JP2745198B2 - 炭化水素類の改質用触媒 - Google Patents

炭化水素類の改質用触媒

Info

Publication number
JP2745198B2
JP2745198B2 JP6065440A JP6544094A JP2745198B2 JP 2745198 B2 JP2745198 B2 JP 2745198B2 JP 6065440 A JP6065440 A JP 6065440A JP 6544094 A JP6544094 A JP 6544094A JP 2745198 B2 JP2745198 B2 JP 2745198B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
reforming catalyst
present
silver
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP6065440A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07828A (ja
Inventor
好男 市川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippan Kenkyujo Co Ltd
Original Assignee
Nippan Kenkyujo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippan Kenkyujo Co Ltd filed Critical Nippan Kenkyujo Co Ltd
Priority to JP6065440A priority Critical patent/JP2745198B2/ja
Publication of JPH07828A publication Critical patent/JPH07828A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2745198B2 publication Critical patent/JP2745198B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)
  • Anti-Oxidant Or Stabilizer Compositions (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Lubricants (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、炭化水素類の改質用触
媒に関する。さらに詳細には、油脂、石油製品などの炭
化水素類の酸化重合反応および熱重合反応の過程で生成
するラジカルを消去させて分子の巨大化(重合物)を阻
止するとともに、さらにはガソリン、軽油などの石油製
品などの炭化水素類の分子を細分子化させるための固形
状の改質用触媒に関する。さらに、具体的には、揚物な
どによる食用油の劣化を防止し、食用油の寿命を大幅に
延ばすことができ、またガソリンや軽油の分子を細分子
化させ、より微細な霧化を可能にして完全燃焼を促進さ
せることが可能な炭化水素類の改質用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、炭化水素類と酸素の反応を妨
害し、酸化を遅らせる酸化防止剤として、油脂の場合は
トコフェロール、アスコルビン酸、クエン酸などの天然
系のもの、あるいは各種の合成系のものがあり、また、
石油の場合は、2,6−ジ−t−ブチル−4メチルフェ
ノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノー
ル、N,N′−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミ
ンなどがあるが、これらはいずれも添加剤としての消費
型であり、また常温下での自動酸化を防止する目的であ
るため、油脂や潤滑油などの高温時における熱重合防止
の効果はほとんどない。
【0003】例えば、食用油の場合、加熱により空気と
の接触面で急激な熱酸化が起こり、過酸化物の生成から
二量体を経て重合物が生成され、粘度が上昇する。する
と、揚物をする際に種物を入れた時に細かい泡が発生
し、容易に消えなくなり(つかれ現象)、有害な環状化
合物も生成される。粘度の上昇は、油脂本来の目的であ
る種物への熱伝導を損ない、揚げ物に油脂がしみ込んで
油っぽくなって風味が低下し、カラッと揚がらなくな
り、鮮度保持も悪くなってしまう。しかしながら、これ
を防止するものは開発されていない。
【0004】また、従来のガソリンや軽油は、貯蔵中や
燃焼時に酸化反応の過程で生じるラジカル(ROO・)
が重合して分子が巨大化し重合物を生成して燃焼効率が
低下したり、分子が凝集して細分子化されていないため
微細な霧化が完全でない。このため、自動車のアイドリ
ング時、定速・減速走行時、あるいは高速走行時にハイ
ドロカーボン排出量が多く、環境衛生上好ましくなく、
また経済的でないなどの問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の課題を背景になされたもので、油脂、石油製品など
の炭化水素類の酸化重合反応および熱重合反応の過程で
生成するラジカルを消去させて分子の巨大化(重合物)
を阻止するとともに、さらにはガソリンなどの石油製品
の分子を細分子化させることが可能な炭化水素類の改質
用触媒を提供することを目的とする。さらに具体的に
は、本発明は、揚物などによる食用油の劣化を防止し、
食用油の寿命を大幅に延ばすことのでき、またガソリン
や軽油の分子を細分子化させ、より微細な霧化を可能に
して完全燃焼を促進させることが可能で、耐熱性に優
れ、炭化水素類への溶出がなく効率のよい安価な炭化水
素類の改質用触媒を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、無機質の基材
および/または金属の基材の表面を、下記(a)〜
(d)成分を混合して得られる組成物を主成分とする、
銀を含有するコーティング剤で加工してなることを特徴
とする炭化水素類の改質用触媒を提供するものである。(a)(イ)一般式R Si(OR (式中、R
は炭素数1〜8の有機基、R は炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
オルガノアルコキシシラン、ならびに(ロ)Si(OR
(式中、R は前記に同じ)で表されるテトラア
ルコキシシランおよび一般式Zr(OR′) (式中、
R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜5の炭化
水素残基を示す)で表されるジルコニウム化合物から選
ばれる少なくとも1種 (b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算で0.2〜1
0重量%、イオン交換、吸着、または固着した、ゼオラ
イト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、およびアル
ミノ−シリカゲルの群から選ばれた少なくとも1種の無
機化合物 (c)アルコール、ならびに (d)水
【0007】本発明に使用する基材は、コーティング剤
を塗布し加熱硬化させて、炭化水素類の改質用触媒を製
