以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1(a)及び図1(b)は、本発明の実施の形態に係るリモコン装置を模式的に表す斜視図である。
図1(a)及び図1(b)に表したように、リモコン装置10は、トイレ装置100とともに用いられる。リモコン装置10は、複数の操作ボタン12を含む。各操作ボタン12は、例えば、押し下げ操作が可能な、いわゆる押しボタンである。各操作ボタン12は、定常位置と最下点位置とに移動可能であり、押し下げ操作に応じて定常位置から最下点位置に移動する。また、各操作ボタン12は、図示を省略したバネなどにより、操作されていない状態において定常位置に保持される。各操作ボタン12は、押し下げ操作によって最下点位置に移動した後、押し下げ操作の解除によって定常位置に戻る。
リモコン装置10は、各操作ボタン12の操作を検出し、操作された操作ボタン12に応じた無線信号をトイレ装置100に送信する。トイレ装置100は、リモコン装置10から送信された無線信号を受信し、その無線信号に応じた動作を実行する。このように、リモコン装置10は、使用者の操作に応じて、所定の動作の実行をトイレ装置100に指示し、トイレ装置100を遠隔操作する。
トイレ装置100は、洋式腰掛便器110(以下、便器110と称す)と、その上に設けられた便座ユニット120と、を備える。
便器110は、ボウル部112を有する。ボウル部112は、便器110の上部に設けられる。ボウル部112は、便器110の上面110aよりも凹んだ凹状である。ボウル部112は、使用者から排泄された汚物や尿などを受ける。また、ボウル部112は、内部に水を貯留し、排水管から悪臭や害虫類などが室内に侵入することを防ぐ。
便座ユニット120は、本体部122と、便座124と、便蓋126と、を有する。便座124と便蓋126とは、本体部122に対して開閉可能にそれぞれ軸支されている。図1(a)及び図1(b)は、便蓋126が開いた状態を表している。図1(a)は、便座124が開いた状態を表している。図1(b)は、便座124が閉じた状態を表している。便蓋126は、閉じた状態において便座124の上方を覆う。なお、便蓋126は、必ずしも設けられていなくてもよい。
便座ユニット120は、例えば、衛生洗浄機能と、局部乾燥機能と、便座暖房機能と、を有する。衛生洗浄機能は、便座124に座った使用者の「おしり」などを洗浄する洗浄動作を行う機能である。局部乾燥機能は、便座124に座った使用者の「おしり」などに温風を吹き付けることにより、衛生洗浄によって濡れた「おしり」などを乾燥させる乾燥動作を行う機能である。便座暖房機能は、便座124の着座面を適温に温める便座加熱動作を行う機能である。
衛生洗浄機能では、例えば、使用者の操作に応じて、人体局部に向けて洗浄水を吐水するノズル130を本体部122から便器110のボウル部112内に進出させる。そして、ノズル130の先端付近に設けられた吐水口から洗浄水を噴射する。これにより、使用者の「おしり」などを洗浄することができる。ノズル130は、衛生洗浄機能を実行していない状態では、本体部122内に収納される。
また、衛生洗浄機能は、例えば、使用者の「おしり」に向けて洗浄水を噴射するおしり洗浄機能と、女性局部に向けて洗浄水を噴射するビデ洗浄機能と、を含む。衛生洗浄機能では、冷水のみならず、ヒータによって加熱した温水を洗浄水として吐水口から噴射することもできる。
本体部122は、便器110の上部後方に設置される。本体部122の前面は、ボウル部112の開口端の形状に沿って凹状に湾曲した湾曲凹面132を有する。湾曲凹面132の左右には、ボウル部112の開口端に沿って前方に向けて延出した延出部134が設けられている。湾曲凹面132は、その中央付近が高く、左右の延出部134に近づくにしたがって次第に低くなる形状を有する。
湾曲凹面132の中央には、ノズルダンパー136と温風ダンパー138とが設けられている。ノズルダンパー136は、ノズル130を進出及び後退させる開口部を覆う閉止部材である。温風ダンパー138は、ノズルダンパー136の右側に並べて配置されている。温風ダンパー138は、局部乾燥用の温風の吹出口を覆う閉止部材である。ノズルダンパー136及び温風ダンパー138は、例えば、本体部122に回動可能に支持されている。
ノズルダンパー136は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、開口部を覆う閉じ位置と、開口部を露出させる開き位置との間で移動する。ノズルダンパー136は、衛生洗浄機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、ノズルダンパー136は、衛生洗浄機能の実行によってノズル130が進出する際に、開き位置に移動する。
