JP6441812B2 - 体液試料を分析する方法 - Google Patents

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Description

本発明は、概して、血液、間質液または他の種類の体液などの体液試料を分析する方法に関する。本発明はさらに、少なくとも1つの体液試料を分析するコンピュータプログラムおよび評価装置にも関し、試料分析装置にも関する。本発明による方法および装置は、血中グルコース濃度の測定など、体液中の少なくとも1つの分析物濃度を測定する分野において特に適用可能である。しかしながら、付加的または代替的には、1つまたは2つ以上の他の種類の分析物の測定や、1つまたは2つ以上の他の種類の体液の使用など、他の用途も実行可能である。
当該技術においては、体液中の1つまたは2つ以上の分析物を決定する多数の装置および方法が公知である。本発明の範囲を制限することなく、以下では、血中グルコース濃度の決定に関して主に言及する。
素早く単純な測定を実施するために、いくつかの種類のテストエレメントが公知であり、これらは主に、試験物質の使用、すなわち、分析物を検出するための検出反応を生じさせるように構成される1つまたは2つ以上の化合物または化学物質の混合物の使用に基づく。試験物質はしばしば、「試験化学物質」とも呼ばれる。本発明においても用いられ得る、潜在的な試験物質の詳細については、非特許文献1を参照できる。さらに、特許文献1および2も参照できる。付加的または代替的に、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6または特許文献7に開示されるような試験物質も挙げられ、これはcNAD試験物質とも称される。さらに、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11または特許文献12も参照できる。これら全ての文献に開示されている試験物質を本発明においても用いることができる。他の種類のテストエレメントおよび/または試験物質も実行可能であり、本発明において用いられ得る。
1つまたは2つ以上の試験物質を用いることにより、検出反応を開始でき、その過程は測定される分析物の濃度に依存する。分析物濃度を導き出すために、検出反応の進行は、検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を測定および/または監視することによって監視することができる。この測定値は一般に、光学測定値など、検出反応に関連付けられる任意の測定値を含み得る。一例として、多くの測定準備において、試験物質を含むテストフィールドの再放射などの光学測定値が監視される。少なくとも1つの測定値の時間展開を記録することによって、測定曲線が得られる。
測定曲線から、素早いながらも確実で正確な分析物濃度の決定を行うことに大きな課題がある。この目的のために、当該技術において多数の方法および装置が公知である。
一例として、特許文献13および特許文献14には、測定曲線が直接的または間接的に、1つまたは2つ以上の閾値と比較される方法および装置が開示されている。すなわち、一例として、特許文献13は、色の差分値を導き出し、それら差分値を所定の閾値と比較することによって測定曲線の勾配が決定される方法を開示する。これにより、検出反応の終点が決定され得る。同様に、特許文献14では、所定の間隔でテストエレメントの中間分析物レベルを計算し、(n)番目の測定から(n−5)番目の測定に対応する比率値を計算することによって終点が決定される。2つの連続した比率値が所定の値以下である場合、終点に達したとみなされ、最終分析物レベルが決定され得る。
さらに、当該技術においては1つまたは2つ以上の適合アルゴリズムを用いるいくつかの方法および装置が公知であり、ここで測定曲線は1つまたは2つ以上の適合関数を用いて分析される。すなわち、特許文献15では、光度測定曲線が測定される、体液を分析する方法および装置が開示されている。光透過システムの透過挙動は、2つの異なる測定波長で測定値を検出することにより制御される。さらに、2つの測定曲線に対して適合関数が生成され、適合関数を外挿することにより、測定値のオフセットが決定される。
特許文献16には流体試料を分析する方法が開示されており、ここでも2つの測定曲線を得るために2つの異なる波長が用いられる。測定曲線は、指数関数的上昇およびそれに続く指数関数的下降を用い、2つの異なる種類の一時的定数を有する適切な適合アルゴリズムを実行することにより適合される。
特許文献17には、分析物ストリップ上での試料流体と試薬の反応の測定に適した時間を決定する時間非依存の方法が開示されている。そこでは、試料流体が塗布されるマトリックスの特性の測定曲線が、試料流体の塗布前後の両方で周期的に測定される。続いて、この測定曲線は、時間に依存しないか、せいぜい時間内で様々な線形となる関数に変換される。変換された関数の二次導関数はその後、その二次導関数がいつ所定の閾値を下回るかを判定するために分析される。この時点で、変換された関数は試料流体中の分析物濃度を生じさせる。
特許文献18には、終点型の反応プロファイルの分析時間を減少させる方法が開示されている。この目的のために、検出反応は開始され、検出反応に関連付けられるオブザーバブルの値またはレベルの、3つの異なる時点での少なくとも3つの測定を得る。続いて、適切な適合関数を用いることにより、測定からオブザーバブルに関する終点値が推定される。
特許文献19には、試料に含まれる分析物の濃度を計算する装置およびアルゴリズムが開示されている。この文献では、試験化学物質の変色率が検出され、この変色率からヘマトクリットが導き出される。ヘマトクリットを示す適切な補正因子が、グルコース濃度を補正するために用いられる。
特許文献20には、試料中の分析物、特に血液試料中のグルコース成分の濃度を分析する方法および装置が開示されている。この文献では、試料中の分析物濃度は、光学反射を用いて経時的にテストストリップの呈色反応をスクリーニングすることによって決定され、評価の目的で線形関数または多項式が用いられる。
分析物検出方法の信頼性および再現性は顕著に改良されてきたにもかかわらず、当該技術において公知の方法は、依然として様々な方法で改良され得る。すなわち、第1に、当該技術において公知のフィッティングアルゴリズムのほとんどは、かなり複雑で、電力、ハードウェアおよびソフトウェアリソースならびに評価時間を多く消費する。特に携帯型装置を用いる場合、これらの側面は重大な不利益をもたらす可能性がある。
さらに、当該技術において公知の方法および装置のほとんどは、測定曲線におけるオフセット、ジッターまたは不連続性などの刺激および機能不全の影響を受けやすい。体液試料そのものの様々な境界条件、測定条件および測定装置によるものであり得る、これらの外乱およびアーチファクトは、分析的評価を妨げる場合があり、最悪の場合、不正確な測定結果をもたらす可能性がある。
特に、当該技術において公知の方法および装置のほとんどは、検出反応自体が、分析物濃度そのもの以外の1つまたは2つ以上の外乱の影響を受けるおそれがあるという事実を考慮するようには構成されていない。詳細には、テストエレメントの多くの種類において、体液中の粒子成分の濃度が、測定結果に重大な影響を有し得る。一例として、いわゆるヘマトクリットなどの細胞成分の濃度は、グルコーステストストリップなどの標準的なテストエレメントにより測定される分析物濃度に影響を及ぼすことが知られている。この影響は、試料の伝搬特性および拡散工程は、血球などの粒子成分の存在によって大いに変更されるという事実によるものであり得る。ヘマトクリットに加えて、試料および/または測定システムの温度などの、他の外乱変数も公知である。上述のように、当該技術において公知の方法および装置は通常、分析物濃度を決定する目的で測定曲線を評価するときに、これらの外乱を考慮するようには構成されていない。
国際公開第2010/094426号 国際公開第2010/094427号 国際公開第2007/012494号 国際公開第2009/103540号 国際公開第2011/012269号 国際公開第2011/012270号 国際公開第2011/012271号 欧州特許出願公開第0354441号明細書 欧州特許出願公開第0431456号明細書 欧州特許出願公開第0302287号明細書 欧州特許出願公開第0547710号明細書 欧州特許出願公開第1593434号明細書 欧州特許第0821234号明細書 米国特許出願公開第2002/0146835号明細書 国際公開第2011/061257号 米国特許出願公開第2008/0087819号明細書 国際公開第01/25760号 欧州特許出願公開第1413883号明細書 国際公開第2006/138226号 国際公開第99/18426号
J. Hoenesら、The Technology Behind Glucose Meters: Test Strips, Diabetes Technology & Therapeutics、Vol. 10、Supplement 1、2008、S-10〜S-26
それゆえ本発明の目的は、公知の方法および装置の欠点および課題を少なくとも部分的に克服する方法および装置を提供することである。詳細には、検出反応に影響を有する可能性のある外乱を考慮に入れて、単純だが信頼性のある方法で血液などの体液中の1つまたは2つ以上の分析物の濃度を決定するように構成される方法および装置が開示される。
この問題は、独立請求項の特徴を備える、少なくとも1つの体液試料を分析する方法および装置によって解決される。分離した様態または任意の組み合わせで実現されてもよい好ましい実施形態は、従属請求項に列挙される。
以下で用いられる「有する」、「備える」または「含む」という用語や、それらの任意の文法的変異は、非制限的な方法で用いられる。ゆえに、これらの用語は、これらの用語によって取り入れられる特徴に加えて、この文脈において記載される存在物に他の特徴が存在しない状況と、1つまたは2つ以上のさらなる特徴が存在する状況の両方を言及し得る。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、Bの他には、Aに存在する他の要素がない状況(すなわち、Aが排他的にBのみから構成される状況)と、Bに加えて、要素C、要素Cおよび要素D、または他の要素など、1つまたは2つ以上のさらなる要素が存在物Aに存在する状況の両方を言及し得る。
本発明の第1の態様においては、少なくとも1つの体液試料を分析する方法が開示される。方法は、以下の方法ステップを含んでいる。これらの方法ステップは、好ましくは所定の順番で実施される。しかしながら、方法ステップの他の順番も可能である。さらに、方法ステップの1つもしくは2つ以上またはさらにその全てが、方法ステップの1つ、方法ステップの2つ以上またはさらに方法ステップの全てを、1度、2度またはさらに3度以上繰り返すことによって、繰り返し実施され得る。さらに、方法ステップの2つまたは3つ以上は、これらの方法ステップの2つまたは3つ以上を少なくとも部分的に同時に実施することによって、時間において重複してもよい。以下に詳細に概説するように、方法ステップの1つ、複数の方法ステップまたはさらに方法ステップの全ては、コンピュータ、好ましくはマイクロコンピュータおよび/または特定用途向け集積回路(ASIC)などのデータ処理装置を用いることによって実施され得る。
方法ステップは以下の通りである。
a)少なくとも1つの試験物質と体液試料との間の検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視することによって、複数の測定値を記録し、測定値を含む少なくとも1つの測定曲線F(t)を提供するステップであって、測定曲線の少なくとも評価部分は指数関数特性を有し、測定曲線に含まれる測定値は異なる時点で取得され、検出反応は、体液中に検出される分析物の濃度cおよび少なくとも1つの外乱変数Yによる影響を受けることが知られている、ステップ、
b)第1の変数x1を形成する、測定曲線の終了値を導き出すステップ、
c)測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を考慮に入れることにより、測定曲線から、少なくとも1つの第2の変数x2を形成する少なくとも1つの適合パラメータを導き出すステップ、
d)第1の変数x1および第2の変数x2を組み合わせるように構成されている少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムを用いることにより、分析物の濃度cを導き出すステップ。
好ましくは、体液は、血液(例えば全血)および間質液からなる群から選択される。しかしながら、一般的には、尿および/または唾液など、1つまたは2つ以上の他の種類の体液が用いられてもよい。
分析物は一般的には、体液中に存在し得る任意の分析物からなり得る。詳細には、分析物は、代謝産物であってもよいし、および/または、ヒトまたは動物の代謝に関与し得る分析物であってもよい。分析物はグルコースであるか、グルコースを含み得ることが好ましい。しかしながら、付加的または代替的に、乳酸および/またはトリグリセリドなど、他の種類の分析物も検出され得る。
本明細書で用いられる場合、「測定値」という語は一般に、物理的、化学的および生物学的な測定原理の少なくとも1つに基づく任意の測定方法によって記録される、定量可能な測定結果Riをいう。測定値の種類は、以下にさらに詳細に説明するように、検出反応の種類に強く依存する。すなわち、測定方法を用いることによって、試験物質の検出反応の影響を受けることが知られている少なくとも1つの測定値が決定され得る。この測定値は、好ましくは電気測定値および光学測定値の少なくとも1つであるか、少なくとも1つを含み、好ましくは光学測定値であるか、光学測定値を含み得る。ゆえに、一例として、試験物質は、テストストリップなど、テストエレメントのテストフィールドまたはテスト領域の一部であってもよい。測定値は、当該技術において公知のような、色および/または再放射値などの光度測定値といった、試験物質、特にテストフィールドの光学的特性であってもよい。測定値は一般に、少なくとも1つの光学検出器などの、少なくとも1つの検出器を用いて測定され得る。検出器は、好ましくは、試験物質を含むテストエレメントのテストフィールドなど、試験物質から反射および/または放射される光の強度を測定するように構成される少なくとも1つの感光素子を備え得る。検出器はさらに、試験物質を照射するための、例えばテストフィールドを照射するための1つまたは2つ以上の光源を含み得る。しかしながら、付加的または代替的に、測定値を測定する他の測定原理も実行可能である。
さらに本明細書で用いられる場合、「記録する」という語は、特に、物理的、化学的および生物学的な測定原理の少なくとも1つを適用し、好ましくは光学的な測定原理を用いることによって、体液試料の少なくとも1つの測定値を取得することをいう。測定値の記録は、特に領域全体に関する正数値および/または測定が合理的に実施できた領域全体の代表値を取得するために、スポット測定、すなわち、測定値がスポット(spot)とも記される単一の小さな領域内で取得され得る測定技術の形態で、選択的に実施され得る。また、体液試料中の測定値の記録は、特にインビトロの測定形態で実施されてもよく、これは、体液試料が身体から分離され、ゆえに、その共通の生物学的環境から分離され、すなわち記録は、試料が取得され得る身体に対して、体外の様態で実施されてもよいことを意味している。好ましい実施形態において、関連する身体から体液を分離することにより試料を生成することは、少なくとも1つの測定値の記録前に行われ得る。しかしながら、代替的な実施形態において、試料の生成は、体液試料を分析する本発明の方法の一部として実施でき、試料の生成は、好ましくは指先や耳たぶなどの身体の末梢部での、身体の皮膚の小さな穿刺のみを伴ってもよい。
