JP6442198B2 - 防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、防眩性反射防止フィルム、防眩性反射防止フィルムの製造方法、偏光板、及び画像表示装置に関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような画像表示装置において、外光の反射によるコントラスト低下や像の映り込みを防止するために、ディスプレイの最表面に防眩性反射防止フィルムが配置されることがある。
たとえば、特許文献1及び2には、透明フィルム支持体上に、凹凸形状を有する防眩層を設け、防眩層上に更に中空シリカ粒子を含む低屈折率層を設けた防眩性反射防止フィルムが記載されている。このような防眩性反射防止フィルムは、少なくとも最表面に層厚200nm以下の薄膜層である低屈折率層を設け、その低屈折率層の光学干渉によって反射防止を行うものである。
また、高い反射防止性能を付与できる技術として、基材表面に周期が可視光の波長以下の微細な凹凸形状を有する反射防止フィルム、いわゆるモスアイ(moth eye)構造を有する反射防止フィルムが知られている。モスアイ構造により、擬似的に空気から基材の内部のバルク材料に向かって屈折率が連続的に変化する屈折率傾斜層を作り出し、光の反射を防止することができる。
モスアイ構造を有する反射防止フィルムとして、特許文献3には、透明樹脂モノマーと微粒子を含有する塗布液を透明基材上に塗布し、硬化して微粒子が分散した透明樹脂を形成し、その後、透明樹脂をエッチングすることにより製造されたモスアイ構造を有する反射防止フィルムが記載されている。また、特許文献4には、硬化型樹脂を金型腑形してモスアイ構造を作製する、所謂ナノインプリント方式による反射防止フィルムが記載されている。
特開2006−146027号公報 特開2006−145736号公報 特開2009−139796号公報 特開2009−230045号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の防眩性反射防止フィルムについては、更なる反射防止性能が求められる。
特許文献3の技術では、透明樹脂をエッチングする必要があり、反射防止フィルムの製造工程が複雑である。また、エッチング法は、一般的に材料表面にエッチング作用性のガスイオンを衝突させるため、イオン源から被エッチング材料までの距離が一定でないと、エッチング深さにバラツキを生じてモスアイ構造が乱れてしまい、低反射率の防眩性反射防止フィルムは作製できない。
特許文献4のナノインプリント方式を用いる場合は、モスアイ構造作成のために、型を用いた転写による賦型を施す必要があり、製造工程が複雑になることがある。また、ナノインプリント方式で作成されたモスアイ構造は耐擦傷性に劣るという問題があった。
すなわち、本発明の課題は、十分な反射防止性能を有し、耐擦傷性に優れ、かつ簡便な方法で作製できる、モスアイ構造を有する防眩性反射防止フィルムを提供することにある。また、本発明の別の課題は、上記防眩性反射防止フィルムの製造方法、上記防眩性反射防止フィルムを有する偏光板及び画像表示装置を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討し、反射防止層形成用組成物を、防眩層上に塗布した際に、バインダー樹脂形成用化合物の一部が下層に浸透することで、膜中のバインダー樹脂形成用化合物の含有率が低減し、膜の完成時には粒子によって凹凸構造が形成され、低反射で、さらに耐擦傷性にも優れたモスアイ構造が容易に作製できることを見出した。
すなわち、上記課題は、以下の構成によって解決される。
[1]
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
上記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ上記防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子による780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有し、
上記バインダー樹脂が、分子量が150〜1600のバインダー樹脂形成用化合物から形成され、上記バインダー樹脂形成用化合物の一部が、上記防眩層中に浸透している、防眩性反射防止フィルム。
[2]
上記粒子が金属酸化物粒子である[1]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[3]
上記粒子がシリカ粒子である、[1]又は[2]に記載の防眩性反射防止フィルム。
[4]
上記防眩層が上記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
上記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[5]
上記防眩層が防眩層用粒子を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[6]
上記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[7]
上記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、[1]〜[6]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
[8]
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
上記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
上記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、上記バインダー樹脂形成用化合物を上記防眩層中に浸透させ、上記粒子を上記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、上記粒子により形成された780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[9]
上記反射防止層を形成する工程の前の上記防眩層の表面硬化率が50%以下である、[8]に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[10]
上記防眩層形成後、上記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、上記反射防止層を形成する、[8]又は[9]に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
[11]
[1]〜[7]のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
[12]
[1]〜[7]いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は[11]に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明は上記[1]〜[12]に関するものであるが、参考のためその他の事項(下記<1>〜<12>など)についても記載した。
<1>
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
上記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ上記防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子によるモスアイ構造を有する、防眩性反射防止フィルム。
<2>
上記粒子が金属酸化物粒子である<1>に記載の防眩性反射防止フィルム。
<3>
上記粒子がシリカ粒子である、<1>又は<2>に記載の防眩性反射防止フィルム。
<4>
上記防眩層が上記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
上記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<5>
上記防眩層が防眩層用粒子含有する、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<6>
上記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<7>
上記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
<8>
基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
上記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
上記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、上記バインダー樹脂形成用化合物を上記防眩層中に浸透させ、上記粒子を上記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、上記粒子により形成されたモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<9>
上記反射防止層を形成する工程の前の上記防眩層の表面硬化率が50%以下である、<8>に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<10>
