JP6442198B2 - 防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents
防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 Download PDFInfo
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Description
特許文献3の技術では、透明樹脂をエッチングする必要があり、反射防止フィルムの製造工程が複雑である。また、エッチング法は、一般的に材料表面にエッチング作用性のガスイオンを衝突させるため、イオン源から被エッチング材料までの距離が一定でないと、エッチング深さにバラツキを生じてモスアイ構造が乱れてしまい、低反射率の防眩性反射防止フィルムは作製できない。
特許文献4のナノインプリント方式を用いる場合は、モスアイ構造作成のために、型を用いた転写による賦型を施す必要があり、製造工程が複雑になることがある。また、ナノインプリント方式で作成されたモスアイ構造は耐擦傷性に劣るという問題があった。
[1]
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
上記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ上記防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子による780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有し、
上記バインダー樹脂が、分子量が150〜1600のバインダー樹脂形成用化合物から形成され、上記バインダー樹脂形成用化合物の一部が、上記防眩層中に浸透している、防眩性反射防止フィルム。
[2]
上記粒子が金属酸化物粒子である[1]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[3]
上記粒子がシリカ粒子である、[1]又は[2]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[4]
上記防眩層が上記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
上記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[5]
上記防眩層が防眩層用粒子を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[6]
上記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[7]
上記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[8]
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
上記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
上記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、上記バインダー樹脂形成用化合物を上記防眩層中に浸透させ、上記粒子を上記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、上記粒子により形成された780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[9]
上記反射防止層を形成する工程の前の上記防眩層の表面硬化率が50%以下である、[8]に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[10]
上記防眩層形成後、上記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、上記反射防止層を形成する、[8]又は[9]に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[11]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
[12]
[1]〜[7]いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は[11]に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明は上記[1]〜[12]に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記<1>〜<12>など)についても記載した。
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
上記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ上記防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子によるモスアイ構造を有する、防眩性反射防止フィルム。
<2>
上記粒子が金属酸化物粒子である<1>に記載の防眩性反射防止フィルム。
<3>
上記粒子がシリカ粒子である、<1>又は<2>に記載の防眩性反射防止フィルム。
<4>
上記防眩層が上記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
上記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<5>
上記防眩層が防眩層用粒子含有する、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<6>
上記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<7>
上記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<8>
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
上記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
上記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、上記バインダー樹脂形成用化合物を上記防眩層中に浸透させ、上記粒子を上記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、上記粒子により形成されたモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<9>
