JP6435920B2 - パラジウムの回収方法 - Google Patents

パラジウムの回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6435920B2
JP6435920B2 JP2015037948A JP2015037948A JP6435920B2 JP 6435920 B2 JP6435920 B2 JP 6435920B2 JP 2015037948 A JP2015037948 A JP 2015037948A JP 2015037948 A JP2015037948 A JP 2015037948A JP 6435920 B2 JP6435920 B2 JP 6435920B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
palladium
ruthenium
iron
ammonia
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015037948A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016160450A (ja
Inventor
真鍋 善昭
善昭 真鍋
諭 松原
諭 松原
和典 谷嵜
和典 谷嵜
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP2015037948A priority Critical patent/JP6435920B2/ja
Publication of JP2016160450A publication Critical patent/JP2016160450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6435920B2 publication Critical patent/JP6435920B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)

Description

本発明は、パラジウムの回収方法に関する。特に、本発明は、パラジウムとルテニウムを含む澱物やスクラップを溶解し、不純物を水酸化物として沈澱除去した後に、塩酸を添加して得られた塩化ジアンミンパラジウムを回収するパラジウムの回収方法において、効果的にルテニウムを除去することが可能なパラジウムの回収方法に関する。
パラジウムは、半導体材料、電子材料等に広く利用されている。特に、抵抗ペースト用パラジウムは、不純物の混入量が多いと、それを適用した電子素子へ悪影響を及ぼすため、より高純度のものが用いられる。
一般的にパラジウムは、白金鉱石等の天然鉱物、パラジウム廃触媒、銅やニッケルの電解で発生する澱物等の白金族原料を精製して得られるものである。また、白金族原料は、種類、産地、産出時期等によって品質(パラジウム品位、不純物元素の種類と量)が大きく異なるものである。しかしながら、パラジウムは希少資源であるので、不純物の多い白金族原料からも高純度のパラジウムを得る必要がある。
白金族原料を精製して個別の元素に分離する方法として、例えば特許文献1に記載の方法が知られている。この方法によれば、パラジウムはジヘキシルスルファイド系有機抽出剤によって抽出分離され、パラジウム精製液が得られる。当該方法では、得られたパラジウム精製液を還元させて、一般用として十分な品質のパラジウム又はパラジウム化合物を得る。
一般用パラジウムの他に、電子材料用パラジウム等では、高純度のものが要求されることがある。パラジウムを更に高純度化する方法として、例えば特許文献2に記載の方法が開発されている。この方法によれば、パラジウムをアンモニア水に溶解した溶液に、酸化剤を添加して、塩酸を加えて得られた沈澱を還元することによって、白金の含有量が低減されたパラジウムが得られる。
ところで、近年、ルテニウムの含有量が少ないパラジウムの需要が高まっている。製品パラジウム中のルテニウム量は、特許文献2の方法を繰り返すと、低減が可能である。
しかしながら、特許文献2の方法をルテニウムの除去に用いると、作業人員や薬剤を多く要し、排水が多く発生して費用を要してしまう。また、多数回の繰り返し操作を要するので、パラジウムの保有期間が長くなって金利負担が大きくなる。更に、精製操作を繰り返すにつれてルテニウムの除去効率が低くなるので、繰り返し回数の予測が難しく、出荷の見込みが立たなくなることがある。
こうした事情から、従来の方法では、製品パラジウム中のルテニウム量を低減すること、具体的には、工業的に製品パラジウム中のルテニウム量を20mg/kg未満まで低減することは困難である。
特許3557685号公報 特許3666337号公報
上述した通り、特許文献2に記載の方法、即ち、パラジウムをアンモニア水に溶解した溶液に塩酸等を加えて沈澱を得る方法には、多数回の繰り返し操作を行わずに、ルテニウムを十分に低減することができないという課題がある。
