以下、本発明の車載用表示装置を路線バスの行先表示装置に適用した一実施形態について図を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して行先表示装置10の構成例を説明する。なお、図1(A)には、行先表示装置10を搭載した路線バス100の例を示す説明図が図示されており、また図1(B)には、行先表示装置10の構成例を示すブロック図が図示されている。図2(A)には、行先表示装置10の外観構成例を示す説明図が図示されており、図2(B)には図2(A)に示す一点鎖線2B内の拡大図、図2(C)には図2(A)に示す一点鎖線2C内の拡大図、がそれぞれ図示されている。
図1(A)に示すように、本発明の一実施形態に係る行先表示装置は、路線バス100の前方、側方および後方に取り付けられて、車外に向けて文字、図形、記号またはピクトグラムを含む表示パターンを表示する。表示パターンは、例えば、当該路線バス100の行き先である終点停留所の名称、路線の系統番号や、行き先を連想させ得るピクトグラム等である。具体的な表示パターンについては後述する。なお、ピクトグラムは、所定の情報を示したり、注意を喚起したりするために表示される視覚記号の一種であり、一般に「絵文字」や「絵単語」等と呼ばれるものである。以下、行先表示装置の構成等について、路線バス100の前方に設けられる行先表示装置10を代表して説明するが、側方に設けられる行先表示装置30や後方に設けられる行先表示装置40についてもほぼ同様に構成される。
図1(A)および図2(A)に示すように、行先表示装置10は、主に、フレーム11、単色表示部13、カラー表示部15、制御ユニット等により構成されている。フレーム11は、金属製の枠体であり、矩形状に形成されている。単色表示部13とカラー表示部15は、短手方向長さが同一に設定されており、両者は、長手方向に隣接して配置されている。本実施形態では、行先表示装置10は、路線バス100の前方上方に設けられる所定スペースに取り付けられる。なお、路線バス100の側方に設けられる行先表示装置30については、単色表示部33およびカラー表示部35が短手方向に隣接して配置されている。(図1(A)参照)。
さらに加えて図1(B)および図2(B)に示すように、単色表示部13は、単色LEDユニット25と単色LEDドライバ回路26により構成されている。単色LEDユニット25は、予め定められた1種類の色を発する発光ダイオード25a(単色LED25a)を複数個、マトリクス状(連珠状)に並べたもので、これらの単色LED25aが発光した光が同じ方向に向くように構成されている(図2(B)参照)。本実施形態では、路線バス100に搭載した状態において、例えば、車幅方向に横長に構成されている(図1(A)参照)。即ち、単色LEDユニット25では、短手方向(縦方向)にx個、長手方向(横方向)にy(>x)個の単色LED25aを並べている。例えば、長手方向y個は、短手方向のx個の3倍に設定されている。また、本実施形態では、単色LED25aの発光色を白色に設定している。なお、単色LEDユニット25を構成する単色LED25aの総数は、x個とy個の積で求められるので、以下「xy個」と表現する。
単色LEDユニット25は、その点灯制御が単色LEDドライバ回路26を介して制御ユニット17により行われる。即ち、単色LEDユニット25には、単色LEDドライバ回路26が電気的に接続されており、複数の単色LED25aの個々に対する点灯や消灯の制御は、この単色LEDドライバ回路26によって行われる。そのため、単色LEDドライバ回路26は、単色LEDユニット25に対して、例えば、マトリクス状に配置された複数の単色LED25aの中から、ロー(行)とカラム(列)により制御対象の単色LED25aを特定して制御し得るように構成されている。
単色LEDドライバ回路26は、制御ユニット17から受けた制御データに基づいて、行先表示装置10で表示する表示パターンのうちの単色で表示するパターン(以下「単色表示パターン」という)に合わせて単色LEDユニット25を点灯させ得るように構成されている。本実施形態では、単色LEDドライバ回路26は、単色LEDユニット25を構成する複数の単色LED25aのうち、点灯させるロー(行)を選択するとともに、選択したロー(行)に対応する単色LED25aに直流電圧を加え得るように構成されている。この直流電圧には、制御ユニット17によりパルス変調がかけられており、制御ユニット17によるデューティー比制御により点灯時間を任意に設定できる。これについては後で詳述する。なお、本明細書では、LEDの明るさの度合いを「光度」(単位:cd)で表現する。そのため、用語として「輝度」(単位:cd/m2)を用いた方が適切な場合であっても、「輝度」に代えて「光度」を用いることがあるので、注意されたい。単色表示パターンは、特許請求の範囲に記載の「第2表示パターン」に相当し得るものである。