上記反射防止層を形成する工程の前の上記防眩層の表面硬化率が50%以下である、<8>に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<10>
上記防眩層形成後、上記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、上記反射防止層を形成する、<8>又は<9>に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<11>
<1>〜<7>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
<12>
<1>〜<7>いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は<11>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子によるモスアイ構造を有する、防眩性反射防止フィルムである。
本発明の防眩性反射防止フィルムが有する防眩層について説明する。
防眩層は、表面に凹凸形状を有することが好ましく、これによりフィルムに表面散乱による防眩性を付与することができる。また、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を付与できるものが好ましい。
防眩層は、より好ましくはハードコート性を付与することのできる防眩層用バインダー樹脂、及び防眩性を付与するための透光性粒子を含み、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面に凹凸が形成された層であることが好ましい。
また、防眩層は、バインダー樹脂形成用化合物、透光性粒子及び溶媒を含有する防眩層形成用組成物を用いて形成されることが好ましい。
防眩層形成用組成物を用いて形成される防眩層は、防眩層用バインダー樹脂と防眩層用バインダー樹脂中に分散された透光性粒子とを含み、防眩性とハードコート性とを兼ね備えることが好ましい。
本発明においては、防眩層中に防眩性を付与するために少なくとも1種の透光性粒子を含有することが好ましい。好ましい態様の1つとしては、例えば、透光性粒子の平均粒子径が防眩層の平均膜厚よりも大きい透光性粒子1を用い、透光性粒子1の平均粒子径を防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きくすることで、良好な防眩性を付与できる。この場合、防眩性と膜表面の平坦部の割合を多くし、モスアイ構造を均一に積層することを両立するためには0.1〜3.0μm大きいことがさらに好ましく、0.5〜2.5μm大きいことが最も好ましい。また、透光性粒子の平均粒子径が4μm以下の場合は、0.1〜2.5μm大きいことが好ましく、0.1〜2.0μm大きいことが最も好ましい。
防眩層の平均膜厚は防眩性反射防止フィルムの断面を電子顕微鏡で観察し、膜厚をランダムに30ヶ所測定した平均値から算出される。
防眩層の1つの凸部が実質的に1個の透光性粒子1によって形成されている場合は、分散性の良好な粒子を選定することが好ましい。
なかでも、防眩層中でのバインダー成分との屈折率差の絶対値を調節するために、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋アルキルアクリレート−スチレン共重合粒子、架橋アルキルメタアクリレート−スチレン共重合粒子が好ましい。
透光性粒子は防眩層のバインダー樹脂膜よりも少なくとも0.01〜4.0μm突出して防眩性を発現することが好ましい。
また、防眩層の別の好ましい態様の1つとしては、例えば、必要な防眩性を得るために上記透光性粒子1とは平均粒子径の異なる別の透光性粒子2を、単独もしくは併用して用いてもよく、更には、上記透光性粒子1と透光性粒子2を併用して、防眩性と更なる光学特性を両立することも可能である。
透光性粒子2は分散性が良好なものが好ましい。分散性の良好な粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子及び、ポリメチルメタクリレートとポリスチレンの共重合体粒子など透光性の有機樹脂粒子が好ましい。共重合体粒子中のポリメチルメタクリレート比率は、40質量%〜100質量%であることが、分散性の観点から好ましく、50質量%〜100質量%であることがさらに好ましく、75質量%〜100質量%であることが最も好ましい。
光散乱性を発現させる材料としては、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド等が挙げられる。
分散性に優れる材料としては、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
透光性粒子2を複数種併用する場合には、粒子を構成する成分を変えずに、粒径のみ異なるものを用いることが、防眩性制御の容易さの観点で好ましい。
本発明の更に別の1つの態様としては、防眩層中に少なくとも1種の微粒子を含有し、微粒子が凝集性の金属酸化物微粒子であることが挙げられる。
凝集性の金属酸化物粒子は、防眩層の〔1〕表面凹凸付与、〔2〕屈折率調整、〔3〕硬度アップ、〔4〕脆性、カール改良、等を目的に使用されるが、本発明における防眩層の表面凹凸付与に対し、透明性と安価である点から、上記金属酸化物微粒子としては、凝集性のシリカ粒子と凝集性のアルミナ粒子が好適であり、なかでも、一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが、適度な表面凹凸を安定に付与できる点で好ましい。凝集性のシリカは、例えば、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法にはさらに沈降法、ゲル化法に大別させるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有する防眩層の層厚と組合わせて選択される。二次粒径の調整は、粒子の分散度(サンドミル等を用いた機械的な分散、分散剤等を用いた化学的な分散、による制御を行う)で行う。特に凝集性シリカ粒子の二次粒子径を、これを含有する防眩層の層厚で除した値が0.1〜1.5であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
金属酸化物粒子の添加量は、防眩層の全固形分中に0.01質量%〜5質量%とすることが好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜2質量%が最も好ましい。
防眩層用バインダー樹脂は、バインダー樹脂形成用化合物より形成されることが好ましい。バインダー樹脂形成用化合物は、熱硬化性化合物又は電離放射線硬化性化合物の一方又は両者を含み、これを硬化して防眩層用バインダー樹脂を形成することが好ましい。
バインダー樹脂形成用化合物の具体例としては、重合性の不飽和結合を有する化合物を好適に使用することができる。
重合性の不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
本発明における防眩層を形成するための防眩層形成用組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含む、所謂レベリング剤を含有してもよいを含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
一般式イ
一般式ロ
R14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
したがって、透光性粒子の平均粒子径は、2.01〜24μmであるのが好ましく、2.01〜19μmであるのがさらに好ましく、3.01〜16μmであるのがより好ましく、3.01〜12μmであるのが最も好ましい。
防眩層の波長550nmにおける屈折率は、1.48〜1.70とするのが好ましく、1.48〜1.60とするのが更に好ましい。本発明において、これ以降具体的に示す屈折率の値は全て波長550nmの値を示す。
防眩層の凹凸形状(反射防止層側の界面の凹凸形状)は、算術平均粗さ(Ra)が0.03μm≦Ra≦0.4μm、凹凸の平均間隔(Sm)が40μm≦Sm≦700μmであることが好ましい。
ここで、算術平均粗さ(Ra)及び凹凸の平均間隔(Sm)は、JIS B−0601(1994)に基づいて、測定される。
表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、平均間隔(Sm)は、JIS B−0601(1994)に準じた測定器、例えば小坂研究所(株)製サーフコーダーMODEL SE−3Fなどを用いて測定することができる。なお、防眩層の凹凸形状は反射防止層積層前に測定することができる。
凹凸の平均間隔(Sm)は、40μm≦Sm≦700μmが好ましく、60μm≦Sm≦650μmがより好ましく、100μm≦Sm≦550μmがさらに好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムが有する反射防止層について説明する。
反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ防眩層との界面とは反対側の表面に粒子によるモスアイ構造を有する。
ここで、モスアイ構造とは、光の反射を抑制するための物質(材料)の加工された表面であって、周期的な微細構造パターンをもった構造のことを指す。特に、可視光の反射を抑制する目的の場合には、780nm未満の周期の微細構造パターンをもった構造のことを指す。微細構造パターンの周期が380nm未満であると、反射光の色味がなくなり好ましい。また、周期が100nm以上であると波長380nmの光が微細構造パターンを認識出来、反射防止性に優れるため好ましい。モスアイ構造の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により表面形状を観察し、上記微細構造パターンが出来ているかどうか調べることによって確認することができる。
反射防止層に含まれる平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子について説明する。
上記粒子としては、金属酸化物粒子、樹脂粒子、金属酸化物粒子のコアと樹脂のシェルを有する有機無機ハイブリッド粒子などが挙げられるが、膜強度に優れる観点から金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、五酸化アンチモン粒子などが挙げられるが、多くのバインダーと屈折率が近いためヘイズを発生しにくく、かつモスアイ構造が形成し易い観点からシリカ粒子が好ましい。特に中実のシリカ粒子が好ましい。
樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子、メラミン粒子などが挙げられる。
平均一次粒子径の異なる2種以上の粒子を用いてもよい。
上記粒子の平均一次粒子径は、体積平均粒径の累積の50%粒子径を指す。反射防止膜中に含まれる粒子の平均一次粒子径を測定する場合には、電子顕微鏡写真により測定することが出来る。例えば、防眩性反射防止フィルムの切片TEM像を撮影し、反射防止層中の一次粒子100個のそれぞれの直径を測長してその体積を算出し、累積の50%粒子径を平均一次粒子径とすることができる。粒子が球径でない場合には、長径と短径の平均値をその一次粒子の直径とみなす。
また、シリカ粒子については、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよい。
含フッ素アルコキシシランとしては、フルオロアルキル基含有オリゴマーのKP−801M(信越化学工業製)、X−24−7890(信越化学工業製)、KBM−7803(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製)、SIH5841.5(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2、−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、Gelest製)、SIH5841.2(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、Gelest製)が挙げられる。また分子中にポリジメチルシロキサンユニットを持つアルコキシシランとしては、KPN−3504(信越化学工業製)、DMS−XE11(エトキシ末端ポリジメチルシロキサン、Gelest製)、DMS−XM11(メトキシ末端ポリジメチルシロキサン、Gelest製)、DMS−S12、−S14、−S15(シラノール末端ポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。
乾式処理は、一般的に攪拌機によって高速回転しているフィラーに、アルコキシシランの原液を均一に分散させて処理する方法がとられる。乾式処理は均一な処理は困難だが、大量のフィラーなどを短時間に処理できるため、工業用途に広く用いられ、乾燥したフィラーに対して処理する場合は、あらかじめ水を含ませておくと処理効率が高くなることが知られている。
