JP6433611B1 - 建築物 - Google Patents

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Abstract

【課題】設置場所の変更を前提とする建築物であって、設置場所を変更させたことによる立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応できる建築物を提供する。【解決手段】内部に居住部17が構成される外殻部10と、連結および分離可能な連結部80とを備え、側壁部13、14は、使用者が通行可能であり、かつ採光等が可能な開口部33が設けられる第1側壁部30と、第1側壁部30を外殻部10の外側から遮蔽するように設けられる第2側壁部50とを有する。第2側壁部50に設けられる可動壁部61は、使用者が通行可能となるように開口部33を外殻部10の外側に対して開放させる開放姿勢P3と、開口部33から採光等が可能となるように開口部33を外殻部10の外側に対して一部露出させる半開放姿勢P2と、第1側壁部30を外殻部10の外側から遮蔽する遮蔽姿勢P1と、の間で姿勢変更可能である。【選択図】図4

Description

本発明は、建築物に関する。より詳細には、設置場所の変更を前提とする建築物であって、設置場所が変化することによる立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応できる建築物に関する。
従来、建築物においては、オーダーメイドが広く行われている。オーダーメイドの建築物は、設計の自由度が高いため、周辺環境等の立地条件や使用者等(オーナー、居住者を含む)の要望に柔軟に適応させることができ、使用者等の満足度を高めることができる。
周辺環境等の立地条件や使用者等の要望は、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、気候、天候、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど様々な要素が含まれる。例えば、オーダーメイドで戸建て住宅を設計する場合、都市部の住宅密集地に建てる場合は、プライバシーや遮音性を優先した建築物とすることができ、郊外に建てる場合は、開放感を優先した建築物とすることができる。
特開2009‐127339号公報
しかしながら、従来の建築物は土地に定着された不動産であり、転居やライフスタイルの変化など、使用者等の都合によって建築物を移動させることは考慮されていない。このため、建築物は、土地に定着された状態のまま築年数が古くなっていく。築年数が古くなった建築物は転売する場合にも評価されにくい。
また、賃貸用住宅の場合、築年数が古くなった賃貸用住宅は入居率が低下しやすい。賃貸用住宅の築年数を新しくするためには、古い建築物を取り壊して新たな建築物を建てざるを得ない。
一方、工場で大量生産された後、設置場所に輸送して設置を行う建築物が開発されている。例えば、特開2009‐127339号公報には、海運用コンテナを利用したコンテナハウスが開示されている。このコンテナハウスは、積み上げて設置されることで集合住宅として利用される。
しかしながら、特開2009‐127339号公報に開示されたコンテナハウスは、工場で大量生産されるため、オーダーメイドの建築物とは異なり、周辺環境等の立地条件や使用者等の要望に柔軟に適応させることは難しい。
また、特開2009‐127339号公報に開示されたコンテナハウスは、設置後は土地に定着された不動産となり、設置後の移動については考慮されていない。仮に移動自体は可能であったとしても、特開2009‐127339号公報に開示されたコンテナハウスは、設置場所が変化したことによる立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応させるような機能は有していない。
つまり、特開2009‐127339号公報に開示されたコンテナハウスのように、物理的な移動が可能な建築物であったとしても、移動先における周辺環境等の立地条件や使用者等の要望に柔軟に適応させることができなければ、移動を考慮した建築物ということはできず、設置場所の変更を前提とする建築物ということはできない。
本発明は、設置場所の変更を前提とする建築物であって、設置場所を変更させたことによる立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応できる建築物を提供することを目的とする。
本発明の建築物は、設置場所の変更を前提とした建築物であって、
上壁部、下壁部、および側壁部を有し、内部に居住部が構成される外殻部と、
前記外殻部の上部に配置される第1連結部と、前記外殻部の下部に配置される第2連結部と、を有し、複数の前記建築物が上下に積層された場合、上方に配置された前記建築物に設けられた前記第2連結部と、下方に配置された前記建築物に設けられた前記第1連結部とが連結および分離可能である、連結部と、
を備え、
前記側壁部は、
使用者が前記居住部と前記外殻部の外側との間で通行可能であり、かつ採光および/または通風が可能な開口部が設けられる第1側壁部と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽するように設けられる第2側壁部と、を有し、
前記第2側壁部は、
前記開口部に対応して設けられている可動壁部を有し、
前記可動壁部は、
前記使用者が通行可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して開放させる姿勢である開放姿勢と、前記開口部から採光および/または通風可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して一部露出させる姿勢である半開放姿勢と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽する姿勢である遮蔽姿勢と、の間で姿勢変更可能である。