上記防眩層形成後、上記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、上記反射防止層を形成する、<8>又は<9>に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
<11>
<1>〜<7>のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
<12>
<1>〜<7>いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は<11>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、十分な反射防止性能を有し、耐擦傷性に優れ、かつ簡便な方法で作製できる、モスアイ構造を有する防眩性反射防止フィルムを提供することができる。また、本発明によれば、上記防眩性反射防止フィルムの製造方法、上記防眩性反射防止フィルムを有する偏光板及び画像表示装置を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
<防眩性反射防止フィルム>
本発明の防眩性反射防止フィルムは、基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ防眩層との界面とは反対側の表面に上記粒子によるモスアイ構造を有する、防眩性反射防止フィルムである。
[防眩層]
本発明の防眩性反射防止フィルムが有する防眩層について説明する。
防眩層は、表面に凹凸形状を有することが好ましく、これによりフィルムに表面散乱による防眩性を付与することができる。また、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を付与できるものが好ましい。
防眩性を付与する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法、特開2005−195819号記載のように複数のポリマーの混合溶液から溶媒が蒸発する過程で相分離することを利用して表面凹凸を形成する方法、などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
防眩層は、防眩層用粒子を含有することが好ましい。防眩層用粒子としては、透光性粒子、又は金属酸化物微粒子が好ましい。
防眩層は、より好ましくはハードコート性を付与することのできる防眩層用バインダー樹脂、及び防眩性を付与するための透光性粒子を含み、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面に凹凸が形成された層であることが好ましい。
また、防眩層は、バインダー樹脂形成用化合物、透光性粒子及び溶媒を含有する防眩層形成用組成物を用いて形成されることが好ましい。
防眩層形成用組成物を用いて形成される防眩層は、防眩層用バインダー樹脂と防眩層用バインダー樹脂中に分散された透光性粒子とを含み、防眩性とハードコート性とを兼ね備えることが好ましい。
(透光性粒子1)
本発明においては、防眩層中に防眩性を付与するために少なくとも1種の透光性粒子を含有することが好ましい。好ましい態様の1つとしては、例えば、透光性粒子の平均粒子径が防眩層の平均膜厚よりも大きい透光性粒子1を用い、透光性粒子1の平均粒子径を防眩層の平均膜厚よりも0.01〜4.0μm大きくすることで、良好な防眩性を付与できる。この場合、防眩性と膜表面の平坦部の割合を多くし、モスアイ構造を均一に積層することを両立するためには0.1〜3.0μm大きいことがさらに好ましく、0.5〜2.5μm大きいことが最も好ましい。また、透光性粒子の平均粒子径が4μm以下の場合は、0.1〜2.5μm大きいことが好ましく、0.1〜2.0μm大きいことが最も好ましい。
防眩層の平均膜厚は防眩性反射防止フィルムの断面を電子顕微鏡で観察し、膜厚をランダムに30ヶ所測定した平均値から算出される。
防眩層の1つの凸部は実質的に5個以下の透光性粒子1によって形成されていることが好ましく、実質的に1個の透光性粒子によって凸部が形成されていることがより好ましい。ここで「実質的に」とは、凸部のうち、90%以上が好ましい態様を満たしていることを意味する。
防眩層の1つの凸部が実質的に1個の透光性粒子1によって形成されている場合は、分散性の良好な粒子を選定することが好ましい。
透光性粒子1の具体例としては、例えば架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋ポリスチレン粒子、架橋メチルメタアクリレート−メチルアクリレート共重合粒子、架橋アルキルアクリレート−スチレン共重合粒子、架橋アルキルメタアクリレート−スチレン共重合粒子、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋ポリメチルメタアクリレート粒子、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子等が好ましい。さらにはこれらの樹脂粒子の表面にフッ素原子、シリコン原子、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、スルホン酸基、燐酸基等を含む化合物を化学結合させた表面修飾粒子やシリカやジルコニアなどのナノサイズの無機微粒子を表面に結合した粒子も例に挙げられる。
なかでも、防眩層中でのバインダー成分との屈折率差の絶対値を調節するために、架橋メチルメタアクリレート−スチレン共重合体粒子、架橋アルキルアクリレート−スチレン共重合粒子、架橋アルキルメタアクリレート−スチレン共重合粒子が好ましい。
透光性粒子1を用いる場合には、防眩層用バインダー樹脂中又は防眩層形成用組成物中での粒子の分散安定性及び沈降防止のために、シリカ等の可視光散乱を起こさない大きさの無機フィラーや、有機化合物(モノマーでもポリマーであってもよい)等の分散剤を添加してもよい。
なお、無機フィラーを添加するときには、その添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与えない範囲内で用いることが好ましい。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、防眩層用バインダー樹脂100質量部に対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量部程度含有させるとよい。有機化合物等の分散剤は、透光性粒子100質量部に対して0.1〜20質量部添加するのが好ましい。更に好ましくは0.1〜15質量部、特に好ましくは0.5〜10質量部である。0.1質量部以上であれば、分散安定性に対する添加効果が現れ、20量部以下であれば、分散安定性に寄与しない成分が増えてブリードアウト等の問題が生じることがないので好ましい。
上記のように、防眩層用バインダー樹脂中又は防眩層形成用組成物中での分散安定性及び沈降防止のためには、透光性粒子の表面を表面処理してもよい。表面処理剤の種類としては、使用する防眩層用バインダー樹脂、溶媒により適宜選択される。表面処理剤量としては、透光性粒子100質量部に対して0.1〜30質量部添加するのが好ましい。更に好ましくは1〜25質量部、特に好ましくは3〜20質量部である。0.1質量部以上であれば、分散安定性に対する表面処理量が不足することがなく、30質量部以下であれば、表面処理に寄与しない成分が増えてブリードアウト等の問題が生じることがないので好ましい。
透光性粒子の粒度分布は、ヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性の観点から、単分散性の粒子であること、すなわち粒子径が均一な粒子であることが好ましい。粒子径の均一さを表すCV値は0〜10%が好ましく、より好ましくは0〜8%、更に好ましくは0〜5%である。さらに平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ透光性粒子は、調製又は合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。透光性粒子の平均粒子径は、透光性粒子を光学顕微鏡により観察し、観察された100個の粒子直径の平均値から算出する。
防眩層の平均膜厚よりも大きい平均粒子径を有する上記透光性粒子1の添加量は、全固形分に対して0.01〜1.2質量%であることが、凹凸の密度を粗にすることで膜表面の平坦部の割合を多くし、反射防止層を均一に積層する点で好ましい。より好ましくは0.1〜1.0質量%、最も好ましくは0.1〜0.7質量%である。
透光性粒子は防眩層のバインダー樹脂膜よりも少なくとも0.01〜4.0μm突出して防眩性を発現することが好ましい。
(透光性粒子2)
また、防眩層の別の好ましい態様の1つとしては、例えば、必要な防眩性を得るために上記透光性粒子1とは平均粒子径の異なる別の透光性粒子2を、単独もしくは併用して用いてもよく、更には、上記透光性粒子1と透光性粒子2を併用して、防眩性と更なる光学特性を両立することも可能である。
本発明において透光性粒子2を使用する場合、透光性粒子2は防眩層の平均膜厚よりも小さい平均粒子径を有することが好ましい。具体的には、透光性粒子2の平均粒子径は、防眩層の平均膜厚の10%〜90%が好ましく、20%〜80%がさらに好ましい。
透光性粒子2は分散性が良好なものが好ましい。分散性の良好な粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子及び、ポリメチルメタクリレートとポリスチレンの共重合体粒子など透光性の有機樹脂粒子が好ましい。共重合体粒子中のポリメチルメタクリレート比率は、40質量%〜100質量%であることが、分散性の観点から好ましく、50質量%〜100質量%であることがさらに好ましく、75質量%〜100質量%であることが最も好ましい。
