JP6438658B2 - ウレイド基を有する化合物の製造方法 - Google Patents

ウレイド基を有する化合物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ウレイド基を有する化合物の製造方法に関する。
ウレイド基を有する化合物は、下記一般式(3)で表される化合物であり、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等に用いられるイソシアネートの中間原料として有用である。
Figure 0006438658

(式中、Rは有機基を示し、nは1以上の整数を示す。)
ウレイド基を有する化合物を用いてウレタン化反応及び熱分解反応を行うことで、イソシアネートを得ることができる。
ウレイド基を有する化合物の製造方法として、例えば特許文献1には、有機第1級アミンと尿素によるウレイド化反応において、芳香族ヒドロキシ化合物を溶媒として使用することでウレイド基を有する化合物を得る方法が開示されている。
特開2012−136481号公報
特許文献1に開示されているウレイド化反応は、槽型反応器によるものである。槽型反応器は一般に、大量製造時において熱伝導率が低く、昇温時間も含めた反応時間が長時間となりやすい。反応時間が長時間となる場合、副生物が生成する可能性が高まる。ウレイド化反応における有機第1級アミンと尿素とが反応する温度条件下では、尿素、及び生成物であるウレイド基を有する化合物が熱に対して不安定であるため、短時間で素早く反応を行うほうが副生物が少なく、収率良く目的のウレイド基を有する化合物が得られる。
ここで、副生物とは、例えば下記式(4)で表される尿素の二量体であるビウレット、下記式(5)で表される尿素三量体であるトリウレット、下記式(6)で表されるシアヌル酸、下記式(7)で表される尿素結合を有する化合物、下記式(8)で表されるビウレット結合を有する化合物、及び、下記式(9)で表されるビウレット基を有する化合物である。
Figure 0006438658

(各式中、Rは有機基を示す。)
槽型反応器では、尿素の熱分解によって生じる沸点の低いアンモニアが反応系である液相中から除去されていくため、反応系中のアンモニア濃度が低くなり、上記式(4)で表されるビウレットや上記式(5)で表されるトリウレットが副生する。また、反応生成物であるウレイド基を有する化合物は、尿素存在下では安定に存在できるが、尿素がなくなると、ウレイド末端同士が縮合して、上記式(7)で表される尿素結合を有する化合物、上記式(8)で表されるビウレット結合を有する化合物、及び上記式(9)で表されるビウレット基を有する化合物が副生する。
なお、上記副生物については、説明を簡便にするため、1つの官能基(ここでは、アミノ基、ウレイド基)を有する化合物について記述しているが、2つ以上の複数の官能基を有する化合物についても、同様の副生物が生じ得る。
これらの副反応により生成する化合物は、所望の目的物であるウレイド基を有する化合物の収率を低下させるばかりか、その後に該ウレイド基を有する化合物を用いて行うイソシアネートの製造工程(ウレイド基を有する化合物から、イソシアネートの前駆体であるウレタンを製造する工程や、該ウレタンの熱分解によりイソシアネートを製造する工程)における収率を低下させ、更には、副生物や副生物由来の分解物により、該イソシアネートが使用されるポリウレタンフォーム、塗料、接着剤等の性能低下を招く場合がある。
そこで本発明は、イソシアネートを製造する際の中間体として有用な化合物であるウレイド基を有する化合物を、短時間で、従来の製造方法でみられた副生物の生成を抑制しつつ、高収率かつ高純度で得られる、ウレイド基を有する化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題に対し検討を重ねた結果、原料である有機第1級アミンと尿素とを、中空内部の熱伝導面の面積が1〜100cm/cmである流路内で反応させることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の製造方法を提供するものである。
[1]有機第1級アミンと尿素とを反応させてウレイド基を有する化合物を製造する方法であって、有機第1級アミンと尿素と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む溶液を、中空内部の熱伝導面の面積が1〜100cm/cmである流路に30℃以上の温度で流通させる反応工程を有する、ウレイド基を有する化合物の製造方法。
[2]反応工程の後に、流路から排出された反応混合物を気相部と液相部とに分離する分離工程を有し、反応工程から分離工程への反応混合物の流通時に、反応混合物が圧力制御機構を通過する、[1]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[3]圧力制御機構が、保圧弁又は逆止弁である、[2]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[4]反応工程後に、流路から排出された反応混合物を冷却する冷却工程を有する、[1]〜[3]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[5]有機第1級アミンは、下記一般式(1)で表される化合物である、[1]〜[4]いずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
Figure 0006438658

(式中、Rは炭素数1〜35の有機基を示し、aは1〜10の整数を示す。)
[6]aは、2である、[5]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[7]有機基は、酸素原子を含む、[5]又は[6]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[8]芳香族ヒドロキシ化合物は、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]〜[7]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
Figure 0006438658

(式中、Aは芳香環を有する炭素数6〜50の有機基を示し、bは1〜3の整数を示す。)
