JP2022034733A - ヒューズエレメント、ヒューズ素子及び保護素子 - Google Patents

ヒューズエレメント、ヒューズ素子及び保護素子 Download PDF

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Abstract

Figure 2022034733000001
【課題】過電流の発生などの異常時には速やかに溶断させることができ、かつ生産コストが安価なヒューズエレメントと、このヒューズエレメントを用いたヒューズ素子及び保護素子を提供する。
【解決手段】ヒューズエレメント10は、低融点金属層11と、低融点金属層11の少なくとも一方の表面に積層された高融点金属層12と、低融点金属層11と高融点金属層12との間に配置された中間層13と、を有し、高融点金属層12と中間層13は、低融点金属層11の溶融物に溶解される金属からなる層であって、中間層13は、融点が低融点金属層11よりも高く、高融点金属層12の融点よりも低い。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヒューズエレメントと、このヒューズエレメントを用いたヒューズ素子及び保護素子に関する。
回路基板に定格を超える過電流が通電したときに電流経路を遮断させるための電流遮断素子として、ヒューズエレメント自体が発熱して溶断することによって電流経路を遮断させるヒューズ素子が知られている。例えば、特許文献1には、ヒューズ素子用のヒューズエレメントとして、低融点金属層と、低融点金属層に積層された高融点金属層とを有し、定格を超える電流が通電したときに、低融点金属層が溶融し、その溶融物が高融点金属層を溶解することによってヒューズエレメントを溶断させる構成のヒューズエレメントが記載されている。この特許文献1には、低融点金属層の材料としてはんだ、錫、錫合金が例示され、高融点金属層の材料として銀、銅、銀又は銅を主成分とする合金が例示されている。
また、回路基板に過電流の発生以外の異常が発生したときに電流経路を遮断させるための電流遮断素子として、発熱体(ヒーター)を用いた保護素子が知られている。この保護素子は、過電流の発生以外の異常時に、発熱体に電流を通電させることによって、発熱体を発熱させ、その熱を利用してヒューズエレメントを溶断させるように構成されている。例えば、特許文献2には、発熱体を用いた保護素子用のヒューズエレメント(可溶性導体)として、高融点金属層と低融点金属層とを含む積層体からなり、低融点金属層は発熱体が発する熱により溶融して高融点金属層を溶解することによってヒューズエレメントを溶断させる構成のヒューズエレメントが記載されている。この特許文献2には、低融点金属層の材料としてPbフリーはんだ、錫、錫合金が例示され、高融点金属層の材料として銀、銅、銀又は銅を主成分とする合金が例示されている。
特許第6420053号公報 特許第6249600号公報
ヒューズエレメントは、過電流の発生などの異常時は、低融点金属層が速やかに溶融して、その溶融物が高融点金属層を溶解することによって溶断するものであることが好ましい。しかしながら、高融点金属層の材料として銅や銅合金を用いた場合は、銅は、銀と比較して融点が高く、またイオン化傾向が高く酸化皮膜を形成しやすいため、低融点金属層の溶融物による高融点金属層の溶解が進みにくくなり、ヒューズエレメントの溶断速度が遅くなる傾向がある。一方、高融点金属層の材料として銀や銀合金を用いた場合は、低融点金属層の溶融物による高融点金属層の溶解は進みやすくなるが、材料コストが高くなる。材料コストを低減させるために、高融点金属層の厚さを薄くすると、ヒューズエレメントの強度が低下するおそれがある。特に、ヒューズ素子や保護素子を製造する際に行うリフロー時の加熱などによって、低融点金属層が軟化した場合にヒューズエレメントの強度が低下するおそれがある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、過電流の発生などの異常時には速やかに溶断させることができ、かつ生産コストが安価なヒューズエレメントと、このヒューズエレメントを用いたヒューズ素子及び保護素子を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を提供する。
(1)本発明の一態様に係るヒューズエレメントは、低融点金属層と、前記低融点金属層の少なくとも一方の表面に積層された高融点金属層と、前記低融点金属層と前記高融点金属層との間に配置された中間層と、を有し、前記高融点金属層と前記中間層は、前記低融点金属層の溶融物に溶解される金属からなる層であって、前記中間層は、融点が前記低融点金属層よりも高く、前記高融点金属層の融点よりも低い。