温風ダンパー138は、例えば、支持軸を中心に回転することにより、吹出口を覆う閉じ位置と、吹出口を露呈させる開き位置との間で移動する。温風ダンパー138は、局部乾燥機能を実行していない待機状態において、閉じ位置に保持される。そして、温風ダンパー138は、局部乾燥機能の実行によって使用者の「おしり」などに温風を吹き付ける際に、開き位置に移動する。
図2は、実施形態に係るリモコン装置を模式的に表す正面図である。
図2に表したように、リモコン装置10は、複数の操作ボタン12と、各操作ボタン12を支持するリモコン本体14と、を備える。複数の操作ボタン12は、メインボタン群12mと、サブボタン群12sと、に分けられている。
メインボタン群12mは、例えば、おしり洗浄ボタン12aと、ビデ洗浄ボタン12bと、乾燥ボタン12cと、停止ボタン12dと、を含む。
おしり洗浄ボタン12aは、トイレ装置100におしり洗浄の開始を指示するためのボタンである。ビデ洗浄ボタン12bは、トイレ装置100にビデ洗浄の開始を指示するためのボタンである。乾燥ボタン12cは、トイレ装置100に局部乾燥の開始を指示するためのボタンである。停止ボタン12dは、トイレ装置100に衛生洗浄機能や局部乾燥機能の停止を指示するためのボタンである。すなわち、この例においては、おしり洗浄ボタン12aとビデ洗浄ボタン12bとが、ノズル130からの吐水を行わせるための吐水ボタンである。停止ボタン12dは、ノズル130からの吐水を停止させる。
このように、メインボタン群12mには、衛生洗浄や局部乾燥などの各種の機能の実行及び停止をトイレ装置100に指示するための操作ボタン12が設けられる。
サブボタン群12sは、例えば、吐水流量大ボタン12eと、吐水流量小ボタン12fと、洗浄位置前進ボタン12gと、洗浄位置後退ボタン12hと、を含む。
吐水流量大ボタン12eは、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを強くする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。吐水流量小ボタン12fは、衛生洗浄時に噴射される洗浄水の勢いを弱くする指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。洗浄位置前進ボタン12gは、洗浄位置(ノズル130の位置)を前進させる指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。洗浄位置後退ボタン12hは、洗浄位置を後退させる指示をトイレ装置100に入力するためのボタンである。
このように、サブボタン群12sには、各種の機能の状態の変更をトイレ装置100に指示するための操作ボタン12が設けられる。
なお、メインボタン群12m及びサブボタン群12sに含まれる操作ボタン12は、上記に限定されるものではない。例えば、サブボタン群12sには、洗浄水や乾燥風の温度の変更をトイレ装置100に指示するための操作ボタン12などを設けてもよい。
図3は、実施形態に係るリモコン装置を模式的に表すブロック図である。
図3に表したように、リモコン装置10は、複数の検出部20と、発電部22と、電源部24と、制御部26と、をさらに備える。
複数の検出部20は、複数の操作ボタン12のそれぞれに対応して設けられる。複数の検出部20のそれぞれは、複数の操作ボタン12のそれぞれの押し下げ操作を検出する。各検出部20には、例えば、ホール素子が用いられる。各検出部20は、例えば、機械式のスイッチなどでもよい。
発電部22は、複数の操作ボタン12のいずれかの押し下げ操作に応じて発電を行う。発電部22には、例えば、モータが設けられている。発電部22は、操作ボタン12の押し下げ操作にともなう操作力をモータの回転軸に伝達し、回転軸を回転させる。これにより、発電部22は、モータから交流の電力を発生させる。発電部22の発電方式は、モータに限ることなく、必要な電力を供給できる任意の方式でよい。また、発電部22から出力される電力は、直流でもよいし、脈流でもよい。
発電部22と各操作ボタン12との間には、伝達機構30が設けられている。伝達機構30は、各操作ボタン12の押し下げ操作にともなう操作力を発電部22に伝達する。これにより、各操作ボタン12のいずれを押し下げ操作しても、その操作力が発電部22に伝達され、発電部22が発電を行う。従って、リモコン装置10では、複数の操作ボタン12に対し、1つの発電部22で発電を行うことができる。