さらに本明細書で用いられる場合、F(t)とも称される「測定曲線」という語は、検出反応の時間展開または時間系列を特徴付けるデータの全量のことをいう。測定曲線は、異なる時点で記録された、上述のような複数の測定値を含んでいる。測定曲線は任意および/または付加的に、例えばデータ対(Ri、ti)および/または(ti、Ri(ti))を含むことにより、それぞれの測定値Riの測定時間tiを含んでいてもよい。以下にさらに詳細に概説されるように、元々の測定曲線は、一次導関数または高次導関数によってさらに置き換えられてもよく、これはその後「新たな」測定曲線を形成する。以下、「測定曲線」という語を言及する場合、元々の測定曲線を用いるオプションと、新たな測定曲線を用いるオプションの両方が含まれる。
さらに本明細書で用いられる場合、「監視する」という表現は一般に、異なる時点で取得される複数の測定値を取得する工程、任意にはそれらを記憶する工程をいう。ゆえに監視は単に、それぞれの測定時間および/または取得時間に関連する電子測定値の取得を含むものであってもよい。監視は任意には、フィルタリングおよび/または平滑化などの、任意の種類の測定曲線の前処理、処理または評価をさらに含み得る。
本明細書で用いられる場合、「分析する」という語は一般に、体液の少なくとも1つの構成要素または成分の有無および濃度の少なくとも1つの測定をいう。ゆえに一般に、分析は、定性分析および/または定量分析であってもよい。好ましくは、分析は、分析物とも呼ばれる体液の少なくとも1つの成分の濃度の定量的測定である。分析物は上に概説したように、好ましくはグルコースであり、体液は、好ましくは血液および/または間質液のどちらかであり得る。しかしながら、他の実施形態も実行可能である。
一般に、本明細書で用いられる場合、「検出反応」という語は、少なくとも1つの試験物質および体液試料の任意の種類の化学反応をいい、検出反応は、分析情報を生成するように構成される。好ましくは、検出反応は、体液中の少なくとも1つの分析物の有無および/または濃度を示すように構成される、試験物質の少なくとも1つの成分の化学反応である。ゆえに一般に、試験物質は、好ましくは非常に分析物に特異な様態で、検出される少なくとも1つの分析物と反応するように構成される化合物および/または化学混合物であり得る。検出反応は、好ましくは、試験物質が、検出される少なくとも1つの分析物と反応し、それにより、それ自体が完全または部分的に変化し、別の化学種に変形するか、および/または、その周囲を検出可能な方法で変形させ、これを測定し、それにより複数の測定値および測定曲線を導き出すように実施され得る。検出反応の進行は、少なくとも1つの物理的測定値および/または少なくとも1つの物理的測定値における変化によって示され、これは上に概説したように測定値として用いられ得る。好ましくは、検出反応は、光学的に検出可能な検出反応であり、例えば反射測定および/または透過測定を用いることにより、光学的に観察可能であり得る。他の種類の測定も実行可能である。
ゆえに、上に概説したように、「試験物質」という語は概して、上述の検出反応、好ましくは分析物に特異な検出反応を実施するように構成される、化合物もしくは化学物質、または2つもしくは3つ以上の化合物もしくは化学物質の混合物をいう。好ましくは、試験物質は、検出される少なくとも1つの分析物と反応するように構成される1つまたは2つ以上の酵素を含み得る。付加的に、試験物質は、メディエータおよび/または補酵素などの1つまたは2つ以上の補助成分を含み得る。本発明においても用いることができる試験物質に関しては、cNAD試験物質など、上により詳細に記載したような当該技術において公知の試験物質を参照できる。さらなる例は、以下にさらに詳細に示される。一般に、本発明において用いられることが可能な試験物質に関しては、非特許文献1を参照できる。付加的または代替的に、特許文献1および/または特許文献2に開示される試験物質の1つまたは2つ以上が用いられ得る。中でも、特に、共通して保管される酵素および安定な補酵素を含む試験物質、特にカルバNAD(cNAD)を安定な補酵素として用いる試験物質を参照できる。この試験物質の詳細については、例えば、特許文献1を参照できる。しかしながら、付加的にまたは選択的に、他の種類の試験物質も用いることができる。
さらに、先行技術文献に関連して概説したように、「外乱値Y」という語は概して、分析物の濃度c以外の変数をいい、これは体液試料の状態および検出反応の条件の少なくとも1つを特徴付け、複数の測定値および/または測定曲線に影響を有する。詳細には、外乱変数Yは、体液の粘度に影響を及ぼし得るパラメータを含み得る。外乱値の例としては、粒子成分の含量、好ましくはヘマトクリットなど、体液試料の少なくとも1つの成分の含量;体液試料の温度;体液試料を取り囲む周囲雰囲気の湿度;試験物質の品質を特徴付けるパラメータが挙げられる。そのパラメータは、例えば、試験物質の保管期間、例えば温度および/もしくは湿度の変動を含む、温度および/もしくは湿度への起こり得る曝露など、試験物質が保管され得る条件、または、例えば昇温、高湿度、もしくは試験化学物質または試験装置内に含まれている揮発性物質による、試験物質、試験化学物質もしくは酵素などその成分の起こり得る劣化などである。付加的または代替的に、他の検出反応の外乱、特にトップドース、毛管チャネルまたは他の形状などの、分析物を決定する際に関与するテストストリップの形状から生じる影響が知られており、これは少なくとも1つの外乱変数Yにより特徴付けられ得る。
本発明に関連して、「終了値」という語は概して、検出反応が、少なくとも70%以上まで、好ましくは少なくとも80%まで、さらには少なくとも90%までなど、実質的に終了している時点での、測定曲線の値をいう。ゆえに終了値は、好ましくは、例えば高い測定時間値に対する測定曲線F(t)の漸近値であってもよいし、漸近値に対する最も有力な推測値など、これらの高い測定時間値に対する推定漸近値であってもよい。一例として、終了値は、測定時間は通常実用的な理由から制限され得るが、limt→∞F(t)に対する最も有力な推測値であり得る。終了値の決定の一例として、測定曲線における勾配または変化が監視または評価されてもよく、勾配または変化が所定の閾値に達すると、検出反応の終点が決定され、この終点で、またはこの終点よりも後に取得される測定値のいくつかが、終了値として選択されてもよいし、および/または、平均終了値を得るなど、測定値を組み合わせることによって終了値が導き出されてもよい。終了値を導き出すアルゴリズムに関する一例として、上述の特許文献13、特許文献14または特許文献18を参照できる。終了値を決定するさらなる例として、測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性が考慮に入れられてもよく、そこから、測定曲線がプラトーの形で終了値に近接し得ると結論付けられ、これは、終了値が測定曲線のあらゆる部分、特にプラトーから離れている測定曲線の部分から導き出され得ることを意味する。付加的または代替的に、測定曲線の終了値を導き出すために、他の種類のアルゴリズムを用いてもよい。
さらに本明細書で用いられる場合、「適合(fit)」という語は概して、モデル曲線または適合関数の1つまたは2つ以上のパラメータを適切に選択するなど、モデル曲線または適合関数を適切に選択することによって、適合される少なくとも1つの曲線が少なくとも1つのモデル曲線または適合関数により近似され、それにより曲線の形状をモデリングするアルゴリズムをいう。適合の結果、1つまたは2つ以上の適合パラメータが導き出され、これはモデル曲線または適合関数において用いられると、適合関数と適合される曲線との最適な近似性をもたらす。近似性を決定するために、公知のアルゴリズムが用いられ得る。フィッティングを目的として、最小二乗回帰や最小二乗適合の方法、信頼領域法やヒューリスティックフィッティング法の方法など、多数のアルゴリズムが当該技術において公知である。結果として、「適合パラメータ」という語は、上述の適合により導き出された1つまたは2つ以上のパラメータをいう。
上に概説したように、方法ステップc)において、測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を仮定することにより、測定曲線から少なくとも1つの適合パラメータが導き出される。ゆえに、全体の測定曲線や、所定の時点、または試料塗布後および/もしくは検出反応開始後の決定可能な時点に開始する測定曲線の一部などの、測定曲線の一部が、評価され得る。本明細書で用いられる場合、「指数関数特性」という語は概して、曲線が少なくとも部分的に、1つまたは2つ以上の指数項を含む関数に従うか、その関数に類似することを示す、曲線の特性をいう。ここで、本発明による方法においては、複数の実際の測定値が、少なくとも1つの試験物質の検出反応の進行を示すために用いられ得る少なくとも1つの現実の測定値の時間展開の物理的監視を用いることによって記録されることを考慮に入れてもよい。しかしながら、基本的には、エラーや異常が全くない実際の測定値を取得することは不可能である場合がある。結果として、「指数関数特性」という語は特に、複数の実際の測定値を含む曲線が少なくとも部分的に、1つまたは2つ以上の指数項を含む関数に従うか、これに類似する状況をいうが、ここで単一の測定値のそれぞれがこの条件に従う義務があるわけではない。例えば、正確な指数減衰曲線は、常に2つの連続する値の厳密な単調減少挙動を要するが、現実の測定曲線は、実際に記録された測定値が厳密な単調減少挙動に従っていない可能性がある場合でも、依然として、測定曲線の少なくとも評価部分の必要な指数関数特性を示すと考えられ得る。
好ましくは、以下の指数関数または指数項の1つまたは2つ以上が、適合関数として用いられ得る。
F(t)=a+b・exp[−Γt] (1)
F(t)=a+b・exp[−Γt+c] (2)
F(t)=a+b・exp[−(Γt)β] (3)
F(t)=a+b・exp[−(Γt)β+c] (4)
式中、a、b、c、Γおよびβは、選択され、あらかじめ定められ、または適合されてもよく、正数であっても負数であってもよく、実数であってもよいパラメータである。
上にさらに概説したように、方法のステップd)において、少なくとも2つの変数、すなわち、第1の変数x1(終了値)および第2の変数x2(適合パラメータ)から、分析物の濃度cを導き出すために、少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムが用いられる。そこでは、1つまたは2つ以上の第1の変数および1つまたは2つ以上の第2の変数が用いられ得る。本明細書で用いられる場合、「多変量評価アルゴリズム」という語は概して、少なくとも1つの第1の変数および少なくとも1つの第2の変数から分析物の濃度cを直接的または間接的に導き出すための、規則または規則のセットをいう。評価アルゴリズムは一般に、第1の変数および第2の変数から濃度を導き出すための、任意の数学アルゴリズムまたは任意のアルゴリズムの組み合わせを含み得る。ゆえに、多変量評価アルゴリズムは、例えば第1の変数および第2の変数を入力変数として有する全く同一の方程式を用いることにより、第1の変数および第2の変数が全く同一のアルゴリズムに対する入力変数として用いられ、それにより濃度を導き出す、ワンステップアルゴリズムであってもよいし、それを含んでいてもよい。代替的には、多変量評価アルゴリズムは、段階的な2つまたは3つ以上のアルゴリズムが連続して適用され、それによって最終的に濃度を導き出すマルチステップであってもよいし、それを含んでいてもよい。ここでは、第1の変数x1および第2の変数x2は、マルチステップ評価アルゴリズムの異なるステップまたは同一のステップに対する変数として用いることができる。
一例として、少なくとも1つの適合パラメータおよび少なくとも1つの終了値は、1つの方程式または1つのアルゴリズムに対する入力変数として用いることができるので、濃度cをワンステップで導き出す。代替的には、一例として、分析物濃度の推定値またはおおまかな値を導き出すために終了値が用いられてもよく、続いてこの推定値またはおおまかな値に対して補正アルゴリズムを適用することによってこれを補正し、ここで補正アルゴリズムは、少なくとも1つの適合パラメータを含み、補正はこの少なくとも1つの適合パラメータにしたがって実施される。
上に開示した方法は、様々な方法で変更されてもよく、また様々な方法でさらに改良されてもよい。一例として、適切な適合関数をもたらし得る、指数関数特性の仮定は、以下の群から選択される指数関数を含み得る。
F(t)=a+b×exp[−Γ×t]
式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数である。
F(t)=a+b×exp[−(Γ×t)β
式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数、βはストレッチングパラメータである。
ここで、a、b、Γおよびtは実数であってもよい。これら指数関数特性の1つまたは2つ以上を推測することにより、上述の関数の1つまたは2つ以上などの適切な適合関数が、方法ステップc)において選択され得る。
第2の変数x2は、減衰定数Γから、または減衰定数Γに関連付けられ得る数量から選択され得る。ここでこの数量は、減衰定数Γとどのような関係を示してもよいが、この数量が減衰定数Γに比例するか、減衰定数の逆数1/Γに比例する関係が好ましい。しかしながら、特定の状況に適合され得る他の種類の関係も用いられ得る。この実施形態では、測定曲線のデータの全量は、減衰定数Γ、または減衰定数Γと関係のある数量である1つの適合パラメータにまで削減され得るので、特に顕著なデータの削減が達成され得る。換言すれば、測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を考慮に入れることにより、減衰率Γおよび/または減衰定数Γと関係のある数量は、適合手順を適用することなく、単に適合パラメータが導き出され得る測定曲線の評価部分から2つの測定値を取ることによって決定され得る。測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性の結果としては、このような適合パラメータの取得の相当な単純化が第1に考えられ得る。
方法ステップc)では、測定曲線そのものおよび/または測定曲線から導き出される任意の第2の測定曲線が用いられ得る。両方のオプションが可能であり、本発明の範囲に含まれるべきである。ゆえに、「生の」測定曲線は、フィッティング工程が実施される前に、1つまたは2つ以上のフィルタリングアルゴリズムに付され得る。付加的または代替的に、1つまたは2つ以上の導関数が求められてもよく、それにより測定曲線の一次導関数および/または測定曲線の高次導関数を生じる。ここで、導関数を生じさせる任意の手段が用いられ得る。一例として、測定曲線が一定の取得速度で取得された複数の測定値を含んでいる場合、隣り合う測定値間の差分値が求められ、このように求められた差分値のシーケンスが、測定曲線の導関数として用いられ得る。したがって後続の高次導関数も求められ得る。
本発明の好ましい実施形態では、ステップc)において、測定曲線の一次導関数F’(t)または高次導関数Fn(t)は、適合パラメータを導き出す前に求められる。ゆえに、一次導関数F’(t)または高次導関数Fn(t)は、適合ステップc)に付されてもよく、それによって少なくとも1つの適合パラメータを導き出す。
一般に、他の実施形態を制限することなく、測定値は、好ましくは所定の時点および/または決定可能な時点で取得され、および/または、測定値は、前の測定値の取得後の所定の期間または決定可能な期間で取得され得る。ゆえに、一例として、隣り合う測定値の取得間の時間間隔は、所定または決定可能であり得る。好ましい例として、本発明を制限するものではないが、測定曲線の測定値は、等しく間隔をおかれた時間、すなわち一定の取得速度で取得される。ゆえに測定曲線は、一定の測定速度または10Hz〜100Hzの測定周波数で取得され得る。しかしながら、測定曲線の取得の他の実施形態も実行可能である。
上に概説したように、一次導関数または高次導関数を導き出す単純化されたアルゴリズムを用いることにより、一次導関数または高次導関数は、隣り合う測定値間の差を計算することによって近似され得る。