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、精製操作の繰り返しを行うことなく、簡単で効果的にルテニウムを低減することが可能なパラジウムの回収方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた。その結果、本発明者らは、粗パラジウムをアンモニア水に溶解すると、ルテニウム濃度が溶解液の上部と下部で異なる場合があることを発見した。本発明者らは、溶解液に濃度差が生じる理由について、ルテニウムが非常に微細な粒子となって緩やかに沈降するためと考え、当該溶解液を濾過したところ、ルテニウムを分離することはできなかった。そこで、本発明者らは、ルテニウムの微粒子を粗大化できれば分離できると考え、溶解液中に鉄を溶存させ析出させることにより、濾過してルテニウムを除去できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、上記目的を達成するための本発明に係るパラジウムの回収方法は、パラジウム及びルテニウムを含む粗パラジウムが溶解した混合溶液を作製し、混合溶液中のルテニウムを水酸化物として沈澱除去した後に、塩素源を添加してパラジウムを塩化物として沈澱回収するパラジウムの回収方法であって、混合溶液は、粗パラジウムの他にアンモニア及び鉄源を溶解して作製されることを特徴とする。
本発明によれば、パラジウム及びルテニウムを含有する粗パラジウムが溶解した混合溶液を作製し、混合溶液中のルテニウムを水酸化物として沈澱除去した後に、塩素源を添加してパラジウムを塩化物として沈澱回収する際に、当該混合溶液が、粗パラジウムの他にアンモニア及び鉄源を溶解して作製されることにより、精製操作を多数回繰り返すことなく、簡便且つ効果的にルテニウムの含有量を低減することができる。
本発明のパラジウムの回収方法の一形態を説明するための工程図である。 実施例1におけるパラジウムの回収方法を示す工程図である。 比較例1におけるパラジウムの回収方法を示す工程図である。
本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、単に「本実施の形態」という。)について、以下に示した項目の通り、図面を参照してそれぞれ詳細に説明する。なお、本発明は、以下の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることが可能である。
1.パラジウムの回収方法の概要
2.アンモニア添加工程
2−1.粗パラジウム
2−2.混合溶液の作製
2−3.固液分離
3.塩素源添加工程
4.パラジウムの製品化工程
[1.パラジウムの回収方法の概要]
本実施の形態に係るパラジウムの回収方法(以下、単に「パラジウムの回収方法」という。)は、パラジウムとルテニウムとを含む粗パラジウムを溶解し、ルテニウムを水酸化物として沈澱除去した後に、塩素源を添加して得られたパラジウムを塩化物として回収する方法である。
より詳細には、パラジウムの回収方法は、図1に示すように、アンモニアと鉄源とを用いて粗パラジウムからルテニウムを沈澱物として除去するアンモニア添加工程S11と、ルテニウムを沈澱除去した溶解液に塩素源を添加して沈澱物としてパラジウムを回収する塩素源添加工程S12とを有している。
[2.アンモニア添加工程]
アンモニア添加工程S11では、図1に示すように、粗パラジウムとアンモニアと鉄源とを混合して得られた混合溶液から、パラジウムを含有する溶解液と、ルテニウム及び鉄を含有する沈澱物とを固液分離する。
<2−1.粗パラジウム>
アンモニア添加工程S11では、パラジウム及びルテニウムを含む粗パラジウムを原料として処理することができる。粗パラジウムの性状は、液体でも固体でもよい。液体状の粗パラジウムとしては、固体の白金族原料を塩素の水溶液又は王水で浸出して得られる液や、特許文献1に記載のパラジウム精製液を使用することができる。一方、固体の粗パラジウムとしては、反応物同士が接触しやすく分離しやすいように、固体の白金族原料を予め粉砕や酸化焙焼をしたものを用いてもよい。
なお、アンモニア添加工程S11で用いる白金族原料としては、パラジウム廃触媒、銅やニッケルの電解で発生する澱物等が挙げられるが、パラジウム及びルテニウムが含まれていれば、これらに限定される訳ではなく、用途に応じて適宜選択することができる。
<2−2.混合溶液の作製>
アンモニア添加工程S11では、まず、パラジウム、アンモニア、ルテニウム、鉄を反応させて混合溶液(懸濁液)を得る。
アンモニア添加工程S11では、パラジウム、アンモニア、ルテニウム、鉄を反応させることができれば、各原材料の添加手順は特に限定されることはない。例えば、アンモニア添加工程S11では、粗パラジウム、アンモニア、鉄源を1つの槽に同時に入れてもよいし、粗パラジウムをアンモニアと混合した後で鉄源を混合してもよいし、或いは、粗パラジウムを鉄源と混合した後でアンモニアを混合してもよい。
アンモニア添加工程S11では、ルテニウムと鉄は、下記反応式1及び下記反応式2によって水酸化物となって沈澱する一方で、パラジウムは、例えば下記反応式3〜下記反応式5によりアンモニアが配位して溶存状態となる。アンモニア添加工程S11では、ルテニウムと鉄の水酸化物を同時に生成することにより、これらを大きな粒子として析出させてパラジウムから確実に分離することができる。
NH + HO ⇒ NH + OH …… (1)
m+ + mOH ⇒ M(OH)
(但し、MはRu又はFeである。) …… (2)
[Pd(Cl)2− + 4NH
⇒ [Pd(NH2+ + 4Cl …… (3)
PdO + 4NH + H
⇒ [Pd(NH2+ + 2OH …… (4)
(NH[PdCl] + 4NH
⇒ [Pd(NH2+ + 2NH + 4Cl …… (5)
(アンモニア)
