JP6634959B2 - 応力分布測定方法 - Google Patents
応力分布測定方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6634959B2 JP6634959B2 JP2016110399A JP2016110399A JP6634959B2 JP 6634959 B2 JP6634959 B2 JP 6634959B2 JP 2016110399 A JP2016110399 A JP 2016110399A JP 2016110399 A JP2016110399 A JP 2016110399A JP 6634959 B2 JP6634959 B2 JP 6634959B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temporal change
- black body
- stress distribution
- stress
- procedure
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)
Description
しかしながら、被測定体の用途によっては、被測定体の表面に黒色塗料を塗布して応力分布の測定を終了した後、被測定体の表面を元の状態に戻さなければならない場合がある。しかしながら、黒色塗料を速やかに除去できなかったり、時間をかけても完全に除去できない場合もあるため、被測定体の表面に黒色塗料を塗布することなく、非接触で精度良く応力分布を測定可能な方法が望まれている。
一般に、黒色塗料の厚みは10μm程度であるのに対し、黒体テープの厚みは100〜200μm程度と大きいため、被測定体の温度に応じて放射される赤外線が黒体テープに吸収されて減衰し、赤外線撮像装置で受光される赤外線(すなわち、黒体テープを透過する赤外線)の強度が低下すると考えられる。前述のように、熱弾性効果によって生じる温度変化は極微小であるため、黒体テープにおける赤外線の吸収に起因して、熱弾性効果によって生じる温度変化(被測定体から放射される赤外線の強度変化)、ひいては被測定体の応力分布の変化を精度良く算出できないおそれがあると考えるのが一般的である。
また、赤外線撮像装置で測定することができる温度分布の変化が、実際には黒体テープの温度分布の変化である場合も考えられる。この場合、黒体テープの厚みに応じた熱容量の影響によって黒体テープが被測定体と同じ温度にならず、黒体テープの温度分布の変化を測定したのでは、被測定体の温度分布の変化、ひいては被測定体の応力分布の変化を精度良く算出できないおそれがあると考えられる。
さらには、黒体テープにおける赤外線の吸収及び黒体テープの熱容量の双方に起因して、被測定体の温度分布の変化、ひいては被測定体の応力分布の変化を精度良く算出できないおそれがあるとも考えられる。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、黒体テープについての補正係数を予め算出しておき、熱弾性応力測定法によって算出した被測定体の応力分布の変化をこの補正係数を用いて補正すれば、十分に実用可能な水準で応力分布の変化を算出可能であることを知見した。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、荷重が付加される被測定体の表面に黒体テープを貼り付ける第1手順と、前記第1手順によって前記黒体テープが貼り付けられた前記被測定体の表面を赤外線撮像装置で撮像し、前記被測定体の温度分布の時間的変化を測定する第2手順と、前記第2手順によって測定した前記被測定体の温度分布の時間的変化と、温度の時間的変化(所定時間内の温度変化)及び応力の時間的変化(所定時間内の応力変化)の間の所定の関係式とに基づき、前記被測定体の応力分布の時間的変化を算出する第3手順と、前記黒体テープについて予め算出した補正係数を用いて、前記第3手順によって算出した前記被測定体の応力分布の時間的変化を補正する第4手順と、を含むことを特徴とする応力分布測定方法を提供する。
Δσ=−1/K・ΔT/T ・・・(A)
上記の式(A)において、ΔTは温度の時間的変化(所定時間内の温度変化)を、Δσは応力の時間的変化(所定時間内の応力変化)を、Tは被測定体の温度を、Kは熱弾性係数を意味する。熱弾性係数Kは被測定体の材質によって決まる物性値であり、例えば被測定体が鉄鋼材料から形成されている場合、K=3.5×10−12[Pa−1]となる。
そして、本発明に係る応力測定方法によれば、第4手順を実行することで、予め算出した補正係数を用いて、被測定体の応力分布の時間的変化が補正される。すなわち、赤外線撮像装置で撮像した撮像画像を構成する画素毎に算出された応力の時間的変化を、例えば補正係数でそれぞれ除算することで、被測定体の応力分布の時間的変化が補正されることになる。
