JP6439508B2 - 無線タグリーダ - Google Patents

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本発明は、無線タグに記憶されている情報を読み取る無線タグリーダに関するものである。
現在、管理対象となる各資産のそれぞれに無線タグが付され、この無線タグを無線タグリーダにて読み取ることで、各資産の管理状況等を容易に把握でき、各資産の管理の効率化を図っている。このような管理状態では、複数の資産が収納された棚等から、特定の資産をその資産に付された無線タグを利用して探索するといった要求がある。
このような無線タグを利用した探索を可能とする無線タグリーダに関連する技術として、例えば、特許文献1に開示されるICタグのよる関連情報提供システムが知られている。この関連情報提供システムでは、特定商品(資産)に添付されるICタグから携帯端末で関連情報を読み取ることで、携帯端末が自動的にサーバにアクセスし、このサーバに記録されている特定商品の関連情報が更新され、且つ特定商品の関連情報が携帯端末に表示される。これにより、携帯端末に表示された関連情報からICタグが付された特定商品の位置が推測される。
特開2014−085757号公報 特開2010−089844号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されるシステムのように携帯端末に表示された関連情報だけでは、無線タグが付された資産の保管場所の特定が困難となる場合がある。具体的には、例えば、保管場所の情報が大雑把過ぎするために保管場所の特定が困難になる場合や、関連情報の登録後にその無線タグが付された資産がその保管場所の情報を更新することなく移動された場合等である。
一方、上記特許文献2に開示される棚卸装置では、無線タグが添付された在庫品(資産)を収納した棚の前方にRFIDリーダー/ライターに接続されたアンテナが移動可能に配置され、棚卸対象の棚に対して所定の方向にアンテナを走査することで得られた無線タグの読取り結果データから無線タグが添付された在庫品の位置を推定している。しかしながら、アンテナに対して資産のある方向が決まっていることが前提となる構成であり、そもそもどこに保管されているか不明な資産を探索することは困難である。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線タグを効率的に探索可能な無線タグリーダを提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、無線タグ(60)に記憶されている情報を読み取る携帯型の無線タグリーダ(10)であって、前記無線タグから送信される応答信号を受信する受信手段(30)と、前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度に基づいて前記無線タグまでの距離を推定するタグ距離推定手段(21)と、当該無線タグリーダを把持した状態で所定の方向に沿って振らせる振り方向を移動方向として指示する指示手段(24)と、前記指示手段により指示される前記移動方向と前記受信信号強度の変化とに基づいて当該無線タグリーダに対する前記無線タグの方向を推定するタグ方向推定手段(21)と、前記タグ距離推定手段により推定された前記無線タグまでの距離と前記タグ方向推定手段により推定された前記無線タグの方向とを報知する報知手段(24)と、前記タグ距離推定手段において前記無線タグまでの距離が推定される際に、前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度を算出RSSI値として算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記算出RSSI値の最大値を最大RSSI値として更新可能に設定する設定手段と、を備え、前記指示手段は、前記算出手段により算出された前記算出RSSI値と前記設定手段により設定された前記最大RSSI値との差が所定の閾値以上となる場合に、前記移動方向として振り方向を指示することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項1の発明では、タグ距離推定手段により、受信手段にて受信された無線タグからの応答信号の受信信号強度に基づいて無線タグまでの距離が推定され、タグ方向推定手段により、指示手段にて指示される移動方向と受信信号強度の変化とに基づいて無線タグの方向が推定される。そして、タグ距離推定手段により推定された無線タグまでの距離とタグ方向推定手段により推定された無線タグの方向とが報知手段により報知される。
無線タグリーダを把持した状態で指示手段により指示された移動方向に沿うように移動させると、この移動方向に沿う移動中に比較的受信信号強度が大きくなる無線タグリーダの移動範囲部分は、上記移動方向に沿うように移動させた移動範囲中、無線タグに近づいている範囲(以下、単に、タグ接近範囲ともいう)となる。このため、上記移動範囲および上記タグ接近範囲、すなわち、指示手段にて指示される移動方向と受信信号強度の変化とに基づいて、無線タグリーダに対する無線タグの方向を推定することができる。このように推定された無線タグの方向と無線タグまでの距離とが報知手段により報知されることで、無線タグを効率的に探索することができる。
請求項2の発明では、タグ方向推定手段により、指示手段により指示される移動方向および受信信号強度の変化に加えて、移動方向検出手段による検出結果に基づいて無線タグの方向が推定される。これにより、指示手段により指示される移動方向と実際に移動された移動方向との間にずれが生じる場合でもそのずれを考慮してタグ方向を推定できるので、タグ方向の推定精度を高めることができる。
請求項3の発明では、移動方向検出手段は、当該無線タグリーダの加速度を検出する加速度検出手段からなるため、無線タグリーダの移動方向を好適に検出することができる。また、無線タグリーダの振り方を詳細に検出できるので、振り速度が大きな場合に振り速度を小さくさせるための警告や詳細な振り方向の報知等にも加速度検出手段を利用することができる。