造するための母体となるものである。改質用触媒の重合
防止効果を最大限に発現させるためには、表面積が大き
く、かつ耐久性があり、安価な材料が好ましい。かかる
基材のうち、無機質の基材としては、微粒子状のアルミ
ノケイ酸塩鉱物および/またはケイ酸塩鉱物、微粒子状
の金属酸化物、微粒子状の金属水酸化物、ならびに繊維
状の金属酸化物から選ばれる少なくとも1種を焼成して
得られる多孔質状成形物などが挙げられる。
【0008】ここで、アルミノケイ酸塩鉱物およびケイ
酸塩鉱物としては、ゼオライト、カオリナイト、セピオ
ライト、長石、蛭石、高アルミナ粘土、シリマナイトな
どが挙げらる。また、金属酸化物としては、シリカゲ
ル、アルミナ、ジルコン、マグネサイト、酸化鉄、酸化
マンガンなどが、金属水酸化物としては、水酸化アルミ
ニウム、水酸化鉄などが、繊維状の金属酸化物として
は、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維
などが挙げられ、これらを800℃〜1,800℃で焼
成し、粒状、板状などに成形した多孔質状成形物が基材
として用いられる。金属の基材としては、不溶出性のも
のが好ましく、発泡金属および/または少なくとも表面
が多孔質状に処理もしくは粗面に処理された金属が好ま
しく、アルミニウム、鉄、ステンレス、銅、その他の合
金を前記のように処理したものが挙げられる。ここで、
発泡金属とは、例えばアルミニウムの発泡体などが例示
される。多孔質状の処理は、アルミニウムや鉄、ステン
レスなどを製造工程で多孔質状に処理したり、あるいは
繊維状の金属を融着するなどの処理が例示される。ま
た、粗面処理としては、ブラスト処理や酸・アルカリに
よりエッチング処理を施すことによってなされる。
【0009】かかる基材の形状は、粒状でも、板状で
も、どのようなものでもよく、粒状の場合、平均粒径
は、1〜50mm、好ましくは3〜30mmである。1
mm未満では破損し易く、また収納が難しくなり、一方
50mmを超えると、相対的に表面積が小さくなり好ま
しくない。また、板状の場合には、一辺が2〜300m
mが好ましい。2mm未満では、破損し易く、一方30
0mmを超えると、取り扱い難く、また割れやすくなり
好ましくない。本発明の改質用触媒は、このような基材
にコーティング剤を塗布して加熱硬化させることにより
得ることができる。
【0010】本発明において、コーテイング剤は銀を含
有するものであるが、このようなコーテイング剤は、
下の(a)〜(d)を混合して得られる組成物を主成分
とするものである。 (a)(イ)一般式RSi(OR(式中、R
は炭素数1〜8の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキ
ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
オルガノアルコキシシラン(以下「(イ)」ということ
がある)、ならびに(ロ)Si(OR(式中、R
は前記に同じ)で表されるテトラアルコキシシランお
よび一般式Zr(OR′)(式中、R′はいずれも同
一または異なり、炭素数2〜5の炭化水素残基を示す)
で表されるジルコニウム化合物(以下「(ロ)」という
ことがある)から選ばれる少なくとも1種 (b)銀塩またはコロイダル銀を、銀分換算で0.2〜
10重量%、イオン交換、吸着、または固着した、ゼオ
ライト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、およびア
ルミノ−シリカゲルの群から選ばれた少なくとも1種の
無機化合物 (c)アルコール (d)水
【0011】この組成物は、基材の表面に、銀をイオン
の状態で吸着またはイオン交換させた大比表面積である
微粒状の無機化合物を、密着性、耐油性、耐久性、硬度
に優れたオルガノアルコキシシランやテトラアルコキシ
シラン、ジルコニウム化合物の加水分解により形成され
る超微粒子状のゲル膜で固着させるものである。
【0012】以下に、コーテイング組成物について構成
物質別に詳述する。 (a)(イ)一般式R1 Si(OR2 3 で表されるオ
ルガノアルコキシシラン;本発明に使用されるオルガノ
アルコキシシランは、水の存在により加水分解反応およ
び重縮合反応を生起して高分子量化し、さらに塗膜とな
った場合に加熱または常温での放置により硬化するもの
で、本発明のコーテイング剤中においては結合剤として
の働きをするものである。
【0013】かかるオルガノアルコキシシラン中のR1
は、炭素数1〜8の炭素を有する有機基であり、例えば
メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基
などのアルキル基、そのほかγ−クロロプロピル基、ビ
ニル基、3,3,3−トリフロロプロピル基、γ−グリ
シドキシプロピル基、γ−メタクリルオキシプロピル
基、γ−メルカプトプロピル基、フェニル基、3,4−
エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−アミノプロピル
基などである。また、オルガノアルコキシシラン中のR
2 は、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜4の
アシル基であり、例えばメチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチ
ル基、t−ブチル基、アセチル基などである。
【0014】これらのオルガノアルコキシシランの具体
例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチル
トリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラ
ン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルト
リメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、
γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプ
ロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロ
ロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロ
ロプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フ
ェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−
エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、
3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシ
ランなどを挙げることができる。
【0015】これらのオルガノアルコキシシランのう
ち、特にメチルトリメトキシシランが好ましい。また、
これらのオルガノアルコキシシランは、1種または2種
以上を併用することができる。なお、かかるオルガノア
ルコキシシランは、酸性水媒体中で加水分解によってア
ルコールを遊離し対応するシラノール(加水分解物)を
生成するとともに、重縮合が生起し、部分縮合物、さら
には完全縮合物であるオルガノポリシロキサン化合物を
生成する。従って、本発明における(イ)は、オルガノ
