JP6437262B2 - 実装体の製造方法、温度ヒューズ素子の実装方法及び温度ヒューズ素子 - Google Patents

実装体の製造方法、温度ヒューズ素子の実装方法及び温度ヒューズ素子 Download PDF

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    • H01H85/11Fusible members characterised by the shape or form of the fusible member with applied local area of a metal which, on melting, forms a eutectic with the main material of the fusible member, i.e. M-effect devices

Description

本発明は、回路基板に温度ヒューズ素子が実装された実装体に関し、実装体の製造時に曝される高温環境において溶断せず、かつ使用時には周囲の温度雰囲気に応じて溶断するヒューズエレメントを備える温度ヒューズ素子が実装された実装体の製造方法、温度ヒューズ素子の実装方法及び温度ヒューズ素子に関する。
充電して繰り返し利用することのできる二次電池の多くは、バッテリパックに加工されてユーザに提供される。特に重量エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池においては、ユーザ及び電子機器の安全を確保するために、一般的に、過充電保護、過放電保護等のいくつもの保護回路をバッテリパックに内蔵し、所定の場合にバッテリパックの出力を遮断する機能を有している。
この種の保護回路では、バッテリパックに内蔵されたFET(Field effect transistor)スイッチを用いて出力のON/OFFを行うことにより、バッテリパックの過充電保護又は過放電保護動作を行う。しかしながら、何らかの原因でFETスイッチが短絡破壊した場合、雷サージ等が印加されて瞬間的な大電流が流れた場合、あるいはバッテリセルの寿命によって出力電圧が異常に低下したり、逆に過大異常電流を出力した場合であっても、バッテリパックや電子機器は、発火等の事故から保護されなければならない。そこで、このような想定し得るいかなる異常状態において、バッテリセルの出力を安全に遮断するために、外部からの信号によって電流経路を遮断する機能を有する保護素子からなる保護素子が用いられる。
このようなリチウムイオン二次電池等向けの保護回路の保護素子として、特許文献1に記載されているように、保護素子内部に発熱体を有し、この発熱体によって電流経路上のヒューズエレメントを溶断する構造が一般的に用いられている。
本発明の関連技術として、図17(A)(B)に保護素子100を示す。保護素子100は、絶縁基板101と、絶縁基板101に積層され、ガラス等の絶縁部材102に覆われた発熱体103と、絶縁基板101の両端に形成された一対の電極104a,104bと、絶縁部材101上に発熱体103と重畳するように積層された発熱体引出電極105と、両端が一対の電極104a,104bにそれぞれ接続され、中央部が発熱体引出電極105に接続されたヒューズエレメント106とを備える。
発熱体引出電極105の一端は、第1の発熱体電極107に接続される。また、発熱体103の他端は、第2の発熱体電極108に接続される。なお、保護素子100は、ヒューズエレメント106の酸化防止のために、ヒューズエレメント106上のほぼ全面にフラックス111が塗布されている。また、保護素子100は、内部を保護するためにカバー部材が絶縁基板101上に載置されている。
このような保護素子100は、絶縁基板101の表面に形成された一対の電極104a,104bが、絶縁基板の側面に形成された導電スルーホール109を介して、絶縁基板101の裏面に形成された外部接続電極110と電気的に接続されている。そして、保護素子100は、リチウムイオン二次電池等向け保護回路の基板上に、外部接続電極110が接続されることにより、当該保護回路の電流経路の一部を構成する。
そして、保護素子100は、バッテリパックの異常電圧等が検知されると、第2の発熱体電極108と電極104a又は電極104bとの間が通電され、発熱体103が発熱される。そして、保護素子100は、ヒューズエレメント106が発熱体103の熱により溶融し、溶融エレメントが発熱体引出電極105上に凝集する。これにより、保護素子100は、ヒューズエレメント106によって接続されていた一対の電極104a,104b間が遮断されるとともに、発熱体103の給電経路が遮断されることにより発熱体103の発熱が停止される。
特開2010−003665号公報
このような保護素子100を作動させるためには、素子内部にヒューズエレメント106及びヒューズエレメント106を溶融させる熱源となる発熱体103を設けるとともに、保護素子100を発熱体103への通電経路上に接続する必要がある。また、保護素子100が実装される回路基板には、発熱体103への通電経路上に発熱体103への通電を制御する制御素子を設け、バッテリセルの異常電圧時等、所定の作動条件を満たしたときに発熱体103へ通電させる必要がある。
しかし、通電制御用のFETの故障に伴う過充電保護においては、FETの異常温度をPTC(Positive Temperature Coefficient)などの温度センサーにて検知し、その抵抗値変化を二次保護ICが判断し制御素子を介して保護素子100を動作させているが、その動作ステップに多いて間接的に3つのデバイスが介在する為に安全回路上好ましくなく、このケースに於いては異常温度を直接検知して通電を遮断する温度ヒューズを発熱部位に設置するのが安全設計上好ましい。
しかし、この種の温度ヒューズは耐熱温度が低く、リード部品であるが故に手実装となり実装コストが高めになるディメリットがある。温度ヒューズを回路基板に実装する工程において、リフロー実装等によって表面実装ができれば、容易に温度ヒューズが実装された実装体を製造できる。ここで、リフロー実装等の熱処理を伴う工程によって実装を行うためには、温度ヒューズに搭載されたヒューズエレメントが実装温度においても溶融、変形しない耐熱性を備えることが求められる。実装時の高温環境下でヒューズエレメントが溶融すると、温度ヒューズの定格の変動を招く恐れがあり、また回路基板の電流経路が遮断されてしまうと当該機器を使用できない。
このため、ヒューズエレメントはリフロー等の実装温度に曝された場合にも溶融せずに形状を維持できる高い融点を有することが求められる。
一方、保護素子を周囲の高温環境に応じて遮断する温度ヒューズ素子として構成する場合、ヒューズエレメントを融点の高い金属で形成すると、ヒューズ本来の要求である速溶断性を損なってしまう。
そこで、本発明は、ヒューズエレメントの融点以上の温度雰囲気において作動させることができる温度ヒューズ素子が実装された実装体の製造方法において、温度ヒューズ素子が実装温度に曝された場合にもヒューズエレメントの溶融、変形が防止できる実装体の製造方法、温度ヒューズ素子の実装方法、及び温度ヒューズ素子を提供することを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る実装体の製造方法は、回路基板に温度ヒューズ素子が実装された実装体の製造方法において、上記温度ヒューズ素子に対して熱処理を少なくとも1回行い、上記温度ヒューズ素子は、上記熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融するヒューズエレメントを備え、上記熱処理は、上記低融点金属の融点以上の温度で行うものである。
また、本発明に係る温度ヒューズ素子の実装方法は、回路基板に温度ヒューズ素子を実装する実装方法において、上記温度ヒューズ素子に対して熱処理を少なくとも1回行い、上記温度ヒューズ素子は、上記熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融するヒューズエレメントを備え、上記熱処理は、上記低融点金属の融点以上の温度で行うものである。
また、本発明に係る温度ヒューズ素子は、回路基板へ実装されることにより実装体を構成し、上記実装体の製造工程において、少なくとも1回の熱処理工程を経る温度ヒューズ素子において、絶縁基板と、上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、上記熱処理工程の温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理工程の温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記第1、第2の電極間にわたって搭載され、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融することにより上記第1、第2の電極間を遮断するヒューズエレメントを備えるものである。
本発明によれば、ヒューズエレメントは、熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属と熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有することから、熱処理工程において低融点金属の融点以上の温度に曝されても、変形や低融点金属の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動を防止することができる。