伝達機構30は、例えば、第1伝達部31と第2伝達部32とを含む。第1伝達部31は、メインボタン群12mの各操作ボタン12の操作力を受け、その操作力を第2伝達部32に伝達する。第2伝達部32は、第1伝達部31からの操作力を受けるとともに、サブボタン群12sの各操作ボタン12の操作力を受け、その操作力を発電部22に伝達する。
制御部26は、複数の検出部20のそれぞれと電気的に接続されている。制御部26は、複数の検出部20のそれぞれの検出結果を基に、押し下げ操作された操作ボタン12を判別する。そして、制御部26は、判別した操作ボタン12に対応した無線信号をトイレ装置100に送信することにより、トイレ装置100を遠隔操作する。
制御部26は、例えば、おしり洗浄ボタン12aの押し下げ操作を判別した場合、おしり洗浄の開始を指示する無線信号をトイレ装置100に送信する。トイレ装置100は、リモコン装置10からの無線信号を受信し、その無線信号に対応した処理を実行する。トイレ装置100は、例えば、おしり洗浄の開始を指示する無線信号の受信に応じて、ノズル130をボウル部112内に進出させ、ノズル130からの吐水を開始する。
制御部26は、例えば、同じ無線信号をトイレ装置100に複数回送信する。制御部26は、例えば、同じ無線信号をトイレ装置100に3回送信する。これにより、例えば、リモコン装置10とトイレ装置100との間の通信ミスを抑制することができる。
制御部26は、例えば、マイコン40と、高周波発生回路42と、送信部44と、を含む。マイコン40は、例えば、押し下げ操作された操作ボタン12の判別、及び、判別した操作ボタン12に対応する信号の生成を行う。高周波発生回路42は、例えば、マイコン40の生成した信号を高周波信号に変換する。高周波発生回路42は、例えば、2.4GHzの高周波信号を生成する。送信部44は、例えば、アンテナを含み、高周波発生回路42の生成した高周波信号を無線信号に変換してトイレ装置100に送信する。
制御部26は、2.4GHzの無線信号をトイレ装置100に送信する。2.4GHz帯を用いた無線通信では、例えば、赤外線通信の場合のように、電波の透過窓(いわゆる黒窓)をリモコン本体14に設ける必要がなくなる。これにより、例えば、リモコン装置10の意匠性を高めることができる。また、2.4GHz帯を用いた無線通信では、赤外線通信に比べて障害物の影響が小さい。これにより、トイレ装置100との間の通信品質を高めることもできる。
なお、マイコン40、高周波発生回路42及び送信部44は、1つのチップ内に納めてもよいし、異なる素子として分けてもよい。リモコン装置10とトイレ装置100との間の通信は、上記に限ることなく、任意でよい。制御部26の構成は、上記に限ることなく、操作ボタン12の判別やトイレ装置100との無線通信などが可能な任意の構成でよい。
電源部24は、発電部22によって発電された電力を蓄積する蓄電素子50を含む。電源部24は、蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際に、蓄電素子50に蓄積された電力を制御部26に供給して制御部26を起動させる。蓄電素子50には、例えば、コンデンサや蓄電池などが用いられる。
ここで、「蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際」とは、例えば、制御部26の起動及び無線信号の送信に必要な電力が蓄電素子50に蓄積された際である。制御部26が無線信号を複数回送信する場合には、制御部26の起動及び無線信号の複数回の送信に必要な電力が蓄電素子50に蓄積された際である。このように、蓄電素子50の電圧の前記所定値は、制御部26での消費電力に応じて設定される。所定値は、例えば、3.5Vである。「蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際」とは、換言すれば、発電部22の発電の積算量が所定値以上になった際である。
また、蓄電素子50の容量は、例えば、制御部26の起動及び無線信号の送信に必要な電力を蓄積できる最低限の容量に設定される。これにより、例えば、蓄電素子50の大型化を抑制できる。また、蓄電素子50に残った余剰の電力によって、制御部26が誤動作を起こすことなどを抑制できる。
図4は、実施形態に係る電源部を模式的に表す回路図である。