アンモニア添加工程S11では、混合溶液のpHが9〜10となるように、アンモニアの添加量を制御することが好ましい。アンモニア添加工程S11では、アンモニアの添加量を制御することで、反応式1〜反応式5における反応を、効率的に進められるからである。
混合溶液のpHが9未満では、ルテニウムや鉄の沈澱は生じにくく、しかもパラジウムは固体から溶解されにくい。一方、混合溶液のpHが10を超えると、ルテニウムは水酸化物から再溶解する虞があり、アンモニアを無駄に添加することとなり、次工程の塩素源添加工程S12において、塩酸の消費が多くなる。
アンモニア添加工程S11では、アンモニアとして、取り扱いが容易なアンモニア水を用いてもよいし、或いは、混合溶液中にアンモニアガスを吹き込んで供給してもよい。
(鉄源)
アンモニア添加工程S11における鉄源は、水酸化物となりルテニウムを共沈させる役割を担う。そして、共沈した水酸化物は、濾過によって取り除くことができる。
アンモニア添加工程S11では、鉄源としては、水酸化物となりルテニウムを共沈させることができれば特に限定されないが、溶液(鉄溶液)で供給することが好ましい。その理由は、混合溶液中の鉄がイオンとして均一に分散しておりルテニウムと位置が近いことと、析出しやすくルテニウムの共沈に適しているからである。
アンモニア添加工程S11では、鉄溶液として、3価の鉄イオンを含んだ溶液を供給すればよい。その理由は、水酸化鉄(III)は水酸化鉄(II)よりも溶解度が低いので、多く析出してルテニウムを共沈できる上に、後工程の塩素源添加工程S12に送られる鉄も僅かとなるからである。
また、アンモニア添加工程S11では、鉄溶液として、硫酸第二鉄(硫酸鉄(III)、Fe(SO)又は塩化第二鉄(塩化鉄(III)、FeCl)を含んだ溶液を供給してもよい。硫酸第二鉄及び塩化第二鉄は溶解度が高いので、アルカリ下で水酸化鉄になる際に、混合溶液中に多く析出してルテニウムを共沈することができる。特に、硫酸第一鉄を水に懸濁し、亜塩素酸ナトリウム等の酸化剤で第二鉄塩に変換したものは、安価且つ品質が安定しているので、アンモニア添加工程S11において鉄源として好適に用いることができる。
混合溶液中に鉄イオンが少ない場合は、混合溶液中でルテニウムは水酸化物となるものの、あまり沈澱しない。このとき、混合溶液中では、ルテニウムが非常に微細な粒子としてコロイド状に懸濁していると推定される。そのような状態のルテニウムを除去するためには、アンモニア添加工程S11では、混合溶液中において、ルテニウムの量に応じて鉄の量を増やす必要がある。
即ち、アンモニア添加工程S11では、鉄源中の鉄のモル量が、粗パラジウム中のルテニウムのモル量の2000倍以上、好ましくは3000倍以上となるように、鉄源を供給することが好ましい。その結果、混合溶液中において、微細な粒子としてコロイド状に懸濁したルテニウムを、鉄の水酸化物と共沈させて除去することができ、後述する精製パラジウム中のルテニウムの含有量を10mg/kg以下にすることができる。
アンモニア添加工程S11では、鉄源中の鉄のモル量が、粗パラジウム中のルテニウムのモル量の500倍を下回ると、混合溶液中のルテニウムを、鉄の水酸化物と共沈させて除去しにくく、後述する精製パラジウム中のルテニウムの含有量を20mg/kg未満にすることが困難となる。
<2−3.固液分離>
アンモニア添加工程S11では、次に、得られた混合溶液を固液分離により溶解液と沈澱物とに分離する。その後、次工程の塩素源添加工程S12において、得られた溶解液を塩素源で処理する。アンモニア添加工程S11では、混合溶液中に生じた沈澱物の大きさに応じて固液分離方法を選択すればよく、例えば目開き1μm〜2μmの濾布で濾過する方法が、濾過速度と分離効率のバランスに優れており経済的である。
アンモニア添加工程S11において、固液分離により混合溶液から分離された沈澱物は、鉄を多く含むので、鉄や銅の乾式製錬工場で低コストに処理することができる。或いは、アンモニア添加工程S11では、沈澱物中にルテニウムを多く含む場合には、特許文献1に記載の方法における原料(白金族金属含有鉄合金粉)として用いてもよい。
[3.塩素源添加工程]
塩素源添加工程S12では、図1に示すように、アンモニア添加工程S11において、混合溶液から固液分離して得られた溶解液に塩素源を添加し、パラジウムを含有する沈澱物と上澄液とを得る。
塩素源添加工程S12で用いる塩素源としては、塩素を含んでいるものであればよく、塩素ガス、塩酸、次亜塩素酸、塩素酸、塩化ナトリウム等が使用可能である。これらの中でも、塩酸は、溶解液中に混入した水酸化鉄の微粒子を溶解できる点と、高濃度なものが安価に入手可能である点で優れている。
塩素源添加工程S12では、溶解液に塩素源を添加することにより、パラジウムと塩素と窒素とを含む沈澱物が得られる。得られた沈澱物は、下記反応式6によって生じた塩化パラジウム酸アンモニウム(テトラクロロパラジウム酸アンモニウム)又は下記反応式7によって生じたジクロロジアンミンパラジウムと考えられる。
[Pd(NH2+ + 4Cl + 2H
⇒ (NH[PdCl]↓ + 2NH …… (6)
[Pd(NH2+ + 2Cl
⇒ [Pd(NHCl]↓ + 2NH …… (7)
塩素源添加工程S12において、塩素源として塩酸を使用する場合には、溶解液のpHが2以下となるように、塩酸の添加量を制御することが好ましい。溶解液のpHが2以下であれば、反応式6又は反応式7の反応が進みやすく、パラジウムの大部分を沈澱物として回収することができる。