透光性粒子2としてコア−シェル型の粒子であって、コアがバインダーと屈折率差を有し光散乱性を発現させる材料で、シェルがバインダーと親和性が高く分散性に優れる材料からなる粒子も好ましく用いることができる。
光散乱性を発現させる材料としては、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド等が挙げられる。
分散性に優れる材料としては、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
透光性粒子2は、全固形分に対して0.1質量%〜30質量%とするのが、防眩性及び内部散乱性付与という点で好ましく、1〜15質量%とするのがさらに好ましい。
透光性粒子2を複数種併用する場合には、粒子を構成する成分を変えずに、粒径のみ異なるものを用いることが、防眩性制御の容易さの観点で好ましい。
また、防眩性やその他光学特性を調整する目的で、有機化処理したヘクトライト、ベントナイト、スメクタイト、バーミキュライトなどの層状無機化合物を用いることもできる。これら層状無機化合物は、透光性粒子2の間に偏析し、防眩層内で透光性粒子2が必要以上に凝集するのを防ぎ、かつ適度に透光性粒子同士を集めるため、防眩性制御が可能となる。
(金属酸化物微粒子)
本発明の更に別の1つの態様としては、防眩層中に少なくとも1種の微粒子を含有し、微粒子が凝集性の金属酸化物微粒子であることが挙げられる。
凝集性の金属酸化物粒子は、防眩層の〔1〕表面凹凸付与、〔2〕屈折率調整、〔3〕硬度アップ、〔4〕脆性、カール改良、等を目的に使用されるが、本発明における防眩層の表面凹凸付与に対し、透明性と安価である点から、上記金属酸化物微粒子としては、凝集性のシリカ粒子と凝集性のアルミナ粒子が好適であり、なかでも、一次粒子径が数十nmの粒子が凝集体を形成した凝集性のシリカが、適度な表面凹凸を安定に付与できる点で好ましい。凝集性のシリカは、例えば、珪酸ナトリウムと硫酸の中和反応により合成された、いわゆる湿式法により得ることができるがこれに限らない。湿式法にはさらに沈降法、ゲル化法に大別させるが、本発明はどちらの方法であってもよい。凝集性シリカの二次粒径は、0.1〜10.0μmの範囲が好ましいが、粒子を含有する防眩層の層厚と組合わせて選択される。二次粒径の調整は、粒子の分散度(サンドミル等を用いた機械的な分散、分散剤等を用いた化学的な分散、による制御を行う)で行う。特に凝集性シリカ粒子の二次粒子径を、これを含有する防眩層の層厚で除した値が0.1〜1.5であることが好ましく、0.3〜1.0であることがより好ましい。
上記金属酸化物粒子として好ましく用いられる凝集性シリカ粒子等の二次粒子径は、コールターカウンター法により測定される。
金属酸化物粒子の添加量は、防眩層の全固形分中に0.01質量%〜5質量%とすることが好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%がさらに好ましく、0.1質量%〜2質量%が最も好ましい。
凝集性の金属酸化物粒子、好ましくは凝集性シリカ粒子に加えて内部散乱性の付与を目的として透光性の樹脂微粒子を併用することも好ましい。透光性の樹脂微粒子としては前述した(第2の透光性粒子)を好ましく用いることができる。
(防眩層用バインダー樹脂)
防眩層用バインダー樹脂は、バインダー樹脂形成用化合物より形成されることが好ましい。バインダー樹脂形成用化合物は、熱硬化性化合物又は電離放射線硬化性化合物の一方又は両者を含み、これを硬化して防眩層用バインダー樹脂を形成することが好ましい。
防眩層用バインダー樹脂は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、重合反応により形成されるものであるのが好ましい。すなわち、バインダー樹脂形成用化合物として電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む防眩層形成用組成物を基材フィルム上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを、架橋反応又は重合反応させることにより防眩層を形成するのが好ましい。電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光(紫外線)、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
バインダー樹脂形成用化合物の具体例としては、重合性の不飽和結合を有する化合物を好適に使用することができる。
(重合性の不飽和結合を有する化合物)
重合性の不飽和結合を有する化合物としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性官能基を有する化合物が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
重合性の不飽和結合を有する化合物の具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
(メタ)アクリロイル基を有する多官能アクリレート系化合物類の具体化合物としては、日本化薬(株)製KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303、大阪有機化学工業(株)製V#3PA、V#400、V#36095D、V#1000、V#1080等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物を挙げることができる。また紫光UV−1400B、同UV−1700B、同UV−6300B、同UV−7550B、同UV−7600B、同UV−7605B、同UV−7610B、同UV−7620EA、同UV−7630B、同UV−7640B、同UV−6630B、同UV−7000B、同UV−7510B、同UV−7461TE、同UV−3000B、同UV−3200B、同UV−3210EA、同UV−3310EA、同UV−3310B、同UV−3500BA、同UV−3520TL、同UV−3700B、同UV−6100B、同UV−6640B、同UV−2000B、同UV−2010B、同UV−2250EA、同UV−2750B(日本合成化学(株)製)、UL−503LN(共栄社化学(株)製)、ユニディック17−806、同17−813、同V−4030、同V−4000BA(大日本インキ化学工業(株)製)、EB−1290K、EB−220、EB−5129、EB−1830,EB−4858(ダイセルUCB(株)製)、ハイコープAU−2010、同AU−2020((株)トクシキ製)、アロニックスM−1960(東亜合成(株)製)、アートレジンUN−3320HA,UN−3320HC,UN−3320HS、UN−904,HDP−4Tなどの3官能以上のウレタンアクリレート化合物、アロニックスM−8100,M−8030,M−9050(東亞合成(株)製、KRM−8307(ダイセルサイテック(株)製)などの3官能以上のポリエステル化合物なども好適に使用することができる。
さらに、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する樹脂、例えば比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物などのオリゴマー又はプレポリマー等もあげられる。
さらに、2官能(メタ)アクリレート化合物としては具体的に下式で示される化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006442198
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。また、特開平2002−105141号公報に記載の化学式(2)で表される含フッ素多官能(メタ)アクリレートを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
また上記バインダー樹脂形成用化合物には、防眩層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマー、又はZrO、TiO、SiOなどの可視光散乱を生じない無機粒子、すなわち平均粒子サイズが100nm以下の無機粒子、又はそれらの両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、防眩層形成後において、多官能モノマー及び/又は高屈折率モノマー等の重合性の不飽和結合を有する化合物が重合して生成した重合体、並びに重合体中に分散された無機粒子を含めてバインダーと称する。
防眩層における防眩層用バインダー樹脂の含有量は、防眩層の全固形分100質量部に対して50〜99質量部であるのが内部散乱性付与のための透光性粒子を併用した場合でも膜表面の平坦部の割合を保つ上で好ましく、70〜99質量部であるのがさらに好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
(レベリング剤)
本発明における防眩層を形成するための防眩層形成用組成物には、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を含む、所謂レベリング剤を含有してもよいを含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(以下、「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、上記フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含む、あるいは(i)のモノマーに相当する繰り返し単位とさらに下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位とを含む、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 0006442198