(2)上記(1)に記載の態様において、前記低融点金属層を構成する材料の融点は、138℃以上250℃以下の範囲内にあり、前記高融点金属層を構成する材料の融点は、前記低融点金属層を構成する材料の融点に対して200℃以上高く、前記中間層を構成する材料の融点は、前記低融点金属層を構成する材料の融点に対して30℃以上高く、前記高融点金属層を構成する材料の融点に対して30℃以上低い構成としてもよい。
(3)上記(1)又は(2)に記載の態様において、前記低融点金属層を構成する材料の融点、前記高融点金属層を構成する材料の融点、前記中間層を構成する材料の融点は、各々の材料の液相線温度である構成としてもよい。
(4)上記(1)~(3)のいずれか一つに記載の態様において、前記中間層と前記高融点金属層との膜厚比は、10:1~1:30の範囲内にあって、前記高融点金属層と前記中間層の合計膜厚と、前記低融点金属層の膜厚との膜厚比は、1:2~1:100の範囲内にある構成としてもよい。
(5)上記(1)~(4)のいずれか一つに記載の態様において、前記低融点金属層の膜厚は30μm以上であって、前記高融点金属層の膜厚は1μm以上200μm以下の範囲内にあり、前記中間層の膜厚は0.1μm以上50μm以下の範囲内にある構成としてもよい。
(6)上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の態様において、前記低融点金属層は、錫もしくは錫を主成分とする錫合金からなる層である構成としてもよい。
(7)上記(1)~(6)のいずれか一つに記載の態様において、前記中間層は、ビスマス、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金からなる層である構成としてもよい。
(8)上記(1)~(7)のいずれか一つに記載の態様において、前記高融点金属層は、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金からなる層である構成としてもよい。
本発明の一態様に係るヒューズ素子は、絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に配置された上記(1)~(8)のいずれか一つに記載のヒューズエレメントと、を備える。
本発明の一態様に係る保護素子は、絶縁基板と、前記絶縁基板の表面に配置された上記(1)~(8)のいずれか一つに記載のヒューズエレメントと、前記絶縁基板の表面に配置され、前記ヒューズエレメントを加熱する発熱体と、を備える。
本発明によれば、過電流の発生などの異常時には速やかに溶断させることができ、かつ生産コストが安価なヒューズエレメントと、このヒューズエレメントを用いたヒューズ素子及び保護素子を提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントの一例を示す概略斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントの別の一例を示す概略斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントのさらに別の一例を示す概略斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るヒューズ素子の例を示す概略平面図である。 図4のV-V’線断面図である。 本発明の第3実施形態に係る保護素子の例を示す概略平面図である。 図6のVII-VII’線断面図である。
以下、本発明に係るヒューズエレメントと、このヒューズエレメントを用いたヒューズ素子及び保護素子の実施形態の好ましい例について、図面を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、本発明の効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、位置、数、比率、種類、大きさ、形状等について、変更、省略、追加、置換、その他の変更が可能である。特に問題のない限り、各例における好ましい特徴や条件を、互いに共有してもよい。
[ヒューズエレメント(第1実施形態)]
図1は、本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントの概略斜視図である。