なお、パラジウムの回収方法では、ルテニウムの含有量を実用上十分な程度に低減することができるが、塩素源添加工程S12で得られた沈澱物を、アンモニア添加工程S11に供して繰り返して処理することで、沈澱物中のルテニウムを更に低減してもよい。
[4.パラジウムの製品化工程]
パラジウムの製品化工程では、塩素源添加工程S12において得られた沈澱物から、公知の方法により精製パラジウムを得ることができ、パラジウム製品として提供することができる。なお、パラジウム製品化工程では、アンモニア添加工程S11で得られた溶解液中の不純物量によっては、塩素源添加工程S12において得られた沈澱物にかえて、アンモニア添加工程S11において得られた溶解液を使用して、パラジウム製品を作製することが可能な場合もある。
パラジウムの製品化工程では、例えば、加熱してアンモニア、塩素、塩化アンモニウム等を揮発させる方法(加熱処理)や、アンモニア水に溶解した後にヒドラジンを添加する方法(還元処理)により、高純度な金属パラジウム(精製パラジウム)が得られる。
パラジウムの製品化工程において得られた精製パラジウムは、精製パラジウム1kgに対してルテニウムの含有量を20mg未満、より好ましくは、精製パラジウム1kgに対してルテニウムの含有量を10mg以下に低減することができる。また、得られた精製パラジウムの純度は99.9質量%以上である。従って、このような高純度の精製パラジウムは、電子材料用パラジウムとして極めて有用である。
以上で説明した通り、本実施の形態に係るパラジウムの回収方法では、パラジウム及びルテニウムを含有する粗パラジウムが溶解した混合溶液を作製し、混合溶液中のルテニウムを水酸化物として沈澱除去した後に、塩素源を添加してパラジウムを塩化物として沈澱回収する際に、当該混合溶液が、粗パラジウムの他にアンモニア及び鉄源を溶解して作製されることにより、簡便且つ効果的にルテニウムの含有量を低減し、高純度のパラジウムを得ることができる。
つまり、パラジウムの回収方法によれば、精製操作を多数回繰り返さずに済むので、作業人員や薬剤を節約することができ、且つ排水量を低減することができるので、作業量と費用を大幅に低減することができる。
また、パラジウムの回収方法によれば、精製操作回数の低減により、製品化にかかる時間を短縮することができるので、製品の出荷を早めることができ、パラジウムの保有期間が短くなって金利負担が小さくなる。
従って、パラジウムの回収方法は、上述した通りの様々な利点を有するため、パラジウムの工業的な方法として最適である。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、図2に示した工程図に沿って精製パラジウムを作製した。まず、実施例1では、塩酸にパラジウムとルテニウムを含む澱物(パラジウム原料)を投入し、更に過酸化水素を添加して溶解し、未溶解物(浸出残渣)を濾別して浸出液を得た。
その後、実施例1では、得られた浸出液に25%アンモニア水を添加して、そのpHを10とした。実施例1では、アンモニア水を添加した浸出液を、ICP質量分析装置(ICP:Inductively Coupled Plasma)で分析したところ、ルテニウム濃度は4.7mg/Lであった。
実施例1では、水に硫酸第一鉄を投入し、液の酸化還元電位が400mV(対AgCl電極)になるまで亜塩素酸ナトリウムを添加し、硫酸第二鉄と塩化第二鉄を含んだ液(以下、「鉄液」という。)を得た。
実施例1では、得られた浸出液40mL(即ち、ルテニウム量1.86×10−6mol)に、鉄を1039mg(即ち、鉄量1.86×10−2mol)含む鉄液を添加したところ、沈澱物が生じた。実施例1では、この沈澱物を濾別して溶解液を得た。
なお、実施例1では、浸出液中のルテニウム量に対する鉄量のモル比(Fe/Ru比[mol/mol])を算出したところ、10000であった。実施例1では、浸出液の処理方法(添加鉄量及びFe/Ru比)を表1に示した。
実施例1では、得られた溶解液に35%塩酸を添加して、そのpHを1としたところ、沈澱物が生じた。実施例1では、得られた沈澱物を濾過して回収した後に焙焼したところ、金属塊(精製パラジウム)が得られた。なお、焙焼は、800℃の水素雰囲気中で2時間行った。
実施例1では、得られた金属塊を、ICP発光分光分析装置で分析したところ、パラジウム品位は99.95%を超えており、ルテニウム品位は10mg/kg未満であった。実施例1では、金属塊における分析結果を表1に示した。
(実施例2〜実施例5)
実施例2〜実施例5では、アンモニア水を添加した浸出液に添加する鉄液において、鉄液中の鉄量をそれぞれ52mg、104mg、208mg、312mgとした以外は実施例1と同様にして金属塊を製造し、得られた金属塊をICP発光分光分析装置で分析した。実施例2〜実施例5では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法及び金属塊の分析結果を表1に示した。
(実施例6)
実施例6では、パラジウムの2.05×10−4倍の質量のルテニウムを含む塩化ジアンミンパラジウム40kgを、容量500リットルのFRP槽に投入した。続いて、このFRP槽に、水を150リットル入れ、撹拌しスラリー化した。次に、このFRP槽に25%アンモニア水を60リットル添加し溶解した。こうして得られた溶解後の液をICP質量分析装置で分析したところ、ルテニウム濃度は4.0mg/Lであった。
実施例6では、水50リットルに硫酸第一鉄・七水和物を6.5kg溶解し、液の酸化還元電位が400mV(対AgCl電極)になるまで亜塩素酸ナトリウムを添加し、鉄液を得た。
