JP6140405B2 - N−置換カルバミン酸エステルの製造方法 - Google Patents

N−置換カルバミン酸エステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、N-置換カルバミン酸エステルの新規な製造方法に関する。
N-置換カルバミン酸エステルは、ポリウレタンフォーム、塗料、接着剤に用いられるイソシアネートの中間原料として有用である。
N-置換カルバミン酸エステルを用いて、熱分解反応を行うことで該イソシアネートを得ることができる。
N-置換カルバミン酸エステルの製造方法として、例えば、特許文献1に、ジアミンとアルコールと尿素とを反応させてN一置換カルバミン酸−アルキルエステルに変換する方法が開示されている。特許文献2には、脂肪族1級ポリアミン、尿素、およびアルコールから、ビス尿素を製造した後、N一置換カルバミン酸−アルキルエステルを製造する方法を開示し、また、特許文献3には、第1工程で、尿素とアルコールとを部分的に反応させて、続く第2工程で、ジアミンを供給してN一置換カルバミン酸O−アルキルエステルを製造する方法を開示している。また、特許文献4,5には、ジアミンと芳香族ヒドロキシ化合物と尿素からN一置換カルバミン酸−フェニルエステルを製造する方法を開示している。
特許文献1:欧州特許出願第0568782号明細書
特許文献2:欧州特許出願第0657420号明細書
特許文献3:米国特許第4497963号明細書
特許文献4:国際公開パンフレットWO11/021258
特許文献5:国際公開パンフレットWO08/120645
有機アミンと尿素とヒドロキシ化合物(アルコール、芳香族ヒドロキシ化合物)とからN-置換カルバミン酸エステルを製造する反応は、一般的に下記式(2)〜(4)で表される一連の反応である。
本発明者らは、特許文献1-5に開示されているような従来の方法でN-置換カルバミン酸エステルを有する化合物を製造する際、下記式(5)、下記式(6)および下記式(7)で表される尿素結合を形成する副反応が生起することを見出した。
上記式(2)〜(7)において、Ra、Rbは有機基を表す。
なお、上記副反応については、説明を簡便にするため、1つの官能基(ここでは、アミノ基、ウレイド基、カーバメート基)を有する化合物の反応について記述しているが、2つ以上の複数の官能基を有する化合物についても、同様の反応が起こり得る。
これらの副反応により生成する化合物は、本発明の目的とするN-置換カルバミン酸エステルの収率を低下させるばかりか、該N-置換カルバミン酸エステルの熱分解によりイソシアネートを製造する工程における収率を低下させ、さらには、該化合物の混入によりイソシアネートを用いて製造されるポリウレタンフォーム、塗料、接着剤の性能低下を招く場合がある。
本発明が解決しようとする課題は、イソシアネートを製造する際の中間体として有用である、N-置換カルバミン酸エステルを、従来の製造方法にあったような副生物を生成することなく、高収率・高純度かつ高効率(短時間)で得る方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題に対し鋭意検討を重ねた結果、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物をN-置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる反応装置の底部に供給することによって解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]
有機アミンと、尿素と、芳香族ヒドロキシ化合物とから、N-置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物を該N-置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる反応装置の底部に供給する工程を有する製造方法、
[2]
該炭酸誘導体が、尿素、イソシアン酸、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、N-無置換カルバミン酸エステルの中から選ばれる少なくともひとつを含む[1]記載の製造方法、
[3]
N-無置換カルバミン酸エステルのエステル基が芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基である[2]記載の製造方法、
[4]
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物が、該N-置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる反応装置に具備した凝縮器より回収された組成物である[1]記載の製造方法、
[5]
該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(1)で表される化合物である[1]記載の製造方法、
(環Aは、 b個のヒドロキシ基で置換された芳香族基を含有する炭素数が6〜50の有機基を表し、bは1〜3の整数である)
[6]
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、
該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対する炭酸誘導体のモル数[B]の比率が0.0001〜1の範囲である[1]記載の製造方法、
[7]
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対するビウレットのモル数[C] の比率が0.0001〜1の範囲である[2]記載の製造方法、
[8]
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、
該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対する
トリウレットのモル数[D] の比率が0.0001〜1の範囲である[2]記載の製造方法、
を提供する。
本発明のN-置換カルバミン酸エステルの製造方法によれば、イソシアネートを製造する際の中間体として有用である、N-置換カルバミン酸エステルを、従来の製造方法にあったような副生物を生成することなく、高収率・高純度かつ高効率(短時間)で得ることができる。
本実施の形態の製造方法に用いる反応装置の一例の概略図である。 本実施の形態の製造方法に用いる反応装置の一例の概略図である。 本実施の形態の製造方法に用いる反応装置の一例の概略図である。
以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
まず、本実施の形態において使用する化合物について説明する。
[有機アミン]
本実施の形態で使用される有機アミンは下記式(8)で表される有機アミンである。
(式中、
aはアミノ基の数を表し、1〜10の整数を示し、
R1は、a個のアミノ基で置換された炭素数1〜35の有機基である。)
上記式(8)において、aは、好ましくは2〜10の整数である。
上記式(8)において、R1は、好ましくは、炭素原子、酸素原子、水素原子からなる有機基であり、活性水素を有しない有機基である。ここでいう「活性水素」とは、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、珪素原子などと結合している水素原子、および、末端メチン基の水素原子を指す。例えば、−OH基、−C(=O)OH基、−C(=O)H基、−SH基、−SO3H基、−SO2H基、−SOH基、−NH−基、−SiH基、−C≡CH基などの原子団に含まれる水素原子である。
R1は、好ましくは、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、炭素数5〜20の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられ、具体例としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、オクタン等の直鎖脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ビス(シクロヘキシル)等の無置換の脂環式炭化水素;メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン(各異性体)、エチルシクロヘキサン(各異性体)、プロピルシクロヘキサン(各異性体)、ブチルシクロヘキサン(各異性体)、ペンチルシクロヘキサン(各異性体)、ヘキシルシクロヘキサン(各異性体)等のモノアルキル置換された脂環式炭化水素;ジメチルシクロヘキサン(各異性体)、ジエチルシクロヘキサン(各異性体)、ジブチルシクロヘキサン(各異性体)等のジアルキル置換された脂環式炭化水素;1,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,5,5−トリエチルシクロヘキサン、1,5,5−トリプロピルシクロヘキサン(各異性体)、1,5,5−トリブチルシクロヘキサン(各異性体)等のトリアルキル置換された脂環式炭化水素;ベンゼン、ナフタレン等の無置換の芳香族炭化水素;トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン等のモノアルキル置換された芳香族炭化水素;キシレン、ジエチルベンゼン、ジプロピルベンゼン等のジアルキル置換された芳香族炭化水素;ジフェニルアルカン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサン、ベンゼン、ジフェニルメタン、トルエン、シクロヘキサン、キシレン、メチルシクロヘキサン、イソホロンおよびジシクロヘキシルメタンに由来する基が好ましい。
上記式(8)で表される有機アミンとしての好ましい具体例としては、ジフェニルメタンジアミン(各異性体)、トリレンジアミン(各異性体)、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ナフタレンジアミン(各異性体)、テトラメチルキシレンジアミン(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジアミン(各異性体)、キシレンジアミン(各異性体)、メチレンビス(ジイソアミル-フェニレン)ジアミン(各異性体)、オキシビス(フェニレンジアミン)(各異性体)、チオビス(フェニレンジアミン)(各異性体)、カルボニルビス(フェニレン)ジアミン(各異性体)、ブテンジアミン(各異性体)、ブチニレンジアミン、ヘキサフルオロプロピレンジアミン(各異性体)等が挙げられる。
[芳香族ヒドロキシ化合物]
本実施の形態で使用される芳香族ヒドロキシ化合物は下記式(1)で表される芳香族ヒドロキシ化合物である。
(式中、
環Aは、 b個のヒドロキシ基で置換された芳香族基を含有する炭素数が6〜50の有機基を表し、
