JP6431787B2 - アルミナ繊維の製造方法、紡糸液及びアルミナ繊維 - Google Patents

アルミナ繊維の製造方法、紡糸液及びアルミナ繊維 Download PDF

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Description

本発明は、アルミナ繊維の製造方法、紡糸液及びアルミナ繊維に関する。
従来、エンジン等の内燃機関から排出された排ガス中に含まれる有害ガス等の有害物質を浄化するため、内燃機関の排気通路(排ガスが流通する排気管等)には、排ガス浄化装置が設けられている。
排ガス浄化装置は、内燃機関の排気通路にケーシングを設け、ケーシングの中に排ガス処理体を配置した構造となっている。排ガス処理体の一例としては、触媒担体又はディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が挙げられる。
排ガス処理体には保持シール材が巻きつけられて、ケーシング内に配設される。この保持シール材は、自動車の走行等により生じる振動や衝撃により、排ガス処理体がその外周を覆うケーシングと接触して破損するのを防止することや、排ガス処理体とケーシングとの間から排気ガスが漏れることを防止すること等を主な目的として配設されている。
保持シール材の主原料としてアルミナ繊維が採用されている。保持シール材の用途に用いるアルミナ繊維として、特許文献1には、アルミナ繊維の紡糸液として、塩酸にアルミニウムを溶解して得られる塩基性塩化アルミニウム水溶液にシリカゾルとポリビニルアルコールを添加して調製したものが開示されている。
特開2000−80547号公報
ここで、特許文献1に開示されたように、塩基性塩化アルミニウムをアルミナ源として用いた紡糸液を用いてアルミナ繊維を製造する場合、脱脂焼成工程において塩素ガスが発生する。そのため、設備の腐食と排ガス処理費用の増大が問題となる。
そこで、脱脂焼成工程において塩素ガスが発生しない組成、すなわち、塩素を成分として含まない組成の紡糸液を使用することが望まれていた。
本発明者らは、塩基性塩化アルミニウムに代わるアルミニウム源の代替品について検討した結果、アルミニウム源として乳酸アルミニウムに着目した。
そこで、乳酸アルミニウム、シリカゾル及びポリビニルアルコールを混合して紡糸液を調製したところ、濃縮後にポリビニルアルコールが分離するという問題が発生した。
そのため、塩基性塩化アルミニウムを単に乳酸アルミニウムに置き換えただけでは好適な紡糸液が得られないことが判明した。
本発明者らは、紡糸液を調製した後にポリビニルアルコールが分離する原因について検討したところ、紡糸液内に共存する硫酸イオンや酢酸イオンの影響により塩析が生じているものと推定した。
本発明は、上記のような問題点を踏まえてなされたものであり、塩素を成分として含まない乳酸アルミニウムをアルミニウム源として使用し、かつ、紡糸に適用可能な紡糸液を用いてアルミナ繊維を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明のアルミナ繊維の製造方法は、
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、上記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、上記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製する工程と、
上記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合して紡糸液を調製する工程と、
上記紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化する紡糸工程とを行うことを特徴とする。
本発明のアルミナ繊維の製造方法では、アルミニウム源として塩素を成分として含まない乳酸アルミニウムを使用するため、脱脂焼成工程において塩素ガスが発生することはなく、設備の腐食と排ガス処理費用の増大という問題は生じない。
さらに、第1の添加剤(例えばポリビニルアルコール)に、第2の添加剤(例えばポリアクリル酸ナトリウム)を所定の割合で混合して混合液を調製する。すると、第2の添加剤が第1の添加剤の周囲で保護コロイドとして働き、第1の添加剤の水和水が硫酸イオン、酢酸イオン等に奪われることが防止されて、第1の添加剤の塩析及び分離が生じることを防止することができる。
塩析剤として働く酢酸イオンはシリカゾルに含まれていることが多いため、シリカゾルを混合する前に予め第1の添加剤と第2の添加剤を混合しておくことによって、第1の添加剤が保護された状態となるので、シリカゾルが混合された際に酢酸イオンの影響を受けることが防止される。
そして、硫酸イオンは乳酸アルミニウムに含まれていることが多いため、乳酸アルミニウムを混合する前に予め第1の添加剤と第2の添加剤を混合しておくことによって、第1の添加剤が保護された状態となるので、乳酸アルミニウムが混合された際に硫酸イオンの影響を受けることが防止される。
また、紡糸液中には第2の添加剤が適量(第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満)含まれているので、紡糸液中に各成分が適度に分散した好適な紡糸液となる。
この紡糸液を使用することにより、脱脂焼成工程において塩素ガスを発生させることなく、アルミナ繊維を製造することができる。
本発明のアルミナ繊維の製造方法では、上記第1の添加剤がポリビニルアルコールであり、上記第2の添加剤がポリアクリル酸ナトリウムであることが好ましい。