[9]bは、1又は2である、[8]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[10]芳香環は、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上の環である、[8]又は[9]に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[11]芳香環の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の基で置換されている、[8]〜[10]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[12]液相でウレイド化反応をさせる[1]〜[11]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[13]有機第1級アミンのアミノ基に対する尿素の化学量論比が1より大きい、[1]〜[12]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[14]反応工程において、流路に流通させる溶液の温度が、180〜220℃である、[1]〜[13]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
[15]反応工程において、流路に流通させる溶液の流量が、0.1〜1000g/minである、[1]〜[14]のいずれか1つに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
本発明によれば、イソシアネートを製造する際の中間体として有用な化合物であるウレイド基を有する化合物を、短時間で、従来の製造方法でみられた副生物の生成を抑制しつつ、高収率かつ高純度で得られる、ウレイド基を有する化合物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
<原料、溶液、及び生成物>
(有機第1級アミン)
有機第1級アミンとは、有機第1級アミノ基(窒素原子上に2つの水素原子を有するアミノ基)を1つ以上有する化合物のことである。本実施形態において、有機第1級アミンは、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006438658

(式中、Rは炭素数1〜35の有機基を示し、aは1〜10の整数を示す。)
一般式(1)において、aは、好ましくは2〜10の整数であり、より好ましくは2である。
一般式(1)において、Rは、好ましくは、炭素原子、酸素原子及び水素原子からなる有機基であり、活性水素を有しない有機基である。ここでいう「活性水素」とは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、又は珪素原子と結合している水素原子、及び、末端メチン基の水素原子を指す。例えば、−OH基、−C(=O)OH基、−C(=O)H基、−SH基、−SOH基、−SOH基、−SOH基、−NH基、−NH−基、−SiH基、−C≡CH基等の原子団に含まれる水素原子である。
は、特に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。また、一般式(1)において、Rの炭素数は、好ましくは1〜25、より好ましくは1〜13である。
としては、以下に示す構造のうち、任意の位置でa個のアミノ基で置換される数の水素原子が除かれた基が挙げられ、該構造の具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の直鎖脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビス(シクロヘキシル)等の無置換の脂環式炭化水素;メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン(各異性体)、エチルシクロヘキサン(各異性体)、プロピルシクロヘキサン(各異性体)、ブチルシクロヘキサン(各異性体)、ペンチルシクロヘキサン(各異性体)、ヘキシルシクロヘキサン(各異性体)等のモノアルキル置換された脂環式炭化水素;ジメチルシクロヘキサン(各異性体)、ジエチルシクロヘキサン(各異性体)、ジブチルシクロヘキサン(各異性体)等のジアルキル置換された脂環式炭化水素;1,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,5,5−トリエチルシクロヘキサン、1,5,5−トリプロピルシクロヘキサン(各異性体)、1,5,5−トリブチルシクロヘキサン(各異性体)等のトリアルキル置換された脂環式炭化水素;ベンゼン、ナフタレン等の無置換の芳香族炭化水素;トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン等のモノアルキル置換された芳香族炭化水素;キシレン、ジエチルベンゼン、ジプロピルベンゼン等のジアルキル置換された芳香族炭化水素;ジフェニルアルカン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。中でも、ヘキサン、ベンゼン、ジフェニルメタン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、メチルシクロヘキサン、イソホロン及びジシクロヘキシルメタンに由来する基が好ましい。
有機第1級アミンとしては、例えば、ジフェニルメタンジアミン(各異性体)、トリレンジアミン(各異性体)、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ナフタレンジアミン(各異性体)、テトラメチルキシレンジアミン(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジアミン(各異性体)、キシレンジアミン(各異性体)、メチレンビス(ジイソアミル−フェニレン)ジアミン(各異性体)、オキシビス(フェニレンジアミン)(各異性体)、チオビス(フェニレンジアミン)(各異性体)、カルボニルビス(フェニレン)ジアミン(各異性体)、ブテンジアミン(各異性体)、ブチニレンジアミン、ヘキサフルオロプロピレンジアミン(各異性体)等が挙げられる。
(尿素)
本実施形態で使用される尿素は特に限定されず、工業的に入手可能なものを使用することができる。尿素は、下記式(10)で表される化合物である。
Figure 0006438658
該尿素には、尿素結合を有する下記式(4)で表されるビウレット、下記式(5)で表されるトリウレット、又は、下記式(6)で表されるシアヌル酸が含まれていてもよい。しかし、一般的にビウレット、トリウレット及びシアヌル酸は溶媒に対する溶解性が低い。反応液は後述する流路を流通するときは、閉塞を考慮して均一溶液であることが好ましい。従って、後述する芳香族ヒドロキシ化合物への溶解性を考慮すると、好ましくは尿素である。尿素の形状は、特に限定されず、例えば、粉体状でも顆粒状でも使用できる。
Figure 0006438658
(芳香族ヒドロキシ化合物)
芳香族ヒドロキシ化合物は、芳香族性ヒドロキシ基及び芳香環をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物を指す。本実施形態において、芳香族ヒドロキシ化合物は、下記一般式(2)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である。