図1に示すように、ヒューズエレメント10は、低融点金属層11と、低融点金属層11の表面に積層された高融点金属層12と、低融点金属層11と高融点金属層12との間に配置された中間層13とを有する。ヒューズエレメント10の平面視での形状や断面の形状は、任意に選択できる。
低融点金属層11は、その融点が、ヒューズ素子や保護素子を製造する際に行うリフロー時の加熱温度以下であることが好ましい。リフロー温度が240℃~260℃の場合には、低融点金属層11を構成する材料の融点TLは、138℃以上250℃以下の範囲内にあることが好ましい。融点TLは、必要に応じて、138℃以上218℃以下の範囲内や218℃以上250℃以下の範囲内にあってもよい。なお、低融点金属層11を構成する材料の融点は、その材料の液相線温度であってもよい。
低融点金属層11の材料は、錫もしくは錫を主成分として含む錫合金であることが好ましい。前記錫合金において、主成分とするとは、前記錫合金の錫の含有量が40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。前記錫の含有量は、70質量%以上や、80質量%以上であってもよい。前記錫の含有量の上限値は、任意に選択できるが、例えば、99質量%以下や、97質量%以下であってもよい。錫合金の例としては、Sn-Bi合金、In-Sn合金、Sn-Ag-Cu合金を挙げることができる。
高融点金属層12は、低融点金属層11の溶融物に溶解される金属材料からなる層である。低融点金属層11の材料が錫もしくは錫合金である場合、高融点金属層12の材料は、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金であることが好ましい。前記合金において、主成分とするとは、前記合金中の前記金属の含有量が40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。前記金属の含有量は、70質量%以上や、80質量%以上であってもよい。前記金属の含有量の上限値は、任意に選択できるが、例えば、99質量%以下や、97質量%以下であってもよい。前記合金の例としては、リン青銅、銀パラジウム合金、ニッケル鉄合金及びニッケル-コバルト合金を挙げることができる。高融点金属層12の材料は、平常時のヒューズエレメント10の電気伝導性を高くする観点から、銅、銅合金、銀及び銀合金のいずれかであることが好ましい。
高融点金属層12は、この層を構成する材料の融点THが、低融点金属層11を構成する材料の融点TLに対して100℃以上高いことが好ましい。すなわち高融点金属層12の融点は、低融点金属層11に対して100℃以上高いことが好ましい。融点THと融点TLとの差(融点TH-融点TL)は、500℃以上であることがより好ましく、800℃以上であることが特に好ましい。融点THと融点TLとの差は、1500℃以下であってもよい。また、融点THは、400℃以上1700℃以下の範囲内にあることが好ましい。融点THは、必要に応じて、400℃以上600℃以下の範囲内や、600℃以上1000℃以下の範囲内や、1000℃以上1600℃以下の範囲内にあってもよい。なお、高融点金属層12を構成する材料の融点は、その材料の液相線温度であってもよい。
中間層13は、低融点金属層11の溶融物に溶解される金属材料からなる層である。低融点金属層11の材料が錫もしくは錫合金である場合、中間層13の材料は、錫、ビスマス、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金であることが好ましい。前記合金において、主成分とするとは、前記合金中の前記金属の含有量が40質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましい。前記金属の含有量は、70質量%以上や、80質量%以上であってもよい。前記金属の含有量の上限値は、任意に選択できるが、例えば、99質量%以下や、97質量%以下であってもよい。例えば、低融点金属層11の材料がSn-Bi合金 、In-Sn合金などの錫合金である場合、中間層13の材料は、錫もしくはSn-Ag-Cu合金、Sn-Ag合金、Sn-Cu合金等の錫合金であってもよい。