このように構成される単色表示部13に対して、カラー表示部15は、カラーLEDユニット27とカラーLEDドライバ回路28により構成されている。カラーLEDユニット27は、単色ではなく、カラーLED27aを複数個、備えている。本実施形態では、カラーLED27aとして、例えば、赤色、緑色および青色からなる光の三原色を発光可能な3種類のLEDチップ(赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップ)を1つのパッケージ内に接近させて収容したRGB対応のフルカラー発光ダイオードを備えており、このカラーLED27aをマトリクス状(連珠状)に並べ、発した光が同じ方向に向くように構成されている(図2(C)参照)。カラーLEDユニット27も、単色LEDユニット25と同数のx個のカラーLED27aを短手方向(縦方向)に並べており、長手方向(横方向)にはx個よりも僅かに多いz(>x)個のカラーLED27aを並べて構成している。即ち、本実施形態では、カラーLEDユニット27は、路線バス100に搭載した状態において、例えば、車幅方向に若干横長に構成されており、長手方向の長さが単色LEDユニット25の長手方向長さの1/3に設定されている。なお、カラーLEDユニット27を構成するカラーLED27aの総数は、x個とz個の積で求められるので、以下「xz個」と表現する。
カラーLEDユニット27は、その点灯制御がカラーLEDドライバ回路28を介して制御ユニット17により行われる。即ち、カラーLEDユニット27には、カラーLEDドライバ回路28が電気的に接続されており、複数のカラーLED27aの個々に対する点灯や消灯の制御は、カラーLEDドライバ回路28により行われる。そのため、カラーLEDドライバ回路28も、単色LEDドライバ回路26と同様に、カラーLEDユニット27に対して、例えば、マトリクス状に配置された複数のカラーLED27aの中から、ロー(行)とカラム(列)により制御対象のカラーLED27aを特定して制御し得るように構成されている。なお、カラーLEDドライバ回路28の場合には、赤色、緑色および青色に対応した3種類の点灯制御を行う必要があるため、このようなローとカラムによる制御対象の特定を発光色ごとに行う。
また、カラーLEDドライバ回路28も、単色LEDドライバ回路26と同様に、制御ユニット17から受けた制御データに基づいて、行先表示装置10で表示する表示パターンのうちのカラーで表示するパターン(以下「カラー表示パターン」という)に合わせてカラーLED27aの発光色に対応するLEDチップを点灯させ得るように構成されている。本実施形態では、カラーLEDドライバ回路28は、カラーLEDユニット27を構成する複数のカラーLED27aの各色LEDチップのうち、点灯させるロー(行)を選択するとともに、選択したローに対応するカラーLED27aのLEDチップに直流電圧を加え得るように構成されている。この直流電圧も、制御ユニット17によりパルス変調がかけられる。これにより、単色LED25aと同様に制御ユニット17によるデューティー比制御により点灯時間を任意に設定できる。これについても後で詳述する。カラー表示パターンは、特許請求の範囲に記載の「第1表示パターン」に相当し得るものである。
なお、単色LEDユニット25を構成する複数の単色LED25aが、特許請求の範囲に記載の「予め定められた一の発光色で発光し一のグループに属する複数の発光素子」に相当し得るものであり、本実施形態では、単色LEDユニット25が「一のグループ」を構成する。また、カラーLEDユニット27を構成するカラーLED27aが、特許請求の範囲に記載の「前記一の発光色と異なる他の発光色であって前記一のグループと異なる1以上のグループ(以下「他のグループ」と総称する)に個々に予め定められた発光色で、発光し他のグループごとに属する複数の発光素子」に相当し得るものである。本実施形態では、赤色、緑色および青色に対応する3つの他のグループをカラーLEDユニット27が構成する。即ち、カラーLEDユニット27には、赤色で発光する複数のカラーLED27a(の赤色LEDチップ)が属する他のグループRと、緑色で発光する複数のカラーLED27a(の緑色LEDチップ)が属する他のグループGと、青色で発光する複数のカラーLED27a(の青色LEDチップ)が属する他のグループBと、が共存している。なお、これらの他のグループR,G,Bは、後述するように、1つの制御グループ(特定のグループ)にまとめられて光度が推定されたり制御されたりする。
図1(B)に示すように、制御ユニット17は、MPU21、メモリ22、システムバス23、入出力インタフェース24等により構成されており、例えば、単色表示部13やカラー表示部15の裏面に取り付けられている。図1(A)や図2(A)では、単色表示部13やカラー表示部15に隠れて見えないため、図示されていない。
MPU21は、行先表示装置10を制御する演算処理装置であり、システムバス23を介して、メモリ22、入出力インタフェース24等と接続されている。
メモリ22は、MPU21が使用する主記憶空間を構成する半導体記憶装置であり、例えば、プログラム領域を担うROMとワーク領域やデータ領域に割り当てられるRAMとにより構成されている。ROMには、行先表示装置10を制御するプログラム、例えば、単色LEDユニット25やカラーLEDユニット27に制御データを送出するドライバプログラムや、後述する明るさ制御処理を実行可能な明るさ制御プログラム等が格納されている。ROMには、EEPROMやフラッシュメモリが含まれる。
本実施形態では、行先表示装置10は、データ領域として、システムプログラム等を記憶するROMのほかに、例えば、図略のデータメモリ(EEPROM等の半導体記憶装置)を備えている。このデータメモリには、単色LED25aやカラーLED27aが所定の光度で発光するために必要な駆動電流値に対応するパルス変調のデューティー比データが光度ごとに関連づけられて予め格納(記憶)されている。また、後述するように、単色表示部13およびカラー表示部15による光度を制限する制限値(単色制限値Ls、カラー制限値Lc)が予め格納(記憶)されている。