本発明に係る応力分布測定方法によれば、被測定体の表面に黒色塗料を塗布することなく、非接触で実用可能な水準で応力分布の時間的変化を測定可能である。なお、応力分布の初期値を把握していれば(実際に応力分布を測定して把握している場合のみならず、想定可能な場合も含む)、この初期値に応力分布の時間的変化を加算することで、所定時間経過後の応力分布の絶対値も測定可能である。応力分布の初期値がゼロである場合、応力分布の時間的変化自体が所定時間経過後の応力分布の絶対値に相当する。本発明でいう「応力分布の測定」とは、応力分布の時間的変化のみを測定する場合と、所定時間経過後の応力分布の絶対値をも測定する場合との双方を含む概念である。
このため、好ましくは、前記第4手順で用いる補正係数は、前記黒体テープの厚みを変数とする関数で表わされ、前記第4手順において、前記第1手順で貼り付けた黒体テープの厚みに応じた前記補正係数を選択し、該選択した補正係数を用いて補正する。
なお、貼り付けた黒体テープの厚みとしては、設計値を用いても良いし、実際に被測定体に貼り付けた状態の黒体テープの厚みを膜厚計等を用いて実測しても良い。
このため、好ましくは、前記第1手順において、2枚以上の黒体テープが重なる部分を有するように、前記被測定体の表面に前記黒体テープを貼り付け、前記第4手順において、前記2枚以上の黒体テープが重なっている部分については、前記2枚以上の黒体テープの総厚みに応じた前記補正係数を選択し、該選択した補正係数を用いて補正する。
なお、2枚以上の黒体テープの総厚み(各黒体テープの厚みの合計値)としては、設計値を用いても良いし、実際に被測定体に貼り付けた状態の2枚以上の黒体テープの総厚みを膜厚計等を用いて実測しても良い。
このため、好ましくは、前記第4手順で用いる補正係数をCRとし、前記黒体テープの厚みをtとした場合に、前記補正係数CRは、以下の式(1)で表わされ、前記第4手順において、前記第3手順によって算出した前記被測定体の応力分布の時間的変化を前記補正係数CRで除算して補正する。
CR=a・tb ・・・(1)
上記式(1)において、a、bは所定の定数である。
すなわち、好ましくは、前記第4手順で用いる補正係数は、試験体の表面に歪センサを取り付け、該歪センサが取り付けられた前記試験体に所定条件の荷重を付加して前記歪センサで歪の時間的変化を検出し、該検出した歪の時間的変化に基づき、前記試験体の前記歪センサが取り付けられた部位の応力の時間的変化を算出する第1準備手順と、前記試験体の表面に前記黒体テープを貼り付け、該黒体テープが貼り付けられた前記試験体に前記所定条件と同一条件の荷重を付加して前記試験体の表面を前記赤外線撮像装置で撮像して前記試験体の温度分布の時間的変化を測定し、該測定した前記試験体の温度分布の時間的変化と、前記所定の関係式とに基づき、前記試験体の応力分布の時間的変化を算出し、該算出した前記試験体の応力分布の時間的変化から前記歪センサが取り付けられた部位と同じ前記試験体の部位の応力の時間的変化を抽出する第2準備手順と、前記第2準備手順によって抽出した前記試験体の応力の時間的変化を前記補正係数を用いて補正したときに、前記第1準備手順によって算出した前記試験体の応力の時間的変化と合致するように、前記補正係数を決定する第3準備手順と、によって算出される。
したがい、上記の好ましい方法によれば、第4手順において補正係数を用いて補正した後の被測定体の応力分布の時間的変化が、歪センサを用いて算出した被測定体の応力分布の時間的変化と同等の精度で算出可能であることが期待できる。
なお、上記の好ましい方法で用いる歪センサとしては、歪ゲージを例示できる。また、上記の好ましい方法で用いる試験体は、被測定体と同種の材質から形成されていることが好ましい。
図1は、本発明の一実施形態に係る応力分布測定方法を実行するための応力分布測定装置の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態に係る応力分布測定方法の適用対象は、荷重が付加される被測定体TPである。本実施形態では、被測定体TPが溶接ビードBを有する溶接構造物であり、破壊起点となり得る溶接ビードBの端部B1を応力分布の測定領域としている。本実施形態の被測定体TPは、疲労試験機(図示せず)に取り付けられており、応力分布を測定する際に、一端(図1に示す下端)が拘束されると共に、他端(図1に示す上端)に所定周波数の繰り返し荷重(引張荷重又は圧縮荷重)が付加される。
演算装置2は、上記のようにして抽出した画像信号成分の大きさと、予め記憶されている画像信号成分の大きさ及び温度の対応関係とに応じて、被測定体TPの温度分布の時間的変化(赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像を構成する画素毎の温度分布の時間的変化)を算出する。また、後述のように、演算装置2は、被測定体TPの温度分布の時間的変化と、温度の時間的変化及び応力の時間的変化の間の所定の関係式とに基づき、被測定体TPの応力分布の時間的変化を算出する。さらに、後述のように、演算装置2は、算出した被測定体TPの応力分布の時間的変化を補正する。