本発明のさらなる好ましい実施形態では、ステップc)において、測定曲線の2つの連続する導関数Fn(t)およびFn+1(t)の比が求められ、この比は、適合パラメータを形成するか、または複数の適合パラメータが用いられる場合には、適合パラメータの少なくとも1つを形成する。ここでも、導関数Fn(t)およびFn+1(t)は、隣り合う測定値の差分値または先行する導関数の値を用いることによる、上述の近似を用いることによって求めることができる。
本明細書で用いられる場合、測定曲線の2つの連続する導関数Fn(t)およびFn+1(t)の比の形成は、一般に、1つまたは2つ以上の特定の時点での、2つの連続する導関数Fn(t)およびFn+1(t)の関数値の商を参照する。付加的または代替的に、2つの後続の導関数の関数値の商は、特定の期間または複数の時点にわたって生成され得る。ゆえに一例として、2つの後続の導関数の関数値の商の平均値は、所定の期間にわたって形成され得る。
「生の」測定曲線および/またはその一次導関数または高次導関数を用いるというオプションに加えて、またはそれに替えて、測定曲線にわたって積分が求められ得る。すなわち、ステップc)において、測定曲線F(t)またはF(t)の一次導関数もしくは高次導関数にわたって積分を求めることができ、積分は適合パラメータを形成する。以下でさらに詳細に概説されるように、測定曲線の指数関数特性の仮定は、積分が1つまたは2つ以上の高い有用性の適合パラメータをもたらすという事実につながり得る。
積分の演算とも称される、積分を求める工程は、一般に、当業者に公知の任意の積分の演算アルゴリズムを含み得る。好ましくは、測定曲線または測定曲線の一次導関数もしくは高次導関数は、一般に、測定値などの離散値から構成され、積分を求める工程は、以下により詳細に概説するように、測定曲線の全ての測定値、または測定曲線の所定の測定値の群の和の形成を含み得る。ゆえに積分の形成は一般に、リーマン和またはリーマン積分の形成を意味する。しかしながら、付加的または代替的には、積分を求めるように適合される他の種類のアルゴリズムを用いてもよい。
本発明のさらなる好ましい実施形態は、方法ステップd)および上述の多変量評価アルゴリズムに言及する。少なくとも1つの第1の変数x1および少なくとも1つの第2の変数x2を用いることと、上述の多変量評価アルゴリズムを用いることとにより、分析物の少なくとも1つの濃度cに加えて、1つまたは2つ以上のさらなる種類の情報が生成され得る。ゆえに、多変量評価アルゴリズムは、分析物の濃度cに加えて、少なくとも1つの外乱変数など、付加的な情報が生成され得る任意のアルゴリズムまたはアルゴリズムの組み合わせであってもよい。ゆえに一般に、ステップd)では、さらに、少なくとも1つの外乱変数Yが決定され得る。一例として、多変量評価アルゴリズムは、線形の、二次または高次の行列変換を用いることにより、少なくとも1つの第1の変数x1および少なくとも1つの第2の変数x2を含む第1ベクトルを合成ベクトルに変換する行列アルゴリズムであってもよいしそれを含んでいてもよく、合成ベクトルは、濃度cおよび少なくとも1つの付加的な情報を含み、一例として、少なくとも1つの付加的な情報は、少なくとも1つの外乱変数Yを含んでいる。一例として、濃度cに加えて、少なくとも1つのヘマトクリットが測定されてもよく、および/または、体液試料の温度が測定されてもよい。この目的のために、一例として、少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムは、任意の較正アルゴリズムにより決定され得る係数cijを有する変換行列を用いることによって、ベクトル(x1、x2)を変換するステップを含んでいてもよい。ベクトル(x1、x2)にこの行列を乗じることにより、合成ベクトル(c、Y)が生成され得る。他の例も実行可能である。
さらなる実施形態は、本発明のステップb)に記載されるような、上述の測定曲線の終了値を導き出すことに言及する。本明細書においてさらに用いられる場合、「導き出す」という語は、測定曲線の終了値を取得するように構成され得る任意の手順を含み得る。本明細書では、測定曲線の実際に記録された特性を用いることによって終了値を決定し、そこから所望の値を導き出す手順が特に好ましい。実際に記録された特性の好ましい例には、少なくとも1つの閾値と比較され得る測定曲線の勾配や、終了値により形成されるプラトーからさらに離れ得る測定曲線の部分が含まれる。代替的には、公知のパラメータか、そうでない場合は体液試料に関連付けられるパラメータから、終了値をもたらすように構成されるモデルを用いることによって、終了値を決定することが可能であり得る。
ゆえに、上に開示し、また上述の先行技術に開示されているように、ステップb)において、測定曲線が終了値に達したことを判定するために、測定曲線の勾配は、少なくとも1つの閾値と比較され得る。一例として、勾配は、特に一定の取得速度または測定速度が測定値の取得に用いられる場合、測定曲線の隣り合う測定値間の差分値によって求められ得る。すなわち、反応の終点に達しているかどうかを判定するために、隣り合う測定値の差分値が求められ、少なくとも1つの閾値と比較され得る。ここで、例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つまたは少なくとも特定数の隣り合う差分値が閾値を下回るか、または上回ることを示す基準など、付加的な基準が追加されてもよい。例えば閾値は、毎秒ごとの反射値における変化が3%、2%またはさらには1%を下回ることを示す閾値であってもよい。
さらなる実施形態は、ステップb)にしたがって測定曲線の終了値を導き出すために代替的または付加的に用いられてもよく、終了値は第1の変数x1を形成する。この実施形態は、特に、測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性に基づき得る。少なくとも評価部分の指数関数特性を考慮に入れると、測定曲線が、プラトーの形成を示し得る終了値に一定期間後に近接し得ると結論付けられ得る。これにより、各測定曲線は、少なくとも1つの外乱変数Yとは無関係に、同一のプラトー値を形成し得る。ゆえに、少なくとも1つの外乱変数Yとは無関係に分析物濃度を導き出すことが可能であり得る。非制限的な例としては、光学測定の再放射曲線からグルコース濃度を導き出すことができ、これは全ての再放射曲線が、実際のヘマトクリットや温度とは無関係に同一のプラトー値を生成し得るからである。さらに、指数関数特性は、プラトーに関連を有する必要のない測定曲線の部分から取得された測定値を利用することにより、プラトー値を決定するために用いられ得る。すでに、測定曲線の少なくとも評価部分が指数関数型を備え得るという事実により、測定曲線の少なくとも評価部分のあらゆる部分から終了値に関する情報を推論することが可能であり得る。結果として、終了値は、測定曲線の前半部分から導き出されてもよく、前半部分は、プラトーから離れている測定曲線の部分であってもよい。結果として、終了値は、測定曲線から取得される少なくとも1つの測定値から、少なくとも1つの第1の変数x1として、ステップb)により導き出されてもよく、一方で、少なくとも1つの第2の変数x2は、測定曲線から導き出される少なくとも1つの適合パラメータから、ステップc)にしたがって導き出され得る。
この特徴は、測定曲線が所定の閾値に達するまでは、測定値を取得する必要がない可能性があることを意味し得る。本実施形態によれば、むしろ、測定曲線の前半部分、好ましくは減衰定数Γまたは減衰定数Γに関連付けられ得る数量が第2の変数x2として決定される測定曲線の同一部分から、終了値をすでに導き出すことが可能であり得る。情報を失うことなく、実際に記録された測定値がより少ない数でも、分析物の濃度を決定するのに充分となり得る。一方で、終了値の精度は、プラトー値が測定曲線の後半部分で導き出され得る場合に向上し得るので、測定値の記録を終了させるのに最適な時間は、測定曲線の中間のどこかで見出され得る。実際に選択された、測定値の記録を終了する時間にかかわらず、測定時間、計算労力および/またはメモリ空間を非限定的に含む、リソースの節約が、本実施形態の適用によって場合によっては相当に達成され得る。
さらに好ましい実施形態は、上述の測定曲線の評価部分に言及する。上に示したように、評価部分は一般に、測定曲線の任意の部分であってもよいし、測定曲線全体であってもよい。好ましい例としては、測定曲線の評価部分は、測定の開始後、すなわち、試験物質に対する試料の塗布後および/または検出反応の開始後の、所定の開始点または決定可能な開始点で開始する測定曲線の部分である。ゆえに、一例として、測定曲線の評価部分は、測定の開始後、決定可能な開始期間の後に開始する測定曲線の残りであってもよい。開始期間は、一般に、0.5秒〜3秒、好ましくは1.0秒〜2.0秒、最も好ましくは1.5秒〜1.7秒という一定期間など、決定可能な期間または所定の期間であってもよい。この所定の期間を適用することにより、測定曲線の初期段階は、評価から除外され、初期段階は一例として、試験物質が試料によって浸潤される浸潤期間を含み得る。
さらなる実施形態は多変量評価アルゴリズムに関する。上に示したように、多変量評価アルゴリズムは、少なくとも1つの第1の変数x1および少なくとも1つの第2の変数x2を濃度cに変換し、任意には付加的な情報に変換する、任意のワンステップまたはマルチステップの評価アルゴリズムであってもよいし、これを含んでいてもよい。上に概説したように、多変量評価アルゴリズムは、2つまたは3つ以上の係数を有する、線形行列アルゴリズムおよび/または線形方程式を含んでいてもよく、これにより少なくとも1つの第1の変数x1および少なくとも1つの第2の変数x2は、濃度cに変換され、任意には、少なくとも1つの外乱変数Yなど、付加的な情報に変換される。付加的または代替的に、多変量評価アルゴリズムは、非線形方程式系および/または非線形変換行列アルゴリズムであってもよいし、これを含んでいてもよく、これも2つまたは3つ以上の係数を含んでいる。さらに、2つもしくは3つ以上の変換アルゴリズムおよび/または2つもしくは3つ以上の変換曲線など、2つまたは3つ以上の評価アルゴリズムが提供されてもよい。これらの評価アルゴリズムの1つまたは2つ以上は、例えば適切な境界条件にしたがって、複数の多変量評価アルゴリズムから選択され得る。一例として、環境温度が独立して測定され、この測定された特定の周囲温度に応じた適切な多変量評価アルゴリズムが、複数の多変量評価アルゴリズムから選択され得るので、それぞれの体液試料の温度に対して適切な多変量評価アルゴリズムを選択する。
本発明の方法はさらに、少なくとも1つの決定木の使用を含み得る。すなわち、少なくとも1つの決定木は、体液試料を分析する方法において用いられ得る。本発明においてさらに用いられる場合、「決定木」とは、所定の条件が満たされている否かの評価に基づき、少なくとも2つ、好ましくは2つの代替的な関数のうちの1つを選択可能にし得る、少なくとも1つの決定分岐を含み得る。その決定分岐自体も、さらなる所定の条件の評価に基づく少なくとも2つ、好ましくは2つのさらなる代替的な関数のうちの1つの実施を可能にし得る、付加的な二次決定分岐を含み得る。また、この二次決定分岐は少なくとも1つのさらなる高次決定分岐を含んでいてもよい。一般に、所定の条件は、値の有無や、確定値が少なくとも1つの所定の範囲内にあるか否かを評価し得る。決定分岐はゆえに、特定の関数を実施するか否か、または特定のパラメータの下で、特定のパラメータセットを用いて、もしくは特定のパラメータ範囲内で、特定の関数を実施するか否かの決定を提供し得る。非制限的な例として、例えば所定のヘマトクリット範囲の外部にあるなど、補正が必要とされ得るグルコース値のみが、補正処理に送られ得る。別の非制限的な例は、試料中のグルコース濃度を測定するために適用され得る閾値に言及し、この処理において実際に適用される閾値は、所定のグルコース濃度範囲にしたがって選択され得る。
代替的または付加的に、分析物の濃度cに関する値を導き出す目的で、少なくとも1つの外乱変数Yの変動に基づく、少なくとも2つ、好ましくは多数の処理からの結果を考慮に入れるために、体液試料を分析する方法において重みつき平均が用いられ得る。ここで重みつき平均は、外乱変数Yの特定値それぞれの確率分布を反映し得る予測モデルにしたがって、外乱変数Yの特定値それぞれに関する確率を示し得る重みを含み得る。非制限的な例として、多数のグルコース濃度が取得され、ゆえに所定の範囲内のヘマトクリットの特定値に関する各グルコース濃度が取得され、その重みつき平均が導き出され得るので、グルコース濃度に関する単一の値が取得される。ここで重みは、ヘマトクリットの特定値それぞれの確率分布を反映し得る予測モデルにしたがって、ヘマトクリットの特定値それぞれに関する確率を示し得る。
多変量評価アルゴリズムは一般に、例えば複数の較正測定を用いることによって、先行する方法ステップにおいて決定され得る。ゆえに、単純な測定設定では、異なる明確な分析物濃度および/または異なる明確な外乱変数を有する、複数の較正試料が提供され得る。単純な場合、多変量評価アルゴリズムは、変換行列の係数などの多数の係数を含み、多数の係数は、較正流体を使用して測定から生じる測定結果x1およびx2にこれらの係数を適用することにより生じる方程式系を解くことによって決定され得る。当業者であれば、多数の可能な較正設定をすぐに認識するであろう。ゆえに一般に、本発明に関連して、「較正測定」という語は、較正流体を用いることにより取得されるか、ならびに/または、少なくとも1つの濃度および少なくとも1つの外乱変数が既知であるなど、既知の条件の下で取得される、任意の測定のことをいう。ゆえに、外乱変数が較正流体のことをいう場合、外乱変数は、例えば所定のヘマトクリットを有する較正流体を用いることにより、較正流体そのものを介して知ることができる。標的変数が、測定に用いられる試験物質の温度および/または特定の特性などの測定条件のことをいう場合、外乱変数は、測定の状況から知ることができる。ゆえに、1つまたは2つ以上の較正測定を用いることにより、少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムが決定できるか、および/または、多変量評価アルゴリズムのセットが決定でき、好ましくは、本発明による方法によって後に使用できるよう、データ記憶装置に記憶することができる。
本発明のさらなる態様では、少なくとも1つの体液試料を分析する評価装置が開示される。上に挙げた実施形態の1つまたは2つ以上に開示した方法に適用されるように、評価装置は、好ましくは、体液試料を分析する目的で測定曲線を評価するように構成され得る。評価装置は、少なくとも1つの評価ユニットを備え、評価ユニットは、上に開示した実施形態の1つもしくは2つ以上による方法、および/または、以下により詳細に開示する実施形態の1つもしくは2つ以上による方法を実施するように構成される。一例として、評価ユニットは、1つまたは2つ以上のコンピュータおよび/または特定用途向け集積回路(ASIC)、好ましくは少なくとも1つのマイクロコンピュータなどの、1つまたは2つ以上のデータ処理装置を備え得る。少なくとも1つのデータ処理装置は、データ処理装置上で実行するように構成される1つまたは2つ以上のソフトウェアコンポーネントを備え、ソフトウェアコンポーネントは、本発明による方法を完全に実施するか、または例えば、測定値の記録に伴う可能性のある特定の測定ステップおよびプロセッサに接続される1つまたは2つ以上の測定装置によって実施される可能性のある特定の測定ステップを除いて、本発明による方法を部分的に実施するように構成されている。測定値は、後者の場合、記録ステップの一部として評価ユニットに提供され得る。1つまたは2つ以上の部品であってもよいし、1つまたは2つ以上の部品を含んでいてもよい評価ユニットは、好ましくは、上に挙げるか、および/または、以下にさらに詳細に開示される実施形態の1つまたは2つ以上において、上述の方法を実施するソフトウェアアルゴリズムを実行するように構成され得る。