請求項4の発明では、指示手段は、水平方向に沿う移動方向を指示する水平方向指示手段と、鉛直方向に沿う移動方向を指示する鉛直方向指示手段とを備えるように構成される。これにより、平面的な方向だけでなく高さ方向をも考慮して上記タグ接近範囲を求めることができるので、無線タグの方向をより詳細に報知することができる。
第1実施形態に係る無線タグリーダの構成概要を示す説明図であり、図1(A)は平面図を示し、図1(B)は側面図を示す。 図2(A)は、図1の無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図であり、図2(B)は、図2(A)の無線タグ処理部を概略的に例示するブロック図であり、図2(C)は、図2(A)の情報コード読取部を概略的に例示するブロック図である。 無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。 Gセンサの測定方向を説明する説明図である。 第1実施形態に係る制御部によるタグ探索処理の流れを例示するフローチャートである。 第1実施形態における移動案内処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。 第1実施形態における水平方向案内処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。 タグ探索処理中における読取作業者の進行方向を説明する説明図である。 移動案内処理中における算出RSSI値の時間変化を示すグラフである。 水平方向に沿い左右に振らせた無線タグリーダの状態を示す説明図である。 水平方向案内処理中における算出RSSI値の時間変化を示すグラフである。 第2実施形態における水平方向案内処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。 第3実施形態に係る制御部によるタグ探索処理の流れを例示するフローチャートである。 第3実施形態における鉛直方向案内処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。 鉛直方向案内処理における振り方向の表示状態を説明する説明図であり、図15(A)は、上方向に振らせるための振り状態を示し、図15(B)は、下方向に振らせるための振り状態を示す。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線タグリーダを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1(A),(B)に示す無線タグリーダ10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線タグ(RFIDタグ)60に記憶されている情報を読み書きする機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
図1(A),(B)に示すように、無線タグリーダ10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケース11aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等のキー操作部25や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、下側ケース11bには、下方に向けて開口する読取口12が形成されている。
図2(A)に示すように、無線タグリーダ10の筐体11内には、無線タグリーダ10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。メモリ22には、後述するタグ探索処理を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、バイブレータ26、ブザー27、外部インタフェース28などが接続されている。
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース28は、外部機器等との間でのデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部29が設けられており、この電源部29やバッテリ29aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
また、制御部21には、無線タグ処理部30、情報コード読取部40およびGセンサ50が接続されている。
まず、無線タグ処理部30について、図2(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部30は、アンテナ34および制御部21と協働して無線タグ60との間で電磁波による通信を行ない、無線タグ60に記憶されるデータの読取り、或いは無線タグ60に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図2(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
送信回路31は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路33を介してアンテナ34に出力している。このようにしてアンテナ34に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ34より外部に放射される。
一方、アンテナ34によって受信された応答信号は、整合回路33を介して受信回路32に入力される。この受信回路32は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ34を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。なお、無線タグ処理部30は、「受信手段」の一例に相当し得る。
ここで、無線タグリーダ10の読取対象となる無線タグ60の電気的構成について、図3を参照して説明する。
図3に示すように、無線タグ60は、アンテナ61,電源回路62,復調回路63,制御回路64,メモリ65,変調回路66などによって構成されている。電源回路62は、アンテナ61を介して受信した無線タグリーダ10からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路64をはじめとする各構成要素に供給している。