図4に表したように、電源部24は、例えば、整流器52と、電圧検出部54と、をさらに含む。整流器52は、発電部22の出力と電気的に接続される。整流器52は、発電部22から出力される交流電力を整流し、脈流電力に変換する。整流器52は、例えば、4つのダイオード52dを含むダイオードブリッジである。
蓄電素子50は、整流器52の出力に電気的に接続され、整流器52から出力される脈流電力を蓄積する。また、これにより、蓄電素子50は、整流器52の脈流電力を直流電力に変換する。
電圧検出部54は、蓄電素子50の電圧を検出する。電圧検出部54は、蓄電素子50の電圧が所定値以上になった場合に、制御部26に電流を流す。これにより、蓄電素子50に蓄積された電力が、制御部26に供給される。制御部26には、電圧検出部54の検出した所定値以上の直流電圧が供給される。
図5は、実施形態に係るリモコン装置の内部構造を表す模式図である。
図5に表したように、発電部22は、本体モジュール22aと、可動部22bと、を含む。可動部22bは、本体モジュール22aから突出した突出位置と、本体モジュール22a内に押し込まれた押し込み位置と、に移動する。可動部22bは、図示を省略したバネなどにより、操作されていない状態において突出位置に保持される。可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。発電部22は、この可動部22bの移動にともなう操作力により、発電を行う。
第1伝達部31は、メインボタン群12mの各操作ボタン12のそれぞれと対向する棒状である。第2伝達部32は、サブボタン群12sの各操作ボタン12のそれぞれと対向する棒状である。また、第2伝達部32は、長手方向において発電部22の可動部22bと対向する位置に配置されている。
第1伝達部31及び第2伝達部32は、図中矢線で表すように、長手方向にスライド可能に取り付けられている。すなわち、第1伝達部31及び第2伝達部32は、いわゆるスライドバーである。また、第1伝達部31及び第2伝達部32は、連結部材33によって互いに接続されている。これにより、第1伝達部31及び第2伝達部32は、互いに連動してスライド移動する。
メインボタン群12mの各操作ボタン12のいずれかを押し下げ操作すると、その操作力が第1伝達部31に伝わり、第1伝達部31がスライド移動する。第1伝達部31がスライド移動すると、連結部材33を介して第2伝達部32がスライド移動し、可動部22bに当接して可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。
サブボタン群12sの各操作ボタン12のいずれかを押し下げ操作すると、その操作力が第2伝達部32に伝わり、第2伝達部32がスライド移動する。スライド移動した第2伝達部32は、可動部22bに当接し、可動部22bを突出位置から押し込み位置に移動させる。これにより、各操作ボタン12の押し下げ操作によって、発電部22が発電を行う。
リモコン装置10は、クリック機構28をさらに備える。クリック機構28は、押し下げ操作された操作ボタン12にクリック感を付与する。
この例において、クリック機構28は、発電部22に設けられている。発電部22では、例えば、バネなどの弾性力に抗して可動部22bを押し込むと、可動部22bに係合した連動部材が移動する。そして、可動部22bが押し込み位置まで移動すると、クリック機構28により、連動部材と可動部22bとの係合状態が一時的に解除され、連動部材が弾性力によって初期位置に戻る。この時に、操作ボタン12の操作力が弱まり、使用者にクリック感として伝わる。
また、連動部材は、ギヤなどを介してモータの回転軸に連結されており、連動部材が初期位置に戻る際の勢いで回転軸が回転し、発電が行われる。発電部22では、操作ボタン12を押し下げ操作し、可動部22bを押し込み位置に移動させることによって発電が行われる。そして、発電部22が発電する時に、押し下げ操作された操作ボタン12にクリック感が付与される。この構成では、例えば、使用者の押し下げ操作の速度などに依存せず、連動部材に加える弾性力によって発電量を制御することができる。これにより、例えば、操作毎の発電量のバラツキを抑制することができる。発電部22において、安定した発電量を得ることができる。
この例において、クリック機構28は、発電部22の発電機構の一部を兼ねている。クリック機構28は、必ずしも発電部22に設ける必要はなく、発電部22と別に設けてもよい。
図6(a)〜図6(d)は、実施形態に係るリモコン装置の一部を表す模式図である。 図6(a)〜図6(d)は、操作ボタン12の押し下げ操作の一例を模式的に表す。
図6(a)は、操作ボタン12が定常位置にある状態を表している。