bは1〜3の整数である。)
上記式(1)において、環Aの炭素数は、好ましくは6〜33、より好ましくは6〜24である。
上記式(1)において、環Aを構成する芳香族環としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ナフタセン環、クリセン環、ピレン環、トリフェニレン環、ペンタレン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ビフェニレン環、アセナフチレン環、アセアントリレン環、アセフェナントリレン環等が挙げられる。中でも、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
また、環Aは、上記した芳香族環に置換基が付加した構造であってもよい。具体的な置換基としては、ハロゲン基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。
上記式(1)において、bが1である芳香族ヒドロキシ化合物は一般に低粘度である場合が多いため、好ましくはbが1である。
このような芳香族ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、メチルフェノール(各異性体)、エチルフェノール(各異性体)、プロピルフェノール(各異性体)、ブチルフェノール(各異性体)、ペンチルフェノール(各異性体)、ヘキシルフェノール(各異性体)、ヘプチルフェノール(各異性体)、オクチルフェノール(各異性体)、ノニルフェノール(各異性体)、デシルフェノール(各異性体)、ウンデシルフェノール(各異性体)、ドデシルフェノール(各異性体)、ジメチルフェノール(各異性体)、ジエチルフェノール(各異性体)、ジプロピルフェノール(各異性体)ジブチルフェノール(各異性体)、ジペンチルフェノール(各異性体)、ジヘキシルフェノール(各異性体)、ジヘプチルフェノール(各異性体)、ジオクチルフェノール(各異性体)、ジブチルメチルフェノール(各異性体)、ジメチルメトキシフェノール(各異性体)、ナフトール(各異性体)、フェニルフェノール(各異性体)、フェノキシフェノール(各異性体)、クミルフェノール(各異性体)、ジクミルフェノール(各異性体)等が挙げられる。
[炭酸誘導体]
本実施の形態で使用する炭酸誘導体は、具体的には、尿素、イソシアン酸、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、下記式(9)で表される尿素の多量体、下記式(10)で表されるエステル基が芳香族ヒドロキシ化合物に由来するN-無置換カルバミン酸エステル等である。ここで、N-無置換とは、カルバモイル基(NH2−CO−)のNH2基が置換基によって置換されていないという意味で使用している。即ち、N-無置換カルバミン酸エステルのカルバモイル基(NH2−CO−)のNH2基はNH2基である。
(式中、
cは3以上の整数を表す。)
(式中、
環Aは、上記式(1)で定義した基であり、
bは、上記式(1)で定義した値である。dは1〜3の整数で、を超えない値である。)
[N-無置換カルバミン酸エステル]
N-無置換カルバミン酸エステルは、N-置換カルバミン酸エステルを製造する工程において副生したもの、または、公知の方法で製造されたN-無置換カルバミン酸-エステルで構わない。公知の方法とは、下記式(11)で表されるイソシアン酸(H-N=C=O)と芳香族ヒドロキシ化合物との反応、下記式(12)で表される尿素と芳香族ヒドロキシ化合物とから得る方法が好ましく、その際に芳香族ヒドロキシ化合物として上記式(1)で示した芳香族ヒドロキシ化合物を使用することで、上記式(10)で示したN-無置換カルバミン酸エステルを得ることができる。
(式中、
環Aは、上記式(1)で定義した基であり、
bは、上記式(1)で定義した値である。dは1〜3の整数で、を超えない値である。)
上記式(11)または(12)によりN-無置換カルバミン酸エステルを製造する方法について説明する。化合物の使用量は、反応させる化合物によっても異なるが、芳香族ヒドロキシ化合物の量は、使用するイソシアン酸や尿素に対して化学景論比で1倍〜500倍の範囲である。1倍より少ない量では複雑に置換したカルボニル化合物や分子内にカルボニル結合を有する高分子景化合物が生成しやすくなるため、大過剰の芳香族ヒドロキシ化合物を使用することが好ましいが、反応器の大きさを考慮すれば、好ましくは1倍〜200倍の範囲、より好ましくは1、5倍〜100倍の範囲、さらに好ましくは、2〜50倍の範囲である。反応温度は、使用する化合物にもよるが、-20℃〜350℃の範囲が好ましい。-20℃より低い温度では、反応が遅かったり、反応がほとんど起こらなかったり、あるいは、複雑に置換したカルボニル化合物が増加したりするため好ましくない。一方、350℃よりも高い温度では、尿素が分解したり、芳香族ヒドロキシ化合物が変性したり、あるいは、生成物であるN-無置換カルバミン酸エステルの分解反応や変性反応等が生じやすくなるため、好ましくない。このような観点から、より好ましい温度は-20℃〜320℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜300℃の範囲である。尿素を使用する場合は(上記式( )で表される反応をおこなう場合)、N-無置換カルバミン酸エステルを生成する反応は平衡反応であり、反応が原系に偏っているため、可能な限り、副生ずるアンモニアを系外に除去しながら反応をおこなうことが好ましい。好ましくは、反応液中のアンモニア濃度が1000ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、最も好ましくは30ppm以下となるようにアンモニアを除去する(反応液中とは、該反応液相中という意味である)。その方法としては、反応蒸留法、不活性ガスによる方法、膜分離、吸着分離による方法などをおこなうことができる。例えば、該反応蒸留法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを蒸留によって気体状で分離する方法である。アンモニアの蒸留効率を上げるために、芳香族ヒドロキシ化合物、または溶媒の沸騰下でおこなうこともできる。また、不活性ガスによる方法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを、気体状で不活性ガスに同伴させることによって反応系から分離する方法である。不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等を、単独で、あるいは混合して使用し、該不活性ガスを反応系中に導入する方法が好ましい。吸着分離する方法において使用される吸着剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、各種ゼオライト類、珪藻土類等の、当該反応が実施される温度条件下で使用可能な吸着剤が挙げられる。これらのアンモニアを系外に除去する方法は、単独で実施しても、複数種の方法を紹み合わせて実施してもよい。該反応において、例えば、反応速度を高める目的で、触媒を使用することができる。このような触媒としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒、希土類元素、アンチモン、ビスマスの単体およびこれらの元素の酸化物、硫化物および塩類、ホウ素単体およびホウ素化合物、周期律表の銅族、亜鉛族、アルミニウム族、炭素族、チタン族の金属およびこれらの金属酸化物および硫化物、周期律表の炭素を除く炭素族、チタン族、バナジウム族、クロム族元素の炭化物および窒化物が好ましく用いられる。触媒を使用する場合、その使用景は特に制限されないが、イソシアン酸や尿素に対して化学量論比で0.0001〜100倍の範囲で使用することができる。
反応圧力は、反応系の紹成、反応温度、アンモニアの除去方法、反応装置等によって異なるが、通常、0.01Pa〜10MPa(絶対圧)の範囲で実施されることが好ましく、工業的実施の容易性を考慮すると、0.1Pa〜5MPa(絶対圧)の範囲がより好ましく、気体のアンモニアを系外に除去することを考慮すると、0.1Pa〜1、5MPa(絶対圧)がさらに好ましい。反応時間(連続反応の場合は滞留時間)は、反応系の紹成、反応温度、アンモニアの除去方法、反応装置、反応圧力等によって異なるが、通常、0.01〜100時間である。反応時間は、目的化合物であるN-無置換カルバミン酸エステルの生成量によって決定することもできる。例えば、反応液をサンプリングして、該反応液中のN-無置換カルバミン酸エステルの含有量を定量し、イソシアン酸や尿素に対して10%以上の収率で生成していることを確認したのち反応を停止してもよいし、該収率が90%以上であることを確認したのち反応を停止してもよい。当該反応において、必ずしも反応溶媒を使用する必要はないが、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒、例えば、ペンタン(各異性体)、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロビルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素およびアルキル置換芳香族炭化水素類;アセトニトリル、ペンゾニトリル等の二トリル化合物;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、プロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、プロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンまたはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフエニル、置換ジフエニル、ジフエニルメタン、ターフエニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトフエノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ペンジルブチルフタレート等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジフエニルエーテル、ジフエニルスルフィド等のエーテル類およびチオエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;酢酸エチル、安息香酸エチル等のエステル化合物;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等を反応溶媒として好適に使用する。いうまでもなく、当該反応において過剰量使用する芳香族ヒドロキシ紹成物も、反応溶媒として好適に使用される。当該反応は、副生するアンモニアとを含有する気体相と、該反応をおこなう液相とを含む系で実施する。該反応の多くは液相でおこなわれるが、反応条件によっては気相においても該反応がおこる場合もある。当該反応を実施する際に使用する反応装置は特に制限がなく、公知の反応器が使用できるが、槽型および/または塔型の反応器が好ましく使用される。反応器および凝縮器の材質にも特に制限はなく、公知の材質が使用できる。例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製や、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。SUS304やSUS316、SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流景計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