湿式処理は、一般的にアルコキシランの希薄溶液にフィラーを浸漬する方法で、アルキルシラン類、特に長鎖アルキルシラン、フッ素アルキルシランは、疎水性が高く、水単独系での処理が難しいため、酢酸などでpH調整した水・アルコール混合溶液にて処理するのが適当である。フィラーの表面に均一に処理できることから、精度の高い処理が可能である。
更に乾式処理と湿式処理を順に実施することも好ましく、一方の処理だけでは達成できない、より表面処理率の高い粒子や、異なる2種類の表面処理を施した粒子を作製できる。
反射防止層のバインダー樹脂は、バインダー樹脂形成用化合物から形成されることが好ましい。反射防止層のバインダー樹脂形成用化合物の具体例及び好ましい例は、前述の防眩層のバインダー樹脂形成用化合物と同様である。
反射防止層には、粒子の凝集防止の観点で、分散剤を含有してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、硫酸塩、リン酸塩などのアニオン性化合物、脂肪族アミン塩、四級アンモニウム塩などのカチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物が好ましく、吸着基と立体反発基それぞれの選択の自由度が高いため高分子化合物がより好ましい。
分散剤としては市販品を用いることもできる。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK160、DISPERBYK161、DISPERBYK162、DISPERBYK163、DISPERBYK164、DISPERBYK166、DISPERBYK167、DISPERBYK171、DISPERBYK180、DISPERBYK182、DISPERBYK2000、DISPERBYK2001、DISPERBYK2164、Bykumen、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−220S、Anti−Terra203、Anti−Terra204、Anti−Terra205(以上商品名)などが挙げられる。
反射防止層が分散剤を含む場合、分散剤の含有量は、粒子量に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
反射防止層には、レベリング剤(防汚剤とも呼ぶ)を含有してもよい。
レベリング剤の具体例としては、フッ素系又はシリコーン系等の従来公知のレベリング剤を用いることが出来る。レベリング剤を添加した反射防止層形成用組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚性、及び耐擦傷性を付与することができる。
反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有することが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下の範囲で含有することがより好ましい。添加量が0.001質量部以上であればレベリング剤を添加した効果が充分得られ、また1質量部以下であれば、塗膜としての性能(例えば耐擦傷性など)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、ヘイズ値が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムにおける基材フィルムとしては、種々用いることができるが、プラスチック基材フィルムであることが好ましく、例えば、セルロース系樹脂;セルロースアシレート(トリアセテートセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース)等、ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、オレフィン系樹脂等を含有する基材が挙げられ、セルロースアシレート、ポリエチレンテレフタレート、又は(メタ)アクリル系樹脂を含有する基材が好ましく、セルロースアシレートを含有する基材がより好ましい。セルロースアシレートとしては、特開2012−093723号公報に記載の基材等を好ましく用いることが出来る。
基材フィルムの厚さは、通常、10μm〜1000μm程度であるが、取り扱い性が良好で、透明性が高く、かつ十分な強度が得られるという観点から20μm〜200μmが好ましく、25μm〜100μmがより好ましい。基材フィルムの透明性としては、透過率90%以上のものが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法は、基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させ、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、粒子により形成されたモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法である。
防眩層形成用組成物は、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する。防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子については前述のとおりである。
防眩層形成用組成物は更に、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、プラスチック基材を構成する成分によって異なるが、セルロースアシレート基材の場合は、例えばメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、炭酸ジメチル、酢酸メチル、アセトン、メチレンクロライド等を好ましく用いることができ、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、酢酸メチルがより好ましい。
アクリル基材の場合は、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましい。
これら防眩層形成用組成物に用いられる溶媒は、単独で用いても、複数種を併用しても良い。
防眩層形成用組成物には、重合開始剤を含んでいてもよい。
防眩層形成用組成物に含まれる重合可能な化合物が光重合性化合物である場合は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
加えて、紫外線照射条件と共に酸素濃度を変化させることで、反射防止層積層前の防眩層の表面硬化率を調整することができ、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下の酸素濃度雰囲気で電離放射線を照射して硬化する。
防眩層の反射防止層積層前の反射防止層側の表面硬化率は60%以下であることにより、反射防止層のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層中へ浸透し易くなり、良好なモスアイ構造を形成するという観点で好ましい。
なお、防眩層は、後述する反射防止層形成用組成物を塗布してモスアイ構造を形成した後に完全硬化することで、物理性を高めることが好適である。
この場合の表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等でフィルム表面を改質する方法が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
これらの処理のうち、均一なモスアイ構造作製の観点から、プラズマ処理、コロナ処理が好ましい。
プラズマ処理としては、真空グロー放電、大気圧グロー放電等によるものがあり、その他の方法としてフレームプラズマ処理等の方法があげられる。これらは、例えば特開平6−123062号公報、特開平11−293011号公報、同11−5857号公報等に記載された方法を用いることが出来る。
コロナ放電処理は、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−5043号公報、同47−51905号公報、特開昭47−28067号公報、同49−83767号公報、同51−41770号公報、同51−131576号公報、特開2001−272503号公報等に開示された方法により達成することができる。
反射防止層形成用組成物は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む。
平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、及びバインダー樹脂形成用化合物は、前述したものと同様である。
反射防止層形成用組成物に含有される溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、各々の溶剤を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
反射防止層形成用組成物には、重合開始剤を含んでいてもよく、重合開始剤の具体例及び好ましい例は前述の防眩層形成用組成物の重合開始剤と同様である。
反射防止層形成用組成物の塗布方法としては、前述の防眩層形成用組成物の塗布方法と同様である。
反射防止層形成用組成物は、防眩層上に塗布された後に、バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させ、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させることが好ましい。バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させるためには、分子量が150〜1600の化合物が好ましく、170〜1400がより好ましく、200〜1200が更に好ましい。下限以上であれば、反射防止層の強度を十分強くすることが出来、上限以下であれば防眩層へ浸透し、良好なモスアイ構造を形成することができる。
上記分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量である。
このように一部のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層中に浸透し、その後、電離放射線照射又は加熱によりバインダー樹脂形成用化合物を硬化させて、反射防止層を形成する。反射防止層中には、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子とバインダー樹脂が含まれるが、前述のように一部のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層に浸透しているため、反射防止層中のバインダー樹脂に対する粒子の割合は、反射防止層形成用組成物中のバインダー樹脂形成用化合物に対する粒子の割合よりも大きくなっており、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させることができ、モスアイ構造が形成される。反射防止層の形成において溶媒は乾燥させることが好ましい。
電離放射線照射又は加熱の好ましい条件は、電離放射線照射量10mJ/cm2以上が好ましく、更に好ましくは50〜10000mJ/cm2であり、特に好ましくは、50〜2000mJ/cm2であり、電離放射線照射時の酸素濃度は、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下、最も好ましくは0.005%以下である。
加熱条件は、60℃以上が好ましく、更に好ましくは60〜150℃であり、特に好ましくは、80〜130℃であり、加熱時間は10sec〜10minが好ましく、30sec〜5minがより好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルム(偏光板保護フィルム)として用いることができる。
2枚の偏光子保護フィルムのうち、本発明の防眩性反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
反射防止層を設けたのと反対側の基材フィルム表面をケン化処理し、ポリビニルアルコール水溶液を用いて偏光子に貼りあわせる。
本発明の偏光板は、偏光子と上記偏光子を保護する少なくとも1枚の保護フィルムを有する偏光板であって、上記保護フィルムの少なくとも1枚が本発明の防眩性反射防止フィルムである。偏光子は保護フィルムと位相差フィルムに挟まれていても良いし、保護フィルムと偏光子との組み合わせでも良い。
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩性反射防止フィルム又は偏光板を有する。
本発明の防眩性反射防止フィルム及び偏光板は液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いることができ、特に液晶表示装置が好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液aを120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
また1H−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の式で表される構造であった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・MX600:ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径6.0μm、綜研化学(株)製
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・サイリシア446:凝集性シリカ、富士シリシア化学(株)製、二次粒子径6.2μm
・イルガキュア184:重合開始剤[BASFジャパン(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[BASFジャパン(株)製]
・分散物(b):有機修飾スメクタイトの7%MEK分散物(商品名 ルーセンタイトSTN、コープケミカル(株)製)
粒子の粒径はコールターカウンター法により測定した。
(防眩層101の作製)
セルローストリアセテートフィルム(TG40UL、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットダイを有するコーターを用いて、防眩層用塗布液BO1を塗布した。搬送速度20m/分の条件で塗布し、40℃で15秒間、90℃で30秒間乾燥の後、さらに酸素濃度1.0%の雰囲気となるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、平均膜厚4.0μmの防眩性を有する防眩層を形成し、防眩層101を作製した。
防眩層101の作製において、防眩層塗布液BO1を防眩層塗布液BO2〜BO7に変更した以外は防眩層101と同様にして、防眩層102〜107を作製した。
防眩層101の作製において、防眩層塗布液BO1をBO8〜BO15とし、塗布膜厚が6.0μmになるように塗布量を変更した以外は防眩層101と同様にして、防眩層108〜115を作製した。
防眩層105の作製において、酸素濃度0.4%雰囲気とし、紫外線照射量を120mJ/cm2、140mJ/cm2に変更したこと以外は防眩層105と同様にして、防眩層116〜117を作製した。
防眩層105の作製において、紫外線照射量を40mJ/cm2に変更したこと以外は防眩層105と同様にして、防眩層118を作製した。
下記表2に示すような反射防止層形成用組成物を作製した。
下記表2に記載の反射防止層形成用組成物の組成となるように各成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入、攪拌、超音波分散し、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、反射防止層形成用組成物(固形分濃度50質量%)とした。
下記表2において、バインダー樹脂形成用化合物以外の固形成分の数値は組成物の全固形分に対する含有量(質量%)を表す。
PETA(商品名PET−30):ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
KE−P30:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径300nm
KE−P50:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径550nm
KE−P10:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径150nm
粒子X:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P50の粒径違い品、平均一次粒子径700nm
粒子Y:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−S100の粒径違い品、平均一次粒子径800nm
粒子Z:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P10の粒径違い品、平均一次粒子径50nm
MEK−ST:日産化学工業(株) 製平均粒子径20nmシリカ粒子のMEK分散物
Irg184:光重合開始剤、イルガキュア184(BASFジャパン(株)製)
BYK−P104:粒子分散剤、キシレン/ジイソブチルケトンの50%溶液(ビックケミー・ジャパン(株)製)
X−22−164C:アクリル変性シリコーン化合物(信越化学工業(株)製)
粒子の粒径はSEM画像で確認した。
(防眩性反射防止フィルムR−1〜R−7の作製)
基材フィルム上に前述の防眩層101を有するフィルムを用い、上記反射防止層形成用組成物H−1〜H−7をグラビアコーターを用いて塗布した。120℃で5分間乾燥した後、酸素濃度が0.1%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、照射量600mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させて反射防止層を形成し、防眩性反射防止フィルム試料R−1〜R−7を作製した。
基材フィルム上に前述の防眩層102〜118のいずれかを有するフィルムを用い、上記反射防止層形成用組成物H−1をグラビアコーターを用いて塗布したこと以外はR−1〜R−7の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−8〜R−24を作製した。
基材フィルム上に防眩層110を有するフィルムを用い、更に反射防止層形成用組成物H−8を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−1〜R−7の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−25を作製した。
反射防止層形成用組成物H−9を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−25の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−26を作製した。
基材フィルム上に防眩層110を有するフィルムに以下のコロナ処理を行った。商品名ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデル(ピラー社製)を用い、防眩層110を有するフィルムを20m/分でコロナ放電処理した。このとき、電流・電圧の読み取り値より、処理条件0.375KV・A・分/m2、処理時放電周波数9.6KHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは、1.6mmであった。
上記処理を行った防眩層110を有するフィルムを用い、反射防止層形成用組成物H−1を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−25の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−27を作製した。
