JP2008264633A - 流体浄化用フィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ドラバイトを必須成分として含み、さらに、銀、チタン、および白金から選ばれる少なくとも一つを含む混合物を基材に担持させてなる流体浄化用フィルターである。
【選択図】図1
Description
例えば、電気掃除機の集塵部に着脱自在に装着される袋状フィルターの濾材を多層の濾紙で構成し、濾紙と濾紙が対面する面の片面または両面にトルマリンの微粉末を貼着した電気掃除機用集塵フィルター(特許文献1)、室内環境等の快適性を向上させる目的でトルマリンをフィルタ基材上に担持させた陰イオン発生フィルタを装備した空調装置(特許文献2)、特にてんぷら油等の食用油の寿命を延ばして継続使用することを目的とする、セルロース繊維からなるシート体中に、粒度5〜50μmのトルマリン粉末を均質に混入、定着すると共に、凹凸加工を施したフィルター用シート素材(特許文献3)、およびトルマリンの有するマイナスイオンや遠赤外線による保温効果や血行増進効果、抗菌効果、消臭効果等が、その効能として一般に知られており、この効能を利用して、靴の中敷にトルマリンを含ませるようにしたもの(特許文献4)等が開示されている。
さらに、トルマリンの粉末を担持させた複数枚のハニカム板を積層してなる構成を有する水や空気等の流体を清浄化するための浄水器のフィルター部材として用いるハニカム構造体(特許文献5)、トルマリン粉末、タルク粉末もしくは長石の粉末、またはこれらの2種以上の混合粉末を基材シートに塗布または含浸してなるシート材を用いたフィルター(特許文献6)、濾網体にトルマリンまたは活性剤等を混在させて再生油に対する脱臭機能を付与するようにした揚げ物油の濾過装置(特許文献7)、ドラバイト微粉末を混入させた、接合材と発泡材との混合物を層設手段により基材シートに層設した、紙、布などの抗菌シート(特許文献8)、ドラバイト等岩石鉱物粉末をセパレータに担持させた蓄電池(特許文献9)、トルマリンやレアーアース鉱石のようなマイナスイオン発生物質をシート状基材に担持せしめるか、またはバインダー成分を用いてシート状に成形せしめて消臭、芳香、抗菌、防虫、防カビ、動物忌避効果を有するシート状物質(特許文献10)、およびトリマリンの粒子に溶剤、結合剤等を用いてペースト状にしたものが塗り込まれたろ過部により純水又は純水を溶媒とする液体をろ過して半導体装置に供給すること(特許文献11)、ダム、河川、湖沼、汚濁水、製造用水、工業用水道、上水道、下水道、廃水処理水等の各種処理水が電気石によって接触・ろ過処理されること(特許文献12)、ドラバイト微粉末を接合剤、発泡剤と混合して布製の表面シートに担持させた中敷等の靴の底材(特許文献13)、織布又は不織布に、稀有元素類を含む天然鉱物と、トルマリン若しくは遠赤外線セラミックのいずれか一方を含むマイナスイオンを放出すると同時に遠赤外線を放射する混合物を、蒸着加工或いは溶射加工してなる消臭材、空気清浄材、抗菌材、水質浄化材等に用いられる多機能性フィルター材(特許文献14)等が開示されている。
自動車や船舶関係においては、以下のような用途が提案されている。
例えば、トルマリンの粉粒体を担持させた網目状の織布又は不織布からなる空気活性化エレメントを配設してなる内燃機関用燃費改善装置(特許文献15)、エアークリーナ機構の吸込み口、又はエアークリーナチャンバーにトルマリン及びゼオライトを含有した浄化シートを取付けエアークリーナ内を通過する空気との接触させることによる空気の浄化(特許文献16)、永久磁石の小片を複数個取付けたトルマリンの粉粒を担持させた網目状の織布あるいは不織布からなる空気活性化フィルターを付加した内燃機関の燃料改質装置(特許文献17)、自動車や船舶等の内燃機関、またはボイラーの空気吸入口に取り付けるフィルターに微粉末トルマリンを含有させることにより、マイナスイオンを発生させて、燃焼効率を高める、または排気中に含まれるCO、HC、NOxの発生を軽減すること(特許文献18)等が開示されている。
上記のようにトルマリンおよびドラバイトの用途に関する多数の開示があるにもかかわらず、ドラバイトと特定の金属粒子または金属コロイドとの混合物を基材に担持させた流体浄化用フィルターに関してはいずれの文献にも記載されていない。
すなわち、本発明は以下
(1)ドラバイトを必須成分として含み、さらに、銀、チタン、および白金から選ばれる少なくとも一つを含む混合物を基材に担持させてなる流体浄化用フィルター、
(2)前記基材が織布、不織布、網状体または多孔質体のいずれかである上記(1)記載の流体浄化用フィルター、
