JP2016162327A - 無線タグシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】無線タグまでの距離を高精度に推定し得る無線タグシステムを提供する。
【解決手段】サーバ2の記憶部5のデータベースには、複数の無線タグ60のそれぞれについて無線タグ60から送信される応答信号のRSSI値と当該無線タグ60までの距離との関係を示すタグ特性が予め記憶されている。そして、無線タグリーダ10では、無線タグ処理部30により受信された応答信号のRSSI値とサーバ2のデータベースに記憶されるタグ特性とに基づいて、無線タグ処理部30にて応答信号を受信した無線タグ60までの距離がタグ距離推定処理により推定される。
【選択図】図7

Description

本発明は、無線タグに記憶されている情報を読み取る無線タグリーダを備える無線タグシステムに関するものである。
現在、管理対象となる各物品のそれぞれに無線タグが付され、この無線タグを無線タグリーダにて読み取ることで、各物品の管理状況等を容易に把握でき、各物品の管理の効率化を図っている。このような管理状態では、複数の物品が収納された棚等から、特定の物品をその物品に付された無線タグを利用して探索するといった要求がある。
このような無線タグを利用した探索を可能とする無線タグシステムに関連する技術として、例えば、特許文献1に開示されるRFIDシステムが知られている。このRFIDシステムでは、通信エリア内に目的とするRFタグを含めて複数個のRFタグが存在する場合には、通信エリアが自動で縮小するように変更されると共に、その旨が通知される。そして、通信エリアを狭くした状態で再度読取りを行わせることによって、目的とするRFタグの存在するエリアの絞り込みを行いながら、より狭い範囲内で目的とするRFタグの探索を行う。
特開2009−098951号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示されるRFIDシステムのように通信エリアを徐々に絞っていく方法では無線タグの位置を特定するまでに時間がかかるという問題がある。特に、無線タグを取り付ける対象によってはタグの仕様(例えば、タグのチップやタグのアンテナ形状など)が異なり、このようにタグの仕様が異なると、無線タグから送信される応答信号の受信信号強度(RSSI)も変わってくる。そうすると、受信信号強度(RSSI)を利用して無線タグまでの距離を推定する方法では、タグの仕様によっては無線タグまでの距離推定精度が低下するという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、無線タグまでの距離を高精度に推定し得る無線タグシステムを提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、複数の無線タグ(60)と、前記複数の無線タグと通信可能な無線タグリーダ(10)とを有する無線タグシステム(1)であって、前記複数の無線タグのそれぞれについて前記無線タグから送信される応答信号の受信信号強度と当該無線タグまでの距離との関係を示すタグ特性が予め記憶される記憶手段(5,22,65)を備え、前記無線タグリーダは、前記無線タグから送信される応答信号を受信する受信手段(30)と、前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度と前記記憶手段に記憶される前記タグ特性とに基づいて、前記受信手段にて前記応答信号を受信した前記無線タグまでの距離を推定するタグ距離推定手段(21)と、前記タグ距離推定手段により推定された前記無線タグまでの距離に応じた所定の制御を行う制御手段(21)と、を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
請求項1の発明では、記憶手段には、複数の無線タグのそれぞれについて無線タグから送信される応答信号の受信信号強度と当該無線タグまでの距離との関係を示すタグ特性が予め記憶されている。そして、無線タグリーダでは、受信手段により受信された応答信号の受信信号強度と記憶手段に記憶されるタグ特性とに基づいて、受信手段にて応答信号を受信した無線タグまでの距離がタグ距離推定手段により推定される。
これにより、無線タグから送信される応答信号の受信信号強度(RSSI)がタグの仕様(例えば、タグ変換損失、タグアンテナ利得およびタグ感度等)によって変わる場合でも、対象となる無線タグ(対象タグ)のタグ特性を記憶手段から読み出すことで、無線タグの仕様を考慮して当該無線タグまでの距離を推定することができる。すなわち、無線タグまでの距離を高精度に推定することができる。このため、推定された無線タグまでの距離に応じた所定の制御、例えば、無線タグまでの距離の報知等を高精度に実施でき、効率良く無線タグを探索することができる。
請求項2の発明では、記憶手段に記憶されるタグ特性は、無線タグリーダから所定の送信条件にて電波が送信されることで当該無線タグリーダが無線タグから実際に受信した応答信号の受信信号強度に応じて設定される。これにより、無線タグの仕様だけでなく無線タグリーダの仕様(例えば、アンテナ利得や送信出力等)をも考慮してタグ特性が設定されるので、無線タグまでの距離をより高精度に推定することができる。
請求項3の発明では、無線タグリーダと通信可能なサーバが上記記憶手段を備えているので、タグ特性を有していない無線タグリーダであってもサーバから無線タグのタグ特性を受信することで、当該無線タグまでの距離を高精度に推定することができる。
請求項4の発明では、無線タグリーダが上記記憶手段を備えているので、1度タグ特性を取得した無線タグであれば、その無線タグまでの距離を高精度に推定することができる。
請求項5の発明では、無線タグが上記記憶手段を備えているので、タグ特性を有していない無線タグリーダであっても無線タグとの通信時にその無線タグからタグ特性を受信することで、当該無線タグまでの距離を高精度に推定することができる。
請求項6の発明では、タグ特性は、複数の無線タグのそれぞれが属するタグ種別について1つ設定されるため、無線タグごとに1つずつタグ特性が設定される場合と比較して、タグ特性設定に関する作業を効率化することができる。
請求項7の発明では、タグ種別は、データフォーマットに基づいて区分される。無線タグの用途が異なると無線タグのデータフォーマットも異なることが多い。これに対して、無線タグの用途が似ているとタグ特性が似ておりそのデータフォーマットも共通なものとなりやすい。そこで、共通のデータフォーマットの無線タグ、すなわち、用途が共通と想定される無線タグのタグ特性を共通化するように設定する。これにより、データフォーマットを利用してタグ特性を共通化可能な無線タグを容易に選別できるので、タグ特性設定に関する作業をより効率化することができる。