エンボス処理したトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム(株)製)上に、 特開2009−230045号公報 例3の方法で処理を行い、防眩性反射防止フィルムR−28を作製した。
以下の方法により防眩性反射防止フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表3に示す。
反射防止層形成前の防眩層の表面形状をJIS B−0601(1994)に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、平均間隔(Sm)を小坂研究所(株)製サーフコーダーMODEL SE−3Fにより評価した。Smに関しては、測定長を8mmとし、カットオフ値は0.8mmとした。
作製した防眩層について、以下記載の方法で表面硬化率を測定した。
即ち、作製した防眩層サンプルの一回反射におけるIR測定から、カルボニル基のピーク(1660−1800cm−1)面積と二重結合のピーク高さ(808cm−1)を求め、二重結合のピーク高さをカルボニル基ピーク面積で除した値(以下P101と表す)を求めた。紫外線を照射しない条件で作製した同サンプルについて同様のIR測定を行い、二重結合のピーク高さをカルボニル基ピーク面積で除した値(Q101と表す)を求め、これらの値から下記数式を用いて表面硬化率を計算した。
得られた防眩性反射防止フィルムの表面及び断面を、走査型電子顕微鏡S−3400N(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて観察し、観察により得られた電子顕微鏡写真において、隣接する粒子頭頂部間の距離が一定で周期性があるか、粒子間距離の周期性に乱れがあるか、粒子間距離が一定でなく周期性が無いかを評価し、以下の評定とした。
A・・粒子の周期性が一定で、モスアイ構造が均一に出来ている
B・・粒子の周期性に僅かに乱れがあるが、モスアイ構造は出来ている
C・・粒子の周期性に乱れが多く、モスアイ構造ができていない
防眩性反射防止フィルムの裏面(基材フィルムの防眩層側界面とは反対の表面)をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、平均反射率を算出して反射防止性を評価した。
ラビングテスターの試料と接触する擦り先端部(1cm×1cm)に、スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて事前準備した後、作製したサンプルの表面(反射防止層の表面)を、上記テスターの擦り部と接触させ、加重500g、擦り速度13cm/秒、移動距離(片道)13cmの条件で、往復10回擦り、耐傷性試験を行った。得られたサンプルについて、上記積分反射率測定と同様の方法で積分反射率測定を行い、耐傷性試験後の積分反射率を算出した。耐傷性試験前後の反射率差を、以下の基準で評価した。
A :耐傷性試験前後で反射率差が0.1%以下
B :耐傷性試験前後で反射率差が0.1%超で0.3%以下
C :耐傷性試験前後で反射率差が0.3%超で0.5%以下
D :耐傷性試験前後で反射率差が0.5%超
Claims (12)
- 基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
前記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ前記防眩層との界面とは反対側の表面に前記粒子による780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有し、
前記バインダー樹脂が、分子量が150〜1600のバインダー樹脂形成用化合物から形成され、前記バインダー樹脂形成用化合物の一部が、前記防眩層中に浸透している、防眩性反射防止フィルム。 - 前記粒子が金属酸化物粒子である請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 前記粒子がシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 前記防眩層が前記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
前記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。 - 前記防眩層が防眩層用粒子を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 前記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 前記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
- 基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
前記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により前記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
前記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、前記バインダー樹脂形成用化合物を前記防眩層中に浸透させ、前記粒子を前記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、前記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、前記粒子により形成された780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。 - 前記反射防止層を形成する工程の前の前記防眩層の表面硬化率が50%以下である、請求項8に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
- 前記防眩層形成後、前記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、前記反射防止層を形成する、請求項8又は9に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
- 請求項1〜7いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は請求項11に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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