本発明のさらなる態様では、体液試料を特徴付ける試料分析装置が開示される。本明細書において用いる場合、「特徴付ける」という語は、体液試料の1つまたは2つ以上の特性を決定する工程に関する。詳細には、以下にさらに詳細に開示するように、「特徴付ける」という語は、体液中の少なくとも1つの分析物濃度が決定され得るということを意味する。付加的に、少なくとも1つの外乱変数に関する情報など、体液試料に関する情報の1つまたは2つ以上の項目が生成されてもよい。
試料分析装置は、少なくとも1つの試験物質と少なくとも1つの体液試料との検出反応を測定する少なくとも1つの測定ユニットを備える。ここで検出反応は、それぞれが体液試料の状態および検出反応の条件の少なくとも1つを特徴付ける外乱変数のセットによる影響を受けることが知られている。測定ユニットはさらに、検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視し、それにより異なる時点で取得される複数の測定値を含む測定曲線F(t)を記録するように構成される。
少なくとも1つの測定ユニットは、上に概説したように、以下においてはRiと示される複数の測定値を測定する1つまたは2つ以上の検出器を備えてもよく、複数の測定値は、測定曲線F(t)および/または測定曲線の一部を形成する。少なくとも1つの検出器は、光学的検出器および/または電気的検出器など、少なくとも1つの測定値を測定する任意のエレメントであってもよいし、これを備えていてもよい。一例として、試験物質を含むテストエレメントのテストフィールドによって、および/または、試験物質を透過する光を測定することによってなど、試験物質から反射した光を測定する、フォトダイオードおよび/またはフォトセルなどの少なくとも1つの感光素子を有する光学的検出器が設けられ得る。少なくとも1つの検出器はさらに、発光ダイオード、レーザーダイオードまたは電球の1つまたは2つ以上など、試験物質を照射する1つまたは2つ以上の光源を備え得る。測定ユニットは、検出器によって生成され得る測定値を取得するように構成されてもよく、これは電気信号ならびに/またはアナログおよび/もしくはデジタル信号の形態など、任意の形態で提供され得る。測定ユニットはさらに、これらの測定値を記憶し、および/または、以下にさらに詳細に開示するようなディスプレイまたは評価装置などの試料分析装置の別のユニットにこれらの測定値を移送するように構成され得る。
試料分析装置はさらに、上に開示するか以下にさらに詳細に開示するように、本発明による少なくとも1つの評価装置を備える。評価装置は、好ましくは、少なくとも1つのコンピュータまたはコンピュータネットワークなどの、少なくとも1つのデータ処理装置であってもよいし、これを備えていてもよい。ゆえに、評価装置は、試料分析装置に組み込まれるマイクロコンピュータであってもよいし、これを備えていてもよく、ならびに/または、少なくとも1つのインターフェースおよび/もしくは少なくとも1つのデータ接続により測定ユニットに接続されるコンピュータであってもよいし、これを備えていてもよい。
上に概説したように、試験物質は、好ましくは、テストエレメントの一部であり得る。テストエレメントは、当該技術において公知のように、テストエレメントの担体エレメントの表面に塗布される1つまたは2つ以上のテストフィールドなど、少なくとも1つの試験物質を備える1つまたは2つ以上のテストフィールドを備え得る。一例として、テストエレメントは、テストストリップ、テストテープ、テストディスクまたは当該技術において公知の任意の他の種類のテストエレメントの1つもしくは2つ以上であってもよいし、これを備えていてもよい。テストエレメントは一般に、検出反応を実施するように構成される少なくとも1つの試験物質を含み得る。試料分析装置は、体液試料がテストエレメントに塗布可能であるように構成され得る。ゆえに試料分析装置は、少なくとも1つのテストエレメントを受け取る1つまたは2つ以上の受容部を備えていてもよく、テストエレメントおよび/または試料分析装置は、体液試料が少なくとも1つの試験物質に塗布され得る、1つまたは2つ以上の塗布位置および/または塗布機構を備える。
上に概説し、または以下により詳細に概説するように、本発明の方法は非常に効率的であり、分析物濃度、および任意には少なくとも1つの外乱変数Yなどの測定結果を、迅速かつ正確に生成するように構成されている。ゆえに、本発明は、通常そのハードウェアおよびソフトウェアのリソースに関して制限のある、小型で持ち運び可能な装置において特に適用可能である。それゆえ、好ましくは、試料分析装置は、携帯型装置として具現化され得る。本明細書で用いる場合、携帯型装置という語は、一般的には、ユーザが例えば片手で持ち運ぶことが可能な装置をいう。典型的には、携帯型装置は、1000cm3未満、好ましくは500cm3未満の体積を有する装置であり得る。携帯型装置の重量は、好ましくは1kg未満、さらに好ましくは500g未満である。
本発明による方法、コンピュータプログラム、評価装置および試料分析装置は、公知の方法、コンピュータプログラムおよび装置に対して多数の利点を提供する。ゆえに、以下にさらに詳細に概説するように、測定曲線の終了値を示す第1の変数x1を用い、付加的に、測定曲線またはその少なくとも評価部分の指数関数特性を仮定することによって導き出される少なくとも1つの適合パラメータを第2の変数x2として用いるという一般概念により、容易に実施される多数の評価オプションを可能にする。
ゆえに、第1のオプションとして、単純な指数関数が測定曲線に適合(fit)されてもよく、それにより、付加的な第2の変数x2として用いられる少なくとも1つの適合パラメータを導き出す。
第2のオプションとして、測定曲線の一次導関数または高次導関数が用いられ適合(fit)されてもよく、それにより、上述の方程式(1)〜(4)から明らかなように、測定曲線のオフセットは除外され得る。
第3のオプションとして、特に上述の方程式(1)を考慮したときに、上の指数関数特性を示す潜在的適合関数から明らかなように、適合関数の2つの連続する導関数の商を形成するオプションは、指数関数特性の減衰率または増加率を示し得るパラメータΓを決定する容易なアルゴリズムを提供し得る。
第4のオプションとして、例えば上述の方程式(1)〜(4)の1つまたは2つ以上、特に方程式(1)を用いることにより明らかなように、0〜∞までの積分は、単純で一定な商b/Γをもたらし、ここでbは指数関数特性の定数であり、Γは減衰定数である。
第5のオプションとして、基線が無視され得る(a=0)、方程式(1)の一次導関数に対する2つの別々の方程式が、2つの異なる閾値に対して設定されてもよく、式中、減衰率を示し得るパラメータΓは、例えば、方程式を再配置しその後置換を行うことによって、2つの方程式から取得され得る。これにより、2つの異なる閾値は特に、−10%/秒〜−1%/秒、好ましくは−5%/秒〜−2%/秒の範囲から選択され得る。
ゆえに、個別に適用されてもよいし、任意の組み合わせで用いられてもよいこれら5つのオプションは、少なくとも1つの適合パラメータまたは付加的な変数x2の単純で効率的な生成をもたらし、これは測定曲線の多変量分析に用いられ得る。
ゆえに、終了値および適合パラメータを組み合わせることにより、効率的で依然として精密なアルゴリズムが提供でき、これは一例として、現在のヘマトクリットに関する濃度cを補正するように構成される。さらに示されるように、本発明の方法は、血液試料を分析するときにグルコース量が決定され得る基礎となる現在のヘマトクリットを考慮することにより、グルコース濃度の補正に特に適していることがわかっている。測定曲線またはその導関数に関する指数関数特性を考慮に入れることにより、化学運動学的再放射曲線などの測定曲線に含まれる情報は、上述のオフセットa、定数bおよび減衰率Γなどの少量の(2、3の)適合パラメータに減少され得る。ヘマトクリット、温度または相対湿度などの外乱変数に関するこれらのパラメータの挙動は、分析物の補正濃度を生成するため、および/または、分析物濃度の生の値を補正するために用いられ得る。これに関して、本発明による方法を用いることによって、外乱変数の知識が分析物濃度を正確に決定するために必要とされなくてもよいことがはっきりと述べられ得る。
ゆえに、終了値に加えて、適合パラメータa、b、Γ、βの1つもしくは2つ以上またはこれらの任意の組み合わせなど、1つまたは2つ以上の付加的な変数x2が、分析物濃度の決定の測定結果を向上させるために用いられ得る。ゆえに、測定曲線の少なくとも評価部分またはその導関数の指数関数特性の仮定は、顕著なデータ削減をもたらすことができ、これは測定曲線の全体のデータ量が、1つの適合パラメータおよび/または少量の(2、3の)適合パラメータのセットにまで減少され得るからである。この特徴は、試料分析装置内でデータを記憶し、パラメータを計算するために必要なメモリ空間量を減少させるのに有用であり、これは携帯型装置の大きさを減少させるのに特に有益であり得る。
測定曲線の導関数を用いることによって、指数関数特性を仮定するときに測定曲線のオフセットは容易に除外され得る。同様に、指数関数特性を仮定することによって、指数関数の減衰率Γおよび/または定数bは、上述の、測定曲線の2つの連続する導関数の商を形成することにより、適合を用いることなく決定され得る。ゆえに、適合を実行するための労力およびリソースは、部分的またはさらには完全に取り除かれ得る。これにより、評価装置および/または試料分析装置のコストは著しく減少され得る。さらに、バッテリおよび/または試料分析装置の任意の別のエネルギー蓄積装置の寿命が著しく増加され得る。
指数関数特性の仮定および指数関数特性の適合の使用も、上の方程式(4)により示すような、「伸張(stretched)」指数関数を用いることによって拡張され得る。ここでは、ストレッチングパラメータβが、他のパラメータa、bおよびΓに加えて、またはそれらに替わって付加的なパラメータとして用いられ、グルコース濃度など、分析物の濃度に依存し、そしてさらに、ヘマトクリット、相対湿度、温度および他の外乱変数などの、1つまたは2つ以上の外乱変数に依存し得る。ゆえに、伸張係数βは、本発明の方法を用いることによって分析物濃度を補正するために用いられ得る。本発明はさらに、コンピュータまたはコンピュータネットワークでプログラムが実行されるときに、本明細書に開示される実施形態の1つまたは2つ以上において、本発明の方法を実施するための、コンピュータが実行可能な命令を含むコンピュータプログラムを開示および提案する。詳細には、コンピュータプログラムはコンピュータが読み取り可能なデータキャリアに記憶され得る。ゆえに、特に、上述の方法ステップa)〜d)の1つ、2つ以上または全てが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって、好ましくはコンピュータプログラムを用いることによって実施され得る。
本発明はさらに、コンピュータまたはコンピュータネットワークでプログラムが実行されるときに、本明細書に開示される実施形態の1つまたは2つ以上で本発明の方法を実施するための、プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品を開示および提案する。詳細には、プログラムコード手段はコンピュータが読み取り可能なデータキャリアに記憶され得る。
さらに、本発明は、記憶されるデータ構造を有するデータキャリアを開示および提案し、データ構造は、コンピュータまたはコンピュータネットワークのワーキングメモリまたはメインメモリなど、コンピュータまたはコンピュータネットワークにロードされた後、本明細書に開示する実施形態の1つまたは2つ以上による方法を実行し得る。
本発明はさらに、コンピュータまたはコンピュータネットワークでプログラムが実行されるときに、本明細書に開示される実施形態の1つまたは2つ以上にしたがって本発明の方法を実施するための、機械が読み取り可能なキャリアに記憶されるプログラムコード手段を備えるコンピュータプログラム製品を提案および開示する。本明細書において用いられる場合、コンピュータプログラム製品とは、取引可能な製品であるプログラムをいう。製品は、一般に、紙フォーマットまたはコンピュータが読み取り可能なデータキャリアなど任意のフォーマットで存在し得る。特に、コンピュータプログラム製品は、データネットワークを通して流通され得る。
最後に、本発明は、本明細書に開示する実施形態の1つまたは2つ以上による方法を実施するための、コンピュータシステムまたはコンピュータネットワークにより読み取り可能な命令を含む変調データ信号を提案および開示する。
好ましくは、本発明のコンピュータが実装される態様に関して、本明細書に開示される実施形態の1つまたは2つ以上による方法の方法ステップの1つもしくは2つ以上または方法ステップの全ては、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって実施され得る。ゆえに、一般に、データの提供および/または操作を含む方法ステップのいずれもが、コンピュータまたはコンピュータネットワークを用いることによって実施され得る。一般に、これらの方法ステップは、通常、試料の供給および/または実際の測定を実施する特定の態様などの手作業を要する方法ステップを除いて、任意の方法ステップを含んでいてもよい。
特に、本発明はさらに、
少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサは本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するように構成されるコンピュータまたはコンピュータネットワーク、
コンピュータで実行されている間、本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するように構成される、コンピュータがロード可能なデータ構造、
コンピュータで実行されている間、本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するように構成されるコンピュータプログラム、
コンピュータまたはコンピュータネットワークで実行されている間、本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するためのプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶される、先行する実施形態記載のプログラム手段を備えるコンピュータプログラム、
コンピュータまたはコンピュータネットワークのメイン記憶域および/または作業記憶域にロードされた後に、本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するように構成されるデータ構造が記憶される記憶媒体、および
コンピュータまたはコンピュータネットワークで実行されると本明細書に記載される実施形態の1つによる方法を実施するための、記憶媒体に記憶され得るか、記憶されているプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品
を開示する。
本発明の発見をまとめると、以下の実施形態が好ましい。
実施形態1
少なくとも1つの体液試料を分析する方法であって、方法は、
a)少なくとも1つの試験物質および体液試料の検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視することによって複数の測定値を記録し、測定値を含む少なくとも1つの測定曲線F(t)を提供するステップであって、測定曲線の少なくとも評価部分は指数関数特性を有し、測定曲線に含まれる測定値は異なる時点で取得され、検出反応は、体液中に検出される分析物の濃度cおよび少なくとも1つの外乱変数Yによる影響を受けることが知られている、ステップと、
b)第1の変数x1を形成する、測定曲線の終了値を導き出すステップと、
c)測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を考慮に入れることによって、測定曲線から、少なくとも1つの第2の変数x2を形成する少なくとも1つの適合パラメータを導き出すステップと、