Figure 0006438658

(式中、Aは芳香環を有する炭素数6〜50の有機基を示し、bは1〜3の整数を示す。)
一般式(2)中、bは芳香族性ヒドロキシ基の数を表し、1〜3の整数を示す。芳香族性ヒドロキシ基とは、ヒドロキシ基(OH)のうち、芳香環に結合しているヒドロキシ基を意味する。Aは環構造を有していることを意味し、A全体として、炭素数6〜50の炭素原子を含む有機基であって、該有機基は、芳香環を含有する。また、Aは任意の位置でb個のヒドロキシ基で置換された芳香環を含有する。芳香環は、単環でも多環でも複素環であってもよく、環の水素原子が芳香族性ヒドロキシ基以外の他の基によって置換されていてもよい。
他の基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。なお、これらの基に含まれる炭素原子は、上記「炭素数6〜50」に含まれるものとする。
一般式(2)において、Aの炭素数は、好ましくは6〜33、より好ましくは6〜24である。
一般式(2)において、芳香環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタレン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ビフェニレン環、アセナフチレン環、アセアントリレン環、アセフェナントリレン環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
一般式(2)において、工業的製造の観点から、bは、好ましくは1又は2であり、より好ましくは1である。bが1である芳香族ヒドロキシ化合物は一般に低粘度である。
芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、メチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、ヘプチルフェノール(各異性体)、オクチルフェノール(各異性体)、ノニルフェノール(各異性体)、デシルフェノール(各異性体)、ウンデシルフェノール(各異性体)、ドデシルフェノール(各異性体)、ジメチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、ジプロピルフェノール(各異性体)ジブチルフェノール(各異性体)、ジペンチルフェノール(各異性体)、ジヘキシルフェノール(各異性体)、ジヘプチルフェノール(各異性体)、ジオクチルフェノール(各異性体)、ジブチルメチルフェノール(各異性体)、ジメチルメトキシフェノール(各異性体)、ナフトール(各異性体)、フェニルフェノール(各異性体)、フェノキシフェノール(各異性体)、クミルフェノール(各異性体)、ジクミルフェノール(各異性体)等が挙げられる。
(溶液)
流路に導入し流通させる溶液は、上記有機第1級アミンと尿素と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む。ここで、ウレイド基を有する化合物の製造においては、芳香族ヒドロキシ化合物は溶媒として働く。
反応速度を高めて反応を早期に完結させるためには、尿素は、有機第1級アミンのアミノ基に対して過剰量で用いることが好ましいが、あまりに過剰な尿素を使用すると反応器が大きくなりすぎるし、副生物抑制の観点からも好ましくない。従って、尿素の使用量は、有機第1級アミンのアミノ基に対して、化学量論比で好ましくは1より大きく、より好ましくは1〜1000倍の範囲、さらに好ましくは1〜100倍の範囲、特に好ましくは1.2〜30倍の範囲である。
芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は、有機第1級アミンのアミノ基に対して、化学量論比で、好ましくは1〜500倍の範囲である。式(4)〜(7)の化合物を生成する副反応を抑制するためには、芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は有機第1級アミンのアミノ基に対して過剰量で用いることが好ましいが、あまりに過剰な芳香族ヒドロキシ化合物を使用すれば反応器が大きくなりすぎてしまう。従って、芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は、有機第1級アミンのアミノ基に対して、化学量論比で、より好ましくは1〜100倍の範囲、さらに好ましくは1〜30倍の範囲である。
反応の手順としては、副生物抑制の観点から、液相中の尿素のモル数が該有機第1級アミンを構成するアミノ基のモル数よりも大きい量比となるような添加方法を用いることが好ましい。
有機第1級アミンと尿素とを反応させる上で、特に、有機第1級アミン、尿素、及び芳香族ヒドロキシ化合物の添加方法は限定されるものではなく、芳香族ヒドロキシ化合物と尿素との溶液の流通路に、有機第1級アミン単独、又は、芳香族ヒドロキシ化合物と有機第1級アミンとの混合溶液を添加する方法でもよく、芳香族ヒドロキシ化合物と有機第1級アミンの溶液の流通路に、尿素単独、又は、芳香族ヒドロキシ化合物と尿素との混合液を添加する方法でもよい。さらに、芳香族ヒドロキシ化合物と尿素と有機第1級アミンとを全て一度に混合した溶液であってもよい。ただし、混合物は、流通路での詰まりを考慮して、均一溶液であることが好ましい。
本実施形態の製造方法においては、触媒を使用する必要はないが、ウレイド化反応を短時間で完結させる、反応温度を低くする等の観点で、触媒を使用することもできる。一般的な化学反応において、芳香族アミンは脂肪族アミンに比べて反応性が低いので、有機第1級アミンとして芳香族アミンを使用する場合には、ウレイド化反応を行う上でも、触媒の使用が有効な場合がある。触媒を使用する場合には、例えば、スズ、鉛、銅、チタン等を含む有機金属化合物や無機金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコラートであって、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒等を使用することができる。
本実施形態の製造方法において、芳香族ヒドロキシ化合物に加えて他の反応溶媒を使用してもよく、使用する場合には、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒を使用してもよい。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)等のアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。
(ウレイド基を有する化合物)