本発明のアルミナ繊維の製造方法では、上記シリカゾルは平均粒子径が5〜100nmのカチオン系シリカゾルであることが好ましい。平均粒子径が5〜100nmの範囲では、好適に溶液内で分散し、粒子の自重で沈殿することがないため、シリカゾルは分離しない。
本発明の紡糸液は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、上記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、上記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製し、上記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合することにより得られることを特徴とする。
この紡糸液を使用することにより、脱脂焼成工程において塩素ガスを発生させることなく、アルミナ繊維を製造することができる。
本発明のアルミナ繊維は、本発明の紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化することにより得られることを特徴とする。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。 図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)は、それぞれ実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の紡糸液の写真である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のアルミナ繊維の製造方法、紡糸液及びアルミナ繊維について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
はじめに、本発明のアルミナ繊維の製造方法について説明する。
本発明のアルミナ繊維の製造方法は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、上記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、上記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製する工程と、
上記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合して紡糸液を調製する工程と、
上記紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化する紡糸工程とを行うことを特徴とする。
(1)混合液を調製する工程
混合液を調製する工程では、第1の添加剤と第2の添加剤とを混合する。
第1の添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である。
第1の添加剤は、紡糸液の粘度が紡糸に適した適切な範囲となるように加える添加剤である。
ポリビニルアルコールとしては、特に制限はないが、その重合度が1000〜2000であるものが好ましい。ここで重合度とは、JIS K6726−1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味し、ポリビニルアルコールを再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求められる。
Po=([η]×103/8.29)(1/0.62)
ポリビニルアルコールのけん化度としては、92.5〜99.0モル%が好ましい。
ポリビニルアルコールのけん化度とは、けん化によってポリビニルアルコールに変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル系モノマー単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対してビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
ポリビニルアルコールとしては、1種類のみからなっていてもよいし、重合度、けん化度、変性度等が互いに異なる2種以上のポリビニルアルコールの混合物であってもよい。
ポリビニルアルコールとしては、日本酢ビ・ボバール株式会社製、JF10、JM17等が挙げられる。
ポリエチレンオキシドとしては、特に制限はないが、その重量平均分子量が1.0×10〜6.0×10であるものが好ましい。
ポリエチレンオキシドの重量平均分子量は、溶媒として水を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレンオキシドで換算した重量平均分子量を指す。
ポリエチレンオキシドとしては、明成化学工業株式会社製、アルコックスE−60やE−100を利用することができる。
ポリアクリルアミドとしては、特に制限はないが、ノニオン系,アニオン系,カチオン系のいずれのものも使用することができる。すなわち、ポリアクリルアミド、ポリアクリルアミドの部分加水分解物、スルホン化したものなどを挙げることができる。
ポリアクリルアミドとしては、一般的に市販しているものを利用することができる。
第2の添加剤は、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である。
言い換えると、第2の添加剤は、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリスルホン酸、ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸、及び、無水マレイン酸塩からなる群から選択された少なくとも1種であるともいえる。