また、復調回路63は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路64に出力している。メモリ65は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ60を識別するための識別情報(タグID)、或いは無線タグ60の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路64は、メモリ65から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路66に出力する構成をなしており、変調回路66は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナ61から反射波として送信するように構成されている。
次に、情報コード読取部40について、図2(C)を用いて説明する。
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、図2(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ43、結像レンズ42、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
この情報コード読取部40によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取口12と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(図2(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部40には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
次に、Gセンサ50について、図4を用いて説明する。
Gセンサ50は、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ(3軸モーションセンサ)として機能するものである。Gセンサ50は、図4に示すように、無線タグリーダ10を把持した使用者に対向する対向面13(表示部24やキー操作部25が露出する外面)を基準に、当該無線タグリーダ10の長手方向(図4の上下方向)をx方向、短手方向(図4の左右方向)をy方向、上記対向面13に直交する方向をz方向として、それぞれの方向の加速度を検出し、この検出結果に応じた加速度信号を、制御部21に出力するように構成されている。
このGセンサ50により、3軸方向(x方向,y方向,z方向)の加速度が検出されることで、当該無線タグリーダ10の3軸方向の移動量をそれぞれ算出することができる。なお、Gセンサ50は、携帯機器に対して一般的に搭載される3軸加速度センサであり、例えば、搭載された携帯機器の落下を検知して緊急バックアップを実行するための信号を出力する3軸加速度センサが設けられた装置では、この3軸加速度センサをGセンサ50として流用することができる。
次に、無線タグリーダ10の制御部21にて実行されるタグ探索処理について、図5〜図11を参照して説明する。
本実施形態に係るタグ探索処理は、それぞれ無線タグ60が付された複数の資産が保管された棚等に対して、指定された無線タグ60(以下、指定タグ60ともいう)が付された資産の保管場所まで当該無線タグリーダ10を把持する読取作業者を誘導するように指定タグ60を探索するためのものである。すなわち、読取作業者は、タグ探索処理を実行している無線タグリーダ10を把持して移動しながら指定タグ60を探索する。
特に、タグ探索処理では、指定タグ60から送信される応答信号の受信信号強度(RSSI)を利用して、指定タグ60に向かう移動を案内する移動案内処理と、無線タグリーダ10に対する指定タグ60の方向を案内する水平方向案内処理とを交互に繰り返すことで、指定タグ60まで読取作業者を誘導する。
以下、受信信号強度(RSSI)を利用して指定された指定タグ60まで読取作業者Mを誘導するタグ探索処理について詳述する。
キー操作部25に対して所定の操作がなされることで、制御部21によりタグ探索処理が開始されると、図5のステップS101に示す探索対象設定処理がなされ、キー操作部25の操作による入力等に応じて指定された探索対象の無線タグ60(指定タグ60)を特定するためのIDが設定される。そして、図8の地点P1にいる読取作業者Mは、指定タグ60が付された資産が保管されていると思われる保管位置に向けて歩き出す。
上述のように探索対象となる指定タグ60が設定されると、ステップS103に示す移動案内処理がなされる。この移動案内処理のサブルーチンでは、まず、図6のステップS201に示すタグ読取処理がなされる。この処理では、無線タグ処理部30により所定の周波数にてアンテナ34を介して送信電波を送信することで通信可能な範囲に位置する無線タグ60からの応答信号を受信するための処理がなされる。そして、指定タグ60からの応答信号が受信されると(S203でYes)、その応答信号の受信信号強度が算出RSSI値として算出される(S205)。なお、周囲の金属などの電波反射によって算出されるRSSI値にノイズが入ることを想定し、算出RSSI値には、一定時間内に算出されたRSSI値の平均値を用いる。
この算出RSSI値が指定タグ60付近に到達したとみなされる所定値(以下、到達RSSI値ともいう)未満であれば(S207でNo)、ステップS209に示す判定処理にて、算出RSSI値が最大RSSI値以上であるか否かについて判定される。ここで、最大RSSI値は、移動案内処理が開始されてから現時点までに算出された算出RSSI値の最大値に相当するものであり、指定タグ60からの応答信号を初めて受信した場合には、ステップS209にてYesと判定されて、最大RSSI値が算出RSSI値に等しくなるように設定(更新)される(S211)。