中間層13は、この層を構成する材料の融点TMが、低融点金属層11を構成する材料の融点TLに対して30℃以上高く、高融点金属層12を構成する材料の融点THに対して30℃以上低いことが好ましい。すなわち中間層13に融点は、低融点金属層11に対して30℃以上高く、高融点金属層12に対して30℃以上低いことが好ましい。融点TMと融点TLとの差(融点TM-融点TL)は、150℃以上であることがより好ましく、500℃以上であることが特に好ましい。融点TMと融点TLとの差は1300℃以下であってもよい。融点TMと融点THとの差(融点TH-融点TM)は、100℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが特に好ましい。融点TMと融点THとの差は、800℃以下や、600℃以下であってもよい。また、融点TMは、260℃以上1500℃以下の範囲内にあることが好ましい。融点TMは、必要に応じて、260℃以上600℃以下の範囲内や、600℃以上1000℃以下の範囲内や、1000℃以上1500℃以下の範囲内にあってもよい。なお、中間層13を構成する材料の融点は、その材料の液相線温度であってもよい。
高融点金属層12の材料と中間層13の材料は、合金を生成する組み合わせであることが好ましい。例えば、高融点金属層12の材料が銅又は銅合金である場合、中間層13の材料は、銀又は銀合金、亜鉛又は亜鉛合金であることが好ましい。また、高融点金属層12の材料が銀又は銀合金である場合、中間層13の材料は、亜鉛又は亜鉛合金であることが好ましい。
ヒューズエレメント10は、過電流の発生などの異常時には、低融点金属層11が溶融し、生成した溶融物が中間層13と高融点金属層12とを溶解することによって、溶断される。ヒューズエレメント10において、低融点金属層11は、中間層13と高融点金属層12とを溶解して、ヒューズエレメント10を溶断させるのに必要な量で含まれている。中間層13と高融点金属層12は、ヒューズ素子や保護素子を製造する際のリフロー時に、ヒューズエレメント10の形状を維持するのに必要な量で、かつ異常時には、前記溶融物に速やかに溶解させることができる量で含まれる。
上記の観点から、低融点金属層11の膜厚は、任意に選択できるが、30μm以上であることが好ましい。低融点金属層11の膜厚は、60μm以上や、100μm以上や、500μm以上であってもよい。低融点金属層11の膜厚の上限値は、任意に選択できるが、例えば、3000μm以下であってもよい。必要に応じて、2000μm以下や、1500μm以下などであってもよい。
また、高融点金属層12の膜厚は、任意に選択できるが、1μm以上200μm以下の範囲内にあることが好ましい。必要に応じて、1μm以上60μm以下の範囲内や、60μm以上150μm以下の範囲内や、150μm以上200μm以下の範囲内であってもよい。
さらに、中間層13の膜厚は、任意に選択できるが、0.1μm以上50μm以下の範囲内にあることが好ましい。必要に応じて、0.1μm以上10μm以下の範囲内や、10μm以上20μm以下の範囲内や、1μm以上30μm以下の範囲内であってもよい。
また、高融点金属層12と中間層13の膜厚比(前者:後者)は、任意に選択できるが、30:1~1:10の範囲内にあることが好ましい。必要に応じて、例えば、30:1~1:1の範囲内や、30:1~10:1の範囲内や、10:1~5:1の範囲内や、1:1~1:10の範囲内であってもよい。中間層13を構成する材料が、低融点金属層11の溶融物への溶解性が高い場合は、中間層13の膜厚を高融点金属層12の膜厚と同じもしくはそれよりも厚くしてもよい。例えば、低融点金属層11の材料が錫や錫合金であって、中間層13の材料が、錫、銀、銅もしくはこれらの金属を主成分とする合金のいずれかである場合は、高融点金属層12と中間層13の膜厚比は、1:1~1:10の範囲内としてもよい。また、中間層13を構成する材料が、低融点金属層11の溶融物への溶解性が低い場合は、中間層13の膜厚を高融点金属層12の膜厚と同じもしくはそれよりも薄くしてもよい。例えば、低融点金属層11の材料が錫や錫合金であって、中間層13の材料が、ビスマス、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、金、ニッケル、コバルトもしくはこれらの金属を主成分とする合金のいずれかである場合は、高融点金属層12と中間層13の膜厚比は、30:1~1:1の範囲内にあってもよい。高融点金属層12と中間層13の膜厚比を調整することによって、ヒューズエレメント10の強度、過電流の発生などの異常時でのヒューズエレメント10の溶断速度、そして生産コストを調整することができる。
さらに、高融点金属層12と中間層13の合計膜厚と、低融点金属層11の膜厚との膜厚比(前者:後者)は、任意に選択できるが、1:2~1:100の範囲内にあることが好ましい。必要に応じて、例えば、1:2~1:10の範囲内や、1:10~1:30の範囲内や、1:30~1:100の範囲内であってもよい。高融点金属層12と中間層13の合計膜厚が厚くなりすぎると、異常時に中間層13と高融点金属層12が溶解されるまでの時間が長くなり、ヒューズエレメント10の溶断速度が遅くなるおそれがある。一方、低融点金属層11の膜厚が厚くなりすぎると、ヒューズ素子や保護素子を製造する際のリフロー時に、ヒューズエレメント10の形状を維持しにくくなるおそれがある。
ヒューズエレメント10は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などの成膜法を利用することによって製造することができる。具体的には、低融点金属層11となる金属箔を用意し、その金属箔の表面に前記成膜法を用いて中間層13を形成し、次いで、中間層13の表面に前記成膜法を用いて高融点金属層12を形成することによって、ヒューズエレメント10を製造することができる。低融点金属層11として錫もしくは錫合金を用いる場合、低融点金属層11は酸化しやすく、表面に不働態皮膜が形成されている場合がある。この場合には、中間層13を形成する際に、高電流を付与して短時間で電解めっきする方法(ストライクめっき法)を用いることが好ましい。また、ヒューズエレメント10は、例えば、金属箔を積層することによって製造することができる。具体的には、低融点金属層11となる金属箔と、中間層13となる金属箔と、高融点金属層12となる金属箔を用意し、これらの金属箔を圧着させることによって、ヒューズエレメント10を製造することができる。
図1に示すヒューズエレメント10は、低融点金属層11の表面に、中間層13と高融点金属層12とが積層された構成とされているが、ヒューズエレメントの構成はこれに限定されるものではない。ヒューズエレメント10の別の構成の例を、図2と図3に示す。
図2は、本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントの別の例を示す概略斜視図である。図2に示すヒューズエレメント20は、断面が矩形の低融点金属層21と、低融点金属層21の周囲に積層された高融点金属層22と、低融点金属層21と高融点金属層22との間に配置された中間層23とからなる。ヒューズエレメント20は、低融点金属層21の主面も側面も、中間層23と高融点金属層22によって被覆されている。このため、高融点金属層22と中間層23とからなる外殻の剛性が高まり、リフロー時に、ヒューズエレメント10の形状を維持しやすくなる。
図3は、本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメントのさらに別の例を示す概略斜視図である。図3に示すヒューズエレメント30は、断面が円形の低融点金属層31と、低融点金属層31の周囲に積層された高融点金属層32と、低融点金属層31と高融点金属層32との間に配置された中間層33とからなる。ヒューズエレメント30は、低融点金属層31の側面が中間層33と高融点金属層32によって同心円状に被覆されているので、低融点金属層31が酸化しにくくなる。また、中間層33と高融点金属層32の厚さを均一にしやすく、中間層33と高融点金属層32の溶解が均一に進みやすくなる。このため、ヒューズエレメント30は、溶断速度がさらに速くなる。
以上のような構成とされた本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメント10、20、30によれば、低融点金属層31と高融点金属層32との間に、融点が低融点金属層31よりも高く、高融点金属層32よりも低い中間層33が配置されているので、高融点金属層32の厚さを薄くしても強度を維持することができる。高融点金属層32の厚さを薄くすることによって、過電流の発生などの異常時には速やかに溶断させることができる。また、高価な高融点金属層32の厚さを薄くすることによって、生産コストが安価にすることができる。
本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメント10、20、30は、中間層13、23、33と高融点金属層12、22、32との間に、中間層13、23、33よりも融点が高く、高融点金属層12、22、32よりも融点が低く、かつ低融点金属層11、21、31の溶融物に溶解される金属からなる層を、さらに有していてもよい。また、高融点金属層12、22、32の表面に、酸化防止層を有していてもよい。
次に、本発明に係るヒューズ素子と保護素子の実施形態について、ヒューズエレメントとして図1に示すヒューズエレメント10を用いた場合を例にとって、説明する。
[ヒューズ素子(第2実施形態)]