請求項8の発明では、タグ特性は、無線タグごとに1つずつ設定される。タグ種別が同じ無線タグであっても個々の無線タグで若干特性にばらつきがあるような場合がある。このような場合でも無線タグごとに1つずつタグ特性を設定することで、特性のばらつきを考慮したタグ特性を設定できるので、無線タグまでの距離をより高精度に推定することができる。
請求項9の発明では、タグ距離推定手段により推定された無線タグまでの距離とタグ方向推定手段により推定された無線タグの方向とに応じて制御手段により所定の制御がなされる。このように、無線タグまでの距離だけでなく無線タグの方向までも推定することで、無線タグの位置を推定しやすくなり、上記所定の制御、例えば、無線タグまでの距離の報知等をより高精度に実施でき、効率良く無線タグを探索することができる。
請求項10の発明では、歩数計測手段により計測される歩数と受信信号強度とに基づいて、当該無線タグリーダに対する無線タグの方向がタグ方向推定手段により推定される。同じ1歩でも無線タグに向かって直線的に進んでいる場合と無線タグからずれた方向に進んでいる場合とでは1歩進んだ後に算出される受信信号強度の値が異なる。このため、1歩進んだ後に算出される受信信号強度に基づいて、無線タグリーダに対する無線タグの方向を推定することができる。
請求項11の発明では、指示手段により指示される移動方向と受信信号強度の変化とに基づいて、当該無線タグリーダに対する無線タグの方向がタグ方向推定手段により推定される。
無線タグリーダを立ち止まって把持した状態で指示手段により指示された移動方向に沿うように移動させると、この移動方向に沿う移動中に比較的受信信号強度が大きくなる無線タグリーダの移動範囲部分は、上記移動方向に沿うように移動させた移動範囲中、無線タグに近づいている範囲(以下、単に、タグ接近範囲ともいう)となる。このため、上記移動範囲および上記タグ接近範囲、すなわち、指示手段にて指示される移動方向と受信信号強度の変化とに基づいて、無線タグリーダに対する無線タグの方向を推定することができる。
第1実施形態に係る無線タグシステムの構成概要を示す説明図である。 図1の無線タグリーダの構成概要を示す説明図であり、図2(A)は平面図を示し、図2(B)は側面図を示す。 図3(A)は、図1の無線タグリーダの電気的構成を例示するブロック図であり、図3(B)は、図3(A)の無線タグ処理部を概略的に例示するブロック図であり、図3(C)は、図3(A)の情報コード読取部を概略的に例示するブロック図である。 図1の無線タグの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。 Gセンサの測定方向を説明する説明図である。 図1のサーバの電気的構成を例示するブロック図である。 第1実施形態に係る無線タグリーダの制御部によるタグ特性取得処理の流れを例示するフローチャートである。 無線タグごとに設定されるタグ特性を説明する説明図である。 第1実施形態に係る無線タグリーダの制御部によるタグ探索処理の流れを例示するフローチャートである。 対象タグまでの距離に関する情報を表示した表示状態を示す説明図である。 第3実施形態に係る無線タグリーダの制御部によるタグ探索処理の流れを例示するフローチャートである。 第3実施形態において無線タグリーダに対する対象タグの方向を表示した表示状態を示す説明図であり、図12(A)は、対象タグに対して直進した場合の表示状態を示し、図12(B)は、対象タグに対してずれた方向に進んだ場合の表示状態を示す。 第4実施形態に係る無線タグリーダの制御部によるタグ方向推定処理のサブルーチンの流れを例示するフローチャートである。 水平方向に沿い左右に振らせた無線タグリーダの状態を示す説明図である。 タグ方向推定処理中におけるRSSI値の時間変化を示すグラフである。
[第1実施形態]
以下、本発明に係る無線タグシステムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る無線タグシステム1は、図1に示すように、複数の無線タグ(RFIDタグ)60と、これら各無線タグ60と通信可能な無線タグリーダ10と、無線タグリーダ10と通信可能なサーバ2とを備えている。この無線タグシステム1は、無線タグリーダ10を用いて管理対象となる各物品のそれぞれに付される無線タグ60に記録される情報を読み取って所定のネットワークNを介してサーバ2に送信することで、各物品の保管状況等をサーバ2にて管理するためのシステムである。なお、図1では、便宜上、複数の無線タグ60のうち2つのみ図示している。
まず、無線タグリーダ10の構成について、図面を参照して説明する。
図2(A),(B)に示す無線タグリーダ10は、ユーザによって携帯されて様々な場所で用いられる携帯型の情報端末として構成されており、アンテナを介して送受信される電波を媒介として無線タグ60に記憶されている情報を読み書きする機能に加えて、バーコードや二次元コードなどの情報コードを読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備え、読み取りを二方式で行いうる構成となっている。
図2(A),(B)に示すように、無線タグリーダ10は、ABS樹脂等の合成樹脂材料により形成される上側ケース11aおよび下側ケース11bが組み付けられて構成される長手状の筐体11によって外郭が形成されている。また、上側ケース11aには、所定の情報を入力する際に操作されるファンクションキーおよびテンキー等のキー操作部25や、所定の情報を表示するための表示部24等が配置されている。また、下側ケース11bには、下方に向けて開口する読取口12が形成されている。
図3(A)に示すように、無線タグリーダ10の筐体11内には、無線タグリーダ10全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、メモリ22とともに情報処理装置を構成している。メモリ22には、後述するタグ特性取得処理やタグ探索処理を実行するための所定のプログラム等が制御部21により実行可能に予め格納されている。また、制御部21には、LED23、表示部24、キー操作部25、バイブレータ26、ブザー27、外部インタフェース28などが接続されている。