次に、ステップS213に示すタグ距離推定処理がなされ、上記ステップS205にて算出された算出RSSI値に基づいて指定タグ60までの距離が推定される。なお、上記タグ距離推定処理を実行する制御部21は、「タグ距離推定手段」の一例に相当し得る。
続いて、ステップS215に示すタグ距離報知処理がなされ、上述のように算出された指定タグ60までの距離に関する情報が表示部24に表示されて報知される。なお、上記ステップS215における表示部24は、「報知手段」の一例に相当し得る。
そして、再び上記ステップS201からの処理がなされ、読取作業者Mが指定タグ60との距離が近づくように歩いていると、算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値よりも大きくなることから算出RSSI値が最大RSSI値以上であるとして(S209でYes)、上記ステップS211以降の処理がなされる。
この最大RSSI値の更新処理は、読取作業者Mがその進行方向において探索対象の無線タグ60との最短距離地点(図8のP2参照)に到達するまで繰り返される。その際、図9に示すように、最大RSSI値は徐々に大きくなるように更新される。なお、図9において、時刻t0は移動案内処理が開始されたときの時刻であり、時刻t1から時刻t2までは読取作業者Mが立ち止まっているため最大RSSI値が変化しない時間帯を示している。また、図9において、時刻t3から時刻t4までは読取作業者Mが最短距離地点P2付近を歩いている時間帯を示している。
その後、読取作業者Mがその進行方向において上記最短距離地点P2を通り過ぎて先に進んでしまうと、算出RSSI値が最大RSSI値未満となる(S209でNo)。この場合には、ステップS217に示す判定処理にて、算出RSSI値と最大RSSI値との差が所定の閾値(以下、第1閾値Rt1ともいう)以上であるか否かについて判定される。ここで、第1閾値Rt1は、単に立ち止まっている位置等を最短距離地点として誤認されることを防止するために設けられるものであり、適切な算出RSSI値の極大値を最大RSSI値とするため、例えば、距離にして50cmに相当する値に設定されている。
そして、読取作業者Mがその進行方向において上記最短距離地点P2を通り過ぎて先に進んでいる場合では、最大RSSI値が更新されることなく算出RSSI値が徐々に低下し(図9の時刻t4から時刻t5参照)、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第1閾値Rt1以上となるまでステップS217にてNoと判定されて、上記ステップS201からの処理がなされる。
そして、上記最短距離地点P2を通り過ぎて第1閾値Rt1に相当する距離進むと(図8のP3参照)、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第1閾値Rt1以上になり(S217でYes:図9の時刻t5参照)、本移動案内処理が終了する。
なお、指定タグ60からの応答信号が受信されていない場合には(S203でNo)、予め設定される最低RSSI値(想定される最大RSSI値との差が必ず上記所定の閾値未満となる値)となるように算出RSSI値が設定される(S219)。この場合には、算出RSSI値が最大RSSI値未満となり(S209でNo)、かつ、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第1閾値Rt1以上になるので(S217でYes)、本移動案内処理が終了する。
上述のように図5のステップS103に示す移動案内処理が終了すると、ステップS105に示す水平方向案内処理がなされる。本実施形態における水平方向案内処理は、無線タグリーダ10を把持した状態で水平方向に沿い左右に振らせるための指示とその際の算出RSSI値の変化とに基づいて無線タグリーダ10に対する指定タグ60の方向を案内する処理である。
無線タグリーダ10を立ち止まって把持した状態で、例えば読取作業者を中心にして左右に振るように移動させると、無線タグリーダ10と指定タグ60との距離が変わることから、算出RSSI値が変化する。このため、無線タグリーダ10を立ち止まって把持した状態で指示された移動方向(振り方向)に沿うように移動させると、指定タグ60との距離に応じて算出RSSI値が変化する。この移動方向(振り方向)に沿う移動中に算出RSSI値が大きくなる無線タグリーダ10の移動範囲部分は、上記移動方向に沿うように移動させた移動範囲中、指定タグ60に近づいているタグ接近範囲となる。このため、上記移動範囲および上記タグ接近範囲、すなわち、指示される移動方向と算出RSSI値の変化とに基づいて、無線タグリーダ10に対する指定タグ60の方向を推定することができる。
以下、ステップS105に示す水平方向案内処理のサブルーチンについて、図7に示すフローチャートを用いて詳述する。
まず、図7のステップS301に示す振り方向指示処理がなされる。この処理では、図8のP3にいる読取作業者Mに対して、無線タグリーダ10を把持した状態で水平方向に沿い左右に振らせるための指示が表示部24に表示される。本実施形態では、最初に振らせる方向が予め決められており、例えば、図10(A)における表示部24の表示状態からわかるように、読取作業者Mから見て左方向に無線タグリーダ10を振らせるように振り方向が表示部24に表示される。
上述のように振り方向が表示部24に表示されると、ステップS303に示すタグ読取処理にて、上記ステップS201に示すタグ読取処理と同様の処理がなされる。そして、指定タグ60からの応答信号が受信されることから(S305でYes)、その応答信号の受信信号強度が上記ステップS205に示す処理と同様の処理にて算出RSSI値として算出される(S307)。
そして、このように算出される算出RSSI値と前回算出された算出RSSI値とを比較することで、無線タグリーダ10に対する指定タグ60の方向を推定する。ここで、読取作業者Mから見て左方向に無線タグリーダ10を振らせている場合にその方向に指定タグ60があると、無線タグリーダ10を左方向に振ることで無線タグリーダ10と指定タグ60との距離が近づくので、今回算出された算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値よりも大きくなる。一方、振らせた方向と逆方向(右方向)に指定タグ60があると、無線タグリーダ10を左方向に振ることで無線タグリーダ10と指定タグ60との距離が離れるので、今回算出された算出RSSI値は前回算出された算出RSSI値よりも小さくなる。すなわち、無線タグリーダ10の振り方向と算出RSSI値の変化とから指定タグ60の方向を推定することができる。