d)第1の変数x1および第2の変数x2を組み合わせるように構成されている少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムを用いることによって、分析物の濃度cを導き出すステップと
を含んでいる。
実施形態2
少なくとも1つの体液試料を分析する方法であって、方法は、
a’)少なくとも1つの試験物質および体液試料の検出反応の進行を示す、少なくとも1つの測定値の時間展開を監視することによって記録される複数の測定値を含む少なくとも1つの測定曲線F(t)を提供するステップであって、測定曲線に含まれる測定値は異なる時点で取得され、検出反応は、体液中に検出される分析物の濃度cおよび少なくとも1つの外乱変数Yによる影響を受けることが知られている、ステップと、
b’)第1の変数x1を形成する、測定曲線の終了値を導き出すステップと、
c’)測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を仮定することによって、測定曲線から、少なくとも1つの第2の変数x2を形成する少なくとも1つの適合パラメータを導き出すステップと、
d’)第1の変数x1および第2の変数x2を組み合わせるように構成される少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムを用いることによって、分析物の濃度cを導き出すステップと
を含んでいる。
実施形態3
体液が、血液および間質液からなる群から選択される実施形態1または2記載の方法。
実施形態4
分析物がグルコースである実施形態1〜3のいずれか1つに記載の方法。
実施形態5
試験物質が、少なくとも1つの酵素、好ましくはGODおよび/またはGDHを含んでいる実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。
実施形態6
測定値が光学測定値である実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。
実施形態7
光学測定値が反射測定によって検出される実施形態6記載の方法。
実施形態8
測定値が再放射値である実施形態6または7記載の方法。
実施形態9
外乱変数Yが、体液の粘度に影響を及ぼし得るパラメータを含んでいる実施形態1〜8のいずれか1つに記載の方法。
実施形態10
少なくとも1つの外乱変数が、試料の粒子成分、好ましくはヘマトクリット、および試料の温度からなる群から選択される実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。
実施形態11
指数関数特性が、
F(t)=a+b+exp[−Γ×t]
式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数、
F(t)=a+b+exp[−(Γ×t)β
式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数、βはストレッチングパラメータ、
からなる群から選択される少なくとも1つの指数関数を含んでいる実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。
実施形態12
第2の変数x2が、減衰定数Γから、または減衰定数Γと関係のある数量から選択される実施形態11記載の方法。
実施形態13
数量が、減衰定数Γに比例し、または減衰定数の逆数1/Γに比例する実施形態12記載の方法。
実施形態14
ステップc)において、適合パラメータを導き出す前に、測定曲線の一次導関数F’(t)または高次導関数Fn(t)が形成される実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。
実施形態15
測定曲線の測定値が、時間内で等しく間隔をおかれて取得される実施形態14記載の方法。
実施形態16
測定曲線が、10Hz〜100Hzの一定の測定周波数で取得される実施形態15記載の方法。
実施形態17
一次導関数または高次導関数が、隣り合う測定値間の差を計算することによって近似される実施形態15または16記載の方法。
実施形態18
ステップc)において、測定曲線の2つの連続する導関数Fn(t)およびFn+1(t)の比が形成され、その比が、適合パラメータを形成する、実施形態1〜17のいずれか1つに記載の方法。
実施形態19
ステップc)において、測定曲線F(t)またはF(t)の一次導関数もしくは高次導関数にわたって積分が形成され、積分が、適合パラメータを形成する実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。
実施形態20
ステップc)において、2つの異なる時点での測定曲線の一次導関数の比較から、適合パラメータが取得される実施形態1〜19のいずれか1つに記載の方法。
実施形態21
2つの異なる時点が、2つの異なる閾値を適用することにより取得される実施形態20記載の方法。
実施形態22
2つの異なる時点の少なくとも1つが、閾値に近似する2つの差分値間の線形補間により取得される実施形態20記載の方法。
実施形態23
2つの異なる時点に対して2つの差分値が用いられ、2つの差分値のそれぞれが閾値に近似する実施形態20記載の方法。
実施形態24
2つの異なる閾値が、−10%/秒〜−0.1%/秒の範囲から選択される実施形態21〜23のいずれか1つに記載の方法。
実施形態25
2つの異なる閾値が、−5%/秒〜−2%/秒の範囲から選択される実施形態24記載の方法。
実施形態26
2つの異なる閾値が、体液濃度の仮の推定値にしたがって選択される実施形態21〜25のいずれか1つに記載の方法。
実施形態27
体液がグルコースを含み、体液濃度の仮の推定値が100mg/dl以上の値をもたらし、選択される2つの異なる閾値が−5%/秒および−2%/秒である実施形態26記載の方法。
実施形態28
体液がグルコースを含み、グルコース濃度の仮の推定値が100mg/dl未満の値をもたらし、選択される2つの異なる閾値が−2%/秒および−0.5%/秒である実施形態26記載の方法。
実施形態29
体液がグルコースを含み、グルコース濃度にヘマトクリット補正が適用される実施形態1〜28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30
ヘマトクリットが所定のヘマトクリット範囲の外にある場合に、グルコース濃度にヘマトクリット補正が適用される実施形態29記載の方法。
実施形態31
所定のヘマトクリット範囲が、35%〜50%のヘマトクリット値を含む実施形態30記載の方法。
実施形態32
ステップd)において、少なくとも1つの外乱変数Yがさらに決定される実施形態1〜31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33
ステップd)において、分析物の濃度cに関する値を導き出すために、少なくとも1つの外乱変数Yの変動に基づき、少なくとも2つの処理の結果の重みつき平均が提供される実施形態1〜32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34
重みつき平均が、少なくとも1つの外乱変数Yの特定の値のそれぞれに関する確率を示す重みを含む実施形態33記載の方法。
実施形態35
予測モデルが、少なくとも1つの外乱変数Yの特定値それぞれの確率分布を提供する実施形態34記載の方法。
実施形態36
ステップb)において、測定曲線が終了値に達しているか否かを決定するために、測定曲線の勾配が少なくとも1つの閾値と比較される実施形態1〜35のいずれか1つに記載の方法。
実施形態37
測定曲線の隣り合う測定値の差分値が形成され、少なくとも1つの閾値と比較される実施形態36記載の方法。
実施形態38
ステップb)において、測定曲線の少なくとも1つの測定値から終了値が導き出され、ステップc)において、測定曲線の少なくとも1つの適合パラメータから少なくとも1つの第2の変数が導き出される実施形態1〜37のいずれか1つに記載の方法。
実施形態39
ステップb)において、終了値が測定曲線の前半部分から導き出され、前半部分は測定曲線のプラトーから離れている、測定曲線の部分である実施形態1〜38のいずれか1つに記載の方法。
実施形態40
各測定曲線が、少なくとも1つの外乱変数Yから独立して、同一のプラトー値を形成し得る実施形態39記載の方法。
実施形態41
終了値が、減衰定数Γまたは減衰定数Γに関連付けられる数量が第2の変数x2として決定され得る測定曲線の同一部分から決定され得る実施形態39または40記載の方法。
実施形態42
測定曲線の評価部分が、測定の開始後、決定可能な開始期間の後に開始する測定曲線の残りである実施形態1〜41のいずれか1つに記載の方法。
実施形態43
開始期間が所定の期間である実施形態42記載の方法。
実施形態44
所定の期間が0.5秒〜3秒、好ましくは1.0秒〜2.0秒、最も好ましくは1.5秒〜1.7秒である実施形態43記載の方法。
実施形態45
多変量評価アルゴリズムが、複数の較正測定を用いることにより決定される実施形態1〜44のいずれか1つに記載の方法。
実施形態46
コンピュータまたはコンピュータネットワークでプログラムが実行されると実施形態1〜45のいずれか1つに記載の方法を実施する、コンピュータが実行可能な命令を含むコンピュータプログラム。
実施形態47
少なくとも1つの体液試料を分析する評価装置であって、評価装置は少なくとも1つの評価ユニットを備え、評価ユニットは、少なくとも1つの体液試料を分析する方法に関する実施形態1〜46のいずれか1つに記載の方法を実施するように構成される評価装置。
実施形態48
体液試料を分析する試料分析装置であって、装置は、
少なくとも1つの試験物質および少なくとも1つの体液試料の検出反応を測定する少なくとも1つの測定ユニットであって、検出反応は、それぞれが体液試料の状態および検出反応の条件の少なくとも1つを特徴付ける外乱変数のセットによる影響を受けることが知られており、測定ユニットはさらに、検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視し、それにより異なる時点で取得される複数の測定値を含む測定曲線F(t)を記録するように構成され、測定曲線の少なくとも評価部分は指数関数特性を有する、少なくとも1つの測定ユニットと、
実施形態47記載の少なくとも1つの評価装置と
を備える試料分析装置。
実施形態49
さらに少なくとも1つのテストエレメント、好ましくは少なくとも1つのテストストリップを備え、テストエレメントは、検出反応を実施するように構成される少なくとも1つの試験物質を含み、試料分析装置は、体液試料がテストエレメントに適用可能であるように構成される実施形態48記載の試料分析装置。
実施形態50
試料分析装置が携帯型装置として具体化される実施形態48または49記載の試料分析装置。
本発明のさらなる任意の特徴および実施形態は、好ましくは従属請求項とあわせて、後に続く好ましい実施形態の説明により詳細に開示される。ここで、それぞれの任意の特徴は、当業者であれば理解するように、分離した様態で実現されてもよいし、任意の実行可能な組み合わせで実現されてもよい。本発明の範囲は好ましい実施形態に制限されない。実施形態は図面に概略的に示されている。ここで、これらの図面の同一の参照番号は、同一または機能的に同等な要素を指す。
本発明による試料分析装置の例示的な実施形態を示す断面図である。 2つの異なるグルコース濃度に関する、第1の試験物質の再放射の測定曲線を示す図である。 図2Aの測定曲線の一次導関数を示す図である。 図2Bで得られた一次導関数に関する指数関数適合を示す。 図2Bで得られた一次導関数に関する指数関数適合を示す。 図3Aおよび3Bの適合関数における適合パラメータに対するヘマトクリットの影響を示す図である。 図3Aおよび3Bの適合関数における適合パラメータに対するヘマトクリットの影響を示す図である。 種類の異なる試験物質について、図3Aおよび3Bと同様の一次導関数の適合関数を示す図である。 種類の異なる試験物質について、図3Aおよび3Bと同様の一次導関数の適合関数を示す図である。 後続の図7A〜8Bの評価に用いられる再放射曲線を示す図である。 図6の測定曲線の一次導関数を示す図である。 図6の測定曲線の二次導関数を示す図である。 図7Bおよび7Aの二次導関数および一次導関数の商を示す図である。 図7Aの一次導関数に対する指数関数適合を示す図である。 ヘマトクリットHKT45に関する、百分率の相対再放射rRとして与えられる終了値EWまたはx1と、グルコース濃度cとの間の相関の例示的な実施形態を示す図である。 百分率の相対再放射rRとして与えられる終了値EWまたはx1の関数として、および指数関数適合パラメータΓまたはx2の関数として、相関に適用される補正因子Kを示す図である。 補正されていない一変量測定(図11A)と補正された多変量測定(図11B)とに関する、測定されたグルコース濃度の、実際のグルコース濃度からの残差または偏差を示す図である。 第2の試験物質の再放射の一次導関数、一次導関数の適合関数、および2つの異なる閾値での2つの異なる時間t1およびt2を示す図である。 異なるヘマトクリットおよびグルコースの濃度に関する減衰率を示す図であり、各減衰定数Γは、2つの異なる閾値に関する基線(a=0)が無視された方程式(1)の一次導関数に対する2つの別々の方程式によって決定される。 10の測定値に対する平均値として、補正されていない一変量の値によって決定される測定グルコース濃度(図14A)と、対応する測定値として、補正されていない一変量の値によって決定される測定グルコース濃度(図14B)を示す図である。 10の測定値に対する平均値として、補正された多変量の値によって決定される測定グルコース濃度(図15A)と、対応する測定値として、補正された多変量の値によって決定される測定グルコース濃度(図15B)を示す図である。 グルコース値の補正が、所定のヘマトクリット範囲の外部にのみ適用され得る第1の決定木を示す図である。 第2の試験物質の再放射の一次導関数を示す図であり、2つの異なる時間t1およびt2は線形補間により決定される一方で、時間t1’は図12において適用されるような処理により決定される。 第2の試験物質の再放射の一次導関数を示す図であり、2つの異なる時間t1およびt2は、再放射の実際の値が取得された各時点、およびそれぞれがR’(t1)およびR’(t2)の値、すなわち、所定の閾値に最も近い再放射の一次導関数の値をそれぞれ含んでいる時点から選択される。 最初に、グルコース濃度を決定するためのそれぞれの閾値が、所定のグルコース濃度範囲にしたがって選択でき、次に、グルコース値の補正が、所定のヘマトクリット範囲の外部にのみ適用され得る、第2の決定木を示す図である。 最初に、グルコース濃度が所定のグルコース濃度範囲内にあるかどうかに応じて、グルコース濃度を決定するときに減衰定数Γを考慮に入れることができ、次に、減衰定数Γが所定の定数Γ0と等しいかそれを超えるかに応じて、ヘマトクリットが考慮に入れられ得る、第3の決定木を示す図である。 相対再放射の2つの典型的な測定曲線を示す図であり、2つの曲線は、そのヘマトクリットと、対応するヘマトクリットに対する2つのそれぞれの指数関数適合によって区別される。
図1には、本発明による試料分析装置110の例示的な実施形態が、概略的な配置で断面図に示されている。試料分析装置は、好ましくは携帯型装置112として具体化でき、1つもしくは2つ以上の押ボタンおよび/もしくは他の種類の操作装置などの1つもしくは2つ以上の操作装置118、ならびに/または1つもしくは2つ以上のディスプレイ116といった、1つまたは2つ以上のヒューマンマシンインターフェースを有するケーシング114を備え得る。試料分析装置110はさらに、1つもしくは2つ以上の赤外線インターフェース、および/または、有線ベースのインターフェース、および/または、無線インターフェースなどの、1つもしくは2つ以上のデータインターフェース120を備え得る。試料分析装置110はさらに、図示しないが、バッテリなどのエネルギー蓄積装置を備え得る。