図6(b)は、検出部20が押し下げ操作を検出する操作ボタン12の位置を表している。
図6(c)は、操作ボタン12が最下点位置にある状態を表している。
図6(d)は、検出部20が押し下げ操作の検出状態を解除する操作ボタン12の位置を表している。
図6(a)〜図6(d)に表したように、検出部20は、例えば、ホール素子20aと、磁石20bと、を含む。ホール素子20aは、例えば、リモコン本体14内の所定の位置に保持されている。磁石20bは、操作ボタン12に取り付けられている。検出部20は、操作ボタン12の押し下げ操作に応じてホール素子20aと磁石20bとの間の距離が近づくことにより、操作ボタン12の押し下げ操作を検出する。このように、検出部20は、例えば、非接触で操作ボタン12の押し下げ操作を検出する。ホール素子20aと磁石20bとの位置は、上記と反対に、ホール素子20aを操作ボタン12に設け、磁石20bをリモコン本体14内に設けてもよい。押し下げ操作の検出方法は、これに限ることなく、任意の方法でよい。
第2伝達部32には、傾斜面状のスライドカム32aが設けられている。操作ボタン12には、スライドカム32aと対向する位置に、スライドカム32aに対応した傾斜面12pが設けられている。これにより、操作ボタン12を押し下げ操作すると、スライドカム32aの傾斜に従って垂直方向の力が水平方向の力に変換され、第2伝達部32がスライド移動する。なお、図示は省略するが、第1伝達部31も第2伝達部32と同様に、スライドカムによってスライド移動する。
図6(b)に表したように、操作ボタン12を押し下げ操作してホール素子20aと磁石20bとの間の距離を近づける。これにより、検出部20によって操作ボタン12の押し下げ操作が検出される。
図6(c)に表したように、操作ボタン12をさらに押し下げ、最下点位置に移動させる。これにより、発電部22の可動部22bが押し込み位置に移動し、発電部22によって発電が行われる。
このように、複数の検出部20は、発電部22の発電よりも前に、対応する各操作ボタン12の押し下げ操作を検出する。すなわち、複数の検出部20は、制御部26の起動よりも前に押し下げ操作を検出する。
また、発電部22は、検出部20の検出位置(図6(b)に表した位置)よりも最下点位置側の発電位置に操作ボタン12が移動した際に、蓄電素子50の電圧を所定値以上にする。これにより、発電部22は、押し下げ操作のみで制御部26からの無線信号の送信を可能にする。
この例では、最下点位置が、発電位置である。発電位置は、これに限ることなく、検出位置と最下点位置との間の任意の位置でもよい。すなわち、発電位置は、検出位置と最下点位置との間の位置、または、最下点位置である。また、この例では、可動部22bが押し込み位置に移動した時に、発電部22で発電が行われる。発電が行われる可動部22bの位置は、押し込み位置に限ることなく、突出位置と押し込み位置との間の任意の位置でもよい。
操作ボタン12の押し下げ操作を解除すると、弾性力によって発電部22の可動部22bが突出位置に戻る。可動部22bが突出位置に戻ると、伝達機構30を介して弾性力が操作ボタン12に伝わり、操作ボタン12が定常位置に戻る。なお、操作ボタン12は、発電部22内に設けられた弾性体(バネやゴムなど)からの弾性力のみで定常位置に戻してもよいし、伝達機構30や操作ボタン12に別の弾性体をさらに設けて定常位置に戻してもよい。
図6(d)に表したように、複数の検出部20は、押し下げ操作の解除にともなって操作ボタン12が発電位置から定常位置に戻るまでの間に、押し下げ操作の検出状態を解除する。この時、検出部20は、ホール素子20aのヒステリシス性により、磁石20bとの距離が検出時よりも離れた状態で検出を解除する。これにより、複数の検出部20のそれぞれにおいて、検出状態が解除される操作ボタン12の位置は、検出位置よりも定常位置に近くなる。
図7は、実施形態に係るリモコン装置の特性の一例を模式的に表すグラフ図である。
図7は、操作ボタン12のストローク量(mm)と操作力(N)との関係の一例を表している。ストローク量は、換言すれば押し下げ量である。ストローク量が0の位置が、定常位置である。また、図7において、実線は、本実施形態に係る操作ボタン12の操作力の一例を表す。破線は、最下点位置にある時に、機械式のスイッチなどによって押し下げ操作の検出が行われる参考例の操作ボタンの操作力の一例を表す。参考例の操作ボタンは、例えば、有線式や電池式などの従来のリモコン装置に用いられる操作ボタンである。