このため、図8のP3にいる読取作業者Mが左方向に向けて(図10(A)の状態から図10(B)の状態に向けて)、無線タグリーダ10を振っていると、算出RSSI値が前回の算出RSSI値より小さくなる(S309でNo:図11の時刻t6参照)。この場合には、指定タグ60がある方向と逆方向に無線タグリーダ10が振られているとして、ステップS311に示す振り方向指示変更処理がなされ、振らせた方向と逆方向(右方向)に振らせるための振り方向が表示部24に表示される(図10(B)参照)。
続いて、ステップS315に示す判定処理にて、算出RSSI値が最大RSSI値以上であるか否かについて判定される。本水平方向案内処理が開始される際に最大RSSI値がクリアされており、ステップS315にてYesと判定されて、最大RSSI値が算出RSSI値に等しくなるように設定(更新)される(S317)。
そして、再び上記ステップS303からの処理がなされ、表示部24に表示された逆方向(右方向)の振り方向を見た読取作業者Mがその方向に無線タグリーダ10を振ることで、算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値よりも大きくなる(S309でYes)。この場合には、指定タグ60がある方向に無線タグリーダ10が振られているとして、ステップS313に示す振り方向指示維持処理がなされ、表示部24において現時点での振り方向の表示が維持される。なお、上記ステップS311,S313における表示部24は、「指示手段」の一例に相当し得る。
そして、算出RSSI値が最大RSSI値以上であるとして(S315でYes)、最大RSSI値が算出RSSI値に等しくなるように更新される処理(S317)が繰り返される。
この最大RSSI値の更新処理は、読取作業者Mにより振られた無線タグリーダ10が指定タグ60に対して最も近づく位置(以下、最接近振り位置ともいう:図10(C)参照)、すなわち、振られた無線タグリーダ10が指定タグ60の方向に向くまで繰り返される。その際、図11の時刻t6から時刻t7に示すように、最大RSSI値は徐々に大きくなるように更新される。
その後、読取作業者Mにより振られている無線タグリーダ10が上記最接近振り位置を超えて振られると、算出RSSI値が最大RSSI値未満となる(S315でNo)。この場合には、ステップS319に示す判定処理にて、算出RSSI値と最大RSSI値との差が所定の閾値(以下、第2閾値Rt2ともいう)以上であるか否かについて判定される。ここで、第2閾値Rt2は、読取作業者Mが無線タグリーダ10を左右に振るときの移動距離に応じて設定されるものであり、上記第1閾値Rt1よりも小さな値に設定されている。
読取作業者Mにより振られている無線タグリーダ10が上記最接近振り位置を超えて振られる場合では、最大RSSI値が更新されることなく算出RSSI値が徐々に低下し(図11の時刻t7から時刻t8参照)。このため、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上となるまでステップS319にてNoと判定されて、上記ステップS303からの処理がなされる。
そして、上記最接近振り位置を通り過ぎて第2閾値Rt2に相当する距離を超えて無線タグリーダ10が振られることで(図10(D)参照)、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になると(S319でYes:図11の時刻t8参照)、ステップS321に示すタグ方向推定処理がなされる。この処理では、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になったときの時刻および最大RSSI値が最大となっているときの時刻とから上記タグ接近範囲を推定し、このタグ接近範囲と想定される左右の振り範囲(移動範囲)とから水平方向における指定タグ60の方向が推定される。なお、上記タグ方向推定処理を実行する制御部21は、「タグ方向推定手段」の一例に相当し得る。
続いて、ステップS323に示すタグ方向報知処理がなされ、上述のように推定された水平方向における指定タグ60の方向が、表示部24に対して矢印等を用いて表示されて報知される。これにより、本水平方向案内処理が終了する。なお、上記タグ方向報知処理における表示部24は、「報知手段」の一例に相当し得る。また、指定タグ60からの応答信号が受信されていない場合には(S305でNo)、上記ステップS219に示す処理のように最低RSSI値が設定されることで(S325)、本水平方向案内処理が終了する。
上述のように水平方向案内処理が終了すると、図5のステップS107に示す判定処理にて、算出RSSI値が上記到達RSSI値以上であるか否かに基づいて、指定タグ60付近に到達しているか否かについて判定される。ここで、図8のP3に示すように指定タグ60までに到達してない場合には(S107でNo)、上記ステップS103に示す移動案内処理からの処理がなされる。そして、この移動案内処理により誘導された読取作業者Mは、その進行方向において探索対象の無線タグ60との最短距離地点(図8のP4参照)に向かうように進む。そして、この最短距離地点P4を通り過ぎて図8のP5地点まで進むと、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第1閾値Rt1以上になり(S217でYes)、移動案内処理が終了して、水平方向案内処理が開始される。