アルコキシシランのほか、この加水分解物、部分縮合
物、さらには完全縮合物をも包含するものである。
【0016】(ロ)Si(OR2 4 (式中、R2 は前
記に同じ)で表されるテトラアルコキシシランおよび一
般式Zr(OR′)4 で表されるジルコニウム化合物
(式中、R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜
5の炭化水素残基を示す);Si(OR2 4 (式中、
2 は前記に同じ)で表されるテトラアルコキシシラン
としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエト
キシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−
i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシシラ
ン、テトラ−sec−ブトキシシシラン、テトラ−te
rt−ブトキシシシランなどが挙げられる。これらのテ
トラアルコキシシランは、1種でもまたは2種以上を併
用することもできる。なお、かかるテトラアルコキシシ
ランは、酸性水媒体中で加水分解によってアルコールを
遊離し、加水分解物を生成するとともに、重縮合が生起
し、部分縮合物、さらには完全縮合物である二酸化ケイ
素を生成する。従って、本発明における(ロ)の一方の
成分であるテトラアルコキシシランは、このほか加水分
解物、部分縮合物、さらには完全縮合物をも包含するも
のである。
【0017】本発明に使用されるジルコニウム化合物Z
r(OR′)4 は、微量の水(空気中の湿度や基材の湿
度)の存在により加水分解し、該加水分解物が重縮合し
て部分縮合物を生じ、さらに高分子量化して塗膜となっ
た場合に加熱により硬化するもので、本発明のコーティ
ング組成物中においては(イ)を構成するオルガノアル
コキシシランとともに、テトラアルコキシシランと併用
して、結合剤としての働きをするものである。かかるジ
ルコニウム化合物のR′は、同一または異なり、炭素数
2〜5の炭化水素残基であり、エチル基、n−プロピル
基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基などである。
【0018】ジルコニウム化合物の具体例としては、例
えばジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテト
ラ−n−プロポキシド、ジルコニウムテトラ−i−プロ
ポキシド、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド、ジル
コニウムテトラ−sec−ブトキシド、ジルコニウムテ
トラ−tert−ブトキシドなどを挙げることができ
る。これらのジルコニウム化合物は、1種単独で使用す
ることも、または2種以上を併用することもできる。こ
れらの化合物のうち、ジルコニウムテトラ−n−ブトキ
シドが好ましい。
【0019】なお、かかるジルコニウム化合物は、急速
に加水分解することによってアルコールを遊離し、対応
するジルコニウムヒドロキシドを生ずるとともに、該ヒ
ドロキシドの生成によるヒドロオキシル置換基の重縮合
が行われ、該ヒドロキシドの部分重縮合物が生成し、さ
らに重縮合して完全縮合物であるジルコニア成分が生成
する。従って、本発明におけるジルコニウム化合物と
は、前記一般式で示されるジルコニウム化合物のほか
に、その加水分解物または該加水分解物の部分縮合物、
さらに完全縮合物をも包含するものである。かかる加水
分解物または部分縮合物などは、コーティング組成物中
で前記ジルコニウム化合物より生成したものでもよく、
またコーティング組成物調製の際に予め配合したもので
もよい。
【0020】かかるジルコニウム化合物は、前記のテト
ラアルコキシシランと共に用いられるが、ジルコニウム
化合物/テトラアルコキシシラン(重量比)は、1/
0.5〜5が好ましい。1/5未満では、相対的にジル
コニウム化合物の割合が少なく短時間に加水分解が進行
しないため造膜性が悪く、一方1/0.5を超えるとジ
ルコニウム化合物の割合が多すぎて得られる組成物の保
存安定性が悪化し、また加水分解が早すぎて造膜性が悪
くなり、いずれも好ましくない。
【0021】(b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算
で0.2〜10重量%、イオン交換、吸着、または固着
した、ゼオライト、アルミノケイ酸塩鉱物、シリカゲ
ル、およびアルミノ−シリカゲルの群から選ばれた少な
くとも1種の無機化合物;(b)成分の銀担持無機化合
物は、本発明の改質用触媒に、重合防止機能、炭化水素
類の細分子化機能を付与するもので、必須の成分であ
る。(b)成分における銀は、イオンの状態で前記無機
化合物の担体に担持されるもので、重合防止作用、細分
子化作用は、その触媒機能によるものと考えられ、また
前記触媒は、表面積が非常に大きいため、少量でも大き
な重合防止、細分子化効果があり、しかも長時間持続す
る。
【0022】かかる銀を担持させるには、銀塩、あるい
はコロイダル銀を用いる。銀塩としては、具体的には硝
酸銀、硫酸銀、塩化銀などを挙げることができる。ただ
し、本発明はこれらに限定されるものではない。これら
は、1種または2種以上を水に溶解させ混合水溶液とし
て使用される。銀塩は、前記(a)成分を構成するオル
ガノアルコキシシランの加水分解時における酸性触媒と
しての働きもするものである。これらの金属塩混合水溶
液は、前記の無機化合物の担体に吸着またはイオン交換
させることができる。コロイダル銀としては、平均粒径
が3〜100mμ、好ましくは5〜20mμ、さらに好
ましくは5mμ前後のものであり、これは大きな表面積
をもつ前記無機化合物の表面に固着することができる。
【0023】本発明の改質用触媒に使用する(b)成分
中の銀の含有量は、銀換算で好ましくは0.2〜10重
量%、好ましくは1〜8重量%である。この銀が0.2
重量%未満では、本発明の目的である重合防止力、細分
子化能が小さすぎ、一方10重量%を超えると、金属が
吸着するには多すぎ、あるいはイオン交換容量が不足
し、金属が溶出することがあり好ましくない。この
(b)成分の、銀を担持する無機化合物としては、ゼオ
ライト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、アルミノ
−シリカゲルからなる無機化合物の群から選ばれた少な
くとも1種が使用される。本発明の(b)成分は、これ
らの担体に、銀塩の水溶液を接触させ、イオン交換また
は吸着させたり、コロイダル銀と接触させて固着して得
ることができる。
【0024】以下に、担体無機化合物について、成分別
に詳細に説明する (ゼオライト)本発明におけるゼオライトは、天然また
は合成ゼオライトで、一般式x M2/pO・Al2 3 ・y
SiO2 ・z H2 O(式中、Mはイオン交換可能な金
属イオンを表し、通常は、1価〜2価の金属であり、p
はこの原子価で、xは金属酸化物の係数、yはシリカの
係数、zは結晶水の数をそれぞれ示す)で表され、その
組成比および細孔径、比表面積などの異なる多くの種類
がある。
【0025】例えば、天然ゼオライトとしては、アナル
シン、チャバサイト、クリノプチロライト、エリオナイ
ト、フォジャサイト、モルデナイトなどがあり、一方合
成ゼオライトとしては、A型ゼオライト、X−型ゼオラ
イト、Y−型ゼオライト、T−ゼオライトなどを挙げる
ことができる。ゼオライトの形状は、粒子状がよく、そ
の粒子径は10μm以下が適する。好ましいゼオライト
は、粒子径が3μm以下、比表面積が150m2 /g以
上でSiO2 /Al2 3 のモル比が14以下のもので
ある。本発明においては、好ましくは比表面積が大きく
吸着能に優れたゼオライトであり、前記の合成ゼオライ
トである。
【0026】(シリカゲル)シリカゲルは、一般式Si
2 ・nH2 Oで表される化合物で、ガラス状の透明ま
たは半透明の粒子で、微細構造が粗ショウをなして、例
えば1gのものが450m2 以上の大きな比表面積をも
つものである。本発明においてシリカゲルとしては、耐
摩耗性に優れた薄膜を形成するために、平均粒径が10
μm以下が好ましい。
【0027】(アルミノケイ酸塩鉱物)縮合ケイ酸の一
部をアルミニウムで置き換えたアルミノケイ酸イオンと
各種の金属イオンからなる塩でゼオライトを除く、カオ
リナイト、ハロサイト、白雲母、モンモリロナイト、蛭
石、長石、その他の天然鉱物で、表面積が大きく、イオ
ン交換能も有している。アルミノケイ酸塩鉱物の粒子径
は、通常、0.1〜10μm、好ましくは0.5〜3μ
mである。
【0028】(アルミノ−シリカゲル)一般式Al2
3 ・mSiO2 ・nH2 O+Al(OH)3 で表される
非晶質のゲルで大表面積でシリカとアルミナの両機能を
もち、活性炭と混合成型したものもある。吸着性能に優
れる。粒径は0.5〜10μm、好ましくは0.5〜3
μmである。
【0029】本発明の改質用触媒に使用されるコーティ
ング組成物中における(b)成分の割合は、(a)成分
として(イ)を使用する場合は、オルガノアルコキシシ
ラン100重量部に対し、通常、5〜100重量部、好
ましくは10〜70重量部である。また、(a)成分と
して(ロ)を使用する場合は、(b)成分は、テトラア
ルコキシシラン換算で(ロ)100重量部に対し、5〜
100重量部が好ましい。 (b)銀担持無機化合物の使用量が、上記のそれぞれの
物質について、所定量未満では重合防止や細分子化効果
がほとんどなく、一方所定量を超えると、組成物が増粘
しすぎたり、溶出することが起こったりして好ましくな
い。
【0030】(c)アルコール類;アルコール類は、前
記(a)成分の濃度調整剤であり、さらに前記(a)成
分を構成するオルガノアルコキシシラン、テトラアルコ
キシシラン、あるいはジルコニウム化合物が水によって
加水分解された際に極度にゲル化することを防止するた
め、そのほか加水分解物の縮合反応を調節しながら水分
を共沸留去するためのものである。
【0031】このアルコールとしては、1価アルコール
または2価アルコールであるエチレングリコールもしく
はこの誘導体が使用でき、このうち1価アルコールとし
ては炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールが好ましく、
具体的にはメタノール、エタノール、n−プロピルアル
コール、i−プロピルアルコール、sec−ブチルアル
コール、t−ブチルアルコールなどを挙げることがで
き、またエチレングリコールもしくはこの誘導体として
はエチレングリコール、エチレングリコールモノブチル
エーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル
などを挙げることができる。
【0032】これらのアルコール類は、好ましくはi−
プロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、酢酸
エチレングリコールモノエチルエーテルである。これら
のアルコール類は、1種でもまた2種以上を併用するこ
ともできる。本発明の炭化水素類の改質用触媒に使用さ
れるコーティング組成物中のアルコールの割合は、
(a)成分として(イ)を用いる場合、通常、(イ)換
算で(a)成分を100重量部として、15〜400重
量部、好ましくは40〜200重量部であり、また
(a)成分として(ロ)を使用する場合は、(ロ)換算
で(a)成分100重量部に対し、80〜800重量部
が好ましい。
【0033】(c)アルコールの使用量が、上記のそれ
ぞれの物質について、所定量未満では、組成物が二層分
離したりゲル化が生起したりし、一方所定量を超えると
相対的に他の成分が少なくなり、得られる材料の膜の密
着力が弱くなったり、薄膜すぎて目的とするものを作る
ことができない場合がある。
【0034】(d)水;水は、(a)成分となるオルガ
ノアルコキシシラン、あるいはテトラアルコキシシラ
ン、ジルコニウム化合物の加水分解に必須の成分である
とともに、粘度調節剤、乾燥速度調節剤、(a)〜
(b)成分、さらには必要に応じて使用される(e)充
填剤の分散媒としての役目を果たすものである。
【0035】この水としては、一般水道水、蒸留水、あ
るいはイオン交換水を用いることができる。特に、組成
物を高純度にする場合には、蒸留水またはイオン交換水
が好ましい。なお、この水としては、例えば(a)成分
を構成するオルガノアルコキシシランやテトラアルコキ
シシラン、ジルコニウム化合物の加水分解によって生じ
る水も包含されるものである。本発明の改質用触媒に使
用するコーティング組成物中における水の割合は、
(a)成分として(イ)を用いた場合は、通常、(イ)
を100重量部に対し、15〜400重量部、好ましく
は40〜250重量部であり、(ロ)を用いた場合は、
(ロ)の100重量部に対して、0〜25重量部、好ま
しくは0〜15重量部である。(d)水の使用量が、上
記のそれぞれの物質について、所定量未満では、(a)
成分の加水分解が充分に生起し難く、一方所定量を超え
ると本発明に使用される組成物の安定性が悪化するよう
になる。
【0036】本発明の銀を含む塗膜を作成するためのコ
ーティング組成物は、前記(a)〜(d)成分を混合し
て得られるものであるが、そのpHは2〜6.5が好ま
しく、pH調整のため、酸を含有してもよい。さらに、
必要により、(e)充填剤も添加することができる。
(e)充填剤は、得られる塗膜の化粧性の発現、塗膜の
表面積の拡大による重合防止効果、炭化水素類の分子の
細分子化の向上、耐蝕性、耐久性、塗膜強度の向上など
の諸特性を発現するために使用されるものである。
【0037】かかる(e)充填剤としては、例えば無機
顔料などの非水溶性の一般的な顔料または顔料以外の粒
子状もしくは繊維状の金属酸化物、炭化物、窒化物の1
種または2種以上のものであり、具体的にはシリカゲ
ル、合成ゼオライト、活性炭、二酸化ケイ素、酸化チタ
ン、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化マンガン、酸
化鉄、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、カオリン、合
成ムライト、ジルコン(ケイ酸ジルコニウム)、炭化ケ
イ素、チタン酸カリウムなどを挙げることができるが、
これらに限定されるものではない。
【0038】また、塗膜の表面積の拡大のために、コロ
イド状の、シリカ、アルミナ、チタニア、超微粒子状
の、シリカ、アルミナ、チタニアなどを用いることもで
きる。その他、必要に応じてキレート剤、界面活性剤、
シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルカ
リ金属塩などの従来公知の添加剤を用いることができ
る。コーテイング組成物の固形分濃度は、通常、10〜
60重量%、好ましくは15〜45重量%であり、10
重量%未満では得られる塗膜の厚さが薄すぎて重合防止
効果や細分子化効果が減少したり、塗膜強度が低すぎた
りし、一方60重量%を超えるとゲル化し易くなった
り、粘度が上昇しすぎたり、密着性が悪化したりするの
で好ましくない。
【0039】コーテイング組成物を調製するには、まず
第1に以上のような(a)〜(d)成分、あるいは
(a)〜(e)成分を混合するが、この場合の混合方法
は、(a)〜(d)成分、あるいは(a)〜(e)成分
を同時に混合する方法、また(a)成分と(c)アルコ
ールの混合物に(b)成分、必要に応じて(e)成分を
加え、使用時に(d)水を混合する方法などを挙げるこ
とができる。なお、(b)成分は、予め銀を無機化合物
担体に担持させておかず、銀塩の水溶液と無機化合物担
体を(a)、(c)、(d)成分、あるいはさらに
(e)成分と混合してもよい。
【0040】本発明では、前記(a)〜(d)成分、あ
るいは(a)〜(e)成分をこのようにして混合したの
ち、使用することができるが、(a)成分として(イ)
を使用した場合には、全成分を混合した後、2〜72時
間、さらに好ましくは3〜24時間熟成を行うとよい。
この熟成時間が1時間未満では、(a)成分の加水分
解、重縮合反応が充分に進行せず、また反応熱が残り、
基材に塗布した場合にハジキ現象が起こり易く、一方7
2時間を超えると(a)成分の重縮合反応が進みすぎて
組成物の分散安定性が悪化し、また得られる膜の密度、
密着性、硬度が低下し、艶がなくなったりする場合があ
る。なお、熟成温度は、通常、10〜30℃の常温下で
行うことが好ましい。
【0041】本発明に用いられるコーティング組成物
は、高速撹拌機、ボールミル、その他の分散機により分
散させ、ろ過することにより、均一な安定性の良い分散
液とすることができる。前記コーティング剤の塗布は、
前記のように調製されたコーテイング組成物を、次いで
デイッピング、混練り、スプレー、刷毛などの塗装手段
により、基材の表面にコーテイングし、100〜400
℃で5〜120分加熱することにより容易に硬化し、炭
化水素類の重合防止、細分子化に優れる塗膜が得られ
る。前記コーティング剤の基材に対する割合は、0.2
〜20重量%(乾燥塗膜換算)が好ましく、さらに好ま
しくは0.5〜5重量%である。
【0042】また、このようにして得られる本発明の改
質用触媒中の銀の含有量は、好ましくは0.03〜1.
5重量%、さらに好ましくは0.05〜1.0重量%で
ある。0.03重量%未満では、炭化水素類の重合防
止、細分子化効果が少なく、一方、1.5重量%を超え
ると、銀が溶出したり、密着力が低下したりして好まし
くない。このようにして得られる改質用触媒は、粒状の
もの、板状などどのような形状でもよい。粒状のものの
場合、粒径は、1mm〜50mmが好ましい。粒径が1
mm未満では、破損し易く、また収納が難しく、一方粒
径が50mmを超えると、表面積が小さくなったり、取
り扱い難くなり好ましくない。
【0043】粒状のものは、図1に示すような金網の収
納容器に入れて用いるとよい。図1において、(A)は
球状あるいは半球状の金網容器の上面図、(B)は半球
状の金網容器の斜視図、(C)は半球状の金網容器の側
面図、(D)は円筒状の金網容器の斜視図、(E)は箱
状の金網容器の斜視図である。しかしながら、容器に入
れず、粒のまま入れてもかまわない。また、板状のもの
として、図2に、正方形(A)、円形(B)、長方形
(C)のものの斜視図を示したが、これらに限定される
ものではなく、どのような形状でもよい。その厚さは、
3〜50mmが好ましい。また、図2(D)には、発泡
アルミニウムを基材とした触媒の斜視図を示した。
【0044】本発明の炭化水素類の改質用触媒は、炭化
水素類中に0.3〜10重量%入れると重合防止効果が
あり、高温下で使用する油脂や石油製品の劣化を防ぐこ
とができる。例えば、食用油の場合、揚物をしても、粘
度上昇、変色、臭気などの発生が全く見られず、油が変
化することがなく、新油の状態が従来に比し、3〜5倍
以上長続きする。また、この炭化水素類の改質用触媒を
新油に入れると、その油はさらに粘度が低下することが
判明した。すなわち、本発明の炭化水素類の改質用触媒
は、新油の状態を保つと同時に、さらに粘度を低下させ
ることができる。
【0045】本発明の改質用触媒は、耐熱性に優れた不
溶出性の固形状触媒であり、長時間連続使用できるもの
で、この触媒効果により、油脂や石油製品の劣化を大幅
に防止することができ、高温下で使用する油脂や潤滑油
は継ぎ足しのような方法で使用できるため廃棄処分量が
大幅に減少できるものである。また、燃焼するガソリン
や灯油、重油、ジェット燃料、原油などの炭化水素類
は、通常、分子が凝集しているが、本発明の改質用触媒
を添加することにより、凝集分子が細分子化されるた
め、霧化が改善され、燃焼効率が向上する。さらに、本
発明の触媒には、別途効果として、細菌類や臭気成分の
分解破壊力がある。すなわち、細菌類の細胞の表面を酸
化させ破壊して殺菌し、臭気成分を酸化分解するもので
ある。また、自動車や船舶のエンジンオイルの清浄分散
性も大幅に改善することができる。
【0046】なお、本発明の改質用触媒の使用方法の具
体例は、次のとおりである。すなわち、炭化水素類が、
ガソリン、軽油などの燃料油の場合、燃料油供給口より
本発明の触媒を投入し、好ましくは10分以上、さらに
好ましくは2時間以上接触させればよい。また、エンジ
ンオイルなどの粘度の高い潤滑油の場合には、好ましく
は4時間以上接触させる。これらの燃料油や潤滑油の場
合には、使用温度、すなわち常温で接触処理すればよ
い。さらに、食用油の場合、フライやテンプラを揚げる
際の高温状態のみならず、該食用油を保管中において
も、常時、浸漬状態で用いればよい。
【0047】
【作用】本発明の炭化水素類の改質用触媒は、大表面積
の担体に銀を含有する塗膜が固着されているものであ
り、この触媒機能は、接触反応により液体である炭化水
素類が励起状態になり、酸化反応によって生ずるラジカ
ルが消去され、後記するR−R(二量体)の生成を阻止
するとともに、さらに凝集分子を細分子化させるものと
考えられる。これについて、以下に詳細に説明する。炭
化水素類の酸化重合反応は、次のように進行するものと
考えられる。 RH+O2 → R・+OOH ROOH → RO・+・OH R・+O2 → ROO・(連鎖反応) ROO・+RH→ ROOH+R・ R・+R・ → R−R ROO・+R・→ ROOR (ただし、RHは炭化水素分子、ROOHはハイドロパ
ーオキサイドを示す。)
【0048】従来の酸化防止剤は、前式のフリーラジ
カルROO・と反応して連鎖の進行を阻害するものであ
るが、本発明の改質用触媒は、前式〜におけるR・
とROO・とが反応してR−R(二量体)の生成を阻止
するものと考えられる。これは、銀を含有する本発明の
触媒に炭化水素類が接触して励起され、R・、ROO・
ラジカルを消去して重合を阻止するものである。すなわ
ち、本発明の触媒は、酸化物および過酸化物の生成を阻
害するものではなく、重合物の生成を阻害して炭化水素
類の動粘度の上昇を防止するものである。そして、これ
は、特に食用油やエンジンオイルのように、熱重合が急
激に進行する条件下での効果が大きいものである。ま
た、ガソリンや灯油、重油、ジェット燃料、原油などの
炭化水素類は、通常、分子が凝集しているが、本発明の
改質用触媒を添加することにより励起され、凝集分子が
細分子化されるため、霧化が改善され、燃焼効率が向上
し、排出ガス中のハイドロカーボン量を極端に減少させ
ることができる。
【0049】さらに、本発明で使用するコーテイング組
成物は、銀あるいは銀イオンの機能を最大限に発現すべ
く、担体として、ゼオライト、シリカゲル、アルミノケ
イ酸塩鉱物、アルミノ−シリカゲルなどの比表面積の大
きいものを用い、結合剤として加水分解型のシラン化合
物(オルガノアルコキシシラン)、あるいはテトラアル
コキシシランおよびジルコニウム化合物を用い、塗膜そ
のものが超微粒子を敷き詰めたような大表面積になるよ
うにした。さらに、これが、多孔質状の基材に塗布され
ているので、触媒機能を非常に有効に発現させることが
できる。
【0050】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えないかぎ
り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施
例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準であ
る。
【0051】参考例(改質用触媒の作製) 油脂の重合防止の性能、清浄分散性、不溶出性などを調
べるため、以下のようにして、改質用触媒を作製した。
先ず、表1に示すA〜Hの8種類のコーテイング組成物
を作製した。前記組成物Aは、調合槽の中に(a)メチ
ルトリメトキシシラン400部に、(c)イソプロパノ
ール229部と(b)銀担持合成ゼオライト120部
を加え、軽く攪拌したのち、200メッシュのフィルタ
ーを通過させ、これに(c)イオン交換水250部と酢
酸1部を加え、2,000rpmで15分間攪拌した。
この混合液を3時間熟成することにより、組成物Aを作
製した。以下、組成物B〜C、E〜Hも同様にして作製
した。なお、組成物Dは、調合槽の中に、(a)テトラ
エトキシシラン160部、および(a)テトラブトキシ
ジルコニウム140部、に、(c)イソプロパノール3
90部、(b)銀担持カオリン100部、(b)銀担持
シリカゲル100部、および黒色顔料110部を加え軽
く攪拌したのち、ボールミルで約6時間混合して作製し
た。
【0052】
【表1】
【0053】次に、表2に示す基材に、表1に示したコ
ーテイング組成物を塗布し、1P〜9Pの改質用触媒を
作製した。なお、基材は、発泡アルミニウム以外は表中
の試料を1,100〜1,600℃で焼成したものであ
る。また、コーティング後の硬化条件は、組成物A〜H
すべて280℃で30分間加熱したものである。また、
基材の粒子の形状は、図3に示した。
【0054】
【表2】
【0055】実施例1 本発明の改質用触媒による油脂の重合防止効果を調べる
ため、油脂を加熱して熱重合を促進させ、その動粘度を
測定した。また、ヨウ素価および過酸化物価も測定し
た。測定方法は日本油化学協会編、基準油脂分析試験法
により行った。結果を表3に示す。なお、ヨウ素価は、
不飽和脂肪酸が持っている二重結合の総数に比例する数
値で、これにより重合が進む途中の変化が分かる。ま
た、過酸化物価は触媒を使用しても殆ど変わらず、場合
により増加することが分かる。
【0056】
【表3】
【0057】実施例2 本発明の改質用触媒による重合物の生成防止の状態を調
べるため、ガスクロマトグラフィーにより大豆油の構成
脂肪酸を経時的に分析し測定した。結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
【0059】実施例3 潤滑油の酸化後における粘度変化と清浄分散性を調べる
ため、本発明の触媒を使用してJIS K2514によ
る内燃機関潤滑油酸化安定度試験を行った。24時間お
よび36時間後の試験結果を表5に示す。
【0060】
【表5】
【0061】実施例4 本発明の改質用触媒の銀の溶出性を調べるため、改質用
触媒を所定量、1リットルの食用油およびエンジンオイ
ルに入れ、180℃で3時間浸漬し、溶出性試験を行っ
た。なお、分析は原子吸光光度法により行った。結果を
表6に示す。
【0062】
【表6】
【0063】実施例5 (油脂の劣化防止性能試験)菜種油に、上記で作製した
改質用触媒2Pを50g/リットル入れた場合と入れな
い場合について、基準油脂分析試験法により、200
℃、4時間後の過酸化物価、鹸化価、動粘度を測定し
た。結果を表7に示す。
【0064】
【表7】
【0065】(食用油への溶出性試験)上記で作製した
改質用触媒4Pを15g、1リットルの食用油に180
℃で30分間浸漬し、溶出性試験を行った。結果を表8
に示す。
【0066】
【表8】
【0067】実施例6 ガソリン自動車における本発明の改質用触媒の効果を調
べるため、燃料タンクへの触媒投入前および投入後のア
イドリング状態の排出ガス試験を実施した。試験は、投
入前・投入後の順で実施した。改質用触媒には、参考例
で調製された触媒4Pを使用し、投入後、約24時間経
過後に投入後の試験を開始した。なお、投入量は、10
0gとした。
【0068】試験自動車の内容は、次のとおりである。 種別用途;小型・乗用 サイクル気筒数;4サイクル6気筒 総排気量;1,988cc 最高出力;130/5,400(ps/rpm) 正規無負荷回転数;700rpm 燃料の種類;無煙ガソリン 変速機;自動(前進4段) 車両重量;1,290kg 排出ガス対策の種類;三元触媒+O2 センサー なお、排出ガス分析装置は、株式会社堀場製作所製、M
EXA−9400/CVS−9100型を使用した。試
験結果を表9に示す。本発明の改質用触媒をガソリンに
添加すると、燃焼性を示す排出ガス中のハイドロカーボ
ンの量が極端に減少していることが分かる。
【0069】
【表9】
【0070】
【発明の効果】本発明の触媒は、特に食用油やエンジン
オイルのように、熱重合が急激に進行する条件下での炭
化水素類の重合物の生成を阻害することができ、炭化水
素類の動粘度の上昇を防止することができる。例えば、
揚物などによる食用油の劣化を防止するので、粘度の上
昇を防止でき、揚げ物への熱伝導が損なわれることが無
く、何度使用しても、油の浸透が少なく、風味のよい、
カラッとした揚げ物ができ、食用油の寿命を大幅に延ば
すことができる。
【0071】そして、本発明の炭化水素類の改質用触媒
は、耐熱性に優れた不溶出性の固形状触媒であり、長時
間連続使用できるもので、この触媒効果により、油脂や
石油製品の劣化を大幅に防止することができ、高温下で
使用する油脂や潤滑油は継ぎ足しのような方法で使用で
きるため廃棄処分量が大幅に減少できるものである。ま
た、燃焼するガソリンや灯油、重油、ジェット燃料、原
油などは、分子の細分子化により、霧化が改善され、燃
焼効率が向上する。さらに、本発明の触媒には、別途効
果として、細菌類や臭気成分の分解破壊力がある。すな
わち、細菌類の細胞をイオン化酸素が破壊して殺菌し、
臭気成分を酸化分解するものである。また、自動車や船
舶のエンジンオイルの清浄分散性も大幅に改善すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粒状の触媒を入れる容器の上面図、側
面図、あるいは斜視図である。
【図2】本発明の板状の触媒の斜視図である。
【図3】表2の基材の形状を示す模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C10M 125/00 125:04) C10N 10:02 10:06 30:10 40:25