第2の添加剤は、第1の添加剤を乳酸アルミニウムと混合した場合に生じる第1の添加剤の分離を防止するために加える添加剤である。
ポリアクリル酸及びその塩としては、特に制限はないが、その重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であるものが好ましい。
ポリアクリル酸及びその塩の重量平均分子量は、溶離液として0.1MNaCl+リン酸バッファー(pH7)を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、ポリエチレンオキシドで換算した重量平均分子量を指す。
また、ポリアクリル酸及びその塩は、マレイン酸に由来するモノマー単位を有していてもよい。すなわち、ポリアクリル酸及びその塩は、マレイン酸とアクリル酸との共重合体及びその塩であってもよい。
また、ポリアクリル酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩であることが好ましく、ナトリウム塩であることがより好ましい。すなわち、ポリアクリル酸ナトリウムであることがより好ましい。
また、ポリアクリル酸及びその塩としては、1種類のみからなっていてもよいし、重量平均分子量やマレイン酸モノマー単位の含有量、塩の種類の異なる2種以上のポリアクリル酸及びその塩の混合物であってもよい。
ポリアクリル酸及びその塩としては昭和電工株式会社製、ビスコメートNP−800やNP−700を利用することができる。
ポリスルホン酸及びその塩、無水マレイン酸及びその塩としては、特に制限はなく、保護コロイドとして作用することのできるものを使用することができる。
ポリスルホン酸塩、無水マレイン酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩であることが好ましく、ナトリウム塩であることがより好ましい。すなわち、ポリスルホン酸ナトリウム、無水マレイン酸ナトリウムであることがより好ましい。
ポリスルホン酸及びその塩や、無水マレイン酸及びその塩としては、一般的に市販しているものを利用することができる。
上記した第1の添加剤と第2の添加剤の好ましい組み合わせとしては、第1の添加剤がポリビニルアルコールであり、第2の添加剤がポリアクリル酸ナトリウムである組み合わせが挙げられる。
第1の添加剤及び第2の添加剤は、それぞれ溶媒と混合された状態で調製しておいてもよく、溶媒としては好ましくは水が挙げられる。
混合液を調製する工程では、第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製する。
第2の添加剤の固形分重量がこの範囲内であると、第2の添加剤を加えることにより第1の添加剤の塩析及び分離が生じることを防止する効果が好適に発揮されて、紡糸液中に各成分が適度に分散した好適な紡糸液となる。
第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部未満であると第1の添加剤の塩析及び分離が生じやすく、また、第2の添加剤の固形分重量が1.0重量部以上であると紡糸液が白濁して分離した状態となる。
また、第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、第2の添加剤の固形分重量は、好ましくは0.02重量部以上、0.1重量部未満である。
(2)紡糸液を調製する工程
紡糸液を調製する工程では、第1の添加剤と第2の添加剤の混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを加えて紡糸液を調製する。
具体的な混合の順序としては、第1の添加剤と第2の添加剤の混合液にシリカゾルを加えて、その後に乳酸アルミニウムを加える順序(順序1)でもよく、第1の添加剤と第2の添加剤の混合液に乳酸アルミニウムを加えて、その後にシリカゾルを加える順序(順序2)でもよく、シリカゾルと乳酸アルミニウムを混合しておき、シリカゾルと乳酸アルミニウムの混合液に第1の添加剤と第2の添加剤の混合液を加える順序(順序3)でもよい。これらの中では順序3が好ましい。
シリカゾルを第1の添加剤と混合する前に予め第1の添加剤と第2の添加剤を混合しておくことが重要であり、シリカゾルと第1の添加剤が混合される前に第1の添加剤を第2の添加剤によって保護しておくことにより、シリカゾルに含まれる酢酸イオンの影響によって第1の添加剤の塩析及び分離が生じることを防止することができる。
シリカゾルとしては、アルミナ繊維の製造に用いるシリカ源として使用できるシリカゾルを使用することができる。シリカゾルとしては、平均粒子径が5〜100nmのカチオン系シリカゾルであることが好ましい。シリカゾルの平均粒子径は、シリカゾル中のシリカ粒子が緻密体の球形粒子であると仮定して、BET吸着法による比表面積測定(JIS Z8830に記載の方法)で得られた比表面積測定値から下記式(1)により換算して求めることができる。
シリカゾル中のシリカ粒子の比表面積測定は、シリカゾルを乾燥した後に行う。
d=6000/(S・ρ)・・・(1)
d(nm):平均粒子径
S(m/g):測定した比表面積
ρ:(g/cm):シリカ粒子の真密度(2.2g/cm
カチオン系シリカゾルとしては、アルミ化合物等のカチオン性水和金属化合物で表面処理することによりカチオン性にしたタイプのシリカゾルが挙げられる。
例えば、日産化学工業株式会社製、スノーテックスST−AK−XS(平均粒子径5nm、分散安定剤として酢酸を含む)、スノーテックスST−AK−A(平均粒子径12nm、分散安定剤として酢酸を含む)等が挙げられる。