N-無置換カルバミン酸-エステルの具体例としては、上記の芳香族ヒドロキシ化合物で説明した好ましい化合物を使用して得られるN-無置換カルバミン酸エステルであり、具体的にはカルバミン酸フェニルエステル、カルバミン酸(メチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(エチルフェニル)エステル)(各異性体)、カルバミン酸(プロビルフエニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(プチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸フェニルエステル(各異性体)、カルバミン酸(メチルフェニル)エステル) (各異性体)、カルバミン酸(エチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(プロビルフエニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(プチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(ヘキシルフェニル)エステル (各異性体)、カルバミン酸(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、カルバミン酸(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、等を挙げることができる。
[ウレイド基を有する化合物]
本実施の形態で使用されるウレイド基を有する化合物は下記式(13)で表される。
(式中、
R1は、上記式(8)で定義した基を示し、
eは1〜10の整数を示す。)
上記式(13)において、eは1〜10の整数を示すが、本実施の形態の製造方法において使用する有機アミンにおけるaを超えない整数である。すなわち、有機アミンのアミノ基のうち、e個のアミノ基がウレイド基に変換されている場合、理論上、(a−e)個のアミノ基は、そのままウレイド基を有する化合物において、アミノ基として存在していると考えられる。
このようなウレイド基を有する化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジウレア(各異性体)、トリレンジウレア(各異性体)、ヘキサメチレンジウレア、ヘキサデカメチレンジウレア、イソホロンジウレア、ナフタレンジウレア(各異性体)、テトラメチルキシレンジウレア(各異性体)、ジシクロヘキシルメタンジウレア(各異性体)、キシレンジウレア(各異性体)、メチレンビス(ジイソアミル-フェニレン)ジウレア(各異性体)、オキシビス(フェニレンジウレア)(各異性体)、チオビス(フェニレンジウレア)(各異性体)、カルボニルビス(フェニレン)ジウレア(各異性体)、ブテンジウレア(各異性体)、ブチニレンジウレア、ヘキサフルオロプロピレンジウレア(各異性体)等が挙げられる。
次に、ウレイド基を有する化合物の製造方法について説明する。ウレイド基を有する化合物は、芳香族ヒドロキシ化合物中で、有機アミンと、尿素とをウレイド化反応させて得ることができる。ウレイド化反応とは、ウレイド基(-NHC(=O)-NH2で表される基)を形成する反応であり、本実施の形態においては、ウレイド基は、有機アミンと、尿素とから形成される官能基である。尿素の使用量は、有機アミンのアミノ基に対して、化学量論比で、好ましくは1〜1000倍の範囲である。反応速度を高め、反応を早期に完結させるためには、尿素は、有機アミンのアミノ基に対して過剰量で用いることが好ましいが、あまりに過剰な尿素を使用すると反応器が大きくなりすぎる。そこで、有機アミンのアミノ基に対して尿素を、化学量論比で、副生物抑制の観点からも、好ましくは1より大きく、より好ましくは2〜1000倍の範囲、さらに好ましくは2〜100倍の範囲、よりさらに好ましくは2.4〜30倍の範囲で使用する。ウレイド基を有する化合物の製造において、芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は、有機アミンのアミノ基に対して、化学量論比で、好ましくは1〜500倍の範囲である。副生物抑制の観点から、芳香族ヒドロキシ化合物の使用量は有機アミンのアミノ基に対して過剰量で用いることが好ましいが、あまりに過剰な芳香族ヒドロキシ化合物を使用すれば反応器が大きくなりすぎる。そこで、芳香族ヒドロキシ化合物の使用量を有機弟1アミンのアミノ基に対して、化学量論比で、より好ましくは1〜100倍の範囲、さらに好ましくは1〜30倍の範囲で使用する。反応の方法としては、液相中の尿素の総数が、該有機アミンを構成するアミノ基の総数よりも大きい量比となるような、尿素と有機アミンとの添加方法が、副生物抑制の観点から好ましい。ウレイド基を有する化合物の製造において、有機アミンと尿素とを反応させる上で、特に、有機アミン、尿素、芳香族ヒドロキシ化合物の添加方法が限定されるものではないが、上述した好ましい反応の方法をおこなうためには、芳香族ヒドロキシ化合物と尿素の混合物に、有機アミンを添加する方法が好ましい。また、有機アミンを添加する場合には、芳香族ヒドロキシ化合物と有機アミンとの混合物を添加してもよい。芳香族ヒドロキシ化合物と尿素の混合物および芳香族ヒドロキシ化合物と有機アミンの混合物は均一溶液であっても、スラリー溶液であってもよい。芳香族ヒドロキシ化合物と尿素の混合物(均一溶液またはスラリー溶液)を調製する温度は、尿素の分解速度や副生成物の生成を抑制することができるので、好ましくは50〜150℃の範囲である。有機アミンは、好ましくは、液体の状態で添加される。一般的に、本実施の形態において用いられる有機アミンは、常温(例えば20℃)で固体のものが多いが、そのような場合には、有機アミンの融点以上に加熱して、液体の状態で供給することもできる。また、熱変性反応等の副反応を抑制する観点から、有機アミンを、芳香族ヒドロキシ化合物との混合物とし、比較的低い温度で、液体の状態で供給することも好ましい。ウレイド基を有する化合物の製造において、反応温度は、収率向上、生産効率向上および副生物の生成抑制の観点で、好ましくは0〜250℃の範囲、より好ましくは50〜150℃の範囲である。また、有機アミン、尿素、芳香族ヒドロキシ化合物の標準沸点よりも低い温度で反応することが好ましい。ウレイド基を有する化合物の製造において、大気圧下でも減圧下でも加圧下でも行なうことができる。また、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。ウレイド基を有する化合物の製造において、反応時間は、通常0.001〜100時間の範囲、好ましくは0.01〜80時間の範囲、より好ましくは0.1〜50時間の範囲である。反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによってウレイド基を有する化合物が所望量生成していることを確認して反応を終了してもよい。ウレイド基を有する化合物の製造においては、触媒を使用する必要はないが、ウレイド化反応を短時間で完結させる、反応温度を低くする等の観点で、触媒を使用することもできる。一般的な化学反応において、芳香族アミンは脂肪族アミンに比べて反応性が低いので、有機アミンとして芳香族アミンを使用する場合には、ウレイド化反応を行う上でも、触媒の使用が有効な場合がある。触媒を使用する場合には、例えば、スズ、鉛、銅、チタン等の有機金属化合物や無機金属化合物、アルカリ金属、アルカリ土類金属のアルコラートであって、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、バリウムのメチラート、エチラート、ブチラート(各異性体)等の塩基性触媒等を使用することができる。ウレイド基を有する化合物の製造において、芳香族ヒドロキシ化合物以外に反応溶媒を使用してもよく、使用する場合には、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒を使用してもよい。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。ウレイド基を有する化合物の製造において、反応装置は、攪拌槽、加圧式攪拌槽、減圧式攪拌槽、塔型反応器、蒸留塔、充填塔、薄膜蒸留器など、従来公知の反応器を適宜組み合わせて使用できる。反応温度を一定にするために、公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また、材質については公知の材質が使用でき、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製や、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。
[N-置換カルバミン酸エステルの製造方法]
次にN-置換カルバミン酸エステルの製造方法について説明する。
N-置換カルバミン酸エステルは上記式(2)で表される有機アミンと、尿素と、上記式(1)で表される芳香族ヒドロキシ化合物から得られるものであって、これらの化合物の反応で副生するアンモニアを気相部へ抜き出すことにより得られる。有機アミンと尿素は上記した方法によって先にウレイド化反応を経てウレイド基を有する化合物とし該ウレイド基を有する化合物と芳香族ヒドロキシ化合物の反応によりN-置換カルバミン酸エステルを製造しても良い。
N-置換カルバミン酸エステルの製造において使用する芳香族ヒドロキシ化合物は、有機アミンもしくはウレイド基を有する化合物のアミノ基もしくはウレイド基の数に対して芳香族ヒドロキシ化合物の分子数が、1以上100以下の量比であることが望ましい。芳香族ヒドロキシ化合物は副生物抑制、反応速度の観点から1以上であることが望ましいが、あまりに過剰な量を使用すると反応器が大きくなりすぎるため、100以下の量比が望ましい。より好ましくは1以上50以下、さらに好ましくは3以上20以下とする。また、尿素は、有機アミンもしくはウレイド基を有する化合物のアミノ基もしくはウレイド基の数に対して尿素の分子数が、1以上20以下の量比あることが望ましい。尿素は副生物抑制、反応速度の観点から供給される原料組成物中に多量に存在していることが望ましいが、あまりに過剰な量を使用すると反応器が大きくなりすぎたり、尿素自体の溶解度が問題となったりするため、20以下の量比が望ましい。より好ましくは1以上10以下、さらに好ましくは1以上2以下とする。