入出力インタフェース24は、単色LEDドライバ回路26、カラーLEDドライバ回路28や上位システム90等とMPU21またはメモリ22との間で、シリアルやパラレル通信によりデータのやり取りを仲介するインタフェース装置である。なお、操作盤や運賃表示システム等の上位システム90は、路線バス100の車内に設けられるが、図1(A)には図示されていないことに注意されたい。
ここで、図3を参照して、行先表示装置10により表示される表示パターンの例について説明する。図3には、行先表示装置10による表示態様(表示パターン)の一例を示す説明図が図示されている。図3に示すように、行先表示装置10では、白色等の1種類の色(単色)の出射光を出力する単色表示部13で表示する単色表示パターンと、フルカラーの出射光を出力するカラー表示部15で表示するカラー表示パターンとにより、当該路線バス100の行き先である終点停留所の名称等を表示する。図3の例では、単色表示部13の単色LEDユニット25によって、終点停留所の名称「岐阜駅」および路線の系統番号「7」を単色LED25aの発光により白色で表示し、その背景は単色LED25aの消灯により黒色で表示している(単色表示パターン)。また、カラー表示部15のカラーLEDユニット27によって鉄道または鉄道駅を示すピクトグラムを表示している(カラー表示パターン)。ピクトグラムは、例えば、視覚記号の部分をカラーLED27aの青色LEDチップの発光により青色で表示し、その他の部分(背景)をカラーLED27aの赤色LEDチップと緑色LEDチップの発光により黄色で表示している。
なお、このピクトグラムは、JIS規格のJIS Z8210 に準拠している。この例において、カラー表示部15により表示されるピクトグラムが特許請求の範囲に記載の「第1表示パターン」に相当し、また単色表示部13により表示される、終点停留所の名称および系統番号が特許請求の範囲に記載の「第2表示パターン」に相当し得るものである。また、これらをすべて合わせたものが、特許請求の範囲に記載の「文字、図形、記号またはピクトグラムを含む表示パターン」に相当し得る。
このように本実施形態の行先表示装置10では、表示部全体の約3/4を占める単色表示部13による発光色を、従来の行先表示装置で多用されていた黄色に代えて白色に変更するとともに、また残りの約1/4の発光色をカラー表示部15によるフルカラーにした。そのため、従来の行先表示装置に比べて、表示部全体の約1/4をカラー表示部15により目立たせることが可能である反面、カラー表示部15による発熱や、行先表示装置10の全体光度が問題になる。特に、カラー表示部15は背景部分も発光し、また単色表示部13は、単色表示パターンが白色に発光するため、従来の行先表示装置に比べ、全体光度が増加し易い。したがって、本実施形態の行先表示装置10では、単色表示部13およびカラー表示部15が発光する光度を次のような制限値により規制している。
単色表示部13およびカラー表示部15が発光する光度の合計値、つまり行先表示装置10の全体光度の上限を予め定めている。例えば、単色LED25aおよびカラーLED27aが発光することにより発熱する発熱量の合計が単色表示部13およびカラー表示部15に設けられた放熱構造の放熱能力を上回らない範囲において、行先表示装置10の全体光度の制限値が定められている。また、単色表示部13やカラー表示部15をその正面から見た場合に、見た者が眩しく感じない範囲において、行先表示装置10の全体光度の制限値が定められている。具体的な全体制限値は、単色LED25aやカラーLED27aの電気的仕様(特性)、光学的仕様(特性)や行先表示装置10の視認性等に基づいて、実験や計算機シミュレーション等により、適宜、最適値に定められる。このように定められる全体光度の制限値のことを以下「全体制限値」という。なお、全体制限値は、所定の法律により定められる場合もある。
本実施形態では、このような全体制限値に対して、単色LEDユニット25およびカラーLEDユニット27のそれぞれについて予め定められる制限値を、それぞれのLEDユニットが有するLEDチップの総数の比率に従って分配して決定する。前述したように、単色LEDユニット25はxy個の単色LED25aを備えており、単色LED25aは、予め定められた1種類の色(白色)を発光する。そのため、単色LEDユニット25は、xy個のLEDチップを有する。これに対して、カラーLEDユニット27はxz個のカラーLED27aを備えており、カラーLED27aは、赤色、緑色および青色の3種類の色を発光する。その結果、カラーLEDユニット27は、xz個の3倍のLEDチップを有する。
したがって、例えば、単純にLEDチップの個数比率で全体制限値を分配する場合には、xy/(xy+3xz):3xz/(xy+3xz)の比率で全体制限値を分配する。これにより、単色LEDユニット25に対する単色制限値Ls(=全体制限値×(xy/(xy+3xz)))およびカラーLEDユニット27に対するカラー制限値Lc(=全体制限値×(3xz/(xy+3xz)))が定められる。また、LEDチップは発光色ごとに光度が異なることから、例えば、発光色に基づいて、全体制限値に対する単色制限値Lsおよびカラー制限値Lcを定めてもよい。具体的には、発光色に基づく重み付けを制限値に付与する。例えば、LEDチップ単体の発光色については、光度が高い色(例えば白色)ほど全体制限値に対する制限値の割合を大きく設定し、また光度が低い色(例えば青色)ほど全体制限値に対する制限値の割合を小さく設定する。また、複数のLEDチップの発光色を合成して所定色を発光させる場合、つまりカラーLED27aの各色LEDチップによる発光色については、赤色LEDチップ、緑色LEDチップおよび青色LEDチップによる発光色のカラーバランスに応じて全体制限値に対する制限値の割合を各発光色に均一に設定する。