図1は、本発明に係る実装体を示す断面図である。 図2は、ヒューズエレメントの一例を示す断面図である。 図3は、ヒューズエレメントの一例を示す断面図である。 図4は、ヒューズエレメントの一例を示す斜視図であり、(A)は低融点金属層の上面及び裏面に高融点金属層が積層された構成、(B)は低融点金属層の対向する2つの端面を除く外周部が高融点金属層によって被覆された構成、(C)は丸線状に形成した構成を示す。 図5は、保護部材によって保護されたヒューズエレメントを示す斜視図である。 図6は、複数の溶断部を有するヒューズエレメントを用いた温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図である。 図7は、複数の溶断部を有するヒューズエレメントを示す図であり、(A)は平面図、(B)は溶断部の一方の端部を自由端としたヒューズエレメントの平面図である。 図8は、複数の溶断部を有するヒューズエレメントを用いるとともに、溶断部間に絶縁壁を形成した温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)は分解斜視図、(B)は平面図である。 図9は、複数の溶断部を有するヒューズエレメントを用いるとともに、絶縁基板の表面に絶縁壁を形成した温度ヒューズ素子を示す断面図である。 図10は、複数の溶断部を有するヒューズエレメントを用いるとともに、カバー部材に絶縁壁を形成した温度ヒューズ素子を示す断面図である。 図11は、溶断部の間に液状あるいはペースト状の絶縁材料を塗布し、硬化させることにより絶縁壁を形成した温度ヒューズ素子を示す断面図である。 図12は、外部回路と接続される端子部を一体に形成したヒューズエレメントを用いた温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)はカバー部材の搭載前の状態を示す斜視図、(B)はカバー部材を搭載した状態を示す斜視図、(C)は絶縁基板を示す斜視図である。 図13は、絶縁基板の表面に複数のヒューズエレメントが嵌合された温度ヒューズ素子を示す斜視図である。 図14は、ヒューズエレメントの端子部を絶縁基板の表面側に突出させた温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)はカバー部材の搭載前の状態を示す斜視図、(B)はカバー部材を搭載した状態を示す斜視図、(C)はフェースダウンによって実装する状態を示す斜視図、(D)は絶縁基板を示す斜視図である。 図15は、ヒューズエレメントの端部を電極に導通ワイヤーで接続させた温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)はカバー部材の搭載前の状態を示す平面図、(B)はカバー部材を搭載した状態を示す断面図である。 図16は、ヒューズエレメントの端部を電極にハンダで接続させた温度ヒューズ素子を示す図であり、(A)はカバー部材の搭載前の状態を示す斜視図、(B)はカバー部材の搭載前の状態を示す断面図である。 図17は、参考例に係る保護素子をカバー部材を省略して示す図であり、(A)は平面図、(B)は(A)に示すA−A’断面図である。
以下、本発明が適用された実装体の製造方法、温度ヒューズ素子の実装方法及び温度ヒューズ素子について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[温度ヒューズ素子]
本発明が適用された温度ヒューズ素子1は、図1に示すように、回路基板2へ表面実装されることにより実装体3を構成し、実装体3の製造工程において、少なくとも1回の熱処理工程を経る温度ヒューズ素子であり、絶縁基板10と、絶縁基板10に設けられた第1、第2の電極11,12と、第1、第2の電極11,12間にわたって搭載され所定の温度雰囲気において溶融することにより第1、第2の電極11,12間を遮断するヒューズエレメント13を備える。
そして、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13の溶融温度以上の温度雰囲気および、定格電流以上の過電流による自己発熱においてヒューズエレメント13が溶融し、溶融エレメント13aが第1、第2の電極11,12上に凝集することにより、第1、第2の電極11,12間を遮断するものである。
[温度雰囲気]
温度ヒューズ素子1は、外部の熱源から伝わる熱によりヒューズエレメント13を溶融させる。温度雰囲気とは、温度ヒューズ素子1の外部の熱源によって作り出されたヒューズエレメント13が溶融する温度環境をいい、例えば温度ヒューズ素子1の近傍に設けられたデバイスの異常発熱による煽り熱が温度ヒューズ素子1の内部に伝わることで作り出される。また、ヒューズエレメント13の融点以上の温度雰囲気は、温度ヒューズ素子1が用いられた電子製品の発火や周囲の火災による熱が温度ヒューズ素子1の内部に伝わることで作り出されたものでもよい。さらに、ヒューズエレメント13の融点以上の温度雰囲気は、事故や災害時等の緊急事態のみならず、不可逆的に電流経路を遮断するための通常の用い方として、外部の熱源による熱が温度ヒューズ素子1の内部に伝わることで作り出されたものでもよい。
[伝熱部材]
また、ヒューズエレメント13を溶融させる温度雰囲気は、温度ヒューズ素子1内部の空気又は素子内部の構成部品が素子外部の熱を伝える伝熱部材として機能することにより作り出される。伝熱部材は、温度ヒューズ素子1外部の熱源の熱を伝えるものであり、例えば温度ヒューズ素子1の外筐体や絶縁基板10、第1、第2の電極11,12、その他の構成部材を用いることができ、直接的、間接的にヒューズエレメント13と接続されることによりヒューズエレメント13を加熱する。また、伝熱部材は、例えば、第1の電極11及び/又は第2の電極12と接続される電極パターン、線材、又はヒートパイプ、熱伝導グリス/接着剤等により形成することができ、熱源からの熱を第1の電極11及び/又は第2の電極12を介して間接的にヒューズエレメント13に伝え、溶融させる。
なお、伝熱部材は、ヒートパイプ等の導電性の部材を用いる場合には、周囲との絶縁を図るために、少なくとも表面が絶縁材料で被覆されていることが好ましい。
[絶縁基板]
絶縁基板10は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材を用いて略方形状に形成されている。絶縁基板10は、その他にも、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよいが、ヒューズエレメント13の溶断時の温度に留意する必要がある。
また、絶縁基板10は、セラミック基板等の熱伝導性に優れた絶縁材料や、表面が絶縁材料によってコーティングされた金属基板を用いることが好ましい。これにより、絶縁基板10は、ヒューズエレメント13に外部の熱源の熱を伝える伝熱部材として機能する。外部の熱源の熱は絶縁基板10を介して第1の電極11を介して直接ヒューズエレメント13に伝わるとともに、温度ヒューズ素子1内におけるあおり熱として間接的にヒューズエレメント13に伝わる。これにより、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13の融点以上の温度雰囲気が作り出され、ヒューズエレメント13を溶融させることができる。
[第1、第2の電極]
第1、第2の電極11,12は、絶縁基板10の表面10aに形成されたCuやAg等の導体パターンであり、表面に適宜、酸化防止対策としてNi/AuメッキやSnメッキ等の保護層14が設けられている。また、第1、第2の電極11,12は、絶縁基板10の裏面10bに形成された外部接続端子11a,12aと接続されている。温度ヒューズ素子1は、これら外部接続端子11a,12aが回路基板2のランド部2aに接続されることにより、電源回路やデジタル信号回路等の各種外部回路に組み込まれる。
第1、第2の電極11,12は、例えば絶縁基板10上にAg等の高融点金属ペーストを印刷、焼成する等により、同一平面上に形成される。
[ヒューズエレメント]
第1、第2の電極11,12間にわたって実装されているヒューズエレメント13は、温度ヒューズ素子1の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有し、使用時には低融点金属20の融点以上、高融点金属21の融点未満の温度雰囲気において溶融し、溶融エレメント13aが第1、第2の電極11,12上に凝集することにより、第1、第2の電極11,12間を遮断するものである。また、ヒューズエレメント13は、温度ヒューズ素子1に定格を超える電流が通電すると自己発熱(ジュール熱)により溶断し、第1の電極11と第2の電極12との間の電流経路を遮断するものである。
ヒューズエレメント13は、内層と外層とからなる積層構造体であり、内層として低融点金属20からなる低融点金属層20a、低融点金属層20aに積層された外層として高融点金属21からなる高融点金属層21aを有し、略矩形板状に形成されている。ヒューズエレメント13は、接続用ハンダ等の接着材料15を介して第1、第2の電極11,12間に搭載された後、リフローはんだ付け等により絶縁基板10上に接続される。
低融点金属20は、好ましくは、Snを主成分とする金属であり、「Pbフリーハンダ」と一般的に呼ばれる材料である。低融点金属20の融点は、実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低く、例えばリフロー炉の温度よりも低い、200℃程度で溶融してもよい。また、低融点金属20として、Sn−Bi系のハンダ合金を用いた場合、融点が約138℃と、さらに融点を下げることができ、また、Sn−In系のハンダ合金を用いた場合、融点が約120℃と、さらに融点を下げることができ、これにより熱処理工程の温度に至らない温度雰囲気においてヒューズエレメント13を溶断することができる。高融点金属21は、低融点金属層20aの表面に積層され、例えば、Ag若しくはCu又はこれらのうちのいずれかを主成分とする金属であり、ヒューズエレメント13をリフロー等の熱処理工程によって絶縁基板10上に実装する場合においても溶融しない高い融点を有する。
ヒューズエレメント13は、内層となる低融点金属層20aに、外層として高融点金属層21aを積層することによって、リフロー温度が低融点金属20の溶融温度を超えた場合であっても、ヒューズエレメント13として溶断するに至らない。したがって、温度ヒューズ素子1及びヒューズエレメント13は、リフローによって効率よく実装することができる。
また、ヒューズエレメント13は、低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶断し、溶融エレメント13aが第1、第2の電極11,12間の電流経路を遮断する。このとき、ヒューズエレメント13は、溶融した低融点金属20が高融点金属21を浸食することにより、高融点金属21が高融点金属21の融点よりも低い温度で溶融を開始する。したがって、ヒューズエレメント13は、低融点金属20による高融点金属21の浸食作用を利用して短時間で溶断することができる。加えて、ヒューズエレメント13の溶融金属は、第1、第2の電極11,12の物理的な引き込み作用により左右に分断されることから、速やかに、かつ確実に、第1、第2の電極11,12間の電流経路を遮断することができる。
ここで、ヒューズエレメント13は、低融点金属20としてSn−Bi系ハンダ合金やSn−In系ハンダ合金を用いることにより、熱処理工程の温度に至らない温度雰囲気において溶断することができる。したがって、温度ヒューズ素子1を用いた実装体の温度雰囲気として、回路基板2や実装体3が用いられた電子機器等の他のデバイスに深刻な影響が生じる温度に至る前にヒューズエレメント13を溶断させることができ、安全性を向上させることができる。
また、ヒューズエレメント13は、所定の定格電流が流れている間は、自己発熱によっても溶断することがない。そして、定格よりも高い値の電流が流れると、自己発熱によって溶融し、第1、第2の電極11,12間の電流経路を遮断する。このときも、ヒューズエレメント13は、溶融した低融点金属20が高融点金属21を浸食することにより、高融点金属21が高融点金属21の融点よりも低い温度で、速やかに溶融する。
また、ヒューズエレメント13は、内層となる低融点金属層20aに高融点金属層21aが積層されて構成されているため、溶断温度を従来の高融点金属からなるチップヒューズ等よりも大幅に低減することができる。したがって、ヒューズエレメント13は、同一サイズのチップヒューズ等に比して、断面積を大きくでき電流定格を大幅に向上させることができる。また、同じ電流定格をもつ従来のチップヒューズよりも小型化、薄型化を図ることができ、速溶断性に優れる。