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)上記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 0006442198
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーに用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、上記フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液100質量部に対して0.001〜5質量部の範囲であり、さらに好ましくは0.005〜3質量部の範囲であり、より好ましくは0.01〜1質量部の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量部以上であればフッ素系ポリマーを添加した効果が充分得られ、また5質量部以下であれば、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
防眩層の平均膜厚は、2〜20μmとするのが、硬度とカールの両立の点で好ましく、2〜15μmとするのがさらに好ましく、3〜12μmとするのがより好ましく、3〜8μmとするのが最も好ましい。
したがって、透光性粒子の平均粒子径は、2.01〜24μmであるのが好ましく、2.01〜19μmであるのがさらに好ましく、3.01〜16μmであるのがより好ましく、3.01〜12μmであるのが最も好ましい。
防眩層の波長550nmにおける屈折率は、1.48〜1.70とするのが好ましく、1.48〜1.60とするのが更に好ましい。本発明において、これ以降具体的に示す屈折率の値は全て波長550nmの値を示す。
(防眩層の表面形状)
防眩層の凹凸形状(反射防止層側の界面の凹凸形状)は、算術平均粗さ(Ra)が0.03μm≦Ra≦0.4μm、凹凸の平均間隔(Sm)が40μm≦Sm≦700μmであることが好ましい。
ここで、算術平均粗さ(Ra)及び凹凸の平均間隔(Sm)は、JIS B−0601(1994)に基づいて、測定される。
表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、平均間隔(Sm)は、JIS B−0601(1994)に準じた測定器、例えば小坂研究所(株)製サーフコーダーMODEL SE−3Fなどを用いて測定することができる。なお、防眩層の凹凸形状は反射防止層積層前に測定することができる。
算術平均粗さ(Ra)は、0.03μm≦Ra≦0.4μmが好ましく、0.05μm≦Ra≦0.30μmがより好ましく、0.05μm≦Ra≦0.25μmがさらに好ましい。
凹凸の平均間隔(Sm)は、40μm≦Sm≦700μmが好ましく、60μm≦Sm≦650μmがより好ましく、100μm≦Sm≦550μmがさらに好ましい。
Raの値が0.03μm以上であると、良好な防眩性が得られる十分な表面凹凸構造が得られ易く、0.4μm以下であると、この後積層する反射防止層の制御が行いやすいため反射率上昇の問題等が起こり難い。また、Smの値が40μm以上であると反射防止層の制御が行いやすいため反射率上昇の問題等が起こり難く、防眩性能の確保のための凹凸形状の観点で700μm以下であることが好ましい。
[反射防止層]
本発明の防眩性反射防止フィルムが有する反射防止層について説明する。
反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ防眩層との界面とは反対側の表面に粒子によるモスアイ構造を有する。
ここで、モスアイ構造とは、光の反射を抑制するための物質(材料)の加工された表面であって、周期的な微細構造パターンをもった構造のことを指す。特に、可視光の反射を抑制する目的の場合には、780nm未満の周期の微細構造パターンをもった構造のことを指す。微細構造パターンの周期が380nm未満であると、反射光の色味がなくなり好ましい。また、周期が100nm以上であると波長380nmの光が微細構造パターンを認識出来、反射防止性に優れるため好ましい。モスアイ構造の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)等により表面形状を観察し、上記微細構造パターンが出来ているかどうか調べることによって確認することができる。
反射防止層の膜厚は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.1〜1μmであることがより好ましい。反射防止層の膜厚は、粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ後述の粒子によるモスアイ構造を有する層の膜厚を指す。
(平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子)
反射防止層に含まれる平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子について説明する。
上記粒子としては、金属酸化物粒子、樹脂粒子、金属酸化物粒子のコアと樹脂のシェルを有する有機無機ハイブリッド粒子などが挙げられるが、膜強度に優れる観点から金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、五酸化アンチモン粒子などが挙げられるが、多くのバインダーと屈折率が近いためヘイズを発生しにくく、かつモスアイ構造が形成し易い観点からシリカ粒子が好ましい。特に中実のシリカ粒子が好ましい。
樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子、メラミン粒子などが挙げられる。
上記粒子の平均一次粒子径は、粒子が並んでモスアイ構造を形成できる観点から50nm以上700nm以下であり、100nm以上650nm以下が好ましく、150nm以上550nm以下がより好ましい。粒径が下限範囲以上であることにより可視光の反射の抑制効果を高めることが出来、上限以下であることにより粒子が散乱体として働くことなく、この場合も可視光の反射の抑制効果に優れる。
平均一次粒子径の異なる2種以上の粒子を用いてもよい。
上記粒子の平均一次粒子径は、体積平均粒径の累積の50%粒子径を指す。反射防止膜中に含まれる粒子の平均一次粒子径を測定する場合には、電子顕微鏡写真により測定することが出来る。例えば、防眩性反射防止フィルムの切片TEM像を撮影し、反射防止層中の一次粒子100個のそれぞれの直径を測長してその体積を算出し、累積の50%粒子径を平均一次粒子径とすることができる。粒子が球径でない場合には、長径と短径の平均値をその一次粒子の直径とみなす。
上記粒子の形状は、球形が最も好ましいが、不定形等の球形以外であっても問題無い。
また、シリカ粒子については、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよい。
上記粒子は塗布液中での分散性向上、膜強度向上、凝集防止のために表面処理を施していてもよく、特に、膜強度向上の観点から、表面に不飽和二重結合を有する化合物による処理がなされた粒子であることが好ましい。表面処理方法の具体例及びその好ましい例は、特開2007−298974号公報の[0119]〜[0147]に記載のものと同様である。
また、粒子はモスアイ構造を有する反射防止層に防汚性を付与するために、粒子表面に撥水撥油処理を施しても良い。後述する反射防止層に防汚剤を添加する場合と併用すると、特に繰り返し汚れが付着した際にも防汚性を維持するためにより好ましい。撥水撥油処理としては、含フッ素アルコキシシランや、分子中にポリジメチルシロキサンユニットを持つアルコキシシランを用いて、乾式又は湿式処理することが好ましい。
含フッ素アルコキシシランとしては、フルオロアルキル基含有オリゴマーのKP−801M(信越化学工業製)、X−24−7890(信越化学工業製)、KBM−7803(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業製)、SIH5841.5(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2、−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、Gelest製)、SIH5841.2(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、Gelest製)が挙げられる。また分子中にポリジメチルシロキサンユニットを持つアルコキシシランとしては、KPN−3504(信越化学工業製)、DMS−XE11(エトキシ末端ポリジメチルシロキサン、Gelest製)、DMS−XM11(メトキシ末端ポリジメチルシロキサン、Gelest製)、DMS−S12、−S14、−S15(シラノール末端ポリジメチルシロキサン)などが挙げられる。
乾式処理は、一般的に攪拌機によって高速回転しているフィラーに、アルコキシシランの原液を均一に分散させて処理する方法がとられる。乾式処理は均一な処理は困難だが、大量のフィラーなどを短時間に処理できるため、工業用途に広く用いられ、乾燥したフィラーに対して処理する場合は、あらかじめ水を含ませておくと処理効率が高くなることが知られている。
湿式処理は、一般的にアルコキシランの希薄溶液にフィラーを浸漬する方法で、アルキルシラン類、特に長鎖アルキルシラン、フッ素アルキルシランは、疎水性が高く、水単独系での処理が難しいため、酢酸などでpH調整した水・アルコール混合溶液にて処理するのが適当である。フィラーの表面に均一に処理できることから、精度の高い処理が可能である。