これらの原料それぞれは、同時に同じ供給ラインから供給しても良いし、別々の供給ラインから反応装置に供給しても問題ない。ここでの原料とはN-置換カルバミン酸エステルの製造において、供給される上記の原料組成物を指す。
N-置換カルバミン酸エステルの製造における反応温度は、通常、100℃〜300℃の範囲であり、反応速度を高めるためには高温が好ましいが、一方で、高温では副反応が生じやすくなる場合があるので、好ましくは150℃〜250℃の範囲である。反応温度を一定に公知の冷却装置、加熱装置を設置してもよい。また、反応圧力は、用いる化合物の種類や反応温度によって異なるが、減圧、常圧、加圧のいずれであってもよく、通常20〜1×106Paの範囲で行われる。また、通常、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。反応時間に、特に制限はなく通常0.001〜100時間、好ましくは0.01〜50時間、より好ましくは0.1〜30時間である。また、反応液を採取し、例えば、液体クロマトグラフィーによってN-置換カルバミン酸エステルが所望量生成していることを確認して反応を終了してもよい。
当該N-置換カルバミン酸エステルの製造方法において、芳香族ヒドロキシ化合物以外に反応溶媒を使用してもよく、使用する場合には、反応操作を容易にする等の目的で適当な溶媒を使用してもよい。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン(各異性体)、ヘプタン(各異性体)、オクタン(各異性体)、ノナン(各異性体)、デカン(各異性体)などのアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン(各異性体)、エチルベンゼン、ジイソプロピルベンゼン(各異性体)、ジブチルベンゼン(各異性体)、ナフタレン等の芳香族炭化水素及びアルキル置換芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン(各異性体)、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン(各異性体)、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、ニトロベンゼン、ニトロナフタレン等のハロゲンもしくはニトロ基によって置換された芳香族化合物類;ジフェニル、置換ジフェニル、ジフェニルメタン、ターフェニル、アントラセン、ジベンジルトルエン(各異性体)等の多環炭化水素化合物類;シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロオクタン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサノール、シクロペンタノール、シクロオクタノール等の脂環族アルコール類;メチルエチルケトン、アセトフェノン等のケトン類;ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ベンジルブチルフタレート等のエステル類;ジフェニルエーテル、ジフェニルスルフィド等のエーテル類及びチオエーテル類;ジメチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等のスルホキシド類等が挙げられる。
本実施の形態において、副生するアンモニアを除去しながら反応を進める観点から、反応装置を蒸留塔とすることが好ましい。蒸留塔としては、例えば泡鍾トレイ、多孔板トレイ、バルブトレイ、向流トレイ等のトレイを使用した棚段塔方式のものや、ラシヒリング、レッシングリング、ポールリング、ベルルサドル、インタロツクスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパッキング、ヘリパック、スルザーパッキング、メラパック等の各種充填物を充填した充填塔方式のものなど、通常多段蒸留塔として用いられるものならばどのようなものでも使用することができる。充填塔は、塔内に上記した公知の充填剤を充填した充填塔ならばどのようなものでも使用することができる。さらに、棚段部分と充填物の充填された部分とをあわせもつ棚段一充填混合塔方式のものも好ましく用いられる。
N-置換カルバミン酸エステルを製造するための蒸留塔は、好ましくは、凝縮器を具備する。凝縮器の種類は特に制限がなく、公知の凝縮器が使用できる。例えば、多管円筒型凝縮器、二重管式凝縮器、単管式凝縮器、空冷式凝縮器等の従来公知の凝縮器を適宜紹み合わせて使用することができる。凝縮器は、該反応器の内部に具備されていても、該反応器の外部に具備されていて、該反応器と配管で接続されていてもよく、反応器や凝縮器の形式、凝縮液の取り扱い方法等を勘案して、様々な形態を採用される。該凝縮器により、芳香族ヒドロキシ化合物、尿素、尿素同士が反応したり尿素と芳香族ヒドロキシ化合物とが反応して生成する炭酸誘導体等を凝縮させる。凝縮させる条件は、特に制限はないが、高温では炭酸誘導体の熱分解が起こりやすくなる条件となることがある。また低温では、炭酸誘導体の芳香族ヒドロキシ化合物に対する溶解度の問題からスラリー状態となったり、析出により閉塞したりする懸念があるため、好適な条件がある。組成にもよるが、0℃以上250℃の以下の範囲、流動性や安定性が損なわれる場合は、0℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上180℃以下であるが、凝縮液の取り扱い性に応じて決めることができる。
反応器および凝縮器の材質にも特に制限はなく、公知の材質が使用できる。例えば、ガラス製、ステンレス製、炭素鋼製、ハステロイ製や、基材にグラスライニングを施したものや、テフロン(登録商標)コーティングをおこなったものも使用できる。SUS304やSUS316、SUS316Lなどが安価でもあり、好ましく使用できる。必要に応じて、流景計、温度計などの計装機器、リボイラー、ポンプ、コンデンサーなどの公知のプロセス装置を付加してよく、加熱はスチーム、ヒーターなどの公知の方法でよく、冷却も自然冷却、冷却水、ブライン等公知の方法が使用できる。
[炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物の供給]
本発明者らは、驚くべきことに、上記のN-置換カルバミン酸エステルの製造において、供給される原料(有機アミン、尿素、芳香族ヒドロキシ化合物)とは別に、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物を反応装置の底部に供給することで、高収率・高純度かつ高効率(短時間)で該N-置換カルバミン酸エステルを得ることができることを見出した。
本実施の形態における反応装置の底部とは、塔型反応器の場合は原料である有機アミン、尿素、ウレイド基を有する化合物、および芳香族ヒドロキシ化合物を供給する箇所よりも下段を指す。好ましくは、N-置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる反応装置の最下段から最上段の高さ方向の全長(充填塔の場合は、充填物が挿入されている部分の高さ方向の長さの合計)をLとしたとき、好ましくは、最下段から3/4×Lの範囲、より好ましくは、最下段から1/2×Lであり、さらに好ましくは、最下段から1/4×Lの範囲である。
本実施の形態の方法において反応装置の底部に供給する、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する組成物の炭酸誘導体は、尿素、イソシアン酸、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、N-無置換カルバミン酸エステルの中から選ばれる少なくともひとつの化合物を含む。いずれの炭酸誘導体が供給されてもよいが、好ましくは、ビウレット、トリウレット、N-無置換カルバミン酸エステルである。これらの化合物が好ましい理由について、炭酸誘導体の反応装置底部への供給によるN-置換カルバミン酸エステルの収率向上の推定機構と合わせて説明する。
上記したように、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物を反応装置の底部に供給することで、N-置換カルバミン酸エステルの製造において副生する、尿素結合を有する化合物をN-置換カルバミン酸エステルに効率よく変換することができる。炭酸誘導体として尿素を使用する場合の推定反応を下記式(14)に示す。
上記の反応は、本質的には、反応装置底部に供給された炭酸誘導体が熱分解して生成するイソシアン酸(H-N=C=O)によって生起すると推定している。例えば、炭酸誘導体が尿素の多量体である場合、下記式(15)で表されるような該尿素の多量体の熱分解によってイソシアン酸が発生し、該イソシアン酸により上記した効果が発現すると推察している。炭酸誘導体がN-無置換カルバミン酸エステルである場合も同様にイソシアン酸を生成する(下記式(16))。
上記で定義した、本実施の形態において好ましく使用される炭酸誘導体の中には、例えば尿素のように、熱分解によってイソシアン酸とともにアンモニアを生成するものがある。アンモニアは目的化合物であるN-置換カルバミン酸エステルと反応し、該ウレイド基を有する化合物となるため、反応の効率を下げる場合がある。したがって、炭酸誘導体の熱分解において発生するアンモニアが少ない化合物ほど、N-置換カルバミン酸エステルの収率向上効果が大きい傾向にある。具体的には、尿素は熱分解によりアンモニア1分子とイソシアン酸1分子を生じるが、ビウレットはアンモニア1分子に対して、イソシアン酸2分子、トリウレットはアンモニア1分子に対してイソシアン酸3分子を生成するため、ビウレット、トリウレットは尿素と比べてN-置換カルバミン酸エステルの収率向上効果が大きい。これはその他の炭酸誘導体についても同様であり、シアヌレート、上記式(9)で表される尿素の多量体、N-無置換カルバミン酸エステル等も尿素と比べ尿素結合を低減する効果が大きい。一方で、これらの炭酸誘導体は、多くの場合、室温で固体であり、芳香族ヒドロキシ化合物を含む組成物として供給するが、該芳香族ヒドロキシ化合物への溶解性を考慮すると、ビウレット、トリウレット、N-無置換カルバミン酸エステルが好ましい炭酸誘導体である。
本実施の形態における炭酸誘導体は工業的に入手可能なものを使用しても、別工程において反応により合成したものを使用しても良い。また、上記したように、N-置換カルバミン酸エステルを合成する際に、反応装置に具備する凝縮器で得られる凝縮液には炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とが含まれる場合が多く、該凝縮液を、そのままで、あるいは、好ましい濃度や組成に調整して、炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する組成物として反応装置の底部に供給することができる。
炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する組成物の好ましい供給位置の範囲は上記した通りである。これについても上記した推定反応機構から説明されると考えている。上記式( 5)〜(7)で表される尿素結合を副生する反応は一般的に非常に早く、有機アミン、ウレイド基を有する化合物、尿素、芳香族ヒドロキシ化合物は該反応装置に供給されると、直ちに、尿素結合を有する化合物が生成する場合が多い。該反応装置が蒸留塔である場合、該蒸留塔の、有機アミン、ウレイド基を有する化合物、尿素、芳香族ヒドロキシ化合物の供給ラインよりも下部で、尿素結合を有する化合物が生成する。一方、該反応装置に供給された炭酸誘導体は熱分解反応によってイソシアン酸を生成するが、該イソシアン酸は沸点が低い。上記推定のように、本発明の効果は、尿素結合を有する化合物とイソシアン酸との反応によることから、炭酸誘導体を反応装置の底部から供給することが好ましいと推定している。
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対する炭酸誘導体のモル数[B]の比率が好ましくは0.0001〜1の範囲である。反応速度を高め、反応を早期に完結させるためには、過剰量を用いることが好ましいが、あまりに過剰な炭酸誘導体を使用すると反応器が大きくなりすぎたり、該炭酸誘導体の溶解度の問題が生じたりすることがあるため、好ましくは0.001より大きく、より好ましくは0.002〜1倍の範囲、さらに好ましくは0.02〜1倍の範囲で使用する。
特にビウレットと芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物においては、溶解度の観点から該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対するビウレットのモル数[C] の比率が0.0001〜1の範囲が適当である。同様に、副生物抑制の観点からも、好ましくは0.001より大きく、より好ましくは0.002-1倍の範囲、さらに好ましくは0.02〜1倍の範囲で使用する。
さらにトリウレットと芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物においても同様に、溶解度の観点から該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A] に対するトリウレットのモル数[D] の比率が0.0001〜1の範囲が適当である。副生物抑制の観点からも、好ましくは0.001より大きく、より好ましくは0.002-1倍の範囲、さらに好ましくは0.02〜1倍の範囲で使用する。
また、該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、該炭酸誘導体と該芳香族ヒドロキシ化合物以外の成分を含有していても構わない。例えば、アンモニアやウレイド基を有する化合物、N-置換カルバミン酸エステル、水、アルコール、不活性ガス(たとえば、窒素ガス、二酸化炭素ガス、アルゴンガス、アンモニアガス等)等である。これらの成分の含有量に特に制限はないが、貯蔵温度や操作温度等により不要な副反応が生じるようであれば、随時その量を調整することが好ましい。アンモニアについては、N-置換カルバミン酸エステルを生成する反応は平衡反応であり、反応が原系に偏っている。そのため、可能な限り組成物中のアンモニアを除去する方が望ましい。好ましくは、組成物中のアンモニア濃度が1000ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、最も好ましくは30ppm以下となるようにアンモニアを除去する。その方法としては、反応蒸留法、不活性ガスによる方法、膜分離、吸着分離による方法などをおこなうことができる。例えば、該反応蒸留法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを蒸留によって気体状で分離する方法である。アンモニアの蒸留効率を上げるために、芳香族ヒドロキシ化合物、または溶媒の沸騰下でおこなうこともできる。また、不活性ガスによる方法とは、反応下で逐次生成するアンモニアを、気体状で不活性ガスに同伴させることによって反応系から分離する方法である。不活性ガスとしては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン、炭酸ガス、メタン、エタン、プロパン等を、単独で、あるいは混合して使用し、該不活性ガスを反応系中に導入する方法が好ましい。吸着分離する方法において使用される吸着剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、各種ゼオライト類、珪藻土類等の、当該反応が実施される温度条件下で使用可能な吸着剤が挙げられる。これらのアンモニアを系外に除去する方法は、単独で実施しても、複数種の方法を紹み合わせて実施してもよい。また、水が多く存在すると水に由来する副反応が起こる場合があるため、水濃度は、該組成物中に10%wt以下、好ましくは1wt%以下、より好ましくは100ppm以下で管理する。水の管理方法は脱水剤、乾燥剤を用いたり、減圧、加圧、常圧で蒸留したり、不活性ガスを液相にパージさせて水を同伴させて抜き出す等の公知の方法でおこなってよい。
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する組成物を供給する条件は、特に制限はないが、高温では炭酸誘導体の熱分解が起こりやすくなる条件となることがある。また低温では、炭酸誘導体の芳香族ヒドロキシ化合物に対する溶解度の問題からスラリー状態となったり、析出により閉塞したりする懸念があるため、好適な条件がある。組成にもよるが、0度以上300度の以下の範囲、流動性や安定性が損なわれる場合は、0℃以上250℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上250℃以下であるが、該組成物の取り扱い性に応じて決めることができる。
該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含有する組成物は、N-置換カルバミン酸エステルの反応装置の底部に、全量を同じ供給ラインから供給しても良いし、一定量に分割し、別々の供給ラインから反応装置に供給しても良い。
[カルバミン酸エステル]
本実施の形態の方法によって得られるカルバミン酸エステルは、下記式(17)で表される化合物である。
(式(17)中、
R1は炭素数1〜35の有機基を示し、
環Aは、(b-1)個のヒドロキシ基と1個のカルバモイル基(−NHCOO−)で置換された芳香族基を含有する炭素数6〜50の有機基を示し、
bは1〜3の整数を示し、
fは1〜10の整数でcを超えない数を示す。)
上記式(17)で表されるカルバミン酸エステルは、使用する原料に依存して種々生成するが、例えば、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジフェニルエステル、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−ヘキサンジイル−ビス−カルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)、ジフェニル−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(メチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(エチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート、ジ(プロピルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ブチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ペンチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ヘキシルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(ヘプチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(オクチルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(フェニルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(フェノキシフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、ジ(クミルフェニル)−4,4'−メチレン−ジシクロヘキシルカルバメート(各異性体)、3−(フェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステル、3−(メチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(メチルフェノキシ)エステル(各異性体)、3−(エチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(エチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(プロピルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ブチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ペンチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ヘキシルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、3−(ヘプチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、3−(オクチルフェノキシカルボニルアミノ−メチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(クミルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジフェニルエステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、トルエン−ジカルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)、N,N''−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジフェニルエステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(メチルフェニル)エステル、N,N''−(4,4''−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(エチルフェニル)エステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(プロピルフェニル)エステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ブチルフェニル)エステル、N,N'−(4,4''−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ペンチルフェニル)エステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ヘキシルフェニル)エステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(ヘプチルフェニル)エステル、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(オクチルフェニル)エステル(各異性体)、N,N''−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(フェニルフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(フェノキシフェニル)エステル(各異性体)、N,N'−(4,4'−メタンジイル−ジフェニル)−ビスカルバミン酸ジ(クミルフェニル)エステル(各異性体)等が挙げられる。
以上に示した、本実施の形態の製造方法は、高収率・高純度でN-置換カルバミン酸エステルを得ることができるので、イソシアネート製造用の原料として好適に使用される。なお、本実施の形態の製造方法によって得られるN-置換カルバミン酸エステルは、例えば、蒸留分離、晶析、膜分離等の公知の方法によって精製されたのち、イソシアネートの製造に使用することもできるし、上記方法によって得られた反応液をそのまま加熱してN-置換カルバミン酸エステルの熱分解をおこなってイソシアネートを製造することもできる。
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<分析方法>
(1)NMR分析方法
装置:日本国、日本電子(株)社製JNM−A400 FT−NMRシステム
1Hおよび13C−NMR分析サンプルの調製
サンプル溶液を約0.3g秤量し、重クロロホルム(米国、アルドリッチ社製、99.8%)を約0.7gと内部標準物質としてテトラメチルスズ(日本国、和光純薬工業社製、和光一級)を0.05g加えて均一に混合した溶液をNMR分析サンプルとした。
・定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
(2)液体クロマトグラフィー分析方法
装置:日本国、島津製作所社製 LC−10ATシステム
カラム:日本国、GLサイエンス社製 Inertsil−ODSカラムを2本直列に接続
展開溶媒:5mmol/L酢酸アンモニウム水溶液(A液)とアセトニトリル(B液)との混合液
展開溶媒流量:2mL/min
カラム温度:35℃
検出器:R.I.検出器(屈折率計)、および、PDA検出器(フォトダイオードアレイ検出器、測定波長範囲:200nm〜300nm)
・液体クロマトグラフィー分析サンプル
サンプルを約0.1g秤量し、テトラヒドロフラン(日本国、和光純薬工業社製、脱水)を約1gと内部標準物質として1,1−ジエチル尿素(日本国、東京化成社製)を約0.02g加えて均一に混合した溶液を、液体クロマトグラフィー分析のサンプルとした。
・定量分析法
各標準物質について分析を実施し、作成した検量線を基に、分析サンプル溶液の定量分析を実施した。
[比較例1]
・工程(A−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
図1に示すような反応器にてN−置換カルバミン酸エステルの製造をおこなった。
3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン1.5kg(7.1モル)と尿素1.3kg(21.6モル)とフェノール17.1kg(181.7モル)とを混合し原料溶液とした。段数40段の棚段式蒸留塔102にフェノールを投入し、リボイラー106でフェノールを炊き上げて全還流状態とした。この時、塔頂の圧力は2.6気圧であり、ライン2が具備する37段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの2/10の位置)の温度は230℃であった。運転条件が安定した後、該蒸留塔102の最上段(1段目)に具備したライン1より、原料溶液と同じ組成の混合液を約2.8kg/Hrで導入し、反応液を、蒸留塔102の最底部に具備したライン6を経由して貯槽105に回収した。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、3−(フェノキシカルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステルを含有し、該3−(フェノキシカルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステルの、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は約61%であった。また、該反応液は、尿素結合を有する化合物として、ジフェニル−5,5’−(カルボニルビス(アザンジイル)ビス(メチレン))ビス(3,3,5−トリメチルシクロヘキサン−5,1−ジイル)ジカルバメートを約30質量%含有していた。
また、定常運転時に、該蒸留塔の15段目に具備したサンプリング口から反応液を採取して分析したところ、尿素は検出されなかった。
[実施例1]
・工程(1−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、尿素とフェノールとの混合液(尿素濃度約12.0重量%)を約1.4kg/Hrでフィードした以外は、比較例1の工程(A−1)と同様の方法をおこなった。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、3−(フェノキシカルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステルを含む溶液であり、該3−(フェノキシカルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸フェニルエステルの、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は約93%であった。
[比較例2]
・工程(B−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
図1に示すような反応器にてN−置換カルバミン酸エステルの製造をおこなった。
4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)1.5kg(7.1モル)と尿素1.3kg(21.6モル)とフェノール17.1kg(181.7モル)とを混合し原料溶液とした。段数40段の棚段式蒸留塔102にフェノールを投入し、リボイラー105でフェノールを炊き上げて全還流状態とした。この時、塔頂の圧力は2.3気圧であり、ライン2が具備する37段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの2/10の位置)の温度は220℃であった。運転条件が安定した後、該蒸留塔102の最上段(1段目)に具備したライン1より、原料溶液と同じ組成の混合液を約2.8kg/Hrで導入し、反応液を、蒸留塔102の最底部に具備したライン6を経由して貯槽105に回収した。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)を含有し、該4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)の、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は約75%であった。また、該反応液は、尿素結合を有する化合物として、4,4’−(4,4’−カルボニルビス(アザンジイル)ビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ビス(メチレン))ビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)を約22質量%含有していた。
[実施例2]
・工程(2−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、尿素とフェノールとの混合液(尿素濃度約4.0重量%)を約3.0kg/Hrでフィードした以外は、比較例2の工程(B−1)と同様の方法をおこなった。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)を含む溶液であり、該4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)の、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は約90%であった。
[実施例3]
・工程(3−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、ビウレットとフェノールとの混合液(ビウレット濃度約3.3重量%)を約3.0kg/Hrでフィードした以外は、比較例2の工程(B−1)と同様の方法をおこなった。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)を含む溶液であり、該4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)の、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は約93%であった。
[実施例4]