キー操作部25は、制御部21に対して操作信号を与える構成をなしており、制御部21は、この操作信号を受けて操作信号の内容に応じた動作を行う。また、LED23、表示部24、バイブレータ26およびブザー27は、制御部21によって制御される構成をなしており、それぞれ、制御部21からの指令を受けて動作する。外部インタフェース28は、サーバ2等の外部機器との間で上記ネットワークN等を介してデータ通信を行うためのインタフェースとして構成されており、制御部21と協働して通信処理を行う構成をなしている。また、筐体11内には、電源部29が設けられており、この電源部29やバッテリ29aによって制御部21や各種電気部品に電力が供給されるようになっている。
また、制御部21には、無線タグ処理部30、情報コード読取部40およびGセンサ50が接続されている。
まず、無線タグ処理部30について、図3(B)を用いて説明する。
無線タグ処理部30は、アンテナ34および制御部21と協働して無線タグ60との間で電磁波による通信を行ない、無線タグ60に記憶されるデータの読取り、或いは無線タグ60に対するデータの書込みを行なうように機能するものである。この無線タグ処理部30は、公知の電波方式で伝送を行う回路として構成されており、図3(B)にて概略的に示すように、送信回路31、受信回路32、整合回路33などを有している。
送信回路31は、キャリア発振器、符号化部、増幅器、送信部フィルタ、変調部などによって構成されており、キャリア発振器から所定の周波数のキャリア(搬送波)が出力される構成をなしている。また、符号化部は、制御部21に接続されており、当該制御部21より出力される送信データを符号化して変調部に出力している。変調部は、キャリア発振器からのキャリア(搬送波)、及び符号化部からの送信データが入力される部分であり、キャリア発振器より出力されるキャリア(搬送波)に対し、通信対象へのコマンド送信時に符号化部より出力される符号化された送信符号(変調信号)によってASK(Amplitude Shift Keying)変調された被変調信号を生成し、増幅器に出力している。増幅器は、入力信号(変調部によって変調された被変調信号)を所定のゲインで増幅し、その増幅信号を送信部フィルタに出力しており、送信部フィルタは、増幅器からの増幅信号をフィルタリングした送信信号を、整合回路33を介してアンテナ34に出力している。このようにしてアンテナ34に送信信号が出力されると、その送信信号が送信電波として当該アンテナ34より外部に放射される。
一方、アンテナ34によって受信された応答信号は、整合回路33を介して受信回路32に入力される。この受信回路32は、受信部フィルタ、増幅器、復調部、二値化処理部、複号化部などによって構成されており、アンテナ34を介して受信された応答信号を受信部フィルタによってフィルタリングした後、増幅器によって増幅し、その増幅信号を復調部によって復調する。そして、その復調された信号波形を二値化処理部によって二値化し、復号化部にて復号化した後、その復号化された信号を受信データとして制御部21に出力している。なお、無線タグ処理部30は、「受信手段」の一例に相当し得る。
ここで、無線タグリーダ10の読取対象となる無線タグ60の電気的構成について、図4を参照して説明する。
図4に示すように、無線タグ60は、アンテナ61,電源回路62,復調回路63,制御回路64,メモリ65,変調回路66などによって構成されている。電源回路62は、アンテナ61を介して受信した無線タグリーダ10からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路64をはじめとする各構成要素に供給している。
また、復調回路63は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路64に出力している。メモリ65は、ROM,EEPROM等の各種半導体メモリによって構成されており、制御プログラムや無線タグ60を識別するための識別情報(タグID)、或いは無線タグ60の用途に応じたデータなどが記憶されている。制御回路64は、メモリ65から上記情報やデータを読み出し、それを送信データとして変調回路66に出力する構成をなしており、変調回路66は、応答信号(キャリア信号)を当該送信データで負荷変調してアンテナ61から反射波として送信するように構成されている。
次に、情報コード読取部40について、図3(C)を用いて説明する。
情報コード読取部40は、情報コードを光学的に読み取るように機能するもので、図3(C)に示すように、CCDエリアセンサからなる受光センサ43、結像レンズ42、複数個のLEDやレンズ等から構成される照明部41などを備えた構成をなしており、制御部21と協働して読取対象Rに付された情報コードC(バーコードや二次元コード)を読み取るように機能する。
この情報コード読取部40によって読み取りを行う場合、まず、制御部21によって指令を受けた照明部41から照明光Lfが出射され、この照明光Lfが読取口12を通って読取対象Rに照射される。そして、照明光Lfが情報コードCにて反射した反射光Lrは読取口12を通って装置内に取り込まれ、結像レンズ42を通って受光センサ43に受光される。読取口12と受光センサ43との間に配される結像レンズ42は、情報コードCの像を受光センサ43上に結像させる構成をなしており、受光センサ43はこの情報コードCの像に応じた受光信号を出力する。受光センサ43から出力された受光信号は、画像データとしてメモリ22(図3(A))に記憶され、情報コードCに含まれる情報を取得するためのデコード処理に用いられるようになっている。なお、情報コード読取部40には、受光センサ43からの信号を増幅する増幅回路や、その増幅された信号をデジタル信号に変換するAD変換回路等が設けられているがこれらの回路については図示を省略している。
次に、Gセンサ50について、図5を用いて説明する。
Gセンサ50は、3軸方向の加速度を検出する3軸加速度センサ(3軸モーションセンサ)として機能するものである。Gセンサ50は、図5に示すように、無線タグリーダ10を把持した使用者に対向する対向面13(表示部24やキー操作部25が露出する外面)を基準に、当該無線タグリーダ10の長手方向(図5の上下方向)をx方向、短手方向(図5の左右方向)をy方向、上記対向面13に直交する方向をz方向として、それぞれの方向の加速度を検出し、この検出結果に応じた加速度信号を、制御部21に出力するように構成されている。