図4は、本発明の第2実施形態に係るヒューズ素子の概略平面図である。図5は、図4のV-V’線断面図である。なお、図4は、ヒューズ素子のカバー部材を外した状態とされている。
図4と図5に示すように、ヒューズ素子40は、絶縁基板41と、絶縁基板41の表面41aに配置された第1の電極42及び第2の電極43と、第1の電極42と第2の電極43とを電気的に接続するヒューズエレメント10とを備える。
絶縁基板41は、電気絶縁性を有するものであれば特に制限はなく、樹脂基板、セラミックス基板、樹脂とセラミックスとの複合体基板など、回路基板として用いられている公知の絶縁基板を用いることができる。樹脂基板の例としては、エポキシ樹脂基板、フェール樹脂基板、ポリイミド基板を挙げることができる。セラミックス基板の例としては、アルミナ基板、ガラスセラミックス基板、ムライト基板、ジルコニア基板を挙げることができる。複合体基板の例としては、ガラスエポキシ基板を挙げることができる。
第1の電極42及び第2の電極43は、絶縁基板41の対向する一対の両端部に配置されている。第1の電極42及び第2の電極43は、それぞれ銀配線や銅配線などの導電パターンによって形成されている。第1の電極42及び第2の電極43の表面のそれぞれは、酸化などによる電極特性の変質を抑制するための電極保護層44で被覆されている。電極保護層44の材料としては、例えば、Snめっき膜、Ni/Auめっき膜、Ni/Pdめっき膜、Ni/Pd/Auめっき膜等を用いることができる。また、第1の電極42及び第2の電極43は、それぞれキャスタレーションを介して、絶縁基板41の裏面41bに形成された第1の外部接続電極42a及び第2の外部接続電極43aと電気的に接続されている。第1の電極42及び第2の電極43と第1の外部接続電極42a及び第2の外部接続電極43aとの接続は、キャスタレーションに限定されず、スルーホールで行ってもよい。
ヒューズエレメント10は、第1の電極42及び第2の電極43と、はんだ等の接続材料45を介して電気的に接続されている。
ヒューズエレメント10は、表面にフラックス46が塗布されていてもよい。フラックス46を塗布することによって、ヒューズエレメント10の酸化が防止され、接続材料45を介してヒューズエレメント10と第1の電極42及び第2の電極43を接続する際の、接続材料45の濡れ性が向上する。また、フラックス46を塗布することにより、アーク放電による溶融金属の絶縁基板41への付着を抑制し、ヒューズエレメント10の溶断後における絶縁性を向上させることができる。
ヒューズ素子40は、図5に示すように、カバー部材50が接着剤を介して取り付けられていることが好ましい。カバー部材50を取り付けることによって、ヒューズ素子40の内部を保護するとともに、ヒューズエレメント10が溶断する際に発生する溶融物の飛散を防止することができる。カバー部材50の材料としては、各種エンジニアリングプラスチック、及びセラミックスを用いることができる。
ヒューズ素子40は、第1の外部接続電極42a及び第2の外部接続電極43aを介して、回路基板の電流経路上に実装される。回路基板の電流経路上に定格の電流が流れている間は、ヒューズ素子40に備えられているヒューズエレメント10の低融点金属層11は溶融しない。一方、回路基板の電流経路上に定格を超える過電流が通電されると、ヒューズエレメント10の低融点金属層11が発熱して溶融する。こうして生成した溶融物が中間層13と高融点金属層12とを溶解することによって、ヒューズエレメント10を溶断させる。そして、このヒューズエレメント10の溶断により、第1の電極42と第2の電極43間が断線され、回路基板の電流経路が遮断される。
以上のような構成とされた本発明の第2実施形態に係るヒューズ素子40は、本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメント10を用いている。このためで、過電流の発生時には、速やかにヒューズエレメント10が溶断される。このため、回路基板の電流経路を早期に遮断させることができる。
[保護素子(第3実施形態)]
図6は、本発明の第3実施形態に係る保護素子の概略平面図である。図7は、図6のVII-VII’線断面図である。なお、図6において、保護素子はカバー部材を外した状態とされている。
図6と図7に示すように、保護素子60は、絶縁基板61と、絶縁基板61の表面61aに配置された第1の電極62及び第2の電極63と、第1の電極62及び第2の電極63の間に配置された発熱体70と、発熱体70に接続する第1の発熱体電極64及び第2の発熱体電極65と、第2の発熱体電極65に接続し、平面視で発熱体70と重なる場所に位置する発熱体引出電極66と、発熱体引出電極66の表面に配置されたヒューズエレメント10とを備える。