また、ヒューズエレメント13は、温度ヒューズ素子1が組み込まれた電気系統に異常に高い電圧が瞬間的に印加されるサージへの耐性(耐パルス性)を向上することができる。すなわち、ヒューズエレメント13は、例えば100Aの電流が数msec流れたような場合にまで溶断してはならない。この点、従来のPb系ヒューズエレメントに比べSnとAgから成る本願のヒューズエレメントは比抵抗が約1/4〜1/3と小さく低抵抗であり、且つ極短時間に流れる大電流は導体の表層を流れることから(表皮効果)、ヒューズエレメント13は、外層として抵抗値の低いAgメッキ等の高融点金属層21aが設けられているため、サージによって印加された電流を流しやすく、自己発熱による溶断を防止することができる。したがって、ヒューズエレメント13は、従来のPb系ハンダ合金からなるヒューズに比して、大幅にサージに対する耐性を向上させることができる。
なお、ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aの体積を高融点金属層21aの体積よりも大きくすることが好ましい。ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aの体積を多くすることにより、実装体の製造工程における熱処理の温度において溶融、変形することなく定格を維持するとともに、使用時においては低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において効果的に高融点金属層21aの浸食による短時間での溶断を行うことができる。
具体的にヒューズエレメント13は、内層が低融点金属層20a、外層が高融点金属層21aの被覆構造であり、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの層厚比が、低融点金属層:高融点金属層=2.1:1〜100:1としてもよい。これにより、ヒューズエレメント13は、実装体の製造工程における熱処理の温度において、溶融、変形を防止することができる。
すなわち、ヒューズエレメント13は、内層を構成する低融点金属層20aの上下面に高融点金属層21aが積層されることから、層厚比が、低融点金属層:高融点金属層=2.1:1以上に低融点金属層20aが厚くなるほど低融点金属層20aの体積が高融点金属層21aの体積よりも多くすることができる。
なお、ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を設定することにより、実装体の製造工程における熱処理に対する耐性が規定される。すなわち、ヒューズエレメント13は、熱処理工程において、内層を構成する低融点金属20の融点以上の温度雰囲気に曝されることから、熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属21の膜厚を厚くすることにより熱処理に対する耐性を向上することができる。したがって、ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、例えば少なくとも1回の熱処理工程に対する耐熱性を備え、絶縁基板10への実装は超音波溶接等の非熱処理工程で行い、温度ヒューズ素子1を回路基板2に実装する際にリフローを行う場合に、溶断や変形等を防止することができる。また、ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、例えば少なくとも2回の熱処理工程に対する耐熱性を有し、絶縁基板10へ実装する際、及び温度ヒューズ素子1を回路基板2に実装する際にリフローを行う場合にも、溶断や変形等を防止することができる。また、ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、例えば少なくとも3回の熱処理工程に対する耐熱性を有し、絶縁基板10へ実装する際、温度ヒューズ素子1を回路基板2に実装する際、当該回路基板2の裏面に他の電子部品を実装する際にリフローを行う場合にも、溶断や変形等を防止することができる。
なお、ヒューズエレメント13は、層厚比が、低融点金属層:高融点金属層=100:1を超えて低融点金属層20aが厚く、高融点金属層21aが薄くなると、高融点金属21が、リフロー実装時の熱で溶融した低融点金属20によって浸食されてしまうおそれがある。
[製造方法]
ヒューズエレメント13は、低融点金属層20aの表面に高融点金属21をメッキ技術を用いて成膜することにより高融点金属層21aを積層させて製造できる。ヒューズエレメント13は、例えば、長尺状のハンダ箔の表面にAgメッキを施すことにより効率よく製造でき、使用時には、サイズに応じて切断することで、容易に用いることができる。
また、ヒューズエレメント13は、低融点金属箔と高融点金属箔とを貼りあわせることにより製造してもよい。ヒューズエレメント13は、例えば、圧延した2枚のCu箔、或いはAg箔の間に、同じく圧延したハンダ箔を挟んでプレスすることにより製造できる。この場合、低融点金属箔は、高融点金属箔よりも柔らかい材料を選択することが好ましい。これにより、厚みのばらつきを吸収して低融点金属箔と高融点金属箔とを隙間なく密着させることができる。また、低融点金属箔はプレスによって膜厚が薄くなるため、予め厚めにしておくとよい。プレスにより低融点金属箔がヒューズエレメント端面よりはみ出した場合は、切り落として形を整えることが好ましい。
その他、ヒューズエレメント13は、蒸着等の薄膜形成技術や、他の周知の積層技術を用いることによっても、低融点金属層20aに高融点金属層21aを積層したヒューズエレメント13を形成することができる。
また、ヒューズエレメント13は、図2に示すように、低融点金属層20aと高融点金属層21aとを交互に複数層形成してもよい。この場合、最外層としては、低融点金属層20aと高融点金属層21aのいずれでもよいが、低融点金属層20aとする方が好ましい。最外層が低融点金属層20aの場合、溶融過程において高融点金属層21aが両面から低融点金属層20aによる浸食を受けるので効率良く短時間で溶断することができる。最外層が低融点金属層20aの場合は、ヒューズエレメントの実装時にヒューズエレメントの表面/裏面にハンダペーストを適量塗布し、リフロー加熱により電極との接続と同時にコーティングしても良い。
また、ヒューズエレメント13は、図3に示すように、高融点金属層21aを最外層としたときに、さらに当該最外層の高融点金属層21aの表面に酸化防止膜23を形成してもよい。ヒューズエレメント13は、最外層の高融点金属層21aがさらに酸化防止膜23によって被覆されることにより、例えば高融点金属層21aとしてCuメッキやCu箔を形成した場合にも、Cuの酸化を防止することができる。したがって、ヒューズエレメント13は、Cuの酸化によって溶断時間が長くなる事態を防止することができ、短時間で溶断することができる。
また、ヒューズエレメント13は、高融点金属層21aとしてCu等の安価だが酸化しやすい金属を用いることができ、Ag等の高価な材料を用いることなく形成することができる。
高融点金属の酸化防止膜23は、内層を構成する低融点金属20と同じ材料を用いることができ、例えばSnを主成分とするPbフリーハンダを用いることができる。また、酸化防止膜23は、高融点金属層21aの表面に錫メッキを施すことにより形成することができる。その他、酸化防止膜23は、Auメッキやプリフラックスによって形成することもできる。
また、ヒューズエレメント13は、図4(A)に示すように、低融点金属層20aの上面及び裏面に高融点金属層21aが積層されてもよく、あるいは図4(B)に示すように、低融点金属層20aの対向する2つの端面を除く外周部が高融点金属層21aによって被覆されてもよい。
また、ヒューズエレメント13は、方形のヒューズエレメントとしてもよく、図4(C)に示すように、丸線状のヒューズエレメントとしてもよい。さらに、ヒューズエレメント13は、端面を含んだ全面が高融点金属層21aによって被覆されていてもよい。
また、ヒューズエレメント13は、図5に示すように、外周の少なくとも一部に保護部材24を設けてもよい。保護部材24は、ヒューズエレメント13のリフロー実装時における接続用ハンダの流入や内層の低融点金属層20aの流出を防止して形状を維持するとともに、定格を超える電流が流れたときにも溶融ハンダの流入を防止して定格の上昇による速溶断性の低下を防止するものである。
すなわち、ヒューズエレメント13は、外周に保護部材24を設けることにより、リフロー温度下で溶融した低融点金属20の流出を防止し、エレメントの形状を維持することができる。特に、低融点金属層20aの上面及び下面に高融点金属層21aを積層し、側面から低融点金属層20aが露出しているヒューズエレメント13においては、外周部に保護部材24を設けることにより当該側面からの低融点金属20の流出が防止され、形状を維持することができる。
また、ヒューズエレメント13は、保護部材24を外周に設けることにより、定格を超える電流が流れたときに溶融ハンダの流入を防止することができる。ヒューズエレメント13は、第1、第2の電極11,12上にハンダ接続される場合、リフロー実装等の熱処理工程において高温の温度雰囲気に曝された際や、使用時において定格を超える電流が流れた際の発熱により、第1、第2の電極11,12への接続用ハンダ15や低融点金属20が溶融し、溶断すべきヒューズエレメント13の中央部に流入するおそれがある。ヒューズエレメント13は、ハンダ等の溶融金属が流入すると、所定の温度雰囲気でも溶断されず溶断時間が延びる恐れがある。また、ヒューズエレメント13は、抵抗値が下がり、発熱が阻害され、所定の電流値において溶断しない、又は溶断時間が伸び、或いは、溶断後に第1、第2の電極11,12間の絶縁信頼性を損なう恐れがある。そこで、ヒューズエレメント13は、保護部材24を外周に設けることで、溶融金属の流入を防止し、抵抗値を固定させて、所定の電流値で速やかに溶断させ、かつ第1、第2の電極11,12間の絶縁信頼性を確保することができる。
このため、保護部材24としては、絶縁性やリフロー温度における耐熱性を備え、かつ溶融ハンダ等に対するレジスト性を備えた材料が好ましい。例えば、保護部材24は、ポリイミドフィルムを用い、図5に示すように、接着剤25によってテープ状のヒューズエレメント13の中央部に貼り付けることにより形成することができる。また、保護部材24は、絶縁性、耐熱性、レジスト性を備えたインクをヒューズエレメント13の外周に塗布することにより形成することができる。あるいは、保護部材24は、ソルダーレジストを用い、ヒューズエレメント13の外周に塗布することにより形成することができる。
上述したフィルム、インク、ソルダーレジスト等からなる保護部材24は、長尺状のヒューズエレメント13の外周に貼着又は塗工により形成することができ、また使用時には保護部材24が設けられたヒューズエレメント13を切断すればよく、取扱い性に優れる。
[フラックスコーティング]