このGセンサ50により、3軸方向(x方向,y方向,z方向)の加速度が検出されることで、当該無線タグリーダ10の3軸方向の移動量をそれぞれ算出することができる。なお、Gセンサ50は、携帯機器に対して一般的に搭載される3軸加速度センサであり、例えば、搭載された携帯機器の落下を検知して緊急バックアップを実行するための信号を出力する3軸加速度センサが設けられた装置では、この3軸加速度センサをGセンサ50として流用することができる。
次に、サーバ2の構成について、図6を参照して説明する。
サーバ2は、例えばコンピュータとして構成され、図6に示すように、CPU等からなる制御部3、液晶モニタ等として構成される表示部4、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部5、マウスやキーボード等として構成される操作部6、通信インタフェースとして構成される通信部7などを備えている。記憶部5には、管理対象の物品に関する情報やその物品に付された無線タグ60のID等が関連付けられて記憶されるデータベースが構築されており、制御部3は、通信部7を介して無線タグリーダ10から受信したされたタグ情報等を上記データベースに記憶するように機能する。また、記憶部5のデータベースは、後述するタグ特性に関する情報が制御部3により読み書き可能に構成されている。なお、記憶部5は、「記憶手段」の一例に相当し得る。
次に、無線タグリーダ10を利用して保管場所を確認したい物品に付されている無線タグ60(以下、対象タグ60ともいう)を探索する処理について説明する。
無線タグ60を取り付ける商品によってはタグの仕様(例えば、タグのチップやタグのアンテナ形状など)が異なり、このようにタグの仕様が異なると、無線タグ60から送信される応答信号の受信信号強度(以下、RSSI値ともいう)も変わってくる場合がある。
そこで、本実施形態では、無線タグリーダ10の制御部21にて実施されるタグ特性取得処理により、管理対象の無線タグ60の全てについてタグ特性を予め取得する。その後、対象タグ60を探索する際に、制御部21にて実施されるタグ探索処理により、その対象タグ60のタグ特性を読み出して、この読み出したタグ特性を利用して当該対象タグ60を探索する。ここで、上述したタグ特性は、無線タグリーダ10にて受信した応答信号のRSSI値と当該無線タグ60までの距離とが関連付けられる情報であって、タグの仕様が変わることで異なるものである。なお、本実施形態では、複数の無線タグ60のそれぞれが属するタグ種別が数種類(例えば、タグ種別A、タグ種別Bおよびタグ種別Cの3種類)用意されており、各タグ種別A〜Cについて1つのタグ特性が設定されるものとする。
以下、無線タグリーダ10の制御部21にて実施されるタグ特性取得処理およびタグ探索処理について図面を参照して説明する。まず、タグ特性取得処理について、図7に示すフローチャートを用いて詳述する。
キー操作部25に対して所定の操作がなされることで、制御部21によりタグ特性取得処理が開始されると、図7のステップS101に示すパラメタ設定処理がなされる。この処理は、無線タグリーダ10についてタグ特性を取得する際になされる予め決められたタグ特性取得用の初期設定であって、アンテナ利得等が所定値となるように送信電波の送信出力や周波数等が設定される。なお、上記パラメタ設定処理にて設定される条件は「所定の送信条件」の一例に相当し得る。
次に、ステップS103に示す対象タグ読取処理がなされる。まず、タグ種別Aに属する無線タグ60のうちの1つに対して無線タグリーダ10との距離が所定距離に維持された状態で無線タグ処理部30により送信電波が送信される。これによりその無線タグ60からの応答信号のRSSI値が算出される。
続いて、ステップS105に示す個別タグ特性設定処理がなされる。この処理では、上記対象タグ読取処理にて算出されたRSSI値と上記パラメタ設定処理にて設定された送信電波の送信出力や周波数等とに基づいて、タグ種別Aに関するタグ特性が設定される。なお、本実施形態では、タグ特性は、無線タグ60に対して上記所定距離にて近接させた状態で算出されたRSSI値に基づいて設定されるが、これに限らず、タグ特性の設定精度を向上させるため、例えば、無線タグ60に対して上記所定距離を複数用意してそれぞれの距離でRSSI値を算出し、これら各RSSI値に基づいて設定されてもよい。
上述のようにタグ種別Aに関するタグ特性が設定された段階では他のタグ種別のタグ特性が設定されていないので、ステップS107に示す判定処理にてNoと判定されて、タグ種別Bについて上記ステップS103からの処理がなされる。そして、各タグ種別A〜Cに関するタグ特性が全て設定されることで(S107でYes)、図8に例示するようなタグ特性が取得される。例えば、5種類のタグ種別のタグ特性を取得する場合には、上記ステップS103からの処理が5回繰り返されることとなる。
続いて、ステップS109に示すタグ特性記憶処理がなされる。この処理では、上述のように設定された各タグ種別A〜Cに関するタグ特性が外部インタフェース28を介してサーバ2に送信されることで、サーバ2にて受信されたタグ特性が記憶部5のデータベースに記憶される。これにより、本タグ特性取得処理が終了する。
次に、無線タグリーダ10の制御部21にて実施されるタグ探索処理について、図9に示すフローチャートを用いて詳述する。
キー操作部25に対して所定の操作がなされることで、制御部21によりタグ探索処理が開始されると、図9のステップS201に示す探索対象設定処理がなされ、キー操作部25の操作による入力等に応じて指定された探索対象の無線タグ60(対象タグ60)を特定するためのIDが設定される。次に、ステップS203に示すパラメタ設定処理がなされ、上記ステップS101にて設定された送信電波の送信出力や周波数等と同じ設定がなされる。
続いて、ステップS205に示すタグ特性読出処理がなされる。この処理では、上記ステップS201にて設定された対象タグ60に属するタグ種別のタグ特性がサーバ2の記憶部5のデータベースから読み出される。例えば、対象タグ60がタグ種別Aに属する場合には、タグ種別Aのタグ特性がサーバ2の記憶部5のデータベースから読み出され、外部インタフェース28を介して取得される。
次に、ステップS207に示すタグ読取処理がなされ、無線タグ処理部30によりアンテナ34を介して送信電波を送信することで通信可能な範囲に位置する無線タグ60からの応答信号を受信するための処理がなされる。そして、対象タグ60からの応答信号が受信されると(S209でYes)、その応答信号の受信信号強度がRSSI値として算出される(S211)。なお、周囲の金属などの電波反射によって算出されるRSSI値にノイズが入ることを想定し、RSSI値の算出には、一定時間内に算出されたRSSI値の平均値を用いる。また、対象タグ60からの応答信号が受信されない場合には(S209でNo)、上記ステップS207からの処理が繰り返される。