本発明の建築物によれば、単独または積層させた異なる設置状態で設置することができ、設置した後で移動させて設置場所を変更することもできる。また、可動壁部を開放姿勢、半開放姿勢および遮蔽姿勢の間で姿勢変化させることにより、開口部を様々な用途、すなわち、使用者が通行する出入り口や、採光および/または通風を可能とする窓として機能させたり、可動壁をプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として使用することができる。このため、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど、立地条件やオーナーの要望に建築物を柔軟に適応させることができる。また、転居や転売によって建築物の設置状態や設置場所が変更されたり、使用者等が変化した場合、立地条件や使用者等の要望が変化する。この場合でも、可動壁部の姿勢を変化させて、出入り口、採光および/または通風を可能とする窓、またはプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として機能させることにより、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応させることができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る建築物の正面図である。 図2は、図1におけるA―A線における側面断面図である。 図3は、建築物の平面図である。 図4は、図2の可動壁部の姿勢を変化させた状態を示す側面断面図である。 図5は、図2の可動壁部の姿勢を変化させた状態を示す側面断面図である。 図6は、可動壁部の姿勢のバリエーションを示す表である。 図7は、可動壁部の姿勢を個別に変化させた状態を示す建築物の正面図である。 図8は、構造体の連結部付近の構成を示す斜視図である。 図9は、建築物の居住部の配置の一例を示す正面図である。 図10は、建築物の設置状態の一例を示す図である。 図11は、建築物の設置状態の一例を示す図である。 図12は、建築物の設置状態の一例を示す図である。 図13は、建築物を積層した状態を示す側面図である。 図14は、建築物を積層した状態を示す正面図である。 図15は、建築物を積層した状態を示す側面図である。 図16は、建築物を積層した状態を示す側面図である。 図17は、複数の建築物の配置例を示す模式図である。 図18は、複数の建築物を積層して構成された集合住宅を示す図である。 図19は、建築物の他の例を示す図である。
本発明の一実施形態にかかる建築物は、設置場所の変更を前提とした建築物であって、
上壁部、下壁部、および側壁部を有し、内部に居住部が構成される外殻部と、
前記外殻部の上部に配置される第1連結部と、前記外殻部の下部に配置される第2連結部と、を有し、複数の前記建築物が上下に積層された場合、上方に配置された前記建築物に設けられた前記第2連結部と、下方に配置された前記建築物に設けられた前記第1連結部とが連結および分離可能である、連結部と、
を備え、
前記側壁部は、
使用者が前記居住部と前記外殻部の外側との間で通行可能であり、かつ採光および/または通風が可能な開口部が設けられる第1側壁部と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽するように設けられる第2側壁部と、を有し、
前記第2側壁部は、
前記開口部に対応して設けられている可動壁部を有し、
前記可動壁部は、
前記使用者が通行可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して開放させる姿勢である開放姿勢と、前記開口部から採光および/または通風可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して一部露出させる姿勢である半開放姿勢と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽する姿勢である遮蔽姿勢と、の間で姿勢変更可能である(第1の構成)。
上記構成によれば、建築物は、単独または積層させた異なる設置状態で設置することができ、設置した後で移動させて設置場所を変更することもできる。また、可動壁部を開放姿勢、半開放姿勢および遮蔽姿勢の間で姿勢変化させることにより、開口部を様々な用途、すなわち、使用者が通行する出入り口や、採光および/または通風を可能とする窓として機能させたり、可動壁部をプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として使用することができる。このため、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど、立地条件やオーナーの要望に建築物を柔軟に適応させることができる。また、転居や転売によって建築物の設置状態や設置場所が変更されたり、使用者等が変化した場合、立地条件や使用者等の要望が変化する。この場合でも、可動壁部の姿勢を変化させて、出入り口、採光および/または通風を可能とする窓、またはプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として機能させることにより、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応させることができる。
上記第1の構成において、
前記第1側壁部は、前記開口部が複数設けられ、
前記第2側壁部は、前記各開口部に対応して設けられている複数の可動壁部を有し、
前記各可動壁部は、
前記使用者が通行可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して開放させる姿勢である開放姿勢と、前記開口部から採光および/または通風可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して一部露出させる姿勢である半開放姿勢と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽する姿勢である遮蔽姿勢と、の間で姿勢変更可能としてもよい(第2の構成)。
上記構成によれば、各可動壁部を開放姿勢、半開放姿勢および遮蔽姿勢の間で姿勢変化させることにより、開口部を様々な用途、すなわち、使用者が通行する出入り口や、採光および/または通風を可能とする窓として機能させたり、可動壁を、プライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として使用することができるとともに、出入り口、窓、および外壁の位置を変化させることができる。このため、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど、立地条件やオーナーの要望に建築物をより柔軟に適応させることができる。また、転居や転売によって建築物の設置状態や設置場所が変更されたり、使用者等が変化した場合、立地条件や使用者等の要望が変化する。この場合でも、可動壁部の姿勢を変化させて、出入り口の位置、採光や通風を可能とする窓の位置、およびプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁の位置を変化させることにより、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応させることができる。
上記第1から第2の構成において、
前記外殻部の内部に配置されるとともに、複数の前記建築物を積層させた場合の荷重を支えるラーメン構造の構造体をさらに備え、
前記外殻部は、略直方体形状に構成されており、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記構造体に接続されてもよい(第3の構成)。
上記構成によれば、複数の建築物を積層させた場合の荷重をラーメン構造の構造体で支えるため、第1側壁部に設けられる開口部、および第2側壁部に設けられる可動壁部を大きくすることができる。このため、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に対してより柔軟に適応させることができる。
上記第1から第3の構成において、
前記開口部の面積は、前記開口部が設けられる前記第1側壁部の面積の50%以上とされ、
前記可動壁部の面積は、前記可動壁部が設けられる前記第2側壁部の面積の50%以上とされてもよい(第4の構成)。
上記構成によれば、第1側壁部に設けられる開口部、および第2側壁部に設けられる可動壁部を大きくすることで、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に対してより柔軟に適応させることができる。
上記第1から第4の構成において、
前記可動壁部は、上部可動壁部および下部可動壁部を有し、
前記上部可動壁部は、
前記第1側壁部の上部に対向させて配置される上部開閉体と、
前記上部開閉体の上部を回転可能に支持する上部支持部と、
前記上部開閉体の姿勢を保持する上部姿勢保持部と、を有し、
前記下部可動壁部は、
前記第1側壁部の下部に対向させて配置される下部開閉体と、
前記下部開閉体の下部を回転可能に支持する下部支持部と、
前記下部開閉体の姿勢を保持する下部姿勢保持部と、を有してもよい(第5の構成)。
上記構成によれば、各開口部に対応して設けられている上部可動壁部および下部可動壁部の姿勢を個別に変化させることにより、採光および/または通風、開放感、プライバシーなどの要望に対して、開口部の用途をきめ細かに変更させることができる。例えば、上部開閉体を開放姿勢とし、下部開閉体を遮蔽姿勢とすることにより、開口部を腰高窓として使用することができ、上部開閉体および下部開閉体を開放姿勢とすることにより、開口部を掃出し窓として使用することができる。また、上部開閉体を半開放姿勢にすることにより、上部開閉体の下部が開くため、上からの視線や日照を遮りながら、採光および/または通風を行うことができる。また、下部開閉体を半開放姿勢にすることにより、下部開閉体の上部が開くため、下からの視線を遮りながら、採光および/または通風を行うことができる。このため、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に対して柔軟に適応させることができる。
上記第1から第5の構成において、
前記上壁部および前記下壁部に対して平行な方向を第1方向とし、前記上壁部および前記下壁部に対して平行であって、かつ前記第1方向と直交する方向を第2方向として、
前記第1連結部および前記第2連結部は、前記第1方向および前記第2方向に沿ってそれぞれ等間隔に配置されてもよい(第6の構成)。
上記構成よれば、第1連結部および第2連結部が第1方向および第2方向に沿って等間隔に配置されているため、複数の建築物を積層する場合、上方の建築物を下方の建築物の真上に積層するだけでなく、互いに交差させる姿勢で積層させることや、互いに位置をずらせて積層させることができる。
上記第1から第6の構成において、
前記連結部は、
前記第1連結部および前記第2連結部の連結および分離を、積層された前記建築物のうち、一方の前記建築物の前記居住部から行うようにしてもよい(第7の構成)。
上記構成によれば、第1連結部および第2連結部の連結および分離を、積層された建築物のうち、一方の建築物の居住空間から行うことができるため、建築物の積層や、積層された建築物の一部を移動させることが容易になる。
[実施形態1]
以下、図面を参照し、本発明の実施形態1に係る建築物100を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。なお、説明を分かりやすくするために、以下で参照する図面においては、構成が簡略化または模式化して示されたり、一部の構成部材が省略されたりしている。また、各図に示された構成部材の寸法比は、必ずしも実際の寸法比を示すものではない。
本実施形態に係る建築物100は、一定の期間定住することを目的とした建築物(いわゆる本建築)でありながら、設置場所の変更を前提とした建築物である。建築物100は、設置された場所の立地条件や使用者等の要望に柔軟に適応して、快適に一定期間定住することを目的とする点で、一時的な居住を目的とした簡易的な住宅(例えば、仮設住宅や簡易的な移動式住宅)とは本質的に異なっている。また、建築物100は、設置場所が変化することによる立地条件の変化や使用者等の要望の変化にも柔軟に適応することができるように構成されている。
建築物100は、工場において施工された後、設置場所に運搬されて設置される。設置場所への固定は、固定状態を解除することを前提とした手段によって行われる。設置場所を変更する場合は、もとの設置場所との固定を解除し、新たな設置場所へ移動される。
[全体構成]
まず、建築物100の全体構成について説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る建築物100の正面図である。図1では、建築物100は、設置場所の地面Gに埋設された基礎部110に連結されて設置されている。以下の図では、矢印Uは建築物100の上方向を示し、矢印Dは下方向を示す。矢印Fは前方向、矢印Bは後方向を示す。矢印Rは右方向、矢印Lは左方向を示す。
図1に示すように、建築物100は、外殻部10、構造体70、および連結部80を備えている。本実施形態における外殻部10は、海運用コンテナを利用して形成されている。海運用コンテナは、全長20フィートと全長40フィートの略直方体形状のものが一般的である。本実施形態では、全長20フィートの海運用コンテナが用いられている。
外殻部10は、上壁部11、下壁部12、右側壁部13(図2参照)、左側壁部14、前壁部15、後壁部16を有している。外殻部10の内部に、使用者が居住する居住部17が構成されている(図2および図9参照)。右側壁部13および左側壁部14は、本発明の側壁部に相当する。外殻部10の表面には、遮熱塗料が塗布されており、外殻部10と居住部17の間には、断熱材が充填されている。遮熱塗料や断熱材により、居住部17内は、屋外の影響を受けにくくなっている。
上壁部11および下壁部12は、それぞれ海運用コンテナの天面部および底面部を利用して形成されている。
前壁部15および後壁部16は、それぞれ海運用コンテナの短手方向の側壁(短側面)を利用して形成されている。後壁部16は、閉鎖状態にした観音開きの扉部を利用している。