参考例の操作ボタンでは、位置Aが最下点位置であり、位置Aにおいて検出が行われる。そして、位置Aにおいて、スイッチなどにより、操作ボタンにクリック感が付与される。すなわち、従来のリモコン装置では、押し下げ操作の検出時に、操作ボタンにクリック感が付与される。
一方、この例の操作ボタン12では、位置Aが検出位置であり、位置Bが最下点位置(発電位置)である。リモコン装置10では、操作ボタン12が発電位置に移動した際に、クリック機構28が、押し下げ操作された操作ボタン12にクリック感を付与する。クリック機構28は、発電部22の発電時に操作ボタン12にクリック感を付与する。
前述のように、検出部20は、押し下げ操作を非接触で検出する。従って、この例において、検出部20が押し下げ操作の検出時に操作ボタン12に付与する操作力の変化は、クリック機構28が操作ボタン12に付与する操作力の変化よりも小さい。この例において、検出部20は、押し下げ操作の検出時に、操作ボタン12に操作力の変化を実質的に付与しない。
次に、本実施形態に係るリモコン装置10の作用について説明する。
図8(a)〜図8(d)は、実施形態に係るリモコン装置の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
図8(a)〜図8(d)の横軸は、時間(秒)である。図8(a)の縦軸は、操作ボタン12の位置(mm)である。図8(b)の縦軸は、検出部20の検出状態である。図8(b)では、検出部20が押し下げ操作を検出した状態(以下、オン状態と称す)を「Hi」、押し下げ操作を検出していない状態(以下、オフ状態と称す)を「Lo」として表している。図8(c)の縦軸は、制御部26の起動及び停止を表している。図8(d)は、蓄電素子50の電圧を表している。
使用者は、トイレ装置100を使用した後などに、必要に応じてリモコン装置10の操作ボタン12を押す(図8(a)〜図8(d)の時刻t1)。使用者が各操作ボタン12のいずれかを押すと、その押し下げ操作が対応する検出部20によって検出される(図8(a)〜図8(d)の時刻t2)。
時刻t2では、まだ発電部22で発電が行われておらず、制御部26も起動していない。このように、検出部20は、制御部26の起動よりも前に押し下げ操作を検出する。従って、制御部26が起動した際には、既に押し下げ操作が検出された状態となる。これにより、例えば、制御部26における操作ボタン12の判別を適切に行うことができる。
操作ボタン12をさらに押し下げ操作し、操作ボタン12を最下点位置(発電位置)に移動させる(図8(a)〜図8(d)の時刻t3)。操作ボタン12を最下点位置に移動させると、その操作力が伝達機構30を介して発電部22の可動部22bに伝わり、可動部22bが押し込み位置に移動する。可動部22bが押し込み位置に移動すると、発電部22で発電が行われるとともに、クリック機構28によって、押し込み操作された操作ボタン12にクリック感が付与される。
発電部22が発電を行うと、蓄電素子50の電圧が所定値以上になり、蓄電素子50に蓄積された電力が電源部24から制御部26に供給される。
制御部26は、電源部24からの電力供給に応じて起動する。制御部26は、起動の後、まず各検出部20の検出結果を基に、押し下げ操作された操作ボタン12の判別を行う。そして、制御部26は、判別した操作ボタン12に対応した無線信号をトイレ装置100に送信する。制御部26は、例えば、無線信号の送信を複数回行う。トイレ装置100は、制御部26からの無線信号を受信し、受信した無線信号に応じた動作を実行する。これにより、制御部26は、トイレ装置100を遠隔操作する。
リモコン装置10では、蓄電素子50の電圧が所定値以上になるまで制御部26が起動しない。例えば、制御部26が、蓄電素子50の充電量の監視などを行う必要がない。これにより、消費電力を抑制することができる。発電部22で発生した電力を無駄に消費することなく、必要最低限の発電量でリモコン装置10を駆動することができる。また、発電部22の発電量や蓄電素子50の容量を抑制し、発電部22及び蓄電素子50を小型化できる。従って、リモコン装置10を小型化することができる。
例えば、有線式や電池式などの従来のリモコン装置では、操作ボタンの押し下げ操作が検出された時に、信号がトイレ装置に送信される。一方、本実施形態に係るリモコン装置10では、発電部22で発電が行われた時に、無線信号がトイレ装置100に送信される。
リモコン装置10では、検出部20の検出位置よりも最下点位置側の発電位置に操作ボタン12が移動した際に、蓄電素子50の電圧が所定値以上になり、押し下げ操作のみで制御部26からの無線信号の送信が可能になる。これにより、従来のリモコン装置と同様の操作感で無線信号を例えば、操作感の違いによる違和感を使用者に与えてしまうことを抑制することができる。