続いて、ステップS213に示すタグ距離推定処理がなされる。この処理では、上述のように算出されたRSSI値と、上記ステップS205にて読み出されたタグ特性とに基づいて、タグ距離が推定される。例えば、算出されたRSSI値がR1であり、対象タグ60がタグ種別Aに属する場合には、図8に例示するように、タグ距離X1が推定される。なお、上記タグ距離推定処理を実行する制御部21は、「タグ距離推定手段」の一例に相当し得る。
そして、ステップS215に示すタグ距離報知処理がなされる。この処理では、上述のように推定されたタグ距離に関する情報が表示部24に表示されて報知される。本実施形態におけるタグ距離に関する情報の報知は、例えば、図10に例示するように、タグ距離が30cm、1m、2m、3mに相当する複数の同心円を利用してなされる。具体的には、例えば、上記ステップS213にて推定されたタグ距離が1mと2mとの間であれば、図10(A)に例示するように、1mに相当する円と2mに相当する円とにより囲まれる領域S1が強調表示されることで報知される。なお、上記タグ距離報知処理を実行する制御部21は、「制御手段」の一例に相当し得る。
そして、推定されたタグ距離が所定値以上であれば(S217でNo)、探索継続と判断されて、上記ステップS207からの処理がなされる。そして、読取作業者が表示されたタグ距離を利用して対象タグ60に近づくと、上記タグ距離報知処理での報知状態が変化する。例えば、上記ステップS213にて推定されたタグ距離が30cmと1mとの間になると、図10(B)に例示するように、30cmに相当する円と1mに相当する円とにより囲まれる領域S2が強調表示されることで報知される。これにより、読取作業者は、対象タグ60に近づいていることを認識することができる。そして、推定されたタグ距離が所定値未満となるか(S217でYes)、対象タグ60を見つけた読取作業者による操作に応じて本タグ探索処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグシステム1では、サーバ2の記憶部5のデータベースには、複数の無線タグ60のそれぞれについて無線タグ60から送信される応答信号のRSSI値と当該無線タグ60までの距離との関係を示すタグ特性が予め記憶されている。そして、無線タグリーダ10では、無線タグ処理部30により受信された応答信号のRSSI値とサーバ2のデータベースに記憶されるタグ特性とに基づいて、無線タグ処理部30にて応答信号を受信した無線タグ60までの距離がタグ距離推定処理(S213)により推定される。
これにより、無線タグ60から送信される応答信号のRSSI値がタグの仕様(例えば、タグ変換損失、タグアンテナ利得およびタグ感度等)によって変わる場合でも、対象となる無線タグ(対象タグ)60のタグ特性をサーバ2のデータベースから読み出すことで、対象タグ60の仕様を考慮して当該対象タグ60までの距離を推定することができる。すなわち、対象タグ60までの距離を高精度に推定することができる。このため、推定された対象タグ60までの距離に応じた所定の制御、本実施形態では、対象タグ60までの距離の報知等を高精度に実施でき、効率良く対象タグ(無線タグ)60を探索することができる。
さらに、サーバ2のデータベースに記憶されるタグ特性は、無線タグリーダ10から所定の送信条件にて電波が送信されることで(S101)、当該無線タグリーダ10が無線タグ60から実際に受信した応答信号のRSSI値に応じて設定される(S105)。これにより、対象タグ60の仕様だけでなく無線タグリーダ10の仕様(例えば、アンテナ利得や送信出力等)をも考慮してタグ特性が設定されるので、対象タグ60までの距離をより高精度に推定することができる。
特に、無線タグリーダ10と通信可能なサーバ2の記憶部5のデータベースにタグ特性が記憶されているので、タグ特性を有していない無線タグリーダ10であってもサーバ2から対象タグ60のタグ特性を受信することで、当該対象タグ60までの距離を高精度に推定することができる。
また、タグ特性は、複数の無線タグ60のそれぞれが属するタグ種別について1つ設定されるため、無線タグ60ごとに1つずつタグ特性が設定される場合と比較して、タグ特性設定に関する作業を効率化することができる。
なお、タグ種別としては、例えば、データフォーマットに基づいた区分を採用することができる。無線タグ60の用途が異なると無線タグ60のデータフォーマットも異なることが多い。これに対して、無線タグ60の用途が似ているとタグ特性が似ておりそのデータフォーマットも共通なものとなりやすい。そこで、共通のデータフォーマットの無線タグ60、すなわち、用途が共通と想定される無線タグ60のタグ特性を共通化するように設定する。これにより、データフォーマットを利用してタグ特性を共通化可能な無線タグ60を容易に選別できるので、タグ特性設定に関する作業をより効率化することができる。
なお、本発明に係る無線タグシステム1が採用される使用環境によっては、タグ特性は、無線タグ60ごとに1つずつ設定されてもよい。タグ種別が同じ無線タグ60であっても個々の無線タグ60で若干特性にばらつきがあるような場合がある。このような場合でも無線タグ60ごとに1つずつタグ特性を設定することで、特性のばらつきを考慮したタグ特性を設定できるので、無線タグ60までの距離をより高精度に推定することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る無線タグシステムについて、説明する。
本第2実施形態に係る無線タグシステム1は、上述したサーバ2を備えておらず、複数の無線タグ60と無線タグリーダ10とを備えるように構成されている。そして、上記タグ特性取得処理のステップS109に示すタグ特性記憶処理では、ステップS105に示す個別タグ特性設定処理にて設定されたタグ特性がサーバ2に送信されることなく、無線タグリーダ10自身のメモリ22に記憶される。そして、上記タグ探索処理のステップS205に示すタグ特性読出処理では、上記ステップS201にて設定された対象タグ60に属するタグ種別のタグ特性がメモリ22から読み出される。
このように、本実施形態では、無線タグリーダ10のメモリ22にタグ特性が記憶されているので、1度タグ特性を取得した無線タグ60であれば、その無線タグ60までの距離を高精度に推定することができる。特に、サーバ2等の外部装置と通信できないような環境であってもタグ特性を読み出せるので、本実施形態に係る無線タグシステム1の利便性を向上させることができる。なお、本実施形態において、メモリ22は、「記憶手段」の一例に相当し得る。