このように移動案内処理と水平方向案内処理とを交互に繰り返すことで、読取作業者Mが指定タグ60に到達し、算出RSSI値が上記到達RSSI値以上になることから指定タグ60付近に到達していると判定されると(S107でYes)、ステップS109に示す到達報知処理がなされる。この処理では、指定タグ60付近に到達した旨が表示部24に表示されて報知される。これにより、読取作業者Mは、目的の指定タグ60が付された資産の保管場所付近に到達したことを認識することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグリーダ10では、上記タグ距離推定処理(S213)により、無線タグ処理部30にて受信された指定タグ60の算出RSSI値に基づいて指定タグ60までの距離が推定され、タグ方向推定処理(S321)により、振り方向指示変更処理(S311)または振り方向指示維持処理(S313)にて指示される振り方向(移動方向)と算出RSSI値の変化とに基づいて指定タグ60の方向が推定される。そして、タグ距離推定処理により推定された指定タグ60までの距離がタグ距離報知処理(S215)にて報知され、タグ方向推定処理により推定された指定タグ60の方向がタグ方向報知処理(S323)により報知される。
これにより、振り方向指示変更処理または振り方向指示維持処理にて指示される振り方向と算出RSSI値の変化とに基づいて、無線タグリーダ10に対する指定タグ60の方向を推定することができる。このように推定された指定タグ60の方向と指定タグ60までの距離とが上記報知処理により報知されることで、指定タグ60を効率的に探索することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る無線タグリーダについて、図12を参照して説明する。
本第2実施形態に係る無線タグリーダ10は、Gセンサ50により検出される移動履歴を考慮してタグ方向を推定する点が、上記第1実施形態に係る無線タグリーダと異なる。したがって、第1実施形態の無線タグリーダと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
上述した振り方向指示変更処理(S311)や振り方向指示維持処理(S313)にて指示した向きに無線タグリーダ10を振らせる構成では、読取作業者によっては振るタイミングや振る速さなどにばらつきがあり、その指示された振り方で無線タグリーダ10が実際に振られているか判断することができない。そうすると、指示された方向と異なる方向に無線タグリーダ10が振られてしまう場合等には、タグ方向の推定精度が悪化してしまう。
そこで、本実施形態における水平方向案内処理では、加速度検出手段として機能するGセンサ50を無線タグリーダ10の移動方向検出手段として利用し、Gセンサ50により検出される無線タグリーダ10の加速度に基づいて、実際に無線タグリーダ10が振られた際の移動履歴を求め、この移動履歴を考慮してタグ方向を推定する。
以下、本実施形態における水平方向案内処理のサブルーチンについて、図12に示すフローチャートを用いて詳述する。
上記第1実施形態と同様に振り方向指示処理がなされた後に(図12のS301)、ステップS302に示す移動履歴記録処理がなされ、Gセンサ50の検出結果に基づいて無線タグリーダ10の現在位置が算出されてメモリ22に記録される。この現在位置の記録が繰り返しなされることで、無線タグリーダ10の移動履歴がメモリ22に記録されることとなる。
続いて、タグ読取処理にて指定タグ60からの応答信号が受信されると(S303)、その算出RSSI値が算出される(S307)。そして、算出された算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値以下であると(S309でNo)、ステップS311aに示す逆振り方向指示処理がなされる。この処理では、メモリ22に記録される無線タグリーダ10の移動履歴から無線タグリーダ10の振り方向を検出し、この検出された振り方向と逆方向に振らせるための振り方向が表示部24に表示される。
このため、無線タグリーダ10の移動履歴から上記振り方向指示処理にて指示された振り方と同じ方向に振られていると判断される場合には、上記振り方向指示処理にて表示された振り方向と逆方向に振らせるための振り方向が表示部24に表示される。一方、無線タグリーダ10の移動履歴から上記振り方向指示処理にて指示された振り方と逆方向に振られていると判断される場合には、上記振り方向指示処理にて表示された振り方向が継続して表示部24に表示される。
また、算出された算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値よりも大きい場合には(S309でYes)、ステップS313aに示す順振り方向指示処理がなされる。この処理では、メモリ22に記録される無線タグリーダ10の移動履歴から無線タグリーダ10の振り方向を検出し、この検出された振り方向と同じ順方向に振らせるための振り方向が表示部24に表示される。
このため、無線タグリーダ10の移動履歴から上記振り方向指示処理にて指示された振り方と同じ方向に振られていると判断される場合には、上記振り方向指示処理にて表示された振り方向が継続して表示部24に表示される。一方、無線タグリーダ10の移動履歴から上記振り方向指示処理にて指示された振り方と逆方向に振られていると判断される場合には、上記振り方向指示処理にて表示された振り方向と逆方向に振らせるための振り方向が表示部24に表示される。
そして、上記ステップS302以降の繰り返し処理中に、上記最接近振り位置を通り過ぎて第2閾値Rt2に相当する距離を超えて無線タグリーダ10が振られることで、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になると(S319でYes)、ステップS320に示す判定処理にて、指定タグ60に対して左右方向に無線タグリーダ10が振られているか否かについて判定される。