・工程(4−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、カルバミン酸フェニルとフェノールとの混合液(カルフバミン酸フェニル濃度約9.0重量%)を約3.0kg/Hrでフィードした以外は、比較例2の工程(B−1)と同様の方法をおこなった。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)を含む溶液であり、該4,4’−メチレンビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ジ(カルバミン酸フェニルエステル)の、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は約95%であった。
[比較例3]
・工程(C−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
図1に示すような反応器にてN−置換カルバミン酸エステルの製造をおこなった。 1,6−ヘキサメチレンジアミン1.2kg(10.3モル)と4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール28.3kg(137.2モル)と尿素3.0kg(50.0モル)とを混合し原料溶液を調製した。段数40段の棚段式蒸留塔102を加熱し、塔頂部の圧力を約10kPaとした。この時、ライン2が具備する37段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの2/10の位置)の温度は、240℃であった。運転条件が安定した後、該蒸留塔102の最上段(1段目)に具備したライン1より、原料溶液と同じ組成の混合液を約2.8kg/Hrで導入し、反応液を、蒸留塔102の最底部に具備したライン6を経由して貯槽105に回収した。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約72%であった。また、該反応液には、尿素結合を含む化合物である、6,6’−カルボニルビス(アザンジイル)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニルエステル)が含まれており、該6,6’−カルボニルビス(アザンジイル)ビス(ヘキサン−6,1−ジイル)ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約22%であった。
[実施例5]
・工程(5−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、尿素と4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールとの混合溶液(尿素濃度約5重量%)を約1.2kg/Hrでフィードした以外は、比較例3の工程(C−1)と同様の方法をおこなった。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約87%であった。
[実施例6]
・工程(6−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
比較例3の工程(C−1)において、蒸留塔102の最上部に具備したライン3より気相成分を回収し、約120℃に保持された凝縮器103で凝縮して得られる成分を貯槽104に回収した。貯槽104に回収した成分について1H−NMR測定をおこなったところ、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸フェニルとを含む混合物であり、それぞれの濃度は、(尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)=(4.5質量%、0.5質量%、0.003質量%、0.004質量%、0.8質量%)であった。また、混合物中のアンモニア濃度は320ppmであった。ライン7aを具備する5段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの7/10の位置)より、フィード量約1.2kg/Hrでこの凝縮された混合物をフィードした以外は、比較例3の工程(C−1)と同様の方法をおこなった。貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約90%であった。
・工程(6−2):N−置換カルバミン酸エステルの熱分解によるイソシアネートの製造
図2に示す装置を使用してイソシアネートの製造をおこなった。
伝熱面積が0.1m2の薄膜蒸留装置202を220℃に加熱し、該薄膜蒸留装置内の圧力を約1.3kPaとした。工程(4−1)で貯槽105に回収した反応液を貯槽201に投入し、ライン20を介して、約1.8kg/Hrで該薄膜蒸留装置202に供給した。該薄膜蒸留装置202の底部に具備されたライン22より液体成分を抜き出し、貯槽203に回収した。薄膜蒸留装置202の上部に具備されたライン21より、ヘキサメチレンジイソシアネートと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールとを含む気体成分を抜き出した。
該気体成分を蒸留塔204に導入し、ヘキサメチレンジイソシアネートと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールとを蒸留分離した。4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールを含む高沸成分の一部は、蒸留塔204の底部に具備されたライン26を経て貯槽203に戻し、一部は、リボイラー208を経て再び蒸留塔204に供給し、残りは、貯槽209に回収した。蒸留塔204の塔頂部より、ライン24を介してヘキサメチレンジイソシアネートを含有する気相成分を抜き出し、コンデンサー205で凝縮し、該凝縮液の一部は蒸留塔204に戻した。貯槽207には、ヘキサメチレンジイソシアネートを含有する凝縮液が得られた。1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約83%であった。
[実施例7]
・工程(7−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン7bが具備する25段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの4/10の位置)より、フィード量約1.2kg/Hrで凝縮器103で凝縮して得られる成分をフィードした以外は、実施例6の工程(6−1)と同様の方法をおこなった。貯槽104に回収した凝縮液について1H−NMR測定をおこなったところ、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸フェニルとを含む混合物であり、それぞれの濃度は、(尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)=(4.5質量%、0.5質量%、0.003質量%、0.004質量%、0.8質量%)であった。また、混合物中のアンモニア濃度は320ppmであった。貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約88%であった。
[実施例8]
・工程(8−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
ライン2より、フィード量約1.2kg/Hrで凝縮器103で凝縮して得られる成分をフィードした以外は、実施例6の工程(6−1)と同様の方法をおこなった。貯槽104に回収した凝縮液について1H−NMR測定をおこなったところ、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸フェニルとを含む混合物であり、それぞれの濃度は、(尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)=(4.5質量%、0.5質量%、0.003質量%、0.004質量%、0.8質量%)であった。また、混合物中のアンモニア濃度は320ppmであった。貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約95%であった。
[実施例9]
・工程(9−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
凝縮器103で凝縮して得られる成分をライン7a、7b、2より、それぞれフィード量約0.4kg/Hrでフィードした以外は、実施例6の工程(6−1)と同様の方法をおこなった。貯槽104に回収した凝縮液について1H−NMR測定をおこなったところ、4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸フェニルとを含む混合物であり、それぞれの濃度は、(尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)=(4.5質量%、0.5質量%、0.003質量%、0.004質量%、0.8質量%)であった。また、混合物中のアンモニア濃度は320ppmであった。貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約95%であった。
[実施例10]
・工程(10−1):N−置換カルバミン酸エステルの製造
貯槽104に回収した凝縮液(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールと尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸フェニルとを含む混合物であり、それぞれの濃度は、(尿素、ビウレット、トリウレット、シアヌレート、カルバミン酸4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)=(4.5質量%、0.5質量%、0.03質量%、0.04質量%、0.8質量%)であり、該凝縮液中のアンモニア濃度は320ppm)に加えて、貯槽104にカルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステルと4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールとの混合溶液(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル濃度約40重量%)を約1.5kg/Hrをフィードした以外は、実施例6の工程(6−1)と同様の方法をおこなった。貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)を含む溶液であり、該N,N’−ヘキサンジイル−ジ(カルバミン酸(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル)エステル)の、1,6−ヘキサメチレンジアミンに対する収率は約96%であった。
[実施例11]
・工程(11−1):ウレイド基を有する化合物の製造
図3で表される装置を使用した。