なお、本実施形態の変形例として、タグ特性は、無線タグリーダ10のメモリ22に記憶されることに限らず、その無線タグ60自身のメモリ65に記憶されてもよい。すなわち、上記タグ特性取得処理のステップS109に示すタグ特性記憶処理では、ステップS105に示す個別タグ特性設定処理にて設定されたタグ特性を都度その無線タグ60自身のメモリ65に書き込む。この場合には、ステップS107の判定処理が廃止される。そして、上記タグ探索処理では、ステップS205に示すタグ特性読出処理が廃止され、ステップS207に示すタグ読取処理にてその対象タグ60のメモリ65からタグ特性が読み出される。
このようにしても、その無線タグ60までの距離を高精度に推定することができる。特に、無線タグ60のメモリ65にタグ特性が記憶されているので、タグ特性を有していない無線タグリーダ10であっても無線タグ60との通信時にその無線タグ60からタグ特性を受信することで、当該無線タグ60までの距離を高精度に推定することができる。なお、本実施形態において、メモリ65は、「記憶手段」の一例に相当し得る。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る無線タグシステムについて、図11および図12を参照して説明する。
本第3実施形態に係る無線タグシステム1は、無線タグリーダ10にて実施されるタグ探索処理において、タグ距離だけでなく無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向をも推定する点が、上記第1実施形態に係る無線タグシステムと異なる。したがって、第1実施形態の無線タグシステムと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
本実施形態に係る無線タグリーダ10は、Gセンサ50を、当該無線タグリーダ10を携帯する読取作業者(所有者)の歩数を計測する歩数計測手段として利用する。そして、Gセンサ50により計測される歩数と、RSSI値とに基づいて、当該無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向が推定される。
同じ1歩でも対象タグ60に向かって直線的に進んでいる場合と、対象タグ60からずれた方向に進んでいる場合とでは、1歩進んだ後に算出されるRSSI値の値が異なる。このため、本実施形態では、1歩進んだ後に算出されるRSSI値に基づいて、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向を推定する。また、Gセンサ50は、その検出結果を累積した移動履歴から読取作業者の進行方向を検出することができる。
以下、本実施形態におけるタグ探索処理について、図11に示すフローチャートを用いて詳述する。
上記第1実施形態と同様にタグ特性が読み出されてタグ距離が推定されると、図12のステップS214に示すタグ方向推定処理がなされる。この処理では、Gセンサ50の計測結果を利用して1歩進んだ後に算出されるRSSI値に基づいて対象タグ60の方向を推定する。具体的には、1歩進んだ距離を例えば80cmと設定し、1歩進んだ後に算出されるRSSI値が前回算出されたRSSI値に対して距離にして80cm大きくなっている場合には、その進行方向が対象タグ60の方向であると推定される。また、例えば、1歩進んだ後に算出されるRSSI値が前回算出されたRSSI値に対して距離にして40cm大きくなっている場合には、その進行方向に対する左右45度の二方向のいずれかが対象タグ60の方向であると推定される。なお、上記タグ方向推定処理を実行する制御部21は、「タグ方向推定手段」の一例に相当し得る。
上述のようにタグ方向が推定されると、ステップS215aに示すタグ位置報知処理がなされる。この処理では、タグ距離とタグ方向との双方が同時に表示部24に表示されることで、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の相対位置が報知される。具体的には、例えば、上記ステップS213にて推定されたタグ距離が1mと2mとの間であり、進行方向とタグ方向とがほぼ一致する場合には、図12(A)に例示するように、1mに相当する円と2mに相当する円とにより囲まれる領域であってその進行方向に相当する領域S3が強調表示されることで報知される。
また、上記ステップS213にて推定されたタグ距離が1mと2mとの間であり、その進行方向に対する左右45度の二方向のいずれかが対象タグ60の方向であると推定される場合には、図12(B)に例示するように、1mに相当する円と2mに相当する円とにより囲まれる領域であって左右45度の二方向に相当する領域S2がそれぞれ強調表示されることで報知される。この場合には、報知される二方向のうちいずれかの方向に対象タグ60が存在するため、報知される二方向のうち対象タグ60が存在する方向に進むと図12(A)のように一方向表示され、報知される二方向のうち対象タグ60が存在しない方向に進むと表示される二方向の角度が大きくなるので、いずれの方向に対象タグ60が存在するかを容易に把握することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグリーダ10では、タグ距離推定処理(S213)により推定された対象タグ60までの距離とタグ方向推定処理(S214)により推定された対象タグ60の方向とに応じて、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の相対位置が報知される。このように、対象タグ60までの距離だけでなく対象タグ60の方向までも推定することで、対象タグ60の位置を推定しやすくなり、効率良く対象タグ60を探索することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る無線タグシステムについて、図13〜図15を参照して説明する。
本第4実施形態に係る無線タグシステム1は、無線タグリーダ10を把持した状態で所定の方向に振らせるための指示とその際のRSSI値の変化とに基づいて無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向を推定する点が、上記第3実施形態に係る無線タグシステムと異なる。したがって、第3実施形態の無線タグシステムと実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