絶縁基板61は、電気絶縁性を有するものであれば特に制限はない。絶縁基板61は、としては、第2実施形態のヒューズ素子40の場合と同様に、回路基板として用いられている公知の絶縁基板を用いることができる。本例では、絶縁基板61は平面視で長方形であるが、この形状のみに限定されず、任意に選択される形状であってもよい。
第1の電極62と第2の電極63は、絶縁基板61の対向する一対の両端部に配置されている。第1の発熱体電極64と第2の発熱体電極65は、絶縁基板61の対向する別の一対の両端部に配置されている。第1の電極62、第2の電極63、第1の発熱体電極64、第2の発熱体電極65、及び発熱体引出電極66は、それぞれが、銀配線や銅配線などの、導電パターンによって形成されている。また、第1の電極62、第2の電極63、第1の発熱体電極64、第2の発熱体電極65、及び発熱体引出電極66は、それぞれが、酸化などによる電極特性の変質を抑制するための電極保護層67で好ましく被覆されている。電極保護層67の材料は、第2実施形態のヒューズ素子40の場合と同様である。さらに、第1の電極62、第2の電極63、及び第1の発熱体電極64のそれぞれは、キャスタレーションを介して、絶縁基板61の裏面61bに形成された第1の外部接続電極62a、第2の外部接続電極63a、及び発熱体給電電極64aと、電気的に接続されている。なお、第1の電極62、第2の電極63、及び第1の発熱体電極64と、第1の外部接続電極62a、第2の外部接続電極63a、及び発熱体給電電極64aとのそれぞれの接続は、キャスタレーションに限定されず、スルーホールで行ってもよい。
発熱体70は、比較的抵抗が高く、通電により発熱する、高抵抗導電性材料から形成されている。発熱体70は、例えば、ニクロム、W、Mo、Ru等又はこれらを含む材料からなる。発熱体70は、前記元素を含む合金、組成物、または化合物の粉状体を、樹脂バインダ等と混合してペースト状にしたものを用意し、これを絶縁基板61の表面にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する方法等によって、好ましく形成することができる。
発熱体70は、絶縁部材71で被覆されている。絶縁部材71の材料としては、例えば、ガラスを用いることができる。発熱体引出電極66は、絶縁部材71を介して、発熱体70と対向するように配置される。この配置により、発熱体70は、絶縁部材71及び発熱体引出電極66を介して、ヒューズエレメント10と、重畳される。このような重畳構造とすることによって、発熱体70にて発生した熱を、狭い範囲で、効率よく、ヒューズエレメント10に伝えることができる。
ヒューズエレメント10は、その両端がそれぞれ第1の電極62と第2の電極63に電気的に接続し、その中央部が発熱体引出電極66に接続されている。ヒューズエレメント10と、第1の電極62、第2の電極63、及び発熱体引出電極66とは、はんだ等の接続材料68を介して、電気的に接続されている。このような構成により、保護素子60には、発熱体給電電極64a、第1の発熱体電極64、発熱体70、第2の発熱体電極65、発熱体引出電極66、そしてヒューズエレメント10に至る、第一の通電経路と、第1の外部接続電極62a、第1の電極62、ヒューズエレメント10、第2の電極63、そして第2の外部接続電極63aに至る、第二の通電経路とが形成される。また、ヒューズエレメント10は、表面にフラックス69が塗布されている。
保護素子60は、図7に示すように、カバー部材80が接着剤を介して取り付けられていることが好ましい。カバー部材80の材料は、第2実施形態のヒューズ素子40の場合と同様である。
保護素子60は、第1の外部接続電極62a、第2の外部接続電極63a及び発熱体給電電極64aを介して、回路基板の電流経路上に実装される。これにより、保護素子60のヒューズエレメント10は、第1の外部接続電極62aと第2の外部接続電極63aを介して、外部の回路基板の電流経路上に直列接続される。発熱体70は、発熱体給電電極64aを介して、回路基板に設けられた電流制御素子と接続される。
保護素子60は、回路基板に異常が発生すると、回路基板に備えられた電流制御素子によって、発熱体給電電極64aを介して発熱体70が通電される。この通電により、発熱体70が発熱する。そして、その熱が、絶縁部材71及び発熱体引出電極66を介して、ヒューズエレメント10に伝えられる。この熱によって、ヒューズエレメント10の低融点金属層11が溶融し、生成した溶融物が中間層13と高融点金属層12とを溶解する。その結果、ヒューズエレメント10が溶断される。そして、このヒューズエレメント10の溶断により、第1の電極62と第2の電極63との間が断線され、回路基板の電流経路が遮断される。
