JP6442869B2 - ハードコートフィルム、並びにこれを用いた表示素子の前面板及び表示装置、並びに薄型ハードコートフィルムの塗膜の耐剥離性の改良方法 - Google Patents
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Description
しかし、特許文献1で用いているシクロオレフィンポリマーは元々脆く靭性に欠けるものであるが、薄型化した場合に該問題が深刻化してしまう。
一方、特許文献2で用いているポリエステル樹脂は靭性や剛性等の物理的強度に関しては問題ないが、高いリタデーションと薄膜化との両立が困難であった。
具体的には、延伸ポリエステルフィルム(PET、PEN等)を用いて鋭意研究を行った。延伸ポリエステルフィルムは、異方性が大きいため、1/4波長を確保しつつ、厚み4〜12μmという薄型化を可能とするものであり、さらに耐溶剤性や柔軟性に優れ、加工適性にも優れるものである。
しかしながら、該ポリエステルフィルム上にハードコート層を設けた場合、プライマー層を有する場合であっても、該ポリエステルフィルム上の塗膜(ハードコート層等)が剥離する現象が生じた。
そしてさらに研究を重ねた結果、厚い基材ではハードコート層が硬化収縮する際に生じる応力を基材が緩和していたものの、薄い基材では該応力を殆ど緩和できず、その結果、基材と塗膜界面にかかる応力が大きくなったことが、ハードコート層のみならず基材上の塗膜全体が剥離する結果につながる原因であることを見出した。
すなわち、本発明のハードコートフィルム、並びにこれを用いた表示素子の前面板及び表示装置、並びに薄型ハードコートフィルムの塗膜の耐剥離性の改良方法は以下の[1]〜[15]のとおりである。
(カール値)
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
[3]前記電離放射線硬化性樹脂Bが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メタ)アクリレートモノマーを含む、上記[2]に記載のハードコートフィルム。
[4]前記ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂A及び熱可塑性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなる、上記[1]〜[3]の何れかに記載のハードコートフィルム。
[5]前記熱可塑性樹脂Aが、分子中に反応性官能基を有さない熱可塑性樹脂である、上記[4]に記載のハードコートフィルム。
[6]前記熱可塑性樹脂Aが、ポリメチルメタクリレートである、上記[4]又は[5]に記載のハードコートフィルム。
[7]前記ハードコート層形成組成物中における電離放射線硬化性樹脂Aと熱可塑性樹脂Aとの質量比が、5:5〜9:1である上記[4]〜[6]の何れかに記載のハードコートフィルム。
[9]前記一以上の樹脂層として、前記延伸ポリエステルフィルム側から、前記プライマー層、熱可塑性樹脂層及びハードコート層をこの順に有する、上記[8]に記載のハードコートフィルム。
[10]前記熱可塑性樹脂層が熱可塑性樹脂Bを含有してなり、該熱可塑性樹脂層Bは分子中に反応性官能基を有さない熱可塑性樹脂である、上記[8]又は[9]に記載のハードコートフィルム。
[11]前記熱可塑性樹脂層が導電剤を含有し、前記ハードコート層が導通微粒子を含有し、前記熱可塑性樹脂層と前記ハードコート層表面とが導通してなる、上記[8]〜[10]の何れかに記載のハードコートフィルム。
[12]前記ハードコート層表面からアース処理がされてなる、上記[11]に記載のハードコートフィルム。
[14]表示素子の前面に、上記[1]〜[12]の何れかに記載のハードコートフィルムを有してなる、表示装置。
[15]厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下である延伸ポリエステルフィルム上に、ハードコート層を含む一以上の樹脂層を有してなり、前記ハードコート層は電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなるハードコートフィルムを作製する際に、前記ハードコート層を電離放射線硬化性樹脂を含むハードコート層形成組成物から形成し、前記一以上の樹脂層として下記条件で測定するカール値が14mm以下となるものを選択し、かつ、[延伸ポリエステルフィルムの厚み]/[ハードコート層の厚み]の比を0.7〜4.0とする、薄型ハードコートフィルムの塗膜の耐剥離性の改良方法。
[カール値]
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
本発明のハードコートフィルムは、厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下である延伸ポリエステルフィルム上に、ハードコート層を含む一以上の樹脂層(以下、単に「樹脂層」と称する場合もある)を有してなり、前記ハードコート層は電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなり、前記一以上の樹脂層が下記条件で測定するカール値が14mm以下であり、かつ、[延伸ポリエステルフィルムの厚み]/[ハードコート層の厚み]の比が0.7〜4.0であるものである。
(カール値)
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