更に乾式処理と湿式処理を順に実施することも好ましく、一方の処理だけでは達成できない、より表面処理率の高い粒子や、異なる2種類の表面処理を施した粒子を作製できる。
特に焼成シリカ粒子に対する表面処理、および解砕、分級方法としては、特開2008−137854号公報の[0055]〜[0072]に記載の方法を適宜用いることが好ましい。
平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子の具体的な例としては、MEK−ST−L(平均一次粒子径50nm、日産化学工業(株)製シリカゾル)、シーホスターKE−P10(平均一次粒子径150nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、シーホスターKE−P30(平均一次粒子径300nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、シーホスターKE−P50(平均一次粒子径550nm、日本触媒(株)製アモルファスシリカ)、シーホスターKE−S30(平均一次粒子径300nm、耐熱性1000℃、日本触媒(株)製焼成シリカ)、シーホスターKE−S50(平均一次粒子径500nm、耐熱性1000℃、日本触媒(株)製焼成シリカ)、エポスターS(平均一次粒子径200nm、日本触媒(株)製メラミン・ホルムアルデヒド縮合物)、エポスターMA―MX100W(平均一次粒子径175nm、日本触媒(株)製ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系架橋物)、エポスターMA―MX200W(平均一次粒子径350nm、日本触媒(株)製ポリメタクリル酸メチル(PMMA)系架橋物)、スタフィロイド(アイカ工業(株)製多層構造有機微粒子)、ガンツパール(アイカ工業(株)製ポリメチルメタクリレ−ト、ポリスチレン粒子)などを好ましく用いることができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムの反射防止層形成用組成物における粒子の含有率は、固形分中3質量%以上50質量%以下であることが好ましく、3質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。下限以上では、モスアイ構造の凸部が数多く形成できるため反射防止性がより向上しやすく、上限以下であると、液中での凝集が生じにくく、モスアイ構造をうまく形成しやすい。
粒子の平均一次粒径が50nm以上200nm以下で、かつCv値が5%未満の単分散シリカ微粒子を一種類のみ含有することがモスアイ構造の凹凸の高さが均一になり、反射率がより低下するため好ましい。Cv値は通常レーザー回折型粒径測定装置を用いて測定されるが、他の粒径測定方式でも良いし、本発明の反射防止層の表面SEM像から、画像解析によって粒径分布を求め算出することもできる。Cv値は3%未満であることがより好ましい。
(反射防止層のバインダー樹脂)
反射防止層のバインダー樹脂は、バインダー樹脂形成用化合物から形成されることが好ましい。反射防止層のバインダー樹脂形成用化合物の具体例及び好ましい例は、前述の防眩層のバインダー樹脂形成用化合物と同様である。
(分散剤)
反射防止層には、粒子の凝集防止の観点で、分散剤を含有してもよい。分散剤としては、特に限定されないが、硫酸塩、リン酸塩などのアニオン性化合物、脂肪族アミン塩、四級アンモニウム塩などのカチオン性化合物、非イオン性化合物、高分子化合物が好ましく、吸着基と立体反発基それぞれの選択の自由度が高いため高分子化合物がより好ましい。
分散剤としては市販品を用いることもできる。例えば、ビックケミー・ジャパン(株)製のDISPERBYK160、DISPERBYK161、DISPERBYK162、DISPERBYK163、DISPERBYK164、DISPERBYK166、DISPERBYK167、DISPERBYK171、DISPERBYK180、DISPERBYK182、DISPERBYK2000、DISPERBYK2001、DISPERBYK2164、Bykumen、BYK−P104、BYK−P104S、BYK−220S、Anti−Terra203、Anti−Terra204、Anti−Terra205(以上商品名)などが挙げられる。
反射防止層が分散剤を含む場合、分散剤の含有量は、粒子量に対して、0.01質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。
(レベリング剤)
反射防止層には、レベリング剤(防汚剤とも呼ぶ)を含有してもよい。
レベリング剤の具体例としては、フッ素系又はシリコーン系等の従来公知のレベリング剤を用いることが出来る。レベリング剤を添加した反射防止層形成用組成物は、塗布又は乾燥時に塗膜表面に対して塗工安定性、滑り性、防汚性、及び耐擦傷性を付与することができる。
反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有することが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下の範囲で含有することがより好ましい。添加量が0.001質量部以上であればレベリング剤を添加した効果が充分得られ、また1質量部以下であれば、塗膜としての性能(例えば耐擦傷性など)に悪影響を及ぼしたり、といった問題が生じない。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、防眩層と反射防止層が他の層を介さずに隣接していることが好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、波長380〜780nmの全域にわたって積分反射率が1.5%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましい。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、ヘイズ値が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
[基材フィルム]
本発明の防眩性反射防止フィルムにおける基材フィルムとしては、種々用いることができるが、プラスチック基材フィルムであることが好ましく、例えば、セルロース系樹脂;セルロースアシレート(トリアセテートセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース)等、ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、オレフィン系樹脂等を含有する基材が挙げられ、セルロースアシレート、ポリエチレンテレフタレート、又は(メタ)アクリル系樹脂を含有する基材が好ましく、セルロースアシレートを含有する基材がより好ましい。セルロースアシレートとしては、特開2012−093723号公報に記載の基材等を好ましく用いることが出来る。
基材フィルムの厚さは、通常、10μm〜1000μm程度であるが、取り扱い性が良好で、透明性が高く、かつ十分な強度が得られるという観点から20μm〜200μmが好ましく、25μm〜100μmがより好ましい。基材フィルムの透明性としては、透過率90%以上のものが好ましい。
基材フィルムは、表面に別の樹脂層を備えていても良い。例えば、基材にハードコート性を付与するためのハードコート層、他の層との密着性を付与するための易接着層、帯電防止性を付与するための層等を備えていても良く、それらを複数備えていても良い。
[防眩性反射防止フィルムの製造方法]
本発明の防眩性反射防止フィルムの製造方法は、基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させ、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、上記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、粒子により形成されたモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法である。
基材フィルムについては前述のとおりである。
(防眩層形成用組成物)
防眩層形成用組成物は、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する。防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子については前述のとおりである。
防眩層形成用組成物は更に、溶媒を含有することが好ましい。溶媒としては、プラスチック基材を構成する成分によって異なるが、セルロースアシレート基材の場合は、例えばメチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、炭酸ジメチル、酢酸メチル、アセトン、メチレンクロライド等を好ましく用いることができ、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、酢酸メチルがより好ましい。
アクリル基材の場合は、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン酢酸メチル、酢酸エチル等が好ましい。
これら防眩層形成用組成物に用いられる溶媒は、単独で用いても、複数種を併用しても良い。
(重合開始剤)
防眩層形成用組成物には、重合開始剤を含んでいてもよい。
防眩層形成用組成物に含まれる重合可能な化合物が光重合性化合物である場合は、光重合開始剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