本実施形態の製造方法により製造される、ウレイド基を有する化合物とは、IUPACで定められたNomenclature規則C−971で定められる「ウレイド基」を有する化合物であり、ウレイド基とは、−NHC(=O)−NHで表される基である。
本実施形態において、ウレイド基を有する化合物は、下記一般式(11)で表される化合物である。
Figure 0006438658

(式中、Rは上記一般式(1)において定義した基を示し、cは1〜10の整数を示す。)
一般式(11)において、Rは、有機第1級アミンに由来する基である。
一般式(11)において、cは1〜10の整数を示すが、使用する有機第1級アミンにおけるaを超えない整数である。すなわち、有機第1級アミンのアミノ基のうち、c個のアミノ基がウレイド基に変換されている場合、理論上、a−c個のアミノ基は、ウレイド基を有する化合物において、未反応のアミノ基として存在していると考えられる。
本実施形態の製造方法により得られるウレイド基を有する化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジフェニルメタンジウレア(各異性体)、トリレンジウレア(各異性体)、ヘキサメチレンジウレア、ヘキサデカメチレンジウレア、イソホロンジウレア、ナフタレンジウレア(各異性体)、テトラメチルキシレンジウレア(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジウレア(各異性体)、キシレンジウレア(各異性体)、メチレンビス(ジイソアミル−フェニレン)ジウレア(各異性体)、オキシビス(フェニレンジウレア)(各異性体)、チオビス(フェニレンジウレア)(各異性体)、カルボニルビス(フェニレン)ジウレア(各異性体)、ブテンジウレア(各異性体)、ブチニレンジウレア、ヘキサフルオロプロピレンジウレア(各異性体)等が挙げられる。
本実施形態の製造方法によって得られるウレイド基を有する化合物は、後述するように、カルバミン酸エステル(ウレタン)の製造、とりわけ、イソシアネートを製造するための原料となるカルバミン酸エステルの製造に好適に使用することができる。
<ウレイド基を有する化合物を製造する方法>
本実施形態のウレイド基を有する化合物の製造方法は、上記一般式(1)で表される有機第1級アミンと尿素と上記一般式(2)で表される芳香族ヒドロキシル化合物とを混合して調製した溶液を、中空の配管流路に流通させながらウレイド化反応を行うものである。
ウレイド化反応とは、ウレイド基を形成する反応であり、本実施形態では、ウレイド基は、有機第1級アミンと、尿素とから形成される。
本実施形態では、溶液を内径の小さいチューブ状の流路(配管)中に流通させて短時間で反応を行うことで、副反応が抑制される。反応を流路内で行うことで当該効果が得られるというその機構は明らかではないが、30℃以上の温度、短時間で反応を完結させることで、上記式(4)〜(6)で表される尿素の副生反応が抑制され、かつ上記式(7)〜(9)で表されるウレイド基が尿素結合を有する化合物及びビウレット結合を有する副生物になることを抑制しているためではないかと推測される。
(供給工程)
本実施形態の製造方法は、流路に供給する溶液を準備し、流路に当該溶液を供給する供給工程を有する。供給時の温度は、尿素の分解速度や副生成物の生成を抑制することを目的として、50〜150℃の範囲とすることが好ましい。
一般的に、本実施形態において用いられる有機第1級アミンは、常温(例えば20℃)で固体のものが多いが、そのような場合には、有機第1級アミンの融点以上に加熱して、液体の状態で供給することもできる。また、熱変性反応等の副反応を抑制する観点から、有機第1級アミンを芳香族ヒドロキシ化合物との混合物とし、比較的低い温度で液体の状態で供給することも好ましい。
本実施形態において用いられる尿素は、常温(例えば20℃)では固体であるが、融点以上に加熱して液体で供給することができる。また、尿素の分解による副生物を抑制する観点から、尿素を芳香族ヒドロキシ化合物との混合物とし、比較的低い温度で液体の状態で供給することも好ましい。
上記いずれの態様としても、後述する反応工程に供される流路の入口直前において、有機第1級アミンと尿素と芳香族ヒドロキシル化合物とが互いに混合された状態となっていればよい。本実施形態において、上記調製液を当該入口へ向けて移送する際は、均一溶液であることが好ましく、移送中の配管の温度は、好ましくは50〜150℃の範囲である。
供給工程における流路(配管)の形状及び材質は特に限定されるものではなく、金属製又は樹脂製のチューブからなる流路であっても、複数の平板から構成される流路であってもよい。また、単一の流路から成っていてもよく、複数の流路を組み合わせたものであってもよい。また、材質については、後述する反応工程で使用する流路と同一の材質としてもよい。
供給工程は、大気圧下でも減圧下でも加圧下でも行なうことができる。また、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
(反応工程)
反応原料を含む溶液を流路内に流通させながら反応を行う方法としては、例えば、流通式反応器(フロー式リアクター)を用いて反応するという方法が挙げられる。
流通式反応器(フロー式リアクター)とは、連続的にリアクターへ試剤を送入し連続的に反応物を取り出せるようにした装置である。
流路の太さは、ウレイド基を有する化合物の製造量と中空内部の容積に対する熱伝導面の面積によって決められるが、断面積は100μm〜10000mmが好ましく、0.5m m〜3000mmがより好ましい。また、流路の長さは、供給工程、及び反応工程に要する長さが1cm〜300mが好ましく、1m〜50mがより好ましい。また、反応工程としての長さは、50cm〜40mが好ましい。ここで、一本の流路は、その前部を供給工程、後部を反応工程として共用することもできる。この場合、流路を流れる溶液が目的の温度に達することができる部分を反応工程用、それ以外の部分を供給工程用とみなすことができる。
流路の中空内部の熱伝導面の面積は、該配管中を流れる溶液がすぐに加熱温度まで昇温される範囲がよく、中空内部の容積当たり、1〜100cm/cmの範囲であり。好ましくは10〜50cm/cmである。
ここで「熱伝導面」とは、流路のうち、加熱装置等によって外部から加熱されている部分の内壁面のことをいう。加熱装置等は、特に限定されるものではなく、例えば、ヒーターやスチーム配管による加熱、高温オイル配管による加熱を用いることができる。
熱伝導面の流路内にかかる圧力は、流路の耐圧力以下であればよく、0.1MPa〜10MPaの範囲が好ましく、より好ましくは、0.1MPa〜1MPaの範囲であることが好ましい。
流路(配管)の材質としては公知の材質が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、ステンレス、炭素鋼、ハステロイや、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。