本発明のハードコートフィルムは、上述のように用いられることから、通常のハードコートフィルムに求められる性能である硬度はそれほど重要視されない。なお、工程上の不都合をなくすために、剛性及び靭性は良好にすることが好ましい。
延伸ポリエステルフィルムとしては、厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下のものを用いる。
このような薄い延伸ポリエステルフィルム上にハードコート層等の樹脂層を形成した場合、上述のように、延伸ポリエステルフィルムがハードコート層の収縮による応力を緩和することができず、該フィルム上に形成したハードコート層等の樹脂層が全て剥離してしまう。しかし、樹脂層が後述のカール値の条件を満たすことにより、耐剥離性を良好にすることができる。
なお、シクロオレフィンポリマー及びポリカーボネートを用いた場合でも、厚みが4〜12μmであり、550nmの位相差が80〜170nm程度の略1/4波長位相差フィルムを得ることができる。しかし、シクロオレフィンポリマーは極めて脆いため使用に耐えず、ポリカーボネートは耐溶剤性に劣るため、基材厚みが薄すぎると樹脂層を塗工する際に、溶剤及び張力によって基材が破断する可能性があり使用に耐えない。
配向度とは、延伸ポリエステルフィルムの表面配向パラメータYの最大値をYmax、最小値をYminとしたとき、Ymax/Yminで表される値である。表面配向パラメータYは、配向パラメータとして、延伸ポリエステルフィルム表面を10°ごとに面内回転させて測定したFTIR−S偏光ATR法の1回反射スペクトル上で、1340cm-1における吸収強度(I1340)と1410cm-1における吸収強度(I1410)との比[I1340/I1410]により求めることができる。より具体的には実施例に記載の方法で求めることができる。
延伸ポリエステルフィルムの配向度は、縦延伸(配向軸方向の延伸)と横延伸の倍率差に相関する。すなわち、縦延伸及び横延伸の倍率差を小さくすると配向度を小さくでき、縦延伸及び横延伸の倍率差を大きくすると配向度を大きくできる。
また、延伸ポリエステルフィルムの550nmの位相差は、延伸倍率を上げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を大きくすること等により大きくすることができ、延伸倍率を下げたり、縦延伸と横延伸との倍率差を小さくすること等により小さくすることができる。
紫外線吸収剤の含有量は、延伸ポリエステルフィルム中の3〜15質量%程度である。
延伸ポリエステルフィルムに剥離可能な基材を積層するタイミングは、ハードコート層等の樹脂層を形成する前であってもよいし、形成する後であってもよいが、樹脂層の耐剥離性の観点からは、樹脂層を形成する前が好ましい。
剥離可能な基材は、樹脂層の形成後、あるいはハードコートフィルムを所定の幅にスリット後、あるいはハードコートフィルムを所定の大きさに断裁した後、あるいはハードコートフィルムを偏光板等の被着体に貼り合わせた後に、延伸ポリエステルフィルムから剥離すればよい。
厚みが4〜12μm以下、配向度が2.0以下の延伸ポリエステルフィルムは、偏光サングラスによる視認性を良好にするとともに、薄型化を図ることができるものの、ハードコート層等の樹脂層を設けた場合に、樹脂層が剥離するという問題がある。そこで、本発明は、ハードコート層を含む一以上の樹脂層が所定の条件を満たすものとして、樹脂層の剥離を防止している。
具体的には、本発明では、ハードコート層を含む一以上の樹脂層が、下記条件で測定するカール値が14mm以下であるものである。該カール値は10μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましい。
(カール値)
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
また、上記カール値の測定において、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂層に対しては、該樹脂層を硬化するのに必要な量の電離放射線を照射すればよい。電離放射線硬化性樹脂を含む層が複数存在する場合、個々の層を形成した直後(別の層を形成する前)に硬化に必要な量の電離放射線を照射する。通常50〜200mJ/cm2の照射量であれば、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂層を硬化できる。
また、カール値の算出する際は、10個のサンプルのカール値を測定し、その平均をカール値とする。
一以上の樹脂層は、少なくともハードコート層を含む。また、一以上の樹脂層として、ハードコート層の他に、後述するプライマー層及び/又は熱可塑性樹脂層を含むことが好ましい。プライマー層及び熱可塑性樹脂層は、延伸ポリエステルフィルムとハードコート層との間に位置する。また、プライマー層及び熱可塑性樹脂層を同時に有する場合、延伸ポリエステルフィルム上に、プライマー層、熱可塑性樹脂層及びハードコート層をこの順に有することが好ましい。
上述のように、本発明のハードコートフィルムは必ずしも最表面で用いるものではない。したがって、本発明におけるハードコート層は通常のハードコート層とは異なる性能が重要視される。具体的には、ハードコートフィルムの耐剥離性が良好になるようにハードコート層を構成することが最重視される。また、ハードコートフィルムの耐剥離性を良好にしつつ、剛性及び靭性が良好となるようにハードコート層を構成することが好ましく、さらに必要に応じて硬度が良好になるようにハードコート層を形成することがより好ましいい。このようなハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成することができる。
電離放射線硬化性樹脂Aは、電離放射線の照射により硬化物を形成するものであり、重合性モノマーや重合性オリゴマー等を用いることができる。
重合性モノマーは、ハードコートフィルムの硬度及び剛性を向上する傾向がある。一方、重合性オリゴマーは、ハードコートフィルムの耐剥離性及び靭性を損なわない傾向がある。したがって、本発明のハードコートフィルムで最重要視する耐剥離性の観点からは、重合性オリゴマーを用いることが好ましく、さらに硬度及び剛性を付与する観点からは、重合性オリゴマー及び重合性モノマーを併用することが好ましい。
重合性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。これら重合性モノマー又はオリゴマーは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(a)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なお、(a)水酸基を含有する(メタ)アクリレートモノマーとして、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート等のような低官能の(メタ)アクリレートモノマーを用いることにより、耐剥離性及び靭性をより良好にすることができる。また、(a)水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーとして、多官能と、低官能とを併用することにより、硬度及び剛性と、耐剥離性及び靭性とのバランスを良好にできる点で好適である。その際、水酸基を有する多官能の(メタ)アクリレートモノマーと、水酸基を有する低官能の(メタ)アクリレートモノマーとを、8:2〜6:4の質量割合で併用することが好適である。
(b)イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、硬度や組成物の粘度調整等のために、さらに単官能(メタ)アクリレートモノマーを用いてもよい。単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、グリシジルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−アクリロイルオキシエチルサクシネート等が挙げられる。
また、重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましく、1,100〜3,000であることがさらに好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α−アシルオキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合障害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等が挙げられる。
なお、ハードコートフィルムが後述の熱可塑性樹脂層を有する場合、ハードコート層中の熱可塑性樹脂は、密着性の観点から、熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂と同種のものとすることが好ましい。
なお、以下、導電性を付与した熱可塑性樹脂層上に、導通微粒子を含有するハードコート層を有するハードコートフィルムを、「導電性ハードコートフィルム」と称する場合もある。また、導電性を付与した熱可塑性樹脂層を「第一導電層」、導通微粒子を含有するハードコート層を「第二導電層」と称する場合もある。
また、タッチパネル付きの液晶表示装置においては、人体が接触する機会が多い。従来のタッチパネルは、液晶表示素子上にタッチパネルを設置してなり、タッチパネルの構成部材が導電性を有していたため、操作時の液晶表示素子の白濁の問題はなかった。しかし、近年登場したインセルタッチパネルは液晶表示素子中にタッチパネル機能を組み込んでいるため、液晶表示素子上で生じた静電気を逃がすことができず、白濁の問題がある。ここで、導電性ハードコートフィルムをインセルタッチパネル液晶素子上に設置することにより、白濁を防止できる点で好適である。
コア微粒子としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ微粒子、酸化ケイ素微粒子等の無機微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等のポリマー微粒子、有機質無機質複合体粒子等の微粒子が挙げられる。また、導電性被覆層を構成する材料としては特に限定されず、Au、Ag、Cu、Al、Fe、Ni、Pd、Pt等の金属又はこれらの合金、酸化錫(SnO2)、酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、フッ素化酸化スズ(FTO)、ZnO等の金属酸化物が挙げられる。
このような導通微粒子の中でも、第一導電層からの導通を良好にする観点から、コア粒子を金で被覆した金メッキ微粒子が好適である。
この場合、熱可塑性樹脂層(第一導電層)上の表面抵抗率は、1.0×108〜2.0×109Ω/□であることが好ましい。熱可塑性樹脂層(第一導電層)の表面抵抗率が1.0×108Ω/□未満であると、仮にハードコート層(第二導電層)を積層した状態での表面抵抗率が1.0×108Ω/□以上であったとしても、静電容量式タッチパネルの動作性に悪影響が生じやすくなる。また、熱可塑性樹脂層の表面抵抗率が2.0×109Ω/□を超えると、ハードコート層を積層した状態での表面抵抗率を2.0×109Ω/□以下とすることができず、液晶画面の白濁を効果的に防止できなくなる。
ハードコート層の厚みは、上記比率を満たす範囲であれば特に制限されないが、2〜10μmであることが好ましい。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層より延伸ポリエステルフィルム側に熱可塑性樹脂層を有することが好ましい。熱可塑性樹脂層は、ハードコート層と密着し、また、ハードコートフィルムが後述のプライマー層を有する場合はプライマー層とも密着することによって、耐剥離性を良好にし得るものである。また、上述したように、熱可塑性樹脂層に導電性を付与して第一導電層とした場合、第二導電層との相乗作用で、ハードコートフィルムの強度を十分にしつつ、導電性を付与することができる。
熱可塑性樹脂層で用いる熱可塑性樹脂Bは、ハードコート層に含有する熱可塑性樹脂Aとして例示したものと同様のものを用いることができる。熱可塑性樹脂Bの好適な態様は、熱可塑性樹脂Aの好適な態様と同様である。
例えば、熱可塑性樹脂層の熱可塑性樹脂Bは、分子中に反応性官能基を有さないことが好ましく、また、側鎖を有するものであることが好ましい。分子中に反応性官能基を有さないことにより、該反応性官能基が反応して熱可塑性樹脂層に硬化収縮が生じることによって、経時的に表面抵抗率等の物性が変化したり、耐剥離性の低下を防止することができる。また、側鎖を有することにより、該側鎖が立体障害となって熱可塑性樹脂層中で他の成分が動き難くなり、表面抵抗率等の物性の経時安定性を優れたものとすることができる。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、電離放射線硬化性樹脂Aで例示したものを用いることができる。
導電剤としては、第4級アンモニウム塩、リチウム塩等のイオン伝導型導電剤、金属微粒子、金属酸化物微粒子、カーボンナノチューブ、コーティング微粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン系粒子等の電子伝導型導電剤が挙げられ、湿度による影響を受けにくい電子伝導型導電剤が好適に使用される。また、電子伝導型導電剤の中でも、長期保管、耐熱性、耐湿熱性、耐光性が良好である、という観点から金属酸化物微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子を構成する金属酸化物としては特に限定されず、例えば、酸化錫(SnO2)、酸化アンチモン(Sb2O5)、アンチモン錫酸化物(ATO)、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、フッ素化酸化スズ(FTO)、ZnO等が挙げられる。
コーティング微粒子としては特に限定されず、例えば、コア微粒子の表面に導電性被覆層が形成された構成の従来公知の微粒子が挙げられる。コア微粒子としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ微粒子、酸化ケイ素微粒子等の無機微粒子、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等のポリマー微粒子、有機質無機質複合体粒子等の微粒子が挙げられる。また、導電性被覆層を構成する材料としては特に限定されず、例えば、上述した金属又はこれらの合金や、上述した金属酸化物等が挙げられる。
なお、ハードコート層及び熱可塑性樹脂層の厚みは、断面を電子顕微鏡(例えば、SEM、TEM、STEM等)を用いて観測し、測定した値である。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層よりも延伸ポリエステルフィルム側にプライマー層を有することが好ましい。プライマー層は、延伸ポリエステルフィルムに接して形成されていることが好ましい。
プライマー層を設ける場合、電離放射線硬化性樹脂Bを含むプライマー層形成組成物から形成することが好適である。通常、プライマー層としては、密着性や塗膜の収縮によるカール防止の観点から、熱可塑性樹脂を用いることが多い(例えば、特開平5−186621号公報、特開平11−42751号公報、特開平11−300918号公報、特開平11−300928号公報)。特に、本発明のように基材の厚みが薄い場合、カールが発生しやすいことから、硬化性樹脂(特に電離放射線硬化性樹脂)の使用は避けられる傾向にある。しかし、本発明者らは、あえて電離放射線硬化性樹脂を用いることによって、ポリエステルフィルムからの樹脂層の剥離を防止しやすくすることができることを見出した。この理由は、プライマー層に電離放射線硬化性樹脂を用いた場合、プライマー層の架橋性が良好となり、プライマー層上に他の層を形成する際のリコート性を良好にできるためと考えられる。
また、本発明では、電離放射線硬化性樹脂Bを含むプライマー層形成組成物からプライマー層を形成することにより、導電性ハードコートフィルムの導電性を良好にすることができる。これは、プライマー層が電離放射線によって十分に架橋することにより、第一導電層がプライマー層と混ざり合うことが防止されるためと考えられる。
多官能ポリエステル(メタ)アクリレートモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能ポリエステル(メタ)アクリレートモノマーの分子量は、1,000未満が好ましく、200〜800がより好ましい。
導電性ハードコートフィルムは、表示装置の不具合を適切に防止するために、第二導電層表面からアース処理を行うことが好ましい。
導電性ハードコートフィルムを各種表示素子上に設置する場合、他の部材(偏光板等)と貼り合わせて用いることがあり、その際、第二導電層が表面に露出しなくなる場合がある。したがって、表示素子上に設置する前に、第二導電層表面からアース処理を行うことが好ましい。
アース処理は、第二導電層の表面の1箇所であってもよいし、複数個所であってもよい。また、他の導電性部材は、光学特性に影響を与えない観点から、ハードコートフィルムの有効面積外(画像を視認できる範囲外)の場所となる、第二導電層の外縁や、ハードコートフィルムの系外に設置することが好ましい。
第二導電層上の導電性接着材料の面積は1mm2〜1cm2とすることが好ましい。該面積を1mm2以上とすることにより、第二導電層中の複数の導通微粒子が導電性接着材料に接触し、アース処理をより有効なものとすることができ、該面積を1cm2以下とすることにより、外側からアース部分を視認出来ないようにできる。
このような他の導電性部材としては、ケイ素、炭素、鉄、アルミニウム、銅、金、銀や、ニクロム等の合金等が挙げられる。
本発明のハードコートフィルムの層構成は、例えば、以下(1)〜(8)のものが挙げられる。なお、「/」は層の界面を示す。
(1)延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/熱可塑性樹脂層(非導電性)/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(2)延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(3)延伸ポリエステルフィルム/熱可塑性樹脂層(非導電性)/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(4)延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/熱可塑性樹脂層(第一導電層)/ハードコート層(第二導電層)
(5)剥離可能なフィルム/接着剤層/延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/熱可塑性樹脂層(非導電性)/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(6)剥離可能なフィルム/接着剤層/延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(7)剥離可能なフィルム/接着剤層/延伸ポリエステルフィルム/熱可塑性樹脂層(非導電性)/ハードコート層(導通微粒子非含有)
(8)剥離可能なフィルム/接着剤層/延伸ポリエステルフィルム/プライマー層/熱可塑性樹脂層(第一導電層)/ハードコート層(第二導電層)
なお、各種表示素子の前面板用部材や、タッチパネルの構成部材等として本発明のハードコートフィルムを用いる場合、取り扱い性の観点から、偏光板、位相差板等の他の部材と貼り合わせて用いることが好ましい。例えば、液晶表示素子の前面板に用いる場合、本発明のハードコートフィルムと偏光板とを貼り合わせることが好ましい。偏光板と本発明のハードコートフィルムとを貼り合わせることにより、本発明のハードコートフィルムを偏光板保護フィルムとして作用させることができ、表示装置をより一層薄型化することができる。本発明のハードコートフィルムを偏光板等の他の部材に貼り合わせる際の向きは特に限定されないが、導電性ハードコートフィルムの場合、導電性の経時的安定性の観点から、ハードコートフィルムのハードコート層側を偏光板等の他の部材と貼り合わせることがより好ましい。
本発明の表示装置は、表示素子の前面に、本発明のハードコートフィルムを有してなるものである。
表示素子としては、液晶表示素子、インセルタッチパネル液晶表示素子、EL表示素子、プラズマ表示素子等が挙げられる。
インセルタッチパネル液晶素子は、2枚のガラス基板に液晶を挟んでなる液晶素子の内部に、抵抗膜式、静電容量式、光学式等のタッチパネル機能を組み込んだものである。なお、インセルタッチパネル液晶素子の液晶の表示方式としては、IPS方式、VA方式、マルチドメイン方式、OCB方式、STN方式、TSTN方式等が挙げられる。
インセルタッチパネル液晶素子は、例えば、特開2011−76602号公報、特開2011−222009号公報に記載されている。
(1)表示素子/ハードコートフィルム/位相差板/偏光板
(2)表示素子/位相差板/偏光板/ハードコートフィルム
(3)表示素子/位相差板/ハードコートフィルム/偏光板
上記(1)〜(3)の態様において、最表面には、ガラス板やプラスチック板等の表面保護板を設置することが好適である。各部材間は接着剤等で接着されていることが好ましい。
本発明の薄型ハードコートフィルムの塗膜密着性の改良方法は、厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下である延伸ポリエステルフィルム上に、ハードコート層を含む一以上の樹脂層を有するハードコートフィルムを作製する際に、前記ハードコート層を電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成し、前記一以上の樹脂層として下記条件で測定するカール値が14mm以下となるものを選択し、かつ、[延伸ポリエステルフィルムの厚み]/[ハードコート層の厚み]の比を0.7〜4.0とするものである。
[カール値]
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
実施例及び比較例で用いた二軸延伸ポリエステルフィルムA〜Cの配向度を、UVIR FTS600(Bio−Rad社製、FT−IR)を用いて、下記の方法で測定した。
二軸延伸ポリエステルフィルムの配向度は、配向パラメータYより定義し、配向パラメータYの測定は、FTIR−S偏光ATR法の1回反射における赤外線吸収スペクトル解析により行った。
すなわち、二軸延伸ポリエステルフィルムの測定面を1回反射ATR付属装置にセットし、1回反射のスペクトルを測定し、ベースラインを適正化した後に1340cm-1における吸収強度(I1340) と1410cm-1における吸収強度(I1410)とを数値化する。ここで、1340cm-1の吸収バンドは、ωCH2縦揺れ振動で、トランス体の存在を示し、その強度はトランス体の濃度、すなわちポリエステル分子が伸張された、配向の強い状態を定量的に示すものである。1410cm-1の吸収バンドは、C=C伸縮振動で、面内回転での吸収強度が一定となるために、基準バンドとして吸収強度の規格化を実施するためのものである。また、配向パラメータYは式で表され、配向分布は、二軸延伸ポリエステルフィルムの配向軸方向を起点として、10°毎に面内回転させ、0°〜170°の範囲でそれぞれ同様に測定する。二軸延伸ポリエステルフィルムの配向軸の方向は、光源の上に、偏光板iと偏光板iiとがクロスニコル状態となるように設置し、さらに偏光板iとiiとの間に二軸延伸ポリエステルフィルムを設置し、該ポリエステルフィルムを回転させて最も輝度が低くなった時の偏光板iiの吸収軸と平行な方向を該ポリエステルフィルムの配向軸方向とした。
Y=I1340/I1410
このようにして測定した18点の配向パラメータYの中での最大値をYmax、最小値をYminとして、Ymax/Yminを二軸延伸ポリエステルフィルムの配向度とした。
各実施例及び比較例の一以上の樹脂層について、カール値を測定した。
厚み25μm、配向度1.5の二軸延伸ポリエステルフィルム上に、各実施例及び比較例と同様の条件で一以上の樹脂層を構成する各層を形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。10個のサンプルのカール値を測定し、その平均をカール値とした。
実施例及び比較例のハードコートフィルムの一以上の樹脂層の基材からの剥離の程度を目視で評価した。樹脂層の80%以上の面積が基材から剥離せず密着しているものを◎、50%以上80%未満の面積が剥離せず密着しているものを〇、剥離せず密着している面積が50%未満のものを×とした。
液晶素子上に、実施例及び比較例のハードコートフィルムを、厚み20μmの接着層(b)を介して貼り合わせ、画面を白表示もしくは略白表示にして、市販の偏光サングラス越しに、もしくは偏光板越しに様々な角度から目視で虹模様のムラが視認できるかどうかを評価した。
○:虹模様が視認できない
×:虹模様が視認される
ハードコート層表面を、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間調湿した後、JIS S−6006に規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K5600−5−4(1999)に規定する鉛筆硬度評価方法に従い、4.9Nの荷重にて、ハードコート層表面の鉛筆硬度を測定した。
JIS K6911に基づき、ハードコートフィルム(実施例5のハードコートフィルムは除く)製造直後のハードコート層の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。高抵抗率計ハイレスターUP MCP−HT450(三菱化学社製)を用い、プローブにはURSプローブ MCP−HTP14(三菱化学社製)を使用、温度25±4℃、湿度50±10%の環境下で500Vの印加電圧にて表面抵抗率(Ω/□)の測定を実施した。
<表面抵抗率の経時安定性>
ハードコートフィルム(実施例5のハードコートフィルムは除く)を80℃で100時間保持した後のハードコート層の表面抵抗率(Ω/□)を測定し、(80℃100時間保持後の表面抵抗率)/(製造直後の表面抵抗率)の比を算出した。また、ハードコート層の表面を100gの荷重をかけたスチールウール(No.0000)で10往復(ストローク100mm)擦り、ハードコート層表面に擦傷痕が視認されるか否かについて目視で確認した。その結果、前記比が0.5以上3未満でかつ擦傷痕が観察されないものを「◎」、前記比が0.5以上3未満であるが擦傷痕が観察されたものを「〇」とした。
以下の二軸延伸ポリエステルフィルムを準備した。
・二軸延伸ポリエステルフィルム1(厚み10μm、配向度1.1、波長589.3nmの位相差110nm)
・二軸延伸ポリエステルフィルム2(厚み5μm、配向度0.8、波長589.3nmの位相差185nm)
・二軸延伸ポリエステルフィルム3(厚み38μm、配向度2.1、波長589.3nmの位相差1275nm)
温度計、冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、イソホロンジイソシアネート(ダイセルヒュルス社製、IPDI)10.6部、溶剤としてN−メチルピロリドン10.0部、酢酸エチル20.0部を加え、40℃以下に保ちながら滴下ロートよりN,N´−ジメチルアミノプロピルアミン1.1部を20分かけて滴下した。その後、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業社製、ビスコート300)38.3部及び触媒としてオクチル酸スズ0.0001部を加え80℃に昇温し、2時間保温しウレタン化反応を続け、ウレア変性されたウレタンアクリレートオリゴマーA1を得た(重量平均分子量1,300、平均官能基数6)。
(1)プライマー層の形成
二軸延伸ポリエステルフィルム1上に、下記の処方からなるプライマー層形成組成物Xを、スリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが0.25μmとなるように塗布し、60℃で2分乾燥し、照射量150mJ/cm2で紫外線照射し、プライマー層を形成した。
<プライマー層形成組成物X>
多官能ウレタンアクリレートオリゴマー、ペンタエリスリトールトリアクリレート、及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(日本合成化学工業株式会社製、UV5501)5部を、トルエン47.5部、メチルエチルケトン47.5部で希釈したもの。
(2)熱可塑性樹脂層の形成
DNPファインケミカル社製のHRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂、重量平均分子量7万、ガラス転移温度100℃)をプロピレングリコールモノメチルエーテル中に溶解させ、さらに日揮触媒化成社製のV3560(ATO分散液、ATO平均粒子径8nm)を添加して攪拌し、最終固形分8%、熱可塑性樹脂:ATOの比率が100:200(質量比)となるよう調整し、熱可塑性樹脂層形成用組成物Yを得た。
プライマー層上に、熱可塑性樹脂層形成用組成物Xを、スリットリバースコートにより、乾燥塗布厚みが0.6μmとなるように塗布し、60℃で2分乾燥し、熱可塑性樹脂層(第一導電層)を形成した。
次いで、熱可塑性樹脂層(第一導電層)上に、下記手法によりハードコート層(第2導電層)を形成した。
(ハードコート層の形成)
ウレタンアクリレートオリゴマーA1と、DNPファインケミカル社製のHRAGアクリル(25)MIBK(熱可塑性樹脂)とを、前記2成分の固形分が順に70部、30部となるように、メチルエチルケトン(MEK)/イソプロパノール(IPA)の混合溶剤中に添加して攪拌し溶解させて、溶液aを得た。
次いで、溶液aの固形分100部に対して、光重合開始剤(BASFジャパン社製、イルガキュア184)を4質量部、レベリング剤(大日精化工業社製、10−301(TL))を0.2部添加し攪拌し、溶液bを調製した。
次いで、溶液bの樹脂成分100部に、導通微粒子分散液(DNPファインケミカル社製、ブライト分散液、導通微粒子の平均粒子径4.6μm、固形分25%)を有効成分が0.83部となるように添加して攪拌を行い、最後に紫外線吸収剤(BASFジャパン社製、TINUVI477)を溶液bの固形分100部に対して6部となるよう添加して攪拌し、総固形分25%のハードコート層形成組成物Zを得た。
このハードコート層形成組成物Zを先に形成した熱可塑性樹脂層(第1導電層)上にスリットリバースコートにより、乾燥後の塗布厚みが7μmとなるように塗布して塗膜を形成した。得られた塗膜を70℃で1分間乾燥させた後、紫外線照射量80mJ/cm2で紫外線を照射して塗膜を硬化させ、厚み7μmのハードコート層(第2導電層)を形成し、ハードコートフィルムを得た。
二軸延伸ポリエステルフィルム1を二軸延伸ポリエステルフィルム2に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
ハードコート層形成組成物Z中のウレタンアクリレートオリゴマーA1を、多官能ポリエステルアクリレートオリゴマー(東亞合成社製:M−9050、重量平均分子量418、平均官能基数3)に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
熱可塑性樹脂層を形成せず、プライマー層上に直接、下記処方のハードコート層形成組成物を用いてハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<実施例4のハードコート層形成組成物>
ハードコート層形成組成物Zに導通微粒子分散液を含有させなかったもの。
ハードコート層の厚みを2.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
ハードコート層の厚みを10μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
二軸延伸ポリエステルフィルム1を二軸延伸ポリエステルフィルム3に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
ハードコート層形成組成物Z中のウレタンアクリレートオリゴマーA1を、ペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬社製:KAYARAD PET−30)に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
ハードコート層形成組成物Z中のウレタンアクリレートオリゴマーA1を、ジペンタエリスリトールヘキサクリレート(日本化薬社製:KAYARAD DPHA)に変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
プライマー層形成組成物Xを以下のものに変更し、プライマー層の形成過程で紫外線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例5のプライマー層形成組成物>
・ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン200) 5部
・メチルエチルケトン 66部
・トルエン 33部
プライマー層形成組成物Xを以下のものに変更し、プライマー層の形成過程で紫外線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
<比較例5のプライマー層形成組成物>
・ポリエステル樹脂(東洋紡社製、バイロン290) 5部
・メチルエチルケトン 66部
・トルエン 33部
ハードコート層の厚みを1μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
ハードコート層の厚みを15μmに変更した以外は、実施例1と同様にしてハードコートフィルムを得た。
また、実施例1〜3、5〜6のハードコートフィルムのハードコート層(第2導電層)の表面からアース処理を行い、該アース処理されたハードコートフィルムを表示装置上に配置することにより、静電気による表示装置の白化等の不具合を防止することができた。
Claims (15)
- 厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下であり、550nmの位相差が80〜170nmである延伸ポリエステルフィルム上に、ハードコート層を含む一以上の樹脂層を有してなり、前記ハードコート層は電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなり、前記一以上の樹脂層が下記条件で測定するカール値が14mm以下であり、かつ、[延伸ポリエステルフィルムの厚み]/[ハードコート層の厚み]の比が0.7〜4.0である、ハードコートフィルム。
(カール値)
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。 - 前記一以上の樹脂層として、前記ハードコート層より前記延伸ポリエステルフィルム側にプライマー層を有し、該プライマー層が、電離放射線硬化性樹脂Bを含むプライマー層形成組成物から形成されてなる、請求項1に記載のハードコートフィルム。
- 前記電離放射線硬化性樹脂Bが、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メタ)アクリレートモノマーを含む、請求項2に記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂A及び熱可塑性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなる、請求項1〜3の何れかに記載のハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂Aが、分子中に反応性官能基を有さない熱可塑性樹脂である、請求項4に記載のハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂Aが、ポリメチルメタクリレートである、請求項4又は5に記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層形成組成物中における電離放射線硬化性樹脂Aと熱可塑性樹脂Aとの質量比が、5:5〜9:1である、請求項4〜6の何れかに記載のハードコートフィルム。
- 前記一以上の樹脂層として、前記ハードコート層より前記延伸ポリエステルフィルム側に熱可塑性樹脂層を有してなる、請求項1〜7の何れかに記載のハードコートフィルム。
- 前記一以上の樹脂層として、前記延伸ポリエステルフィルム側から、前記プライマー層、熱可塑性樹脂層及びハードコート層をこの順に有する、請求項8に記載のハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂層が熱可塑性樹脂Bを含有してなり、該熱可塑性樹脂Bは分子中に反応性官能基を有さない熱可塑性樹脂である、請求項8又は9に記載のハードコートフィルム。
- 前記熱可塑性樹脂層が導電剤を含有し、前記ハードコート層が導通微粒子を含有し、前記熱可塑性樹脂層と前記ハードコート層表面とが導通してなる、請求項8〜10の何れかに記載のハードコートフィルム。
- 前記ハードコート層表面からアース処理がされてなる、請求項11に記載のハードコートフィルム。
- 偏光板と、請求項1〜12の何れかに記載のハードコートフィルムとを貼り合わせてなる、表示素子の前面板。
- 表示素子の前面に、請求項1〜12の何れかに記載のハードコートフィルムを有してなる、表示装置。
- 厚みが4〜12μm、配向度が2.0以下であり、550nmの位相差が80〜170nmである延伸ポリエステルフィルム上に、ハードコート層を含む一以上の樹脂層を有してなり、前記ハードコート層は電離放射線硬化性樹脂Aを含むハードコート層形成組成物から形成されてなるハードコートフィルムを作製する際に、前記一以上の樹脂層として下記条件で測定するカール値が14mm以下となるものを選択し、かつ、[延伸ポリエステルフィルムの厚み]/[ハードコート層の厚み]の比を0.7〜4.0とする、薄型ハードコートフィルムの塗膜の耐剥離性の改良方法。
[カール値]
前記一以上の樹脂層を構成する各層を形成する組成物を、厚み25μm、配向度1.5の延伸ポリエステルフィルム上に、塗布、乾燥、電離放射線照射して各層を順に形成し、5分間放置後に10cm四方にサンプルを切り出した後、水平な台上に、ポリエステルフィルム側が台の側を向くようにしてサンプルを置く。サンプルの四隅が台から浮いている高さを測定し、四隅の平均値を該サンプルのカール値とする。
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