また、この例では、操作ボタン12が発電位置に移動した際に、押し下げ操作された操作ボタン12にクリック感が付与される。すなわち、発電部22の発電時、換言すれば、制御部26の起動時に、使用者に報知が出る。これにより、発電及び制御部26の起動を使用者に適切に行わせることができる。
さらに、リモコン装置10において、検出部20が押し下げ操作の検出時に操作ボタン12に付与する操作力の変化は、クリック機構28が操作ボタン12に付与する操作力の変化よりも小さい。これにより、検出部20の検出にともなう操作感の変化によって、誤って押し下げ操作を止められてしまうことを抑制することができる。リモコン装置10の使用感をより向上させることができる。
制御部26は、無線信号の送信を行った後、停止状態になる(図8(a)〜図8(d)の時刻t4)。制御部26は、例えば、無線信号を送信した後、蓄電素子50の電圧が所定値未満になることによって、停止状態にしてもよい。
例えば、指を操作ボタン12から離して使用者が操作ボタン12の押し下げ操作を解除すると、操作ボタン12が定常位置に向かって移動する。ホール素子20aと磁石20bとの間の距離が所定の距離に達すると、検出部20による押し下げ操作の検出状態が解除される(図8(a)〜図8(d)の時刻t5)。このように、複数の検出部20は、押し下げ操作の解除にともなって操作ボタン12が発電位置から定常位置に戻るまでの間に、押し下げ操作の検出状態を解除する。
例えば、操作ボタン12が最下点位置まで移動した際に検出を行う場合には、制御部26が起動して検出部20の検出を判別するまで、操作ボタン12を長押ししておく必要がある。これに対して、リモコン装置10では、操作ボタン12が最下点位置から離れてもすぐには押し下げ操作の検出状態が解除されず、検出状態の解除までに時間的な猶予ができる。これにより、操作ボタン12の長押しを抑制することができる。例えば、有線式や電池式などの従来のリモコン装置と同様の使用感を使用者に提供することができる。
例えば、操作ボタン12を発電位置まで移動させた後、即座に押し下げ操作を解除しても、操作された操作ボタン12を制御部26で適切に判別できるように、ホール素子20aや磁石20bの位置、操作ボタン12の戻る速度(弾性体の弾性力など)、及び、制御部26の動作速度などを調整する。すなわち、即座に押し下げ操作を解除しても、制御部26で判別が行われる前に、検出部20の検出状態が解除されないようにする。これにより、リモコン装置10の誤動作を適切に抑制することができる。
また、リモコン装置10では、複数の検出部20のそれぞれにおいて、検出状態が解除される操作ボタン12の位置が、検出位置よりも定常位置に近い。これにより、例えば、各検出部20の検出状態を長い時間確保することができ、検出結果の誤検出をより適切に抑制することができる。
上記実施形態では、ホール素子20aのヒステリシス性によって、検出状態が解除される操作ボタン12の位置を、検出位置よりも定常位置に近くしている。これに限ることなく、例えば、2つの機械式スイッチを検出部20として操作ボタン12の移動する方向に並べて設けてもよい。例えば、2つのスイッチが両方ともONになった時に、押し下げ操作を検出し、2つのスイッチが両方ともOFFになった時に、押し下げ操作の検出を解除する。これにより、2つのスイッチを用いた場合でも、検出状態が解除される操作ボタン12の位置を、検出位置よりも定常位置に近くすることができる。
図9(a)〜図9(d)は、実施形態に係るリモコン装置の別の動作の一例を模式的に表すグラフ図である。
図9(a)〜図9(d)のそれぞれの横軸及び縦軸の関係は、図8(a)〜図8(d)と同じであるから、説明は省略する。
図9(a)〜図9(d)に表したように、この例では、操作ボタン12が定常位置から最下点位置に移動する時、及び、最下点位置から定常位置に移動する時の、2段階で発電部22が発電を行う。
この例では、操作ボタン12を押し下げ操作して定常位置から最下点位置に移動させることにより、発電部22が発電を行い、制御部26が起動する(図9(a)〜図9(d)の時刻t11)。また、この例では、操作ボタン12が最下点位置にある時に、検出部20によって押し下げ操作が検出される。制御部26は、起動の後、押し下げ操作された操作ボタン12を判別する。
そして、操作ボタン12の押し下げ操作を解除し、操作ボタン12を最下点位置から定常位置に移動させる(図9(a)〜図9(d)の時刻t12)。これにより、発電部22がさらに発電を行い、トイレ装置100への無線信号の送信が可能になる。制御部26は、例えば、押し下げ操作の検出が解除された後、トイレ装置100に無線信号を送信する。