図2は、本発明の一実施形態に係る応力分布測定方法の手順を概略的に示すフロー図である。図3は、本発明の一実施形態に係る応力分布測定方法の準備手順を説明する説明図である。
図2に示すように、本実施形態に係る応力分布測定方法は、準備手順(図2のS1)、第1手順(図2のS2)、第2手順(図2のS3)、第3手順(図2のS4)及び第4手順(図2のS5)を含む。以下、各手順について、順次説明する。
図2に示すように、準備手順では、黒体テープについての補正係数を予め算出する(図2のS1)。具体的には、この準備手順では、以下に説明する第1準備手順〜第3準備手順を実行する。
図3(a)に示すように、第1準備手順では、試験体TP1の表面に歪センサ4を取り付ける。本実施形態の試験体TP1は、好ましい構成として、被測定体TPと同種の材質から形成されており、円孔TPaが設けられている。本実施形態では、歪センサ4として歪ゲージを用い、この歪ゲージを試験体TP1の円孔TPa付近に取り付ける。そして、歪センサ4の出力信号を連続的に記録するため、歪センサ4をデータロガー5に接続する。
第1準備手順では、上記のように歪センサ4が取り付けられた試験体TP1を例えば疲労試験機(図示せず)に取り付け、試験体TP1に所定条件の荷重を付加して歪センサ4で歪の時間的変化を検出する。具体的には、データロガー5に連続的に記録された歪センサ4の出力信号に基づき、歪の時間的変化を検出する。より具体的には、本実施形態では、歪の最大値と最小値との差を検出する。試験体TP1に付加する所定条件の荷重としては、被測定体TPと同様に、所定周波数の繰り返し荷重(引張荷重又は圧縮荷重)を例示できる。
そして、第1準備手順では、検出した歪の時間的変化に基づき、試験体TP1の歪センサ4が取り付けられた部位の応力の時間的変化を算出する。具体的には、試験体TP1の材質によって決まるヤング率をEとし、歪の時間的変化をΔε、応力の時間的変化をΔσTとすると、以下の式(B)によって応力の時間的変化ΔσTを算出する。
ΔσT=E・Δε ・・・(B)
なお、本実施形態では、試験体TP1に付加する最大荷重及び最小荷重を種々の値に変更した複数の荷重条件毎に応力の時間的変化ΔσTを算出する。
図3(b)に示すように、第2準備手順では、第1準備手順で用いたものと同じ試験体TP1の表面に黒体テープ3を貼り付ける。具体的には、試験体TP1から歪センサ4を取り外した後、歪センサ4が取り付けられていた部位を含む試験体TP1の表面に、黒体テープ3を貼り付ける。ただし、本発明はこれに限るものではなく、第2準備手順を先に実行し、その後に第1準備手順を実行することも可能である。第2準備手順を先に実行する場合、黒体テープ3を取り外した後に、歪センサ4を取り付ければ良い。
第2準備手順では、上記のように黒体テープ3が貼り付けられた試験体TP1を第1準備手順と同じ疲労試験機(図示せず)に取り付け、試験体TP1に第1準備手順の所定条件と同一条件(試験体TP1に付加する最大荷重及び最小荷重を種々の値に変更した複数の荷重条件)の荷重を付加して試験体TP1の表面を赤外線撮像装置1で撮像する。演算装置2は、赤外線撮像装置1から入力された画像信号に基づき、試験体TP1の温度分布の時間的変化を測定する。すなわち、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像を構成する画素毎に温度の時間的変化を測定する。次いで、演算装置2は、測定した試験体TP1の温度分布の時間的変化と、以下の式(A)で表される関係式とに基づき、試験体TP1の応力分布の時間的変化を算出する。すなわち、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像を構成する画素毎に応力の時間的変化を算出する。
Δσ=−1/K・ΔT/T ・・・(A)
上記の式(A)において、ΔTは温度の時間的変化を、Δσは応力の時間的変化を、Tは試験体TP1の温度を、Kは熱弾性係数を意味する。熱弾性係数Kは試験体TP1の材質によって決まる物性値であり、例えば試験体TP1が鉄鋼材料から形成されている場合、K=3.5×10−12[Pa−1]となる。
さらに、第2準備手順において、演算装置2は、算出した試験体TP1の応力分布の時間的変化から第1準備手順で歪センサ4が取り付けられた部位と同じ試験体TP1の部位の応力の時間的変化を抽出する。具体的には、算出した試験体T1の応力分布の時間的変化、すなわち、撮像画像を構成する全画素領域の応力の時間的変化のうち、歪センサ4が取り付けられた部位に相当する画素領域の応力の時間的変化(例えば、歪センサ4が取り付けられた部位に相当する画素領域における平均的な応力の時間的変化)を抽出する。
本実施形態では、好ましい構成として、試験体TP1の表面に貼り付ける黒体テープ3の厚みを変更して第2準備手順を繰り返し実行することにより、黒体テープ3の厚み毎に、また第1準備手順と同様に複数の荷重条件毎に、歪センサ4が取り付けられた部位と同じ試験体TP1の部位の応力の時間的変化を抽出する。