また、ヒューズエレメント13は、外層の高融点金属層21a又は低融点金属層20aの酸化防止と、溶断時の酸化物除去及びハンダの流動性向上のために、図1に示すように、ヒューズエレメント13上の外層のほぼ全面にフラックス17を塗布してもよい。フラックス17を塗布することにより、低融点金属(例えばハンダ)の濡れ性を高めるとともに、低融点金属が溶解している間の酸化物を除去し、高融点金属(例えばAg)への浸食作用を用いて速溶断性を向上させることができる。
また、フラックス17を塗布することにより、最外層の高融点金属層21aの表面に、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の酸化防止膜23を形成した場合にも、当該酸化防止膜23の酸化物を除去することができ、高融点金属層21aの酸化を効果的に防止し、速溶断性を維持、向上することができる。
かかるヒューズエレメント13は、上述したように第1、第2の電極11,12上にリフローハンダ付けによって接続することができるが、その他にも、ヒューズエレメント13は、超音波溶接によって第1、第2の電極11,12上に接続してもよい。
[カバー部材]
また、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13が設けられた絶縁基板10の表面10a上に、内部を保護するとともに溶融したヒューズエレメント13の飛散を防止するカバー部材19が取り付けられている。カバー部材19は、絶縁基板10の表面10a上に接続される脚部19aと、絶縁基板10の表面10a上を覆う天面19bとを有し、各種エンジニアリングプラスチック、セラミックス等の絶縁性を有する部材により形成することができる。
[実装工程]
次いで、温度ヒューズ素子1の組み立て工程、及び温度ヒューズ素子1の実装工程について説明する。温度ヒューズ素子1は、絶縁基板10上にヒューズエレメント13を接続し、カバー部材19で覆うことにより形成する。絶縁基板10は、表面10aに第1、第2の電極11,12が形成され、裏面10bに外部接続端子11a,12aが形成される。第1、第2の電極11,12及び外部接続端子11a,12aは、CuやAg等の高融点金属ペーストを絶縁基板10の表面10a及び裏面10bに印刷し、焼成すること等により形成される。また、第1、第2の電極11,12及び外部接続端子11a,12aは、絶縁基板10の側面に設けられたキャスタレーションを介して、電気的に接続される。
そして、第1、第2の電極11,12にPbフリーハンダ等の接着材料15が設けられ、ヒューズエレメント13が第1、第2の電極11,12間に搭載される。次いで、この絶縁基板10をリフロー炉に通すことにより、ヒューズエレメント13が第1、第2の電極11,12上にはんだ接続され、これにより、第1、第2の電極11,12は、ヒューズエレメント13を介して電気的に接続される。
このとき、ヒューズエレメント13は、リフロー温度よりも低い融点を有する低融点金属20とリフロー温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有することから、リフロー実装工程において低融点金属20の融点以上の温度に曝されても、変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動が防止されている。
その後、絶縁基板10の表面10aにカバー部材19を搭載することにより温度ヒューズ素子1が完成する。
温度ヒューズ素子1は、外部回路の電流経路上に接続される。具体的に、温度ヒューズ素子1は、回路基板2に設けられたランド部2aに外部接続端子11a、12aがPbフリーハンダ等の接続用ハンダを介して搭載された後、リフロー炉に通されることにより、外部回路の電流経路上に組み込まれる。
このときも、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13がリフロー温度よりも低い融点を有する低融点金属20とリフロー温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有することから、リフロー実装工程において低融点金属20の融点以上の温度に曝されても、ヒューズエレメント13の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動が防止されている。
温度ヒューズ素子1が実装された回路基板2は、適宜、温度ヒューズ素子1の実装面と反対側の面にも電子部品がリフロー実装される。この場合も、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13が低融点金属20の融点以上の温度に曝されても、ヒューズエレメント13の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動が防止されている。
また、温度ヒューズ素子1が実装された回路基板2が別のデバイスに組み込まれた後に、さらにリフロー実装等の熱処理工程に付された場合にも、温度ヒューズ素子1のヒューズエレメント13は、変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動が防止されている。
このような温度ヒューズ素子1は、実装されたデバイスが異常発熱する等、高温環境に置かれた場合、ヒューズエレメント13が低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶融を開始する。これにより、温度ヒューズ素子1は、早期にヒューズエレメント13が溶融し、回路基板2の電流経路を遮断することができる。このとき、ヒューズエレメント13は、低融点金属20が高融点金属21を浸食(ハンダ食われ)することにより、高融点金属21の融点以下の低温で溶融することから、速やかに電流経路を遮断することができる。
このように、温度ヒューズ素子1は、ヒューズエレメント13を熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属20と熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属21とにより構成するとともに、適宜、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、リフロー工程等の熱処理工程を繰り返しても、ヒューズエレメント13の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動を防止することができる。また、温度ヒューズ素子1が実装された実装体3が、低融点金属20の融点以上の温度雰囲気に曝されると、ヒューズエレメント13が溶融を開始するため、早期に回路基板2の電流経路を遮断することができる。
[ヒューズエレメントの変形例1:並列タイプ]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、複数の溶断部が並列されることにより、複数の通電経路を有するものを用いてもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略する。
図6(A)(B)に示す温度ヒューズ素子30は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに形成された第1、第2の電極11,12間にわたって接続されたヒューズエレメント31とを有する。ヒューズエレメント31は、複数の溶断部を有し、例えば図aに示すように3つの溶断部32A〜32Cが並列されることにより、複数の通電経路を有する。ヒューズエレメント31は、上述したヒューズエレメント13と同様に、温度ヒューズ素子30の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。各溶断部32A〜32Cは、それぞれ絶縁基板10の表面10aに形成された第1、第2の電極11,12間にわたって接続され、電流の通電経路となっている。
また、ヒューズエレメント31は、Pbフリーハンダ等の接着材料15を介して第1及び第2の電極11,12間に搭載された後、リフローはんだ付け等の熱処理工程を経て絶縁基板10上に接続される。ヒューズエレメント31は、低融点金属層20a及び高融点金属層21aの材料や積層構造及びその製法、作用や効果等、外形以外については、上述したヒューズエレメント13と同様である。
ヒューズエレメント31は、使用時には低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において各溶断部32A〜32Cが溶融し、溶融エレメントが第1、第2の電極11,12上に凝集することにより、第1、第2の電極11,12間を遮断する。また、ヒューズエレメント31は、温度ヒューズ素子30に定格を超える電流が通電すると自己発熱(ジュール熱)により各溶断部32A〜32Cが溶断し、第1の電極11と第2の電極12との間の電流経路を遮断する。
このとき、ヒューズエレメント31は、定格を超える電流が通電し、溶断する際に、アーク放電が発生した場合にも、溶融したヒューズエレメントが広範囲にわたって飛散し、飛散した金属によって新たに電流経路が形成され、あるいは飛散した金属が端子や周囲の電子部品等に付着することを防止することができる。
すなわち、ヒューズエレメント31は、第1、第2の電極11,12間にわたって搭載される複数の溶断部32A〜32Cを並列させているため、定格を超える電流が通電されると、抵抗値の低い溶断部32に多くの電流が流れていき、自己発熱により順次溶断していき、最後に残った溶断部32が溶断する際にのみアーク放電が発生する。したがって、ヒューズエレメント31によれば、最後に残った溶断部32の溶断時にアーク放電が発生した場合にも、溶断部32の体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散を防止することができ、また溶断後における絶縁性も大幅に向上させることができる。また、ヒューズエレメント31は、複数の溶断部32A〜32C毎に溶断されることから、各溶断部31の溶断に要する熱エネルギーは少なくて済み、短時間で遮断することができる。
なお、ヒューズエレメント31は、複数の溶断部32のうち、一つの溶断部32の一部又は全部の断面積を他の溶断部の断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化してもよい。一つの溶断部32を相対的に高抵抗化させることにより、ヒューズエレメント31は、定格を超える電流が通電されると、比較的低抵抗の溶断部32から多くの電流が通電し溶断していく。その後、残った当該高抵抗化された溶断部32に電流が集中し、最後にアーク放電を伴って溶断する。したがって、ヒューズエレメント31は、溶断部32を順次溶断させることができる。また、断面積の小さい溶断部32の溶断時にアーク放電が発生するため、溶断部32の体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散を防止することができる。
また、ヒューズエレメント31は、3つ以上の溶断部を設けるとともに、内側の溶断部を最後に溶断させることが好ましい。例えば、図6に示すように、ヒューズエレメント31は、3つの溶断部32A、32B、32Cを設けるとともに、真ん中の溶断部32Bを最後に溶断させることが好ましい。