無線タグリーダ10を立ち止まって把持した状態で、例えば読取作業者を中心にして左右に振るように移動させると、無線タグリーダ10と対象タグ60との距離が変わることから、算出されるRSSI値が変化する。このため、無線タグリーダ10を立ち止まって把持した状態で指示された移動方向(振り方向)に沿うように移動させると、対象タグ60との距離に応じてRSSI値が変化する。この移動方向(振り方向)に沿う移動中にRSSI値が大きくなる無線タグリーダ10の移動範囲部分は、上記移動方向に沿うように移動させた移動範囲中、対象タグ60に近づいているタグ接近範囲となる。このため、上記移動範囲および上記タグ接近範囲、すなわち、指示される移動方向とRSSI値の変化とに基づいて、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向を推定することができる。
このため、本実施形態では、上記ステップS214に示すタグ方向推定処理を、図13に示すサブルーチンに基づいて実施する。以下、上記タグ方向推定処理のサブルーチンについて、図13に示すフローチャートを用いて詳述する。
まず、図13のステップS301に示す振り方向指示処理がなされる。この処理では、無線タグリーダ10を把持した状態で水平方向に沿い左右に振らせるための指示が表示部24に表示される。本実施形態では、最初に振らせる方向が予め決められており、例えば、図14(A)における表示部24の表示状態からわかるように、読取作業者から見て左方向に無線タグリーダ10を振らせるように振り方向が表示部24に表示される。
上述のように振り方向が表示部24に表示されると、ステップS303に示すタグ読取処理にて、上記ステップS207に示すタグ読取処理と同様の処理がなされる。そして、対象タグ60からの応答信号が受信されることから(S305でYes)、その応答信号のRSSI値が上記ステップS211に示す処理と同様の処理にて算出される(S307)。
そして、このように算出されるRSSI値と前回算出されたRSSI値とを比較することで、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向を推定する。ここで、読取作業者から見て左方向に無線タグリーダ10を振らせている場合にその方向に対象タグ60があると、無線タグリーダ10を左方向に振ることで無線タグリーダ10と対象タグ60との距離が近づくので、今回算出されたRSSI値が前回算出されたRSSI値よりも大きくなる。一方、振らせた方向と逆方向(右方向)に対象タグ60があると、無線タグリーダ10を左方向に振ることで無線タグリーダ10と対象タグ60との距離が離れるので、今回算出されたRSSI値は前回算出されたRSSI値よりも小さくなる。すなわち、無線タグリーダ10の振り方向とRSSI値の変化とから対象タグ60の方向を推定することができる。
このため、読取作業者が左方向に向けて(図14(A)の状態から図14(B)の状態に向けて)、無線タグリーダ10を振っていると、RSSI値が前回のRSSI値(図15の時刻t0参照)より小さくなる(S309でNo:図15の時刻t1参照)。この場合には、対象タグ60がある方向と逆方向に無線タグリーダ10が振られているとして、ステップS311に示す振り方向指示変更処理がなされ、振らせた方向と逆方向(右方向)に振らせるための振り方向が表示部24に表示される(図14(B)参照)。
続いて、ステップS315に示す判定処理にて、RSSI値が最大RSSI値以上であるか否かについて判定される。本タグ方向推定処理が開始される際に最大RSSI値がクリアされており、ステップS315にてYesと判定されて、最大RSSI値がRSSI値に等しくなるように設定(更新)される(S317)。
そして、再び上記ステップS303からの処理がなされ、表示部24に表示された逆方向(右方向)の振り方向を見た読取作業者がその方向に無線タグリーダ10を振ることで、RSSI値が前回算出されたRSSI値よりも大きくなる(S309でYes)。この場合には、対象タグ60がある方向に無線タグリーダ10が振られているとして、ステップS313に示す振り方向指示維持処理がなされ、表示部24において現時点での振り方向の表示が維持される。なお、上記ステップS311,S313における表示部24は、「指示手段」の一例に相当し得る。
そして、RSSI値が最大RSSI値以上であるとして(S315でYes)、最大RSSI値がRSSI値に等しくなるように更新される処理(S317)が繰り返される。
この最大RSSI値の更新処理は、読取作業者により振られた無線タグリーダ10が対象タグ60に対して最も近づく位置(以下、最接近振り位置ともいう:図14(C)参照)、すなわち、振られた無線タグリーダ10が対象タグ60の方向に向くまで繰り返される。その際、図11の時刻t1から時刻t2に示すように、最大RSSI値は徐々に大きくなるように更新される。
その後、読取作業者により振られている無線タグリーダ10が上記最接近振り位置を超えて振られると、RSSI値が最大RSSI値未満となる(S315でNo)。この場合には、ステップS319に示す判定処理にて、RSSI値と最大RSSI値との差が所定の閾値Rt以上であるか否かについて判定される。ここで、閾値Rtは、読取作業者が無線タグリーダ10を左右に振るときの移動距離に応じて設定されている。
読取作業者により振られている無線タグリーダ10が上記最接近振り位置を超えて振られる場合では、最大RSSI値が更新されることなくRSSI値が徐々に低下し(図15の時刻t2から時刻t3参照)。このため、RSSI値と最大RSSI値との差が閾値Rt以上となるまでステップS319にてNoと判定されて、上記ステップS303からの処理がなされる。
そして、上記最接近振り位置を通り過ぎて閾値Rtに相当する距離を超えて無線タグリーダ10が振られることで(図14(D)参照)、RSSI値と最大RSSI値との差が閾値Rt以上になると(S319でYes:図15の時刻t3参照)、ステップS321に示す推定処理がなされる。この処理では、RSSI値と最大RSSI値との差が閾値Rt以上になったときの時刻および最大RSSI値が最大となっているときの時刻とから上記タグ接近範囲を推定し、このタグ接近範囲と想定される左右の振り範囲(移動範囲)とから水平方向における対象タグ60の方向が推定される。
以上説明したように、本実施形態に係る無線タグリーダ10では、振り方向指示変更処理(S311)または振り方向指示維持処理(S313)にて指示される振り方向(移動方向)とRSSI値の変化とに基づいて対象タグ60の方向が推定される。
これにより、振り方向指示変更処理または振り方向指示維持処理にて指示される振り方向とRSSI値の変化とに基づいて、無線タグリーダ10に対する対象タグ60の方向を推定することができる。このように推定された対象タグ60の方向と対象タグ60までの距離とが上記報知処理により報知されることで、対象タグ60を効率的に探索することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)上述したステップS215に示すタグ距離報知処理では、対象タグ60までの距離に関する情報が図10に例示するように複数の同心円を利用するように表示されて報知されることに限らず、具体的な数値など、対象タグ60まで近づいていることを示す情報が表示部24に表示されて報知されてもよい。また、他の報知手段として、例えば、対象タグ60までの距離に応じてビープ音の発音間隔や音量等を変更することで対象タグ60までの距離を報知してもよいし、対象タグ60までの距離に応じてLEDの発光タイミング等を変更することで対象タグ60までの距離を報知してもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
(2)上述したステップS215aに示すタグ位置報知処理では、対象タグ60までの距離や方向に関する情報が図12に例示するように複数の同心円を利用するように表示されて報知されることに限らず、具体的な数値など、対象タグ60の方向を示す情報が表示部24に表示されて報知されてもよい。また、他の報知手段として、例えば、対象タグ60の方向に応じてビープ音の発音間隔や音量等を変更することで対象タグ60の方向を報知してもよいし、対象タグ60の方向に応じてLEDの発光タイミング等を変更することで対象タグ60の方向を報知してもよい。また、複数の報知手段を組み合わせてもよい。
(3)本発明に係る無線タグリーダ10は、無線タグ60を読み書きする機能に加えて情報コードを光学的に読み取る情報コードリーダとしての機能を兼ね備える携帯型の端末として構成されることに限らず、無線タグリーダとしての機能のみを有する携帯型の端末として構成されてもよいし、さらに他の機能を有する携帯型の端末として構成されてもよい。
1…無線タグシステム
2…サーバ
5…記憶部(記憶手段)
10…無線タグリーダ
21…制御部(タグ距離推定手段,制御手段,タグ方向推定手段)
22…メモリ(記憶手段)
24…表示部(指示手段)
30…無線タグ処理部(受信手段)
50…Gセンサ(歩数計測手段)
60…無線タグ
65…メモリ(記憶手段)

Claims (11)

  1. 複数の無線タグと、
    前記複数の無線タグと通信可能な無線タグリーダとを有する無線タグシステムであって、
    前記複数の無線タグのそれぞれについて前記無線タグから送信される応答信号の受信信号強度と当該無線タグまでの距離との関係を示すタグ特性が予め記憶される記憶手段を備え、
    前記無線タグリーダは、
    前記無線タグから送信される応答信号を受信する受信手段と、
    前記受信手段により受信された前記応答信号の受信信号強度と前記記憶手段に記憶される前記タグ特性とに基づいて、前記受信手段にて前記応答信号を受信した前記無線タグまでの距離を推定するタグ距離推定手段と、
    前記タグ距離推定手段により推定された前記無線タグまでの距離に応じた所定の制御を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とする無線タグシステム。
  2. 前記記憶手段に記憶される前記タグ特性は、前記無線タグリーダから所定の送信条件にて電波が送信されることで当該無線タグリーダが前記無線タグから実際に受信した応答信号の受信信号強度に応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の無線タグシステム。
  3. 前記無線タグリーダと通信可能であって、前記記憶手段を有するサーバを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグシステム。
  4. 前記無線タグリーダは、前記記憶手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグシステム。
  5. 前記無線タグは、前記記憶手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の無線タグシステム。
  6. 前記タグ特性は、前記複数の無線タグのそれぞれが属するタグ種別について1つ設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線タグシステム。
  7. 前記タグ種別は、データフォーマットに基づいて区分されることを特徴とする請求項6に記載の無線タグシステム。
  8. 前記タグ特性は、前記無線タグごとに1つずつ設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の無線タグシステム。
  9. 前記無線タグリーダは、当該無線タグリーダに対する前記無線タグの方向を推定するタグ方向推定手段を備え、
    前記制御手段は、前記タグ距離推定手段により推定された前記無線タグまでの距離と前記タグ方向推定手段により推定された前記無線タグの方向とに応じて前記所定の制御を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の無線タグシステム。
  10. 前記無線タグリーダは、当該無線タグリーダを携帯する所有者の歩数を計測する歩数計測手段を備え、
    前記タグ方向推定手段は、前記歩数計測手段により計測される前記歩数と前記受信信号強度とに基づいて当該無線タグリーダに対する前記無線タグの方向を推定することを特徴とする請求項9に記載の無線タグシステム。
  11. 前記無線タグリーダは、当該無線タグリーダを立ち止まって把持した状態で所定の方向に移動させる移動方向を指示する指示手段を備え、
    前記タグ方向推定手段は、前記指示手段により指示される前記移動方向と前記受信信号強度の変化とに基づいて当該無線タグリーダに対する前記無線タグの方向を推定することを特徴とする請求項9に記載の無線タグシステム。
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