実施例6では、得られた鉄液をFRP槽に混合し、混合溶液を得た。FRP槽に供給されたルテニウム量は8.31×10−3mol(840mg)、鉄量は23.38mol(1306g)であり、鉄はルテニウムの約2813倍(Fe/Ru比)に相当した。実施例6では、得られた混合溶液を1時間撹拌したところ、FRP槽内に沈澱物がみられたので、この沈澱物をデンバー濾過器で濾別して溶解液を得た。実施例6では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法を表1に示した。
実施例6では、得られた溶解液を実施例1と同様にして処理し、金属塊(精製パラジウム)を得た。得られた金属塊を、ICP発光分光分析装置で分析したところ、パラジウム品位は99.95%を超えており、ルテニウム品位は10mg/kg未満であった。実施例6では、実施例1と同様にして、金属塊の分析結果を表1に示した。
(比較例1)
比較例1では、図3に示した工程図に沿ってパラジウム塊を作製した。比較例1では、アンモニア水を添加した浸出液を、鉄液を添加せずに、濾過して溶解液を得た以外は実施例1と同様にして金属塊(パラジウム塊)を製造し、得られた金属塊をICP発光分光分析装置で分析した。比較例1では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法及び金属塊の分析結果を表1に示した。
(比較例2)
比較例2では、比較例1の溶解液に塩酸を添加して得られた沈澱物を、当該沈澱物の2倍の質量の水に投入してスラリーを得た。比較例2では、得られたスラリーに25%アンモニア水を添加して、そのpHを10とし、濾過して濾液(溶解液)を得た。
比較例2では、得られた濾液に35%塩酸を添加して、そのpHを1としたところ、沈澱物が生じた。比較例2では、得られた沈澱物を実施例1と同様にして処理し、金属塊(パラジウム塊)を得た。比較例2では、得られた金属塊について、ICP発光分光分析装置で分析した。比較例2では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法及び金属塊の分析結果を表1に示した。
(比較例3)
比較例3では、比較例2の溶解液に塩酸を添加して得られた沈澱物を、当該沈澱物の2倍の質量の水に投入してスラリーを得た。比較例3では、得られたスラリーに25%アンモニア水を添加して、そのpHを10とし、濾過して濾液(溶解液)を得た。
比較例3では、得られた濾液に35%塩酸を添加して、そのpHを1としたところ、沈澱物が生じた。比較例3では、得られた沈澱物を実施例1と同様にして処理し、金属塊(パラジウム塊)を得た。比較例3では、得られた金属塊について、ICP発光分光分析装置で分析した。比較例3では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法及び金属塊の分析結果を表1に示した。
(比較例4)
比較例4では、比較例3の溶解液に塩酸を添加して得られた沈澱物を、当該沈澱物の2倍の質量の水に投入してスラリーを得た。比較例4では、得られたスラリーに25%アンモニア水を添加して、そのpHを10とし、濾過して濾液(溶解液)を得た。
比較例4では、得られた濾液に35%塩酸を添加して、そのpHを1としたところ、沈澱物が生じた。比較例4では、得られた沈澱物を実施例1と同様にして処理し、金属塊(パラジウム塊)を得た。比較例4では、得られた金属塊について、ICP発光分光分析装置で分析した。比較例4では、実施例1と同様にして、浸出液の処理方法及び金属塊の分析結果を表1に示した。
Figure 0006435920
(考察)
実施例1〜実施例6の結果より、表1に示した通り、浸出液に所定量の鉄を添加することにより、パラジウム、アンモニア、水、鉄、ルテニウムを含む混合溶液が得られ、ルテニウムと鉄は混合溶液中で共沈するので、得られた精製パラジウム1kgに対してルテニウムの含有量を20mg未満に低減できることが確認できた。
実施例2の結果より、精製パラジウム中のルテニウムを20mg/kg未満にするには、鉄の添加量は、Fe/Ru比にして500mol/molで十分であることが分かった。
実施例4の結果より、ルテニウムを10mg/kg以下にするには、鉄の添加量は、Fe/Ru比にして2000mol/molで十分であることが分かった。
ルテニウムを10mg/kg未満にするには、鉄の添加量は、実施例5及び実施例6の結果より、Fe/Ru比にして2813mol/mol〜3000mol/molで十分であることが分かった。
一方、比較例1〜比較例4の結果より、表1に示した通り、浸出液に鉄を添加しなかった場合には、精製操作を3回以上しないと、得られたパラジウム塊1kgに対するルテニウムの含有量を20mg未満に低減できないことが分かった。また、精製操作を4回しても、得られたパラジウム塊1kgに対するルテニウムの含有量を10mg以下に低減できないことが分かった。
従って、各実施例及び各比較例の結果より、浸出液に、Fe/Ru比にして2000mol/mol以上、好ましくは3000mol/mol以上の鉄を添加することにより、精製パラジウム中のルテニウムを従来法よりも低減することが分かった。しかも、浸出液に対する鉄の添加量を、上述した鉄量の範囲内とすることにより、精製操作を繰り返す必要がなくなるので、簡便且つ効果的にパラジウムを精製できることが分かった。

Claims (5)

  1. パラジウム及びルテニウムを含む粗パラジウムが溶解した混合溶液を作製し、該混合溶液中の該ルテニウムを水酸化物として沈澱除去した後に、塩素源を添加して該パラジウムを塩化物として沈澱回収するパラジウムの回収方法であって、
    上記混合溶液は、上記粗パラジウムの他にアンモニア及び鉄源を溶解して作製されることを特徴とするパラジウムの回収方法。
  2. 前記混合溶液は、前記鉄源中の鉄のモル量が、前記粗パラジウム中のルテニウムのモル量の2000倍以上となるように、前記鉄源を供給して得られることを特徴とする請求項1に記載のパラジウムの回収方法。
  3. 前記塩素源は、塩酸であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパラジウムの回収方法。
  4. 前記鉄源は、3価の鉄イオンを含むことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のパラジウムの回収方法。
  5. 前記鉄源は、硫酸第二鉄又は塩化第二鉄を含むことを特徴とする請求項4に記載のパラジウムの回収方法。
JP2015037948A 2015-02-27 2015-02-27 パラジウムの回収方法 Active JP6435920B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015037948A JP6435920B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 パラジウムの回収方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015037948A JP6435920B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 パラジウムの回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016160450A JP2016160450A (ja) 2016-09-05
JP6435920B2 true JP6435920B2 (ja) 2018-12-12