試料分析装置110は、テストエレメント122に塗布される体液試料を分析するように構成される。図1に示す実施形態において、テストエレメント122は、試料が直接的または間接的に塗布され得る1つまたは2つ以上のテストフィールド124を備える、ストリップ形状のテストエレメント、すなわちテストストリップであり得る。テストフィールド124は、分析物の存在下で検出反応を実施するように構成される試験物質126を備え、検出反応は、観察され得る試験物質126の少なくとも1つの物理的および/または化学的特性、好ましくは光学的特性を変更するように構成される。図1に示す配置において、例示的な実施形態として、試験物質126は、反射率および/または色などの少なくとも1つの光学的特性を変更するように構成される。
検出反応の進行を監視するために、試料分析装置110は測定ユニット128を備え、測定ユニット128は、この例示的な実施形態においては、テストフィールド124を照射する少なくとも1つの光源132を有し、さらに、好ましくは散乱光および/または拡散光などの間接的な態様でテストフィールド124から反射される光を検出する少なくとも1つの感光素子134を有する、検出器130を備え得る。ゆえに、検出器130は、テストフィールド124上の再放射測定を実施するように設定され得る。しかしながら、付加的または代替的に、複数の測定値を含む測定曲線を記録する他の種類の測定が用いられてもよい。
試料分析装置110は、評価装置136をさらに備え、評価装置136は、試料分析装置110の制御装置としても機能することができ、一方向および/または双方向の態様で、ディスプレイ116、操作装置118、測定ユニット128およびデータインターフェース120に接続され得る。評価装置136はゆえに、試料分析装置110の全体の機能性を制御するように構成され得る。
評価装置136は、少なくとも1つの評価ユニット138を備え、評価ユニット138は、コンピュータ、好ましくはマイクロコンピュータなどのデータ処理装置であってもよいし、それを備えていてもよい。評価ユニット138は、上述または以下にさらに詳細に開示するように、本発明の方法を実施するように構成される。この目的で、評価ユニット138は、測定曲線の記録など、測定ユニット128によるデータの取得を開始するように構成され、および/または、上述のもしくは以下にさらに詳細に開示する評価アルゴリズムを実施するように構成され得る。
図1に示す試料分析装置110は、本発明の方法を実施するように構成される多くの分析装置110の一例でしかないことに留意しなければならない。
上に概説したように、テストエレメント122は、少なくとも1つの試験物質126を有する少なくとも1つのテストフィールド124を備える。以下に示す測定およびこれらの測定の評価の例示的な実施形態を目的として、2つの異なる種類の試験物質126が用いられた。
以下で「PQQ化学物質」とも称される試験物質の第1の例として、特許文献8に開示される試験物質が用いられた。この試験物質は、PQQ−依存性脱水素酵素、および芳香族ニトロソ化合物またはオキシムである直接電子受容体を含んでいる。このPQQ化学物質は、さらに、光学指示物質、すなわち染料を含んでいる。一例として、特許文献9に開示されるようなヘテロポリブルー指示薬が用いることができる。
以下で「cNAD化学物質」とも称される試験物質126の第2の例として、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7の1つまたは2つ以上に開示される試験物質が用いられた。ここで、特許文献3は概して、cNAD誘導体を開示する。特許文献4は、安定化された酵素/補酵素の複合体を開示する。特許文献5、特許文献6および特許文献7は、cNADおよびcNAD誘導体の合成、ならびに中間生成物または前駆体を開示する。
PQQ化学物質およびcNAD化学物質を用いることにより、以下の測定が実施された。
図2A〜5Bに示される測定値の第1のセットにおいては、PQQ化学物質およびcNAD化学物質の両方に関して、図1の配置を用いるなどして再放射特性の測定曲線が記録でき、これは測定曲線の少なくとも評価部分の指数関数特性を仮定することによりよく説明できる。これにより、測定曲線の終了値に加えて、測定曲線および/または測定曲線の1つまたは2つ以上の導関数から少なくとも1つの適合パラメータを導き出すことができる。ここで適合パラメータという語は一般に、測定曲線そのもの、および/または、測定曲線の一次導関数もしくは高次導関数から導き出さすことができるパラメータをいう。
ゆえに、通常の血中グルコース測定において、終了値は、血中のグルコース濃度を決定するために用いられる。本発明の範囲内でも使用できる終了値の決定は、以下でさらに詳細には説明しないが、例えば、特許文献13、特許文献14または特許文献18にしたがって実施することができる。ゆえに一例として、測定曲線の勾配は1つまたは2つ以上の閾値と比較され、勾配が所与の毎秒あたりの割合を下回る(例えば、毎秒あたり2%未満の負勾配を有する再放射曲線)など、勾配が所定の条件を満たすとすぐに、測定曲線の終了値が決定され得る。
図2Aには、2つの異なる血中グルコース濃度(462mg/dlおよび59mg/dl)に関する測定曲線が示されている。ここで、検出器130により検出され、百分率で示される相対再放射Rは、テストエレメント122に対する試料塗布後の、秒で示される測定時間tの関数として示されている。
終了値アルゴリズムを用いることにより、図2Aの測定曲線から第1の変数x1が導き出され、第1の変数x1は、この測定においては、下側の測定曲線(濃度c=462mg/dl)に対して約73%、上側の測定曲線(濃度c=59mg/dl)に対して約100%であると決定され得る。
すなわち、従来の測定においては、再放射曲線の1つのデータ値が、グルコース濃度を決定するために用いられている。
第1の変数x1、すなわち終了値のみを用いることにより、測定結果は、試料に固有の、および/または測定設定もしくは測定の条件に固有の1つまたは2つ以上の外乱変数による外乱の影響を非常に受けやすい。ゆえに、以下にさらに詳細に説明されるように、ヘマトクリットは終了値によって決定されるグルコース濃度に重大な影響を有し得る。
上に開示するように、本発明による方法はゆえに、測定曲線の指数関数特性を考慮に入れることにより、少なくとも1つのさらなる変数(第2の変数x2)を導き出す。この目的のために、測定曲線そのものが評価されてもよいし、および/または、新たな測定曲線を生成する測定曲線の1つもしくは2つ以上の一次導関数もしくは高次導関数が用いられてもよい。
一例として、上に開示する適合関数(1)〜(4)の1つまたは2つ以上が用いられてもよく、図2A〜5Bに示す以下の測定においては、適合関数(1)が用いられる。
F(t)=a+b・exp[−Γt]
この適合関数を用いることにより、測定曲線の情報、すなわち再放射動態の情報は、基線またはオフセットa、コントラストまたは振幅b、および減衰率Γの、3つのパラメータにまで減少され得る。示されるように、特にコントラストbおよび減衰率Γは、ヘマトクリット、温度または相対湿度などの1つまたは2つ以上の外乱変数に強く依存する。ゆえに、これらの適合パラメータの1つまたは2つ以上を決定し、これらの適合パラメータの1つまたは2つ以上を第2の変数x2として、適切な多変量評価アルゴリズムと共に用いることにより、実際の外乱変数のセットに対する「生のグルコース濃度」を補正するように構成される補正アルゴリズムが提供され得る。
指数関数適合を実施するために、意外にも、測定曲線そのものよりも、測定曲線の一次導関数または高次導関数を用いることによって方法論的利点が得ることがわかった。図2Bには、図2Aに示される測定曲線の一次導関数が示されている。
一次導関数を生成するためまたは高次導関数を生成するために、これらの導関数は、測定曲線が一定の取得周波数で取得される測定値を用いて生成される場合、隣り合う測定値の差分値を求めることによって容易に導き出され得ることがわかった。ゆえに図2Bには、隣り合う測定値の差分値がR(t1)−R(t2)と示されている。これらの差は、試料取得後の測定時間の関数として示される。測定曲線の一次導関数または高次導関数を用いるこの種の分析は、図2Bに示すように例えばオフセットが概して消去されるはずなので、分析を単純化する。
しかしながら、すでに上で詳細に概説したように、他のオプションも実行可能であることに留意しなければならない。すなわち、測定値は、必ずしも一定の取得周波数で取得される必要はない。しかしながら、当業者には公知のように、測定値間のそれぞれの期間によって隣り合う測定値の差分値を割ることにより一次導関数または高次導関数を導き出すために、取得時間および/または隣り合う測定値間の期間もしくは時間間隔が既知であることが好ましい。しかしながら、一定の取得周波数を用いるという好ましいオプションを用いることにより、測定時間の態様を無視することができる。というのもこの場合、取得周波数は、単純に、隣り合う測定値間の全ての差分値に対して一定の係数を提供するからである。それにより、処理の顕著な単純化が達成でき、これはアルゴリズムの速度の上昇およびアルゴリズムを実行するために必要なリソースの減少をもたらし得る。
図2Bに示される曲線は、少なくとも、試料塗布後1.7秒で開始する測定曲線の評価部分において、指数関数特性を用いることによってよく説明できることがわかった。以下では、測定曲線の評価部分として、テストエレメント122に対する試料塗布の後1.7秒〜7秒の時間ウィンドウを用いた。しかしながら、測定曲線の評価部分は、後で最適化および適合されてもよい。ゆえに評価部分は、異なる種類の試験物質126が用いられる場合に適合され、適切な試験により測定曲線に対して容易に決定され得る。
図3Aおよび3Bには、図2Bに示す一次導関数に対する指数関数適合が示される。ここで図3Aは、c=462mg/dlに対する一次導関数の測定曲線を示し、図3Bはc=59mg/dlに対する適合を示す。ここで実線は適合曲線を示す。
これらの適合関数を用いることにより、c=462mg/dlに対して約0.016のコントラストb、59mg/dlに対して約0.003のbが得られ(いずれの値も百分率で与えられる)、462mg/dlに対して約0.93 1/sの減衰率Γと、59mg/dlに対して約0.22 1/sの減衰率Γとが得られた。
明らかになったように、これらの適合パラメータは、温度、相対湿度または血液中のヘマトクリットなど、1つまたは2つ以上の外乱値に強く依存し得る。この依存は、図4Aおよび4Bに開示されている。ここで図4Aは、コントラストbに対するヘマトクリット(Hct)の影響を示し、図4Bは、減衰率Γに対するヘマトクリットの影響を示す。図4Aでは、コントラストb(百分率で示す)は、濃度cの関数として示されており、図4Bでは、1/sで示される減衰率Γは、濃度cの関数として示されている。
測定曲線は、全く同一のグルコース濃度cに関して、適合パラメータbおよびΓは、ヘマトクリットの増加に伴い顕著に減少することを明らかに示している。これらの測定は、cNAD化学物質を用いて実施された。同様の測定は、相対湿度の影響に関しても実施でき、同様の依存を示す。これらの結果とは対照的に、少なくとも周囲条件下では、温度が一種の外乱としてこれらの測定に影響を及ぼす可能性はわずかであることが確認できる。しかしながら、他の環境も実行可能であり得る。結果として、本発明の方法は、ヘマトクリットおよび/または湿度の影響の下で、グルコース濃度cを測定する処理に用いられるために特に適合され得る。
図5Aおよび5Bには、462mg/dl(図5A)および59mg/dl(図5B)の濃度に対する、図3Aおよび3Bの適合曲線に類似のPQQ化学物質に関する適合曲線が示されており、これは指数関数特性の仮定が様々な種類の試験物質に対して有効であることを明確に示す。
ゆえに、図2A〜5Bに示す測定値は、少なくとも、湿潤後1.7秒〜湿潤後7秒の評価領域において、再放射曲線またはその一次導関数もしくは高次導関数が、指数関数特性を仮定することによってよく説明できることを示している。これにより、終了値に加えて、適切な適合パラメータを生成することによって1つまたは2つ以上のさらなる変数x2が生成され得る。これらの適合パラメータおよび第2の変数は、ヘマトクリットなどの1つまたは2つ以上の外乱変数に依存する。ゆえに、終了値を第1の変数x1として用い、少なくとも1つの適合パラメータを少なくとも1つの第2の入力変数x2として用いることによって、適切な多変量アルゴリズムを用いることによりグルコース濃度に対する補正値が生成され得る。
図2A〜5Bに示される測定値により、本発明の2つの異なる概念が示されており、すなわち、1つ目は、測定曲線の指数関数特性を仮定して測定曲線そのものを評価するオプション、2つ目は、第2の変数x2を導き出すために、測定曲線の一次導関数または高次導関数を「新たな測定曲線」として用いるオプションである。以下に、付加的または代替的に用いられてもよい2つのさらなる概念を示す。
すなわち、図6〜8Bには、測定曲線の2つの高次導関数を「新たな測定曲線」として用いることに基づく第3の概念が示されている。一例として、図6には、再放射特性Rが、体液試料塗布後の時間の関数として示される。この再放射曲線は、PQQ化学物質を用いて得られた。
上述の指数関数特性(1)などの指数関数特性を仮定することにより、指数関数特性の減衰率Γは単純な様態で経験的に導き出され得ることがわかる。ゆえに、n番目の次数の導関数は、(n−1)番目の次数の導関数によって割られ、ここでnはn≧1の整数である。ゆえに、基線が無視される(a=0)場合、一例として一次導関数は、
F’(t)=b・exp(−Γt)
である。
同様に、二次導関数は、
F”(t)=−b・Γ・exp(−Γt)
と計算され得る。
これらの方程式を用いることにより、二次導関数および一次導関数の商は以下のように計算される。
F”(t)/F’(t)=−b・Γ・exp(−Γt)/b・exp(−Γt)=−Γ
このアイデアは、図7A〜8Bに示すように、測定曲線の単純かつ効率的な評価を可能にする。一例として、図7Aは、上に図2Bに関して開示したように、隣り合う値の間の差分値を求めることによって容易に生成され得る測定曲線の一次導関数を示す。同様に、図7Bは、図7Aの一次測定曲線の隣り合う測定値間の差分値を求めることによって得られる、測定曲線の二次導関数を示す。さらに高次の導関数も同様の方法で求めることができる。
図8Aには、図7Aおよび7Bの測定曲線の測定値の商が、時間tの関数として示されている。図から分かるように、商は、測定の不確実性の範囲内で、約7sで開始し、おおよその一定値を呈する。7.5sで開始する最初の20の値に関しては、c=136mg/dlの濃度に対してΓ=0.494 1/sの平均値が得られ、446mg/dlのグルコース濃度に対してΓ=0.82441 1/sの値が得られ得る。図8Bには、比較を理由に、一次導関数に対する指数関数適合が136mg/dlの濃度に対して示され、これは0.507 1/sの適合パラメータΓをもたらす。図8Bおよび8Aの測定値の比較は、指数関数曲線のフィッティングが、異なる次数の測定曲線の2つの導関数の商を用いることによる適合に置き換えられ得ることを明らかに示している。両方の方法によって、適合パラメータΓは、例えば上に示す多変量評価アルゴリズムを用いることにより導き出すことができ、そのものによってまたは他の適合パラメータと共に、少なくとも1つの第2の変数x2として用いることができる。ゆえに図7A〜8Bに示す商法は、特に上述の差分法を用いることによって導関数を生成する場合に、単純および効率的な方法で適合パラメータΓを導き出す単純かつ効率的なフィッティングアルゴリズムをもたらす。それによりリソースおよび時間が節約され得る。
図6〜8Bと共に説明されるこの第3のオプション(商法)に加えて、適合パラメータの単純な生成のための他のオプションも存在する。第4のオプションの一例としては、積分が用いられ得る。
