JP6434232B2 - 環状オレフィン系重合体組成物の製造方法および環状オレフィン系重合体組成物 - Google Patents
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Description
このような環状オレフィン系重合体には、例えば、特開2003-311773号公報(特許文献1)、特開2003-311737号公報(特許文献2)、特開2008-248171号公報(特許文献3)、特開2011−52154号公報(特許文献4)などに開示されている。
ここで、レンズの原料樹脂の耐熱性を向上させるためには、原料樹脂のガラス転移温度(Tg)を高めることが重要となる。
環状オレフィン系重合体等の環状炭化水素骨格を有する重合体は、環状炭化水素構造単位の含有率を高めるほどガラス転移温度が高くなる傾向にある。しかし、環状炭化水素構造単位は嵩高い骨格のため、重合体中の環状炭化水素構造単位の含有率を高めるには限界がある。すなわち、環状炭化水素構造単位の含有率を高めることにより、環状オレフィン系重合体のガラス転移温度を高める方法には限界があると考えられている。
以下の要件(1)、(2)、(3)を満たす、環状オレフィン系重合体(A)とガラス転移温度が異なる環状オレフィン系重合体(B)とを混合することを特徴とする環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
(1)上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、
上記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、
上記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下である
(2)上記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、上記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、
上記Tg(A)と上記Tg(B)が、以下の式(a)を満たす
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
(3)上記ガラス転移温度Tg(B)が以下の式(b)を満たす
Tg(B)≧100℃ (b)
[2]
上記[1]に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)とを炭化水素溶媒に溶解して混合することにより環状オレフィン系重合体溶液を調製する工程を含む、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
[3]
上記[2]に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
上記環状オレフィン系重合体溶液中の上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)の合計濃度が、10g/L以上300g/L以下である、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
[4]
上記[1]乃至[3]いずれか一項に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
上記Tg(B)が、以下の式(c)を満たす、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
Tg(B)≧120℃ (c)
[5]
上記[1]乃至[4]いずれか一項に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
上記Tg(A)と上記Tg(B)が、以下の式(d)を満たす、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧5℃ (d)
[6]
環状オレフィン系重合体(A)と、上記環状オレフィン系重合体(A)とガラス転移温度が異なる環状オレフィン系重合体(B)と、を含み、
下記(1)乃至(3)の要件を満たすことを特徴とする環状オレフィン系重合体組成物。
(1)上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、
上記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、
上記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下である
(2)上記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、上記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、
上記Tg(A)と上記Tg(B)が、以下の式(a)を満たす
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
(3)上記ガラス転移温度Tg(B)が以下の式(b)を満たす
Tg(B)≧100℃ (b)
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物の製造方法は、特定の組成比、ガラス転移温度の条件を満たす上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)と、を混合して環状オレフィン系重合体組成物を得ることを特徴とする。具体的には、上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、上記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、上記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下であり、上記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、上記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、上記Tg(A)と上記Tg(B)が、以下の式(a)および(b)を満たす。