(3)前記織布、不織布、または網状体がポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも一つである上記(2)に記載の流体浄化用フィルター、
(4)前記多孔質体が紙である上記(2)に記載の流体浄化用フィルター、
(5)前記銀、チタン、および白金がそれらの金属塩から還元された金属粒子または金属コロイドである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、
(6)燃料油改質用である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、
(7)潤滑油改質用である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、
(8)空気浄化用である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、
(9)排気ガス浄化用である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、
(10)水浄化用である上記(1)〜(5)のいずれかに記載の流体浄化用フィルター、および
(11)自動車用または船舶用である上記(1)〜(9)のいずれかに記載の流体浄化用フィルターを提供するものである。
ドラバイトの一般的な主成分はSiO2:32.7質量%、B2O3:9.34質量%、Al2O3:23.34質量%、Fe2O3:3.81質量%、MgO:22.64質量%、CaO:2.30質量%、Na2O:0.35質量%、Li2O:0.20質量%、P2O5:0.05質量%、F:0.06質量%、その他5.12質量%であると紹介されている(特開2005−319441号公報)。
混合する際、ドラバイトは最大粒子径0.5〜10μm、好ましくは0.5〜3μm、通常は、2μm程度に調整されて用いられる。粒子は小さければ小さいほど好ましいが、特に経済性の観点から上記の範囲にコントロールされる。
また、ドラバイトは天然の鉱物であるため、各種の水溶性または油溶性成分を含有していることがあるので、微粒子化する前の予備破砕された段階で水洗および/または有機溶剤で洗浄することが好ましい。水洗および/または有機溶剤で洗浄することにより、後で述べる結合剤に対して悪影響が出るのを防止することができる。水洗および/または有機溶剤で洗浄した場合は、充分に乾燥させた後微粒子化するのが好ましい。
銀およびチタンは硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩等の水溶液の状態でドラバイトの粒子と混合することもできる。白金は塩化白金酸等の水溶液として混合される。これらの塩の水溶液(精製水を使用することが好ましい)を調製し、この中にドラバイトの粒子を混合して乾燥させた後、還元炎やホルムアルデヒドのような還元剤を用いて還元してドラバイトの粒子の表面に金属粒子または金属コロイドを析出させたものも本発明においては混合物とみなす。銀、チタン、および白金は2種類以上混合して用いてもよい。上記のようにして調製した各金属の含有量は、ドラバイトとの混合物の合計量中0.2〜10質量%、好ましくは1〜8質量%である。各金属の含有量を0.2質量%以上とすることにより、流体の浄化効果が得られ、10質量%以下とすることにより、コストの上昇を抑制することができる。
ドラバイトの粒子とは別に水溶液から各金属を析出させる場合の水溶液中の濃度は金属粒子または金属コロイドを凝集させずに適切なサイズの混合物を得るという観点から、1×10-4〜15×10-4モル/リットル、好ましくはモル/リットル程度である。還元剤は各金属塩に対して4〜20倍当量程度になるように加える。還元反応は溶存酸素を除去するため煮沸状態で30〜300分程度行うのが好ましい。
還元反応終了後は必要に応じてイオン交換樹脂等を用いて未反応の金属塩および還元剤を除去することにより精製された金属コロイドの分散液が得られる。精製後の金属コロイドの分散液は必要に応じて穏やかな条件で水を蒸発させることにより、所望の濃度の金属コロイドの分散液を得ることができる。
なお、還元剤としては、ホルムアルデヒド以外にエタノールのようなアルコール類、クエン酸のようなクエン酸類、酢酸のようなカルボン酸類、ジエチルエーテルのようなエーテル類、酢酸エチルのようなエステル類、アセトンのようなケトン類等を使用することができる。