また、行先表示装置10を構成する単色LEDユニット25やカラーLEDユニット27等のLEDユニットの数nで、全体制限値を除算(全体制限値/n)してそれを各LEDユニットの制限値(=全体制限値/n)に決めてもよい。例えば、本実施形態の場合、行先表示装置10は、単色LEDユニット25とカラーLEDユニット27の2つのLEDユニットにより構成されるため、全体制限値を2で除算したものを、それぞれ単色LEDユニット25およびカラーLEDユニット27に決定する。これにより、単色LEDユニット25に対する単色制限値Ls(=全体制限値/2)およびカラーLEDユニット27に対するカラー制限値Lc(=全体制限値/2)が定められる。なお、これらの制限値Ls,Lcは、いずれもメモリ22のデータ領域に予め記憶されており、後述する明るさ制御処理において用いられる。また、カラー制限値Lcは、特許請求の範囲に記載の「第1制限値」に相当し得るものであり、また単色制限値Lsは、特許請求の範囲に記載の「第2制限値」に相当し得るものである。
ここで、本実施形態における階調制御と光度制御について図4を参照して説明する。図4には、行先表示装置10による階調制御(図4(A))および光度制御(図4(B))の各例を示す説明図が図示されている。本実施形態では、カラーLED27aによる発光色の色合いを階調、つまり色の濃淡により設定している。色の濃淡は、LEDでは発する光の明暗に置き換えられ得る。そのため、具体的には、図4(A)に示すように、カラーLED27aの各色LEDチップには、直流電圧を連続的に絶えず供給するのではなく、例えば、マイクロ秒オーダーで一定時間間隔に区切った時間区間Tごとに不連続に供給する。本実施形態では、8個の時間区間Tを1単位にして、8区間のそれぞれにおいて、直流電圧を供給する期間(以下「オン期間」という)および直流電圧を供給しない期間(以下「オフ期間」という)を設定する。なお、図4(A)では、オン期間を「ON」で表し、またオフ期間を「OFF」で表している。発光色は、オン期間が多い(オフ期間が少ない)ほど濃くなり(階調7の例)、またオン期間が少ない(オフ期間が多い)ほど薄くなる(階調1の例)。8区間のすべてがオン期間になる階調8が最も濃く、また8区間のすべてがオフ期間になる階調0は、発光しない場合であり、LEDが消灯している状態である。
本実施形態では、このように発光色の階調を設定するのに対して、その光度の設定は、オン期間に供給する直流電圧にパルス変調をかけることにより行う。即ち、前述したように、カラーLED27aの各色LEDチップには、パルス変調がかけられた直流電圧がカラーLEDドライバ回路28から供給される。そのため、直流電圧にかけるパルス変調のデューティー比を変えることによって、カラーLED27aの光度が調整される。本実施形態では、例えば、前述のオン期間の時間区間Tにおいてオンオフするパルスの幅が変動するように、オン時間とオフ時間の比率、つまりデューティー比を制御で制御する。これにより、カラーLED27aの各色LEDチップに流れる電流値を制御することができるため、カラーLED27aの光度を調整することが可能になる。例えば、図4(B)に示すように、オン時間が長く(オフ時間が短く)なるほど光度が高くなり、オン時間が短く(オフ時間が長く)なるほど光度が低くなる。光度は、高いほどカラーLED27aが明るくなり、また低いほどカラーLED27aが暗くなる。なお、オフ期間においては、直流電圧が供給されないため、デューティー比制御は行われない。
次に、明るさ制御処理について図5を参照して説明する。図5には、行先表示装置10による明るさ制御処理の流れを示すフローチャートが図示されている。この処理は、メモリ22に格納されている明るさ制御処理プログラムをMPU21が実行することにより実現される。この処理を開始するタイミングは、例えば、行先表示装置10が上位システム90から、表示データを受信した直後等である。
図5に示すように、明るさ制御処理では、まずステップS101により所定の初期化処理が行われた後、ステップS103によりパターンデータ展開処理が行われる。初期化処理では、例えば、メモリ22のワーク領域がクリアされる。パターンデータ展開処理では、明るさ制御処理が起動する直前に上位システム90から受信した表示データを所定のフォーマットに展開する。本実施形態では、所定のフォーマットとして、例えば、単色LEDユニット25を構成するxy個の単色LED25aに対応した単色ドット(x行y列)と、カラーLEDユニット27を構成するxz個のカラーLED27aに対応したカラードット(x行z列)とからなる配列形式のパターンデータに展開される。この形式では、単色LEDユニット25により点灯させる予定の単色LED25aの位置とその階調や、カラーLEDユニット27により点灯させる予定のカラーLED27aの位置とその階調を特定することができる。
次のステップS105ではカラーLED点灯数算出処理が行われる。即ち、カラーLEDユニット27により点灯するカラーLED27aの数、つまりカラーLED27aの点灯数を算出する。本実施形態では、配列形式に展開されたパターンデータのドット(カラードット)ごとに設定されているすべての階調(消灯を含めた0〜8の9階調)を積算して点灯数を算出する。階調の積算値を階調数の8で除算すると、階調8でフルに点灯したカラーLED27aに換算した点灯数が求められるが、本実施形態では、階調数の8で除算することなく、階調の積算値をそのまま用いる。この階調の積算値は、階調1で点灯したカラーLED27aの各色LEDチップの延べ点灯数に置き換えることができ、ステップS109においてカラーLEDユニット27の明るさ(光度)を推定するために求められるからである。カラーLED27aには、前述したように、赤色・緑色・青色の3色のLEDチップが収容されているため、赤色・緑色・青色の各発光色ごとに階調の積算値を算出する。
続くステップS107では単色LED点灯数算出処理が行われる。前述のステップS105と同様の処理を単色LEDユニット25により点灯する単色LED25aについて行うことにより、単色LED25aの点灯数を算出する。本実施形態では、単色LEDユニット25についても、配列形式に展開されたパターンデータのドット(単色ドット)ごとに設定されているすべての階調(消灯を含めた0〜8の9階調)を積算して点灯数を算出する。単色LED25aの点灯数も、階調の積算値が階調1で点灯した単色LED25aの延べ点灯数に置き換えることができ、単色LEDユニット25の明るさ(光度)を推定するために求められるため、本実施形態では、階調数の8で除算することなく階調の積算値をそのまま用いる。
ステップS109では明るさ推定処理が行われる。即ち、カラーLED27aおよび単色LEDユニット25のそれぞれについて明るさを推定する。ステップS105により算出されたカラーLED27aの発光色ごとの階調の積算値に基づいて、発光色ごとに光度を求め、その合計値をカラーLEDユニット27の明るさとして推定する。具体的には、発光色ごとに予め設定されている標準光度にステップS105により算出された階調の積算値を乗算することにより、発光色ごとの光度(明るさ)が求められる。そのため、求められたこれら発光色ごとの光度をすべて合計することにより、カラーLEDユニット27によるカラー表示全体の光度(以下「カラー表示光度」という)が得られるので、カラーLEDユニット27の全体の明るさを推定することができる。標準光度は、行先表示装置10の仕様に応じて定められる所定の基準電流を流した場合に、カラーLED27aが発光する光度であり、特許請求の範囲に記載の「色別基準光度」に相当し得るものである。
また、ステップS107により算出された単色LED25aの階調の積算値に基づいて光度を求め、その光度を単色LEDユニット25の明るさとして推定する。具体的には、予め設定されている標準光度にステップS107により算出された階調の積算値を乗算することにより、光度(明るさ)が求められる。これにより、単色LEDユニット25による単色表示全体の光度(以下「単色表示光度」という)が得られるので、単色LEDユニット25の全体の明るさを推定することができる。標準光度は、行先表示装置10の仕様に応じて定められる所定の基準電流を、単色LED25aに流した場合にこれら発光する光度である。
ステップS111ではカラーLED明るさ判定処理が行われる。この処理では、ステップS109で推定されたカラーLEDユニット27の明るさであるカラー表示光度をメモリ22に記憶されているカラー制限値Lcと比較する。ここで用いるカラー制限値Lcは、前述したように、行先表示装置10の全体制限値を単色LEDユニット25と分配したものである。そして、この比較によって、カラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lc以下である場合には(ステップS111;制限値以下)、ステップS125に処理を移行し、カラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lcを超える場合には(ステップS111;制限値超過)、ステップS131に処理を移行する。
ステップS125〜S129は、カラーLEDユニット27の明るさがカラー制限値Lc以下である場合に行われる処理である。この場合には、まずステップS125により、カラー制限値Lcに対するカラーLEDユニット27のカラー表示光度の余剰分を算出する処理を行う。カラー制限値Lcから、ステップS109で推定されたカラーLEDユニット27のカラー表示光度を減算することによって、カラー制限値Lcに対する光度の余剰分が算出される。この光度の余剰分を単色LEDユニット25の単色制限値Lsに加えることにより、新たな単色制限値が得られる。
即ち、ステップS127により、単色LEDユニット25に対してメモリ22に記憶されている単色制限値Lsを読み出した後、ステップS125で算出されたカラー表示光度の余剰分をこの単色制限値Lsに加算し、その加算結果を新たな単色制限値Ls’として設定(変更)する。これにより、単色LEDユニット25に対する単色制限値は、この余剰分だけ増加した新たな単色制限値Ls’に変更される。
そして、続くステップS129により、単色LED25aの光度をこの変更された新たな単色制限値Ls’内の最大値に設定する処理が行われる。ステップS109により推定された単色LEDユニット25の明るさ(単色表示光度)が新たな単色制限値Ls’以下である場合には、単色LEDユニット25の単色表示光度が新たな単色制限値Ls’にほぼ等しくなるように増加させた値に単色LED25aの光度を設定する。これに対して、推定された単色LEDユニット25の明るさ(単色表示光度)が新たな単色制限値Ls’を超えている場合には、単色LEDユニット25の単色表示光度が新たな単色制限値Ls’内に収まるように減少させた値に単色LED25aの光度を設定する。単色LED25aの光度の設定は、具体的には、光度に関連づけられてメモリ22に記憶されているパルス変調のデューティー比データのうち、単色LED25aに対応したものをメモリ22から読み出して、設定する光度に関連づけられたデューティー比データを単色LEDドライバ回路26に出力する制御データにセットすることにより行う。
これに対して、ステップS131,S133の各処理は、カラーLEDユニット27の明るさがカラー制限値Lcを超える場合に行われる。この場合には、カラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lcを超えるため、まずステップS131により、光度に関連づけられてメモリ22に記憶されているパルス変調のデューティー比データのうち、カラーLED27aの各色LEDチップに対応したものをメモリ22から読み出す。そして、カラーLEDユニット27のカラー表示光度を、本来設定されているカラー制限値Lc内に収まるように減少させた値に設定するため、設定する光度に関連づけられたデューティー比データをカラーLEDドライバ回路28に出力する制御データにセットする。
そして、続くステップS133により、単色LED25aの光度を本来設定されている単色制限値Ls内の最大値に設定する処理が行われる。ステップS109により推定された単色LEDユニット25の明るさ(単色表示光度)が本来設定されている単色制限値Ls以下である場合には、単色LEDユニット25の単色表示光度が単色制限値Lsにほぼ等しくなるように増加させた値に単色LED25aの光度を設定する。これに対して、推定された単色LEDユニット25の明るさ(単色表示光度)が単色制限値Lsを超えている場合には、単色LEDユニット25の単色表示光度が単色制限値Ls内に収まるように減少させた値に単色LED25aの光度を設定する。単色LED25aの光度の設定は、具体的には、光度に関連づけられてメモリ22に記憶されているパルス変調のデューティー比データのうち、単色LED25aに対応したものをメモリ22から読み出して、設定する光度に関連づけられたデューティー比データを単色LEDドライバ回路26に出力する制御データにセットすることにより行う。
ステップS129またはステップS133による単色LED光度設定処理が済むと、次にステップS141により、単色・カラーLED点灯処理が行われる。この処理では、単色LEDドライバ回路26やカラーLEDドライバ回路28に出力するためにセットした制御データを、ドライバプログラムを介して単色LEDドライバ回路26およびカラーLEDドライバ回路28に出力する。これにより、単色LEDユニット25が単色表示パターンに従って単色LED25aを発光させ、またカラーLEDユニット27がカラー表示パターンに従ってカラーLED27aの各色LEDチップを発光させるため、行先表示装置10は予定した表示パターンを表示することが可能になる。
以上説明したように本実施形態に係る行先表示装置10では、予め定められた白色で発光し単色LEDユニット25を構成する複数の単色LED25aと、白色と異なる他の発光色であって予め定められた、赤色、緑色、青色の発光色で発光しカラーLEDユニット27を構成するカラーLED27aと、表示パターンで発光するように単色LEDユニット25およびカラーLEDユニット27を構成するそれぞれの単色LED25a、カラーLED27aに対して点灯制御を行う制御ユニット17と、を備える。そして、制御ユニット17は、カラーLEDユニット27のカラーLED27a(赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップ)のそれぞれの光度の合計値に対する上限値として予め定められたカラー制限値Lcと、単色LEDユニット25の単色LED25aの光度の合計値に対する上限値として予め定められた単色制限値Lsと、をメモリ22に記憶しており、表示パターンを構成するカラー表示パターンでカラーLED27a(赤色LEDチップ、緑色LEDチップ、青色LEDチップ)が発光した際に推定される光度をカラー制限値Lcと比較し(S111)、推定される光度がカラー制限値Lc以下である場合(S111;制限値以下)、表示パターンを構成する単色表示パターンで単色LEDユニット25の複数の単色LED25aが発光した際に推定される光度が「推定される光度とカラー制限値Lcの差(=余剰分)を単色制限値Lsに加算した値」に達するまで単色LEDユニット25の複数の単色LED25aを発光させる。
つまり、制御ユニット17は、カラーLEDユニット27の明るさを判定する処理において(S111)、推定されたカラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lc以下である場合には(ステップS111;制限値以下)、カラー制限値Lcに対するカラーLEDユニット27のカラー表示光度の余剰分を算出し(S125)、単色LEDユニット25に対する単色制限値Lsに、カラーLEDユニット27のカラー表示光度の余剰分を加算してその加算結果を新たな単色制限値Ls’として設定を変更する(S127)。これにより、単色LEDユニット25に対する単色制限値は、この余剰分だけ増加した新たな単色制限値Ls’に変更されるため、単色LEDユニット25の単色表示光度を新たな単色制限値Ls’内の最大値に設定することによって(S129)、本来の制限(単色制限値Ls)を超えた新たな制限(単色制限値Ls’)一杯で単色LEDユニット25を発光させることができる。カラーLEDユニット27の上限として設定されているカラー制限値Lcに満たないカラー表示光度の余剰分を、単色LEDユニット25の上限として設定されている単色制限値Lsに加えて新たな単色制限値Ls’(=単色制限値Ls+カラー表示光度の余剰分)を設定した。そのため、行先表示装置10の全体光度は、カラー制限値Lcと単色制限値Lsの和である全体制限値を超えない。したがって、本来であれば、カラー制限値Lcに満たないことによるカラーLEDユニット27のカラー表示光度の減少分が、単色LEDユニット25の単色表示光度として活用されるため、明るさ制限がある場合においても視認性を高めることができる。