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
Tg(B)≧100℃ (b)
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)は環状炭化水素構造を必須構成単位とする重合体である。
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)は、従来知られている環状オレフィン系重合体と同様の骨格を有するものを例示することができる。例えば、ノルボルネン骨格を有する環状オレフィンのメタセシス重合体の水素添加物(主鎖に炭素五員環骨格を有する構造)や、オレフィンとノルボルネン骨格を有する環状オレフィンとの共重合体(主鎖にノルボルナン構造の様な環状オレフィンの基本骨格を有する構造)などを代表例として挙げることができる。
本実施形態において、環状オレフィン系重合体(A)は環状オレフィン系重合体(B)よりもTgが高いことを特徴とする。なお、本実施形態において、ガラス転移温度は全てセルシウス温度(摂氏)で表示される。
また、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度であるTg(A)と環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度であるTg(B)の差は、下記の式(a)を満たす。
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
Tg(A)とTg(B)との差が上記上限値以下であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。また、得られる環状オレフィン系重合体組成物を用いたレンズの透明性などの光学特性を向上させることができる。
また、Tg(A)とTg(B)との差(Tg(A)−Tg(B))は、好ましくは4℃以上である。Tg(A)とTg(B)との差が上記下限値以上であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。
Tg(B)≧100℃ (b)
Tg(B)が上記下限値以上であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。
また、Tg(B)の上限は、特に限定されないが、好ましくは160℃以下であり、さらに好ましくは157℃以下であり、さらに好ましくは155℃以下である。
また、Tg(A)は、上記(a)の要件を満たす範囲であれば特に限定されないが、好ましくは175℃以下であり、より好ましくは172℃以下であり、さらに好ましくは170℃以下である。Tg(A)が上記上限値以下であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。
環状オレフィン系重合体(A)の配合量が上記範囲内であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。
環状オレフィン系重合体(B)の配合量が上記範囲内であると、得られる環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度の向上効果がより効果的に得られる。
nは置換基Qの置換数を示し、0≦n≦2の整数である。
R1は炭素原子数2〜20、好ましくは2〜12の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の2+n価の基である。
R2は水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の1価の基である。
R3は炭素原子数2〜10、好ましくは2〜5の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の4価の基である。
QはCOOR4である。R4は水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の1価の基であり、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜3の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の1価の基である。
[1]R1が、構造中に少なくとも環構造を1箇所持つ基である。
[2]R3が、n=0の場合、下記の例示構造(a)、(b)、(c)である。
[4]y/xが、20/80≦y/x≦65/35を満たす実数である。
[5]R2が、水素原子及び/または−CH3である。
[6]Qが、−COOHまたは、−COOCH3基である。
R2は、水素原子、炭素原子数1〜10の炭化水素基よりなる群から選ばれる1種または2種以上の1価の基である。
[1]R1基が、下記式(3)で表される2価の基である。
この中でも、これらを組み合わせた態様として、エチレンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン(以下、テトラシクロドデセンとも呼ぶ。)の共重合によって得られるポリマーであることが好ましい。
なお、環状オレフィン系重合体の極限粘度[η]は、重合触媒、助触媒、H2添加量、重合温度などの重合条件により制御することが可能である。
本実施形態において、環状オレフィン系重合体や環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度は、示差走査熱量計(DSC)を用い、下記の条件で測定できる。
はじめに、試料である環状オレフィン系重合体や環状オレフィン系重合体組成物5mg程度を0.01mgの桁まで秤量し、アルミパンに封入する。
次に、上記試料を封入したアルミパンを、例えば、SIIナノテクノロジー社(現−日立ハイテクノロジーズ社)製EXSTAR DSC 7020型装置などの示差走査熱量計にセットし、窒素雰囲気下で、下記の昇温、降温条件によりDSC測定を行う。
・測定条件
1)30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。ただし、ガラス転移温度が検出できなかった場合は、温度範囲を30℃〜220℃に変更し、保持温度も220℃に変更する。
2)次いで、100℃/分で30℃まで降温し、30℃で10分間保持する。