このヒューズエレメント31は、温度ヒューズ素子30に定格を超える電流が通電されると、先ず2つの溶断部32A、32Cに多くの電流が流れて自己発熱により溶断する。溶断部32A、32Cの溶断は自己発熱によるアーク放電を伴うものではないため、溶融金属の爆発的な飛散もない。
次いで、真ん中の溶断部32Bに電流が集中し、アーク放電を伴いながら溶断する。このとき、ヒューズエレメント31は、真ん中の溶断部32Bを最後に溶断させることにより、アーク放電が発生しても、溶断部32Bの溶融金属を、先に溶断している外側の溶断部32A,32Cによって捕捉することができる。したがって、溶断部32Bの溶融金属の飛散を抑制し、溶融金属によるショート等を防止することができる。
このとき、ヒューズエレメント31は、3つの溶断部32A〜32Cのうち、内側に位置する真ん中の溶断部32Bの一部又は全部の断面積を外側に位置する他の溶断部32A,32Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、これにより真ん中の溶断部32Bを最後に溶断させてもよい。この場合も、断面積を相対的に小さくすることにより最後に溶断させているため、アーク放電も溶断部31Bの体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散をより抑制することができる。
[ヒューズエレメントの製法]
このような複数の溶断部32が形成されたヒューズエレメント31は、例えば図7(A)に示すように、板状の低融点金属と高融点金属とを含む板状体34の中央部2か所を矩形状に打ち抜くことにより製造することができる。なお、図7(B)に示すように、ヒューズエレメント31は、並列する3つの溶断部32A〜32Cの一端が一体に支持され、他端にはそれぞれ自由端とされたものでもよい。
[絶縁壁]
また、図8に示すように、温度ヒューズ素子30は、複数の溶断部32の間に、並列する溶断部32同士の接続を防止する絶縁壁35を設けてもよい。絶縁壁35を設けることにより、ヒューズエレメント31は、溶断部32が溶断していく際に、周囲の温度雰囲気又は自身の発熱により溶融、膨張して隣接する溶断部32に接触し凝集することを防止する。これにより、ヒューズエレメント31は、隣接する溶断部32同士が溶融、凝集することで大型化し、溶断に必要な熱量が増加することによる溶断時間の増加や溶断後における絶縁性の低下、あるいは過電流に伴う自己発熱による溶断時に生じるアーク放電の大規模化による溶融金属の爆発的飛散を防止することができる。
絶縁壁35は、例えば図9に示すように、絶縁基板10の表面10a上に形成される。また、絶縁壁35は、ソルダーレジストやガラス等の絶縁材料を印刷すること等により立設されている。なお、絶縁壁35は、絶縁性を有することから、溶融エレメントに対する濡れ性を有しないため、必ずしも隣接する溶断部32同士を完全に隔絶する必要はない。すなわち、カバー部材19の天面19bとの間に隙間を有していても濡れ性による引き込み作用は働かず、溶融エレメントが当該隙間から並列する溶断部32側へ流入することはない。また、溶断部32は、溶融すると、第1、第2の電極11,12間の領域において断面ドーム状に膨れる。そのため、絶縁壁35は、絶縁基板10の表面10aからカバー部材19の天面19bまでに至る高さの半分以上の高さがあれば、溶融エレメントが並列する溶断部32と接触することを防止できる。もちろん、絶縁壁35は、カバー部材19の天面19bまでに至る高さで形成し、溶断部32同士を隔絶してもよい。
また、絶縁壁35は、図10に示すように、カバー部材19の天面19bに形成してもよい。絶縁壁35は、カバー部材19の天面19bに一体形成してもよく、又は天面19bにソルダーレジストやガラス等の絶縁材料を印刷すること等により立設してもよい。この場合も、絶縁壁35は、カバー部材19の天面19bから絶縁基板10の表面10aまでに至る高さの半分以上の高さがあれば、溶融エレメントが並列する溶断部32と接触することを防止できる。
また、絶縁壁35は、絶縁基板10やカバー部材19に設ける他、図11に示すように、並列する複数の溶断部32の間に絶縁壁35を構成する液状あるいはペースト状の絶縁材料を塗布し、硬化させることにより形成してもよい。絶縁壁35を構成する絶縁性の材料としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性の絶縁性接着剤やソルダーレジスト、ガラスペーストを用いることができる。この場合、絶縁壁35を構成する絶縁材料は、ヒューズエレメント31が絶縁基板10に接続された後に塗布、硬化させてもよく、ヒューズエレメント31を絶縁基板10に搭載する前又は搭載した後に塗布し、ヒューズエレメント31とともに熱処理工程に付して硬化させてもよい。
液状あるいはペースト状の絶縁材料は、並列する複数の溶断部32の間に毛管作用によって充填され、硬化することにより溶断部32が溶融した場合に、並列する溶断部32同士の接続を防止することができる。このため、絶縁壁35を構成する絶縁材料は、硬化することにより溶断部32の発熱温度に対する耐熱性を備えることが求められる。
[絶縁部の設置位置]
また、温度ヒューズ素子1は、絶縁壁35を溶断部32の溶断部位に応じて設ければよい。図8に示すように、ヒューズエレメント31は、各溶断部32が絶縁基板10に設けられた第1、第2の電極11,12上に接続されることにより、第1、第2の電極11,12間を導通させている。各溶断部32は、第1、第2の電極11,12に接続されている両端部では、広面積を有する第1、第2の電極11,12に熱が拡散するため、溶融され難い。また、各溶断部32は、第1、第2の電極11,12に接続されている両端部では電流が集中せず、第1の電極11と第2の電極12との中間部において電流が集中し、高温に発熱することにより溶融する。
したがって、温度ヒューズ素子30は、絶縁壁35を各溶断部32の第1の電極11と第2の電極12とに接続された両端部間の中間部に隣接して設けることで、溶融エレメントが隣接する溶断部32に接触することを防止することができる。
また、絶縁壁35を上記の様に絶縁基板10の表面10a上の各溶断部32の間に設ける上では、少なくとも溶融物を絶縁基板10の表面10a上で連続させないようにすればよく、絶縁壁35の高さは、絶縁基板10の表面10aからカバー部材19の天面19bまでに至る高さの半分以下であってもよい。
温度ヒューズ素子30は、ヒューズエレメント31の各溶断部32の間に絶縁壁35を設けることが好ましい。これにより、複数の溶断部32同士が溶融、凝集することを防止し、溶断に必要な熱量が増加することによる溶断時間の増加や溶断後において溶融エレメントの凝集体が第1、第2の電極11,12間にわたって連続し絶縁性が低下することを防止することができる。
また、温度ヒューズ素子30は、複数の溶断部32を順次溶断させるとともに、少なくとも最初に溶断する溶断部32とこの最初に溶断する溶断部32に隣接する溶断部32との間に絶縁壁35を設けることが好ましい。上述したように、ヒューズエレメント31は、複数の溶断部32のうち、一つの溶断部32の一部又は全部の断面積を他の溶断部の断面積よりも小さくし、相対的に高抵抗化することにより、定格を超える電流が通電されると、先ず比較的低抵抗の溶断部32から多くの電流が通電し溶断していく。
このとき、温度ヒューズ素子30は、最初に溶断する比較的低抵抗の溶断部32と、この溶断部32に隣接する溶断部との間に絶縁壁35を設けることにより、自身の発熱により膨張して隣接する溶断部32に接触し凝集することを防止することができる。これにより、温度ヒューズ素子30は、溶断部32を所定の溶断順序で溶断させるとともに、隣接する溶断部32同士が一体化することによる溶断時間の増加やアーク放電の大規模化による絶縁性の低下を防止することができる。
具体的に、図8に示す3つの溶断部32A、32B、32Cからなるヒューズエレメント31が搭載された温度ヒューズ素子30において、相対的に真ん中の溶断部32Bの断面積を小さくし高抵抗化することにより、外側の溶断部32A、32Cから優先的に多くの電流を流し、溶断させた後、最後に真ん中の溶断部32Bを溶断する。このとき、温度ヒューズ素子30は、溶断部32A、32Bとの間、及び溶断部32B、32Cにそれぞれ絶縁壁35を設けることにより、溶断部32A、32Cが自己発熱により溶融した際にも、隣接する溶断部32Bと接触することなく短時間で溶断するとともに、最後に溶断部32Bを溶断させることができる。また、断面積の小さい溶断部32Bは、隣接する溶断部32A、32Cとの接触もなく、溶断時におけるアーク放電も小規模なものに止まる。
なお、ヒューズエレメント31は、3つ以上の溶断部を設けた場合、外側の溶断部を最初に溶断させ、内側の溶断部を最後に溶断させることが好ましい。例えば、図6に示すように、ヒューズエレメント31は、3つの溶断部32A、32B、32Cを設けるとともに、真ん中の溶断部32Bを最後に溶断させることが好ましい。
上述したように、ヒューズエレメント31に定格を超える電流が通電されると、先ず外側に設けられた2つの溶断部32A、32Cに多くの電流が流れて自己発熱により溶断する。これら溶断部32A、32Cの溶断は自己発熱によるアーク放電を伴うものではないため、溶融金属の爆発的な飛散もない。また、上述したように、溶断部32A、32Cは、絶縁壁35により隣接する溶断部32Bとの接触もなく、最初に溶断される。
次いで、内側に設けられた溶断部32Bに電流が集中し、アーク放電を伴いながら溶断する。このとき、ヒューズエレメント31は、内側に設けられた溶断部32Bを最後に溶断させることにより、アーク放電が発生しても、溶断部32Bの溶融金属を、先に溶断している外側の溶断部32A,32Cや溶断部32A,32Cとの間に設けられた絶縁壁35によって捕捉することができる。したがって、溶断部32Bの溶融金属の飛散を抑制し、溶融金属によるショート等を防止することができる。
このときも、ヒューズエレメント31は、3つの溶断部32A〜32Cのうち、内側に位置する真ん中の溶断部32Bの一部又は全部の断面積を外側に位置する他の溶断部32A,32Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、これにより真ん中の溶断部32Bを最後に溶断させてもよい。この場合も、断面積を相対的に小さくすることにより最後に溶断させているため、アーク放電も溶断部32Bの体積に応じて小規模なものとなり、溶融金属の爆発的な飛散をより抑制することができる。
[温度ヒューズ素子の製造工程]