また、第1準備手順及び第2準備手順で試験体TP1に付加する荷重(繰り返し荷重)の周波数は、5Hz以上とすることが好ましい。荷重の周波数が小さすぎると、第2準備手順で試験体TP1の温度分布の時間的変化を測定する際、熱弾性効果によって生じた熱が測定前に拡散することで、熱弾性効果によって生じる温度変化を正確に測定できなくなるおそれがあるからである。また、第1準備手順及び第2準備手順で試験体TP1に付加する荷重の大きさは、応力振幅に換算して10MPa以上とすることが好ましい。付加する荷重が小さすぎると、第2準備手順で試験体TP1の温度分布の時間的変化を測定する際、赤外線撮像装置1が具備する赤外線検出素子の温度検出分解能以上の温度変化が生じないおそれがあるからである。
第3準備手順では、第2準備手順によって抽出した試験体TP1の応力の時間的変化を補正係数CRを用いて補正したときに、第1準備手順によって算出した試験体TP1の応力の時間的変化と合致するように、黒体テープ3についての補正係数CRを決定する。
具体的には、本実施形態では、第2準備手順によって黒体テープ3の厚み毎に抽出した一の荷重条件での試験体TP1の応力の時間的変化Δσを、第1準備手順によって算出した前記一の荷重条件での試験体TP1の応力の時間的変化ΔσTで除算することにより、黒体テープ3の厚み毎に且つ前記一の荷重条件での補正係数を算出する。この補正係数を全ての荷重条件について算出し、平均化して、黒体テープ3の厚み毎の補正係数CR’を算出する。そして、本実施形態では、各補正係数CR’を最小自乗法等によって近似し、以下の式(1)に示す黒体テープ3の厚みtを変数とする関数で表わされた補正係数CRを決定する。
CR=a・tb ・・・(1)
上記式(1)において、a、bは所定の定数であり、tは黒体テープ3の厚みである。
図1及び図2に示すように、第1手順では、荷重が付加される被測定体TPの表面に黒体テープ3を貼り付ける(図2のS2)。前述のように、本実施形態では、被測定体TPが有する溶接ビードBの端部B1を応力分布の測定領域としているため、図1に示すように、溶接ビードBの端部B1の表面を覆うように黒体テープ3を貼り付ける。
なお、被測定体TPの測定領域が広い場合には、2枚以上の黒体テープ3を被測定体TPの表面に貼り付ける必要が生じる場合がある。この際、黒体テープ3が貼り付けられていない領域が生じないように(隣接する黒体テープ3の間に隙間が生じないように)するには、単に並べて貼り付けるのではなく、隣接する黒体テープ3が重なる部分を有するように貼り付けるのが好ましい。
図1及び図2に示すように、第2手順では、前述のように黒体テープ3が貼り付けられた被測定体TPを疲労試験機(図示せず)に取り付けて荷重を付加し、被測定体TPの表面を赤外線撮像装置1で撮像し、被測定体TPの温度分布の時間的変化を演算装置2で測定する(図2のS3)。すなわち、演算装置2は、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像を構成する画素毎に温度の時間的変化を測定する。
図2に示すように、第3手順では、演算装置2が、第2手順によって測定した被測定体TPの温度分布の時間的変化と、温度の時間的変化及び応力の時間的変化の間の所定の関係式とに基づき、被測定体TPの応力分布の時間的変化を算出する(図2のS4)。すなわち、演算装置2は、第2手順によって測定した被測定体TPの温度分布の時間的変化と、前述の式(A)で表される関係式とに基づき、被測定体TPの応力分布の時間的変化を算出する。
図2に示すように、第4手順では、演算装置2が、前述の準備手順で黒体テープ3について予め算出した黒体テープ3についての補正係数CRを用いて、第3手順によって算出した被測定体TPの応力分布の時間的変化を補正する(図2のS5)。
具体的には、本実施形態では、前述のように補正係数CRが式(1)で表される黒体テープ3の厚みを変数とする関数で表わされているため、演算装置2は、第1手順で貼り付けた黒体テープ3の厚みに応じた補正係数CRを選択し、該選択した補正係数CRを用いて補正する。より具体的には、演算装置2は、第3手順によって算出した被測定体TPの応力分布の時間的変化を補正係数CRで除算して補正する。
なお、貼り付けた黒体テープ3の厚みとしては、設計値を用いても良いし、実際に被測定体TPに貼り付けた状態の黒体テープ3の厚みを膜厚計等を用いて実測しても良い。そして、例えば、黒体テープ3の厚みの設計値又は実測値を演算装置2に手動で入力することにより、演算装置2は入力された厚みに応じた補正係数CRを選択するように構成可能である。
黒体テープ3の厚みを実測するための膜厚計としては、被測定体TPが磁性体である場合には、例えば、電磁誘導式の膜厚計を好適に用いることが可能である。電磁誘導式の膜厚計としては、ケツト科学研究所製「電磁膜厚計LE−370」を例示できる。また、被測定体TPが非磁性体である場合には、例えば、渦電流式膜厚計を用いることが可能である。
なお、黒体テープ3が重なっている部分については、例えば、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像(モノクロ画像)を演算装置2が具備するモニタ画面に表示して目視することで判断可能である。すなわち、図5に示すように、黒体テープ3が重なっている部分と重なっていない部分とでは濃淡の程度が異なるため、モニタ画面に表示された撮像画像を目視することで判断可能である。図5は、撮像画像の中央付近で2枚の黒体テープ3が重なっている例を模式的に示している。そして、例えば、モニタ画面上でマウス等のポインティングデバイスを用いて、撮像画像において黒体テープ3の重なっている部分と重なっていない部分とを手動で指示可能にし、重なっている部分の総厚みと重なっていない部分の厚みとを演算装置2に手動で入力すればよい。図5に示す例では、重なっていない部分の厚みtとして、t=t1が入力され、重なっている部分の厚みtとして、2枚分の厚みであるt=2・t1が入力される。これにより、演算装置2は、重なっている部分については、入力された総厚みt=2・t1に応じた補正係数CR(図5に示す例ではCR2)を選択し、重なっていない部分については、入力された厚みt=t1に応じた補正係数CR(図5に示す例ではCR1)を選択するように構成可能である。
したがい、本実施形態に係る応力分布測定方法によれば、被測定体TPの表面に黒色塗料を塗布することなく、非接触で実用可能な水準で応力分布の時間的変化を測定可能である。なお、応力分布の初期値を把握していれば、この初期値に応力分布の時間的変化を加算することで、所定時間経過後の応力分布の絶対値も測定可能である。
試験1として、図1に示す被測定体TPに、周波数が10Hzで、最大荷重が60.6[kN]、最小荷重が3.0[kN](応力比R=0.05、荷重変化ΔP=57.6[kN])の繰り返し荷重(引張荷重)を付加し、本実施形態に係る応力分布測定方法によって、溶接ビードBの端部B1における応力分布の時間的変化を測定した。試験1で用いた黒体テープ3の厚みt=0.14mmであり、補正係数CR=0.33とした。そして、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像中、後述の歪センサ4を取り付けた部位に相当する画素領域における平均的な応力の時間的変化Δσ’(補正前はΔσ)を算出した。また、被測定体TPの溶接ビードBの端部B1に歪センサ4を取り付け、上記と同じ条件の繰り返し荷重(周波数10Hz、最大荷重60.6[kN]、最小荷重3.0[kN])を付加して、応力の時間的変化ΔσTを算出した。
また、試験2として、図1に示す被測定体TPに、周波数が10Hzで、最大荷重が45.5[kN]、最小荷重が2.3[kN](応力比R=0.05、荷重変化ΔP=43.2[kN])の繰り返し荷重(引張荷重)を付加し、本実施形態に係る応力分布測定方法によって、溶接ビードBの端部B1における応力分布の時間的変化を測定した。試験2で用いた黒体テープ3の厚みt=0.14mmであり、補正係数CR=0.33とした。そして、赤外線撮像装置1で撮像した撮像画像中、後述の歪センサ4を取り付けた部位に相当する画素領域における平均的な応力の時間的変化Δσ’を算出した。また、被測定体TPの溶接ビードBの端部B1に歪センサ4を取り付け、上記と同じ条件の繰り返し荷重(周波数10Hz、最大荷重45.5[kN]、最小荷重2.3[kN])を付加して、応力の時間的変化ΔσTを算出した。
2・・・演算装置
3・・・黒体テープ
100・・・応力分布測定装置
TP・・・被測定体
Claims (5)
- 荷重が付加される被測定体の表面に黒体テープを貼り付ける第1手順と、
前記第1手順によって前記黒体テープが貼り付けられた前記被測定体の表面を赤外線撮像装置で撮像し、前記被測定体の温度分布の時間的変化を測定する第2手順と、
前記第2手順によって測定した前記被測定体の温度分布の時間的変化と、温度の時間的変化及び応力の時間的変化の間の所定の関係式とに基づき、前記被測定体の応力分布の時間的変化を算出する第3手順と、
前記黒体テープについて予め算出した補正係数を用いて、前記第3手順によって算出した前記被測定体の応力分布の時間的変化を補正する第4手順と、
を含むことを特徴とする応力分布測定方法。 - 前記第4手順で用いる補正係数は、前記黒体テープの厚みを変数とする関数で表わされ、
前記第4手順において、前記第1手順で貼り付けた黒体テープの厚みに応じた前記補正係数を選択し、該選択した補正係数を用いて補正することを特徴とする請求項1に記載の応力分布測定方法。 - 前記第1手順において、2枚以上の黒体テープが重なる部分を有するように、前記被測定体の表面に前記黒体テープを貼り付け、
前記第4手順において、前記2枚以上の黒体テープが重なっている部分については、前記2枚以上の黒体テープの総厚みに応じた前記補正係数を選択し、該選択した補正係数を用いて補正することを特徴とする請求項2に記載の応力分布測定方法。 - 前記第4手順で用いる補正係数をCRとし、前記黒体テープの厚みをtとした場合に、前記補正係数CRは、以下の式(1)で表わされ、