3)次いで、30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温する。ただし、上記1)の温度範囲を30℃〜220℃に変更して実施した場合は、温度範囲を30℃〜250℃に変更する。
最後に、3)で得られたDSCチャートから、常法に基づきガラス転移温度を決定する。
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)は以下の方法で製造できる。本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(A)および環状オレフィン系重合体(B)がエチレン・環状オレフィン共重合体の場合は、エチレンと環状オレフィンとを用いて例えば、特開2008−248171号公報の段落0058〜0063に開示された製造方法により製造することができる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒中で行ない、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物及び有機アルミニウム化合物から形成される触媒を用いてエチレン・環状オレフィン共重合体を製造することが好ましい。
ここで第4族元素の遷移金属は、ジルコニウム、チタン又はハフニウムであり、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはアルキル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレニル基等を挙げることができる。これらの基は、アルキレン基など他の基を介して結合していてもよい。また、シクロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基等である。
上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)と、を混合する方法は特に限定されないが、例えば、溶融混合、炭化水素溶媒などに溶解させて混合する溶液混合など公知の方法を用いることができる。これらの中でも、溶液混合する方法が好ましい。
溶液混合法に用いる溶媒としては炭化水素溶媒が好ましく、炭素数4〜20の炭化水素溶媒がより好ましく、環状構造を有する炭化水素溶媒が特に好ましい。具体的には、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン等の鎖状炭化水素;シクロヘキサン、シクロヘプタン、デカリンなどの環状炭化水素などから選択される一種または二種以上を用いることができる。
混合後の溶媒を除去する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、環状オレフィン系重合体の貧溶媒であるメタノール等の低級アルコールに、得られた環状オレフィン系重合体溶液を滴下して環状オレフィン系重合体を析出させ、これを濾別、減圧乾燥して回収する方法;得られた環状オレフィン系重合体溶液を高温下で加圧、脱圧を繰り返して溶媒を除去する方法;スチームストリッピング法などを挙げることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度が、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度であるTg(A)を超える場合もある。このような効果を発現する理由は定かではないが、本発明者らは、以下のように考えている。
高いガラス転移温度を示す重合体は、重合体分子鎖が動きにくい構造をしていることが知られている。本実施形態のような特定の関係にある環状オレフィン系重合体(A)と環状オレフィン系重合体(B)とが特定の割合で共存する系では、ガラス転移温度がやや低い環状オレフィン系重合体(B)が、環状オレフィン系重合体(A)の分子鎖同士を疑似架橋させるような効果を果たしているのではないかと考えている。それゆえ、環状オレフィン系重合体(A)の分子鎖の運動性がさらに制約され、その結果、ガラス転移温度が高くなっているのではないかと推測される。この機構であれば、どのような環状オレフィン系重合体であっても同様の効果を示すと考えられる。
なお、本実施形態に係る環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度が高くなり過ぎると、重合体がより剛直な構造や、密な構造となり、疑似架橋構造を取り難くなる場合がある。このため、環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度が高くなり過ぎると、本実施形態のガラス転移温度の向上効果の程度は相対的に低くなる場合がある。
ヒンダードアミン系耐光安定剤は、通常構造中に3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル基、ならびに2,2,6,6−テトラメチルピペリジル基または1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル基を有している化合物であって、具体的には、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(例えば、サノール LS−2626、三共社製))、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸−ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(例えば、Tinuvin 144、日本チバガイギー社製)などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、具体的には、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−t−ブチル−5'−メチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル−フェニル)−5−クロロ・ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−n−オクトキシ・フェニル)ベンゾトリアゾールなどや、市販されているTinuvin328、TinuvinPS(共に、チバ・ガイギー社製)、やSEESORB709(2−(2'−ヒドロキシ−5'−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、白石カルシウム社製)などのベンゾトリアゾール誘導体などが例示される。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、具体的には、2,4−ジヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ−5−スルフォベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2'−カルボキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルフォベンゾフェノン・トリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシ・ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノンなどや、Uvinul 490(2,2'−ジヒドロキシ−4,4'−ジメトキシ・ベンゾフェノンと他の四置換ベンゾフェノンの混合物、GAF社製)、Permyl B−100(ベンゾフェノン化合物、Ferro社製)などが例示される。
また、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニル−4,4'−イソプロピリデンジフェノール−ペンタエリスリトールジフォスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系安定剤を使用してもよい。これらは単独で配合してもよいが、組み合わせて配合してもよい。たとえばテトラキス[メチレン−3−(3.5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛とグリセリンモノステアレートとの組み合わせなどを例示できる。これらの安定剤は、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物は、環状オレフィン系重合体(A)と、上記環状オレフィン系重合体(A)とガラス転移温度が異なる環状オレフィン系重合体(B)と、を含む。そして、上記環状オレフィン系重合体(A)と上記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、上記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、上記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下であり、上記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、上記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、上記Tg(A)と上記Tg(B)が、以下の式(a)および(b)を満たす。
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
Tg(B)≧100℃ (b)
より具体的な例としては、本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物を含む樹脂層に金属箔を積層させることで、回路基板材料を作製することができる。本実施形態に係る環状オレフィン系重合体組成物は、材料として優れた耐熱性、透明性、機械的特性、誘電特性等を付与することができるので、高周波回路基板などの高周波用途に好適に用いることができる。
(テトラシクロドデセンの合成)
特開平6−9437号公報の実施例1に記載の方法で、テトラシクロドデセンを合成した。
撹拌装置を付したガラス製4つ口フラスコ反応器を十分に乾燥窒素で置換した。次いで、常温域で精製シクロヘキサン溶媒と上記テトラシクロドデセンを加えた。(400mLスケールとした。)
これにエチレンと、必要に応じて窒素とを供給した。その供給速度は、合計で40〜100L/分の範囲で数種の条件を選択して実施した。過剰の供給ガスはベントラインに送り、系内は常圧に保持した。
次いで、これに公知の塩素含有バナジウム化合物と、公知の塩素含有有機アルミニウム化合物とを加えて、反応を開始した。温度は19〜20℃に保持し、重合時間は1〜10分の範囲内で数種類の条件で実施した。
重合終了後、引き続き窒素下で、必要に応じて反応液に濃塩酸(和光純薬社製特級)を10ml加えて撹拌した。
次いで、アセトン/メタノール(体積比1/3)混合溶媒を撹拌しながら上記の反応液をゆっくり投入して重合体を析出させた。上記の混合溶媒の撹拌を止め、重合体を沈殿させたのち、グラスフィルターで濾過し、得られた重合体をメタノールで十分に洗浄した。
次いで、50mmHg以下、80℃、12時間以上の条件で減圧乾燥し、重合体粉末を得た。各種条件で得られた重合体1〜10の物性を表1に示す。
上記の方法で得られた環状オレフィン系重合体1〜10を原料重合体とし、それらを所定の質量比で混合し、シクロヘキサンに溶解させた。
アセトン/メタノール(体積比1/3)混合溶媒を撹拌しながら上記の重合体溶液をゆっくり投入して重合体を析出させた。次いで、上記の混合溶媒の撹拌を止め、重合体を沈殿させたのち、グラスフィルターで濾過した。
次いで、得られた沈殿物を減圧乾燥し(条件:圧力50mmHg以下、80℃、12時間以上)、重合体粉末を得た。
各種条件で得られた環状オレフィン系重合体組成物中の原料重合体の配合割合およびガラス転移温度を表2に示す。
また、これらの環状オレフィン系重合体の含有比率(質量比)とガラス転移温度の関係を図1および図2に示す。
よって、例えば、環状オレフィン系重合体を特定の条件で複数種組み合わせるという比較的シンプルな方法により、さらに高いガラス転移温度を有する環状オレフィン系重合体組成物、即ち、耐熱性に優れた環状オレフィン系重合体組成物が得られることが分かった。
Claims (7)
- 以下の要件(1)、(2)、(3)および(4)を満たす、環状オレフィン系重合体(A)とガラス転移温度が異なる環状オレフィン系重合体(B)とを溶液混合法により混合することを特徴とし、
前記環状オレフィン系重合体(A)と前記環状オレフィン系重合体(B)とを炭化水素溶媒に溶解して混合することにより環状オレフィン系重合体溶液を調製する工程を含み、
前記環状オレフィン系重合体(A)および前記環状オレフィン系重合体(B)がエチレンおよび環状オレフィンからなる共重合体である環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
(1)前記環状オレフィン系重合体(A)と前記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、
前記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、
前記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下である
(2)前記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、前記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、
前記Tg(A)と前記Tg(B)が、以下の式(a)を満たす
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
(3)前記ガラス転移温度Tg(B)が、以下の式(b)を満たす
Tg(B)≧135℃ (b)
(4)前記ガラス転移温度Tg(A)が、以下の式(c)を満たす
175℃≧Tg(A)≧150℃ (c)
ただし、前記Tg(A)と前記Tg(B)は、示差走査熱量計(DSC)を用いて、以下の測定条件で測定した値である。
・測定条件
1)30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。ただし、ガラス転移温度が検出できなかった場合は、温度範囲を30℃〜220℃に変更し、保持温度も220℃に変更する。
2)次いで、100℃/分で30℃まで降温し、30℃で10分間保持する。
3)次いで、30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温する。ただし、上記1)の温度範囲を30℃〜220℃に変更して実施した場合は、温度範囲を30℃〜250℃に変更する。
最後に、3)で得られたDSCチャートから、常法に基づきガラス転移温度を決定する。 - 請求項1に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
前記環状オレフィン系重合体溶液中の前記環状オレフィン系重合体(A)と前記環状オレフィン系重合体(B)の合計濃度が、10g/L以上300g/L以下である、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。 - 請求項1または2に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
前記Tg(A)と前記Tg(B)が、以下の式(d)を満たす、環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧5℃ (d) - 請求項1乃至3いずれか一項に記載の環状オレフィン系重合体組成物の製造方法において、
前記環状オレフィン系重合体(A)および前記環状オレフィン系重合体(B)を構成する前記環状オレフィンがビシクロ[2,2,1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]−3−ドデセンからなる群から選択される少なくとも一種を含む環状オレフィン系重合体組成物の製造方法。 - 環状オレフィン系重合体(A)と、前記環状オレフィン系重合体(A)とガラス転移温度が異なる環状オレフィン系重合体(B)と、を含み、
前記環状オレフィン系重合体(A)および前記環状オレフィン系重合体(B)がエチレンおよび環状オレフィンからなる共重合体であり、
下記(1)乃至(5)の要件を満たすことを特徴とする環状オレフィン系重合体組成物。
(1)前記環状オレフィン系重合体(A)と前記環状オレフィン系重合体(B)との合計を100質量部としたとき、
前記環状オレフィン系重合体(A)の配合量が40質量部以上80質量部以下であり、
前記環状オレフィン系重合体(B)の配合量が20質量部以上60質量部以下である
(2)前記環状オレフィン系重合体(A)のガラス転移温度をTg(A)とし、前記環状オレフィン系重合体(B)のガラス転移温度をTg(B)としたとき、
前記Tg(A)と前記Tg(B)が、以下の式(a)を満たす
15℃≧Tg(A)−Tg(B)≧3℃ (a)
(3)前記ガラス転移温度Tg(B)が、以下の式(b)を満たす
Tg(B)≧135℃ (b)
(4)前記ガラス転移温度Tg(A)が、以下の式(c)を満たす
175℃≧Tg(A)≧150℃ (c)
(5)前記環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度Tgが、前記ガラス転移温度Tg(A)よりも大きい
ただし、前記Tg(A)と前記Tg(B)と前記Tgは、示差走査熱量計(DSC)を用いて、以下の測定条件で測定した値である。
・測定条件
1)30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温し、200℃で5分間保持する。ただし、ガラス転移温度が検出できなかった場合は、温度範囲を30℃〜220℃に変更し、保持温度も220℃に変更する。
2)次いで、100℃/分で30℃まで降温し、30℃で10分間保持する。
3)次いで、30℃〜200℃の範囲で、10℃/分で昇温する。ただし、上記1)の温度範囲を30℃〜220℃に変更して実施した場合は、温度範囲を30℃〜250℃に変更する。
最後に、3)で得られたDSCチャートから、常法に基づきガラス転移温度を決定する。 - 前記環状オレフィン系重合体組成物のガラス転移温度Tgが162℃以上である、請求項5に記載の環状オレフィン系重合体組成物。
- 請求項5または6に記載の環状オレフィン系重合体組成物において、
前記環状オレフィン系重合体(A)および前記環状オレフィン系重合体(B)を構成する前記環状オレフィンがビシクロ[2,2,1]−2−ヘプテンおよびテトラシクロ[4.4.0.1 2,5 .1 7,10 ]−3−ドデセンからなる群から選択される少なくとも一種を含む環状オレフィン系重合体組成物。
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