結合剤としては、微粒子状の混合物の基材への固着性、耐熱性、耐油性および耐水性(水不溶性)等の観点から、一般式R1Si(OR2)3(式中、R1はメチル基等のアルキル基やフェニル基のような炭素数1〜8の有機基、R2は炭素数1〜5のメチル基等のアルキル基または炭素数1〜4のアセチル基等のアシル基を示す)で表されるオルガノアルコキシシランまたはSi(OR2)4(式中、R2は前記に同じ)で表されるテトラアルコキシシランと一般式Zr(OR′)4(式中、R′はいずれも同一または異なり、エチル基やプロピル基等の炭素数2〜5の炭化水素残基を示す)で表されるジルコニウム化合物のどちらか少なくとも一つを用いることが好ましい(ジルコニウム化合物はテトラアルコキシシランとともに用いられる)。
オルガノアルコキシシランの具体例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソ−プロピルトリメトキシシラン、イソ−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これらのオルガノアルコキシシランのうち、特にメチルトリメトキシシランが好ましい。また、これらのオルガノアルコキシシランは、1種または2種以上を併用することができる。なお、かかるオルガノアルコキシシランは、酸性水媒体中で加水分解によってアルコールを遊離し対応するシラノール(加水分解物)を生成するとともに、重縮合が生起し、部分縮合物、さらには完全縮合物であるオルガノポリシロキサン化合物を生成する。
テトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−イソ−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシシラン、テトラ−sec−ブトキシシシラン、テトラ−tert−ブトキシシシランなどが挙げられる。これらのテトラアルコキシシランは、1種でもまたは2種以上を併用することもできる。なお、テトラアルコキシシランは、酸性水媒体中で加水分解によってアルコールを遊離し、加水分解物を生成するとともに、重縮合が生起し、部分縮合物、さらには完全縮合物である二酸化ケイ素を生成する。
ジルコニウム化合物は、前記のテトラアルコキシシランと共に用いられるが、ジルコニウム化合物/テトラアルコキシシラン(質量比)は、1/5〜1/0.5が好ましい。1/5未満では、相対的にジルコニウム化合物の割合が少なく短時間に加水分解が進行しないため造膜性が悪く、一方1/0.5を超えるとジルコニウム化合物の割合が多すぎて得られるコーティング剤の保存安定性が悪化し、また加水分解が早すぎて造膜性が悪くなり、いずれも好ましくない。
このアルコール類としては、1価アルコールまたは2価アルコールもしくはこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソ−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどを挙げることができ、またエチレングリコールもしくはこの誘導体としてはエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。これらのアルコール類の中で、好ましくはイソ−プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルである。これらのアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用することもできる。本発明において使用されるコーティング剤中のアルコール類の割合は、オルガノアルコキシシランを用いる場合、通常、オルガノアルコキシシランを100質量部として、15〜400質量部、好ましくは40〜200質量部である。テトラアルコキシシランを使用する場合は、テトラアルコキシシラン100質量部に対し、80〜800質量部が好ましい。
アルコール類の使用量を上記それぞれの物質に対して上記範囲とすることにより、コーティング剤が二層分離したりゲル化するのを防止し、混合物を含む皮膜の基材への密着性が低下したり、皮膜が薄くなりすぎるのを防止する。
充填剤としては、例えば無機顔料などの非水溶性の一般的な顔料または顔料以外の粒子状もしくは繊維状の金属酸化物、炭化物、窒化物の1種または2種以上のものであり、具体的にはシリカゲル、合成ゼオライト、活性炭、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、カオリン、合成ムライト、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム)、炭化ケイ素、チタン酸カリウムなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