乳酸アルミニウムは、アルミナ繊維の製造に用いるアルミナ源であり、塩素を成分として含まないため、乳酸アルミニウムをアルミナ源として使用すると脱脂焼成工程において塩素ガスが発生することがなく、設備の腐食と排ガス処理費用の増大という問題が生じなくなる。
乳酸アルミニウムとしては、塩基性乳酸アルミニウムが好ましい。
塩基性乳酸アルミニウムは、化学式がAl(OH)3−x(Lac.Acid)・nHO(式中、xは0<x≦3の数、nは水和水の付加数、Lac.Acidは乳酸イオンである)で示され、ヒドロキシアクオアルミニウムイオンが重合した多核錯体からなる高分子電解質である。例えば、多木化学株式会社製、タキセラムM−160L、タキセラムM−160P等の商品名で市販されている。
乳酸アルミニウムとシリカゾルの配合比は、焼成後の無機繊維における組成比が、Al:SiO=60:40〜80:20(重量比)となるように配合することが好ましく、Al:SiO=72:28(重量比)のムライト組成となるようにすることがより好ましい。
紡糸液中においては、乳酸アルミニウムとシリカゾルの固形分重量の合計100重量部に対して、第1の添加剤(ポリビニルアルコール等)の固形分重量が3.0〜10.0重量部になるようにすることが好ましい。
また、調製した紡糸液は、適切な粘度となるように濃縮(加熱濃縮等の任意の方法)、希釈等を行ってもよい。
(3)紡糸工程
紡糸工程では、紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化することによりアルミナ繊維を製造する。
紡糸及び焼成の方法としては従来から公知の方法を用いることができるが、例えば以下のような方法が挙げられる。
まず、紡糸液をブローイング法により紡糸して所定の平均繊維径を有するアルミナ繊維前駆体を作製する。
ブローイング法とは、エアーノズルから吹き出す高速のガス流(空気流)の中に、紡糸液供給用ノズルから押し出される紡糸液を供給することによってアルミナ繊維前駆体の紡糸を行う方法のことをいう。
そして、アルミナ繊維前駆体を1000〜1600℃で焼成することによってアルミナ繊維に転換し、アルミナ繊維を得ることができる。
焼成の前に、有機成分を飛ばすための脱脂工程を行ってもよい。
なお、(2)紡糸液を調製する工程により本発明の紡糸液を得ることができ、本発明の紡糸液は、
ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、上記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、上記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製し、上記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合することにより得られることを特徴とする。
また、本発明の紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化することによって、本発明のアルミナ繊維が得られる。
本発明のアルミナ繊維の製造方法で製造されたアルミナ繊維は、保持シール材の原料として使用することができる。
図1は、保持シール材の一例を模式的に示す斜視図である。
図1は、本発明の保持シール材の一例を模式的に示した斜視図である。図1に示すように、本発明の保持シール材は、所定の長手方向の長さ(以下、図1中、矢印Lで示す)、幅(図1中、矢印Wで示す)及び厚さ(図1中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板形状のマットから構成されていてもよい。
図1に示す保持シール材110では、保持シール材の長さ方向側の端部のうち、一方の端部である第1の端部には凸部111が形成されており、他方の端部である第2の端部には凹部112が形成されている。保持シール材の凸部111及び凹部112は、後述する排ガス浄化装置を組み立てるために排ガス処理体に保持シール材を巻き付けた際に、ちょうど互いに嵌合するような形状となっている。
なお、「平面視略矩形」とは、凸部及び凹部を含む概念である。また、平面視略矩形には、角部が90°以外の角度を有する形状も含まれる。
保持シール材を製造する方法としては、ニードリング法又は抄造法が挙げられる。
ニードリング法の場合、紡糸液を紡糸して得られるアルミナ繊維前駆体を積層してアルミナ繊維前駆体シートを作製し、このシートにニードリング処理を施した後に焼成してアルミナ繊維からなる無機繊維シートを作製する。
ニードリング法の場合、ニードリング処理後の焼成によりアルミナ繊維前駆体がアルミナ繊維となるので、ここまでの工程が本発明のアルミナ繊維の製造方法であるともいえる。
抄造法の場合、紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化することによりアルミナ繊維を製造した後、このアルミナ繊維を、無機結合剤と、有機結合剤と、水と原料液中の無機繊維の含有量が所定の値となるように混合し、攪拌機で攪拌することで混合液を調製する。混合液には、必要に応じて、高分子化合物や樹脂からなるコロイド溶液が含まれていてもよい。続いて、底面にろ過用のメッシュが形成された成形器に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水を、メッシュを介して脱水することにより原料シートを作製する。その後、原料シートを所定の条件で加熱圧縮、乾燥することにより無機繊維シートを作製する。
ニードリング法又は抄造法により得られた無機繊維シートを切断して、例えば図1に記載されたような所定の大きさを有する保持シール材とすることができる。