右側壁部13および左側壁部14は、それぞれ、第1側壁部30および第2側壁部50を有している(図2参照)。第1側壁部30は、外殻部10の内側の側壁を構成しており、第2側壁部50は、外殻部10の外側の側壁を構成している。言い換えると、右側壁部13および左側壁部14は、それぞれ2重の外壁を有しており、外側の第2側壁部50は、内側の第1側壁部30を外殻部10の外側(屋外)から遮蔽するように設けられている。
第2側壁部50は、海運用コンテナの長手方向の側壁(長側面)を利用して形成されている。第2側壁部50に設けられた可動壁部61、62、63の姿勢を変化させることにより、建築物100を立地条件の変化や使用者等の要望に柔軟に適応させることができる(図2、図4、図5)。なお、右側壁部13および左側壁部14は、左右対称の構成を有するため、以下では主に左側壁部14を構成する第1側壁部30および第2側壁部50について詳細に説明し、右側壁部13については詳細な説明を省略する。
第1側壁部30は、複数の開口部33(図2、図7参照)を有している。本実施形態では、各開口部33は、第1側壁部30の前部、中央部、後部にそれぞれ略同等の大きさで設けられている。
第2側壁部50は、複数の可動壁部61、62、63を有している。複数の可動壁部61、62、63は、それぞれ開口部33に対応して設けられている。
可動壁部61は、上部可動壁部611および下部可動壁部612を有している。同様に、可動壁部62は、上部可動壁部621および下部可動壁部622を有しており、可動壁部63は、上部可動壁部631および下部可動壁部632を有している。可動壁部61、62、63を構成する上部可動壁部611、621、631は、それぞれ略同等の構成を有しており、下部可動壁部612、622、632もそれぞれ略同等の構成を有している。このため、以下では、主に可動壁部61の上部可動壁部611および下部可動壁部612の構成について詳細に説明し、可動壁部62、63の構成については詳細な説明を省略する。また、可動壁部61の構成については後に詳細に説明する。
構造体70は、外殻部10の内部に配置されており、ラーメン構造を有している。構造体70は、建築に関する法律によって要求される強度を外殻部10の強度を考慮せずに満たすように設計されている。このため、外殻部10に広い開口部分を形成することが可能である。また、構造体70は、複数の建築物100を積層させることを考慮して強度が設定されている。構造体70は、第1構造部材71、第2構造部材72、および第3構造部材73を有している。
第1構造部材71は、上下方向に延びる構造材(柱)である。第1構造部材71は、複数設けられている。本実施形態では、前後方向に沿って等間隔に4本の第1構造部材71が配置されており、この4本の第1構造部材71からなる列が左右方向に平行に2列配置されている(図2、図3参照)。つまり、本実施形態では、合計8本の第1構造部材71が配置されている。また、隣接する第1構造部材71の間隔は、間隔Lに設定されている。つまり、各第1構造部材71は、前後方向および左右方向に間隔Lをおいて配置されている。第1構造部材71として、角型の鋼管が用いられている。
第2構造部材72は、前後方向および左右方向に隣接する第1構造部材71の上部を連結する構造材(梁)である。本実施形態では、前後方向および左右方向に合計10本の第2構造部材72が設けられている(図2、図3参照)。第2構造部材72は、上壁部11の下面に沿うように水平に配置されている(図2参照)。第2構造部材72として、断面H型の鋼材が用いられている。
第3構造部材73は、前後方向および左右方向に隣接する第1構造部材71の下部を連結する構造材(梁)である。本実施形態では、前後方向および左右方向に合計10本の第3構造部材73が設けられている。第2構造部材72は、下壁部12の上面に沿うように水平に配置されている(図2参照)。第3構造部材73として、断面H型の鋼材が用いられている。
連結部80は、建築物100を設置場所に固定、あるいは複数の建築物100を積層させた状態で固定する際に連結され、建築物100を移動させる場合には連結状態が解除される部材である(図8参照)。連結部80は、第1連結部81および第2連結部82を有している。第1連結部81は、外殻部10の上部に配置されており、第2連結部82は、外殻部10の下部に配置されている。第1連結部81は、第1構造部材71の上部に固定されており、第2連結部82は、第1構造部材71の下部に固定されている。第1連結部81および第2連結部82の構成については後に詳細に説明する。
図2は、図1におけるA―A線における側面断面図である。図2に示すように、第1構造部材71は、左右方向に間隔Lをおいて配置されている。第1構造部材71の上部には、第1連結部81が固定されており、第1構造部材71の下部には、第2連結部82が固定されている。
第2構造部材72は、上壁部11の下面に沿うように配置されている。第2構造部材72の下部には、居住部17の天井を構成する天井部21が配置されている。第3構造部材73は、下壁部12の上面に沿うように配置されている。第3構造部材73の上部には、居住部17の床を構成する床部23が配置されている。
右側壁部13および左側壁部14は、それぞれ、第1側壁部30および第2側壁部50を有している。
第1側壁部30は、外殻部10の内側の側壁を構成しており、第2側壁部50は、外殻部10の外側の側壁を構成している。第1側壁部30は、第2側壁部50に設けられた可動壁部61、62、63の姿勢を変化させた場合に、外殻部10の外壁として機能する場合がある。
第1側壁部30は、開口部33を有している。開口部33には、引き違い窓35が設けられている。引き違い窓35は、使用者が居住部17と外殻部10の外側との間で通行可能な高さおよび幅を有している。また、引き違い窓35は、透明ガラスが嵌められていることにより採光が可能であり、かつ、引き違い窓35をスライドさせて開けることにより通風が可能である。
開口部33の面積は、第1側壁部30の面積の50%以上とされることが好ましく、60%以上とすることがより好ましい。また、開口部33の面積を第1側壁部30の面積に対してさらに大きくしても建築物100の強度上の問題は生じない。
可動壁部61は、上部可動壁部611および下部可動壁部612を有している。上部可動壁部611は、上部開閉体613、上部支持部614、および上部姿勢保持部615(図4、図5参照)を有している。上部開閉体613は、開口部33の上部に対向させて配置されている。上部支持部614は、上部開閉体613の上部を回転可能に支持している。上部支持部614として、丁番が用いられている。上部姿勢保持部615は、上部開閉体613の姿勢を保持する部材である。上部姿勢保持部615として、例えばオイルダンパーが用いられている(図4、図5参照)。
下部可動壁部612は、下部開閉体616、下部支持部617、および下部姿勢保持部618(図4、図5参照)を有している。下部開閉体616は、開口部33の下部に対向させて配置されている。下部支持部617は、下部開閉体616の下部を回転可能に支持している。下部支持部617として、丁番が用いられている。下部姿勢保持部618は、下部開閉体616の姿勢を保持する部材である。下部姿勢保持部618として、例えばオイルダンパーが用いられている(図4、図5参照)。
上部可動壁部611の上部開閉体613は、図2に示すように、下向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行な姿勢から、図4および図5に示すように第1側壁部30に対して開いた姿勢まで、姿勢を変化させることが可能である。上部姿勢保持部615は、第1側壁部30に対する上部開閉体613の開き角度が所定の角度となる位置で上部開閉体613の姿勢を保持することができる。
同様に、下部可動壁部612の下部開閉体616は、図2に示すように、上向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行な姿勢から、図4および図5に示すように第1側壁部30に対して開いた姿勢まで、姿勢を変化させることが可能である。下部姿勢保持部618は、第1側壁部30に対する下部開閉体616の開き角度が所定の角度となる位置で下部開閉体616の姿勢を保持することができる。
このように、第2側壁部50に設けられた可動壁部61、62、63の姿勢を変化させることにより、建築物100を立地条件の変化や使用者等の要望に柔軟に適応させることができる。
図3は、建築物100の平面図である。図3に示すように、外殻部10の上部には、第1連結部81が配置されている。第1連結部81は、第1構造部材71の上部に固定されている。上述のように、第1構造部材71は、前後方向および左右方向に間隔Lをおいて配置されている。このため、第1連結部81も、前後方向に間隔Lをおいて等間隔に配置されており、前後方向に直交する左右方向にも間隔Lをおいて等間隔に配置されている。なお、図3には示されていないが、第1構造部材71の下部に固定されている第2連結部82も、第1連結部81と同様に、前後方向に間隔Lをおいて等間隔に配置されており、前後方向に直交する左右方向にも間隔Lをおいて等間隔に配置されている。
図4および図5は、図2の可動壁部61の姿勢を変化させた状態を示す側面断面図である。図2、図4、および図5を参照して、可動壁部61の姿勢の変化について説明する。
まず、上部可動壁部611の上部開閉体613は、図2、図4および図5に示すように、下向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行な姿勢から、第1側壁部30に対して開いた姿勢まで、第1側壁部30に対する開き角度を変化させるように、姿勢を変化させることが可能である。図2に示すように、上部開閉体613が下向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行になっている姿勢を第1姿勢PU1とする。また、図4に示すように、上部開閉体613が斜め下向きの姿勢で第1側壁部30に対する開き角度が約30度になっている姿勢を第2姿勢PU2とし、第1側壁部30に対する開き角度が約60度になっている姿勢を第3姿勢PU3とする。また、図5に示すように、上部開閉体613が略水平の姿勢で第1側壁部30に対する開き角度が約90度になっている姿勢を第4姿勢PU4とする。
同様に、下部可動壁部612の下部開閉体616は、図2、図4および図5に示すように、上向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行な姿勢から、第1側壁部30に対して開いた姿勢まで、第1側壁部30に対する開き角度を変化させるように、姿勢を変化させることが可能である。図2に示すように、下部開閉体616が上向きの姿勢で第1側壁部30に対して平行になっている姿勢を第1姿勢PL1とする。また、図4に示すように、下部開閉体616が斜め上向きの姿勢で第1側壁部30に対する開き角度が約30度になっている姿勢を第2姿勢PL2とし、第1側壁部30に対する開き角度が約60度になっている姿勢を第3姿勢PL3とする。また、図5に示すように、下部開閉体616が略水平の姿勢で第1側壁部30に対する開き角度が約90度になっている姿勢を第4姿勢PL4とする。
上部可動壁部611は、上部開閉体613を第1姿勢PU1から第4姿勢PU4まで姿勢変化させることができ、下部可動壁部612は、下部開閉体616を第1姿勢PL1から第4姿勢PL4まで姿勢変化させることができる。また、上部開閉体613と下部開閉体616はそれぞれ個別に姿勢変化させることができる。つまり、可動壁部61は、上部可動壁部611を4通りの姿勢に変化させることができ、下部可動壁部612を4通りの姿勢に変化させることができるため、これらの組み合わせにより16通りの姿勢に変化させることができる。
ここで、図2に示すように、上部可動壁部611が第1姿勢PU1であり、下部可動壁部612も第1姿勢PL1である場合、第1側壁部30に設けられた開口部33は、可動壁部61によって外殻部10の外側(屋外)から遮蔽されている。このように、第1側壁部30を外殻部10の外側から遮蔽する姿勢を遮蔽姿勢P1とする。可動壁部61が遮蔽姿勢P1の状態では、第1側壁部30の開口部33および居住部17は、外殻部10の外側(屋外)から遮蔽されるため、建築物100はプライバシーや遮音性を優先させた状態となる。
また、図5に示すように、上部可動壁部611が第4姿勢PU4であり、下部可動壁部612が第4姿勢PL4である場合、第1側壁部30に設けられた開口部33は、可動壁部61によって外殻部10の外側(屋外)から遮蔽されておらず、開口部33は、使用者が通行可能となるように外殻部10の外側に対して開放されている。このように、使用者が通行可能となるように開口部33を外殻部10の外側に対して開放させる姿勢を開放姿勢P3とする。可動壁部61が開放姿勢P3の状態では、第1側壁部30の開口部33および居住部17は、外殻部10の外側(屋外)に開放されるため、建築物100は、使用者が開口部33を通行できる状態になるとともに、開放感を優先させた状態となる。
図4に示すように、第1側壁部30に設けられた開口部33が、可動壁部61によって外殻部10の外側(屋外)に対して一部露出されている状態、言い換えると、可動壁部61を遮蔽姿勢P1でも開放姿勢P3でもない状態にすることにより、開口部33を一部遮蔽しながら、開口部33からの採光および/または通風が可能となる。このように、第1側壁部30を外殻部10の外側に対して一部露出させ、開口部33から採光および/または通風可能とする姿勢を半開放姿勢P2とする。
可動壁部61が半開放姿勢P2の状態では、プライバシーを考慮しながら、開口部33から採光および通風が可能となる。開放姿勢P3では、上部可動壁部611および下部可動壁部612の各姿勢を組み合わせることで、プライバシーと開放感のバランスを変化させながら、開口部33から居住部17に採光および通風を行うことが可能である。例えば、上部可動壁部611を第2姿勢PU2あるいは第3姿勢PU3とすることで、上部可動壁部611よりも上方からの視線や直射日光を遮りながら、居住部17に採光および通風を行うことが可能である。また、下部可動壁部612を第2姿勢PL2あるいは第3姿勢PL3とすることで、下部可動壁部612よりも下方からの視線を遮りながら、居住部17に採光および通風を行うことが可能である。
可動壁部62の上部可動壁部621と下部可動壁部622、および、可動壁部63の上部可動壁部631と下部可動壁部632も、可動壁部61と同様に、個別に姿勢変化させることができる。なお、本実施形態では、上部可動壁部611、621、631、および下部可動壁部612、622、632の開き角度が30度ずつ変化するように姿勢変化を4段階に設定したが、姿勢変化の段階数は4段階に限定されない。また、上部可動壁部611、621、631、および下部可動壁部612、622、632を任意の開き角度で姿勢保持できるようにしてもよい。
図6は、可動壁部61、62、63の姿勢のバリエーションを示す表である。可動壁部61、62、63の上部可動壁部611、621、631、および下部可動壁部612、622、632の姿勢の組み合わせにより、可動壁部61、62、63の姿勢を様々に変化させることができる。
図6の上欄は、上部可動壁部611、621、631の上部開閉体613、623、633を第1姿勢PU1から第4姿勢PU4まで任意に姿勢変化できることを示している。図6の左欄は、下部可動壁部612、622、632の下部開閉体616、626、636を第1姿勢PL1から第4姿勢PL4まで任意に姿勢変化できることを示している。
図6に示すように、例えば、上部可動壁部611を第1姿勢PU1とし、下部可動壁部612を第1姿勢PL1とした場合、可動壁部61を遮蔽姿勢P1とすることができる。また、上部可動壁部611を第4姿勢PU4とし、下部可動壁部612を第4姿勢PL4とした場合、可動壁部61を開放姿勢P3とすることができる。また、可動壁部61が遮蔽姿勢P1でなく、開放姿勢P3でもない状態にすることにより、可動壁部61を半開放姿勢P2とすることができる。半開放姿勢P2は、上部可動壁部611の姿勢と下部可動壁部612の姿勢の組み合わせにより、14通りの姿勢をとることができる。
可動壁部61は、上部可動壁部611を4通りの姿勢に変化させることができ、下部可動壁部612を4通りの姿勢に変化させることができる。これらの組み合わせにより、可動壁部61は16通りの姿勢に変化させることができる。同様に、可動壁部62および可動壁部63もそれぞれ16通りの姿勢に変化させることができる。このため、建築物100は、可動壁部61、62、63の姿勢の組み合わせにより、建築物100の左側面または右側面だけで4000通り以上の姿勢に変化させることができ、建築物100の左側面および右側面の組み合わせによれば、非常に数多くの姿勢に変化させることができる。
このように、第2側壁部50に設けられた可動壁部61、62、63の姿勢を変化させることにより、建築物100を立地条件の変化や使用者等の要望に柔軟に適応させることができる。
図7は、可動壁部61、62、63の姿勢を個別に変化させた状態を示す建築物100の正面図である。
可動壁部61は、上部可動壁部611が第4姿勢PU4とされ、下部可動壁部612が第4姿勢PL4とされることで、開放姿勢P3とされている。開放姿勢P3では、開口部33は、使用者が通行可能となるように外殻部10の外側に対して開放されている。
可動壁部62は、上部可動壁部621が第3姿勢PU3とされ、下部可動壁部622が第3姿勢PL3とされることで、半開放姿勢P2とされている。半開放姿勢P2では、プライバシーを考慮しながら、開口部33から採光および通風が可能となる。
可動壁部63は、上部可動壁部631が第1姿勢PU1とされ、下部可動壁部632が第1姿勢PL1とされることで、遮蔽姿勢P1とされている。遮蔽姿勢P1では、第1側壁部30に設けられた開口部33は、可動壁部63によって外殻部10の外側(屋外)から遮蔽されている。
なお、図6を参照して説明したように、可動壁部61、62、63の姿勢の組み合わせは図7の組み合わせに限定されるものではない。可動壁部61、62、63の姿勢の組み合わせを変化させることにより、立地条件や使用者等の要望に柔軟に適応させることができる。
図8は、構造体70の連結部80付近の構成を示す斜視図である。図8では、1階部分となる建築物100(101)が、設置場所の地面Gに埋設された基礎部110に連結されて設置され、建築物100(101)の上に2階部分となる建築物100(102)が積層されて連結される状態を示している。まず、連結部80の構成について説明する。
建築物100(101、102)の第1構造部材71の上部には第1連結部81が固定されており、第1構造部材71の下部には第2連結部82が固定されている。建築物101の第1連結部81と、建築物102の第2連結部82は、ボルト84およびナット85で連結される。
第1連結部81は、正方形のフランジ状の金属板811を有している。金属板811には4箇所の貫通孔813が形成されている。4箇所の貫通孔813は、前後方向および左右方向に平行に配列されている。貫通孔813のピッチは、前後方向および左右方向に等間隔とされている。各貫通孔813の下部には、ナット85が予め溶接等によって固定されている。
第2連結部82は、第1連結部81と同形状の金属板821を有している。金属板821には、第1連結部81と同様に、4箇所の貫通孔823が形成されており、ボルト84およびナット85で連結されるように構成されている。
ここで、第1連結部81と第2連結部82の連結に用いられるボルト84として、締結および締結の解除が可能なボルト、例えば六角高力ボルトが用いられる。従来の建築物、例えば従来のコンテナハウスでは、設置した後の移動は考慮されていないため、1階のコンテナハウスに2階のコンテナハウスを積層させるような場合には、両者を溶接して接続したり、あるいは連結用ボルトとしてトルシア型高力ボルトなど、締結の解除が困難なボルトが用いられてきた。つまり、従来の建築物は設置場所の変更は前提とされていなかった。本実施形態の建築物100は、設置場所の変更を前提としているため、第1連結部81と第2連結部82の連結には、締結および締結の解除が可能なボルト84が用いられる。
なお、第1連結部81の各貫通孔813の下部には、ナット85が予め溶接等によって固定されているため、ボルト84およびナット85を締結および締結を解除する作業を行う際には、ナット85を下から固定する必要がない。このため、第2連結部82の上方、つまり上層側の建築物102の居住部17内から作業を行うことができる。
1階部分となる建築物100(101)は、設置場所の地面Gに埋設された基礎部110に連結されて設置される。基礎部110はコンクリートで形成されており、アンカーボルト111が4本立設されている。アンカーボルト111は、第2連結部82に形成された貫通孔823に挿通されるピッチで立設されている。アンカーボルト111を第2連結部82の貫通孔823に挿通させ、ナット112を用いてダブルナットで締結することにより、建築物100(101)は、設置場所に設置される。なお、ナット112による締結を解除させることにより、1階部分となる建築物100(101)も設置場所を変更することが可能となる。
図9は、建築物100の居住部17の配置の一例を示す正面図である。図9では、右側壁部13および左側壁部14に設けられた可動壁部61、62、63は、全て開放姿勢P3とされており、開口部33の引き違い窓35を介して、建築物100の居住部17が見えているとともに、建築物100の背後にある景色が見えている。
居住部17には、リビングルーム24、洗面台25、シャワー26、トイレ27等が配置されている。居住部17の内部は、内窓28によって仕切られている。図9の状態では、可動壁部61、62、63は全て開放姿勢P3であるため、使用者は、どの開口部33からでも居住部17と外殻部10の外側との間で通行可能である。
シャワー26およびトイレ27等の上下水道管、および商用電源用の電線は、外殻部10の下部にそれぞれ接続部(図示せず)が設けられている。建築物100が設置場所に設置された状態で、これらの接続部は、設置場所に設けられている上下水道管および商用電源に接続される。
図10、図11および図12は、それぞれ建築物100の設置状態の一例を示す図である。図10では、建築物100が都市部の設置場所に設置されている。図11では、建築物100が海辺の設置場所に設置されている。図13では、建築物100が川岸の設置場所に設置されている。
図10では、設置場所は都市部で比較的穏やかな環境であるため、各可動壁部61、62、63は、半開放姿勢P2とされている。図11では、設置場所は海辺の穏やかな環境であるため、海側の各可動壁部61、62、63は、開放姿勢P3とされている。図12では、建築物100の周辺の天候が雷雨および強風であり、各可動壁部62、63は、遮蔽姿勢P1とされている。図12に示すように、荒天時や災害時には、各可動壁部61、62、63を遮蔽姿勢P1として居住部17を守ることができる。
図13から図16は、建築物100を積層した状態を示す側面図である。
図13および図14では、設置場所の地面Gに埋設された基礎部110に1階部分の建築物100(100A)が連結されて設置されており、その真上に2階部分の建築物100(100B)が連結されて設置されている。建築物100Aと基礎部110の連結は、図8に示したように、基礎部110のアンカーボルト111と建築物100Aの第2連結部82をナット112によって分離可能に締結することにより行う。また、建築物100Aと建築100Bの連結は、図8に示したように、建築物100Aの第1連結部81と建築100Bの第2連結部82を六角高力ボルトによって分離可能に締結することにより行う。
図15および図16では、図13および図14と同様に、設置場所の地面Gに埋設された基礎部110に1階部分の建築物100(100C)が連結されて設置されている。建築物100Cの上には、2階部分の建築物100(100D)が建築物100Cに対して直交するように配置されて設置されている。このように建築物100Cと建築物100Dを直交させて設置できるのは、各建築物100(100C、100D)の第1連結部81および第2連結部82が前後方向および左右方向に等しい間隔Lで配置されているためである。なお、2階部分の建築物100(100D)の下に、さらに他の建築物100(100E)(図示せず)を配置して連結し、2階部分の建築物100(100D)が1階部分の建築物100(100C、100E)に跨るように設置することで、各建築物100をより安定した状態に設置することができる。
図17は、複数の建築物100の配置例を示す模式図である。図17には、5棟の建築物100(5棟のうち1棟は全長40フィートの海運用コンテナを想定)のモデルを用いた様々な配置例が示されている。建築物100は設置場所の変更を前提としているため、これらの配置は固定されたものではなく、使用者等の要望等に応じて配置を変更したり、同じ配置のまま、建築物100の設置場所を入れ替えることが可能である。いずれの場合も、使用者等だけが移動(引越)するのではなく、建築物100とともに移動することができる点が従来の建築物と大きく異なっている。なお、図17には70通りの配置例が示されているが、建築物100の配置の態様はこれらに限定されるものではない。
図18は、複数の建築物100を積層して構成された集合住宅1000を示す図である。集合住宅1000は、1階部分と2階部分を有している。1階部分は、敷地の中央部を空けるように5棟の建築物100が環状に配置されて構成されている。2階部分は、3棟の建築物100が1階部分の建築物100を跨ぐように配置されて構成されている。中央部の空地には、2階部分にアクセスするための階段およびデッキが配置されている。
集合住宅1000が設置される敷地の周囲には、隣家2100、2200、2300が配置されている。また、敷地は、道路3000に面している。
1階に配置されて道路3000に面した建築物100(100F)は、左側壁部14(道路3000側)の可動壁部63を遮蔽姿勢P1として、居住部17の一部が道路3000上の通行人等から見られないようにしている。また、通行人の目の高さにあたる可動壁部62の上部可動壁部621を第1姿勢PU1として、通行人からの視線を遮っており、下部可動壁部622を第4姿勢PU4として、採光および通風を行っている。可動壁部61は開放姿勢P3として使用者等が通行可能としている。右側壁部13(道路3000と反対側)は、隣家2100の視線は届き難いため、可動壁部63を開放姿勢P3としている。
1階に配置されて隣家2100に面した建築物100(100G)は、隣家2100の2階等からの視線を遮るため、左側壁部14の上部可動壁部611、621、631を第2姿勢PU2として、プライバシーを考慮しながら、開口部33からの採光および通風を行っている。
2階に配置されて道路3000に面した建築物100(100H)は、道路3000上の通行人等からの視線を遮るように、左側壁部14の下部可動壁部622を第2姿勢PL2として、プライバシーを考慮しながら、開口部33からの採光および通風を行っている。
このように、建築物100は、周辺環境等の立地条件や使用者等の要望、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、気候、天候、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど様々な要素に対して、柔軟に適応させることができる。