ヒューズエレメント31を用いた温度ヒューズ素子30は、ヒューズエレメント13を用いた温度ヒューズ素子1と同様の工程により組み立てられ、回路基板2に実装される。このとき、温度ヒューズ素子30は、ヒューズエレメント31を熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属20と熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属21とにより構成するとともに、適宜、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、リフロー工程等の熱処理工程を繰り返しても、ヒューズエレメント31の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動を防止することができる。
また、温度ヒューズ素子30が実装された実装体は、温度ヒューズ素子1の実装体と同様に、実装されたデバイスが異常発熱する等、高温環境に置かれた場合、温度ヒューズ素子30のヒューズエレメント31が低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶融を開始する。これにより、温度ヒューズ素子30は、早期にヒューズエレメント31の各溶断部32が溶融し、回路基板2の電流経路を遮断することができる。このとき、ヒューズエレメント31は、低融点金属20が高融点金属21を浸食(ハンダ食われ)することにより、高融点金属21の融点以下の低温で溶融することから、速やかに電流経路を遮断することができる。
[ヒューズエレメントの変形例2:端子部]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、外部回路と接続される端子部を一体に形成してもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1,30と同じ部材については同一の符号を付してその詳細を省略する。
図12(A)に示す温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに嵌合されたヒューズエレメント41とを有する。ヒューズエレメント41は、複数の溶断部42A〜42Cが並列されるとともに、溶断部42A〜42Cの両端に、温度ヒューズ素子40が実装される回路基板2のランド部2aに接続される端子部43が形成されている。ヒューズエレメント41は、上述したヒューズエレメント13,31と同様に、温度ヒューズ素子40の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。複数の溶断部42A〜42Cは、一対の端子部43間にわたって設けられ、電流の通電経路を構成し、全溶断部42A〜42Cが溶断することにより当該電流経路を遮断する。
端子部43は、温度ヒューズ素子40が実装される回路基板2のランド部2aとPbフリーハンダ等の接着部材を介して接続されることにより、当該回路基板2の電流経路の一部を構成する。また、ヒューズエレメント41は、端子部43が設けられる両端部が絶縁基板10の側面に沿って曲げられることにより、絶縁基板10に嵌合するとともに、端子部43が絶縁基板10の裏面10b側へ向けられている。
そして、温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10の表面10aにカバー部材19が搭載されると、図12(B)に示すように、絶縁基板10とカバー部材19との間から絶縁基板10の裏面10b側へ導出される。これにより、温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10の裏面10bを外部の回路基板2への実装面とされ、ヒューズエレメント41の一対の端子部43が、回路基板2のランド部2aと接続されることにより、外部回路に組み込まれる。
温度ヒューズ素子40は、ヒューズエレメント40に外部回路との接続端子となる端子部43を設けているため、定格の向上を図ることができる。すなわち、絶縁基板にヒューズエレメントの通電経路を外部回路へ引き出す表面電極、裏面電極、及び表裏面電極を繋ぐスルーホール等を設ける構成においては、スルーホールやキャスタレーションの孔径や孔数の制限や、導電ペーストの抵抗率や膜厚の制限により、ヒューズエレメントの抵抗値以下の実現が難しく、高定格化が困難となる。
一方、温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10にスルーホール等を設けてヒューズエレメント41の通電経路を外部回路に引き出すものではなく、ヒューズエレメント41に外部回路との接続端子となる端子部43が形成されているため、外部回路とヒューズエレメント41との間の導通抵抗がヒューズエレメント41そのものの定格によって決まり、絶縁基板10側の構成に左右されない。したがって、温度ヒューズ素子40によれば、素子全体の通電経路を低抵抗化し、容易に定格の向上を図ることができる。
[ヒューズエレメントの製法]
このような複数の溶断部42及び端子部43が形成されたヒューズエレメント41は、板状の低融点金属と高融点金属とを含む板状体の中央部2か所を矩形状に打ち抜いた後(図7(A)参照)、両端部を折り曲げることにより製造することができる。ヒューズエレメント41は、並列する3つの溶断部42A〜42Cの両側が端子部43によって一体に支持されている。また、ヒューズエレメント41は、端子部43を構成する板状体と溶断部42を構成する複数の板状体とを接続することにより製造してもよい。なお、ヒューズエレメント41は、図7(B)に示す板状体の両端部を折り曲げることにより、並列する3つの溶断部42A〜42Cの一端が端子部43によって一体に支持され、他端にはそれぞれ端子部43が形成されたものでもよい。
なお、温度ヒューズ素子40は、端子部43を介してヒューズエレメント41と外部回路とが接続されるため、絶縁基板10に別途外部回路と接続する第1、第2の電極11,12及び外部接続端子11a,12aを設けなくともよい。
[嵌合凹部]
また、絶縁基板10は、図12(C)に示すように、ヒューズエレメント40の端子部43が嵌合される一対の側縁部に嵌合凹部45を形成することが好ましい。温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10に嵌合凹部45を設けることにより、回路基板2への実装面積が広がることもなく、また、ヒューズエレメント41の嵌合位置を固定することができる。
また、ヒューズエレメント41は、絶縁基板10の表面10aに直接接着される。ヒューズエレメント41を絶縁基板10に接続する接着剤としては、導電性は無くともよく、例えば熱硬化性の接着剤等を用いることができる。なお、温度ヒューズ素子40は、外部の熱源の熱による温度雰囲気によってヒューズエレメント41を溶断することから、ヒューズエレメント41を絶縁基板10に接着する接着剤も熱伝導性に優れるものが好ましい。
[放熱電極]
なお、ヒューズエレメント41が搭載される温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10の表面10aに放熱電極46を設けてもよい。放熱電極46は、ヒューズエレメント41が嵌合される絶縁基板10の一対の側縁近傍に形成され、各溶断部42と接続されることにより端子部43の近傍におけるヒューズエレメント41の熱を効率よく吸収するとともに、溶融エレメントを凝集することができる。放熱電極46は、例えばAgやCu等の電極材料を用いて形成することができ、Pbフリーハンダ等の接続材料を介して、リフロー等の熱処理工程を経て各溶断部42と接続される。なお、放熱電極46は、図12(C)に示すように各溶断部42A〜42Cが接続される共用の電極としてもよく、各溶断部42A〜42Cに応じて複数形成してもよい。
放熱電極46を設けることにより、温度ヒューズ素子40は、過電流に伴う自己発熱遮断の際に、ヒューズエレメント41の端子部43の近傍における熱を絶縁基板10側に放熱させ、各溶断部42の発熱領域を中央部に集中させる。これにより、ヒューズエレメント41は、溶断部位が各溶断部42の中央部に限定され、速やかに電流経路を遮断することができる。また、ヒューズエレメント41は、アーク放電を伴う場合にも、発熱部位が限定されることで、爆発的な溶断及び溶融エレメントの飛散を防止することができ、絶縁特性を損なうこともない。
なお、放熱電極46は、絶縁基板10に設けられたスルーホールを介して絶縁基板10の裏面10bに設けられた図示しない放熱電極と連続させてもよい。これにより、温度ヒューズ素子40は、さらに効率よくヒューズエレメント41の熱を放熱することができる。
[温度ヒューズ素子の製造工程]
ヒューズエレメント41を用いた温度ヒューズ素子40は、温度ヒューズ素子1と同様の工程により組み立てられ、回路基板2に実装される。このとき、温度ヒューズ素子40は、ヒューズエレメント41を熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属20と熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属21とにより構成するとともに、適宜、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、リフロー工程等の熱処理工程を繰り返しても、ヒューズエレメント41の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動を防止することができる。
また、温度ヒューズ素子40が実装された実装体は、温度ヒューズ素子1の実装体と同様に、実装されたデバイスが異常発熱する等、高温環境に置かれた場合、ヒューズエレメント41が低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶融を開始する。これにより、温度ヒューズ素子40は、早期にヒューズエレメント41の各溶断部42が溶融し、回路基板2の電流経路を遮断することができる。このとき、ヒューズエレメント41は、低融点金属20が高融点金属21を浸食(ハンダ食われ)することにより、高融点金属21の融点以下の低温で溶融することから、速やかに電流経路を遮断することができる。
[ヒューズエレメントの変形例3:複数のヒューズエレメントを並列]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、溶断部31に相当する複数のヒューズエレメントを絶縁基板10の相対向する一対の側縁間に嵌合させ、並列させてもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1,30,40と同じ部材については同じ符号を付してその詳細を省略する。
図13に示す温度ヒューズ素子50は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに嵌合されたヒューズエレメント51とを有する。ヒューズエレメント51は、絶縁基板10の表面10aに複数、例えば51A,51B,51Cの3枚が並列されている。各ヒューズエレメント51A〜51Cは、上述したヒューズエレメント13,31,41と同様に、温度ヒューズ素子50の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。また、各ヒューズエレメント51は、矩形板状に形成されるとともに、低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶断する溶断部52と、溶断部52の両端に設けられ、回路基板2のランド部2aと接続される端子部53とが形成されている。