熱伝導面の温度は、流路を流れる溶液が目的の温度に達することができる温度とする。そのため、流路の加熱温度は、収率向上、生産効率向上及び副生物の生成抑制の観点から30〜260℃の範囲が好ましく、80〜240℃の範囲がより好ましく、180〜220℃の範囲が更に好ましい。
流速は反応に必要とされる時間、すなわち、必要な滞留時間と流路の大きさ(太さ、長さ)によって決められるが、例えば、0.1g/min〜1000g/min、即ち、毎分0.1g〜1000gである。
流路内では、溶液の混合ためにミキサーを用いてもよく、ミキサーとしては、例えばT字管のスタティック型ミキサー及びヘリックス型ミキサー等を用いることができる。このうち、流量の大きな領域(例えば2mL/min以上)では、圧力がかからないという点からスタティック型の方が好ましいが、低流量領域(例えば2mL/min以下)では、混合効率の点からヘリックス型が好ましい。
ミキサーの材質としては、公知の材質が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス、ステンレス、炭素鋼、ハステロイや、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。
本実施形態において、反応時間(反応工程における流路の通過時間)は、好ましくは0.001〜100分の範囲、より好ましくは0.01〜80分の範囲、更に好ましくは0.1〜5分の範囲である。反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによってウレイド基を有する化合物が所望量生成していることを確認して反応を終了してもよい。
反応工程は、大気圧下でも減圧下でも加圧下でも行なうことができる。また、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
<分離工程>
分離工程は、流路から排出された反応混合物のうち、気相部と液相部とを互いに分離する工程であって、具体的には、上記反応工程において副生したアンモニアを分離する工程である。分離する際の条件は、特に限定されることはなく、気相と液相が存在できる条件であればよく、減圧下、加圧下、常圧下のいずれでもよく、温度も特に限定されることはない。
分離するための装置にも限定されるものはなく、気相部と液相部とを分離できればよい。例えば、分離工程の後に、ウレイド基を有する化合物を原料とする次の反応工程が控えている場合で、その反応工程を減圧条件下で行うならば、先の反応工程の反応液(液相部)を次工程に送れば、気相部であるアンモニアが速やかに分離される。互いに分離される気相部の成分及び液相部の成分も限定されることはなく、気相部の成分には、アンモニア以外にも尿素、イソシアン酸、芳香族ヒドロキシ化合物等が含まれていてもよい。また、例えば、減圧された容器に反応液を送ることにより気相部と液相部とを速やかに分離することができる。
<圧力制御機構>
本実施形態において、反応工程から分離工程への流通時に、圧力制御機構を通過することが好ましい。ここで、圧力制御機構とは、反応工程の流路内の圧力を保持し、加圧状態とする機構のことをさす。
例えば、流路の出口に、圧力を保持する機構を有する装置が備えられていることが好ましい。圧力を保持する機構は、ウレイド化反応によって生成するアンモニアが流路内で気化して気相部が生じることを抑制する。圧力を保持することによってフローリアクターの配管内で気相部が生じることを防ぎ、反応溶液中のアンモニアの溶解度を高めることによって、ウレイド基を有する化合物の変性反応や尿素成分の副反応を抑制することができる。圧力制御機構としては、保圧弁又は逆止弁等が挙げられる。
圧力制御機構は、有機第1級アミンと尿素との反応で副生するアンモニアが気化することを抑制することによって、副生物を抑制すること、及び、滞留時間を確保することが目的である。保圧弁の種類、形状、材質は特に限定されるものではない。例えば、ドーム・ロード式保圧弁及びスプリング・ロード式保圧弁を用いることができる。保持する圧力は、0.1MPa〜1MPaの範囲が好ましく、0.1MPa〜0.5MPaの範囲がより好ましい。
<冷却工程>
本実施形態の製造方法は、反応工程の後に、反応混合物を冷却する冷却工程を有することが好ましい。冷却工程の例としては、冷却部を持った機構を有する装置によって反応混合物を冷却することが挙げられる。冷却工程は、圧力制御機構の前後いずれで実施してもよい。また、冷却工程は、分離工程の前後いずれで実施してもよい。分離工程の後に実施する場合は、上記「反応混合物」は液相部を意味する。
冷却部を持った機構は、速やかな冷却によって、反応工程で生成したウレイド基を有する化合物の変性反応の防止、及び、反応溶液中のアンモニア溶解度を高め尿素類の変性反応を抑制することが目的である。冷却装置の種類、形状、材質は特に限定されるものではない。例えば、冷却温度に冷やされた液体、気体、固体で、流路等を冷却する方法を用いることができる。
冷却温度は、溶液中の芳香族ヒドロキシ化合物の融点以上、かつ、反応液中の溶解度の低い成分が析出しない温度であればよく、好ましくは90〜120度の範囲である。
冷却時間は、流路を流通する反応液の温度が冷却温度まで下がるために必要な時間であって、0.1分〜5分程度が好ましい。
冷却工程は、大気圧下でも減圧下でも加圧下でも行なうことができる。また、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。
<カルバミン酸エステルを製造する方法>
ウレイド基を有する化合物を原料として使用するカルバミン酸エステルの製造方法において、ウレイド基を有する化合物と芳香族ヒドロキシ化合物とを反応させることにより、カルバミン酸エステルを製造することができる。本実施形態のウレイド基を有する化合物の製造方法は、高収率・高純度でウレイド基を有する化合物を得ることができるので、ウレイド基を有する化合物を精製することなく、カルバミン酸エステルの製造原料として使用することができる。なお、本実施形態の製造方法によって得られるウレイド基を有する化合物は、例えば、蒸留分離、晶析、膜分離等の公知の方法によって精製されたのち、カルバミン酸エステルの製造原料として使用することもできる。
上記反応工程で得られるウレイド基を有する化合物と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する反応混合物を精製することなく使用する場合、ウレイド基を有する化合物のウレイド基に対する芳香族ヒドロキシ化合物の量が所望量となるように調整する。例えば、芳香族ヒドロキシ化合物の量は、使用するウレイド基を有する化合物のウレイド基に対して化学量論比で1〜500倍の範囲となるように、芳香族ヒドロキシ化合物を追加したり、蒸留分離等の公知の方法によって芳香族ヒドロキシ化合物を除去したりして調整する。