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 無機質の基材および/または金属の基材
    の表面を、下記(a)〜(d)成分を混合して得られる
    組成物を主成分とする、銀を含有するコーティング剤で
    加工してなることを特徴とする炭化水素類の改質用触
    媒。 (a)(イ)一般式RSi(OR(式中、R
    は炭素数1〜8の有機基、Rは炭素数1〜5のアルキ
    ル基または炭素数1〜4のアシル基を示す)で表される
    オルガノアルコキシシラン、ならびに(ロ)Si(OR
    (式中、Rは前記に同じ)で表されるテトラア
    ルコキシシランおよび一般式Zr(OR′)(式中、
    R′はいずれも同一または異なり、炭素数2〜5の炭化
    水素残基を示す)で表されるジルコニウム化合物から選
    ばれる少なくとも1種 (b)銀塩またはコロイダル銀を、銀換算で0.2〜1
    0重量%、イオン交換、吸着、または固着した、ゼオラ
    イト、シリカゲル、アルミノケイ酸塩鉱物、およびアル
    ミノーシリカゲルの群から選ばれた少なくとも1種の無
    機化合物 (c)アルコール、ならびに (d)水
  2. 【請求項2】 無機質の基材が、微粒子状のアルミノケ
    イ酸塩鉱物および/またはケイ酸塩鉱物、微粒子状の金
    属酸化物、微粒子状の金属水酸化物、ならびに繊維状の
    金属酸化物の群から選ばれた少なくとも1種を焼成して
    得られる多孔質状成形物である請求項1記載の炭化水素
    類の改質用触媒。
  3. 【請求項3】 金属の基材が、発泡金属および/または
    少なくとも表面が多孔質状に処理もしくは粗面に処理さ
    れた金属である請求項1記載の炭化水素類の改質用触
    媒。
  4. 【請求項4】 銀を0.03〜1.5重量%含有するも
    のである請求項1〜いずれか1項に記載の炭化水素類
    の改質用触媒。
JP6065440A 1993-04-12 1994-03-10 炭化水素類の改質用触媒 Expired - Fee Related JP2745198B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6065440A JP2745198B2 (ja) 1993-04-12 1994-03-10 炭化水素類の改質用触媒