Family

ID=56844365

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015037948A Active JP6435920B2 (ja) 2015-02-27 2015-02-27 パラジウムの回収方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6435920B2 (ja)

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08217460A (ja) * 1995-02-13 1996-08-27 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ルテニウム、オスミウム及び/またはイリジウムの一括分離分析法
JP3666337B2 (ja) * 2000-01-19 2005-06-29 住友金属鉱山株式会社 パラジウムの回収方法
JP3741117B2 (ja) * 2003-09-26 2006-02-01 住友金属鉱山株式会社 白金族元素の相互分離方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016160450A (ja) 2016-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5652503B2 (ja) スカンジウム回収方法
WO2015115269A1 (ja) スカンジウム回収方法
JP5994912B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6583445B2 (ja) 高純度酸化スカンジウムの製造方法
JP6780448B2 (ja) 高品位ロジウム粉の回収方法
CN108421986A (zh) 一种高纯铱粉的制备方法
JP6439530B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6319362B2 (ja) スカンジウム回収方法
JP6172100B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6406234B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6358299B2 (ja) 高純度酸化スカンジウムの製造方法
JP6256491B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP6435920B2 (ja) パラジウムの回収方法
JP2004190058A (ja) イリジウムの分離精製方法
JP5344313B2 (ja) イリジウムの焼成還元方法
JP4882125B2 (ja) 銀回収方法
JP6756235B2 (ja) ビスマスの回収方法
JP7400443B2 (ja) 白金族元素の相互分離方法
JP7528581B2 (ja) スカンジウムの回収方法
JP2009097024A (ja) ロジウムの精製方法
JP7347083B2 (ja) 高純度酸化スカンジウムの製造方法
JP2004123469A (ja) マンガン濃度の低いコバルト溶液の製造方法
JP3967736B2 (ja) スクラップからのInとSnの分離法
JP2018109208A (ja) 有価物の回収方法
JP2001200320A (ja) パラジウムの回収方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171013

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180710

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181016

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6435920

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150