ゆえに、一例として、基線aが無視される(a=0)場合または測定曲線の一次導関数または高次導関数が新たな測定曲線として用いられる場合、測定曲線は、上に概説したように以下により説明され得る。
F’(t)=b・exp(Γ・t)
式中、上述のように、Γは減衰率を示し、bはコントラストを示す。この関数を0〜∞まで積分することにより、以下の結果を得ることができる。
Figure 0006441812
ゆえに、積分を用い、測定曲線、または「新たな測定曲線」としての測定曲線の一次導関数または高次導関数に対して積分することによって、適合パラメータおよび変数x2としてb/Γを生成する単純で効率的な方法が実現され得る。
上述のような、隣り合う測定値の差分値を求める差分法を用いることにより、測定曲線の一次導関数または高次導関数を求める単純化された方法と同様に、積分の形成も単純化され得る。ゆえに、積分は以下のように計算され得る。
Figure 0006441812
この近似値は、リーマン積分またはリーマン和ともいわれる。ここで、測定曲線または測定曲線の一次導関数もしくは高次導関数の測定値Riに対する和は、測定曲線の評価部分にわたって求められる。一定の測定周波数を仮定すると、測定値間の時間Δtは一定である。この場合、上述の数式は以下のように単純化され得る。
Figure 0006441812
式中、Riは、測定曲線または一次導関数もしくは高次導関数の測定曲線の測定値であり、測定曲線の評価部分にわたって和が求められる。一例として、図2A〜3Bに示す測定では、湿潤後1.7秒〜湿潤後8.7秒まで、和が求められ得る。ゆえに単純かつ効率的な方法で、適合パラメータb/Γまたは同様の適合パラメータは、単純な積分処理を用いることによって生成され得る。
この積分を用いることにより、446mg/dlのグルコース濃度に対して、b/Γ=0.3164の値が得られた。この値は、測定の不確実性の範囲内で、一次導関数に対して指数関数をフィッティングすることにより得られたb/Γ=0.2867の値に対応する。136mg/dlのグルコース濃度に対しては、積分法を用いることにより、0.2353のb/Γの値が得られた。指数関数適合を用いることにより、b/Γ=0.244の値が得られた。
上に概説したように、適合パラメータb/Γは、少なくとも1つの第2の変数x2として、または複数の第2の変数x2の1つとして用いられてもよく、ヘマトクリットなどの1つまたは2つ以上の外乱変数を考慮に入れて、グルコース濃度の補正値を生成する目的で、上述のアルゴリズムなどの多変量評価アルゴリズムにおいて、第1の変数x1と組み合わせて用いられてもよい。
指数関数特性を仮定することにより得られる1つまたは2つ以上の適合パラメータに加えて、グルコース濃度または一般的には分析物濃度の評価に影響を及ぼすことが知られている外乱変数の1つまたは2つ以上は、個別に測定または検出され得る。すなわち、一例として、温度および/または相対湿度が個別に測定され得る。この場合一例として、それぞれの外乱変数に対して、評価アルゴリズムのセットなど、複数の多変量評価アルゴリズムが提供され得る。つまり一例として、周囲雰囲気の特定の温度および特定の相対湿度に対して1つの特定の評価アルゴリズムが提供されてもよく、この特定の温度および相対湿度に対する多変量評価アルゴリズムは、第1の変数x1として再放射曲線の終了値と、試料の(未知の)ヘマトクリットとを考慮に入れて、グルコース濃度の補正値を提供する。異なる温度および/または相対湿度に対しては、異なる種類の多変量評価アルゴリズムが提供され得る。ゆえに、複数の多変量評価アルゴリズムが、データ記憶装置を含み得る評価装置136および/または評価ユニット138に記憶され、さらなる使用のために温度および/または相対湿度の測定値にしたがって選択され得る。
本発明により提案される多変量補正アルゴリズムの能力を示すために、図9〜11Bには、補正アルゴリズムの例示的な実施形態が詳細に示されている。これらの測定には、cNADベースの試験物質が用いられた。
ここで、図9は、%で示される、EWまたはx1とも称される相対再放射rRの終了値の関数として、デシリットルあたりのミリグラムで示される実際のグルコース濃度cを示す。さらに、多項式適合関数が示される。実際のグルコース濃度は検査室手法で決定され、相対再放射は、光学的な測定曲線を得て、この測定曲線の終了値を決定することにより測定される。これらの測定に対するヘマトクリットはHKT=45であった。
図9の適合関数の基礎として、いわゆる符号多項式が用いられた。この多項式適合関数は、以下においてyとも称される、再放射の終了値EWの関数としてグルコース濃度Cを予測する一変量のモデルである。
Figure 0006441812
この式において、パラメータc1、・・・、c5およびb1、b2、b3は、既知のヘマトクリットHKT45、既知のグルコース濃度および既知の温度などの既知の特性を有する適切な較正流体を用いるなどして、較正測定を用いることによって決定され得る自由パラメータである。符号の生成とも称されるこの較正は、通常、標準温度、標準ヘマトクリット(HKT45)、標準湿度などの標準化された条件下で、データのセットを用いることにより生成される。通常は、実用的用途において生じる可能性のあるグルコース濃度の全ての妥当な範囲を網羅する複数のグルコース濃度など、3つ以上のグルコース濃度が較正に用いられる。
この適合関数を用いることにより、図9に示す曲線に対して以下のパラメータが決定された。
Figure 0006441812
上に概説したように、図9の測定は、1つの特定のヘマトクリットHKT45に対して行われた。ゆえに、アルゴリズムは、1つの変数、すなわち、この場合においては相対再放射rRの終了値EWからグルコース濃度を導き出す一変量アルゴリズムである。
任意のヘマトクリットに対するグルコース濃度を導き出すために、濃度cは、補正因子Kにより補正される上述の図9の適合関数式により得られ、補正因子Kは、それ自体が終了値EWと、指数関数適合パラメータΓなどの少なくとも1つの指数関数適合パラメータとに依存し得る。
G=G(x1,x2)=G(EW,Γ)
=C(EW,HKT45)・K(EW,Γ)
また、補正因子Kは、グルコース濃度の終了値EW(=x1)に依存する項と、少なくとも1つの指数関数適合パラメータΓ(=x2)に依存する項とに分離されてもよく、以下の適合式が用いられてもよいことが示され得る。
K(EW,Γ)=(Γ2+a1・Γ+a2)/(c1・EW2+c2・EW+c3
これは、第1のΓ依存補正の、第2の終了値依存補正に対応するので、第1の変数x1として終了値EWと、第2の変数x2として指数関数適合パラメータΓとを含む多変量補正アルゴリズムに対応する。適合関数は、5つの独立したパラメータa1、a2ならびにc1、c2およびc3を含む。境界条件として、HKT45の場合、補正因子はK=1となり、このようにして図9の適合関数が結果として得られる。
様々なヘマトクリットに対して複数の較正測定を実施し、第1の変数x1として終了値EW、および第2の変数x2として少なくとも1つの指数関数適合パラメータΓの両方を決定することにより、この例示的な実施形態に関して図10に示される3次元の較正曲線が決定される。ここで、影付きの曲面は、補正因子Kの適合関数を示す。一例として、この特定の実施形態に対して、上述の方程式の以下の適合パラメータが決定された。
Figure 0006441812
ゆえに、補正グルコース濃度は、測定曲線の終了値および少なくとも1つの指数関数適合パラメータの両方を入力変数として用いる上述の多変量補正アルゴリズムを用いることによって決定することができる。
図11Aおよび11Bには、図9および10の上述の測定に関して、補正グルコース濃度および未補正グルコース濃度が示されている。ここで、図11Aは、図9のように終了値EWのみに基づく一変数評価アルゴリズムを用いることにより得られる未補正グルコース濃度を示し、これは、ヘマトクリットの影響を無視し、HKT45がヘマトクリットであるという仮定に基づく。反対に、図11Bには、多変量アルゴリズム、特に図10とともに上述した補正アルゴリズムを用いて得られた、本発明による方法の結果が示されている。どちらの場合でも、様々なヘマトクリットに対して、mg/dlで示される様々な実際のグルコース濃度cに関する偏差Δが与えられる。実際のグルコース濃度は、確実な検査室手法を用いることにより決定された。偏差は、相対比[%]で示されている。
図11Aおよび11Bを比較することによりわかるように、本発明により提案される多変量アルゴリズムは、ヘマトクリットに誘起される偏差を著しく減少させる。ゆえに、HKT45から逸脱するヘマトクリットに関して、測定曲線の評価およびそのグルコース濃度の決定に伴う誤差は、10%未満または10mg/dl未満のレベルまで広く減少され得る。ゆえに、アルゴリズムがかなり単純なまま維持されても、測定の精度は著しく促進され得る。
図12は、グルコース濃度がc=446mg/dl、ヘマトクリット(Hct)が25%、温度が23℃、相対湿度が45%の第2の試験物質の再放射の一次導関数を示す。また、一次導関数の適合関数だけでなく、2つの異なる閾値での2つの異なる時間t1およびt2もここに示される。
図12に示される2つの異なる時間t1およびt2は、指数関数特性を示す再放射曲線の一次導関数を適用することにより決定され得る。一例として、基線aが無視される(a=0)場合、再放射曲線の一次導関数は、上に概説するように以下によって表される。
F’(t)=b・exp(Γ・t)
第1の方程式において時間t1に第1の閾値F’(t1)を挿入し、時間t2に第2の閾値F’(t2)を挿入すると、以下の2つの異なる方程式が得られる。
F’(t1)=b・exp(Γ・t1
F’(t2)=b・exp(Γ・t2
2つの方程式の再配置および後に続く置換を適用することにより、以下の、再放射曲線の減衰率Γに関する以下の方程式が取得され得る。
Γ=ln[F’(t1)/F’(t2)]/[t1−t2
一例として、時間t1での第1の閾値F’(t1)に2%/秒という第1の値を挿入し、時間t2での第2の閾値F’(t2)に1%/秒という第2の値を挿入すると、以下の再放射曲線の減衰率Γの値が得られる。
Γ=ln[0.01/0.02]/[t1−t2
この例を考慮に入れると、再放射曲線の減衰率Γの決定は、例えば図12に示すような2つの異なる時間t1およびt2が決定されることのみを要し得ることが明らかである。
さらなる過程で、この方法は10の全血試料のセットに適用されており、各試料は、5つの異なるヘマトクリット濃度、すなわち、20%、30%、40%、50%または60%の1つに調整され、また40mg/dl〜600mg/dlの範囲内の7つの異なるグルコース濃度の1つに調整された。図13は、異なるヘマトクリット濃度およびグルコース濃度に対する再放射曲線の様々な減衰率Γを示し、各減衰率Γは、図12に関連して記載される方法にしたがって決定され、時間t1での第1の閾値F’(t1)に−5%/秒という第1の値が適用され、時間t2での第2の閾値F’(t2)に−2%/秒という第2の値が適用されている。図13は、減衰率Γがヘマトクリットに強く依存している一方で、他方ではグルコース濃度にはあまり依存していないことを明確に示す。上述の、第1の閾値に対する−5%/秒という値および第2の閾値に対する−2%/秒という値は、70mg/dlを上回るグルコース濃度に対して適用され得る。
図12および13に関して例示的に記載される方法は、それぞれの閾値を用いることにより取得され得るグルコース濃度に対して、ヘマトクリット補正を適用することにより、グルコース濃度の決定を可能にし得る。再放射減衰に関して−2%/秒という単一の閾値を用いてグルコース濃度を決定することにより、図14Aおよび14Bに示すような分布が得られ、測定グルコース値に関する全てのデータ点の71.2%は、20%〜60%の範囲の観察されたヘマトクリット全体に対して±10%の偏差で分布している。図14Aは、10の測定値に対する平均値として測定グルコース濃度を示しているが、図14Bは、対応する単一の測定値を示す。図14Bから、特に、60%のヘマトクリット値を有する試料が所望の範囲の外部にあることが結論付けられ得る。
図14Aおよび14Bに示す結果とは対照的に、図15Aおよび15Bに示す改良された結果においては、測定グルコース値に関する全てのデータ点の87%が、20%〜60%の範囲の観察されたヘマトクリット全体に対して±10%の偏差で分布している。図14Aおよび14Bの結果に対する、15%を超えるこの種の改良は、例えば図12および13において記載した方法により、上述の減衰率Γを含む多変量データ分析を用いてグルコース濃度を決定することによって達成され得る。図15Aは10の測定値に対する平均値を示すが、図15Bは対応する単一の測定値を表示している。
しかしながら、全てのヘマトクリット値の変動係数は、上述の測定の実施中にヘマトクリットを考慮に入れると増加し得ることを観察することができた。ここで、変動係数は、通常、平均値に対する標準偏差率として定められ得る値の確率分布の分散の測定基準と考えられ得る。このよく知られている影響は、これまでのところヘマトクリットを確実に測定する方法は知られていないことから、一般にあらゆるヘマトクリット補正の間に観察され得る。
優先的に、このような補正が必要とされ得るグルコース値のみが補正され得る。好ましい例として、図16は、第1の決定木140を示し、グルコース値のヘマトクリット補正142は、所定のヘマトクリット範囲144の外側にのみ適用され得る。詳細には、終了値および減衰率Γの両方の決定146の後に、まず、ヘマトクリットが、好ましくは35%〜50%の範囲に及ぶ所定のヘマトクリット範囲144の内側にあるか外側にあるかが判定され得る。しかしながら、所定のヘマトクリット範囲144には他の値も可能である。この例示的な第1の決定木140において、グルコース値のヘマトクリット補正142は、ヘマトクリットが、ここでは好ましくは35%〜50%の範囲に及ぶ所定のヘマトクリット範囲144の外側にある場合にのみ適用され得る。この判別にしたがって、グルコース濃度に対する最終値の決定148は、ヘマトクリットの実際の値に応じて、ヘマトクリット補正142を伴うか、または伴わずに決定され得る。
結果として、図16に例として示される第1の決定木140は、ヘマトクリット補正142がそれぞれのグルコース値のさらなる処理に必要とされる場合、特に患者が非常に低いまたは非常に高いヘマトクリットを表示し得るまれな場合のグルコース値のみが、ヘマトクリット補正142に送られるという好ましい効果を示す。それゆえ、第1の決定木140によるこの種の判別は、ヘマトクリットの影響下におけるグルコース濃度の最終値の決定148の速度および質の両方を向上させることを補助し得る。
図17には、再放射曲線の一次導関数曲線が表示され、2つの異なる時間t1およびt2は、時間t1の第1の閾値F’(t1)それぞれ、および時間t2の第2の閾値F’(t2)それぞれの前後の、対応するデータ点を線形補間することにより決定され得る。この種の処理は、対応する閾値に達した正確な時点を決定するために適用され得る。
一例として、時間t2で、一次導関数曲線は、それぞれの第2の閾値F’(t2)に関して実際に測定された値の一次導関数を通過し得る。これとは対照的に、時間t1での対応する第1の閾値F’(t1)には、このような測定値の一次導関数は存在しない。この問題を解決するために、時間t’1は、図12で適用される処理にしたがって決定され得る。しかしながら、図17によれば、時間t1近くで第1の閾値F’(t1)に近接する2つの実際に測定された値の一次導関数に関して、線形補間が実施され得る。この種の処理は、時間分解能が高い場合に特に有用であり、そうでない場合には、線形補間で指数関数特性を近似することは困難であり得る。
図18は、特に、時間分解能が低い場合に適用され得る代替的なアプローチを示す。方程式
Γ=ln[F’(t1)/F’(t2)]/[t1−t2
から開始して、対応する時間t1での第1の閾値F’(t1)ならびに対応する時間t2での第2の閾値F’(t2)に関して実際に決定された値が、方程式に挿入されるので、減衰率Γに対する正確な値がもたらされる。特に好ましい例において、第1の閾値F’(t1)および対応する時間t1に関する値、ならびに第2の閾値F’(t2)および対応する時間t2に関する値は、閾値に対する値がどちらも所定の閾値に最も近い値であり得るような様態で決定される。