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10716593 1993-04-12
JP5-107165 1993-04-12
JP6065440A JP2745198B2 (ja) 1993-04-12 1994-03-10 炭化水素類の改質用触媒

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07828A JPH07828A (ja) 1995-01-06
JP2745198B2 true JP2745198B2 (ja) 1998-04-28

Family

ID=26406582

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6065440A Expired - Fee Related JP2745198B2 (ja) 1993-04-12 1994-03-10 炭化水素類の改質用触媒

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2745198B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6140266A (en) * 1999-02-18 2000-10-31 International Fuel Cells, Co., Llc Compact and light weight catalyst bed for use in a fuel cell power plant and method for forming the same
JP2006198503A (ja) * 2005-01-19 2006-08-03 Hiroshima Univ 無機触媒成分および有機化合物を担持する触媒組成物ならびにその利用
JP2008214540A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Yoshio Ichikawa エンジンオイル改質用組成物、エンジン排気ガス浄化用オイルタンク、およびエンジン排気ガスの浄化方法
JP5744531B2 (ja) * 2011-01-14 2015-07-08 株式会社日板研究所 改質水用固形状触媒、改質水の製造方法、および改質水
US9180434B2 (en) * 2011-10-27 2015-11-10 Dsm Ip Assets B.V. Catalytic system
JP5517091B1 (ja) * 2013-04-30 2014-06-11 フロー工業株式会社 電気石を用いる天ぷら油の酸化防止材および酸化防止方法

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04122452A (ja) * 1990-09-11 1992-04-22 Hidefumi Hirai 金属粒子及び/又は金属化合物粒子担持物、及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07828A (ja) 1995-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0040902B1 (en) Method for rendering non-ferrous metals corrosion resistant
JP4471654B2 (ja) 希土類金属酸化物被覆マイクロポーラス材料の製造方法
EP2081681B1 (en) Process for preparing a sulfur tolerant alumina catalyst support
JP5356236B2 (ja) ディーゼルエンジン排出ガスの処理方法およびディーゼルエンジン排出ガスの処理用触媒組成物
JP2745198B2 (ja) 炭化水素類の改質用触媒
WO2003024880A1 (fr) Produit hydrophobe a deux composants pour surface vitree
JPH10279885A (ja) 機能性コーティング用組成物
EP1165153A1 (de) Beschichtungsmasse auf silanbasis mit katalytischer oxidativer und desodorisierender wirkung
JPH1112539A (ja) 機能性塗料組成物、および機能性塗膜の形成方法
JP4287695B2 (ja) 光触媒体
JPH10500898A (ja) 被覆されたゼオライト粒子を含むfcc触媒
CN1068563C (zh) 铈化合物的高pH胶态分散体及其制备方法
JP2008148726A (ja) 消臭抗菌性組成物
US5433841A (en) Method for reforming hydrocarbons
JP4663065B2 (ja) 光触媒コーティング剤及び光触媒担持構造体
CN1192724A (zh) 氧化铈基胶态分散体和呈胶态分散体形式的可再分散组合物
JP2008214540A (ja) エンジンオイル改質用組成物、エンジン排気ガス浄化用オイルタンク、およびエンジン排気ガスの浄化方法
JP2717167B2 (ja) 被覆用組成物
JP4829086B2 (ja) シリカゾルおよびこれを含む塗料組成物
WO2018025610A1 (ja) 酸化亜鉛含有複合粒子、紫外線遮蔽用組成物、及び化粧料
JPH01178563A (ja) 抗菌性コーティング用組成物および抗菌性布帛
JP4115305B2 (ja) 自動車用オイルパンおよびその製造方法
CN101087916B (zh) Dna担载纤维、dna担载纤维片材和它们的制备方法
JP5744531B2 (ja) 改質水用固形状触媒、改質水の製造方法、および改質水
JP2008264633A (ja) 流体浄化用フィルター

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980106

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080213

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090213

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100213

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees