JP2017036978A - 応力計測装置及び応力計測方法 - Google Patents

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渡辺 広光
Hiromitsu Watanabe
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Abstract

【課題】赤外線サーモグラフィによる応力計測精度を向上する。【解決手段】試料2の表面温度を検出するサーモグラフィ3と、サーモグラフィ3からの信号に基づいて試料2にかかる応力を演算する演算部4と、を備える応力計測装置1である。演算部4は、予め定められた校正基準点において、ロードセル6からの荷重信号と試料2の形状(断面積)とに基づいて補正係数E’(すなわち、熱弾性係数k)を校正する。そして、校正された補正係数E’を用いて、サーモグラフィ3により計測された試料2の温度変化ΔTから試料2の応力変化量Δσを演算する。【選択図】図1

Description

本発明は、試料表面の温度変化に基づいて試料にかかる応力を計測する応力計測技術に関する。
物体が弾性変形し、体積変化することによって温度が変化する現象は熱弾性効果と呼ばれている。可逆的熱弾性効果の理論はKelvinによって定式化されており、熱弾性効果に基づく温度変化ΔTは、等方均質な線形弾性体に対して式(1)で表される(例えば、非特許文献1)。
Figure 2017036978
ここで、αは線膨張係数、ρは密度、Cpは定圧比熱、Tは絶対温度、ΔσSUMは主応力和(3方向の主応力の和)の変化量を示す。式(1)より赤外線サーモグラフィを用いて試料の温度変化ΔTを測定することにより、主応力和ΔσSUMを求めることができる。
ここで、熱弾性係数kを式(2)のように定義すると、主応力和ΔσSUMは、温度変化ΔTと熱弾性係数kとを用いて式(3)のように表される。
k=α/(ρ・Cp) …(2)
ΔσSUM=ΔT/(k・T) …(3)
したがって、図5に示すように予め試料の熱弾性係数kを求めておけば、試料表面の温度変化ΔTを応力変化量Δσに換算することができる(例えば、非特許文献3,4)。
特開平5−99736号公報 特開2001−116632号公報 特開2006−29963号公報 特開平10−274570号公報
田村栄一、外2名、"赤外線サーモグラフィによる応力評価に対する面曲げ変形の影響"、R&D神戸製鋼技報、Vol.57 No.2、2007年8月、p.78−81 西名慶晃、外2名、"高精度赤外線サーモグラフィを活用した各種測定技術(温度・応力・疲労・亀裂)とその応用"、JFE技報、No.27、2011年2月、p.9−14 "赤外線サーモグラフィによる熱弾性応力測定"、溶接学会誌、第72巻、第6号、2003年、pp.51 "配管の耐震試験における赤外線応力測定"、東京都立産業技術研究所研究報告、第3号、2000年
しかしながら、熱弾性効果による温度変化は微小であるため、例えば、照明や電子機器といった周囲の発熱源からの赤外線の放射の影響を大きく受けることとなる。つまり、式(1)や式(3)により算出される応力は、試料温度の計測精度に大きく依存するので、試料温度を計測する時に周囲を暗幕などで覆うか、特別な環境で計測を行う必要があった。
また、式(3)により応力を算出する場合、式(2)で示す熱弾性係数kを求める必要がある。熱弾性係数kの値は、ばらつきが大きく、また試料表面がコーティングされている場合など、熱放射率が異なる場合は定量化が困難となるおそれがある。
上記事情に鑑み、本発明は、赤外線サーモグラフィによる応力計測の計測精度向上を図ることを目的とする。
上記目的を達成する本発明の応力計測装置の一態様は、試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、前記演算部は、予め定められた校正基準点において、前記試料に異なる荷重が加えられたとき、前記試料に加えられた荷重と、当該荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の断面積と、に基づいて前記試料にかかる応力を算出して、前記異なる荷重が加えられたときに前記試料にかかる応力変化を算出し、算出された応力変化と、当該応力変化時に前記赤外線カメラによって計測される前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測装置の他の態様は、試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、前記演算部は、前記赤外線カメラにより計測された画像に基づいて、予め定められた校正基準点における、前記試料に加えられた荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の幅の変化量を算出し、算出された前記試料の幅の変化量をポアソン比に基づいて、前記荷重の付加方向の前記試料の長さの変化量に換算し、前記試料の長さの変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測装置の他の態様は、試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、前記演算部は、前記試料に荷重が加えられたときに、前記赤外線カメラにより計測された画像に基づいて、前記試料に予め設けられた一対のマーカ間の変化量を算出し、前記マーカ間の変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測装置の他の態様は、試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、前記演算部は、前記試料の熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された応力を、前記試料の形状変化に基づいて補正する補正手段と、前記算出手段により算出された応力と前記補正手段により補正された応力のうち選択された応力、または、前記算出手段により算出された応力と前記補正手段により補正された応力の両方の応力を表示させる表示手段と、を有することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測方法の一態様は、試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、前記試料に予め校正を行うための校正基準点を定め、前記校正基準点において前記試料に異なる荷重が加えられたとき、前記試料に加えられた荷重と、当該荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の断面積と、に基づいて前記試料にかかる応力を算出して、前記異なる荷重が加えられたときの前記試料にかかる応力変化を算出し、前記異なる荷重が加えられたときの前記試料の温度変化を計測し、計測された温度変化と前記応力変化とに基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測方法の他の態様は、試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、前記試料に予め校正を行うための校正基準点を定め、前記校正基準点において、前記試料に加えられた荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の幅の変化量を求め、当該試料の幅方向の変化をポアソン比に基づいて前記荷重の付加方向の前記試料の長さの変化量に換算し、当該試料の長さの変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測方法の他の態様は、試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、前記試料に、一対のマーカを設け、前記試料に荷重が加えられたときの前記マーカ間の変化量を計測し、前記マーカ間の変化量に基づいて、前記試料における応力変化を算出し、算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出することを特徴としている。
また、上記目的を達成する本発明の応力計測方法の他の態様は、試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、前記試料において計測された応力と、前記試料において計測された応力を前記試料の形状変化に基づいて補正した応力と、を表示することを特徴としている。
以上の発明によれば、赤外線サーモグラフィによる応力計測における計測精度が向上する。
本発明の第1実施形態に係る応力計測装置の概略を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る応力計測装置の概略を示す図である。 試験片の応力とひずみの関係を示す特性図である。 荷重の付加により変化する試験片の伸びと断面積を説明する説明図である。 熱弾性係数の一例を示す図である。
本発明の実施形態に係る応力計測装置及び応力計測方法について、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る応力計測装置1は、計測対象となる試料2の表面温度を検出するサーモグラフィ3と、サーモグラフィ3からの信号に基づいて試料2にかかる応力を演算する演算部4と、を備える。
サーモグラフィ3は、試料2の熱分布を画像として表す装置である。サーモグラフィ3は、例えば、赤外線カメラを備え、試料2表面から放出される赤外線を二次元配列された赤外線センサに入力して電気信号に変換し、この信号に基づいて試料2の温度分布画像を出力する。
試料2は、例えば、荷重を加える加振機(図示せず)のシリンダ5間に保持され、時間により変動する荷重(引張荷重及び圧縮荷重)が加えられる。加振機には、ロードセル6が設けられており、ロードセル6からの信号が荷重信号として演算部4に入力される。
演算部4では、予め定められた校正基準点において、ロードセル6からの荷重信号と試料2の形状とに基づいて試料2の補正係数E’を校正する。そして、校正された補正係数E’と式(4)に基づいて、サーモグラフィ3により計測された試料2の温度変化ΔTを、試料の応力変化量Δσに変換する。なお、補正係数E’(E’=(1/kT))を校正することは、実質的に試料2の熱弾性係数kを校正していることと同じである。また、校正基準点としては、試料2上の任意の部位であって、断面積が測定できて応力が均一にかかる部位が選択される。
Δσ=E’×ΔT …(4)
演算部4における補正係数E’の校正方法を具体的に説明する。
演算部4には、予め採寸等により計測された校正基準点における断面積A0が入力される。そして、演算部4において、式(5)を用いてロードセル6から入力された荷重信号Fに基づいて公称応力σが算出される。
σ=F/A0 …(5)
演算部4には、サーモグラフィ3で計測された校正基準点における試料2の最大温度と最小温度の両方の温度データが入力される。最大温度と最小温度の判定は、例えば、ロードセル6からの荷重信号を用いて行われる。つまり、試料2に最大荷重Fが付加されているときの試料2の温度を最大温度、最小荷重F’が付加されているときの試料2の温度を最小温度と判定することができる。
そして、演算部4では、入力された最大温度と最小温度の温度変化ΔTを式(4)に代入して、応力変化量Δσ(以後、式(4)で算定された応力と称する)が算出される。また、演算部4では、式(5)に基づいて、最大荷重Fが付加されているときの公称応力σと、最小荷重F’が付加されているときの公称応力σが算出され、最大荷重Fを付加したときと最小荷重F’を付加したときの応力差(以後、式(5)で算出された応力と称する)が求められる。
一般に、単純引張試験において、主応力(式(4)で算出された応力)は、式(5)で算出された応力と一致する。したがって、式(4)で算出された応力と式(5)で算出された応力とが異なる場合には、(5)式で算出された応力と一致するように補正係数E’が校正される。そして、校正された補正係数E’と、サーモグラフィ3により計測された試料2の温度変化ΔTに基づいて試料2(ターゲット部)の応力変化量Δσが算出される。なお、補正係数E’を校正した後は、必要に応じてターゲット部に焦点をあてて、応力変化量Δσを計測することができる。
以上のような本発明の第1実施形態に係る応力計測装置1によれば、応力と温度変化との比例関係(式(4))と、応力と荷重変化との比例関係(式(5))とを比較することで、熱弾性係数kの補正係数E’を校正することができる。このように補正係数E’を校正することで、試料2の表面状態や周囲の影響を考慮した応力計測が可能となる。その結果、特別な環境でなくとも試料2の応力計測が可能となり、応力計測コストを削減することができる。
また、熱弾性係数kは、式(2)に基づいて算定された値や、図5に示したような他の実験から算出された値であり、試料2の材質、試料2表面の放射率または試料2周辺の熱源の影響により異なる値となることが考えられる。つまり、応力自身は試料2等によって変化しないが、応力がかかった場合に発生する熱は試料2の違いや測定環境の違いにより変わることとなる。したがって、サーモグラフィ3を使って温度変化を測定し、応力を計測しようとする場合、試料2毎に(測定毎に)熱弾性係数k(または、補正係数E’)を補正する必要がある。
これに対して本発明の第1実施形態に係る応力計測装置1では、式(5)により算出された応力が式(4)で算出された応力と一致するように式(4)の補正係数E’を校正することで、応力計測装置1における応力の計測精度が向上する。つまり、既知の応力とサーモグラフィ3により求められる応力とを対比することで、高精度な測定が実施できる。
また、試料2の熱弾性係数kが不詳でも温度差が計測できれば、応力への定量化が可能であるため、応力の計測対象が広がる。
このように、事前に補正係数E’を測定し、テーブルを作成しておけば、稼働中の構造物の応力測定が可能となる。例えば、温度変化ΔTから応力変化Δσを求める場合、試料2の材質が変化した場合、その都度校正を行う必要があるが、材質毎の補正係数E’をテーブルとしておくことで、テーブルに基づいて異なる材料毎の応力測定を行うことができる。
[第2実施形態]
図2を参照して、本発明の第2実施形態に係る応力計測装置7について詳細に説明する。第2実施形態に係る応力計測装置7は、演算部4の処理が第1実施形態に係る応力計測装置1と異なる。よって、第2実施形態に係る応力計測装置7の説明では、第1実施形態に係る応力計測装置1と同様の構成については同じ符号を付し、演算部4の処理について詳細に説明する。
図2に示すように、第2実施形態に係る応力計測装置7は、計測対象となる試料2の表面温度を検出するサーモグラフィ3と、サーモグラフィ3からの信号に基づいて試料2にかかる応力を演算する演算部4と、を備える。
演算部4では、予め定められた校正基準点において、試料2に加わる荷重の付加方向に対して垂直方向(すなわち、試料2の幅または厚さ方向)の変位を計測し、幅または厚さ方向の変位から荷重の付加方向のひずみを求める。そして、荷重の付加方向のひずみからフックの法則に基づいて応力を算出し、式(4)の補正係数E’を校正する。そして、サーモグラフィ3により計測された試料2の温度変化ΔTと式(4)に基づいて試料2にかかる応力の計測を行う。
具体的に説明すると、サーモグラフィ3では、試料2の形状を計測することができるので、校正基準点における形状変化を定量化する。以後、試料2へ付加される荷重の付加方向を軸方向、軸方向に対して垂直方向を幅方向として説明する。ポアソン比νは、軸方向のひずみε1と幅方向のひずみε2を用いて式(6)で表される。
ν=|ε2/ε1| …(6)
荷重を付加していないときの試料2の幅をW0、荷重付加後の試料2の幅の変化量をΔWとすると、幅方向のひずみε2は式(7)で示される。
ε2=ΔW/W0 …(7)
また、軸方向のひずみε1は、式(8)と表される。なお、式(8)において、L0は、荷重を付加していないときの試料2の軸方向の長さであり、ΔLは、荷重付加後の試料2の軸方向の長さの変化量である。
|ε1|=ΔL/L0=|ε2|/ν …(8)
一方、フックの法則によれば、軸方向に作用する応力σは、縦弾性係数Eを用いて式(9)で表される。
σ=E・ε1 …(9)
したがって、縦弾性係数Eと軸方向のひずみε1とにより荷重を付加したときの応力変化量Δσが算出される。そして、式(9)を、式(7),(8)を用いて変形すると、式(10)となり、試料2の幅の変化量ΔWに基づいて、軸方向の応力変化量Δσを求めることができる。
Δσ=E・|ε1|=E・|ε2|/ν=E・|ΔW|/(W0・ν) …(10)
また、演算部4は、第1実施形態と同様に、最大温度と最小温度とが入力されているので、この温度変化ΔTと、式(10)により算出された応力変化量Δσから補正係数E’を校正する。そして、校正された補正係数E’と、サーモグラフィ3で計測された試料2の温度変化ΔTに基づいて試料2(ターゲット部)の応力変化量Δσを算出する。
なお、熱弾性効果により計測されたσは、公称応力であるので、荷重付加時の試料2の断面積Aに基づいて、公称応力を真の応力に換算してもよい。単純引張試験において、荷重が付加されていないときの試料2の断面積をA0とすると、荷重Fと公称応力σとの関係は、式(11)で表される。
σ=F/A0 …(11)
一方、荷重Fを加えることで、例えば、図3のB,Cに示すように試料2の断面積がAに変化したとすると(A0>A)、真の応力σ’は、式(12)で表されることとなる。
σ’=F/A …(12)
試料2にかかっている荷重Fが同じ場合、公称応力σと真の応力σ’との関係は、式(13)となり、
σ’=σ・A0/A …(13)
荷重付加後の試料2の断面積Aと、式(13)とに基づいて、公称応力σと真の応力σ’との換算や対比を行うことができる。例えば、演算部4が図示省略のディスプレイに公称応力σと真の応力σ’とを切替表示したり同時表示したりすることで、二つの応力の対比が可能となる。
なお、サーモグラフィ3では、試料2の形状が測定されるので、荷重付加後の試料2の形状をサーモグラフィ3により得られた画像から定量化し、定量化された値から荷重付加後の断面積Aが算出される。例えば、試料2の断面が幅W、厚さtの矩形である場合は、断面積Aは、A=W・tにより求められることとなる。画像が粗く計測精度が得られない場合は、撮像部分を複数に分割することで補うこともできる。
以上のような本発明の第2実施形態に係る応力計測装置7によれば、試料2の幅Wの変化または厚さtの変化とポアソン比に応じて真の応力を求め、求められた真の応力で補正係数E’を校正することができる。このように補正係数E’を校正することで、試料2の表面状態や周囲の影響を考慮した応力計測が可能となる。その結果、第1実施形態に係る応力計測装置1と同様に、計測コストが削減されるとともに、高精度の応力計測が可能となる。また、幅広い試料2の応力を計測することができる。
真の応力は、試料2の断面積を測定することで求める方法や、ひずみを計測する方法により求めることができる。なお、実施形態2に係る応力計測装置7では、フックの法則(式(9))に代入する軸方向のひずみε1を、幅方向のひずみε2に基づいて算出しているが、フックの法則に代入する軸方向のひずみε1を計測によって直接計測することもできる。
例えば、図4に示すように、試料2に一対のマーカ8(基準線)を付けて、マーカ8間の変動を計測することで、試料2の軸方向の変化量ΔL(ΔL=L−L’)を導出することができる。マーカ8間の変動は、例えば、特許文献1に記載さているようなマーカ8の振動を定量化する等の方法により求めることができる。そして、式(11)に基づいて応力変化量Δσを算出し、算出された応力変化量Δσで補正係数E’を校正することができる。つまり、試料2の軸方向の長さの変化を計測することで、軸方向のひずみε1を直接求めることができることとなる。
Δσ=E・(L−L’)/L0=E・|ε1| …(11)
0:荷重を付加していないときの試料2の軸方向の長さ
L:最大荷重を付加したときの試料2の軸方向の長さ
L’:最小荷重を付加したときの試料2の軸方向の長さ
Δσ:最大荷重を付加したときの応力と最小荷重を付加したときの応力の差
また、サーモグラフィ3を2以上備えると、3次元的な温度分布を計測できる。さらに、3次元座標のx軸方向とy軸方向から試料2の計測を行うと、試料2にz軸方向に荷重を作用させた場合、サーモグラフィ3から得られたデータに基づいて試料2の形状変化を容易に算出することができ、真の応力を精度よく計測することができる。すなわち、複数のサーモグラフィ3を用いることで、3次元的な温度分布を計測できるとともに、真の応力と補正係数E’から算出される応力の両者の画像データとを複合させて、高精度な3次元応力分布を計測することができる。なお、一つのサーモグラフィ3を移動させて多方面から試料2の温度分布を計測することで、サーモグラフィ3を複数備えた場合と同じ効果を得ることができる。
以上、具体的な実施形態を挙げて本発明の実施形態に係る応力計測装置及び応力計測方法について、詳細に説明したが、本発明の応力計測装置及び応力計測方法は、実施形態に限定されるものでなく、発明の特徴を損なわない範囲で設計変更が可能であり、設計変更された形態も本発明の技術範囲に属する。
例えば、各実施形態の処理方法の一部を用いて試料2の応力を計測する応力計測装置や、各実施形態の処理方法の一部を組み合わせて試料2の応力を計測する応力計測装置とすることもできる。具体的には、第1実施形態の応力計測装置1において、試料2の断面積を複数のサーモグラフィ3から得られる画像を解析することにより求める態様とすることもできる。
また、実施形態の説明では、単純引張試験における試料2の応力を計測しているが、本発明の応力計測装置及び応力計測方法は、引張(圧縮)荷重だけでなく、曲げ、ねじり荷重が作用している場合等の応力計測に適用することができる。つまり、引張試験では、荷重と断面積により応力σが算出でき、ひずみから荷重を換算することができる。また、曲げ試験では、モーメントと断面係数により曲げ応力σが算出でき、たわみ量から荷重を換算することができる。そして、ねじり試験ではトルクと断面係数からせん断(ねじり)応力が算出でき、回転角から荷重を換算することができる。
また、校正基準点は、試料2において応力が一定(空間的)で変化しないところであれば、適宜選択して校正基準点とすることができる。例えば、図1の試料2において、細くなっている部分を校正基準点とすることもできる。また、ひずみを計測するにあたり、図4では、無荷重・最大荷重・最小荷重としているが、基準点の選択は、この実施形態に限定されるものではない。例えば、初期状態では、必ずしも無荷重である必要はなく、ある程度の荷重がかかっている状態を、初期状態とすることもできる。また、引張荷重から圧縮荷重への変化だけでなく、引張荷重の中での最大/最小(若しくは、圧縮荷重の中での最大/最小)の試料2の長さの変化を検出してひずみを計測することもできる。
また、応力計測装置1または応力計測装置7での校正は、校正方法により、1回若しくは測定毎に校正が行われることとなる。例えば、温度変化ΔTから応力変化Δσを求める場合、試料2の形状が変わっても材料が同じであれば、温度変化ΔTから演算される応力変化Δσは同じとなる。したがって、表1に示すように、試料2を構成する材料が同じであれば、校正を1回行うことで、試料2にかかる応力変化Δσを演算することができる。一方で、断面積Aから応力σを求める場合、試料2の形状が変化すると断面積Aも変化することとなるので、応力σの算出は、その都度必要となる。ただし、断面積Aから応力σを求める場合、試料2を構成する材料が変わっても再計測は必要ない。
Figure 2017036978
また、本発明の応力計測装置及び応力計測方法は、実施形態の試験に適用することに限定するものではなく、例えば、図5に示した金属試験片や金属管の他に、ボルトや金属ベルトを用いた装置等のベルトにかかる応力測定に適用することができる。また、稼働中の構造物に対して適用することで、非接触で応力計測が可能となり、安全性や寿命診断や破損の検出を行うことができる。
1,7…応力計測装置
2…試料
3…サーモグラフィ(赤外線カメラ)
4…演算部
5…シリンダ
6…ロードセル
8…マーカ

Claims (9)

  1. 試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、
    前記演算部は、
    予め定められた校正基準点において、前記試料に異なる荷重が加えられたとき、前記試料に加えられた荷重と、当該荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の断面積と、に基づいて前記試料にかかる応力を算出して、前記異なる荷重が加えられたときに前記試料にかかる応力変化を算出し、
    算出された応力変化と、当該応力変化時に前記赤外線カメラによって計測される前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測装置。
  2. 試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、
    前記演算部は、
    前記赤外線カメラにより計測された画像に基づいて、予め定められた校正基準点における、前記試料に加えられた荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の幅の変化量を算出し、
    算出された前記試料の幅の変化量をポアソン比に基づいて、前記荷重の付加方向の前記試料の長さの変化量に換算し、
    前記試料の長さの変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、
    算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測装置。
  3. 試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、
    前記演算部は、
    前記試料に荷重が加えられたときに、前記赤外線カメラにより計測された画像に基づいて、前記試料に予め設けられた一対のマーカ間の変化量を算出し、
    前記マーカ間の変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、
    算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測装置。
  4. 試料表面の温度変化を計測する赤外線カメラと、
    前記赤外線カメラの計測データに基づいて、前記試料にかかる応力を演算する演算部と、を有する応力計測装置であって、
    前記演算部は、前記試料の熱弾性係数と、前記赤外線カメラによって計測された前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された応力を、前記試料の形状変化に基づいて補正する補正手段と、
    前記算出手段により算出された応力と前記補正手段により補正された応力のうち選択された応力、または、前記算出手段により算出された応力と前記補正手段により補正された応力の両方の応力を表示させる表示手段と、を有する
    ことを特徴とする応力計測装置。
  5. 前記赤外線カメラを複数台設ける
    ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の応力計測装置。
  6. 試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、
    前記試料に予め校正を行うための校正基準点を定め、
    前記校正基準点において前記試料に異なる荷重が加えられたとき、前記試料に加えられた荷重と、当該荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の断面積と、に基づいて前記試料にかかる応力を算出して、前記異なる荷重が加えられたときの前記試料にかかる応力変化を算出し、
    前記異なる荷重が加えられたときの前記試料の温度変化を計測し、計測された温度変化と前記応力変化とに基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測方法。
  7. 試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、
    前記試料に予め校正を行うための校正基準点を定め、
    前記校正基準点において、前記試料に加えられた荷重の付加方向に対して垂直方向の前記試料の幅の変化量を求め、当該試料の幅方向の変化をポアソン比に基づいて前記荷重の付加方向の前記試料の長さの変化量に換算し、
    当該試料の長さの変化量に基づいて、前記試料にかかる応力変化を算出し、
    算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測方法。
  8. 試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、
    前記試料に、一対のマーカを設け、
    前記試料に荷重が加えられたときの前記マーカ間の変化量を計測し、
    前記マーカ間の変化量に基づいて、前記試料における応力変化を算出し、
    算出された応力変化と、前記荷重が加えられたときの前記試料の温度変化と、に基づいて、前記試料の熱弾性係数を校正し、
    校正された熱弾性係数と前記試料の温度変化とに基づいて、前記試料にかかる応力を算出する
    ことを特徴とする応力計測方法。
  9. 試料に荷重が加えられたときの前記試料の温度変化に基づいて、前記試料にかかる応力を計測する応力計測方法であって、
    前記試料において計測された応力と、前記試料において計測された応力を前記試料の形状変化に基づいて補正した応力と、を表示する
    ことを特徴とする応力計測方法。
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