防眩層形成用組成物中の光重合開始剤の含有量は、防眩層形成用組成物に含まれる重合可能な化合物を重合させるのに十分多く、かつ開始点が増えすぎないよう十分少ない量に設定するという理由から、防眩層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
防眩層形成用組成物の塗布方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、ダイコート法等が挙げられる。
本発明の製造方法は、基材フィルム上に防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により上記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する。防眩層の形成において溶媒は乾燥させることが好ましい。
本発明の防眩層形成における電離放射線種は特に制限されるものではなく、防眩層用バインダー樹脂形成化合物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができるが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線硬化性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプ又はシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜2000mJ/cmである。
加えて、紫外線照射条件と共に酸素濃度を変化させることで、反射防止層積層前の防眩層の表面硬化率を調整することができ、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、最も好ましくは2%以下の酸素濃度雰囲気で電離放射線を照射して硬化する。
加熱については前出の溶剤乾燥時加熱と兼ねても良く、溶剤乾燥時の加熱とは別に加熱しても良い。使用する基材フィルム種類により適当な加熱条件も異なるが、加熱条件は60℃以上が好ましく、更に好ましくは60〜150℃であり、特に好ましくは、80〜130℃である。加熱時間は、10sec〜3minが製造の容易さの観点で好ましい。電離放射線照射条件と共に酸素濃度を適宜組み合わせることにより、防眩層の硬さを確保し、かつ表面硬化率を調整することができる。
反射防止層を形成する工程の前の防眩層の表面硬化率は、70%以下であることが好ましく、20%〜70%であることがより好ましく、30%〜65%であることが更に好ましい。
防眩層の反射防止層積層前の反射防止層側の表面硬化率は60%以下であることにより、反射防止層のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層中へ浸透し易くなり、良好なモスアイ構造を形成するという観点で好ましい。
なお、防眩層は、後述する反射防止層形成用組成物を塗布してモスアイ構造を形成した後に完全硬化することで、物理性を高めることが好適である。
表面硬化率は、IR測定によりカルボニル基のピーク(1660−1800cm−1)面積と二重結合のピーク高さ(808cm−1)を未硬化品、硬化品についてそれぞれ測定し、硬化品の二重結合の規格化ピーク高さを未硬化品の二重結合の規格化ピーク高さで除すことにより算出できる。
防眩層形成後、反射防止層形成前に、防眩層の表面に表面処理を行い、その後、反射防止層を形成させることが好ましい。
この場合の表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、紫外線照射処理、火炎処理、オゾン処理、酸処理、アルカリ処理等でフィルム表面を改質する方法が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、10-3〜20Torrの低圧ガス下でおこる低温プラズマでもよく、更にまた大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。プラズマ励起性気体とは上記のような条件においてプラズマ励起される気体をいい、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、窒素、二酸化炭素、テトラフルオロメタンの様なフロン類及びそれらの混合物などがあげられる。これらについては、詳細が発明協会公開技報公技番号2001−1745号(2001年3月15日発行、発明協会)にて30頁〜32頁に詳細に記載されており、本発明において好ましく用いることができる。
これらの処理のうち、均一なモスアイ構造作製の観点から、プラズマ処理、コロナ処理が好ましい。
[プラズマ処理]
プラズマ処理としては、真空グロー放電、大気圧グロー放電等によるものがあり、その他の方法としてフレームプラズマ処理等の方法があげられる。これらは、例えば特開平6−123062号公報、特開平11−293011号公報、同11−5857号公報等に記載された方法を用いることが出来る。
[コロナ放電処理]
コロナ放電処理は、従来公知のいずれの方法、例えば特公昭48−5043号公報、同47−51905号公報、特開昭47−28067号公報、同49−83767号公報、同51−41770号公報、同51−131576号公報、特開2001−272503号公報等に開示された方法により達成することができる。
(反射防止層形成用組成物)
反射防止層形成用組成物は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む。
平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、及びバインダー樹脂形成用化合物は、前述したものと同様である。
反射防止層形成用組成物に含有される溶媒としては、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、炭酸メチルエチル、炭酸ジエチル、アセトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールが好ましく、各々の溶剤を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
反射防止層形成用組成物には、重合開始剤を含んでいてもよく、重合開始剤の具体例及び好ましい例は前述の防眩層形成用組成物の重合開始剤と同様である。
反射防止層形成用組成物の塗布方法としては、前述の防眩層形成用組成物の塗布方法と同様である。
反射防止層形成用組成物は、防眩層上に塗布された後に、バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させ、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させることが好ましい。バインダー樹脂形成用化合物を防眩層中に浸透させるためには、分子量が150〜1600の化合物が好ましく、170〜1400がより好ましく、200〜1200が更に好ましい。下限以上であれば、反射防止層の強度を十分強くすることが出来、上限以下であれば防眩層へ浸透し、良好なモスアイ構造を形成することができる。
上記分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量である。
このように一部のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層中に浸透し、その後、電離放射線照射又は加熱によりバインダー樹脂形成用化合物を硬化させて、反射防止層を形成する。反射防止層中には、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子とバインダー樹脂が含まれるが、前述のように一部のバインダー樹脂形成用化合物が防眩層に浸透しているため、反射防止層中のバインダー樹脂に対する粒子の割合は、反射防止層形成用組成物中のバインダー樹脂形成用化合物に対する粒子の割合よりも大きくなっており、粒子を防眩層との界面とは反対側の表面に突出させることができ、モスアイ構造が形成される。反射防止層の形成において溶媒は乾燥させることが好ましい。
電離放射線照射又は加熱の好ましい条件は、電離放射線照射量10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは50〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50〜2000mJ/cmであり、電離放射線照射時の酸素濃度は、好ましくは0.1%以下、より好ましくは0.01%以下、最も好ましくは0.005%以下である。
加熱条件は、60℃以上が好ましく、更に好ましくは60〜150℃であり、特に好ましくは、80〜130℃であり、加熱時間は10sec〜10minが好ましく、30sec〜5minがより好ましい。
反射防止層形成用組成物の固形分濃度は、5質量%以上90質量%以下であることが好ましい。
反射防止層形成用組成物において、バインダー樹脂形成用化合物の含有量は、反射防止層形成用組成物の全固形分の質量に対して、50質量%以上97質量%以下であることが好ましい。
[偏光板用保護フィルム]
本発明の防眩性反射防止フィルムは、偏光膜の表面保護フィルム(偏光板保護フィルム)として用いることができる。
2枚の偏光子保護フィルムのうち、本発明の防眩性反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