溶断部52は、絶縁基板10の表面10aに形成された放熱電極46上に、Pbフリーハンダ等の接着材料を介して、リフロー等の熱処理工程を経て接続されている。
端子部53は、温度ヒューズ素子50が実装される回路基板2のランド部2aとPbフリーハンダ等の接着部材を介して接続されることにより、当該回路基板2の電流経路の一部を構成し、各溶断部52が溶断することにより電流経路を遮断する。また、ヒューズエレメント51は、端子部53が設けられる両端部が絶縁基板10の側面に沿って曲げられることにより、絶縁基板10に嵌合するとともに、端子部53が絶縁基板10の裏面10b側へ向けられている。これにより、温度ヒューズ素子50は、絶縁基板10の裏面10bを外部の回路基板2への実装面とされ、ヒューズエレメント51の一対の端子部53が、回路基板2のランド部2aと接続されることにより、外部回路に組み込まれる。
なお、温度ヒューズ素子50は、内側に設けられている真ん中のヒューズエレメント51Bの断面積を外側に設けられている他のヒューズエレメント51A,51Cの断面積よりも小さくすることにより、相対的に高抵抗化し、過電流に伴う自己発熱遮断時において、最後に溶断せるようにしてもよい。
また、温度ヒューズ素子50は、各ヒューズエレメント51A〜51C間に絶縁壁35を形成してもよい。絶縁壁35を設けることにより、温度ヒューズ素子50は、各ヒューズエレメント51が溶断していく際に、周囲の温度雰囲気又は自身の発熱により溶融、膨張して隣接するヒューズエレメント51の溶断部52に接触し凝集することを防止する。これにより、温度ヒューズ素子50は、隣接するヒューズエレメント51同士が溶融、凝集することで大型化し、溶断に必要な熱量が増加することによる溶断時間の増加や溶断後における絶縁性の低下、あるいは過電流に伴う自己発熱による溶断時に生じるアーク放電の大規模化による溶融金属の爆発的飛散を防止することができる。
なお、温度ヒューズ素子50は、端子部53を備えていない板状のヒューズエレメントを、絶縁基板10に形成した第1、第2の電極11,12間にわたって複数並列させてもよい。
[ヒューズエレメントの変形例4:フリップタイプ]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、ヒューズエレメントの端子部を絶縁基板10の表面10a側に突出させてもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1,30,40,50と同じ部材については同じ符号を付してその詳細を省略する。
図14(A)に示す温度ヒューズ素子60は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに接続されたヒューズエレメント61とを有する。ヒューズエレメント61は、複数の溶断部62A〜62Cが並列されるとともに、溶断部62A〜62Cの両端に、温度ヒューズ素子60が実装される回路基板2のランド部2aに接続される端子部63が形成されている。ヒューズエレメント61は、上述したヒューズエレメント13,31,41,51と同様に、温度ヒューズ素子60の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。
複数の溶断部62A〜62Cは、それぞれ絶縁基板10の表面10aに、Pbフリーハンダ等の接着材料を介して接続され、電流の通電経路を構成し、全溶断部62A〜62Cが溶断することにより当該電流経路を遮断する。
端子部63は、温度ヒューズ素子60が実装される回路基板2のランド部2aと接続されることにより、当該回路基板2の電流経路の一部を構成する。また、端子部63は、ヒューズエレメント60が絶縁基板10の表面10a上に搭載されることにより、絶縁基板10の表面10a側に向けられている。
そして、温度ヒューズ素子60は、絶縁基板10の表面10aにカバー部材19が搭載されると、図14(B)に示すように、絶縁基板10とカバー部材19との間から絶縁基板10の表面10a側へ導出される。これにより、温度ヒューズ素子40は、絶縁基板10の表面10aを外部の回路基板2への実装面とされ、図14(C)に示すように、フェースダウンによりヒューズエレメント61の一対の端子部63が、回路基板2のランド部2aと接続され、外部回路に組み込まれる。
温度ヒューズ素子60は、温度ヒューズ素子40と同様に、ヒューズエレメント60に外部回路との接続端子となる端子部63を設けているため、定格の向上を図ることができる。
なお、温度ヒューズ素子60は、図14(D)に示すように、温度ヒューズ素子40と同様に、ヒューズエレメント61の溶断部62に応じて絶縁基板10の表面10aに複数の放熱電極46を設け、Pbフリーハンダ等の接続材料を介して、リフロー等の熱処理工程を経て各溶断部62と接続してもよい。
また、温度ヒューズ素子60は、ヒューズエレメント61として、一つの溶断部62と溶断部62の両端に設けられた一対の端子部63とからなるヒューズエレメントを用いてもよい。
[温度ヒューズ素子の製造工程]
ヒューズエレメント61を用いた温度ヒューズ素子60は、温度ヒューズ素子1と同様の工程により組み立てられ、回路基板2に実装される。このとき、温度ヒューズ素子60は、ヒューズエレメント61を熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属20と熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属21とにより構成するとともに、適宜、低融点金属層20aと高融点金属層21aとの膜厚比を調整することにより、リフロー工程等の熱処理工程を繰り返しても、ヒューズエレメント61の変形や低融点金属20の溶出が防止され、定格や溶断特性の変動を防止することができる。
また、温度ヒューズ素子60が実装された実装体は、温度ヒューズ素子1の実装体と同様に、実装されたデバイスが異常発熱する等、高温環境に置かれた場合、ヒューズエレメント61が低融点金属20の融点以上の温度雰囲気において溶融を開始する。これにより、温度ヒューズ素子60は、早期にヒューズエレメント61の各溶断部62が溶融し、回路基板2の電流経路を遮断することができる。このとき、ヒューズエレメント61は、低融点金属20が高融点金属21を浸食(ハンダ食われ)することにより、高融点金属21の融点以下の低温で溶融することから、速やかに電流経路を遮断することができる。
[ヒューズエレメントの変形例5:ワイヤーボンディングタイプ]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、ヒューズエレメントの両端を接続材料を介して第1の電極及び第2の電極に接続するようにしてもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1,30,40,50,60と同じ部材については同じ符号を付してその詳細を省略する。
図15(A)及び図15(B)に示す温度ヒューズ素子70は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに第1の電極11及び第2の電極12と、絶縁基板10の表面10aに載置されたヒューズエレメント71と、ヒューズエレメント71の両端と第1の電極11及び第2の電極12とを接続する接続材料であるワイヤー72,73とを有する。ヒューズエレメント71は、上述したヒューズエレメント13,31,41,51,61と同様に、温度ヒューズ素子70の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。
ヒューズエレメント71は、矩形平板状の構造とされ、折り曲げ加工等によって端子部を形成しない。ヒューズエレメント71は、絶縁基板10の表面10aに接着材料で固定し、ワイヤーボンディングによって第1の電極11及び第2の電極12と接続される。その後、必要十分な量のフラックス17が塗布され、電流の通電経路を構成し、溶断部が溶断することにより当該電流経路を遮断する。
ヒューズエレメント71は、図4(B)で説明した場合と同様に、内部を低融点金属20とし、外部を高融点金属21で覆った構造であり、切断面から低融点金属20が露呈した構造である。
ヒューズエレメント71は、低融点金属20が露呈する切断面が、通電方向の両側面と並行となるように絶縁基板10の表面10a上に配設されている。
ワイヤー72,73は、導電性金属等によって形成されるワイヤー部材であり、ヒューズエレメント71の両端をそれぞれ第1の電極11及び第2の電極12に接続する。特に、ワイヤー72,73は、ワイヤーボンディングによって簡単に形成することができ、材料としては、Au、Al,Cu等を用いることができる。
また、ワイヤー72,73は、ヒューズエレメント71の通電方向の両端にそれぞれ接続されるが、ヒューズエレメント71は、通電方向の両端が高融点金属21で包皮されているため、高融点金属21と接続性が良好な部材を用いることが好ましい。
ここで、ヒューズエレメント71と第1の電極11及び第2の電極12とを接続する位置について説明する。ワイヤー72,73による接続位置は、図15(A)に示すように、通電方向に対向する位置とされている。しかしながら、ワイヤー72,73による接続位置は、スルーホールの位置を避けるように適宜ずらすようにしてもよい。すなわち、ワイヤー72,73を矩形状のヒューズエレメントの対角位置となるようにしてもよい。対角位置を取る場合、図15(A)に示す絶縁基板10のスルーホールを避けることでワーヤーボンディングの作業性を上げることができる。また、ワイヤー72,73は、対向する一対のものに限定されず、それぞれ複数のワイヤーで接続するようにしてもよい。
このような構造を有する温度ヒューズ素子70は、ヒューズエレメント71自体の溶断の他に、ヒューズエレメント71とワイヤー72,73の接続部位の溶断も同時に作用し、速やかに電流経路を遮断することができる。具体的には、ワイヤー72,73の材料がAuである場合、接続する高融点金属21が低融点金属20に速やかに浸食されるため、ワイヤー72,73に溶融した低融点金属20が接触する。ワイヤー72,73に溶融した低融点金属20が接触すると、ワイヤー72,73が溶融した低融点金属20に溶食され電流経路を更に、速やかにかつ確実に遮断することができる。
[ヒューズエレメントの変形例6:ハンダ接続タイプ]
また、本技術に係るヒューズエレメントは、ヒューズエレメントの両端を接続材料を介して第1の電極及び第2の電極に接続するようにしてもよい。なお、以下の説明において、上述した温度ヒューズ素子1,30,40,50,60,70と同じ部材については同じ符号を付してその詳細を省略する。