また、本実施形態に係る行先表示装置10では、カラー制限値Lcに対するカラーLEDユニット27のカラー表示光度の余剰分を算出し(S125)、その余剰分を単色LEDユニット25に対する単色制限値Lsに加算することによって新たな単色制限値Ls’を設定して(S127)、単色LEDユニット25の単色表示光度が増加するように構成した。つまり、光度を増加させる対象を単色LED25aにした。これにより、カラーLEDユニット27に対するカラー制限値Lcは増減しないため、それに伴うカラーLEDユニット27のカラー表示光度も変化することがない。したがって、カラー制限値Lcは増減によるカラーLED27aの光度の変化がないため、光度が変動することによりカラーLED27aの発光色の色合いや色味の変化を防止することができる。
なお、上述した行先表示装置10では、カラーLEDユニット27を構成するカラーLED27aとして、赤色LEDチップ、緑色LEDチップおよび青色LEDチップを1つのパッケージ内に接近させて収容したRGB対応のフルカラー発光ダイオードを用いた。しかし、このような複合タイプの発光素子ではなく、発光色ごとに個別にパッケージされた3色の発光素子(赤色を発する発光ダイオード、緑色を発する発光ダイオードおよび青色を発する発光ダイオード)を接近させて構成した3色マルチLEDを、カラーLED27aの代わりに用いてもよい。
なお、上述した明るさ制御処理の他の例として、例えば、図6に示す明るさ制御処理の改変例を構成してもよい。なお、図6においては、図5に示す明るさ制御処理の処理ステップと実質的に同一に情報処理される処理ステップについては、図5に示す符号と同じ符号を付しており、これらの処理ステップの説明を省略する。
図6に示す改変例では、カラーLEDユニット27の明るさがカラー制限値Lc以下である場合(S111;制限値以下)において、カラーLED27aの各色LEDチップの光度を最大値に設定する処理ステップを加えた(S121)。このステップS121による処理は、カラーLEDユニット27の明るさがカラー制限値Lc以下であるときには、表示パターンの構成上、カラー表示パターンの各色の階調の積算値が最大値の50%前後になることが多い場合に有効なものであり、各色LEDチップの光度を最大値に設定してもカラー制限値Lcに対して余裕のあることが前提になる。カラー表示パターンの各色の積算値の最大値は、x行z列を構成するすべてのカラードットが階調8に設定されている場合における各色の階調の積算値である。
ただし、カラーLED27aの各色LEDチップの光度を最大値に設定すると、カラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lcを超える場合があり得る。そのため、次のステップS122によりそれを判定する。即ち、カラーLED明るさ判定により、カラーLED27aの各色LEDチップの光度が最大値である場合のカラー表示光度をメモリ22に記憶されているカラー制限値Lcと比較する。この比較によって、カラーLEDユニット27の明るさ(カラー表示光度)がカラー制限値Lc以下である場合には(ステップS122;制限値以下)、ステップS125に処理を移行し、カラーLEDユニット27のカラー表示光度がカラー制限値Lcを超える場合には(ステップS122;制限値超過)、ステップS123により、カラーLEDユニット27のカラー表示光度がカラー制限値Lc内に収まるように、カラーLED27aの各色LEDチップの光度を再度設定する。
ステップS121やステップS123によるカラーLED27aの各色LEDチップの光度の設定は、具体的には、光度に関連づけられてメモリ22に記憶されているパルス変調のデューティー比データのうち、カラーLED27aの各色LEDチップに対応したものをメモリ22から読み出して、設定する光度に関連づけられたデューティー比データをカラーLEDドライバ回路28に出力する制御データにセットすることにより行う。
なお、上述した実施形態において、カラー制限値Lcは、カラーLED27aの各色LEDチップをすべて点灯させた場合の合計光度よりも低い設定値であれば、上述した設定例に限られない。また、単色制限値Lsも、単色LEDユニット25の単色LED25aをすべて点灯させた場合の合計光度よりも低い設定値であれば、上述した設定例に限られない。
また、上述した実施形態では、行先表示装置10は、表示すべき文字や図形等のデータが含まれる表示データを上位システム90から受信する構成を採ったが、このような表示データを行先表示装置10のメモリ22等に予め記憶する構成を採ってもよい。また、上位システム90は、表示データのほかに、単色制限値Lsおよびカラー制限値Lcを行先表示装置10に適宜送出する構成を採ってもよい。この場合、行先表示装置10は、単色制限値Lsおよびカラー制限値Lcを上位システム90から受信すると、メモリ22に記憶している単色制限値Lsおよびカラー制限値Lcを新しいものに書き換える処理を行う。これにより、必要に応じて、単色制限値Lsやカラー制限値Lcを更新することが可能になる。そのため、例えば、単色LED25aやカラーLED27aが経年劣化により発光色の色合いや色味が変化した場合に発光色を修正するために単色表示光度やカラー表示光度を増加させても、それに適合するように単色制限値Lsやカラー制限値Lcを上げることによって、上述した明るさ制御処理を適用することが可能になる。
なお、上述した実施形態では、行先表示装置10は、一のグループとして、複数の単色LED25aを有する単色LEDユニット25と、一のグループと異なる1以上のグループ(他のグループ)として、赤色、緑色、青色の発光色で発光するカラーLED27aを有するカラーLEDユニット27と、を備えるように構成した。つまり、一のグループの数が1つであり、他のグループの数が3つである場合を例示したが、他のグループの数が1つであってもよい。例えば、カラーLEDユニット27に代えて、一のグループと異なる発光色(例えば、黄色)で発光する複数の黄色LEDを有する黄色LEDユニットを備えるように構成してもよい。
この場合、制御ユニット17は、黄色LEDユニットの黄色LEDの光度の合計値に対する上限値として予め定められた黄色制限値Lyと、単色LEDユニット25の単色LED25aの光度の合計値に対する上限値として予め定められた単色制限値Lsと、をメモリ22に記憶する。そして、表示パターンを構成する黄色表示パターンで黄色LEDが発光した際に推定される光度を黄色制限値Lyと比較し、推定される光度が黄色制限値Ly以下であるとき、表示パターンを構成する単色表示パターンで単色LEDユニット25の複数の単色LED25aが発光した際に推定される光度が「推定される光度と黄色制限値Lyの差(=余剰分)を単色制限値Lsに加算した値」に達するまで単色LEDユニット25の複数の単色LED25aを発光させる。
これにより、単色LEDユニット25の単色LED25aは、光度の合計値に対する上限値がその余裕分だけ上昇して本来の単色制限値Lsを余裕分(=単色表示パターンで単色LEDユニット25の単色LED25aが発光した際に推定される光度と黄色制限値Lyとの差)だけ超えた光度で発光するので、単色表示パターンで表示する表示パターンの一部の光度を増加させることができる。黄色LEDユニットの黄色LEDは、光度の合計値に対する上限値である黄色制限値Lyを前記余裕分だけ下回っているため、行先表示装置の全体光度は、黄色制限値Lyと単色制限値Lsの和を超えない。したがって、本来であれば、黄色制限値Lyに満たないことによる黄色LEDユニットによる黄色表示全体の光度の減少分が、単色LEDユニット25の単色表示光度として活用されるため、明るさ制限がある場合においても視認性を高めることができる。
また、この構成の場合において、単色LEDユニット25、黄色LEDユニットのほかに、他の色の単色LEDユニットを1以上設ける構成にしてもよい。つまり、単色LEDユニットを3つ以上設けて、そのうちの任意の2つの単色LEDユニットの間において、上述した単色LEDユニット25と黄色LEDユニットの関係を構成してもよい。なお、この場合、光度の変化により発光色の色合いや色味が変化しても視覚的に影響の少ない単色光を発するLEDを有するLEDユニットについて、それに対する制限値を増加させるように、上述した単色LEDユニット25と黄色LEDユニットの関係を決定する。
また、上述した行先表示装置10では、一のグループの数が1つであり、他のグループの数が3つである場合を例示したが、他のグループの数が2つであってもよい。例えば、一のグループとして、複数の単色LED25aを有する単色LEDユニット25と、一のグループと異なる1以上のグループ(他のグループ)として、赤色と緑色の2種類の発光色で発光する2色LEDを有する2色LEDユニットと、を備えるように構成してもよい。このような2色LEDは、赤色LEDチップと緑色LEDチップを1つのパッケージ内に接近させて収容したものでもよいし、また発光色ごとに個別にパッケージされた2色のLED(赤色LEDと緑色LED)を接近させて構成した2色マルチLEDでもよい。
また、上述した実施形態では、明るさ制御処理(図5)およびその改変例の処理(図6)を制御ユニット17を構成するMPU21により実行して実現したが、例えば、制御ユニット17を省略して、単色表示部13およびカラー表示部15に上位システム90を直接接続して、上位システム90としてのパーソナルコンピュータ等により制御してもよい。この場合、上位システム90が特許請求の範囲に記載の「制御部」に相当し得る。
また、上述した実施形態では、行先表示装置10を路線バス100に搭載した場合を例示して説明したが、車両であれば、例えば、観光バスやトロリーバス等の乗合車両、さらには普通乗用車や貨物自動車(トラック等)に搭載する場合にも適用することができる。また、路面電車を含む鉄道に搭載する場合にも適用することができる。これらの車両に搭載する場合においても、上述と同様の作用および効果が得られる。
また、上述した実施形態では、発光素子として、発光ダイオード(LED)を用いたが、発光機能を有するものであれば、例えば、EL(Electroluminescence)やフィラメント電球を用いてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。