偏光子との貼り合せの前に、本発明の防眩性反射防止フィルムをケン化処理することもできる。ケン化処理は、加温したアルカリ水溶液中に一定時間防眩性反射防止フィルムを浸漬し、水洗を行った後、中和するための酸洗浄を行う処理である。基材の偏光膜と貼り合わせる側の面が親水化されればどのような処理条件でも構わないため、処理剤の濃度、処理剤液の温度、処理時間は適宜決定されるが、通常生産性を確保する必要から3分以内で処理可能なように処理条件を決定する。一般的な条件としては、アルカリ濃度が3質量%〜25質量%であり、処理温度は30℃〜70℃、処理時間は15秒〜5分である。アルカリ処理に用いるアルカリ種としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好適であり、酸洗浄に使用する酸としては硫酸が好適であり、水洗に用いる水はイオン交換水又は純水が好適である。
反射防止層を設けたのと反対側の基材フィルム表面をケン化処理し、ポリビニルアルコール水溶液を用いて偏光子に貼りあわせる。
また本発明の防眩性反射防止フィルムと偏光子との貼りあわせに、紫外線硬化型の接着剤を使用することもできる。本発明の反射防止層を設けたのと反対側の基材フィルム表面に紫外線硬化型の接着剤層を設けることが好ましく、特に短時間乾燥による生産性向上を目的として、特定の紫外線硬化樹脂を用いて、偏光子に貼りあわせることが好ましい。例えば特開2012−144690には、各々のホモポリマーのTgが60℃以上かつ、SP値が29〜32のラジカル重合性化合物20〜60質量%と、SP値が18〜21のラジカル重合性化合物10〜30質量%と、SP値が21〜23のラジカル重合性化合物20〜60質量%の3種を含有した接着剤層を介して、偏光子に貼りあわせ、接着性、耐久性、耐水性を向上させている。この接着剤層を用いる場合は偏光子との貼りあわせ前に本発明のモスアイ構造を持つ防眩性反射防止フィルムをケン化処理をしても良いし、しなくても良い。
[偏光板]
本発明の偏光板は、偏光子と上記偏光子を保護する少なくとも1枚の保護フィルムを有する偏光板であって、上記保護フィルムの少なくとも1枚が本発明の防眩性反射防止フィルムである。偏光子は保護フィルムと位相差フィルムに挟まれていても良いし、保護フィルムと偏光子との組み合わせでも良い。
偏光子には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜及び染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩性反射防止フィルム又は偏光板を有する。
本発明の防眩性反射防止フィルム及び偏光板は液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に好適に用いることができ、特に液晶表示装置が好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモード又はECBモードであることが好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<ゾル液aの調製>
温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた1,000mlの反応容器に、アクリロキシオキシプロピルトリメトキシシラン187g(0.80mol)、メチルトリメトキシシラン27.2g(0.20mol)、メタノール320g(10mol)とKF0.06g(0.001mol)を仕込み、攪拌下室温で水15.1g(0.86mol)をゆっくり滴下した。滴下終了後室温で3時間攪拌した後、メタノール還溜下2時間加熱攪拌した。この後、低沸分を減圧留去し、更にろ過することによりゾル液aを120g得た。このようにして得た物質をGPC測定した結果、質量平均分子量は1500であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000の成分は30%であった。
またH−NMRの測定結果から、得られた物質の構造は、以下の式で表される構造であった。
Figure 0006442198
更に、29Si−NMR測定による縮合率αは0.56であった。この分析結果から、ゾル液aは直鎖状構造部分が大部分であることが分かった。
また、ガスクロマトグラフィー分析から、原料のアクリロキシプロピルトリメトキシシランは5%以下の残存率であった。
<防眩層用塗布液の調製>
下記表1の各成分を用いて組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して防眩層用塗布液BO1〜BO15を調製した。
Figure 0006442198
表1中の各成分の含有量の単位は、「質量%」である。
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製)
・DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物[日本化薬(株)製]
・MX600:ポリメチルメタクリレート微粒子、平均粒径6.0μm、綜研化学(株)製
・架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm[屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・SX−350:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子[屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液、ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用]
・サイリシア446:凝集性シリカ、富士シリシア化学(株)製、二次粒子径6.2μm
・イルガキュア184:重合開始剤[BASFジャパン(株)製]
・イルガキュア907:重合開始剤[BASFジャパン(株)製]
・分散物(b):有機修飾スメクタイトの7%MEK分散物(商品名 ルーセンタイトSTN、コープケミカル(株)製)
粒子の粒径はコールターカウンター法により測定した。
・SP−13:下記構造のフッ素系表面改質剤
Figure 0006442198
<防眩層の作製>
(防眩層101の作製)
セルローストリアセテートフィルム(TG40UL、富士フイルム(株)製)をロール形態で巻き出して、スロットダイを有するコーターを用いて、防眩層用塗布液BO1を塗布した。搬送速度20m/分の条件で塗布し、40℃で15秒間、90℃で30秒間乾燥の後、さらに酸素濃度1.0%の雰囲気となるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照射量90mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、平均膜厚4.0μmの防眩性を有する防眩層を形成し、防眩層101を作製した。
(防眩層102〜107の作製)
防眩層101の作製において、防眩層塗布液BO1を防眩層塗布液BO2〜BO7に変更した以外は防眩層101と同様にして、防眩層102〜107を作製した。
(防眩層108〜115の作製)
防眩層101の作製において、防眩層塗布液BO1をBO8〜BO15とし、塗布膜厚が6.0μmになるように塗布量を変更した以外は防眩層101と同様にして、防眩層108〜115を作製した。
(防眩層116〜117の作製)
防眩層105の作製において、酸素濃度0.4%雰囲気とし、紫外線照射量を120mJ/cm、140mJ/cmに変更したこと以外は防眩層105と同様にして、防眩層116〜117を作製した。
(防眩層118の作製)
防眩層105の作製において、紫外線照射量を40mJ/cmに変更したこと以外は防眩層105と同様にして、防眩層118を作製した。
<反射防止層形成用組成物の調製>
下記表2に示すような反射防止層形成用組成物を作製した。
下記表2に記載の反射防止層形成用組成物の組成となるように各成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入、攪拌、超音波分散し、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して、反射防止層形成用組成物(固形分濃度50質量%)とした。
下記表2において、バインダー樹脂形成用化合物以外の固形成分の数値は組成物の全固形分に対する含有量(質量%)を表す。
Figure 0006442198
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
PETA(商品名PET−30):ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物(日本化薬(株)製)
KE−P30:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径300nm
KE−P50:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径550nm
KE−P10:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスター、平均一次粒子径150nm
粒子X:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P50の粒径違い品、平均一次粒子径700nm
粒子Y:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−S100の粒径違い品、平均一次粒子径800nm
粒子Z:日本触媒(株)製アモルファスシリカ粒子シーホスターKE−P10の粒径違い品、平均一次粒子径50nm
MEK−ST:日産化学工業(株) 製平均粒子径20nmシリカ粒子のMEK分散物
Irg184:光重合開始剤、イルガキュア184(BASFジャパン(株)製)
BYK−P104:粒子分散剤、キシレン/ジイソブチルケトンの50%溶液(ビックケミー・ジャパン(株)製)
X−22−164C:アクリル変性シリコーン化合物(信越化学工業(株)製)