このように、操作ボタン12が定常位置から最下点位置に移動する時、及び、最下点位置から定常位置に移動する時の、双方で発電部22に発電を行わせてもよい。この場合にも、蓄電素子50の電圧が所定値以上になった際に制御部26を起動させることで、無駄な電力の消費を抑えることができる。例えば、リモコン装置10を小型化できる。
但し、この例では、押し下げ操作を行っただけでは無線信号が送信されず、押し下げ操作を解除した時に無線信号が送信される。このため、従来のリモコン装置と操作感が異なってしまい、使用者に違和感を与えてしまう可能性がある。従って、図8などに関して説明したように、押し下げ操作のみで無線信号の送信を可能にすることが好ましい。
図10(a)〜図10(c)は、実施形態に係るリモコン装置の別の伝達機構を表す模式図である。
図10(a)〜図10(c)は、伝達機構30が、伝達カム34と回転カム35とをさらに含む。伝達カム34及び回転カム35は、複数の操作ボタン12のそれぞれに対応して複数設けられる。
伝達カム34は、操作ボタン12と対向する位置に設けられる。伝達カム34は、操作ボタン12の移動方向に移動可能に取り付けられ、操作ボタン12にともなって移動する。伝達カム34は、例えば、操作ボタン12に取り付けてもよい。
回転カム35は、伝達カム34と対向する位置に設けられる。回転カム35は、操作ボタン12の移動方向を軸に回転可能に取り付けられている。回転カム35には、カム溝35aが設けられている。カム溝35aは、軸方向に対して傾斜した傾斜面を含む。また、回転カム35には、突起35pが設けられている。突起35pは、第2伝達部32に設けられた溝32mに係合している。
伝達カム34には、突出部34aが設けられている。突出部34aは、カム溝35aの傾斜面と対向する位置に配置されている。操作ボタン12を押し下げ操作すると、伝達カム34の突出部34aがカム溝35aに入り込み、突出部34aがカム溝35aの傾斜面に当接する。これにより、カム溝35aの傾斜面に従って回転カム35が回転する。そして、回転カム35が回転すると、突起35pと溝32mとの係合により、第2伝達部32がスライド移動する。これにより、上記実施形態と同様に、操作ボタン12の押し下げ操作によって、発電部22の可動部22bが突出位置から押し込み位置に移動し、発電部22で発電が行われる。
このように、伝達機構30は、複数の伝達カム34と複数の回転カム35とを含む構成でもよい。伝達機構30の構成は、各操作ボタン12の押し下げ操作にともなう操作力を発電部22に伝達可能な任意の構成でよい。
図11は、実施形態に係る別のリモコン装置を模式的に表すブロック図である。
図11に表したように、リモコン装置80は、複数の操作ボタン12として、大流しボタン12jと、小流しボタン12kと、を含む。大流しボタン12jは、流量の多い便器洗浄(大流し)をトイレ装置100に指示するためのボタンである。小流しボタン12kは、流量の少ない便器洗浄(小流し)をトイレ装置100に指示するためのボタンである。リモコン装置80は、操作ボタン12として大流しボタン12j及び小流しボタン12kを用いている以外は、上記実施形態のリモコン装置10と実質的に同じであるから、詳細な説明は省略する。
トイレ装置100は、大流しの無線信号をリモコン装置80から受信すると、例えば、フラッシュバルブの電磁弁を所定時間開き、大流しを実行する。トイレ装置100は、小流しの無線信号をリモコン装置80から受信すると、例えば、フラッシュバルブの電磁弁を所定時間開き、小流しを実行する。小流し時に電磁弁を開く時間は、大流し時に電磁弁を開く時間よりも短い。
このように、操作ボタン12に設定する機能は、上記に限ることなく、トイレ装置100の遠隔操作に必要な任意の機能でよい。
上記実施形態では、便器110と便座ユニット120とが一体になった一体型のトイレ装置100を例示している。便座ユニット120は、例えば、便器110に対して着脱可能に取り付けられる、いわゆるシート型の便座ユニットでもよい。この場合、便座ユニットをトイレ装置としてもよい。また、大流しボタン12j及び小流しボタン12kのみを設ける場合、トイレ装置は、例えば、無線通信機能付きのフラッシュバルブでもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、リモコン装置10などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。