カルバミン酸エステルを製造するための反応器としては、ウレイド基を有する化合物を製造する工程を行う反応器とは別の反応器を用いることが好ましい。本発明者らが検討した結果、驚くべきことに、ウレイド基を有する化合物を製造する反応(アミンと尿素化合物との反応)は、反応の平衡が圧倒的に生成側に偏っているのに対して、カルバミン酸エステルを製造する反応(ウレイド基を有する化合物とヒドロキシ化合物との反応)は、反応の平衡が圧倒的に原系に偏っていることが判明した。すなわち、ウレイド基を有する化合物を製造する反応は、生成するアンモニアを系外に除去しても除去しなくても反応は進行するが、カルバミン酸エステルを製造する反応は、生成するアンモニアを系外に除去しなければ反応が進行しない。したがって、カルバミン酸エステルを製造する反応は、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸留器等を使用して、副生アンモニアの除去効率を高めることが好ましい。
例えば、ウレイド基を有する化合物の製造を行う工程を、上記のような流路を流通させるフローリアクターで行ない、該工程で得られる反応液を、カルバミン酸エステルを製造する工程を行う反応器(例えば、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸留器等)に移送して、カルバミン酸エステルを製造する方法が好ましい態様として挙げられる。
上述の反応によって得られるカルバミン酸エステルは、下記式(12)で表される化合物である。
Figure 0006438658

(式中、Rは上記式(1)において定義した基を示し、Aは上記式(2)において定義した有機基を示し、bは上記式(2)において定義した整数を示し、dは1〜10の整数であって本化合物の原料である上記式(8)におけるcを超えない数である。)
上記式(12)で表されるカルバミン酸エステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステル、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)、ジフェニル−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(メチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(エチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(プロピルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ブチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ペンチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ヘキシルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ヘプチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(オクチルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(フェニルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(フェノキシフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(クミルフェニル)−4,4’−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、3−(フェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステル、3−(メチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(メチルフェノキシ)エステル(各異性体)、3−(エチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(エチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(プロピルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ブチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ペンチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ヘキシルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ヘプチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(クミルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジフェニルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル、N,N’’−(4,4’’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、N,N’−(4,4’−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)等が挙げられる。
以上に示した方法によって製造されるカルバミン酸エステルは、イソシアネート製造用の原料として好適に使用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の内容をより具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[分析方法]
(1)高速液体クロマトグラフィーの分析条件
装置:LC−10AT(島津社製)
カラム:Inertsil−ODS / 粒径5μm、(ジーエルサイエンス社製)
カラムサイズ:4.6mm×150mm
カラム温度:40℃
溶離液:A液 アセトニトリル、B液 0.3wt%リン酸水溶液
流量:1.0mL/min
検出器:UV 210nm
グラジエント:初期 A液:5vol%/B液:95vol%→ 15分後 A液:15vol%/B液:85vol%→ 20分後 A液:15vol%/B液:85vol%(リニアグラジエント)
(2)高速液体クロマトグラフィーの分析サンプル
サンプル100mg及び内標;1,1−ジエチル尿素10mgを1.5gの酢酸に溶解させ、分析サンプルを調製した。
(3)定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。なお、特に断りのない限り、25℃の条件で行った。
[実施例1]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物(尿素/有機第1級アミンのアミノ基=1.25/1)を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度180℃のオイルバス内を約3分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例2]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物(尿素/有機第1級アミンのアミノ基=1.25/1)を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[比較例1]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積300mL)に、尿素(和光純薬工業社製)7.5g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を180℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした(溶液の熱伝導面の面積約0.73cm/cm)。添加終了から1時間後、反応液の一部を取り出して高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率70%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[比較例2]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積300mL)に、1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を180℃とし、均一溶液とした(溶液の熱伝導面の面積約0.73cm/cm)。この均一溶液に尿素(和光純薬工業社製)10.1g添加し、1時間後、反応液の一部を取り出して高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率75%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例3]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(旭化成ケミカルズ社製)14.7gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対して収率95%で3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルウレアが得られた。
[実施例4]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。2,4−トリレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.5gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ2,4−トリレンジアミンに対して収率95%で2,4−トリレンジウレアが得られた。
[実施例5]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。4,4−ジフェニルメタンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)17.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ4,4−ジフェニルメタンジアミンに対して収率95%で4,4−ジフェニルメタンジウレアが得られた。
[実施例6]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−クミルフェノール(東京化成工業社製)159.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。ジシクロヘキシルメタン4,4’−ジアミン(旭化成ケミカルズ社製)18.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだジシクロヘキシルメタン4,4’−ジアミンに対して収率95%でジシクロヘキシルメタン4,4’−ジウレアが得られた。
[実施例7]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、フェノール(東京化成工業社製)71.0gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−クミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度180℃のオイルバス内を約3分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例8]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2,4−ジ−tert−アミルフェノール(東京化成工業社製)176.8gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2,4−ジ−tert−アミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例9]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−tert−オクチルフェノール(東京化成工業社製)155.6gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−tert−オクチルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例10]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2−tert−ブチルフェノール(東京化成工業社製)226.6gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2−tert−ブチルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例11]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2−イソプロピルフェノール(東京化成工業社製)205.4gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2−イソプロピルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例12]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2,6−キシレノール(東京化成工業社製)92.2gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2,6−キシレノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例13]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、4−ノニルフェノール(東京化成工業社製)332.3gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、4−ノニルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例14]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2−tert−アミルフェノール(東京化成工業社製)247.8gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2−tert−アミルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
[実施例15]
温度計、撹拌器を備えたガラス製4口フラスコ(内容積200mL)に、尿素(和光純薬工業社製)10.1g、2,6−ジイソプロピルフェノール(東京化成工業社製)268.9gを仕込み、該フラスコ内部を窒素置換した。大気圧、窒素雰囲気下で、該フラスコを、あらかじめ加熱したオイルバスに浸漬し、内容物を撹拌しながら内温を80℃とし、均一溶液とした。1,6−ヘキサメチレンジアミン(旭化成ケミカルズ社製)10.1gと、2,6−ジイソプロピルフェノール10.1gの混合物を予め加熱して均一溶液とした後、50℃に加熱した滴下ロートより滴下し、均一溶液とした。この溶液をSUS316Lの1/8inchの配管チューブ(内径1.18mm、長さ3m、流路の熱伝導面の面積34cm/cm)に送液ポンプを用いて1g/minで送液し、温度200℃のオイルバス内を約1.5分間流通させた後、温度90℃に冷却したオイルバス内を1分間流通させた。配管チューブから取得した反応液を高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、仕込んだ1,6−ヘキサメチレンジアミンに対して収率95%で1,6−ヘキサメチレンジウレアが得られた。
本発明の製造方法によれば、イソシアネートを製造する際の中間体として有用な化合物であるウレイド基を有する化合物を、短時間で、従来の製造方法でみられた副生物の生成を抑制しつつ、高収率かつ高純度で得ることができる。従って、本発明の製造方法は、産業上大いに有用であり、商業的価値が高い。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される有機第1級アミンと尿素とを反応させて下記一般式(11)で表されるウレイド基を有する化合物を製造する方法であって、
    前記有機第1級アミンと前記尿素と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む溶液を、中空内部の容積当たりの熱伝導面の面積が1〜100cm/cmである流路に30℃以上の温度で流通させる反応工程を有し、
    前記反応工程の後に、前記流路から排出された反応混合物を気相部と液相部とに分離する分離工程を有し、
    前記反応工程から前記分離工程への反応混合物の流通時に、前記反応混合物が、前記流路内を加圧状態に保持して前記流路内で前記気相部が生じることを抑制する圧力制御機構を通過する、ウレイド基を有する化合物の製造方法。
    Figure 0006438658

    (式中、Rは炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基、又は、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基を示し、aは1〜10の整数を示す。)
    Figure 0006438658

    (式中、Rは前記一般式(1)において定義した基を示し、cは前記aを超えない1〜10の整数を示す。)
  2. 前記圧力制御機構が、保圧弁又は逆止弁である、請求項1に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  3. 前記反応工程後に、前記流路から排出された反応混合物を冷却する冷却工程を有する、請求項1又は2に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  4. 前記aは、2である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  5. 前記芳香族ヒドロキシ化合物は、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
    Figure 0006438658

    (式中、Aは芳香環を有する炭素数6〜50の有機基を示し、前記芳香環の水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも1つ以上の基で置換されており(選ばれた基に含まれる炭素原子は、前記炭素数6〜50に含まれるものとする)、bは1〜3の整数を示す。)
  6. 前記bは、1又は2である、請求項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  7. 前記芳香環は、ベンゼン環、ナフタレン環及びアントラセン環からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上の環である、請求項又はに記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  8. 液相でウレイド化反応をさせる請求項1〜のいずれか1項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  9. 前記反応工程において、前記流路に流通させる前記溶液の温度が、180〜220℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
  10. 前記反応工程において、前記流路に流通させる前記溶液の流量が、0.1〜1000g/minである、請求項1〜のいずれか1項に記載のウレイド基を有する化合物の製造方法。
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