ここで、メモリ22に記録される無線タグリーダ10の移動履歴に基づいて、指定タグ60に対して左右方向に無線タグリーダ10が振られていると判定される場合には(S320でYes)、上記ステップS321に示すタグ方向推定処理がなされる。一方、メモリ22に記録される無線タグリーダ10の移動履歴に基づいて、指定タグ60に対して左右方向に無線タグリーダ10が振られていないと判定される場合には(S320でNo)、振りすぎ等に起因するタグ方向の誤推定を防止するため、上記ステップS302以降の処理が再びなされる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグリーダ10では、逆振り方向指示変更処理(S311a)または順振り方向指示維持処理(S313a)にて指示される振り方向(移動方向)と算出RSSI値の変化とに加えて、Gセンサ50により検出される移動履歴に基づいて指定タグ60の方向が推定される。これにより、表示部24に表示される振り方向(移動方向)と実際の振り方向との間にずれが生じる場合でもそのずれを考慮してタグ方向を推定できるので、タグ方向の推定精度を高めることができる。
特に、移動方向検出手段としてGセンサ50を採用しているため、無線タグリーダ10の振り方向(移動方向)を好適に検出することができる。また、無線タグリーダ10の振り方を詳細に検出できるので、振り速度が大きな場合に振り速度を小さくさせるための警告や詳細な振り方向の報知等にもGセンサ50を利用することができる。
なお、無線タグリーダ10の移動履歴を検出するための移動方向検出手段として、Gセンサ50を採用することに限らず、位置検出センサなど無線タグリーダ10の移動量を検出可能な他の検出手段を採用してもよい。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る無線タグリーダについて、図13〜図15を参照して説明する。
本第3実施形態に係る無線タグリーダ10は、水平方向だけでなく鉛直方向も考慮してタグ方向を推定する点が、上記第1実施形態に係る無線タグリーダと異なる。したがって、第1実施形態の無線タグリーダと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
上記第1実施形態のように水平方向に沿い左右に振らせることでタグ方向を推定する構成では、高さ方向(鉛直方向)が考慮されないため、高い棚等に保管された資産を好適に探索できない場合がある。
そこで、本実施形態におけるタグ探索処理では、さらに鉛直方向に沿う移動方向(上下の振り方向)を指示しこの方向の移動時における算出RSSI値の変化に基づいて、鉛直方向におけるタグ方向を推定する。
以下、本実施形態におけるタグ探索処理について、図13および図14に示すフローチャートを用いて詳述する。
上記第1実施形態と同様に移動案内処理および水平方向案内処理が繰り返される際に算出RSSI値が上記到達RSSI値以上になると、図13のステップS107に示す判定処理にてYesと判定されて、ステップS108に示す鉛直方向案内処理がなされる。この鉛直方向案内処理のサブルーチンでは、まず、図14のステップS401に示す振り方向指示処理がなされる。この処理では、無線タグリーダ10を把持した状態で鉛直方向に沿い上下に振らせるための指示が表示部24に表示される。本実施形態では、最初に振らせる方向が予め決められており、例えば、図15(A)に示すように、読取作業者Mから見て上方向に無線タグリーダ10を振らせるように振り方向が表示部24に表示される。
上述のように振り方向が表示部24に表示されると、タグ読取処理にて指定タグ60からの応答信号が受信されて(S403)、その算出RSSI値が算出される(S405)。そして、算出された算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値以下であると(S407でNo)、指定タグ60がある方向に無線タグリーダ10が振られていないとして、ステップS409に示す振り方向指示変更処理がなされ、振らせた方向と逆方向(下方向)に振らせるための振り方向が表示部24に表示される(図15(B)参照)。
一方、算出RSSI値が前回算出された算出RSSI値よりも大きくなると(S407でYes)、指定タグ60がある方向に無線タグリーダ10が振られているとして、ステップS411に示す振り方向指示維持処理がなされ、表示部24において現時点での振り方向の表示が維持される。
そして、算出RSSI値が最大RSSI値以上である場合に(S413でYes)、最大RSSI値が算出RSSI値に等しくなるように更新され(S415)が繰り返され、読取作業者Mにより振られている無線タグリーダ10が最接近振り位置を超えて振られると、算出RSSI値が最大RSSI値未満となる(S413でNo)。
そして、上記最接近振り位置を通り過ぎて第2閾値Rt2に相当する距離を超えて無線タグリーダ10が振られることで、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になると、ステップS417に示す判定処理にてYesと判定される。なお、本実施形態では、ステップS417に示す判定処理に用いられる第2閾値Rt2は、上記ステップS315に示す判定処理に用いられる第2閾値Rt2と同じ値に設定されているが、これに限らず、異なる値に設定されてもよい。
上述のように算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になると(S417でYes)、ステップS419に示すタグ方向推定処理がなされる。このタグ方向推定処理では、算出RSSI値と最大RSSI値との差が第2閾値Rt2以上になったときの無線タグリーダ10の時刻および最大RSSI値が最大となっているときの時刻とから上記タグ接近範囲を推定し、このタグ接近範囲と想定される上下の振り範囲(移動範囲)とから鉛直方向における指定タグ60の方向が推定される。続いて、ステップS421に示すタグ方向報知処理がなされ、上述のように推定された指定タグ60の方向が表示部24に表示されて報知される。これにより、本鉛直方向案内処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグリーダ10では、ステップS301に示す振り方向指示処理が、水平方向に沿う振り方向(移動方向)を指示する水平方向指示手段として機能し、ステップS401に示す振り方向指示処理が、鉛直方向に沿う振り方向(移動方向)を指示する鉛直方向指示手段として機能するように構成される。これにより、平面的な方向だけでなく高さ方向をも考慮して上記タグ接近範囲を求めることができるので、指定タグ60の方向をより詳細に報知することができる。