以上のような構成とされた本発明の第3実施形態に係る保護素子60は、本発明の第1実施形態に係るヒューズエレメント10を用いている。その結果、異常時には速やかにヒューズエレメント10が溶断される。このため、回路基板の電流経路を早期に遮断させることができる。
10、20、30 ヒューズエレメント
11、21、31 低融点金属層
12、22、32 高融点金属層
13、23、33 中間層
40 ヒューズ素子
41 絶縁基板
41a 表面
41b 裏面
42 第1の電極
42a 第1の外部接続電極
43 第2の電極
43a 第2の外部接続電極
44 電極保護層
45 接続材料
46 フラックス
50 カバー部材
60 保護素子
61 絶縁基板
61a 表面
61b 裏面
62 第1の電極
62a 第1の外部接続電極
63 第2の電極
63a 第2の外部接続電極
64 第1の発熱体電極
64a 発熱体給電電極
65 第2の発熱体電極
66 発熱体引出電極
67 電極保護層
68 接続材料
69 フラックス
70 発熱体
71 絶縁部材
80 カバー部材

Claims (10)

  1. 低融点金属層と、
    前記低融点金属層の少なくとも一方の表面に積層された高融点金属層と、
    前記低融点金属層と前記高融点金属層との間に配置された中間層と、を有し、
    前記高融点金属層と前記中間層は、前記低融点金属層の溶融物に溶解される金属からなる層であって、
    前記中間層は、融点が前記低融点金属層よりも高く、前記高融点金属層の融点よりも低いヒューズエレメント。
  2. 前記低融点金属層を構成する材料の融点は、138℃以上250℃以下の範囲内にあり、
    前記高融点金属層を構成する材料の融点は、前記低融点金属層を構成する材料の融点に対して100℃以上高く、
    前記中間層を構成する材料の融点は、前記低融点金属層を構成する材料の融点に対して30℃以上高く、前記高融点金属層を構成する材料の融点に対して30℃以上低い請求項1に記載のヒューズエレメント。
  3. 前記低融点金属層を構成する材料の融点、前記高融点金属層を構成する材料の融点、前記中間層を構成する材料の融点は、各々の材料の液相線温度である請求項1又は2に記載のヒューズエレメント。
  4. 前記中間層と前記高融点金属層との膜厚比は、10:1~1:30の範囲内にあって、
    前記高融点金属層と前記中間層の合計膜厚と、前記低融点金属層の膜厚との膜厚比は、1:2~1:100の範囲内にある請求項1~3のいずれか一項に記載のヒューズエレメント。
  5. 前記低融点金属層の膜厚は30μm以上であって、
    前記高融点金属層の膜厚は1μm以上200μm以下の範囲内にあり、
    前記中間層の膜厚は0.1μm以上50μm以下の範囲内にある請求項1~4のいずれか一項に記載のヒューズエレメント。
  6. 前記低融点金属層は、錫もしくは錫を主成分とする錫合金からなる層である請求項1~5のいずれか一項に記載のヒューズエレメント。
  7. 前記中間層は、錫、ビスマス、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル及びコバルトからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金からなる層である請求項1~6のいずれか一項に記載のヒューズエレメント。
  8. 前記高融点金属層は、亜鉛、アンチモン、アルミニウム、銀、金、銅、ニッケル、コバルト及び鉄からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属もしくは前記金属を主成分とする合金からなる層である請求項1~7のいずれか一項に記載のヒューズエレメント。
  9. 絶縁基板と、
    前記絶縁基板の表面に配置された請求項1~8のいずれか一項に記載のヒューズエレメントと、を備えるヒューズ素子。
  10. 絶縁基板と、
    前記絶縁基板の表面に配置された請求項1~8のいずれか一項に記載のヒューズエレメントと、
    前記絶縁基板の表面に配置され、前記ヒューズエレメントを加熱する発熱体と、を備える保護素子。
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