JP2009041215A - 組立式ブロック及び仮設住宅 - Google Patents

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公一 上遠野
Tadashi Horibe
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Abstract

【課題】
量産性があり高精度で軽量な仮設住宅用建設部材を提供し、簡単に組立てることができ、なおかつ屋外での使用にも十分耐え、自己消火性を持つ緊急用の仮設住宅を提供することを目的とする。
【解決手段】
素材はポリスチレン系発泡樹脂である。平板状の直方体1の対向する二つの側面に、正四角柱の突起物2と前記突起物2と同形状の空間3が升目状に交互に2列に配置され、一方の側面の前記突起物2と対向する側面には前記空間3が配置され、前記組立式ブロック同士を、前記突起物2を前記空間3に篏合して係止することにより仮設住宅の壁を構成する。別形状の床、屋根用の組立式ブロックを用いることで、簡易に仮設住宅を組立てることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は仮設住宅に関し、特に発泡樹脂製の組立式ブロックと当該ブロックを用いて作られた緊急用の仮設住宅に関する。
主に地震などの大きな災害によって住宅の倒壊等を生じて、避難を強いられている人たちの避難後の生活場所の一つとして、小学校や中学校の体育館がある。ここでは一般的に、床に布団等を敷いただけのプライバシーのない他人との団体生活となるため、2〜3日以上続くと精神的にも体力的にも安らぐことができないために、高齢者等の弱い人から順に、心身に問題が生じている。これらの問題の解決策として、段ボール平板や紙管を用いた緊急用の仮設住宅が提供されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2000−326435号公報 特開2006−283489号公報
段ボール平板や紙管を用いた緊急用仮設住宅においては、構成する床、壁、屋根それぞれが、多数の部材を接着した1枚の平板となっている。そのため、精度よく量産することが難しい。また、組立てに当たっては専門的な技術を要する構造となっており、緊急時に誰もが簡単に多数を組立ることができない。解体時も同様であり、しかも再利用するためには、継手構造の精度が十分でないという問題がある。また、用いられる素材は耐水性、断熱性が充分でなく、屋外での使用には限界がある。さらに、緊急用仮設住宅は密集して設置される場合が多いことから、燃えやすい素材では火災による二次災害の恐れも懸念される。
本発明は、従来技術における上述の問題点に鑑みて、量産性があり高精度で軽量な仮設住宅用建設部材を提供し、誰もが(被災者も)簡単に組立てることができ、屋外での使用にも十分耐え、自己消火性を持つ緊急用の仮設住宅を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、仮設住宅の壁に用いる発泡樹脂製の組立式ブロックであって、平板状の直方体の対向する二つの側面に、正四角柱の突起物と前記突起物と同形状の空間が升目状に交互に2列に並列され、一方の側面の前記突起物と対向する他の側面の位置には前記空間が配置され、前記組立式ブロック同士を、前記突起物を前記空間に篏合して係止することを特徴としたものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の組立式ブロックであって、前記突起物において、当該高さが当該正方形断面の一辺の長さの1〜1.5倍であることを特徴としたものである。
また、請求項3に記載の発明は、仮設住宅の床又は屋根に用いる発泡樹脂製の組立式ブロックであって、下記の二つの部材からなることを特徴としたものである。
(イ)平板状の直方体の一平面上の短辺側両端部分に、請求項1又は2に記載の組立式ブロックを篏合係止可能な凹凸部を有し、長辺側の対向する二つの側面には篏合用の凹凸部を有し、床又は屋根の中央部に用いる部材、
(ロ)請求項1又は2に記載の組立式ブロック及び(イ)に記載の部材と篏合係止可能で、仮設住宅の床又は屋根の端部に用いる部材。
また、請求項4に記載の発明は、仮設住宅であって、請求項1又は2に記載の組立式ブロックを壁材とし、請求項3に記載の組立式ブロックを床材又は屋根材とすることを特徴としたものである。
請求項1〜4に記載の発明によれば、発泡樹脂製の組立式ブロックは射出成形により精度よく量産することが可能である。また、軽量であるため、ブロックに設けた構造により篏合して係止することで、簡単に組立、分解、再利用できる仮設住宅を提供できる。また、発泡樹脂は大半が空気であることから、保温性と保湿性が高く、自己消火性もあり仮設住宅に好適である。
以下、本発明の最良の実施形態について図を参照して説明する。
図1は仮設住宅の壁に用いる組立式ブロックの基本形状である。素材はポリスチレン系発泡樹脂である。平板状の直方体1の対向する二つの側面に、正四角柱の突起物2と前記突起物2と同形状の空間3が升目状に交互に2列に並列され、一方の側面の前記突起物2と対向する他の側面の位置には前記空間3が配置され、前記組立式ブロック同士を、前記突起物2を前記空間3に篏合して係止する。一つの側面に配置する突起物2の数は壁の強度の観点から5個以上であることが望ましい。同様の観点から前記突起物2の高さは当該正方形断面の一辺の長さの1〜1.5倍が望ましい。
図2は、図1の組立式ブロックの寸法(単位:mm)例である。なお、本発明は本例あるいは後述する同様の寸法を示した例に限定されることはない。
図3及び図4には壁の組立例を示した。壁の奥行方向の延長は何列でも可能である。壁の1段目と2段目は、突起物2と空間3を合わせた数で2程度横にずらして組み立てる。3段目以上も同様である。
図5は床又は屋根の中央部に用いる組立式ブロックの部材の基本形状である。素材はポリスチレン系発泡樹脂である。平板状の直方体の一平面上の短辺側両端部分に、壁用の組立式ブロックを篏合係止可能な突起部2と空間3を有し、長辺側の対向する二つの側面には篏合用の凸部4と篏合用の凹部5を有する。
図6は、図5の部材の寸法(単位:mm)例である。
図7は床又は屋根の端部に用いる組立式ブロックの部材の基本形状である。素材はポリスチレン系発泡樹脂である。図1の壁用組立式ブロック及び図5の部材と篏合係止可能な構造を有している。平板状の直方体の一平面上の一つの長辺端部及び二つの短辺端部に、図1の壁用の組立式ブロックを篏合係止可能な突起部2と空間3を有し、他の長辺側面には図5の部材と篏合係止可能な篏合用の凸部4と、篏合用の凹部5を有する。
図8は、図7の部材の寸法(単位:mm)例である。
図9は図5の中央部材と図7の端部材を組み立てて床又は屋根を構成した例である。奥行方向の延長は何列でも可能である。
図10は仮設住宅6として組み立てた例である。仮設住宅の大きさとしては、床を一辺2.52m、高さ2.4mで構成することを基本ユニットとするが、奥行方向へ数ユニット繋ぎ合せた大きさとしてもよい。このときユニット間の仕切り壁は省いてもよい。なお、出入口と窓には図1に示した壁用の組立式ブロックの長さを短くした短部用ブロック(図11に例を記載)を用いた。仮設住宅6の断面を図12に示した。
なお、本発明の実施にあたって、仮設住宅6の外壁面と内壁面にそれぞれ塗装を施しておくことにより、居住性と防水性を良好にした仮設住宅を提供できる。また、各ブロックの合わせ目を防水テープ、又は防水シール剤にてコーキングすることにより、屋外の設置に対しても十分な耐水性を得ることができる。
以下に、本発明の仮設住宅を屋外で使用する場合の強度解析について説明する。素材としてポリスチレン系発泡樹脂(密度:20kg/m、曲げ強さ:320×10N/m)を用いた。壁には仮定の出入口と窓がある。屋外での使用では、風圧力及び積雪荷重に耐える必要があるため、次の条件を設定した。
(1)風圧力
風圧力算定に用いる基準事項は、「平成12年5月31日国土交通省告示第1454号」の数値(例えば、風速:34m/s)を用いた。
(2)積雪荷重
積雪は40cmを想定する。荷重は800N/mである。
上記の条件で、仮設住宅の壁厚さと発生する最大相当応力(三次元方向)を汎用有限要素ソフトによって解析した。表1、2に解析結果を示す。
表1:風圧力の解析結果

表2:積雪荷重の解析結果
表1の結果から、用いた発泡樹脂の曲げ強さ:320×10N/m(密度20kg/m)に必要な組立式ブロックの厚さは0.12m以上が必要である。また、表2の積雪荷重の結果を見ると、最大相当応力は風圧力の場合の約2分の1になるが、壁厚さが小さい場合は、方向(x、y,z)により応力値にばらつきが大きい。壁厚さ0.12m以上で値のばらつきが小さくなるので、必要な厚さは風圧力の場合と同様に、0.12m以上が必要である。
壁用組立式ブロックの斜視図 壁用組立式ブロックの寸法図で、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図 壁の組立例図 壁の組立寸法図 床又は屋根用組立式ブロックの中央部材の斜視図 床又は屋根用組立式ブロックの中央部材の寸法図で、(a)は上正面図、(b)は下正面図、(c)は平面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図、(f)(g)(h)は各位置断面図 床又は屋根用組立式ブロックの端部材の斜視図 床又は屋根用組立式ブロックの端部材の寸法図で、(a)は上正面図、(b)は下正面図、(c)は平面図、(d)は右側面図、(e)は左側面図、(f)(g)(h)は各位置断面図 床又は屋根の組立寸法図で、(a)は平面図、(b)(c)は各位置断面図 仮設住宅の組立図 仮設住宅の壁端部用組立式ブロックの寸法図で、1/2ブロックについて、(a)は下正面図、(b)は平面図、(c)は右側面図、端部ブロックについて、(d)は下正面図、(e)平面図、(f)は右側面図 仮設住宅の断面寸法図で、(a)は一般壁断面図、(b)は出入口断面図、(c)は窓断面図 強度解析に用いた仮設住宅の寸法と開口条件
符号の説明
1 平板状の直方体
2 突起物
3 空間
4 篏合用の凸部
5 篏合用の凹部
6 仮設住宅

Claims (4)

  1. 仮設住宅の壁に用いる発泡樹脂製の組立式ブロックであって、平板状の直方体の対向する二つの側面に、正四角柱の突起物と前記突起物と同形状の空間が升目状に交互に2列に並列され、一方の側面の前記突起物と対向する他方の側面の位置には前記空間が配置され、前記組立式ブロック同士を、前記突起物を前記空間に篏合して係止することを特徴とする組立式ブロック。
  2. 前記突起物において、当該高さが当該正方形断面の一辺の長さの1〜1.5倍であることを特徴とする請求項1に記載の組立式ブロック。
  3. 仮設住宅の床又は屋根に用いる発泡樹脂製の組立式ブロックであって、下記の二つの部材からなることを特徴とする組立式ブロック。
    (イ)平板状の直方体の一平面上の短辺側両端部分に、請求項1又は2に記載の組立式ブロックを篏合係止可能な凹凸部を有し、長辺側の対向する二つの側面には篏合用の凹凸部を有し、床又は屋根の中央部に用いる部材、
    (ロ)請求項1又は2に記載の組立式ブロック及び(イ)に記載の部材と篏合係止可能で、仮設住宅の床又は屋根の端部に用いる部材。
  4. 請求項1又は2に記載の組立式ブロックを壁材とし、請求項3に記載の組立式ブロックを床材又は屋根材とすることを特徴とする仮設住宅。
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