粒子の粒径はSEM画像で確認した。
<防眩性反射防止フィルムの作製>
(防眩性反射防止フィルムR−1〜R−7の作製)
基材フィルム上に前述の防眩層101を有するフィルムを用い、上記反射防止層形成用組成物H−1〜H−7をグラビアコーターを用いて塗布した。120℃で5分間乾燥した後、酸素濃度が0.1%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度600mW/cm、照射量600mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させて反射防止層を形成し、防眩性反射防止フィルム試料R−1〜R−7を作製した。
(防眩性反射防止フィルムR−8〜R−24の作製)
基材フィルム上に前述の防眩層102〜118のいずれかを有するフィルムを用い、上記反射防止層形成用組成物H−1をグラビアコーターを用いて塗布したこと以外はR−1〜R−7の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−8〜R−24を作製した。
(防眩性反射防止フィルムR−25の作製)
基材フィルム上に防眩層110を有するフィルムを用い、更に反射防止層形成用組成物H−8を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−1〜R−7の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−25を作製した。
(防眩性反射防止フィルムR−26の作製)
反射防止層形成用組成物H−9を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−25の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−26を作製した。
(防眩性反射防止フィルムR−27の作製)
基材フィルム上に防眩層110を有するフィルムに以下のコロナ処理を行った。商品名ソリッドステートコロナ処理機6KVAモデル(ピラー社製)を用い、防眩層110を有するフィルムを20m/分でコロナ放電処理した。このとき、電流・電圧の読み取り値より、処理条件0.375KV・A・分/m、処理時放電周波数9.6KHz、電極と誘電体ロールのギャップクリアランスは、1.6mmであった。
上記処理を行った防眩層110を有するフィルムを用い、反射防止層形成用組成物H−1を用いたこと以外は防眩性反射防止フィルムR−25の作製と同様にして、防眩性反射防止フィルム試料R−27を作製した。
(防眩性反射防止フィルムR−28の作製)
エンボス処理したトリアセチルセルロースフィルム(TD80UL、富士フイルム(株)製)上に、 特開2009−230045号公報 例3の方法で処理を行い、防眩性反射防止フィルムR−28を作製した。
<防眩性反射防止フィルムの評価>
以下の方法により防眩性反射防止フィルムの諸特性の評価を行った。結果を表3に示す。
(防眩層表面形状のRa、Sm評価)
反射防止層形成前の防眩層の表面形状をJIS B−0601(1994)に基づいて、表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)、平均間隔(Sm)を小坂研究所(株)製サーフコーダーMODEL SE−3Fにより評価した。Smに関しては、測定長を8mmとし、カットオフ値は0.8mmとした。
(防眩層の表面硬化率)
作製した防眩層について、以下記載の方法で表面硬化率を測定した。
即ち、作製した防眩層サンプルの一回反射におけるIR測定から、カルボニル基のピーク(1660−1800cm−1)面積と二重結合のピーク高さ(808cm−1)を求め、二重結合のピーク高さをカルボニル基ピーク面積で除した値(以下P101と表す)を求めた。紫外線を照射しない条件で作製した同サンプルについて同様のIR測定を行い、二重結合のピーク高さをカルボニル基ピーク面積で除した値(Q101と表す)を求め、これらの値から下記数式を用いて表面硬化率を計算した。
数式1 表面硬化率=(1−(P101/Q101))×100 (%)
(反射防止層のモスアイ構造確認)
得られた防眩性反射防止フィルムの表面及び断面を、走査型電子顕微鏡S−3400N(日立ハイテクノロジーズ(株)製)を用いて観察し、観察により得られた電子顕微鏡写真において、隣接する粒子頭頂部間の距離が一定で周期性があるか、粒子間距離の周期性に乱れがあるか、粒子間距離が一定でなく周期性が無いかを評価し、以下の評定とした。
A・・粒子の周期性が一定で、モスアイ構造が均一に出来ている
B・・粒子の周期性に僅かに乱れがあるが、モスアイ構造は出来ている
C・・粒子の周期性に乱れが多く、モスアイ構造ができていない
(積分反射率)
防眩性反射防止フィルムの裏面(基材フィルムの防眩層側界面とは反対の表面)をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくした状態で、分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分反射率を測定し、平均反射率を算出して反射防止性を評価した。
(耐擦傷性:耐擦傷性試験後の積分反射率)
ラビングテスターの試料と接触する擦り先端部(1cm×1cm)に、スチールウール(日本スチールウール(株)製、グレードNo.0000)を巻いて事前準備した後、作製したサンプルの表面(反射防止層の表面)を、上記テスターの擦り部と接触させ、加重500g、擦り速度13cm/秒、移動距離(片道)13cmの条件で、往復10回擦り、耐傷性試験を行った。得られたサンプルについて、上記積分反射率測定と同様の方法で積分反射率測定を行い、耐傷性試験後の積分反射率を算出した。耐傷性試験前後の反射率差を、以下の基準で評価した。
A :耐傷性試験前後で反射率差が0.1%以下
B :耐傷性試験前後で反射率差が0.1%超で0.3%以下
C :耐傷性試験前後で反射率差が0.3%超で0.5%以下
D :耐傷性試験前後で反射率差が0.5%超
得られた結果を表3にまとめた。
Figure 0006442198

Claims (12)

  1. 基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムであって、
    前記反射防止層は、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子及びバインダー樹脂を含み、かつ前記防眩層との界面とは反対側の表面に前記粒子による780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有し、
    前記バインダー樹脂が、分子量が150〜1600のバインダー樹脂形成用化合物から形成され、前記バインダー樹脂形成用化合物の一部が、前記防眩層中に浸透している、防眩性反射防止フィルム。
  2. 前記粒子が金属酸化物粒子である請求項1に記載の防眩性反射防止フィルム。
  3. 前記粒子がシリカ粒子である、請求項1又は2に記載の防眩性反射防止フィルム。
  4. 前記防眩層が前記反射防止層側の界面に凹凸形状を有し、
    前記防眩層の凹凸形状は、算術平均粗さRaが0.03μm≦Ra≦0.4μmであり、かつ凹凸の平均間隔Smが40μm≦Sm≦700μmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  5. 前記防眩層が防眩層用粒子を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  6. 前記防眩性反射防止フィルムの積分反射率が1.5%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  7. 前記反射防止層に、含フッ素化合物又はシリコーン化合物を反射防止層全体の2質量%以下の範囲で含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム。
  8. 基材フィルムと、防眩層と、反射防止層とをこの順に有する防眩性反射防止フィルムの製造方法であって、
    前記基材フィルム上に、防眩層用バインダー樹脂形成化合物と防眩層用粒子を含有する防眩層形成用組成物を塗布し、電離放射線照射又は加熱により前記防眩層形成用組成物を硬化させて防眩層を形成する工程と、
    前記防眩層上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、前記バインダー樹脂形成用化合物を前記防眩層中に浸透させ、前記粒子を前記防眩層との界面とは反対側の表面に突出させ、電離放射線照射又は加熱により、前記バインダー樹脂形成用化合物を硬化させ、前記粒子により形成された780nm未満の周期の微細構造パターンを有するモスアイ構造を有する反射防止層を形成する工程と、
    を有する防眩性反射防止フィルムの製造方法。
  9. 前記反射防止層を形成する工程の前の前記防眩層の表面硬化率が50%以下である、請求項8に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
  10. 前記防眩層形成後、前記防眩層の表面にプラズマ処理又はコロナ処理を行い、その後、前記反射防止層を形成する、請求項8又は9に記載の防眩性反射防止フィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルムを偏光板保護フィルムとして有する偏光板。
  12. 請求項1〜7いずれか1項に記載の防眩性反射防止フィルム、又は請求項11に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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