なお、上述した鉛直方向案内処理(S108)は、移動案内処理および水平方向案内処理が繰り返されて算出RSSI値が上記到達RSSI値以上となる場合(S107でYes)に実施されることに限らず、水平方向案内処理が実施された後に都度実施されてもよい。すなわち、タグ探索処理は、移動案内処理、水平方向案内処理および鉛直方向案内処理が繰り返し実施されるように構成されてもよい。
また、本実施形態における鉛直方向案内処理では、上記第2実施形態と同様にして、さらにGセンサ50により検出される移動履歴に基づいて鉛直方向における指定タグ60の方向が推定されてもよい。これにより、表示部24に表示される振り方向(移動方向)と実際の振り方向との間にずれが生じる場合でもそのずれを考慮して鉛直方向におけるタグ方向を推定できるので、鉛直方向におけるタグ方向の推定精度を高めることができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上述したステップS215に示すタグ距離報知処理では、指定タグ60までの距離に関する情報が表示部24に表示されて報知されることに限らず、指定タグ60まで近づいていることを示す情報が表示部24に表示されて報知されてもよい。また、他の報知手段として、例えば、指定タグ60までの距離に応じてビープ音の発音間隔や音量等を変更することで指定タグ60までの距離を報知してもよいし、指定タグ60までの距離に応じてLEDの発光タイミング等を変更することで指定タグ60までの距離を報知してもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
(2)上述したステップS323に示すタグ方向報知処理では、推定された水平方向における指定タグ60の方向に関する情報が表示部24に表示されて報知されることに限らず、水平方向において指定タグ60まで近づいていることを示す情報が表示部24に表示されて報知されてもよい。また、他の報知手段として、例えば、水平方向における指定タグ60の方向に応じてビープ音の発音間隔や音量等を変更することで水平方向における指定タグ60の方向を報知してもよいし、水平方向における指定タグ60の方向に応じてLEDの発光タイミング等を変更することで水平方向における指定タグ60の方向を報知してもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
(3)上述したステップS421に示すタグ方向報知処理では、推定された鉛直方向における指定タグ60の方向に関する情報が表示部24に表示されて報知されることに限らず、鉛直方向において指定タグ60まで近づいていることを示す情報が表示部24に表示されて報知されてもよい。また、他の報知手段として、例えば、鉛直方向における指定タグ60の方向に応じてビープ音の発音間隔や音量等を変更することで鉛直方向における指定タグ60の方向を報知してもよいし、鉛直方向における指定タグ60の方向に応じてLEDの発光タイミング等を変更することで鉛直方向における指定タグ60の方向を報知してもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
(4)本発明に係る無線タグリーダ10は、無線タグ60を読み書きする機能に加えて情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備える携帯型の端末として構成されることに限らず、無線タグリーダとしての機能のみを有する携帯型の端末として構成されてもよいし、さらに他の機能を有する携帯型の端末として構成されてもよい。
10…無線タグリーダ
21…制御部(タグ距離推定手段,タグ方向推定手段)
24…表示部(指示手段,報知手段,水平方向指示手段,鉛直方向指示手段)
30…無線タグ処理部(受信手段)
50…Gセンサ(移動方向検出手段)
60…無線タグ

Claims (4)

  1. 無線タグに記憶されている情報を読み取る携帯型の無線タグリーダであって、
    前記無線タグから送信される応答信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度に基づいて前記無線タグまでの距離を推定するタグ距離推定手段と、
    当該無線タグリーダを把持した状態で所定の方向に沿って振らせる振り方向を移動方向として指示する指示手段と、
    前記指示手段により指示される前記移動方向と前記受信信号強度の変化とに基づいて当該無線タグリーダに対する前記無線タグの方向を推定するタグ方向推定手段と、
    前記タグ距離推定手段により推定された前記無線タグまでの距離と前記タグ方向推定手段により推定された前記無線タグの方向とを報知する報知手段と、
    前記タグ距離推定手段において前記無線タグまでの距離が推定される際に、前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度を算出RSSI値として算出する算出手段と、
    前記算出手段により算出された前記算出RSSI値の最大値を最大RSSI値として更新可能に設定する設定手段と、
    を備え、
    前記指示手段は、前記算出手段により算出された前記算出RSSI値と前記設定手段により設定された前記最大RSSI値との差が所定の閾値以上となる場合に、前記移動方向として振り方向を指示することを特徴とする無線タグリーダ。
  2. 当該無線タグリーダの移動方向を検出する移動方向検出手段を備え、
    前記タグ方向推定手段は、前記指示手段により指示される前記移動方向および前記受信信号強度の変化に加えて、前記移動方向検出手段による検出結果に基づいて前記無線タグの方向を推定することを特徴とする請求項1に記載の無線タグリーダ。
  3. 前記移動方向検出手段は、当該無線タグリーダの加速度を検出する加速度検出手段からなることを特徴とする請求項2に記載の無線タグリーダ。
  4. 前記指示手段は、水平方向に沿う移動方向を指示する水平方向指示手段と、鉛直方向に沿う移動方向を指示する鉛直方向指示手段とを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線タグリーダ。
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