前記第4手順において、前記第3手順によって算出した前記被測定体の応力分布の時間的変化を前記補正係数CRで除算して補正することを特徴とする請求項2又は3に記載の応力分布測定方法。
CR=a・tb ・・・(1)
上記式(1)において、a、bは所定の定数である。 - 前記第4手順で用いる補正係数は、
試験体の表面に歪センサを取り付け、該歪センサが取り付けられた前記試験体に所定条件の荷重を付加して前記歪センサで歪の時間的変化を検出し、該検出した歪の時間的変化に基づき、前記試験体の前記歪センサが取り付けられた部位の応力の時間的変化を算出する第1準備手順と、
前記試験体の表面に前記黒体テープを貼り付け、該黒体テープが貼り付けられた前記試験体に前記所定条件と同一条件の荷重を付加して前記試験体の表面を前記赤外線撮像装置で撮像して前記試験体の温度分布の時間的変化を測定し、該測定した前記試験体の温度分布の時間的変化と、前記所定の関係式とに基づき、前記試験体の応力分布の時間的変化を算出し、該算出した前記試験体の応力分布の時間的変化から前記歪センサが取り付けられた部位と同じ前記試験体の部位の応力の時間的変化を抽出する第2準備手順と、
前記第2準備手順によって抽出した前記試験体の応力の時間的変化を前記補正係数を用いて補正したときに、前記第1準備手順によって算出した前記試験体の応力の時間的変化と合致するように、前記補正係数を決定する第3準備手順と、
によって算出されることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の応力分布測定方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016110399A JP6634959B2 (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 応力分布測定方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016110399A JP6634959B2 (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 応力分布測定方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017215258A JP2017215258A (ja) | 2017-12-07 |
JP6634959B2 true JP6634959B2 (ja) | 2020-01-22 |
Family
ID=60575612
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016110399A Active JP6634959B2 (ja) | 2016-06-01 | 2016-06-01 | 応力分布測定方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6634959B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7469661B2 (ja) | 2020-08-13 | 2024-04-17 | 日本製鉄株式会社 | スポット溶接継手に付加される荷重値推定方法 |
JP7469660B2 (ja) | 2020-08-13 | 2024-04-17 | 日本製鉄株式会社 | スポット溶接継手の内面応力評価方法及び熱弾性応力測定法の評価方法 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH06201623A (ja) * | 1993-01-07 | 1994-07-22 | Nikon Corp | 異種材料接合物の接合不良検査方法及び装置 |
JP5617547B2 (ja) * | 2010-11-10 | 2014-11-05 | 株式会社ジェイテクト | 応力測定方法 |
US20120026323A1 (en) * | 2011-06-24 | 2012-02-02 | General Electric Company | System and method for monitoring stress on a wind turbine blade |
JP6248706B2 (ja) * | 2014-03-03 | 2017-12-20 | 株式会社ジェイテクト | 応力分布計測装置及び応力分布計測方法 |
JP2017036978A (ja) * | 2015-08-10 | 2017-02-16 | 株式会社明電舎 | 応力計測装置及び応力計測方法 |
-
2016
- 2016-06-01 JP JP2016110399A patent/JP6634959B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017215258A (ja) | 2017-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6751342B2 (en) | System for generating thermographic images using thermographic signal reconstruction | |
EP2990775B1 (en) | Systems and methods for detecting crack growth | |
JP6485454B2 (ja) | 情報処理装置 | |
US7822268B2 (en) | Advanced processing of active thermography signals | |
Li et al. | Adopting lock-in infrared thermography technique for rapid determination of fatigue limit of aluminum alloy riveted component and affection to determined result caused by initial stress | |
JP6077042B2 (ja) | 切欠き係数推定方法、切欠き係数推定システム及び切欠き係数推定装置 | |
Dehnavi et al. | Utilizing digital image correlation to determine stress intensity factors | |
JP2009079984A (ja) | 渦流検査装置及び渦流検査方法 | |
JP2011080950A (ja) | 渦電流探傷装置及びその信号処理方法 | |
JPWO2016174926A1 (ja) | 画像処理装置及び画像処理方法及びプログラム | |
JP6634959B2 (ja) | 応力分布測定方法 | |
JP4610955B2 (ja) | 塑性変形による熱的影響度の測定方法及び装置 | |
US20120026323A1 (en) | System and method for monitoring stress on a wind turbine blade | |
Urbanek et al. | Influence of motion compensation on lock-In thermographic investigations of fatigue crack propagation | |
Bernasconi et al. | Fatigue crack growth analysis in composite bonded joints by back face distributed strain sensing and comparison with X-ray microtomography | |
JP2012088226A (ja) | 非破壊検査方法及び非破壊検査装置 | |
US20110260905A1 (en) | Millimeter Wave Imaging Apparatus | |
Jimenez-Fortunato et al. | Quantitative microbolometer-based thermoelastic stress analysis | |
JP6248706B2 (ja) | 応力分布計測装置及び応力分布計測方法 | |
KR101997993B1 (ko) | 미소 크랙 검사 장치 및 이를 이용한 미소 크랙 검사 방법 | |
Brooks et al. | Automated visual tracking of crack growth in coupon and component level fatigue testing using thermoelastic stress analysis | |
JP2017036978A (ja) | 応力計測装置及び応力計測方法 | |
JP7469661B2 (ja) | スポット溶接継手に付加される荷重値推定方法 | |
JP2020046215A (ja) | 評価装置及び評価方法 | |
JP4097079B2 (ja) | 欠陥検査方法およびその装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190206 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20191111 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191119 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191202 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6634959 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |