JP6432454B2 - 可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法 - Google Patents

可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法に関する。
本発明者らは、これまでにスルホン基置換アニリンまたはカルボキシル基置換アニリン等の酸性基置換アニリンを、塩基性化合物を含む溶液中で重合して得られる可溶性アニリン系導電性ポリマーとその製造方法を提案してきた(特許文献1)。
この方法により得られる可溶性アニリン系導電性ポリマーは、酸性からアルカリ性の何れの水溶液にも優れた溶解性を示す。従って、安価な原料から、加工上の利点を有する導電性ポリマーを、比較的容易に製造することが可能となった。
また一度重合させた反応液に、さらにモノマーと酸化剤を添加していく追加重合により分子量を大きくする製造方法(特許文献2)を見出した。
一般に、導電性ポリマーの導電性(σ)は、キャリアの数(n)、キャリアの電荷(q)ならびにキャリアの分子鎖間および分子鎖内の易動度(μ)に依存する。
可溶性アニリン系導電性ポリマーの場合、キャリアの電荷(q)はキャリアの種類によって決まる固有値となるため、導電性を向上させるためには、キャリアの数(n)および易動度(μ)を増大させることが重要である。なお、易動度(μ)を増大させるには、ポリマーの分子量を大きくすることや、未反応モノマー、低分子量物(オリゴマー)およびイオン等の不純物等を除去することが有効であると考えられている。スルホン化ポリアニリンから低分子量物や陽イオンを除去すると、導電性が向上することが知られている(特許文献3)。しかしながら、これらの方法でも高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーを得られなかった。
特開平7−196791号公報 WO12/057114号公報 特開2011−116967号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーを製造できる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、質量平均分子量(Mw)を増大させる要因分析を鋭意検討の結果、
モノマー濃度については、反応速度、釜効率を考慮して高濃度反応を選択しがちであるが、高分子量化のためには従来よりも低濃度であることが必要であり、また、溶媒としてアセトニトリルと水との混合溶媒を用いること、塩基性化合物、酸化剤として過硫酸塩、さらに遷移金属触媒を使用した場合に高分子量の可溶性アニリン系導電性ポリマーが得られることを見出し、本発明を完成した。。
すなわち、本発明の要旨は、「下記一般式(1)で表される酸性基置換アニリン(A)を、アセトニトリルと水の混合溶媒(B)中で、塩基性化合物(C)、過硫酸塩(D)及び遷移金属触媒(E)の存在下に重合を行う反応工程を含む可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法であって、全反応液中のモノマー濃度を1.0〜6.0質量%とする可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法。」にある。
(式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、およびハロゲン原子よりなる群から選ばれ、R1〜R5のうちの少なくとも1つは、酸性基である。ここで、酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基である。)
本発明の方法によれば、高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーを製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法は、以下の反応工程を含むものである。
なお、本発明において「可溶性」とは、水、塩基および塩基性塩を含む水、酸を含む水、またはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の溶媒、または、それらの混合物10g(液温25℃)に、0.1g以上均一に溶解することを意味する。
また、「導電性」とは、10−9S/cm以上の導電率を有することである。
<反応工程>
本発明は、前記一般式(1)で表される酸性基置換アニリン(A)を、アセトニトリルと水の混合溶媒(B)中で、塩基性化合物(C)、過塩素酸塩(D)及び遷移金属触媒(E)に重合を行う反応工程を有する。即ち、反応工程は、前記化合物を、塩基性化合物を含む溶液中で、酸化剤、遷移金属触媒により重合させてポリマーを得る工程である。
なお、目的ポリマーの収率の向上させる観点から、前記反応工程において、塩基性化合物を含む溶液および/または酸化剤溶液、遷移金属触媒の混合開始時の溶液温度は、0℃以下が好ましく、−5℃以下がさらに好ましい。
反応中の反応溶液の内温は、好ましくは50℃以下、特に好ましくは−15〜50℃、更に好ましくは−10〜20℃、最も好ましくは−5〜15℃の範囲が適用される。ここで、20℃以下であれば、副反応の進行や、主鎖の酸化還元構造の変化による導電性の低下を抑止できる。冷媒による除熱能力にもよるが、工業的な観点からは、−15℃以上が好ましい。
<酸性基置換アニリン(A)>

本発明ではモノマーとして、下記一般式(1)で表される酸性基置換アニリンが用いられる。一般式(1)で表される化合物を用いることで、導電性を発現し、さらに水溶性を向上させるとことができる。
(式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、およびハロゲン原子(−F、−Cl、−Brまたは−I)よりなる群から選ばれ、R1〜R5のうちの少なくとも1つは酸性基である。ここで、酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基である。)
前記一般式(1)で表される化合物の代表的なものは、スルホン基置換アニリンまたはカルボキシル基置換アニリンである。
中でも、得られるポリマーの導電性、溶解性などの性能が向上する点で、アミノ基に対して酸性基がo位またはm位に結合している化合物が好ましい。
前記スルホン基置換アニリンとして最も代表的なものは、アミノベンゼンスルホン酸類であり、得られるポリマーの導電性、溶解性などの性能の観点から、o−,m−,p−アミノベンゼンスルホン酸、アニリン−2,6−ジスルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アニリン−3,5−ジスルホン酸、アニリン−2,4−ジスルホン酸、アニリン−3,4−ジスルホン酸が好ましい。
アミノベンゼンスルホン酸類以外のスルホン基置換アニリンとしては、メチルアミノベンゼンスルホン酸、エチルアミノベンゼンスルホン酸、n−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、iso−プロピルアミノベンゼンスルホン酸、n−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、sec−ブチルアミノベンゼンスルホン酸、t−ブチルアミノベンゼンスルホン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、メトキシアミノベンゼンスルホン酸、エトキシアミノベンゼンスルホン酸、プロポキシアミノベンゼンスルホン酸などのアルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、フルオロアミノベンゼンスルホン酸、クロロアミノベンゼンスルホン酸、ブロムアミノベンゼンスルホン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンスルホン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、アルキル基置換アミノベンゼンスルホン酸類、ヒドロキシ基置換アミ
ノベンゼンスルホン酸類またはハロゲン基置換アミノベンゼンスルホン酸類が、得られるポリマーの導電性、溶解性を考慮すると実用上最も好ましい。
これらのスルホン基置換アニリンは、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種(異性体を含む)以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
前記カルボキシル基置換アニリンとして最も代表的なものは、アミノベンゼンカルボン酸類であり、得られるポリマーの導電性、溶解性の観点から、o−,m−,p−アミノベンゼンカルボン酸、アニリン−2,6−ジカルボン酸、アニリン−2,5−ジカルボン酸、アニリン−3,5−ジカルボン酸、アニリン−2,4−ジカルボン酸、アニリン−3,4−ジカルボン酸が好ましい。
アミノベンゼンカルボン酸類以外のカルボキシル基置換アニリンとしては、メチルアミノベンゼンカルボン酸、エチルアミノベンゼンカルボン酸,n−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、iso−プロピルアミノベンゼンカルボン酸、n−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、sec−ブチルアミノベンゼンカルボン酸、t−ブチルアミノベンゼンカルボン酸などのアルキル基置換アミノベンゼンカルボン酸類、メトキシアミノベンゼンカルボン酸、エトキシアミノベンゼンカルボン酸、プロポキシアミノベンゼンカルボン酸等のアルコキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類、ヒドロキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類、ニトロ基置換アミノベンゼンカルボン酸類、フルオロアミノベンゼンカルボン酸、クロロアミノベンゼンカルボン酸、ブロムアミノベンゼンカルボン酸などのハロゲン基置換アミノベンゼンカルボン酸類などを挙げることができる。
これらの中では、アルキル基置換アミノベンゼンカルボン酸類、アルコキシ基置換アミノベンゼンカルボン酸類またはハロゲン基置換アミノベンゼンスルホン酸類が、得られるポリマーの導電性、溶解性を考慮すると実用上最も好ましい。
これらのカルボキシル基置換アニリンは、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種(異性体を含む)以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
また、前記一般式(1)で表される酸性基置換アニリンは、スルホン基置換アルキルアニリン、カルボキシル基置換アルキルアニリン、スルホン基置換アルコキシアニリン、カルボキシル基置換アルコキシアニリン、スルホン基置換ヒドロキシアニリン、カルボキシル基置換ヒドロキシアニリン、スルホン基置換ニトロアニリン、カルボキシル基置換ニトロアニリン、スルホン基置換フルオロアニリン、カルボキシル基置換フルオロアニリン、スルホン基置換クロロアニリン、カルボキシル基置換クロロアニリン、スルホン基置換ブロムアニリン、あるいはカルボキシル基置換ブロムアニリンの何れかとして表現することができる。これらの置換基の位置と組合せの具体例を表1に示す。
表1中の略号は以下の通りである。
A:スルホン基またはカルボキシル基、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩から選ばれた一つの基を示す。
B:メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基 、s
ec−ブチル基、t−ブチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基などのアルコキシ基、ヒドロキシ基、フルオロ基、クロロ基、ブロム基などのハロゲン基から選ばれた一つの基を示す。
H:水素原子を示す。
これらモノマーで塩を形成できるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。
アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウムなどが挙げられる。
置換アンモニウムとしては、脂式アンモニウム類、環式飽和アンモニウム類、環式不飽和アンモニウム類などが挙げられる。
脂式アンモニウム類としては、下記一般式(2)で表されるアンモニウムが挙げられる。
式(2)中、R6〜R9は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基である。
このような脂式アンモニウム類としては、具体的にメチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、イソプロピルアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム、エチルプロピルアンモニウム、メチルイソプロピルアンモニウム、エチルイソプロピルアンモニウム、メチルブチルアンモニウム、エチルブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラメチロールアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラn−ブチルアンモニウム、テトラsec−ブチルアンモニウム、テトラt−ブチルアンモニウムなどが挙げられる。なかでも、得られるポリマーの導電性、溶解性を考慮すると、R6〜R9のうち1つが水素原子であり、他の3つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が最も好ましく、次いでR6〜R9のうち2つが水素原子であり、他の2つが炭素数1〜4のアルキル基の場合が好ましい。
環式飽和アンモニウム類としては、ピペリジニウム、ピロリジニウム、モルホリニウム、ピペラジニウムおよびこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
環式不飽和アンモニウム類としては、ピリジニウム、α−ピコリニウム、β−ピコリニウム、γ−ピコリニウム、キノリニウム、イソキノリニウム、ピロリニウム及びこれらの骨格を有する誘導体などが挙げられる。
(モノマー濃度)
質量平均分子量(Mw)を増大させるにはモノマー濃度が重要であり、すべてを供給した後の全反応液中のモノマー濃度は低い方がよいが、低すぎると重合反応が遅くなったり、反応後の濃縮が過度に必要となり実用上問題となるため、全反応液に対し1.0〜6.0質量%であり、1.5〜3.5質量%が好ましい。
<塩基性化合物(C)>
本発明で用いる塩基性化合物としては、無機塩基、アンモニア、脂式アミン類、環式飽和アミン類、環式不飽和アミン類などが挙げられる。
無機塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水酸化物の塩などが挙げられる。特に、得られるポリマーの導電性、溶解性の観点から、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
脂式アミン類としては、下記一般式(3)で表される化合物、または下記一般式(4)で表されるアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
式(3)中、R10〜R12は、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基である。
式(4)中、R13〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、または炭素数1〜4のアルキル基である。
環式飽和アミン類としては、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピペラジンおよびこれらの骨格を有する誘導体ならびにこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
環式不飽和アミン類としては、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピロリンおよびこれらの骨格を有する誘導体ならびにこれらのアンモニウムヒドロキシド化合物などが挙げられる。
塩基性化合物としては、無機塩基が好ましい。また、無機塩基以外の塩基性化合物の中では、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、ジエチルメチルアミン、ピリジン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン等が好ましく用いられる。無機塩類やこれらの塩基性化合物を用いれば、高導電性で、かつ高純度なポリマーを得ることができる。
これらの塩基性化合物はそれぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。
前記モノマーと塩基性化合物の質量比は、モノマー:塩基性化合物=1:100〜100:1であることが好ましく、より好ましくは10:90〜90:10である。ここで、塩基性化合物の割合が低いと反応性が低下したり、得られるポリマーの導電性が低下したりすることがある。一方、塩基性化合物の割合が高いと、得られるポリマー中の酸性基と塩基性化合物が塩を形成する割合が高くなり、ポリマーの導電性が低下することがある。
<過硫酸塩(D)>
本発明において、酸化剤として、過硫酸塩、例えば過硫酸、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類を用いる。過硫酸塩を用いることにより、質量分子量を(Mw)を増大させることができる。
これらの酸化剤は、それぞれ1種単独で用いてもよいし、2種以上を任意の割合で混合して用いてもよい。酸化剤の使用量は、工業性の観点や反応制御の観点から、前記モノマー1モルに対して0.1〜5モルが好ましく、より好ましくは1〜3モルである。
<遷移金属触媒(E)>
また、遷移金属触媒を用いることで質量平均分子量(Mw)が増大するが、遷移金属とは、周期表の第3族から第11族に記載される金属であり、その中でも第8族から第11族が好ましく、さらには鉄、銅がより好ましい。特に銅が好ましい。これらの金属は単体としても用いられるが、化合物として溶媒に溶解または分散させて用いるのが好ましく、例えば硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、ハロゲン化物、シアノ錯体、チオシアノ錯体、アンミン錯体、エチレンジアミン錯体、アセチルアセトナト錯体などを用いることができる。より好ましくは硫酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物を溶媒に溶解させて用いるのが良い。また複数種類の遷移金属触媒を用いてもよい。用いる触媒量はモノマー1モルに対して0.001〜1モルが好ましく、0.01〜0.1モルがより好ましい。遷移金属触媒の供給方法は任意であり、あらかじめ反応容器に入れておいてもよいし、モノマー溶液や酸化剤溶液に混合してもよいし、これらと別に同時に供給していってもよい。
<重合>
前記モノマーを、塩基性化合物を含む溶液中で、酸化剤、遷移金属触媒により化学酸化重合することで、ポリマーを得る。
具体的には、酸化剤溶液中にモノマーと塩基性化合物の混合溶液を供給する方式や、モノマーと塩基性化合物の混合溶液に酸化剤溶液を供給する方式、反応容器等にモノマーと塩基性化合物の混合溶液と、酸化剤溶液を同時に供給する半回分方式、酸化剤溶液とモノマーと塩基性化合物の混合溶液を連続的に供給し、押し出し流れで重合させるなどの連続反応方式によって、ポリマーを得ることができるが、供給方法は任意である。しかし、その中でも反応容器等にモノマーと塩基性化合物の混合溶液と、酸化剤溶液を同時に供給する半回分方式が、常に濃度を一定にでき、重合熱を除去して反応温度を制御しやすく好ましい。供給速度は工業的に可能な範囲で任意であり、同様に撹拌する場合は任意の撹拌速度で構わないし、撹拌がなくても可能である。
<溶媒(B)>
本発明の製造方法では水とアセトニトリルの混合溶媒を用いる。当該混合溶媒を用いることにより、質量平均分子量(Mw)を増大させることができる。水とアセトニトリルとの混合比は、容量比で水:アセトニトリル=10:100〜100:10が好ましく、水:アセトニトリル=30:70〜70:30がより好ましい。
<pH>
本発明においては、反応制御の観点から、重合時の反応系内のpHが7以下となるように調整することが好ましく、より好ましくはpHが6以下である。ここで、反応系内のpHが7以下であれば、副反応が進行しにくくなり、不純物やオリゴマー成分の生成が抑制され、結果として、得られるポリマーの導電性や純度等が向上する。
重合時の反応系内のpHは、プロトン酸の添加により調整できる。