上述のように、減衰率Γは70mg/dlを上回るグルコース濃度に対してのみ決定され得る。この観測される挙動は、この種の決定では−5%/秒の第1の閾値が適用されているという事実による。第1の閾値に対する−5%/秒という値および第2の閾値に対する−2%/秒という値は、グルコース濃度の広い範囲に対して減衰率Γの適正な値を提供するようであることから特に適用され得る。しかしながら、この処理方法は、70mg/dl以下であり得る所定のグルコース濃度範囲には適用できない可能性があり、これは、この範囲内のグルコース濃度は、減衰率Γに対して−5%/秒という値を達成できない可能性があるからである。
結果として、グルコース濃度の最終値の決定148は、好ましくは、図19に例として示される第2の決定木150にしたがって実施され得る。第2の決定木150によれば、この方法は、最終値の決定152から開始してもよく、ここからグルコース濃度に関する仮の値が導き出され得る。グルコース濃度に関する仮の値が所定のグルコース濃度範囲152内にあるか否かという事実にしたがって、最初に、実際のグルコース濃度を決定するための第1の閾値156および第2の閾値158がそれぞれ選択され得る。この例において、グルコース濃度に関する仮の値が100mg/dl未満と推定され得る場合には、第1の閾値に対しては−2%/秒、第2の閾値に対しては−0.5%/秒という第1および第2の閾値156が特に適用され得る一方で、グルコース濃度に関する仮の値が100mg/dl以上と推定され得る場合には、−5%/秒および−2%/秒という値が第1および第2の閾値158として選択され得る。しかしながら、第1の閾値および第2の閾値に関しては他の値も選択され得る。
第2に、第2の決定木150の付加的な二次決定分岐において、グルコース値のヘマトクリット補正142は、所定のヘマトクリット範囲144の外側にのみ適用され得る。図16に関してすでに上述したように、グルコース値のヘマトクリット補正142は、ヘマトクリットが35%〜50%の範囲外の値をとる場合にのみ実施され得るが、他の値も可能である。図19に示す判別によれば、グルコース濃度に関する最終値の決定148は、ここでも、ヘマトクリットの実際の値に応じてヘマトクリット補正142を伴うかまたは伴わずに決定され得る。ここで、ヘマトクリット補正142に対して選択された実際の値は、第2の決定木150の二次決定分岐から独立していてもよい。代替的にヘマトクリット補正142について、ヘマトクリット補正142が第2の決定木150のどの二次決定分岐で実施され得るかに依存する可能性のある実際の値が選択されてもよい。
結果として、図19に例として示される第2の決定木150は、第1に、40mg/dlまたは40mg/dl未満にまで下がった非常に低いグルコース値でも正確に決定され得るという好ましい効果を示し、第2に、特に患者が非常に低いまたは非常に高いヘマトクリットを表示し得るまれな場合について、ヘマトクリット補正142が必要とされる場合のグルコース値のみがヘマトクリット補正142に送られるという好ましい効果を示す。それゆえ、第2の決定木150によるこの種の判別は、以前よりも非常に広いグルコース濃度範囲にわたって、グルコース濃度の最終値の決定148の速度および質の両方を向上させることを補助し得るので、グルコース濃度の補正に関してヘマトクリットを考慮に入れることができる。
代替的または付加的に、分析物の平均化された濃度
Figure 0006441812
を導き出す目的で、外乱変数Yと考えられ得るヘマトクリットの変動において測定された多数のグルコース濃度を考慮に入れるために、体液試料を分析する方法において重みつき平均が用いられ得る。
Figure 0006441812
または
Figure 0006441812
式中、重みつき平均
Figure 0006441812
は、外乱変数Yの特定値それぞれの確率分布を反映し得る予測モデルにしたがって、ヘマトクリットの特定値ciそれぞれに対する確率を示し得る重みpiを含み得る。
さらなる例として、図20は第3の決定木160を示し、終了値の決定152から、グルコース濃度に関する仮の値が得られ得る。グルコース濃度に関する仮の値が所定のグルコース濃度範囲154内にあるか否かの評価にしたがって、終了値の決定152によって取得されたグルコース濃度に関する仮の値は維持されるか、または維持されない。後者の場合、減衰定数Γ、または、減衰定数Γに比例する数量もしくは減衰定数の逆数1/Γに比例する数量など、減衰定数Γに関連付けられる数量の決定162が実施され得る。減衰定数Γまたは減衰定数Γに関連付けられる数量が所定の定数Γ0に等しいか、またはこれを超えているかどうかという問いに対する答えを提供し得るさらなる評価164にしたがって、終了値の決定152により取得されたグルコース濃度に関する仮の値は依然として維持されるか、または維持されない。後者の場合、グルコース濃度を決定するための付加的な評価処理166が実施されてもよく、この付加的な評価処理166はヘマトクリットを考慮に入れ得る。ここで、付加的な評価処理166はさらに、減衰定数Γまたは減衰定数Γに関連付けられる数量が別の所定の定数Γ1に等しいか、またはこれを超えているかに応じて、異なるヘマトクリット評価処理へと分岐し得る別の決定分岐(ここでは図示しない)を含み得る。これにより、上述の重みつき平均は、異なるヘマトクリット評価処理の少なくとも1つにおいて用いられ得る。
図20に概略的に示される、特に第3の決定木160のようなこの種の決定木は、図21に示す測定曲線の評価に特に用いられ得る。典型的な例として、図21は、それぞれが特定量のグルコースを含む2つの血液試料のそれぞれの検出反応の進行を示す相対的な再放射の、秒で時間依存する2つの測定曲線を示す。ここで、再放射曲線はどちらも、変性PQQ化学物質を用いて得られており、通常のPQQ化学物質は、酵素突然変異体を用いて変性された。図20に示されるように、2つの再放射曲線は、特にそのそれぞれのヘマトクリット量によって互いに区別される。特に測定曲線の評価部分内で、時間の大部分にわたってほぼ下側の曲線である第1の測定曲線168は、ヘマトクリットが30%を下回って記録された一方で、特に測定曲線の評価部分内で、時間の大部分にわたってほぼ上側の曲線である第2の測定曲線170は、ヘマトクリットが65%を下回って記録された。
さらに図21に示すように、測定曲線168、170はどちらも、特に測定曲線の評価部分内では、2つのそれぞれの指数関数適合172、174によって適合され得る。この特徴は特に、測定曲線の評価部分がここで指数関数特性を示すという事実に関連し、この種の処理を首尾よく可能にすることにより、この事実を付加的に証明する。結果として、第1の測定曲線168は、測定曲線の評価部分内で、第1の指数関数適合172により適合され、それにより減衰定数Γに関して0.61/sという値を提供する一方で、第2の測定曲線170も、測定曲線の評価部分内で、第2の指数関数適合174により適合され、それにより減衰定数Γに関して0.25/sという値を提供する。この例は、図21に示されるように、血液試料の再放射に対してヘマトクリットがどのような種類の決定的な影響を及ぼすかを明示し、これは、少なくともいくつかの場合において、ヘマトクリットの影響が適切に考慮されなかったり、完全に無視されたりする限りは、グルコース濃度に関する不正確な結果が得られる可能性があるという結論を導く。従来取り組むのが困難であったこの状況は、本発明による方法を適用することによって適切に処理され得る。
110 試料分析装置
112 携帯型装置
114 ケーシング
116 ディスプレイ
118 操作装置
120 データインターフェース
122 テストエレメント
124 テストフィールド
126 試験物質
128 測定ユニット
130 検出器
132 光源
134 感光素子
136 評価装置
138 評価ユニット
140 第1の決定木
142 ヘマトクリット補正
144 所定のヘマトクリット範囲
146 終了値および減衰率の決定
148 グルコース濃度の値の最終決定
150 第2の決定木
152 終了値の決定
154 所定のグルコース濃度範囲
156 実際のグルコース濃度を決定する第1および第2の閾値
158 実際のグルコース濃度を決定する第1および第2の閾値
160 第3の決定木
162 減衰定数の決定
164 さらなる評価
166 付加的な評価処理
168 第1の測定曲線
170 第2の測定曲線
172 第1の指数関数適合
174 第2の指数関数適合

Claims (22)

  1. 少なくとも1つの体液試料を分析する、コンピュータに実装された方法であって、以下のステップ、すなわち、
    a)少なくとも1つの試験物質(126)と前記体液試料との間の検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視することによって、複数の測定値を記録し、前記測定値を含む少なくとも1つの測定曲線F(t)を提供するステップであって、前記測定曲線の少なくとも評価部分は指数関数特性を有し、前記測定曲線に含まれる前記測定値は異なる時点で取得され、前記検出反応は、体液中に検出される分析物の濃度cおよび少なくとも1つの外乱変数Yによる影響を受けることが知られている、ステップと、
    b)第1の変数x1を形成する、ステップa)で提供された前記測定曲線の終了値を導き出すステップと、
    c)ステップa)で提供された前記測定曲線の少なくとも前記評価部分の前記指数関数特性を考慮に入れることにより、前記測定曲線から少なくとも1つの適合パラメータを導き出すステップであって、前記適合パラメータが、前記測定曲線の少なくとも評価部分における減衰定数Γまたは前記減衰定数Γと関係のある数量を含み、少なくとも1つの第2の変数x2を形成する少なくとも1つの適合パラメータを導き出すステップと、
    d)ステップb)により提供された前記第1の変数x1およびステップc)により提供された前記第2の変数x2それぞれ変数として含む関数として表わされる少なくとも1つの多変量評価アルゴリズムを用いることにより、前記少なくとも1つの外乱変数Yのための補正を適用して、前記分析物の濃度cを導き出すステップと
    を含む少なくとも1つの体液試料を分析する方法。
  2. 前記測定値が光学測定値である請求項1記載の方法。
  3. 前記外乱変数Yが、前記体液の粘度に影響を及ぼし得るパラメータを含んでいる請求項1または2記載の方法。
  4. 前記少なくとも1つの外乱変数が、前記試料の粒子成分および前記試料の温度からなる群から選択される請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記試料の粒子成分が、ヘマトクリットを含む請求項4記載の方法。
  6. 前記指数関数特性が、
    F(t)=a+b×exp[−Γ×t]
    式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数、
    F(t)=a+b×exp[−(Γ×t)β
    式中、tは時間、aはオフセット、bはコントラスト、Γは減衰定数、βはストレッチングパラメータ、
    からなる群から選択される少なくとも1つの指数関数を含んでいる請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ステップc)において、前記適合パラメータを導き出す前に、前記測定曲線の一次導関数F’(t)または高次導関数Fn(t)が形成される請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記一次導関数または前記高次導関数が、隣り合う測定値間の差を計算することによって近似される請求項記載の方法。
  9. ステップc)において、前記測定曲線の2つの連続する導関数Fn(t)およびFn+1(t)の比が形成され、前記比が、前記適合パラメータを形成する請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. ステップc)において、前記測定曲線F(t)またはF(t)の一次導関数もしくは高次導関数にわたって積分が形成され、前記積分によって、前記適合パラメータが導き出される請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  11. ステップc)において、2つの異なる時点での前記測定曲線の一次導関数の比較から、前記適合パラメータが取得される請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記2つの異なる時点が、2つの異なる閾値を適用することにより取得される請求項11記載の方法。
  13. 前記2つの異なる時点に対して2つの異なる値が用いられ、前記2つの異なる値のそれぞれが閾値に近似する請求項11記載の方法。
  14. ステップd)において、前記少なくとも1つの外乱変数Yがさらに決定される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ステップb)において、前記測定曲線が前記終了値に達しているか否かを決定するために、前記測定曲線の勾配が少なくとも1つの閾値と比較される請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. ステップb)において、前記測定曲線の少なくとも1つの測定値から前記終了値が導き出され、ステップc)において、前記測定曲線の少なくとも1つの適合パラメータから前記少なくとも1つの第2の変数が導き出される請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. ステップb)において、前記終了値が、前記測定曲線の前半部分から導き出され、前記前半部分は前記測定曲線のプラトーから離れている部分である請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記測定曲線の前記評価部分が、測定の開始後、決定可能な開始期間の後に開始する前記測定曲線の残りである請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記多変量評価アルゴリズムが、複数の較正測定を用いることにより決定される請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法。
  20. コンピュータまたはコンピュータネットワークで実行されると、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成された、コンピュータが実行可能な命令を含むコンピュータプログラム。
  21. 少なくとも1つの体液試料を分析する評価装置(136)であって、前記評価装置(136)は少なくとも1つの評価ユニット(138)を備え、前記評価ユニット(138)は、請求項1〜19のいずれか1項に記載の方法を実施するように構成される、評価装置。
  22. 体液試料を分析する試料分析装置(110)であって、
    少なくとも1つの試験物質(126)および少なくとも1つの体液試料の検出反応を測定する少なくとも1つの測定ユニット(128)であって、前記検出反応は、それぞれが前記体液試料の状態および前記検出反応の条件の少なくとも1つを特徴付ける外乱変数のセットによる影響を受けることが知られており、
    前記測定ユニット(128)はさらに、前記検出反応の進行を示す少なくとも1つの測定値の時間展開を監視し、それにより異なる時点で取得される複数の測定値を含む測定曲線F(t)を記録するように構成され、前記測定曲線の少なくとも評価部分は指数関数特性を有する、測定ユニット(128)と、
    請求項21記載の少なくとも1つの評価装置(136)と
    を備える試料分析装置(110)。
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