図16(A)及び図16(B)に示す温度ヒューズ素子80は、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面10aに第1の電極11及び第2の電極12と、絶縁基板10の表面10aに載置されたヒューズエレメント81と、ヒューズエレメント81の両端と第1の電極11及び第2の電極12とを接続する接続材料であるハンダペースト82,83とを有する。ヒューズエレメント81は、上述したヒューズエレメント13,31,41,51,61,71と同様に、温度ヒューズ素子80の実装体の製造工程における熱処理の温度よりも低い融点を有する低融点金属20と、当該熱処理の温度よりも高い融点を有する高融点金属21とを有する。なお、図示を省略しているが、ヒューズエレメント81の表面には必要十分な量のフラックスが塗布される。
ヒューズエレメント81は、矩形平板状の構造とされ、折り曲げ加工等によって端子部を形成しない。ヒューズエレメント81は、それぞれ絶縁基板10の表面10aに載置され、ハンダペースト83,84によって第1の電極11及び第2の電極12と接続され、電流の通電経路を構成し、溶断部が溶断することにより当該電流経路を遮断する。
ヒューズエレメント81は、図4(B)で説明した場合と同様に、内部を低融点金属20とし、外部を高融点金属21で覆った構造であり、切断面から低融点金属20が露呈した構造である。
ヒューズエレメント81は、低融点金属20が露呈する切断面が、通電方向と直交する方向となるように絶縁基板10の表面10a上に配設されている。
ハンダペースト83,84は、例えばPbフリーハンダ等によって第1の電極11の突出部11aと、第2の電極12の突出部12a上に設けられ、リフロー等によって、ヒューズエレメント81の両端をそれぞれ第1の電極11及び第2の電極12に接続する。なお、ハンダバンプによりヒューズエレメント81の接続部位を構成するようにしてもよい。
また、ハンダペースト83,84は、ヒューズエレメント81の通電方向の両端であって、絶縁基板10の表面10aと対向する部分にそれぞれ接続されるが、ヒューズエレメント81は、通電方向の両端が高融点金属21で包皮されているため、高融点金属21と接続性が良好な部材を用いることが好ましい。また、ハンダペースト83,84が高融点金属21とのみ接続することで、低融点金属20の第1の電極11及び第2の電極12への流出を抑制し、ヒューズエレメント81の形状の安定化並びに定格電流の低下防止を図ることができる。
ここで、ヒューズエレメント81と第1の電極11及び第2の電極12とを接続する位置について説明する。ハンダペースト83,84による接続位置は、図16(A)及び図16(B)に示すように、通電方向と直交する方向の中央部にそれぞれ対向する位置とされている。なお、第1の電極11の突出部11a及び第2の電極12の突出部12aもヒューズエレメント81の通電方向と直交する方向の中央部にであって、通電方向に互いに対向するように配置されている。
ハンダペースト83,84による接続位置は、図16(A)及び図16(B)に示すように対向配置に限定されず、第1の電極11の突出部11a及び第2の電極12の突出部12aの位置に応じて、ハンダペースト83,84を矩形状のヒューズエレメントの対角位置となるようにしてもよい。また、ハンダペースト83,84は、対向する一対のものに限定されず、第1の電極11及び第2の電極12のそれぞれ複数の突出部が設けられている場合等、電極の突出部の数に応じて複数のハンダペーストを用いるようにしてもよい。
1 温度ヒューズ素子、10 絶縁基板、11 第1の電極、11a 突出部、12 第2の電極、12a 突出部、13 ヒューズエレメント、13a 溶融エレメント、14 保護層、15 接着材料、17 フラックス、19 カバー部材、20 低融点金属、20a 低融点金属層、21 高融点金属、21a 高融点金属層、23 酸化防止膜、24 保護部材、25 接着剤、30 温度ヒューズ素子、31 ヒューズエレメント、32 溶断部、34 板状体、35 絶縁壁、40 温度ヒューズ素子、41 ヒューズエレメント、42 溶断部、43 端子部、44 板状体、45 嵌合凹部、46 放熱電極、50 温度ヒューズ素子、51 ヒューズエレメント、52 溶断部、53 端子部、60 温度ヒューズ素子、61 ヒューズエレメント、62 溶断部、63 端子部、70 温度ヒューズ素子、71 ヒューズエレメント、72 ワイヤー、73 ワイヤー、80 温度ヒューズ素子、81 ヒューズエレメント、82 ハンダペースト、83 ハンダペースト

Claims (25)

  1. 回路基板に温度ヒューズ素子が実装された実装体の製造方法において、
    上記温度ヒューズ素子に対して熱処理を少なくとも1回行い、
    上記温度ヒューズ素子は、上記熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融するヒューズエレメントを備え、
    上記熱処理は、上記低融点金属の融点以上の温度で行う実装体の製造方法。
  2. 上記熱処理では、
    回路基板のランド部に接続材料を介して上記温度ヒューズ素子を搭載し、
    上記温度ヒューズ素子が搭載された回路基板を加熱炉内で加熱し、上記接続材料を介して上記温度ヒューズ素子を上記回路基板に実装する工程を有する請求項1記載の実装体の製造方法。
  3. 上記ヒューズエレメントは、少なくとも3回の上記熱処理によっても溶断しない耐性を備える請求項1又は2に記載の実装体の製造方法。
  4. 上記低融点金属はハンダである請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  5. 上記低融点金属は、Sn又はSnを主成分とする合金であり、上記高融点金属は、Ag、Cu、又はAg若しくはCuを主成分とする合金である請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  6. 上記低融点金属は、Sn/Bi系又はSn/In系の合金である請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  7. 上記低融点金属は上記高融点金属よりも体積が多い請求項1〜6のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  8. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属と上記高融点金属とが積層されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  9. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属が上記高融点金属で被覆されている請求項1〜7のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  10. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属の表面に上記高融点金属がメッキされることにより形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  11. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属の表面に上記高融点金属の金属箔を貼着させることにより形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  12. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属の表面に上記高融点金属が薄膜形成工程により設けられることにより形成されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  13. 上記高融点金属の表面に酸化防止膜が形成されている請求項1〜12のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  14. 上記ヒューズエレメントは、上記高融点金属と上記低融点金属とが交互に複数層積層されることにより形成されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  15. 上記ヒューズエレメントは、上記低融点金属の対向する一対の端面を除く外周部が上記高融点金属によって被覆されることにより形成されている請求項1〜13のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  16. 上記ヒューズエレメントは、上記回路基板のランド部に接続される端子部を備える請求項1〜15のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  17. 上記端子部は、表面実装用端子である請求項16記載の実装体の製造方法。
  18. 上記回路基板のランド部は、上記接続材料を介して上記端子部の高融点金属部位のみと接続する請求項16又は17に記載の実装体の製造方法。
  19. 上記ヒューズエレメントは、外周の少なくとも一部が保護部材によって保護されている請求項1〜17のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  20. 上記低融点金属の膜厚は30μm以上、上記高融点金属の膜厚は、3μm以上である請求項1〜19のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  21. 上記低融点金属と上記高融点金属の膜厚比は、2.1:1〜100:1である請求項1〜20のいずれか1項に記載の実装体の製造方法。
  22. 回路基板に温度ヒューズ素子を実装する実装方法において、
    上記温度ヒューズ素子に対して熱処理を少なくとも1回行い、
    上記温度ヒューズ素子は、上記熱処理温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融するヒューズエレメントを備え、
    上記熱処理は、上記低融点金属の融点以上の温度で行う温度ヒューズ素子の実装方法。
  23. 回路基板へ実装されることにより実装体を構成し、上記実装体の製造工程において、少なくとも1回の熱処理工程を経る温度ヒューズ素子において、
    絶縁基板と、
    上記絶縁基板に設けられた第1、第2の電極と、
    上記熱処理工程の温度よりも低い融点を有する低融点金属と上記熱処理工程の温度よりも高い融点を有する高融点金属とを有し、上記第1、第2の電極間にわたって搭載され、上記低融点金属の融点以上、上記熱処理温度以下の温度雰囲気において溶融することにより上記第1、第2の電極間を遮断するヒューズエレメントを備える温度ヒューズ素子。
  24. 上記第1、第2の電極と上記ヒューズエレメントの接続において、上記第1、第2の電極は、接続材料を介して上記ヒューズエレメントの高融点金属のみと接続する請求項23に記載の温度ヒューズ素子。
  25. 上記絶縁基板に設けられた発熱体を有し、上記発熱体の発熱により上記ヒューズエレメントを溶断させる請求項23又は24に記載の温度ヒューズ素子。
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