コーテイング剤中の固形分濃度は、通常、10〜60質量%、好ましくは15〜45質量%である。固形分濃度を10質量%以上とすることにより得られる皮膜の厚さが薄すぎてフィルターの流体浄化効果が減少するのを防止したり、皮膜強度が低下するのを防止する。一方、60質量%以下とすることにより、コーテイング剤がゲル化し易くなるのを防止したり、粘度が上昇して塗布しにくくなるのを防止する。また、形成される皮膜の基材への固着性が悪化するのを防止する。
本発明では、前記各成分を混合した直後に使用することもできるが、全成分を混合した後、2〜72時間、さらに好ましくは3〜24時間熟成を行うとよい。この熟成時間を2時間以上とすることによりオルガノアルコキシシラン等の加水分解、重縮合反応が進行しにくくなるのを防止し、また反応熱が残り、基材に塗布した場合にハジキ現象が起こるのを防止する。一方、72時間以下とすることによりオルガノアルコキシシラン等の重縮合反応が進みすぎて組成物の分散安定性が悪化したり、また得られる皮膜の密度、密着性、硬度が低下し、艶がなくなったりするのを防止する。なお、熟成は、10〜30℃の常温下で行うことが好ましい。
本発明において用いられるコーティング剤は、高速撹拌機、ボールミル、その他の分散機により混合および分散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散液として調製される。長時間の熟成後または静置後は混合物が結合剤やアルコール類中で沈降する場合があるので、基材に塗布する前に再度撹拌して分散させることが好ましい。
本発明の流体浄化用フィルターが自動車や船舶用の燃料油や潤滑油に対して用いられる場合は耐油性の観点から、ガラス繊維、カーボン繊維またはアラミド繊維を用いることが好ましい。多孔質体は、軽量性、コスト等の観点から、従来からエアーフィルター等に使用されている樹脂加工された濾紙であることが好ましい。
コーティング剤の基材に対する割合は、0.2〜20質量%(乾燥皮膜換算)が好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。基材の表面に形成される皮膜の厚みは、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、さらに好ましくは1〜3μm程度である。
本発明の流体浄化用フィルターによる流体浄化効果は以下のようなメカニズムにより発揮されるものと推定される。
例えば、流体浄化用フィルターを水の通り道に置いた場合、ドラバイトからの微弱電流による吸着効果を与えることができると共に、水の電気分解によりOH-イオンと水の分子が結合してマイナスイオンを発生させることができることにより水を清浄化することができる。一方、空気の通り道に置いた場合は、水の電気分解と同様に、OH-イオンが空気中の水分と結合してマイナスイオンを発生させることになり、空気を清浄化することができる。
一方、流体浄化用フィルターを燃料油や潤滑油など油の通り道に置いた場合のメカニズムは以下の通りであると考えられる。
例えば、ガソリンや軽油等の燃料油においては常に分子が水素結合を形成して数十個集まっているが、水素結合以上の電気エネルギーをもつ本発明における「ドラバイトを必須成分として含み、さらに、銀、チタン、および白金から選ばれる少なくとも一つを含む混合物」と接触すると分子の塊がほぐれてくる。そして、水素結合が切断されて小さな分子の塊になるとともに、分子状酸素により自動酸化物ラジカルの発生が抑制されるか消失する。燃料油がこのような状態になると、より微細な霧化が可能となり、酸素と結合し易くなり燃焼がより促進され、結果として効率よく燃焼が進む。
[調製例1]
<ドラバイト微粒子の調製1>
中国天山山脈産出のドラバイト鉱石を中国桂林鉱山機器社製の粉砕 装置、雷蒙
気流風選機を用いて粉砕し、2000〜4000メッシュのフィルタ ーを通過さ
せ、ドラバイトの微粒子4000gを調製した。ドラバイト微粒子の 最大粒子径
は5μmであった。
<金属コロイドの調製1>
濃度5質量%の硝酸銀水溶液を100g調製し、これに苛性ソーダ水溶液を滴下することにより、酸化銀の懸濁液が得られた。酸化銀を沈殿させた後、上澄みを除去して純水で5回洗浄した。次いで、酸化銀にアンモニア水を加えて溶解させた後、タンニンの希薄水溶液を加えて加熱することにより赤褐色の銀コロイドが得られた。これにより銀コロイド7gを調製した。得られた銀コロイドの最大粒子径は10nmであった。
オルガノアルコキシシラン(結合剤)として、イソプロピルアルコールを20g、アルコール類として、エタノールを35g、上記で調製したドラバイトの微粒子15g、銀コロイド7gを混合し、次いで、蒸留水を150g添加して10分間撹拌後、25℃で3時間熟成させてコーティング剤1を調製した。
上記コーティング剤1の120gを株式会社アトマックス製の超微粒子発生装置AMH45を用いて日東工業(株)社製の燃料フィルターエレメント(基材材料:フィルター専用紙、面積30m2、厚さ0.8〜2mm、密度15〜25g/m2)の片面(燃料流入面側)にスプレーすることにより塗布した。次いで、80℃に保持された空気循環式オーブン内で3分間加熱することにより、結合剤を硬化させてドラバイト微粒子と銀の混合物を燃料フィルターエレメントに担持させた。担持量は4g/m2(エレメントの有効ろ過面積)で、結合剤を含む皮膜の平均厚さは1〜2μm程度であると推定される。
上記の燃料フィルターエレメントを2個作製して、それぞれ専用の容器に挿入したカートリッジを走行距離の異なる2台のトラック(車台番号1514および5167)それぞれのディーゼルエンジン〔日野自動車社(株)製、排気量2リットル、型式J08C〕に装着してテストを行なった。表1(実施例1においては、バラツキを考慮して各回転数で2回測定)および表2(実施例1においては、バラツキを考慮して各回転数で3回および15分走行後測定)に示すようにエンジンのアイドリング時(回転数500rpm)および回転数1500rpm時、2000rpm時における排気ガス(表中COは一酸化炭素、HCは炭化水素、CO2は二酸化炭素)を分析した。その結果を表1および表2に示す。
排気ガスの分析は(社)日本自動車工業会指定の型式「JATA-CO-HC-5」の排気ガス分析装置を用いて行なった。排気ガスの採取場所は排気管の出口である。
1ヵ月間(毎日8〜10時間走行)続けて走行を行なった後に実施例1と同様の測定を行い、結果を表1および表2に示した。
車台番号1514のトラックについて、さらに2ヵ月間(毎日8〜10時間走行)続けて走行を行なった後、すなわち、装着3ヶ月後に実施例1と同様の測定を行い、結果を表2に示した。
車台番号5167のトラックについて、さらに1ヵ月間(毎日8〜10時間走行)続けて走行を行なった後、すなわち、装着4ヶ月後に実施例1と同様の測定を行い、結果を表1に示した。
上記の燃料フィルターエレメントを未装着で行なった以外は実施例1と同様にテストを行なった。その結果を表1および表2に示す。
上記実施例および比較例のいずれにおいても、表1は走行距離104591kmのトラック(車台番号5167)のエンジン、表2は走行距離89030kmのトラック(車台番号1514)のエンジンを使用した場合の結果を示す。
JIS D1611に基づき、本発明の流体浄化用フィルターを用いて圧力損失試験、濾過効率試験(ライフ試験)および通気抵抗試験を行なった。結果は下記の通りである。
圧力損失試験(圧力損失の単位はkPa)結果
流量(リットル/分) 流体浄化用フィルター 従来品
8 14 13
9 17 16
10 20 18
11 24 22
12 27 25
流体浄化用フィルター 従来品
ライフ時間 26.25 23.78
11時間効率 87.44 78.70
22時間効率 89.32 80.70
終期効率 90.51 81.60
濾過効率試験における流量は10リットル/分である。濾過効率はオイルエレメントを用いてコンタミナント(擬似のゴミ)を2.7g/時間の速度で添加してその圧力差が入り口と出口で100kPaに達する時間から計算した数値である。その結果、本発明の流体浄化用フィルターは従来品と比べて時間的にも効率的にも約11%の効果が確認された。
流量(リットル/分) 流体浄化用フィルター 従来品
8 14 13
9 17 16
10 20 18
11 24 22
12 27 25
空気流量 流体浄化用フィルター ブランク 従来品
(m3/分)
1 14 14 14
2 52 54 52
3 114 122 116
4 200 214 200
5 304 328 310
6 430 468 436
7 570 632 582
排気量120ミリリットルの電子制御式空冷4サイクルガソリンエンジンに本発明の流体浄化用フィルター(実施例6)または従来品(比較例3)を取り付けて7時間の連続運転(エンジンコンディションは中負荷)を行ない、正味熱効率および排気ガス(窒素酸化物、全炭化水素、一酸化炭素、二酸化炭素)濃度を比較測定した。データは30分毎に記録した。なお、実施例6および比較例3いずれにおいてもエンジン運転条件を安定させるために空燃比は理論空燃比より若干濃くセットした(下記測定時の条件参照)。
正味熱効率ηはη=[正味出力/燃料出力]×100(%)により計算した数値である。ここで正味出力は動力計で得られた機関正味出力で、燃料出力は供給された燃料の量と低位発熱量から出力換算して求めたものであり、正味熱効率とは与えられた熱量に対してどの程度出力として得られたかを示す数値である。
排気ガス濃度は堀場製作所社製の排気ガス分析装置(MEXA−8120)を使用して測定した数値である。
乾球温度:20〜22℃
湿球温度:Tw=15℃
実験室空気密度:1.22
実験室湿度:約20%(実施例6)、約50%(比較例3)
実験室大気圧:770〜776mmHg
燃料比重(25℃):γ=0.785
理論空燃比:A/F=14.8
実験時空燃比(平均):A/F=13.2
低発熱量:43.9MJ/kg
エンジン回転速度:n=1000min-1
点火時期:Tig=15deg.BTDC(上死点前15度)
圧縮比:ε=9.0
燃料圧力:Pf=240kPa
アクセル開度:約60%
正味有効圧(平均):Pme=430kPa
使用オイル(SAE分類):10W−30
補正係数kは以下の計算式で計算することができる。
k=[(標準状態大気圧−標準状態大気水蒸気分圧)/(測定時大気圧−測定時大気水蒸気分圧)]×(測定時大気乾球温度/標準状態乾球温度)1/2
また、水蒸気分圧は乾球温度と湿球温度から求めることができる。
図1は実施例6および比較例3で30分毎に測定された各数値をプロットしたグラフで、横軸はエンジン運転時間(分)、縦軸は各測定値である。
図1から明らかなように本発明の流体浄化用フィルターを使用した場合、正味燃焼効率が約5%改善されることがわかる。
なお、排気ガス中の全炭化水素濃度は本発明の流体浄化用フィルターを用いた実施例6において高い数値が得られているが、これは同フィルターを用いることにより、オイルのエンジンへの初期馴染み(浸透)が良くなるため、燃焼室側への吹き上げの影響によるものと考えられる。
このことは、本発明の流体浄化用フィルターを用いる場合はより硬いオイルを用いることができることを示唆しており、このことは、特にレース用または高い回転数のエンジンに対して有効であることを示している。上記のように、使用オイルは10W−30(SAE分類)であるが、15W以上のものを用いても問題がないことがわかる。言い換えれば、寒冷地でも10W以下のオイルを用いなくても良いことが示唆されている。
正味燃焼効率が約5%改善されていることはオイル性能の劣化を抑制していると考えられ、0w−20のオイルを使用しても充分にオイル性能を引き出せることが示唆されている。
また、排気ガス中の窒素酸化物濃度は本発明の流体浄化用フィルターを用いた実施例6においてやや高い数値が得られているが、上記のようにオイルに馴染みが進んだ分、ブローバイガス(クランク室側への燃焼ガスの吹き抜け)が減少することによりシリンダー内温度が上昇し、その結果、燃焼効率が改善されたものと考えられる。
Claims (11)
- ドラバイトを必須成分として含み、さらに、銀、チタン、および白金から選ばれる少なくとも一つを含む混合物を基材に担持させてなる流体浄化用フィルター。
- 前記基材が織布、不織布、網状体または多孔質体のいずれかである請求項1記載の流体浄化用フィルター。
- 前記織布、不織布、または網状体がポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、カーボン繊維およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも一つである請求項2に記載の流体浄化用フィルター。
- 前記多孔質体が紙である請求項2に記載の流体浄化用フィルター。
- 前記銀、チタン、および白金がそれらの金属塩から還元された金属粒子または金属コロイドである請求項1〜4のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 燃料油改質用である請求項1〜5のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 潤滑油改質用である請求項1〜5のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 空気浄化用である請求項1〜5のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 排気ガス浄化用である請求項1〜5のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 水浄化用である請求項1〜5のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
- 自動車用または船舶用である請求項1〜9のいずれかに記載の流体浄化用フィルター。
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