プロトン酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、ホウ化フッ素酸等の鉱酸類、トリフルオロメタンスルホン酸等の超強酸類、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファスルホン酸等の有機スルホン酸類、およびポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、ポリ−2−メチルプロパン−2−アクリルアミドスルホン酸等の高分子酸類などが挙げられる。これらの中でも、比較的原料が入手しやすい等の工業性の観点や反応制御の観点から、塩酸、硝酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸等が好ましい。
プロトン酸の添加量は、酸化剤の析出がない範囲であれば特に限定されない。特に、反応制御の観点から、モル比でプロトン酸:モノマー=0.01:100〜50:100が好ましく、0.01:100〜45:100がより好ましい。プロトン酸の添加量が前記範囲内であれば、反応進行の妨げとなりにくく、不純物やオリゴマー成分の生成が抑制され、結果として、得られるポリマーの導電性や純度等が向上する。
<保持工程>
本発明は、前記方法によって得られた可溶性アニリン系導電性ポリマーを含む反応液を反応成分供給後に保持する工程があってもよい。
保持工程の温度は、高分子量のポリマーを得ることと、副反応抑制の観点から、40℃以下、より好ましくは15℃以下であり、さらに好ましくは5℃以下、特に好ましくは0℃以下である。
また保持時間は0〜800時間であり、保持する時間が長い方が質量平均分子量(Mw)が増大する傾向にあるが、導電性や工業性の観点から0〜100時間が好ましく、さらに好ましくは0〜24時間である。
保持工程中の反応液温度は均一であればさらによい。なお、反応液温度を均一に保つのに必要であれば攪拌操作を併用してもよい。
なお、保持工程において、温度を制御する方法としては、特に限定されないが、反応器を冷却している冷媒の流量や温度などを調整して行うことが挙げられる。反応器によってどの方法がよいかはその都度選択されるが、工業的な観点から、冷媒の温度を調整することが好ましい。
<精製工程>
前記方法によって得られた可溶性導電性ポリマーは、溶媒に溶解または分散したポリマー溶液の状態で得られる。得られた可溶性導電性ポリマーは、溶媒を除去した後、そのまま各種用途に用いてもよいが、ポリマー溶液には未反応モノマー、低分子量物(オリゴマー)、および不純物などが含まれる場合がある。従って、得られた可溶性導電性ポリマーを精製してから用いるのが好ましい(精製工程)。
以下、精製前の可溶性導電性ポリマーを「未精製の導電性ポリマー」という。
未精製の導電性ポリマーを精製する方法としては、膜ろ過法、陽イオン交換法などが挙げられる。中でも、精製効率に優れる観点から、膜ろ過法が好ましい。
膜ろ過の方式としては、透析方式、クロスフロー方式、加圧濾過方式などのろ過方式が挙げられる。未精製の導電性ポリマーを前記方法で精製する場合は、ポリマー溶液をそのまま精製に用いることができる。
膜ろ過で使用するろ過膜としては、透過膜を用いるのが好ましく、未反応モノマー、低分子量物(オリゴマー)、および不純物を除去することを考慮すると、限外ろ過膜が特に好ましい。
限外ろ過膜の材質としては、セルロース、セルロースアセテート、ポリサルホン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエーテルスルホン、ポリフッ化ビニリデン等、通常、限外ろ過膜の材質として使用するものであれば、特に制限はない。
また、限外ろ過膜としては、不純物除去の観点から、分画分子量が1000〜100000の範囲内に収まる限外ろ過膜が好ましく、より好ましくは、5000〜50000の範囲内に収まる限外ろ過膜であり、さらに好ましくは10000〜50000の範囲内に収まる限外ろ過膜であり、特に好ましくは10000〜30000の範囲内に収まる限外ろ過膜である。
膜ろ過の方式としては、透析方式、クロスフロー方式、可圧ろ過方式などのろ過方式が挙げられる。特に、クロスフロー方式の場合は、試料液を繰り返し連続的にろ過膜に接触させることができ、精製度を高めることが可能である。なお、試料液中の溶媒(水など)はろ過膜を透過するため、精製の過程で試料液が濃縮され、高粘度化しやすくなる傾向にある。このような場合は、濃縮液に溶媒をさらに加えて適度な濃度に希釈すればよい。
膜ろ過法として透析方式を採用する場合、反応液に比して十分量の水または適当な透析液を用い、透析時間は1〜100時間が好ましく、工業的観点からは2〜24時間がより好ましい。また同じ操作を何回か繰り返してもよい。
また膜ろ過法としてクロスフロー方式を採用する場合、ろ過圧力は0.01〜0.50MPaが好ましい。また、ろ過時間については特に制限されないが、長くなるほど精製度は高くなる傾向にある。
一方、膜ろ過法として加圧ろ過方式を採用する場合、ろ過圧力は0.01〜0.35MPaが好ましい。
<脱塩工程>
前記方法によって得られた可溶性導電性ポリマーは、上述したように、塩基性化合物の存在下、酸性基置換アニリン、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、および置換アンモニウム塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を重合することで得られるが、導電性ポリマー中の酸性基の一部が、塩基性化合物と塩を形成し、導電性が低下することがある。また遷移金属触媒を用いるため、遷移金属が塩を形成して残留して導電性が低下する場合がある。
塩基性化合物や遷移金属は、未精製の導電性ポリマーを精製する際に、低分子量体や不純物と共に概ね除去されるが、塩基性化合物をより除去する目的で、精製工程の後に、さらに脱塩処理を行ってもよい。
なお、脱塩処理を行う際は、精製工程後の試料液をそのまま用いることができる。
脱塩処理の方法としてはイオン交換法が挙げられ、具体的には、陽イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、電気透析法などである。
脱塩処理により、導電性ポリマーから塩基性化合物を効果的に除去することができ、導電性ポリマーの導電性がより向上する。
なお、精製工程や脱塩処理を行った後の導電性ポリマーは、水などの溶媒に溶解した状態であるので、凍結乾燥器や薄膜蒸発器などで溶媒を除去すれば固体状の導電性ポリマーが得られるが、溶媒に溶解した状態のものを導電性ポリマー溶液としてそのまま用いてもよい。
脱塩処理の方法としてはイオン交換法が挙げられ、具体的には、イオン交換樹脂を用いたイオン交換法、電気透析法などである。
陽イオン交換樹脂を用いたイオン交換法の場合、陽イオン交換樹脂に対する試料液の量は、例えば5%の導電性高分子水溶液の場合、陽イオン交換樹脂に対して5倍の容積までが好ましく、10倍の容積までがより好ましい。
陽イオン交換樹脂としては、例えば三菱化学株式会社製の「ダイアイオンSK1B」、オルガノ株式会社製の「アンバーライトIR−120B(H型)」などが挙げられる。
遷移金属触媒由来の陰イオンも陰イオン交換樹脂で除去でき、例えばオルガノ株式会社製の「IRA402BL」が挙げられる。
電気透析法の場合、電気透析法のイオン交換膜は特に限定はされないが、不純物の拡散による浸透を抑制するために、一価イオン選択透過処理が施されたイオン交換膜であって、分画分子量が300以下のものを使用することが好ましい。このようなイオン交換膜としては、例えば株式会社アストム製の「ネオセプタCMK(カチオン交換膜、分画分子量300)」、「ネオセプタAMX(アニオン交換膜、分画分子量300)」などが好適である。
また、電気透析法に用いるイオン交換膜として、アニオン交換層、カチオン交換層を張り合わせた構造を持ったイオン交換膜であるバイポーラ膜を用いてもよい。このようなバイポーラ膜としては、例えば株式会社アストム製の「PB−1E/CMB」などが好適である。
電気透析における電流密度は限界電流密度以下であることが好ましい。バイポーラ膜での印加電圧は、10〜50Vが好ましく、25〜35Vより好ましい。
上述した脱塩処理により、導電性ポリマーから塩基性化合物や遷移金属を効果的に除去することができ、導電性ポリマーから形成される塗膜の導電性がより向上する。
なお、精製工程や脱塩処理を行った後の導電性ポリマーは、水などの溶媒に溶解した状態であるので、凍結乾燥器や減圧濃縮器、薄膜蒸発器などで溶媒を除去すれば固体状の導電性ポリマーが得られるが、溶媒に溶解した状態のものを導電性ポリマー溶液としてそのまま用いてもよい。
<高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマー>
このようにして得られる高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーは、単なる水、塩基および塩基性塩を含む水、酸を含む水、またはメタノール、エタノール、iso−プロパノー等の溶媒、またはそれらの混合物に溶解することができ、加工性に優れる。
なお、可溶性アニリン系導電性ポリマーは、下記一般式(5)で表されるフェニレンジアミン構造(還元型)とキノジイミン構造(酸化型)を有していると考えられる。
(式(5)中、R17〜R32は、それぞれ独立して、酸性基、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、水酸基、ニトロ基、およびハロゲン原子(−F、−Cl、−Brまたは−I)よりなる群から選ばれ、かつR17〜R32のうち少なくとも1つは酸性基である。また、yは重合度を示す。)
この中でも特に各芳香環の4つの置換基の内少なくとも二つはそれぞれ酸性基又はアルコキシ基を有するものが好ましい。
このフェニレンジアミン構造(還元型)とキノジイミン構造(酸化型)は、酸化もしくは還元により任意の比率で可逆的に変換させることが可能である。フェニレンジアミン構造とキノジイミン構造の比率(x)は、導電性および溶解性の観点から、0.2<x<0.8の範囲が好ましく、0.3<x<0.7がより好ましい。
本発明の製造方法により得られる可溶性アニリン系導電性ポリマーは、スプレーコート法、デイップコート法、ロールコート法、グラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、エアーナイフコート法、カーテンコート法等の簡便な手法で導電体を形成することができる。
また、前記可溶性アニリン系導電性ポリマーを主成分とする組成物は、各種帯電防止剤、コンデンサー、電池、EMIシールド、化学センサー、表示素子、非線形材料、防食、接着剤、繊維、帯電防止塗料、防食塗料、電着塗料、メッキプライマー、静電塗装の下地、電気防食、電池の蓄電能力向上、導電性インク等に適応可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造>
[実施例1]
<反応工程>
容量250mLのガラス製の丸底攪拌槽(槽径7cm)の反応器に、あらかじめモノマーとのモル比0.01の量の硫酸鉄(II)七水和物を仕込んでおき、槽内温度が−5℃になるように冷媒の温度を調整した。過硫酸アンモニウム30mmolと98質量%硫酸をモノマーとのモル比0.05の量をアセトニトリルと水の容量比1:1の混合溶媒に溶解して60.0gの酸化剤溶液とした。2−アミノアニソール−4−スルホン酸30mmolとトリエチルアミン30mmolをアセトニトリルと水の容量比1:1の混合溶媒に溶解して60.0gのモノマー溶液とした。この酸化剤溶液とモノマー溶液を半回分方式で、同時に3時間かけて供給した。攪拌翼はステンレス製のアンカー翼で、攪拌回転数は50rpmで行い、この反応工程直後(保持工程直前)の反応器内液温度は−5℃であった。この全反応液中のモノマー濃度は5.0質量%であった。この反応工程で得られたポリマー溶液を、撹拌せずに23℃、168時間保持した。
<精製工程、脱塩工程>
前記反応工程と保持工程を経て得られたポリマー溶液を、透析方式で精製した。サーモ・サイエンティフィック社製、再生セルロース透析チューブ(内径35mm、分画分子量10K MWCO)を用いてイオン交換水を透析液として24時間透析を行い、可溶性アニリン系導電性ポリマー水溶液を回収した。さらにこの回収液をアンバーライトIR−120B(H型)に通液して陽イオンの除去を行ってポリマー溶液を得た。
[実施例2]
遷移金属触媒としてモノマーとのモル比0.10の量の硫酸鉄(II)七水和物を使用し、全反応液中のモノマー濃度を3.4質量%とすること、保持温度を3℃とした以外は実施例1と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例3]
遷移金属触媒としてモノマーとのモル比1.0の量の硫酸鉄(II)七水和物を使用し、全反応液中のモノマー濃度を3.4質量%とすること、保持温度を3℃とした以外は実施例1と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例4]
全反応液中のモノマー濃度を1.3質量%とすること以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例5]
遷移金属触媒としてモノマーとのモル比0.10の量の硝酸銅(II)三水和物を使用すること以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例6]
全反応液中のモノマー濃度を2.3質量%とすること以外は実施例5と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例7]
遷移金属触媒としてモノマーとのモル比0.10の量の硝酸パラジウム(II)を使用すること以外は実施例2、5と同様に、ポリマー溶液を得た。
[実施例8]
実施例6と同様に反応工程を行ったあと、精製工程、脱塩工程として透析と陽イオン交換を各2回実施し、さらにアンバーライトIRA402BLに通液して陰イオンの除去を行ってポリマー溶液を得た。
[比較例1]
全反応液中のモノマー濃度を10質量%とすること、保持温度を3℃とした以外は実施例1と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例2]
溶媒をアセトニトリルと水の混合溶媒ではなく、水を溶媒とすること以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例3]
遷移金属触媒を用いないこと以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例4]
全反応液中のモノマー濃度を13質量%とし、遷移金属触媒を用いないこと以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例5]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、水のみを溶媒とし、かつ遷移金属触媒を用いないこと以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例6]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、プロトン性溶媒であるメタノールと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例7]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、非プロトン性溶媒であるアセトンと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例8]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、ニトリル類であるプロピオニトリルと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例9]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、非水溶性のノルマルヘキサンと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例10]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、非プロトン性で、かつ誘電率がアセトニトリルに近いN,N−ジメチルホルムアミドと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例11]
溶媒としてアセトニトリルと水の混合溶媒を用いず、錯化剤であるアセチルアセトンと水の混合溶媒(容量比1:1)を溶媒とする以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
[比較例12]
酸化剤として過硫酸アンモニウムを用いず、30質量%過酸化水素を用いた以外は実施例2と同様に、ポリマー溶液を得た。
<評価>
(分子量測定)
まず、水(超純水)とメタノールを、容積比が水:メタノール=8:2となるように混合した混合溶媒に、炭酸ナトリウムと炭酸水素ナトリウムを、それぞれの固形分濃度が20mmol/L、30mmol/Lになるように添加して、溶離液を調製した。得られた溶離液は、25℃でのpHが10.8であった。
この溶離液に、得られた可溶性アニリン系導電性ポリマー溶液を固形分濃度が0.1質量%となるように溶解させ、試験溶液を調製した。
得られた試験溶液について、フォトダイオードアレイ(PDA)検出器とTSKgel alpha−M 2本 (7.8mmI.D.*30cm)、TSKguardcolumn alpha(6.0mmI.D.*4cm)が接続されたゲル浸透クロマトグラフを備えた高分子材料評価装置(Waters社製、「Waters Alliance2695、2414(屈折率計)、2996(PDA)」)を使用して分子量分布を測定し、波長760nmでクロマトグラムを得た。
ついで、得られたクロマトグラムについて、保持時間をポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の分子量へと換算した。具体的には、ピークトップ分子量が206、1030、4210、13500、33500、78400、158000、2350000のポリスチレンスルホン酸ナトリウムを標準試料として用い、試験溶液と同様にして、各標準試料を固形分濃度が0.1質量%となるように溶離液に溶解させて、標準溶液を調製した。そして、各標準溶液についてGPCにより保持時間と分子量の関係を求め、検量線を作成した。作成した検量線から、上記工程で得られたクロマトグラムについて、保持時間をポリスチレンスルホン酸ナトリウム換算の質量平均分子量(Mw)へと換算した。こうして得られた実施例1〜7、比較例1〜12の質量平均分子量(Mw)を表2に示した。質量平均分子量(Mw)が10000以下は低分子量とした。
表2中の略称は以下を表す。
ATN:アセトニトリル、MeOH:メタノール、ACE:アセトン、PN:プロピオニトリル、n-Hex:ノルマルヘキサン、DMF:N,N−ジメチルホルムアミド、Hacac:アセチルアセトン、APS:過硫酸アンモニウム
(導電性の評価)
得られた可溶性アニリン系導電性ポリマー溶液を、スピンコータ(Actes inc.製、「マニュアルスピンナーASC−4000」)を用いてガラス基板上に塗布し、ホットプレート上で120℃×10分間加熱して、塗膜(膜厚:約100nm)がガラス基板上に形成された試験片を得た。
得られた試験片の表面抵抗値を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリテック製、「ロレスタGP MCP−T610」)に直列四探針プローブを装着して測定した。
実施例2の試験片を測定して計算した結果、16S/cm、実施例5の試験片を測定して計算した結果、18S/cm、実施例6の試験片を測定して計算した結果、50S/cm、実施例8の試験片を測定して計算した結果、166S/cmである一方、比較例1では11S/cm、比較例2、3では形成された膜が柔らかく測定不能、比較例4では0.02S/cm、比較例5では0.01S/cmであり、導電性の優位性が明らかであった。
表2と上記導電性評価より、高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーを製造することができることが示された。
よって、本発明により、高分子量かつ高導電性を示す可溶性アニリン系導電性ポリマーを製造することができる。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表される酸性基置換アニリン(A)を、アセトニトリルと水の混合溶媒(B)中で、塩基性化合物(C)、過硫酸塩(D)及び遷移金属触媒(E)の存在下に重合を行う反応工程を含む可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法であって、全反応液中のモノマー濃度を1.0〜6.0質量%とする可溶性アニリン系導電性ポリマーの製造方法。

    (式(1)中、R1〜R5は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルキル基、炭素数1〜24の直鎖または分岐のアルコキシ基、酸性基、水酸基、ニトロ基、およびハロゲン原子よりなる群から選ばれ、R1〜R5のうちの少なくとも1つは、酸性基である。ここで、酸性基とはスルホン基またはカルボキシル基である。)
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