以上説明した本実施形態に係る建築物100によれば、建築物100は、単独または積層させた異なる設置状態で設置することができ、設置した後で移動させて設置場所を変更することもできる。また、可動壁部61、62、63を開放姿勢P3、半開放姿勢P2および遮蔽姿勢P1の間で姿勢変化させることにより、開口部33を様々な用途、すなわち、使用者が通行する出入り口や、採光および/または通風を可能とする窓として機能させたり、可動壁部61、62、63をプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として使用することができる。このため、例えば、都市部と郊外の別、敷地面積、敷地形状、日照、騒音、隣家との関係、家族構成、ライフスタイルなど、立地条件やオーナーの要望に建築物100を柔軟に適応させることができる。また、転居や転売によって建築物100の設置状態や設置場所が変更されたり、使用者等が変化した場合、立地条件や使用者等の要望が変化する。この場合でも、可動壁部61、62、63の姿勢を変化させて、出入り口、採光および/または通風を可能とする窓、またはプライバシーを守り悪天候等から居住部を守る外壁として機能させることにより、立地条件の変化や使用者等の要望の変化に柔軟に適応させることができる。
[変形例]
本発明に係る建築物は、上記説明した本実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態では、可動壁部61、62、63を上下に開くようにしたが、開放姿勢P3、半開放姿勢P2、および遮蔽姿勢P1をとることができれば、水平方向に姿勢変化するようにしてもよい。例えば、図19は、建築物の他の例を示す図である。図19に示す建築物100Jでは、可動壁部65が大きく水平方向に姿勢変化することにより、開放姿勢P3、半開放姿勢P2、および遮蔽姿勢P1をとることができる。また、開放姿勢P3、および半開放姿勢P2では、可動壁部65はプライバシーを守る壁として利用することができる。
建築物100は、外殻部10として海運用コンテナを利用したが、必ずしも海運用コンテナを利用しなくてもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
100 建築物
10 外殻部
11 上壁部
12 下壁部
13 右側壁部
14 左側壁部
30 第1側壁部
50 第2側壁部
61、62、63 可動壁部
80 連結部
81 第1連結部
82 第2連結部
P1 遮蔽姿勢
P2 半開放姿勢
P3 開放姿勢

Claims (7)

  1. 設置場所の変更を前提とした建築物であって、
    上壁部、下壁部、および側壁部を有し、内部に居住部が構成される外殻部と、
    前記外殻部の上部に配置される第1連結部と、前記外殻部の下部に配置される第2連結部と、を有し、複数の前記建築物が上下に積層された場合、上方に配置された前記建築物に設けられた前記第2連結部と、下方に配置された前記建築物に設けられた前記第1連結部とが連結および分離可能である、連結部と、
    を備え、
    前記側壁部は、
    使用者が前記居住部と前記外殻部の外側との間で通行可能であり、かつ採光および/または通風が可能な開口部が設けられる第1側壁部と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽するように設けられる第2側壁部と、を有し、
    前記第2側壁部は、
    前記開口部に対応して設けられている可動壁部を有し、
    前記可動壁部は、
    前記使用者が通行可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して開放させる姿勢である開放姿勢と、前記開口部から採光および/または通風可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して一部露出させる姿勢である半開放姿勢と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽する姿勢である遮蔽姿勢と、の間で姿勢変更可能である、
    建築物。
  2. 前記第1側壁部は、前記開口部が複数設けられ、
    前記第2側壁部は、前記各開口部に対応して設けられている複数の可動壁部を有し、
    前記各可動壁部は、
    前記使用者が通行可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して開放させる姿勢である開放姿勢と、前記開口部から採光および/または通風可能となるように前記開口部を前記外殻部の外側に対して一部露出させる姿勢である半開放姿勢と、前記第1側壁部を前記外殻部の外側から遮蔽する姿勢である遮蔽姿勢と、の間で姿勢変更可能である、
    請求項1に記載の建築物。
  3. 前記外殻部の内部に配置されるとともに、複数の前記建築物を積層させた場合の荷重を支えるラーメン構造の構造体をさらに備え、
    前記外殻部は、略直方体形状に構成されており、
    前記第1連結部および前記第2連結部は、前記構造体に接続されている、
    請求項1または2に記載の建築物。
  4. 前記開口部の面積は、前記開口部が設けられる前記第1側壁部の面積の50%以上とされ、
    前記可動壁部の面積は、前記可動壁部が設けられる前記第2側壁部の面積の50%以上とされる、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の建築物。
  5. 前記可動壁部は、上部可動壁部および下部可動壁部を有し、
    前記上部可動壁部は、
    前記第1側壁部の上部に対向させて配置される上部開閉体と、
    前記上部開閉体の上部を回転可能に支持する上部支持部と、
    前記上部開閉体の姿勢を保持する上部姿勢保持部と、を有し、
    前記下部可動壁部は、
    前記第1側壁部の下部に対向させて配置される下部開閉体と、
    前記下部開閉体の下部を回転可能に支持する下部支持部と、
    前記下部開閉体の姿勢を保持する下部姿勢保持部と、を有する、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の建築物。
  6. 前記上壁部および前記下壁部に対して平行な方向を第1方向とし、前記上壁部および前記下壁部に対して平行であって、かつ前記第1方向と直交する方向を第2方向として、
    前記第1連結部および前記第2連結部は、前記第1方向および前記第2方向に沿ってそれぞれ等間隔に配置されている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の建築物。
  7. 前記連結部は、
    前記第1連結部および前記第2連結部の連結および分離を、積層された前記建築物のうち、一方の前記建築物の前記居住部から行う、
    請求項1から6のいずれか1項に記載の建築物。
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