そして、このようにして得られた保持シール材は、ハニカムフィルタ、触媒担体等の排ガス処理体の周囲に巻き付けてケーシング内に配設されて、排ガス浄化装置として使用される。
排ガス処理体及び排ガス浄化装置の詳細な説明は省略する。
以下に、本発明のアルミナ繊維の製造方法、紡糸液及びアルミナ繊維の作用効果について説明する。
(1)本発明のアルミナ繊維の製造方法では、アルミニウム源として塩素を成分として含まない乳酸アルミニウムを使用するため、脱脂焼成工程において塩素ガスが発生することはなく、設備の腐食と排ガス処理費用の増大という問題は生じない。
(2)また、第1の添加剤に、第2の添加剤を所定の割合で混合して混合液を調製すると、第2の添加剤が第1の添加剤の周囲で保護コロイドとして働き、第1の添加剤の水和水が硫酸イオン、酢酸イオン等に奪われることが防止されて、第1の添加剤の塩析及び分離が生じることを防止することができる。そのため、紡糸液中に各成分が適度に分散した好適な紡糸液となる。
この紡糸液を使用することにより、脱脂焼成工程において塩素ガスを発生させることなく、アルミナ繊維を製造することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ボバール株式会社製、JM1700)の10重量%水溶液を準備し、ポリビニルアルコールの固形分重量100重量部に対して固形分重量0.03重量部となる量のポリアクリル酸ナトリウム(昭和電工株式会社製、ビスコメートNP−700)を混合して混合液(第1の添加剤と第2の添加剤の混合液)を調製した。
別に、乳酸アルミニウム(多木化学株式会社製、タキセラムM−160L)とシリカゾル(日産化学工業株式会社製、スノーテックスST−AK−XS)を、焼成後の無機繊維における配合比がAl:SiO=72:28(重量比)になる割合で混合して混合液(乳酸アルミニウムとシリカゾルの混合液)を調製した。
乳酸アルミニウムとシリカゾルの混合液に含まれる固形分重量の合計100重量部に対して、ポリビニルアルコールの固形分重量が7.5重量部になるように、乳酸アルミニウムとシリカゾルの混合液と、第1の添加剤と第2の添加剤の混合液とを混合した。
そして、エバポレーターにて60℃に加熱しながら濃縮することにより、固形分濃度40重量%の紡糸液を得た。
(実施例2)
ポリアクリル酸ナトリウムの添加量を、ポリビニルアルコールの固形分重量100重量部に対して固形分重量0.1重量部となる量に変更した他は実施例1と同様にして紡糸液を得た。
(比較例1)
ポリアクリル酸ナトリウムを添加せず、乳酸アルミニウムとシリカゾルの混合液と、ポリビニルアルコールを、乳酸アルミニウムとシリカゾルの混合液に含まれる固形分重量の合計100重量部に対して、ポリビニルアルコールの固形分重量が7.5重量部になるように混合した他は実施例1と同様にして紡糸液を得た。
(比較例2)
ポリアクリル酸ナトリウムの添加量を、ポリビニルアルコールの固形分重量100重量部に対して固形分重量1.0重量部となる量に変更した他は実施例1と同様にして紡糸液を得た。
(紡糸液の外観評価)
各実施例及び各比較例で作製した紡糸液について、紡糸液の状態を目視観察した。
図2(a)、図2(b)、図2(c)、図2(d)は、それぞれ実施例1、実施例2、比較例1、比較例2の紡糸液の写真である。
実施例1及び2の紡糸液は、分散状態が保たれていた。
一方、比較例1の紡糸液は、第2の添加剤であるポリアクリル酸ナトリウムが添加されていないためにポリビニルアルコールが分離していた。比較例2の紡糸液は第2の添加剤であるポリアクリル酸ナトリウムの固形分重量が、ポリビニルアルコールの固形分重量100重量部に対して1.0重量%であるため、紡糸液が白濁していた。
110 保持シール材
111 凸部
112 凹部

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、前記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、前記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製する工程と、
    前記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合して紡糸液を調製する工程と、
    前記紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化する紡糸工程とを行うことを特徴とするアルミナ繊維の製造方法。
  2. 前記第1の添加剤がポリビニルアルコールであり、前記第2の添加剤がポリアクリル酸ナトリウムである請求項1に記載のアルミナ繊維の製造方法。
  3. 前記シリカゾルは平均粒子径が5〜100nmのカチオン系シリカゾルである請求項1又は2に記載のアルミナ繊維の製造方法。
  4. ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド及びポリアクリルアミドからなる群から選択される少なくとも1種である第1の添加剤と、ポリアクリル酸及びその塩、ポリスルホン酸及びその塩、並びに、無水マレイン酸及びその塩からなる群から選択された少なくとも1種である第2の添加剤とを、前記第1の添加剤の固形分重量100重量部に対して、前記第2の添加剤の固形分重量が0.01重量部以上1.0重量部未満の割合となるように混合して混合液を調製し、前記混合液にシリカゾル及び乳酸アルミニウムを混合することにより得られることを特徴とする紡糸液。
  5. 請求項4に記載の紡糸液を紡糸し、焼成して繊維化することにより得られることを特徴とするアルミナ繊維。
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