ライン36を閉止した状態で、4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノール52.8kg(248.7モル)と尿素4.2kg(69.9モル)とを、120℃に加熱した貯槽601で混合し、該混合液を、120℃に加熱した攪拌槽303へ移送した。攪拌槽303において、該混合液を攪拌している状態で、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン2.9kgを、貯槽302よりライン32を経て、攪拌槽303に、約1.8kg/Hrの速度で供給した。3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンの供給が終了したのち、約4時間攪拌し、反応液をサンプリングした。該反応液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、3−ウレイドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルウレアが、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対して収率約97%で生成していた。
ライン36を開き、該反応液を、ライン36を経て貯槽306に移送した。
・工程(11−2):N−置換カルバミン酸エステルの製造
図1に示す装置を使用した。
段数40段の棚段式蒸留塔102に4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを投入し、リボイラー105で4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールを炊き上げて全還流状態とした。この時、塔頂部の圧力は1.5kPaであり、ライン2が具備する37段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの2/10の位置)の温度は230℃であった。該蒸留塔102の最上段(1段目)に具備したライン1より、工程(11−1)で得られた反応液と同じ組成の混合液を約1.8kg/Hrで導入し、同時に、ライン2より、カルバミン酸(4−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エステルと4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノールとの混合液(カルバミン酸(4−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エステル濃度約13重量%)を約1.6kg/Hrでフィードした。運転条件が安定したのち、工程(20−1)で得られた反応液を約1.9kg/Hrでライン1より供給し、反応液を、蒸留塔102の最底部に具備したライン6を経由して貯槽105に回収した。蒸留塔102の最上部に具備したライン3より気相成分を回収し、約85℃に保持された凝縮器103で凝縮して得られる成分を貯槽104に回収した。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、3−((4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ)カルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(4−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エステルを含む溶液であり、該3−((4−(α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ)カルボニルアミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルカルバミン酸(4−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)エステルの、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンに対する収率は約96%であった。
[実施例12]
・工程(12−1):ウレイド基を有する化合物の製造
図3で表される装置を使用した。
ライン36を閉止した状態で、4−ノニルフェノール60.1kg(272.7モル)と尿素3.5kg(58.3モル)とを、120℃に加熱した貯槽301で混合し、該混合液を、120℃に加熱した攪拌槽303へ移送した。攪拌槽303において、該混合物を攪拌している状態で、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)2.8kgを、貯槽302よりライン32を経て、攪拌槽303に、約3.0kg/Hrの速度で供給した。4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)の供給が終了したのち、約4時間攪拌し、反応液をサンプリングした。該反応液を液体クロマトグラフィーで分析した結果、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルウレア)が、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対して収率約99%で生成していた。
ライン36を開き、該反応液を、ライン36を経て貯槽306に移送した。
・工程(12−2):N−置換カルバミン酸エステルの製造
図1に示す装置を使用した。
段数40段の棚段式蒸留塔102に4−ノニルフェノールを投入し、リボイラー105で4−ノニルフェノールを炊き上げて全還流状態とした。この時、塔頂部の圧力は2.5kPaであり、ライン2が具備する37段目(塔頂側から数える。最下段から棚段式蒸留塔102本体の長さの2/10の位置)の温度は240℃であった。該蒸留塔102の最上段(1段目)に具備したライン1より、工程(12−1)で得られた反応液と同じ組成の混合液を約3.0kg/Hrで導入し、同時に、ライン2より、尿素、ビウレットとトリウレットと4−ノニルフェノールとの混合液(尿素濃度約3.2重量%、ビウレット濃度1.5重量%、トリウレット濃度0.01重量%)を約1.2kg/Hrでフィードした。運転条件が安定したのち、工程(12−1)で得られた反応液を約1.9kg/Hrでライン1より供給し、反応液を、蒸留塔102の最底部に具備したライン6を経由して貯槽105に回収した。蒸留塔102の最上部に具備したライン3より気相成分を回収し、約85℃に保持された凝縮器103で凝縮して得られる成分を貯槽104に回収した。
貯槽105に回収した反応液を、液体クロマトグラフィーおよび1H−NMRで分析したところ、該反応液は、4,4’−(4,4’−カルボニルビス(アザンジイル)ビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ビス(メチレン)ジ(カルバミン酸(4−ノニルフェニル)エステル)を含む溶液であり、該4,4’−(4,4’−カルボニルビス(アザンジイル)ビス(シクロヘキサン−4,1−ジイル)ビス(メチレン)ジ(カルバミン酸(4−ノニルフェニル)エステル)の、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)に対する収率は約93%であった。
本実施の形態の製造方法は、尿素の原単位を悪化させることなくN−置換カルバミン酸エステルを製造することができる。また、本実施の形態における製造方法で得られるN−置換カルバミン酸エステルは、猛毒のホスゲンを使用することなくイソシアネートを製造するための原料として好適であることから、本実施の形態に係る製造方法は、産業上大いに有用である。
(図1) 100、101、104、105:貯槽、102:棚段式蒸留塔、103:凝縮器、106:リボイラー、107:気液分離器、1、2、3、4、5、6、7a、7b:ライン
(図2) 201、203,207、209:貯槽、202:薄膜蒸留装置、204:蒸留塔、205:凝縮器、206:気液分離器、208:リボイラー、20、21、22、23、24、25、26:ライン
(図3) 301、302,304、306:貯槽、303:攪拌槽、305:気液分離器、307:凝縮器、31、32、33、34、35、36:ライン

Claims (6)

  1. 供給される原料である、有機アミンと、尿素と、芳香族ヒドロキシ化合物とから、N−置換カルバミン酸エステルを製造する方法であって、前記原料を多段蒸留塔に供給する工程と、尿素、イソシアン酸、ビウレット、および、下記式(2)で表されるエステル基が芳香族ヒドロキシ化合物に由来するN−無置換カルバミン酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種の炭酸誘導体、前記芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物を該N−置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる多段蒸留塔に供給する工程を有し、前記組成物の供給箇所が、前記原料が供給される箇所よりも下段であり、かつ前記多段蒸留塔の最下段から最上段の高さ方向の全長をLとしたときの最下段から3/4×Lの範囲である、製造方法
    (式中、環Aは、b個のヒドロキシ基で置換された芳香族基を含有する炭素数が6〜50の有機基を表し、bは1〜3の整数であり、dは1〜3の整数でbを超えない値である。)
  2. N−無置換カルバミン酸エステルのエステル基が芳香族ヒドロキシ化合物に由来する基である請求項1記載の製造方法。
  3. 該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物が、該N−置換カルバミン酸エステルの合成反応が行われる多段蒸留塔に具備した凝縮器より回収された組成物である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 該芳香族ヒドロキシ化合物が、下記式(3)で表される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
    (環Aは、b個のヒドロキシ基で置換された芳香族基を含有する炭素数が6〜50の有機基を表し、bは1〜3の整数である)
  5. 該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A]に対する炭酸誘導体のモル数[B]の比率が0.0001〜1の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 該炭酸誘導体と芳香族ヒドロキシ化合物とを含む組成物において、該芳香族ヒドロキシ化合物のモル数[A]に対するビウレットのモル数[C]の比率が0.0001〜1の範囲である請求項1記載の製造方法。
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