の応力を演算する応力演算部と、
前記応力演算部が演算した結果を表示する画像表示部と、
を備えている赤外線応力測定装置であって、
前記応力演算部は、
前記ピクセルごとに、負荷装置によって前記試験体に荷重を負荷したときの前記試験体の表面温度と、除荷したときの前記試験体の表面温度との差である表面温度変動量を求める演算機能を有するとともに、
前記撮像素子の複数のピクセルを、一の方向に一列に並んだピクセルからなる複数のピクセル群に分割し、前記ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する近似関数を求める第1ステップと、
前記ピクセル群ごとに前記近似関数を前記位置で微分して、前記各ピクセルの位置における微分係数を求める第2ステップと、
絶対値が等しい正、負の閾値を設定し、前記ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置の順に配列した前記微分係数の値が最初に前記正、負の閾値を超える値を持つピクセルXaを特定し、その後、前記ピクセルの位置を順次変えて、前記負、正の閾値を超える値を持つピクセルを検出した後において最初に前記負、正の閾値を超えない値を持つピクセルXbを特定することによって、前記ピクセルXaと、前記ピクセルXaと前記ピクセルXbとの間にあるすべてのピクセルとを異常ピクセルとして検出する第3ステップと、
前記撮像素子の複数のピクセルのうち前記異常ピクセルを除くピクセルが有する前記表面温度変動量から前記試験体の応力を計測する第4ステップと、
を順に行う演算機能を有する赤外線応力測定装置。 - 2次元平面に配置した複数のピクセルからなる撮像素子を有し、試験体の表面温度を計測する赤外線カメラと、
前記撮像素子によって計測した前記表面温度を記憶し、前記試験体の応力を演算する応力演算部と、
前記応力演算部が演算した結果を表示する画像表示部と、
を備えている赤外線応力測定装置であって、
前記応力演算部は、
前記ピクセルごとに、負荷装置によって前記試験体に荷重を負荷したときの前記試験体の表面温度と、除荷したときの前記試験体の表面温度との差である表面温度変動量を求める演算機能を有するとともに、
前記撮像素子の複数のピクセルを、一の方向に一列に並んだピクセルからなる複数の第1ピクセル群に分割し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する第1近似関数を求める第1ステップと、
前記第1ピクセル群ごとに前記第1近似関数を前記位置で微分して、前記各ピクセルの位置における微分係数を求める第2ステップと、
絶対値が等しい正、負の閾値を設定し、前記第1ピクセル群ごとに、前記ピクセルの位置の順に配列した前記微分係数の値が最初に前記正、負の閾値を超える値を持つピクセルXaを特定し、その後、前記ピクセルの位置を順次変えて、前記負、正の閾値を超える値を持つピクセルを検出した後において最初に前記負、正の閾値を超えない値を持つピクセルXbを特定することによって、前記ピクセルXaと、前記ピクセルXaと前記ピクセルXbとの間にあるすべてのピクセルとを異常ピクセルとして検出する第3ステップと、
前記異常ピクセルを除いた前記各第1ピクセル群について、前記ピクセルの位置と前記表面温度変動量との関係を近似する第2近似関数を求める第8ステップと、
前記異常ピクセルが有する前記表面温度変動量を、前記第2近似関数を用いて求めた近似値で置き換える第9ステップと、
を順に行う演算機能を有する赤外線応力測定装置。
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